JPWO2015194350A1 - 標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキット - Google Patents

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Abstract

本発明は標識化レクチンを用いて検体中の検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイであって、簡便な処理を導入することにより、夾雑物に由来する影響、すなわち検出対象物質の定量値に対するノイズが抑制されているものを提供することである。測定領域に非特異的に吸着した検体中の夾雑物が有する、検出対象物質と同じ糖鎖への標識レクチンの結合を抑制する処理を含む、サンドイッチ型アッセイである。前記夾雑物が前記検出対象物質と同じ糖鎖を有する糖タンパク質である場合、その糖鎖への標識レクチンの結合を抑制する処理としては、前記夾雑物のジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質を前記検体に添加することにより、前記夾雑物から前記検出対象物質と同じ糖鎖を含むドメインを解離させる処理が好適である。

Description

本発明は、標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキットに関する。より詳しくは、本発明は、測定領域に非特異的に吸着した夾雑物に対する標識化レクチンの結合を抑制する処理を含むサンドイッチ型アッセイ、およびそのような処理を含むサンドイッチ型アッセイを実施するために好適なキットに関する。
生体の生命機能を担う主役であるタンパク質が、生体内で秩序正しくその機能を発揮するためには、糖鎖修飾をはじめとする翻訳後修飾が極めて重要な役割を担っている。翻訳後修飾に関して、近年、以下のようなことが次々と明らかにされた。生体内の大部分のタンパク質は糖鎖による修飾を受けており、タンパク質に付加した糖鎖がタンパク質の安定性、ホルモンとの結合、毒素との結合、ウイルスの感染、マイコプラズマの感染、細菌の感染、原虫の寄生、受精、発生分化、がん細胞転移、アポトーシスなど、生命現象の様々な場で重要な役割を果たしている。同じアミノ酸配列の、同一名称のタンパク質であっても、修飾されている糖鎖は多種多様であり、タンパク質を産生する細胞の状態によってその糖鎖構造は異なり、生体内での役割が異なるのである。
このような糖鎖の変化と疾病との関係性についても明らかになってきている。例えば、特許文献1には、前立腺疾患に罹患していることを示す前立腺特異抗原(以下PSAと称する)に関して次の様に記載されている。即ち、前立腺癌の患者に由来する血液試料中には、糖鎖に特定の糖残基、N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Nアセチルグルコサミン(以下LacdiNAcと称する)残基を有する前立腺特異抗原(以下LacdiNAc−PSAと称する)および/またはフコースα1−2ガラクトースβ1→4N−アセチルグルコサミン残基を有する前立腺特異抗原が、前立腺肥大症の患者に由来する血液試料中と比較して、多く含まれていることが記載されている。つまり、前立腺癌の発症によりPSAの糖鎖が変化して前記特定の糖残基を有するPSAが増加し、前立腺癌患者の血液試料中では前記特定の糖残基を有するPSAは高い濃度であることが観察される。これに対して、前立腺肥大症が発症してもそのような糖鎖の変化は起きないため、前立腺肥大症患者では前記特定の糖残基を有するPSAの濃度には、変化が観察されない。このことにより、特許文献1には、血液試料中の前記特定の糖残基を有するPSAの濃度を測定することにより、前立腺癌の患者と前立腺肥大症の患者とを判別することができるという、糖鎖分画測定による前立腺癌の鑑別方法が開示されている。
その他にも、特許文献2、非特許文献1に開示されるようなαフェトプロテイン(AFP)糖鎖分画測定による肝癌の鑑別方法、非特許文献2、3に開示されるような癌胎児性抗原(CEA)糖鎖分画測定による腺癌の鑑別方法などが知られている。
糖鎖中に特定の糖残基が含まれている糖タンパク質を特異的に検出するためには、その糖残基を特異的に認識して結合する能力を持つレクチンと呼ばれるタンパク質が広く利用されている。それは、糖鎖をエピトープとする抗体、特に特定の糖残基をエピトープとする抗体が非常に作製しにくく、入手が困難であるためである。レクチンは安価で大量に入手が可能であり、また安定性にも優れており長期間保存も可能である。
例えば、ノダフジレクチン(Wisteria floribunda Agglutinin:以下WFAと称する)はN−アセチルガラクトサミンを主要な結合糖残基とすることが知られている。特許文献1には、このような特徴を持つWFAを担体に結合させてカラムに充填し、アスパラギン結合型糖鎖の側鎖にLacdiNAc残基を有するPSAを分画した後、ELISA等により当該画分を定量する方法が記載されている。また、特許文献3には、固相化された抗PSA抗体および蛍光標識されたWFAを用いて、糖鎖の側鎖にLacdiNAc残基を有するPSAとサンドイッチ型の複合体を形成させ、SPFS(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy:表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法)によりこの特定の糖残基を有するPSAを定量する方法が記載されている。
しかしながらレクチンには、抗体よりも結合の活性が低く、また糖鎖に対する結合の特異性が低いなどの問題がある。例えば、ノダフジレクチン(WFA)はN−アセチルガラクトサミン残基を主要な結合部位とするが、わずかにガラクトース残基とも結合する。そのため、反応系内にガラクトース残基を含む糖鎖が存在する場合、ノダフジレクチンはその糖鎖にも結合してしまうため、N−アセチルガラクトサミン残基を含む糖鎖のみに特異的に結合させることはできない。
このような特徴を持つレクチンを抗体と組み合わせて用いることで、検出対象物質たる特定の糖鎖を有するタンパク質(糖タンパク質)を、簡便に定量解析することのできるサンドイッチ型アッセイが行われている。糖タンパク質のタンパク質部分に特異的に結合する抗体は基板に固定化されて固相化抗体として用いられ、糖タンパク質の糖鎖に含まれる糖残基を主要な結合対象とするレクチンは標識剤に連結されて標識化レクチンとして用いられる。
しかしながらこの手法は、検出対象物質たる糖タンパク質がある程度精製されている場合には有効であるが、通常の疾病診断において検体として用いられている血液や尿のように、検出対象物質以外の糖タンパク質や糖脂質といった夾雑物が大量に含まれる系では、検出対象物質の糖鎖だけでなく夾雑物の糖鎖にも標識化レクチンが結合してしまうため、バックグラウンド(ノイズ)が大きくなり、感度および定量性において著しく性能が落ちてしまう。そのため、血液等を検体とする一般的な診断において、レクチンおよび抗体を用いるサンドイッチ型アッセイによって定量的な解析を正確に行うことは、極めて大きな困難を伴っており、実際には、血清中の含有濃度が著しく高い(数μg/mL程度の)限られた種類の糖タンパク質を検出対象とする場合の診断にしか利用されていない。
夾雑物の影響(バックグラウンド)を低減するための方法として、抗体を固定化した支持体表面への血清夾雑物の吸着を抑制するために、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン等のブロッキング剤を用いる方法(特許文献4)、抗原抗体反応を阻害したりノイズの原因となったりする夾雑物(非特異物質)をあらかじめ吸着させ、反応系内から取り除くために、グリコサミノグリカン、ヘパリン等、高分子、糖鎖複合体等の吸収剤を添加する方法(特許文献5、6)、支持体に吸着してしまった夾雑物を効率よく除去するために、特定の塩強度、界面活性剤などの組成を有する洗浄液を用いる方法(特許文献4)などが検討されている。
しかしながら、上記のようなバックグラウンドの低減方法によっても、レクチンおよび抗体を用いるサンドイッチ型アッセイに基づく定量解析に対して劇的な効果が認められる例は極めて少なく、また対象に適したブロッキング剤の探索のため、検討に非常に工数がかかることも問題である。
一方で、本出願人は先に、検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを用いて、検体中の前記検出対象糖鎖を有する検出対象物質(アナライト)を検出する方法であって、前記標識用レクチンと結合した前記検出対象物質を検出する検出工程の前に、前記標識用レクチンを前記検出対象物質に接触させる標識処理と、少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を、前記非検出対象糖鎖を有する夾雑物に接触させるマスク処理とを行うことを特徴とする、検出対象物質の検出方法を提案している(特許文献7)。すなわち、マスク用糖鎖認識分子で、標識用レクチンが副次的に結合してしまう夾雑物の非検出対象糖鎖をマスク処理することで、標識用レクチンは検出対象物質が有する検出対象糖鎖に優占的に結合できるようになり、バックグラウンドノイズの低減および検出対象物質の検出感度および定量性を向上させることができる。マスク用糖鎖認識分子としては、検出対象糖鎖よりも非検出対象糖鎖を主に認識して結合する、標識用レクチンとは異なる種類のレクチンを用いることができる。
しかしながら、特許文献7に記載された検出対象物質の検出方法は、同じレクチンによって認識されるものの検出対象物質とは異なる糖残基を含む糖鎖を夾雑物が有する場合に適用可能なものである。また、そのような夾雑物が検体中に多量に存在する場合、特許文献7に記載された発明では、マスク用糖鎖認識分子(標識用レクチンとは異なる種類のレクチン)を高濃度で添加する必要があるため試薬コストが増加してしまい、さもなくばマスク効率の低下を招くことになる。検出対象物質と同じ糖残基を含む糖鎖を有する夾雑物が検体中に多量に含まれている場合であってもその影響を効率的に抑制することのできる手段や、そのような手段を用いることにより実際に検出対象物質の測定感度や定量性を著しく改善することができることは、特許文献7によっては開示されていない。
さらに本出願人は、糖タンパク質を測定対象化合物とすることができるSPFS免疫測定法において、夾雑物由来の非特異的シグナルを抑制するために、検体に酸またはアルカリを添加する前処理、検体に金属イオンを添加する前処理、および検体を加熱する前処理の少なくとも一つを行う、非特異的シグナルの抑制方法も提案している(特許文献8)。これらの前処理により、夾雑物の構造を変化(変性)させることで、センサー部に非特異的に吸着することを抑制することができる。しかしながら、特許文献8にも、検出対象物質と同じ糖残基を含む糖鎖を有する夾雑物(糖タンパク質等)が検体中に多量に含まれている場合に、影響を効率的に抑制することのできる手段は開示されていない。
これらの点で、標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイにはまだ改善の余地があった。
国際公開WO2010/090264号公報 特開昭61−292062号公報 特開2013−076666号公報 特開2010−127827号公報 特開2009−53195号公報 特開2010−60293号公報 特開2013−253866号公報 国際公開WO2014/087802号公報
Sugar Chains of Human Cord Serum α-Fetoprotein: Characteristics of N-linked Sugar Chains of Glycoproteins Produced in Human Liver and Hepatocellular Carcinomas, K. Yamashita et al., Cancer Res., 53, 1 (1993) Carbohydrate Structures of Nonspecific Cross-reacting Antigen-2, a Glycoprotein Purified from Meconium as an Antigen Cross-reacting with Anticarcinoembryonic Antigen Antibody, K. Yamashita et al., Biol. Chem., 264, 17873 (1989) Structural Studies of the Carbohydrate Moieties of Carcinoembryonic Antigens, K. Yamashita et al., Cancer Res., 47, 3451 (1987)
本発明は、標識化レクチンを用いて検体中の検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイであって、簡便な処理を導入することにより、夾雑物に由来する影響、すなわち検出対象物質の定量値に対するノイズが抑制されているもの、ならびにそのようなサンドイッチ型アッセイを実施する上で好適なキットを提供することを課題とする。
本発明者らは、標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイを応用した代表的な診断方法の一つである、血清検体中に含まれるWFA結合性のPSA(つまりN−アセチルガラクトサミン残基を含む糖鎖を有する、特定PSA)の濃度に基づく前立腺癌および前立腺肥大症の診断方法の研究開発を進めている。血液検体中の全PSAの濃度をELISAで測定した場合、前立腺癌および前立腺肥大症患者由来の検体に比べて健常者由来の検体の方が全PSAの濃度が極めて低いという結果を得た。にもかかわらず、N−アセチルガラクトサミン残基を含む糖鎖を有する、特定PSAの濃度をSPFSで測定した場合、健常者由来の検体の中にはシグナルが高値化する(異常高値が現れる)ことが確認された。これがSPFSに基づくサンドイッチ型アッセイを応用した診断方法において、前立腺癌患者と健常者とを識別する精度、すなわち前立腺癌の診断の特異度を低下させている原因になっていることが示唆された。
さらに解析を進めた結果、血清中に含まれるIgM等の数種類の糖タンパク質が測定領域に非特異的に結合することが、健常者検体において高値化する要因となっていることが分かった。それらの糖タンパク質も特定PSAと同様にN−アセチルガラクトサミン残基を含む糖鎖を有しているためWFA結合性であることが分かり、各糖タンパク質の含有量は個人により異なるが、特定PSAよりも高い一定の濃度で血清中に含有されていることが明らかとなった。したがって、発明者らは、特定PSA(検出対象物質)に対する標識化レクチンの結合を維持しつつ、測定領域に非特異的に吸着した、特定PSAと同じ糖鎖を有するIgM等の糖タンパク質(夾雑物)へのWFA(標識化レクチン)の結合を抑制することができれば、特定PSAを定量するためのシグナルに対してノイズとなっている大きなシグナル(バックグラウンド)を抑制し、前述したような問題を解決することができるのではないかと考えた。
そこで本発明者らは、IgM等の夾雑物が有する特定PSAと同じ糖鎖へのWFAの結合を抑制する処理として、糖タンパク質のジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質、その代表例としてメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を血清検体に添加したところ、バックグラウンド(ノイズ)を著しく低下させることができ、このような処理がSPFSにおけるS/B比の向上に予想外に優れた効果を呈することを確認した。そして、このような処理は、特定PSA、IgM等、およびWFAが組み合わされた測定系に限らず、レクチンが主要な認識対象とする糖鎖を検出対象物質と夾雑物の両方が共有している他の測定系に対しても応用可能であり、同様の作用効果が奏されるであろうことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は一つの側面において、標識化レクチンおよび測定領域に固相化された捕捉物質を用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイであって、前記測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が有する、検出対象物質と同じ糖鎖への標識化レクチンの結合を抑制する処理を含む、サンドイッチ型アッセイを提供する。
また、本発明は別の側面において、本発明のサンドイッチ型アッセイを実施するために使用するのに好適な、標識化レクチンおよび測定領域に固相化された捕捉物質を用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイを実施するためのキットであって、夾雑物としての糖タンパク質を処理するためのジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質を含むキットを提供する。
本発明により、まず、検出対象物質と同じ糖鎖を有する夾雑物が比較的多量に検体に含まれており、測定領域に非特異的に吸着する夾雑物に対する標識化レクチンの結合を抑制することが、SPFSのような高感度のサンドイッチ型アッセイを用いて行われる検出対象物質の定量にとって極めて重要であることが明らかになった。そして、その夾雑物に対する検出レクチンの結合は、たとえば還元剤を用いたジスルフィド結合の切断により、検出対象物質と同じ糖鎖を含むドメインを夾雑物の他のドメインから遊離させるようにすれば、抑制することができることも明らかになった。たとえ夾雑物の他のドメインが非特異的吸着により測定領域に残存したとしても、もはやそちらに標識化レクチンが結合することはなくなるので、夾雑物に由来していたバックグラウンド(ノイズ)の上昇を抑制することができる(遊離したドメインの糖鎖の方に標識化レクチンが結合することはあるかもしれないが、それらは洗浄等により比較的容易に除去することができる)。
このような作用効果を奏する本発明のサンドイッチ型アッセイを利用することにより、血液(血清)のように夾雑物としての糖タンパク質を比較的多く含む検体を用いる場合であっても、腫瘍マーカー等の検出対象物質を正確に定量することができるようになる。特に、SPFSに基づいて測定する際に取得される測定値の異常高値を大幅に抑制することができるため、特異度および感度に優れた、信頼性の高い診断を行うことができるようになる。
図1は、SPFSに基づく測定工程の一実施形態における測定領域の状態を模式的に表した図である。[A]開裂処理を行っていない場合(従来の実施形態)。[B]開裂処理を行っている場合(本発明の実施形態)。 図2は、本発明で使用する上で好適なSPFS用測定装置の全体構成を模式的に示す概略図である。[A]基板状部材16aが誘電体部材12を含む実施形態。[B]基板状部材16aが誘電体部材12を含まず、代わりに透明平面基板13を用いる実施形態。 図3は、図1に示すSPFS測定装置の測定領域周辺の部分拡大図である。[A]基板状部材16aが誘電体部材12を含む実施形態。[B]基板状部材16aが誘電体部材12を含まず、代わりに透明平面基板13を用いる実施形態。 図4は、実施例および比較例で測定したバックグラウンド値(B)、シグナル値(S)およびS/B比を表すグラフである。 図5は、参考例1で行った、前立腺癌検体、前立腺肥大症検体および健常者検体それぞれに含まれる特定PSAを検出対象としたSPFSシグナルの測定値(左)、ならびに前立腺肥大症検体および健常者検体のうち、SPFSシグナル測定値が高値であるものについて、全PSAを検出対象としたELISAの測定値(右)の結果を表すグラフである。 図6は、参考例1で行った、健常者検体をWFAカラムで処理し、その結合画分について電気泳動解析を行った結果を示す写真である。 図7は、参考例1で行った、インターαトリプシンインヒビター(IαI)、α2−マクログロブリン(α2M)、ハプトグロビン(HP)、免疫グロブリンM(IgM)および免疫グロブリンG(IgG)それぞれに関する、標品試薬のシアリダーゼ処理物のSPFSシグナルの測定値を表すグラフである。 図8は、参考例1で行った、IgM精製カラムで健常者検体を処理した際の、処理前、素通り画分および結合画分それぞれに関するSPFSシグナルの測定値を表すグラフである。 図9は、本発明における夾雑物となり得る糖タンパク質の一つである、免疫グロブリンM(IgM)の構造を示す図である。なお、免疫グロブリンG(IgG)は、右側に示す、IgMの分解物であるIgG様分子と同様である。 図10は、本発明における夾雑物となり得る糖タンパク質の一つである、インターαトリプシンインヒビター(IαI)の構造を示す図である(J. Biol. Chem. 2004, 279:38079-38082.より引用)。 図11は、本発明における夾雑物となり得る糖タンパク質の一つである、α2−マクログロブリン(α2M)の構造を示す図である(蛋白質 核酸 酵素 Vol.7 No.9より引用)。 図12は、本発明における夾雑物となり得る糖タンパク質の一つである、ハプトグロビン(HP)の構造を示す図である。
−サンドイッチ型アッセイ−
本発明のサンドイッチ型アッセイは、標識化レクチンおよび測定領域に固相化された捕捉物質を用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイであって、測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が有する、検出対象物質と同じ糖鎖への標識レクチンの結合を抑制する処理を含む。なお、「測定領域」は、詳細は後述するが、そこから発せられる蛍光の強度が測定される領域(空間)であって、固相化された捕捉物質、それを担持している支持体、さらにそれらを載せている部材の表面などを含む領域を指す。
測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が有する、検出対象物質と同じ糖鎖への標識化レクチンの結合を抑制する処理は特に限定されるものではなく、その夾雑物の種類(糖タンパク質か、糖脂質か)の他、検出対象物質、捕捉物質、標識化レクチン、測定系などに応じて改変することが可能である。本明細書では主に、夾雑物が検出対象物質と同じ糖鎖を有する「糖タンパク質」である場合の実施形態に即して本発明を説明するが、夾雑物が検出対象物質と同じ糖鎖を有する「糖タンパク質以外の物質」(たとえば糖脂質)である場合についても、その説明を応用して、所期の作用効果が奏されるように本発明を実施することが可能である。
<SS結合開裂剤>
本発明の典型的な実施形態において、測定領域に非特異的に吸着した夾雑物は、検出対象物質と同じ糖鎖を有する糖タンパク質である。この場合、その糖鎖への標識化レクチンの結合を抑制する処理は、ジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質(本明細書において「SS結合開裂剤」と称する。)を夾雑物としての糖タンパク質に接触させることにより、検出対象物質と同じ糖鎖を含むドメインを遊離させる処理であることが好適である。
夾雑物のジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質(SS結合開裂剤)は特に限定されるものではないが、たとえば還元剤、すなわち−S−S−の架橋構造を−SH HS−の2つのスルフヒドリル基(チオール基)に還元する作用を呈する化合物が好適である。
還元剤は特に限定されるものではなく、タンパク質のジスルフィド結合を開裂するために用いられている各種の還元剤の中から選択することができる。そのような還元剤としては、たとえば、亜硫酸、次亜硫酸、亜リン酸、次亜リン酸などの低級酸素酸塩、水酸化アルカリ、求核剤となるチオール塩などが挙げられる。具体的には、たとえば、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオグリセロール、トルエンチオスルフィン酸ナトリウム、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩、臭化2-アミノエチルイソチオウロニウム臭化水素酸塩、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンなどを用いることができ、これらの中では特にメタ重亜硫酸ナトリウムが好ましい。
SS結合開裂剤としては上記のような化合物以外にも、ジスルフィド還元酵素(ジスルフィドレダクターゼ)を用いることができる。
<検出対象物質>
本発明では、適切なレクチンが認識して結合する特定の糖残基を含む糖鎖を有し、かつ適切な抗体が認識して結合する部位(特にタンパク質部分)を有する糖タンパク質を検出対象物質とする。
検出対象物質としての糖タンパク質の典型例は、検体中に含まれる、病理診断に用いられるマーカー分子である。例えば、PSA、AFP、CEAなどのがん抗原/腫瘍マーカーが好適であり、その他にもシグナル伝達物質、ホルモンなどの糖タンパク質を検出対象物質とすることも可能である。
本発明の実施形態の好適な一例では、N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Nアセチルグルコサミン(本明細書において「LacdiNAc」と略記する。)残基を含む糖鎖を有するPSA(本明細書において「LacdiNAc−PSA」と略記する。)を検出対象物質とする。
検出対象物質は、夾雑物と同じ糖鎖および捕捉物質との結合部位を同一のドメインに含む、つまり夾雑物と同じ糖鎖を含むドメインと捕捉物質との結合部位を含むドメインとがSS結合開裂剤により分離されない糖タンパク質であることが好ましい。検出対象物質がそのようなものであれば、仮に夾雑物に対するSS結合開裂剤が検出対象物質と接触し、検出対象物質のドメインの一部が解離してしまったとしても、夾雑物と同じ糖鎖および捕捉物質との結合部位を有するドメインに対して、捕捉物質および標識化レクチンの両方が結合し、測定領域にサンドイッチ型複合体を形成することができるため、夾雑物を標的とする処理が検出対象物質の定量に影響を及ぼすことを避けることができる。
<夾雑物>
本発明において、検出対象物質の定量に対する影響を抑制するための対象とする夾雑物は、検出対象物質と同じ糖鎖を有する物質である。具体的には、検出対象物質とともに検体中に存在する、検出対象物質以外の糖タンパク質、糖脂質、その他の糖鎖を有する生体関連物質(低分子等)がそのような夾雑物となり得る。
本発明の典型的な実施形態では、免疫グロブリンM(IgM)、インターαトリプシンインヒビター(IαI)、α2−マクログロブリン(α2M)、ハプトグロビン(HP)、免疫グロブリンG(IgG)などの糖タンパク質を、抑制の対象とする主要な夾雑物とする。これらの糖タンパク質の構造を図9〜12に示す。いずれの糖タンパク質も、血清中に比較的高い濃度(数mg/mL程度)で存在しており、測定領域に非特異的に吸着するものの割合がわずかであっても、測定シグナルに対するノイズとして大きく影響する。また、上記5種類の糖タンパク質はいずれも、構成している糖残基の異なる複数の種類の糖鎖を有しているが、少なくともN−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Nアセチルグルコサミン残基を含む糖鎖を有している。ただし、血清中の上記5種類の糖タンパク質の構成比率や、各糖タンパク質が含有する糖鎖(糖残基)の構成比率は、検体によって、つまり特定の疾患に罹患しているかどうかやその他の個体差に起因して相違しており、従来一律に抑制することの難しかったノイズ(バックグラウンド)の原因となっていた。
IgMは、血液中に通常0.3〜2.5mg/mLの濃度で存在する分子であり、分子内に50本以上のN−結合型糖鎖を有する。IgMは、5個または6個のIgG様分子がジスルフィド結合でつながった構造を有する多量体(五量体または六量体)である。
IαIは、血液中に通常0.5mg/mL程度の濃度で存在する分子であり、分子内に4本のN−結合型糖鎖と4本のO−結合型糖鎖を有する。IαIは、H1重鎖、H2重鎖およびビクニン〔bikunin〕の3つのドメインが1本のコンドロイチン硫酸鎖で結ばれており、分子内に4本のジスルフィド結合を有している。
α2Mは、血清中に通常1〜2.5mg/mLの濃度で存在する、分子量160,800のサブユニット4個が会合した巨大分子であり、各サブユニット内に8本ずつN−結合型糖鎖を有する。α2Mの各サブユニットはジスルフィド結合で結ばれ、サブユニット内にも多数のジスルフィド結合が存在する。
HPは、血液中に通常0.1〜1.7mg/mLの濃度で存在する分子であり、α鎖と、N−結合型糖鎖を4つ持つβ鎖が2本ずつ、ジスルフィド結合で結ばれた構造となっている。α鎖はα1、α2の2種類、β鎖は1種類で、その組み合わせにより1−1型、2−1型および2−2型の3つの遺伝子型が存在する。
IgGは、血液中に通常8.7〜18.1mg/mLと高濃度で存在する分子であり、分子内に2本以上のN−結合型糖鎖を有する。IgGは、分子内に3つのジスルフィド結合を有し、2本のH鎖〔heavy chain〕および2本のL鎖〔light chain〕が結合した状態で存在している。
このように、上記5種類の糖タンパク質はいずれもSS結合を含んでおり、それを切断することによって断片化ないし変形することができるため、ジスルフィド結合開裂剤で処理することが非特異的吸着を抑制するための有効な手段となる。たとえば、IgMにSS結合開裂剤を作用させると、IgG様分子を連結しているジスルフィド結合が切断されて個々のIgG様分子に分解する。さらに、SS結合開裂剤の作用の強さにもよるが、IgG様分子内に存在する3つのジスルフィド結合まで切断され、最終的にIgG様分子は2本の軽鎖および2本の重鎖にまで分解される。その他の糖タンパク質も同様に、それぞれについて記載したようなサブユニットないしドメインまで分解することができる。
このようなSS結合の切断による夾雑物の分解、あるいは変形により、測定領域に夾雑物が非特異的に吸着する力を失わせると同時に、もしも夾雑物の部分分解物が測定領域に非特異的に吸着したとしても、標識化レクチンが反応しうる特定の糖残基を含む糖鎖で修飾された部位がその部分分解物から解離していれば、ノイズを発生させないようにすることができる。
なお、IgMにSS結合開裂剤を作用させたときに現に著しい効果が認められることから、IgMはおそらく抗原認識部位(IgG様分子のFab領域)において、測定領域に非特異的に吸着しており、レクチンが認識して結合する特定の糖残基を含む糖鎖で修飾された部位(の一部または全部)は、少なくとも1個のジスルフィド結合を挟んだ、抗原認識部位とは離れた領域に存在しているものと考えられる。上で例示したその他の物質についても同様に、SS結合開裂剤を作用させたときに効果が認められることから、測定領域に非特異的に吸着している部位と、レクチンが認識して結合する特定の糖残基を含む糖鎖で修飾された部位(の一部または全部)は、少なくとも1個のジスルフィド結合を挟んだ離れたところに存在しているものと考えられる。
また、後記参考例においては、IgMに注目されているが、本発明の作用効果はIgMを夾雑物とする場合に限定して解釈されるものではない。IαI、α2M、HP、IgGなどのIgM以外の夾雑物についても程度の差はあれSPFSシグナルに対するノイズとなることが示されており、少しでも感度および特異度が高い分析を行うためにはそれらのノイズを抑制することも効果的である。また、前述したように、夾雑物の構成比率、またはある夾雑物が有する糖鎖の構成比率は検体によって様々であり、後記参考例で用いたものとは異なる検体については、IαI、α2M、HP、IgGなどのIgM以外の夾雑物がノイズの大きな要因となる可能性が十分に考えられる。したがって本発明は、IgM、IαI、α2M、HP、IgG、およびその他の、検出対象物質と同じ糖鎖を有し、同じ標識化レクチンが結合するおそれのある、血清等の検体中に比較的多量に含まれる夾雑物全般を対象として、作用効果を奏することができると解されるべきである。
<検体>
本発明では、検出対象物質および夾雑物を含む可能性のある検体を用いる。検出対象物質および夾雑物を含む可能性のある検体は、現実にそれらを含む検体であってもよいし、現実にはそれらを含まない検体であってもよい。具体的には、たとえば、検出対象物質(および夾雑物)を含む可能性の高い特定の疾患の患者に由来する検体であってもよいし、検出対象物質(および夾雑物)を含む可能性の低い健常者に由来する検体であってもよい。また、検体を採取する対象は、典型的にはヒトであるが、ヒトの疾患のモデル動物、たとえばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ネコ、イヌ、ブタ、サルといったヒト以外の哺乳動物であってもよい。
検体としては、例えば、血液、尿、髄液、唾液、細胞、組織、もしくは器官、またはそれらの調製物(例えば、生検標本)等の生体試料および生体由来試料を挙げることができる。たとえば血液や尿は、診断マーカーとして利用できる糖タンパク質を含む可能性があるとともに、夾雑物としての糖タンパク質も比較的多く含んでいる可能性のある検体であるため、本発明のサンドイッチ型アッセイに用いる検体として好ましい。
血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液などの液性の試料は、適当な緩衝液により希釈して使用することができる。また、細胞、組織、または器官などの固形の試料は、固形の試料の体積の2〜10倍程度の適当な緩衝液でホモジェナイズして、懸濁液またはその上清を、そのまま、またはさらに希釈して使用することができる。
本発明の実施形態の好適な一例では、血液を検体とする。ここで血液は、全血であってもよいし、全血から調製された血清または血漿であってもよい。たとえば、測定を迅速に行うことを目的とする場合は全血を検体として用いてもよいし、正確な定量を目的とする場合は、全血から遠心分離等により血球成分を除去し、血清、あるいは血漿を調製してから検体として用いてもよい。また、採血時には通常全血に抗凝固剤が添加され、全血、血清および血漿には、SPFS等の測定に供する際には適切な濃度に調整するために希釈液(緩衝液等)で希釈され、さらに必要な試薬等が添加される。本発明書では、必要に応じてそのような抗凝固剤、希釈液、その他の試薬等が添加されていてもよい、検体としての全血、血清および血漿を「血液検体」と称する。
<標識化レクチン>
本発明では、検出対象物質が有する糖鎖に含まれる特定の糖残基を認識しそれに結合できるレクチンを標識化して、サンドイッチ型アッセイのために用いる。なお、レクチンには、凝集素〔agglutinin〕と呼ばれている物質も含まれるが、本明細書においてはレクチンという呼び方で統一する。
本発明で用いられるレクチンは、検出対象物質が有する糖鎖に含まれる特定の糖残基を主要な認識および結合の対象とするものが適切である。すなわち、レクチンは一般的に、複数の種類の糖残基に対して異なる結合力を示すので、検出対象物質の糖残基に対して最も強い結合力を発揮するレクチンを用いることが適切である。
レクチンには、各種の動物、植物、真菌、細菌またはウイルスに由来する様々な種類のものがあり、それらの材料から分離、抽出、精製することによって得ることもできるし、商品としても市販されている。公知のレクチンの具体例を挙げれば次の通りである:ACA(センニンコクレクチン),BPL(ムラサキモクワンジュレクチン),ConA(タチナタマメレクチン),DBA(Horsegramレクチン),DSA(ヨウシュチョウセンアサガオレクチン),ECA(デイゴマメレクチン),EEL(Spindle Treeレクチン),GNA(ユキノハナレクチン),GSL I(グリフォニアマメレクチンI),GSL II(グリフォニアマメレクチンII),HHL(アマリリスレクチン),ジャカリン(ジャックフルーツレクチン),LBA(リママメレクチン),LCA(レンズマメレクチン),LEL(トマトレクチン),LTL(ロータスマメレクチン),MPA(アメリカハリグワレクチン),NPA(ラッパズイセンレクチン),PHA−E(インゲンマメレクチン−E),PHA−L(インゲンマメレクチン−L),PNA(ピーナッツレクチン),PSA(エンドウレクチン),PTL−I(シカクマメレクチン−I),PTL−II(シカクマメレクチン−II),PWM(ヨウシュヤマゴボウレクチン),RCA120(ヒママメレクチン),SBA(ダイズレクチン),SJA(エンジュレクチン),SNA(セイヨウニワトコレクチン),SSA(ニホンニワトコレクチン),STL(ジャガイモレクチン),TJA−I(キカラスウリレクチン−I),TJA−II(キカラスウリレクチン−II),UDA(Common Stinging Nettleレクチン),UEA I(ハリエニシダレクチン),VFA(ソラマメレクチン),VVL(ヘアリーベッチレクチンないしカラスノエンドウレクチン),WFA(ノダフジレクチン),WGA(パンコムギレクチン),AAL(ヒイロチャワンダケレクチン),AOL(アスペルギルス・オリゼレクチン)。このようなレクチンの中から、前述したように本発明において適切なものを選択して用いることができる。
本発明の実施形態の好適な一例では、標識化レクチンを作製するために、LacdiNAc残基を主要な結合対象とするWFAを用いる。LacdiNAc残基は、前述した特定のPSA(LacdiNAc−PSA)が有するとともに、その定量に大きな影響を与える夾雑物であるIgMも有しているので、WFAはLacdiNAc−PSAおよびIgMの両方に対して強い反応性を有する。また、SBA(ダイズレクチン)、VVL(カラスノエンドウレクチン)およびTJA−II(キカラスウリレクチン)も、LacdiNAc残基に対して強い結合性を有するので、WFAと同様に本発明における好適なレクチンとして用いることができる。
標識化レクチンは、公知の一般的な手法を用いて、レクチンに所望の標識体を結合させることにより作製することができ、その際には市販されている各種のキット(ラベリングキット)を用いることもできる。
標識体は、サンドイッチ型アッセイの測定系に応じたものを用いることができる。たとえば、SPFSにおいては一般的に蛍光色素が用いられ、ELISAにおいては一般的に酵素が用いられるが、その他にも、蛍光色素以外の蛍光体(蛍光タンパク質、蛍光微粒子等)、化学発光物質、放射性物質等、公知の標識体を用いることが可能である。
SPFS等で用いることのできる蛍光色素の例としては、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株))、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株))等の有機蛍光色素や、Eu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素(例えばATBTA-Eu3+)が挙げられる。
ELISA等で用いることのできる酵素としては、西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ(HRP)やアルカリホスファターゼ(ALP)が代表的であり、それぞれに対応した適切な基質と組み合わせて用いればよい。
<捕捉物質>
本発明では、検出対象物質としての糖タンパク質に特異的に結合する物質を、測定領域に固相化して用いる。それにより、測定領域に検出対象物質を捕捉し、捕捉物質−検出対象物質−標識化レクチンの複合体(サンドイッチ型複合体)を形成することができるようになる。
捕捉物質は、検出対象物質に対応する適切な物質であれば特に限定されるものではないが、たとえば、抗体、アプタマー、合成ペプチドなどを用いることができる。本発明の典型的な実施形態では、検出対象物質としての糖タンパク質、特にそのタンパク質部分を特異的に認識して結合し、レクチンによる糖鎖認識を妨げない抗体を捕捉物質として用いる。
検出対象物質に対する抗体は、検出対象物質を抗原としたときに一般的な手法により作製できる抗体であればよく、特に限定されるものではないが、測定の安定性(再現性)からポリクローナル抗体よりもモノクローナル抗体が好ましい。また、糖鎖中の特定の糖残基に標識化レクチンが結合することを妨げないよう、糖タンパク質の糖鎖ではなくタンパク質の部分をエピトープとする抗体が好ましい。
たとえば、がん抗原/腫瘍マーカーを検出対象物質とする場合は、様々ながん抗原/腫瘍マーカーに対するモノクローナル抗体が開発され、市販品として入手可能である。一例として、前立腺癌等のマーカーとして知られているPSAに対するモノクローナル抗体(抗PSAモノクローナル抗体)としては、PS2、PS3、PS4、PS5、PS6、PS15、2H9、3B4、5A6、5G6、8G4、9A8、9G2、PS1、8A6、2H9、1H12、No.79などが挙げられる。
なお、本明細書における「抗体」は、広義には、完全抗体のみならず抗体断片および誘導体を包含する意味で用いられる。「抗体」として記載されている事項については、完全抗体を用いて実施する場合と同様、Fab、Fab'2、CDR、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)等の抗体断片または誘導体を用いて実施することが可能である。
抗体やその他の捕捉物質を固相化するために、必要に応じてそれらを担持する「支持体」を用いてもよい。支持体は、測定系に応じたものを用いればよく、特に限定されるものではないが、例えば、アガロース、セルロース、デキストランなどの不溶性の多糖類、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。
また、支持体は、ビーズ(主として球状)、プレート(主として平面状)など、測定系に応じた所望の形状とすることができる。ビーズとしては磁気ビーズ、樹脂ビーズ等が充填されたカラムなどが使用できる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)、バイオセンサーチップなどが使用できる。
捕捉物質を固相化するためには、化学結合や物理的な吸着などの、公知の固定様式を用いることができる。たとえば、SPFSで用いられるセンサーチップの表面に抗体を固相化するためには、センサーチップが備える金属薄膜等の表面に、抗体が有する官能基(アミノ基、カルボキシル基等)との反応性を有する修飾基を、シランカップリング剤、リンカー、または支持体等を用いて導入し、必要に応じて所定の反応試薬の存在下で、その修飾基と抗体の官能基とを反応させることにより、共有結合で抗体を支持体に固定することができる。特に、金属薄膜の表面にまず支持体として親水性高分子、たとえばカルボキシメチルデキストラン(CMD)などの多糖類からなる層を形成し、その親水性高分子が有する反応性基、たとえばカルボキシメチルデキストランが有する多数のカルボキシル基を所定の試薬を用いて活性エステル化させたものに、抗体を結合させるようにすると、センサーチップの表面に高密度で抗体を固相化することができ、反応効率が上がるなどの点で好ましい。
<サンドイッチ型アッセイに含まれる工程>
サンドイッチ型アッセイでは、測定部材の表面に測定領域を設け、そこに捕捉物質−検出対象物質−標識化レクチンの複合体(サンドイッチ型複合体)を形成させたときに、測定領域の内部に存在する標識化レクチンから発せられるシグナルの強度を測定し、その測定値によって検体中の検出対象物質の含有量(濃度)を定量する。そのようなサンドイッチ型アッセイは、一般的に、シグナルを測定する前にサンドイッチ型複合体を形成させるための各種の処理を行う「測定前工程」と、サンドイッチ型複合体を形成した後、シグナルを測定するための各種の処理を行う「測定工程」とに大別される。
[測定前工程]
夾雑物が検出対象物質と同じ糖鎖を有する「糖タンパク質」である場合、測定前工程は、ジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質(SS結合開裂剤)を夾雑物に作用させる処理を含むことが好ましい。この場合、測定前工程は一般的に、下記(A)〜(C)の3つの処理を含むことになる:
(A)標識化レクチンを検出対象物質に接触させる処理(標識処理);
(B)SS結合開裂剤を夾雑物に接触させる処理(開裂処理);および、
(C)捕捉物質に検出対象物質(および夾雑物)を接触させる処理(捕捉処理)。
標識処理(A)、開裂処理(B)および捕捉処理(C)は、測定前工程の実施形態によって様々な順序で行うことができる。いずれの実施形態においても、捕捉物質−検出対象物質−標識化レクチンの複合体を形成された段階で、測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が存在するとしても、その夾雑物からは検出対象物質と同じ糖鎖を有するドメインが切除されていることになる。標識処理、開裂処理および捕捉処理の順序の具体例を示せば次の通りである。なお「+」の記号は、その左側および右側の処理を同時に行うことを表し、「→」の記号はその左側の処理を行った後に右側の処理を行うことを意味する。例えば、「(標識処理+開裂処理)→捕捉処理」は、標識処理と開裂処理を同時に行った後に、捕捉処理を行うことを表す。
(測定前工程における処理の順序)
(1)(標識処理+開裂処理)→捕捉処理
(2)標識処理→開裂処理→捕捉処理
(3)開裂処理→標識処理→捕捉処理
(4)開裂処理→捕捉処理→標識処理
(5)標識処理→捕捉処理→開裂処理
(6)捕捉処理→(標識処理+開裂処理)
(7)捕捉処理→標識処理→開裂処理
(8)捕捉処理→開裂処理→標識処理
測定前工程における開裂処理の順序は、(1)〜(4)の順序に対応する、捕捉処理を行う前に開裂処理を行うグループ(I)と、(5)〜(8)の順序に対応する、捕捉処理を行った後に開裂処理を行うグループ(II)の2つに大きく分けることができる。
グループ(I)の場合、夾雑物(糖タンパク質)を捕捉物質に接触させる前に、SS結合開裂剤を夾雑物と接触させるようにする。たとえば、捕捉物質が固相化されている測定領域に、検出対象物質とともに夾雑物を含有する検体またはその他の試料を接触させる前に、その検体等にSS結合開裂剤(溶液の形態であってもよい。)を添加して混合するようにする。このような開裂処理を経ることにより、捕捉処理において、夾雑物中の所定の糖鎖を有するドメインが測定領域に非特異的に吸着する可能性を低くすることができる。
(1)の順序を実施する場合、検体等にSS結合開裂剤と標識化レクチンを同時に添加し、その検体等を捕捉物質と接触させればよい。一方、(2)の順序を実施する場合、検体等に標識化レクチンを添加した後、SS結合開裂剤をさらに添加し、(3)の順序を実施する場合、検体等にSS結合開裂剤を添加した後、標識化レクチンをさらに添加し、いずれの場合もその後で検体等を捕捉物質と接触させればよい。また、(4)の場合、検体等にSS結合開裂剤を添加した後、その検体等を捕捉物質に接触させ、それから標識化レクチンの溶液をさらに捕捉物質に接触させればよい。
グループ(II)の場合、夾雑物(糖タンパク質)を捕捉物質に接触させた後に、SS結合開裂剤を夾雑物と接触させるようにする。この場合、所定の糖鎖を有するドメインが切断されていない状態の夾雑物が測定領域に非特異的に吸着する可能性があり、その非特異的に吸着した夾雑物に開裂処理を施すことによって、所定の糖鎖を有するドメインを支持体から解離させるようにする。
(5)の順序を実施する場合、検体等に標識化レクチンを添加した後、その検体等を捕捉物質に接触させ、それからSS結合開裂剤の溶液をさらに捕捉物質に接触させればよい。一方、(6)の順序を実施する場合、検体等を捕捉物質に接触させてから、そこにSS結合開裂剤および標識化抗体の両方が溶解した溶液を接触させるようにすればよい。(7)の順序を実施する場合、検体等を捕捉物質に接触させてから、そこに標識化抗体の溶液を接触させ、その後さらにSS結合開裂剤の溶液を接触させればよい。また、(8)の順序を実施する場合、検体等を捕捉物質に接触させてから、そこにSS結合開裂剤の溶液を接触させ、その後さらに標識化抗体の溶液を接触させればよい。
しかしながら、開裂処理が捕捉処理のあとに行われるグループ(II)の場合、すなわち(4)〜(8)の順序では、支持体上の固相化抗体に対してもSS結合開裂剤が作用し、検出対象物質を捕捉する能力に影響が及ぶおそれがある。したがって、本発明では、少なくとも開裂処理を捕捉処理の前に行うグループ(I)の場合、すなわち(1)〜(4)の順序のように、夾雑物(糖タンパク質)を捕捉物質に接触させる前に、SS結合開裂剤(還元剤等)を夾雑物と接触させることが好ましい。
上述したような標識処理および開裂処理のために用いられる標識化レクチンおよびSS結合開裂剤の種類、濃度、処理時間などの諸条件は、検出対象物質と標識化レクチンとの反応性およびSS結合開裂剤と夾雑物としての糖タンパク質との反応性を考慮して、またサンドイッチ型アッセイのために利用する測定系の実施形態に応じて、所期の作用効果が奏されるようなものであればよく、当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく適宜設定することができる。
SS結合開裂剤については、たとえば還元剤を、前記の順序(1)〜(4)において検体等に添加して用いる場合、一般的に、血清等の検体に終濃度として1mM〜1Mの割合で添加し、1分〜60分間反応させるようにすればよい。SS結合開裂剤の添加量が多ければ、夾雑物のSS結合の切断が速やかに進行し、分子量の小さな断片になりやすくなる。
[測定工程]
測定工程は、標識化レクチンから発せられるシグナルの強度を測定する工程であり、その実施形態はサンドイッチ型アッセイを用いた測定系に準じたものとなる。
たとえば、SPFSに基づく測定系においては一般的に、標識化レクチンとして蛍光色素と連結されたレクチンが用いられるので、測定工程ではその蛍光色素に対応した励起光を照射し、発生する蛍光の強度を検出器によって測定するようにする。
また、ELISAに基づく測定系においては、標識化レクチンとして酵素と連結されたレクチンが用いられるので、測定工程ではその酵素に対応した基質を添加し、発生する蛍光の強度を検出器によって測定するようにする。
(SPFSに準じた実施形態)
本発明のサンドイッチ型アッセイは、SPFS(Surface Plasmon-field enhanced fluorescence spectroscopy:表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法)測定系に準じて実施されることが好適である。以下に述べるように、SPFSは標識化レクチンから発せられる蛍光の強度を高感度で測定することができるが、その分、蛍光強度の測定値(シグナル:S)には、検出対象物質に結合した標識化レクチンに由来する測定されるべきシグナルだけでなく、夾雑物に結合した標識化レクチンなどに由来する、測定されるべきでないバックグラウンド(B)も含まれやすくなる。前述したような測定前工程で行われる開裂処理は、そのようなノイズを著しく低減することにより、検出対象物質の定量値の指標となるS/B比を向上させ、検出対象物質をより正確に定量することができるようになる。
SPFSは、誘電体部材上に形成された金属薄膜に全反射減衰(ATR)が生じる角度で励起光を照射したときに、金属薄膜を透過したエバネッセント波が表面プラズモンとの共鳴により数十倍〜数百倍に増強されることを利用して、金属薄膜近傍に捕捉された測定対象物質を標識した蛍光物質を効率的に励起させる方法である。その蛍光物質から発せられる蛍光の強度を測定し、その測定値によって検出対象物質を定量することができる。必要に応じて、濃度が既知の標準試料を用いて測定したときの蛍光の強度の測定値と対比することにより、検体中の検出対象物質の濃度に換算することができる。このようなSPFSは、一般的な蛍光標識法などに比べて極めて感度が高いため、検体中の検出対象物質の濃度が極めて低い場合であっても、その濃度を測定することが可能である。
まず、図1を参照しながら、SPFSに基づいて測定工程を実施した場合、測定領域の状態がどのようなものになるかを説明する。図1Aおよび図1Bともに、誘電体部材12上に金属薄膜14が形成されており、そこに、捕捉物質50を担持したカルボキシメチルデキストラン等の親水性高分子からなる支持体54が反応層として設けられ、測定領域38が構築されている。
図1Aは、開裂処理を行っていない場合(従来の実施形態)の状態を示している。支持体54に担持されている捕捉物質50に検出対象物質60が結合し、その検出対象物質60が有する糖鎖62aに、蛍光物質52aを有する標識化レクチン52が結合して、複合体を形成する。一方で、支持体54や捕捉物質50には、検出対象物質60が有する糖鎖62aと同じ糖残基を含む糖鎖52aを有する夾雑物62が、非特異的に吸着し、その糖鎖62aにも標識化レクチン52が結合する。したがって、反応領域38から発せられる蛍光には、検出対象物質60の存在を示す蛍光(シグナル)とともに、非特異的に吸着した夾雑物に由来する蛍光(バックグラウンド)が含まれることになる。
これに対して、図1Bは、開裂処理を行っている場合(本発明の実施形態)の状態を示している。支持体54に担持されている捕捉物質50に検出対象物質60が結合し、その検出対象物質60が有する糖鎖62aに、蛍光物質52aを有する標識化レクチン52が結合して、複合体を形成する点は、図1Aと同様である。しかしながら、夾雑物62は開裂処理によってドメイン62bごとに断片化されており、糖鎖62aを有するドメイン62bによる支持体54や捕捉物質50への非特異的な吸着が抑制されている。したがって、反応領域38から発せられる蛍光は、主に検出対象物質60の存在を示す蛍光(シグナル)であり、非特異的に吸着した夾雑物に由来する蛍光(バックグラウンド)をほとんど排除することができる。
SPFSを実施するための基本的な構成、すなわち、測定部材(センサーチップ等)、測定装置およびシステム、測定手順等の実施形態は公知であり(たとえば、特開2013−253866号公報:特許文献7、国際公開WO2014/087802号公報:特許文献8を参照)、これらを応用して本発明を適切に実施することができる。以下、SPFS用測定装置および測定部材(ならびにこれらを統合するシステム)の概要を、図2および図3を参照しながら説明する。
SPFS用の測定部材は、一般的にセンサーチップ16と呼ばれる部材であり、サンドイッチ型免疫複合体を形成してSPFSによる蛍光測定を行うための場である測定領域が形成されている基板状部材16aと、サンドイッチ型複合体の形成などに用いられる各種の溶液(検出対象物質を含む検体またはその他の試料、標識化レクチン溶液、その他の必要な試薬等)を測定領域上に導入し保持することのできる、流路36を構築するための流路部材16bとを積層化した構成をとる。センサーチップ16は、SPFS用測定装置10が備える測定部材装填部18に着脱可能になっており、測定開始時にそこに装填して使用される。
図2Aに示す実施形態における基板状部材16aは、金属薄膜14の裏面に励起光を導入するための、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材12と、誘電体部材12の水平な上面12aに形成された、表面プラズモン共鳴を発生させるための金属薄膜14と、金属薄膜14の上面14aに形成された、検出対象物質を金属薄膜14の表面に捕捉するために固相化された捕捉物質を含む反応層とを備える。さらに必要に応じて、金属薄膜14と反応層の間に形成された、蛍光体が金属薄膜に近接しすぎることにより起こる蛍光の金属消光を防止するためのスペーサ層を備えていてもよい。
図2Bに示す実施形態における基板状部材16aは、図2Aに示す実施形態と異なり、プリズム形状の誘電体部材12と、その誘電体部材12と同様の材質の透明平面基板13とが分かれた構成をとっている。金属薄膜14は、誘電体部材12ではなく、透明平面基板13の表面に形成されており、反応層および必要に応じて設けられるスペーサ層もその金属薄膜14の上に形成される。この場合、誘電体部材12は測定装置10(測定部材装填部18)に固定的に据え付けられており、測定装置10の一部を構成することになる。一方、透明平面基板13等を含む基板状部材16aは、流路部材16bと組み合わされてセンサーチップ16を構成した後、測定装置10(測定部材装填部18)に装着して用いられる。それにより、透明平面基板13のもう一方の面(裏面)は、誘電体部材12の上面12aと密着するように積載され、図2Aに示す実施形態と同様に測定を行うことができる。
金属薄膜上の反応層が形成されている部位が測定領域38に相当する。流路36(またはウェル)の底面全域に反応層を形成して測定領域38としてもよいし、底面の一部のみに、必要であれば所望のパターニングで、反応層を形成して測定領域38としてもよい。測定領域38の面積は、一般的にレーザー光として照射される入射光22(励起光)の照射面積を考慮しながら調整することができる。たとえば、入射光22のスポット径が1mmφ程度であれば、測定領域38は通常、少なくとも数mm四方の面積を有するものとなるよう設計される。
SPFSのシステムを、図2および図3に示すように流路36を通じて各種の溶液を送液する「流路型」とする場合、流路を形成するための流路部材16bは、たとえば、流路の壁面を形成する穴のあいたフィルム状の「フローセル」およびフローセルの穴に対応する位置に送液導入口および送液排出口のあいた「天板」を用いて構築することができ、これらを基板状部材16aに密着させて固定することにより流路36を形成することができる。上記フローセルの穴に対応する位置のセンサーチップ表面が流路36の底面をなし、そこに測定領域38が形成される。あるいは、流路の高さに相当する深さの溝が彫られ、その両端に送液導入口および送液排出口に対応する貫通孔が設けられた部材を流路部材16bとして用い、溝が内側になるように積載し、これらを密着させて固定するようにして、流路36を構築することもできる。
流路型の場合、たとえばポンプやチューブを含む送液手段を用いて、各種の液体を送液導入口から流路内に送液して送液排出口から排出することができ、必要に応じて往復型、循環型の送液を行うこともできる。送液速度や送液(循環)時間などの条件は、試料の量や試料中の検出対象物質の濃度、流路ないしウェルのサイズや反応層の態様(捕捉物質の密度等)、ポンプの性能等を考慮しながら、適宜調整することができる。
一方、SPFSのシステムを、上記流路よりも広い空間に各種の溶液を貯留させる「ウェル型」とすることもできる。その場合、上述した流路部材16bの代わりに、基板状部材16aの上に、ウェルを形成するための貫通孔を有する「ウェル部材」を積載して固定するようにすればよい。ウェル型の場合、たとえばピペット状の部材を用いて、各種の液体をウェルに添加し、除去することができる。
上記フローセルは、たとえばシート状のポリジメチルシロキサン(PDMS)製とすることができる。上記天板は、測定領域38から発せられる蛍光を測定できるよう透明性を有する材料で作製され、たとえばプレート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)製とすることができる。あるいは、フローセルおよび天板を、成形加工やフォトリソグラフィにより所望の形状にしたプラスチック製とすることも可能である。
基板状部材16aにフローセルまたはウェル部材を密着させて固定する手段は特に限定されるものではなく、一般的には物理的に上下から圧力をかけるようにすればよく、必要であれば、透明支持体と同じ光屈折率を有する接着剤、マッチングオイル、透明粘着シートなどを用いてもよい。
SPFS用測定装置10は、基本的に、SPFS用測定部材が着脱可能な測定部材装填部18、使用する蛍光体に応じた適切な波長の励起光(好適にはレーザー光)を照射するための光源20、金属薄膜で反射した光を受光しその強度を測定する受光手段26(受光器および可動手段)、蛍光体から発せられる蛍光を集光するためのレンズおよびその蛍光の強度を測定するための光検出手段32(検出器等)、励起光および蛍光から所定の波長を有する光のみを透過させそれ以外の光をカットするための各種のフィルタ(図示せず)、SPFS用測定部材の流路またはウェルに各種の溶液を供給するための送液手段(図示せず)などを備える。
誘電体部材12の下方の一方の側面12bの側には、図に示すように、光源20が配置されている。光源20は標識化レクチンが有する蛍光色素に対応した励起光を照射することができるものであればよいが、たとえばレーザーダイオード(LD)を光源20として用いることができる。光源20には、金属薄膜14に対する入射光22の入射角α1を適宜変更可能とする入射角調整手段(図示せず)が備えられている。入射光22は、誘電体部材12の下方の一方の側面12bの側から入射して、誘電体部材12を介して、表面プラズモン共鳴が最大となる好適な入射角で金属薄膜14に向かって照射することができるようになっている。また、光源20と誘電体部材12(側面12b)との間には、光源20から照射される入射光22(レーザー光)を、金属薄膜14上で表面プラズモンを効率よく発生させるP偏光とするための偏光フィルタを設けてもよい。
誘電体部材12の下方の他方の側面12cの側には、入射光22が金属薄膜14によって反射された反射光24を受光する受光手段26が備えられている。金属薄膜14の上面14a側にエバネッセント波が発生し、表面プラズモン共鳴が起きて増強されると、その程度に応じて反射光24は入射光22よりも減衰するので、受光手段26が測定する光量によって入射角α1が適切なものかどうかを判定することができる。受光手段26にも可動手段(図示せず)が備えられており、光源20の入射角調整手段と同調して、入射角α1および反射角が変わった場合にも確実に、反射光24を受光することができるようになっている。
光検出手段32は、センサーチップ16の測定領域38から発せられる蛍光を測定できるよう、測定領域38の上方に光検出器を位置させるようにする。光検出器としては、例えば光電子倍増管(PMT)を用いることができる。また、光検出手段32には通常、集光レンズや、特定の波長の蛍光のみを集光しその他の蛍光を排除するためのフィルタも備えられている。
受光手段26および光検出手段32は、それぞれ、制御演算手段40に接続されており、受光手段26によって受光した反射光24の光量と、光検出手段32によって受光した蛍光30の光量とが、制御演算手段40に送信され、演算処理されるように構成されている。たとえば所定の工程で測定される蛍光30の光量のデータに基づいて、S/B比を自動的に算出できるようにすることも可能である。また、制御演算手段40は、所定のプログラムに従って、SPFS用測定装置10の構成部材を適切に作動させる機能を持たせることもできる。
なお、センサーチップ16、光源20および光検出手段32によって構成されるユニットを、SPFSに基づく蛍光測定を行うためのSPFS測定部34と称することもある。また、センサーチップ16、光源20および受光手段26によって構成されるユニットを、SPR測定部28と称することもある。
<サンドイッチ型アッセイの用途>
本発明のサンドイッチ型アッセイは、検出対象物質の定量が必要とされる様々な用途に対して利用することができるものであり、その利用の目的は特に限定されるものではない。
本発明のサンドイッチ型アッセイの好適な用途の一例として、各種の疾患のマーカーとなる糖タンパク質を検出対象物質として、その定量をサンドイッチ型アッセイにより実施した場合に、その測定結果を前記疾患の診断のために使用することが挙げられる。前述したように、SPFS等に準じて実施された本発明のサンドイッチ型アッセイにより、ノイズが著しく低減され、検出対象物質の量をより正確に表したシグナルないしS/B比を取得することができる。そのようなデータを用いることにより、検体を提供した被験者がその疾患の患者であるかどうかをより正確に診断することができるようになる。たとえば、LacdiNAc残基を含む糖鎖を有するPSA(特定PSA)の血中濃度によって前立腺癌に罹患しているか、罹患していない(前立腺肥大症に罹患している、あるいは健常である)かを診断する方法において、その特定PSAの血中濃度をSPFSに準じて実施された本発明のサンドイッチ型アッセイによって測定することにより、夾雑物に由来するノイズに起因して測定値が異常高値となることを抑制することができるため、前立腺癌に罹患していないのに罹患していると誤って診断する危険性を低減する、すなわち前立腺癌に対する特異度を向上させることができる。
−キット−
本発明のキットは、標識化レクチンおよび測定領域に固相化された捕捉物質を用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイを実施することのできるキットであって、少なくとも、夾雑物としての糖タンパク質を処理するためのジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質(SS結合開裂剤)を含む。このような本発明のキットは、前述したような開裂処理を含む本発明のサンドイッチ型アッセイを効率的に実施するために好適なものとなっている。
本発明のキットは、還元剤等のSS結合開裂剤以外にも、本発明のサンドイッチ型アッセイを実施するために用いられる試薬類や器具類を含んでいてもよい。たとえば、SPFSに準じたサンドイッチ型アッセイを実施するためのキットとして構成する場合、固相化された捕捉物質(抗体等)を含む反応層等を備えた基板状部材(誘電体部材または透明平面基板)、流路部材(フローセルおよび天板)またはウェル部材、検体希釈液、標識化レクチン、洗浄液、蛍光測定液、あるいはこれらの溶液を予め収容して密封された、SPFS装置に装填して使用することのできる試薬収容器などから選ばれる少なくとも一種、好ましくは全部を含んでいてもよい。反応層等を備えた基板状部材の代わりに、それを作製するための、無修飾の基板状部材、捕捉物質(抗体等)、必要に応じて金属薄膜の表面に捕捉物質を固定するためのシランカップリング剤、SAM、カルボキシメチルデキストラン等の親水性高分子および反応試薬、ならびに調製器具がキットに含まれていてもよい。標識化レクチンの代わりに、それを調製するためのレクチン、蛍光色素等の標識体、それらを連結するための反応試薬および溶媒ならびに調製器具がキットに含まれていてもよい。洗浄液の代わりに、それを調製するための洗浄剤および溶媒ならびに調製器具がキットに含まれていてもよい。さらに、本発明のキットは、本発明のサンドイッチ型アッセイを実施するための手順を示した使用説明書を含んでいてもよい。
なお、好適な実施形態において、本発明のキットは、前述したようにLacdiNAc残基を主要な結合対象とする、ノダフジレクチン(WFA)、ダイズレクチン(SBA)、キカラスウリレクチン−II(TJA−II)またはカラスノエンドウレクチン(VVL)を用いた標識化レクチンを含んでいる。
また、SS結合開裂剤は、その溶液を調製しておき、検体希釈液として用いるようにすると、たとえば前述した処理順序(1)〜(4)に従った実施形態において、検体に含まれる夾雑物の処理を効率的に行えるようになるので好ましい。したがって、本発明のキットは、SS結合開裂剤とともにそれを溶解して用いることのできる検体希釈液、あるいはあらかじめSS結合開裂剤が溶解した検体希釈液を含むことが好ましい。
(作製例1:SPFS用測定装置)
図2Bおよび図3Bに示す構成を有するSPFS用測定装置を作製した(以下の記載中の符号は図2Bおよび図3Bと同じである)。また、誘電体部材12としてシグマ光機(株)製の60度プリズムを用い、この誘電体部材12の上面に、次に述べる作製例2により得られた、透明平面基板13を用いて作製され、測定領域38に抗PSA抗体が固相化された、流路36を備えたセンサーチップ16を固定した。光源20としては波長635nmの光を照射することができるレーザーダイオード(LD)を用いた。光源20と誘電体部材12との間には、光学フィルタとして減光フィルタ(中性濃度フィルタ)を設けてフォトン量を調整できるようにした。センサーチップ16の測定領域38の上部に、集光レンズとして対物レンズを備え付け、さらに光検出器として光電子増倍管(PMT)を備え付け、光検出手段32とした。
(作製例2:SPFS用測定部材)
屈折率1.72、厚さ1mmのガラス製の透明平面基板「S−LAL 10」((株)オハラ)をプラズマ洗浄し、この基板の片面にクロム薄膜をスパッタリング法によって形成した。その後、その表面にさらに金薄膜をスパッタリング法によって形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
このようにして形成された金薄膜を備える基板を、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、当該分子からなるSAM膜(Self−Assembled Monolayer:自己組織化単分子膜)を金薄膜の表面に形成した。基板をこの溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールで洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。
この基板にN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)0.5mMと、水溶性カルボジイミド(WSC)0.5mMとカルボキシメチルデキストラン「CMD-500−06I4」(名糖産業株式会社:平均分子量50万,置換度0.51)1mg/mLとを含む25mMのMES緩衝生理食塩水および10mMのNaCl溶液(pH6.0)を0.8mL滴下し、20分間反応させて、SAM上にカルボキシメチルデキストランからなる膜(CMD膜)を形成した。
その後、高さ0.5mmの流路となる溝を有し、その溝の両端に貫通孔を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを、CMD膜の表面が流路の内側となるように溝をCMD膜に対向させて基板上に配置し、流路の外側のPDMS製シート上部から圧着して、ビスでPDMS製シート(流路36)とプラズモン励起センサーとを固定した。

上記のようにしてプラズモン励起センサーの上に構築した流路にペリスタポンプを接続し、超純水を10分間、その後リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を20分間、室温(25℃)で、流量500μL/分で循環送液させて、プラズモン励起センサーの表面を平衡化した。
続いて、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)50mMおよび水溶性カルボジイミド(WSC)100mMを含むPBS溶液5mLを流路に導入し、20分間、流量500μL/分で循環送液させて、CMDのカルボキシル基を活性エステル化させた。その後、抗PSAモノクローナル抗体(No.72、2.5mg/mL、ミクリ免疫研究所)の溶液2.5mLを30分間、流量500μL/分で循環送液させて、CMDの活性エステル基に抗体を結合させることで、SAM膜上に抗PSAモノクローナル抗体を固相化し、測定領域を構築した。
最後に、1wt%の牛血清アルブミン(BSA)を含むPBS溶液を30分間、流量500μL/分で循環送液させて、流路内の非特異的吸着防止処理(ブロッキング処理)を行った。
(作製例3:蛍光標識化レクチン)
蛍光標識化レクチン(Alexa Fluor 647標識WFA)を、蛍光物質ラベリングキット「Alexa Fluor(商標名)647タンパク質ラベリングキット」(インビトロジェン社製)を利用して作製した。WFA(ノダフジレクチン)「L-1350」(Vector社)100μg相当と、0.1M重炭酸ナトリウムと、Alexa Fluor 647 reactive dyeとを混合し、室温で1時間反応させた後、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび限外濾過を行い、標識に利用されなかったAlexa Fluor 647 reactive dyeを取り除いて、蛍光標識化WFAを回収した。得られた蛍光標識化WFA溶液の吸光度を測定して濃度を定量し、PBSで希釈して1μg/mLの濃度となるよう調整した。
(作製例4:シグナル取得用試料およびバックグラウンド取得用試料)
陽性試料として、PSAフリープール血清(正常ヒトプール血清、コージンバイオ社、ELISAにてPSA濃度が0.01ng/mL以下であることを確認)に、LNCaP(ヒト前立腺癌細胞培養株)培養上清を、全PSA濃度が2ng/mLとなるように添加した血清サンプルを調製し、シグナル(S)を取得するための試料として用いた。
また、PSAフリープール血清の中から、ELISAにてPSA濃度が1pg/mL(0.001ng/mL)以下であり、かつ非特異的反応を示す血清試料溶液を選び、バックグラウンド(B)を取得するための試料として用いた。
[実施例1]メタ重亜硫酸ナトリウムを還元剤として用いる場合
(シグナル値の測定)
還元剤としてメタ重亜硫酸ナトリウムを3.5wt%含有するPBS(pH7.4)溶液を調製し、処理溶液として用いた。この処理液100μLを、シグナル取得用試料50μLに添加し、チューブ内でよく撹拌して、室温にて5分間放置した。
上記処理後のシグナル取得試料100μLを、SPFS用測定装置に装着したSPFS用測定部材の流路に導入し、流量200μL/分で30分間循環送液して測定領域と反応させた。その後、流路に「Tween(登録商標)20」を0.05wt%含有するTBS(TBS−T)溶液を導入し、3分間送液して、流路および測定領域を洗浄した。
次に、作製例3により得た、濃度1μg/mLの蛍光標識化レクチン(Alexa Fluor 647標識WFA)溶液100μLを流路に導入し、流量200μL/分で10分間循環送液して測定領域と反応させた。その後、流路に「Tween(登録商標)20」を0.05wt%含有するTBS(TBS−T)溶液を導入し、3分間送液して、流路および測定領域を洗浄した。そして、このTBS溶液で流路を満たした状態で励起光を照射し、Alexa Fluor 647の蛍光の発光強度を測定し、その測定値をシグナル値とした。
(バックグラウンド値の測定)
シグナル取得用試料の代わりにバックグラウンド取得用試料を用いたこと以外は上記「シグナル値の測定」と同様の手順で、Alexa Fluor 647の蛍光の発光強度を測定し、その測定値をバックグラウンド値とした。
(S/B比の算出)
上記の手順で取得したバックグラウンド値に対する、上記の手順で取得したシグナル値の比の値であるS/B比を算出した。
[実施例2]チオグリセロールを還元剤として用いる場合
メタ重亜硫酸ナトリウムの代わりにチオグリセロールを添加した処理溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の手順でシグナル値およびバックグラウンド値を取得し、S/B比を算出した。
[実施例3]トルエンチオスルフィン酸ナトリウムを還元剤として用いる場合
メタ重亜硫酸ナトリウムの代わりにトルエンチオスルフィン酸ナトリウムを添加した処理溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の手順でシグナル値およびバックグラウンド値を取得し、S/B比を算出した。
[比較例1]還元剤を用いなかった場合
メタ重亜硫酸ナトリウムを添加していない処理溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の手順でシグナル値およびバックグラウンド値を取得し、S/B比を算出した。
<結果>
実施例1〜3および比較例の結果を表1および図4に示す。表中のシグナル値(S)は実測値であり、特定PSA由来のシグナル値とバックグラウンド(B)に相当するシグナル値の合計に相当する。
還元剤を用いた場合(実施例1〜3)は還元剤を用いなかった場合(比較例)と比べて、非特異的に吸着したWFA反応性の夾雑物の量を反映しているバックグラウンド値が著しく低下しており、還元剤がそのような非特異的吸着物の低減に顕著な効果を示していることが分かる。一方で、還元剤を用いたことにより検出対象物質(LacdiNAc−PSA)の量を反映しているシグナル値も低下しており、還元剤が検出対象物質にも多少の影響を及ぼしていることがわかる。しかしながら、全体としてみれば前述したバックグラウンド値の低下の効果の方が大きいため、S/B比は著しく向上している。したがって、検体がLacdiNAc−PSAを多量に含む患者由来の場合に大きなS/B比として検出される一方、検体がLacdiNAc−PSAをほとんど含まない健常者由来の場合に小さなS/B比として検出される(この場合、SはBに近いため、S/B比は1に近くなる)ことになるため、患者由来の検体に対する特異度および感度を向上させ、健常者を患者と誤診断する可能性を低くすることができる。
Figure 2015194350
[参考例1]健常者異常高値の要因となっている夾雑物の検証
前立腺癌患者由来のサンプル35例、前立腺肥大症患者由来のサンプル(前立腺肥大症検体)30例、および健常者由来のサンプル(健常者検体)25例について、まず、還元剤を用いない比較例1と同様にして、SPFSのシグナル値を求めた。結果を図5(左)に示す。次に、そのSPFSのシグナル値が高値であった、前立腺肥大症検体および健常者検体について、ELISA法に準じて全PSA量を定量した。結果を図5(右)に示す。前立腺肥大症検体および健常者検体の結果について、図5(左)の四角枠内のデータを対比すると、健常者検体は前立腺肥大症検体に比べて、全PSA含量が低いにもかかわらず、特定の糖鎖を有するPSA(LacdiNAc−PSA)を測定しようとしたSPFSのシグナルが高値化していることが分かる。
その原因を特定するため、健常者検体をWFAカラムで処理し、その結合画分について電気泳動解析を行った。結果を図6に示す。各バンドが表す物質を特定するため、トリプシン処理後、MALDI−TOF−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)による同定試験を行った。その結果、インターαトリプシンインヒビター(IαI)、α2−マクログロブリン(α2M)、ハプトグロビン(HP)、免疫グロブリンM(IgM)および免疫グロブリンG(IgG)の5つの候補物質が浮上した。
上記5つの候補物質はいずれも一般的な血清タンパク質であり、標品試薬が市販されている。その標品試薬をシアリダーゼで処理した後、PBSバッファーに添加し、SPFSシグナルを測定した。結果を図7に示す。今回用いた健常者検体については、IgMについて、ノイズとなり得る顕著なSPFSシグナルが確認された。また、IαI、α2M、HPおよびIgGについても、IgMよりは弱いながらもノイズとなり得るSPFSシグナルが確認された。
IgMについてさらに検証するため、各健常者検体をIgM精製カラムで処理し、カラム前、素通り画分(IgMが除去されている画分)および結合画分(IgMを溶出させた画分)のそれぞれについて、SPFSシグナルを測定した。結果を図8に示す。全ての健常者検体について、素通り画分で大幅に測定シグナルが低下している一方、結合画分で測定シグナルが高くなっている。したがって、IgMの非特異的吸着が冒頭で述べた健常者検体のシグナルの高値化の要因となっており、これを除去することでバックグラウンドを著しく低下させることができる可能性が極めて高いことが示されている。
10 SPFS用測定装置
12 誘電体部材
12a 上面
12b 側面
12c 側面
13 透明平面基板
14 金属薄膜
14a 上面
16 センサーチップ
16a 基板状部材
16b 流路部材
18 測定部材装填部
20 光源
22 入射光
24 反射光
26 受光手段
28 SPR測定部
30 蛍光
32 光検出手段
34 SPFS測定部
36 流路
38 測定領域
40 定量演算手段
50 捕捉物質
52 標識化レクチン
52a 蛍光物質
54 支持体
60 検出対象物質
60a 糖鎖
62 夾雑物
62a 糖鎖
62b ドメイン(断片化された夾雑物)

Claims (8)

  1. 標識化レクチンおよび測定領域に固相化された捕捉物質を用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイであって、前記測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が有する、検出対象物質と同じ糖鎖への標識化レクチンの結合を抑制する処理を含む、サンドイッチ型アッセイ。
  2. 前記測定領域に非特異的に吸着した夾雑物が、前記検出対象物質と同じ糖鎖を有する糖タンパク質であって、その糖鎖への標識化レクチンの結合を抑制する前記処理が、ジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質を前記夾雑物としての糖タンパク質に接触させることにより、前記検出対象物質と同じ糖鎖を含むドメインを遊離させる処理である、請求項1に記載のサンドイッチ型アッセイ。
  3. 前記検出対象物質が、前記夾雑物としての糖タンパク質と同じ糖鎖および前記捕捉物質との結合部位を同一のドメイン内に含む糖タンパク質である、請求項2に記載のサンドイッチ型アッセイ。
  4. 前記検出対象物質および夾雑物が、N−アセチル−D−ガラクトサミンβ1−4Nアセチルグルコサミン残基を含む糖鎖を有する糖タンパク質であって、前記標識化レクチンが、ノダフジレクチン(WFA)、ダイズレクチン(SBA)、キカラスウリレクチン−II(TJA−II)またはカラスノエンドウレクチン(VVL)を標識化したものである、請求項2または3に記載のサンドイッチ型アッセイ。
  5. 前記夾雑物が、免疫グロブリンM(IgM)、インターαトリプシンインヒビター(IαI)、α2−マクログロブリン(α2M)、ハプトグロビン(HP)および免疫グロブリンG(IgG)からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項2〜4のいずれか一項に記載のサンドイッチ型アッセイ。
  6. 前記夾雑物としての糖タンパク質を前記捕捉物質に接触させる前に、前記ジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質を前記夾雑物としての糖タンパク質と接触させるようにする、請求項2〜5のいずれか一項に記載のサンドイッチ型アッセイ。
  7. 固相化抗体および標識化レクチンを用いて、検出対象物質としての糖タンパク質を定量するためのサンドイッチ型アッセイを実施するためのキットであって、夾雑物としての糖タンパク質を処理するためのジスルフィド結合を開裂する作用を呈する物質を含むキット。
  8. さらに、ノダフジレクチン(WFA)、ダイズレクチン(SBA)、キカラスウリレクチン−II(TJA−II)またはカラスノエンドウレクチン(VVL)を用いた標識化レクチンを含む、請求項7に記載のキット。
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