JPWO2016140242A1 - 点眼剤 - Google Patents

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Abstract

角膜表面やソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性を付与し、眼瞼結膜縁上皮障害の治療用又は予防用の点眼剤を提供する。3種の相異なる構成単位を特定割合で有する構造を有する共重合体を特定の割合で含有する点眼剤によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。

Description

本発明は、共重合体を含有する点眼剤に関する。さらに詳しくは、眼瞼結膜縁上皮障害の治療用又は予防に好適に用いられる点眼剤に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2015−041214号優先権を請求する。
コンタクトレンズ装用者の増加、エアコンなど空調下でのVDT(Visual Display Terminal)作業の増加によってドライアイ患者が増えているといわれる。一般には「ドライアイ」とは文字通り、眼が乾いていることを指すと認識されているが、学術的には2007年報告において、より明確に定義されている(非特許文献1)。この定義によると、「ドライアイ」とは、1)自覚症状、2)涙液異常、3)角結膜上皮障害のなどの症状があってはじめてドライアイであるという診断がなされる。なかでも涙液については定量評価法が確立されており、多くの臨床研究がなされてきた(非特許文献2、非特許文献3)。
近年、ドライアイの自覚症状を訴えて通院する患者の中で、涙液機能に異常が見られずドライアイではないケースがあると報告されている(非特許文献4)。これはKorbらによって2002年に初めて報告され、lid−wiper epitheliopahty(LWE)と名づけられた(非特許文献5、非特許文献6)。Korbらは、瞼板下溝から粘膜皮膚移行部にかけての領域について解剖学的な名称が無かったこと、この部位が眼表面を掃く(wipe)ような動きをすることから、この部位をlid−wiperとし、この部位における上皮障害であることからLWEと名づけた(非特許文献5)。LWEは上下の眼瞼結膜縁の上皮障害であると認識されている(非特許文献5)。
このLWEは、瞬目運動による眼瞼結膜縁と眼表面との摩擦の上昇が原因となり眼瞼結膜縁表層の上皮の脱落と変性が起こると考えられており(非特許文献6)、コンタクトレンズ装用者に対するLWEの治療については、コンタクトレンズ装用を中止し、人工涙液点眼によって治療することが好ましいと考えられている。また、コンタクトレンズ非装用者に対するLWEの治療については、ヒアルロン酸点眼液や眼軟膏による眼表面の摩擦軽減が有効であると考えられている。
このように、比較的新しい疾患であるLWEの治療には角膜表面の潤滑性を向上させることが必須であり、これまでに角膜表面の潤滑性を向上させる医薬組成物、医薬原薬、医薬添加物の研究開発がなされてきた。
例えば、特許文献1では、ホホバワックスやマッコウクジラ油、オレンジラフィー油などを配合することで潤滑性を向上させる方法を示しているが、大部分が水である点眼剤に適用したとき、満足できる組成物を得ることは困難であった。
特許文献2では、「2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アルキル(メタ)アクリル酸エステルとを含む単量体組成物を重合した共重合体において、アルキル(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基の炭素数と、前記2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びアルキル(メタ)アクリル酸エステルによる構成単位の合計量に対する該アルキル(メタ)アクリル酸エステルによる構成単位のモル分率とを、特定なものとし、且つ分子量を制御した共重合体を含むコンタクトレンズ用装着液」を開示している。しかし、本発明の点眼剤に含まれる共重合体は、特許文献2記載の共重合体とは明らかに構造が異なる。
特許文献3では、ソフトコンタクトレンズの濡れ性を向上させ、コンタクトレンズ表面に水分をまとわせることで使用感が改善するものであるが、特許文献3の方法での潤滑性向上効果は不十分であった。
特許文献4では、大幅に潤滑性を向上可能な組成物が開示されているが、コンタクトレンズケア製剤に関するものであるが、点眼剤の例示や眼瞼結膜縁上皮障害については言及されていない。
特表2007−528897号公報 WO2002/015911号公報 特開2011−136923号公報 特開2012−88524号公報
2007 Report of the International Dry Eye Workshop(DEWS),2007,Ocul.Surf.,5,65−204. T.Goto et al.,2003,Am.J.Ophthalmol,135,607−612. K.Maruyama et al.,2004,IOVS,45,2563−2568. B.Yenaid et al.,2010,Eye&Contact Lens,36,140−143. D.R.Korb et al.,2002,CLAO J,28,211−216. D.R.Korb et al.,2005,Eye&Contact Lens,31,2−8.
従来の方法では十分な潤滑性が得られず、角膜表面やソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性が得られていない状況であった。
すなわち、眼瞼結膜縁上皮障害を治療もしくは予防するために角膜表面やソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性を付与する点眼剤は、いまだ満足のいくものが得られていない状況である。
そこで、本発明の課題は、角膜表面やソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性を付与し、眼瞼結膜縁上皮障害の治療用又は予防用の点眼剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、3種の相異なる構成単位を特定割合で有する構造を有する共重合体を特定の割合で含有する点眼剤によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を0.01〜2.0W/V%含有する点眼剤。
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
2.前記(1a)が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位であり、前記(1b)がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び前記(1c)がステアリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である前項1に記載の点眼剤。
3.前記(1a)が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位である、前記(1b)がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び前記(1c)がラウリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である前項1に記載の点眼剤。
4.ソフトコンタクトレンズ装用者用である前項1〜3のいずれか1に記載の点眼剤。
5.眼瞼結膜縁上皮障害の治療用又は予防用である前項1〜4のいずれか1に記載の点眼剤。
6.式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を用いて点眼剤を製造するための用途。
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
7.式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を0.01〜2.0W/V%含有する点眼剤を、ヒトを含む哺乳類に投与する点眼方法。
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
8.前記ヒトを含む哺乳類は、ソフトコンタクトレンズ装用者である前項7に記載の点眼方法。
9.前記ヒトを含む哺乳類は、眼瞼結膜縁上皮障害の治療又は予防が必要な患者である前項7又は8に記載の点眼方法。
本発明の点眼剤及び点眼方法は、角膜表面及びソフトコンタクトレンズ表面に対して十分な潤滑性を付与することができ、さらに眼瞼結膜縁上皮障害の治療又は予防に有用である。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記の(1)〜(3)の3つの構成単位を有し、各構成単位の比率(モル比率)n:n:nが100:10〜400:2〜50である。
<(1)PC構成単位>
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1a)で表される構成単位(以下「PC構成単位」と略記)を有する。
上記式(1a)において、Rは水素原子又はメチル基を示す。
共重合体(P)中のPC構成単位は、共重合体(P)へ親水性及び含水ゲル形成能を付与し潤滑性を高めるために導入される。
共重合体(P)中のPC構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(2)で表されるホスホリルコリン類似基含有単量体(以下、PC単量体とする)から得られる。
式(2)中、Xは不飽和結合を有する重合性官能基を有する1価の有機基を示す。
PC単量体としては、入手性の観点から例えば、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、さらに下記式(3)で表される2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェート(以下、MPCとする)が好ましい。
PC単量体は、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54−63025号公報に示される水酸基含有重合性単量体と2−ブロムエチルホスホリルジクロリドとを3級塩基存在下で反応させて得られる化合物と3級アミンとを反応させる方法や、特開昭58−154591号公報等に示される水酸基含有重合性単量体と環状リン化合物との反応で環状化合物を得た後に3級アミンで開環反応させる方法等によって製造することができる。
<(2)アミド構成単位>
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1b)で表される構成単位(以下「アミド構成単位」と略記)を有する。
上記式(1b)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。
共重合体(P)中のアミド構成単位は、共重合体(P)を高分子量化し、ソフトコンタクトレンズへの密着性を高めるために導入される。
共重合体(P)中のアミド構成単位の割合については、PC構成単位のモル数nを100としたときのモル数nについて、n/n=10〜400/100であり、好ましくは30〜250/100である。nが大きすぎる場合には点眼剤を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがあり、小さすぎる場合には潤滑性向上効果が見込めない。
共重合体(P)中のアミド構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(1b’)で表される単量体、すなわち(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体から得られる。
式(1b’)におけるR、RおよびRはそれぞれ、式(1b)におけるR、RおよびRと同じである。
上記式(1b’)で表される(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミド誘導体として例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドまたはN−アクリロイルモルホリンが挙げられる。
<(3)疎水性構成単位>
本発明の点眼剤に用いる共重合体(P)は、下記式(1c)で表される構成単位(以下「疎水性構成単位」と略記)を有する。
上記式(1c)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基、例えば、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基を示す。
共重合体(P)中の疎水性構成単位は、ソフトコンタクトレンズへの吸着性を高め、疎水性相互作用による物理架橋ゲル形成能を高め、潤滑性を向上させるために導入される。
共重合体(P)中の疎水性構成単位の割合については、PC構成単位のモル数nを100としたときのモル数nについて、n/n=2〜50/100であり、好ましくは5〜25/100である。nが小さすぎる場合には潤滑性効果の持続が十分でなく、大きすぎる場合には共重合体(P)の親水性が低下することで水溶液への溶解度が低下し、点眼剤の製造が難しくなる。
共重合体(P)中の疎水性構成単位は、共重合体(P)の重合時に使用される下記式(1c’)で表される疎水性単量体から得られる。
式(1c’)におけるRおよびRはそれぞれ、式(1c)におけるRおよびRと同じである。
式(1c’)で表される疎水性単量体として例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
<その他の構成単位>
共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、式(1a)〜式(1c)で表される構成単位以外の構成単位を導入することもできる。共重合体(P)の製造に用いる単量体組成物に、他の重合性単量体を配合する場合、その配合割合は、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択できるが、共重合体(P)を構成する上記式(1a)で示すnを100とした場合、モル比で50以下が好ましい。
共重合体(P)の重合に用いることができる上記他の重合性単量体としては例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレート、酸基含有単量体、アミノ基含有単量体、カチオン性基含有単量体、窒素含有基含有単量体等を挙げることができる。
直鎖又は分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸等が挙げられる。
アミノ基含有単量体としては、例えば、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン性基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
窒素含有基含有単量体としては、例えば、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
<PC構成単位、アミド構成単位及び疎水性構成単位の組み合わせ>
本発明に用いる共重合体(P)のPC構成単位、アミド構成単位及び疎水性構成単位の好ましい組み合わせは、以下の通りであるが、特に限定されない。
PC構成単位が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位であり、アミド構成単位がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び疎水性構成単位がステアリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である共重合体(P)
PC構成単位が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位であり、アミド構成単位がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び疎水性構成単位がラウリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である共重合体(P)
さらに、これらの共重合体(P)のPC構成単位、アミド構成単位及び疎水性構成単位の構成単位の比率(モル比率n:n:n)は、100:10〜400:2〜50である。より詳しくは、n/n=10〜400/100であり、好ましくは30〜250/100であり、n/n=2〜50/100であり、好ましくは5〜25/100である。
<共重合体(P)の分子量>
本発明に用いる共重合体(P)は、重量平均分子量5,000〜2,000,000であり、好ましくは100,000〜1,500,000の重合体である。重量平均分子量が5,000未満の場合は、重合体のコンタクトレンズ表面への吸着力が十分でないため潤滑性向上が見込めないおそれがあり、2,000,000を超える場合は、点眼剤を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがある。
<共重合体(P)の製造方法>
共重合体(P)は、上記単量体の配合物をラジカル重合することによって得ることができる。共重合体(P)の製造は、例えば、上記単量体組成物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス置換または雰囲気下においてラジカル重合によりすることができる。重合方法は、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法により行うことができる。重合方法は、精製等の観点から溶液重合が好ましい。共重合体(P)の精製は、再沈殿法、透析法、限外ろ過法等の公知の精製方法により行うことが出来る。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系ラジカル重合開始剤、有機過酸化物、過硫酸化物等を挙げることができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビスイソブチルアミド二水和物、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオキシネオデカネート、コハク酸ペルオキシド(=サクシニルペルオキシド)等が挙げられる。
過硫酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いることができ、また、2種以上を混合して用いることもできる。重合開始剤の使用量は、単量体組成物100質量部に対して通常0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部である。
共重合体(P)の製造は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、単量体組成物を溶解し、反応しないものであればいずれでもよく、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、直鎖または環状のエーテル系溶媒、含窒素系溶媒を挙げることができる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖または環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
好ましくは水またはアルコール又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明の点眼剤は、共重合体(P)を水に、0.01〜2.0W/V%となるように溶解させることにより得ることが出来る。共重合体(P)の濃度が0.01W/V%未満では潤滑性向上効果が十分ではなく、2.0W/V%を超えると点眼剤を製造する際に行う無菌ろ過が困難となる恐れがある。
加えて、本発明の点眼剤の共重合体(P)の濃度は、より好ましくは、0.1〜2.0W/V%又は0.01〜1.5W/V%であり、さらに好ましくは0.1〜1.5W/V%である。
本発明の点眼剤の成分としては、共重合体(P)の他に本発明の効果を損なわない範囲において、また、他の効果を期待して、その他の成分や、通常、点眼剤に使用される成分を、その目的等に応じて適宜、適量配合することが出来る。
その他の成分としては、例えば、充血除去成分、消炎・収斂成分、ビタミン類、アミノ酸類、サルファ剤、糖類、粘稠化剤、清涼化剤、無機塩、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤、ムコ多糖、ムチン分泌促進剤を挙げることができる。
充血除去成分としては、例えば、エピネフリンまたはその塩、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、ナファゾリンまたはその塩、フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリンが挙げられる。
消炎・収斂成分としては、例えば、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリンまたはその塩、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸またはその塩、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化リゾチームが挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウムが挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸またはその塩、アミノエチルスルホン酸が挙げられる。
サルファ剤としては、例えば、スルファメキサゾールまたはその塩、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウムが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフルが挙げられる。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ砂、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウムが挙げられる。
有機酸の塩としては、例えば、クエン酸ナトリウムが挙げられる。
酸としては、例えば、ホウ酸、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、塩酸が挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミンが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシンが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニドが挙げられる。
ムコ多糖としては、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムが挙げられる。
ムチン分泌促進剤としては、例えば、ジクアホソルナトリウム、レバミピドが挙げられる。
本発明の点眼剤は、共重合体(P)及び、所望により上記その他の成分を水に溶解させた水溶液形態のものである。水としては、安全性の点から純水、イオン交換水等が好ましい。
本発明の点眼剤の具体的な製品形態としては、次のようなものを例示することができる。一般点眼薬、抗菌性点眼薬、洗眼薬、コンタクトレンズ装着液、人工涙液などが挙げられる。
ソフトコンタクトレンズは、FDA(Food and Drug Administration)により、グループI(含水率が50%未満で非イオン性であるソフトコンタクトレンズ)、グループII(含水率が50%以上で非イオン性であるソフトコンタクトレンズ)、グループIII(含水率が50%未満でイオン性のソフトコンタクトレンズ)、グループIV(含水率が50%以上でイオン性であるソフトコンタクトレンズ)の4つに分類される。
本発明の点眼剤はこれらのあらゆるソフトコンタクトレンズへ使用することができるが、ソフトコンタクトレンズ表面への潤滑性向上効果の観点からグループIVのソフトコンタクトレンズへの使用が好ましい。
本発明の点眼剤の製造方法について説明する。
本発明の点眼剤は、共重合体(P)、及び所望により上記その他の成分を、室温〜50℃程度の水中に添加、攪拌して溶解させることにより製造することが出来る。また共重合体(P)と上記その他の成分の添加順序としては、どの成分から添加してもよい。
製造における加熱、冷却及び攪拌は溶液全体を均一に加熱、冷却及び攪拌することができればよく、いずれも公知の器具、装置を用いることが出来る。
本発明は、式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を用いて点眼剤を製造するための用途も対象とする。
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
本発明の点眼方法について説明する。
本発明の点眼方法は、式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を0.01〜2.0W/V%含有する点眼剤を、ヒトを含む哺乳類に投与する工程を含む。
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
本発明の点眼方法(滴下方法)は、特に限定されず、本発明の1回0.01〜0.2mlの点眼剤を1日あたり1〜10回、1〜8回、1〜6回、1〜4回、1〜3回(好ましくは、朝、昼、晩)あらゆる角度から目(眼球)に滴下することが可能である。
点眼方法の対象は、特に限定されないが、ヒトを含む哺乳類であり、特に、ソフトコンタクトレンズ装用者を対象とし、また、好ましくは眼瞼結膜縁上皮障害の治療又は予防が必要な患者を対象とする。
以下、本発明について実施例及び比較例により、本発明及びその効果を具体的に説明する。
1.重合体の分子量測定
得られた各重合体5mgをメタノール/クロロホルム混液(80:20)に溶かし、試料溶液とした。分析条件は以下を用いた。
カラム:PLgel−mixed−C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器:示差屈折計RI−8020(東ソー(株)製)
重量平均分子量の算出法:分子量計算プログラム(SC−8020用GPCプログラム)
流量:毎分1mL
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度
重合体の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準サンプルとしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した重量平均分子量の値である。
得られた重合体溶液を0.5質量%になるように水で希釈し、この液を0.45μmメンブランフィルターでろ過し、測定した。
2.点眼剤のpH
各実施例及び比較例の点眼剤のpHは、「第16改正日本薬局方 一般試験法2.54 pH測定法」に従い測定した。
3.点眼剤の浸透圧
各実施例及び比較例の点眼剤の浸透圧は、「第16改正日本薬局方 一般試験法 2.57 浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)」に従い行った。具体的には、氷点測定法によるオズモメーター(Fiske Model 210 マイクロサンプル・オズモメーター)を用いて測定した。
[合成例1]
MPC(日油(株)製)31.8g、ステアリルメタクリレート(SMA、日油(株)製)3.6g及びN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA、興人フィルム&ケミカルズ(株)製)9.6gを、4つ口フラスコへ入れ、エタノール55.0gで溶解させ、30分間窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤としてt−ブチルペルオキシネオデカノエート(パーブチル(日本登録商標)ND(PB−ND)、日油(株)製)0.10gを加えて8時間重合反応を行った。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。収量は40.2gであった。GPCにより重合物の分子量分析を行い、その重量平均分子量は1,000,000であった。これを重合体1とした。以下に、IR、NMR、元素分析の分析結果を示す。
IR分析結果:2964cm−1(−CH)、1733cm−1(O−C=O)、1651cm−1(N−C=O)、1458cm−1(−CH)、1253cm−1(P=O)、1168cm−1(C−O−C)、997cm−1(P−O−C)。
NMR分析結果:0.8−1.2ppm(CH−C−)、1.4ppm(−CH−)、3.3ppm(−N(CH)、2.8−3.2ppm(−N−(CH)、3.7−4.4ppm(−CHCH−)。
元素分析結果:
理論値:C;53.55%、H;8.44%、N;8.74%
実測値:C;53.40%、H;8.52%、N;8.80%
以上の結果から、得られた重合体1の化学構造は、MPC 50モル%、DMAA 45モル%、SMA 5モル%の割合で共重合された重合体であった。
[合成例2]
下記表1に示す種類及び量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は1,200,000、収量は42.4gであった。以下に、IR、NMR、元素分析の分析結果を示す。
IR分析結果:2964cm−1(−CH)、1733cm−1(O−C=O)、1651cm−1(N−C=O)、1458cm−1(−CH)、1253cm−1(P=O)、1168cm−1(C−O−C)、997cm−1(P−O−C)。
NMR分析結果:0.8−1.2ppm(CH−C−)、1.4ppm(−CH−)、3.3ppm(−N(CH)、2.8−3.2ppm(−N−(CH)、3.7−4.4ppm(−CHCH−)。
元素分析結果:
理論値:C;56.37%、H;8.70%、N;10.90%
実測値:C;56.41%、H;8.69%、N;10.87%
以上の結果から、得られた重合体1の化学構造は、MPC 30モル%、DMAA 67モル%、SMA 3モル%の割合で共重合された重合体であった。
[合成例3]
下記表1に示す種類及び量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は700,000、収量は36.1gであった。以下に、IR、NMR、元素分析の分析結果を示す。
IR分析結果:2964cm−1(−CH)、1733cm−1(O−C=O)、1651cm−1(N−C=O)、1458cm−1(−CH)、1253cm−1(P=O)、1168cm−1(C−O−C)、997cm−1(P−O−C)。
NMR分析結果:0.8−1.2ppm(CH−C−)、1.4ppm(−CH−)、3.3ppm(−N(CH)、2.8−3.2ppm(−N−(CH)、3.7−4.4ppm(−CHCH−)。
元素分析結果:
理論値:C;50.55%、H;8.15%、N;6.72%
実測値:C;50.46%、H;8.14%、N;6.72%
以上の結果から、得られた重合体1の化学構造は、MPC 70モル%、DMAA 24モル%、SMA 6モル%の割合で共重合された重合体であった。
[合成例4]
下記表1に示す種類及び量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って重合体を製造した。その重量平均分子量は1,000,000、収量は39.9gであった。以下に、IR、NMR、元素分析の分析結果を示す。
IR分析結果:2964cm−1(−CH)、1733cm−1(O−C=O)、1651cm−1(N−C=O)、1458cm−1(−CH)、1253cm−1(P=O)、1168cm−1(C−O−C)、997cm−1(P−O−C)。
NMR分析結果:0.8−1.2ppm(CH−C−)、1.4ppm(−CH−)、3.3ppm(−N(CH)、2.8−3.2ppm(−N−(CH)、3.7−4.4ppm(−CHCH−)。
元素分析結果:
理論値:C;54.17%、H;8.55%、N;8.03%
実測値:C;54.12%、H;8.54%、N;8.04%
以上の結果から、得られた重合体1の化学構造は、MPC 50モル%、DMAA 40モル%、ラウリルメタクリレート(LMA) 10モル%の割合で共重合された重合体であった。
[実施例1]
精製水約80gを45℃に加温し、これにホウ酸0.4g、水酸化ナトリウム0.0072g、塩化ナトリウム0.55g、塩化カリウム0.1g、Cosmocil CQ(日本登録商標(trade mark))0.0004g(20%水溶液であるため、塩酸ポリヘキサニドとしては0.00008gを含む)及び重合体1(0.1g)を順次加え、攪拌した。この溶液を45℃のまま、1時間攪拌混合した。この後、これに全量100mLとなるように精製水を加えた。この後、ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤とした。この点眼剤の浸透圧は281mOsm/kg、pHは7.4、外観は無色澄明であった。その詳細を下記表2に示す。
[実施例2〜実施例6]
表2に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各実施例の外観、pH及び浸透圧を下記表2に示す。
[比較例1〜比較例5]
下記表3に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例と同様の手順に従って製造し、無菌の点眼剤とした。各比較例の外観、pH及び浸透圧を下記表3に示す。
<SCLの潤滑性向上効果の検討>
文献「D.R.Korb et al.,2005,Eye&Contact Lens,31,2−8.」によれば、眼瞼結膜上皮障害の治療については、角膜表面の摩擦軽減が有効となる例もあることが考えられるが、角膜表面における摩擦軽減効果の検証は困難であることから、実使用を想定したソフトコンタクトレンズを用いた潤滑性向上効果を以下の手順で検討した。
なお、SCLの潤滑性向上効果の検討には、1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))(ジョンソンエンドジョンソン(株)製、FDA分類:グループIV)及びメダリストプラス(日本登録商標(trade mark))(ボシュロムジャパン(株)製、FDA分類:グループI)を用いた。
(手順)
1)実施例1の点眼剤を生理食塩液で10倍希釈した。
2)試験ソフトコンタクトレンズをブリスターパックから1枚取り出し、15mL遠心チューブへ入れた。
3)これに生理食塩液10mLを加え、終夜振とうした。
4)この後、生理食塩液を取り除き、1)で準備した溶液10mLを加え、終夜振とうした。
5)振とう後、ソフトコンタクトレンズを取り出し、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。
実施例2〜実施例6及び比較例1〜比較例5の点眼剤についても上記手順に従って評価を行った。
潤滑性評価法は、ブリスターパックから取り出したばかりの1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))を基準(4点)として、潤滑性が向上すれば評価点数を高くなるようにし、潤滑性が低下すれば評価点数が低くなるようにした。なお、評価点数は1〜10点の範囲内で付した。
潤滑性評価を下記表4に示す。1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))については、実施例4では評価点数6点となり潤滑性の向上が見られ、さらに実施例1〜実施例3及び実施例5、実施例6についてはいずれも評価点数10点となり最も良い評価結果であった。比較例1〜比較例5では基準となる4点を下回る結果となり、潤滑性を低下させる結果であった。
メダリストプラス(日本登録商標(trade mark))については、実施例4では評価点数5点となり、実施例1〜3及び実施例5及び実施例6について評価点数9点となった。比較例1〜比較例5では1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))と同様に基準となる4点を下回る結果となり、潤滑性を低下させる結果であった。
1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))とメダリストプラス(日本登録商標(trade mark))とでは、1Day ACUVUE(日本登録商標(trade mark))の方がより潤滑性が向上する結果であった。
以上により、本発明の点眼剤は、優れた潤滑性能を示す。
<ウサギドライアイモデルを用いた眼瞼結膜縁上皮障害治療・予防に関する検討>
眼瞼結膜上皮障害の治療効果について検討した。検討に際して、文献「T.Nagano et al.,Atarashii Ganka(Journal of the Eye),13,267−270,1996」、文献「A.Shiraishi et al.,Nippon Ganka Gakkai Zasshi(J. Jpn. Ophthalmol Soc.),113,596−600,2009.」及び文献「D.R.Korb et al.,CLAO J,28,211−216, 2002.」を参考に以下の手順で検討した。
(手順)
1)ウサギを強制開瞼させた後、ソフトコンタクトレンズ(1Day ACUVUE(ジョンソンエンドジョンソン(株)製)(日本登録商標(trade mark)))を装着させた。
2)ソフトコンタクトレンズを16時間装着させ、眼瞼結膜縁上皮障害を引き起こさせた。
3)この後、ソフトコンタクトレンズを取り外し、メチレンブルーを用いて上眼瞼結膜及び下眼瞼結膜の上皮組織を染色し、眼瞼結膜縁上皮障害の程度を観察した。上皮障害の程度は染色によってスコア化した。
0点:異常所見なし
1点:軽度
2点:中度
3点:重度
試験には、上下の眼瞼の総点が5点以上のウサギを用いた。
4)5点以上のウサギに、実施例1の点眼剤を1回1滴、1日3回点眼し、これを3日間行った。
5)3日間点眼後に再び、メチレンブルーを用いて染色し、眼瞼結膜縁上皮障害の程度を観察した。
なお、スコア化は上眼瞼結膜及び下眼瞼結膜ともに行い、合計点数により評価を行った。実施例2〜実施例6及び比較例1〜比較例5の点眼剤についても本手順に従って評価を行った。
評価結果を下記表5に示す。実施例4は、試験後のスコアが3点と改善を示し、実施例1〜実施例3、実施例5及び実施例6は試験後にスコアが1点となり大幅な改善効果を示した。一方、比較例1〜比較例4では改善傾向を示したもののその程度は小さく、比較例5では改善傾向を示さなかった。
以上により、本発明の点眼剤及び点眼方法は、優れた眼瞼結膜縁上皮障害治療・予防効果を示す。
本発明は、新規な点眼剤及び点眼方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 式(1a)〜式(1c)で表される構成単位を有し、各構成単位の比率n:n:nが100:10〜400:2〜50であり、重量平均分子量が5,000〜2,000,000である共重合体(P)を0.01〜2.0W/V%含有する点眼剤。
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。Rは炭素数12〜24の一価の炭化水素基を示す。)
  2. 前記(1a)が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位であり、前記(1b)がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び前記(1c)がステアリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である請求項1に記載の点眼剤。
  3. 前記(1a)が2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2’−(トリメチルオンモニオ)エチルホスフェートから得られる構成単位である、前記(1b)がN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから得られる構成単位であり、及び前記(1c)がラウリル(メタ)アクリレートから得られる構成単位である請求項1に記載の点眼剤。
  4. ソフトコンタクトレンズ装用者用である請求項1〜3のいずれか1に記載の点眼剤。
  5. 眼瞼結膜縁上皮障害の治療用又は予防用である請求項1〜4のいずれか1に記載の点眼剤。
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