JPWO2016027617A1 - 軸受構造、および、過給機 - Google Patents

軸受構造、および、過給機 Download PDF

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Abstract

軸受構造(7)は、中空の本体部(18a)と、本体部の外周面(18e)から内周面(18b)まで貫通し本体部(18a)の内部に潤滑油を導く油孔(18f)とを有し、ベアリングハウジング(2)内に固定された軸受ホルダー(18)と、軸受ホルダー(18)内において、シャフト(8)の軸方向に離隔して配置され、シャフト(8)を支持する2つのフルフローティングメタル(19、19)と、シャフト(8)の軸方向において2つのフルフローティングメタル(19、19)の外側にそれぞれ配された2つのスラスト軸受面(20b、21b)と、シャフト(8)の軸方向において2つのスラスト軸受面(20b、21b)の外側にそれぞれ配され、シャフト(8)に設けられた2つのカラー部(22、23)と、を備える。潤滑油は、フルフローティングメタル(19、19)を潤滑した後に、スラスト軸受面(20b、21b)を潤滑する。

Description

本発明は、フルフローティングメタル(軸受)によってシャフトが支持される軸受構造、および、過給機に関する。
従来、一端にタービンインペラが設けられ他端にコンプレッサインペラが設けられたシャフトが、ベアリングハウジングに回転自在に支持された過給機が知られている。こうした過給機をエンジンに接続し、エンジンから排出される排気ガスによってタービンインペラを回転させるとともに、このタービンインペラの回転によって、シャフトを介してコンプレッサインペラを回転させる。こうして、過給機は、コンプレッサインペラの回転に伴い空気を圧縮してエンジンに送出する。
特許文献1に記載の過給機は、シャフトを支持する軸受として2つのフルフローティングメタル(軸受)を用いている。2つのフルフローティングメタルは、ベアリングハウジング内に固定された軸受ホルダーに収容されている。軸受ホルダーよりもコンプレッサインペラ側には、スラスト荷重を受けるスラスト軸受が配置されている。ベアリングハウジングおよび軸受ホルダーには、潤滑油の油路が形成されている。油路は、2つのフルフローティングメタルおよびスラスト軸受に向かって分岐し、潤滑油は、各分岐路を通ってそれぞれの軸受に供給される。
特許第4407780号公報
ところで、コンプレッサインペラ側は、高温の排気ガスが流通するタービンインペラ側に比べて温度が低い。そのため、上記の特許文献1に記載のように軸受ホルダーを設ける構成において、スラスト軸受に供給される潤滑油は、比較的低温であり粘性が高い。このことから潤滑油の粘性抵抗による機械損失(メカニカルロス、メカロス)への影響が大きい。そこで、メカロスのさらなる低減が可能な機構の開発が希求されている。
本発明の目的は、潤滑油によるメカロスを低減することが可能な軸受構造、および、過給機を提供することである。
本発明の第1の態様は、両端にインペラが設けられたシャフトと、シャフトが収容され、内部に潤滑油を導く油路が形成されたハウジングとを備える過給機の軸受構造である。軸受構造は、外周面および内周面を有する中空の本体部と、本体部の外周面から内周面まで貫通し油路と連通して本体部の内部に潤滑油を導く油孔とを有し、ハウジング内に固定された軸受ホルダーと、軸受ホルダー内において、シャフトの軸方向において互いに離隔して配置され、シャフトを支持する2つのフルフローティングメタル(軸受)と、シャフトの軸方向において、2つのフルフローティングメタルの外側にそれぞれ配された2つのスラスト軸受面と、シャフトの軸方向において、2つのスラスト軸受面の外側にそれぞれ配され、シャフトに設けられた2つのカラー部と、を備えることを要旨とする。
スラスト軸受面を有し、軸受ホルダーと別体に設けられるとともに軸受ホルダーに固定されたスラスト軸受をさらに備えてもよい。
油孔は、軸受ホルダーの本体部の内周面側の開口部が、シャフトの軸方向における2つのフルフローティングメタルの間に位置し、2つのフルフローティングメタルは、円筒形状のメタル本体部と、メタル本体部の外周面から内周面まで貫通し内周面から外周面に向かって潤滑油を導く導油孔とを有してもよい。
油孔の本体部の外周面側の開口部は、ハウジングに形成された油路の軸受ホルダー側の開口部と、シャフトの周方向における位置が異なってもよい。
本発明の第2の態様は過給機であって、第1の態様に係る軸受構造を備えることを要旨とする。
本発明によれば、潤滑油によるメカロスを低減することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係る過給機の概略断面図である。 図2は、本実施形態に係る軸受構造を説明するための図である。 図3は、本実施形態における潤滑油の流れを説明するための図である。 図4は、本実施形態の変形例における潤滑油の流れを説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、過給機Cの概略断面図である。以下では、図1に示す矢印Lを過給機Cの左側を示す方向とし、矢印Rを過給機Cの右側を示す方向として説明する。図1に示すように、過給機Cは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、ベアリングハウジング2の左側に締結機構3によって連結されるタービンハウジング4と、ベアリングハウジング2の右側に締結ボルト5によって連結されるコンプレッサハウジング6と、を有する。これらは一体化されている。
ベアリングハウジング2のタービンハウジング4近傍の外周面には、突起2aが設けられている。突起2aは、ベアリングハウジング2の径方向に突出している。また、タービンハウジング4のベアリングハウジング2近傍の外周面には、突起4aが設けられている。突起4aは、タービンハウジング4の径方向に突出している。ベアリングハウジング2とタービンハウジング4は、突起2a、4aを締結機構3によってバンド締結して固定される。締結機構3は、突起2a、4aを挟持する締結バンド(例えばGカップリング)で構成される。
ベアリングハウジング2には軸受構造7が設けられている。具体的に、ベアリングハウジング2には、過給機Cの左右方向(シャフト8の軸方向)に貫通する貫通孔2bが形成されており、シャフト8は、貫通孔2b内において、軸受構造7によって回転自在に支持される。軸受構造7については後に詳述する。
シャフト8の左端部にはタービンインペラ9が一体的に固定されており、このタービンインペラ9がタービンハウジング4内に回転自在に収容されている。また、シャフト8の右端部にはコンプレッサインペラ10が一体的に固定されており、このコンプレッサインペラ10がコンプレッサハウジング6内に回転自在に収容されている。
コンプレッサハウジング6には、吸気口11が形成されている。吸気口11は、過給機Cの右側に開口し、エアクリーナ(図示せず)に接続する。また、締結ボルト5によってベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング6とが連結された状態では、両ハウジング2、6の、互いに対向する対向面が、空気を昇圧するディフューザ流路12を形成する。ディフューザ流路12は、シャフト8の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。ディフューザ流路12は、上記の径方向内側において、コンプレッサインペラ10を介して吸気口11に連通している。
また、コンプレッサハウジング6にはコンプレッサスクロール流路13が設けられている。コンプレッサスクロール流路13は環状に形成され、ディフューザ流路12よりもシャフト8(コンプレッサインペラ10)の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路13は、エンジンの吸気口(図示せず)に連通している。また、コンプレッサスクロール流路13は、ディフューザ流路12にも連通している。したがって、コンプレッサインペラ10が回転すると、空気は、吸気口11からコンプレッサハウジング6内に吸気され、コンプレッサインペラ10の翼間を流通する過程において遠心力の作用により増速され、ディフューザ流路12およびコンプレッサスクロール流路13で昇圧されてエンジンの吸気口に導かれる。
タービンハウジング4には吐出口14が形成されている。吐出口14は、過給機Cの左側に開口し、排気ガス浄化装置(図示せず)に接続する。また、タービンハウジング4には、流路15と、この流路15よりもシャフト8(タービンインペラ9)の径方向外側に位置する環状のタービンスクロール流路16とが設けられている。タービンスクロール流路16は、エンジンの排気マニホールド(図示せず)から排出される排気ガスが導かれるガス流入口(図示せず)に連通する。また、タービンスクロール流路16は、流路15にも連通している。したがって、排気ガスは、ガス流入口からタービンスクロール流路16に導かれ、流路15およびタービンインペラ9を介して吐出口14に導かれる。この流通過程において、排気ガスはタービンインペラ9を回転させる。タービンインペラ9の回転力は、シャフト8を介してコンプレッサインペラ10に伝達され、これによりコンプレッサインペラ10は回転する。空気は、コンプレッサインペラ10の回転力によって昇圧され、エンジンの吸気口に導かれる。
図2は、軸受構造7を説明するための図であり、図1の破線部分を抽出して示す。図2に示すように、軸受構造7は、ベアリングハウジング2の貫通孔2bに収容された軸受ホルダー18を含んでいる。軸受ホルダー18は、中空形状(円筒形状)の本体部18aを有し、貫通孔2bに本体部18aが圧入されることで、ベアリングハウジング2に固定されている。また、本体部18aにはシャフト8が挿通されている。
本体部18aの内周面18bには2つの環状突起18c、18cが形成されている。2つの環状突起18c、18cは、シャフト8の軸方向において互いに離隔している。各環状突起18cは、内周面18bから軸受ホルダー18の径方向内側に突出し、環状を形成するように軸受ホルダー18の周方向に延伸している。また、内周面18bには2つの大径部18d、18dが設けられている。各大径部18dは、シャフト8の軸方向において、2つの環状突起18c、18cよりも外側に設けられている。即ち、一方の大径部18dは、環状突起18c、18cよりもタービンインペラ9側(本体部18aにおける一方の端部側)に設けられ、他方の大径部18dは環状突起18c、18cよりもコンプレッサインペラ10側(本体部18aにおける他方の端部側)に設けられている。大径部18dは、本体部18aの内周面18bのうち、内周面18bの他の部位よりも大きい内径を有する部位である。
本体部18aには油孔18fが形成されている。油孔18fは、本体部18aの外周面18eから内周面18bまで貫通し、本体部18aの内部に潤滑油を導く。油孔18fは、本体部18aの内周面18b側の開口が、2つの環状突起18c(後述する2つのフルフローティングメタル19)の間に位置している。
また、ベアリングハウジング2には油路2cが設けられている。油路2cは、ベアリングハウジング2の外部から貫通孔2bまで潤滑油を導く。油路2cと油孔18fは貫通孔2bを介して連通している。従って、潤滑油は、ベアリングハウジング2の外部から、油路2cおよび油孔18fを通って、軸受ホルダー18の本体部18aの内部に供給される。
本体部18aの内側には、2つのフルフローティングメタル(軸受)19、19が配置されている。2つのフルフローティングメタル19、19は、シャフト8の軸方向において互いに離隔している。2つのフルフローティングメタル19、19は、軸受ホルダー18の環状突起18c、18cよりも外側(即ち、本体部18aの何れかの端部側)に位置し、かつ、軸受ホルダー18の大径部18d、18dよりも内側(即ち、本体部18aの中心側)に位置する。
フルフローティングメタル19は、円筒形状のメタル本体部(軸受本体部)19aを有する。メタル本体部19aにはシャフト8が挿通されている。フルフローティングメタル19は、径方向におけるシャフト8と軸受ホルダー18との隙間に位置している。
メタル本体部19aには導油孔19dが形成されている。導油孔19dは、メタル本体部19aの外周面19bから内周面19cまで貫通している。導油孔19dは、例えば、メタル本体部19aの周方向に離隔して複数設けられており、メタル本体部19aの内周面19cから外周面19bに向かって潤滑油を導く。フルフローティングメタル19は、メタル本体部19aの内周面19cおよび外周面19bに導かれた潤滑油の油膜圧力によって、シャフト8を回転自在に支持する。そして、フルフローティングメタル19は、シャフト8の回転に伴う潤滑油の流れによって、シャフト8より低速で回転する(所謂連れ回り)。
潤滑油は、油孔18fを介して軸受ホルダー18の本体部18aの内部に導かれ、その後、フルフローティングメタル19のメタル本体部19aの内周面19c側および外周面19b側に供給される。このとき、メタル本体部19aの内周面19c側に導かれた潤滑油の一部は、導油孔19dを介して、メタル本体部19aの外周面19b側にも導かれる。
軸受ホルダー18における2つの大径部18d、18dには、それぞれ、スラスト軸受20、21が嵌め込まれる。スラスト軸受20、21は、円板形状を有する部材である。スラスト軸受20の中心には、スラスト孔20aが形成されている。スラスト孔20aは、シャフト8の軸方向にスラスト軸受20を貫通している。スラスト軸受21の中心には、スラスト孔21aが形成されている。スラスト孔21aは、シャフト8の軸方向にスラスト軸受21を貫通している。シャフト8は、これらスラスト孔20a、21aに挿通される。そして、スラスト軸受20、21は、大径部18dに圧入されることで、軸受ホルダー18の本体部18aに固定されている。2つのフルフローティングメタル19は、環状突起18cとスラスト軸受20、21によって、軸方向の移動が規制されている。
カラー部22、23は、2つのスラスト軸受20、21に対し、シャフト8の軸方向の外側にそれぞれ配置される。換言すれば、カラー部22、23は、シャフト8の軸方向において、対をなすスラスト軸受20、21の両側に位置する。カラー部22は、シャフト8と一体に形成された環状突起である。カラー部22の外径は、スラスト軸受20のスラスト孔20aの内径よりも大きい。
カラー部23は、シャフト8とは別体に設けられた環状部材である。カラー部23は、シャフト8の軸方向に貫通するカラー孔23aを有する。カラー孔23aには、シャフト8が挿通される。シャフト8は、スラスト軸受21に挿通される部位と、カラー部23が挿通される部位とを含む。カラー部23が挿通される部位は、スラスト軸受21に挿通される部位よりも外径が小さい。このシャフト8の外径差によって、シャフト8には段差面8aが形成される。段差面8aは、シャフト8の径方向に延在する。
カラー部23は、スラスト軸受20側に形成された端面23bを有する。カラー部23をシャフト8に組み付ける際には、この端面23bが段差面8aに当接する位置まで、シャフト8がカラー部23のカラー孔23aに挿通される。その後、カラー部23が、段差面8aとコンプレッサインペラ10に挟み込まれてシャフト8に固定される。
スラスト軸受20は、カラー部22に対向する面として形成されるスラスト軸受面20bを有する。また、スラスト軸受21は、カラー部23に対向する面として形成されるスラスト軸受面21bを有する。すなわち、2つのカラー部22、23は、2つのスラスト軸受面20b、21bに対し、シャフト8の軸方向の外側にそれぞれ配されている。更に換言すれば、2つのカラー部22、23は、シャフト8の軸方向において、対をなすスラスト軸受面20b、21bの両側に位置する。
シャフト8に、図2中の右側に向かうスラスト荷重が作用すると、カラー部22と、スラスト軸受20のスラスト軸受面20bとの間に潤滑油の油膜圧力が生じて、スラスト軸受20が潤滑油を介してカラー部22からのスラスト荷重を受ける。
一方、シャフト8に、図2中の左側に向かうスラスト荷重が作用すると、カラー部23と、スラスト軸受21のスラスト軸受面21bとの間に潤滑油の油膜圧力が生じて、スラスト軸受21が潤滑油を介してカラー部23からのスラスト荷重を受ける。
このとき、スラスト軸受20、21は軸受ホルダー18に固定されて非回転状態なのに対し、カラー部22、23は回転状態である。以下、図3を用いて、軸受構造7における潤滑油の流れを説明する。
図3は、本実施形態における潤滑油の流れを説明するための図である。図3に示すように、潤滑油は、油路2cから貫通孔2bに供給され、その後、油孔18fを通って、軸受ホルダー18の内部に流入する。このとき、本体部18aの外周面18e側に位置する油孔18fの開口部18gは、一例として、図3では本体部18aの下側に位置している。一方、軸受ホルダー18側に位置する油路2cの開口部2dは、図3において、本体部18aの上側の部位に対向している。
すなわち、油孔18fの開口部18gは、油路2cの開口部2dと、シャフト8の周方向における位置が異なる。その結果、油路2cから貫通孔2bに供給された潤滑油に、仮に異物が混入するようなことがあっても、油孔18fから軸受ホルダー18の本体部18aの内部への異物の進入を抑えることができる。
そして、潤滑油は、油孔18fから軸受ホルダー18の本体部18aの内部に流入し、シャフト8と環状突起18cとの隙間を通って2つのフルフローティングメタル19に導かれる。その後、フルフローティングメタル19の内周面19cを潤滑した潤滑油の一部は、導油孔19dを通って外周面19bも潤滑する。また、潤滑油の一部は、内周面19cを介さずに直接、外周面19bを潤滑する。
こうして、2つのフルフローティングメタル19を潤滑した後の潤滑油は、スラスト軸受20、21の両スラスト軸受面20b、21bを潤滑する。
従来の潤滑油の供給機構では、スラスト軸受に供給される潤滑油は、比較的低温であり粘性が高いことから、潤滑油の粘性抵抗によるメカロスへの影響が大きい。本実施形態では、潤滑油は、フルフローティングメタル19を潤滑することで昇温され、粘性は低くなる。粘性の低い潤滑油が、2つのスラスト軸受20、21に供給されるので、潤滑油によるメカロスが低減される。特に、コンプレッサインペラ10側は、タービンインペラ9側よりも温度が低いことから、フルフローティングメタル19による潤滑油の昇温に伴うメカロスの低減効果が高い。
また、ベアリングハウジング2にスラスト軸受20、21が固定される構成と違って、本実施形態では、軸受ホルダー18にスラスト軸受20、21が固定される。このことから、ベアリングハウジング2の加工工数を削減できる。さらに、例えば、潤滑油の供給経路が単純化され、潤滑油の供給経路を形成するための加工が容易となる。また、スラスト軸受20、21を軸受ホルダー18に圧入して固定することから、ネジ固定などに比べネジ穴の加工などを削減できる。
図4は、本実施形態の変形例における潤滑油の流れを説明するための図である。図4に示すように、変形例の軸受構造37においては、油孔38fは、2つのフルフローティングメタル19それぞれの径方向外側に形成されている。油孔38fは、シャフト8の周方向に複数設けられる。
そして、潤滑油は、複数の油孔38fを介して、フルフローティングメタル19に導かれ、フルフローティングメタル19の外周面19b側を潤滑するとともに、一部が導油孔19dを介して内周面19c側に導かれて内周面19cを潤滑する。その後、潤滑油は、スラスト軸受20、21のスラスト軸受面20b、21bを潤滑する。
このように、変形例においても、上述した実施形態と同様、フルフローティングメタル19を潤滑して昇温した潤滑油が、スラスト軸受面20b、21bを潤滑する。従って、メカロスを低減することができる。
なお、図3に示す実施形態では、図4に示す変形例とは逆に、潤滑油は、フルフローティングメタル19の導油孔19d内を、メタル本体部19aの内周面19cから外周面19bに向かって流れる。そのため、遠心力によって、導油孔19dを流れる潤滑油の流れが促進され、比較的潤滑油が不足しやすい外周面19b側へ十分に潤滑油を供給することができる。
また、2つのフルフローティングメタル19を、シャフト8の軸方向の外側からスラスト軸受20、21が挟み込んでいるので、2つのフルフローティングメタル19の双方において油圧が高まる。その結果、2つのフルフローティングメタル19にバランスよく潤滑油を供給することができる。
上述した実施形態およびその変形例では、軸受ホルダー18の本体部18aは、ベアリングハウジング2の貫通孔2bに圧入されることで、ベアリングハウジング2に固定される。しかし、例えば、ピンなどによって固定することで、軸受ホルダー18の本体部18aについて、シャフト8の軸方向の移動を規制してもよい。また、ベアリングハウジング2への軸受ホルダー18の固定方法は、例えば、圧入とピンなど、複数の固定手段を併用してもよい。この場合、ベアリングハウジング2への軸受ホルダー18の固定力を高めることができる。軸受ホルダー18の本体部18aは、シャフト8の軸方向の両端側それぞれにおいて、貫通孔2bに圧入されてもよいし、いずれか一方のみ貫通孔2bに圧入されてもよく、エンジンの運転条件などによって、任意に選択できる。しかし、例えば、コンプレッサ側、タービン側のいずれか一方のみが圧入されている場合は、軸受ホルダー18とベアリングハウジング2との接触面積を減らすことで、シャフト8の回転に伴う振動のベアリングハウジング2への伝搬を抑制することができる。また、例えば、コンプレッサ側のみが圧入されている場合は、タービン側から軸受ホルダー18を介してフルフローティングメタル19へ過大な熱が伝搬することを抑えることができる。
また、上述した実施形態では、油孔18fの開口部18gは、油路2cの開口部2dと、シャフト8の周方向において位置が異なっている。しかしながら、例えば、油孔18fの開口部18gは、油路2cの開口部2dと対向する位置に配されてもよい。
また、上述した実施形態およびその変形例では、スラスト軸受20、21は、軸受ホルダー18と別体に形成され、軸受ホルダー18に固定されている。しかし、スラスト軸受20、21のいずれか一方または双方を、軸受ホルダー18と一体形成してもよい。例えば、軸受ホルダー18の端面によって、カラー部22、23を介してスラスト荷重を受けるといった具合に、軸受ホルダー18の一部を、スラスト軸受面20b、21bとして機能させる構成であってもよい。また、この場合、例えば、2つのフルフローティングメタル19の外側における軸方向の移動を規制するために、リーテーニングリングなどの規制部材を別に設けてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、フルフローティングメタルによってシャフトが支持される軸受構造、および、過給機に利用することができる。

Claims (5)

  1. 両端にインペラが設けられたシャフトと、前記シャフトが収容され、内部に潤滑油を導く油路が形成されたハウジングとを備える過給機の軸受構造であって、
    外周面および内周面を有する中空の本体部と、前記本体部の前記外周面から前記内周面まで貫通し前記油路と連通して前記本体部の内部に潤滑油を導く油孔とを有し、前記ハウジング内に固定される軸受ホルダーと、
    前記軸受ホルダー内において、前記シャフトの軸方向において互いに離隔して配置され、前記シャフトを支持する2つのフルフローティングメタルと、
    前記シャフトの軸方向において、前記2つのフルフローティングメタルの外側にそれぞれ配された2つのスラスト軸受面と、
    前記シャフトの軸方向において、前記2つのスラスト軸受面の外側にそれぞれ配され、前記シャフトに設けられた2つのカラー部と、
    を備えることを特徴とする軸受構造。
  2. 前記スラスト軸受面を有し、前記軸受ホルダーと別体に設けられるとともに前記軸受ホルダーに固定されたスラスト軸受をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の軸受構造。
  3. 前記油孔は、前記軸受ホルダーの本体部の内周面側の開口部が、前記シャフトの軸方向における前記2つのフルフローティングメタルの間に位置し、
    前記2つのフルフローティングメタルは、円筒形状のメタル本体部と、前記メタル本体部の前記外周面から前記内周面まで貫通し前記内周面から前記外周面に向かって潤滑油を導く導油孔とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の軸受構造。
  4. 前記油孔の前記本体部の外周面側の開口部は、前記ハウジングに形成された前記油路の前記軸受ホルダー側の開口部と、前記シャフトの周方向における位置が異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受構造。
  5. 前記請求項1から4のいずれか1項に記載の軸受構造を備えることを特徴とする過給機。
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