JPWO2016136259A1 - スリットを有する管状部を含む金属成形品およびその製造方法、ならびにそれに用いられる製造装置および金型 - Google Patents

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Abstract

開示される製造方法は、スリット(3)を有する管状部(1e)を含む金属成形品を製造する製造方法である。この製造方法は、金属板を変形させることによって、断面がU字状であるU字状部を形成する工程(i)と、U字状部の2つの端部が突起部を挟むように突起部(23)を有する金型(20)を用いてU字状部を変形させることによって、スリットを有する管状部(1e)を形成する工程(ii)とを含む。工程(ii)において、管状部(1e)の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くする。

Description

本発明は、スリットを有する管状部を含む金属成形品およびその製造方法、ならびにそれに用いられる製造装置および金型に関する。
自動車部品や家庭用電気製品には管状部品が多用されている。そのため、管状部品を製造する技術の開発が推進されている。金属板を材料として管状部品を製造するための代表的な方法として、UO成形が知られている(例えば特許文献1、2)。
近年、自動車分野では、長手方向にスリットを有する管状部品に対するニーズがある。このような管状部品の製造方法として、曲げ加工を複数回行う方法が従来から用いられている。しかし、その方法には、複雑な形状の部品の成形が困難であるという問題、および、工程が煩雑であるという問題がある。そのため、UO成形の応用が期待されている。しかし、一般的なUO成形は、スリットがない管状部品を製造するための方法であり、成形された管状部品の突き合わせ部は溶接される。このため、従来のUO成形を適用するだけでは、突き合わせ部に隙間を有する管状部品を精度良く製造することは困難である。
特許文献3は、縦方向にスロットを有する中空形材を形成する方法を開示している。特許文献3の図3および図4には、スロットを形成するためのブレードを備える中子(コア11)を用いる方法が開示されている。特許文献3の製造方法は、成形後にスロットを閉じて溶接することを前提としている。そのため、スロットの間隔の精度や溶接前の形状の精度は考慮されていない。また、金属板の材質や板厚が変化した場合にはスプリングバック量も変化するため、スロットの間隔にはバラツキが生じる。そのため、金属板の材質や板厚を変更する場合には、スロットの間隔を調整するために金型の修正が必要となる。
また、特許文献1には、板材を曲げることによって、断面が角形の管状部材を成形する方法が開示されている。この方法で用いられる金型は、上型、下型、および側面ダイスを有する。側面ダイスは、互いに対向する2つの端縁を近接させるように板材の側部を押圧するためのダイスである。この方法で成形された管状部材は、成形後に突き合わせ部が溶接される。そのため、2つの端縁の間の間隔の制御については充分に考慮されていない。
さらに、管状部品の製造方法として、ロール成形も知られている(例えば特許文献4)。しかし、ロール成形では、長手方向に断面形状が変化する異形断面管等の複雑な形状を有する管状部品の製造は困難である。
金属板の曲げ加工として、プレスブレーキ加工が知られている(例えば特許文献5)。プレスブレーキによる曲げ加工により、突き合わせ部に隙間を有する管状部品を成形することも考えられる。しかし、プレスブレーキ加工では、突き合わせ部の隙間の間隔を小さくすることは困難である。
なお、従来のUO成形でも、成形後のスプリングバックによって、管状部品の突き合わせ部に、意図しない隙間が生じる場合がある。しかしながら、従来のUO成形では、突き合わせ部の隙間の間隔を制御することは非常に難しい。
また、例えば特許文献2および3に記載されているように、O成形時に中子を使用する場合がある。この場合において、金属板の幅を金型の断面周長よりも短くすることによって、突き合わせ部に隙間を有する管状部品を成形することが考えられる。しかしながら、この方法では単純な曲げによる成形となるため、スプリングバックが大きいという問題がある。そのため、この場合にも突き合わせ部の隙間の間隔の制御は困難である。
また、金型の設計を試行錯誤で行い、その金型を用いて、突き合わせ部に隙間を有する管状部品をスプリングバックを利用して成形することも考えられる。しかしながら、量産を考えた場合には、金属板の材質や板厚がロット変更によってわずかに変化する。その場合には、スプリングバック量も変化するため、突き合わせ部の隙間の間隔や管状部品の形状にバラツキが生じる。このため、突き合わせ部の隙間の間隔が一定で、形状精度の良好な管状部品を量産し続けることは困難である。さらに、金属板の材質や板厚を変更する場合には、突き合わせ部の隙間の間隔を調整するために金型の修正が必要であり、多大な時間と労力を要し、結果的にコスト高を招く。
特許文献6は、UO成形技術を用いて、カットブランクから中空異型材を製造する方法を開示している。特許文献6の製造方法では、カットブランクの2つの対向縁部を互いに当接させて閉じた中空異型材を成形する。このとき、カットブランクの周方向の長さを、必要な成形長さよりも、所定の余剰長さだけ長くする。当該余剰長さは、少なくとも1%〜10%である。特許文献6には、縁接合部に当接する中空異型材の領域が、少なくとも部分的に周方向に圧縮されることが開示されている。また、特許文献6には、UO成形技術を用いて上記製造方法を実施することが記載されている。しかし、特許文献6には、どのように製造方法を実施するかは具体的には記載されていない。すなわち、UO成形技術を用いて、どのように中空異型材を周方向に圧縮するかは、特許文献6には開示されていない。さらに、特許文献6の方法は、スリットの幅を任意に制御することを想定していない。
特開2001−191112号公報 特開2004−25224号公報 国際公開第2005/002753号パンフレット 特開2000−616号公報 特開2000−61551号公報 特表2014−516801号公報
上記の状況において、本発明の目的の1つは、スリットを有する管状部を含む金属成形品を精度よく成形し、スリットの間隔を制御することが可能な製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態の方法は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造する製造方法である。この製造方法は、(i)金属板を変形させることによって、断面がU字状であるU字状部を形成する工程と、(ii)前記U字状部の2つの端部が突起部を挟むように前記突起部を有する金型を用いて前記U字状部を変形させることによって、前記スリットを有する前記管状部を形成する工程とを含む。前記(ii)の工程において、前記管状部の断面周長LHを前記U字状部の断面長さLUよりも短くする。
本発明の一実施形態の金属成形品は、スリットを有する管状部を含む金属成形品である。前記管状部の断面における板厚方向のビッカース硬さのバラツキSを以下の式で表したときに、バラツキSの周方向の平均値が0.4未満である。
S=(Bmax−Bmin)/Bmax
ここで、Bminは、前記断面における板厚方向のビッカース硬さの最小値である。Bmaxは、前記断面における板厚方向のビッカース硬さの最大値である。
本発明の一実施形態の製造装置は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための製造装置である。この製造装置は、金型と、前記金型を移動させるための移動機構とを含む。前記金型は、前記スリットを形成するための突起部を含む第1の金型と、第2の金型とを含む。前記第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させて前記スリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。前記金型は、前記筒状部の断面周長が短くなるように前記筒状部の外周面を押圧するための構成を有する。
本発明の一実施形態の金型は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための金型である。この金型は、前記スリットを形成するための突起部を含む第1の金型と、第2の金型とを含む。前記第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させて前記スリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。前記金型は、前記筒状部の断面周長が短くなるように前記筒状部の外周面を押圧するための構成を有する。
本発明によれば、スリットを有する管状部を含む金属成形品を精度よく成形し、スリットの間隔を制御することができる。本発明によれば、スリットが精度よく形成された管状部を含む金属成形品が得られる。さらに、本発明によれば、本発明の製造方法に好ましく用いられる製造装置および金型が得られる。
図1は、本発明の金属成形品の一例の断面を模式的に示す。 図2Aは、本発明の製造方法の一工程の一例を模式的に示す断面図である。 図2Bは、図2Aに続く一工程の一例を模式的に示す断面図である。 図2Cは、図2Aおよび図2Bの工程で形成されるU字状部を模式的に示す断面図である。 図3Aは、本発明の製造方法で用いられる金型の一例を模式的に示す断面図である。 図3Bは、図3Aの金型を用いた製造工程の一例を模式的に示す断面図である。 図3Cは、図3Bの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図3Dは、図3Cの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図3Eは、図3Dの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図3Fは、図3B〜図3Eの工程で製造される金属成形品の一例を模式的に示す断面図である。 図4Aは、本発明の製造方法で用いられる金型の一例を模式的に示す断面図である。 図4Bは、図4Aの金型を用いた製造工程の一例を模式的に示す断面図である。 図4Cは、図4Bの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図4Dは、図4Cの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図4Eは、図4Dの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図4Fは、図4B〜図4Eの工程で製造される金属成形品の一例を模式的に示す断面図である。 図5Aは、本発明の製造方法で用いられる金型の一例を模式的に示す断面図である。 図5Bは、図5Aの金型を用いた製造工程の一例を模式的に示す断面図である。 図5Cは、図5Bの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図5Dは、図5Cの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図5Eは、図5Dの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図5Fは、図5B〜図5Eの工程で製造される金属成形品の一例を模式的に示す断面図である。 図6Aは、本発明の製造方法で用いられる金型の一例を模式的に示す断面図である。 図6Bは、図6Aの金型を用いた製造工程の一例を模式的に示す断面図である。 図6Cは、図6Bの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図6Dは、図6Cの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図6Eは、図6Dの工程に続く一工程の一例を示す断面図である。 図6Fは、図6B〜図6Eの工程で製造される金属成形品の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の金型の他の一例の断面模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の金型の他の一例、およびそれによって形成される管状部の一例を示す断面図である。 図9Aは、本発明の金属成形品の一例を模式的に示す図である。 図9Bは、本発明の金属成形品の他の一例を模式的に示す図である。 図9Cは、本発明の金属成形品のその他の一例を模式的に示す図である。 図9Dは、本発明の金属成形品のその他の一例を模式的に示す図である。 図9Eは、本発明の金属成形品のその他の一例を模式的に示す図である。 図10Aは、比較例1の管状部材の製造方法の一工程を模式的に示す。 図10Bは、図10Aに続く一工程を模式的に示す。 図11Aは、比較例2の管状部材の製造方法の一工程を模式的に示す。 図11Bは、図11Aに続く一工程を模式的に示す。 図12Aは、実施例1、比較例1および比較例2の管状部材について、板厚方向の歪分布を示すグラフである。 図12Bは、実施例2〜4および比較例2の管状部材について、周方向の歪分布を示すグラフである。 図13は、バラツキSの周方向の平均値と一軸圧縮強度の減少率との関係を示すグラフである。 図14Aは、本発明の製造装置の一例について、動作の一例を示す図である。 図14Bは、図14Aに続く動作の一例を示す図である。 図14Cは、図14Bに続く動作の一例を示す図である。 図14Dは、図14Cに続く動作の一例を示す図である。 図15Aは、本発明の製造装置の他の一例について、動作の一例を示す図である。 図15Bは、図15Aに続く動作の一例を示す図である。 図15Cは、図15Bに続く動作の一例を示す図である。 図15Dは、図15Cに続く動作の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
(金属成形品の製造方法)
本発明の製造方法は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造する方法である。本発明の製造方法で説明した事項については、本発明の、金属成形品、製造装置、および金型に適用できる。
金属成形品は、スリットを有する管状部以外の部分を含んでもよい。あるいは、金属成形品は、スリットを有する管状部のみによって構成されていてもよい。その場合の金属成形品は、スリットを有する管状の成形品である。製造される金属成形品の例については後述する。本発明の製造方法は、以下に説明する工程(i)および工程(ii)を含む。
(工程(i))
工程(i)では、金属板を変形させることによって、断面がU字状であるU字状部を形成する。工程(i)に特に限定はなく、従来のUO成形において用いられているU成形を適用してもよい。U成形の方法としては、断面がU字状となるように金属板を成形できる方法であれば特に限定されない。U成形法の例には、プレス成形、ロール成形等が含まれる。U成形は、複数の工程で行ってもよい。また、U成形の前に、金属板の端を曲げる加工(いわゆるC成形等の加工)を行ってもよい。また、U成形後に、U字状部のトリミング(切断)を行ってもよい。
なお、この明細書において、特に記載がない限り、管状部の断面とは、管状部の周方向の断面を意味する。換言すれば、管状部の断面とは、管状部の軸方向(通常は長手方向)に垂直な方向における断面を意味する。U字状部の断面、筒状部の断面、金型の押圧面の断面についても同様である。特に記載がない限り、金型の押圧面とは、金型のうち、筒状部(または管状部)の外周面と接触する面を意味する。金型が複数の部材によって構成される場合、金型の押圧面の断面周長とは、それら複数の部材の押圧面の断面長さの合計を意味する。
本発明の製造方法で成形される金属板を、以下では「ブランク」と称する場合がある。金属板(ブランク)は、成形可能なものであれば特に限定されない。金属板の例には、鋼板が含まれ、例えば、熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、めっき鋼板などが含まれる。さらに、金属板の例には、複数の金属板をつなぎ合わせて得られた金属板(いわゆるテーラードブランク)が含まれる。テーラードブランクは、得られる管状部の軸方向に複数の金属板をつなぎ合わせたものであってもよいし、得られる管状部の周方向に複数の金属板をつなぎ合わせたものであってもよい。さらに、場所によって板厚が異なる差厚鋼板をブランクとして用いてもよい。さらに、いわゆる積層板をブランクに用いてもよい。積層板の例には、複数の金属板を重ね合わせたもの、および、金属板に非金属素材を重ね合わせたものが含まれる。すなわち、金属成形品は、金属板以外の材料を含んでもよい。
金属板(ブランク)は、薄肉の金属板や、高張力鋼板(いわゆるハイテン材)であってもよい。これらはスプリングバックが大きくなる傾向があるため、本発明が特に有用である。薄肉の金属板の例には、金属板の相当径に対する板厚の比が10%以下であるものが含まれる。なお、相当径は、管状部の断面周長を3.14で除した値である。ハイテン材の引張強度は、300MPa以上であることが好ましく、440MPa以上(たとえば490MPa以上や780MPa以上)であってもよい。引張強度の上限に特に限定はなく、2000MPa以下であってもよい。
金属板の材料は、成形可能なものであれば特に限定されない。金属板の材料の例には、Fe系、Al系、Cu系、Ti系等の金属が含まれる。
金属板の厚さに特に限定はなく、成形可能な厚さであればよい。金属板の厚さは、金属板の材料、金属成形品の形状、金属成形品の用途等に考慮して選択される。一例では、金属板の厚さは、0.4〜5mmの範囲(たとえば、0.5〜3mmの範囲や1〜3mmの範囲等)にあってもよい。
金属板の形状は、目的とする金属成形品の形状に応じて選択される。後述するように、本発明の製造方法では、管状部の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くする。金属板のうち管状部となる部分の幅W(管状部において周方向となる方向における長さ)は、後述する圧縮率Cを考慮して決められる。
(工程(ii))
工程(ii)では、U字状部の2つの端部が突起部を挟むように、突起部を有する金型を用いてU字状部を変形させることによって、スリットを有する管状部を形成する。工程(ii)において、管状部の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くする。それによって、管状部を構成する金属板が周方向に圧縮される。その結果、管状部のスプリングバックが抑制され、スリットの間隔を精度良く制御できる。突起部を挟んで突き合わされた2つの端部(U字状部の2つの端部)の間の隙間がスリットとなる。すなわち、工程(ii)によって、スリットを有する管状部を含む金属成形品が製造される。もちろん、工程(ii)によって得られた金属成形品をさらに加工してもよい。
管状部の断面周長LHとU字状部の断面長さLUとの差は、U字状部の断面長さLUの0.2%以上であることが好ましい。すなわち、U字状部の断面長さLUと管状部の断面周長LHとは、0.2≦100×(LU−LH)/LUの式を満たすことが好ましい。この差が小さすぎると、スプリングバックを抑制する効果、および、精度よく管状部を形成する効果が、充分に得られない場合がある。以下では、「100×(LU−LH)/LU」の値を、管状部の圧縮率C(%)という場合がある。管状部の圧縮率Cは、0.5%以上であってもよい。
座屈を抑制する観点から、圧縮率Cを2%以下としてもよく、1%未満としてもよい。圧縮率Cを1%未満とすることによって、座屈をより抑制できる。特に、金属板の厚さが薄い場合には座屈が生じやすくなるため、圧縮率Cを1%未満とすることが好ましい。好ましい一例では、0.2≦100×(LU−LH)/LU<1の式が満たされる。
管状部の断面周長LHとU字状部の断面長さLUとの差(LU−LH)が大きすぎると、座屈(金属板の折れ込み)が発生したり、上型と下型との当接部に金属板が挟まれたりするおそれがある。一方、金属板が厚いほど、圧縮率Cを高くしても座屈が生じにくくなる。また、金属板が薄いほど、圧縮によって得られる効果が大きくなる。その観点では、金属板の板厚を考慮して、断面周長LHとU字状部の断面長さLUとの差を決定することが好ましい。たとえば、管状部を構成する金属板の板厚をtとしたときに、管状部の断面周長LHとU字状部の断面長さLUとの差を、8t以下としてもよい。この場合、管状部の断面周長LHとU字状部の断面長さLUとの差を0.1t以上としてもよい。
好ましい一例では、上記圧縮率Cが0.2%以上で、断面周長LHと断面長さLUとの差が8t以下である。好ましい他の一例では、上記圧縮率Cが0.2%以上2%以下である。金属板の相当径(上記相当径)に対する板厚の比が5%以下である薄肉の金属板をブランクとして用いる場合について考える。この場合、圧縮率Cが、0.2%以上1%未満(たとえば0.2%以上0.5%未満)であることが好ましい。
座屈を防止する観点から、管状部を構成する金属板(ブランク)の降伏応力σ(MPa)および板厚t(mm)を考慮して圧縮率Cを決定してもよい。例えば、上述した圧縮率C(%)は、以下の式を満たしてもよい。この場合、圧縮率Cの下限として、上述した下限のいずれかを採用してもよい。以下の式を満たす場合の金属板の厚さに限定はないが、上述した範囲(たとえば0.4〜5mmの範囲)にあってもよい。
C≦(1500/σ)×t
工程(ii)は、以下の工程(ii−1)および(ii−2)を含んでもよい。工程(ii−1)では、U字状部の2つの端部が突起部を挟むように金型を用いてU字状部を変形させることによって、管状部となる筒状部を形成する。筒状部は、工程(ii)で最終的に得られる管状部の前駆体であり、「第1の管状部」または「管状部前駆体」と言い換えることが可能である。工程(ii−2)では、2つの端部が金型の突起部を挟んだ状態で筒状部の外周面を押圧することによって、筒状部の断面周長LTを短くする。工程(ii−2)によって、管状部の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くする。すなわち、工程(ii−2)によって、管状部を構成する金属板が周方向に圧縮される。工程(ii−1)で筒状部を形成してから、工程(ii−2)で筒状部を周方向に圧縮することによって、安定して圧縮を行うことができる。具体的には、筒状部を形成する際に座屈などが生じることを抑制できる。
工程(ii)の3つの例(例(A)、例(B)、および例(C))について、以下に説明する。例(A)および例(B)は、工程(ii−1)および(ii−2)を含む例である。
(工程(ii)の例(A))
例(A)で用いられる金型(a)は、以下の(a−1)、(a−2)、および(a−3)の構成を有する。
(a−1)金型(a)は、突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含む。
(a−2)第1および第2の金型はそれぞれ、U字状部を変形させて筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。
(a−3)第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は複数の金型部材に分離可能である。
構成(a−3)に関して、第1および第2の金型の両方が分離可能であってもよい。あるいは、第1の金型のみが分離可能であってもよいし、第2の金型のみが分離可能であってもよい。第1および第2の金型の両方が分離可能である場合、管状部の断面周長LHを微調整しやすく、その結果、管状部に作用する圧縮応力のバラツキを一層小さくできる。その結果、より精度よくスリットを形成できる。第1の金型が分離可能である場合の一例では、第1の金型が第1の金型部材と第2の金型部材とに分離可能である。この場合、突起部が、第1の金型部材に含まれる第1の突起部と第2の金型部材に含まれる第2の突起部とによって構成されていてもよい。
例(A)の工程(ii−1)では、複数の金型部材が分離された状態にある金型(a)を用いてU字状部を変形させることによって筒状部を形成する。続く工程(ii−2)では、複数の金型部材を接近させることによって筒状部の外周面を押圧し、それによって筒状部の断面周長LTを短くする。この構成によれば、管状部を構成する金属板が周方向に圧縮される。
例(A)の好ましい一例では、工程(ii−1)において金型(a)が垂直方向にのみ移動し、工程(ii−2)において金型(a)が水平方向にのみ移動する。例えば、金型(a)のうち上型のみが垂直方向(プレス方向)に移動する場合、工程(ii−1)において上型を下死点にまで移動させる。その後、工程(ii−2)では、分離している複数の金型部材を、水平方向に移動させる。
(工程(ii)の例(B))
例(B)で用いられる金型(b)は、以下の(b−1)、(b−2)、および(b−3)の構成を有する。
(b−1)金型(b)は、突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含む。
(b−2)第1および第2の金型はそれぞれ、U字状部を変形させて筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。
(b−3)第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含む。
構成(b−3)に関して、第1および第2の金型のそれぞれが可動部を含んでもよい。あるいは、第1の金型のみが可動部を含んでもよいし、第2の金型のみが可動部を含んでもよい。一例では、第1および第2の金型がそれぞれ、プレス方向(垂直方向)に移動可能な第1および第2の可動部を含む。その場合、第1の金型に含まれる第1の可動部は、スリットを形成するための突起部を含んでもよい。他の一例では、第1および第2の金型の少なくとも一方が、プレス方向とは直交する方向に移動可能な第1および第2の可動部を含む。第1および第2の可動部は、筒状部を挟んで対向するように配置される。2つの可動部(第1および第2の可動部)によって筒状部の外周面を押圧することによって、当該筒状部を周方向に圧縮できる。ここで、プレス方向とは、成形時に金型の本体部が移動する方向を意味する。
例(B)の工程(ii−1)では、可動部の押圧面が本体部の押圧面から突出していない状態にある金型を用いてU字状部を変形させる。続く工程(ii−2)の工程では、可動部の押圧面を本体部の押圧面から突出させることによって筒状部の外周面を押圧し、それによって筒状部の断面周長LTを短くする。この構成によれば、管状部を構成する金属板が周方向に圧縮される。典型的な工程(ii−2)では、本体部を移動させることなく可動部のみを移動させる。
(工程(ii)の例(C))
例(C)で用いられる金型(c)は、以下の構成を有する。
(c−1)金型(c)は、突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含む。
(c−2)第1および第2の金型はそれぞれ、U字状部を変形させて筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。
(c−3)金型の押圧面(第1および第2の金型の押圧面)の断面周長がU字状部の断面長さLUよりも短い。
金型(a)および金型(b)とは異なり、金型(c)を構成する第1の金型および第2の金型はそれぞれ、原則として一体である。ただし、第1の金型の突起部を交換可能としてもよい。例(C)では、工程(ii)において第1の金型と第2の金型とを近づけることのみによってU字状部を変形させ、それによってスリットを有する管状部を形成する。例(C)は、金型の構成が単純であり、金属成形品の製造が容易であるという利点を有する。
本発明の製造方法では、金型が、管状部の外周面に対応する押圧面を含み、且つ、当該押圧面の断面周長がU字状部の断面長さLUよりも短くてもよい。この構成によれば、金型の押圧面によってU字状部の外周面を押圧して管状部を形成することによって、管状部の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くできる。上述したように、上記金型(c)はこの構成を有し、上記金型(a)も原則としてこの構成を有する。上記金型(b)は、この構成を有していてもよいし、有していなくてもよい。なお、金型の押圧面の断面周長とは、金型を構成する複数の部材の押圧面の断面長さの合計を意味する。
上記金型(a)および(c)を用いる場合において、金型を完全に閉じることによってスリットを有する管状部を形成する場合、通常、金型の押圧面の断面周長と管状部の断面周長LHとは大きく異ならないと考えられる。その場合、この明細書において、管状部の断面周長LHを、金型の押圧面の断面周長に置き換えることが可能である。例えば、上述した圧縮率Cの式やその他の式において、管状部の断面周長LHを、金型の押圧面の断面周長に置き換えることが可能である。
本発明の製造方法の工程(ii)は、典型的には、中子を用いずに実施され、たとえば、管状部(または筒状部)の内周面の大部分(たとえば内周面の面積の50%以上)と接触するような中子を用いることなく実施されてもよい。中子を用いずに工程(ii)を行うことによって、管状部が周方向に均一に圧縮されやすくなる。中子を用いた場合、金型と中子との間に挟まれた金属板は周方向に圧縮されにくくなる。ただし、必要に応じて、工程(ii)において中子を用いてもよい。中子を用いることによって、周方向の断面形状が複雑な金属成形品を安定して成形できる。例えば、後述する図1に示す角度θが180°を超える場合には、安定的な成形のために、中子を用いてもよい。中子を用いる場合、中子は、管状部となる部分の全体に配置してもよいし、管状部となる部分の一部のみに配置してもよい。
本発明の製造方法では、工程(ii)の後に、金属成形品をさらに加工してもよい。例えば、金属成形品に突起や平坦部を付加したり、金属成形品に穴をあけたりしてもよい。
本発明の製造方法は、突き合わせ部に隙間を有する管状部を含む金属成形品を製造することを目的としている。そのため、原則として、工程(ii)の後に、スリット(隙間を有する突き合わせ部)の溶接が行われない。ただし、突き合わせ部の一部は溶接されてもよい。例えば、突き合わせ部のうちの一部が隙間(スリット)を有し、他の一部が隙間を有さない場合、隙間を有さない突き合わせ部の一部または全部を溶接してもよい。この場合においても、隙間を有する突き合わせ部を溶接しないことが好ましい。なお、金属成形品を用いる製品を組み立てる際に、突き合わせ部の一部を仮溶接してもよい。
(金属成形品)
本発明の金属成形品は、スリットを有する管状部を含む。1つの観点では、この管状部は、突き合わせ部に隙間を有する管状部である。本発明の金属成形品は、本発明の製造方法によって製造される。この金属成形品に関して他の箇所で説明した事項については重複する説明を省略する場合がある。本発明の金属成形品について説明した事項については、本発明の、製造方法、製造装置、および金型に適用できる。
本発明の金属成形品は、スリットを有する管状部以外の部分を含んでもよい。あるいは、金属成形品は、スリットを有する管状部のみによって構成されていてもよい。その場合の金属成形品は、スリットを有する管状の成形品である。スリットは、通常、管状部の軸方向(通常は長手方向)に沿って形成されている。スリットは、管状の部分全体に形成されていてもよいし、管状の部分の一部のみに形成されていてもよい。換言すれば、金属成形品は、突き合わせ部の全長にわたってスリットを有していてもよいし、突き合わせ部の一部のみにスリットを有していてもよい。
スリットを有する管状部の形状は、本発明の方法によって成形可能なものである限り、特に限定されない。管状部の断面の形状は特に限定されず、円形、楕円形、四角形や、上下非対称の形状、左右非対称の形状等、種々の形状であってもよい。管状部は、丸管状であってもよいし、角管状であってもよい。
管状部の形状の例には、ストレートな直管、曲がった曲管、長手方向に外径が異なる異径管、長手方向に断面形状が異なる異形断面管等が含まれる。具体的には、管状部の例には、図9A、図9B、図9C、図9D、および図9Eに示す管(管状部1e)が含まれる。これらの管では、突き合わせ部2にスリット3が形成されている。
図9Aに示す管は、周方向の断面形状が円形状の直管である。図9Bに示す管は、周方向の断面形状が円形状である曲管である。図9Cに示す管は、周方向の断面形状が円形状であるラッパ状の異径管である。図9Dに示す管は、周方向の断面形状が円形状から四角形状に変化する異形断面管である。図9Eに示す管は、周方向の断面形状が上下非対称且つ左右非対称の形状である管である。また、図9Eに示す管は、異なる金属板が周方向につなぎ合わされたテーラードブランクを用いて形成された管である。
周方向の断面形状が左右非対称の形状である管や、図9Eに例示するようなテーラードブランクを用いた管は、従来のUO成形では成形することが難しい。これに対し、本発明の金型を適切に選択することによって、様々な形状の管や、様々なブランクを成形することが可能である。
本発明の金属成形品は、金属板(ブランク)を成形することによって得られる。そのため、金属成形品の材質は、ブランクの材質と同じである。さらに、金属成形品の板厚も、ブランクの板厚とほぼ等しい。そのため、金属成形品の板厚(管状部の板厚)は、ブランクの板厚として例示した範囲にあってもよい。金属成形品の物性の一部は、加工の工程でブランクの物性から変化する。特に、本発明の金属成形品は、管状部が周方向に圧縮されているため、それによって物性が変化している。
本発明の製造方法によれば、本発明の金属成形品を製造できる。本発明の金属成形品は、管状部の断面における板厚方向のビッカース硬さのバラツキSを以下の式で表したときに、バラツキSの周方向の平均値が0.4未満(0以上0.4未満)である。
S=(Bmax−Bmin)/Bmax
ここで、Bminは、管状部の断面における板厚方向のビッカース硬さの最小値である。Bmaxは、当該断面における板厚方向のビッカース硬さの最大値である。
「バラツキSの周方向の平均値」とは、管状部の1つの断面(周方向の断面)の3つの位置について測定したバラツキSの平均値である。測定する3つの位置は、管状部のスリット近傍の第1の位置、第1の位置から周方向に最も遠い第2の位置、第1の位置と第2の位置との中間の第3の位置である。管状部が円管状であり、スリットが管状部の最上部に位置する場合を考える。このとき、管状部の中心を中心として管状部の底部を0°と仮定すると、第1、第2、および第3の位置はそれぞれ、約180°、0°、および90°となる。第1の位置は、スリットに面する端部からの距離がたとえば5mm以下の範囲に設定される。
本発明の製造方法では、管状部の断面周長LHをU字状部の断面長さLUよりも短くする。そのため、管状部の板厚方向全体に圧縮応力が作用し、且つ、管状部の周方向に作用する圧縮応力のバラツキが小さい。そのため、本発明の製造方法で管状部を形成することによって、管状部の断面の全域において、ビッカース硬さを大きくできる。その結果、管状部の断面の全域において、ビッカース硬さのバラツキを小さくできる。ビッカース硬さのバラツキを小さくすることは、管状部を有する金属成形品の耐久性および信頼性の向上に有効である。
好ましい一例では、上記の3つの位置で測定されたバラツキSのすべてが0.4未満(たとえば0.2未満)である。この構成によれば、耐久性および信頼性の向上が特に期待できる。
(ビッカース硬さの測定方法)
管状部のビッカース硬さを測定する方法について以下に説明する。まず、管状部を周方向に切断し、鏡面になるまでその切断面を機械研磨する。次に、機械研磨による加工硬化の影響を排除するために、化学研磨または電解研磨によって、切断面の表面から30〜80μmの深さまで切断面を溶解させる。このようにして得られた切断面について、ビッカース硬さを測定する。
ビッカース硬さは、日本工業規格(JIS)のJIS Z 2244のビッカース硬さ試験の試験方法に従って測定する。ビッカース硬さ試験では、圧子を試験片に押し込んでくぼみを形成し、そのくぼみの対角線長さを測定する。管状部の切断面のバラツキSを評価する場合、切断面に複数のくぼみを形成して測定する。管状部が鋼、銅または銅合金からなる場合には、隣接する2つのくぼみの中心間の距離を3d以上(dはくぼみの対角線長さで大きい方の値)とし、くぼみの中心から試験片(管状部の切断面)の縁までの距離を2.5d以上とする。管状部が軽金属(アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金を含む)からなる場合には、隣接する2つのくぼみの中心間の距離を6d以上とし、くぼみの中心から試験片の縁までの距離を3d以上とする。これらの距離は、ビッカース硬さの測定間隔および圧子を押し込む力によって調整できる。
上述した第1の位置について、板厚方向の一直線上に等間隔に存在する5点においてビッカース硬さを測定する。そして、その5点の測定値からビッカース硬さの最小値Bminと最大値Bmaxとを決定し、上述したバラツキSを求める。上述した第2および第3の位置についても、同様にビッカース硬さを測定し上述したバラツキSを求める。そして、得られた3つのバラツキSを平均することによって、バラツキSの周方向の平均値が得られる。
本発明の金属成形品は、様々な用途に利用可能である。金属成形品の用途の例には、各種の車両(自動車、鉄道車両、その他の車両)の部品(足回り部品、ボディ、構造材等)、各種の機械、電子機器、電化製品の部品、各種の輸送機(船舶、航空機)の部品などが含まれる。
(製造装置)
本発明の製造装置は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための製造装置である。この製造装置は、本発明の製造方法に利用できる。この製造装置によって、本発明の金属成形品を製造できる。この製造装置は、別の観点ではプレス装置であり、以下で説明していない構成については、公知のプレス装置の構成を適用してもよい。この製造装置に関して他の箇所で説明した事項については重複する説明を省略する場合がある。本発明の製造装置について説明した事項については、本発明の、製造方法、金属成形品、および金型に適用できる。
本発明の製造装置は、金型と、金型を移動させるための移動機構とを含む。金型は、第1の金型と第2の金型とを含む。第1の金型は、スリットを形成するための突起部を含む。第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させてスリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。金型は、筒状部の断面周長LTが短くなるように筒状部の外周面を押圧するための構成を有する。
以下では、本発明の製造装置の2つの例(製造装置(a)および製造装置(b))について説明する。
(製造装置(a))
製造装置(a)は、上述した金型(a)を用いる。上述したように、金型(a)は、以下の(a−1)、(a−2)、および(a−3)の構成を有する。
(a−1)金型(a)は、突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含む。
(a−2)第1および第2の金型はそれぞれ、U字状部を変形させて筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。
(a−3)第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は複数の金型部材に分離可能である。
製造装置(a)の移動機構は、第1の移動機構と第2の移動機構とを含む。第1の移動機構は、複数の金型部材が分離した状態で第1の金型と第2の金型とを接近させる移動機構である。通常、第1の移動機構は、複数の金型部材が分離した状態で、第1の金型と第2の金型とが接触するまで第1の金型と第2の金型とを接近させる。第2の移動機構は、分離している複数の金型部材を接近させる移動機構である。第1の移動機構は、上述した例(A)の工程(ii−1)に対応する。第2の移動機構は、例(A)の工程(ii−2)に対応する。製造装置(a)によれば、上述した例(A)の工程(ii)を実施できる。
金型(a)の第1の金型は、第1の金型部材と第2の金型部材とに分離可能であってもよい。その場合、スリットを形成するための突起部が、第1の金型部材に含まれる第1の突起部と第2の金型部材に含まれる第2の突起部とによって構成されていてもよい。
(製造装置(b))
製造装置(b)は、上述した金型(b)を用いる。上述したように、金型(b)は、以下の(b−1)、(b−2)、および(b−3)の構成を有する。
(b−1)金型(b)は、突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含む。
(b−2)第1および第2の金型はそれぞれ、U字状部を変形させて筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。
(b−3)第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含む。
製造装置(b)の移動機構は、第1の移動機構と第2の移動機構とを含む。第1の移動機構は、第1の金型と第2の金型とを接近させる移動機構である。通常、第1の移動機構は、可動部の押圧面が本体部の押圧面から突出していない状態で、第1の金型と第2の金型とが接触するまで第1の金型と第2の金型とを接近させる。第2の移動機構は、可動部の押圧面が本体部の押圧面から突出するように可動部を移動させる移動機構である。第1の移動機構は、上述した例(B)の工程(ii−1)に対応する。第2の移動機構は、例(B)の工程(ii−2)に対応する。製造装置(b)によれば、上述した例(B)の工程(ii)を実施できる。
上記の動作が可能である限り、製造装置(a)および(b)の移動機構の構成に特に限定はなく、複動式のプレス装置で用いられている公知の移動機構を適用してもよい。例えば、製造装置(a)および(b)の移動機構はそれぞれ、伸縮機構やカムを組み合わせて構成してもよい。伸縮機構の例には、ガスシリンダ、油圧シリンダ、スプリングなどが含まれる。
上述した例(C)の工程(ii)を実施するための製造装置は、金型(c)を用いることを除いて特に限定はない。例(C)の工程(ii)は、一般的なプレス装置で実施できる。
(金型)
本発明の金型は、スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための金型である。この金型は、本発明の製造装置で利用できる。さらに、この金型は、本発明の製造方法に利用でき、具体的には本発明の製造方法の工程(ii)で利用できる。この金型を用いることによって、本発明の金属成形品を製造できる。この金型に関して他の箇所で説明した事項については重複する説明を省略する場合がある。本発明の金型について説明した事項については、本発明の、製造方法、金属成形品、および製造装置に適用できる。
本発明の金型は、スリットを形成するための突起部を含む第1の金型と、第2の金型とを含む。第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させてスリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含む。断面の外周が円形の筒状部(または管状部)を形成する場合には、第2の押圧面が半円柱状の形状を有し、第1の押圧面が、突起部を除いて半円柱状の形状を有する。
本発明の金型は、筒状部の断面周長が短くなるように筒状部の外周面を押圧するための構成を有する。別の観点では、本発明の金型は、筒状部を周方向に圧縮するための構成を有する。本発明の金型の例には、上述した金型(a)および金型(b)が含まれる。
突起部を有する第1の金型が上型として用いられ、第2の金型が下型として用いられてもよい。そのため、この明細書において、第1の金型を上型と読み替え、第2の金型を下型と読み替えてもよい。また、第1の金型を下型と読み替え、第2の金型を上型と読み替えてもよい。
突起部は、スリットを形成可能な形状を有する。管状部の軸方向に沿って板状の突起部が配置された第1の金型を用いることによって、管状部の軸方向に沿ってスリットを形成できる。典型的な一例では、突起部は、板状の凸部であり、上型の半円状の押圧面のうち最上部の位置に設けられる。換言すれば、典型的な一例では、上型の押圧面の断面(周方向の断面)の中央部に突起部が設けられる。ただし、突起部は、中央部に限らず、中央からずれた位置にあってもよい。たとえば、左右非対称の管状部を形成する場合には、突起部は中央部からずれた位置にあってもよい。突起部は、その周方向における位置が、軸方向に沿って変化してもよい。突起部の幅は、軸方向に沿って変化していてもよい。軸方向に変化する突起部を用いることによって、軸方向に変化するスリットを形成できる。
管状部の内径をDinとし、板厚をtとしたときに、スリットの幅は、t以上で(Din−2t)以下としてもよい。スリットの幅がt未満である場合、金型の突起部の強度が不足する恐れがある。スリットの幅が(Din−2t)より大きい場合、発明の効果が小さくなる場合がある。
突起部の幅は、スリット(突き合わせ部の隙間)の幅に応じて選択される。突起部の幅は、スリットの幅の±10%以内とすることが好ましい。
上述したように、金型(a)では、第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型が複数の金型部材に分離可能である。金型部材の数が多いと、成形の際に隣接する金型部材の間にU字状部が挟まれやすくなる恐れがある。また、金型部材の数が多いと、金型およびそれを用いる装置の構造が複雑になる。そのため、第1の金型が複数の金型部材に分割される場合の好ましい一例では、第1の金型が2つの金型部材に分割される。同様に、第2の金型が複数の金型部材に分割される場合の好ましい一例では、第2の金型が2つの金型部材に分割される。
第1の金型および/または第2の金型が複数の金型部材に分離可能である場合、分離の位置に特に限定はない。第1の金型が第1の金型部材と第2の金型部材とに分離可能である場合、突起部が、第1の金型部材に含まれる第1の突起部と第2の金型部材に含まれる第2の突起部とによって構成されていてもよい。すなわち、突起部の部分で第1の金型が分割されていてもよい。この構成によれば、第1および第2の突起部によってU字状部の2つの端部をガイドすることができ、U字状部の端部が2つの金型部材の間に入り込むことを防止できる。
金型(a)では、複数の金型部材を別々に移動させることによって、管状部の断面周長LHを容易に微調整でき、管状部に作用する圧縮応力のバラツキを小さくできる。したがって、金型(a)によれば、スプリングバックを効果的に抑制でき、その結果、スリットを精度よく形成できる。
上述したように、金型(b)では、第1の金型および第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含む。
金型(b)では、第1の金型のみが本体部と可動部とを有していてもよいし、第2の金型のみが本体部と可動部とを有していてもよい。あるいは、第1および第2の金型の両方がそれぞれ、本体部と可動部とを有していてもよい。両方の金型のそれぞれが本体部と可動部とを有する場合には、可動部の押圧面の面積を大きくでき、その結果、筒状部を押圧して周方向に圧縮する際に、安定して押圧できる。
可動部が配置される位置は、可動部を移動させることによって管状部の断面周長を調整できる位置である限り、特に限定はない。例えば、可動部は、管状部の頂部と底部とに対応する位置に配置されてもよいし、管状部の2つの側部に対応する位置に配置されてもよい。可動部は、管状部の中心を挟んで対向する2つの位置に対応するように配置されることが好ましい。
可動部は、例(B)の工程(ii)が実施される領域に少なくとも配置される。例えば、可動部は、金型の全長にわたって配置されていてもよいし、金型の一部のみに配置されていてもよい。
第1の金型が本体部と可動部とを有する場合、可動部の数は1つであってもよいし複数であってもよい。可動部が複数である場合には、可動部が1つである場合と比較して、管状部の断面周長を微調整しやすい。同様に、第2の金型が本体部と可動部とを有する場合、可動部の数は1つであってもよいし複数であってもよい。可動部が複数の場合、筒状部の頂部(または底部)に対応する位置と筒状部の側部に対応する位置の両方に可動部を配置してもよい。
可動部は、本体部に対して相対的に移動するように、シリンダやカム機構等によって移動できる。
本発明の金型では、スリットを形成するための突起部が交換可能であってもよい。例えば、上述した金型(a)、(b)、および(c)において、突起部が交換可能であってもよい。突起部は消耗しやすいため、突起部を交換可能とすることによって金型の寿命を長くできる。また、突起部を交換することによって、スリットの幅を調整することが容易になる。金属板(ブランク)の物性(引張強度など)や厚さが変化したときには、スプリングバックの量が変化する。そのため、従来の方法では、金属板の物性や厚さが変化するたびに金型全体を変更することが必要であった。しかし、突起部を交換可能とすることによって、金型全体を変更することなくスリットの幅を調整することが容易になる。
金型の形状は、目的とする管状部の形状等に応じて適宜設計される。例えば、図8に示すように、金型の押圧面の周方向の断面形状は、上下非対称の形状であってもよいし、左右非対称の形状であってもよい。金型の押圧面の周方向の断面形状は、軸方向にわたって一定であってもよいし、軸方向に変化してもよい。また、金型の押圧面は、軸方向に真っ直ぐであってもよいし、軸方向に曲がっていてもよい。
第1の金型および第2の金型はそれぞれ、単動式であってもよい。第1の金型および第2の金型はそれぞれ、必要に応じて複動式としてもよい。金型(a)および(b)は、第1および第2の金型から選ばれる少なくとも一方が複動式である。複動式の金型を用いることによって、筒状部の断面周長を微調整することができ、筒状部に作用する圧縮応力のバラツキを小さくできる。そのため、スプリングバックを特に効果的に抑制でき、勤続成形品の形状の精度を特に高めることができる。金型が複動式である場合、それを用いる製造装置には、複動式のプレス装置で用いられる機構や、シリンダやカムなどを使用した機構が用いられる。
金属板の材質や板厚が変化した場合、それに応じてスプリングバック量が変化する。そのため、従来の金型を用いた成形方法では、金属板の材質や板厚が変化した場合、それに応じて金型を変更する必要があった。一方、本発明の金型では、金型を変更せずに管状部の圧縮率を変化させることが可能である。例えば、金型(a)においては、複数の金型部材間の距離によって管状部の圧縮率を変化させることができる。また、金型(b)においては、可動部の移動量を変化させることによって管状部の圧縮率を変化させることができる。したがって、本発明の金型では、金属板の材質や板厚が変化した場合でも、金型を変更することなく、スリットの間隔を制御することが可能である。そのため、本発明の金型は、本発明の金属成形品の量産に好適である。
後述するように、本発明の金型を用いることによって、管状部の、板厚方向における硬度分布のバラツキおよび周方向における硬度分布のバラツキを小さくできる。したがって、本発明の金型を用いることによって、疲労強度が高い金属成形品を製造できる。
以下では、本発明の実施形態の例について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
第1実施形態では、本発明の金属成形品の一例について説明する。本発明の金属成形品は、スリットを有する管状部を含む。管状部の軸方向に直交する方向の断面(周方向の断面)を、図1に模式的に示す。金属成形品1は、スリット3が形成された管状部1eを含み、典型的には管状部1eのみからなる。スリット3では、2つの端部E1およびE2が突き合わされている。別の観点では、金属成形品1は、略閉断面部品(略閉断面を有する管状部品)である。ここで、「略閉断面」とは、管状に成形された金属板の突き合わされた2つの端部の間に隙間が存在する断面をいう。略閉断面部品は、突き合わせ部の全長にわたって隙間を有していてもよく、突き合わせ部の一部に隙間を有していてもよい。
ここで、2つの端部E1、E2から管状部1eに沿って周方向に3mmずつ離れた点P1、P2を仮定する。点P1における接線と点P2における接線との交点をOとする。線OP1と線OP2とがなす角度θは、30°以上であることが好ましい。角度θが小さすぎると、U字状部の断面との差異がほとんどなく、成形後の管状部の強さ(曲げ強度)が低下するおそれがある。典型的な一例の角度θは、150°以上(たとえば170°以上)である。角度θは180°以下であることが好ましい。角度θが大きすぎると、成形が不安定になるおそれがある。
(第2実施形態)
第2実施形態では、本発明の製造方法およびそれに用いられる金型の一例について説明する。なお、以下の実施形態では、管状部のみからなる金属成形品を製造する場合の一例について説明する。第2実施形態の製造方法は、工程(i)および工程(ii)を含む。
工程(i)を、図2Aおよび2Bに模式的に示す。まず、図2Aに示すように、ダイ11とポンチ12との間に金属板(ブランク)1aを配置する。ダイ11およびポンチ12は、U成形用の金型である。次に、図2Bに示すように、金属板1aをプレス成形して、断面がU字状のU字状部1bを形成する。図2Cに示すように、U字状部1bは、2つの端部E1およびE2を有する。
工程(i)では、金属板のうち管状部(管状部1e)となる部分の幅Wと、U字状部1bの断面長さLUとの大小関係は、様々な条件(管状部の形状、工程(i)の条件等)によって変化する。それらの条件によって、幅Wよりも断面長さLUが長い場合、幅Wよりも断面長さLUが短い場合、および両者が等しい場合がありうる。本発明の製造方法では、工程(ii)において、管状部の断面周長LHがU字状部の断面長さLUよりも短くなるように管状部を形成することが重要である。そのため、工程(i)における幅Wと断面長さLUとの関係に特に限定はない。
図3Aに、第2実施形態の工程(ii)で用いられる金型を模式的に示す。第2実施形態の金型20は、上述した金型(a)の一例である。金型20は、上型(第1の金型)21と下型(第2の金型)22とを含む。
上型21は、スリットを形成するための板状の突起部23を有する。上型21は、水平方向に分離可能な第1の上型(第1の金型部材)21aと第2の上型(第2の金型部材)21bとを含む。突起部23は、第1の上型21aに含まれる第1の突起部23aと第2の上型21bに含まれる第2の突起部23bとによって構成されている。下型22は、水平方向に分離可能な第1の下型(第1の金型部材)22aと第2の下型(第2の金型部材)22bとを含む。
上型21は、U字状部1bの外周面を押圧して筒状部1dを形成するための第1の押圧面21pを有する。また、下型22は、U字状部1bの外周面を押圧して筒状部1d(図3D)を形成するための第1の押圧面22pを有する。突起部23は、板状の凸部であり、その長さは、形成されるスリット3と同じかそれよりも長い。金型20の押圧面全体(第1の押圧面21pおよび第2の押圧面22p)の断面周長は、U字状部1bの断面長さLUよりも短い。
次の工程(ii)について、図3B〜図3Eを用いて説明する。第2実施形態の工程(ii)は、上述した例(A)の工程であり、工程(ii−1)および工程(ii−2)を含む。工程(ii)によれば、U字状部1bから、スリットを有する管状部1eを形成できる。
第2実施形態の工程(ii)では、まず、図3Bに示すように、金型20内にU字状部1bを配置する。次に、図3Cおよび図3Dに示すように、U字状部1bの端部E1と端部E2(図2C参照)とが突起部23を挟んだ状態で金型20を用いてU字状部1bを変形させる(工程(ii−1))。具体的には、上型21と下型22とが接触するまで両者を近づけて、U字状部1bの外周面を金型20の押圧面で押圧する。工程(ii−1)は、第1の上型21aと第2の上型21bとが水平方向に分離しており、第1の下型22aと第2の下型22bとが水平方向に分離している状態で行われる。その状態で、上型21および/または下型22を垂直方向に移動させて両者を近づける。工程(ii−1)によって、筒状部1dが形成される。図3Cの工程では、U字状部1bが変形されてU字状部1cとなる。このとき、U字状部1cの2つの端部は、突起部23にあたって停止し、2つの端部の間に隙間が生じる。その隙間が管状部1eのスリット3となる。図3Dの状態において、端部E1と端部E2とは、突起部23(突起部23aおよび23b)を挟んで対向している。
第2実施形態の製造方法では、図3Dの状態において、U字状部1bの断面長さと筒状部1dの断面周長LTとが実質的に等しくなるようにしてもよい。この構成は、第1の上型21aと第2の上型21bとの間隔、および、第1の下型22aと第2の下型22bとの間隔を調整することによって実現できる。この構成によれば、U字状部1bを大きく変形させて筒状部1dを形成する際に、周方向に圧縮力が加わることを抑制できる。そのため、筒状部1dを形成する際に座屈などが生じることを抑制できる。ここで、実質的に等しいとは、両者の長さの差が、長い方の長さの例えば0.1%未満(例えば0.05%未満)であることを意味する。
次に、図3Eに示すように、U字状部1bの端部E1およびE2が突起部23を挟んだままの状態で筒状部1dの外周面を押圧することによって、筒状部1dの断面周長LTを短くする(工程(ii−2))。具体的には、分割されている金型20を閉じることによって、断面周長LTを短くする。より具体的には、第1の上型21aと第2の上型21bとを水平方向に移動させて両者を近づけ、第1の下型22aと第2の下型22bとを水平方向に移動させて両者を近づける。図3Eに示す例では、第1の上型21aと第2の上型21bとが接触し、第1の下型22aと第2の下型22bとが接触するまでそれらを近づけている。すなわち、図3Eに示す一例では、完全に閉じた状態にある金型20の押圧面が、管状部1eの外周面に対応する。工程(ii−2)において筒状部1dの断面周長LTを短くすることによって、管状部1eの断面周長LHをU字状部1bの断面長さLUよりも短くできる。このようにして、図3Fに示す管状部1e(金属成形品)が得られる。管状部1eの突き合わせ部2には、スリット3が形成されている。
なお、図3Eでは、成形の最終段階において金型が完全に閉じる場合について示した。しかし、本発明の製造方法では、管状部1eの断面周長LHがU字状部1bの断面長さLUよりも短くなる限り、成形の最終段階で金型が完全に閉じなくてもよい。金型をどの程度閉じるかによって、上述した圧縮率Cを変化させることが可能である。また、金属板1aの厚さや物性が変化した場合でも、図3Dにおいて金型30をどの程度開くか、および図3Eにおいて金型20をどの程度閉じるかによって対応可能な場合がある。そのため、金属板1aの厚さや物性が変化した場合でも、金型を変更することなく所望の管状部1eを製造できる場合がある。さらに、図3Eにおいて金型20をどの程度閉じるかによって、スリット3の幅を変化させることも可能である。
従来のUO成形によって管状部品を製造した場合、得られた管状部品の内周側では圧縮応力が働き、外周側では引張応力が働く。そのため、スプリングバックが大きくなり、スプリングバックの制御が困難になる。これに対して、本発明の製造方法では、管状部1eの断面周長LHをU字状部1bの断面長さLUよりも短くする。すなわち、本発明の製造方法では、筒状部1dを周方向に圧縮して管状部1eを得る。その結果、管状部1eでは、内周側および外周側の両方で圧縮応力が作用する。そのため、スプリングバックが抑制され、スリット3を精度よく形成できる。
本発明の製造方法では、筒状部1dを周方向に圧縮することによって管状部1eを形成している。そのため、管状部1eでは、内周側および外周側の両方で圧縮応力が作用する。さらに、管状部1eでは、圧縮応力の周方向におけるバラツキを小さくできる。その結果、管状部1eの、板厚方向における硬度分布、および、周方向における硬度分布のバラツキを少なくできる。したがって、本発明によれば、疲労強度が高い管状部を得ることが可能である。
第2実施形態の製造方法では、筒状部1dの周囲に存在する金型部材のすべてを相対的に移動させて筒状部1dを圧縮する。そのため、第2実施形態の製造方法および金型によれば、筒状部1dを周方向に均一に圧縮することが可能である。そのため、スプリングバックを効果的に抑制でき、管状部の形状精度をより一層高めることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、本発明の製造方法およびそれに用いられる金型の他の一例について説明する。第3実施形態の製造方法は、工程(i)および工程(ii)を含む。工程(i)は、第2実施形態で説明した工程(i)と同様であるため、重複する説明を省略する。
図4Aに、第3実施形態の工程(ii)で用いられる金型を模式的に示す。第3実施形態の金型30は、上述した金型(b)の一例である。金型30は、上型(第1の金型)31と下型(第2の金型)32とを含む。
上型31は、スリット3を形成するための板状の突起部33を有する。上型31は、本体部31aと、本体部31aに対して相対的に移動可能な可動部31bとを含む。可動部31bは、本体部31aの押圧面31apの頂部に配置され、突起部33を含む。下型32は、本体部32aと、本体部32aに対して相対的に移動可能な可動部32bとを含む。可動部32bは、本体部32aの押圧面32apの底部に配置されている。第3実施形態の金型30では、可動部31bおよび32bの両方が、プレス方向(垂直方向)に移動可能である。可動部31bは、本体部31aと一体としてプレス方向に移動させることができる。可動部32bは、本体部32aと一体としてプレス方向に移動させることができる。
本発明の金型(b)では、原則として、本体部と可動部とを一体としてプレス方向に移動させることができる。また、本発明の金型(b)では、原則として、可動部の端面(成形空間に面する端面)は押圧面の一部を構成しており、ロールなどは配置されていない。さらに、本発明の金型(b)では、原則として、第1および第2の本体部が成形の最終位置(死点)にある状態で可動部が移動可能である。
本体部31aおよび本体部32aはそれぞれ、U字状部1bの外周面を押圧して筒状部1dを形成するための押圧面31apおよび32apを含む。可動部31bおよび32bは、U字状部1bの外周面を押圧する押圧面31bpおよび32bpを含む。押圧面31apと押圧面31bpとは上型31の押圧面31pを構成する。押圧面32apと押圧面32bpとは、下型32の押圧面32pを構成する。第3実施形態で説明する一例では、押圧面全体の断面周長は、管状部1eの断面周長LHよりも長い。押圧面全体の断面周長は、U字状部1bの断面長さLUと実質的に等しくてもよい。
次の工程(ii)について、図4B〜図4Eを用いて説明する。第3実施形態の工程(ii)は、上述した例(B)の工程であり、工程(ii−1)および工程(ii−2)を含む。工程(ii)によれば、U字状部1bから、スリットを有する管状部1eを形成できる。
第3実施形態の工程(ii)では、まず、図4Bに示すように、金型20内にU字状部1bを配置する。次に、図4Cおよび図4Dに示すように、U字状部1bの端部E1と端部E2(図2C参照)とが突起部33を挟んだ状態で金型30を用いてU字状部1bを変形させる(工程(ii−1))。具体的には、上型31と下型32とが接触するまで両者を近づけ、U字状部1bの外周面を金型30の押圧面で押圧する。工程(ii−1)は、可動部31bおよび32bの押圧面31bpおよび32bpが、本体部の押圧面31pおよび32pから突出していない状態で行われる。工程(ii−1)によって、筒状部1dが形成される。すなわち、図4Dに示す一例では、押圧面31pおよび32pが、筒状部1dの外周面に対応する。図4Cの工程では、U字状部1bが変形されてU字状部1cとなる。このとき、U字状部1cの2つの端部は、突起部33にあたって停止し、2つの端部の間に隙間が生じる。その隙間が管状部1eのスリット3となる。図4Dの状態において、端部E1と端部E2とは、突起部33を挟んで対向している。
第3実施形態の製造方法において、金型30の押圧面全体の断面周長を、U字状部1bの断面長さLUと実質的に等しくしてもよい。その場合、U字状部1bを大きく変形させて筒状部1dを形成する際に、周方向に圧縮力が加わることを抑制できる。そのため、筒状部1dを形成する際に座屈などが生じることを抑制できる。
次に、図4Eに示すように、U字状部1bの端部E1およびE2が突起部33を挟んだままの状態で、筒状部1dの外周面を押圧することによって、筒状部1dの断面周長LTを短くする(工程(ii−2))。具体的には、可動部31bおよび32bの押圧面を、本体部31aおよび32aの押圧面から突出させることによって筒状部1dの外周面を押圧する。第3実施形態では、筒状部1dのうち、スリット3とそれに対向する位置を上下から押圧する。工程(ii−2)において筒状部1dの断面周長LTを短くすることによって、管状部1eの断面周長LHをU字状部1bの断面長さLUよりも短くする。このようにして、図4Fに示す管状部1e(金属成形品)が得られる。管状部1eの突き合わせ部2には、スリット3が形成されている。
第3実施形態の製造方法でも、筒状部1dを周方向に圧縮することによって管状部1eが形成される。そのため、第2実施形態で説明したように、スリット3を精度よく形成できる。また、第3実施形態の製造方法では、可動部の移動量を変化させることによって、上述した圧縮率を容易に変化させることができる。そのため、金属板1aの厚さや物性が変化した場合でも、金型を変更することなく所望の管状部1eを製造方法できる場合がある。さらに、第3実施形態の金型では、可動部31bを交換することによって突起部33を交換することが可能であるため、突起部33の交換が容易である。
第3実施形態の製造方法では、可動部によって筒状部1dを押圧して圧縮するため、筒状部1dと金型30との接触面積が小さい状態で筒状部1dが圧縮される。この場合、可動部によって周方向に加えられた圧縮力が、筒状部1dの全体に加わりやすい。そのため、第3実施形態の製造方法および金型によれば、筒状部1dを周方向により均一に圧縮することが可能である。
図14A〜図14Eを参照しながら、第3実施形態の工程(ii)に用いることが可能な製造装置の一例について説明する。この製造装置は、第1の支持台141、第2の支持台142、伸縮機構141a、および伸縮機構142aを含む。第1の支持台141には、伸縮機構141aおよび可動部31bが配置されている。伸縮機構141aはプレス方向に伸縮可能であり、本体部31aを押圧する。第2の支持台142には、伸縮機構142aおよび可動部32bが配置されている。伸縮機構142aはプレス方向に伸縮可能であり、本体部32aを支持する。伸縮機構141aおよび142aに限定はなく、ガスシリンダ、油圧シリンダ、スプリングなどであってもよい。
第3実施形態の工程(ii)では、まず、図14Aに示すように、金型30内にU字状部1bを配置する。次に、図14Bおよび14Cに示すように、第1の支持台141と第2の支持台142とを近づける。これによって、上述した工程(ii−1)を行い、筒状部1dを得る。次に、図14Dに示すように、伸縮機構を縮めながら第1の支持台141と第2の支持台142とをさらに近づける。これによって、図14Dに示すように、可動部31bおよび32bの押圧面が本体部31aおよび32aの押圧面から突出して、筒状部1dの外周面を押圧する。このようにして、工程(ii−2)が行われる。
図14Aに示した装置において、第1の支持台141と第2の支持台142とを近づける機構(図示せず)と、伸縮しない状態の伸縮機構141aおよび伸縮機構142aとが、上述した製造装置(b)の第1の移動機構に相当する。また、第1の支持台141と第2の支持台142とを近づける機構と、伸縮する状態の伸縮機構141aおよび伸縮機構142aとが、第2の移動機構に相当する。このように、金型(a)および(b)では、同一の構成部材が、第1の移動機構と第2の移動機構とを兼ねてもよい。これらの移動機構は、公知のプレス装置の移動機構を本発明の製造装置に適合するように用いることによって実現してもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態では、本発明の製造方法およびそれに用いられる金型の他の一例について説明する。第4実施形態の製造方法は、工程(i)および工程(ii)を含む。工程(i)は、第2実施形態で説明した工程(i)と同様であるため、重複する説明を省略する。
図5Aに、第4実施形態の工程(ii)で用いられる金型を模式的に示す。第4実施形態の金型30は、上述した金型(b)の一例である。金型30は、上型(第1の金型)31と下型(第2の金型)32とを含む。
上型31は、スリット3を形成するための板状の突起部33を有する。上型31は、本体部31aと、本体部31aに対して相対的に移動可能な2つの可動部31bとを含む。可動部31bは、本体部31aの押圧面の最下部に配置されている。下型32は、本体部32aと、本体部32aに対して相対的に移動可能な2つの可動部32bとを含む。可動部32bは、本体部32aの押圧面の最上部に配置されている。第4実施形態の金型30では、可動部32aおよび32bの両方が、水平方向に移動可能である。なお、可動部31bは、本体部31aと一体として垂直方向(プレス方向)に移動させることができる。同様に、可動部32bは、本体部32aと一体として垂直方向に移動させることができる。
本体部31aおよび本体部32aはそれぞれ、U字状部1bの外周面を押圧して筒状部1dを形成するための押圧面31apおよび32apを含む。可動部31bおよび32bは、U字状部1bの外周面を押圧する押圧面31bpおよび32bpを含む。第4実施形態で説明する一例では、押圧面全体の断面周長は、管状部1eの断面周長LHよりも長い。押圧面全体の断面周長は、U字状部1bの断面長さLUと実質的に等しくてもよい。
次の工程(ii)について、図5B〜図5Eを用いて説明する。第4実施形態の工程(ii)は、上述した例(B)の工程であり、工程(ii−1)および工程(ii−2)を含む。工程(ii)によれば、U字状部1bから、スリットを有する管状部1eを形成できる。
第4実施形態の工程(ii)では、まず、図5Bに示すように、金型30内にU字状部1bを配置する。次に、図5Cおよび図5Dに示すように、U字状部1bの端部E1と端部E2(図2C参照)とが突起部33を挟んだ状態で金型30を用いてU字状部1bを変形させる(工程(ii−1))。具体的には、上型31と下型32とが接触するまで両者を近づけ、U字状部1bの外周面を金型30の押圧面で押圧する。工程(ii−1)は、可動部の押圧面31bpおよび32bpが、本体部の押圧面31apおよび32apから突出していない状態で行われる。工程(ii−1)によって、筒状部1dが形成される。図5Cの工程では、U字状部1bが変形されてU字状部1cとなる。このとき、U字状部1cの2つの端部は、突起部33にあたって停止し、2つの端部の間に隙間が生じる。その隙間が管状部1eのスリット3となる。図5Dの状態において、端部E1と端部E2とは、突起部33を挟んで対向している。
第4実施形態の製造方法において、金型30の押圧面全体の断面周長を、U字状部1bの断面長さLUと実質的に等しくしてもよい。その場合、U字状部1bを大きく変形させて筒状部1dを形成する際に、周方向に圧縮力が加わることを抑制できる。そのため、筒状部1dを形成する際に座屈などが生じることを抑制できる。
次に、図5Eに示すように、U字状部1bの端部E1およびE2が突起部33を挟んだままの状態で、筒状部1dの外周面を押圧することによって、筒状部1dの断面周長LTを短くする(工程(ii−2))。具体的には、可動部31bおよび32bの押圧面31bpおよび32bpを、本体部31aおよび32bの押圧面31apおよび32apから突出させることによって筒状部1dの外周面を押圧する。第4実施形態では、筒状部1dの側面を左右から押圧する。工程(ii−2)において筒状部1dの断面周長LTを短くすることによって管状部1eの断面周長LHをU字状部1bの断面長さLUよりも短くする。このようにして、図5Fに示す管状部1e(金属成形品)が得られる。管状部1eの突き合わせ部2には、スリット3が形成されている。
第4実施形態の製造方法でも、筒状部1dを周方向に圧縮することによって管状部1eが形成される。そのため、第2および第3実施形態で説明したように、スリット3を精度よく形成できる。また、第3および第4実施形態の製造方法では、可動部の移動量を変化させることによって、上述した圧縮率を容易に変化させることができる。そのため、金属板1aの厚さや物性が少し変化した場合でも、金型を変更することなく所望の管状部1eを製造方法できる場合がある。
図15A〜図15Eを参照しながら、第4実施形態の工程(ii)に用いることが可能な製造装置の一例について説明する。この製造装置は、第1の支持台151、2つの伸縮機構141a、2つのシャフト153、2つのカムユニット154を含む。伸縮機構141aおよびシャフト153は、第1の支持台151に配置されている。伸縮機構141aはプレス方向に伸縮可能であり、本体部31aを押圧する。
第4実施形態の工程(ii)では、まず、図15Aに示すように、金型30内にU字状部1bを配置する。次に、図15Bおよび15Cに示すように、第1の支持台151を押し下げる。これによって、上述した工程(ii−1)を行い、筒状部1dを得る。次に、図15Dに示すように、伸縮機構を縮めながら第1の支持台151をさらに押し下げる。このとき、2つのシャフト153によって2つのカムユニット154が動かされ、カムユニット154によって可動部31bおよび32bが動かされる。これによって、図15Dに示すように、可動部31bおよび32bの押圧面が本体部31aおよび32aの押圧面から突出して、筒状部1dの外周面を押圧する。このようにして、工程(ii−2)が行われる。
図15Aに示した装置において、第1の支持台151を下方に移動させる機構(図示せず)と、伸縮しない状態の伸縮機構141aとが、上述した製造装置(b)の第1の移動機構に相当する。また、第1の支持台151を下方に移動させる機構、シャフト153、およびカムユニット154が、第2の移動機構を構成する。これらの移動機構は、公知のプレス装置の移動機構を本発明の製造装置に適合するように用いることによって実現してもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態では、本発明の製造方法およびそれに用いられる金型の他の一例について説明する。第5実施形態の製造方法は、工程(i)および工程(ii)を含む。工程(i)は、第2実施形態で説明した工程(i)と同様であるため、重複する説明を省略する。
図6Aに、第5実施形態の工程(ii)で用いられる金型を模式的に示す。第5実施形態の金型20は、上型(第1の金型)21と下型(第2の金型)22とを含む。
上型21は、スリット3を形成するための板状の突起部23を有する。第1の上型21および第2の下型22はそれぞれ、U字状部1bの外周面を押圧して筒状部1dを形成するための押圧面21pおよび22pを含む。第5実施形態の金型20において、押圧面全体の断面周長は、U字状部1bの断面長さLUよりも短い。この金型20を用いてU字状部1bを変形させることによって、管状部1eの断面周長LHをU字状部1bの断面長さLUよりも短くできる。
次の工程(ii)について、図6B〜図6Eを用いて説明する。第5実施形態の工程(ii)は、上述した例(C)の工程である。第5実施形態の工程(ii)では、まず、図6Bに示すように、金型20内にU字状部1bを配置する。次に、図6Cおよび図6Dに示すように、U字状部1bの端部E1と端部E2とが突起部23を挟むように金型20を用いてU字状部1bを変形させることによって、筒状部1dを形成する。具体的には、上型21と下型22とを近づけ、U字状部1bの外周面を金型20の押圧面で押圧する。図6Cの工程では、U字状部1bが変形されてU字状部1cとなる。このとき、U字状部1cの2つの端部は、突起部23にあたって停止し、2つの端部の間に隙間が生じる。その隙間が管状部1eのスリット3となる。
図6Dは、筒状部1dの断面周長LTが、U字状部1bの断面長さLUとほぼ同じである状態の一例を示している。金型20の押圧面の断面周長はU字状部1bの断面長さLUよりも短いため、図6Dの段階では、上型21と下型22とは接触していない。すなわち、図6Dの段階では、金型20はまだ閉じられてはいない。
図6Dの段階からさらに上型21および下型22を近づけ、図6Eに示すように金型20を閉じる。例えば、上型21を下死点まで移動させ、上型21と下型22とを接触させる。この過程では、2つの端部E1と端部E2とが突起部23を挟んだ状態で筒状部1dの外周面が金型20の押圧面で押圧される。これによって、図6Fに示す、突き合わせ部2にスリット3を有する管状部1eが形成される。金型20の押圧面の断面周長は、U字状部1bの断面長さLUよりも短い。そのため、管状部1eの断面周長LHは、U字状部1bの断面長さLUよりも短くなる。すなわち、図6Eの工程では、筒状部1dが周方向に圧縮されて管状部1eとなる。
なお、金型20を完全に閉じる前に管状部1eの断面周長LHがU字状部1bの断面長さLUよりも短くなる場合には、金型20を完全に閉じる前に成形を終了することも可能である。その場合、上型21と第2の下型22とをどの程度まで近づけるかを調整することによって、管状部1eの圧縮率を調整することが可能である。
第5実施形態の製造方法でも、筒状部1dを周方向に圧縮することによって管状部1eが形成される。そのため、第2実施形態で説明したように、スリット3を精度よく形成できる。
本発明の金型は、突起部が交換可能であってもよい。突起部が交換可能な金型の一例を図7に示す。図7の金型20は、上型(第1の金型)21と、下型(第2の金型)22とを含む。上型21は、突起部23を含む部分24を有する。部分24は、上型21の孔25に差し込まれており、交換可能となっている。突起部23は、U字状部の2つの端部(端部E1およびE2)が接触する部分であり、摩耗や変形が生じやすい。そのため、突起部23を交換可能とすることが好ましい。さらに、突起部23を交換可能とすることによって、上述した効果が得られる。
別の観点では、本発明は、突き合わせ部に隙間を有する略閉断面部品を製造する方法を提供する。以下では、この観点の製造方法を、製造方法(S)と称する。製造方法(S)は、第1工程および第2工程を含む。第1工程では、金属板をU字形に成形し、U成形品を得る。このU成形品は、上述した工程(i)で形成されるU字状部を含む成形品に対応する。第2工程では、金型を用いて、前記U成形品を略閉断面に成形し、略閉断面部品の断面周長を前記U成形品の断面周長よりも短くする。使用される金型は、略閉断面部品の突き合わせ部に対応する突起部を有し、前記略閉断面部品の断面周長を調整可能な機構を有する。この金型の例には、上述した金型(a)、(b)および(c)が含まれる。第1工程および第2工程はそれぞれ、上述した工程(i)および(ii)に対応する。隙間を有する略閉断面部品は、上述した、スリットを有する管状部を含む金属成形品に対応する。「略閉断面部品」とは、略閉断面を有する部品をいう。「略閉断面」とは、管状に成形された金属板の突き合わされた2つの端部の間に隙間が存在する断面をいう。略閉断面部品は、突き合わせ部の全長にわたって隙間を有していてもよく、突き合わせ部の一部に隙間を有していてもよい。
製造方法(S)では、前記金型の断面周長が前記U成形品の断面周長よりも短くてもよい。ここで、「金型の断面周長」とは、金型を完全に閉じたときの金型の断面周長を指す。金型を完全に閉じたときの金型の断面周長をU成形品の断面周長よりも短くすることによって、略閉断面部品の断面周長をU成形品の断面周長よりも短くできる。この構成を有する金型は、上述した金型(a)および(c)に対応する。
製造方法(S)では、前記金型が前記突起部を有する上型と下型とを有し、前記上型および前記下型の少なくともいずれか一方が本体部と可動部とを有してもよい。この構成を有する金型は、上述した金型(b)に対応する。
別の観点では、本発明は、U成形品を略閉断面に成形し、突き合わせ部に隙間を有する略閉断面部品を製造するための金型を提供する。以下では、この金型を、金型(T1)と称する。金型(T1)は、前記略閉断面部品の突き合わせ部に対応する突起部を有する上型と、下型とを有する。金型(T1)は、前記略閉断面部品の断面周長を調整可能な機構を有する。そして、前記上型および前記下型の少なくとも一方が複数に分割されている。金型(T1)は、上述した金型(a)に対応する。金型(T1)では、前記上型の前記突起部が分割されていてもよい。この構成を有する金型の一例は、図3Aに示した金型20である。
別の観点では、本発明は、U成形品を略閉断面に成形し、突き合わせ部に隙間を有する略閉断面部品を製造するための他の金型を提供する。以下では、この金型を金型(T2)と称する。金型(T2)は、前記略閉断面部品の突き合わせ部に対応する突起部を有する上型と、下型とを有する。金型(T2)は、前記略閉断面部品の断面周長を調整可能な機構を有する。そして、前記上型および前記下型の少なくとも一方が本体部と可動部とを有する。金型(T2)は、上述した金型(b)に対応する。
上記金型(T1)および(T2)では、前記突起部が交換可能であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
実施例1では、図2A〜2Bに示した製造方法によってU成形品(U字状部)を形成し、さらに図3B〜3Eに示した製造方法によって、スリットを有する管状部材(金属成形品)を作製した。金属板(ブランク)には、TS(引張強度)が590MPaで、板厚が2.3mmの熱間圧延鋼板を用いた。管状部材の外径は50mm、長さは200mmとした。上型の突起部の幅は、5mmとした。
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同様の金属板を用いて、図2A〜2Bおよび図4B〜4Eに示した製造方法によって、スリットを有する管状部材を作製した。管状部材の寸法および上型の突起部の幅は、実施例1と同様とした。
[実施例3]
実施例3では、実施例1と同様の金属板を用いて、図2A〜2Bに示した製造方法によってU成形品(U字状部)を形成し、さらに図5B〜5Eに示した製造方法によって、スリットを有する管状部材を作製した。管状部材の寸法および上型の突起部の幅は、実施例1と同様とした。
[実施例4]
実施例4では、実施例1と同様の金属板を用いて、図2A〜2Bに示した製造方法によってU成形品(U字状部)を形成し、さらに図6B〜6Eに示した製造方法によって、スリットを有する管状部材を作製した。管状部材の寸法および上型の突起部の幅は、実施例1と同様とした。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同様の金属板を用いて、図2A〜2Bに示した方法によってU成形を行った。その後、図10A〜10Bに示すように、突起部を有さない金型(上型51および下型52)を用いてO成形を行うことによって、管状部材50aを作製した。金型を完全に閉じたときの金型の押圧面の断面周長は、U成形品(U字状部)の断面長さと同一とした。
[比較例2]
実施例1と同様の金属板を用いて、図2A〜2Bに示した方法によってU成形を行った。その後、図11A〜11Bに示すように、突起部を有さない金型(上型51および下型52)と中子53とを用いてO成形を行った。このようにして、スリットを有する管状部材50bを作製した。金型を完全に閉じたときの金型の押圧面の断面周長は、U成形品(U字状部)の断面長さよりも長くした。
なお、実施例1〜4の圧縮率Cは0.99%とした。比較例1および2の圧縮率Cは約0%とした。
[評価]
実施例1、比較例1、および比較例2の管状部材について、断面における板厚方向の歪分布を測定した。測定結果を図12Aに示す。図12Aの縦軸は、歪の絶対値を示す。図12Aに示すように、実施例1の管状部材は、比較例1および2の管状部材に比べて歪の絶対値が大きく、板厚方向の歪分布が小さかった。この結果は、実施例1の管状部材では、板厚方向の全体にほぼ均等に圧縮応力が加わっていることを示唆している。
さらに、実施例2〜4、および比較例2の管状部材について、断面における周方向の歪分布を測定した。測定結果を図12Bに示す。図12Bの縦軸は、歪の絶対値を示す。図12Bにおいて、管状部材の断面の底部を0°とし、突き合わせ部を180°とした。図12Bに示すように、実施例2〜4の管状部材は、比較例2の管状部材に比べて歪の絶対値が大きかった。この結果は、実施例2〜4の管状部材では、周方向全体にわたって大きな圧縮応力が発生していることを示唆している。
図12Aおよび図12Bに示されるように、実施例1〜4の製造方法によれば、管状部材の板厚方向および周方向に加わる圧縮応力をより均等にすることが可能である。そのため、実施例1〜4の製造方法によれば、スプリングバックを抑制でき、形状精度が高い金属成形品を製造することが可能である。
実施例1、比較例1および2の管状部材について、ビッカース硬さの分布を、FEM(有限要素法)によるシミュレーションの結果を利用して求めた。その分布から、上述した第1の位置の板厚方向におけるビッカース硬さのバラツキSを求めた。同様に、第2および第3の位置についても、板厚方向におけるビッカース硬さのバラツキSを求めた。その結果、実施例1の管状部材では、第1、第2、および第3のいずれの位置でも、バラツキSは約0.1であった。すなわち、実施例1の管状部材では、バラツキSの周方向の平均値は約0.1であった。この結果は、実施例1の管状部材では、ビッカース硬さのバラツキが板厚方向および周方向のいずれにおいても小さいことを示唆している。一方、比較例1および2では、第1、第2、および第3のいずれの位置でも、バラツキSは約0.7であった。すなわち、比較例1および2の管状部材では、バラツキSの周方向の平均値は約0.7であった。
上述のバラツキSの周方向の平均値と、一軸圧縮強度の減少率との関係を示すグラフを、図13に示す。図13のグラフは、バラツキSの周方向の平均値が所定の値となる複数の丸管を想定し、それらの丸管について一軸圧縮試験を行ったときの結果をシミュレーションすることによって得たグラフである。図13のグラフの縦軸は、バラツキSの周方向の平均値が0である丸管を基準としたときの一軸圧縮強度の減少率である。具体的には、当該丸管について一軸圧縮試験のシミュレーションを行い、そのときの一軸圧縮強度を基準として他の丸管の一軸圧縮強度の減少率(%)を求めた結果を、図13のグラフの縦軸に示している。
参考のため、図13には、一軸圧縮強度の減少率の変化の傾向を表す2つの点線を示す。図13に示すように、バラツキSの周方向の平均値が0.4以上である場合には、一軸圧縮強度の減少率が大きく増加した。一方、バラツキSの周方向の平均値が0.4未満である場合には、一軸圧縮強度の減少率が小さかった。図13の結果は、バラツキSの周方向の平均値を0.4未満とすることが重要であることを示唆している。
金属板を周方向に圧縮することがない従来のO成形(比較例1および2のO成形)では、スプリングバックが大きく、スリットを精度よく形成することが難しい。一方、本発明の製造方法によれば、スリットの間隔を精度よく形成できる。また、従来のO成形は単純な曲げ成形であるため、板厚中心の加工硬化が少なく、得られる成形品の疲労強度が低い。これに対し、本発明の製造方法によれば、疲労強度が高い金属成形品が得られる。また、スリットを有する管状部材を製造するための従来の方法では、金属板を少しずつ曲げてから管状にしたり、金属板に絞りを加えてから管状にしたりすることが必要な場合があった。そのような従来の製造方法と比較して、本発明によれば、工程数を減らすことが可能であり、その結果、コストダウンが可能である。
本発明は、スリットを有する管状部を含む金属成形品、およびその製造方法に利用できる。さらに、本発明は、当該成形品を製造するための製造装置、およびそれに用いられる金型に利用できる。
1 金属成形品
1a 金属板
1b、1c U字状部
1d 筒状部
1e 管状部
2 突き合わせ部
3 スリット(隙間)
11 ダイ
12 ポンチ
20、30 金型
21、31上型
21a 第1の上型
21b 第2の上型
22、32 下型
22a 第1の下型
22b 第2の下型
23、33 突起部
23a 第1の突起部
23b 第2の突起部
31a、32a 本体部
31b、32b 可動部
E1、E2 端部

Claims (15)

  1. スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造する製造方法であって、
    (i)金属板を変形させることによって、断面がU字状であるU字状部を形成する工程と、
    (ii)前記U字状部の2つの端部が突起部を挟むように前記突起部を有する金型を用いて前記U字状部を変形させることによって、前記スリットを有する前記管状部を形成する工程とを含み、
    前記(ii)の工程において、前記管状部の断面周長LHを前記U字状部の断面長さLUよりも短くする、金属成形品の製造方法。
  2. 前記U字状部の前記断面長さLUと前記管状部の前記断面周長LHとが、
    0.2≦100×(LU−LH)/LU<1の式を満たす、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(ii)の工程は、
    (ii−1)前記U字状部の前記2つの端部が前記突起部を挟むように前記金型を用いて前記U字状部を変形させることによって、前記管状部となる筒状部を形成する工程と、
    (ii−2)前記2つの端部が前記突起部を挟んだ状態で前記筒状部の外周面を押圧することによって、前記筒状部の断面周長LTを短くする工程と、を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記金型は、前記突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含み、
    前記第1および第2の金型はそれぞれ、前記U字状部を変形させて前記筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含み、
    前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は複数の金型部材に分離可能であり、
    前記(ii−1)の工程において、前記複数の金型部材が分離された状態にある前記金型を用いて前記U字状部を変形させることによって前記筒状部を形成し、
    前記(ii−2)の工程において、前記複数の金型部材を接近させることによって前記筒状部の外周面を押圧し、それによって前記筒状部の前記断面周長LTを短くする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記金型は、前記管状部の外周面に対応する押圧面を含み、
    前記押圧面の断面周長が前記U字状部の断面長さLUよりも短い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記金型は、前記突起部を有する第1の金型と、第2の金型とを含み、
    前記第1および第2の金型はそれぞれ、前記U字状部を変形させて前記筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含み、
    前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、前記本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含み、
    前記(ii−1)の工程において、前記可動部の押圧面が前記本体部の押圧面から突出していない状態にある前記金型を用いて前記U字状部を変形させることによって前記筒状部を形成し、
    前記(ii−2)の工程において、前記可動部の前記押圧面を前記本体部の前記押圧面から突出させることによって前記筒状部の外周面を押圧し、それによって前記筒状部の前記断面周長LTを短くする、請求項3に記載の製造方法。
  7. スリットを有する管状部を含む金属成形品であって、
    前記管状部の断面における板厚方向のビッカース硬さのバラツキSを以下の式で表したときに、バラツキSの周方向の平均値が0.4未満である、金属成形品。
    S=(Bmax−Bmin)/Bmax
    ここで、Bminは、前記断面における板厚方向のビッカース硬さの最小値である。Bmaxは、前記断面における板厚方向のビッカース硬さの最大値である。
  8. スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための製造装置であって、
    金型と、前記金型を移動させるための移動機構とを含み、
    前記金型は、前記スリットを形成するための突起部を含む第1の金型と、第2の金型とを含み、
    前記第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させて前記スリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含み、
    前記金型は、前記筒状部の断面周長が短くなるように前記筒状部の外周面を押圧するための構成を有する、製造装置。
  9. 前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型が複数の金型部材に分離可能であり、
    前記移動機構は、前記複数の金型部材が分離した状態で前記第1の金型と前記第2の金型とを接近させる第1の移動機構と、
    分離している前記複数の金型部材を接近させる第2の移動機構とを含む、請求項8に記載の製造装置。
  10. 前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、前記本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含み、
    前記移動機構は、
    前記可動部が前記第1および第2の押圧面から突出していない状態で前記第1の金型と前記第2の金型とを接近させる第1の移動機構と、
    前記押圧面から突出するように前記可動部を移動させる第2の移動機構とを含む、請求項8に記載の製造装置。
  11. スリットを有する管状部を含む金属成形品を製造するための金型であって、
    前記スリットを形成するための突起部を含む第1の金型と、第2の金型とを含み、
    前記第1および第2の金型はそれぞれ、断面がU字状であるU字状部を変形させて前記スリットとなる隙間を有する筒状部を形成するための第1および第2の押圧面を含み、
    前記筒状部の断面周長が短くなるように前記筒状部の外周面を押圧するための構成を有する、金型。
  12. 前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型が複数の金型部材に分離可能である、請求項11に記載の金型。
  13. 前記第1の金型が第1の金型部材と第2の金型部材とに分離可能であり、
    前記突起部が、前記第1の金型部材に含まれる第1の突起部と前記第2の金型部材に含まれる第2の突起部とによって構成されている、請求項12に記載の金型。
  14. 前記第1の金型および前記第2の金型から選ばれる少なくとも1つの金型は、本体部と、前記本体部に対して相対的に移動可能な可動部とを含む、請求項11に記載の金型。
  15. 前記突起部が交換可能である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の金型。
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