JP2016026150A - リン脂質類似重合体を含有する眼科用医薬組成物 - Google Patents

リン脂質類似重合体を含有する眼科用医薬組成物 Download PDF

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仲矢 忠雄
Tadao Nakaya
忠雄 仲矢
昌子 水越
Masako Mizukoshi
昌子 水越
永井 隆文
Takafumi Nagai
隆文 永井
史郎 中井
Shiro Nakai
史郎 中井
田中 均
Hitoshi Tanaka
田中  均
享子 河場
Michiko Kawaba
享子 河場
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Rohto Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】ドライアイなど、角膜上皮障害の予防及び/又は治療するための眼科用医薬組成物の提供。
【解決手段】下式で示される化合物を単量体成分とするリン脂質類似重合体を含有する、眼科用医薬組成物。HC=CXCO−Y−OPO−Z[XはH、低級アルキル、−CHCOCHCHOH、又は−CHCO−Y−OPO−Z;Yは−(CH−、−(CH−O)CH−、−(CH−O)CHCH−、−(CH−O)−(CHMeCHO)−、−(CHMeCHO)−(CH−O)−、又は1位若しくは2位に脂肪酸を結合させたグリセリンエステル;nは1〜20の整数;yは1〜20の整数;Zはコリン、エタノールアミン又はセリン]
【選択図】図1

Description

本発明は、眼科領域の医療に関連する組成物に関し、更に詳しくは、ドライアイの予防
及び治療に有用な組成物に関するものである。
近年、眼が乾く、眼が疲れる等の症状を訴えるドライアイ患者が増加している。ドライ
アイには、涙液の分泌量が減少するものと、分泌量自体は変わらないものとがある。前者
には、スティーブンス・ジョンソン症候群、シェーグレン症候群等の内因性疾患に伴うも
の、後者には、パソコン等のVDT作業による瞬目回数の減少、エアコンの普及による室
内湿度の低下等が挙げられる。また、β遮断剤等の薬剤の長期点眼による副作用、涙液の
不安定化等も考えられる。さらに、コンタクトレンズ使用者においても、ドライアイの症
状が増加傾向にあることは、よく知られている。
また、ドライアイの概念は非常に曖昧で、はっきりとした定義付けがなされていないが
、ここで言うドライアイとは、涙液の質的または量的異常があり、角結膜上皮障害の有無
は問わないものである(非特許文献1)。
ドライアイの治療法としては、人工涙液の点眼剤やメガネの両サイドにパネルを装着し
て涙の蒸発を防ぐモイスチャーエイドを用いる方法、涙の排出口である涙点を閉鎖するこ
とによって結膜嚢内に涙液を保持する涙点閉鎖法などがあるが、いずれの方法も満足でき
る状況ではない。
現在市販されている人工涙液には、無機成分のみを配合した単純なものと、人工涙液の
結膜嚢内滞留時間の延長をはかるために増粘剤として、コンドロイチン硫酸又はヒアルロ
ン酸を配合したものがある。しかし、無機成分のみを含有する人工涙液の場合、一時的な
水分補給効果しか得られない。また、増粘剤を配合した人工涙液の場合、涙液の保持の点
で若干の効果は認められるものの、高粘度のために、調製時、特にろ過過程で困難を伴う
ことがあったり、点眼時に違和感や不快感を生じることがあり、決して満足いくものでは
ない。また、ヒアルロン酸は、鶏冠から抽出するか微生物を利用する方法で製造されてい
るために製造コストが高く、広範な利用が妨げられている。
従って、ドライアイの治療に有効であり、製剤化が容易で、使用しやすく、かつ入手が
容易な眼科用組成物の開発が望まれていた。
山田昌和ら、日本眼科紀要43(11)1289−1293、1992
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意、研究を続けた結果、動植物界に広範
に分布し、生体膜の主要成分であるグリセロリン脂質の親水性部分(コリンリン酸等)と
類似の構造を有する、メタクリル酸誘導体をはじめとする誘導体を単量体成分とするリン
脂質類似重合体が、眼刺激性が殆どなく低粘度で優れたドライアイ治療効果を示すことを
見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、式(1):
C=CXCO−Y−OPO−Z (I)
(式中、Xは水素、低級アルキル、−CHCOCHCHOH、又は−CHCO
−Y−OPO−;Yは−(CH)−、−Ph−、−(CH−O)CH−、−
(CH−O)CHCH−、−(CH−O)−(CHMeCHO)−、−(CH
MeCHO)−(CH−O)−、又は1位若しくは2位に脂肪酸を結合させたグリ
セリンエステル;nは1〜12の整数;yは1〜20の整数;Zはコリン、エタノールア
ミン又はセリンを表す)
で示される化合物を単量体成分とするリン脂質類似重合体を含有する眼科用医薬組成物を
提供するものである。
本発明製剤には、上記の化合物(I)のホモ重合体を用いることができるが、該化合物I
)と、他の親水性モノマーとの共重合体であってもよい。そのような親水性モノマーとし
て、式(II):
C=CXCO−Y (II)
(式中、Xは水素又は低級アルキル;Yは水素、−(CH)OH、−(CH−O)
、−PhOH、−(CHCH−O)H、−POH、又は糖類残基;nは1〜20の
整数を表す)
で示される化合物を挙げることができる。
なお、上記定義において、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。
また、低級アルキルとは、炭素原子数1〜6個のアルキル基を指し、例えば、メチル、
エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
本発明の製剤の角膜上皮障害抑制効果を比較したグラフである。
本発明の目的には、上記の式(I)で示される化合物又は該化合物(I)と式(II)で示さ
れる化合物との重合体は、ドライアイに有効である限り、すべて有用であるが、中でも、
式(I)において、Xが水素又はメチル、Yがエチレン、プロピレン、ブチレン、Zがコリ
ン、エタノールアミン、セリンである化合物が好ましく、Xがメチル、Yがエチレン、Z
がコリン又はエタノールアミンである化合物(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリ
ルコリン(MPC)又は2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン(
MPE)がより好ましい。
また、式(II)において、Xが水素又はメチル、Yが水素、−CHCHOH、−C
CHCHOH、−POH、糖残基である化合物が好ましく、Xがメチル、Yが
−CHCHOHである化合物(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA))
がより好ましい。
本発明のリン脂質類似重合体の構成成分であるMPC又はMPEのホモ重合体は、最初
、仲矢らによって合成され(MPE;Nakai et al., Makromol.Chem., 178, 2963 (1977): M
PC; Umeda et al., Makromol.Chem.Rapid Commun., 6, 285 (1985))化粧品やコンタクト
レンズ等の素材としての用途が既に知られている。また、MPCおよびその類似重合体を
含んだコンタクトレンズ用溶液が、レンズに親水性を付与させることで装用感を向上させ
、レンズの汚れの付着を防ぐことは特開平7−166154号公報に示されている。しか
しながら、それらがドライアイの予防及び治療において眼科的に有用であることは未だ知
られていない。
本発明の眼科用組成物に含有される重合体は、化合物(I)単独のホモ重合体又は化合物
(I)と親水性の化合物(II)の共重合体であるが、後者の場合、共重合体中に化合物(I
)が占める割合は、共重合体全量に対し、5〜100モル%が好ましく、特に50モル%
以上であることが好ましい。この配合比が5モル%以下の場合は、十分なドライアイ治療
効果が期待できない。ホモ重合体又は共重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤の使用
量、重合溶媒の種類、重合方法、重合度調節剤の使用等によっても異なるが、好ましくは
平均分子量が5000〜200,000の範囲、特に好ましくは10,000〜150,0
00の範囲である。
本発明製剤に用いる化合物(I)及び化合物(II)は既知の化合物であるか、又は文献(
例、特開昭58−154591号公報、特開昭60−184093号公報又は高分子論文
集、Vol.35, 423−427, 1978)に記載の方法により既知の化合物から合成することができ
る。
MPC又はMPE等を含有するホモ重合体又は共重合体は、高分子化学の分野で既知の
方法に従い、要すれば適当な溶媒中で、重合開始剤の存在下、一定時間重合させることに
より、製造することができる。
溶媒としては、使用する単量体化合物が可溶性のものであればよく、水、メタノール、
エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミ
ド、テトラヒドロフラン、クロロホルム又はこれらの混合溶媒を用いることができる。
重合開始剤は通常のラジカル重合開始剤から任意に選択されるが、例えば、2,2'−ア
ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスマレノニトリル等の脂肪酸アゾ化合物、過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等を挙げ
ることができる。その使用量は、原料全成分の0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量
%程度が好ましい。
重合は、温度30〜80℃、好ましくは40〜70℃において2〜72時間重合させる

必要に応じて用いられる溶媒としては、使用する単量体化合物が可溶性のものであれば
よく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエ
ン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム又はこれらの混合溶媒を
用いることができる。
本発明のリン脂質類似重合体を含有する眼科用医薬組成物は、点眼剤又は軟膏剤である
ことが好ましい。点眼剤である場合、該組成物は予め液剤の形にしておいてもよく、ある
いは固形剤として使用時に溶解して用いるようにしてもよい。固形剤の場合、例えば精製
水や生理食塩液などに適量を溶解、懸濁または乳化させるとよい。固形剤としては、錠剤
、顆粒剤や散剤などが挙げられ、これらは公知の方法により適宜製造することができる。
これらの製剤は、無菌濾過や加熱滅菌などの公知の方法により無菌とするのがよい。また
、本発明のリン脂質類似重合体を含有する点眼剤は、コンタクトレンズの物性に影響を及
ぼさないので、コンタクトレンズ装用中にも点眼できる。
本発明の組成物中のリン脂質類似重合体の含量は、最終濃度として、通常、通常0.0
1〜10%、好ましくは0.1〜5%、より好ましくは0.5〜3%である。
また、本発明の組成物が点眼剤である場合、pHは、公知の方法によって、約6.5〜
8.0に調整するのがよい。また、浸透圧は公知の方法によって0.5〜5圧比、好ましく
は0.8〜2圧比に調整するのがよい。
本発明の組成物がコンタクトレンズ用点眼剤である場合、界面活性剤を配合することが
好ましい。界面活性剤を配合することによって、リン脂質類似重合体のコンタクトレンズ
への吸着を防止する効果が期待されるためである。この場合、界面活性剤の種類としては
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(ポロクサマー類)、ポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレン置換エチレンジアミン(ポロキサミン類)、ポリソ
ルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンステアレート
等の非イオン界面活性剤やアルキルポリアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤、アル
キルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤が挙げられるが、眼
への安全性の面から非イオン性界面活性剤が最も好ましい。また、配合できる界面活性剤
の量は0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
本発明の製剤を点眼剤として用いる場合、本発明の目的に反しない限り、通常点眼剤に
用いられる保存剤、緩衝剤、増粘剤、溶解補助剤、安定化剤、pH調製剤、等張化剤など
の添加剤を適宜配合することができる。保存剤としては、クロロブタノール、デヒドロ酢
酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム、フェネチルアルコール、
アルキルポリアミノエチルグリシン、パラオキシ安息香酸メチル等のパラオキシ安息香酸
エステル類、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸およびそれらの塩等が挙げられる。
緩衝剤としては、硼酸、硼砂、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、クエン
酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
増粘剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、コンドロイチン硫酸等が挙げられる。
溶解補助剤としては、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポ
リエチレングリコール、ポリオキシエチレンモノステアレート等、安定化剤としては、エ
デト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。また、pH調製剤として水酸
化ナトリウム・水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸等、等
張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン等の多価アルコールなどが
挙げられる。
本発明の点眼剤の用法及び用量は、患者の症状、年齢等により変動するが、通常、1日
1〜6回、1回1〜2滴が点眼される。眼軟膏剤の場合には、通常1日1〜2回、結膜嚢
内に適量を塗布して使用される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1 ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCホモ重合体)(化
合物1)
(1)メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)の合成
2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホランと2−ヒドロキシエチルメタクリレートか
ら合成した2−(メタクリロイルオキシ)エチル−2'−(トリメチルアンモニウム)エ
チルリン酸9.44g(0.04モル)とトリメチルアミン11.8g(0.2モル)及びア
セトニトリル80mlを耐圧反応管に入れ、50℃で10時間振とう反応させた。反応後す
ぐに濃縮し、冷所で保存すれば白色結晶が得られる(粗収率約100%)。
この粗結晶を脱水クロロホルムに溶かし、脱水アセトンで再沈殿させることにより、精
製化合物(MPC)を得た(収率90〜95%)。mp.15℃。
IR(neat): 1720 (C=O), 1630 (C=C), 1240, 1080cm−1 (PO−O−)NMR(D
):δ=1.85 (s: −Me, 3H), 3.15 (s: −Me, 9H), 3.45−3.85 (m: −CH−, 2H), 3.
85−4.35 (m: −CH−, 6H), 5.68 (m: −CH=, 1H), 6.13 ppm(s: −CH=, 1H)
(2)ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPCホモ重合体)(化合物
1)の合成
重合管に上で合成したMPC5g(0.0169モル)、開始剤としてAIBN 0.0
555g(3.38×10−4モル)、重合溶媒としてメタノール25mlを入れ、3回窒
素置換を行った後、脱気し真空下で封管した。これを恒温槽中70℃で17時間振とうさ
せることにより重合した。反応後、開封し、メタノールを除去し、過剰のアセトンを加え
て粗生成物を得た。これをエタノールに溶かし、アセトンで再沈殿させることにより、精
製した化合物1を得た(収率60〜70%)。
IRスペクトルは、単量体のメタクリル酸部の二重結合による吸収、1630cm−1の減少
及び920cm−1の消失を示した。この重合体(化合物1)のGPC(クロマトグラフィー
)による分子量の分析結果は約65000〜70000であった。
製造例2 ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン(MPEホモ重
合体)(化合物2)
(1)メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン(MPE)の合成
リン酸基をベンジル基で、アミノ基をトリチル基で保護した2−(メタクリロイルオキ
シ)エチル−2'−(トリチルアミノ)エチルベンジルリン酸9.28g(16ミリモル)
、乾燥ヨウ化ナトリウム2.88g(19.2ミリモル)、及び脱水アセトン120mlを丸
底フラスコに入れ、4.5時間還流した。反応後、フラスコを冷却し、トリエチルアミン
10.8mlを加え、室温に戻し、16時間放置した。これを減圧濃縮後、脱水エーテルを
加え、3日間還流した。溶液をろ過後、ろ液を35℃以下で濃縮した。これに90%酢酸
320mlを加え、15分間還流した。反応液は約75mlまで濃縮し、4℃に冷却した。生
じたトリフェニルカルビノールをろ取後、ろ液を1Lフラスコに入れ、ジエチルエーテル
を約1L入れると白濁した。この容器に栓をして、容器をドライアイス−メタノール系(
約−20℃)に入れ、一夜放置した。析出する沈殿をろ取し、これを脱水メタノールに溶
かし、脱水ジエチルエーテルで再沈殿させることにより、白色結晶であるMPEを得た(
収率80〜85%)。mp.203℃。
IR(neat): 1720 (C=O), 1630 (C=C), 1240, 1080cm−1 (PO−O−)
(2)ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン(MPEホモ重合体
)(化合物2)の合成
重合管に上で合成したMPE303mg(1.20ミリモル)、開始剤としてAIBN 1
4mg(0.085ミリモル)、重合溶媒としてメタノール10mlを入れ、3回窒素置換を
行った後、脱気し真空下で封管した。これを恒温槽中65℃で12時間振とうさせること
により重合した。反応後、生成物は白色結晶として析出し、沈殿をろ取した後、メタノー
ル及びジエチルエーテルで洗浄して化合物2を得た(収率30〜40%)。
IRスペクトルは、単量体のメタクリル酸部の二重結合による吸収、1630cm−1の減少
及び920cm−1の消失を示した。この重合体(化合物2)のGPC(ゲルろ過クロマトグ
ラフィー)による分子量の分析結果は約55000〜60000であった。
製造例3 ポリ(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2−ヒドロキシエチル
メタクリレート(HEMA))共重合体(化合物3)の合成
重合管にMPC1.7g(5.76×10−3モル)、HEMA2.248g(17.3×
10−3モル)、開始剤としてAIBN 0.0189g(1.15×10−4モル)、重
合溶媒としてメタノール6mlとDMF14mlの混合溶媒を入れ、3回窒素置換を行った後
、脱気し真空下で封管した。これを恒温槽中75℃で22時間振とうさせることにより重
合した。反応後、開封し、混合溶媒を除去し、過剰のアセトンを加えて粗生成物を得た。
これをメタノールに溶かし、アセトンで再沈殿させることにより、精製した化合物3を得
た(収率60〜70%)。
IRスペクトルは、単量体のメタクリル酸部の二重結合による吸収、1630cm−1の減少
及び920cm−1の消失を示した。この重合体(化合物3)のGPC(ゲルろ過クロマトグ
ラフィー)による分子量の分析結果は約30000〜40000であった。
実施例1 点眼剤
製造例1で調製した化合物1 5.0g
塩化ナトリウム 0.25g
塩化カリウム 0.15g
ホウ酸 0.3g
ホウ砂 0.045g
精製水 適量
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤を得る。pH7、浸透
圧比1。
実施例2 点眼剤
化合物1 2.0g
塩化ナトリウム 0.33g
塩化カリウム 0.15g
リン酸2水素ナトリウム 0.2g
ホウ砂 0.28g
精製水 適量
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7、浸透
圧比1。
実施例3 点眼剤
化合物1 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
1N水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7、浸透
圧比1。
実施例4 点眼剤
製造例3で調製した化合物3 2.0g
塩化ナトリウム 0.43g
塩化カリウム 0.15g
リン酸2水素ナトリウム 0.2g
ホウ砂 0.21g
精製水 適量
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7、浸透
圧比1。
実施例5 点眼剤
化合物3 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
1N水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して点眼剤とする。pH7、浸透
圧比1。
実施例6 眼軟膏剤
化合物1 2g
流動パラフィン 5g
眼科用白色ワセリン 適量
全 量 100g
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製して眼軟膏剤とする。
実施例7 コンタクトレンズ用点眼剤
化合物1 2.0g
ポロクサマー407 0.1g
塩化ナトリウム 0.5g
ホウ酸 0.73g
ホウ砂 0.05g
ソルビン酸カリウム 0.2g
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製してコンタクトレンズ用点眼剤を
得る。pH7、浸透圧比1。
実施例8 コンタクトレンズ用点眼剤
化合物1 0.5g
ポリソルベート80 0.1g
塩化ナトリウム 0.33g
塩化カリウム 0.15g
リン酸2水素ナトリウム 0.2g
ホウ砂 0.28g
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製してコンタクトレンズ用点眼剤を
得る。pH7、浸透圧比1。
実施例9 コンタクトレンズ用点眼剤
化合物3 2.0g
ポリソルベート80 0.1g
塩化ナトリウム 0.5g
ホウ酸 0.73g
ホウ砂 0.05g
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製してコンタクトレンズ用点眼剤を
得る。pH7、浸透圧比1。
実施例10 コンタクトレンズ用点眼剤
化合物3 0.5g
ポロクサマー407 0.1g
塩化ナトリウム 0.44g
塩化カリウム 0.08g
リン酸2水素ナトリウム 0.2g
ホウ砂 0.21g
アルキルポリアミノエチルグリシン 0.01g
全量 100ml
上記の成分を用い、公知の方法により無菌製剤を調製してコンタクトレンズ用点眼剤を
得る。pH7、浸透圧比1。
試験例1 強制開瞼ドライアイモデルにおけるリン脂質類似重合体の効果
リン脂質類似重合体含有眼科用組成物のドライアイ治療剤としての有用性を評価するた
め、ウサギ強制開瞼ドライアイモデルを用いて角膜上皮障害抑制効果を検討した。
[試験物質]
製造例1記載のMPCホモ重合体(化合物1)を0.5%または2%含有する点眼液お
よび製造例3記載のMPC・HEMA共重合体(化合物3)を2%含有する点眼剤を被験
物質とし、対照として生理食塩水を用いた。
[試験方法]
眼に異常のない日本白色種雄性ウサギ5匹に、全身麻酔を施し、両眼に開瞼器を装着し
て強制的に開瞼させ、開瞼直後から30分間隔で6回(直後、30、60、90、120、150分後
)、被験液および生理食塩液を1眼につき150μlずつ点眼投与した。開瞼180分後
に1%メチレンブル―溶液を点眼して、強制開瞼により生じた角膜上皮障害部位を染色し
、生理食塩液で洗眼した。麻酔致死後、角膜を切除し、ホルムアミド1mlにて一晩抽出し
、翌日660nmにおける吸光度を測定した。生理食塩水についても、同様に処理した。
[試験結果]
2%化合物1含有点眼剤投与眼の吸光度は0.275±0.045である。これは、対照
液投与眼の0.556±0.131(mean±s.e. n=5)に比べて有意に低い(p
<0.05)。また、化合物3投与眼の吸光度は0.341±0.022であり、対照液投与
眼の吸光度0.422±0.067に比較して明らかに低い。これらの結果は、MPCホモ
重合体またはMPC・HEMA共重合体含有点眼剤が、眼乾燥防止作用を有し、乾燥によ
る角膜上皮障害を抑制することを示している。
図1は、これらリン脂質類似重合体の角膜上皮障害抑制効果を比較したものである。M
PCホモ重合体含有点眼剤は、MPC・HEMA共重合体含有点眼剤に比べて高い抑制効
果を示した。角膜上皮障害の抑制率は以下の式によって求めた。
抑制率=100×(1−薬物投与眼の色素抽出量/生理食塩液投与眼の色素抽出量)
試験例2 瞬目反応による眼刺激性試験
点眼剤の眼刺激性を鋭敏に検出できる瞬目反応法[田中ら、あたらしい眼科 2,1127(19
85)]を用いて、本発明のリン脂質類似重合体含有眼科用組成物の眼刺激性を検討した。
[試験物質]
製造例1記載のMPCホモ重合体(化合物1)又は製造例3記載のMPC・HEMA共
重合体(化合物3)を5%含有する点眼液を調製し、これを被験物質とした。対照として
生理食塩液を用いた。
[試験方法]
眼に異常のない日本白色種雄性ウサギ(6匹)の片眼に被験液を、他眼に生理食塩液を
、それぞれ50μl点眼し、点眼後2分間の瞬目回数を数えた。
[試験結果]
5%化合物1含有点眼液投与眼の瞬目回数は2.83±0.70回であり、生理食塩液投与眼の
2.25±0.49回とほぼ同じであった。
5%化合物3点眼液投与眼の瞬目回数は1.55±0.37回であり、生理食塩液投与眼の1.97
±0.56回とほぼ同じであった。
従って、化合物1及び化合物3は、殆ど眼刺激性を示さない極めて安全性の高い物質で
あることが明らかとなった。
試験例3 コンタクトレンズに対する適合性試験
リン脂質類似重合体含有眼科用医薬組成物のコンタクトレンズ装用中の使用の可否を検
討するため、コンタクトレンズの物性(サイズ、パワー、ベースカーブ)に対する影響を
検討した。
[試験物質]
実施例2記載の2%化合物1含有点眼剤を調製した。
[試験方法]
試験には、ソフトコンタクトレンズ(SCL)として商品名「メニコンソフトMA」(
メニコン)、「ブレスオー」(東レ)、「シード フリークエント」(シード)、「アキ
ュビュー」(ジョンソン&ジョンソン)の4種類、ハードコンタクトレンズ(HCL)と
して商品名「シードヤング」(シード)、酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGPC
L)として商品名「メニコンスーパーEX」(メニコン)、「ボシュロムO」(ボシュ
ロム)の2種類を用いた。まず、コンタクトレンズの試験前の初期物性を測定した。サイ
ズの測定は、万能投影機V−12A(ニコン)を用いて、パワーの測定はオートレンズメ
ーターLM−870(ニデック)を用いて行った。またベースカーブの測定は、HCL及
びRGPCLについてはオートレフ/ケラトメーターARK−200(ニデック)を、S
CLについてはソフトメーターSM−2000(ナイツ)を用いて行った。
ガラスバイアル瓶に試験液10mlを入れレンズを1枚ずつ浸漬し、34℃の水浴中で
120回/minで280分間振とうした後、試験後の物性を同様に測定し、試験前の物
性と比較した。
[試験結果]
試験前および試験後のサイズ、パワー、ベースカーブを比較し、その変化の有無を表1
に示した。全種類のコンタクトレンズの全パラメータにおいて、ほとんど変化は認められ
なかった。
従って化合物1含有点眼剤は、コンタクトレンズに対してほとんど影響を与えないこと
が明らかになった。
Figure 2016026150
本発明の製剤は、眼の乾燥による角膜上皮障害を防止する上で優れた効果を示し、また
眼刺激性をほとんど示さず極めて安全性が高く、しかも粘性が低く、使用に際して不快感
も無いことから、ドライアイの予防および治療剤として有用である。また、コンタクトレ
ンズの物性に影響を及ぼさないため、コンタクトレンズ装用中にも使用できる。

Claims (1)

  1. 式(I):
    C=CXCO−Y−OPO−Z (I)
    (式中、Xは水素、低級アルキル、−CHCOCHCHOH、又は−CHCO
    −Y−OPO−Z;Yは−(CH−、−(CH−O)CH−、−(CH
    −O)CHCH−、−(CH−O)−(CHMeCHO)−、−(CHMeC
    O)−(CH−O)−、又は1位若しくは2位に脂肪酸を結合させたグリセリン
    エステル;nは1〜20の整数;yは1〜20の整数;Zはコリン、エタノールアミン又
    はセリンを表す)で示される化合物を単量体成分とするリン脂質類似重合体を含有する、
    角膜上皮障害を予防および/または治療するための眼科用医薬組成物。
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