JPWO2016076327A1 - 非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明(第2発明)は、広い温度範囲での電気化学特性を向上でき、特に高温下での電気化学特性を向上できる非水電解液、及びそれを用いた蓄電デバイスに関する。
電気自動車や電力貯蔵等の環境が変化しやすい場所で使用されるリチウム二次電池の場合、特に真夏のような高温環境下で使用すると電池特性の劣化が進みやすい。従って、高温環境下での充電保存特性に対する要求はますます高くなっており、更なる電池特性の改善が求められている。
なお、本明細書において、リチウム二次電池という用語は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
また、リチウム二次電池の負極としては、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)や炭素材料が知られており、特にリチウムを吸蔵及び放出することが可能なコークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料を用いたリチウム二次電池が広く実用化されている。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いものの蓄電デバイスとして使用中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、広い温度範囲での電気化学特性が大きく低下することが知られている。これらの負極材料の微粉化や非水溶媒の分解物が蓄積すると、負極へのリチウムの吸蔵及び放出がスムーズにできなくなり、広い温度範囲での電気化学特性が低下しやすくなる。
非特許文献1には、リン酸4−フェニルフェニル ジエチルによって予め酸化処理させた正極を用いることにより、リン酸4−フェニルフェニル ジエチルが添加されていない電解液を使用したコインセルのサイクル特性が向上することが示唆されている。
電子機器や電気自動車に搭載された電池は、真夏の高温下や、電子機器の発熱により暖められた環境下で使用される可能性が高い。また、タブレット端末やウルトラブック等の薄型電子機器では外装部材にアルミラミネートフィルム等のラミネートフィルムを使用するラミネート型電池や角型電池が用いられることが多いが、これらの電池は、薄型であるため少しの外装部材の膨張等により変形しやすいという問題が生じやすく、その変形が電子機器に与える影響が非常に大きいことが問題である。
また、リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、金属酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料を用いた非水系電解液二次電池が広く実用化されている。上記の負極材料はリチウム金属と同等の極めて卑な電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、特に高温下において、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有している。そのため、負極材料の種類に拠らず負極上で電解液中の溶媒が一部還元分解してしまい、分解物の沈着、ガス発生、電極の膨れにより、リチウムイオンの移動が妨げられ、特に高温下でのサイクル特性等の電池特性を低下させる問題や電極の膨れにより電池が変形する等の問題があった。
更に、リチウム金属やその合金、スズ又はケイ素等の金属単体や金属酸化物を負極材料として用いたリチウム二次電池は、初期の容量は高いもののサイクル中に微粉化が進むため、炭素材料の負極に比べて非水溶媒の還元分解が加速的に起こり、特に高温下において電池容量やサイクル特性のような電池性能が大きく低下することや、電極の膨れにより電池が変形する等の問題が知られている。
また、特許文献3には、メチルフェニルカーボネート等を含み、更にC=C不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する環状カーボネート、及びフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む非水電解液(A)、ジフェニルカーボネートとビニレンカーボネート等を含む非水電解液(C)が、過充電時の安全性を高めること、及び連続充電時における電池性能の劣化を抑制することが記載されている。
第2発明は、広い温度範囲、特に高温下での電気化学特性を向上させ、更に高温サイクル後の電極厚みの増加率を低減することができる非水電解液及びそれを用いた蓄電デバイスを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記特許文献1の非水電解液の性能について詳細に検討した。その結果、特許文献1の非水電解液では、広い温度範囲での電気化学特性、特に充電保存特性と充電保存後の低温出力特性を向上させるという課題に対しては、十分に満足できるとは言えないのが実情であった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に特定のリン酸エステルを特定量含有させることで、正極及び負極上における非水電解液の分解生成物に起因する抵抗増加を格段に抑制することにより、広い温度範囲での電気化学特性、特に充電保存特性と充電保存後の低温出力特性を向上できることを見出し、第1発明を完成した。
本発明者らは、上記特許文献2の非水電解液の性能について詳細に検討した結果、特許文献2の非水電解液二次電池では、過充電時の安全性をある程度向上させることはできるものの、充放電に伴う電極厚みの増加率を低減させるという課題に対しては、何ら開示されておらず、また満足できるものではない。
特許文献3には、充放電に伴う電極厚みの増加率を低減させるという課題に対しては、何ら開示されておらず、メチルフェニルカーボネートに代表される化合物群のベンゼン環の一部の水素原子が、ハロゲン原子で置換されてもよいことが示唆されているものの実施例はない。加えてジフェニルカーボネートのベンゼン環の一部の水素原子がハロゲン原子で置換されてもよい旨の記載は全くない。
更に、特許文献3には、過充電の安全性の向上や連続充電時の劣化抑制、及びガスの発生をある程度抑制できることについての記載はあるものの、充放電による電極厚みを低減させるという課題に対しては何ら開示されていない。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ジフェニルカーボネートの一方のベンゼン環の水素原子が、特定の数のハロゲン原子で置換された化合物を非水電解液中に含有させることにより、高温サイクル後の電極厚みの増加率を低減させることができることを見出し、第2発明を完成した。
<第1発明>
(1)非水電解液に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるリン酸エステル構造を含むビフェニル化合物を含み、該ビフェニル化合物の含有量が、非水電解液中に0.1〜4.5質量であることを特徴とする非水電解液。
また、X1及びX2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示し、mは0〜4の整数、nは0〜5の整数である。)
(3)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(II)で表される非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物を含み、該ハロゲン化フェニルカーボネート化合物の含有量が、非水電解液中に0.001〜5質量%であることを特徴とする非水電解液。
(4)正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスにおいて、該非水電解液が前記(3)に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
第2発明によれば、広い温度範囲での電気化学特性を向上できる非水電解液、特に高温サイクル後の電極厚みの増加率を低減させることができる非水電解液、及びそれを用いたリチウム電池等の蓄電デバイスを提供することができる。
第1発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に前記一般式(I)で表されるリン酸エステル構造を含むビフェニル化合物を含み、該ビフェニル化合物の含有量が、非水電解液中に0.1〜4.5質量%であることを特徴とする非水電解液である。
第1発明の非水電解液に含まれる一般式(I)で表されるビフェニル化合物中のリン酸エステル構造の一部は、負極側で電気化学的に微量還元され、被膜を形成する。該被膜は、ビフェニル構造由来の熱安定性の高い被膜成分とリン酸エステル構造由来のリチウムイオン伝導性に優れた被膜成分の両方を含むため、被膜の電気抵抗の上昇が抑制される。このため、リチウム二次電池等の蓄電デバイスの充電保存特性が向上するものと考えられる。
また、一般式(I)で表されるビフェニル化合物の還元分解生成物の一部は、正極上にも被膜を形成する。該被膜は、充電保存後もリチウムイオン伝導性に優れるため、充電保存後の低温出力特性を向上させると考えられる。
このような効果は、一般式(I)で表されるリン酸エステル構造を含むビフェニル化合物が非水電解液中に存在して使用されることで発現されるため、非特許文献1のように予め正極に重合被膜を形成する方法では実現できない、本発明の格別な効果である。
また、X1及びX2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示し、mは0〜4の整数、nは0〜5の整数である。)
一般式(I)において、広い温度範囲での電気化学特性を向上させる観点から、mは3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下が更に好ましく、0が最も好ましい。
一般式(I)において、広い温度範囲での電気化学特性を向上させる観点から、nは4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下が更に好ましく、0が最も好ましい。
これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、フェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、又は4−フルオロフェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、フェニル基がより好ましい。
上記化合物の中でも、特に好ましい化合物は、リン酸2−フェニルフェニル ジメチル(化合物A1)、リン酸2−フェニルフェニル ジエチル(化合物A2)、リン酸2−フェニルフェニル ジイソプロピル(化合物A3)、リン酸2−フェニルフェニル ジビニル(化合物A5)、リン酸2−フェニルフェニル ジアリル(化合物A6)、リン酸2−フェニルフェニル ジ(2−プロピニル)(化合物A7)、リン酸2−フェニルフェニル ジフェニル(化合物A8)、及びリン酸2−フェニルフェニル ビス(2,2,2-トリフルオエチル)(化合物A9)から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。
第2発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、非水電解液中に下記一般式(II)で表される非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物を含み、該ハロゲン化フェニルカーボネート化合物の含有量が、非水電解液中に0.001〜5質量%であることを特徴とする非水電解液である。
第2発明の非水電解液に含まれる非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物は、酸素原子に結合した2つのベンゼン環の一方が1〜4つのハロゲン原子を有し、他方のベンゼン環は置換基を持たない非対称カーボネートである。従って、該非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物は、一方のベンゼン環の全てがハロゲン原子で置換された化合物である場合や、全くハロゲン原子で置換されていない化合物である場合に比べ、それらの中間的な酸化還元の受けやすさを示すと予想される。また、同時にハロゲン原子で置換されていない部分、即ち重合に関与すると考えられるC−H結合を特定の数有することで過度に重合しすぎることなく、リチウムイオンの透過を妨げない強固な被膜(SEI被膜)を形成しやすくなると考えられる。この被膜によって、更なる溶媒の分解を抑制し、高温サイクル後の正極及び負極(特に負極)の厚みの増加を抑制することができると考えられる。
また、正極及び負極(特に負極)の厚みの増加を抑制する効果は、ハロゲン原子の置換位置にも依存する。一般式(II)において、オルト位(X11又はX15)又はパラ位(X13)にハロゲン原子を有する場合に電極の厚みの増加を抑制する効果が高まるため好ましく、とりわけオルト位(X11又はX15)にハロゲン原子を有することが好ましい。
〔非水溶媒〕
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状エステル、ラクトン、エーテル、及びアミドから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。広い温度範囲での電気化学特性や、高温での電気化学特性を相乗的に向上させるため、鎖状エステルが含まれることが好ましく、鎖状カーボネートが含まれることがより好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートの両方が含まれることが更に好ましい。
なお、「鎖状エステル」なる用語は、鎖状カーボネート及び鎖状カルボン酸エステルを含む概念として用いる。
第1発明の場合、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して、好ましくは0.07体積%以上、より好ましくは0.2体積%以上、更に好ましくは0.7体積%以上であり、また、その上限としては、好ましくは7体積%以下、より好ましくは4体積%以下、更に好ましくは2.5体積%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と広い温度範囲での電気化学特性をより向上させることができるので好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して好ましくは0.07体積%以上、より好ましくは4体積%以上、更に好ましくは6体積%以上であり、また、その上限としては、好ましくは35体積%以下、より好ましくは25体積%以下、更に15体積%以下であると、Liイオン透過性を損なうことなく一段と広い温度範囲での電気化学特性を向上させることができるので好ましい。
第2発明の場合、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合等の不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して、好ましくは0.07体積%以上、より好ましくは0.2体積%以上、更に好ましくは0.7体積%以上であり、また、その上限としては、好ましくは9体積%以下、より好ましくは6体積%以下、更に好ましくは5体積%以下であると、高温時の被膜の安定性を増すことができるので好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対して好ましくは0.07体積%以上、より好ましくは4体積%以上、更に好ましくは7体積%以上であり、また、その上限としては、好ましくは35体積%以下、より好ましくは25体積%以下、更に好ましくは15体積%以下であると、一段と高温時の被膜の安定性を増すことができ、電極厚みの増加率を低減できるので好ましい。
また、非水溶媒がエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを含むと電極上に形成される被膜の安定性が増し、電極厚みの増加率を低減できるので好ましく、エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートの含有量は、非水溶媒の総体積に対し、好ましくは3体積%以上、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上であり、また、その上限としては、好ましくは45体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは25体積%以下である。
上記の溶媒は1種類で使用してもよく、また2種類以上を組み合わせて使用した場合は、広い温度範囲での電気化学特性の改善効果が更に向上するので好ましく、又は高温時の被膜の安定性が一段と増し、電極厚みの増加率を低減できると共に、広い温度範囲での電気化学特性が更に向上するので好ましく、3種類以上を組み合わせて使用することが特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとVC、PCとVC、VCとFEC、ECとFEC、PCとFEC、FECとDFEC、ECとDFEC、PCとDFEC、VCとDFEC、VECとDFEC、VCとEEC、ECとEEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとVEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFEC、PCとVCとFEC、ECとVCとDFEC、PCとVCとDFEC、ECとPCとVCとFEC、又はECとPCとVCとDFEC等が好ましい。前記の組合せのうち、ECとVC、ECとFEC、PCとFEC、ECとPCとVC、ECとPCとFEC、ECとVCとFEC、ECとVCとEEC、ECとEECとFEC、PCとVCとFEC、又はECとPCとVCとFEC等の組合せがより好ましい。
前記鎖状エステルの中でも、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸メチル及び酢酸エチル(EA)から選ばれるメチル基を有する鎖状エステルが好ましく、特にメチル基を有する鎖状カーボネートが好ましい。
また、鎖状カーボネートを用いる場合には、2種以上を用いることが好ましい。さらに対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方が含まれるとより好ましく、対称鎖状カーボネートの含有量が非対称鎖状カーボネートより多く含まれると更に好ましい。
上記その他の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せは、例えば、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カルボン酸エステルとの組合せ、環状カーボネートと鎖状エステル(鎖状カーボネート)とラクトンとの組合せ、環状カーボネートと鎖状エステル(鎖状カーボネート)とエーテルとの組合せ、環状カーボネートと鎖状カーボネートと鎖状カルボン酸エステルとの組合せ等が好適に挙げられ、環状カーボネートと鎖状エステルとラクトンとの組合せがより好ましく、ラクトンの中でもγ−ブチロラクトン(GBL)を用いると更に好ましい。
第1発明の場合、一段と広い温度範囲での電気化学特性を向上させる目的で、非水電解液中にさらにその他の添加剤を加えることが好ましい。
その他の添加剤の具体例としては、以下の(A)〜(I)の化合物が挙げられる。
(B)シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物や、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の芳香族化合物。
(C)メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上のイソシアネート化合物。
(E)1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、又は2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート等のスルトン、エチレンサルファイト等の環状サルファイト、エチレンサルフェート等の環状サルフェート、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、又はメチレンメタンジスルホネート等のスルホン酸エステル、ジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、又はビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン化合物から選ばれる1種又は2種以上のS=O基含有化合物。
(F)1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン等の環状アセタール化合物。
(H)無水酢酸、無水プロピオン酸等の鎖状のカルボン酸無水物、無水コハク酸、無水マレイン酸、3−アリル無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、又は3−スルホ−プロピオン酸無水物等の環状酸無水物。
(I)メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシヘプタフルオロシクロテトラホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物。
(A)ニトリルの中では、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、及びピメロニトリルから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(B)芳香族化合物の中では、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ビフェニル、o−ターフェニル、フルオロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、及びtert−アミルベンゼンから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
(C)イソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
(D)三重結合含有化合物としては、2−プロピニル メチル カーボネート、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネートから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
(E)スルトン、環状サルファイト、環状サルフェート、スルホン酸エステル、及びビニルスルホンから選ばれる環状又は鎖状のS=O基含有化合物(但し、三重結合含有化合物、及び前記一般式のいずれかで表される特定の化合物は含まない)を用いることが好ましい。
また、鎖状のS=O基含有化合物としては、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、ブタン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、ジメチル メタンジスルホネート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、ジビニルスルホン、及びビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテルから選ばれる1種又は2種以上が好適に挙げられる。
前記環状又は鎖状のS=O基含有化合物の中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、エチレンサルフェート、ペンタフルオロフェニル メタンスルホネート、及びジビニルスルホンから選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
(G)リン含有化合物としては、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、エチル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、又は2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが更に好ましい。
(H)環状酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、又は3−アリル無水コハク酸が好ましく、無水コハク酸又は3−アリル無水コハク酸が更に好ましい。
(I)環状ホスファゼン化合物としては、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物が好ましく、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンが更に好ましい。
リチウム塩の具体例としては、リチウム ビス(オキサラト)ボレート〔LiBOB〕、リチウム ジフルオロ(オキサラト)ボレート〔LiDFOB〕、リチウム テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート〔LiTFOP〕、及びリチウム ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート〔LiDFOP〕から選ばれる少なくとも1種のシュウ酸骨格を有するリチウム塩、LiPO2F2やLi2PO3F等のリン酸骨格を有するリチウム塩、リチウム トリフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ボレート〔LiTFMSB〕、リチウム ペンタフルオロ((メタンスルホニル)オキシ)ホスフェート〔LiPFMSP〕、リチウム メチルサルフェート〔LMS〕、リチウムエチルサルフェート〔LES〕、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチルサルフェート〔LFES〕、及びFSO3Liから選ばれる1種以上のS=O基を有するリチウム塩が好適に挙げられる。これらの中でも、LiBOB、LiDFOB、LiTFOP、LiDFOP、LiPO2F2、LiTFMSB、LMS、LES、LFES、及びFSO3Liから選ばれるリチウム塩を含むことがより好ましい。
第2発明の非水電解液においては、一般式(II)で表される非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物と組み合わせて用いることができる添加剤として、(a)SO2基含有化合物、(b)フッ素化ベンゼン化合物、(c)リン酸エステル化合物、(d)炭素−炭素三重結合含有化合物、(e)カルボン酸無水物、(f)イソシアネート化合物、(g)リチウム含有イオン性化合物、(h)ニトリル化合物、(i)ベンゼン化合物、(j)環状アセタール化合物、及び(k)ホスファゼン化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。前記(a)〜(k)の化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことで4種又は5種以上の官能基又は特性基による混合SEI被膜を形成し、高温サイクル後の電極厚みの増加率を低減させるという効果を更に高めることができる。
前記SO2基含有化合物の中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、2,4−ブタンスルトン、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、5,5−ジメチル−1,2−オキサチオラン−4−オン 2,2−ジオキシド、ブタン−2,3−ジイル ジメタンスルホネート、及びジビニルスルホンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。
前記フッ素化ベンゼン化合物としては、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニオール、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン、パンタフルオロフェニルメタンスルホネート、2−フルオロフェニルメタンスルホネート、2,4−ジフルオロフェニルメタンスルホネート、及び4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメタンスルホネートからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。
前記三重結合化合物の中でも、2−プロピニル メチル カーボネート、メタクリル酸 2−プロピニル、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、メチル 2−プロピニル オギザレート、エチル 2−プロピニル オギザレート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメートから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、2−プロピニル メチル カーボネート、メタンスルホン酸 2−プロピニル、ビニルスルホン酸 2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸 2−プロピニル、ジ(2−プロピニル)オギザレート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、及び2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメートからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。
前記カルボン酸無水物の中でも、無水コハク酸、無水マレイン酸、及びアリル無水コハク酸から選ばれる1種以上が好ましく、無水コハク酸及びアリル無水コハク酸から選ばれる1種がより好ましい。
前記、イソシアネート化合物の中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル アクリレート、及び2−イソシアナトエチル メタクリレートから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記リチウム含有イオン性化合物の中でも、ジフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、ジフルオロビス[オキサレート−O,O’]リン酸リチウム(LiPFO)、テトラフルオロ[オキサレート−O,O’]リン酸リチウム、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム(LiBOB)やジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム、リチウム メチルサルフェート、リチウム エチルサルフェート、及びリチウム プロピルサルフェートから選ばれる1種以上がより好ましく、2種以上が特に好ましい。
前記ニトリル化合物の中でも、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、及びピメロニトリルから選ばれる1種以上がより好ましい。
前記ベンゼン化合物の中でもシクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、メチルフェニルカーボネート、及びエチルフェニルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、シクロヘキシルベンゼン、tert−アミルベンゼン、ビフェニル、o−ターフェニル、メチルフェニルカーボネート、及びエチルフェニルカーボネートから選ばれる1種以上が特に好ましい。
前記環状アセタール化合物の中でも1,3−ジオキソラン又は1,3−ジオキサンが好ましく、1,3−ジオキサンが更に好ましい。
前記ホスファゼン化合物の中でもメトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、又はフェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物が好ましく、メトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン及びエトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンから選ばれる1種以上が更に好ましい。
(電解質塩)
本発明に使用される電解質塩としては、下記のリチウム塩が好適に挙げられる。
リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕等の無機リチウム塩、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiCF3SO3、LiC(SO2CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、LiPF3(iso−C3F7)3、LiPF5(iso−C3F7)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を有するリチウム塩等が好適に挙げられ、これらの中から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2〔LiFSI〕、LiN(SO2CF3)2、及びLiN(SO2C2F5)2から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、LiPF6を用いることが最も好ましい。
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩及び該非水電解液に対して前記一般式(I)で表されるビフェニル化合物、又は前記一般式(II)で表される非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物を添加することにより得ることができる。
この際、用いる非水溶媒及び非水電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
第1の蓄電デバイスであるリチウム電池とは、リチウム一次電池及びリチウム二次電池の総称であり、リチウム二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池も含む概念として用いる。
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている前記非水電解液からなる。非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するリチウムとの複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で用いるか又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiCo1−xMxO2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、及びCuから選ばれる1種又は2種以上の元素、0.001≦x≦0.05)、LiMn2O4、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、Li2MnO3とLiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、Fe等の遷移金属)との固溶体、及びLiNi1/2Mn3/2O4から選ばれる1種以上が好適に挙げられ、2種以上がより好適である。また、LiCoO2とLiMn2O4、LiCoO2とLiNiO2、LiMn2O4とLiNiO2のように併用してもよい。
特にNiを含む正極活物質の場合にNiの触媒作用により正極表面での非水溶媒の分解が起き、電池の抵抗が増加しやすい傾向にある。特に高温環境下での電気化学特性が低下しやすい傾向にあるが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電気化学特性の低下を抑制することができるので好ましい。特に、正極活物質中の全遷移金属元素の原子濃度に対するNiの原子濃度の割合が、30atomic%を超える正極活物質を用いた場合に上記効果が顕著になるので好ましく、50atomic%以上が更に好ましく、75%以上が特に好ましい。具体的には、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Mn0.3Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2等が好適に挙げられる。
これらの中では、高容量化のためNiを含む正極を用いた場合、特に満充電状態における正極の充電電位がLi基準で4.3V以上に充電された場合、正極からのNiイオンの溶出が増加し、負極に析出したNiの触媒効果により負極上での電解液の分解が促進され、高温サイクル特性等の電気化学特性が低下したり、負極の厚みが増加しやすくなる。しかしながら、本発明の非水電解液を用いた蓄電デバイスでは、これらの電気化学特性の低下や電極厚みの増加を抑制することができるので好ましい。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4又はLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
リチウム含有オリビン型リン酸塩は、安定したリン酸骨格(PO4)構造を形成し、充電時の熱安定性に優れるため、広い温度範囲での電気化学特性を向上し、また高温サイクル後の電極厚みの増加率を更に低減することができる。
また、正極中に元素としてNiが含まれる場合、正極からのNiイオンの溶出に加え、正極活物質中のLiOH等の不純物が増える傾向があるため、本発明の非水電解液を用いた蓄電デバイスでは、一段と広い温度範囲での電気化学特性の改善効果や電極厚みの増加を抑制する効果が得られやすいので好ましい。正極活物質中のNiの原子濃度が5〜25atomic%である場合が更に好ましく、11〜21atomic%である場合が特に好ましい。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは、3g/cm3以上であり、更に好ましくは、3.6g/cm3以上である。なお、その上限としては、4g/cm3以下が好ましい。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが更に好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。
また、高結晶性の炭素材料(コア材)はコア材よりも低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、広い温度範囲での電気化学特性が一段と良好となるので好ましい。被覆の炭素材料の結晶性は、TEMにより確認することができる。
高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応し、界面抵抗の増加によって低温又は高温における電気化学特性を低下させる傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では広い温度範囲での電気化学特性が良好となる。
負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.1g/cm3以上であり、電池の容量をさらに高めるため、好ましくは1.5g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。なお、上限としては、2g/cm3以下が好ましい。
電池用セパレータとしては、特に制限はされないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンの単層又は積層の微多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
ポリオレフィンの積層体としては、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層体が好ましく、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造がより好ましい。
セパレータの厚みは、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、また、その上限は、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
前記無機粒子の具体例としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、BaTiO3等の酸化物、及びベーマイト(Al2O3・3H2O)等の水酸化物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、BaTiO3、及びベーマイト(Al2O3・3H2O)から選ばれる1種以上が好ましく、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、BaTiO3、又はベーマイト(Al2O3・3H2O)がより好ましく、アルミナ(Al2O3)、BaTiO3、又はベーマイト(Al2O3・3H2O)が更に好ましい。
前記耐熱層に含まれる有機粒子としては、ポリアミド、アラミド、ポリイミド等の高分子粒子から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、ポリアミド、アラミド、及びポリイミドから選ばれる1種以上が好ましく、ポリアミド又はアラミドがより好ましい。
本発明の第2の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、電解液と電極界面の電気二重層容量を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。本発明の一例は、電気二重層キャパシタである。この蓄電デバイスに用いられる最も典型的な電極活物質は、活性炭である。二重層容量は概ね表面積に比例して増加する。
本発明の第3の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、電極のドープ/脱ドープ反応を利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。この蓄電デバイスに用いられる電極活物質として、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化銅等の金属酸化物や、ポリアセン、ポリチオフェン誘導体等のπ共役高分子が挙げられる。これらの電極活物質を用いたキャパシタは、電極のドープ/脱ドープ反応にともなうエネルギー貯蔵が可能である。
本発明の第4の蓄電デバイスは、本発明の非水電解液を含み、負極であるグラファイト等の炭素材料へのリチウムイオンのインターカレーションを利用してエネルギーを貯蔵する蓄電デバイスである。リチウムイオンキャパシタ(LIC)と呼ばれる。正極は、例えば活性炭電極と電解液との間の電気ニ重層を利用したものや、π共役高分子電極のドープ/脱ドープ反応を利用したもの等が挙げられる。電解液には少なくともLiPF6等のリチウム塩が含まれる。
実施例I−1〜I−22、比較例I−1〜I−2
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.8Co0.15Al0.05O294質量%、アセチレンブラック(導電剤)3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、ケイ素(単体)10質量%、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)85質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。そして、正極シート、微多孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シートの順に積層し、表1〜3に記載の組成の非水電解液を加えて、2032型コイン電池を作製した。
<初期の放電容量>
上記の方法で作製したコイン電池を用いて、25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで7時間充電し、0.2Cの定電流下終止電圧2.5Vまで放電することで初期放電容量を求めた。
<高温充電保存試験における容量回復率>
次に、このコイン電池を80℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.2Vまで7時間充電し、開回路の状態で3日間保存を行った。その後、25℃の恒温槽に入れ、一旦1Cの定電流下終止電圧2.5Vまで放電した。
引き続き、25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.2Vまで7時間充電し、0.2Cの定電流下終止電圧2.5Vまで放電することで充電保存後の回復放電容量を求めた。高温充電保存後の容量回復率を以下の式により求めた。
容量回復率(%)=(回復放電容量/初期放電容量)×100
<高温充電保存後の低温放電容量維持率>
更にその後、コイン電池を25℃の恒温槽中、0.2Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.2Vまで7時間充電した。その後、−20℃の恒温槽に入れ、5Cの定電流下終止電圧2.5Vまで放電することで放電容量を求めた。高温保存後の低温放電容量維持率を下記の式により求めた。
高温保存後の低温放電容量維持率(%)=(高温保存後の−20℃での放電容量/初期放電容量)×100
電池の作製条件及び電池特性を表1〜3に示す。
実施例I−1で用いた正極と負極にLi金属、非水電解液はリン酸4-フェニルフェニル ジエチルの添加量を0.3質量%とした以外は実施例I−1と同じものを用いてコイン電池を作製した。非特許文献1の記載と同様に25℃の恒温槽中0.1mV/secの速度で正極の電位を4.65Vまで掃引し、その電位で20分間保持した。その後、3.0Vまで0.1mV/secで電圧を下げ、グローブボックス中で電池をいったん解体し、正極を取り出した。この取り出した正極を用いた以外は比較例I−1と同様にしてコイン電池を作成した。その電池測定を行った結果、容量回復率は54%、高温保存後の低温放電容量維持率は98%であった。
実施例I−1で用いた負極活物質に代えて、チタン酸リチウムLi4Ti5O12(負極活物質)を用いて、負極シートを作成した。チタン酸リチウムLi4Ti5O12 90質量%、アセチレンブラック(導電材)5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥後、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、負極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を2.7V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例I−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表4に示す。
実施例I−1で用いた正極活物質に変えて、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiFePO4 90質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに打ち抜き、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例I−1と同様にコイン電池を作製し、電池評価を行った。結果を表5に示す。
また、実施例I−23と比較例I−3や比較例I−4との対比、実施例I−24と比較例I−5の対比から、負極にLi金属やチタン酸リチウムLi4Ti5O12(負極活物質)を用いた場合や、正極に非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いた場合にも同様な効果がみられる。従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことは明らかである。
更に、第1発明の非水電解液は、リチウム一次電池、リチウムイオンキャパシタ、リチウム空気電池等の広い温度範囲での放電特性を改善する効果も有する。
実施例II−1〜II−25、比較例II−1〜II−3
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiNi0.5Mn0.3Co0.2Mn0.3O2(pH 11.1)94質量%、アセチレンブラック(導電剤)3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。
また、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)90質量%とSiO(負極活物質)5質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.5g/cm3であった。また、この電極シートを用いてX線回折測定した結果、黒鉛結晶の(110)面のピーク強度I(110)と(004)面のピーク強度I(004)の比〔I(110)/I(004)〕は0.1であった。
ポリプロピレン(3μm)/ポリエチレン(5μm)/ポリプロピレン(3μm)の3層構造からなる積層微多孔フィルムの両面に、ベーマイト粒子とエチレン−酢酸ビニル共重合体を有する耐熱層(3μm)を形成し、総厚みが17μmのセパレータを作製した。
上記で得られた正極シート、セパレータ、上記で得られた負極シートの順に積層し、表1〜5に記載の組成の非水電解液を加えて、ラミネート型電池を作製した。
上記の方法で作製した電池を用いて50℃の恒温槽中、1Cの定電流及び定電圧で、終止電圧4.3V(正極のLi基準の電位は4.4V)まで3時間充電し、次に1Cの定電流下、放電電圧3.0Vまで放電することを1サイクルとし、これを200サイクルに達するまで繰り返した。そして、以下の式によりサイクル後の放電容量維持率を求めた。
放電容量維持率(%)=(200サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
<初期負極厚み>
上記の方法で1サイクルさせた電池を解体し、初期の負極厚みを測定した。
<高温サイクル後の負極厚み>
上記の方法で200サイクルさせた電池を解体し、高温サイクル後の負極厚みを測定した。
<負極厚み増加率>
負極厚み増加値を以下の式により求めた。
負極厚み増加値=サイクル後の負極厚み−初期負極厚み
負極厚み増加率(%)は、比較例II−1の負極厚み増加値を100%としたときを基準として求めた。結果を表6〜9に示す。
実施例II−3及び比較例II−1で用いた負極活物質に変えて、ケイ素(単体)(負極活物質)を用いて、負極シートを作製した。ケイ素(単体)40質量%、人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)50質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し負極シートを作製したことの他は、実施例II−3、比較例II−1と同様にしてラミネート型電池を作製し、電池評価を行い負極の厚み増加率は、比較例II−4の負極厚み増加値を100%としたときを基準として求めた。結果を表10に示す。
実施例II−3及び比較例II−1で用いた正極活物質に変えて、非晶質炭素で被覆されたLiFePO4(正極活物質)を用いて、正極シートを作製した。非晶質炭素で被覆されたLiFePO490質量%、アセチレンブラック(導電剤)5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の片面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、正極シートを作製したこと、電池評価の際の充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例II−3及び比較例II−1と同様にしてラミネート型電池を作製し、電池評価を行い負極の厚み増加率は、比較例II−5の負極厚み増加値を100%としたときを基準として求めた。結果を表11に示す。
また、実施例II−26と比較例II−4の対比、実施例II−27と比較例II−5の対比から、負極にケイ素を用いた場合や、正極にLiFePO4を用いた場合にも同様な効果がみられる。
更に、第2発明の非水電解液は、リチウム一次電池の広い温度範囲での放電特性を改善する効果も有する。
Claims (15)
- 非水電解液に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるリン酸エステル構造を含むビフェニル化合物を含み、該ビフェニル化合物の含有量が、非水電解液中に0.1〜4.5質量であることを特徴とする非水電解液。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数3〜8のアルキニル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示し、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基は、各々少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
また、X1及びX2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示し、mは0〜4の整数、nは0〜5の整数である。) - 一般式(I)において、リン酸エステル構造がビフェニル構造の2−位又は3−位に置換した、請求項1に記載の非水電解液。
- 一般式(I)で表されるビフェニル化合物が、リン酸2−フェニルフェニル ジメチル、リン酸2−フェニルフェニル ジエチル、リン酸2−フェニルフェニル ジイソプロピル、リン酸2−フェニルフェニル ジビニル、リン酸2−フェニルフェニル ジアリル、リン酸2−フェニルフェニル ジ(2−プロピニル)、リン酸2−フェニルフェニル ジフェニル、及びリン酸2−フェニルフェニル ビス(2,2,2-トリフルオエチル)から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の非水電解液。
- 非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状エステルを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ビニレンカーボネート、及び4−エチニル−1,3−ジオキソラン−2−オンから選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項4に記載の非水電解液。
- 鎖状エステルとして対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方を含み、対称鎖状カーボネートが非対称鎖状カーボネートより多く含まれる、請求項4又は5に記載の非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスにおいて、該非水電解液が請求項1に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
- 一般式(II)において、X11〜X15のうち1つ又は2つがハロゲン原子であり、残りは水素原子である、請求項8に記載の非水電解液。
- 一般式(II)において、オルト位のX11又はX15がハロゲン原子である、請求項8又は9に記載の非水電解液。
- 前記ハロゲン原子が塩素原子である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 一般式(II)で表される化合物が、2−フルオロフェニル フェニルカーボネート、4−フルオロフェニル フェニルカーボネート、2,4−ジフルオロフェニル フェニルカーボネート、2,6−ジフルオロフェニル フェニルカーボネート、2−クロロフェニル フェニルカーボネート、3−クロロフェニル フェニルカーボネート、4−クロロフェニル フェニルカーボネート、2,4−ジクロロフェニル フェニルカーボネート、及び2,6−ジクロロフェニル フェニルカーボネートから選ばれる1種又は2種以上である、請求項8〜11のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 非水電解液が更に対称フェニルカーボネート化合物を含み、[非対称ハロゲン化フェニルカーボネート化合物/対称フェニルカーボネート化合物]の質量比が50/50〜99.9/0.1である、請求項8〜12のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 前記非水溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含み、該鎖状カーボネートとして、対称鎖状カーボネートと非対称鎖状カーボネートの両方を含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の非水電解液。
- 正極、負極、及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液を備えた蓄電デバイスにおいて、該非水電解液が請求項8に記載の非水電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
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