JPWO2016067654A1 - エンジンブロックおよびこれを備える内燃機関 - Google Patents

エンジンブロックおよびこれを備える内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】重量効率良くオイルパン取付部の変形を抑制することができる技術を提供する。【解決手段】オイルパンレール部(34)を、第1レール部(34a)と、第2レール部(34b)とから構成し、第1レール部(34a)のレール高さを第2レール部(34b)のレール高さよりも高く形成すると共に、第1レール部(34a)の第2レール部(34b)との接続部(134b)を、クランクジャーナル支持壁(27)のうち最も剛性の高い第3ジャーナル支持壁(27c)に連結する。これにより、合理的な構造によって第1レール部(34a)における剛性を第2レール部(34b)の剛性よりも大きくして、構造上、変形を生じ易い第1レール部(34a)の剛性を合理的に向上することができる。しかも、オイルパンレール部(34)の気筒列方向に沿う全領域においてレール高さを高くしていないため、重量増加も抑制できる。【選択図】図3

Description

本発明は、複数の気筒が直列に配置された本体部と、本体部の気筒軸方向一端側に接続されると共に気筒列方向に延在するスカート部と、シリンダ部およびクランクケース部の気筒列方向一端側に設けられた変速機取付部と、シリンダ部が接続された側とは反対側の端部において気筒列方向に沿うように構成されたオイルパン取付部と、を備えるエンジンブロックに関する。
従来、この種のエンジンブロックとしては、オイルパンを取り付けるためのオイルパン取り付けレールを気筒列方向に沿って設けると共に、当該オイルパン取り付けレールの高さを、気筒列方向中央に向かうほど漸次高くなるように成形する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このエンジンブロックでは、最大振動モードとなるオイルパン取り付けレールの気筒列方向中央における固有振動数を高周波側へ移行することにより、重量増加を最小限に抑えながら、常用周波数帯域での振動モードを制振して振動騒音の防止を図っている。
実開平1−176734号公報
ところで、一般に、エンジンブロックの気筒列方向一端側には変速機が取り付けられるため、エンジンブロックにおける変速機取り付け面側には変速機からの曲げやねじりが作用する。したがって、上述したエンジンブロックのように、オイルパン取り付けレールのうち変速機取り付け面側の高さが低いと、当該曲げやねじりに対して十分な剛性を確保できず、オイルパン取り付けレールに変形が生じてしまう。上述したエンジンブロックは、かかる点において、なお改良の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、重量効率良くオイルパン取付部の変形を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
本発明のエンジンブロックおよびこれを備える内燃機関は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係るエンジンブロックの好ましい形態によれば、シリンダ部と、クランクケース部と、変速機取付部と、オイルパン取付部と、を備えるエンジンブロックが構成される。シリンダ部には、複数の気筒が直列に配置されている。クランクケース部は、クランク室を構成するようにシリンダ部の気筒軸方向一端側に接続されている。また、クランクケース部は、剛性を向上可能な剛性向上部を有するように構成されている。変速機取付部は、シリンダ部およびクランクケース部の気筒列方向一端側に設けられている。オイルパン取付部は、シリンダ部が接続された側とは反対側の端部において気筒列方向に沿うように構成されている。また、オイルパン取付部は、第1部分と、第2部分と、を有するように構成されている。第1部分は、変速機取付部に接続されて当該変速機取付部寄りに延在するように構成されている。第2部分は、第1部分よりも変速機取付部から遠い位置に延在するように構成されている。さらに、オイルパン取付部は、第1部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントが、第2部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくなるように構成されている。そして、第1部分は、変速機取付部との接続部とは反対側の端部において剛性向上部に接続されるように構成されている。
本発明における「シリンダ部の気筒軸方向一端側に接続された」とは、シリンダ部の気筒軸方向一端側にクランクケース部が一体成形される態様の他、シリンダ部とクランクケース部とが別体で成形された後、シリンダ部の気筒軸方向一端側にボルト等の締結部材によりクランクケース部が一体的に結合される態様を包含する。
本発明によれば、オイルパン取付部のうち第1部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントを、第2部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくする構成であるため、オイルパン取付部のうち曲げモーメントや捩じりモーメントの影響を受け易い部位である変速機取付部寄りの第1部分の剛性を、変速機取付部から遠い位置に配置された第2部分の剛性よりも高くすることができる。
また、気筒列方向全域に亘ってオイルパン取付部の断面2次モーメントを大きくする構成と比較して、エンジンブロック全体の重量増加を抑えることができる。しかも、第1部分における変速機取付部との接続部とは反対側の端部を剛性向上部に接続する構成であるため、極めて高い剛性を合理的に実現することができる。この結果、重量効率よく曲げモーメントや捩じりモーメントによるオイルパン取付部の変形を効果的に抑制することができる。
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、クランクケース部は、クランクシャフトを回転可能に支持する支持壁を有している。そして、支持壁は、剛性向上部として機能するよう構成されている。
本形態によれば、剛性向上部としてクランクシャフトを回転可能に支持する支持壁を用いる構成であるため、専用の剛性向上部を設ける構成と比較して重量増加を抑制することができる。
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、第1部分は、支持壁のうち気筒列方向において中央に配置された中央支持壁に接続されるよう構成されている。
本形態によれば、変速機取付部との接続部から気筒列方向における中央位置に相当する範囲におけるオイルパン取付部の剛性を向上することができるため、変速機からの曲げやねじりによるオイルパン取付部の変形をより効果的に抑制することができる。
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、オイルパン取付部は、第1部分における気筒列方向に垂直な断面の高さが、第2部分における気筒列方向に垂直な断面の高さよりも大きくなるように構成されている。
本形態によれば、断面の高さを変えるという簡単な構成で、接続部に近い第1部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントを、接続部から遠い第2部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくすることができる。これにより、エンジンブロックの製造性の低下を招くことなく、変速機からの曲げやねじりによるオイルパン取付部の変形を抑制することができる。
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、クランクケース部は、気筒列方向から見て、シリンダ部から末広がり状に気筒列方向および気筒軸方向に直交する方向に張り出すように構成されたスカート部を有している。そして、スカート部は、気筒列方向に垂直な断面形状が直線状となるよう構成されている。
一般的に、断面2次モーメントを大きくするためには、断面の高さ方向寸法を大きく形成したり、断面形状を複雑な形状に形成することが行われる。エンジンブロックを鋳造成形する際には、当該断面の高さ方向寸法が大きく形成された部分や、断面形状が複雑な形状に形成された部分において溶湯の流速(運動エネルギ)が低下し、当該部分よりも下流に溶湯が流れ難くなる。
本形態によれば、断面2次モーメントが大きくなるように構成された第1部分を有するオイルパン取付部よりも下流に位置するスカート部の断面形状を直線状に構成するため、スカート部の断面形状が円弧状に構成された場合と比較して、オイルパン取付部よりも下流への湯流れを向上することができる。なお、スカート部の断面形状が直線状に構成され場合、スカート部の断面形状が円弧状に構成された場合と比較して、スカート部の剛性が低下することになるが、オイルパン取付部の剛性が向上することにより、エンジンブロック全体としての剛性を確保することができる。この結果、製造性向上と剛性向上との両立を図ることができる。
本発明に係る内燃機関の好ましい形態によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係るエンジンブロックと、当該エンジンブロックのオイルパン取付部に取り付けられたオイルパンと、を備える内燃機難が構成される。当該内燃機関は、オイルパンに貯留されたオイルを用いて、潤滑必要部位の潤滑を行うよう構成されている。
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係るエンジンブロックを備えるから、本発明のエンジンブロックが奏する効果と同様の効果、例えば、オイルパン取付部の剛性を重量効率良く向上することができる効果などを奏することができる。
本発明によれば、変速機からの曲げや捩じりによるオイルパン取付部の変形を、重量効率良く抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るエンジンブロック20を搭載した内燃機関1の構成の概略を示す構成図である。 本発明の実施の形態に係るエンジンブロック20の外観を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るエンジンブロック20を側面から見た側面図である。 図3のX−X断面図である。 図3のY−Y断面図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
本発明の実施の形態に係るエンジンブロック20を備える内燃機関1は、図1に示すように、シリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上部に取り付けられたロッカーカバー4と、シリンダヘッド2の下部に取り付けられた本実施の形態に係るエンジンブロック20と、エンジンブロック20の下部に取り付けられたアッパーオイルパン6と、アッパーオイルパン6の下部に取り付けられたロアオイルパン8と、を備える。
本実施の形態に係るエンジンブロック20は、図2ないし図4に示すように、4つのシリンダボア22aが直列に形成されたシリンダブロック部22と、クランク室23の一部を構成するクランクケース部24と、シリンダブロック部22およびクランクケース部24における気筒列方向一端側(図1ないし3の右側)に設けられたブロック側フランジ面部26と、アッパーオイルパン6を取り付け可能に構成されたオイルパンレール部34と、が一体成形で構成されている。
シリンダブロック部22は、本発明における「シリンダ部」に対応し、クランク室23は、本発明における「クランク室」に対応し、ブロック側フランジ面部26は、本発明における「変速機取付部」に対応し、オイルパンレール部34は、本発明における「オイルパン取付部」に対応する実施構成の一例である。
クランクケース部24は、図2ないし図4に示すように、スカート部32を備えている。スカート部32は、図4に示すように、気筒列方向に沿う方向に見て、シリンダブロック部22から末広がり状に、気筒列方向およびシリンダボア22aの軸線方向の双方に直交する方向、即ち、図4の左右方向に張り出すように構成されている。
スカート部32は、気筒列方向に沿う方向に垂直な断面形状がほぼ直線状に形成されている。このように、スカート部32の断面形状をほぼ直線状に形成することにより、エンジンブロック20を鋳造成形する際の湯流れを向上することができる。これにより、製造性を向上することができる。
スカート部32の断面形状をほぼ直線状に形成する態様は、本発明における「スカート部は、気筒列方向に垂直な断面形状が直線状となるよう構成されている」に対応する実施構成の一例である。
また、スカート部32の内側には、図4および図5に示すように、クランクジャーナル支持壁27が形成されている。クランクジャーナル支持壁27は、クランクシャフトCSのジャーナル部を回転可能に支持する軸受部28を備えており、クランク室23をシリンダボア22a毎に仕切る仕切り壁として構成されている。ここで、説明の便宜上、クランクジャーナル支持壁27を、図5の左側から順に第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第3ジャーナル支持壁27c、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27eと規定する。
本実施の形態では、第3ジャーナル支持壁27cにおけるクランクシャフトCSの軸方向両側には、クランクシャフトCSからのスラスト方向の力を受けるためのスラストプレートSPが取り付けられること、また、クランクシャフトCS上に配置されるカウンタウェイト(図示せず)のうち、第3ジャーナル支持壁27cを挟む位置に配置されたカウンタウェイト(図示せず)が、いずれも同方向を向いて延出する構成である関係上、第3ジャーナル支持壁27cには、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)よりも大きな慣性力が作用すること、から、第3ジャーナル支持壁27cの壁厚が、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)の壁厚よりも厚く形成されている。
これにより、第3ジャーナル支持壁27cの剛性は、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)の剛性よりも高くなっている。クランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第3ジャーナル支持壁27c、第4ジャーナル支持壁27dおよび第5ジャーナル支持壁27e)は、本発明における「剛性向上部」および「支持壁」に対応し、第3ジャーナル支持壁27cは、本発明における「中央支持壁」に対応する実施構成の一例である。
オイルパンレール部34は、図2ないし図4に示すように、クランクシャフトCSの中心軸線を挟んで両側(図4の左右、図5の上下)のスカート部32の下端部に一体的に設けられている。オイルパンレール部34は、クランクシャフトCSの中心軸線を挟んだ両側(図4の左右、図5の上下)においてほぼ同構造に構成されている。
オイルパンレール部34は、気筒列方向およびシリンダボア22aの軸線方向に直交する方向、即ち、図4の左右方向に張り出すフランジ状に構成されている。また、オイルパンレール部34は、気筒列方向の一端側においてブロック側フランジ面部26に接続されており、ブロック側フランジ面部26から気筒列方向に沿って延在している。
さらに、オイルパンレール部34は、図2ないし図5に示すように、第1レール部34aと、第2レール部34bとを備えている。第1レール部34aは、気筒列方向においてブロック側フランジ面部26寄りに延在している。第1レール部34aは、ブロック側フランジ面部26との接続部134aから気筒列方向に沿ってほぼ2気筒分に亘る長さを有している。具体的には、第1レール部34aは、接続部134aから気筒列方向に沿って延在し、接続部134bにおいて第3ジャーナル支持壁27cに連結される構成とされている。
また、第1レール部34aは、第2レール部34bとの接続部134bからブロック側フランジ面部26との接続部134aに向かうに伴いレール幅が徐々に広がるように形成されている。即ち、第1レール部34aは、平面視略三角形状となるように形成されている。
さらに、第1レール部34aのレール高さは、図3ないし図5に示すように、第2レール部34bのレール高さよりも高く形成されている。第2レール部34bは、第1レール部34aに連続して形成されるとともに第1レール部34aを挟んでブロック側フランジ面部26とは反対側、即ち、ブロック側フランジ面部26から遠い位置に延在している。第1レール部34aは、本発明における「第1部分」に対応し、第2レール部34bは、本発明における「第2部分」に対応し、接続部134aは、本発明における「接続部」に対応する実施構成の一例である。
ブロック側フランジ面部26は、図1および図2に示すように、気筒列方向に沿う方向に見てシリンダブロック部22およびクランクケース部24から、気筒列方向およびシリンダボア22aの軸線方向の双方に直交する方向、即ち、図4の左右方向に張り出すように構成されている。ブロック側フランジ面部26は、気筒列方向に沿う方向から見てほぼ半円形状に形成されている。
アッパーオイルパン6は、本体部6aと、本体部6aにおける気筒列方向一端側(図1の右側)に設けられたオイルパン側フランジ面部6bと、から構成されており、クランクケース部24のオイルパンレール部34に図示しないボルトによって締結されることによって、クランクケース部24と共にクランク室23を構成する。
気筒列方向に沿う方向から見てオイルパン側フランジ面部6bは、気筒列方向およびシリンダボア22aの軸線方向の双方に直交する方向、即ち、ブロック側フランジ面部26と同じ方向に張り出すように構成されている。オイルパン側フランジ面部6bは、気筒列方向に沿う方向から見てほぼ半円形状に形成されており、アッパーオイルパン6がクランクケース部24に締結されることにより、ほぼ半円形状に形成されたブロック側フランジ面部26と共にほぼ円形の変速機取付面50を構成する。アッパーオイルパン6は、本発明における「オイルパン」に対応し、変速機取付面50は、本発明における「変速機取付部」に対応する実施構成の一例である。
ロアオイルパン8は、図1に示すように、内部に潤滑油をためることができるように有底椀状に形成されている。ロアオイルパン8は、本発明における「オイルパン」に対応する実施構成の一例である。
こうして構成された内燃機関1は、変速機が取り付けられた状態、即ち、内燃機関1と変速機とが一体とされたパワートレインユニットとして車両に搭載される。当該パワートレインユニットは、変速機取付面50を挟んだ両側、即ち、内燃機関1側および変速機側それぞれに設けた図示しないエンジンマウントを介して車体に取り付けられる。
上述したパワートレインを搭載した車両の運転が開始されると、内燃機関1には、ピストン(図示せず)の往復運動やクランクシャフトCSの回転運動に起因する振動が生ずる。当該振動が、曲げモーメントや捩じりモーメントとしてエンジンブロック20に作用する。また、エンジンブロック20には、変速機の駆動に伴う曲げモーメントや捩じりモーメントも変速機取付面50を介して作用する。
ところで、エンジンブロック20のうち変速機取付面50近傍部分は、上述したようなパワートレインユニットの車体への支持構造上、曲げモーメントや捩じりモーメントの影響を受け易い。ここで、当該曲げモーメントや捩じりモーメントがエンジンブロック20に作用すると、オイルパンレール部34における第1レール部34aが変形して、アッパーオイルパン6とのシール面に口開きを生じ、シール性が悪化してしまう。
しかしながら、本実施の形態に係るエンジンブロック20では、第1レール部34aのレール高さを他の部分(第2レール部34b)よりも高く形成するとともに、レール幅もブロック側フランジ面部26に向かうに伴い徐々に大きくなるよう平面視三角形状に形成して、第1レール部34aの気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントを、他の部分(第2レール部34b)の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きく設定している。
これにより、変形を生じ易い第1レール部34aの剛性を向上して、第1レール部34aの変形を効果的に抑制している。また、オイルパンレール部34の気筒列方向に沿う全領域においてレール高さを高くしていないため、重量増加も抑制できる。
しかも、第1レール部34aが、ブロック側フランジ面部26との接続部134aから気筒列方向に沿ってほぼ2気筒分に亘って形成されると共に、クランクジャーナル支持壁27のうち最も剛性が高い第3ジャーナル支持壁27cに連結される構成であるため、第1レール部34aの剛性を効果的に向上することができる。この結果、重量効率良くオイルパンレール部34の変形を抑制できる。
ここで、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高くしたことによって、エンジンブロック20を鋳造成形する際に、当該第1レール部34aにおいて溶湯の流速が低下し、第1レール部34aよりも溶湯の流れ方向下流に位置するスカート部32側への湯流れの低下が懸念される。
しかしながら、本実施の形態では、スカート部32における気筒列方向に沿う方向に垂直な断面形状をほぼ直線状に形成する構成であるため、スカート部32側への湯流れの低下を抑制することができ、スカート部32の断面形状が円弧状に形成される場合に比較して、スカート部32側への湯流れを向上することができる。
なお、スカート部32の断面形状が直線状に構成され場合、スカート部の断面形状が円弧状に構成された場合と比較して、スカート部32の剛性が低下することになるが、オイルパンレール部34の剛性が向上することにより、エンジンブロック20全体としての剛性を確保することができる。この結果、製造性向上と剛性向上との両立を図ることができる。
以上説明した本発明の実施の形態に係るエンジンブロック20によれば、オイルパンレール部34を、ブロック側フランジ面部26に接続されて当該ブロック側フランジ面部26寄りに延在する第1レール部34aと、第1レール部34aよりもブロック側フランジ面部26から遠い位置に延在する第2レール部34bとから構成し、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高く形成して、第1レール部34aにおける断面2次モーメントを第2レール部34bの断面2次モーメントよりも大きくすると共に、第1レール部34aの第2レール部34bとの接続部134bを、クランクジャーナル支持壁27のうち最も剛性の高い第3ジャーナル支持壁27cに連結する構成であるため、構造上、変形を生じ易い第1レール部34aの剛性を合理的に向上し得て、第1レール部34aの変形を効果的に抑制することができる。
しかも、オイルパンレール部34の気筒列方向に沿う全領域においてレール高さを高くしていないため、重量増加も抑制できる。この結果、重量効率良くオイルパンレール部34の変形を抑制できる。なお、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高く形成するという簡単な構成によって、第1レール部34aの断面2次モーメントを大きくする構成であるため、エンジンブロック20自体の構造が複雑化することがない。即ち、エンジンブロック20の製造性の低下を招くこともない。
本実施の形態では、第3ジャーナル支持壁27cの剛性が他のクランクジャーナル支持壁27の剛性よりも高い構成としたが、これに限らない。例えば、第1ジャーナル支持壁27aや第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27eの剛性を他のジャーナル支持壁27の剛性よりも高い構成としても良い。この場合、第1レール部34aの接続部134b側を、最も剛性が高く構成されたクランクジャーナル支持壁27に連結する構成とすれば良い。
本実施の形態では、第1レール部34aが、接続部134b側において、クランクジャーナル支持壁27の第3ジャーナル支持壁27cに連結される構成としたが、これに限らない。例えば、第1レール部34aは、エンジンブロック20の外面に設けた縦リブ32aなどの剛性が高い部位に連結する構成としても構わない。この場合、縦リブ32aは、本発明における「剛性向上部」に対応する実施構成の一例である。
本実施の形態では、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高くするのみにより、第1レール部34aの断面2次モーメントを第2レール部34bの断面2次モーメントよりも大きくする構成としたが、これに限らない。第1レール部34aの断面形状が、第2レール部34bの断面形状に比較して断面2次モーメントが大きくなる形状、例えば、第1レール部34aの断面形状を中空箱状に形成する構成としたり、断面形状をU字状に形成する構成としても構わない。
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
1 内燃機関(内燃機関)
2 シリンダヘッド
4 ロッカーカバー
6 アッパーオイルパン(オイルパン)
6a 本体部
6b オイルパン側フランジ面部
8 ロアオイルパン(オイルパン)
20 エンジンブロック(エンジンブロック)
22 シリンダブロック部(シリンダ部)
22a シリンダボア
23 クランク室
24 クランクケース部(クランクケース部)
26 ブロック側フランジ面部(変速機取付部)
27 クランクジャーナル支持壁
27a 第1ジャーナル支持壁(剛性向上部、支持壁)
27b 第2ジャーナル支持壁(剛性向上部、支持壁)
27c 第3ジャーナル支持壁(剛性向上部、支持壁、中央支持壁)
27d 第4ジャーナル支持壁(剛性向上部、支持壁)
27e 第5ジャーナル支持壁(剛性向上部、支持壁)
28 軸受部
32 スカート部(スカート部)
32a 縦リブ(剛性向上部)
34 オイルパンレール部(オイルパン取付部)
34a 第1レール部(第1部分)
34b 第2レール部(第2部分)
50 変速機取付面(変速機取付部)
134a 接続部(接続部)
134b 接続部
CS クランクシャフト
SP スラストプレート
【0002】
付けレールに変形が生じてしまう。上述したエンジンブロックは、かかる点において、なお改良の余地がある。
[0006]
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、重量効率良くオイルパン取付部の変形を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007]
本発明のエンジンブロックおよびこれを備える内燃機関は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
[0008]
本発明に係るエンジンブロックの好ましい形態によれば、シリンダ部と、クランクケース部と、変速機取付部と、オイルパン取付部と、を備えるエンジンブロックが構成される。シリンダ部には、複数の気筒が直列に配置されている。クランクケース部は、クランク室を構成するようにシリンダ部の気筒軸方向一端側に接続されている。また、クランクケース部は、クランクシャフトを回転可能に支持する複数の支持壁を有するように構成されている。当該支持壁は、クランクシャフトからの慣性力が最も大きく作用するために他の支持壁よりも剛性が高くなるよう全体の壁厚が該他の支持壁の壁厚よりも厚く形成された剛性向上支持壁を有している。変速機取付部は、シリンダ部およびクランクケース部の気筒列方向一端側に設けられている。オイルパン取付部は、シリンダ部が接続された側とは反対側の端部において気筒列方向に沿うように構成されている。また、オイルパン取付部は、第1部分と、第2部分と、を有するように構成されている。第1部分は、変速機取付部に接続されて当該変速機取付部寄りに延在するように構成されている。第2部分は、第1部分よりも変速機取付部から遠い位置に延在するように構成されている。さらに、オイルパン取付部は、第1部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントが、第2部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくなるように構成されている。そして、第1部分の変速機取付部との接続部とは反対側の端部は、剛性向上支持壁に接続されるように構成されている。
[0009]
本発明における「シリンダ部の気筒軸方向一端側に接続された」とは、シリンダ部の気筒軸方向一端側にクランクケース部が一体成形される態様の他、シリンダ部とクランクケース部とが別体で成形された後、シリンダ部の気筒軸方向一端側にボルト等の締結部材によりクランクケース部が一体的に結
【0003】
合される態様を包含する。
[0010]
本発明によれば、オイルパン取付部のうち第1部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントを、第2部分の気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくする構成であるため、オイルパン取付部のうち曲げモーメントや捩じりモーメントの影響を受け易い部位である変速機取付部寄りの第1部分の剛性を、変速機取付部から遠い位置に配置された第2部分の剛性よりも高くすることができる。
[0011]
また、気筒列方向全域に亘ってオイルパン取付部の断面2次モーメントを大きくする構成と比較して、エンジンブロック全体の重量増加を抑えることができる。しかも、第1部分における変速機取付部との接続部とは反対側の端部を、剛性向支持壁に接続する構成であるため、極めて高い剛性を合理的に実現することができる。この結果、重量効率よく曲げモーメントや捩じりモーメントによるオイルパン取付部の変形を効果的に抑制することができる。
[0012]
[0013]
[0014]
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、剛性向上支持壁は、気筒列方向において中央に配置されるように構成されている。
[0015]
本形態によれば、変速機取付部との接続部から気筒列方向における中央位置に相当する範囲におけるオイルパン取付部の剛性を向上することができるため、変速機からの曲げやねじりによるオイルパン取付部の変形をより効果的に抑制することができる。
[0016]
本発明に係るエンジンブロックの更なる形態によれば、オイルパン取付部は、第1部分における気筒列方向に垂直な断面の高さが、第2部分における
【0007】
は、クランクシャフトCSのジャーナル部を回転可能に支持する軸受部28を備えており、クランク室23をシリンダボア22a毎に仕切る仕切り壁として構成されている。ここで、説明の便宜上、クランクジャーナル支持壁27を、図5の左側から順に第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第3ジャーナル支持壁27c、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27eと規定する。
[0033]
本実施の形態では、第3ジャーナル支持壁27cにおけるクランクシャフトCSの軸方向両側には、クランクシャフトCSからのスラスト方向の力を受けるためのスラストプレートSPが取り付けられること、また、クランクシャフトCS上に配置されるカウンタウェイト(図示せず)のうち、第3ジャーナル支持壁27cを挟む位置に配置されたカウンタウェイト(図示せず)が、いずれも同方向を向いて延出する構成である関係上、第3ジャーナル支持壁27cには、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)よりも大きな慣性力が作用すること、から、第3ジャーナル支持壁27cの壁厚が、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)の壁厚よりも厚く形成されている。
[0034]
これにより、第3ジャーナル支持壁27cの剛性は、他のクランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27e)の剛性よりも高くなっている。クランクジャーナル支持壁27(第1ジャーナル支持壁27a、第2ジャーナル支持壁27b、第3ジャーナル支持壁27c、第4ジャーナル支持壁27dおよび第5ジャーナル支持壁27e)は、本発明における「支持壁」に対応し、第3ジャーナル支持壁27cは、本発明における「剛性向上支持壁」に対応する実施構成の一例である。
【0012】
ール部34aの剛性を合理的に向上し得て、第1レール部34aの変形を効果的に抑制することができる。
[0054]
しかも、オイルパンレール部34の気筒列方向に沿う全領域においてレール高さを高くしていないため、重量増加も抑制できる。この結果、重量効率良くオイルパンレール部34の変形を抑制できる。なお、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高く形成するという簡単な構成によって、第1レール部34aの断面2次モーメントを大きくする構成であるため、エンジンブロック20自体の構造が複雑化することがない。即ち、エンジンブロック20の製造性の低下を招くこともない。
[0055]
本実施の形態では、第3ジャーナル支持壁27cの剛性が他のクランクジャーナル支持壁27の剛性よりも高い構成としたが、これに限らない。例えば、第1ジャーナル支持壁27aや第2ジャーナル支持壁27b、第4ジャーナル支持壁27d、第5ジャーナル支持壁27eの剛性を他のジャーナル支持壁27の剛性よりも高い構成としても良い。この場合、第1レール部34aの接続部134b側を、最も剛性が高く構成されたクランクジャーナル支持壁27に連結する構成とすれば良い。
[0056]
[0057]
本実施の形態では、第1レール部34aのレール高さを第2レール部34bのレール高さよりも高くするのみにより、第1レール部34aの断面2次モーメントを第2レール部34bの断面2次モーメントよりも大きくする構成としたが、これに限らない。第1レール部34aの断面形状が、第2レール部34bの断面形状に比較して断面2次モーメントが大きくなる形状、例えば、第1レール部34aの断面形状を中空箱状に形成する構成としたり、
【0013】
断面形状をU字状に形成する構成としても構わない。
[0058]
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
符号の説明
[0059]
1 内燃機関(内燃機関)
2 シリンダヘッド
4 ロッカーカバー
6 アッパーオイルパン(オイルパン)
6a 本体部
6b オイルパン側フランジ面部
8 ロアオイルパン(オイルパン)
20 エンジンブロック(エンジンブロック)
22 シリンダブロック部(シリンダ部)
22a シリンダボア
23 クランク室
24 クランクケース部(クランクケース部)
26 ブロック側フランジ面部(変速機取付部)
27 クランクジャーナル支持壁
27a 第1ジャーナル支持壁(支持壁)
27b 第2ジャーナル支持壁(支持壁)
27c 第3ジャーナル支持壁(支持壁、剛性向上支持壁)
27d 第4ジャーナル支持壁(支持壁)
27e 第5ジャーナル支持壁(支持壁)
28 軸受部
32 スカート部(スカート部)
32a 縦リブ
34 オイルパンレール部(オイルパン取付部)
34a 第1レール部(第1部分)

Claims (6)

  1. 複数の気筒が直列に配置されたシリンダ部と、
    クランク室を構成するよう前記シリンダ部の気筒軸方向一端側に接続されたクランクケース部と、
    前記シリンダ部および前記クランクケース部の気筒列方向一端側に設けられた変速機取付部と、
    前記シリンダ部が接続された側とは反対側の端部において前記気筒列方向に沿うように構成されたオイルパン取付部と、
    を備え、
    前記クランクケース部は、剛性を向上可能な剛性向上部を有するよう構成されており、
    前記オイルパン取付部は、前記変速機取付部に接続されて該変速機取付部寄りに延在するよう構成された第1部分と、該第1部分よりも前記変速機取付部から遠い位置に延在するよう構成された第2部分と、を有するよう構成されていると共に、前記第1部分の前記気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントが、前記第2部分の前記気筒列方向に垂直な断面に関する断面2次モーメントよりも大きくなるよう構成されており、
    前記第1部分は、前記変速機取付部との接続部とは反対側の端部において前記剛性向上部に接続されるよう構成されている
    エンジンブロック。
  2. 前記クランクケース部は、クランクシャフトを回転可能に支持する支持壁を有しており、
    前記支持壁は、前記剛性向上部として機能するよう構成されている請求項1に記載のエンジンブロック。
  3. 前記第1部分は、前記支持壁のうち前記気筒列方向において中央に配置された中央支持壁に接続されるよう構成されている請求項2に記載のエンジンブロック。
  4. 前記オイルパン取付部は、前記第1部分における前記気筒列方向に垂直な断面の高さが、前記第2部分における前記気筒列方向に垂直な断面の高さよりも大きくなるよう構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエンジンブロック。
  5. 前記クランクケース部は、前記気筒列方向から見て、前記シリンダ部から末広がり状に前記気筒列方向および前記気筒軸方向に直交する方向に張り出すよう構成されたスカート部を有しており、
    前記スカート部は、前記気筒列方向に垂直な断面形状が直線状となるよう構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のエンジンブロック。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のエンジンブロックと、
    該エンジンブロックのオイルパン取付部に取り付けられたオイルパンと、
    を備え、
    該オイルパンに貯留されたオイルを用いて、潤滑必要部位の潤滑を行うよう構成された内燃機関。
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