JP2018158504A - フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性に優れ、布のような柔らかい風合い、及び心地良い触感を有するフィルムを提供することを、その課題とする。をその課題とする。【解決手段】 基材フィルムの少なくとも一方の最表面に坪量が0.5g/m2以上4.0g/m2以下の有機繊維層を有し、かつ有機繊維層を構成する有機繊維の平均長さが0.5mm以上50.0mm以下であることを特徴とする、フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、及び心地良い触感を有するフィルムに関する。
衣料、医療・衛生材の分野では、布のような風合いと共に防水性やバリア性等の特性の向上も求められている。近年、防水性やバリア性等の特性向上のためにフィルムが用いられることがあるが、フィルム自体は風合いが布と大きく異なり、単体での使用は困難である。
そのため、衣料、医療・衛生材用途にフィルムを用いる場合、人肌や手に振れる面に不織布などの繊維製品を貼合わせることや、植毛を行うこと等により、布のような風合いを付与するのが一般的である。例えば、特許文献1には、植毛により布のような風合いを付与する方法が開示されており、また、特許文献2には多孔質フィルムと不織布を貼り合わせる方法が開示されている。
特開2009−24271号公報 特開2001−355173号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、短繊維を固定するための有機溶剤系接着剤の塗布や、その後の溶剤乾燥除去等の工程を要するため、薄く柔らかいフィルムへの適用が難しいことが問題となる。また、特許文献2の技術では、不織布により良好な触感が付与されるものの、不織布とフィルムの貼合わせ工程の増加や、不織布の厚みによる柔軟性低下が問題となる。
本発明は係る従来技術の欠点を改良し、フィルムとして用いるために必要な機械特性に優れ、布のような柔らかい風合い、及び心地良い触感を有するフィルムを提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 基材フィルムの少なくとも一方の最表面に坪量が0.5g/m以上4.0g/m以下の有機繊維層を有し、かつ有機繊維層を構成する有機繊維の平均長さが0.5mm以上50.0mm以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.010gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であり、かつ前記有機繊維層の表面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.40以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 前記有機繊維が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記有機繊維が、芯部とそれを取り囲む鞘部を有し、鞘部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm1℃、鞘部に最も多く含まれる樹脂の溶解度パラメータをδ1(MPa)0.5、芯部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm2℃、前記有機繊維層と接する前記基材フィルムの層をX層、溶解度パラメータがδ1±0.10(MPa)0.5である樹脂を樹脂Aとしたときに、Tm1<Tm2であり、X層が層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、樹脂Aを10質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする、(3)に記載のフィルム。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、及び心地良い触感を有するフィルムを提供することができる。
本発明の一実施態様に係るフィルムを示す模式断面図である。 本発明の一実施態様に係るフィルムを示す模式断面図である。
本発明のフィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の最表面に坪量が0.5g/m以上4.0g/m以下の有機繊維層を有し、かつ有機繊維層を構成する有機繊維の平均長さが0.5mm以上50.0mm以下であることを特徴とする。なお、以下、有機繊維について有機短繊維ということがある。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、KES法とは、Kawabata Evaluation System法のことであり、以下、同方法の表記はKES法とする。また、KES法に従い測定される圧縮仕事量、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)、及びKES法に従い測定される摩擦係数は、以下、それぞれ単に圧縮仕事量、せん断かたさ(せん断かたさ(G))、及び摩擦係数ということがある。
図1、2は、本発明の一実施態様に係るフィルムを示す模式断面図である。図1、2において、符号1は有機短繊維、符号2は基材フィルムをそれぞれ示す。本発明のフィルムにおいて、有機短繊維1は、図1(A)に示すように半分以上が基材フィルム2表面に突出していても、図1(B)に示すように半分未満が基材フィルム2表面に突出していてもよい。有機短繊維1は、図1(A)や(B)に示すように個別に存在しても、図1(C)に示すように、複数本が集合あるいは凝集した状態で存在してもよい。また、有機短繊維1は、図2(A)に示すように基材フィルム2表面に平面的にほぼ隙間なく配置されていても、図2(B)に示すように基材フィルム2の厚み方向に複数本が重なるように配置されていても、両方の態様が混在していてもよい。ここで厚み方向とは、基材フィルム2面に垂直な方向をいう。
(基材フィルム)
本発明において基材フィルムとは、フィルムから有機短繊維層を除いた部分をいう。基材フィルムの組成は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、フィルムのせん断変形性を後述する好ましい範囲とする観点から、基材フィルムが熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。ここで熱可塑性エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。
熱可塑性エラストマーは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、結晶性を有する熱可塑性エラストマー、非晶性の熱可塑性エラストマーのいずれであってもよく、また両者を混合してもよい。結晶性を有する熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測される熱可塑性エラストマーをいう。一方、非晶性の熱可塑性エラストマーとは、同様の条件で昇温した際に結晶融解ピークが観測されない熱可塑性エラストマーをいう。
基材フィルムにおける結晶性を有する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、及びポリアミド系エラストマーなどを単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、製膜安定性や耐熱性の低下を軽減しつつフィルムのせん断変形性を後述する好ましい範囲とする観点から、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、フィルムに透湿性を付与する観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。基材フィルムに好適に用いることができるポリエステル系エラストマーの具体例としては、例えば、東レ・デュポン社製の“ハイトレル”(登録商標)のG3548やHTR8206グレード等が挙げられる。
ポリアミド系エラストマーとしては、例えば、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、フィルムへ透湿性を付与する観点から、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。基材フィルムに好適に用いることができるポリアミド系エラストマーの具体例としては、例えば、アルケマ社製の“PEBAX”(登録商標)のMV1074、MV1041、MV3000、MH1657グレード等が挙げられる。
本発明の基材フィルムが結晶性を有する熱可塑性エラストマーを含む場合、その含有量は本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、製膜安定性の観点から、基材フィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましい。なお、基材フィルム中の結晶性を有する熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、結晶性を有する熱可塑性エラストマーの含有量は全ての結晶性を有する熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。
本発明のフィルムは、図1(A)や(B)に示すように有機短繊維層を形成する有機短繊維の一部が基材フィルムに埋まっている場合、基材フィルムと有機短繊維を完全に分離することができないことがある。このような場合、以下の方法により有機短繊維を剥離除去して得られたフィルムを基材フィルムとみなすことができる。以下、基材フィルム中の組成の分析について同様である。
まず、有機短繊維層を有するフィルムの質量(x0)を測定する。その後、フィルムの有機短繊維層を有する面全体にテープ(“セロテープ”(登録商標)(ニチバン製CT405AP、粘着力3.93N/10mm))を貼り付け、これを剥がした後の質量(x1)を測定する。さらに、テープを剥がした後のフィルムに同様に新しいテープを貼り付け、これを剥がした後の質量(x2)を測定する。得られたx0、x1、x2より、1回目の剥離により減少した質量と2回目の剥離により減少した質量の比率((x1−x2)/(x0−x1))を算出し、この値が0.90以上である場合は、基材フィルムより有機短繊維層が剥離した、すなわち得られたフィルムが基材フィルムであるとみなす。一方、この値が0.90未満である場合は、再度同様にテープの貼付と剥離を繰り返して質量(x3)を測定し、得られたx1、x2、x3より、2回目の剥離により減少した質量と3回目の剥離により減少した質量の比率(x2−x3)/(x1−x2)を測定する。以後、1回前の剥離で減少した質量と直前の剥離により減少した質量の比率が0.90以上となるまで同様の手順を繰り返し、この比率が0.90以上となった段階で、そのフィルムを基材フィルムとみなすことができる。
基材フィルムにおける非晶性の熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアクリル系エラストマー等を単独で又は組み合わせて用いることができる。中でも、せん断変形性を後述する好ましい範囲とする観点から、ポリウレタン系エラストマーを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
ポリウレタン系エラストマーとしては、例えば、短鎖グリコールとジイソシアネートによりなるハードセグメント相とポリエーテルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体や、同ハードセグメント相とポリエステルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性付与の観点から、ポリエーテルよりなるソフトセグメント相を有するブロック共同重合体であることが好ましい。基材フィルムに好適に用いることができるポリウレタン系エラストマーの具体例としては、例えば、BASFジャパン社製“エラストラン”(登録商標)のOP85A10グレードやET885FGグレード等が挙げられる。
基材フィルムが非晶性の熱可塑性エラストマーを含む場合、基材フィルムにおける非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、せん断変形性、透湿性、及び製膜安定性の観点から、本発明の基材フィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、基材フィルム中の非晶性の熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は全ての非晶性の熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。
本発明の基材フィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、取り扱い性と生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいう基材フィルムの厚みは、例えば、以下のようにして測定することができる。まず、ミクロトームを用いてナイフ傾斜角度3°でフィルム面に垂直な方向にフィルムを切断する。得られたフィルム断面を走査型電子顕微鏡で観察し、表面に有機短繊維が存在しない部分の厚みを10箇所測定する。こうして得られた値の平均値を基材フィルムの厚みとする。なお、ミクロトームとしては、例えば日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトーム等を、走査型電子顕微鏡としては、例えば(株)日立製作所製S−3400N等を使用することができる。
基材フィルムの厚みを3μm以上とすることで、フィルムのコシが強くなり、取り扱い性、ロール巻姿、及び巻出し性が良好となる。基材フィルムの厚みを200μm以下とすることで、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが安定化する。このような点から、基材フィルムの厚みは5μm以上150μm以下であることがより好ましく、6μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
基材フィルムは、ハンドリング性や巻き取り性の向上、及びコスト低減の観点から、充填剤を含んでもよい。充填剤とは、諸性質を改善するために加えられる物質、あるいは増量、増容、又は製品のコスト低減などを目的としてフィルム中に添加する不活性物質をいう。
充填剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、コストや汎用性の観点から無機充填剤であることが好ましく、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、アルミノシリケート、マイカ、タルク、カオリン、クレー、及びモンモリロナイト等の複合酸化物のうち少なくとも一種類であることがより好ましく、炭酸カルシウムや硫酸バリウムであることがさらに好ましい。
また、基材フィルムにおける充填剤の含有量は特に限定されないが、基材フィルムの樹脂成分全体を100質量部としたときに、5質量部以上120質量部以下であることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない限り、充填剤は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよく、後者の場合における含有量は、全ての充填剤を合算して算出するものとする。
基材フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、着色顔料、染料などを含有してもよい。
(有機短繊維層)
本発明のフィルムは、触感を布に近づける観点から、基材フィルムの少なくとも一方の最表面に坪量が0.5g/m以上4.0g/m以下の有機短繊維層を有することが重要である。
有機短繊維とは、合成高分子や天然高分子等の有機高分子を主成分とし、アスペクト比が10以上であるものをいう。ここで、有機高分子を主成分とするとは、有機短繊維を構成する高分子成分全体を100質量%としたときに、有機高分子を50質量%以上含むことをいう。以下、「主成分とする」については同様に解釈することができる。アスペクト比とは、長さが最大となるように直線状に伸ばしたときに、その長さを、長さ方向に垂直な面で切断して得られる断面の最大長径で除した値をいう。なお、測定対象の繊維状物は、両端をピンセットで摘んで引っ張ることにより直線状に伸ばすことができる。但し、両端をピンセットで摘むことができない場合は、通常、両端をピンセットで摘んで引っ張らなくても繊維状物が直線状になっている。
最大長径とは、輪郭上にその距離が最大となるように2点を選定したときの、該2点間の距離を意味する。なお、アスペクト比は、顕微鏡を用いて倍率5倍で拡大観察して、視野の中心に近い順に20個の繊維状物を選定し、選定した繊維状物のアスペクト比の平均値として求める。
基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機短繊維層を有することにより、布の表面に似た微細な凹凸がフィルムの表面に形成される。このような凹凸の存在により、指でフィルムに触れたときの接触面積が低減し、それに伴い両者の摩擦係数が小さくなって滑らかさが向上する。
基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機短繊維層を形成する手段は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、基材フィルム(基材フィルムが積層構成の場合はその最表層、以下、本段落において同じ。)にあらかじめ有機短繊維に含まれる樹脂成分と相互作用の強い成分を含ませておき、熱履歴により両者を融着させる方法や、基材フィルムにあらかじめ粘着性の成分を含ませておき、その粘着力により有機短繊維を付着させる方法等が挙げられる。また、有機短繊維層は、本発明の効果を損なわない範囲で帯電防止剤や有機短繊維同士の結着剤等のその他の成分を少量含んでもよい。
本発明のフィルムにおける有機短繊維層の坪量を0.5g/m以上4.0g/m以下とすることにより、フィルムの柔軟性や触感を布に近づけることができる。有機短繊維層の坪量が0.5g/m未満であると、有機短繊維層が疎になりすぎるため、有機短繊維密度が小さい領域において摩擦係数が過度に大きくなり、布のような凹凸や心地良い触感が得られない。一方、有機短繊維層の坪量が4.0g/mより大きいと、有機短繊維層の硬度が高くなり、布のような柔らかさが得られない。上記観点から、有機短繊維層の坪量は0.5g/m以上3.0g/m以下であることが好ましく、1.0g/m以上2.0g/m以下であることがより好ましい。
有機短繊維層の坪量は、有機短繊維を熱圧着する前の基材フィルムの質量が測定可能な場合においては、熱圧着前の基材フィルム及び熱圧着後のフィルムの単位面積当たりの質量をそれぞれ測定し、その差分を単位面積当たりの有機短繊維層の質量として、この値を1m当たりに換算して求めることができる。
但し、インラインで有機短繊維を熱圧着させて有機短繊維層を形成する場合のように、有機短繊維を熱圧着する前の基材フィルムの質量が測定不可能な場合もある。このような場合は、以下の方法により有機短繊維の量を測定することができる。
本発明のフィルムは、図1(A)や(B)に示すように有機短繊維層を形成する有機短繊維の一部が基材フィルムに埋まっている場合、基材フィルムと有機短繊維を完全に分離することができないことがある。このような場合、以下の方法により有機短繊維を剥離除去して得られたフィルムを基材フィルムとみなすことができる。以下、基材フィルム中の組成の分析について同様である。
まず、有機短繊維層を有するフィルムの質量(x0)を測定する。その後、フィルムの有機短繊維層を有する面全体にテープ(“セロテープ”(登録商標)(ニチバン製CT405AP、粘着力3.93N/10mm))を貼り付け、これを剥がした後の質量(x1)を測定する。さらに、テープを剥がした後のフィルムに同様に新しいテープを貼り付け、これを剥がした後の質量(x2)を測定する。得られたx0、x1、x2より、1回目の剥離により減少した質量と2回目の剥離により減少した質量の比率((x1−x2)/(x0−x1))を算出し、この値が0.90以上である場合は、基材フィルムより有機短繊維層が剥離した、すなわち得られたフィルムが基材フィルムであるとみなし、x0−x2を有機短繊維層の質量と推定する。一方、1回目の剥離により減少した質量と2回目の剥離により減少した質量の比率が0.90未満である場合は、再度同様にテープの貼付と剥離を繰り返して質量(x3)を測定し、得られたx1、x2、x3より、2回目の剥離により減少した質量と3回目の剥離により減少した質量の比率(x2−x3)/(x1−x2)を測定する。以後、1回前の剥離で減少した質量と直前の剥離により減少した質量の比率が0.90以上となるまで同様の手順を繰り返し、この比率が0.90以上となった段階で、そのフィルムを基材フィルムとみなし、x0から最後に剥離を行って得られたフィルムの質量を差し引いた値を有機短繊維層の質量と推定する。このように推定した有機短繊維層の質量を1m当たりに換算して有機短繊維の坪量(g/m)とする。
本発明のフィルムは、凹凸感と触感を布に近づける観点から、有機短繊維層を構成する有機短繊維の平均長さが0.5mm以上50.0mm以下であることが重要である。有機短繊維層を構成する有機短繊維の平均長さが0.5mm未満であると、繊維長が不足するため、短繊維ではなく実質粒子を付着させている状態となり、布のような凹凸感が得られない。一方、有機短繊維層を構成する有機短繊維の平均長さが50mmを超えると、繊維長が長すぎることに起因して基材フィルム表面に均一に分散させることが困難となり、有機短繊維が不足している部分において摩擦係数が大きくなり、布のような心地良い触感が得られないだけでなく、部分ごとの触感のばらつきも大きくなる。
有機短繊維層を構成する有機短繊維の平均長さは、布のような凹凸感を付与し、かつ摩擦係数を後述する好ましい範囲として布のような心地良い触感を付与する観点から、1.0mm以上30.0mm以下が好ましく、3.0mm以上10.0mm以下であることがより好ましい。
有機短繊維層を構成する有機短繊維の平均長さを0.5mm以上50.0mm以下又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、有機短繊維の構成成分として後述する熱可塑性樹脂を用い、溶融紡糸法により得られた有機繊維を引き取りながら所望する長さにカットする方法が挙げられる。
なお、有機短繊維の平均長さは以下の方法で測定することができる。まず、先に記載した有機短繊維層の坪量の測定方法と同じ方法で“セロテープ”(登録商標)を用いて、有機短繊維をフィルムから引き抜く。得られた有機短繊維をテープより剥離し、これを直線状に伸ばして微分干渉顕微鏡で観察し、その測長機能により長さを測定する。次いで、最初に選択した有機短繊維から近い順に、最初に選択した有機短繊維も含めた合計が20本となるようにテープから有機短繊維を剥離し、それぞれについて同様の測定を行う。得られた長さの平均値を求め、これを有機短繊維の平均長さとする。なお、微分干渉顕微鏡としては、例えば(株)NIKON製のOPTIPHOT等を使用することができ、有機短繊維を伸ばす方法は先にアスペクト比の説明で記載した方法と同様の方法を用いることができる。
本発明における有機短繊維は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、合成高分子や天然高分子等の有機高分子を主成分とするものを用いることができる。中でも、容易に有機短繊維と基材フィルムを熱圧着するためには、有機短繊維が熱可塑性を有する成分を多く含むことが好ましいため、本発明における有機短繊維は、合成高分子を主成分とするものであることが好ましい。
合成高分子としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリビニルアルコール等が挙げられる。天然高分子としては、例えば、コットンやパルプなどのセルロースを主成分とするものや、それを化学処理したレーヨン等が挙げられる。
(せん断かたさ)
本発明のフィルムは、布のような柔らかさやせん断変形性を付与する観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であることが好ましい。せん断変形とは、経糸と緯糸とが交差することにより構成されている布が最も容易に受ける変形様式をいう。2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさ(G)が小さい方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。つまり、せん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であるフィルムは、布のような柔らかさを感じるフィルムとなる。
KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)とは、KES法に従い測定される長手方向及び幅方向のせん断応力より算出するせん断かたさ(G)をいう。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点における、長手方向及び幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)、長手方向及び幅方向について、式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式G2用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、長手方向及び幅方向のG(+)及びG(−)を平均して得られるせん断かたさ(G)をいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、及び試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。
ここで、長手方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、後述の方法により任意に選択した一方向についてフィルムのヤング率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを180°に達するまで繰り返して最もヤング率の値が大きい方向を長手方向として扱うものとする。以下、本発明において同様とする。
ヤング率は150mm(測定方向)×10mmの短冊状をしたフィルムサンプルについて、短冊の長手方向に23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分として、JIS K−7127(1999)に規定された方法に従い測定することができる。
本発明のフィルムにおいては、フィルムのせん断変形性を布に近づける観点から、せん断かたさ(G)は、0.1gf/(cm・deg)以上2.5gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上2.0gf/(cm・deg)以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムのせん断かたさ(G)を0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下、又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、前記の熱可塑性エラストマーの種類や含有量を調整する方法、基材フィルムの厚みを調整する方法、有機短繊維層の坪量を調整する方法、有機短繊維の平均長さを調整する方法などが挙げられる。より具体的には、有機短繊維層の坪量を少なくするとともに、有機短繊維の平均長さを小さくすることにより、せん断かたさ(G)を小さくすることができる。
(圧縮仕事量)
本発明のフィルムは、心地良い触感のフィルムとする観点から、クッション性を有することが好ましい。ここでいうクッション性とは、嵩高性と柔軟性を表す指標であり、フィルムを圧縮したときの仕事量(圧縮仕事量)を尺度として表現することができる。圧縮仕事量は、KES法に従い測定することができ、詳細な測定方法については後述する。
本発明のフィルムは、圧縮仕事量が0.010gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下であることが好ましい。圧縮仕事量が0.010gf・cm/cm未満であれば、フィルムのクッション性や触感が不足することがある。一方、圧縮仕事量が0.300gf・cm/cmを超えると、フィルムの取り扱い性や、印刷や貼り合わせなどの後加工の適性が低下することがある。上記観点から、圧縮仕事量は0.050gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下であることがより好ましく、0.100gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムの圧縮仕事量を0.010gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下、又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、有機短繊維層の坪量や有機短繊維の平均長さを調整する方法等が挙げられる。具体的には、有機短繊維の坪量を大きくすること、有機短繊維の平均長さを大きくすること等により、圧縮仕事量を大きくすることができる。
(摩擦係数)
本発明フィルムは、ブロッキング防止性やハンドリング性を向上させ、かつ有機短繊維層を有する面の触感を布に近づける観点から、有機短繊維層の表面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.40以下であることが好ましく、0.05以上0.35以下であることがより好ましく、0.05以上0.35以下であることがさらに好ましい。ここで摩擦係数とは、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をサンプルの表面で移動させて、KES法により測定される摩擦係数をいう。
有機短繊維層の表面の摩擦係数が0.40を超えると、フィルムの有機短繊維層を有する面の触感が布から程遠いものとなることがある他、ロールに巻き取る場合等、フィルム同士が接触する際にフィルム面同士の接触面積が増加し、ブロッキング防止性やハンドリング性も低下することがある。なお、有機短繊維層の表面の摩擦係数の下限は触感の観点からは低ければ低いほど好ましいが、実用的な面で0.05となる。
有機短繊維層の表面の摩擦係数を0.05以上0.40以下又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、有機短繊維層の坪量を調整する方法や有機短繊維の平均長さを調整する方法等が挙げられる。具体的には、有機短繊維層の坪量を大きくすること、有機短繊維の平均長さを小さくすることにより、摩擦係数を小さくすることができる。
(有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率)
本発明のフィルムは、基材フィルムと有機短繊維層の剥離やフィルムからの有機短繊維の脱落を軽減して布のような触感を維持する観点から、有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率が0%以上30%以下であることが好ましく、0%以上10%以下であることがより好ましい。
有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率とは先の「摩擦係数」の項目に記載の方法で同一サンプルの同一箇所における摩擦係数を10回測定した際の、1回目の測定値に対する10回目の測定値の比率を指す。通常、有機短繊維層の剥離や有機短繊維の脱落があると、有機短繊維層よりも摩擦係数の高い基材フィルムの露出度が高くなるため、有機短繊維層の表面の摩擦係数は上昇する。すなわち、10回の測定によって有機短繊維層の剥離や有機短繊維の脱落が進行するほど、10回目の測定で得られる摩擦係数が大きくなるため、有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率も大きくなる。
有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率が30%を超える場合、有機短繊維層の剥離や有機短繊維の脱落が進行していることとなり、有機短繊維層の表面への接触により次第に布のような触感が失われることがある。なお、有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率が0%であることは、10回の測定で有機短繊維層の表面の摩擦係数が増加しないことを意味する。このような場合は、10回の測定により有機短繊維層の剥離や有機短繊維の脱落が進行していないと解釈することができる。
有機短繊維層の表面の摩擦係数増加率を0%以上30%以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、後述する基材フィルムのX層が有機短繊維との親和性の高い樹脂成分である後述する樹脂Aを含む方法等が挙げられる。具体的には基材フィルムのX層における樹脂Aを増やすことで摩擦係数増加率を低くすることができる。
(フィルムの透湿度)
本発明のフィルムを、衛生材などの透湿性が要求される用途に使用する場合、その透湿度が1,000g/(m・day)以上であることが好ましく、1,500g/(m・day)以上であることがより好ましく、2,000g/(m・day)以上であることがさらに好ましい。フィルムの透湿度は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用するとの観点からすると、8,000g/(m・day)あれば十分である。
なお、ここでフィルムの透湿度とは、25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定して得られる透湿度をいう。
本発明のフィルムの透湿度を上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、前記の熱可塑性エラストマーの種類や含有量を調整する方法、基材フィルムの厚みを調整する方法などが挙げられる。具体的には、フィルムを構成する樹脂として透湿性を有する熱可塑性エラストマーを用いることや、厚みを小さくすることによりフィルムの透湿度を大きくすることができる。
(有機短繊維の構造及び特性)
本発明の有機短繊維層を構成する有機短繊維は、基材フィルム上に有機短繊維層を容易に形成させる観点から、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を含むことが好ましい。融点とは、対象とする短繊維を100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、示差走査熱量計(DSC)測定において25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、観測される融解ピークのピーク温度を指す。なお、「融点の異なる2種類以上の樹脂成分を含む」か否かを判断するにあたり、有機短繊維を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、10質量%に満たない樹脂成分は存在しないものとみなすこととする。
このような態様とすることにより、有機短繊維を構成する各樹脂成分のうち最も融点の低いものの融点を超えても、最も融点の高いものの融点を超えなければ、有機短繊維が短繊維形状を維持することができる。そのため、有機短繊維を構成する各樹脂成分のうち最も融点の低いものの融点と、最も融点の高いものの融点との間の温度で、基材フィルムへ有機短繊維を熱圧着させることが可能となる。
また、本発明のフィルムにおいては、有機短繊維が、芯部とそれを取り囲む鞘部を有し、鞘部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm1℃、芯部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm2℃としたときに、Tm1<Tm2であることが好ましい。なお、以下、芯部とそれを取り囲む鞘部を有する構造を芯鞘構造ということがある。
有機短繊維が芯鞘構造を有し、かつTm1<Tm2であることにより、Tm1とTm2の間の温度において、有機短繊維の骨格を形成する芯部の繊維状構造を維持しながら、鞘部の融解を利用して基材フィルム表面への有機短繊維の固定及び有機短繊維同士の熱融着を行うことが容易となる。このような芯鞘構造を有する有機短繊維としては、例えば、クラレ(株)社製のポリエチレンテレフタレート(PET)系バインダー繊維や、ダイワボウポリテック(株)社製のNBF繊維等が挙げられる。
(基材フィルムと有機短繊維の密着)
本発明のフィルムは、有機短繊維が芯鞘構造を有する場合において、鞘部に最も多く含まれる樹脂の溶解度パラメータをδ1(MPa)0.5、有機短繊維層と接する基材フィルムの層をX層、溶解度パラメータがδ1±0.10(MPa)0.5である樹脂を樹脂Aとしたときに、X層が層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、樹脂Aを10質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。
このような態様とすることにより、基材フィルムと有機短繊維の親和性が向上し、有機短繊維層のフィルムからの剥離やフィルムからの有機短繊維の脱落を軽減することができる。溶解度パラメータとは、樹脂を構成する各原子団の凝集エネルギー密度とモル分子量を基に計算されるパラメータであり、具体的には、山本秀樹著「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構発行(2005年)第66〜67項)に記載のFedorの推算法に基づき計算されるものである。樹脂の構造が不明瞭であり前記方法により溶解度パラメータを計算することができない場合においては、溶解度パラメータが既知である溶媒に対して溶解するか否かの判定による実験法(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社 1998年発行)によりSP値を算出し、その値を代用することができる。
なお、有機短繊維や基材フィルムを構成する樹脂が明確でない場合は、透過法や全反射測定法による赤外分光測定や核磁気共鳴測定により有機短繊維の組成分析や、良溶媒・貧溶媒を用いた再沈法による有機短繊維を構成する樹脂の分離により、構成樹脂を特定し、前記方法にて溶解度パラメータを計算又は算出することができる。
基材フィルムと有機短繊維層の剥離を抑制する観点からは、X層における樹脂Aは多いほど好ましく、X層における樹脂Aの含有量は30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
本発明において樹脂Aの種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、前述の結晶性の熱可塑性エラストマーや、非晶性の熱可塑性エラストマーとして、「有機短繊維の溶解度パラメータδ1±0.10(MPa)0.5を満たすものを使用することも、前述の結晶性の熱可塑性エラストマーや、非晶性の熱可塑性エラストマーが有機短繊維の溶解度パラメータδ1±0.10(MPa)0.5を満たさない場合に、別の樹脂を加えることも可能である。
なお、本発明において基材フィルムが単層構成である場合は、基材フィルム自体をX層とみなす。また本発明において基材フィルムの両側に有機短繊維層が存在する場合は、どちらか一方の面が前記の溶解度パラメータや樹脂Aの含有量を満たしていればよいものとする。
(エンボス加工)
本発明のフィルムは、フィルムの触感と柔らかさを布に近づける観点から、エンボス加工を施してもよい。エンボス加工によりフィルムに凹凸構造が付与されるため、圧縮仕事量を前記の好ましい範囲とすることが容易となる。また凹凸構造の付与により空間自由度も向上するため、せん断かたさを好ましい範囲とすることも容易となる。なお、エンボス加工に用いるエンボスロールの表面の凹凸を大きくすることにより、フィルムの凹凸深さも大きくなるため、圧縮仕事量を大きく、せん断かたさを小さくすることができる。
(フィルムの製造方法)
以下に、本発明のフィルムを製造する方法についてより具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムを得るために用いる組成物、つまり、熱可塑性エラストマー、充填剤などを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸又は二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸又は二軸押出機の使用が好ましい。
次に、上記した方法により得られた組成物を用いて、インフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの公知のフィルムの製造方法により、無配向フィルムを製造する。得られた無配向フィルムは、必要に応じて適宜一軸又は二軸方向に延伸してもよい。但し、後にエンボス加工性を行う場合は、加工適性を損なわないために延伸を施さないことが好ましい。
フィルムを得た後に、その表面に有機短繊維層を形成させる目的で各種の表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられる。本発明の効果を損なわない限りいずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さから、コロナ放電処理が好ましい。
前述のような方法により製膜したフィルムは、基材フィルムとして用いることができ、その表面に有機短繊維を散布して有機短繊維層を形成する。有機短繊維の散布方法は乾式で散布してもよいし、水槽に有機短繊維を分散させた後に係る水槽に前記フィルムを通しながら散布してもよい。また、基材フィルムの製膜方法がインフレーション製膜法である場合は口金からバブル状に樹脂組成物を吐出する際に、冷却エアーを吹き付けて製膜するとともに有機短繊維を吹き付けて融着させてもよい。
このように基材フィルム表面を有機短繊維でコートした後に、ロールを有機短繊維の融点−20℃以上に加熱したフィルムラミネーターに通して、有機短繊維と基材フィルムを熱圧着し、有機短繊維層を少なくとも一方の最表面に有するフィルムを得る。
さらにこのようにして得られたフィルムに凹凸構造を付与する目的でエンボス加工を施してもよいし、適宜一軸延伸又は二軸延伸、粗面を有するバーにこすり付けながら搬送することにより有機短繊維層における短繊維同士の融着を破壊することによる起毛処理を施してもよい。エンボス加工を行う場合は、エンボスロールとエンボスロールの間を通してエンボス加工を施し、凹凸構造を有するフィルムを得ることができる。このとき、ロール温度は20〜150℃が好ましく、ニップ圧力(線圧)は20〜100kg/cmが好ましく、ロール回転速度は0.5〜30m/minが好ましい。
(その他用途など)
このようにして得られた本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、心地良い触感、自然な外観を有するフィルムであり、例えば、衛生材用フィルムとして好適に用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、他の層との積層フィルムとしてもよく、不織布との積層体としてもよい。また、本発明のフィルムを含む衛生材は、柔らかい風合いと心地良い触感を兼ね備えたものとなる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)基材フィルムの厚み
フィルムの幅方向のセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように、ナイフ傾斜角度3°、温度−100℃の条件で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値の小数第1位を四捨五入して得られた値を基材フィルムの厚み(μm)とした。なお、測長機能を用いてフィルムの厚みを測定する際の始点と終点はフィルム最表面の有機短繊維と接していない位置とした。
(2)有機短繊維の平均長さ
フィルムの有機短繊維層を有する面全体にテープ(“セロテープ”(登録商標)(ニチバン製CT405AP、粘着力3.93N/10mm))を貼り付け、これを剥がしてフィルムから有機短繊維を引き抜いた。得られた有機短繊維を微分干渉顕微鏡((株)NIKON製OPTIPHOT)により5倍で拡大観察し、視野の中心に近い順に絡まっていないものを20本選定した。これらをテープより剥がし、両端をピンセットで摘んで引っ張ることにより直線状に伸ばし、顕微鏡の測長機能によりその長さを測定した。得られた値の平均値を有機短繊維の平均長さ(mm)とした。なお、顕微鏡の観察画像に含まれる有機短繊維が20本未満の場合は、その観察画像に含まれる有機短繊維は全て測定対象とし、さらに別の部位における観察画像より、合計が20本に達するまで視野の中心から近い順に選定するものとした。
(3)有機短繊維層の坪量
有機短繊維の熱圧着前後のフィルム(共に400cm)の質量をそれぞれ測定し、その差分を400cm当たりの有機短繊維層の質量とした。この値を1m当たりに換算して得られた値を有機短繊維層の坪量(g/m)とした。なお、有機短繊維を熱圧着する前のフィルムの質量が測定不可能な場合は、先に記載のように異なる方法を用いる必要があるが、本実施例では全例において有機短繊維を熱圧着する前のフィルムの質量が測定可能であったため、全実施例においても本方法を採用した。
(4)フィルムのせん断かたさ
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定及びG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、その全てのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
(5)フィルムの有機短繊維を有する面の摩擦係数及び摩擦係数の増加率
カトーテック社製の表面特性試験機KES−SEを用いて、フィルムを12cm(機械方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、フィルムの有機短繊維層を有する面が測定面となるように試験台に取り付けて、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をフィルムの有機粒子を有する面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて摩擦係数を測定した。機械方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値をそのフィルムの有機粒子を有する面の摩擦係数とした。また、摩擦係数の増加率については、摩擦係数の測定方法と同様の方法で同一サンプルの同一箇所の測定を10回行い、1回目の測定で得られた摩擦係数に対する10回目の測定で得られた摩擦係数の比率(10回目の測定で得られた摩擦係数/1回目の測定で得られた摩擦係数)を計算し、その値を%表示したものを摩擦係数の増加率として以下の基準で評価した。
A:摩擦係数の増加率が10%以下である。
B:摩擦係数の増加率が10%を超え30%以下である。
C:摩擦係数の増加率が30%を超える。
(6)フィルムの圧縮仕事量
フィルムを12cm角の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下において、取り付けた試料を面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で、圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cmの条件で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm)を測定した。フィルムの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。
(7)フィルムの透湿度
25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m・day))とした。なお、フィルムの透湿度は有機粒子を有する面から測定した。
(8)有機短繊維の融点
まず、フィルムから5mgの有機短繊維を抜き取り、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱し、得られた試料を示差走査熱量分析装置DSCII型(Seiko Instrument(株)製)で20℃から250℃まで昇温速度20℃/分で昇温した。この時に観測される融解に伴う吸熱ピークのピークトップ温度を融点とした。
(9)溶解度パラメータ
構造が既知である樹脂については、山本秀樹著「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構発行(2005年)第66〜67項)に記載のFedorの推算法に基づき溶解度パラメータを算出した。なお、樹脂の構造が不明瞭であり前記方法により計算できない場合においては、溶解度パラメータが既知である溶媒に対して溶解するか否かの判定による実験法(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社 1998年発行)によりSP値を算出し、その値を代用するものとした。但し、実施例において樹脂の構造が不明瞭な例はなく、全て先に記載の方法を用いた。
得られた有機短繊維の溶解度パラメータ(有機短繊維が芯鞘複合構造をとる場合は鞘部の溶解度パラメータ)δ1と、基材フィルムの有機短繊維と接する層(X層)を構成する樹脂の溶解度パラメータから基材フィルムを構成する樹脂の中に、δ1±0.01(MPa0.5)を満たす樹脂Aの有無を確認した。
(10)フィルムの触感
有機短繊維を有する面の触感について、20人にアンケートをとり、以下の基準で評価した。
A:布のような触感であると回答した人数が16〜20人。
B:布のような触感であると回答した人数が11〜15人。
C:布のような触感であると回答した人数が6〜10人。
D:布のような触感であると回答した人数が0〜5人。
触感はAが最も優れ、C以上の評価があれば実用に耐えうると判断した。
(11)フィルムの柔らかさ
20cm角にカットしたフィルムの有機短繊維を有する面を被験者側にして、フィルムに触れた際の柔らかさについて、20人にアンケートをとり、以下の基準で評価した。
A:布のような柔らかさであると回答した人数が16〜20人。
B:布のような柔らかさであると回答した人数が11〜15人。
C:布のような柔らかさであると回答した人数が6〜10人。
D:布のような柔らかさであると回答した人数が0〜5人。
柔らかさはAが最も優れ、C以上の評価があれば実用に耐えうると判断した。
[熱可塑性エラストマー]
(A1) ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548、東レ・デュポン(株)製)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A2) ポリオレフィン系エラストマー(商品名:“アクリフト”(登録商標) WH303、住友化学工業(株)製)
[有機短繊維]
(B1) 鞘部材料として、低密度ポリエチレン(商品名:“スミカセン”(登録商標)G803、住友化学工業(株)製、融点:106℃)、芯部材料として、ポリプロピレン(商品名:“プライムポリプロ”(登録商標)Y2005GP、プライムポリマー(株)製、融点:161℃)を用い、2台の押出機と、複合型繊維用ノズルとを備えた複合紡糸装置により溶融紡糸を行い、鞘芯複合構造を持つ未延伸繊維を作製した。次いで、その未延伸繊維を98℃で4倍延伸するとともに、ロータリーカッターにより5.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B2) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより0.5mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B3) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより45.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B4) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより2.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B5) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより20.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B6) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより0.3mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B7) (B1)と同様の方法でロータリーカッターにより60.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
(B8) (B1)において、低密度ポリエチレン(商品名:“スミカセン”(登録商標)G803、住友化学工業(株)製、融点:約106℃)を、単一構造型繊維用ノズルを備えた複合紡糸装置の押出機に投入して溶融紡糸を行い、単一構造を持つ未延伸繊維を作製した。次いで、その未延伸繊維を98℃で4倍延伸するとともに、ロータリーカッターにより2.0mm長にカットすることにより有機短繊維を得た。
なお、B1〜B8はいずれもアスペクト比が10を超える。
[充填剤(C)]
(C1) 二酸化チタン(商品名:“Ti−Pure”(登録商標)R−104、Chemours(株)製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
各原料について表1に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化した。このペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機により温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥したペレットを、シリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を190℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出してインフレーション法により製膜した。製膜により得られたシートを冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取ってロール状に巻き取り、無延伸フィルムを得た。次いで、得られた無延伸フィルムの片面に粉体散布装置を用いて表1に記載の短繊維を散布した後、150℃の熱ラミネーター(MCK社製、MRK−650Y型)に通して最表面に有機短繊維層を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示す。
(実施例2〜13、比較例1〜4)
表1、2に記載の組成とした以外は、実施例1と同様の方法により片方の面に有機短繊維を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1、2に示す。
Figure 2018158504
表1における、「基材フィルムの原料樹脂(質量%)」は基材フィルムの樹脂全体を100質量%として、「充填剤(質量部)」は基材フィルムの樹脂全体を100質量部としてそれぞれ算出した。表2においても同様である。
Figure 2018158504
実施例9においては溶解度パラメータの関係で樹脂Aが存在しない。また、比較例1においては有機短繊維を用いていないため、樹脂Aが存在しない。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性、布のような柔らかい風合い、及び心地良い触感を有するフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、具体的には、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料などに好ましく用いることができる。
1 有機短繊維
2 基材フィルム

Claims (4)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の最表面に坪量が0.5g/m以上4.0g/m以下の有機繊維層を有し、かつ有機繊維層を構成する有機繊維の平均長さが0.5mm以上50.0mm以下であることを特徴とする、フィルム。
  2. KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.010gf・cm/cm以上0.300gf・cm/cm以下であり、KES法に従い測定されるせん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であり、かつ前記有機繊維層の表面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.40以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記有機繊維が、融点の異なる2種類以上の樹脂成分を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記有機繊維が、芯部とそれを取り囲む鞘部を有し、
    鞘部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm1℃、鞘部に最も多く含まれる樹脂の溶解度パラメータをδ1(MPa)0.5、芯部に最も多く含まれる樹脂の融点をTm2℃、前記有機繊維層と接する前記基材フィルムの層をX層、溶解度パラメータがδ1±0.10(MPa)0.5である樹脂を樹脂Aとしたときに、
    Tm1<Tm2であり、X層が層を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、樹脂Aを10質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
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