JPWO2016125745A1 - 車両の端部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝突に対する耐荷重性能を向上させること。【解決手段】本発明に係る車両の端部構造は、車幅方向に延びるビーム2と、上記ビーム2を車体フレームに接続する接続構造体3と、を備え、上記ビーム2は、車幅方向に垂直な断面視において、対向する第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと、上記第1の上面部2aおよび上記第1の下面部2bの一端を接続する第1の側面部2cと、上記第1の上面部2aおよび上記第1の下面部2bの他端において、鉛直方向外方に突出するように形成される第1のフランジ部2dのそれぞれと、を有し、上記接続構造体3に設けられ、上記ビーム2の内方に突出して配置される突出部6と上記第1の上面部2aおよび上記第1の下面部2bとの、または、上記接続構造体3に設けられるビーム取付部材と上記第1のフランジ部2dとの、少なくともいずれかにおける接合により、上記ビーム2が上記接続構造体3に固定されている。【選択図】図4

Description

本発明は、車両と物体の衝突時において、当該物体が当該車両の下に潜り込むことを防止する車両の端部構造に関する。
例えば、乗用車とトラック等の大型車が正面衝突あるいは追突したような場合、互いの車両に設けられたクロスメンバー等の強度部材の設置高さの違いにより、乗用車が大型車の下に潜り込むおそれがある。このため、従来は、大型車の前部および後部において、乗用車が備える強度部材の設置高さに合わせて配置されたアンダーランプロテクターが設けられている。このアンダーランプロテクターは車両の端部構造の一例である。また、アンダーランプロテクターには、車両の前方に設けられるフロントアンダーランプロテクター(Front Underrun Protector:FUP)、および車両の後方に設けられるリアアンダーランプロテクター(Rear Underrun Protector:RUP)が存在する。
このようなアンダーランプロテクターは、乗用車の大型車への潜り込みを防ぎ、かつ、乗用車の前部または後部に設けられたクラッシャブルゾーンによる衝突エネルギ吸収効果を発揮させることが求められる。そのため、アンダーランプロテクターは、乗用車と衝突した際に生じる衝突エネルギを吸収する効果よりも、大型車と衝突した乗用車を弾き飛ばすための反力を生み出すための耐荷重性能が求められる。
例えば、特許文献1〜3にはアンダーランプロテクターに関する技術が開示されている。これらのアンダーランプロテクターは、車幅方向に延びるビームがブラケットまたはステー(サポート)を介して車体フレームに締結された構造を有している。
また、特許文献4に開示されたアンダーランプロテクターには、平面視において、車体フレームに取り付けられるフレーム取付部と、ビームに取り付けられるビーム取付面(本体取付部)との間を掛け渡すようにして補強部材が設けられている。これにより、耐荷重性能の向上が図られている。
特開2005−88740号公報 特開2005−225325号公報 特開2005−225326号公報 特開2004−243984号公報
耐荷重性能を評価する方法として、ステーにおけるビームの取付位置または当該取付位置より車幅方向外側の位置において、ビームの衝突面(相手車両が衝突する面)に荷重を加えた際に、最大でどの程度の荷重を入力できるかを評価する方法がある。アンダーランプロテクターの製品としての性能は、耐荷重性能の優劣により左右される。そのため、いずれの衝突位置においても耐荷重性評価試験における最大入力荷重が従来よりもさらに大きくなるようなアンダーランプロテクターの開発が望まれている。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、上記事情に鑑みてなされたものであり、衝突に対する耐荷重性能を向上させることが可能な、新規かつ改良された車両の端部構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車幅方向に延びるビームと、上記ビームを車体フレームに接続する接続構造体と、を備え、上記ビームは、車幅方向に垂直な断面視において、対向する第1の上面部および第1の下面部と、上記第1の上面部および上記第1の下面部の一端を接続する第1の側面部と、上記第1の上面部および上記第1の下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成される第1のフランジ部のそれぞれと、を有し、上記接続構造体に設けられ、上記ビームの内方に突出して上記ビームの内方に配置される突出部と上記第1の上面部および上記第1の下面部との、または、上記接続構造体に設けられるビーム取付部材と上記第1のフランジ部との、少なくともいずれかにおける接合により、上記ビームが上記接続構造体に固定されている、車両の端部構造が提供される。
上記接続構造体に上記突出部が設けられている場合、上記突出部には、上記第1の側面部に対向する突出側面部が形成されていてもよい。
上記接続構造体にビーム取付部材が設けられ、上記ビーム取付部材が上記第1のフランジ部と固定されている場合、上記ビーム取付部材は、車幅方向に垂直な断面視において、対向する第2の上面部および第2の下面部と、上記第2の上面部および上記第2の下面部の一端を接続する第2の側面部と、上記第2の上面部および上記第2の下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成された第2のフランジ部とを有し、上記第1のフランジ部と上記第2のフランジ部とが固定されていてもよい。
上記第2の側面部は、上記第1のフランジ部に対して車両前後方向の車内側に位置していてもよい。
上記接続構造体に上記ビーム取付部材が設けられ、上記ビーム取付部材が上記第1のフランジ部と固定されている場合、車幅方向において上記ビームの開口部の少なくとも上記接続構造体と対向する領域に第1の補強部材が設けられ、車幅方向に垂直な断面視において上記ビームと上記第1の補強部材により閉断面が形成されていてもよい。
上記第1の補強部材は、車幅方向に垂直な断面視において、対向する第1の補強部材上面部および第1の補強部材下面部と、上記第1の補強部材上面部および上記第1の補強部材下面部の一端を接続する第1の補強部材側面部とを有し、上記第1の補強部材が上記ビームの内方に配置され、上記第1の上面部と上記第1の補強部材上面部とが固定され、上記第1の下面部と上記第1の補強部材下面部とが固定されていてもよい。
上記第1の補強部材側面部に、上記第1のフランジ部に対して車両前後方向の車内側に突出する凸部が形成されていてもよい。
上記第1の補強部材側面部の少なくとも一部が、上記接続構造体に当接してもよい。
上記ビームの開口部の少なくとも上記ビーム取付部材と対向している領域に第2の補強部材が設けられ、上記第2の補強部材は、車幅方向に垂直な断面視において、対向する第2の補強部材上面部および第2の補強部材下面部と、上記第2の補強部材上面部および上記第2の補強部材下面部の一端を接続する第2の補強部材側面部と、上記第2の補強部材上面部および上記第2の補強部材下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成された第2の補強部材フランジ部とを有し、上記第2の補強部材が上記ビームの内方に配置され、上記第2の補強部材フランジ部が上記第1の側面部に固定され、上記第2の補強部材側面部が、上記ビーム取付部材に当接してもよい。
上記接続構造体に上記ビーム取付部材が設けられ、上記ビーム取付部材が上記第1のフランジ部と固定されている場合、上記接続構造体は、鉛直方向に延びるように設けられた構造体本体部をさらに含み、上記ビーム取付部材は、上記ビームが取り付けられ、車幅方向外側の端部に車両前後方向の車内側に向けて屈曲した屈曲部を有するビーム取付面と、平面視において上記ビーム取付面に直角な面を有し、上記構造体本体部に取り付けられる本体接続面と、を有し、平面視において、上記構造体本体部と上記ビーム取付面との間を架け渡すように少なくとも1つの第3の補強部材がさらに設けられてもよい。
上記屈曲部の曲率半径が50〜200mmであってもよい。
上記第3の補強部材の車両前後方向長さLと、上記構造体本体部の上記第3の補強部材が取り付けられた面の車両前後方向長さLとの比率L/Lが0.8以上となるように、上記第3の補強部材が設けられていてもよい。
上記構造体本体部は、平面視において車幅方向に開口部が設けられたU字状の断面形状を有し、上記構造体本体部と上記本体接続面により水平断面形状が閉断面となる閉断面部がさらに設けられてもよい。
上記第3の補強部材が鉛直方向に複数設けられる場合において、上記閉断面部の内方に、上記第3の補強部材の先端部のうち、車両前後方向の後方側先端部の位置に合わせて配置された補強板が設けられ、上記補強板は、複数の上記第3の補強部材のうち最も下側に位置する上記第3の補強部材の上記後方側先端部から最も上側に位置する上記第3の補強部材の上記後方側先端部まで延びるような形状を有してもよい。
上記閉断面部の水平断面視において、上記閉断面部の内方の空間を埋めるように間仕切り部材が設けられ、上記間仕切り部材は、上記第3の補強部材の少なくともいずれかの設置高さに合わせて配置されていてもよい。
上記車両の端部構造は、アンダーランプロテクターであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車幅方向に延びるビームと、上記ビームと車体フレームを接続する接続構造体とを備え、上記接続構造体は、鉛直方向に延びるように設けられた構造体本体部と、上記ビームが取り付けられるビーム取付部材と、を備え、上記ビーム取付部材は、上記ビームが取り付けられ、車幅方向外側の端部に車両前後方向の車内側に向けて屈曲した屈曲部を有するビーム取付面と、平面視において上記ビーム取付面に直角な面を有し、上記構造体本体部に取り付けられる本体接続面と、を有し、平面視において、上記構造体本体部と上記ビーム取付面との間を架け渡すように少なくとも1つの補強部材がさらに設けられる、車両の端部構造が提供される。
以上説明したように本発明によれば、衝突に対する耐荷重性能を向上させることが可能である。
本発明の一実施形態に係るアンダーランプロテクターの概要図である。 アンダーランプロテクターの耐荷重性評価方法に係る荷重の入力位置について説明するための図である。 従来のアンダーランプロテクターの一例の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンダーランプロテクターの概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図4に示すV−V切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の変形例の概略構成を示す断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第2の変形例の概略構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクターの概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図8に示すIX−IX切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の補強部材の形状を示す縦断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の変形例の概略構成を示す断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第2の変形例の概略構成を示す断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第3の変形例の概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図13に示すXIV−XIV切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第4の変形例の概略構成を示す断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第5の変形例の概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図16に示すXVII−XVII切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第6の変形例の概略構成を示す断面図である。 補強部材を含む従来のアンダーランプロテクターの一例の概略構成を示す断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第7の変形例の概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図20に示すXXI−XXI切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第8の変形例の概略構成を示す断面図である。 従来のアンダーランプロテクターに対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクターの変形の状態の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクターの概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図24に示すXXV−XXV切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターに対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクターの変形の状態の一例を示す図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の変形例の概略構成を示す斜視図である。 同変形例に係るアンダーランプロテクターに対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクターの変形の状態の一例を示す図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第2の変形例の概略構成を示す斜視図である。 同変形例に係るアンダーランプロテクターに対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクターの変形の状態の一例を示す図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの第3の変形例の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクターの概略構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図32に示すXXXIII−XXXIII切断線における断面図である。 同実施形態に係るアンダーランプロテクターの、図32に示すXXXIV−XXXIV切断線における断面図である。 実験例1に係るアンダーランプロテクターに対する耐荷重性評価試験の試験方法を説明するための図である。 実施例1および比較例1における圧子押込み量と入力荷重との関係を示すグラフである。 実験例2に係るアンダーランプロテクターに対する耐荷重性評価試験の試験方法を説明するための図である。 実施例2および比較例1における圧子押込み量と入力荷重との関係を示すグラフである。 実施例7および比較例3における圧子押込み量と入力荷重との関係を示すグラフである。 長さLおよび補強部材取付面の車両前後方向長さLの比と、従来のアンダーランプロテクターとの最大荷重比の関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書において、「車両前後方向の車外側」とは、例えば、車両の端部構造が車両の前方に設けられている場合は「前方側」を意味し、車両の端部構造が車両の後方に設けられている場合は「後方側」を意味する。「車両前後方向の車内側」については、「車両前後方向の車外側」の反対側を意味する。また、本明細書において「水平」および「鉛直」とは、厳密な意味における「水平」および「鉛直」ではなく、略水平および略鉛直も「水平」および「鉛直」の範疇に含まれる。また、本明細書における「直角」とは厳密な直角(90°)を意味するものではなく、略直角も「直角」の範疇に含まれる。
<<1.アンダーランプロテクターの耐荷重性評価>>
図1は、本発明の一実施形態に係るアンダーランプロテクターの概要図である。図1に示すように、大型車V1には、ビーム2および接続構造体3により構成されるアンダーランプロテクター1が設けられている。本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、車両の端部構造の一例である。図1に示すアンダーランプロテクター1は大型車V1の前方下部に設けられており、接続構造体3を介して車体フレーム(図示せず)に取り付けられている。このアンダーランプロテクター1は、大型車V1の前方のみならず、後方にも設けられる。
図1に示すように、大型車V1には一般的にバンパ100が車両の前方または後方に設けられている。しかし、バンパ100は、乗用車V2のフレーム200よりも高い位置に設けられ得る。そのため、大型車V1と乗用車V2とが衝突した際に、バンパ100とフレーム200は正面から衝突せず、大型車V1が乗用車V2に乗り上げてしまう。この場合、フレーム200が大型車V1から受ける衝撃エネルギを吸収することができず、乗用車V2のキャビンが変形し得る。そのため、乗用車V2に搭乗している乗客の安全を確保することは困難である。
一方、アンダーランプロテクター1は、図1に示すように、乗用車V2のフレーム200と同程度の高さに合わせて設けられる。そうすると、大型車V1と乗用車V2とが車両前後方向で衝突した際に、アンダーランプロテクター1はフレーム200と衝突する。これにより、乗用車V2は大型車V1の下部に潜り込まず、フレーム200が大型車V1から受ける衝突エネルギを吸収することが可能である。そのため、乗用車V2に搭乗している乗客の安全を確保することが可能となる。
このようなアンダーランプロテクターは、乗用車V2の潜り込みを防ぎつつ、乗用車V2の有する衝突エネルギ吸収機構を発揮させることが求められる。すなわち、アンダーランプロテクター1は、乗用車V2と衝突した際に生じる衝突エネルギを吸収する効果よりも、大型車V1と衝突した乗用車V2を弾き飛ばすための反力を生み出すための耐荷重性能が求められる。この耐荷重性能は、アンダーランプロテクター1のビーム2に対する車幅方向における衝突位置によらず高水準であることが求められる。しかし、ビーム2に対する荷重の入力位置によって、衝突時にアンダーランプロテクター1に生じる変形モードが異なる。そのため、複数の変形モードに係る耐荷重性能の向上が要求される。
図2は、アンダーランプロテクターの耐荷重性評価方法に係る荷重の入力位置について説明するための図である。図2を参照すると、アンダーランプロテクターの耐荷重性能を評価する方法(耐荷重性評価方法)は、車体フレーム20に取り付けられた接続構造体3におけるビーム2の取付位置P1または取付位置P1より車幅方向Wの外側の位置P2に対する荷重Fの入力に応じて得られる最大入力荷重を評価する方法である。
アンダーランプロテクターの耐荷重性能を十分得るためには、上述したように、各衝突位置への荷重の入力により生じるビーム2の変形モードにそれぞれ対応することが求められる。例えば、取付位置P1に対して荷重Fが与えられた場合、取付位置P1の近傍においてビーム2の断面潰れが生じ得る。取付位置P1におけるビーム2の断面潰れを抑制するためには、ビーム2の面外変形を抑制することが求められる。また、位置P2に対して荷重Fが与えられた場合、位置P2の近傍においてビーム2に折れが生じ得る。位置P2の近傍におけるビーム2の折れを回避するためには、ビーム2の曲げを抑制することが求められる。
すなわち、アンダーランプロテクターの製品としての性能は、取付位置P1および位置P2における耐荷重性能の優劣により左右される。したがって、耐荷重性能に優れたアンダーランプロテクターとは、取付位置P1および位置P2における最大入力荷重が高水準であるアンダーランプロテクターである。
ここで、従来のアンダーランプロテクターの一例の構成について説明する。図3は、従来のアンダーランプロテクター50の一例の概略構成を示す断面図である。従来のアンダーランプロテクター50は、図3に示すように、ビーム51およびブラケット52を備える。ブラケット52は不図示の車両フレームに取り付けられ、ビーム51は、車両前後方向において車外側となるようにブラケット52に取り付けられる。
このようなビーム形状の場合、ビーム衝突面に荷重Fが入力されると、ビーム51に図3の破線で示すような変形が発生する。このとき、例えば、図2における位置P1においては、ビーム51の断面潰れが生じてしまう。また、図2における位置P2においてこのような変形が生じると、ビーム51とブラケット52との締結部近傍において、ビーム51の反衝突面やブラケット52が、ビーム51の内方に撓むように変形してしまう。
このような変形が生じる場合、入力荷重が大きくなるとともに当該変形が進行してしまう。そのため、ビームの断面が本来有すべき強度より著しく小さくなる。すなわち、アンダーランプロテクターの耐荷重性能を十分に引き出すことができていなかった。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、以下の各実施形態の説明において示されるアンダーランプロテクターを発明した。本実施形態に示すアンダーランプロテクターは、いずれの衝突位置においても従来よりも耐荷重性能を向上させることが可能である。以下、各実施形態に係るアンダーランプロテクターについて説明する。
なお、本実施形態においてアンダーランプロテクターは車両の端部構造の一例であるが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、鉄道車両における、乗用車等の物体の巻き込みを防止するための排障装置も、本発明に係る車両の端部構造の一例である。本実施形態においてはアンダーランプロテクターについて説明するが、本発明に係る車両の端部構造は、他の車両および自走可能な機械にも適用可能である。他の車両および自走可能な機械には、例えば、二輪車両、バスまたは牽引車等の大型車両、トレーラー、鉄道車両、建設機械、鉱山機械、農業機械、一般機械、および船舶等が含まれる。また、本発明に係る車両の端部構造を構成する各部材を形成する材料は、鋼板の他に、アルミニウム、チタン、もしくはステンレス等の金属板であってもよい。また、各部材を形成する材料の材質は、合金、金属および樹脂により構成される複合材料、または炭素繊維等であってもよい。
<<2.第1の実施形態>>
図4は、本発明の第1の実施形態に係るアンダーランプロテクター1の一例の概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、車幅方向Wに延びるビーム2と、ビーム2を車体フレーム20に接続するための接続構造体3とを含む。本実施形態に係る接続構造体3は、例えばステー4である。なお、他の実施形態においては、接続構造体3はステーに取り付けられるブラケットであってもよい。当該ブラケットは、他の実施形態においてはビーム取付部材の一例でもある。このような接続構造体3は、車両の前方または後方の少なくともいずれかに、左右一対に設けられる。ビーム2は、左右一対の接続構造体3を架け渡すように設けられる。このようなビーム2を形成する材料の材質は、上述したように鋼材に限られず、各種金属、合金、金属および樹脂により構成される複合材料、または炭素繊維等であってもよい。ビーム2には耐荷重性能が求められるので、強度の高い材料により形成されることが好ましい。
一対のステー4は、鉛直方向Vに延びるように形成され、平面視においてU字状に形成された部分と、ビーム2の内方に向けて突出する突出部6とを有する。また、一対のステー4は、開口面4aが車幅方向Wの内側に互いに向き合うようにして、間隔を空けて配置されている。一対のステー4の開口面4aの一部には、開口を覆うようにしてフレーム取付板5が設けられている。このフレーム取付板5は、ステー4に対して溶接されている。フレーム取付板5にはボルト穴21が形成されている。フレーム取付板5は、このボルト穴21を介して、車体フレーム20にボルト締結される。これにより、ステー4が車体フレーム20に固定される。なお、本実施形態において接続構造体3は、ステー4と、フレーム取付板5とにより構成される。
図5は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の、図4に示すV−V切断線における断面図である。なお、図5において、荷重の入力による各部材の変形のイメージが破線で示されている。図5に示すように、本実施形態に係るビーム2は、車幅方向Wに垂直な断面視において、対向する第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの一端を接続する第1の側面部2cと、を有する。本実施形態においては、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bは、それぞれ水平となるように設けられている。また、第1の側面部2cは、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bに対して垂直に形成され、鉛直面を有している。また、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの他端(第1の側面部2cが設けられていない側の一端)においては、鉛直方向Vの外方に突出する一対の第1のフランジ部2dが設けられている。具体的には、第1のフランジ部2dのそれぞれは、第1の上面部2aの他端においては鉛直方向Vの上方に突出し、第1の下面部2bにおいては鉛直方向Vの下方に突出するように形成されている。すなわち、本実施形態に係るビーム2は、車幅方向Wに垂直な断面視において、いわゆるハット形状を有している。
すなわち、本実施形態に係るビーム2は、車幅方向Wに垂直な断面視において、いわゆるハット形状を有する。また、図5に示すように、ビーム2の第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの中央部分には、ボルト穴8が形成されている。
また、図4および図5に示すように、ステー4の突出部6は、第1の上面部2aに対向するように形成された突出上面部6aと、第1の下面部2bに対向するように形成された突出下面部6bを有している。本実施形態においては、突出部6の先端は第1の側面部2cに近接している。また、第1の上面部2aと突出上面部6aが接した状態であり、かつ、第1の下面部2bと突出下面部6bが接した状態である。また、突出上面部6aおよび突出下面部6bの中央部分には、ボルト穴7がそれぞれ形成されている。突出部6は、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと、ボルト穴7およびボルト穴8を介してボルト22により固定される。これにより、ビーム2がステー4を介して車体フレーム20に取り付けられることになる。
本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、以上のように構成されている。かかる構成によれば、突出部6は、開断面を有するビーム2の内方に配置され、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと固定されている。これにより、衝突により加えられた荷重Fは、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bから突出部6に、せん断力として面内方向に伝達される。そうすると、ビーム2の第1の側面部2cに与えられた荷重が第1の上面部2aおよび第1の下面部2bを介してステー4に伝達されるので、第1の側面部2cに加わる負担が減少する。したがって、ビーム2の局所的な断面の変形の進行を抑制することができ、また、入力荷重の分散を抑制することができる。その結果、耐荷重性評価試験における最大荷重値を従来よりも大きくすることができ、アンダーランプロテクターの耐荷重性能を向上させることが可能となる。すなわち、図2に示したビーム2の取付位置P1におけるビーム2の衝突面(第1の側面部6cの車外側の面)に対して入力される荷重に対する耐荷重性能を向上させることができる。
また、上記実施形態においてビーム2は一対の第1のフランジ部2dを有する。一方、ビーム2の荷重入力点付近の第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの反荷重入力端は概略引張変形となる。そのため、第1のフランジ部2dを有さないビーム2が、強度が高く延性が低いハイテン材で構成される場合、第1の上面部2aまたは第1の下面部2bの少なくともいずれかにおいて端部破断が生じてしまうため、耐荷重性能の向上効果が想定よりも低くなる可能性がある。そのため、ビーム2に第1のフランジ部2dが形成されていることにより、上記の端部破断を抑制することができる。
以上、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ステー4の形状は、上記実施形態で説明した例に限定されない。例えば、ステー4の突出部6の先端は、上述したようにビーム2の第1の側面部2cに近接していることが好ましい。しかし、突出部6の先端のビーム2の内方における位置または形状は、要求される耐荷重性能やビーム形状等に応じて適宜変更されてもよい。
(第1の変形例)
図6は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第1の変形例の概略構成を示す断面図である。図6に示すように、突出上面部6aと突出下面部6bの先端を接続する突出側面部6cが設けられてもよい。この場合、突出側面部6cは、第1の側面部2cの内側の面と当接する位置に設けられてもよい。この場合、荷重が入力された際に、第1の側面部2cの変形の抑制とともに、突出部6の面外変形(例えば、突出上面部6aまたは突出下面部6bの面外変形)の抑制が可能となる。したがって、耐荷重性能をさらに向上させることができる。
(第2の変形例)
また、上記実施形態においてビーム2は一対の第1のフランジ部2dを有するとしたが、ビーム2には第1のフランジ部2dが形成されていなくてもよい。図7は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第2の変形例の概略構成を示す断面図である。この場合であっても、ビーム2の変形をある程度抑制することができ、アンダーランプロテクターとしての耐荷重性能を向上させることができる。しかし上述したように、第1のフランジ部2dが形成されていないビーム2が強度が高く延性が低いハイテン材で構成される場合、第1の上面部2aまたは第1の下面部2bの少なくともいずれかにおいて端部破断が生じてしまうため、耐荷重性能の向上効果が想定よりも低くなる可能性がある。そのため、上記のような端部破断を抑制する観点からは、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bにおいて、第1のフランジ部2dがそれぞれ形成されていることが好ましい。
また、上記実施形態では、第1の上面部2aと突出上面部6aおよび第1の下面部2bと突出下面部6bはボルト22で固定されることとしたが、ボルト穴7およびボルト穴8の位置は、上記実施形態で説明した例に限定されない。ビーム2の形状またはステー4の形状によっては、他の位置で両部品が固定されてもよい。また、ボルト固定ではなく、例えば溶接により両部品を固定しても良い。ただし、ボルトを用いることにより損傷したビーム2のみを単体で交換することが容易になるので、メンテナンス性が向上する。
また、上記実施形態では、突出部6が第1の上面部2aおよび第1の下面部2bに接するように形成されているが、突出部6と第1の上面部2aおよび第1の下面部2bは接していなくてもよい。突出部6が第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと固定されていればよい。また、ビーム2の開口部からビーム2の内方への突出部6の挿入長さは特に限定されない。例えば、突出部6の先端は、必ずしも第1の側面部2cと当接しなくてもよい。ただし、突出部6の挿入長さが短い場合、第1の上面部2aまたは第1の下面部2bの少なくともいずれかにおいて、荷重の入力時に面外変形が生じる可能性がある。そのため、突出部6の挿入長さは可能な限り大きいことが好ましい。
また、上記実施形態では、ステー4はビーム2の第1のフランジ部2dに接するように設けられているが、ステー4と第1のフランジ部2dは必ずしも接していなくてもよい。ただし、ステー4と第1のフランジ部2dが当接している場合、荷重の入力時に第1のフランジ部2dからステー4に荷重が伝達される。これにより、ステー4に伝達される荷重が大きくなるので、耐荷重性能を向上させることができる。
また、上記実施形態では、ステー4が1部品で構成されているが、複数部品からなる組立体であっても良い。ステー4がビーム2の内方に配置することが可能な突出部6を形成していれば、ステー4の構造について特に限定されない。
以上、本発明の第1の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明した。
<<3.第2の実施形態>>
続いて、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクター1の概略構成を示す斜視図である。アンダーランプロテクター1の基本的な構成要素である、ビーム2、ステー4、フレーム取付板5、および車体フレーム20の機能については、本発明の第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。なお、本実施形態に係るステー4は、本発明の第1の実施形態とは異なり、突出部6は有さず、鉛直方向Vに延びるように形成される。
図8に示すように、一対のステー4の開口面4aに対向する面には、L字形のブラケット10が設けられている。ブラケット10は、平板状のステー取付部10a、およびステー取付部10aに垂直である平板状のビーム取付部10bにより構成される。ステー取付部10aはステー4の側面に固定されている。また、ビーム取付部10bはビーム2の裏面(反衝突面)に当接するような向きで固定されている。なお、本実施形態においてブラケット10は、ビーム取付部材の一例であり、接続構造体3の一部である。
図9は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の、図8に示すIX−IX切断線における断面図である。図9に示すように、ビーム2とブラケット10との間には、ビーム2の裏面の全部または一部を覆う第1の補強部材9が設けられている。車幅方向Wに垂直な断面視においてビーム2と第1の補強部材9により閉断面が形成されている。図9に示した例においては、第1の補強部材9は、車幅方向Wに延びるように矩形状に形成されている。
また、図9に示すように、ブラケット10のビーム取付部10bにはボルト穴11が形成されている。また、第1の補強部材9には、第1のフランジ部2dとブラケット10を固定するための、ボルト径に応じたボルト穴12が形成されている。図10は、本実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の補強部材の形状を示す縦断面図である。図10に示すように、ボルト穴12を介して、ビーム2、ブラケット10、および第1の補強部材9が不図示のボルトにより締結される。
本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、以上のように構成されている。かかる構成によれば、ビーム2がハット形状を有し、鉛直方向Vの外方に突出する第1のフランジ部2dにおいてビーム2とブラケット10が固定される。これにより、荷重Fの入力により、第1のフランジ部2dの先端が衝突面側に回転するような、図中の点Cを回転中心としたモーメントMが生じる。このとき、第1のフランジ部2dに固定された第1の補強部材9の端部やブラケット10の端部においても、衝突面側に回転するような変形が生じる。
このようなモーメントMは、第1の補強部材9やブラケット10をビーム2の内方に撓ませるように作用するモーメントMとは逆向きのモーメントである。このため、互いのモーメントが相殺され、第1の補強部材9やブラケット10のビーム内方への撓みが抑制される。
これにより、入力荷重に対するビーム2の取付位置より外側の位置P2の周辺における、ビーム2の局所的な断面変形を従来よりも抑制することができる。その結果、位置P2における耐荷重性評価試験での最大荷重値を従来よりも大きくすることができる。したがって、アンダーランプロテクターの耐荷重性能を向上させることが可能となる。
以上、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ブラケット10、ステー4、および第1の補強部材9の形状は、上記実施形態で説明した例に限定されない。これらの部材の形状は、車体フレーム20の形状または要求されるアンダーランプロテクター1の性能により適宜変更される。例えば、上記実施形態では、平板状の第1の補強部材9は第1のフランジ部2dに接するように設けられたが、第1の補強部材9は、ビーム2の内方(例えば、ビーム2の上面部2aと下面部2bの間)に設けられても良い。すなわち、第1の補強部材9は、車幅方向Wに垂直な断面視において、ビーム2と第1の補強部材9によって閉断面が形成されるように、ビーム2の開口部に設けられていれば良い。これにより、耐荷重性能を向上させることができる。このような第1の補強部材9の変形例については後述する。
また、上記実施形態では、ビーム2とブラケット10はボルト23で固定されることとしたが、これらの部材に設けられるボルト穴の位置は、上記実施形態で説明した例に限定されない。また、ボルト固定ではなく、溶接により両部品を固定しても良い。ただし、ボルトを用いることにより損傷したビーム2のみを単体で交換することが容易になるので、メンテナンス性が向上する。
(第1の変形例)
また、上記実施形態では、ビーム2の裏面側(反衝突面側)に第1の補強部材9を設ける構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、アンダーランプロテクター1に第1の補強部材9が設けられずに、ビーム2が直接ブラケット10に取り付けられる構成であってもよい。図11は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第1の変形例の概略構成を示す断面図である。図11に示すように、ビーム2が直接ブラケット10に取り付けられる構成であっても、上記実施形態と同様に各部材のビーム2の内方への撓みを抑制することができる。したがって、アンダーランプロテクターとしての耐荷重性能を向上させることができる。
(第2の変形例)
また、上記実施形態に係るアンダーランプロテクターの第1の変形例では、ビーム2がブラケット10に取り付けられる構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、アンダーランプロテクター1にブラケット10が設けられずに、ビーム2が直接ステー4に取り付けられる構成であってもよい。図12は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第2の変形例の概略構成を示す断面図である。ビーム2が直接ステー4に取り付けられる構成であっても、上記実施形態と同様に各部材のビーム2の内方への撓みを抑制することができる。したがって、アンダーランプロテクターとしての耐荷重性能を向上させることができる。
また、第1の変形例および第2の変形例に示したような接続構造体3の構成(ブラケット10またはステー4)に関わらず、ビーム2がハット形状を有し、第1のフランジ部2dにおいてビーム2と接続構造体3とが固定されていることが好ましい。これにより、アンダーランプロテクターとしての耐荷重性能を向上させることができる。ただし、第1の補強部材9をさらに設けることにより、耐荷重性能をより向上させることができる。そのため、第1の補強部材9がアンダーランプロテクター1に設けられることが好ましい。
(第3の変形例)
また、第1の補強部材9を用いてより効果的に耐荷重性能を向上させるためには、第1の補強部材9の形状または配置をより洗練させることが求められる。例えば、図9に示すアンダーランプロテクター1においては、ビーム内方への変形を従来よりも抑制することはできる。しかしながら、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bは、第1のフランジ部2d近傍においては、断面内側へ容易に変形し得る。そこで本発明者らは、第1の補強部材9の形状または配置についてさらに鋭意検討し、以下に説明するアンダーランプロテクター1を開発した。
図13および図14は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第3の変形例の概略構成を示す斜視図、およびXIV−XIV切断線における断面図である。図14に示すように、本変形例に係る第1の補強部材9は、車幅方向Wに垂直な断面視において、対向する第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bの一端を接続する第1の補強部材側面部9cとを有するU字の断面形状を有する。
この第1の補強部材9において、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bとがそれぞれ、例えば溶接等により接合されている。また、ビーム2と第1の補強部材9により閉断面が形成されている。また、図13および図14に示す例では、第1の補強部材側面部9cがブラケット10のビーム取付部10bに接するように配置されている。第1の補強部材9をこのように配置することで、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの、第1のフランジ部2d近傍における断面内側への変形を阻害する作用を生じさせることができる。なお、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと第1の上面部2aおよび第1の下面部2bとの固定方法は溶接に限定されない。
また、図14に示すように、第1の補強部材側面部9cが第1のフランジ部2d側に位置するように第1の補強部材9を配置することが好ましい。例えば、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bの、第1の補強部材側面部9cが設けられていない側の端部が、第1の補強部材側面部9cに対して車両前後方向Lの車外側に位置するように設けられていることが好ましい。これにより、第1の補強部材側面部9cを断面内側へ変形させるモーメントMが生じ、第1の補強部材上面部9aと第1の補強部材下面部9bが断面外側に変形しようとする作用が生じる。したがって、第1の上面部2aと第1の下面部2bの断面内側への変形をさらに抑制することができる。その結果、耐荷重性能をさらに向上させることが可能となる。
なお、第1の補強部材9の断面形状は、図13および図14に示すU字形状に限定されない。すなわち、第1の補強部材9が、対向する第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと、第1の補強部材上面部9aと第1の補強部材下面部9bの一端を接続する第1の補強部材側面部9cとを有し、かつ、第1の補強部材上面部9aと第1の上面部2a、および、第1の補強部材下面部9bと第1の下面部2bとがそれぞれ固定されていれば、耐荷重性能を向上させることができる。例えば、第1の補強部材側面部9cに凹部(不図示)を設けた構造であっても、同様の効果を享受することができる。
(第4の変形例)
また、第1の補強部材側面部9cは、ブラケット10のビーム取付部10bに対して当接していることが好ましい。これにより、第1の補強部材9およびビーム取付部10bの面外変形をさらに抑制することができる。したがって、耐荷重性能をさらに向上させることが可能となる。なお、第1の補強部材側面部9cの一部がビーム取付部10bに対して当接していれば、上記のような面外変形を抑制する効果が生じ得る。図15は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第4の変形例の概略構成を示す断面図である。図15に示すように、第1の補強部材9は、第1の補強部材側面部9cの中央部分に、第1の補強部材凸部9dがさらに設けられてもよい。この第1の補強部材凸部9dがビーム取付部10bに対して当接することにより、第1の補強部材9およびビーム取付部10bの面外変形を抑制する効果を得ることができる。また、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの、第1のフランジ部2d近傍における断面内側への変形を阻害する観点から、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bは、第1のフランジ部2dの近くに配置されることが好ましい。
(第5の変形例)
また、図9に示した本実施形態に係るビーム2に対して荷重が入力されると、ビーム取付部10bは波状に変形し得る。これにより面外変形が誘起されるので、耐荷重性能の向上の阻害要因となり得る。そこで本発明者らは、ビーム取付部10bの形状についてさらに鋭意検討し、以下に説明するアンダーランプロテクター1を開発した。
図16および図17は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第5の変形例の概略構成を示す斜視図、およびXVII−XVII切断線における断面図である。図17に示すように、本変形例に係るブラケット10は、車幅方向Wに垂直な断面視におけるビーム取付部10bの形状が概略ハット形断面形状となっている。図16および図17に示す例では、ビーム取付部10bは、第2の上面部10cおよび第2の下面部10dと、第2の上面部10cと第2の下面部10dの一端を接続する第2の側面部10eと、第2の上面部10cと第2の下面部10dの他端(第2の側面部10eが設けられていない側の一端)において、鉛直方向Vの外方に突出するように形成された一対の第2のフランジ部6fとを有する。第2のフランジ部10fと第1のフランジ部2dは、例えばボルト(不図示)により締結される。これによってビーム2とブラケット10とが固定される。なお、ビーム2とブラケット10との固定方法はボルト締結に限定されない。また、図16および図17に示す例では、第2の上面部10cと第2の下面部10dが水平面に対して傾斜するように形成されているが、第2の上面部10cおよび第2の下面部10dの水平面に対する傾斜角度は、要求される耐荷重性能や周囲の余裕に応じて適宜変更される。
このようなブラケット10において、ビーム取付部10bが概略ハット形断面を有することにより、平板状のビーム取付部に比べて、断面剛性および強度が増加する。そのため、ブラケット10に生じる波状の面外変形を阻害することができる。また、図17に示すように、ビーム取付部10bに発生するモーメントMと、第1のフランジ部2dに発生するモーメントMが逆向きとなることにより、互いの変形を阻害する効果を得ることができる。これにより、耐荷重性能を向上させることが可能となる。
また、ビーム取付部10bが概略ハット形断面を有する場合、図17に示すように、第2の側面部6eがビーム2の開断面よりも車内側(第1のフランジ部2dに対して車両前後方向Lの車内側)に位置していることが望ましい。ビーム取付部10bをかかる形状とすることで、車幅方向Wに垂直な断面視においてビーム2およびブラケット10により形成される閉断面の断面積を大きくすることができる。これにより、ビーム2の曲げ剛性および強度が増加するので、耐荷重性能を向上させることが可能となる。
また、ビーム取付部10bが概略ハット形断面を有する場合、ステー取付部10aとビーム取付部10bは別部材であってもよい。しかし、その場合には、ステー取付部10aとビーム取付部10bとを組み付けるためのコストが増加してしまう。そのため、ステー取付部10aとビーム取付部10bは、一体物のブラケット10として成形されることが好ましい。
(第6の変形例)
また、ビーム取付部10bが概略ハット形断面を有する場合、第1の補強部材9がビーム2の内方にさらに設けられてもよい。図18は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第6の変形例の概略構成を示す断面図である。図18に示すように、第1の補強部材側面部9cには、ビーム取付部10bの第2の側面部6e(第1のフランジ部2dに対して車両前後方向Lの車内側)に向けて突出する第1の補強部材凸部9dが設けられていることが好ましい。すなわち、第1の補強部材9は、車幅方向Wに垂直な断面視において、対向する第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと、第1の補強部材上面部9aと第1の補強部材下面部9bの一端を接続する第1の補強部材側面部9cとを有し、第1の補強部材側面部9cの一部が第2の側面部6eに突出していることが好ましい。この形態では車幅方向Wに垂直な断面視においてビーム2および第1の補強部材9により形成される閉断面の断面を大きくとることができる。これにより、ビーム2の曲げ剛性と強度を高めることができ、耐荷重性能を向上させることが可能となる。また、上述したように、第1の補強部材側面部9cの一部が第2の側面部6eに対して当接することがさらに好ましい。これにより、第1の補強部材9およびビーム取付部10bの面外変形を抑制することができる。また、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bの、第1のフランジ部2d近傍における断面内側への変形を阻害する観点から、第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bは、第1のフランジ部2dの近くに配置されることが好ましい。
(第7の変形例)
従来のアンダーランプロテクター60には、図19に示すようなハット形補強部材63を設けたものも存在する。ハット形補強部材63は、対向する上面部63aと下面部63bを有しており、矩形断面のビーム61の衝突面と反衝突面を掛け渡すように配置されている。これにより、衝突面と反衝突面の変形を抑制する補強がされている。
ビーム取付部10bが概略ハット形断面を有する場合、図19に示したような補強部材がビーム2およびビーム取付け部10bにより形成される閉断面の内側に設けられてもよい。
図20および図21は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第7の変形例の概略構成を示す斜視図、およびXXI−XXI切断線における断面図である。図21に示すように、第2の補強部材90は、車幅方向Wに垂直な断面視において、対向する第2の補強部材上面部90aおよび第2の補強部材下面部90bと、第2の補強部材上面部90aおよび第2の補強部材下面部90bの一端を接続する第2の補強部材側面部90cと、第2の補強部材上面部90aおよび第2の補強部材下面部90bの他端(第2の補強部材側面部90cが設けられていない側の一端)において、鉛直方向Vの外方に突出するように形成された一対の第2の補強部材フランジ部90eとを有している。第2の補強部材90の第2の補強部材側面部90cは、ビーム2の開断面よりも車内側(第1のフランジ部2dに対して車両前後方向Lの車内側)に位置している。また、第2の補強部材フランジ部90eと第1の側面部2cは、例えば溶接等により固定されている。なお、第2の補強部材フランジ部90eと第1の側面部2cとの固定方法は、溶接に限定されない。また、図21に示す例では、第2の補強部材上面部90aと第2の補強部材下面部90bが水平面に対して傾斜するように形成されているが、第2の補強部材上面部90aおよび第2の補強部材下面部90bの水平面に対する傾斜角度は、要求される耐荷重性能やビーム形状等に応じて適宜変更される。
このような第2の補強部材90を設けることにより、衝突面(第1の側面部2c)を支持するような補強が可能である。さらに、車幅方向Wに垂直な断面視において断面席を大きくすることができるので、ビーム2の曲げ剛性と強度を高めることができる。これにより、アンダーランプロテクター1の軽量化と耐荷重性能の向上を両立させることが可能となる。なお、図21に示す例では、第2の補強部材90の第2の補強部材側面部90cがビーム取付部10bの第2の側面部10eに接するように配置していたが、両者は完全に接していなくてもよい。すなわち、衝突面を支持する補強が可能な範囲において第2の補強部材側面部90cと第2の側面部6eとの間に隙間が設けられてもよい。しかし、上述したように、第2の補強部材90およびビーム取付部10bの面外変形を抑制するためには、第2の補強部材側面部90cが第2の側面部6eに対して当接することが好ましい。
また、図18に示す第1の補強部材凸部9dが設けられる場合、または図21に示すハット形断面を有する第2の補強部材90が設けられる場合、ステー4と第2の補強部材90との干渉を避ける必要がある。干渉を避けるためには、ステー4に、第2の補強部材90との干渉を避けるための凹部(不図示)が設けられてもよいし、または切り欠き(不図示)が設けられてもよい。また、ステー4とは別の部材により形成される凹部がステー4に設けられてもよい。ただし、切り欠きが設けられた場合、ステー4の強度が低下し得る。また、ステー4の凹部が別部材により形成された場合、ステー4と当該凹部との組み付けが必要であるので、コストが増加する。そのため、ステー4に凹部を設ける場合、ステー4と凹部が一体として形成されることが好ましい。
また、図21に示す形態(本形態と称する)における第1の側面部2cのビーム取付面10bを起点とする車両前後方向Lの突出距離Dと、図19に示す形態(従来形態と称する)における矩形断面のビーム61のビーム取付面62を起点とする車両前後方向Lの突出距離Dが同じであるとする。このとき、車幅方向Wに垂直な断面視において、ビーム2およびビーム取付面10bにより囲まれて形成される閉断面の断面積について、本形態の方が従来形態よりも大きくなる。すなわち、第1の側面部2cの車両前後方向Lの位置に制約がある場合、その制約を阻害せずに、ビーム2およびビーム取付面10bにより囲まれて形成される閉断面の面積を大きくすることができる。
(第8の変形例)
図22は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第8の変形例の概略構成を示す断面図である。図22を参照すると、ビーム2およびビーム取付面10bにより形成される閉断面の断面積が、図19に示す従来形態の矩形断面ビーム61により形成される閉断面の断面積と同一である場合、本形態の突出距離Dが、従来形態の突出距離Dに比べて短くなる。すなわち、耐荷重性能を担保しつつ、アンダーランプロテクターのサイズが従来と比較してコンパクトになる。したがって、軽量化を図ることができ、また、車両デザインの自由度を向上させることができる。
以上、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明した。
上記の第1の実施形態および第2の実施形態においては、ビーム2はハット形状を有し、第1の側面部2cが車両前後方向Lの車外側に位置するように、ビーム2が接続構造体3に固定される。つまり、第1の側面部2cが衝突面となる。
このとき、例えば第1の実施形態で示したように、第1の上面部2aまたは第1の下面部2bの少なくともいずれかがビーム2の内方に突出する突出部6と接合することにより、ビーム2が接続構造体3に固定されていてもよい。また、例えば第2の実施形態で示したように、第1のフランジ部2dと接続構造体3とが接合されることにより、ビーム2が接続構造体3に固定されていてもよい。また、ビーム2と接続構造体3とが、第1の実施形態または第2の実施形態におけるそれぞれの接合により固定されてもよい。
例えば、ビーム2の取付位置P1の耐荷重を向上させるため、第1の実施形態のように、接続構造体3がビーム2の内方に配置される。これにより、上記取付位置における断面潰れを抑制することができる。また、ビーム2の取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2の耐荷重を向上させるため、第2の実施形態のように接続構造体3がビーム2の第1のフランジ部2dと接するように配置される。これにより、ビーム2の折れを抑制することができる。このように、耐荷重を向上させたい衝突形態に応じて、第1の実施形態または第2の実施形態のいずれか、または両者を選択することができる。すなわち、アンダーランプロテクター1についての所望の耐荷重性能を向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態で説明した例に限定されない。例えば、上記実施形態では、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bはそれぞれ水平としたが、第1の上面部2aまたは第1の下面部2bの少なくともいずれかは、水平状態でなくても良い。例えば、要求される耐荷重性能に応じて、第1の側面部2cと、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bとのなす角がそれぞれ鈍角となるように、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bが傾斜した状態で設けられてもよい。この場合においても、矩形断面ビームを備えたアンダーランプロテクターよりも、耐荷重性能を向上させることができる。
<<4.第3の実施形態>>
続いて、本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明する。
図23は、従来のアンダーランプロテクター71に対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクター71の変形の状態の一例を示す図である。図23に示すように、従来のアンダーランプロテクター71は、例えば、車両フレームに取り付けられる接続構造体72(例えばステーおよびブラケット)と、車幅方向Wに延び、接続構造体72のビーム取付面に取り付けられるビーム73と、接続構造体72とビーム73との間を架け渡すように設けられる補強部材74とを備える。この補強部材74が設けられることで、耐荷重性能の向上が図られてきた。
しかしながら、図23に示すように、接続構造体72のビーム取付面を平板状に形成した場合、ビーム73の取付位置よりも車幅方向Wの外側に荷重Fが入力されると、ビーム取付面の先端のエッジに応力が集中する。これにより、ビーム73が当該エッジにおいて折れ曲がってしまう。そうすると、ビーム73の断面が潰れてしまうので、耐荷重性能を十分に発揮することが困難である。本発明者らは鋭意検討した結果、以下に説明する本実施形態に係るアンダーランプロテクター1を開発した。
図24は、本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクター1の概略構成を示す斜視図である。図24に示すように、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、車幅方向Wに延びるハット形断面のビーム2と、ビーム2を車体フレーム20に取り付けるための接続構造体3を備えている。ビーム2は、接続構造体3を介して車体フレーム20に固定される。本実施形態における接続構造体3は、鉛直方向Vに延びるように形成されたステー4と、ビーム2とステー4との間に設けられたL字形のブラケット10と、第3の補強部材15とを有する。なお、図24に示した例では、ビーム2は車幅方向Wに垂直な断面視において閉断面形状を単体で有しているが、ビーム2はハット形断面を有していてもよい。
図25は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の、図24に示すXXV−XXV切断線における断面図である。図24および図25に示すように、ステー4は、平面視においてU字状に形成されている。ステー4の開口部は車幅方向Wの内側に向くように設けられている。ステー4の開口部の一部は、ブラケット10の車体フレーム側の面10a(ステー取付面10aに相当する)で覆われており、ブラケット10の車体フレーム側の面10aの先端は、ステー4の側壁部4cの外側で、例えば溶接により固定されている。また、ブラケット10の車体フレーム側の面10aに直角な面であるビーム2が取り付けられる面(以下、「ビーム取付面10b」と称する)は、ステー4の背面4bに、例えば溶接により固定されている。これにより、ブラケット10はステー4と固定され、ブラケット10の車体フレーム側の面10aおよびステー4によって、水平断面形状が閉断面となる部分(以下、「閉断面部3b」と称する)が形成される。ブラケット10がステー4の側壁部4cに固定されてもよい。この場合、ブラケット10およびステー4によって閉断面部3bは形成されない。しかし、閉断面部3bを形成することにより、衝突の際にステー4に生じるねじりモーメントによるステー4の変形を抑制することができる。したがって、図25に示すように、閉断面部3bを形成するようにブラケット10およびステー4を設けることが好ましい。
また、図24を参照すると、ステー4の上部には、車体フレーム(不図示)が取り付けられるフレーム取付板5が設けられている。フレーム取付板5はステー4に、例えば溶接により固定される。また、フレーム取付板5は車体フレームとボルトにより締結される。これにより、接続構造体3が車体フレームに固定される。
図25を参照すると、ブラケット10のビーム取付面10bにおける車幅方向Wの外側の先端部分には、車両前後方向Lの後方に屈曲する屈曲部16が設けられている。この屈曲部16の面内の曲率半径は、50〜200mmであることが好ましい。曲率半径が50mmを下回る場合、ビーム2は小さな曲率で変形するため、ビーム2に対する応力集中が緩和されにくく、ビーム2の折れを抑制する効果を得ることが困難である。一方、曲率半径が200mmを上回る場合、曲率が大きいため、屈曲部16の効果が得難く、屈曲部16部を設けない場合と同様に、ビーム2はビーム取付面10bの先端のエッジで応力が集中してしまう。なお、ビーム取付面10bとビーム2は例えばボルトにより締結されている。これにより、ビーム2は接続構造体3に固定される。
第3の補強部材15は、ブラケット10のビーム取付面10bとステー4の背面4bとの間を掛け渡すようにして設けられている。本実施形態における第3の補強部材15は、三角形状の板材であり、ステー4の背面4b(以下、「補強部材取付面」という)と、ブラケット10の内面にそれぞれ溶接されている。第3の補強部材15は鉛直方向Vに沿って2つ配置されている。また、第3の補強部材15は、ビーム取付面10bの車幅方向Wの外側の先端部分の周辺において、屈曲部16に追従するように形成されている。すなわち、第3の補強部材15の車幅方向Wの外側の先端部分の形状は、屈曲部16の曲率半径Rと同等の曲率半径を有する。
本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、以上のように構成されている。かかる構成によれば、図26に示すように、ビーム2に対して荷重が入力されたときに、屈曲部16の曲面部分に沿うようにビーム2が曲げ変形する。これにより、ビーム取付面10bの先端部分において、ビーム2に局所的に応力が集中することを避けることができる。したがって、図23に示したようなビーム2の折れ曲がりによるビーム2の断面潰れを防ぐことができる。その結果、アンダーランプロテクター1が本来有する耐荷重性能を十分に発揮することができる。これにより、従来のアンダーランプロテクターよりも耐荷重性能を向上させることが可能となる。
以上、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ビーム2と車体フレーム(不図示)を接続する接続構造体3の各部材の形状は、上記実施形態で説明したものに限定されない。より具体的には、平面視においてU字状に形成されたステー4は、その開口部が車幅方向Wの外側を向くように配置されていてもよい。この場合、ステー4の開口部を覆う平板等がさらに設けられ、ビーム取付面10bと当該平板とを架け渡すように第3の補強部材15が設けられても良い。または、車幅方向Wの外側に向くステー4の開口部に合わせてブラケット10の車体フレーム側の面10aが溶接され、ブラケット10の車体フレーム側の面10aとビーム取付面10bを掛け渡すように第3の補強部材15が設けられてもよい。
また、ステー4の代わりに、鉛直方向Vに延びる板状部材が用いられてもよい。この場合、ブラケット10のフレーム取付側の面10aを平面視においてU字状に成形して、その板状部材にフレーム取付側の面10aを溶接し、その板状部材とビーム取付面10bとを掛け渡すように第3の補強部材15が設けられてもよい。
すなわち、ビーム2と車体フレーム(不図示)を接続する接続構造体3は、鉛直方向Vに延びるように設けられた構造体本体部(例えばステー4)と、車体フレームが取り付けられるフレーム取付部(例えばフレーム取付板5)と、ビームが取り付けられるビーム取付部材(例えばブラケット10)とを備え、ビーム取付部材は、上記ビームが取り付けられるビーム取付面と、平面視において上記ビーム取付面に直角な面を有し、構造体本体部に取り付けられる本体接続面とを備え、ビーム取付面の車幅方向Wの外側の端部に車両前後方向Lの後方に向けて屈曲した屈曲部と、平面視において構造体本体部とビーム取付面との間を架け渡すように少なくとも1つの第3の補強部材と、がさらに設けられていれば、上記実施形態で説明した耐荷重性能の向上といった効果を得ることができる。また、ビーム取付部の平面部とフレーム取付部は、一体的に形成されていても良い。
(第1の変形例)
また、図26に示すように、ビーム2に荷重が入力した際に、上記実施形態に係る第3の補強部材15がステー4に食い込むように変形することがある。これに対し、例えば、接続構造体3の閉断面部3bの内方に補強板17を設けても良い。図27は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第1の変形例の概略構成を示す斜視図である。図27に示すように、この補強板17は、第3の補強部材15の先端部15aまたは先端部15bのうち、車両前後方向Lの後方側の先端部15a(閉断面部3b側の先端部、以下「後方側先端部15a」と称する)の位置に合わせて配置されている。そして、補強板17は、相対的に下側にある第3の補強部材15の後方側先端部15aから相対的に上側にある第3の補強部材15の後方側先端部15aまで延びるように設けられている。また、図26に示すように、この補強板17は、平面視において両端部が車両前後方向Lの前方に突出するような形状を有してもよいし、車両前後方向Lの後方に突出するような形状を有してもよい。
このような補強板17が閉断面部3bの内方に配置されることによって、図28に示すように、ビーム2に対して荷重が入力された際において、ビーム2を介して伝達された荷重によるステー4の内方への変形を阻害する作用を生じさせることができる。したがって、耐荷重性能を向上させることが可能となる。
このような効果は、複数の第3の補強部材15が設けられた場合において享受することができる。すなわち、補強板17は、車両前後方向Lの後方側先端部15aの位置に合わせて、最も下側に位置する第3の補強部材15の後方側先端部15aから最も上側に位置する第3の補強部材15の後方側先端部15aまで延びるように設けられればよい。これにより、耐荷重性能を向上させる効果を得ることができる。
(第2の変形例)
また、図25に示すように、第3の補強部材15の補強部材取付面4bに接する領域を可能な限り大きくすることが好ましい。例えば、第3の補強部材15における接続構造体3の閉断面部3bに接続する部分の車両前後方向Lの長さをLとし、閉断面部3bの補強部材取付面4bの車両前後方向Lの長さをLとした場合、下記式(1)を満たすように第3の補強部材15が設けられることが好ましい。
/L≧0.8 ・・・(1)
なお、上記式(1)に示される下限値の0.8は、後述の実施例でも示されるように、本発明者らが複数の条件下で行った試験結果から見出した値である。
図29は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第2の変形例の概略構成を示す斜視図である。また、図30は、本変形例に係るアンダーランプロテクター1に対して荷重が入力されたときのアンダーランプロテクター1の変形の状態の一例を示す図である。第3の補強部材15の車両前後方向Lの後方側先端部15aが、図29に示すようにステー4の側壁部4cまで延びる形状の場合、第3の補強部材15を介して閉断面部3bに伝達される荷重をステーの側壁部4cに広く分散できる。したがって、図30に示すように、閉断面部3bの内方への面外変形を抑制することができる。ゆえに、アンダーランプロテクターの耐荷重性能をさらに向上させることができる。
(第3の変形例)
図31は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の第3の変形例の概略構成を示す斜視図である。図31に示すように、接続構造体3の閉断面部3bの水平断面視において、閉断面部3bの内方の空間を埋めるように、間仕切り部材18が設けられてもよい。間仕切り部材18には、例えば平板状の部材が用いられる。間仕切り部材18の材質は特に限定されない。例えば、間仕切り部材18の材質は、金属、プラスチックまたは複合部材などであってもよい。この間仕切り部材18は、第3の補強部材15の設置高さに合わせて配置されている。このように間仕切り部材18を閉断面部3bの内方に設けることにより、間仕切り部材18がステー4の面外変形を阻害するので、接続構造体3の閉断面部3bの内方への変形を抑制することができる。したがって、耐荷重性能をさらに向上させることができる。なお、軽量化を図るために、間仕切り部材18の周端部の内側の領域において部分的に肉抜きがなされてもよい。
以上、本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明した。
<<5.第4の実施形態>>
続いて、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明する。本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、本発明の第1の実施形態〜第3の実施形態に係るアンダーランプロテクター1の特徴的な構成要素(突出部および補強部材)を複合させた構成を有する。
図32は、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクター1の概略構成を示す斜視図である。図33は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の、図32に示すXXXIII−XXXIII切断線における断面図である。図34は、本実施形態に係るアンダーランプロテクター1の、図32に示すXXXIV−XXXIV切断線における断面図である。なお、アンダーランプロテクター1の基本的な構成要素である、ビーム2、ステー4、フレーム取付板5、ブラケット10、第3の補強部材15および車体フレーム20の機能については、本発明の第1の実施形態〜第3の実施形態におけるそれぞれと同様であるので、説明を省略する。
図32および図33に示すように、本実施形態に係るステー4は、突出部6を有する。この突出部6は、ビーム2の開口部からビーム2の内方に突出し、ビーム2の第1の上面部2aおよび第1の下面部2bと固定される。なお、図33に示すように、本実施形態に係るビーム2の車幅方向Wに垂直な断面視における断面形状は、本発明の第1の実施形態とは異なり、T字状であってもよい。かかる形状により、ステー4を、ビーム2の第1のフランジ部2dのそれぞれに対して当接させて配置することが可能である。これにより、第1のフランジ部2dからステー4に伝達される荷重が大きくなる。したがって、図2に示すビーム2の取付位置P1に与えられる荷重に対する耐荷重性能が向上する。
また、図32および図34に示すように、本実施形態に係るビーム2の開口部には、第1の補強部材9が設けられる。第1の補強部材9の第1の補強部材上面部9aおよび第1の補強部材下面部9bと、第1の上面部2aおよび第1の下面部2bとがそれぞれ、例えば溶接等により接合されている。また、ビーム2と第1の補強部材9により閉断面が形成されている。これにより、第1の上面部2aと第1の下面部2bの断面内側への変形をさらに抑制することができる。したがって、図2に示すビーム2の取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2に与えられる荷重に対する耐荷重性能が向上する。
また、図32および図34に示すように、本実施形態に係るブラケット10のステー取付面10aとビーム取付面10bとの間には、第3の補強部材15が架け渡されている。また、ブラケット10のビーム取付面10bにおける車幅方向Wの外側の先端部分には、車両前後方向Lの後方に屈曲する屈曲部16が設けられている。これにより、図2に示すビーム2の取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2に荷重が与えられた場合に、ビーム取付面10bの先端部分においてビーム2に局所的に応力が集中することを避けることができる。したがって、図2に示すビーム2の取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2に与えられる荷重に対する耐荷重性能が向上する。
本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、以上のように構成されている。本実施形態に係るアンダーランプロテクター1は、本発明の第1の実施形態に示した突出部6と、本発明の第2の実施形態に示したおよび第1の補強部材9と、本発明の第3の実施形態に示したブラケット10および第3の補強部材15と、を有する。これにより、図2に示すビーム2の取付位置P1、および取付位置P1よりも車幅方向Wの外側の位置P2に与えられる荷重のそれぞれに対する耐荷重性能を向上させることができる。すなわち、アンダーランプロテクター1の総合的な耐荷重性能を向上させることが可能となる。
なお、上記実施形態では、本発明の第1の実施形態〜第3の実施形態に係る各構成要素がアンダーランプロテクター1に含まれていたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態において示された各構成要素がアンダーランプロテクター1に組み込まれてもよい。また、本発明の第1の実施形態および第3の実施形態において示された各構成要素がアンダーランプロテクター1に組み込まれてもよい。また、本発明の第2の実施形態および第3の実施形態において示された各構成要素がアンダーランプロテクター1に組み込まれてもよい。さらに、各実施形態において示された種々の変形例についても、他の実施形態に係るアンダーランプロテクター1に組み込ませることが可能である。各実施形態に示されたそれぞれの構成要素は、構造的に干渉が生じない限り、適宜アンダーランプロテクター1に組み込まれてよい。これらの構成要素を複合的に組み合わせることにより、複数の荷重の入力位置に対する耐荷重性能を向上させることができ、また、耐荷重性能の向上率をさらに高くすることができる。
以上、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクター1について説明した。
(実験例1)
本発明の第1の実施形態に係るアンダーランプロテクターと、従来構造のアンダーランプロテクターとを用いて、耐荷重性評価試験を実施した。従来構造のアンダーランプロテクター(比較例1)は、図4に示す構成からステーの突出部を除き、かつビームの断面形状が矩形断面である構成を有する。また、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクターとは、図4に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例1)である。ビームは、引張強度が780MPa級のハイテン鋼で形成され、ステーは、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。
耐荷重性評価試験は、図2に示すステー取付位置P1のビーム側面部に圧子を当て、荷重を入力することにより行われた。図35は、実験例1に係るアンダーランプロテクター1に対する耐荷重性評価試験の試験方法を説明するための図である。図35に示されるアンダーランプロテクター1は、本実施例1に係るアンダーランプロテクター1である。図35に示すように、ビーム2の取付位置P1に圧子101が設けられ、圧子101に対して荷重Fが与えられた。荷重の入力位置は、実施例1および比較例1に係るアンダーランプロテクターにおいて、ともに同一である。そして、当該耐荷重性評価試験においては、圧子の押込み量と入力荷重が記録された。当該記録に基づいて、実施例1および比較例1に係るアンダーランプロテクターの耐荷重性能が評価された。
図36は、実施例1および比較例1における圧子押込み量と入力荷重との関係を示す。なお、図36に示す「荷重比」は、記録された入力荷重と比較例1に対する耐荷重性評価試験により得られた最大入力荷重との比を表している。
図36に示すように、比較例1では、圧子の押込み量が大きくなるにつれて入力荷重が緩やかに大きくなった。また、比較例1では、ある程度圧子が押し込まれると、入力荷重がほぼ一定となった。一方、実施例1では、圧子押込み量が小さい段階において入力荷重の上昇が顕著となった。また、実施例1では、その後、入力荷重は緩やかに減少した。
この耐荷重性評価試験における比較例1に係るアンダーランプロテクターに対する実施例1に係るアンダーランプロテクターの最大荷重比は、表1の通りである。
Figure 2016125745
表1に示すように、実施例1に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を70%以上向上させることができる。
以上、本実験例の結果によれば、本発明の第1の実施形態に係るアンダーランプロテクターは、従来のアンダーランプロテクターに対して、ビームの取付位置に対して荷重が与えられる場合に、優れた耐荷重性を有することが示された。
(実験例2)
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクターと、従来構造のアンダーランプロテクターとを用いて、耐荷重性評価試験を実施した。従来構造のアンダーランプロテクターとは、上記の比較例1に係るアンダーランプロテクターと、比較例1に係るアンダーランプロテクター1に対して、第2の補強部材を追加した図19に示す構成のアンダーランプロテクター(比較例2)である。また、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクターとは、図8に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例2)、図8に示す構成に対して第1の補強部材を除いたアンダーランプロテクター(実施例3)、図14に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例4)、図17に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例5)、および図22に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例6)である。ビームは、引張強度が780MPa級のハイテン鋼で形成され、ステーおよびブラケットは、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。また、第1の補強部材および第2の補強部材は、引張強度が780MPa級の厚手材で形成されている。
耐荷重性評価試験は、図2に示すステー取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2のビーム側面部に圧子を当て、荷重を入力することにより行われた。図37は、実験例2に係るアンダーランプロテクター1に対する耐荷重性評価試験の試験方法を説明するための図である。図37に示されるアンダーランプロテクター1は、実施例2に係るアンダーランプロテクター1である。図37に示すように、ビーム2の取付位置P1よりも車幅方向Wの外側の位置P2に圧子102が設けられ、圧子102に対して荷重Fが与えられた。荷重の入力位置は、各実施例および各比較例に係るアンダーランプロテクターにおいて、ともに同一である。そして、当該耐荷重性評価試験においては、圧子の押込み量と入力荷重が記録された。当該記録に基づいて、各実施例および各比較例に係るアンダーランプロテクターの耐荷重性能が評価された。
図38は、実施例2および比較例1における圧子押込み量と入力荷重との関係を示す。なお、図38に示す「荷重比」は、記録された入力荷重と比較例1に対する耐荷重性評価試験により得られた最大入力荷重との比を表している。
図38に示すように、実施例2および比較例1はともに、圧子が押し込まれるにつれて、ある程度の押込み量までは入力荷重が大きくなった。また、実施例2および比較例1は、その後、緩やかに入力荷重が減少した。このように、圧子押込み量と入力荷重の関係に関しては、実施例2および比較例1において、同様の傾向が見られた。その一方で、入力された最大荷重値は、比較例1よりも実施例2の方が飛躍的に大きくなった。
次に、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対する実施例2、実施例3、実施例4および実施例5に係るアンダーランプロテクターの最大荷重比および重量比を表2に示す。
Figure 2016125745
表2に示すように、実施例2に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を30%以上向上させることができる。また、実施例3に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を5%向上させることができる。さらに、実施例3に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、10%程度軽量化することができる。すなわち、実施例3に係るアンダーランプロテクターによれば、従来のアンダーランプロテクターに対して、軽量化を図りつつ、耐荷重性能を向上させることが可能となる。
一方、実施例4に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を100%以上向上させることができる。すなわち、実施例4に係るアンダーランプロテクターは、実施例2に係るアンダーランプロテクターよりも耐荷重性能が高い。したがって、U字状断面を有する第1の補強部材をビームの内方に設けることにより、耐荷重性能を向上させることができる。
一方、実施例5に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を15%以上向上させることができる。さらに、実施例5に係るアンダーランプロテクターは、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、10%程度軽量化することもできる。また、実施例5に係るアンダーランプロテクターは、実施例3に係るアンダーランプロテクターと重量は同程度である。しかし、実施例5に係るアンダーランプロテクターの耐荷重性能は、実施例3に係るアンダーランプロテクターに比べて高い。このことから、ブラケットのビーム取付部の形状をハット形断面形状とすることにより、耐荷重性能がさらに向上することがわかる。
次に、比較例2に係るアンダーランプロテクターに対する実施例6に係るアンダーランプロテクターの最大荷重比および重量比を表3に示す。
Figure 2016125745
実施例6に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例2に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を4%向上させることができる。さらに、実施例6に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例2に係るアンダーランプロテクターに対して、20%程度軽量化することができる。すなわち、第2の補強部材およびブラケットがハット形断面を有し、かつ、ビームおよびブラケットの側面部を支持するように設けられていれば、従来のアンダーランプロテクターに対して、軽量化を図りつつ、耐荷重性能を向上させることが可能となる。
以上、本実験例の結果によれば、本発明の第2の実施形態に係るアンダーランプロテクターは、従来のアンダーランプロテクターに対して、ビームの取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置に対して荷重が与えられる場合に、優れた耐荷重性を有することが示された。
(実験例3)
次に、本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクターと、従来構造のアンダーランプロテクターとを用いて、耐荷重性評価試験を実施した。本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクターとは、図24に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例7)であり、ビーム取付面の車幅方向Wの外側の先端部分に屈曲部が設けられている。一方、従来構造のアンダーランプロテクターとは、図24に示すアンダーランプロテクターから、ビーム取付面の車幅方向Wの外側の先端部分における屈曲部を有しないアンダーランプロテクター(比較例3)である。ビームは、引張強度が780MPa級のハイテン鋼で形成され、ステーおよびブラケットは、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。また、平面視において構造体本体部とビーム取付面との間を架け渡すように設けられる第3の補強部材は、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。また、実施例9に係る屈曲部の曲率半径は100mmであり、L/Lは0.6である。
耐荷重性評価試験は、上記の実験例2と同様に、図2に示すステー取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2のビーム側面部に圧子を当て、荷重を入力することにより行われた。荷重の入力位置は、各実施例および各比較例に係るアンダーランプロテクターにおいて、ともに同一である。そして、当該耐荷重性評価試験においては、圧子の押込み量と入力荷重が記録された。当該記録に基づいて、各実施例および各比較例に係るアンダーランプロテクターの耐荷重性能が評価された。
図39は、実施例7および比較例3における圧子押込み量と入力荷重との関係を示す。図39に示すように、実施例7に係るアンダーランプロテクターの最大入力荷重は、比較例3に係るアンダーランプロテクターの最大入力荷重よりも大きくなっている。すなわち、ビーム取付面の先端部分に屈曲部を設けることにより、アンダーランプロテクターの耐荷重性能を向上させることが可能となる。
(実験例4)
次に、異なる構造のアンダーランプロテクターの、当該構造の違いによる耐荷重性能への影響について評価した。本実施例におけるアンダーランプロテクターの構造の種類は、ビーム取付面の車幅方向Wの外側の先端に屈曲部を設けた構造A、構造Aに対して図27に示した補強板が追加された構造B、構造Aに対して図31に示した間仕切り部材が追加された構造Cの3種類である。なお、第3の補強部材の形状は、各構造で同一である。また、構造Aについては、図25に示した第3の補強部材の車両前後方向Lの長さLを2通り用意した。また、構造A〜Cについては、屈曲部の曲率半径を3通り用意した。これら実施例8〜実施例19について、耐荷重性評価試験が行われた。試験条件は上記の実験例3と同一であるため、説明を省略する。
実施例8〜実施例19に係るアンダーランプロテクターの構造に関するパラメータ、および比較例3に係るアンダーランプロテクターに対する実施例8〜実施例19に係るアンダーランプロテクターの最大荷重比および重量比を表4に示す。
Figure 2016125745
表4に示すように、構造Bは、構造Aよりも耐荷重性能が高い。また、構造Cは、構造Bよりもさらに耐荷重性能が高い。すなわち、本実施例によれば、接続構造体のビーム取付面の先端に屈曲部を設けることに加え、接続構造体の閉断面部の内方に補強板を設けることにより、耐荷重性能が向上することがわかる。また、補強板に代えて、接続構造体の閉断面部の内方に間仕切り部材を設けることにより、耐荷重性能がさらに向上することがわかる。なお、構造Bおよび構造Cをともにアンダーランプロテクターに適用させることにより、さらに耐荷重性能が向上すると考えられる。
また、表4に示すように、構造Cにおいては、屈曲部の曲率半径が大きくなるにつれて、耐荷重性能がさらに向上することがわかった。すなわち、荷重の入力による閉断面部の面外変形が構造Cのように効果的に抑制される場合、屈曲部の曲率半径を増加させることにより、耐荷重性能をさらに向上させることができる。
また、表4の実施例8〜実施例10および実施例17〜実施例19に示すように、L/Lの値が大きい場合には、屈曲部の曲率半径が大きくなるにつれて、耐荷重性能が向上していることがわかる。
第3の補強部材の車両前後方向Lの長さLの効果についてさらに検証するために、Lを変化させた耐衝撃性能評価試験が実施された。図40は、長さLおよび補強部材取付面の車両前後方向Lの長さLの比と、従来のアンダーランプロテクターとの最大荷重比の関係を示すグラフである。なお、屈曲部の曲率半径は、200mmである。
図40に示すように、L/Lが0.8以上の場合に、耐荷重性能が顕著に向上した。したがって、第3の補強部材は、L/L≧0.8を満たすように設けられることが好ましい。このような知見は、本発明者によって初めて得られたものである。
以上、実験例3および実験例4の結果によれば、本発明の第3の実施形態に係るアンダーランプロテクターは、従来のアンダーランプロテクターに対して、ビームの取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置に対して荷重が与えられる場合に、優れた耐荷重性を有することが示された。
(実験例5)
次に、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクターと、従来構造のアンダーランプロテクターとを用いて、耐荷重性評価試験を実施した。従来構造のアンダーランプロテクターとは、上記の比較例1に係るアンダーランプロテクターである。また、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクターとは、図32に示す構成のアンダーランプロテクター(実施例20)である。ビームは、引張強度が780MPa級のハイテン鋼で形成され、ステーおよびブラケットは、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。また、第1の補強部材は、引張強度が780MPa級の厚手材で形成されている。また、第3の補強部材は、引張強度が540MPa級の厚手材で形成されている。
耐荷重性評価試験は、上記の実験例2〜実験例4と同様に、図2に示すステー取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置P2のビーム側面部に圧子を当て、荷重を入力することにより行われた。荷重の入力位置は、実施例20および比較例1に係るアンダーランプロテクターにおいて、ともに同一である。そして、当該耐荷重性評価試験においては、圧子の押込み量と入力荷重が記録された。当該記録に基づいて、実施例20および比較例1に係るアンダーランプロテクターの耐荷重性能が評価された。なお、実施例20に係るアンダーランプロテクターが、実施例1に係るアンダーランプロテクターと同様の構成を有する。つまり、図2に示すステー取付位置P1への荷重の入力に対する耐荷重性能については、上記の実験例1に示した評価結果と同様の結果が得られると考えられる。そのため、本実施例に係るアンダーランプロテクターに対する耐荷重性評価試験についてはここでは説明しない。
比較例1に係るアンダーランプロテクターに対する実施例20に係るアンダーランプロテクターの最大荷重比を表5に示す。
Figure 2016125745
実施例20に係るアンダーランプロテクターによれば、比較例1に係るアンダーランプロテクターに対して、耐荷重性を130%以上向上させることができる。したがって、U字状断面を有する第1の補強部材および、ビーム取付面と補強部材取付面とを架け渡すように設けられる第3の補強部材を複合的にアンダーランプロテクターに適用させることにより、耐荷重性能を顕著に向上させることができる。
以上、本実験例の結果によれば、本発明の第4の実施形態に係るアンダーランプロテクターは、従来のアンダーランプロテクターに対して、ビームの取付位置よりも車幅方向Wの外側の位置に対して荷重が与えられる場合に、顕著に優れた耐荷重性を有することが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 アンダーランプロテクター
2 ビーム
2a 第1の上面部
2b 第1の下面部
2c 第1の側面部
2d 第1のフランジ部
3 接続構造体
3a 接続構造体の先端部
3b 接続構造体の閉断面部
4 ステー
4a 開口面
4b 補強部材取付面(背面)
4c ステーの側壁部
5 フレーム取付板
6 突出部
6a 突出上面部
6b 突出下面部
6c 突出側面部
7 突出部のボルト穴
8 ビームのボルト穴
9 第1の補強部材
9a 第1の補強部材上面部
9b 第1の補強部材下面部
9c 第1の補強部材側面部
9d 第1の補強部材凸部
10 ブラケット
10a ステー取付部(ステー取付面)
10b ビーム取付部(ビーム取付面)
10c 第2の上面部
10d 第2の下面部
10e 第2の側面部
10f 第2のフランジ部
11 ブラケットのボルト穴
12 第1の補強部材のボルト穴
15 第3の補強部材
15a、15b 第3の補強部材の先端部
16 屈曲部
17 補強板
18 間仕切り部材
20 車体フレーム
21 フレーム取付板のボルト穴
22、23 ボルト
90 第2の補強部材
90a 第2の補強部材上面部
90b 第2の補強部材下面部
90c 第2の補強部材側面部
90e 第2の補強部材フランジ部
101、102 圧子

Claims (17)

  1. 車幅方向に延びるビームと、
    前記ビームを車体フレームに接続する接続構造体と、
    を備え、
    前記ビームは、車幅方向に垂直な断面視において、
    対向する第1の上面部および第1の下面部と、
    前記第1の上面部および前記第1の下面部の一端を接続する第1の側面部と、
    前記第1の上面部および前記第1の下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成される第1のフランジ部のそれぞれと、を有し、
    前記接続構造体に設けられ、前記ビームの内方に突出して前記ビームの内方に配置される突出部と前記第1の上面部および前記第1の下面部との、または、前記接続構造体に設けられるビーム取付部材と前記第1のフランジ部との、少なくともいずれかにおける接合により、前記ビームが前記接続構造体に固定されている、車両の端部構造。
  2. 前記接続構造体に前記突出部が設けられている場合、前記突出部には、前記第1の側面部に対向する突出側面部が形成されている、請求項1に記載の車両の端部構造。
  3. 前記接続構造体にビーム取付部材が設けられ、前記ビーム取付部材が前記第1のフランジ部と固定されている場合、
    前記ビーム取付部材は、車幅方向に垂直な断面視において、
    対向する第2の上面部および第2の下面部と、
    前記第2の上面部および前記第2の下面部の一端を接続する第2の側面部と、
    前記第2の上面部および前記第2の下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成された第2のフランジ部とを有し、
    前記第1のフランジ部と前記第2のフランジ部とが固定されている、請求項1に記載の車両の端部構造。
  4. 前記第2の側面部は、前記第1のフランジ部に対して車両前後方向の車内側に位置している、請求項3に記載の車両の端部構造。
  5. 前記接続構造体に前記ビーム取付部材が設けられ、前記ビーム取付部材が前記第1のフランジ部と固定されている場合、
    車幅方向において前記ビームの開口部の少なくとも前記接続構造体と対向する領域に第1の補強部材が設けられ、
    車幅方向に垂直な断面視において前記ビームと前記第1の補強部材により閉断面が形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の端部構造。
  6. 前記第1の補強部材は、車幅方向に垂直な断面視において、
    対向する第1の補強部材上面部および第1の補強部材下面部と、
    前記第1の補強部材上面部および前記第1の補強部材下面部の一端を接続する第1の補強部材側面部とを有し、
    前記第1の補強部材が前記ビームの内方に配置され、前記第1の上面部と前記第1の補強部材上面部とが固定され、前記第1の下面部と前記第1の補強部材下面部とが固定されている、請求項5に記載の車両の端部構造。
  7. 前記第1の補強部材側面部に、前記第1のフランジ部に対して車両前後方向の車内側に突出する凸部が形成されている、請求項6に記載の車両の端部構造。
  8. 前記第1の補強部材側面部の少なくとも一部が、前記接続構造体に当接する、請求項7に記載の車両の端部構造。
  9. 前記ビームの開口部の少なくとも前記ビーム取付部材と対向している領域に第2の補強部材が設けられ、
    前記第2の補強部材は、車幅方向に垂直な断面視において、
    対向する第2の補強部材上面部および第2の補強部材下面部と、
    前記第2の補強部材上面部および前記第2の補強部材下面部の一端を接続する第2の補強部材側面部と、
    前記第2の補強部材上面部および前記第2の補強部材下面部の他端において、鉛直方向外方に突出するように形成された第2の補強部材フランジ部とを有し、
    前記第2の補強部材が前記ビームの内方に配置され、
    前記第2の補強部材フランジ部が前記第1の側面部に固定され、
    前記第2の補強部材側面部が、前記ビーム取付部材に当接する、請求項3または4に記載の車両の端部構造。
  10. 前記接続構造体に前記ビーム取付部材が設けられ、前記ビーム取付部材が前記第1のフランジ部と固定されている場合、
    前記接続構造体は、鉛直方向に延びるように設けられた構造体本体部をさらに含み、
    前記ビーム取付部材は、
    前記ビームが取り付けられ、車幅方向外側の端部に車両前後方向の車内側に向けて屈曲した屈曲部を有するビーム取付面と、
    平面視において前記ビーム取付面に直角な面を有し、前記構造体本体部に取り付けられる本体接続面と、
    を有し、
    平面視において、前記構造体本体部と前記ビーム取付面との間を架け渡すように少なくとも1つの第3の補強部材がさらに設けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両の端部構造。
  11. 前記屈曲部の曲率半径が50〜200mmである、請求項10に記載の車両の端部構造。
  12. 前記第3の補強部材の車両前後方向長さLと、前記構造体本体部の前記第3の補強部材が取り付けられた面の車両前後方向長さLとの比率L/Lが0.8以上となるように、前記第3の補強部材が設けられている、請求項10または11に記載の車両の端部構造。
  13. 前記構造体本体部は、平面視において車幅方向に開口部が設けられたU字状の断面形状を有し、
    前記構造体本体部と前記本体接続面により水平断面形状が閉断面となる閉断面部がさらに設けられる、請求項10〜12のいずれか1項に記載の車両の端部構造。
  14. 前記第3の補強部材が鉛直方向に複数設けられる場合において、
    前記閉断面部の内方に、前記第3の補強部材の先端部のうち、車両前後方向の後方側先端部の位置に合わせて配置された補強板が設けられ、
    前記補強板は、複数の前記第3の補強部材のうち最も下側に位置する前記第3の補強部材の前記後方側先端部から最も上側に位置する前記第3の補強部材の前記後方側先端部まで延びるような形状を有する、請求項13に記載の車両の端部構造。
  15. 前記閉断面部の水平断面視において、前記閉断面部の内方の空間を埋めるように間仕切り部材が設けられ、
    前記間仕切り部材は、前記第3の補強部材の少なくともいずれかの設置高さに合わせて配置されている、請求項13または14に記載の車両の端部構造。
  16. 前記車両の端部構造は、アンダーランプロテクターである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の車両の端部構造。
  17. 車幅方向に延びるビームと、前記ビームと車体フレームを接続する接続構造体とを備え、
    前記接続構造体は、
    鉛直方向に延びるように設けられた構造体本体部と、
    前記ビームが取り付けられるビーム取付部材と、
    を備え、
    前記ビーム取付部材は、
    前記ビームが取り付けられ、車幅方向外側の端部に車両前後方向の車内側に向けて屈曲した屈曲部を有するビーム取付面と、
    平面視において前記ビーム取付面に直角な面を有し、前記構造体本体部に取り付けられる本体接続面と、
    を有し、
    平面視において、前記構造体本体部と前記ビーム取付面との間を架け渡すように少なくとも1つの補強部材がさらに設けられる、車両の端部構造。
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