JPWO2016035725A1 - 合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤及びその用途 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、毛羽・断糸・白粉・染色斑の問題を低減した高品質な仮撚り加工糸を効率良く生産することが可能であり、更にはヒーターの清掃周期も延長可能な合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤、それを用いた合成繊維フィラメント糸条、仮撚り加工糸の製造方法を提供することにある。本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤は、下記一般式(1)で示される化合物(A)及び一般式(2)で示されるポリエーテル化合物(B)を含有するものである。【化1】(但し、R1は炭素数3〜29のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2は炭素数4〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。AOは炭素数が2又は3のオキシアルキレン基を示す。m及びnはAOの平均付加モル数を示し、m+nが1〜25を満たす数である。)

Description

本発明は合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤及びその用途に関するものである。さらに詳しくは、高品質な仮撚り加工糸を高効率に生産することが可能な、合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤、それを用いた合成繊維フィラメント糸条及び仮撚り加工糸の製造方法に関するものである。
仮撚り加工糸は、加熱装置(ヒーター)により糸条を加熱し、仮撚り装置にて糸条に撚りを与えながら延伸することで得られる。近年、この仮撚り加工糸の用途は一般衣料・被服用のみならず、詰め綿、樹脂コーティング用の布帛など多岐に渡っている。更には付加価値の高い、細デニール糸、フルダル糸、ブライト異型断面糸といった特殊糸の生産も増える傾向にあり、世界人口の増加と相まって需要は増加の一途を辿っている。このため、高品位な仮撚り加工糸の生産性を上げることは、大変重要な課題となっている。
しかし、生産性の向上すなわち加工スピードを上昇させることは、繊維とローラー、繊維とガイド、繊維と仮撚りユニット、繊維どうしの間で生じる摩擦に起因した、繊維の張力変動(サージング)・集束不良・制電不良等の問題を発生させる。繊維の仮撚り加工時に、これらの問題が甚大な場合、毛羽・断糸・白粉・染色斑等の加工欠点をもたらし、高品質な加工糸を得ることが困難となってしまう。また、加工スピードの高速化に伴い、繊維を加熱するためのヒーターの温度も高くなるので、繊維処理剤に由来する発煙が増え作業環境が悪化する。更には熱劣化物がヒーター上へ堆積されやすくなり、糸道の汚染へと繋がってしまう。毛羽・断糸・白粉・染色斑を低減するために、繊維を加温するヒーターの清掃を充分に行う必要があるが、ヒーターの清掃には多大な時間と労力を要するので、この事も生産性の向上を妨げる要因となっていた。
一般的な加工スピードの決め方として、異常張力が観測される最低速度(サージングスピードと呼ばれる)に対して、100〜200m/minほど速度を低減した方法が取られている。すなわち、サージングスピードが1000m/minならば、仮撚り加工速度は800〜900m/minに設定される。
以上の観点から、仮撚り加工糸の生産性を改善するためには、サージングスピードの向上が必須であり、この要求を満足する繊維用処理剤が望まれている。
例えば、特定のポリエーテル化合物と脂肪酸カリウム塩を併用した繊維用処理剤(例えば特許文献1)が提案されている。
しかし、特許文献1のような繊維用処理剤においても、前述の要求に対する性能は不十分であった。すなわち、加工スピードの増加に対して、充分な毛羽・断糸・白粉・染色斑の抑制、及びヒーターに蓄積する汚れを防止する点において、満足のいく結果には至っていなかった。
日本国特開平2−269878号公報
本発明の目的は、毛羽・断糸・白粉・染色斑の問題を低減した高品質な仮撚り加工糸を効率よく生産することが可能であり、更にはヒーターの清掃周期も延長可能な合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤、それを用いた合成繊維フィラメント糸条、仮撚り加工糸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の化合物(A)とポリエーテル化合物(B)を含有する合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤は、下記一般式(1)で示される化合物(A)及び下記一般式(2)で示されるポリエーテル化合物(B)を含有するものである。
Figure 2016035725
(但し、Rは炭素数3〜29のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2は炭素数4〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。AOは炭素数が2又は3のオキシアルキレン基を示す。m及びnはAOの平均付加モル数を示し、m+nが1〜25を満たす数である。)
Figure 2016035725
(但し、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100である。[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加、ブロック付加及びランダム付加とブロック付加の組み合わせのいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。)
前記化合物(A)と前記ポリエーテル化合物(B)との重量比(A/B)は、0.1/99.9〜50/50であることが好ましい。
処理剤の不揮発分に占める前記化合物(A)の重量割合は、0.1〜50重量%であることが好ましい。
処理剤の不揮発分に占める前記ポリエーテル化合物(B)の重量割合は、10〜90重量%であることが好ましい。
前記ポリエーテル化合物(B)は、前記一般式(2)におけるPOとEOの付加がランダム付加及びブロック付加のいずれかであるポリエーテル化合物であることが好ましい。本発明の処理剤は、下記一般式(3)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)をさらに含有することが好ましい。
Figure 2016035725
(但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。c、d及びeは、各々の平均付加モル数を示し、c=1〜50、d=1〜100、e=1〜20である。[(PO)/(EO)]はcモルのPOとdモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。)
処理剤の不揮発分に占める前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の重量割合は、1〜50重量%であることが好ましい。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)のPO/EOの付加割合(重量比)が1/99〜50/50であり、その重量平均分子量が1000〜100000であることが好ましい。
前記合成繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維又はポリオレフィン繊維であることが好ましい。
本発明の合成繊維フィラメント糸条は、上記の処理剤を原料合成繊維フィラメント糸条に付着させたものである。
本発明の仮撚り加工糸の製造方法は、上記の合成繊維フィラメント糸条を加熱して、延伸し、仮撚り加工する工程を含むものである。
本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤であれば、毛羽・断糸・白粉・染色斑の問題を低減した高品質な仮撚り加工糸を効率良く生産でき、ヒーターの清掃周期も延長できる。本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤が付与された合成繊維フィラメント糸条であれば、高品質かつ高効率に仮撚り加工糸を生産できる。本発明の仮撚り加工糸の製造方法であれば、高品質かつ高効率に仮撚り加工糸を生産できる。
本発明は、上記一般式(1)で示される化合物(A)及び上記一般式(2)で示されるポリエーテル化合物(B)を含有する、合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤である。以下詳細に説明する。
[化合物(A)]
上記一般式(1)で示される化合物は、本発明の処理剤の必須の成分である。このような化合物(A)を後述するポリエーテル化合物(B)と併用することにより、処理剤の極圧潤滑性と油膜強度が向上し、製糸工程や加工工程で発生する毛羽・断糸の低減が更に可能となる。化合物(A)は、主に、極圧潤滑性、すなわち高接圧時の摩擦低下能を向上させ、繊維と延伸ローラー間の摩擦を下げることにより、延伸方向への滑りが充分に確保されて、仮撚り時の糸張力が安定化されるものと推測される。化合物(A)の代わりに、脂肪酸(未中和)や脂肪酸の金属塩や一般式(1)に該当しない脂肪酸のアミン塩を用いた場合、充分な極圧潤滑性が得られないのみならず、むしろ様々な問題を誘発する恐れがある。即ち脂肪酸の未中和物を使用すると、処理剤のpHが低下するので、合成繊維が加水分解されやすくなり強度が低下する。脂肪酸の金属塩だと、金属成分がローラーやヒーター上に脱落、蓄積していくことで毛羽・断糸の原因となる。脂肪酸のアミン塩だと、熱処理時に揮発されやすくなり、発煙の原因となる。化合物(A)は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
一般式(1)中、Rは、炭素数3〜29のアルキル基又はアルケニル基であり、脂肪酸(RCOOH)からカルボキシ基を除いた残基である。Rの炭素数は、好ましくは5〜27、より好ましくは7〜21、さらに好ましくは7〜17である。該炭素数が3未満では、極圧潤滑性が弱いために糸揺れが増加する。一方、該炭素数が29超では、動摩擦係数が大きくなり、毛羽・断糸の原因となる。
はアルキル基とアルケニル基のどちらでもよいが、金属への吸着配向力が強く、糸揺れが発生しにくいという観点から、アルケニル基が好ましい。
上記の脂肪酸(RCOOH)としては、例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘニン酸、エルシン酸、リグノセリン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。脂肪酸製品の具体例としては、特に限定はないが、例えば、ルナックシリーズ(花王製)が挙げられる。これらの中でも、極圧潤滑性やコスト・汎用性の観点から、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸がより好ましい。
一般式(1)中、Rは、炭素数4〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。Rの炭素数は、6〜22が好ましく、8〜20がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。該炭素数が4未満では、油膜が弱いために毛羽が増加する。一方、該炭素数が24超では、動摩擦係数が大きくなり、毛羽・断糸の原因となる。Rはアルキル基とアルケニル基のどちらでもよい。
(AO)又は(AO)で示されるオキシアルキレン基について、AOは炭素数が2又は3のオキシアルキレン基を示し、付加形態もブロック付加、ランダム付加及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
m及びnはAOの平均付加モル数を表し、m+nが1〜25を満たす数である。m+nは、1〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。m+nが1未満では糸揺れが大きくなって走糸安定性が低下する。一方、m+nが25超では、動摩擦係数が大きくなり、毛羽・断糸の原因となる。
化合物(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸とポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルとを反応させることにより得られる。当該反応は処理剤中で行ってもよい。
化合物(A)としては、例えば、(EO1〜25)オクチルアミノエーテル、(EO1〜25)デシルアミノエーテル、(EO1〜25)ラウリルアミノエーテル、(EO1〜25)ステアリルアミノエーテル、(EO1〜25)オレイルアミノエーテル、(PO1〜25)オクチルアミノエーテル、(PO1〜25)デシルアミノエーテル、(PO1〜25)ラウリルアミノエーテル、(PO1〜25)ステアリルアミノエーテル、(PO1〜25)オレイルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルと、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸の塩(以下「ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル/脂肪酸塩」のように表記する)を挙げることができる。
これらの中でも、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/カプリン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/ミリスチン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/パルミチン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/ステアリン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/イソステアリン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/オレイン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/カプリン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/ミリスチン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/パルミチン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/ステアリン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/イソステアリン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/オレイン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/カプリン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/ミリスチン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/パルミチン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/ステアリン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/イソステアリン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/オレイン酸塩、が好ましく、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)ラウリルアミノエーテル/オレイン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)ステアリルアミノエーテル/オレイン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/カプリル酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/ラウリン酸塩、(EO3〜10)オレイルアミノエーテル/オレイン酸塩がさらに好ましい。
なお、EOとはオキシエチレン基、POとはオキシプロピレン基を表す。(EO3)とは、m+nが3モルのポリオキシエチレン基を表す。例えば、(EO3)ラウリルアミノエーテル/オレイン酸塩とは、一般式(1)において、Rが炭素数17のアルケニル基であり、Rが炭素数12のアルキル基であり、AOがEOであり、m+n=3である化合物を示す。
[ポリエーテル化合物(B)]
上記一般式(2)で示されるポリエーテル化合物(B)は、本発明の処理剤の必須の成分である。このようなポリエーテル化合物(B)を前述した化合物(A)と併用することにより、本発明の効果を発揮させることができる。ポリエーテル化合物(B)は、主に、摩擦低下能を増大させ、繊維とローラー、繊維とガイド、繊維と仮撚りユニットの間で生じる擦過を緩和することができる。このため、毛羽や断糸等の加工欠点が低減されるものと推測される。
上記一般式(2)において、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100である。[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加、ブロック付加及びランダム付加とブロック付加の組み合わせのいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。POとEOの付加は、ランダム付加及びブロック付加のいずれかであること(つまり、ランダム付加とブロック付加の組み合わせを含まないこと)が好ましい。
がアルキル基又はアルケニル基の場合、Rの炭素数は、繊維用処理剤としての平滑性の点から、1〜30が好ましく、4〜22がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。
一般式(2)中の平均付加モル数aとしては、好ましくは2〜40モル、さらに好ましくは5〜30モルである。aが1〜50モルであると、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの融点が降下し、ハンドリング性に優れる。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが熱分解されやすくなるため、ヒーター汚れの低減に繋がる。
一般式(2)中の平均付加モル数bとしては、好ましくは10〜90モル、さらに好ましくは20〜70モルである。bが1〜100モルであると,摩擦低下能を増大させ、擦過を緩和することができる。
ポリエーテル化合物(B)のPO/EOの付加割合(重量比)は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20が特に好ましい。PO/EOの付加割合(重量比)が1/99未満の場合、融点が上昇し、ハンドリング性が悪化する。99/1超の場合、油膜強度が低下するために、毛羽・断糸の原因となる可能性がある。
ポリエーテル化合物(B)の重量平均分子量は、300〜10000であり、500〜5000が好ましく、1000〜3000が特に好ましい。重量平均分子量が300未満の場合、仮撚り加工工程で熱処理された際、低分子量のため発煙が発生しヒーター汚れの原因となり、また油膜強度も不十分である。重量平均分子量が10000超の場合、高分子量に起因する粘度の増大により、処理剤を合成繊維に付着した際、動摩擦係数が大きくなり、毛羽・断糸の原因となる可能性がある。また、粘度の増大により取り扱い性も困難となる。
なお、本発明における重量平均分子量は、東ソー(株)製高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、試料濃度3mg/ccで、昭和電工(株)製分離カラムKF−402HQ、KF−403HQに注入し、RI検出器で測定した最大ピーク値より算出した。
[ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)]
本発明の処理剤は、上記一般式(3)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)をさらに含有することが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)を含有する場合のポリエーテル化合物(B)は、一般式(2)におけるPOとEOの付加がランダム付加及びブロック付加のいずれかであるポリエーテル化合物であることが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)を含有することにより、油膜強度、すなわち処理剤が繊維を保護する効果を増大させ、繊維どうしの間で生じる摩耗を緩和することができる。このため、毛羽や断糸等の加工欠点が低減されるものと推測される。油膜強度は、エチレンオキサイド(EO)の付加割合が多いほど効果が大きい。
上記一般式(3)において、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。c、d及びeは、各々の平均付加モル数を示し、c=1〜50、d=1〜100、e=1〜20である。[(PO)/(EO)]はcモルのPOとdモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。
は一価アルコールからヒドロキシル基を除いた残基である。Rの炭素数は、繊維用処理剤としての平滑性の点から、1〜30が好ましく、4〜22がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。
一般式(3)中の平均付加モル数cとしては、好ましくは5〜30モル、さらに好ましくは5〜20モルである。cが1〜50モルであると、ポリオキシアルキレン基中にポリオキシプロピレン基がランダムで付加されているため、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの融点が降下し、ハンドリング性に優れる。
一般式(3)中の平均付加モル数dとしては、好ましくは30〜90モル、さらに好ましくは50〜80モルである。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの分子鎖の中央部にEOがランダム状に存在することで、油膜強度が増大するために、合成繊維の繊維どうしの耐摩耗性が向上する。
一般式(3)中の平均付加モル数eは、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは2〜5モルである。分子鎖の末端部にPOが存在することで、合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤としての相溶性に優れ、その結果、製品の長期安定性にも優れる。末端部をPOとしなければ、処理剤の安定性が悪くなり、貯蔵条件によっては成分が分離するおそれがある。このような処理剤、つまり成分が分離した状態の処理剤を合成繊維に付着させると、合成繊維に処理剤が均一に付着しなくなるため、製糸工程や後加工工程で問題が多発する原因となる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)のPO/EOの付加割合(重量比)は、1/99〜50/50であり、10/90〜40/60が好ましく、15/85〜30/70が特に好ましい。PO/EOの付加割合(重量比)が1/99未満の場合、融点が上昇し、ハンドリング性が悪化する。50/50超の場合、油膜強度が低下するために、毛羽・断糸の原因となる可能性がある。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の重量平均分子量は、1000〜10000であり、1000〜5000が好ましく、2000〜4000が特に好ましい。重量平均分子量が1000未満の場合、仮撚り加工工程で熱処理された際、低分子量のため発煙が発生しヒーター汚れの原因となり、また油膜強度も不十分である。重量平均分子量が10000超の場合、高分子量に起因する粘度の増大により、処理剤を合成繊維に付着した際、動摩擦係数が大きくなり、毛羽・断糸の原因となる可能性がある。また、粘度の増大により取り扱い性も困難となる。
[ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法]
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。
ポリエーテル化合物(B)の製造方法としては、例えば、以下が挙げられる。
撹拌、温度調節が可能で、アルキレンオキサイドチャージタンク、窒素供給管、圧力調整バルブの付いたオートクレーブ内に、出発原料アルコール(一価アルコール及び/又は二価アルコール)をアルカリ触媒(例えば、苛性カリや苛性ソーダ)と共に投入し、混合系内を窒素置換した後、80〜130℃にて1〜3時間脱水操作を行う。次いで、所望の比率となるよう、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイド(AO)をゲージ圧力0.0〜0.45MPa、反応温度80〜180℃で投入して(EO、POを同時に投入するとランダム型、交互に投入するとブロック型)、付加重合反応を行う。その後得られたポリエーテル化合物を回収する。このようにしてポリエーテル化合物(B)を合成することができる。なお、ポリエーテル化合物の重量平均分子量を大きくするために、出発原料アルコールの代わりに回収したポリエーテル化合物を使用して、上記と同様な工程を2〜5回繰り返し行ってもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法としては、ポリエーテル化合物(B)の製造方法と同様の操作で行うことができる。例えば、下記一般式「ROH」で示される一価アルコールに対して、所望の比率となるよう、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを供給してランダム付加反応させる工程(以後、1段目という)と、1段目の後にプロピレンオキサイドのみを供給する工程(以後、2段目という)を、1段目から2段目まで連続して行ってもよいし、一度各工程で得られた付加物を回収して、引き続き反応を行ってもよい。
ポリエーテル化合物(B)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造に使用する一価アルコールとしては、コストや反応性の点から、脂肪族の一価アルコールが好ましい。一価アルコールは、1級アルコール又は2級アルコールが好ましく、1級アルコールがさらに好ましい。また、一価アルコールからヒドロキシル基を除いた残基である炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でもよく、飽和でも不飽和でもよい。一価アルコールの炭素数は、繊維用処理剤としての平滑性の点から、1〜30が好ましく、4〜22がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。
当該一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナオール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘネイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール及びトリアコサノール等の直鎖アルコール;2−エチルヘキサノール、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、1−メチルヘプタデカノール、2−ヘキシルオクタノール、1−ヘキシルヘプタノール、イソデカノール、イソトリデカノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール等の分岐アルカノール;ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール、ドコセノール、テトラコセノール、ペンタコセノール、ヘキサコセノール、ヘプタコセノール、オクタコセノール、ノナコセノール及びトリアコンセノール等の直鎖アルケノール;イソヘキセノール、2−エチルヘキセノール、イソトリデセノール、1−メチルヘプタデセノール、1−ヘキシルヘプテノール、イソトリデセノール及びイソオクタデセノール等の分岐アルケノール等が挙げられる。これらのアルコールは、1種又は2種以上を併用してもよい。アルコール製品の具体例としては、特に限定はないが、例えば、ヤシアルコール、パームアルコール等の天然油脂由来の高級アルコールや、カルコールシリーズ(花王製)、コノールシリーズ(新日本理化製)、オキソコールシリーズ(協和発酵ケミカル製)、ネオドールシリーズ(シェル化学製)、ALFOLシリーズ(Sasol製)、EXXALシリーズ(エクソン・モービル製)等が挙げられる。これら高級アルコール製品は、1種又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ブタノール、オクタノール、ノナオール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、オクタデセノールが好ましく、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オクタデセノールが好ましい。
ポリエーテル化合物(B)の製造に使用する二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングルコール、ブチレングリコール、ノナンジオール等の炭素数2〜9のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングルコール、トリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエーテル化合物(B)を生産するための反応の容易さやコストの点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングルコールが好ましい。
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒としては、特に限定はないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の水酸化物;酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の酸化物;金属カリウム、金属ナトリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属の水素化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ(土類)金属の炭酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の硫酸塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の芳香族スルホン酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物;鉄粉、アルミニウム粉、アンチモン粉、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化コバルト(III)、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、臭化アンチモン(III)、四塩化スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル等のルイス酸;硫酸、過塩素酸等のプロトン酸;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の過塩素酸塩;カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド等のアルカリ(土類)金属のアルコキシド;カリウムフェノキシド、カルシウムフェノキシド等のアルカリ(土類)金属のフェノキシド;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、ゼオライト等の珪酸塩;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、金属イオン添加酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等のAl−Mg系複合酸化物又はそれらの表面改質物、ランタノイド系錯体等が挙げられる。これらの触媒は、1種又は2種以上を併用してもよい。
触媒の使用量については、特に限定はないが、アルコール100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜8重量部、さらに好ましくは0.01〜6重量部、特に好ましくは0.05〜5重量部、最も好ましくは0.05〜3重量部である。触媒の使用量が0.001重量部未満であると付加反応が十分に進行しないことがある。一方、触媒の使用量が10重量部超であるとポリオキシアルキレンアルキルエーテルが着色し易くなるおそれがある。
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法では、アルコール、触媒等の原料を反応容器に仕込み、そしてその反応容器に対して脱ガス処理や脱水処理が行われると好ましい。脱ガス処理は、たとえば、減圧脱気方式、真空脱気方式等で行われる。また、脱水処理は、たとえば、加熱脱水方式、減圧脱水方式、真空脱水方式等で行われる。
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法では、その製造形式については特に限定はなく、連続式でもバッチ式でもよい。反応容器については、特に限定はないが、たとえば、攪拌翼を備えた槽型反応容器やマイクロリアクター等を挙げることができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法では、付加反応を減圧状態から開始してもよいし、大気圧の状態から開始してもよいし、さらには加圧状態から開始してもよい。大気圧状態や加圧状態から開始する場合には不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。付加反応が不活性ガスの雰囲気下で行われるとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドと酸素との副反応等に起因して生成する不純物を十分に除去することが可能となり、また、安全性の観点からも有用であるので好ましい。不活性ガスとしては特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスは1種又は2種以上を併用してもよい。不活性ガスの雰囲気下における反応容器内の酸素濃度については、特に限定はないが、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは3体積%以下、特に好ましくは1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。反応容器内の酸素濃度が10体積%超であると不純物を十分に除去できないことがあり、また安全性の観点からも好ましくないことがある。
反応容器内の初期圧力については、特に限定はないが、たとえば、ゲージ圧で好ましくは0〜0.50MPa、より好ましくは0〜0.45MPa、さらに好ましくは0〜0.40MPa、特に好ましくは0〜0.35MPa、最も好ましくは0〜0.30MPaである。反応容器内の初期圧力が0MPa未満であると、不純物の発生量が多くなることがある。一方、反応容器内の初期圧力が0.50MPa超であると、反応速度が遅くなることがある。
付加反応時の反応容器内の圧力は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの供給速度、反応温度、触媒量等に影響される。付加反応時の反応容器内の圧力は特に限定はないが、ゲージ圧で好ましくは0〜5.0MPa、より好ましくは0〜4.0MPa、さらに好ましくは0〜3.0MPa、特に好ましくは0〜2.0MPa、最も好ましくは0.1〜1.0MPaである。付加反応時の反応容器内の圧力が0MPa未満であると、反応速度が遅くなることがある。一方、付加反応時の反応容器内の圧力が5.0MPa超であると、製造が困難であることがある。
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応の反応温度としては特に限定はないが、好ましくは70〜240℃、より好ましくは80〜220℃、さらに好ましくは90〜200℃、特に好ましくは100〜190℃、最も好ましくは110〜180℃である。反応温度が70℃未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応温度が240℃超であると、得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの着色及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル中のポリオキシアルキレン基の分解が促進されることがある。
上記付加反応に要する時間(反応時間)については特に限定はないが、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.1〜80時間、さらに好ましくは0.1〜60時間、特に好ましくは0.1〜40時間、最も好ましくは0.5〜30時間である。反応時間が0.1時間未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応時間が100時間超であると、生産効率が悪くなることがある。
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの供給が完了すると反応容器内の内圧はエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが消費されることにより徐々に低下していく。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応は内圧の変化が認められなくなるまで継続することが好ましい。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応は一定時間における内圧の変化が認められなくなった時点で反応を終了する。必要に応じて加熱減圧操作等を実施し、未反応のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを回収してもよい。
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応においては、必要に応じて不活性溶媒を用いることができる。たとえば、アルコールとしてトリアコンセノール等の常温で固体のものを用いる場合には反応前に予め不活性溶媒に溶解して用いることが好ましく、これにより反応性をより十分に向上できるとともに、ハンドリング性が高い。また、不活性溶媒を用いると除熱効果も期待できる。
不活性溶媒としては特に限定はないが、たとえば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;スルホラン、ジメチルスルホンホキシド等のスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。なかでも、芳香族炭化水素類が好ましく、より好ましくはトルエンである。
不活性溶媒の使用量としては、特に限定はないが、アルコールを溶解するのに使用する場合には、アルコール100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは10〜300重量部、最も好ましくは10〜200重量部である。不活性溶媒の量がアルコール100重量部に対して1000重量部超であると、付加反応を十分に進行させることができないことがある。一方、不活性溶媒の量が10重量部未満であると、アルコールを十分に溶解することができないことがある。なお、不活性溶媒を使用した場合には、付加反応後に除去することが好ましい。不活性溶媒の除去によって、不活性溶媒の残存に起因する不純物の発生を十分に防ぐことができ、各種物性により優れたポリオキシアルキレンアルキルエーテルを得ることができる。溶媒の除去工程については、後述するとおりである。
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの付加反応の終了後は、必要に応じて、触媒を中和及び/又は除去したり、不活性溶媒を除去したりすると好ましい。
触媒の中和は、通常の方法により行えばよいが、たとえば、触媒がアルカリ触媒である場合は、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸を添加して行うことが好ましい。
触媒の中和は不活性ガスの雰囲気下で行われると好ましい。不活性ガスとしては、特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。
触媒の中和時の温度としては、特に限定はないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは60〜180℃、特に好ましくは60〜170℃、最も好ましくは60〜160℃である。触媒の中和時の温度が50℃未満であると、中和に要する時間が長くなることがある。一方、触媒の中和時の温度が200℃超であると、得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの着色及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル中のポリオキシアルキレン基の分解が促進されることがある。
触媒の中和により、上記付加反応により得られる反応生成物のpHが好ましくは4〜10に調整され、さらに好ましくは5〜8、特に好ましくは6〜8である。また、触媒中和の際に、必要に応じて、キノン類やフェノール類等の酸化防止剤を併用することもできる。
中和により生成した中和塩は、さらに固液分離してもよい。中和により生成した中和塩の固液分離の方法としては、濾過や遠心分離等が挙げられる。濾過は、たとえば、濾紙、濾布、カートリッジフィルター、セルロースとポリエステルとの2層フィルター、金属メッシュ型フィルター、金属焼結型フィルター等を用いて、減圧又は加圧下で温度20〜140℃の条件下で行うとよい。遠心分離は、たとえば、デカンターや遠心清澄機等の遠心分離器を用いて行うとよい。また、必要に応じて、固液分離前の液100重量部に対して水を1〜30重量部程度添加することもできる。上記固液分離として、特に濾過を行う際には、濾過助剤を使用すると濾過速度が向上するので好適である。
濾過助剤としては、特に限定はないが、たとえば、セライト、ハイフロースーパーセル、セルピュアの各シリーズ(Advanced Minerals Corporation製)、シリカ#645、シリカ#600H、シリカ#600S、シリカ#300S、シリカ#100F(中央シリカ社製)、ダイカライト(グレフコ社製)等の珪藻土;ロカヘルプ(三井金属鉱業社製)、トプコ(昭和化学社製)等のパーライト;KCフロック(日本製紙社製)、ファイブラセル(Advanced Minerals Corporation製)等のセルロース系濾過助剤;サイロピュート(富士シリシア化学社製)等のシリカゲル等が挙げられる。これらの濾過助剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
濾過助剤は、予め濾紙等のフィルター面に濾過助剤層を形成するプレコート法を用いてもよいし、濾液に直接添加するボディーフィード法を用いてもよいし、これら両方を併用してもよい。濾過助剤の使用量としては、固液分離前の液100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部である。また、濾過処理速度は、濾面の大きさ、減圧度又は加圧度、処理湿度等にも依存するが、好ましくは100kg/m・hr以上、より好ましくは300kg/m・hr以上であり、さらに好ましくは、500kg/m・hr以上である。
触媒の除去については、特に限定はないが、たとえば、触媒を吸着剤に吸着させた後、固液分離する方法が好ましい。
吸着剤としては、たとえば、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩、活性白土、酸性白土、シリカゲル、イオン交換樹脂等が挙げられる。市販の吸着剤としては、たとえば、キョーワード600、700(協和化学社製)、ミズカライフP−1、P−1S、P−1G、F−1G(水澤化学社製)、トミタ−AD600、700(富田製薬社製)等の珪酸塩;アンバーリスト(ローム・アンド・ハース社製)やアンバーライト(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン(三菱化学社製)、ダウエックス(ダウケミカル社製)等のイオン交換樹脂等が挙げられる。これらの吸着剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
吸着剤の使用量は、たとえば、触媒100重量部に対して、好ましくは100〜5000重量部、より好ましくは300〜3000重量部である。
触媒の除去条件としては、特に限定はないが、たとえば、減圧、常圧又は加圧のいずれかの圧力条件下において、吸着剤を温度20〜140℃で5〜120分間攪拌混合した後、触媒が吸着された吸着剤を上記固液分離方法により分離する方法や、予めカラム等に吸着剤を充填しておいて、温度20〜140℃で反応混合物を通過させて触媒を吸着させて、触媒を除去する方法等が挙げられる。この際、さらに必要により、反応混合物100重量部に対して、水やエタノールに代表される低級アルコール等の水溶性溶剤を1〜20重量部添加してもよい。
触媒の除去後の残存量については、特に限定はないが、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
不活性溶媒の除去は、たとえば、蒸留により行うことが好ましい。
なお、触媒の中和及び/又は除去と不活性溶媒の除去とを行う場合、各工程の順序は特に限定はなく、たとえば、触媒の中和及び/又は除去を行った後に、不活性溶媒の除去を行うと、得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの精製効率に優れるために好ましい。
ポリエーテル化合物(B)及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の製造方法において、未反応で残存するアルコールの含有量としては、特に限定はないが、得られるポリエーテル化合物(B)又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)100重量部に対して、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.01重量部以下、さらに好ましくは0.001重量部以下、特に好ましくは0.0001重量部以下、最も好ましくは0.00001重量部以下である。未反応で残存するアルコールの含有量が、ポリエーテル化合物(B)又はポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)100重量部に対して1重量部超であると、臭気が発生することがある。
[合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤]
本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤に必須に含有される、化合物(A)とポリエーテル化合物(B)とを必須に含有することにより、処理剤の極圧潤滑性と油膜強度が向上し、製糸工程や加工工程で発生する毛羽・断糸の低減が更に可能となる。
これら両成分を含有する際の、化合物(A)とポリエーテル化合物(B)との重量比(A/B)は、0.1/99.9〜50/50が好ましく、0.5/99.5〜40/60がより好ましく、1/99〜35/65がさらに好ましく、5/95〜20/80が特に好ましい。重量比(A/B)が0.1/99.9未満の場合、極圧潤滑性不足となることがあり、重量比(A/B)が50/50超の場合、油膜強度不足となることがある。
処理剤の不揮発分に占める化合物(A)の重量割合は、0.1〜50重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましく、1.0〜15重量%がさらに好ましく、3.0〜10重量%が最も好ましい。該重量割合が0.1重量%未満では、極圧潤滑性不足となる可能性がある。一方、該重量割合が50重量%超では、平滑性や集束性が劣る可能性がある。
なお、本発明における不揮発分とは、処理剤を105℃で熱処理して溶媒等の揮発分を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
処理剤の不揮発分に占めるポリエーテル化合物(B)の重量割合は、10〜90重量%が好ましく、20〜85重量%がより好ましく、30〜80重量%が更に好ましく、35〜70重量%が最も好ましい。該重量割合が10重量%未満では、処理剤の熱劣化物がタール化しヒーター汚染になる可能性がある。一方、該重量割合が90重量%超では、処理剤の粘度が高くハンドリング性が劣る可能性がある。
処理剤の不揮発分に占めるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の重量割合は、1〜50重量%が好ましく、3〜45重量%がより好ましく、5〜40重量%が更に好ましく、8〜35重量%が最も好ましい。該重量割合が1重量%未満では、油膜強度不足となる可能性がある。一方、該重量割合が50重量%超では、処理剤のエマルション粘度が高くなり、繊維への均一付着性が劣る可能性がある。
処理剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)を含有する場合、処理剤の不揮発分に占めるポリエーテル化合物(B)とポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の合計の重量割合は、11〜90重量%が好ましく、25〜85重量%がより好ましく、40〜80重量%がさらに好ましく、55〜75重量%が特に好ましい。
一般に仮撚り加工糸(Draw Texturing Yarn;以下DTYと略す)は、摩擦仮撚り用処理剤を付与して部分配向糸(Partially Oriented Yarn;以下POYと略す)を生産した後、次に加熱装置(ヒーター)により糸条を加熱し、仮撚り装置にて糸条に撚りを与えながら延伸することで得られる。
この時、処理剤の付着量が多いほど、仮撚り加工の工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の問題を抑えられるが、加熱装置(ヒーター)上への処理剤の脱落量が増大する。そのため、処理剤によってヒーターが汚れてしまい、ヒーター清掃のために多大な時間と労力を要し、生産性の低下につながってしまう。よって、処理剤の付着量が通常、(原料)合成繊維に対して、1.0重量%であるのに対して、処理剤の付着量は、0.25〜0.80重量%と低く設計されている。以上のことから、処理剤は、その合成繊維への付着量が低いため、なお更繊維に対する極圧潤滑性や油膜強度が重要であることが分かる。
また近年、この方式を用いた加工糸の種類として、付加価値の高い、細デニール糸や、フルダル糸、ブライト異型断面糸といった特殊糸の生産が増える傾向にある。一般にこれらの特殊糸は、繊維とローラー、繊維とガイド、繊維と仮撚りユニット、繊維どうしの間で生じる摩擦に起因した、繊維の張力変動・集束不良・制電不良等の問題が発生し易いことが知られている。そのような特殊糸銘柄は、繊維屑も発生し易いため、高品質の仮撚り加工糸を生産性よく得ることができなかった。
すなわち、近年生産が増えてきた毛羽・断糸・白粉・染色斑の起こり易い銘柄に対して、充分な毛羽・断糸・白粉・染色斑の抑制及びヒーターに蓄積する汚れを防止する点において、満足のいく結果には至っていなかった。
本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤は、処理剤の極圧潤滑性及び油膜強度の向上により、合成繊維の仮撚り加工糸の生産において、仮撚り加工の工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の加工欠点を低減させることができ、更にはヒーターの清掃周期も延長させることが可能となる。
また、本発明の処理剤は、下記一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)をさらに含有することが好ましい。
Figure 2016035725
(但し、式(4)中、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。f及びgは、各々の平均付加モル数を示し、f=1〜50、g=1〜100である。[(PO)/(EO)]はfモルのPOとgモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加、ブロック及びランダム付加とブロック付加の組み合わせのいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。)
このように化合物(A)及びポリエーテル化合物(B)に加え、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)を含有することにより、処理剤の粘度が低下し、処理剤を繊維に均一に付着させることができる。その結果、製糸工程や加工工程で発生する毛羽・断糸の低減が更に可能となる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)を含有する場合の、ポリエーテル化合物(B)とポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)との重量比(B:D)は、20:80〜99:1が好ましく、40:60〜95:5がより好ましく、55:45〜90:10がさらに好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)を含有する場合、処理剤の不揮発分に占めるポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)の重量割合は、1〜50重量%が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%が更に好ましく、5〜20重量%が最も好ましい。1重量%未満では、処理剤の付着性や潤滑性が劣る可能性があり、50重量%超では、処理剤のエマルションの曇点が低くなり、処理剤が分離する可能性がある。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)は、上記で説明した一般式(2)で表されるポリエーテル化合物(B)を脂肪酸でエステル化した構造をもつ化合物である。従って、一般式(4)のf、gは、一般式(2)のa、bにそれぞれ対応する。つまり、fはaに、gはbに対応する。一般式(4)のf、gの好ましい範囲についても、一般式(2)のa、bと同様である。
は、脂肪酸(RCOOH)からカルボキシル基を除いた残基である。Rの炭素数は、好ましくは3〜23、より好ましくは5〜19、さらに好ましくは7〜17である。Rの1級のアルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。
ポリエーテル化合物(B)をエステル化するための脂肪酸(RCOOH)としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、リグノセリン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、1種又は2種以上を併用してもよい。脂肪酸製品の具体例としては、特に限定はないが、例えば、ルナックシリーズ(花王製)が挙げられる。これらの中でも、潤滑性の観点から、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸がより好ましい。
一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、上記で説明したように、ポリエーテル化合物(B)を製造した後、公知の方法に従い、脂肪酸(RCOOH)でエステル化することにより、一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)を製造することができる。
また、本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、潤滑剤、乳化剤、浸透剤、制電剤等を必要に応じて含有してもよい。処理剤の不揮発分に占めるこれら潤滑剤、乳化剤、浸透剤、制電剤等の合計の重量割合は、繊維の集束性向上や油膜強化といった特性をより発現させる点から、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が最も好ましい。
潤滑剤としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。例えば、メチルオレート、ブチルパルミテート、ブチルステアレート、ブチルオレート、イソオクチルラウレート、イソオクチルパルミテート、イソオクチルステアレート、イソオクチルオレート、ラウリルオレート、イソトリデシルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソステアリルオレート、オレイルオクタノエート、オレイルラウレート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルオレート等の脂肪酸エステル化合物(一価アルコールと一価カルボン酸とのエステル);ジエチレングリコールジラウレート、ジエチレングリコールジオレート、ヘキサメチレングリコールジラウレート、ヘキサメチレングリコールジオレート、ネオペンチルグリコールジラウレート、トリメチロールプロパントリカプリレート、トリメチロールプロパントリラウレート、トリメチロールプロパントリパルミテート、トリメチロールプロパントリオレート、グリセリントリオレート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトールテトラオレート等の多価アルコールと一価カルボン酸とのエステル;ジオレイルマレート、ジイソトリデシルアジペート、ジセチルアジペート、ジオレイルアジペート、ジオクチルセバケート、ジラウリルセバケート、ジステアリルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジステアリルアゼレート、ジオクチルフタレート、トリオクチルトリメリテート等の多価カルボン酸と一価アルコールとのエステル;ネオドール23(Shell製の合成アルコール)にエチレンオキサイドを2モル付加した物とラウリン酸とのエステル、ネオドール23にエチレンオキサイドを2モル付加した物とアジピン酸とのジエステル、イソトリデシルアルコールにプロピレンオキサイドを2モル付加した物とラウリン酸とのエステル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックもしくはランダム共重合体の両末端もしくは一方の末端がカルボン酸で封鎖された重合体等、アルキレンオキサイドを付加したアルコールとカルボン酸とのエステル等を挙げることができる。これらの潤滑剤は必要に応じて2種類以上のものを適宣併用することができる。
処理剤の不揮発分に占める潤滑剤の重量割合は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましく、0〜3重量%がさらに好ましく、0重量%が特に好ましい。該重量割合が10重量%超だと、先述した発煙の問題、更には熱劣化物がヒーター上にタールやオイルドロップの形で堆積されやすくなり、糸道の汚染へと繋がってしまう。本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤であれば、エステル化合物のような潤滑剤を多量に配合使用することなく、仮撚り加工の工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の加工欠点を充分に低減させることができ、ヒーターの清掃周期も延長させることができる。
処理剤をエマルション化するために、繊維への付着性を補助するために、又は処理剤を付着させた繊維から処理剤を水洗し得るようにするために、乳化剤、浸透剤を使用してもよい。乳化剤、浸透剤としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。例えば、重量平均分子量が300以上1000未満である、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を挙げることができる。さらに、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールジオレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等の非イオン界面活性剤等、さらに、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド等の含窒素系の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。これらの乳化剤、浸透剤は必要に応じて単独又は2種類以上のものを適宣併用する事ができる。処理剤の不揮発分に占める乳化剤、浸透剤の重量割合は、特に限定はないが、0.1〜40重量%が好ましく、0.1〜30重量%がさらに好ましい。なおこれらの乳化剤、浸透剤は、繊維糸条に制電性を付与したり、潤滑性や集束性を与えたりするために用いても構わない。
制電剤としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。例えば、アルキルリン酸エステル(以下ホスフェートと略記する)の金属塩/又はアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルホスフェートの金属塩/又はアミン塩、アルカンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキルイミダゾリニウム塩、第4アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤;等を挙げることができる。これらの制電剤は必要に応じて単独又は2種類以上のものを適宣併用する事ができる。処理剤の不揮発分に占める制電剤の重量割合は、特に限定はないが、0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。
以上述べた潤滑剤、乳化剤、浸透剤、制電剤等の成分以外にも、必要に応じて、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤等の成分を用いても構わない。
本発明の処理剤は、一般には、輸送コストや処理剤の安定性の観点から、処理剤に占める不揮発分の重量割合が80重量%以上の処理剤として、合成繊維フィラメントに付与する工場に移送される。本発明の処理剤は、処理剤の安定性が非常によく、外観不良や成分の分離を防止できる。その結果、合成繊維に処理剤が均一に付着し、製糸工程や加工工程で発生する問題を大幅に改善できる。
本発明の処理剤は、さらに外観調整剤を含有することが好ましい。外観調整剤とは、処理剤の安定性を向上させることができる。外観調製剤は、合成繊維の製造工程で、熱処理により揮発・除去される成分である。処理剤全体に占める外観調整剤の重量割合は、0.1〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がさらに好ましい。外観調整剤の重量割合が20重量%超だと、繊維用処理剤としての性能が悪化し、合成繊維の仮撚り加工糸の生産において、仮撚り加工工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の加工欠点を低減させることができず、むしろ加工欠点の増加をもたらすおそれがある。
外観調整剤としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。外観調製剤としては、水や低級アルコールが挙げられる。例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、ブチルジグリコール等を挙げることができる。これらの中でも、水、エチレングリコール、グリセリンが好ましい。外観調製剤は必要に応じて単独又は2種類以上のものを適宣併用することができる。
本発明の処理剤は、不揮発分のみからなる前述の成分で構成されていてもよく、不揮発分と外観調整剤とから構成されてもよく、不揮発分を低粘度鉱物油で希釈したものでもよく、水中に不揮発分を乳化した水系エマルションであってもよい。水中に不揮発分を乳化した水系エマルションの場合、不揮発分の濃度は5〜20重量%が好ましく、6〜15重量%がより好ましく、8〜12重量%がさらに好ましい。
本発明の処理剤の製造方法については、特に限定なく、公知の方法を採用することができる。処理剤は、通常、構成する前記の各成分を任意の順番で混合することによって製造される。
[合成繊維フィラメント糸条]
本発明の合成繊維フィラメント糸条は、本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤を(原料)合成繊維フィラメント糸状に付着させたものであり、合成繊維の仮撚り加工糸の生産において、仮撚り加工の工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の加工欠点を低減させることができ、ヒーターの清掃周期も延長させることができる。処理剤の不揮発分の付着量は、(原料)合成繊維フィラメントに対して、0.1〜0.8重量%が好ましく、0.2〜0.7重量%がより好ましく、0.3〜0.6重量%がさらに好ましい。
(原料)合成繊維フィラメントに本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤を付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用することできる。通常、合成繊維フィラメントの紡糸工程又は延伸工程で付与され、(原料)合成繊維フィラメントに対して、不揮発分のみからなる処理剤、不揮発分を低粘度鉱物油で希釈した処理剤、又は水中に不揮発分を乳化した水系エマルション処理剤をローラーオイリング、ガイドオイリング等で給油する方法等が挙げられる。
本発明の処理剤は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維の仮撚り加工用途に特に適している。ポリエステル繊維としては、エチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PET)、トリメチレンエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PTT)、ブチレンエチレンテレフタレートを主たる構成単位とするポリエステル(PBT)、乳酸を主たる構成単位とするポリエステル(PLA)等が挙げられ、ポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66等が挙げられ、ポリオレフィン繊維としては、ポリプロピレン等が挙げられる。
[仮撚り加工糸の製造方法]
本発明の仮撚り加工糸の製造方法は、前述の本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤を付着させた合成繊維フィラメント糸条を加熱して、延伸し、仮撚り加工する工程を含むものであり、仮撚り加工の工程で発生する毛羽・断糸・白粉・染色斑の加工欠点を低減させることができ、ヒーターの清掃周期も延長させることができる。仮撚り加工の方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、WO2009/034692号公報に記載された方法等が挙げられる。
仮撚り加工条件としては、特に制限しないが、より効果を発揮できる点から、熱源の熱板に直接合成繊維フィラメント糸条を接触させて加熱する接触タイプ(熱板接触加熱方式)の仮撚り加工機を用いて仮撚り加工を行うことが好ましい。かかる熱板接触加熱方式の仮撚り加工機とは、ヒーター温度が160〜230℃、ヒーター長は150〜250cmであり、合成繊維フィラメント糸状が、ヒータープレートの表面と接触して走行するもののことである。加工速度は、通常500〜1000m/min、好ましくは600〜800m/minであるが、本発明の処理剤を用いることで、加工速度の向上が可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、ここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、文中及び表中に示されるパーセント(%)は特に限定しない限り、「重量%」を示す。実施例及び比較例において、各評価は以下に示す方法に基づいて行った。
(実施例1)
表5に記載の配合成分を混合撹拌して、実施例1の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤を調製した。次に、調製した処理剤に水を加え、不揮発分の重量割合が10重量%となる水系エマルションを調製した。次いで、エクストルーダーで口金から吐出、冷却固化された、酸化チタン含有量2.5%のポリエチレンテレフタレートフルダル糸条に対して、メタリングポンプ装置を用いたガイドオイリング方式にて、処理剤の不揮発分の付着量が0.6重量%となるよう水系エマルションを付与し、89デシテックス/72フィラメントのPOYを紡糸し、2800m/minの速度で巻き取ることで、10kg捲きチーズを得た。次に、得られたPOYを用いて、熱板接触加熱方式である仮撚り加工機にて、下記の仮撚り加工条件で、延伸仮撚り加工を10日間連続運転して行い、仮撚り加工糸(DTY)を得た。サージングスピード、仮撚り加工断糸、接触ヒーター汚染、白粉発生量、編地染色班、発煙量の評価については、下記の方法にて行った。その結果を表5に示す。
<仮撚り加工条件>
熱板接触加熱方式である仮撚り加工機の延伸仮撚り条件
仮撚り加工機:帝人製機(株)製 HTS−15V
加工速度:800m/min
延伸比(DR):1.60
撚り掛け装置:3軸ディスク摩擦方式 1−5−1
(ガイドディスク1枚−ワーキング(ポリウレタン)ディスク5枚−ガイドディスク1枚)
ディスク速度/糸速度(D/Y):1.75
オーバーフィード率:3%
第一ヒーター(加撚側)温度:210℃
第二ヒーター(解撚側)温度:室温
加工日数:10日間
<サージングスピード>
初期延伸仮撚り加工速度800m/minからスタートし、10分経過した時点で30mずつ加工速度を上昇させた(800→830→860m/min)。そして張力を計測するモニターに異常が観測されたときの加工速度を、サージングスピードとした。サージングスピードが高いほど、高品位な仮撚り加工糸を高効率で生産することが可能となる。
<仮撚り加工断糸>
延伸仮撚り加工を行った後、断糸回数を以下のように評価した。断糸回数が多いほど、毛羽も発生しやすくなる。
◎:0回
○:1〜2回
△:3〜4回
×:5回以上
<接触ヒーター汚染>
延伸仮撚り加工を行った後、ヒーターの汚染状況を目視により、以下のように評価した。
◎:ヒーターが汚れていない。
○:ヒーターが一部分のみ汚れている。
△:ヒーターが半分ほど汚れている。
×:ヒーターが全部汚れている。
<白粉発生量>
延伸仮撚り加工を行った後、仮撚りディスクと、その周辺の白粉発生量を目視により、以下のように評価した。
◎:10日間加工後に白粉なし。
○:10日間加工後に一部白粉あり。
△:5日間加工後白粉が発生、堆積。
×:加工開始から白粉が発生、堆積。
<編地染色班>
延伸仮撚り加工を行った後、得られた加工糸を(株)小池機械製作所製の丸編み機で筒編みを作製し、ポリエステル編地の染色処理を行った。得られた編地の染色性を、以下のように評価した。
◎:染色斑無し
○:染色斑が1〜2ヶ所有る
△:染色斑が3ヶ所以上認められる
×:染色斑が多く有り、染色筋も認められる
<発煙量>
先に記載した仮撚り加工条件(加工速度800m/min)において、第一ヒーター出口側から排出される1分間あたりの発煙量(Count per minute;CPM)を、柴田科学(株)製デジタル粉塵計(Fume Counter)で5回測定し、その平均値を算出した。数値が少ない程、発煙の発生量が少ないことを示す。
(実施例2〜18、比較例1〜12)
表5〜7に記載の各例の配合成分に変更して合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤を調製する以外は実施例1と同様にして、評価した。その結果を表5〜7に示す。
なお、表5〜7に記載の化合物(A)であるA−1〜A−7の詳細は表1に示す。表1では、一般式(1)で示される化合物(A)のR、R、AO、m+nを示している。
Figure 2016035725
また、表5〜7に記載のポリエーテル化合物(B)であるB−1〜B−5は、以下の製造例B−1〜B−5で得られたものを用いた。
<製造例B−1>
撹拌、温度調節が可能で、アルキレンオキサイドチャージタンク、窒素供給管、圧力調整バルブの付いた2Lのオートクレーブ内に、原料アルコールとしてSAFOL23(SASOL社製合成アルコール)190gと、アルカリ触媒である苛性カリ1.5gを仕込んだ。オートクレーブ内を窒素置換した後、撹拌しながら100〜110℃にて1時間脱水操作を行った。次に、所望のモル比率となるよう、プロピレンオキサイド638gとエチレンオキサイド660gの混合物を、ゲージ圧力0.0〜0.45MPa、反応温度140〜150℃で投入して、約10時間付加重合反応を行った。その後得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテルを乳酸2.3gで中和処理し回収した。このようにして、ポリエーテル化合物(B)であるB−1を得た。
<製造例B−2〜B−5>
表2に記載の各例の原料アルコールと、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル数と付加方法を変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリエーテル化合物(B)であるB−2〜B−5を得た。
なお、表2のRは、原料アルコールに一価アルコールを用いた場合のアルキル基の炭素数を示す。また、原料アルコールに二価アルコールを用いた場合は、Rは水素原子となる。
Figure 2016035725
また、表5〜7に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)であるC−1〜C−10としては、以下の製造例C−1〜C−10で得られたものを用いた。
<製造例C−1>
撹拌、温度調節が可能で、アルキレンオキサイドチャージタンク、窒素供給管、圧力調整バルブの付いた4Lのオートクレーブ内に、原料アルコールとしてオクタノール130gと、アルカリ触媒である苛性カリ5.9gを仕込んだ。オートクレーブ内を窒素置換した後、撹拌しながら100〜110℃にて1時間脱水操作を行った。次に、所望のモル比率となるよう、1段目として、プロピレンオキサイド580gとエチレンオキサイド2640gの混合物を、2段目として、プロピレンオキサイド116gを、ゲージ圧力0.0〜0.45MPa、反応温度140〜150℃で投入して、約14時間付加重合反応を行った。その後得られたポリオキシアルキレンアルキルエーテルを乳酸8.3gで中和処理し回収した。このようにして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)であるC−1を得た。
<製造例C−2〜C−10>
表3及び表4に記載の各例の原料アルコールと、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル数を変更した以外は、製造例1と同様にして、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)であるC−2〜C−10を得た。
Figure 2016035725
Figure 2016035725
Figure 2016035725
Figure 2016035725
Figure 2016035725
表6に記載のポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)であるD−1〜D−6の詳細を以下に示す。以下では、一般式(4)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル(D)のR、f、g、エステル化に用いた脂肪酸(RCOOH)を順に示している。
D−1:R=12,13、f=2、g=6、ラウリン酸
D−2:R=8、f=2、g=6、カプリル酸
D−3:R=10、f=3、g=5、オレイン酸
D−4:R=12,13、f=2、g=6、カプリル酸
D−5:R=8、f=3、g=9、イソステアリン酸
D−6:R=18、f=2、g=7、ラウリン酸
表5〜7から分かるように、化合物(A)とポリエーテル化合物(B)を含有する本発明の処理剤を用いた実施例1〜18では、仮撚り加工時のサージングスピードが高速化でき、仮撚り加工断糸、接触ヒーター汚染、白粉発生量、編地染色斑及び発煙量が少なく、製糸性に優れる。
一方、比較例1〜12では、化合物(A)とポリエーテル化合物(B)を含有していないために、実施例で得られたような効果は得られない。
本発明の合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤は、繊維に及ぼす極圧潤滑性や油膜強度に優れているため、合成繊維用フィラメント生産時に、サージングスピードを上げ、毛羽・断糸が少ない高品質な繊維を得ることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される化合物(A)及び下記一般式(2)で示されるポリエーテル化合物(B)を含有する、合成繊維の摩擦仮撚り用処理剤。
    Figure 2016035725
    (但し、Rは炭素数3〜29のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2は炭素数4〜24のアルキル基又はアルケニル基を示す。AOは炭素数が2又は3のオキシアルキレン基を示す。m及びnはAOの平均付加モル数を示し、m+nが1〜25を満たす数である。)
    Figure 2016035725
    (但し、Rは、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数1〜30のアルケニル基を示す。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。a及びbは、各々の平均付加モル数を示し、a=1〜50、b=1〜100である。[(PO)a/(EO)b]はaモルのPOとbモルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加は、ランダム付加、ブロック付加及びランダム付加とブロック付加の組み合わせのいずれでもよく、ブロック付加の場合、POとEOの付加順序は問わない。)
  2. 前記化合物(A)と前記ポリエーテル化合物(B)との重量比(A/B)が0.1/99.9〜50/50である、請求項1に記載の処理剤。
  3. 処理剤の不揮発分に占める前記化合物(A)の重量割合が、0.1〜50重量%である、請求項1又は2に記載の処理剤。
  4. 処理剤の不揮発分に占める前記ポリエーテル化合物(B)の重量割合が、10〜90重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤。
  5. 前記ポリエーテル化合物(B)が、前記一般式(2)におけるPOとEOの付加がランダム付加及びブロック付加のいずれかであるポリエーテル化合物であり、
    下記一般式(3)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)をさらに含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の処理剤。
    Figure 2016035725
    (但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖又は分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。c、d及びeは、各々の平均付加モル数を示し、c=1〜50、d=1〜100、e=1〜20である。[(PO)/(EO)]はcモルのPOとdモルのEOとがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。)
  6. 処理剤の不揮発分に占める前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)の重量割合が、1〜50重量%である、請求項5に記載の処理剤。
  7. 前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(C)のPO/EOの付加割合(重量比)が1/99〜50/50であり、重量平均分子量が1000〜100000である、請求項5又は6に記載の処理剤。
  8. 前記合成繊維が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維又はポリオレフィン繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の処理剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の処理剤を原料合成繊維フィラメント糸条に付着させた、合成繊維フィラメント糸条。
  10. 請求項9に記載の合成繊維フィラメント糸条を加熱して、延伸し、仮撚り加工する工程を含む、仮撚り加工糸の製造方法。
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