JPWO2016017814A1 - 紡糸用麻繊維の製造方法及び紡糸用麻繊維 - Google Patents

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Abstract

タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に、原料麻繊維を、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間浸漬する浸漬処理工程と、浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程と、水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程と、を含む、紡糸用麻繊維の製造方法。

Description

本発明は、紡糸用麻繊維の製造方法及び紡糸用麻繊維に関する。
近年、地球環境上の温暖化現象が問題となり、人間の着衣に対しても涼感に優れた素材が求められ、繊維市場において、天然素材であって、さらっとした感触を有する麻素材の人気が高まり、麻繊維の布としての需用は拡大している。
麻と同じ天然のセルロース繊維である綿繊維は、「ワタ」と呼ばれる植物の種に由来し、繊維自体は柔軟であり、紡糸性、加工性に優れている。他方、麻は、布の作製に使用される原料部位は、植物の葉や茎である。葉や茎はセルロースで形成され、リグニン等の成分が繊維間に存在しているため、繊維素材としての強度は高いものの、硬く、繊維表面が平滑であり、加工が困難であったり、加工して得られた布の感触がざらついて感触は悪化したりすることがある。
麻繊維等のセルロース繊維の感触を改良する技術としては、例えば、セルロース系繊維織物の表面をセルロース分解酵素で処理し、その後、強アルカリ水溶液で処理する方法が提案されている(例えば、特開平5−247852号公報参照)。
この方法は、麻等のセルロース繊維からなる織物表面の触感を改良することを課題とする技術であり、紡糸用の糸等の繊維原料の加工用途については考慮されていない。
麻繊維は、高強度であるが剛直である。このため、麻繊維を紡糸し、得られた麻糸で織物、編み物に、織ったり編んだりする加工を行なおうとする場合、麻繊維は表面が平滑であるため、一般に使用される撚り糸を製造するための紡糸装置に掛かりにくく、紡糸時の繊維の歩留まりが低く、繊維の脱落や糸切れが起こり易く、生産性が低いという問題がある。また、麻繊維は剛直であるため、細径の撚り糸、糸の太さが一定の撚り糸等が得難く、これらの麻糸を使用した織物、編物の製造においても生産性が低下する要因となっている。
麻等の植物の葉及び茎を割いて繊維原料にする方法は、歴史的には古代から行われている。その方法としては、麻繊維を細く裂き、セルロースの繊維細胞間のリグニン等の物質を除去して柔軟にするため、繊維を砧で叩いたり、繊維を漉いたりという物理的手段を適用する方法が古来行なわれていた。
近年でも、麻繊維を紡績する前に、麻繊維をローラー間で圧縮する等の方法がとられているが、十分な紡糸時の歩留まりを達成してはいないのが現状である。また、強アルカリや強酸によりセルロース繊維を処理すると柔軟性が付与されることが知られてはいるが、繊維の強度を著しく低下させるため、現実的ではない。
従って、現在流通している麻繊維製品は、麻繊維からなる糸の不均一さに起因する独特の感触を特徴とするものが多く、綿のように柔軟で汎用性の高い麻の撚り糸や麻布の提供が望まれている。
麻繊維を改質する方法として、麻繊維を、セルロース分解酵素を含有する処理液で処理することで、麻繊維のセルロース間に存在するペクチン、リグニン等を除去する方法が提案され、この処理により、皮膚刺激性が少なく、紡績性に優れた麻繊維を得ることができると開示されている(例えば、特開平1−139874号公報参照)。
しかしながら、特開平5−247852号公報に記載の加工技術は、繊維を織ったり、編んだりして得られた布帛の表面加工に関する技術であり、紡糸に適する繊維の処理について考慮されたものではない。
一方、特開平1−139874号公報には、セルロース分解酵素により綿や麻等の植物繊維中のリグニン等を除去して柔軟性を保たせることが記載され、且つ、麻繊維の先端を溶解することで、先端を丸めて角を取り麻繊維の皮膚刺激を抑える効果があると記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、セルロース分解酵素の使用は、綿繊維についてはある程度の効果は認められるものの、麻繊維の表面を一般的な紡糸装置を用いた紡糸に適する状態まで加工するには至っていないことが確認された。
このように、従来の麻繊維の処理技術では、布帛の表面の感触等が改良されるものの、布帛を構成する繊維の物性を、紡糸装置を用いた紡糸に適する状態にまで調整しうるものではなく、工業的に高い生産性で紡糸しうる麻繊維の製造方法は未だ得られていないのが現状である。
本発明の一つの実施形態の課題は、簡易な処理により、柔軟で、高い生産性で紡糸しうる紡糸用麻繊維の製造方法を提供することにある。本発明の別の実施形態の課題は、紡糸性に優れた麻繊維を提供することにある。
上記課題の解決手段は、以下の実施形態を含む。
<1>タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に、原料麻繊維を、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間、浸漬する浸漬処理工程と、浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程と、水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程と、を含む、紡糸用麻繊維の製造方法。
<2> 前記処理液が、アルカリ剤を含有する、<1>に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
<3> 前記処理液のpHが9以上13以下である、<1>又は<2>に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
<4> 前記水洗工程の後に、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム及びシアヌール酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と水とを含有する後処理液に、水洗された麻繊維を浸漬し、60℃〜100℃の温度条件下で、20分間〜50分間保持する後処理工程を有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の紡糸用麻繊維。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の紡糸用麻繊維の製造方法により得られた、原料麻繊維に比較して繊維径が細く、捻れがあり、繊維表面に微細な起毛を有する紡糸用麻繊維。
本発明の一つの実施形態によれば、簡易な処理により、柔軟で、高い生産性で紡糸しうる紡糸用麻繊維の製造方法を提供することができる。別の実施形態によれば、紡糸性に優れた麻繊維を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[紡糸用麻繊維の製造方法]
本発明の一実施形態である紡糸用麻繊維の製造方法は、タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液(以下、酵素処理液と称することがある)に、原料麻繊維を浸漬し、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間加温する浸漬処理工程(以下、酵素処理工程と称することがある)と、浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程(以下、水洗工程と称することがある)と、水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程(以下、乾燥工程と称することがある)と、を含む。
なお、本明細書において「原料麻繊維」とは、紡糸用麻繊維の製造方法における各処理を施す前の、紡糸用麻繊維の原料である麻繊維を指す。
本実施形態の作用は明確ではないが、以下のように考えている。
本実施形態の製造方法により、タンパク質、デンプン等を分解しうる特定の酵素を含む酵素処理液を加温して、加温した酵素処理液に麻繊維を浸漬処理することにより、麻繊維が膨潤して水分が浸透しやすくなる。酵素処理液が繊維を膨潤させるに伴い、繊維間に水分と共に酵素が浸入して留まることにより、セルロース間に存在するリグニン等も膨潤して除去されやすい状態となり、繊維が柔軟になる。酵素処理した繊維を水洗し、乾燥することで、セルロース間に存在したリグニン等が除去され、セルロース間の空隙が固定化される。このため、麻繊維の表面においては、セルロース間のリグニン等が除去された箇所には微細な起毛が生成され、また、麻繊維の中心部では、微細な中空部分が形成され、フィブリル化が進行することになり、酵素処理液への浸漬処理後の水洗、乾燥に伴って、繊維に捻れが生じる。このため、表面に起毛があり、柔軟で捻れのある、紡糸装置に掛り易い麻繊維が製造されるものと推定される。
本実施形態に使用される酵素自体は、セルロースを溶解しない酵素であり、このため、酵素の使用により繊維強度が低下する懸念がない。
なお、本実施形態は上記推定機構には何ら制限されない。
以下、本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法について、工程順に説明する。
<浸漬処理工程>
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法では、まず、原料麻繊維を、タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に浸漬処理する。
(麻繊維)
通常、麻繊維とは、苧麻と亜麻を指すが、本明細書における麻繊維はこれら狭義の麻繊維に限定されない。
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法を適用しうる原料麻繊維としては、いずれの麻繊維でもよい。本明細書における麻繊維は、例えば、以下に示す植物麻に由来する麻繊維のいずれをも包含する意味で用いられる。
具体的には、例えば、桑科アサ属大麻(cannabis sativa、ヘンプとも称される)、アマ科アマ属亜麻(Linum usitatissimum)、イラクサ科苧麻(ちょま、Boehmeria nivea var. nipononivea、ラミー、カラムシとも称される)、アオイ科フヨウ属ケナフ(Hibiscus cannabinus、洋麻(ヨウマ)とも称される)、シナノキ科シナソ属コウマ(Corchorus capsularis)、シナノキ科シナソ属アイマツナド(Corchorus olitorius)、バショウ科バショウ属マニラアサ(Musa textilis)、アオイ科アンバリ麻、ガンボ麻、ボンベイ麻、リュウゼツラン科リュウゼツラン属サイザル麻(Agave sisalana)、キャビナス、ニュージランドアマ、リュウゼツラン科マオラン(Phormium tenax)、チャイナグラス、シナノキ科シナソ属タイワンツナソ(シマツナソとも称される、Corohorus Olitorius)等が挙げられる。
また、コウマ或いはシマツナソから得られる麻繊維であるジュートも、本明細書における麻繊維に含まれる。
既述の麻繊維のなかでも、工業的スケールでの生産性、原料の入手容易性の観点から、ヘンプ、ラミー、亜麻等に本実施形態の製造方法を適用することが好ましい。
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法は、剛直なセルロース繊維であるシチトウイ、芭蕉風、バナナの葉、月桃の葉、茎、パピルス、カポックコウゾ、ミツマタ、ガンピ、柳、竹、ハスの樹皮、茎、葉等から得られる繊維等にも有効ではあるが、特に麻繊維に用いることで、生産性の向上効果が著しい。
植物から麻繊維を得る方法には特に制限はなく、公知の方法を適用できる。通常は、原料となる植物(麻)を、水、及び酸等の薬品を含有する水溶液に浸漬し、繊維筋を取り出し、水洗、乾燥して麻繊維を得る。
(麻繊維の前処理)
本実施形態の製造方法においては、原料麻繊維を、まず、加工を容易にするために長さ2cm〜20cm程度に切断する。長さは原料として用いる麻繊維の特性に応じて適宜決定すればよく、2cm〜15cm程度に切断することが好ましい。
本実施形態の製造方法によれば、長繊維の原料麻繊維を用いても柔軟性、加工性を向上できることから、従来は、3.5cm〜5.5cmの切断長が多かったところ、例えば、7cm〜13cmに切断された原料麻繊維も好適に使用しうる。一般に、繊維長が長いほど、麻繊維に起因する皮膚刺激がより効果的に抑制され、紡糸装置への適用性がより向上する。
原料麻繊維の長さは、例えば、ヘンプであれば、8cm〜12cm程度、ラミーであれば、3cm〜6cm程度、アマであれば、2cm〜5cm程度がより好ましいが、これに制限されるものではない。
切断された原料麻繊維を水に浸漬し、その後、酵素を含有する酵素処理液に浸漬することが好ましい。
原料麻繊維は、酵素を含有する処理液に浸漬する前に、予め洗浄してもよく、原料麻繊維の汚れを除去するために水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ剤を含有する水溶液(以下、アルカリ剤含有水溶液と称することがある)に浸漬し、その後、水洗処理してもよい。原料麻繊維の前処理に使用するアルカリ剤含有水溶液は、繊維に付着した汚れを除去することを目的とするため、アルカリ剤の濃度は3質量%〜10質量%であることが好ましい。洗浄を目的とする原料麻繊維のアルカリ剤含有水溶液への浸漬は、アルカリ剤含有水溶液を加温せず、水溶液の調製に用いられた水の温度である10℃〜25℃前後の温度で行なってもよく、アルカリ剤含有水溶液を80℃程度の温度まで加温して行ってもよい。浸漬時間は、水溶液を加温しない場合には、40分間〜120分間程度であることが好ましく、加温した場合には、20分間〜40分間程度であることが好ましい。
以下、浸漬処理工程に用いられる酵素処理液に含まれる成分について説明する。
(タンパク質分解酵素、及び、デンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素)
浸漬処理工程に使用される酵素処理液の調製に用いる酵素としては、以下に挙げるタンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素が好ましい。
[A]タンパク質分解酵素
タンパク質分解酵素としては、システインプロテアーゼに分類されるタンパク質分解酵素であれば、いずれも本発明に使用することができる。
タンパク質分解酵素としては、具体的には、例えば、パイナップル等に含有されるプロメライン(パイナップル酵素と称することがある)、キウイに含まれるアクチニジン、イチジクに含まれるフィシン、パパイヤに含まれるパパイン等が挙げられる。なかでも、プロメライン、パパインが効果の観点から好ましい。
タンパク質分解酵素は、試薬、或いは、化粧品、食品等に用いられるパパイヤ酵素パウダー等として入手可能である。また、タンパク質分解酵素は、酵素を含む果実等を発酵させたり、果実の生果汁から抽出したりして得ることができる。
市販品としては、例えば、BROMELAIN 1000GPU(商品名、Jarrow Formulas社)、BROMELAINパウダー(商品名、Life Extension quality Supplements and Vitamins.Ink社)等が挙げられる。これら市販品の酵素は、錠剤、粉末の形状をとるものであり、水等の溶媒に溶解して酵素処理液に使用することができる。
[B]デンプン加水分解酵素
デンプン加水分解酵素としては、アミラーゼ、ジアスターゼ等が挙げられる。
デンプン加水分解酵素は、試薬として入手可能である。
(溶媒)
酵素処理液の溶媒としては水を用いることが好ましい。溶媒としては、水のみを用いてもよい。溶媒である水に、繊維の柔軟化を目的として、さらに、クエン酸等を、全溶媒に対し2質量%〜10質量%含有させることができる。
(添加剤)
酵素処理液には、前記酵素と水を含む溶媒の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、目的に応じて種々の添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、アルカリ剤等が挙げられる。酵素の麻繊維への浸透を促進するという観点から、酵素処理液にはアルカリ剤を含有させることが好ましい。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸ナトリウム、石灰等が挙げられる。アルカリ剤は水溶液の形態で酵素処理液に添加してもよい。
酵素処理液にアルカリ剤を含有させ、pHを9以上13以下、より好ましくは11以上13以下とすることで、原料麻繊維への酵素の浸透性が向上し、さらに、アルカリ剤によるリグニン等の溶解性がより向上するため、得られた麻繊維の柔軟性がより向上し、表面起毛の発生が促進される。
また、アルカリ剤を併用することで、酵素処理液への浸漬時間が短くても、好適な紡糸用麻繊維が得られるという利点をも有することになる。
(酵素処理液の調製)
原料麻繊維に対して質量比で5倍〜20倍の溶媒を容器に入れ、液温を60℃〜100℃として、タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素から選ばれる酵素を添加し、十分撹拌することで、酵素処理液を調製する。所望により用いられる添加剤を酵素処理液に含有させる時期は任意であり、酵素の添加前であってもよく、酵素の添加後であってもよく、酵素と同時に含有させてもよい。
酵素処理液には、既述の酵素を1種又は2種以上含有させることができる。
酵素処理液中の酵素の総含有量は、原料麻繊維100質量部に対して3質量部〜10質量部であることが好ましく、繊維100質量部に対して3質量部〜5質量部であることがより好ましい。
(浸漬処理)
所望により洗浄等の前処理を行なった原料麻繊維を、調製した酵素処理液に浸漬する。
酵素処理液の液温を60℃〜100℃の温度条件に維持したまま、切断した原料麻繊維を30分間〜60分間浸漬する。
効果の観点からは、浸漬時の酵素処理液の液温は、70℃〜90℃であることがより好ましい。浸漬時間は、35分間〜60分間であることがより好ましい。
浸漬時に麻繊維と酵素とを十分に接触させ、繊維間への酵素処理液の浸透を促進させるため、酵素処理液を撹拌しながら麻繊維を浸漬することが好ましい。
そのような観点から、麻繊維の酵素浸漬処理は、撹拌装置の付いた容器又は装置を用いて行なうことが好ましい。浸漬時の温度条件を維持しつつ、撹拌を行えるとの観点から、浸漬処理に公知の染色機であるワッシャー機、パドル機、オーバーマイヤー機等を用いることも好ましい態様である。
また、酵素処理液に対し、気体を供給してバブリングを行うことで麻繊維への処理液の浸透を促進することもできる。
浸漬処理は、温度調節機能が付いた容器、或いは装置を用いて行なうことも好ましい態様ではあるが、特にこれには限定されない。酵素処理液の温度調節は、容器外部からの加熱、投げ込みヒータなどよる加熱等の公知の方法により行なうことができる。
<水洗工程>
酵素処理液への浸漬を行なった麻繊維は、酵素処理液を入れた容器から取り出して水洗工程に付す。
水洗工程で用いる水洗液は、水のみを含む水洗液であってもよく、所望により水に加え、公知の添加剤を含む水洗液であってもよい。
水洗工程における水は、水道水を使用してもよい。
水洗工程では、麻繊維を十分に水洗して、繊維表面や繊維中の空隙に残存する処理液、アルカリ剤等を除去する。
水洗工程に使用する水洗液は、界面活性剤を含有することができる。水洗液が界面活性剤を含有することで、繊維間に残存する成分を除去する洗浄効果がより向上する。界面活性剤を含有する水洗液にて洗浄した後、さらに、界面活性剤を含有しない水洗液を用いて水洗し、繊維から界面活性剤を除去することが好ましい。
水洗は、流水により行なってもよく、水を入れた容器中で撹拌して行なってもよい。水洗を容器中で行なう場合には、少なくとも1回〜2回、水を換えて行なうことが好ましい。
<後処理工程>
水洗工程の後、酵素処理液が除去された麻繊維を後述する乾燥工程に付す。
乾燥を行なう前に、後処理工程を行うことが好ましく、後処理工程を行なうことで、酵素により膨潤することで形成された麻繊維の空隙や起毛状態が固定化され、紡糸により適する物性を有する麻繊維を得ることができる。
後処理は、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム及びシアヌール酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、後処理剤と称することがある)と、水と、を含有する後処理液に、水洗した麻繊維を浸漬し、液温を60℃〜100℃に維持しながら、20分間〜50分間保持することにより行なわれる。
ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びシアヌール酸ナトリウムは、染料安定化剤として公知であり、市販品としても入手可能である。
後処理液には、後処理剤を1種のみ含んでもよく、2種含んでもよい。
後処理液における後処理剤の総含有量は、2質量%〜10質量%であることが好ましく、2質量%〜4質量%であることがより好ましい。
後処理工程の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
浸漬処理工程を経て酵素処理された麻繊維に、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム及びシアヌール酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種の化合物を適用することで、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、シアヌール酸ナトリウムが有する酸性基が、麻繊維に含まれる水分と水素結合性の相互作用を形成し、膨潤により形成された麻繊維内の空隙、麻繊維表面の起毛に結合してその形態を効果的に保持するものと考えている。
後処理工程を経た麻繊維は、水洗して後処理液を除去し、乾燥工程に付す。
<乾燥工程>
酵素処理液への浸漬処理工程、水洗工程、及び所望により行なわれる後処理工程を経た麻繊維を乾燥して、紡糸用麻繊維を得る。
繊維の乾燥は常法により行なうことができる。乾燥に用いる装置としては、例えば、公知のネットやベルトを使用したバンド型乾燥機、繊維用タンブラー乾燥機、赤外線を用いた非接触型ドーム式乾燥機、電子レンジ等の電磁波による乾燥機等を用いることができる。
乾燥温度は、雰囲気温度として90℃〜180℃程度が好ましい。電磁波による直接加熱乾燥の場合には、麻繊維の温度が約100℃に加熱される。
麻繊維は乾燥工程において絶乾状態まで乾燥する必要はなく、保存、或いは、紡糸装置に適用するのに支障のない程度の乾燥状態とすればよい。
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法により得られた麻繊維は、繊維間に存在する微細な空隙に起因して捩れが生じ、柔軟で、且つ、表面に多数の微細な起毛を有する。
このため、汎用の紡糸装置に適用した場合、繊維の脱落が抑制され、生産性よく麻繊維の撚り糸を得ることができる。
得られた紡糸用麻繊維は、常法に従い、カーデイングして、スライバーにしてから、紡糸装置に供される。
<紡糸用麻繊維>
上述した本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法により得られた紡糸用麻繊維は、原料麻繊維に比較して繊維径が細くなり、捩れがあり、繊維表面に微細な起毛を有する。
即ち、本実施形態の紡糸用麻繊維は、原料麻繊維に含まれていたリグニンなどが除去されることで合一していた細い繊維が分離した形状となり、原料麻繊維に比較して繊維径が細い繊維が観察される。また、繊維間に存在する微細な空隙に起因して捩れが生じ、伸縮性が付与され、柔軟で、且つ、表面に多数の微細な起毛を有するために、汎用の紡糸装置に適用した場合、繊維の脱落が抑制され、生産性よく、均一な太さの撚り糸が形成される。
紡糸用麻繊維の形状、外観、断面は、光学顕微鏡により観察することができる。光学顕微鏡により観察する際の倍率としては、300倍〜1500倍が好ましいが、特にこの倍率に制限されない。
例えば、紡糸用麻繊維の全体を観察する場合には、倍率300倍〜400倍程度で観察することが好適であり、表面の起毛状態、断面などの部分を観察する場合には、倍率1,000倍〜1,500倍程度で観察することが好適である。
本実施形態の紡糸用麻繊維の観察に用いた光学顕微鏡写真は、地方独立行政法人東京都産業技術研究センター 墨田支所 生活技術開発セクターに委託して撮影したものである。
本実施形態の紡糸用麻繊維は、従来の麻繊維には見られなかった柔軟性を有することから、従来の麻繊維に比較して細番手の均一な撚り糸を容易に得ることができる。
このため、従来、麻繊維で形成することが困難であった薄手で柔軟な被服、下着、スカーフ等の種々の最終製品への応用が可能となった。
以下、実施例を挙げて本実施形態を更に具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
原料麻繊維であるヘンプを長さ11cmに切断した。切断した麻繊維100gを準備した。
ステンレス製容器に水2kg(2リットル)を入れ、パイナップル酵素(Jarrow Formulas社、BROMELAIN 1000GPU(商品名)の錠剤を粉砕して得た粉末)5gを入れてよく撹拌し、酵素処理液Aを調製した。
酵素処理液Aを80℃に昇温し、酵素処理液A中に準備した麻繊維100gを浸漬し、80℃に液温を維持しながら30分間保持した。
その後、麻繊維を酵素処理液から取りだし、流水にて水洗し、軽く絞った後、20dのナイロンメッシュの袋に入れ、タンブラー乾燥機にて45分間乾燥し、実施例1の紡糸用麻繊維を得た。
目視で観察し、触感を官能評価したところ、加工前のヘンプ繊維に比較し、得られた実施例1の紡糸用麻繊維は、ソフトで嵩高性があり、感触が向上していることが確認された。
得られた実施例1の紡糸用麻繊維を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察したところ、繊維の側面では、割糸、裂糸による表面の起毛が観察され、糸がややねじれたカーブを生じていることが確認された。また、糸の断面の観察では、繊維に中空部が形成され、加工前よりも周縁が膨らんでいることが確認された。
[実施例2]
麻繊維であるヘンプを長さ11cmに切断した。切断した麻繊維100gを準備した。
ステンレス製容器に水2kg(2リットル)を入れ、実施例1で用いたのと同じパイナップル酵素5g、水酸化ナトリウム25質量%水溶液4gを入れてよく撹拌し、酵素処理液Bを調製した。
水酸化ナトリウムを加えた上記酵素処理液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の紡糸用麻繊維を得た。
目視で観察し、触感を官能評価したところ、加工前のヘンプ繊維に比較し、得られた実施例2の紡糸用麻繊維は、ソフトで嵩高性があり、感触が向上していることが確認された。
得られた麻繊維を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察したところ、繊維の側面では、割糸、裂糸による表面の起毛が観察され、糸がややねじれたカーブを生じていることが確認された。また、糸の断面の観察では、繊維に中空部が形成され、加工前よりも周縁が膨らんでいることが確認され、実施例1の紡糸用麻繊維と大きな差異は見られなかった。
[実施例3]
麻繊維であるヘンプを長さ11cmに切断した。切断した麻繊維100gを準備した。
ステンレス製容器に水2kg(2リットル)を入れ、実施例1で用いたのと同じパイナップル酵素5g、及びクエン酸3gを入れてよく撹拌し、酵素処理液Cを調製した。
酵素処理液Cに、準備したヘンプ100gを浸漬し、酵素処理液Cを直径2cmのステンレスの棒で撹拌しながら、10分掛けて昇温から80℃に昇温した。液温を80℃に維持し、撹拌を継続しながら30分間保持した。撹拌を開始して20分間経過したことから、酵素処理液C中のヘンプは、ワタ状に細かく分散し、ステンレスの撹拌棒にまとわりつくようになった。
30分間、浸漬及び撹拌した後、麻繊維を酵素処理液Cから取りだし、流水にて水洗し、軽く絞った後、20dのナイロンメッシュの袋に入れ、タンブラー乾燥機にて45分間乾燥し、実施例3の紡糸用麻繊維を得た。
得られた麻繊維を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察したところ、繊維の側面では、割糸、裂糸による表面の起毛が観察された。また、撹拌することで、実施例2で得た紡糸用麻繊維よりも、断面の細い繊維状に分割されており、表面の起毛が実施例2で得た紡糸用麻繊維に比較し、より多く観察された。
[実施例4]
大麻スライバー原糸を長さ10.5cmに切断したものを15g準備した。
ステンレス製容器に水500gを入れ、パパイヤ酵素(Life Extension quality Supplements and Vitamins.Ink社、パパイヤ酵素:商品名)2gを入れて十分に混合して酵素処理液Dを調製した。
酵素処理液Dに、準備した大麻スライバー原糸15gを浸漬し、酵素処理液Dを80℃に加温し、液温を80℃に維持しながら30分間保持した。
浸漬後、麻繊維を酵素処理液Dから取り出し、流水にて水洗し、軽く絞った後、20dのナイロンメッシュの袋に入れ、タンブラー乾燥機にて45分間乾燥し、実施例4の紡糸用麻繊維を得た。
得られた麻繊維を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察したところ、繊維の側面では、割糸、裂糸による表面の起毛が観察された。また、糸の断面の観察では、繊維に中空部が形成されており、加工前の原料麻繊維よりも細径の繊維からなる集合体の状態となっており、繊維の集合体の周縁は、原料麻繊維の繊維径よりも膨らんでいることが確認された。
[実施例5]
大麻スライバー原糸を長さ10.5cmに切断したものを15g準備した。
ステンレス製容器に水500gを入れ、実施例4で用いたパパイヤ酵素を2g入れて十分に混合して、実施例4におけるのと同じ酵素処理液Dを調製した。
酵素処理液Dに、準備した大麻スライバー原糸15gを浸漬し、酵素処理液Dを80℃に加温し、液温を80℃に維持しながら30分間保持した。
浸漬後、大麻スライバー原糸をステンレス製容器から引き上げ、ステンレス製容器に入っている酵素処理液を除き、容器を水洗した後、ステンレス製容器に新たな水500gと、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム2gと、を入れ、十分に撹拌して後処理液を調製した。
後処理液中に、酵素処理液Dから引き上げた大麻スライバー原糸を10g入れ、液温を60℃に加温して温度を60℃に維持しながらで20分浸漬し、後処理を行なった。
後処理工程後、麻繊維を流水にて水洗し、軽く絞った後、20dのナイロンメッシュの袋に入れ、タンブラー乾燥機にて45分間乾燥し、実施例5の紡糸用麻繊維を得た。
得られた麻繊維を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察したところ、繊維の側面では、割糸、裂糸による表面の起毛が観察された。また、糸の断面の観察では、繊維に中空部が形成され、加工前の原料繊維よりも細径の繊維からなる集合体の状態となっており、繊維の集合体の周縁は、原料麻繊維の繊維径よりも膨らんでいることが確認された。
また、実施例4で得た麻繊維と、実施例5で得た麻繊維と、を対比したところ、糸の断面径は実施例5の麻繊維の方が大きく、後処理工程を行なうことで、繊維内の空隙がより拡大されたものと考えられる。
この結果、後処理工程を行なうことで、酵素処理液による浸漬処理工程により膨潤した繊維の形状が、より良好な状態で維持されることがわかる。これは、後処理液により、セルロース繊維の膨張した部分に水素結合性の相互作用が形成されることで、脱水し、乾燥した後も、繊維の空隙や起毛の形状が保持された状態となるためと考えられる。
2014年7月31日に出願された日本国特許出願2014−156920号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的に、かつ、個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
上記課題の解決手段は、以下の実施形態を含む。
<1>タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、アルカリ剤と、水と、を含有する処理液に、原料麻繊維を、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間、浸漬する浸漬処理工程と、浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程と、水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程と、を含む、紡糸用麻繊維の製造方法。
<2> 前記処理液のpHが9以上13以下である、<1>に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に、原料麻繊維を、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間浸漬する浸漬処理工程と、浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程と、水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程と、を含み、前記水洗工程の後に、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム及びシアヌール酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と水とを含有する後処理液に、水洗された麻繊維を浸漬し、60℃〜100℃の温度条件下で、20分間〜50分間保持する後処理工程を有する紡糸用麻繊維の製造方法。
<4> 前記処理液が、アルカリ剤を含有する、<3>に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
<5> 前記処理液のpHが9以上13以下である、<3>又は<4>に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
以下、本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法について、工程順に説明する。
<浸漬処理工程>
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法では、まず、原料麻繊維を、タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に浸漬処理する。
(麻繊維)
通常、麻繊維とは、苧麻と亜麻を指すが、本明細書における麻繊維はこれら狭義の麻繊維に限定されない。
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法を適用しうる原料麻繊維としては、いずれの麻繊維でもよい。本明細書における麻繊維は、例えば、以下に示す植物麻に由来する麻繊維のいずれをも包含する意味で用いられる。
具体的には、例えば、桑科アサ属大麻(cannabis sativa、ヘンプとも称される)、アマ科アマ属亜麻(Linum usitatissimum)、イラクサ科苧麻(ちょま、Boehmeria nivea var. nipononivea、ラミー、カラムシとも称される)、アオイ科フヨウ属ケナフ(Hibiscus cannabinus、洋麻(ヨウマ)とも称される)、シナノキ科シナソ属コウマ(Corchorus capsularis)、シナノキ科シナソ属アイマツナド(Corchorus olitorius)、バショウ科バショウ属マニラアサ(Musa textilis)、アオイ科アンバリ麻、ガンボ麻、ボンベイ麻、リュウゼツラン科リュウゼツラン属サイザル麻(Agave sisalana)、キャナビス、ニュージランドアマ、リュウゼツラン科マオラン(Phormium tenax)、チャイナグラス、シナノキ科シナソ属タイワンツナソ(シマツナソとも称される、Corohorus Olitorius)等が挙げられる。
また、コウマ或いはシマツナソから得られる麻繊維であるジュートも、本明細書における麻繊維に含まれる。
既述の麻繊維のなかでも、工業的スケールでの生産性、原料の入手容易性の観点から、ヘンプ、ラミー、亜麻等に本実施形態の製造方法を適用することが好ましい。
本実施形態の紡糸用麻繊維の製造方法は、剛直なセルロース繊維であるシチトウイ、芭蕉、バナナの葉、月桃の葉、茎、パピルス、カポックコウゾ、ミツマタ、ガンピ、柳、竹、ハスの樹皮、茎、葉等から得られる繊維等にも有効ではあるが、特に麻繊維に用いることで、生産性の向上効果が著しい。

Claims (5)

  1. タンパク質分解酵素及びデンプン加水分解酵素からなる群より選択される少なくとも1種の酵素と、水と、を含有する処理液に、原料麻繊維を、60℃〜100℃の温度条件下で、30分間〜60分間浸漬する浸漬処理工程と、
    浸漬処理された麻繊維を水洗する水洗工程と、
    水洗された麻繊維を乾燥する乾燥工程と、を含む、紡糸用麻繊維の製造方法。
  2. 前記処理液が、アルカリ剤を含有する、請求項1に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
  3. 前記処理液のpHが9以上13以下である、請求項1又は請求項2に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
  4. 前記水洗工程の後に、ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム及びシアヌール酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と水とを含有する後処理液に、水洗された麻繊維を浸漬し、60℃〜100℃の温度条件下で、20分間〜50分間保持する後処理工程を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の紡糸用麻繊維の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の麻繊維の製造方法により得られた、原料麻繊維に比較して繊維径が細く、捻れがあり、繊維表面に微細な起毛を有する紡糸用麻繊維。
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