JPWO2016136228A1 - Ptcサーミスタ部材およびptcサーミスタ素子 - Google Patents

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Abstract

大きなPTC効果を備えるとともに通電耐久性を備えるPTCサーミスタ部材およびPTCサーミスタ素子を提供することが目的である。PTCサーミスタ素子(1)は、PTCサーミスタ部材(2)と、電極(3a)、(3b)と、を有している。PTCサーミスタ部材(2)は、母相と、母相の全体に分散された導電粒子と、を含有する。母相は、電気絶縁性の無機材料を含有する。無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。導電粒子は、第1の導電粒子と、第1の導電粒子と材質の異なる第2の導電粒子と、を有する。第1の導電粒子は、融点が1550℃以上の粒子である。第2の導電粒子は、金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1550℃未満の粒子と、のうちのいずれかである。【選択図】図1

Description

本明細書の技術分野は、PTCヒーターや過電流保護素子等に好適に用いられるPTCサーミスタ部材およびPTCサーミスタ素子に関する。
PTC(Positive Temperature Coefficient of resistance)材料は、特定の温度において急激に電気抵抗値が増加する性質を有する。そのため、例えばリチウムイオン二次電池の短絡電流を抑制する用途、モーターの過負荷電流を防止する用途の限流素子として利用されている。また、通電することで自発的に一定の温度を保持するヒーター材料として利用されている。
PTC材料としては、特許文献1に示すように、所定の温度で電気的特性が変化するチタン酸バリウム系セラミックスが最もよく知られている。しかし、室温におけるチタン酸バリウム系セラミックスの電気抵抗率は高い。そのため通電による損失が大きい。また、仕様により鉛を添加する必要がある。そのため、地球環境面で問題がある。さらには、製造コストが高い。そこで、他のPTC材料が探索されてきている。
その結果、ポリマーを母材とするとともに導電性物質を添加剤とする複合材料にPTC特性が見出された。ここで、PTC特性とは、特定の温度において急激に電気抵抗率が増加する定性的な特性のことである。例えば、特許文献2には、絶縁体であるポリエチレン等の結晶性ポリマーにカーボン等の導電粒子を混合した複合材料が開示されている。この複合材料では、特定の混合比においてポリマーマトリックス中に導電パスが形成される。そのため、導電粒子の増加にともなって、電気抵抗率が急激に減少する混合比が存在する。
このような混合比で製造された複合材料では、ポリマーの熱膨張は導電粒子の熱膨張よりもはるかに大きい。そのため、この複合材料の温度を上昇させていくと、結晶性ポリマーが溶解する際にこの結晶性ポリマーが急激に膨張する。この膨張する結晶性ポリマーが、ポリマー中で導電パスを形成している導電粒子同士を引き離す。そのため、導電パスは切断されて電気抵抗率は急激に上昇する。これにより、PTC特性が発現する。
一方、ポリマー等の有機材料を母材とする複合材料では、耐熱性が低い。そのため、150℃以上の高温に保持するヒーター用途では安定に動作しない。また、カーボンを導電粒子とするため比抵抗が1Ω・cm程度のものしか得られない。すなわち、用途が非常に限定される。
そこで、クリストバライトもしくはトリジマイトに導電粒子を混合した複合材料が開発されてきている。クリストバライトおよびトリジマイトは、熱膨張率の高い無機材料である。特許文献3−5には、ポリマー等を母材とする複合材料に比べて1桁から2桁程度低い室温抵抗率を備える無機複合PTCサーミスタ部材が開示されている。この無機複合PTCサーミスタ部材では、ポリマーを用いたPTCサーミスタ部材に比べて耐熱性が優れている。
WO/2010/038770号 特公昭62−50505号公報 特開平9−180906号公報 特開平10−261505号公報 特開平10−261506号公報
クリストバライトは、低温型の結晶構造と高温型の結晶構造とを有している。そのため、クリストバライトの温度を上昇させていくと、相転移温度で低温型の結晶構造から高温型の結晶構造へ相転移する。そして、その際に、クリストバライトは、比較的顕著に体積膨張する。また、クリストバライトは、脆性材料である。そのため、長時間継続する通電や通電の繰り返しにより、これらの無機複合材料にクラックが生じる。トリジマイトについても、クリストバライトと同様の問題が生じる。
そのため、PTCサーミスタ部材として使用を継続することにより、複合材料の室温における電気抵抗率が徐々に増加する。つまり、通電の繰り返しによる耐久性の低下がみられる。特に、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比(PTC効果)が大きい複合材料では、通電の繰り返しおよび長時間の通電による耐久性(通電耐久性)の低下が顕著である。
本発明者らは、この理由を次のように考えるに至った。この無機複合PTCサーミスタ部材は、相転移温度で大きく熱膨張する母相の中に比較的熱膨張の小さい導電粒子が分散した構造を有している。そのため、PTCサーミスタ素子に通電動作をさせる際に、繰り返し回数や通電時間の累積に伴いクラックの進展、あるいは新たなクラックの生成が生じ易い。
なお、導電粒子の平均粒子径が大きいほど、PTC効果は大きい。また、母相の熱膨張率が大きいほど、PTC効果は大きい。しかし、PTC効果の大きいPTCサーミスタ部材を作製すると、そのPTCサーミスタ部材の繰り返し通電や長時間通電に対する耐久性は低い傾向にある。つまり、導電粒子が大きいほど、もしくは母相の熱膨張が大きいほど、導電粒子の周辺に生じる応力が大きい。その結果、繰り返し通電や長時間通電に対する耐久性が低下する。このように、一般的には、電気的な「PTC効果」と機械的な「通電耐久性」とは、トレードオフの関係にある。
なお、本明細書において、「PTC効果」とは、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比のことをいうものとする。また、「通電耐久性」とは、通電に対するPTCサーミスタ部材の耐久性のことをいう。「通電耐久性」とは、「サイクル耐久性」と「長時間耐久性」とを含むものとする。「サイクル耐久性」とは、通電を繰り返した場合における電気抵抗率の変化のことをいう。「長時間耐久性」とは、電圧を長時間印加し続けた場合における電気抵抗率の変化のことをいう。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、大きなPTC効果を備えるとともに通電耐久性を備えるPTCサーミスタ部材およびPTCサーミスタ素子を提供することである。
第1の態様におけるPTCサーミスタ部材は、母相と、母相の全体に分散された複数の導電粒子と、を含有する。母相は、電気絶縁性の無機材料を含有する。無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。複数の導電粒子は、第1の導電粒子と、第1の導電粒子と材質の異なる第2の導電粒子と、を有する。第1の導電粒子は、融点が1550℃以上の粒子である。第2の導電粒子は、金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1550℃未満の粒子と、のうちのいずれかである。
このPTCサーミスタ部材は、第1の導電粒子および第2の導電粒子を有する。そして、第1の導電粒子および第2の導電粒子の融点は、異なっている。このPTCサーミスタ部材の内部では、これらの2種類の導電粒子が混在して、導電パスを形成する。この場合には、第2の導電粒子は、比較的低い融点をもつ金属材料または母相との親和性が比較的高い珪化物またはホウ化物または炭化物である。そのため、第2の導電粒子は機械的強度を高める効果を有する。よって、無機材料として熱膨張の大きな条件で設計した場合であっても、通電耐久性に優れている。また、高いPTC効果を奏する。そのため、このPTCサーミスタ部材について、車載用電気機器、家電製品、情報機器などに内蔵される過電流保護素子として好適に利用できる。また、PTCヒーター用素子として好適に利用できる。また、母相との親和性が比較的高い珪化物またはホウ化物または炭化物は、第1の導電粒子との組み合わせによっては第2の導電粒子として用いることができる。
第2の態様におけるPTCサーミスタ部材では、第1の導電粒子は、金属、合金、金属炭化物、金属窒化物、金属珪化物、金属炭化珪化物、のうちのいずれかである。
第3の態様におけるPTCサーミスタ部材では、第1の導電粒子は、タングステン、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、チタン、クロム、バナジウム、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、珪化モリブデン、珪化ニオブ、珪化タンタル、珪化クロム、珪化タングステン、これらの材料を含有する合金または固溶体のうちのいずれかである。
第4の態様におけるPTCサーミスタ部材では、第2の導電粒子は、金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1100℃以上1550℃未満の粒子とのうちのいずれかである。
第5の態様におけるPTCサーミスタ部材では、無機材料は、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうち少なくとも1つ以上の材料を含有する。
第6の態様におけるPTCサーミスタ部材では、母相に占める複数の導電粒子の総和の体積分率は、19%以上32%以下の範囲内である。
第7の態様におけるPTCサーミスタ部材では、母相に占める第1の導電粒子の体積分率は、複数の導電粒子の総和の体積分率の4%以上95%以下である。
第8の態様におけるPTCサーミスタ部材では、第2の導電粒子がアトマイズ法により作製されたものである。
第9の態様におけるPTCサーミスタ素子は、上記に記載のPTCサーミスタ部材と、PTCサーミスタ部材と電気的に接続された第1電極および第2電極と、を有する。
本明細書では、大きなPTC効果を備えるとともに通電耐久性を備えるPTCサーミスタ部材およびPTCサーミスタ素子が提供されている。
実施形態におけるPTCサーミスタ部材を用いた過電流保護素子(限流デバイス)またはPTCヒーター素子を示す模式図である。
以下、実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、PTCサーミスタ部材およびPTCサーミスタ素子について説明する。以下の実施形態において、「PTC効果」とは、室温における電気抵抗率に対する高温での相転移後の電気抵抗率の比のことをいうものとする。また、「通電耐久性」とは、通電に対するPTCサーミスタ部材の耐久性のことをいう。「通電耐久性」とは、「サイクル耐久性」と「長時間耐久性」とを含むものとする。「サイクル耐久性」とは、通電を繰り返した場合における電気抵抗率の変化のことをいう。「長時間耐久性」とは、電圧を長時間印加し続けた場合における電気抵抗率の変化のことをいう。
(第1の実施形態)
1.PTCサーミスタ素子
図1は、本実施形態のPTCサーミスタ部材を備えるPTCサーミスタ素子の概略構成を示す図である。PTCサーミスタ素子1は、複数の無機材料を含有する無機複合PTCサーミスタ素子である。図1に示すように、PTCサーミスタ素子1は、PTCサーミスタ部材2と、電極3a、3bと、を有している。電極3a、3bは、PTCサーミスタ部材2の両側の面にそれぞれ形成されている。電極3a、3bは、それぞれ、PTCサーミスタ部材2に電気的に接続されている。
2.PTCサーミスタ部材
PTCサーミスタ部材2は、母相と、母相の全体に分散された導電粒子と、を含有する。母相は、電気絶縁性の無機材料を含有する。この無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。導電粒子は、第1の導電粒子および第2の導電粒子を有する。
PTCサーミスタ部材2の電気的特性および機械的特性は、原材料の条件や製造工程の条件に依存する。例えば、導電粒子の材質や平均粒子径、無機材料の材質や平均粒子径を変えることにより、異なる特性のPTCサーミスタ部材2が得られる。
2−1.無機材料
無機材料は、粒子状の電気絶縁性無機材料である。また、無機材料は、相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものである。無機材料として、クリストバライト型二酸化珪素、トリジマイト型二酸化珪素、クリストバライト型リン酸アルミニウム、トリジマイト型リン酸アルミニウム、カーネギアイト(NaAlSiO4 )のうち少なくとも1つ以上の材料を含有する。
これらのうち、クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムとについては、急激な熱膨張が起こる相転移温度が120℃以上250℃以下の範囲内にある。そのため、これらの材料は、PTCサーミスタ部材2の母相として好適である。
これら無機材料における相転移温度前後での熱膨張率は、0.3%以上1.3%以下の程度である。表1に示すように、クリストバライト型二酸化珪素の熱膨張率は、1.3%である。トリジマイト型二酸化珪素の熱膨張率は、0.8%である。クリストバライト型リン酸アルミニウムの熱膨張率は、0.6%である。トリジマイト型リン酸アルミニウムの熱膨張率は、0.5%である。カーネギアイトの熱膨張率は、0.3%である。なお、これらの無機材料では、高温での結晶構造における体積は、低温での結晶構造の体積よりも大きい。
[表1]
無機材料 熱膨張率
クリストバライト型二酸化珪素 1.3%
トリジマイト型二酸化珪素 0.8%
クリストバライト型リン酸アルミニウム 0.6%
トリジマイト型リン酸アルミニウム 0.5%
カーネギアイト 0.3%
電気絶縁性の無機材料の平均粒子径は、1μm以上50μm以下であるとよい。平均粒子径の測定は「JIS Z 8827-1:2008 粒子径解析−画像解析法」に基づく。試料には対象の無機材料の研磨面試料を用い、研磨面の電子顕微鏡写真から対象粒子を抽出して「円相当径」を用いる。計測対象サンプリング数は「JIS Z 8827-1:2008 」中の表3に定義される最小サンプリング数を適用する。無機材料の平均粒子径が50μm以下の場合には、焼結温度を低く設定しても母相全体の焼結密度は高い。
2−2.第1の導電粒子
導電粒子は、母相に導電性を付与するためのものである。導電粒子は、導電性フィラーと呼ばれることもある。第1の導電粒子は、融点が1550℃以上の導電性粒子である。このように、第1の導電粒子の融点は、比較的高い。第1の導電粒子は、金属材料、金属炭化物、金属珪化物、金属窒化物、のうちのいずれかである。具体的には、第1の導電粒子は、タングステン、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、チタン、クロム、バナジウム、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、珪化モリブデン、珪化ニオブ、珪化タンタル、珪化クロム、珪化タングステン、これらの材料を含有する合金または固溶体のうちのいずれかであるとよい。
第1の導電粒子の平均粒子径は、4μm以上70μm以下である。また、第1の導電粒子の平均粒子径が20μm以上50μm以下であると、PTCサーミスタ部材2は、顕著なPTC効果と高い通電耐久性を示す。第1の導電粒子の平均粒子径の測定方法は、無機材料の平均粒子径の測定方法と同じである。
また、無機材料としてシリコンを含む電気絶縁性の母相材料を用いる場合には、導電粒子として金属珪化物、金属ホウ化物、金属炭化物、高導電性SiC系材料を用いることが好ましい。母相材料と導電粒子との間に結合が生じると考えられるからである。すなわち、この組み合わせを用いたPTCサーミスタ部材2の耐久性は高い。
2−3.第2の導電粒子
第2の導電粒子は、金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1550℃未満の導電粒子と、のうちのいずれかである。金属ホウ化物または金属珪化物または金属炭化物の場合には、融点が1550℃以上の材料を用いてもよい。つまり、金属ホウ化物、金属珪化物、金属炭化物の場合には、融点は何℃であってもよい。第2の導電粒子が、融点が1550℃未満の導電性粒子の場合には、その融点が1100℃以上あるとよい。また、第2の導電粒子の種類は、第1の導電粒子の種類と異なっている。第2の導電粒子として、例えば、TiB2 、ZrB2 、HfB2 、VB2 、NbB2 、TaB2 、CrB2 、MoB2 、W2 5 、MoSi2 、TiSi2 、FeSi2 、ZrSi2 、VSi2 、NbSi2 、TaSi2 、CrSi2 、WSi2 、CoSi2 、TiC、WC、ZrC、HfC、VC、NbC、TaC、Cr3 2 、Mo2 C、Fe、Ni、ステンレス鋼、ニッケル鋼、Ni−Mo−Cr−Nb合金等が挙げられる。
第2の導電粒子は、アトマイズ法で作製されたものであるとよい。ガスアトマイズ法を用いることにより、球形に近い粒子が得られる。水アトマイズ法を用いることにより、やや不規則な形状の粒子もしくは球形に近い粒子が得られる。アトマイズ法により製造された第2の導電粒子を用いたPTCサーミスタ部材2は、通電動作中に母相内に生じる応力を緩和する。そのため、このPTCサーミスタ部材2は、高い通電耐久性を備える。
第2の導電粒子の平均粒子径は、10μm以上60μm以下であるとよい。また、第2の導電粒子の平均粒子径が15μm以上50μm以下であると、PTCサーミスタ部材2は、顕著なPTC効果と高い通電耐久性を示す。第2の導電粒子の平均粒子径の測定方法は、無機材料の平均粒子径の測定方法と同じである。
2−4.導電粒子の体積分率
母相に占める複数の導電粒子の総和の体積分率は、19%以上32%以下の範囲内である。また、母相に占める複数の導電粒子の総和の体積分率は、19%以上26%以下の範囲内であると、PTC効果が高い。母相に占める複数の導電粒子の総和の体積分率は、22%以上26%以下の範囲内であると、通電耐久性が優れている。複数の導電粒子の総和の体積に占める第1の導電粒子の体積分率は、4%以上95%以下である。
なお、複数の導電粒子の平均粒子径や母相に占める体積分率により、PTCサーミスタ部材2の内部における導電パスの様相が変わる。複数の導電粒子の総和の体積分率が増加すると、PTCサーミスタ部材2の比抵抗は減少し、PTC特性は低下し、通電耐久性は向上する傾向がある。PTC特性および通電耐久性は、複数の導電粒子の総和の体積に占める第1の導電粒子の体積分率に依存する。特に、4%未満の場合と95%より大きい場合に、PTC特性、通電耐久性のいずれかが、好ましい範囲を超える。
3.PTCサーミスタ部材の特性
本実施形態のPTCサーミスタ部材2は、相転移温度で結晶構造が相転移する無機材料を含有している。無機材料は、熱膨張により、導電粒子と導電粒子とを引き離す役割を担っている。この熱膨張により、導電粒子が形成する導電パスのうちの大部分が切断される。そのため、高いPTC効果が発揮される。
また、粒径の大きい導電粒子を用いた場合や、熱膨張の大きな無機材料を用いた場合であっても、通電耐久性を犠牲にすることなくPTC効果の高いPTCサーミスタ部材2が得られる。相転移温度以上の温度におけるPTCサーミスタ部材2の電気抵抗率は、室温でのPTCサーミスタ部材2の電気抵抗率に比べて100倍以上大きい。PTCサーミスタ部材2のうちには、1万倍から100万倍程度と高いPTC効果を示すとともに、通電耐久性も備えているものもある。
また、本実施形態で用いる無機材料は、PTCサーミスタ部材2の母材として好適である。無機材料の融点あるいは分解温度は全て1000℃以上と高い。また、無機材料は、有機材料であるポリマーに比して耐熱性に優れ、長時間高温にさらされた場合でも母材の溶融等による変化がない。
また、導電粒子の条件を設定することにより、PTCサーミスタ部材2の電気抵抗率を0.0001Ωcmから100Ωcm程度までの範囲内で調整することができる。そして、このようなPTCサーミスタ部材2のうち、電気抵抗率の小さいものは、過電流保護素子として好適である。一方、電気抵抗率の大きいものは、PTCヒーターに好適である。
4.原材料の調製方法
4−1.無機材料の調製方法
無機材料のうち工業原料として販売されているものについてはそのまま利用すればよい。例えば、クリストバライト型二酸化珪素は、コート紙のコーティング材等として用いられている。また、クリストバライト型リン酸アルミニウムおよびトリジマイト型リン酸アルミニウムは、鋼板の化成処理剤として広く工業的に生産されている。これらの原材料のうち粒度が大きいものは湿式ポットミル粉砕などの方法により粉砕すればよい。
クリストバライト型二酸化珪素およびトリジマイト型二酸化珪素は、出発原料に石英(SiO2 )粉末を用いるとともに、結晶系が安定な高い温度領域で仮焼することにより得られる。または、結晶系を安定化させるアルカリ金属やアルカリ土類金属の存在下ではより低温の仮焼により得ることができる。または、石英を原料として用いるとともに、結晶系の安定化剤としてアルカリ金属やアルカリ土類金属を添加して、例えば成形後の焼成工程などの工程中に石英をクリストバライト型二酸化珪素またはトリジマイト型二酸化珪素に変換してもよい。
カーネギアイト(NaAlSiO4 )は、例えば、炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )、酸化アルミニウム(Al2 3 )、石英(SiO2 )の各原料粉末を所定のモル比に混合して、850℃で脱炭酸を行った後に、900℃以上1350℃以下の温度で仮焼することで粉末原料を得ることができる。
このようにして得られた無機材料のうち、平均粒子径の好適なものについては、そのまま用いればよい。また、平均粒子径の大きな無機材料については、その粉末を湿式ポットミルで粉砕する。これにより、例えば、平均粒子径が1μm以上50μm以下の粉末が得られる。
4−2.導電粒子の調製方法
導電粒子は、工業原料として入手できるものは所定の粒度に篩分級する。また、新たに合成した導電粒子については粉砕後に分級して用いる。
5.PTCサーミスタ部材の製造方法
以下、本実施形態のPTCサーミスタ部材2の製造方法について説明する。
5−1.原材料の調製工程
上記に示した方法により、無機材料と、第1の導電粒子と、第2の導電粒子と、を調製する。これにより、平均粒子径等の好適な原材料が得られる。
5−2.混合工程
次に、無機材料と第1の導電粒子と第2の導電粒子とを混合する。そこで、無機材料と第1の導電粒子と第2の導電粒子とをそれぞれ所定の割合で計量する。そして、これらの原材料にバインダーを乾式混合もしくは湿式混合することにより、混合物が得られる。バインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、あるいはセルロース系の材料などが挙げられる。
また、成形助剤として粘土粉末を乾式または湿式で混合してもよい。また、焼結助剤としてガラス粉末や、無機材料と反応して液相を形成する材料を加えてもよい。なお、粘土粉末は焼結助剤としても機能する。
5−3.成形工程
次に、この混合物を成形する。そのために、上記の混合物を乾式プレス成形することにより成形体を得る。もしくは、成形用のバインダーを添加して湿式押出成形することにより成形体を得る。
5−4.焼結工程
次に、成形体を焼結する。そのために、成形体を水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガス気流中で導電粒子が酸化しない条件で焼結する。焼結における処理温度は、例えば、1000℃以上1500℃以下の範囲内である。もちろん、上記以外の温度範囲であってもよい。ただし、処理温度は、無機材料の材質に依存する。また、焼結における圧力はほぼ大気圧である。この焼結工程により、緻密な焼結体が得られる。
5−5.製造条件とPTCサーミスタ部材の特性との関係
本実施形態においては、焼結したPTC材料の相対密度を95%以上に緻密化することが好ましい。そのためには、無機材料の平均粒子径を小さくするとよい。また、無機材料に合わせた焼結助剤の材質および粒度を選定し、焼結条件を設定する。これにより、相対密度を95%以上にすることができる。相対密度が95%未満では欠陥やクラックが比較的多く内在していることがある。そのため、通電動作の繰り返しによりこれらを基点に破壊が進行し、通電耐久性が損なわれることがある。
PTC効果の大きいPTCサーミスタ部材2を製造するためには、次の事項が重要である。つまり、母相として熱膨張率の大きいものを選定するとともに、導電粒子として平均粒子径の大きいものを選定する。表1に示す無機材料では、相転移点における熱膨張の変化率が無機材料としては非常に大きい。そのため、無機材料の熱膨張を阻害しないようにするとよい。
母相全体の熱膨張率を小さくするためには、Li、Na、K、Mg、Ca等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンを添加する方法、無機材料の粒径を小さくする方法、焼成温度を高温にして無機材料の結晶構造を一部他の相に変換する方法、等を用いればよい。
逆に母相の熱膨張率を大きくするためには、アルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンの量を少なくする方法、無機材料の粒径を大きくする方法、低温で焼成する方法、等を用いればよい。焼成を酸素分圧の低い水素気流中で行うことも、無機材料の熱膨張を上げることに効果がある。導電粒子の粒径を大きくすると、母相が膨張する際に導電粒子の連結ネットワークが切断される確率が上昇する。したがって、平均粒子径の大きな導電粒子を用いることが、そのまま「PTC効果」の向上につながる。
6.変形例
6−1.成形工程
成形工程において、湿式押出成形の際に、シート状の成形体に圧縮ねじりを加える方法を適用してもよい。また、この成形体に対して、さらに等方加圧を行ってもよい。さらに密度の高い成形体を得ることができる。
6−2.焼結工程
焼結工程では、同様の非酸化性ガス気流中で、所定の荷重をかけながら高温下で保持するホットプレスを施してもよい。これにより、より高密度の焼結体を得ることができる。この焼結体に対し、乾燥後にさらに等方加圧成形を行い密度の高い焼結体を得ることもできる。そして、ホットプレス法での焼成時に圧縮と同時にねじりを加える圧縮ねじり法を用いることで、繊維状の第2の無機材料をさらに均一に分散させることができる。また、成形体の乾燥後に必要に応じて有機バインダーを300℃程度の温度で分解する脱バインダー工程を加えてもよい。
6−3.原材料の調製方法
本実施形態では、無機材料を調製済みの状態で混合するとともに、高温で焼結することとした。しかし、焼結工程の最中に、最終的に無機材料が母相中に生成するようにしてもよい。
7.本実施形態のまとめ
本実施形態のPTCサーミスタ素子1は、PTCサーミスタ部材2と、電極3a、3bと、を有している。PTCサーミスタ部材2は、粒子状の無機材料と第1の導電粒子と第2の導電粒子とを含有する。第1の導電粒子は、融点が1550℃以上の粒子である。第2の導電粒子は、融点が1100℃以上1550℃未満の粒子または金属ホウ化物または金属珪化物または金属炭化物である。このように、2種類の導電粒子を用いる。そのため、PTCサーミスタ部材2は、高いPTC効果と、高い通電耐久性と、を備える。
(A)実験1
ここで、実験1について説明する。実験1は、第1の実施形態に対応する実験である。
1.PTCサーミスタ部材(試験体)の原材料
無機材料として、クリストバライト型二酸化珪素を用いた。第1の導電粒子として、金属(Nb、W、Cr)と、金属炭化物(TiC、WC)と、金属窒化物(TiN、ZrN)と、金属珪化物(MoSi2 )と、を用いた。第2の導電粒子として、金属(Ni、Fe)と、金属ホウ化物(TiB2 、ZrB2 )と、金属珪化物(MoSi2 、TiSi2 、FeSi2 )と、金属炭化物(TiC、WC)と、ステンレス鋼(SUS304)と、Ni−Mo−Cr−Nb合金(HASTELLOY(登録商標))と、を用いた。
2.PTCサーミスタ部材(試験体)の作製方法
本実験では、各種原材料を各製造条件でPTCサーミスタ部材のサンプルを作製した。その「標準製法」は次のとおりである。無機材料の調製方法については、第1の実施形態に記載のとおりである。また、第1の導電粒子および第2の導電粒子については工業原料として購入可能な材料を用いた。その際に、篩分け法を用いて導電粒子を選定した。
まず、無機材料と第1の導電粒子と第2の導電粒子とを所定の比率で乾式混合した。そして、その混合物をさらに成形用バインダーとしてメチルセルロース粉末を2.0体積%加え、さらに成形助剤および焼結助剤として粘土粉末を1.0体積%加え、乾式で混合した。
この混合物に純水を加えた上で湿式押出成形して成形体を得た。さらに成形体の乾燥後に320℃で脱バインダーを行った。その後、水素99%および窒素1%の雰囲気ガスで焼結を行った。雰囲気ガスの温度は、1200℃であった。焼結時間は、3時間であった。
通電試験を実施するために、焼結後の試験体の表面にタングステンを主成分とする焼き付け型の電極材を焼結後の試験体に塗布した。その後、電極材を焼き付けて、低抵抗の電極層を形成した。試験体の寸法は、5mm×5mm×2mmであった。ここで、試験体の厚みは2mmである。
3.評価方法
本実験では、「PTC効果」と、「サイクル耐久性」と、「長時間耐久性」とを評価した。「PTC効果」を算出するために、室温での試験体の電気抵抗率と、相転移温度より高い温度での試験体の電気抵抗率と、を測定した。また、「サイクル耐久性」を評価するために、予め定めた電圧で500サイクル通電した後の電気抵抗率の変化率を測定した。そして、その予め定めた電圧として、自動車用途に要求される15Vと、トラックなどで要求される24Vと、2種類の条件で評価した。ここで、1サイクルにおける通電時間は30秒である。また、「長時間耐久性」を評価するために、72時間連続して通電を行った。そして、通電の前後で試験体の電気抵抗率を測定した。
なお、PTC効果は高いほどよい。繰り返し通電に対するサイクル耐久性については、電気抵抗率の変化率が小さいほどよい。
4.実験結果
以下、PTCサーミスタ部材のサンプルに対して評価した結果について説明する。
4−1.好適なPTCサーミスタ部材
表2に実施例1.1−1.35を示す。実施例1.1−1.35では、無機材料としてクリストバライト型二酸化珪素を用いた。そして、クリストバライト型二酸化珪素の平均粒子径は5μmである。
実施例1.1−1.35では、PTC効果は7万倍以上である。実施例1.1−1.16、実施例1.19−1.22、実施例1.25−1.35では、PTC効果は10万倍以上である。特に、実施例1.1−1.4および実施例1.7−1.10および実施例1.30−1.35では、PTC効果は100万倍以上である。
実施例1.1−1.35では、15Vにおけるサイクル耐久性が7%以下である。実施例1.1−1.35では、24Vにおけるサイクル耐久性が15%以下である。特に、実施例1.13−1.29では、15Vにおけるサイクル耐久性が2%以下である。実施例1.13−1.29では、24Vにおけるサイクル耐久性が4%以下である。
そのため、実施例1.1−1.35のPTCサーミスタ部材は、自動車用途に適している。特に、実施例1.1−1.4および実施例1.7−1.10のPTCサーミスタ部材は、高いPTC効果を要求される用途に適している。その場合には、第1の導電粒子として、ニオブ、タングステンを用いるとよい。
また、実施例1.13−1.29のPTCサーミスタ部材は、自動車用途に加えて、トラックなどの用途に適している。その場合には、第1の導電粒子として、Cr、TiC、MoSi2 、TiNを用いるとよい。
Figure 2016136228
4−2.第1の導電粒子のみ
表3に、比較例を示す。比較例2.1−2.6では、融点が1550℃以上の粒子を導電粒子として用いたPTCサーミスタ部材の結果を示す。比較例2.1では、1種類の導電粒子のみを用いた。その導電粒子はNbである。比較例2.2−2.6では、2種類の第1の導電粒子を混合させたPTCサーミスタ部材を用いた。
比較例2.1−2.6では、PTC効果は十分に高い。しかし、比較例2.1−2.6では、15Vにおけるサイクル耐久性が100%以上である。また、比較例2.1−2.6では、24Vにおけるサイクル耐久性が100%以上である。このように、比較例2.1−2.6では、繰り返し通電することにより、通常時の電気抵抗値が比較的大きく上昇してしまう。そのため、PTCサーミスタ素子に用いるのにそれほど好適ではない。
Figure 2016136228
4−3.第2の導電粒子のみ
表4に、別の比較例を示す。比較例3.1−3.6では、融点が1550℃未満の粒子を導電粒子として用いたPTCサーミスタ部材の結果を示す。比較例3.1では、1種類の導電粒子のみを用いた。その導電粒子はNi−Mo−Cr−Nb合金である。比較例3.2−3.6では、2種類の第2の導電粒子を混合させたPTCサーミスタ部材を用いた。
比較例3.1−3.6では、PTC効果は30以下である。すなわち、高いPTC効果は得られなかった。これは、相転移により膨張したクリストバライト型二酸化珪素が、第2の導電粒子が形成する導電パスを好適に遮断できなかったことを示している。
Figure 2016136228
4−4.平均粒子径
表5には、第1の導電粒子の平均粒子径が異なる場合について示されている。実施例4.1−4.9では、第1の導電粒子の平均粒子径は、15μmより小さい。実施例4.1−4.9では、PTC効果は、1000倍より低い。このように、第1の導電粒子の平均粒子径が15μmより小さいと、平均粒子径が15μm以上の場合と比較してPTC効果が低い。そのため、それほど高いPTC効果を必要としない用途に用いることができる。
また、表6には、第1の導電粒子の平均粒子径が大きい場合について示されている。実施例5.1−5.7では、第1の導電粒子の平均粒子径が50μm以上70μm以下である。実施例5.1−5.7では、PTC効果は450000倍以上である。しかし、15Vにおけるサイクル耐久性が8%以上である。24Vにおけるサイクル耐久性が33%以上である。このように、実施例5.1−5.7では、PTC効果が高いが、サイクル耐久性が低い。そのため、耐久性をそれほど必要としない用途に用いることができる。
そのため、第1の導電粒子の平均粒子径は、4μm以上70μm以下の範囲内であるとよい。好ましくは、第1の導電粒子の平均粒子径は、20μm以上50μm以下の範囲内である。また、第2の導電粒子の平均粒子径は、10μm以上60μm以下の範囲内であるとよい。また、表2の実施例1.1−1.33から、第2の導電粒子の平均粒子径は、15μm以上50μm以下の範囲内であるとよい。すなわち、好ましくは、第2の導電粒子の平均粒子径は、15μm以上50μm以下の範囲内である。
Figure 2016136228
Figure 2016136228
4−5.導電粒子の体積分率
表7は、導電粒子について母相中に占める体積分率を変えた場合を比較する表である。導電粒子について母相中に占める体積分率を19%以上32%以下の範囲内とすることにより、約1000倍以上のPTC効果が得られるとともに、15Vにおけるサイクル耐久性が19%以下であり、24Vにおけるサイクル耐久性が32%以下である。また、比抵抗が1Ω・cm以下である。さらに、導電粒子について母相中に占める体積分率を19%以上26%以下の範囲内とすると、10000倍以上のPTC効果が得られるためより好ましい。導電粒子について母相中に占める体積分率を22%以上26%以下の範囲内とすると、15Vにおけるサイクル耐久性が9%以下である。つまり、さらに好ましくは、導電粒子について母相中に占める体積分率は22%以上26%以下の範囲内である。また、表8および表9は、第1の導電粒子および第2の導電粒子の総体積に占める第1の導電粒子の体積の割合を示す。これらの結果から、導電粒子の総体積に占める第1の導電粒子の体積の割合は、4%以上95%以下の範囲内であるとよい。
Figure 2016136228
Figure 2016136228
Figure 2016136228
なお、この実験では、トリジマイト型二酸化珪素、クリストバライト型リン酸アルミニウム、トリジマイト型リン酸アルミニウム、カーネギアイトについては記載されていない。しかし、これらの材質は、表1に示したように、相転移温度で結晶構造の相転移を引き起こす。そのため、無機材料として使用可能である。
4−6.長時間耐久性
なお、長時間耐久性については、サイクル耐久性とほぼ同様の傾向であった。そのため、各表における記載を省略した。
本明細書の技術の範囲は、以上の実施例で示した無機材料と第1の導電粒子と第2の導電粒子についての材料の種類、材料の組合せ、粒径、製法について、各例で記載した内容に限定されるものではない。
本明細書の技術は、車載用電気機器、家電製品、情報機器などに内蔵される過電流保護素子として好適に利用できる。また、本明細書の技術は、PTCヒーター用素子として好適に利用できる。
1…PTCサーミスタ素子
2…PTCサーミスタ部材
3a、3b…電極

Claims (9)

  1. 母相と、
    前記母相の全体に分散された複数の導電粒子と、
    を含有するPTCサーミスタ部材において、
    前記母相は、
    電気絶縁性の無機材料を含有し、
    前記無機材料は、
    相転移温度で結晶構造が相転移するとともに体積変化するものであり、
    前記複数の導電粒子は、
    第1の導電粒子と、前記第1の導電粒子と材質の異なる第2の導電粒子と、を有し、
    前記第1の導電粒子は、
    融点が1550℃以上の粒子であり、
    前記第2の導電粒子は、
    金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1550℃未満の粒子と、のうちのいずれかであること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  2. 請求項1に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記第1の導電粒子は、
    金属、合金、金属炭化物、金属窒化物、金属珪化物、金属炭化珪化物、のうちのいずれかであること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  3. 請求項2に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記第1の導電粒子は、
    タングステン、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、チタン、クロム、バナジウム、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化モリブデン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、珪化モリブデン、珪化ニオブ、珪化タンタル、珪化クロム、珪化タングステン、これらの材料を含有する合金または固溶体のうちのいずれかであること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記第2の導電粒子は、
    金属ホウ化物と、金属珪化物と、金属炭化物と、融点が1100℃以上1550℃未満の粒子とのうちのいずれかであること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記無機材料は、
    クリストバライト型二酸化珪素と、トリジマイト型二酸化珪素と、クリストバライト型リン酸アルミニウムと、トリジマイト型リン酸アルミニウムと、カーネギアイトと、のうち少なくとも1つ以上の材料を含有すること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記母相に占める前記複数の導電粒子の総和の体積分率は、
    19%以上32%以下の範囲内であること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記母相に占める前記第1の導電粒子の体積分率は、
    前記複数の導電粒子の総和の体積分率の4%以上95%以下であること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材において、
    前記第2の導電粒子がアトマイズ法により作製されたものであること
    を特徴とするPTCサーミスタ部材。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のPTCサーミスタ部材と、
    前記PTCサーミスタ部材と電気的に接続された第1電極および第2電極と、
    を有すること
    を特徴とするPTCサーミスタ素子。
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