JPWO2016076364A1 - 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ - Google Patents
基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2016076364A1 JPWO2016076364A1 JP2016559090A JP2016559090A JPWO2016076364A1 JP WO2016076364 A1 JPWO2016076364 A1 JP WO2016076364A1 JP 2016559090 A JP2016559090 A JP 2016559090A JP 2016559090 A JP2016559090 A JP 2016559090A JP WO2016076364 A1 JPWO2016076364 A1 JP WO2016076364A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- acid sequence
- seq
- position corresponding
- gdh
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12M—APPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
- C12M1/00—Apparatus for enzymology or microbiology
- C12M1/34—Measuring or testing with condition measuring or sensing means, e.g. colony counters
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/10—Cells modified by introduction of foreign genetic material
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/26—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving oxidoreductase
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Immunology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Sustainable Development (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
Abstract
Description
一方で、高い比活性を持ったグルコース測定酵素はグルコースセンサー上に搭載するグルコース測定酵素の量を減らすことができるため、測定感度のさらなる向上による測定時間短縮化や、測定系のさらなる小スケール化、必要とされる測定サンプルの少量化等に有効であると考えられることから、比活性を維持したまま高い等異性を持つ酵素が求められている。
(1) 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、
配列番号1記載のアミノ酸配列における42位のアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における83位のバリンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における174位のセリンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における367位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位のアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における386位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位のロイシンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における460位のフェニルアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における461位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における467位のセリンに対応する位置、および配列番号1記載のアミノ酸配列における468位のグリシンに対応する位置よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有し、前記置換を行う前と比較して、D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が低減していることを特徴とする、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。
(2) 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列に対応する位置のアミノ酸が、
配列番号1記載のアミノ酸配列における42位のアラニンに対応する位置のアミノ酸がグリシンであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における83位のバリンに対応する位置のアミノ酸がアラニン、グリシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における174位のセリンに対応する位置のアミノ酸がプロリン、ロイシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における367位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン、アスパラギンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位のアラニンに対応する位置のアミノ酸が、スレオニン、アスパラギン酸、アルギニンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における386位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がバリン、イソロイシン、グリシン、ロイシン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、セリンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位のロイシンに対応する位置のアミノ酸がバリンであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における460位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸がチロシン、ロイシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における461位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がメチオニン、フェニルアラニン、グリシン、アスパラギン酸、システインのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における467位のセリンに対応する位置のアミノ酸がロイシン、メチオニン、イソロイシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸のいずれかであるか、
または配列番号1記載のアミノ酸配列における468位のグリシンに対応する位置のアミノ酸がスレオニンであるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。
(3) D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が、前記の置換を導入する前と比較して10%以上低減していることを特徴とする(1)又は(2)記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼをコードするフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子。
(5) (4)記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
(6) (5)記載の組換え体ベクターを含む宿主細胞。
(7) フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
(a)(6)に記載の宿主細胞を培養する工程、
(b)前記宿主細胞中に含まれるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ
遺伝子を発現させる工程、
(c)前記培養物からフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを単離する工程。
(8) (1)〜(3)に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いることを特徴とするグルコース測定方法。
(9) (1)〜(3)に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースアッセイキット。
(10) (1)〜(3)に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースセンサー。
本発明のFAD−GDHは、公知の野生型または変異型FAD−GDH同様、電子受容体存在下でD−グルコースの水酸基を酸化してグルコノ−δ−ラクトンを生成する反応を触媒する。
本発明のFAD−GDHの活性は、この作用原理を利用し、例えば、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート(PMS)および2,6−ジクロロインドフェノール(DCIP)を用いた以下の測定系を用いて測定することができる。
(反応1) D−グルコ−ス + PMS(酸化型)
→ D−グルコノ−δ−ラクトン + PMS(還元型)
(反応2) PMS(還元型) + DCIP(酸化型)
→ PMS(酸化型) + DCIP(還元型)
具体的には、フラビン結合型GDHの活性は、以下の手順に従って測定することができる。50mM リン酸緩衝液(pH6.5) 2.05mL、1M D−グルコース溶液 0.6mLおよび2mM DCIP溶液 0.15mLを混合し、37℃で5分間保温する。次いで、15mM PMS溶液 0.1mLおよび酵素サンプル溶液0.1mLを添加し、反応を開始する。反応開始時、および、経時的な吸光度を測定し、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を求め、次式に従いフラビン結合型GDH活性を算出する。この際、フラビン結合型GDH活性は、37℃において濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義する。
本発明のFAD−GDHは、配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と同一性の高い、例えば、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上同一なアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号1記載のアミノ酸配列における42位に相当する位置、83位に相当する位置、174位に相当する位置、367位に相当する位置、385位に相当する位置、386位に相当する位置、391位に相当する位置、460位に相当する位置、461位に相当する位置、467位に相当する位置、および468位に相当する位置に相当する位置から選択される位置のアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有することを特徴とする。
また、上記のような多重変異体を作出するにあたっては、上述の各種の置換以外の位置における置換を組み合わせることもできる。このような置換の位置は、単独で置換を導入した場合には、上述の置換部位におけるもののように顕著な効果を奏さないものであっても、上述の置換部位と組み合わせて導入することによって、相乗的に効果を奏するものであり得る。
目的とするアミノ酸置換導入方法としては、例えばランダムに変異を導入する方法あるいは想定した位置に部位特異的変異を導入する方法が挙げられる。前者の方法としては、エラープローンPCR法(Techniques,1,11−15,(1989))や、増殖の際、プラスミドの複製にエラーを起こしやすく、改変を生じやすいXL1−Redコンピテントセル(STRATAGENE社製)を用いる方法等がある。また、後者の方法として、目的とするタンパク質の結晶構造解析により立体構造を構築し、その情報をもとに目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、市販のQuick Change Site Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)等により部位特異的変異を導入する方法がある。あるいは、後者の方法として、目的とするタンパク質と相同性の高い公知のタンパク質の立体構造を用いて、目的の効果を付与すると予想されるアミノ酸を選択し、部位特異的変異を導入する方法もある。
本発明のFAD−GDHは、高い基質特異性を有することを特徴とする。具体的には、本発明のFAD−GDHは、本発明者らが先に見出した特許第4648993号公報に記載のケカビ由来FAD−GDHと同様に、マルトース、D−ガラクトース、D−キシロースに対する反応性が極めて低いことを特徴とする。具体的には、D−グルコースに対する反応性を100%とした場合に、マルトース、D−ガラクトースおよびD−キシロースに対する反応性がいずれも2%以下であることを特徴とする。本発明に用いるFAD−GDHは、このような高い基質特異性を有するため、マルトースを含む輸液の投与を受けている患者や、ガラクトース負荷試験およびキシロース吸収試験を実施中の患者の試料についても、測定試料に含まれるマルトース、D−ガラクトース、D−キシロース等の糖化合物の影響を受けることなく、正確にD−グルコース量を測定することが可能となる。さらに、本発明のFAD−GDHは、特許第4648993号公報に記載のケカビ由来FAD−GDHと比較して、さらに高いD−グルコースに対する基質特異性を有するものであるため、一層の産業上の有用性が期待される。
このような特性を有するFAD−GDHを用いた場合には、測定試料中にマルトースやD−ガラクトース、D−キシロースが存在している状況でも、D−グルコース量を正確に測定することが可能である。
本発明のFAD−GDHは、Xyl/Glc(%)またはMal/Glc(%)のいずれか片方のみがアミノ酸置換を導入する前のFAD−GDHと比べて好ましい程度に低減していてもよく、あるいは、その両方が、好ましい程度に低減していてもよい。両方の基質に対する反応性がいずれも低減しているものであれば、より好ましい。
本発明のFAD−GDHは、公知のFAD−GDHを改変することにより取得することもできる。公知のFAD−GDHの由来微生物の好適な例としては、ケカビ亜門、好ましくはケカビ綱、より好ましくはケカビ目、さらに好ましくはケカビ科に分類される微生物を挙げることができる。具体的には、ムコール(Mucor)属、アブシジア(Absidia)属、アクチノムコール(Actinomucor)属、シルシネラ(Circinella)属由来のFAD−GDH等が挙げられる。
Mucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Mucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii、Mucor hiemalis f. silvaticus、Mucor subtilissimus、Mucor dimorphosporus等が挙げられる。より具体的には、特許文献5に記載のMucor prainii、Mucor javanicus、Mucor circinelloides f. circinelloides、Mucor guilliermondii NBRC9403、Mucor hiemalis f. silvaticus NBRC6754、Mucor subtilissimus NBRC6338、Mucor RD056860、Mucor dimorphosporus NBRC5395等が挙げられる。Absidia属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Absidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のAbsidia cylindrospora、Absidia hyalosporaを挙げることができる。Actinomucor属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Actinomucor elegansを挙げることができる。より具体的には、特許文献5に記載のActinomucor elegansを挙げることができる。Circinella属に分類される微生物であって、具体的な好ましい微生物の例としては、Circinella minor、Circinella mucoroides、Circinella muscae、Circinella rigida、Circinella simplex、Circinella umbellataを挙げることができる。より具体的には、Circinella minor NBRC6448、Circinella mucoroides NBRC4453、Circinella muscae NBRC6410、Circinella rigida NBRC6411、Circinella simplex NBRC6412、Circinella umbellata NBRC4452、Circinella umbellata NBRC5842、Circinella RD055423及びCircinella RD055422を挙げることができる。なお、NBRC菌株およびRD菌株はNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター)の保管菌株である。
本発明のFAD−GDHを効率よく取得するためには、遺伝子工学的手法を利用するのが好ましい。本発明のFAD−GDHをコードする遺伝子(以下、FAD−GDH遺伝子)を取得するには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法を用いればよい。例えば、公知のFAD−GDHを出発物質とし、それを改変することにより本発明のFAD−GDHを取得するには、FAD−GDH生産能を有する公知の微生物菌体や種々の細胞から、常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNA又はmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNA又はcDNAを用いて、染色体DNA又はcDNAのライブラリーを作製することができる。
出発物質であるFAD−GDH遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、FAD−GDH遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又は蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
この接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能であり、現実に所望の変異をMucor属由来FAD−GDH遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、p24〜30、1989年6月号)。
なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望の基質特異性の高い改変FAD−GDH遺伝子を合成することもできる。
上述のように得られた本発明のFAD−GDH遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主細胞を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。
原核宿主細胞の一例としては、エシェリシア属に属する微生物、例えば大腸菌K−12株、エシェリヒア・コリーBL21(DE3)、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5α、エシェリヒア・コリーW3110、エシェリヒア・コリーC600等(いずれもタカラバイオ社製)が挙げられる。それらを形質転換し、または、それらに形質導入して、DNAが導入された宿主細胞(形質転換体)を得る。こうした宿主細胞に組み換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主細胞がエシェリヒア・コリーに属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組み換えDNAの移入を行う方法などを採用することができる、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。更には市販のコンピテントセル(例えばECOS Competent エシェリヒア・コリーBL21(DE3);ニッポンジーン製)を用いても良い。
本発明のFAD−GDHは、上述のように取得した本発明のFAD−GDHを生産する宿主細胞を培養し、前記宿主細胞中に含まれるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を発現させ、次いで、前記培養物からフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを単離することにより、製造すればよい。
上記真核宿主細胞を培養するためには、例えば、Saccharomyces cerevisiaeの培養において広く用いられているYPD(バクトペプトン 2%,バクトイースト・エクストラクト 1%,グルコース 2%)液体培地を好適に用いることができると考えられるが、その他にも、添加することにより本発明に用いるフラビン結合型GDHの製造量を向上させることができる栄養源や成分があれば、単独で、あるいは組み合わせてそれらを添加してもよい。
培地に使用する炭素源としては、同化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、デンプン加水分解物、グリセリン、フラクトース、糖蜜などが挙げられる。窒素源としては、利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、酵母エキス、ペプトン、肉エキス、コーンスチープリカー、大豆粉、マルツエキス、アミノ酸、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。無機物としては、例えば、食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸第1鉄、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウムなどの種々の塩が挙げられる。その他、必要に応じてビタミン類、消泡剤などを添加してもよい。
例えば、チゴサッカロマイセス属の酵母を培養する場合の培地および培養条件の一例として、バクトペプトン 2%,バクトイースト・エクストラクト 1%,グルコース 2%の培地を用いた、30℃、200rpmで24時間の振盪が挙げられる。例えば、エシェリヒア・コリーの培養は、10〜42℃の培養温度、好ましくは25℃前後の培養温度で4〜24時間、さらに好ましくは25℃前後の培養温度で4〜8時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施すればよい。
上記酵素が菌体内に存在する場合には、培養物から、例えば、濾過、遠心分離などの操作により菌体を分離し、この菌体から酵素を採取するのが好ましい。例えば、超音波破砕機、フレンチプレス、ダイノミルなどの、通常の破壊手段を用いて菌体を破壊する方法、リゾチームなどの細胞壁溶解酵素を用いて菌体細胞壁を溶解する方法、トリトンX−100などの界面活性剤を用いて菌体から酵素を抽出する方法などを単独または組み合わせて採用することができる。
上記酵素が菌体外に存在する場合には、例えば、濾過、遠心分離などの操作により菌体を分離し、上清を回収すればよい。次いで、濾過または遠心分離などにより不溶物を取りのぞき、酵素抽出液を得る。得られた抽出液から、フラビン結合型GDHを、必要に応じて単離、精製するには、必要により核酸を除去したのち、これに硫酸アンモニウム、アルコール、アセトンなどを添加して分画し、沈殿物を採取し、本発明のFAD−GDHの粗酵素を得ることができる。
本発明はまた、本発明のFAD−GDHを含むグルコースアッセイキットを開示し、例えば、このようなグルコースアッセイキットを用いることにより、本発明のFAD−GDHを用いて血中のD−グルコース(血糖値)を測定することができる。
本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従う改変型FAD−GDHを、少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、本発明のグルコースアッセイキットは、本発明の改変型FAD−GDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのD−グルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従う改変型FAD−GDHは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
本発明はまた、本発明のFAD−GDHを用いるグルコースセンサーを開示する。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明の改変型FAD−GDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
(1)各種の改変型FAD−GDHを発現する酵母形質転換体の作製
特許文献7に記載の方法に準じ、配列番号2のMucor prainii由来FAD−GDH遺伝子(野生型MpGDH遺伝子)をコードする組換え体プラスミド(pYES2C−Mp(野生型))を取得した。
得られた組換え体プラスミドpYE2C−Mpを鋳型として、各アミノ酸置換導入用の合成ヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpYE2C−Mpを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとして「反応液」を調製した。サーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、調製した反応液を94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「55℃、30秒」−「68℃、8分」のサイクルを30回繰り返した。
その後、S.cerevisiae用形質転換キット(Invitrogen社製)を用いて、pYE2C−Mp(野生型)、および各種変異が導入されたpYES2C−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるpYE2C−Mp−V83A、pYE2C−Mp−V83G等)をInv−Sc株(Invitrogen社製)に形質転換することにより、野生型MpGDHを発現する酵母形質転換体Sc−Mp(野生型)株、および各種の改変型MpGDHを発現する酵母形質転換株Sc−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるSc−Mp−V83A、Sc−Mp−V83G等)株をそれぞれ取得した。
酵母形質転換体Sc−Mp(野生型)、および、各種の酵母形質転換体Sc−Mp(改変型、例えば、実施例1におけるSc−Mp−V83A、Sc−Mp−V83G等)を、各々、5mLの前培養用液体培地「0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース(BD)、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物(sigma社製)、2.0%(w/v)ラフィノース」中で、30℃にて24時間培養した。その後、前培養液1mLを4mLの本培養用液体培地「0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物、2.5%(w/v)D−ガラクトース、0.75%(w/v)ラフィノース」に加えて、30℃で16時間培養する。この培養液を遠心分離(10,000×g、4℃、3分間)により菌体と培養上清に分離し、培養上清液を基質特異性の評価に用いた。
具体的には、上述の活性測定法の基質をD−グルコースから同モル濃度のD−キシロースとした系に変えてそれぞれの基質に対する活性を測定した。そして、これらの値から、「D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))」を算出した。
Sc−Mp(野生型)株にて発現させた野生型MpGDHの(Xyl/Glc(%))は1.47%であった。このような基質特異性は、従来知られたその他のFAD-GDHと比較しても非常に優れており、測定目的物質であるD−グルコースを精度よく測定できることが期待される。
また、各種変異体における部位特異的変異導入前のMucor属由来FAD−GDHにおけるXyl/Glc(%)の値を100%とした時に部位特異的変異導入後の改変型FAD−GDHが示す相対的な基質特異性を表す「Xyl/Glc比率」を算出した。「Xyl/Glc比率が100を下回る改変型FAD−GDHにおいては、部位特異的変異導入前のFAD−GDHと比較して、D−キシロースへの反応性が低下し、基質特異性が高まっていることを示し、その度合は、数値が小さくなるほど大きい。
酵母形質転換体Sc−Mp(野生型)、および、各種の酵母形質転換体Sc−Mp(改変型、例えば、実施例2におけるSc−Mp−T367A、Sc−Mp−A385T等)を、各々、10mLの前培養用液体培地「0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース(BD)、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物(sigma社製)、2.0%(w/v)ラフィノース」中で、30℃にて24時間培養した。その後、前培養液10mLを40mLの本培養用液体培地「0.67%(w/v)アミノ酸不含有イーストニトロゲンベース、0.192%(w/v)ウラシル不含有酵母合成ドロップアウト培地用添加物、2.5%(w/v)D−ガラクトース、0.75%(w/v)ラフィノース」に加えて、30℃で14時間培養した。この培養液を遠心分離(10,000×g、4℃、3分間)により菌体と培養上清に分離し、培養上清液にGDH活性があることを確認し、以下の操作に用いた。
回収した評価対象のFAD−GDHを含む培養上清液を遠心式フィルターユニット(Amicon Ultra−15 30K、MERCK MILLIPORE社製)により濃縮後、20mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に置換した。
次に、回収した濃縮液を、150mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で予め平衡化したSuperdex 200 10/300GL(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)のカラムにかけ、活性画分を回収することで精製酵素を取得した。
精製した酵素の比活性は、280nmにおける吸光度(A280)あたりの活性(U/A280)として、上述のGDH活性測定法を用いて測定した。そして、野生型MpGDHの比活性を100とした際の改変型MpGDHにおける「相対比活性」を算出した。相対比活性が100よりあまり小さくないとき、その改変型MpGDHは比活性が大幅に低くなっていないことがわかる。
(各種改変型MpGDHの調製と基質特異性評価)
上記試験例で記述した方法に従って、pYE2C−Mp(野生型)を鋳型プラスミドとして、表1に示した配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMpGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、配列番号1に記載のアミノ酸配列の83位のバリンがアラニンに、42位のアラニンがグリシンに、83位のバリンがグリシンに、174位のセリンがプロリンに、174位のセリンがロイシンに、367位のスレオニンがアラニンに、367位のスレオニンがセリンに、367位のスレオニンがアスパラギンに、385位のアラニンがスレオニンに、385位のアラニンがアスパラギン酸に、385位のアラニンがアルギニンに、386位のスレオニンがバリンに、386位のスレオニンがイソロイシンに、386位のスレオニンがグリシンに、386位のスレオニンがロイシンに、386位のスレオニンがグルタミン酸に、386位のスレオニンがグルタミンに、386位のスレオニンがアスパラギンに、386位のスレオニンがセリンに、391位のロイシンがバリンに、460位のフェニルアラニンがチロシンに、460位のフェニルアラニンがロイシンに、461位のスレオニンがメチオニンに、461位のスレオニンがフェニルアラニンに、461位のスレオニンがグリシンに、461位のスレオニンがアスパラギン酸に、461位のスレオニンがシステインに、467位のセリンがロイシンに、467位のセリンがメチオニンに、467位のセリンがイソロイシンに、467位のセリンがバリンに、467位のセリンがアスパラギン酸に、467位のセリンがグルタミン酸に、468位のグリシンがスレオニンに置換された組換え体プラスミドであるpYE2C−Mp−A42G、pYE2C−Mp−V83A、pYE2C−Mp−V83G、pYE2C−Mp−S174P、pYE2C−Mp−S174L、pYE2C−Mp−T367A、pYE2C−Mp−T367S、pYE2C−Mp−T367N、pYE2C−Mp−A385T、pYE2C−Mp−A385D、pYE2C−Mp−A385R、pYE2C−Mp−T386V、pYE2C−Mp−T386I、pYE2C−Mp−T386G、pYE2C−Mp−T386L、pYE2C−Mp−T386E、pYE2C−Mp−T386Q、pYE2C−Mp−T386N、pYE2C−Mp−T386S、pYE2C−Mp−L391V、pYE2C−Mp−F460Y、pYE2C−Mp−F460L、pYE2C−Mp−T461M、pYE2C−Mp−T461F、pYE2C−Mp−T461G、pYE2C−Mp−T461D、pYE2C−Mp−T461C、pYE2C−Mp−S467L、pYE2C−Mp−S467M、pYE2C−Mp−S467I、pYE2C−Mp−S467V、pYE2C−Mp−S467D、pYE2C−Mp−S467E、pYE2C−Mp−G468Tをそれぞれ取得した。
(各種改変型MpGDHにおける比活性の評価)
実施例1で取得した変異体A42G、T367A、A385T、T386S、F460Y、S467V、S467D、S467Eの比活性を測定した。試験例(3)で記述した方法に従って、pYE2C−Mp(野生型)を鋳型プラスミドとして、表2に示した配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMpGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、配列番号1に記載のアミノ酸配列の367位のスレオニンがアラニンに、385位のアラニンがスレオニンに、386位のスレオニンがセリンに、460位のフェニルアラニンがチロシンに、467位のセリンがバリンに、467位のセリンがアスパラギン酸に、467位のセリンがグルタミン酸に置換された組換え体プラスミドであるpYE2C−Mp−A42G、pYE2C−Mp−T367A、pYE2C−Mp−A385T、pYE2C−Mp−T386S、pYE2C−Mp−F460Y、pYE2C−Mp−S467V、pYE2C−Mp−S467D、pYE2C−Mp−S467Eをそれぞれ取得した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて、上記の試験例(3)の項目の手順に基づき、精製を行った上、精製した酵素の比活性を測定し「相対比活性」を計算した。
比較例として特許文献7記載のpYE2C−Mp−L121M、pYE2C−Mp−W123V、pYE2C−Mp−S612C、pYE2C−Mp−W569Yを試験例(1)の項目に従ってInv−Sc株の形質転換及び取得された形質転換株(Sc−Mp−L121、Sc−Mp−W123V、Sc−Mp−S612C、Sc−Mp−W569Y)の培養を行い、培養上清のGDH活性を測定した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて試験例(2)の項目の手順に基づき、D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合「Xyl/Glc(%)」及び「Xyl/Glc比率」を測定した。
続いて、GDH活性が確認された上述の各種変異体の培養上清を用いて、上記の試験例(3)の項目の手順に基づき、精製を行った上、精製した酵素の「相対比活性(%)」を測定した。
比較例はいずれも基質特異性は34〜64%と低くなっているものの、相対比活性が60%程度であった。一方、本発明酵素は比活性65%以上を維持したまま、基質特異性が1割以上向上している。
(各種改変型MrdGDHの調製と基質特異性評価)
特開2013−176363号公報において、MpGDHと73%の同一性を有する、配列番号56のMucor RD056860由来のGDH(以下、MrdGDH)の配列情報が公開されている。そこで、実施例1で見出したアミノ酸置換をMrdGDHに導入することで、同様にキシロースへの反応性が低減するかどうかを以下のように検証することにした。まず、配列番号56のアミノ酸をコードし、組み換え発現用にコドンを改変した配列番号57の塩基配列を全合成により取得した。これを鋳型として、配列番号58、59の合成ヌクレオチド、Prime STAR Max DNAポリメラーゼ(TaKaRa社製)を用い、添付のプロトコールに従ってPCR反応を行った。PCR反応液を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、RECOCHIP(TakaRa社製)を用いて、約2kbの「インサート用DNA断片」を精製した。また、Saccharomyces cerevisiaeの発現用プラスミドpYES2/CT(Invitrogen社製)を制限酵素KpnI(New EnglandBiolabs社製)で処理し、制限酵素処理後の反応液を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、RECOCHIP(TakaRa社製)を用いて、約6kbの「ベクター用DNA断片」を精製した。続いて、In−Fusion HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いて添付のプロトコールに従って、精製した「インサート用DNA断片」および「ベクター用DNA断片」を連結し、GAL1プロモーター下でMpGDHを発現するための組換え体プラスミドpYE2C−Mrdを作製した。次に、上記試験例で記述した方法と同様にして、pYE2C−Mrd(野生型)を鋳型プラスミドとして、表3に示した配列番号の合成ヌクレオチドの組み合わせでPCR反応を行った。なお、MrdGDHにおけるMpGDHに対応する位置はWEB上のマルチプルアライメントプログラムClustalW(http://www.genome.jp/tools/clustalw/)を利用して決定した。これにより、MpGDHにおける386位のスレオニン、467位のセリンに対応する位置は、MrdGDHではそれぞれ383位のスレオニン、464位のスレオニンであった。次いで、増幅されたDNAを含むベクターを用いて大腸菌JM109株を形質転換し、生育したコロニーが保持するプラスミドDNA中のMrdGDHをコードするDNAの塩基配列決定を行うことにより、配列番号56に記載のアミノ酸配列の383位のスレオニンがセリンに、383位のスレオニンがアスパラギンに、464位のスレオニンがアスパラギン酸に、464位のスレオニンがグルタミン酸に置換された組換え体プラスミドであるpYE2C−Mrd−T383S、pYE2C−Mrd−T383N、pYE2C−Mrd−T464D、pYE2C−Mrd−T464Eをそれぞれ取得した。
Claims (10)
- 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と70%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、
配列番号1記載のアミノ酸配列における42位のアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における83位のバリンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における174位のセリンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における367位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位のアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における386位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位のロイシンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における460位のフェニルアラニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における461位のスレオニンに対応する位置、
配列番号1記載のアミノ酸配列における467位のセリンに対応する位置、および配列番号1記載のアミノ酸配列における468位のグリシンに対応する位置よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有し、前記置換を行う前と比較して、D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が低減していることを特徴とする、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。 - 配列番号1で示されるアミノ酸配列、または該アミノ酸配列と90%以上同一なアミノ酸配列、又は該アミノ酸配列において1もしくは数個アミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列に対応する位置のアミノ酸が、
配列番号1記載のアミノ酸配列における42位のアラニンに対応する位置のアミノ酸がグリシンであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における83位のバリンに対応する位置のアミノ酸がアラニン、グリシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における174位のセリンに対応する位置のアミノ酸がプロリン、ロイシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における367位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がアラニン、セリン、アスパラギンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における385位のアラニンに対応する位置のアミノ酸が、スレオニン、アスパラギン酸、アルギニンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における386位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がバリン、イソロイシン、グリシン、ロイシン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、セリンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における391位のロイシンに対応する位置のアミノ酸がバリンであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における460位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸がチロシン、ロイシンのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における461位のスレオニンに対応する位置のアミノ酸がメチオニン、フェニルアラニン、グリシン、アスパラギン酸、システインのいずれかであるか、
配列番号1記載のアミノ酸配列における467位のセリンに対応する位置のアミノ酸がロイシン、メチオニン、イソロイシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸のいずれかであるか、
または配列番号1記載のアミノ酸配列における468位のグリシンに対応する位置のアミノ酸がスレオニンであるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。 - D−グルコースへの反応性に対するD−キシロースへの反応性の割合(Xyl/Glc(%))が、前記の置換を導入する前と比較して10%以上低減していることを特徴とする請求項1又は2記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼをコードするフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子。
- 請求項4記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
- 請求項5記載の組換え体ベクターを含む宿主細胞。
- フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
(a)請求項6に記載の宿主細胞を培養する工程、
(b)前記宿主細胞中に含まれるフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ
遺伝子を発現させる工程、
(c)前記培養物からフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを単離する工程。 - 請求項1〜3に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを用いることを特徴とするグルコース測定方法。
- 請求項1〜3に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースアッセイキット。
- 請求項1〜3に記載のフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼを含むグルコースセンサー。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014229673 | 2014-11-12 | ||
JP2014229673 | 2014-11-12 | ||
PCT/JP2015/081757 WO2016076364A1 (ja) | 2014-11-12 | 2015-11-11 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2016076364A1 true JPWO2016076364A1 (ja) | 2017-08-24 |
JP6934720B2 JP6934720B2 (ja) | 2021-09-15 |
Family
ID=55954443
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016559090A Active JP6934720B2 (ja) | 2014-11-12 | 2015-11-11 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6934720B2 (ja) |
WO (1) | WO2016076364A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11046993B2 (en) * | 2015-10-30 | 2021-06-29 | Kikkoman Corporation | Glucose dehydrogenase having modified electron transfer properties, and glucose measurement method |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019022083A1 (ja) * | 2017-07-24 | 2019-01-31 | 国立研究開発法人理化学研究所 | デカルボキシラーゼ、及びそれを用いた不飽和炭化水素化合物の製造方法 |
JP2021078354A (ja) | 2018-03-08 | 2021-05-27 | 有限会社アルティザイム・インターナショナル | フラビンアデニンジヌクレオチドグルコース脱水素酵素とシトクロム分子との融合タンパク質 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013022074A1 (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-14 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013065623A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013065770A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | キッコーマン株式会社 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6526572B2 (ja) * | 2013-12-27 | 2019-06-05 | キッコーマン株式会社 | 熱安定性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
-
2015
- 2015-11-11 WO PCT/JP2015/081757 patent/WO2016076364A1/ja active Application Filing
- 2015-11-11 JP JP2016559090A patent/JP6934720B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013022074A1 (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-14 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013065623A1 (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-10 | 東洋紡株式会社 | 新規なグルコース脱水素酵素 |
WO2013065770A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | キッコーマン株式会社 | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
DATABASE UNIPROTKB[ONLINE], ACCESSION NO.S2J876, 18-09-2013 UPLOADED, [RETRIEVED ON 04-01-2016], RET, JPN6016001335, ISSN: 0004283186 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11046993B2 (en) * | 2015-10-30 | 2021-06-29 | Kikkoman Corporation | Glucose dehydrogenase having modified electron transfer properties, and glucose measurement method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2016076364A1 (ja) | 2016-05-19 |
JP6934720B2 (ja) | 2021-09-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6911066B2 (ja) | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法、およびそれを用いたグルコース測定方法 | |
JP6184326B2 (ja) | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP5969392B2 (ja) | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ、フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法およびそれに用いる酵母形質転換体 | |
JP6526572B2 (ja) | 熱安定性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP4648993B2 (ja) | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
US9238802B2 (en) | E. coli transformant, method for producing flavin-bound glucose dehydrogenase using the same, and mutant flavin-bound glucose dehydrogenases | |
JP2022133274A (ja) | フラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ改変体 | |
JP2015084676A (ja) | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6635913B2 (ja) | 比活性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP6934720B2 (ja) | 基質特異性が向上したフラビン結合型グルコースデヒドロゲナーゼ | |
JP7165493B2 (ja) | 保存安定性に優れたグルコースデヒドロゲナーゼ及び持続血糖測定 | |
JP2022173549A (ja) | グルコースデヒドロゲナーゼを用いた持続血糖測定 | |
JP2018046816A (ja) | 耐熱性に優れたフラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20181015 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20181019 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181031 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20181019 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190927 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20191125 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200612 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20200811 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20201012 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210305 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210427 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210810 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210824 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6934720 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |