JPWO2016121510A1 - 鉛蓄電池及びそれを備える自動車 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る鉛蓄電池は、例えば、電槽、電極(電極板等)、電解液(希硫酸等)及びセパレータを備えている。電極及び電解液は、電槽内に収容されている。電極は、セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)を有している。本実施形態に係る鉛蓄電池としては、液式鉛蓄電池、制御弁式鉛蓄電池等が挙げられ、液式鉛蓄電池が好ましい。
[正極活物質]
正極材は、正極活物質を含有している。正極活物質は、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成することで得ることができる。化成後の正極活物質は、β−二酸化鉛(β−PbO2)を含むことが好ましく、α−二酸化鉛(α−PbO2)を更に含んでいてもよい。正極活物質の原料としては、特に制限はなく、例えば鉛粉が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。正極活物質の原料として鉛丹(Pb3O4)を用いてもよい。未化成の正極材は、主成分として、三塩基性硫酸鉛を含む未化成の正極活物質を含有することが好ましい。
正極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、炭素材料(炭素質導電材。炭素繊維を除く)、補強用短繊維等が挙げられる。炭素材料としては、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック(ケッチェンブラック(登録商標、以下同様)等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが挙げられる。補強用短繊維としては、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、炭素繊維等が挙げられる。
正極材の比表面積は、電解液と正極活物質との反応性を高める観点から、2m2/g以上が好ましく、3m2/g以上がより好ましく、4m2/g以上が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、5m2/g以上であってもよく、6m2/g以上であってもよい。正極材の比表面積は、利用率に優れる観点から、12m2/g以下が好ましく、11m2/g以下がより好ましく、10m2/g以下が更に好ましい。正極材の前記比表面積は、8m2/g以下であってもよい。これらの観点から、正極材の前記比表面積は、2〜12m2/gが好ましく、3〜11m2/gがより好ましく、4〜10m2/gが更に好ましい。正極材の前記比表面積は、5〜8m2/gであってもよく、6〜8m2/gであってもよい。正極材の前記比表面積は、化成後の正極材の比表面積である。正極材の比表面積は、例えば、正極材ペーストを作製する際の希硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成の正極活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。
[負極活物質]
負極材は、負極活物質を含有している。負極活物質は、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成することで得ることができる。化成後の負極活物質としては、海綿状鉛(Spongylead)等が挙げられる。前記海綿状鉛は、電解液中の希硫酸と反応して、次第に硫酸鉛(PbSO4)に変わる傾向がある。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。鉛粉としては、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛の混合物)が挙げられる。未化成の負極活物質は、例えば、塩基性硫酸鉛及び金属鉛、並びに、低級酸化物から構成される。
負極材は、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、硫酸バリウム;炭素材料(炭素質導電材。炭素繊維を除く);補強用短繊維;スルホン基(スルホン酸基、スルホ基)及びスルホン酸塩基(スルホン基の水素がアルカリ金属で置換された基等)からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)などが挙げられる。スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を負極材が含むことにより、低温高率放電性能を更に向上させることができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
負極材の比表面積は、電解液と負極活物質との反応性を高める観点から、0.5m2/g以上が好ましく、0.55m2/g以上がより好ましく、0.6m2/g以上が更に好ましい。負極材の比表面積は、負極の収縮を抑制する観点から、2m2/g以下が好ましく、1.2m2/g以下がより好ましく、0.8m2/g以下が更に好ましい。これらの観点から、負極材の比表面積は、0.5〜2m2/gが好ましく、0.55〜1.2m2/gがより好ましく、0.6〜0.8m2/g更に好ましい。負極材の前記比表面積は、化成後の負極材の比表面積である。負極材の比表面積は、例えば、負極材ペーストを作製する際の希硫酸及び水の添加量を調整する方法、未化成の負極活物質の段階で活物質を微細化させる方法、化成条件を変化させる方法等により調整することができる。負極材の比表面積は、例えば、BET法で測定することができる。
集電体の製造法としては、鋳造方式、エキスパンド方式、打ち抜き方式等が挙げられる。集電体の材料としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金及び鉛−アンチモン系合金が挙げられる。これらにセレン、銀、ビスマス等を微量添加することができる。例えば、これらの材料を前述の製造法で格子状又はメッシュ状に形成することにより集電体を得ることができる。正極及び負極の集電体の製造法又は材料は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
本実施形態に係る鉛蓄電池の電解液は、カリウムイオン、アルミニウムイオン、セシウムイオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。電解液がカリウムイオン、アルミニウムイオン及びセシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む場合、電解液はリン酸イオンを更に含むことが好ましい。電解液がカリウムイオンに加えてリン酸イオンを更に含む場合、暗電流放電後の充電性能及び初期充電性能が更に向上する傾向がある。電解液がアルミニウムイオンに加えてリン酸イオンを更に含む場合、暗電流放電後の充電性能及び初期充電性能が更に向上する傾向がある。電解液がセシウムイオンに加えてリン酸イオンを更に含む場合、暗電流放電後の充電性能及び初期充電性能が更に向上する傾向がある。
本実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、前記電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池を得る組み立て工程とを備えている。
セパレータとしては、微多孔性ポリエチレンシート;ガラス繊維と合成樹脂からなる不織布等が挙げられる。
ジムロート、メカニカルスターラー及び温度計を装着したセパラブルフラスコに水酸化ナトリウム42質量部(1.05mol)及びイオン交換水792.6質量部(44mol)を加えた後、150rpm(=min−1)で5分間撹拌して水酸化ナトリウム水溶液を調製した。この水酸化ナトリウム水溶液に4−アミノベンゼンスルホン酸173.2質量部(1.0mol)を加えた後、25℃にて30分間撹拌して均一な溶液Aを得た。溶液Aにパラホルムアルデヒド90.9質量部(ホルムアルデヒド換算、3.0mol、三井化学株式会社製)を加えた後に5分間撹拌してパラホルムアルデヒドを溶解し、均一な溶液Bを得た。次いで、溶液BにビスフェノールA219.2質量部(0.96mol)及びビスフェノールS10.4質量部(0.04mol)を加えた後、90℃に設定したオイルバスを用いて加熱しながら10時間撹拌して溶液Cを得た。
{pH測定条件}
試験機:Twin pH(アズワン株式会社製)
校正液:pH6.86(25℃)、pH4.01(25℃)
測定温度:25℃
測定手順:校正液を用いて2点校正を行った。試験機のセンサ部の洗浄を行った後、測定溶液をスポイトで吸い取り、センサ部に0.1〜0.3mL滴下した。画面上に測定終了の表示が現れたときのpHを測定値とした。
{GPC測定条件}
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×106、5.80×105、2.55×105、1.46×105、1.01×105、4.49×104、2.70×104、2.10×104;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×102;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×102;キシダ化学株式会社製)
(実験例1)
[正極板の作製]
正極活物質の原料として鉛粉及び鉛丹(Pb3O4)を用いた(鉛粉:鉛丹=96:4(質量比))。正極活物質の原料と、0.07質量%(基準:正極活物質の原料の全質量)の補強用短繊維(アクリル繊維)と、水とを混合して混練した。続いて、希硫酸(比重1.280)を少量ずつ添加しながら混練して、正極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの正極材ペーストを充填した。次いで、正極材ペーストを温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の正極板を作製した。
負極活物質の原料として鉛粉を用いた。上記で得られたビスフェノール系樹脂を0.2質量%(固形分換算)、補強用短繊維(アクリル繊維)を0.1質量%、硫酸バリウムを1.0質量%、ファーネスブラック(平均粒径:約30nm)を0.2質量%含む混合物を前記鉛粉に添加した後に乾式混合した(前記配合量は、負極活物質の原料の全質量を基準とした配合量である)。次に、水を加えた後に混練した。続いて、希硫酸(比重1.260)を少量ずつ添加しながら混練して、負極材ペーストを作製した。鉛合金からなる圧延シートにエキスパンド加工を施すことにより作製されたエキスパンド格子体にこの負極材ペーストを充填した。次いで、負極材ペーストを温度50℃、湿度98%の雰囲気で24時間熟成した。その後、乾燥して未化成の負極板を作製した。
電解液におけるアルミニウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度が表1に示す濃度になるように、希硫酸に硫酸アルミニウム水溶液及びリン酸水溶液を加えて電解液を調製した。
ポリエチレン及びシリカ粒子を含み且つ一方面に複数の線状のリブが形成されているシート状物を、リブが形成されている面が外側になるように袋状に加工してなるセパレータ(袋状セパレータ)を用意した(図1及び図3参照)。セパレータの詳細を以下に示す。
・総厚み:0.75mm(ベース部の厚みT:0.2mm、リブの高さH:0.55mm、H/T=2.75)
・リブの間隔:7.35mm、リブの上底幅B:0.4mm、リブの下底幅A:0.8mm
・シリカ粒子:粒径(最長径)2μm以上のシリカ粒子の数は、セパレータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で分析した際に任意に選択される30μm×40μmの範囲内において9個であった。
まず、前記袋状セパレータに未化成の負極板を収容した。続いて、未化成の正極板6枚と、前記袋状セパレータに収容された未化成の負極板7枚とを交互に積層した後、同極性の極板の耳部同士をキャストオンストラップ(COS)方式で溶接して極板群を作製した。前記極板群を電槽に挿入して2V単セル電池(JIS D 5301規定のB19サイズの単セルに相当)を組み立てた。上記で調製した電解液(比重1.28)をこの電池に注入した後、40℃の水槽中、通電電流17.5Aで16時間化成して鉛蓄電池を得た。化成後の電解液の比重は、1.28になるように調整した。なお、以下の実験例2〜35においても同様の比重に調整した。化成後の負極材全質量に対するファーネスブラック(平均粒径:約30nm)の含有量は0.2質量%であった。
まず、イオンミリング装置E−3500(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名)により、電池の組み立て前のセパレータを切断して断面を露出させた。次に、走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−6010LA、日本電子株式会社製)を用いてセパレータ断面のEDX分析を行った。倍率300倍でマッピング分析を行い、測定後、セパレータ部分を選択して炭素、酸素及びケイ素の存在量を定量し、各元素の質量へ換算した。得られた炭素、酸素及びケイ素の質量の合計を基準として、セパレータ中における酸素及びケイ素の質量の合計量(質量%)を計算した。なお、マッピング分析の条件は、加速電圧が15kV、スポットサイズが72、低真空モードで圧力が35Pa、ドゥエルタイムが1ミリ秒、プロセスタイムがT4、画素数が512×384、積算回数を5回とした。各元素の定量結果は、炭素、酸素及びケイ素の質量の合計を基準として、炭素が40(質量%)、酸素が38(質量%)、ケイ素が22(質量%)であった。
比表面積の測定試料は、下記の手順により作製した。まず、化成した電池を分解して電極板(正極板及び負極板)を取り出して水洗した後、50℃で24時間乾燥した。次に、前記電極板の中央部から電極材(正極材及び負極材)を2g採取して、130℃で30分乾燥して測定試料を作製した。
{比表面積の測定条件}
装置:Macsorb1201(株式会社マウンテック製)
脱気時間:130℃で10分
冷却:液体窒素で5分間
吸着ガス流量:25mL/分
アルミニウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
リン酸イオンを用いることなく、アルミニウムイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
硫酸アルミニウムに代えて硫酸セシウムを用いて、セシウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
セシウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例7と同様にして鉛蓄電池を作製した。
リン酸イオンを用いることなく、セシウムイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例7と同様にして鉛蓄電池を作製した。
硫酸アルミニウムに代えて硫酸カリウムを用いて、カリウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
カリウムイオン濃度及びリン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例14と同様にして鉛蓄電池を作製した。
リン酸イオンを用いることなく、カリウムイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例14と同様にして鉛蓄電池を作製した。
アルミニウムイオンを用いることなく、リン酸イオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
カリウムイオン、アルミニウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン及びリン酸イオンを含まない希硫酸を電解液として用いたこと、及び、負極板を作製する際にファーネスブラックを用いなかったこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
カリウムイオン、アルミニウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン及びリン酸イオンを含まない希硫酸を電解液として用いたこと以外は実験例1と同様にして鉛蓄電池を作製した。
硫酸アルミニウムに代えて硫酸リチウムを用いて、リチウムイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例4と同様にして鉛蓄電池を作製した。
硫酸アルミニウムに代えて硫酸チタンを用いて、チタンイオン濃度を表1に示す濃度に調整したこと以外は実験例4と同様にして鉛蓄電池を作製した。
負極板を作製する際にファーネスブラックに代えて黒鉛(平均粒径:約500μm)を用いたこと以外は実験例3と同様にして鉛蓄電池を作製した。
負極板を作製する際にファーネスブラックに代えて黒鉛(平均粒径:約500μm)を用いたこと以外は実験例9と同様にして鉛蓄電池を作製した。
負極板を作製する際にファーネスブラックに代えて黒鉛(平均粒径:約500μm)を用いたこと以外は実験例12と同様にして鉛蓄電池を作製した。
負極板を作製する際にファーネスブラックに代えて黒鉛(平均粒径:約500μm)を用いたこと以外は実験例16と同様にして鉛蓄電池を作製した。
負極板を作製する際にファーネスブラックに代えて黒鉛(平均粒径:約500μm)を用いたこと以外は実験例27と同様にして鉛蓄電池を作製した。
実験例1〜29及び31〜35の鉛蓄電池の初期充電性能及び暗電流放電後の充電性能を以下の方法により評価した。また、実験例1〜35の鉛蓄電池の暗電流放電状態における電圧降下を以下の方法により確認した。なお、後述するように、実験例30の鉛蓄電池は実験例1〜29及び31〜35の鉛蓄電池に比べて暗電流放電状態における電圧降下が顕著に大きく、実用的でないことが明らかになったため、実験例30の鉛蓄電池の初期充電性能及び暗電流放電後の充電性能の評価は行わなかった。
まず、満充電状態(SOC=100%)の鉛蓄電池を雰囲気温度25℃において、電流値10.4Aで定電流放電し、満充電状態から電池容量の10%を放電することにより、充電状態(SOC)が90%である状態に調整した。次に、2.33Vで定電圧充電し、充電開始から5秒経過した時点での電流値I1を測定した。実験例27の電流値I1が100であると仮定し、実験例27の電流値I1を基準に実験例1〜26、28及び29の電流値I1を相対評価した(表1中のI1参照)。また、実験例27の電流値I1が100であると仮定し、実験例27の電流値I1を基準に実験例31〜35の電流値I1を相対評価した(表2中のI1参照)。さらに、実験例35の電流値I1が100であると仮定し、実験例35の電流値I1を基準に実験例31〜34の電流値I1を相対評価した(表2中のI4参照)。なお、電流値I1が大きいほど初期充電性能が良い電池であると評価される。評価結果を表1及び表2に示す。
まず、満充電状態(SOC=100%)の鉛蓄電池を雰囲気温度25℃において、電流値20mAで定電流放電し、満充電状態から電池容量の10%を放電することにより、充電状態(SOC)が90%である状態に調整した。次に、2.33Vで定電圧充電し、充電開始から5秒経過した時点での電流値I2を測定した。実験例27の電流値I1が100であると仮定し、実験例27の電流値I1を基準に実験例1〜26、28及び29の電流値I2を相対評価した(表1中のI2参照)。また、実験例27の電流値I1が100であると仮定し、実験例27の電流値I1を基準に実験例31〜34の電流値I2を相対評価した(表2中のI2参照)。電流値I2が大きいほど暗電流放電後の充電性能が良い電池であると評価される。評価結果を表1及び表2に示す。
満充電状態(SOC=100%)の鉛蓄電池を雰囲気温度25℃において、電流値20mAで定電流放電し、満充電状態から電池容量の10%を放電する際の電圧降下を確認した。その結果、実験例1〜29及び31〜35の鉛蓄電池は、電圧降下が充分に小さく(約0.02V以下の電圧降下)、過剰な電圧降下が抑制されていることが確認された。一方、実験例30の鉛蓄電池は、実験例1〜29及び31〜35の鉛蓄電池に比べて電圧降下が顕著に大きく(約0.08Vの電圧降下)、実用的でないことが明らかになった。
Claims (20)
- 正極と負極と電解液とセパレータとを備え、
前記正極が、正極活物質を含む正極材を有し、
前記負極が、負極活物質を含む負極材を有し、
前記電解液がカリウムイオンを含む、鉛蓄電池。 - 正極と負極と電解液とセパレータとを備え、
前記正極が、正極活物質を含む正極材を有し、
前記負極が、負極活物質を含む負極材を有し、
前記電解液がアルミニウムイオンを含む、鉛蓄電池。 - 正極と負極と電解液とセパレータとを備え、
前記正極が、正極活物質を含む正極材を有し、
前記負極が、負極活物質を含む負極材を有し、
前記電解液がセシウムイオンを含む、鉛蓄電池。 - 前記電解液における前記カリウムイオンの濃度が0.003〜0.15mol/Lである、請求項1に記載の鉛蓄電池。
- 前記電解液における前記アルミニウムイオンの濃度が0.005〜0.4mol/Lである、請求項2に記載の鉛蓄電池。
- 前記電解液における前記セシウムイオンの濃度が0.005〜0.4mol/Lである、請求項3に記載の鉛蓄電池。
- 前記電解液がリン酸イオンを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 正極と負極と電解液とセパレータとを備え、
前記正極が、正極活物質を含む正極材を有し、
前記負極が、負極活物質を含む負極材を有し、
前記電解液がリン酸イオンを含む、鉛蓄電池。 - 前記電解液における前記リン酸イオンの濃度が0.005〜0.2mol/Lである、請求項7又は8に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極材がカーボンブラックを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極材が、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する樹脂を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 前記樹脂が、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有するビスフェノール系樹脂、リグニンスルホン酸、並びに、リグニンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項11に記載の鉛蓄電池。
- 前記樹脂が、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有するビスフェノール系樹脂を含む、請求項11に記載の鉛蓄電池。
- 前記ビスフェノール系樹脂が、ビスフェノール系化合物と、アミノアルキルスルホン酸、アミノアルキルスルホン酸誘導体、アミノアリールスルホン酸及びアミノアリールスルホン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、の反応由来の樹脂である、請求項12又は13に記載の鉛蓄電池。
- 前記負極材の比表面積が0.5〜2m2/gである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 前記正極材の比表面積が4m2/g以上である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 前記セパレータが、ポリオレフィン及びシリカを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- エネルギー分散型X線分光法による元素分析において、前記セパレータにおける酸素及びケイ素の質量の合計が炭素、酸素及びケイ素の質量の合計を基準として30〜80質量%である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。
- 前記セパレータが、凸状のリブと、当該リブを支持するベース部と、を有し、
前記ベース部の厚みTに対する前記リブの高さHの比率H/Tが2以上である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の鉛蓄電池。 - 請求項1〜19のいずれか一項に記載の鉛蓄電池を備え、
前記鉛蓄電池がエンジン停止状態において20〜100mAの電流値で放電する、自動車。
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