JPWO2016042778A1 - 新規な練り込み用起泡性水中油型乳化物 - Google Patents

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Abstract

プロピレングリコール脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下で、ポリグリセリン脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下であり、食用油脂0.9〜31重量%、水22〜39重量%、飽和脂肪酸モノグリセリド2.5〜12重量%、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体2〜7重量%、HLBが9〜16であるショ糖飽和脂肪酸エステル3.0〜5.0重量%、糖質24〜46重量%(固形分換算)、及び、増粘多糖類0.04〜0.5重量%を含有し、前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量と前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量との重量比が0.7〜3.0であり、前記グリセリド誘導体の含有量と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量の重量比が0.5〜1.6であり、前記飽和脂肪酸モノグリセリド全体中のベヘン酸モノグリセリド含量は7〜100重量%である。

Description

本発明は、スポンジケーキ等のケーキ類の生地の調製に用いられる新規な練り込み用起泡性水中油型乳化物、その製造方法、及びこれを用いたケーキ類の製造方法に関する。
スポンジケーキやバウムクーヘン等のケーキ類は、一般的には、比容積が大きく、歯切れと口こなれのよい食感が好まれるため、小麦粉、卵、糖類を混ぜて多量の空気を含ませた生地を焼成して造られる。工業的には、効率的に連続大量生産できるオールインミックス法が採用されており、当該方法では、ケーキ原料中の起泡成分の変動や起泡性及び生地安定性をコントロールできるように、起泡性水中油型乳化物がケーキ原料に添加されている。
特にここ数年は、バウムクーヘンやコンビニで販売される生菓子のブームにより、比容積が大きくて外観が美しく、従来よりも更に歯切れと口こなれの良好なケーキ類が好まれる。このような課題を解決できることに加え、ホイップ時間が長くかかる縦型ミキサーを用いた場合にも生地に対する負担の大きい連続ミキサーを用いた場合にも、生地起泡後から焼成時に気泡が十分に膨張し生地が固まるまでの間、生地に気泡が十分に抱き込まれ抜けにくい状態を維持できる、つまり生地安定性を高く維持でき、しかも異味がない起泡性水中油型乳化物が求められるようになっている。
起泡性水中油型乳化物としては、飽和脂肪酸モノグリセリドのαゲルまたはα結晶の起泡性を利用したものがあるが、αゲルやα結晶は非常に不安定で転移しやすく、β結晶に転移すると起泡力が著しく低下する。そこで、α結晶保持効果をもつ他の乳化剤を併用する方法が一般的である。前記他の乳化剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル(PGエステル)が最も良く知られているが、PGエステルには独特の異味があり素材の風味を著しく損なうため、添加量の削減が求められている。
PGエステルを使用しない態様としては、例えばPGエステルを使用しなくても良好な起泡性と生地の安定性を維持しながら、起泡性水中油型乳化物の使用量を増やさなくても、キメの細かいしっとりとしたケーキ類を得るために、クエン酸が結合したモノグリセリド誘導体、乳酸が結合したモノグリセリド誘導体、酢酸が結合したモノグリセリド誘導体およびソルビタン脂肪酸エステルのうちから選ばれた1種または2種以上のα型結晶性の乳化剤、炭素数16〜18の飽和脂肪酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、および食用油脂を含有し、且つPGエステルを含有しない起泡性水中油型乳化物(特許文献1)が開示されている。しかし、前記乳化物の配合ではα結晶を保持する効果が十分でなく、また、炭素数16〜18の飽和脂肪酸のモノグリセリドのみでは焼成時に気泡を十分に維持できず、生地表面に色むらや凹凸が生じ、また、ケーキの焼き上がり後の生地目が細かくなるため、歯切れ、口こなれ等の食感が劣ってしまい、よりソフトな歯切れと口こなれの良さを好む昨今の消費者の嗜好を十分には満足していないという問題がある。
PGエステル以外にα結晶保持に有効な乳化剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられるが、独特の異味を有するため、その添加量の削減が求められている。
特開平5-76270号公報
本発明の目的は、生地安定性が高く、乳化剤の嫌味が少なく素材の風味が豊かで、比容積が大きく、外観が良く、歯切れと口こなれの良い食感のケーキ類を得るための、練り込み用起泡性水中油型乳化物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、PGエステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルを殆ど含まなくとも、食用油脂、水、飽和脂肪酸モノグリセリド、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、特定のショ糖飽和脂肪酸エステル、糖質及び増粘多糖類をそれぞれ特定量含有し、且つ前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルとの合計含有量と前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量とが特定の重量比であり、前記グリセリド誘導体の含有量と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量とが特定の重量比であり、前記飽和脂肪酸モノグリセリド全体中にベヘン酸モノグリセリドを特定の割合で含有して成る練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いると、生地安定性が高く、乳化剤の嫌味が少なく素材の風味が豊かで、比容積が大きく、外観が良く、歯切れと口こなれの良い食感のケーキ類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、練り込み用起泡性水中油型乳化物であって、前記水中油型乳化物全体に対して、プロピレングリコール脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下で、ポリグリセリン脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下であり、前記水中油型乳化物が、食用油脂0.9〜31重量%、水22〜39重量%、飽和脂肪酸モノグリセリド2.5〜12重量%、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体2〜7重量%、HLBが9〜16であるショ糖飽和脂肪酸エステル3.0〜5.0重量%、糖質24〜46重量%(固形分換算)、及び、増粘多糖類0.04〜0.5重量%を含有し、前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量と前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量との重量比(X)が0.7〜3.0であり、前記グリセリド誘導体の含有量と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量の重量比(Y)が0.5〜1.6であり、前記飽和脂肪酸モノグリセリド全体中のベヘン酸モノグリセリド含量は7〜100重量%である、練り込み用起泡性水中油型乳化物に関する。
好ましくは、練り込み用起泡性水中油型乳化物は、さらに、リン脂質0.06〜0.8重量%を含有する。
好ましくは、練り込み用起泡性水中油型乳化物は、さらに、ソルビタン飽和脂肪酸エステル0.05〜1.5重量%を含有する。
本発明の第二は、前記練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する方法であって、水、前記ショ糖飽和脂肪酸エステル、前記糖質、及び前記増粘多糖類を混合して、これらを含有する水相部を調製する工程、前記食用油脂、前記飽和脂肪酸モノグリセリド、及び前記グリセリド誘導体を混合して、これらを含有する油相部を調製する工程、前記水相部と前記油相部を混合し、撹拌により乳化を行い、48〜58℃で撹拌を停止して、乳化物を得る工程、並びに、前記乳化物を、1℃/分以下の冷却速度で0〜50℃に冷却して、前記練り込み用起泡性水中油型乳化物を得る工程、を含む、方法に関する。
本発明の第三は、前記練り込み用起泡性水中油型乳化物を、穀物粉100重量部に対して2〜15重量部混合し、得られた混合物をホイップさせて、生地を得た後、当該生地を焼成することでケーキ類を得る、ケーキ類の製造方法に関する。
本発明に従えば、生地安定性が高く、乳化剤の嫌味が少なく素材の風味が豊かで、比容積が大きく、外観が良く、歯切れと口こなれの良い食感のケーキ類を得るための、起泡性水中油型乳化物を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、プロピレングリコール脂肪酸エステル(以下、PGエステルともいう)及びポリグリセリン脂肪酸エステルを殆ど含まず、食用油脂、水、飽和脂肪酸モノグリセリド、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体、特定のショ糖飽和脂肪酸エステル、糖質及び増粘多糖類をそれぞれ特定量含有し、且つ前記グリセリド誘導体、前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの合計と前記飽和脂肪酸モノグリセリドとを特定の量比で含有し、前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルを特定の量比で含有し、前記飽和脂肪酸モノグリセリド中にベヘン酸モノグリセリドを特定量含有する。
本発明において練り込み用起泡性水中油型乳化物とは、ケーキ類の生地の起泡を容易にすると共に、焼成時に気泡が十分に膨張し生地が固まるまで、起泡後の生地中の気泡を安定的に維持し生地安定性を高めるために用いられる、ケーキ類の生地への練り込み用の改質剤のことである。
前記ケーキ類としては、穀粉を原料とするケーキであれば何でも良く、スポンジケーキ、ロールケーキ、スイスロール、シフォンケーキ、スナックケーキ、ブッセ、バウムクーヘン、パウンドケーキ、バターケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキ、パンケーキ、蒸しケーキ、カステラ、どら焼き等が挙げられる。
前記穀粉は、特に制限はなく、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、とうもろこし、米、芋、大豆、蕎麦等の穀物類を製粉したもの、又は前記穀物類から抽出されたでん粉類等が挙げられるが、中でも小麦粉が好適に用いられる。
前記PGエステルは、プロピレングリコールと脂肪酸がエステル結合した乳化剤のことである。該脂肪酸の種類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などが挙げられる。該PGエステルの含有量はできるだけ少ない方が良く、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.45重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、全く含有しないことが更に好ましい。0.45重量%より多いと、ケーキ類に苦味や嫌味が付与され、素材の風味が著しく損なわれる場合がある。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンが複数分子重合した重合物であるポリグリセリンと脂肪酸がエステル結合した乳化剤をいう。該脂肪酸の種類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などが挙げられる。該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量はできるだけ少ない方が良く、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.45重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、全く含有しないことが更に好ましい。0.45重量%より多いと、ケーキ類に苦味や嫌味が付与され、素材の風味が損なわれる場合がある。
前記食用油脂は、本発明の効果を損なわない油脂であれば特に限定はないが、常温で結晶化する油脂は起泡力を著しく低下させるので、該食用油脂の曇点は0℃以下であることが好ましい。具体例としては、ナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマワリ油などの液油が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用できる。該食用油脂の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.9〜31重量%が好ましく、7〜25重量%がより好ましく、10〜24重量%が更に好ましい。0.9重量%未満であると歯切れや口こなれが悪くなったり、生地を所定の比重までホイップできなかったり、生地安定性が悪くなる場合があり、31重量%より多いと効果が頭打ちになったり、生地安定性が悪くなる場合がある。
前記水は、水相部を調製する際に添加する水と、各原料に含まれる水の双方を含む。水の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中22〜39重量%が好ましく、27〜36重量%がより好ましく、28〜33重量%が更に好ましい。22重量%未満及び39重量%より多くなると生地への分散性が悪くなったり、生地安定性が十分に発揮されなかったり、生地目が細かくなりすぎたり、歯切れや口こなれが悪くなる場合がある。
前記飽和脂肪酸モノグリセリドは、グリセリンの持つ3つの水酸基の内の1つに飽和脂肪酸がエステル結合したモノグリセリドをいい、残り2つの水酸基はそのままである。前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中2.5〜12重量%が好ましく、4〜11重量%がより好ましく、5.5〜8.5重量%が更に好ましい。2.5重量%未満であると、生地を所定の比重までホイップできない場合や生地目が細かくなりすぎる場合があり、12重量%より多いと効果が頭打ちになったり、生地への分散性が悪化したり、生地目が細かくなりすぎたり、飽和脂肪酸モノグリセリドの異味が感じられる場合がある。
前記飽和脂肪酸モノグリセリドの構成脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などの飽和脂肪酸が挙げられる。このうち、高温での生地安定性及び原料の安定的な供給の観点からベヘン酸(炭素数22の飽和脂肪酸)が好ましい。本発明では、飽和脂肪酸モノグリセリドは、ベヘン酸モノグリセリドを必ず含むことが好ましい。ベヘン酸モノグリセリドの含有量は、飽和脂肪酸モノグリセリド全体中7〜100重量%が好ましく、8〜100重量%がより好ましく、20〜100重量%が更に好ましい。7重量%未満であると、生地焼成時の生地安定性が不十分となり、焼成後の生地表面に色むらや凹凸が生じたり、生地目が細かくなりすぎたり、歯切れや口ごなれが悪くなる場合がある。
前記グリセリド誘導体は、前記飽和脂肪酸モノグリセリドにさらに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体のことである。前記グリセリド誘導体の構成脂肪酸である飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸などの飽和脂肪酸が挙げられる。該有機酸としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸、乳酸などが挙げられる。
前記グリセリド誘導体の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中2〜7重量%が好ましく、2.1〜5.5重量%がより好ましく、3〜4.4重量%が更に好ましい。2重量%未満であると、生地を所定の比重までホイップできなかったり、ホイップ時間が延長されたり、生地安定性に劣る場合がある。7重量%より多いと効果が頭打ちになったり、生地への分散性が悪くなる場合がある。
前記ショ糖飽和脂肪酸エステルは、ショ糖の水酸基の一部を飽和脂肪酸でエステル化した乳化剤をいう。前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの構成飽和脂肪酸は、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。また前記ショ糖飽和脂肪酸エステルのHLBは9〜16であることが好ましい。HLBが9より小さい又は16より大きいと、本発明の効果を奏さない場合がある。なお、HLBの算出方法としては、次式で表されるグリフィン法に従えば良い。
HLB値=20×A/B
A:乳化剤の親水基部分の分子量、B:乳化剤の分子量
前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中3.0〜5.0重量%であることが好ましく、3.0〜4.2重量%がより好ましく、3.1〜4.1重量%が更に好ましく、3.4〜4.0重量%が特に好ましい。3.0重量%未満であると生地を所定の比重までホイップできなかったり、ホイップ時間が延長される場合がある。また5.0重量%より多いと効果が頭打ちになり、コストが高くなりすぎる場合がある。
更に、起泡性の観点から、(前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量)/前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量(重量比、X)は0.7〜3.0が好ましく、0.8〜1.6がより好ましく、0.9〜1.2が更に好ましい。0.7未満では起泡性や生地安定性が不十分となる場合があり、3.0より大きいと起泡性や生地安定性が十分に得られない場合がある。
更に、前記グリセリド誘導体の含有量/前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量(重量比、Y)は0.5〜1.6が好ましく、0.6〜1.3がより好ましく、0.7〜1.2が更に好ましい。0.5未満や1.6より大きいと起泡性や生地安定性が不十分となる場合がある。
なお本発明において、飽和脂肪酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、グリセリド誘導体、ショ糖飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量は以下のようにして測定することができ、前記重量比は測定値を元に算出することができる。
<分析方法>
まず、起泡性水中油型乳化物からエタノールを用いて水分を除去した後、クロロホルムを用いて油分を抽出する。抽出した油分にヘキサン/含水メタノールを混合して二相に分離させ、下相に含まれる乳化剤成分を濃縮する。濃縮した乳化剤成分を下記3種類のクロマトグラフィーで分析することにより、各乳化剤の特定と定量を行うことができる。
<クロマト分析条件>
(1)GC分析条件
装置: Agilent Technologies社製「7890A GC system」
カラム:フロンティア・ラボ(株)製「UA-TRG」
固定相 65% diphenyldimethylpolysiloxane
長さ30m/内径0.25mm/フィルム厚0.1μm
検出器:FID温度=360℃
インジェクション温度:360℃
オーブン温度:100℃ → 365℃(15℃/min)
サンプル量:試料20mgをピリジン1mlに溶解した後、ヘキサメチルジシラザン0.5mlおよびトリフルオロ酢酸0.1mlを加えTMS化し、1μl注入する。
(2)HPLC分析条件
装置: Waters社製「Alliance(登録商標) e2695 HPLC system」
カラム:SHODEX KF-801(8mmφ×300mmL)
+ SHODEX KF-802(8mmφ×300mmL)
カラム温度:40℃
移動相:THF 流量1.0ml/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
サンプル量:試料20mgをTHF1mlに溶解した液を20μl注入する。
(3)TLC分析条件
展開溶剤:クロロホルム/メタノール/水=40/10/1(容量比)
プレート:TLC シリカゲル60F254グラスプレート(5×10cm)MERCK
発色剤:チモール液(チモール/濃硫酸/エタノール=0.5g/5ml/100ml)
サンプル量:試料1〜30mgをクロロホルム1mlで溶解後、4μlをスポットし展開する。
前記糖質は、通常食品に用いられる糖質であればよく、該糖質として例えばショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖、及びその液糖類、コーンシロップ等の分解糖化液糖類等や、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等の糖アルコールが挙げられる。
前記糖質の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中24〜46重量%(固形分含量)であることが好ましく、26〜37重量%(固形分含量)がより好ましく、30〜36重量%(固形分含量)が更に好ましい。24重量%より少ないと、起泡力の保持が不十分となる場合があり、46重量%より多いと、生地への分散性が悪くなる場合がある。但し、前記糖質の内、ソルビトールなどの糖アルコール及びその液糖類は添加物表示が必要であり、更にその摂取量によってはお腹が緩くなる場合があるため、その含有量は少ない程好ましく、全く含まないことがより好ましい。
前記増粘多糖類は、グリコシド結合によって数十個以上の単糖類が結合しているものをいい、該増粘多糖類としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ゼラチン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ペクチン、セルロースおよびその誘導体等が挙げられる。生地への分散性が起泡力に影響する観点から、シュドプラスティック粘性をもつものが好ましく、特にキサンタンガムを用いることがより好ましい。
前記増粘多糖類の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.04〜0.5重量%が好ましく、0.04〜0.25重量%であることがより好ましい。0.04重量%より少ないと、生地目が細かくなりすぎたり、口こなれが悪くなる場合がある。0.5重量%より多いと、効果が頭打ちになったり、食感がねちゃついたり、釜落ちが生じたりする場合がある。なお、釜落ちとは、焼成後にケーキのボリュームが低下することをいう。
本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、起泡力を高めることを目的としてリン脂質を含有することが好ましく、特に、縦型ミキサー(バッチ式(Batch type)ミキサー)でホイップする場合には、その起泡力が連続式ミキサーに比べて劣るため、リン脂質を含有することが望ましい。前記リン脂質は、構造中にリン酸エステル部位をもつ乳化性を有する物質をいい、該リン脂質としては例えば、大豆レシチン、ひまわりレシチン、卵黄レシチン等の天然レシチンやその酵素処理物を挙げることができる。
前記リン脂質の純分の含有量は練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.06〜0.8重量%であることが好ましく、0.06〜0.4重量%がより好ましく、0.06〜0.3重量%が更に好ましい。但し、大豆由来のリン脂質を用いる場合は、独特の風味が目立ち素材の風味を損ねる場合があるため、その含有量を練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.7重量%以下にすることが好ましい。前記リン脂質の純分の含有量が0.06重量%未満であると、特に縦型ミキサーでホイップする場合に、生地を所定の比重までホイップできなかったり、ホイップ時間が延長される場合がある。また0.8重量%より多いとケーキ類の風味が悪くなったり、ホイップ時間が延長されたり、効果が頭打ちになる場合がある。
本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物には、起泡力を高めることを目的とし、ソルビタン飽和脂肪酸エステルを含有することが好ましく、特に縦型ミキサーでホイップする場合には、その起泡力が連続式ミキサーに比べて劣るため、ソルビタン飽和脂肪酸エステルを含有することが望ましい。
前記ソルビタン飽和脂肪酸エステルは、ソルビトールを脱水したソルビタンと、飽和脂肪酸とをエステル化して作られた乳化性を有する材料である。前記飽和脂肪酸はある程度融点の高い飽和脂肪酸であることが好ましく、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。また、前記ソルビタン飽和脂肪酸エステルとして一分子中に飽和脂肪酸が1〜3つエステル結合したモノエステル、ジエステル、トリエステル等が挙げられるが、中でもホイップ時間の短縮や作業性向上の理由からトリエステルが好ましい。
前記ソルビタン飽和脂肪酸エステルの含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.05〜1.5重量%であることが好ましく、0.1〜0.9重量%がより好ましく、0.3〜0.6重量%が更に好ましい。0.05重量%未満であると、特に縦型ミキサーでホイップする場合に、生地を所定の比重までホイップできなかったり、ホイップ時間が延長される場合がある。1.5重量%より多いとホイップ時間が延長されたり、生地への分散性が悪くなったり、口こなれや風味が悪くなる場合がある。
なお、本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物には、本発明の効果を妨げない限り、さらに蛋白質、塩類、前記以外の乳化剤、酒精などを含んでいても良い。
前記蛋白質としては、乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質、血液蛋白質、卵蛋白質およびこれらの酵素処理分解物あるいは酸処理分解物が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。前記乳蛋白質としては、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、カゼインナトリウム、酸カゼイン、脱脂乳を限外濾過(UF)処理して乳糖と乳清ミネラルを除去し、濃縮して粉末化したトータルミルクプロテイン、或いはこれらの乳蛋白質を酵素処理したものが例示できる。大豆蛋白質としては、大豆粉(全脂・脱脂)、大豆蛋白濃縮物、分離大豆蛋白が例示できる。小麦蛋白質としては、グルテン、グリアジン、グルテニンが例示できる。血液蛋白質としては、血漿蛋白質、卵蛋白質としては、卵黄、卵白由来の蛋白質などが例示できる。
前記塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、ヘキサンメタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリム、酒石酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、リンゴ酸ナトリム、リンゴ酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物の製造方法を以下に例示する。水溶性の原料であるショ糖飽和脂肪酸エステル、糖質、及び増粘多糖類を水に溶解させて、これらを含有する水相部を調製する。溶解させる時の水相部の温度は65〜75℃程度が好ましい。別途、油溶性の原料である飽和脂肪酸モノグリセリド、及び前記グリセリド誘導体を食用油脂に溶解させて、これらを含有する油相部を調製する。溶解させる時の油相部の温度は75〜85℃程度が好ましい。この際、乳化剤成分は完全に溶解するならば、油相部、水相部のどちらに含まれていてもよい。
次いで、調製された水相部と油相部を混合し、撹拌して乳化を行い、48〜58℃で撹拌を停止して、乳化物を得る。特に限定されないが、具体例として、撹拌している水相部に、油相部を徐々に添加して乳化を開始し、必要に応じてホモミキサー等で撹拌を行って乳化状態を更に均質化して、撹拌を停止することで乳化工程を終了する。得られた乳化物を、最終製品(練り込み用起泡性水中油型乳化物)の温度が0〜50℃になるまで冷却することで、好適に、練り込み用起泡性水中油型乳化物が得られる。最終製品の温度が、0℃未満になったり50℃を超えると、起泡力が損なわれる場合がある。
前記乳化工程で撹拌を停止する際の乳化物の温度は、48〜58℃が好ましく、49〜57℃がより好ましく、50〜56℃が更に好ましい。該温度が48℃より低い場合や58℃より高い場合には起泡力が十分に得られない場合がある。
水相部と油相部を混合し、撹拌により乳化を実施している最中において、形成中の乳化物を徐々に冷却することが好ましい。この乳化中(乳化開始から撹拌停止まで)の冷却速度は、5℃/分以下が好ましく、2℃/分以下がより好ましく、1℃/分以下が更に好ましい。該冷却速度が5℃/分より大きいと起泡力が著しく低下する場合がある。この冷却の結果、得られる乳化物の温度を上述のように48〜58℃とすることが好ましい。
また、乳化工程により得られた乳化物を冷却して最終製品の温度を0〜50℃とする際の冷却速度は、1℃/分以下が好ましく、0.6℃/分以下がより好ましく、0.2℃/分以下が更に好ましい。冷却速度が1℃/分を超えると、起泡力が著しく低下したり、生地目が小さくなり口こなれが悪化する場合がある。この冷却の結果、得られる最終製品の温度を上述のように0〜50℃とすることが好ましい。
本発明の練り込み用水中油型乳化物を保管する際の温度については、0〜50℃が好ましい。保管温度が最終製品の温度以上になる場合は問題ないが、保管温度が最終製品の温度未満になる場合は、保管中に製品温度が1℃/分よりも速い速度で降温しないようにすることが好ましい。保管温度が、0℃未満になったり50℃を超えると、起泡力が損なわれる場合がある。
本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、ケーキ類に用いる穀物粉100重量部に対して2〜15重量部を混合することが好ましく、得られた混合物をホイップさせて、生地を得た後、該生地を加熱調理(焼成)することでケーキ類が得られる。2重量部より少ないと生地を起泡する力が不足し所定の比重までホイップできなかったり、ホイップ時間が延長される場合があり、15重量部より多いとケーキ類の歯切れや口こなれが悪くなったり、乳化剤の異味が感じられ、素材の良好な風味を妨げたりする場合がある。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<65℃における水相部の粘度>
実施例及び比較例の水相部原料を撹拌しながら完全に溶解して水相部を得、これを65℃で10分保持した後の当該水相部の粘度を測定した。B型粘度計(BH型、東機産業(株)製)を用いて、No.1〜3のローターから粘性と適合するローターを適宜選択し、当該ローターを10rpmで10秒間回転させたときの数値を読み取り、この数値に換算乗数を乗じて得られた結果を、水相部の粘度(単位:Pa・s)とした。
<連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法>
表1に示す配合に従い、調整糖、液全卵、水、ナタネ油、実施例及び比較例で得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製「型番:MPI−30M」)にワイヤーホイッパーを取り付け、低速で30秒間撹拌・混合した後、一旦ホイップを停止し、薄力粉、ベーキングパウダーを投入し再び低速でホイップを再開して30秒間撹拌・混合した。その後、さらに中速で混合し、比重が0.96g/cmに達するまでホイップしてスポンジケーキ用生地を得た。この生地を連続式モンドミキサー(モンドミックス社製「型番:ミニモンドA−05」)のホッパーに全量流し入れた後、流量12kg/hr、0.3MPaの加圧条件下で、窒素ガスを注入しながら500回転させたミキシングヘッドを通過させて、注入する窒素量を調整することで比重0.48g/cmのスポンジ生地を得た。得られたスポンジ生地を6号缶に250g流し込み、上火190℃、下火160℃の固定窯で27分間焼成しスポンジケーキを作製した。得られたスポンジケーキは、室温で1時間放置して粗熱をとった後、ビニール袋に入れて封をし、20℃に温調された部屋に24時間静置して評価に供した。
Figure 2016042778
<縦型ミキサーによるスポンジケーキの作製法>
表1に示す配合に従い、調整糖、液全卵、水、ナタネ油、実施例及び比較例で得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製「型番:MPI−30M」)にワイヤーホイッパーを取り付け、低速で30秒間撹拌・混合した後、一旦ホイップを停止し、薄力粉、ベーキングパウダーを投入し再び低速でホイップを再開して30秒間撹拌・混合した。その後、さらに中速で混合し、比重0.48g/cmのスポンジ生地を得た。得られた生地を6号缶に250g流し込み、上火190℃、下火160℃の固定窯で27分間焼成しスポンジケーキを作製した。得られたスポンジケーキは、室温で1時間放置して粗熱をとった後、ビニール袋に入れて封をし、20℃に温調された部屋に24時間静置して評価に供した。
<生地作製時のホイップ時間>
実施例及び比較例における連続ミキサーによるスポンジケーキの作製においては、低速での混合を開始してから、中速で混合し、比重0.96g/cmに到達するまでにホイップに要した撹拌時間(単位:秒)をホイップ時間とした。前記ホイップ時間は短いほうが、起泡性が高いことを意味し、具体的には110秒以下が好ましく、90秒以下がより好ましい以下の評価基準に従って評価した。
実施例及び比較例における縦型ミキサーによるスポンジケーキの作製においては、低速での混合を開始してから、中速で混合し、比重0.48g/cmに到達するまでにホイップに要した撹拌時間(単位:秒)をホイップ時間とした。前記ホイップ時間は、300秒以下が好ましく、270秒以下がより好ましく、240秒以下が更に好ましく、240秒以下が特に好ましい。
<生地への分散性>
実施例及び比較例のスポンジケーキの作製において、低速での混合を開始してから、中速で混合し、比重0.96g/cmに到達するまでの乳化物の生地への分散性を以下の評価基準に従って評価した。
5点:生地への分散性が非常に良く、生地の生産性が極めて良い。
4点:生地への分散性が良く、生地の生産性が良い。
3点:生地への分散性が良くはないが、生地の生産性が問題ないレベルである。
2点:生地への分散性がやや悪く、生地の生産性がやや悪い。
1点:生地への分散性が非常に悪く、生地の生産性が悪い。
<スポンジ生地の粘度測定(生地安定性評価)>
生地安定性の指標として、実施例及び比較例で作製したスポンジ生地の粘度を測定した。具体的には、B型粘度計(BH型、東機産業(株)製)を用いて、No.6ローターを10rpmで10秒間回転させたときの数値を読み取り、この数値に換算乗数を乗じて得られた結果を、スポンジ生地の粘度(単位:Pa・s)とした。スポンジ生地の粘度が30.0Pa・s以上であれば、スポンジ生地の気泡の安定性が良く生地に気泡が十分に抱き込まれており生地から気泡が抜けにくく、生地安定性が高いといえる。
<スポンジケーキの外観評価・生地安定性評価>
実施例及び比較例で作製したスポンジケーキの外観に関し、以下で記載するように、スポンジケーキ断面の生地目及び表面の状態について各々評価した。生地焼成中におけるスポンジ生地の生地安定性が良い程、スポンジケーキの生地目がつぶれにくく、焼成中に抜けた気泡による表面の凹凸や色むらが生じにくい。よって、スポンジケーキの生地目が大きく、表面の凹凸や色むらが少ないほど、生地安定性が高いといえる。
(スポンジケーキの生地目)
実施例及び比較例で作製したスポンジケーキを縦1cm厚にスライスし、その断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製「VHX−2000」)で観察した。マイクロスコープ上のメジャーにより生地目のサイズ(単位:μm)を測定の上、平均サイズを算出し、以下の評価基準に従って評価した。
5点:1000μm以上
4点:700μm以上で1000μm未満
3点:400μm以上で700μm未満
2点:100μm以上で400μm未満
1点:100μm未満
(スポンジケーキの表面)
実施例及び比較例で作製したスポンジケーキの表面を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
5点:色むらや凹凸がなく、表面の状態が非常に好ましい。
4点:色むらや凹凸がほとんどなく、表面の状態が好ましい。
3点:色むらや凹凸がややあるが、表面の状態に問題はない。
2点:色むらや凹凸がやや目立ち、表面の状態が悪い。
1点:色むらや凹凸が目立ち、表面の状態が非常に悪い。
<スポンジケーキの比容積測定>
実施例及び比較例で作製したスポンジケーキの比容積を以下のようにして求めた。レーザー体積計((株)アステックス製「WinVM2000」)を用いて測定したスポンジケーキの体積(単位:cm)を、スポンジケーキの重量(単位:g)で除してスポンジケーキの比容積(cm/g)を計算した。上記スポンジケーキの比容積が4.5cm/g以上であればスポンジケーキの比容積としては大きく、好ましいといえる。
<スポンジケーキの官能評価>
実施例及び比較例で作製したスポンジケーキを20℃に温調された部屋で24時間保管した後、熟練した10人のパネラーに食べてもらい、歯切れ、口こなれ、風味の観点で各々評価し、その評価点の平均値を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
(歯切れ)
5点:非常に歯切れが良い。
4点:やや歯切れが良い。
3点:普通である。
2点:やや歯切れが悪い。
1点:非常に歯切れが悪い。
(口こなれ)
5点:口中でだんごにならず、非常に口こなれがよい。
4点:口中でほとんどだんごにならず、口こなれがよい。
3点:普通である。
2点:口中でややだんごになり、やや口こなれが悪い。
1点:口中でだんごになり、非常に口こなれが悪い。
(風味)
5点:乳化剤の苦味や嫌味を全く感じず、素材の風味が存分に感じられ、非常に美味しい。
4点:乳化剤の苦味や嫌味をほとんど感じず、素材の風味がよく感じられ、美味しい。
3点:乳化剤の苦味や嫌味をやや感じるが、素材の風味の妨げとなるほどではなく、問題はない。
2点:乳化剤の苦味や嫌味を感じ、素材の風味の妨げとなり、やや美味しさに欠ける。
1点:乳化剤の苦味や嫌味を強く感じ、素材の風味の妨げとなり、美味しくない。
<総合評価>
前記各々の評価結果を総合し、以下の評価基準に従い練り込み用起泡性水中油型乳化物の総合評価値とした。
A:起泡性、分散性、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れている。
B:起泡性、分散性、生地安定性、外観、食感、風味の何れも比較的好ましく、起泡性水中油型乳化物として優れている。
C:起泡性、分散性、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも許容できる範囲であり、起泡性水中油型乳化物として問題はない。
D:起泡性、分散性、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の少なくとも何れかがやや劣り、起泡性水中油型乳化物として問題がある。
E:起泡性、分散性、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の少なくとも何れかが劣り、起泡性水中油型乳化物として非常に問題がある。
<実施例及び比較例で使用した原料>
1)日清製粉(株)製「バイオレット」
2)(株)アイコク製「ベーキングパウダー赤印」
3)UENO FINE CHEMICALS INDUSTRY(THAILAND),LTD製「NSS−17」
4)キユーピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」
5)(株)カネカ製「精製ナタネ油」
6)理研ビタミン(株)製「エマルジーMS」(ベヘン酸モノグリセリド:0重量%、ステアリン酸モノグリセリド:64.3重量%、他の飽和脂肪酸モノグリセリド:30.0重量%、不飽和脂肪酸モノグリセリド:0.7重量%)
7)理研ビタミン(株)製「ポエムB−100」(ベヘン酸モノグリセリド:68.8重量%、他の飽和脂肪酸モノグリセリド:20.3重量%、不飽和脂肪酸モノグリセリド0.5重量%)
8)DANISCO A/S社製「クエン酸モノグリセリド」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
9)ADM社製「Yelkin TS」(リン脂質含量:62%)
10)理研ビタミン(株)製「ポエムS−65V」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
11)大日本住友製薬(株)製「K−OB」
12)三菱化学フーズ(株)製「S−1170」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
13)三和澱粉工業(株)製「オリゴトース」(糖質含量:72.5%、水分含量:27.5%)
14)フジ日本精糖(株)製「上白糖FNS」(糖質含量:99.2%、水分含量:0.8%)
15)信和アルコール産業(株)製「シュンコールB」(水分含量:49%)
16)ADM社製「クエン酸三ナトリウム」
17)三菱化学フーズ(株)製「S−570」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
18)三菱化学フーズ(株)製「S−970」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
19)三菱化学フーズ(株)製「S−1670」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
20)第一製薬工業(株)製「DKエステルSS」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
21)理研ビタミン(株)製「リケマールPB−100」(構成脂肪酸:ベヘン酸)
22)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS−5S」(構成脂肪酸:ステアリン酸)
(実施例1)
表2に示す配合に従い、油相用原料を混合してから85℃で完全に溶解させて油相部とした。また、水相用原料を混合、加温し65℃で完全に溶解させて水相部とした。該水相部を撹拌しながらそこへ前記油相部を投入して水中油型エマルジョンを調製した。このエマルジョンをホモミキサー(プライミクス(株)製「型番:T.K.ホモミキサー」)で乳化状態を更に均質化しながら、1℃/分以下の冷却速度で50℃まで冷却した後、撹拌を停止し、乳化を終了した。その後、最大冷却速度が0.1℃/分以下の条件で50℃から20℃まで冷却し、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得、その後20℃で保管した。前記練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表2に示した。
Figure 2016042778
(実施例2〜4、比較例1〜2)
表2に示す配合に従い、ベヘン酸モノグリセリドの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表2に示した。
(実施例5〜7、比較例3〜4)
表2に示す配合に従い、ステアリン酸モノグリセリドを油相部に添加し、ベヘン酸モノグリセリドの配合量を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。なお、比較例4の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、特開平5−76270号公報に準拠したものである。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表2に示した。
表2の評価結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物中の飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量が7.7重量%である実施例1の乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量が9.8および4.5重量%である実施例2及び3の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、実施例1に比べやや劣るものの、各評価結果は良好であり、乳化物として優れたものであり、2.7重量%である実施例4は、実施例2及び3にやや劣るものの、概ね評価は良好であった。
一方、飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量が2.2重量%である比較例1の乳化物は、生地安定性が悪く、得られたケーキの比容積と生地目が小さく、生地表面の状態、歯切れ、口こなれも非常に悪かった。飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量が12.9重量%である比較例2の乳化物は、比容積、生地表面の状態、風味は良好であった一方で、起泡性、分散性、得られたケーキの生地目の大きさ、口こなれに劣っていた。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中の飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量は、2.5〜12重量%が好ましく、4〜11重量%がより好ましく、5.5〜8.5重量%が更に好ましいと言える。
飽和脂肪酸モノグリセリド中のベヘン酸モノグリセリドの含有量を22.4〜77.2重量%の間で変化させた実施例1、5および6は、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れており、該含有量が高くなるほど、得られたケーキの食感がよりふわっとし、口こなれの良さが増した。該含有量が7.7重量%である実施例7は、ケーキ生地表面に色むらと凹凸がややみられたものの、各評価結果は概ね良好であった。一方で、該含有量が7重量%よりかなり小さい比較例3および4は、得られたケーキの生地目が小さく、生地表面の状態が悪く、歯切れと口どけも悪かった。特に、ベヘン酸モノグリセリドを全く含有しない比較例4(特開平5−76270号公報に準拠)は、生地目が小さく、生地表面の凹凸が非常に目立ち、歯切れと口こなれが悪かった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中の飽和脂肪酸モノグリセリド中のベヘン酸モノグリセリドの含有量は、7〜100重量%が好ましく、8〜100重量%がより好ましく、20〜100重量%が更に好ましいと言える。
Figure 2016042778
(実施例8〜9、比較例5〜6)
表3に示す配合に従い、ショ糖ステアリン酸エステルのHLBを変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表3に示した。
(実施例10〜12、比較例7〜8)
表3に示す配合に従い、ナタネ油の配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整し、実施例12では上白糖を水相部に添加した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表3に示した。
表3の評価結果より、次のことがわかった。ショ糖ステアリン酸エステルのHLBについてみて見ると、それぞれの値が11、9、16である実施例1、8、9は、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れていた。一方で、該HLBがそれぞれ5、19である比較例5、6は生地安定性にやや劣っており、起泡性が悪くホイップ時間が長かったことを加味し、総合評価は悪かった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中のショ糖飽和脂肪酸エステルのHLBは、9〜16が好ましいと言える。
ナタネ油の含有量についてみて見ると、該含有量が18.0重量%である実施例1は、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れていた。該含有量が8.0重量%である実施例11は、実施例1と比べ、得られたケーキの比容積と口こなれにやや劣るものの総合評価は良好であった。該含有量が1.0重量%(実施例10)、30.0重量%(実施例12)であると、実施例11と比べて更にケーキの比容積が低下し、食感の評価が下がる傾向であったが、総合評価は概ね良好であった。一方、該含有量が0重量%(比較例7)、35.0重量%(比較例8)であると、生地安定性と口こなれの評価が低く、総合評価は悪かった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中の食用油脂の含有量は、0.9〜31重量%が好ましく、7〜25重量%がより好ましく、10〜24重量%が更に好ましいと言える。
Figure 2016042778
(実施例13〜14、比較例9〜10)
表4に示す配合に従い、クエン酸モノグリセリド誘導体の配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整し、実施例14、比較例10ではベヘン酸モノグリセリドの配合量を変更し、実施例14では上白糖を水相部に添加した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表4に示した。
(実施例15〜17、比較例11)
表4に示す配合に従い、ショ糖ステアリン酸エステルの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表4に示した。
(比較例12)
表4に示す配合に従い、クエン酸モノグリセリド誘導体、ショ糖ステアリン酸エステルの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表4に示した。
表4の評価結果より、次のことがわかった。クエン酸モノグリセリド誘導体について見てみると、該含有量が3.7重量%である実施例1は、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れていた。該含有量が2.4重量%である実施例13は、実施例1と比べ、比容積、生地安定性、外観、食感の評価がやや低かったが、総合評価は良好であった。なお、実施例13では、起泡性を十分に発揮できる所謂製品の使用可能期間が実施例1と比べ短かった。該含有量が6.3重量%(実施例14)では、2.4重量%(実施例13)と比べ、生地安定性、比容積が良好であった一方でホイップ時間がやや長く、食感の評価が低かったものの総合評価は概ね良好であった。
一方、該含有量が1.5重量%(比較例9)では、ホイップ時間が長く、生地安定性に劣り、生地目が小さくて歯切れと口こなれが劣っており、ケーキ生地表面には色むらや凹凸が目立ち総合評価が非常に悪かった。該含有量が8.0重量%(比較例10)では、ホイップ時間が更に長く、生地への分散性が非常に悪かったため、総合評価が非常に悪かった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中のグリセリド誘導体の含有量は、2〜7重量%が好ましく、2.1〜5.5重量%がより好ましく、3.0〜4.4重量%が更に好ましいと言える。
ショ糖ステアリン酸エステルについて見てみると、該含有量が3.7重量%(実施例1)、4.1重量%(実施例16)では、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、起泡性水中油型乳化物として非常に優れていた。該含有量が3.2重量%(実施例15)では、実施例1および16と比べ、生地目の大きさがやや小さく、食感の評価がやや低かったが、総合評価は良好であった。なお、該含有量が3.2重量%(実施例15)では起泡性を十分に発揮できる所謂製品の使用可能期間が実施例1と比べ短かった。一方、該含有量が2.6重量%(比較例11)では、ホイップ時間が長く、生地への分散性が悪く、総合評価は悪かった。該含有量が4.7重量%(実施例17)では、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の何れも非常に好ましく、ホイップ時間と生地への分散性も良好であったが、3.7重量%(実施例1)とほぼ同じ結果であり、前記添加量ではショ糖ステアリン酸エステルの効果が頭打ちになっていると考えられた
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物中のショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量は、3.0〜5.0重量%が好ましく、3.0〜4.2重量%がより好ましく、3.1〜4.1重量%が更に好ましく、3.4〜4.0重量%が特に好ましいと言える。
表2および表4の結果より、次のことがわかった。(グリセリド誘導体とショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量)/飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量(重量比、X)について見てみると、(グリセリド誘導体とショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量)/飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量(重量比、X)が0.97である実施例1は総合評価が非常に良好であった。該含量比が0.84(実施例13)、1.66(実施例3)では、0.97(実施例1)と比べ評価結果がやや低かったが、総合評価は良好であった。該含量比が2.77(実施例4)では、生地目の大きさがやや小さく、色むら・凸凹がやや目立ったが、総合評価は概ね良好であった。
一方、該含有量比が3.32(比較例1)では風味を除いた評価が全て悪く、総合評価が非常に悪かった。該含有量比が0.60(比較例9)では、ホイップ時間が長く、生地への分散性と生地安定性が悪かった。更に、比容積、生地目が小さく、ケーキ表面の色むらと凹凸が目立ち、総合評価が非常に悪かった。
以上より、(グリセリド誘導体とショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量)/飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量(重量比、X)は0.7〜3が好ましく、0.8〜1.6がより好ましく、0.9〜1.2が更に好ましいと言える。
表4の結果より、次のことがわかった。グリセリド誘導体の含有量/ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量(重量比、Y)について見てみると、グリセリド誘導体の含有量/ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量(重量比、Y)が1.00である実施例1は、総合評価が非常に良好であった。該含量比が0.60(実施例13)、1.16(実施例15)では、1.00(実施例1)と比べ評価がやや低かったが総合評価は良好であった。該含量比が1.50(実施例14)では、0.60(実施例13)、1.16(実施例15)と比べ生地安定性が高かったものの、歯切れと口こなれの評価がやや低く、総合評価としては概ね良好というものであった。
一方、該含量比が0.48(比較例9)での総合評価は非常に悪く、該含量比が1.67(比較例12)ではホイップ時間が長く、分散性が悪かったことから、総合評価が悪かった。
以上より、グリセリド誘導体の含有量/ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量(重量比、Y)は0.5〜1.6が好ましく、0.6〜1.3がより好ましく、0.7〜1.2が更に好ましいと言える。
Figure 2016042778
(実施例18〜20、比較例13〜14)
表5に示す配合に従い、オリゴトースと水の添加量を変更し、実施例20と比較例14については上白糖を水相に添加した以外は、実施例5と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表5に示した。
(比較例15〜16)
表5に示す配合に従い、クエン酸モノグリセリド誘導体の添加量を変更し、比較例15についてはプロピレングリコールベヘン酸エステルを油相部に、比較例16についてはポリグリセリンステアリン酸エステルを油相部にそれぞれ添加したこと以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。得られたスポンジケーキの評価結果は表5に示した。また、生地作製時のホイップ時間はそれぞれ100秒(比較例15)、100秒(比較例16)であり、生地への分散性評価はそれぞれ4点(比較例15)、4点(比較例16)であった。
表5の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物中の水分の割合について見てみると、前記割合を29.9〜38重量%の間で変化させた実施例5、19の乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。該水分の割合が25.0重量%(実施例18)の乳化物は、29.9重量%(実施例5)と比べて生地への分散性がやや悪かったが、総合評価は概ね良好であった。また、該水分の割合が38.0重量%(実施例20)の乳化物は、29.9重量%(実施例5)と比べて比容積がやや小さかったが、総合評価は概ね良好であった。
一方、該水分の割合が20.1重量%(比較例13)では、ホイップ時間が非常に長く、生地への分散が非常に悪く、生地安定性が悪くて生地目が小さく、口こなれがやや劣るものであった。該水分の割合が40.0重量%(比較例14)では、生地目が小さく口こなれがやや悪いものであった。
以上より、水分の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中22〜39量%が好ましく、27〜36重量%がより好ましく、28〜33重量%が更に好ましいと言える。
起泡性水中油型乳化物中のPGエステルについて見てみると、プロピレングリコールベヘン酸エステルを0.5重量%含有した比較例15で作製したスポンジケーキは、該PGエステルの含有量が少ないにも関わらず、PGエステル独特の異味が感じられ、卵や小麦粉等のスポンジケーキの素材の好ましい香りが妨げられていた。
起泡性水中油型乳化物中のポリグリセリン脂肪酸エステルについて見てみると、ポリグリセリンステアリン酸エステルを0.5重量%含有した比較例16で作製したスポンジケーキは、該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が少ないにも関わらず、ポリグリセリン脂肪酸エステル独特の異味が感じられ、卵や小麦粉等のスポンジケーキの素材の好ましい香りが妨げられていた。
(実施例21〜23、比較例17〜18)
表6に示す配合および製造条件に従い、乳化終了時点での乳化物の温度(以下、乳化終了温度とする)を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表6に示した。比較例17〜18は起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
Figure 2016042778
(実施例24〜26、比較例19)
表6に示す配合および製造条件に従い、乳化終了後に乳化物を冷却して到達した最終製品の温度(以降、最終製品温度とする)を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表6に示した。比較例19は起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
表6の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化終了温度について見てみると、該乳化終了温度が50℃(実施例1)、55℃(実施例22)の条件で製造した乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。該乳化の終了温度が49℃(実施例23)、57℃(実施例21)の条件で製造した乳化物は、50℃(実施例1)、55℃(実施例22)と比べて比容積がやや小さく、食感の評価がやや低かったが、総合評価は良好であった。
一方、該乳化の終了温度が45℃(比較例17)、60℃(比較例18)の条件で製造した乳化物は、起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化の終了温度は48〜58℃が好ましく、49〜57℃がより好ましく、50〜56℃が更に好ましいと言える。
練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の最終製品温度について見てみると、該温度が20℃(実施例1)、45℃(実施例26)の条件で製造した乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。該最終製品温度が0.5℃(実施例24)、1℃(実施例25)では、20℃(実施例1)や45℃(実施例26)と比して生地への分散性に劣り、比容積がやや小さかったが、総合評価は概ね良好であった。一方、該最終製品温度がマイナス12℃(比較例19)では、起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の最終製品温度は、0〜50℃が好ましく、20〜45℃がより好ましいと言える。
(実施例27、比較例20)
表7に示す配合および製造条件に従い、乳化中降温時の冷却速度を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表7に示した。
Figure 2016042778
(実施例28〜29、比較例21)
表7に示す配合および製造条件に従い、乳化後降温時の最大冷却速度を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表7に示した。
(実施例30〜31、比較例22〜23)
表7に示す配合および製造条件に従い、乳化物の保管温度を変更した以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表7に示した。比較例23は起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
表7の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化開始から乳化終了までの降温時の冷却速度について見てみると、該速度が1℃/分(実施例1)、4℃/分(実施例27)の条件で製造した乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであり、該冷却速度がより遅い実施例1の方が、得られたケーキの比容積がより大きく、口こなれの評価がより高く、より好ましい結果であった。該冷却速度が6℃/分(比較例20)の条件で製造した乳化物は、起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化開始から乳化終了までの降温時の冷却速度は、5℃/分以下が好ましく、4℃/分以下がより好ましく、1℃/分以下が更に好ましいと言える。
練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化終了後の降温時の冷却速度について見てみると、該速度が最大で0.1℃/分の条件で製造した実施例1の乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであり、該冷却速度が0.5℃/分(実施例28)の条件で製造した乳化物は、実施例1と比して生地への分散性がやや劣り、比容積、生地目が小さく、食感および口こなれの評価がやや低かったが、総合評価は良好であり、該冷却速度が1℃/分(実施例29)の条件で製造した乳化物は、0.5℃/分(実施例28)と比して生地への分散性がやや劣り、食感および口こなれの評価が更に低かったが、総合評価は概ね良好であった。
一方、該冷却速度が最大で2℃/分(比較例21)の条件で製造した乳化物は、0.1℃/分(実施例1)と比して生地への分散性が劣り、比容積が小さく、歯切れと口こなれが劣り、総合評価は悪かった。
以上より、練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する際の乳化終了後の降温時の冷却速度は小さい程良く、1℃/分以下が好ましく、0.5℃/分以下がより好ましく、0.2℃/分以下が更に好ましいと言える。
得られた練り込み用水中油型乳化物の保管温度について見てみると、該温度が20℃(実施例1)、50℃(実施例31)である乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。該保管温度が1℃(実施例30)の乳化物は、20℃(実施例1)、50℃(実施例31)と比して生地への分散性が劣るものの総合評価は概ね良好であった。
一方、該保管温度がマイナス5℃(比較例22)の乳化物は、生地への分散性が悪く、総合評価は悪かった。該保管温度が55℃(比較例23)の乳化物は、起泡力が不足し、比重0.48g/cmまでホイップすることができなかった。
以上より、得られた練り込み用水中油型乳化物の保管温度については、0〜50℃が好ましいと言える。なお、保管温度が最終製品温度未満の場合は、保管中に製品温度が1℃/分よりも速い速度で降温しないようにすることが好ましいと言える。
(実施例32〜34、比較例24)
表8に示す配合に従い、キサンタンガムの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例5と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
Figure 2016042778
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表8に示した。
(実施例35〜36)
表8に示す配合に従い、オリゴトースと水の添加量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表8に示した。
(比較例25〜26)
表8に示す配合に従い、食用油脂、オリゴトース及び水の添加量を変更し、上白糖を水相に添加したこと以外は、実施例1と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表8に示した。
表8の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物のキサンタンガムの含有量について見てみると、該含有量が0.1重量%(実施例5)、0.05重量%(実施例32)、0.2重量%(実施例33)、0.4重量%(実施例34)では、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であった。キサンタンガムを含有していない比較例24は、生地目の大きさ、口こなれがやや劣り総合評価はやや悪かった。
以上より、増粘多糖類の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.04〜0.5重量%が好ましく、0.04〜0.25重量%であることがより好ましいと言える。
表8の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物中の糖質の割合(固形分換算)について見てみると、該割合を30.0〜36.0重量%の間で変化させた実施例1、35、36の乳化物は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であり、乳化物として非常に優れたものであった。
一方、該糖質の割合が19.0重量%(比較例25)では、生地目が小さく口こなれが悪かった。該糖質の割合が48.0重量%(比較例26)では、ホイップ時間が非常に長く、生地への分散性が非常に悪く、生地安定性、生地目の大きさ、口こなれにも問題があった。
以上より、該糖質の含有量は、練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中24〜46重量%(固形分含量)であることが好ましく、26〜37重量%(固形分含量)がより好ましく、30〜36重量%(固形分含量)が更に好ましいと言える。
(実施例37〜39)
表9に示す配合に従い、大豆レシチンの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例5と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
Figure 2016042778
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表9に示した。
(実施例40〜42)
表9に示す配合に従い、ソルビタン飽和脂肪酸エステルの配合量を変更し、オリゴトースと水で全体量を調整した以外は、実施例5と同様にして、練り込み用起泡性水中油型乳化物を得た。
そして、得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、実施例1と同様にして、前記「連続ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製した。生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表9に示した。
表9の結果より、次のことがわかった。練り込み用起泡性水中油型乳化物中のリン脂質の純分の含有量について見てみると、該含有量が0.62重量%である実施例37は、ホイップ時間が長く大豆レシチン由来の独特の風味がわずかに感じられたものの、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感の評価が非常に良好であり、総合評価は概ね良好であった。該含有量が0.12重量%(実施例38)では、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であった。リン脂質を含有していない実施例39は、ホイップ時間が長くなり、生地目がやや詰まるものの、総合評価は良好であった。
以上より、リン脂質の純分の含有量は0.06〜0.8重量%であることが好ましく、0.06〜0.4重量%がより好ましく、0.06〜0.3重量%が更に好ましく、大豆レシチンを用いる場合はその含有量を0.7重量%以下にすることが好ましいと言える。
練り込み用起泡性水中油型乳化物のソルビタン飽和脂肪酸エステルの含有量について見てみると、該含有量が0.4重量%である実施例5は、生地安定性が非常に良好で、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感および風味の評価が非常に良好であった。該ソルビタン脂肪酸エステ・BR>汲フ含有量が1.0重量%(実施例40)、0.2重量%(実施例41)および0重量%(実施例42)は、ホイップ時間が長く、生地への分散性が若干悪いものの、生地安定性、生地目の大きさ、口こなれは良好であった。
以上より、ソルビタン飽和脂肪酸エステルの含有量は練り込み用起泡性水中油型乳化物全体中0.05〜1.5重量%であることが好ましく、0.1〜0.9重量%がより好ましく、0.3〜0.6重量%が更に好ましいと言える。
Figure 2016042778
(実施例5B、37B〜42B)
実施例5および実施例37〜42で得られた練り込み用起泡性水中油型乳化物を用いて、縦型ミキサーを用い、前記「縦型ミキサーによるスポンジケーキの作製法」に従ってスポンジケーキを作製し、起泡性、分散性、生地安定性、比容積、外観、食感、風味の評価を行った。それら生地及び得られたスポンジケーキの評価結果は表10に示した。
表9〜10より次のことがわかった。縦型ミキサーを用いスポンジケーキを製造した場合、練り込み用起泡性水中油型乳化物中にリン脂質を含有していない実施例39Bのホイップ時間は270秒であったが、該リン脂質の純分の含有量が0.12重量%(実施例38B)、0.25重量%(実施例5B)と増えるにつれてホイップ時間が255秒(実施例38B)、240秒(実施例5B)と短縮され、歯切れと口こなれの評価値が高くなり、比容積も大きくなった。該含有量が0.62重量%である実施例37Bは、ホイップ時間が270秒となり大豆レシチン由来の独特の風味がやや感じられたものの、得られたケーキは比容積が大きく、外観、食感の評価が非常に良好であり、総合評価は概ね良好であった。
縦型ミキサーを用いスポンジケーキを製造した場合、練り込み用起泡性水中油型乳化物中にソルビタン脂肪酸エステルを含有していない実施例42Bのホイップ時間は300秒であったが、該含有量が0.2重量%(実施例41B)、0.4重量%(実施例5B)と増えるにつれてホイップ時間が255秒(実施例41B)、240秒(実施例5B)と大きく短縮され、その短縮の度合いは連続ミキサーでのホイップ時間110秒(実施例42)、100秒(実施例41)、80秒(実施例5)における短縮の度合いよりも大きいものであった。同時に、ソルビタン脂肪酸エステルの添加量が増えるにつれて歯切れと口こなれの評価値が高くなり、比容積も大きくなった。一方、該ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が1.0重量%(実施例40B)になると、歯切れ、口こなれが悪くなり比容積が小さくなると共に、パネラーによっては、ソルビタン脂肪酸エステル特有の好ましくない風味が感じられた。
以上より、本発明の練り込み用起泡性水中油型乳化物は、生地に負担がかかる連続ミキサーでもホイップ時間が長くかかる縦型ミキサーでも好適に用いることが出来、起泡力をより高めることを目的としてリン脂質とソルビタン脂肪酸エステルを含有することが好ましいと言える。

Claims (5)

  1. 練り込み用起泡性水中油型乳化物であって、
    前記水中油型乳化物全体に対して、プロピレングリコール脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下で、ポリグリセリン脂肪酸エステル含有量が0.45重量%以下であり、
    前記水中油型乳化物が、食用油脂0.9〜31重量%、水22〜39重量%、飽和脂肪酸モノグリセリド2.5〜12重量%、モノグリセリドに有機酸がエステル結合したグリセリド誘導体2〜7重量%、HLBが9〜16であるショ糖飽和脂肪酸エステル3.0〜5.0重量%、糖質24〜46重量%(固形分換算)、及び、増粘多糖類0.04〜0.5重量%を含有し、
    前記グリセリド誘導体と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの合計含有量と前記飽和脂肪酸モノグリセリドの含有量との重量比(X)が0.7〜3.0であり、
    前記グリセリド誘導体の含有量と前記ショ糖飽和脂肪酸エステルの含有量の重量比(Y)が0.5〜1.6であり、
    前記飽和脂肪酸モノグリセリド全体中のベヘン酸モノグリセリド含量は7〜100重量%である、練り込み用起泡性水中油型乳化物。
  2. さらに、リン脂質0.06〜0.8重量%を含有する請求項1に記載の練り込み用起泡性水中油型乳化物。
  3. さらに、ソルビタン飽和脂肪酸エステル0.05〜1.5重量%を含有する請求項1又は2に記載の練り込み用起泡性水中油型乳化物。
  4. 請求項1〜3何れかに記載の練り込み用起泡性水中油型乳化物を製造する方法であって、
    水、前記ショ糖飽和脂肪酸エステル、前記糖質、及び前記増粘多糖類を混合して、これらを含有する水相部を調製する工程、
    前記食用油脂、前記飽和脂肪酸モノグリセリド、及び前記グリセリド誘導体を混合して、これらを含有する油相部を調製する工程、
    前記水相部と前記油相部を混合し、撹拌により乳化を行い、48〜58℃で撹拌を停止して、乳化物を得る工程、並びに、
    前記乳化物を、1℃/分以下の冷却速度で0〜50℃に冷却して、前記練り込み用起泡性水中油型乳化物を得る工程、を含む、方法。
  5. 請求項1〜3何れかに記載の練り込み用起泡性水中油型乳化物を、穀物粉100重量部に対して2〜15重量部混合し、得られた混合物をホイップさせて、生地を得た後、当該生地を焼成することでケーキ類を得る、ケーキ類の製造方法。
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