JPWO2016047418A1 - ディップ成形体の製造方法、およびディップ成形体 - Google Patents

ディップ成形体の製造方法、およびディップ成形体

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Abstract

合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物に対して、トルエンでのSwell Indexが25以下になるまで30℃以上の温度で前加硫を実施する前加硫工程と、前記前加硫工程において前加硫を実施した前記ディップ成形用組成物に、表面温度が60℃以上の型を浸漬して前記型の表面に膜を形成させる膜形成工程と、前記膜を100℃〜140℃の加硫温度で加硫する本加硫工程とを含む。

Description

本発明は、ディップ成形体の製造方法、およびディップ成形体に関する。さらに詳しくは、ビーディング部分にクラックの発生がなく、高い引裂強度を有するディップ成形体の製造方法、およびこの製造方法で製造されたディップ成形体に関する。
従来、天然ゴムのラテックスを含有するディップ成形用組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体にアレルギー症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜又は臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムのラテックスの代わりに合成ポリイソプレン重合体のラテックスを用いる検討がされてきている。
しかしながら、合成ポリイソプレンラテックスにより得られるディップ成形体を手袋として用いると、天然ゴムのラテックスにより得られるディップ成形体を手袋として用いる場合と比べて引裂強度が劣るため、手袋を着脱する際や医療行為中に破れたりする虞があった。このため、高い引裂強度を有する合成ポリイソプレンラテックスを用いた手袋の開発が求められていた。
手袋の強度を向上させる方法として、例えば、特許文献1には、特定の加硫促進剤を使用する方法、特許文献2には、スチレン−マレイン酸モノエステル重合体の塩を使用する方法、等が開示されている。しかし、これらの方法では引張強さは向上するものの引裂強度が十分に向上しないため、前加硫と呼ばれる熟成工程を長くする方法や本加硫を強くする等の加硫密度を高める方法が検討されていた。
ところが、加硫密度を高めすぎると手袋のビーディング部分にクラックが生じやすいという問題があった。また、ビーディング部にクラックが発生すると手袋の外観不良問題に加えて、そのクラック部分から裂けやすくなるため、結局、引裂強度が低下する原因になっていた。このため、高い引裂強度を有し、ビーディング部にクラックが発生しないディップ成形体の開発が待たれていた。
特開2009−209229号公報 特開2011−219543号公報
本発明は、ビーディング部分にクラックの発生がない高い引裂強度を有するディップ成形体の製造方法およびディップ成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤からなるディップ成形用組成物に対して、下記(i)〜(iii)の工程をこの順序で実施することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(i)トルエンでのSwell Indexが所定値以下になるまで前加硫を実施する
(ii)表面温度が所定温度以上の型を用いて型表面に膜を形成させる
(iii)100℃〜140℃で加硫する
即ち、本発明によれば、
(1) 合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物に対して、トルエンでのSwell Indexが25以下になるまで30℃以上の温度で前加硫を実施する前加硫工程と、前記前加硫工程において前加硫を実施した前記ディップ成形用組成物に、表面温度が60℃以上の型を浸漬して前記型の表面に膜を形成させる膜形成工程と、前記膜を100℃〜140℃の加硫温度で加硫する本加硫工程とを含むディップ成形体の製造方法、
(2) 前記前加硫工程において、トルエンでのSwell Indexが17以下となるまで前加硫を行う(1)に記載のディップ成形体の製造方法、
(3) 前記膜形成工程における前記型の表面温度が65℃以上である(1)または(2)に記載のディップ成形体の製造方法、
(4) 前記本加硫工程における加硫温度が110℃〜130℃である(1)〜(3)の何れかに記載のディップ成形体の製造方法、
(5) (1)〜(4)の何れかに記載のディップ成形体の製造方法により得られたディップ成形体
が提供される。
本発明によれば、ビーディング部分にクラックの発生がない高い引裂強度を有するディップ成形体の製造方法およびディップ成形体が提供される。
以下、本発明のディップ成形体の製造方法について説明する。本発明のディップ成形体の製造方法は、合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物に対して、トルエンでのSwell Indexが25以下になるまで30℃以上の温度で前加硫を実施する前加硫工程と、前記前加硫工程において前加硫を実施した前記ディップ成形用組成物に、表面温度が60℃以上の型を浸漬して前記型の表面に膜を形成させる膜形成工程と、前記膜を100℃〜140℃の加硫温度で加硫する本加硫工程とを含む。
(ディップ成形用組成物)
本発明に用いるディップ成形用組成物は、合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤を含有してなる。
(合成ポリイソプレンラテックス)
ディップ成形用組成物に用いる合成ポリイソプレンラテックスは、イソプレンを重合して得られる合成ポリイソプレンのラテックスである。
合成ポリイソプレンは、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合したものであってもよい。合成ポリイソプレンのイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強さに優れるディップ成形体が得られやすいことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレンなどのビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;が挙げられる。なお、これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
合成ポリイソプレン中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2−ビニル結合単位、3,4−ビニル結合単位の4種類が存在する。
そして、ディップ成形体の引張強さ向上の観点から、合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上である。
合成ポリイソプレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、10,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜5,000,000、特に好ましくは800,000〜3,000,000である。合成ポリイソプレンの重量平均分子量が小さすぎると、ディップ成形体の引張強さが低下する傾向があり、逆に大きすぎると、合成ポリイソプレンのラテックスが製造し難くなる傾向がある。
また、合成ポリイソプレンのポリマームーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は、50〜80、好ましくは60〜80、特に好ましくは70〜80である。
また、合成ポリイソプレンラテックス中のラテックス粒子(合成ポリイソプレン粒子)の体積平均粒子径は、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜3μm、特に好ましくは0.5〜2μmである。この体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難くなる場合があり、逆に大きすぎると、合成ポリイソプレンラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成する場合がある。
合成ポリイソプレンラテックスの電導度は、1.0mS/cm〜2.0mS/cmであることが好ましい。電導度が1.0mS/cm未満の場合は乳化時や濃縮時に凝集物が多量に発生する場合がある。また、電導度が2.0mS/cmを超える場合には、脱溶剤時に発泡が激しくなったり、ディップ成形用組成物を移送する際や配合時に泡立ちが激しく、手袋にピンホールなどの欠陥を残す場合がある。
なお、電導度は、METTLER TOLEDO社製導電率計(商品名:SG78−FK2)を使用し、測定温度25℃で測定した値である。
合成ポリイソプレンラテックスの脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量は500重量ppm以下であることが好ましい。また、脂環族炭化水素溶媒としてはシクロヘキサンが好ましく、芳香族炭化水素溶媒としてはトルエンが好ましい。脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量、特にシクロヘキサンおよびトルエンの合計含有量が多すぎると、ディップ成形用組成物の臭気がきつくなる傾向がある。
ここで、上記脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒は、合成ポリイソプレンラテックスを製造する際に、後述する、合成ポリイソプレンを溶解または微分散するための有機溶媒である。
なお、脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量の測定は、ガスクロマトグラフィー法など、一般的に使用可能な測定方法で測定することができる。
合成ポリイソプレンラテックスの製造方法としては、例えば、(1)有機溶媒に溶解または微分散した合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、(2)イソプレン単独または、イソプレンと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との混合物を、乳化重合もしくは懸濁重合して、直接、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、が挙げられるが、イソプレン単位中のシス結合単位の割合が高い合成ポリイソプレンを用いることができ、引張強さに優れるディップ成形体が得られる点から、上記(1)の製造方法が好ましい。
合成ポリイソプレンは、従来公知の方法、例えばトリアルキルアルミニウム−四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、不活性重合溶媒中で、イソプレンを溶液重合して得ることができる。そして、得られた合成ポリイソプレンの重合体溶液を、そのまま用いても良いが、該重合体溶液から固形の合成ポリイソプレンを取り出した後、その固形の合成ポリイソプレンを有機溶媒に溶解して用いることもできる。
この際、ポリイソプレンを合成した後に、重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。
また、市販の固形の合成ポリイソプレンを用いてもよい。
上記(1)の製造方法で用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、芳香族炭化水素溶媒および脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。
なお、有機溶媒の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは20〜1,500重量部である。
上記(1)の製造方法で用いる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性界面活性剤;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸、ロジン酸の如き脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性の界面活性剤;等が挙げられるが、アニオン性界面活性剤が好適であり、ロジン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。なお、これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部である。この量が少なすぎると、ラテックスの安定性が劣る傾向にあり、逆に多すぎると、発泡しやすくなり、ディップ成形時に問題が起きる可能性がある。
上記(1)の製造方法で使用する水の量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜3,000重量部である。
使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられる。また、メタノールなどのアルコールに代表される極性溶媒を水と併用してもよい。
合成ポリイソプレンの有機溶媒溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下、水中で乳化する装置は、一般に乳化機又は分散機として市販されているものであれば特に限定されず使用できる。そして、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、予め水および/または合成ポリイソプレンの有機溶媒溶液または微細懸濁液に添加しても、乳化操作を行っている最中に、乳化液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
乳化装置としては、例えば、商品名:ホモジナイザー(IKA社製)、商品名:ポリトロン(キネマティカ社製)、商品名:TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機;商品名:TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、商品名:コロイドミル(神鋼パンテック社製)、商品名:スラッシャー(日本コークス工業社製)、商品名:トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、商品名:キャビトロン(ユーロテック社製)、商品名:マイルダー(太平洋機工社製)、商品名:ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機;商品名:マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、商品名:ナノマイザー(ナノマイザー社製)、商品名:APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機;膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機;商品名:バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機;商品名:超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。なお、乳化装置による乳化操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すれば良い。
上記(1)の方法においては、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを得ることが好ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法は、特に限定されず、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
また、有機溶媒を除去した後、必要に応じ、合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度を上げるために、減圧蒸留、常圧蒸留、遠心分離、膜濃縮等の方法で濃縮操作を施してもよい。
合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度は、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%である。固形分濃度が低すぎると、合成ポリイソプレンラテックスを貯蔵した際に、合成ポリイソプレン粒子が分離する懸念があり、逆に高すぎると、合成ポリイソプレン粒子同士が凝集して粗大凝集物が発生する場合がある。
また、合成ポリイソプレンラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、架橋剤、キレート化剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合しても良い。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
(加硫剤)
加硫剤としては、例えば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N'−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物等を用いることができる。なかでも、硫黄が好ましく使用できる。これらの加硫剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫剤の使用量は、特に限定されないが、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜3重量部である。この量が少なすぎても、多すぎても、ディップ成形体の引張強さが低下する傾向がある。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。これらの加硫促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
加硫促進剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは0.1〜2重量部である。この量が少ないとディップ成形体の引張強さが低下する場合がある。また、この量が過大であると、ディップ成形体の伸び、および引張強さが低下する場合がある。
(その他の成分)
(酸化亜鉛)
本発明に用いるディップ成形用組成物は、さらに酸化亜鉛を含有することが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。この量が少なすぎるとディップ成形体の引張強さが低下する傾向があり、逆に多すぎると、ディップ成形用組成物中の合成ポリイソプレン粒子の安定性が低下して粗大な凝集物が発生する場合がある。
(分散剤)
本発明に用いるディップ成形用組成物は、分散剤を必要に応じて含有してもよく、分散剤としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸およびロジン酸などの脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤等が挙げられるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。なお、これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部であり、更に好ましくは0.05〜3重量部である。この量が少ないとディップ成形用組成物の配合安定性が低下したり、前加硫時に凝集物が多くなる場合がある。また、この量が過大であると、ディップ成形用組成物が泡立ちやすくなり、ピンホールが発生しやすくなる場合がある。
(配合剤)
本発明のディップ成形用組成物には、さらに、老化防止剤;カーボンブラック、シリカ、タルク等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;紫外線吸収剤;可塑剤;等の配合剤を必要に応じて配合することができる。
老化防止剤としては、2,6−ジ−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、などの硫黄原子を含有しないフェノール系老化防止剤;2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのチオビスフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'―(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの老化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。この量が少なすぎると、合成ポリイソプレンが劣化する場合がある。また、この量が多すぎると、ディップ成形体の引張強さが低下する場合がある。
ディップ成形用組成物の調製方法は、特に限定されない。当該調整方法としては、ボールミル、ニーダー、ディスパー等の分散機を用いて、合成ポリイソプレンのラテックスに、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、上記の分散剤およびジアルキルジチオカルバミン酸類の一価の塩、並びに必要に応じて配合される老化防止剤などのその他の配合剤を混合する方法や、予め上記の分散機を用いて、合成ポリイソプレンのラテックス以外の所望の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を合成ポリイソプレンのラテックスに混合する方法などが挙げられる。また、合成ポリイソプレンのラテックスに前記の分散剤およびジアルキルジチオカルバミン酸の一価の塩を予め混合した後、加硫剤、加硫促進剤、および老化防止剤などのその他の配合剤、を添加することもできる。
ディップ成形用組成物のpHは、7以上であることが好ましく、pH8〜12の範囲であることがより好ましい。
また、ディップ成形用組成物の固形分濃度は、15〜65重量%の範囲にあることが好ましい。
(前加硫工程)
本発明のディップ成形体の製造方法は、ディップ成形用組成物をディップ成形に供する前に、熟成(前加硫ともいう。)させる前加硫工程を含む。本発明の前加硫工程では、合成ポリイソプレン重合体、加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物に対して、トルエンでのSwell Indexが25以下、好ましくは17以下になるまで30℃以上の温度で前加硫を実施する。前加硫を実施した後のSwell Indexが大きすぎると、得られるディップ成形体の引裂強度が低下する。
前加硫する時間は、特に限定されず、前加硫温度にも依存するが、好ましくは1〜14日間であり、更に好ましくは1〜7日間である。この時間が短すぎても長すぎても得られるディップ成形体の引張強さが低下する傾向にある。
そして、前加硫した後、ディップ成形に供されるまで、好ましくは10℃〜30℃の温度で貯蔵することが好ましい。高温のまま貯蔵すると、得られるディップ成形体の引張強さが低下する傾向にある。
(膜形成工程)
本発明のディップ成形体の製造方法は、前加硫工程において前加硫を実施したディップ成形用組成物をディップ成形する膜形成工程を含む。膜形成工程では、表面温度が60℃以上、好ましくは65℃以上の型を浸漬して前記型の表面に膜を形成させる。
ここで、ディップ成形は、ディップ成形用組成物に型を浸漬し、型の表面に当該組成物を沈着させ、次に型を当該組成物から引き上げ、その後、型の表面に沈着した当該組成物を乾燥させる方法である。
本発明においては、ディップ成形用組成物に浸漬される前の型の表面温度を60℃以上、好ましくは65℃以上に予熱する。表面温度が低すぎると、得られたディップ成形体を手袋としたときにビーディング部にクラックが発生する虞がある。
また、型をディップ成形用組成物に浸漬する前、または、型をディップ成形用組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用することができる。
凝固剤の使用方法の具体例としては、ディップ成形用組成物に浸漬する前の型を凝固剤の溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させる方法(アノード凝着浸漬法)、ディップ成形用組成物を沈着させた型を凝固剤溶液に浸漬する方法(ティーグ凝着浸漬法)などがあるが、厚みムラの少ないディップ成形体が得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
凝固剤の具体例としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などの水溶性多価金属塩である。なかでも、カルシウム塩が好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。
これらの水溶性多価金属塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
凝固剤は、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメチルアルコール、エチルアルコールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有していても良い。凝固剤の濃度は、水溶性多価金属塩の種類によっても異なるが、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
型をディップ成形用組成物から引き上げた後、通常、加熱して型上に形成された沈着物(膜)を乾燥させる。乾燥条件は適宜選択すれば良い。
(本加硫工程)
本発明のディップ成形体の製造方法は、型上に形成された沈着物(膜)を加熱することにより加硫する本加硫工程を含む。本加硫工程では、膜を100℃〜140℃、好ましくは110℃〜130℃の加硫温度で加硫する。加硫温度が高すぎると、得られるディップ成形体の引裂強度が低下する。
また、本加硫工程における加熱時間は、好ましくは10〜120分の加熱時間である。加熱の方法は、特に限定されないが、乾燥機中で加熱する方法、オーブンの中で温風で加熱する方法、赤外線を照射して加熱する方法などがある。
また、ディップ成形用組成物を沈着させた型を加熱する前あるいは加熱した後に、水溶性不純物(例えば、余剰の界面活性剤や凝固剤)を除去するために、型を水または温水で洗浄することが好ましい。
本加硫工程後のディップ成形体は、型から脱着される。脱着方法の具体例は、手で型から剥がす方法、水圧又は圧縮空気圧力により剥がす方法、などがある。本加硫工程の途中のディップ成形体が脱着に対する十分な強度を有していれば、本加硫工程の途中で脱着し、引き続き、その後の本加硫工程を継続してもよい。
ディップ成形体が手袋である場合、ディップ成形体同士の接触面における密着を防止し、着脱の際の滑りをよくするために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機微粒子または澱粉粒子などの有機微粒子を手袋表面に散布したり、微粒子を含有するエラストマー層を手袋表面に形成したり、手袋の表面層を塩素化したりしてもよい。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「%」および「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の物性は以下のように測定した。
(Swell Index)
実施例および比較例において、前加硫工程(熟成)を実施したディップ成形用組成物を約ドライ1gになるようにスポイトでアルミ皿に流延し、室温の真空乾燥機内で3時間減圧乾燥させた。得られた乾燥物を裁断しサンプルとした。
80メッシュ金網内にこのサンプルを精秤して(この重量をAとする)入れ、トルエン100mLを注入して24時間静置した。24時間後に80メッシュ金網を取出し、余分なトルエンを除去した後、直ちに膨潤したサンプルを金網ごと精秤した(この重量をBとする)。
そして、ドラフト内でトルエンを揮散させた後、内温が105℃の乾燥機内で2時間乾燥させ、金網ごと重量を測定した(この重量をCとする)。Swell Indexは、下記の式により求めた。
Swell Index=(B−A)/(C−A)
(ビーディング部のクラック発生状況)
実施例および比較例の各工程において、ビーディング部におけるクラック発生状況を目視にて判断した。
(ディップ成形体の引張強さおよび破断直前の伸び)
ディップ成形体の引張強さは、ASTM D412に基づいて測定した。具体的には、ディップ成形体のフィルムをダンベル(SDMK-100C:ダンベル社製)で打ち抜き、引張強さ測定用試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG−1210」、A&D(株)製)で引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強さ(単位:MPa)、破断直前の伸び(単位:%)を測定した。
(ディップ成形体の引裂強度)
ディップ成形体の引裂強度は、ASTM D624-00に基づいて測定した。具体的には、膜厚が約0.2mmのフィルム状のディップ成形体を、23℃相対湿度50%の恒温恒湿室で24時間以上調湿した後、ダンベル(SDMK-1000C:ダンベル社製)で打ち抜き試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTC−1225A」、(株)オリエンテック製)で引張速度500mm/minで引っ張り、引裂強度(単位:N/mm)を測定した。
(実施例1)
(ディップ成形用組成物)
合成ポリイソプレンラテックス(商品名「NIPOL ME1150」、日本ゼオン(株)製、イソプレンの単独重合体、固形分濃度61%、平均粒子径1.2μm、重量平均分子量が1,300,000、シス結合単位量98%)を攪拌しながら、合成ポリイソプレン重合体100部に対して、固形分換算で1部になるように濃度10重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ソーダを添加した。そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中の合成ポリイソプレン重合体100部に対して、それぞれ固形分換算で、酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名:Wingstay L、グッドイヤー社製)2部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛0.7部となるように、各配合剤の水分散液を添加した後、水酸化カリウム水溶液を添加して、pHを10.5に調整したディップ成形用組成物を得た。
なお、合成ポリイソプレンラテックスの重量平均分子量は、合成ポリイソプレンラテックスを固形分濃度で0.1重量%となるようにテトラヒドロフランに溶解し、この溶液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析することにより、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として算出した値である。また、シス結合単位量は、合成ポリイソプレンラテックスにメタノールを添加し、凝固することにより得られた凝固物を乾燥した後1H−NMR分析して求められる、合成ポリイソプレン中の全イソプレン単位に対するシス結合単位の割合である。
(前加硫工程)
得られたディップ成形用組成物を、30℃に調整された恒温水槽でSwell Indexが13になるまで前加硫(熟成)を行った。
(膜形成工程)
市販のセラミック製手型(株式会社 シンコー社製)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:エマルゲン109P、花王(株)製)からなる凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、取り出した。次いで、凝固剤で被覆された手型を70℃のオーブン内で30分以上乾燥した。
その後、凝固剤で被覆された手型をオーブンから取り出し、ディップ直前の手型の表面温度を65℃としてディップ成形用組成物に10秒間浸漬した。その後、室温で10分間風乾してからビーディングを実施し更に10分間静置した。10分後、ビーディング部のクラック発生状況を目視で判断したが、クラックは見られなかった。
この手型を50℃の温水中に2分間浸漬した後、同様にビーディング部に亀裂の有無を目視で判断したが、クラックは見られなかった。
(本加硫工程)
その後、フィルム状の合成ポリイソプレン重合体で被覆された手型をオーブン内に置き、120℃で30分間本加硫を行った。本加硫工程後もビーディング部にクラックは見られなかった。
本加硫されたフィルムで被覆された手型を室温まで冷却し、タルクを散布した後、当該フィルムを手型から剥離した。得られたディップ成形体の引張強さ、破断直前の伸びおよび引裂強度の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
前加硫工程においてSwell Indexが22になるまで熟成した以外は、実施例1と同様にディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後、温水浸漬後、加硫後のいずれの段階でもビーディング部にクラックは見られなかった。
(実施例3)
本加硫工程における本加硫の温度を140℃にした以外は、実施例1と同様にして、ディップ成形体を製造し同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後、温水浸漬後、加硫後のいずれの段階でもビーディング部にクラックは見られなかった。
(比較例1)
前加硫工程においてSwell Indexが27になった時点で熟成を中止した以外は、実施例1と同様にディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後、温水浸漬後、加硫後のいずれの段階でもビーディング部にクラックは見られなかった。
(比較例2)
膜形成工程において手型の表面温度を50℃としてディップ成形用組成物に浸漬した以外は、実施例1と同様にディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後にビーディング部に多数のクラックが見られた。また、温水浸漬中、加硫後にビーディング部におけるクラックが更に増え、外観の悪いディップ成形体になった。
(比較例3)
膜形成工程において手型の表面温度を55℃としてディップ成形用組成物に浸漬した以外は、実施例1と同様にディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後にビーディング部に2箇所クラックが見られた。また、温水浸漬中、加硫後にビーディング部におけるクラックは増えなかったが、外観の悪いディップ成形体になった。
(比較例4)
本加硫工程における本加硫の温度を160℃にした以外は、実施例1と同様にディップ成形体を製造し、同様に評価を行った。その結果を表1に示す。なお、ビーディング後、温水浸漬後、加硫後のいずれの段階でもビーディング部にクラックは見られなかった。
Figure 2016047418
実施例1〜3の製造方法では、いずれもビーディング部にクラックは観察されず、ディップ成形体の引裂強度が高いものであった。
一方、Swell Indexが27になった時点で熟成を中止した比較例1においては、ビーディング部にクラックは観察されないものの、ディップ成形体の引裂強度が低いものであった。
また、手型の表面温度が低い比較例2および比較例3では、ビーディング部にクラックの程度に差が見られた。手型の表面温度が低くなる程、亀裂が増える傾向が見えた。
更に、加硫温度を高くした比較例4では、ビーディング部にクラックは観察されないものの、ディップ成形体の引張強さおよび引裂強度が低いものであった。
本発明のディップ成形体の製造方法で得られたディップ成形体は、ビーディング部にクラックがなく、高い引裂強度を有する。このため、手術用、診察用、家庭用、農業用、漁業用および工業用の手袋;指サックなどに好適である。

Claims (5)

  1. 合成ポリイソプレンラテックス、加硫剤および加硫促進剤を含有してなるディップ成形用組成物に対して、トルエンでのSwell Indexが25以下になるまで30℃以上の温度で前加硫を実施する前加硫工程と、
    前記前加硫工程において前加硫を実施した前記ディップ成形用組成物に、表面温度が60℃以上の型を浸漬して前記型の表面に膜を形成させる膜形成工程と、
    前記膜を100℃〜140℃の加硫温度で加硫する本加硫工程と
    を含むディップ成形体の製造方法。
  2. 前記前加硫工程において、トルエンでのSwell Indexが17以下となるまで前加硫を行う請求項1に記載のディップ成形体の製造方法。
  3. 前記膜形成工程における前記型の表面温度が65℃以上である請求項1または2に記載のディップ成形体の製造方法。
  4. 前記本加硫工程における加硫温度が110℃〜130℃である請求項1〜3の何れかに記載のディップ成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のディップ成形体の製造方法により得られたディップ成形体。
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