JP2013253866A - レクチンを用いたアナライトの検出方法 - Google Patents

レクチンを用いたアナライトの検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013253866A
JP2013253866A JP2012129650A JP2012129650A JP2013253866A JP 2013253866 A JP2013253866 A JP 2013253866A JP 2012129650 A JP2012129650 A JP 2012129650A JP 2012129650 A JP2012129650 A JP 2012129650A JP 2013253866 A JP2013253866 A JP 2013253866A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lectin
sugar chain
analyte
labeling
detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012129650A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5991032B2 (ja
Inventor
Tomonori Kaneko
智典 金子
Yoichi Ide
陽一 井出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2012129650A priority Critical patent/JP5991032B2/ja
Publication of JP2013253866A publication Critical patent/JP2013253866A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5991032B2 publication Critical patent/JP5991032B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Abstract

【課題】レクチンを用いた糖鎖を有するアナライト(たとえば抗原)の検出系において、簡便な手法(簡易な構成)により、レクチンによる検出感度および定量性を向上させることができる、アナライトの検出方法を提供すること。
【解決手段】検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを用いて、検体中の前記検出対象糖鎖を有するアナライトを検出する方法であって、前記標識用レクチンと結合した前記アナライトを検出する検出工程の前に、前記標識用レクチンを前記アナライトに接触させる標識処理と、少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を、前記非検出対象糖鎖を有する夾雑物に接触させるマスク処理とを行うことを特徴とする、アナライトの検出方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レクチンを用いたアナライトの検出方法に関する。より詳しくは、アナライト(たとえば抗原)が有する糖鎖に対して所定の処理をする工程を含む、レクチンを用いた高感度・低ノイズであるアナライトの検出方法に関する。
生体の生命機能を担う主役であるタンパク質が、細胞社会の中において秩序正しく機能を発揮するためには、糖鎖修飾をはじめとする翻訳後修飾が極めて重要な役割を担っている。生体内の殆どのタンパク質は糖鎖による修飾を受けており、タンパク質に付加した糖鎖がウイルスの感染、原虫の寄生、感染、毒素の結合、ホルモンの結合、受精、発生分化、タンパク質の安定性、がん細胞転移、アポトーシスなど、生命現象の様々な場で重要な役割を果たしていることが近年次々と明らかになってきた。
同じアミノ酸配列のタンパク質(同一名称のタンパク質)であっても、修飾されている糖鎖は多種多様であり、タンパク質を産生する細胞の状態によってその糖鎖構造は異なることが知られている。
このような糖鎖の変化と疾病との関係性についても明らかになってきており、例えば、特許文献1、非特許文献1に開示されるようなαフェトプロテイン(AFP)糖鎖分画測定による肝癌の鑑別方法、特許文献2に開示されるような前立腺特異抗原(PSA)糖鎖分画測定による前立腺癌の鑑別方法、非特許文献2、3に開示されるような癌胎児性抗原(CEA)糖鎖分画測定による腺癌の鑑別方法などに応用されている。
糖タンパク質上の糖鎖の特異的検出にはレクチンと呼ばれる糖鎖を特異的に認識・結合・架橋する能力を持つタンパク質が広く利用されている。それは、糖鎖に対する抗体が非常に作製しにくく入手が困難であるためである。
レクチンは安価で大量に入手が可能であり、またタンパク質の安定性にも優れており長期間保存も可能である。しかし、レクチンは抗体よりも結合活性が低い、特異性が低いなどの問題がある。
例えば、ノダフジレクチン(WFA)はN−アセチルガラクトサミンを主要な結合糖鎖とすることが知られているが、わずかにガラクトースとも結合するため、反応系内にガラクトース残基が存在すると非特異的に反応してしまうことになる。
このような特徴を持つレクチンを用いて、特定のタンパク質上の糖鎖を簡便に定量解析する方法として、タンパク質に対する抗体とレクチンを用いたサンドイッチアッセイがある。
しかし、この手法は対象タンパク質がある程度精製されている場合には有効であるが、通常の疾病診断において検体として用いられる血液や尿等の、測定対象以外の糖タンパク質や糖脂質といった夾雑物が大量に含まれる系では感度、定量性において著しく性能が落ち解析が非常に困難であった。そのため対象たんぱくの血清中の含有濃度が著しく高い(数μg/mL程度)限られた項目でしか、血清診断等に利用されていない。
夾雑物の影響を低減するための施策として、抗体を固定化した支持体表面への血清夾雑物の吸着を抑制するブロッキング剤の検討(特許文献3)、非特異物質をあらかじめ吸着させる吸収剤の添加(特許文献4、5)、支持体に吸着してしまった分子を効率よく除去できる洗浄液の検討(特許文献3)が行われている。
ここで、ブロッキング剤としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン等が知られており、そのほかには合成高分子材料を用いたものもある。非特異物質の吸収剤は、抗原抗体反応を阻害する分子やノイズの原因となる分子を結合させて反応系の中から取り除くことができる分子であり、グリコサミノグリカン、ヘパリン等、高分子、糖鎖複合体などが用いられることがある。洗浄液としては液の組成検討が行われており、塩強度、各種界面活性剤の効果を検討している例も報告されている(特許文献3)。
しかし、これらバックグラウンド低減施策では、検出レクチンを用いた定量解析では劇的な効果が認められる例は極めて少なく、また対象に適したブロッキング剤の探索のため、検討に非常に工数がかかることも問題である。
特開昭61-292062号公報 国際公開WO2010/090264号公報 特開2010-127827号公報 特開2009-53195号公報 特開2010-60293号公報
Sugar Chains of Human Cord Serum α-Fetoprotein: Characteristics of N-linked Sugar Chains of Glycoproteins Produced in Human Liver and Hepatocellular Carcinomas, K. Yamashita et al., Cancer Res., 53, 1 (1993) Carbohydrate Structures of Nonspecific Cross-reacting Antigen-2, a Glycoprotein Purified from Meconium as an Antigen Cross-reacting with Anticarcinoembryonic Antigen Antibody, K. Yamashita et al., Biol. Chem., 264, 17873 (1989) Structural Studies of the Carbohydrate Moieties of Carcinoembryonic Antigens, K. Yamashita et al., Cancer Res., 47, 3451 (1987)
本発明は、レクチンを用いた糖鎖を有するアナライト(たとえば抗原)の検出系において、簡便な手法(簡易な構成)により、レクチンによる検出感度および定量性を向上させることができるアナライトの検出方法、ならびに検出キットを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討した結果、レクチンを用いた測定系における高いバックグラウンド(ノイズ)の要因は、検出に用いるレクチンが、糖鎖認識性にある程度幅を持っているために、ブロッキング剤等による公知の処理方法を用いたとしても一定量発生する、支持体や抗原を捕捉するためのリガンド(抗体等)等に非特異的に結合した検出対象以外の糖タンパク質や糖脂質のような夾雑物にも結合してしまうことがあることを見出した。この新たな知見に基づき、本発明者らは、標識用レクチンが結合するおそれのある、検出の対象としない夾雑物が有する糖鎖を、当該糖鎖に強く結合する糖鎖認識分子(好ましくは標識用レクチンとは別の種類のレクチン)でマスキングすることにより、バックグラウンドの低減および感度の上昇が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の事項を包含する。
[1]検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを用いて、検体中の前記検出対象糖鎖を有するアナライトを検出する方法であって、前記標識用レクチンと結合した前記アナライトを検出する検出工程の前に、
前記標識用レクチンを前記アナライトに接触させる標識処理と、
少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を、前記非検出対象糖鎖を有する夾雑物に接触させるマスク処理とを含む検出前処理工程を行うことを特徴とする、検出対象糖鎖を有するアナライトの検出方法。
[2]前記検出前処理工程が、さらに、前記アナライトと結合するリガンドが固定化された支持体に前記アナライトおよび前記夾雑物を接触させる固相化処理を含む、[1]に記載の検出方法。
[3]前記固相化処理を、前記標識処理および前記マスク処理の前に行う、[2]に記載の検出方法。
[4]前記標識処理および前記マスク処理を、前記固相化処理の前に行う、[2]に記載の検出方法。
[5]前記標識処理と前記マスク処理を同時に行う、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の検出方法。
[6]前記標識処理を、前記マスク処理の前に行う、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の検出方法。
[7]前記マスク処理を、前記標識処理の前に行う、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の検出方法。
[8]前記固相化処理を、前記標識処理の後かつ前記マスク処理の前に行う、[2]に記載の検出方法。
[9]前記固相化処理を、前記マスク処理の後かつ前記標識処理の前に行う、[2]に記載の検出方法。
[10]前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがノダフジレクチン(WFA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がガレクチンである、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[11]前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがダイズレクチン(SBA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がガレクチンである、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[12]前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがキカラスウリレクチン(TJA-II)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がレンズマメレクチン(LCA)である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[13]前記アナライトがα-フェトプロテイン(AFP)であり、前記標識用レクチンがレンズマメレクチン(LCA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がタチナタマメレクチン(ConA)である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[14]前記アナライトが癌胎児性抗原(CEA)であり、前記標識用レクチンがキカラスウリレクチン(TJA-I)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がニホンニワトコレクチン(SSA)である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[15]検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを含む試薬と、
少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を含む試薬と、
前記検出対象糖鎖を有するアナライトと結合するリガンドを含む試薬と
を含むことを特徴とする、検出対象糖鎖を有するアナライトの検出用キット。
本発明の課題を解決するための手段の概念図の一例を図1に示す。従来の実施形態を示す図1aでは、標識体(60b)で標識化された標識用レクチン(60a)は、検出対象糖鎖および非検出糖鎖を含む複数種の糖鎖を認識するため、アナライトである検出対象抗原(46)が有する検出対象糖鎖(46c)のみならず、夾雑物である、非特異的に吸着する糖タンパク質(50)や糖脂質(52)が有する非検出対象糖鎖(46d)にも結合する。例えば、PSA抗原を検出対象抗原(46)とし、標識用レクチン(60a)としてWFAレクチンを用いる場合、N-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)が検出対象糖鎖(46c)に該当し、ガラクトース(Gal)が非検出対象糖鎖(46d)に該当する。これに対して、本発明の実施形態を示す図1bでは、夾雑物が有する非検出対象糖鎖(46d)はマスク用糖鎖認識分子(75)によってマスキングされているため、標識用レクチン(60a)の夾雑物への結合を抑制することができる。
本発明によれば、レクチンを用いた抗原の検出系において、簡便な手法(簡易な構成)により、測定系のバックグラウンドの上昇を抑え、レクチンによる対象抗原上の糖鎖の検出感度および定量性を向上させることができる抗原の検出方法、ならびに検出キットを提供することができる。
また、サンドイッチアッセイ系でマスク用糖鎖認識分子を試薬に含有させるだけ上記効果が得られるため、簡便な手法(簡易な構成)であり、診断シーンでの適用にも有効である。
図1は、リガンドが固定化された支持体に試料を接触させ、アナライトおよび夾雑物が支持体上に存在している状態(a)において、従来の実施形態に従った場合に、レクチンによるアナライトの検出においてバックグラウンドが発生するメカニズム(b)、および本発明の実施形態に従った場合に、バックグラウンド低減および検出感度上昇の効果が奏される(c)の様子を模式的に示した概念図である。 図2は、標識処理およびマスク処理を同時に行った後、固相化処理を行う、本発明の検出方法の一実施形態を示した概念図である。 図3は、マスク処理、固相化処理、標識処理の順序で行われる、本発明の検出方法の一実施形態を示した概念図である。 図4は、固相化処理に続いて、標識処理およびマスク処理が行われる、本発明の検出方法の一実施形態を示した概念図である。 図5は、本発明のアナライトの検出方法を実施する上で好適な、SPFS測定装置の構成を模式的に示す概略図である。 図6は、図5の測定装置のセンサチップ周辺の部分拡大図である。
以下、本発明の検出方法、検出用キットについて説明する。
本明細書において「検出対象糖鎖」とは、アナライト(たとえば特定の疾患を発症した場合に血中に比較的高濃度で存在するようになるマーカーとなる抗原)が特異的に有する糖鎖であって、アナライトを検出するために、検出用レクチンを極力多く結合させることが意図される糖鎖を指す。一方、「非検出対象糖鎖」とは、アナライトとともに検体中に存在する夾雑物(アナライトとは異なる糖タンパク質、糖脂質等)が有する糖鎖であって、アナライトの検出の障害となるため、検出用レクチンを極力結合させないことが意図される糖鎖を指す。
本明細書における「検出方法」は、定性的にアナライトを検出する方法のみならず、定量的にアナライトを検出する方法(アナライトの定量方法)を当然に含む。
≪本発明に用いられる標識用レクチン・マスク用糖鎖認識分子等≫
本発明の方法には、標識用レクチン、標識体、マスク用糖鎖認識分子、リガンド、アナライトおよび夾雑物を含む検体、必要に応じてさらにリガンドを固定化するための支持体を用いる。以下、各要素について詳細に説明する。
<レクチン>
本発明の検出方法では、検出対象糖鎖を有するアナライトを標識するための標識用レクチンとしてレクチンが用いられる。また、夾雑物が有する検出対象糖鎖をマスキングするためのマスク用糖鎖認識分子としてレクチンが用いられる場合がある。本発明において、マスキングに用いられる糖鎖認識分子はレクチンに限定されるものではなく、たとえば検出対象糖鎖をエピトープとして認識し、特異的に結合する抗体も包含されるが、標識用レクチンと同様、安価で大量に入手が可能であり、またタンパク質の安定性にも優れており長期間保存も可能であるという観点からは、レクチンが好適である。
レクチンは、その種類に応じた特定の糖鎖に高い結合能で結合するが、それとは別の糖鎖にも低い結合能ながら結合することがある。したがって、本発明の検出方法は、検出アナライトが有する検出対象糖鎖に高い結合能で結合する一方、夾雑物が有する非検出対象糖鎖にも弱い結合能で結合するレクチンを、標識用レクチンとして用いる場合に適用される。そして、標識用レクチンが弱い結合能で結合する非検出対象糖鎖に対して強い結合能で結合する糖鎖認識分子をマスク用糖鎖認識分子として用いる。このようなマスク用糖鎖認識分子は、標識用レクチンが強い結合能で結合する検出対象糖鎖に対しては、実質的に結合しないか、弱い結合能で結合する糖鎖認識分子(たとえば標識用レクチンとは異なる種類レクチン)である必要がある。
レクチンは、動植物,真菌,細菌,ウイルスなどから得られる様々な分子家系に属するレクチン、すなわち、細菌を含むすべての生物界で見出されるリシンB鎖関連の「R型レクチン」;真核生物全般に存在し糖タンパク質のフォールディングに関与する「カルネキシン・カルレティキュリン」,多細胞動物に広く存在し、「セレクチン」,「コレクチン」等代表的なレクチンを多く含むカルシウム要求性の「C型レクチン」;動物界に広く分布しガラクトースに特異性を示す「ガレクチン」;植物豆科で大きな家系を形成する「豆科レクチン」およびこれと構造類似性を有し動物細胞内輸送に関わる「L型レクチン」;リソソーム酵素の細胞内輸送に関わるマンノース6−リン酸結合性の「P型レクチン」;グリコサミノグリカンをはじめとする酸性糖鎖に結合する「アネキシン」;免疫グロブリン超家系に属し「シグレック」を含む「I型レクチン」などに分類することができる。
上記レクチンの具体例としては、ACA(センニンコクレクチン),BPL(ムラサキモクワンジュレクチン),ConA(タチナタマメレクチン),DBA(Horsegramレクチン),DSA(ヨウシュチョウセンアサガオレクチン),ECA(デイゴマメレクチン),EEL(Spindle Treeレクチン),GNA(ユキノハナレクチン),GSL I(グリフォニアマメレクチン),GSL II(グリフォニアマメレクチン),HHL(アマリリスレクチン),ジャカリン(ジャックフルーツレクチン),LBA(リママメレクチン),LCA(レンズマメレクチン),LEL(トマトレクチン),LTL(ロータスマメレクチン),MPA(アメリカハリグワレクチン),NPA(ラッパズイセンレクチン),PHA−E(インゲンマメレクチン),PHA−L(インゲンマメレクチン),PNA(ピーナッツレクチン),PSA(エンドウレクチン),PTL−I(シカクマメレクチン),PTL−II(シカクマメレクチン),PWM(ヨウシュヤマゴボウレクチン),RCA120(ヒママメレクチン),SBA(ダイズレクチン),SJA(エンジュレクチン),SNA(セイヨウニワトコレクチン),SSA(ニホンニワトコレクチン),STL(ジャガイモレクチン),TJA−I(キカラスウリレクチン),TJA−II(キカラスウリレクチン),UDA(Common Stinging Nettleレクチン),UEA I(ハリエニシダレクチン),VFA(ソラマメレクチン),VVA(ヘアリーベッチレクチン),WFA(ノダフジレクチン),WGA(パンコムギレクチン),AAL(ヒイロチャワンダケレクチン),AOL(アスペルギルス・オリゼレクチン)などを挙げることができる。
<標識体>
本発明の方法においては、検出対象抗原を検出するために、レクチンと複合体化させた標識体を用いる。そのために、標識体とレクチンと複合体化(結合)させた、標識化レクチンが作製される。
標識体としては、蛍光色素、酵素・補酵素、化学発光物質、放射性物質等の当業者に公知の標識体を用いることができる。
蛍光色素としては、例えば、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株))、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株))、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株))、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株))等の有機蛍光色素が挙げられる。
また、Eu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素(例えばATBTA-Eu3+)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)またはAllophycocyanin(APC;LyoFlogen(登録商標))等に代表される蛍光タンパク質、ラテックスやシリカなどの蛍光微粒子等も、蛍光色素として挙げられる。
なお、血液検体に由来する試料を分析に供する場合は、血液中の血球成分由来の鉄による吸光の影響を最小限に抑えるため、Cy5やAlexa Fluor 647など、近赤外領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが望ましい。
放射性物質としては、ラジオアイソトープ(32P、14C、125I、3H、131Iなど)が挙げられる。
<アナライト(検出対象物質)>
本発明では、レクチンにより認識される特定の糖鎖を有し、かつ、適切なリガンドにより特異的に認識され結合し得る分子または分子断片をアナライト(検出対象物質)とすることができる。なお、本明細書において、当該アナライトが抗原である場合に「検出対象抗原」と呼ぶこともある。
このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA,RNA,ポリヌクレオチド,オリゴヌクレオチド,PNA(ペプチド核酸)等,またはヌクレオシド,ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子);タンパク質(ポリペプチド,オリゴペプチド等);アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。);糖質(オリゴ糖,多糖類,糖鎖等);脂質;またはこれらの修飾分子、複合体などを挙げることができる。これらの中でも、アナライトとしてタンパク質(糖タンパク質)および脂質(糖脂質)が好ましく、タンパク質(糖タンパク質)がより好ましい。
本発明のアナライトとしては、例えば、がん抗原/腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどのタンパク質が好適である。がん抗原/腫瘍マーカーの具体例としては、PSA、AFP、CEAなどが挙げられる。
<アナライト(検出対象物質)を含む検体>
本発明の検出方法では、アナライト(検出対象物質)を含む可能性のある検体を被検試料とすることができる。アナライトを含む可能性のある検体は、現実にアナライトを含む検体であってもよいし、現実にはアナライトを含まない検体であってもよい。このような検体としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、細胞、組織、もしくは器官、またはそれらの調製物(例えば、生検標本)等の生体試料および生体由来試料を挙げることができる。特に、がん抗原/腫瘍マーカーを含む可能性のある、血液、血清または血漿が検体として好適である。
前記血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液などの液性の試料は、適当な緩衝液により希釈して使用することができる。また、細胞、組織、または器官などの固形の試料は、固形の試料の体積の2〜10倍程度の適当な緩衝液でホモジェナイズして、懸濁液またはその上清を、そのまま、またはさらに希釈して使用することができる。
<アナライト、標識用レクチン、マスク用糖鎖認識分子の組合せ>
本発明の検出方法における、アナライト(検出対象抗原)、標識用レクチン、およびマスク用糖鎖認識分子(レクチン)の組合せの具体例を表1に示す。
表1に示す以外にも、がん抗原/腫瘍マーカーなどの検出対象抗原、検体中にそれとともに含まれやすい夾雑物(検出対象抗原以外の糖タンパク質や糖脂質)、それぞれが有する糖鎖の種類を考慮しながら、前者が有する検出対象糖鎖に結合しやすい標識用レクチンと、そのレクチンが同時に結合するおそれのある後者が有する非検出対象糖鎖に結合しやすいマスク用糖鎖認識分子(レクチン)を適宜選択し、組み合わせて用いることが可能である。
<リガンド(抗原捕捉物質)>
本発明では、アナライト(検出対象物質)を特異的に認識して結合し、かつ、レクチンによる糖鎖認識を妨げない分子をリガンド(抗原捕捉物質)として用いることができる。アナライトに対応する適切な物質であればリガンドは特に限定されないが、例えば、抗体、アプタマー、合成ペプチド等を用いることができる。特に、検出対象抗原に対するモノクローナル抗体が好適である。
たとえば、がん抗原/腫瘍マーカーなどを検出対象抗原とする場合は、その抗原に特異的に結合する抗体(モノクローナル抗体など)をリガンドとして用いることが適切である。例えば、ヒトPSAを抗原とする場合には、抗ヒトPSA抗体を用いればよい。
なお、上記「抗体」は、完全抗体のみならず任意の抗体断片または誘導体を含む意味で用いられ、完全抗体に加え、Fab、Fab'2、CDR、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)等の各種抗体も包含される。
<支持体>
本発明の検出方法においては、測定系に応じて、リガンドを固定化する(そこにアナライトを捕捉する)ための支持体を用いることができる。支持体としては、例えば、アガロース、セルロースなどの不溶性の多糖類、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂などの合成樹脂や、ガラスなどの不溶性の支持体を挙げることができる。これらの支持体は、ビーズ(主として球状)、プレート(主として平面状)などの形状で用いられる。ビーズとしては磁気ビーズ、樹脂ビーズ等が充填されたカラムなどが使用できる。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)、バイオセンサーチップなどが使用できる。なお、プレート等の平面状の支持体を基板と呼ぶこともある。
リガンドと支持体との結合は、化学結合や物理的な吸着などの通常用いられる方法により行うことができる。これらの支持体はすべて市販のものが好適に使用できる。
なお、支持体に固定化されており、送液される検体中のアナライトを捕捉して当該支持体上に固相化することができる状態のリガンドを固相化リガンドと呼ぶこともある。
≪本発明の検出方法≫
<検出方法に含まれる工程>
本発明の検出方法は、検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを用いて、検体中の前記検出対象糖鎖を有するアナライトを検出する方法であって、前記標識用レクチンと結合した前記アナライトを検出する検出工程の前に、以下の処理を含む検出前処理工程を含む:
(1)前記標識用レクチンを前記アナライトに接触させる標識処理;
(2)少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を、前記非検出対象糖鎖を有する夾雑物に接触させるマスク処理;および、必要に応じて、
(3)前記アナライトと結合するリガンドが固定化された支持体に前記アナライトを接触させる固相化処理。
<工程・処理が実施される順序>
本発明の検出方法では、検出前処理工程、検出工程の順序で行われる。検出前処理工程に含まれる最後の処理の後に、検出工程を行うようにすればよい。
また、検出前処理工程の内部における、標識処理、マスク処理、および必要に応じて行われる固相化処理の順序には様々な実施形態が含まれる。たとえば、標識処理およびマスク処理は、同時に行うこともできる。具体的には、以下のような処理の実施形態を挙げることができる。なお、「標識処理+マスク処理」は標識処理とマスク処理を同時に行うことを表し、「→」はその左側の処理を実施後、右側の処理を実施することを意味する。例えば、「(標識処理+マスク処理)→固相化処理」は、標識処理とマスク処理を同時に行った後に、固相化処理を行うことを表す。
(検出前処理工程における処理の順序)
(1)標識処理+マスク処理
(2)標識処理→マスク処理
(3)マスク処理→標識処理
(4)(標識処理+マスク処理)→固相化処理
(5)標識処理→マスク処理→固相化処理
(6)マスク処理→標識処理→固相化処理
(7)標識処理→固相化処理→マスク処理
(8)マスク処理→固相化処理→標識処理
(9)固相化処理→(標識処理+マスク処理)
(10)固相化処理→標識処理→マスク処理
(11)固相化処理→マスク処理→標識処理
図2〜図4にこれらの実施形態の一部について概念図を示した。図2は上記(4)、図3は上記(8)、図4は上記(11)の実施形態に相当する概念図である。いずれの実施形態においても最終的に、標識体(60b)で標識化されたレクチン(60a)は、非検出対象糖鎖(46d)を有する糖タンパク質(50)や糖脂質(52)などの夾雑物への結合が抑制され、検出対象糖鎖(46c)を有するアナライト(46)に結合できるようになっている。
固相化処理を含まない本発明の実施形態としては、例えば、リガンドとして、FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)試薬のドナー蛍光体を標識した抗体を、標識用レクチンを標識する標識体としてFRET試薬のアクセプター蛍光体を用いる方法があげられる。この場合、リガンド(抗体)にアナライト以外の糖タンパク質や糖脂質(夾雑物)が非特異的に結合し、バックグラウンド上昇の原因となる。したがって、固相化処理を含まない場合であっても、前述したような標識処理、およびマスク処理を含む検出前処理工程の後、検工程を行うことにより、上昇したバックグラウンドを低減させることが可能であり、本発明の効果を得ることができる。
本発明の検出方法としては、検出前処理工程に固相化処理が含む実施形態が、検出感度上昇の観点から好ましい。
検出前処理工程におけるマスク処理の実施順序は、(A)固相化処理を実施後に、支持体上でマスク処理を行う場合と、(B)それ以外の場合(固相化処理の前にマスク処理を行う、または、固相化処理を実施しない場合)に大きく分けることができる。
実施形態(A)では、検体中に含まれるアナライト(抗原等)を、同じく検体中に含まれる糖タンパク質や糖脂質などの夾雑物とともに、リガンド(抗体等)が固定化されている支持体と先に接触させる。すると、支持体上では、固相化リガンドによってアナライトが捕捉されるとともに、夾雑物が非特異的にリガンドまたは支持体に吸着する。このような状態の支持体に、マスク用糖鎖認識分子を添加することで、支持体およびリガンドに非特異的に結合した夾雑物が有する非検出対象糖鎖をマスキングことができる。これにより、レクチンを添加した際の高いバックグラウンドは抑制される。
実施形態(B)では、希釈しないままの検体に、または適当な緩衝液等で希釈して調製した試料に、マスク用糖鎖認識分子を添加する。これにより、検体中に含まれる夾雑物が有する非検出対象糖鎖をマスキングすることができ、特異性および感度が向上する。
多量の夾雑物中でマスク処理を行う実施形態(B)に比べ、支持体およびリガンドに吸着した夾雑物のみをマスク処理する実施形態(A)のほうが、ノイズ除去の効果が高いため、より好ましい。
また、標識用レクチンが非検出対象糖鎖(夾雑物)に結合することをいち早く防止するため、マスク処理は標識処理の前に行う方が好ましい。
本発明の方法は、従来のバックグラウンド抑制方法と組み合わせて行うこともでき、組合せることでより高いバックグラウンド抑制効果が期待できる。
<各工程・処理の詳細>
以下に各工程・処理の詳細について説明する。
〔1.標識処理〕
標識処理は、アナライト−標識用レクチン複合体を形成するために、標識用レクチンをアナライトに接触させる処理である。この処理に用いられる標識用レクチンは、あらかじめ標識体と複合体化されている。標識用レクチンを含む溶液を、アナライトを含む溶液(検体または調製された試料等)または固相化処理によりアナライトが捕捉されている支持体と接触させれば、通常自ずと標識用レクチンとアナライトとの接触が起こり、当該アナライトが有する検出対象糖鎖を介して両者は結合する。この処理で用いる標識用レクチンの量、反応液中の濃度、反応時間などの反応条件は、用いる標識用レクチンやアナライトの性状に応じて適宜調整すればよい。
〔2.マスク処理〕
マスク処理は、夾雑物が有する非検出対象糖鎖への標識用レクチンの結合を抑制するために、マスク用糖鎖認識分子を夾雑物に接触させる処理である。この処理に用いられるマスク用糖鎖認識分子(たとえばレクチン)は、標識用レクチンと異なり、標識体とは複合体化されない。マスク用糖鎖認識分子を含む溶液を、(アナライトとともに)夾雑物を含む溶液または固相化処理により(アナライトが捕捉されているとともに)夾雑物が非特異的に吸着したリガンドおよび支持体と接触させれば、通常自ずとマスク用糖鎖認識分子と夾雑物との接触が起こり、当該夾雑物が有する非検出対象糖鎖を介して両者は結合する。この処理で用いるマスク用糖鎖認識分子の量、反応液中の濃度、反応時間などの反応条件は、用いるマスク用糖鎖認識分子や夾雑物の性状に応じて適宜調整すればよい。
〔3.固相化処理〕
固相化処理は、基板状の測定用部材(支持体に相当する)を用いる検出系などにおいて行われる処理であって、アナライトおよび夾雑物を、リガンドが固定化された支持体に接触させる処理である。アナライトおよび夾雑物(標識処理およびマスク処理がすでに行われている場合は、それぞれ標識用レクチンおよびマスク用糖鎖認識分子と複合体化している)を含む溶液を、リガンドが固定化された支持体と接触させれば、通常自ずと、アナライトはリガンドと接触して捕捉され、夾雑物はリガンドまたは支持体と接触して非特異的に吸着する。この処理の反応時間、反応温度等の反応条件は、用いるアナライトおよびリガンドに応じて、適宜調整すればよい。
〔4.検出工程〕
検出工程は、標識用レクチンと複合体化した標識体が発するシグナルを測定することによって、標識用レクチンと結合したアナライトを検出する工程である。この工程における測定結果に基づき、検体中のアナライトの存否や、アナライトの含有量などに関するデータを取得することができる。
(測定方法)
本発明の検出工程において用いられる測定方法は、上記標識体が発するシグナルを測定できるものであれば特に限定されず、それぞれの標識体に適した当業者に公知の方法に従って行うことができる。例えば、放射性物質により標識されたレクチンを検出する場合には、液体シンチレーションやRIA法により検出することができる。蛍光色素により標識されたレクチンを検出する場合には、ルミノメーター、SPFS測定器等により検出することができる。酵素で標識されたレクチンを検出する場合は、標識された酵素に対応した基質を加えた後に、酵素による基質の化学的変化、例えば、発色、蛍光、化学発光等を測定することにより検出することができる。
〔表面プラズモン励起増強蛍光分光(Surface Plasmon-field enhanced fluorescence spectroscopy:SPFS)法〕
本発明の検出方法に用いる測定法として、SPFSが好適に用いられる。SPFSは、誘電体部材上に形成された金属薄膜に全反射減衰(ATR)が生じる角度で励起光を照射したときに、金属薄膜を透過したエバネッセント波が表面プラズモンとの共鳴により数十倍〜数百倍に増強されることを利用して、金属薄膜近傍に捕捉されたアナライト(分析対象物)を標識する蛍光体を効率的に励起させ、その蛍光シグナルを測定する方法である。このようなSPFSは、一般的な蛍光標識法などに比べて極めて感度が高いため、サンプル中にアナライトがごく微量しか存在しない場合であってもそれを定量することができる。
<SPFS用測定部材>
SPFS用測定部材は、一般的に、サンドイッチ型免疫複合体を形成してSPFSによる蛍光測定を行うための場(測定領域)が形成されているセンサチップと、サンドイッチ型免疫複合体の形成などに用いられる各種の溶液(アナライトを含む試料、標識リガンド溶液、その他の反応試薬等)を測定領域上に保持することのできる、流路またはウェルを構築するための部材とを積層化した構成をとる。
センサチップは、基本的に、金属薄膜の裏面に励起光を導入するための透明支持体と、当該透明支持体上に形成された、表面プラズモン共鳴を発生させるための金属薄膜と、当該金属薄膜上に形成された、アナライトをセンサ表面に捕捉するための反応層とを含み、さらに必要に応じて、金属薄膜と反応層の間に形成された、蛍光体が金属薄膜に近接しすぎることにより起こる蛍光の金属消光を防止するためのスペーサ層を含んでいてもよい。
反応層が形成されている部位が測定領域に相当する。流路またはウェルの底面全域に反応層を形成して測定領域としてもよいし、底面の一部のみに(必要であれば所望のパターニングで)反応層を形成して測定領域としてもよい。測定領域の面積は、一般的にレーザー光として照射される励起光の照射面積を考慮しながら調整することができる。たとえば、励起光のスポット径が1mmφ程度であれば、上記アッセイエリアは通常、少なくとも数mm四方の面積を有するものとなるよう設計される。
SPFSのシステムを、密閉流路を通じて各種の溶液を送液する「流路型」とする場合、センサチップの上に、流路を形成するための穴のあいた「フローセル」を積載し、必要に応じてさらにその上に、上記フローセルの穴に対応する位置に送液導入口および送液排出口のあいた「天板」を積載し、これらを密着させて固定するようにして、測定部材を構築する。上記フローセルの穴に対応する位置のセンサチップ表面が、流路の底面をなし、そこに測定領域が形成される。流路型の場合、たとえばポンプやチューブを含む送液手段を用いて、各種の液体を送液導入口から流路内に送液して送液排出口から排出することができ、必要に応じて往復型、循環型の送液を行うこともできる。送液速度や送液(循環)時間などの条件は、試料の量や試料中のアナライトの濃度、流路ないしウェルのサイズや反応層の態様(固相化リガンドの密度等)、ポンプの性能等を考慮しながら、適宜調整することができる。
一方、SPFSのシステムを、上記流路よりも広い空間に各種の溶液を貯留させる「ウェル型」とする場合、センサチップの上に、ウェルを形成するための貫通孔を有する「ウェル部材」を積載して固定することにより測定部材を構築する。ウェル型の場合、たとえばピペット状の部材を用いて、各種の液体をウェルに添加し、除去することができる。
上記フローセルは、たとえばシート状のポリジメチルシロキサン(PDMS)製とすることができる。上記天板は、測定領域から発せられる蛍光を測定できるよう透明性を有する材料で作製され、たとえばプレート状のポリメタクリル酸メチル(PMMA)製とすることができる。あるいは、フローセルおよび天板を、成形加工やフォトリソグラフィにより所望の形状にしたプラスチック製とすることも可能である。
センサチップ上にフローセルまたはウェル部材を密着させて固定する手段は特に限定されるものではなく、一般的には物理的に上下から圧力をかけるようにすればよく、必要であれば、透明支持体と同じ光屈折率を有する接着剤、マッチングオイル、透明粘着シートなどを用いてもよい。
<SPFS用測定装置>
本発明に係る測定法は、一般的なSPFS用測定装置を使用して実施することができる。SPFS用測定装置は、基本的に、SPFS用測定部材が着脱可能となっており、使用する蛍光体に応じた適切な波長の励起光(好適にはレーザー光)を照射するための光源、励起光をセンサチップの金属薄膜の裏面に所定の角度で入射させるためのプリズム(透明支持体が平面基板状のセンサチップを使用する場合)、金属薄膜で反射した光を受光しその強度を測定する受光器、蛍光体から発せられる蛍光を集光するためのレンズおよびその蛍光の強度を測定するための検出器、励起光および蛍光から所定の波長を有する光のみを透過させそれ以外の光をカットするための各種のフィルタなどを備える。
より具体的な態様は、例えば、特開2010―145272号公報、特開2011−80935号公報、特開2008−102117号公報、特許第3562912号公報など、各種の文献を参照することができる。
以下、より詳細なSPFS用測定装置の構成例について説明する。
図5は、本発明のアナライトの定量測定方法を説明する定量測定装置の概略を模式的に示す概略図、図6は、図5の定量測定装置の部分拡大図である。
図5、6に示すように、本発明の定量測定装置10は、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材12と、この誘電体部材12の水平な上面12aに形成された金属膜14とを有するセンサチップ16を備えており、このセンサチップ16は、定量測定装置10のセンサチップ装填部18に装填されている。
また、誘電体部材12の下方の一方の側面12bの側には、図に示すように、光源20が配置されており、この光源20からの入射光22が、誘電体部材12の外側下方から、誘電体部材12の側面12bに入射して、誘電体部材12を介して、誘電体部材12の上面12aに形成された金属膜14に向かって照射されるようになっている。
また、光源20と誘電体部材12との間には、光源20から照射されるレーザー光を、金属膜14上で表面プラズモンを効率よく発生させるP偏光とするための偏光フィルタを設けることもできる。
また、誘電体部材12の下方の他方の側面12cの側には、図5に示すように、入射光22が金属膜14によって反射された金属膜反射光24を受光する受光手段26が備えられている。
なお、光源20には、光源20から照射される入射光22の、金属膜14に対する入射角α1を適宜変更可能とする入射角調整手段(図示せず)が備えられている。一方で、受光手段26にも、図示しない可動手段が備えられており、金属膜反射光24の反射角が変わった場合にも、光源20と同期して、確実に金属膜反射光24を受光するように構成されている。
なお、センサチップ16、光源20、受光手段26によって、本発明の定量測定装置10のSPR測定を行うSPR測定部28が構成されている。
また、センサチップ16の上方には、後述するような蛍光物質が励起されて発光した蛍光30を受光するための光検出手段32が備えられている。
なお、センサチップ16と、光検出手段32との間には、例えば、カットフィルタや集光レンズなどを設けることもできる。
なお、センサチップ16、光源20、光検出手段32によって、本発明の定量測定装置10のSPFS測定を行うSPFS測定部34が構成されている。
また、受光手段26および光検出手段32は、それぞれ、定量演算手段40に接続されており、受光手段26によって受光した金属膜反射光24の光量と、光検出手段32によって受光した蛍光30の光量とが、定量演算手段40に送信されるように構成されている。
また、本実施例のセンサチップ16では、金属膜14の上面14aに流路36が形成されている。この流路36の一部には、検出対象抗原(アナライト)と特異的に結合する分子(リガンド)が固相化されたセンサ部38が設けられている。
≪検出用キット≫
本発明の検出用キットは、上記本発明の検出方法に使用されるものである。本発明の検出用キットは、
(1)検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを含む試薬、
(2)少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を含む試薬、および
(3)前記検出対象糖鎖を有するアナライトと結合するリガンドを含む試薬、
を含む。
また、本発明の検出用キットは、さらに、
(4)本発明に係る検出方法が指示として記載された使用説明書、および/または
(5)レクチン標識化試薬
を含んでいてもよい。
キットに含まれる使用説明書(4)は、本発明の方法を実施するために、本発明に係る検出方法のいずれかが、指示として記載された使用説明書である。使用説明書の具体的態様は上記情報を適切に伝達できるものであればよい。例えば、紙片、キットの包装、キットの構成物のラベル等に印刷されているものでよく、ディスケット、CD等コンピューターで読み取り可能な媒体中に記録されているものでもよい。
キットに含まれるレクチン標識化試薬(5)は、レクチンを標識化する際に用いる試薬であり、標識体と、レクチンと標識体を結合させる試薬を通常含むものである。
≪応用例≫
本発明の方法は、疾病の診断に用いることができる。例えば、検出対象抗原(アナライト)がPSAの場合、本発明の検出方法により定量された、患者由来の生体試料中のPSA量から、前立腺癌の診断をすることが可能である。他にも、アナライトがAFPの場合は肝細胞癌を、CEAの場合は消化管を中心とした癌の診断をすることが可能である。
以下に実施例を示し本発明の詳細な説明を行うが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(定量測定装置の構成)
以下の実施例においては、測定装置として、上記SPFS測定装置を自作して使用した。当該SPFS測定装置は、上記定量測定装置10と同様の構成である。
なお、上記構成のうち、光源20として、波長635nmの光を照射することができるレーザーダイオード(LD)を用いており、光源20と誘電体部材12との間には、光学フィルタとして減光フィルタ(中性濃度フィルタ)を設けてフォトン量を調整できるようにした。
また、誘電体部材12としては、シグマ光機(株)製の60度プリズムを用い、この誘電体部材12の上部に、後述する、プラズモン励起センサを固定することによって、センサチップ16を構成する。
また、センサチップ16の上部には、集光レンズとして対物レンズを備え、光検出手段32としては、光電子増倍管(PMT)を用いた。
(プラズモン励起センサの作製)
屈折率1.72、厚さ1mmのガラス製の透明平面基板((株)オハラ製のS−LAL 10)をプラズマ洗浄し、この基板の片面にクロム薄膜をスパッタリング法によって形成した。その後、その表面にさらに金薄膜をスパッタリング法によって形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
このようにして金薄膜が形成された基板を、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の表面にSAM膜を形成した。基板をこの溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールで洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。
高さ0.5mmの流路となる溝を有し、溝の両端に貫通穴を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを、SAM膜の表面が流路の内側となるように溝をSAM膜に対向させて基板上に配置し、流路の外側のPDMS製シート上部から圧着して、ビスでPDMS製シート(流路36)とプラズモン励起センサとを固定した。
(抗体の固相化)
[調製例1]
〔抗PSA抗体固相化SAM膜(基板)〕
上記のとおりプラズモン励起センサを接続した外部流路に、超純水を10分間、その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を20分間、ペリスタポンプによって、室温(25℃)、流速500μL/分の条件で循環送液させ、プラズモン励起センサの表面を平衡化した。
続いて、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を50mMと、水溶性カルボジイミド(WSC)を100mMとを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を5mL送液し、20分間循環させた後、抗PSAモノクローナル抗体(No.79、2.5mg/mL、ミクリ免疫研究所製)溶液2.5mLを30分間循環送液することで、SAM膜上に当該抗体を固相化し、抗PSA抗体固相化SAM膜を調製した。
その後、1重量%牛血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を30分間循環送液することによって、流路内の非特異吸着防止処理を行った。
[調製例2]
〔抗AFP抗体固相化SAM膜(基板)〕
抗PSA抗体の代わりに、抗AFPモノクローナル抗体(1D5、2.5mg/mL、(株)日本医学臨床検査研究所製)を用いた他は、調製例1と同様にして、抗AFP抗体固相化SAM膜を調製した。
(標識レクチンの作製)
[作製例1]
〔蛍光標識WFAレクチン〕
蛍光標識WFAレクチンを、蛍光物質ラベリングキット「Alexa Fluor(商標名)647タンパク質ラベリングキット」(インビトロジェン社製)を利用して作製した。WFAレクチン(L-1350、Vector社)100μg相当と、0.1M重炭酸ナトリウムと、Alexa Fluor 647 reactive dyeとを混合し、室温で1時間反応させた後、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび限外濾過を行い、標識に利用されなかったAlexa Fluor 647 reactive dyeを取り除いて、蛍光標識WFAレクチンを得た。その後、吸光度を測定し標識レクチン濃度を定量した。
[作製例2]
〔蛍光標識LCAレクチン〕
蛍光標識LCAレクチンを、蛍光物質ラベリングキットを利用して作製した。レクチンとして、LCAレクチン(L-1040、Vector社)を用いた他は、作製例1と同様にして蛍光標識LCAレクチンを得た。
<血清検体中のPSAの測定>
陰性対照検体として5種のPSAフリープールヒト血清を用意した。また、陽性対照検体として、これら5種のPSAフリープール血清それぞれに、LNCaP(ヒト前立腺癌細胞培養株)培養上清をPSA濃度50pg/mLとなるように添加した血清サンプルを調製した。これら合計10個のサンプルをそれぞれPBSにて2倍希釈して、実施例1〜3における測定サンプルとした。なお、前記PSAフリープールヒト血清としては、コージンバイオ社から正常ヒトプール血清を購入し、ELISAにてPSA濃度が0.01ng/mL以下であることを確認した血清を用いた。
[実施例1]
(血清検体中のPSAの測定(1))
各測定サンプルをガレクチンでマスク処理した後、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)と接触させ、その後、抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)と反応させた。詳しくは以下の通りである。
測定サンプル0.1mLにガレクチンを終濃度10μg/mLになるように添加し、37℃で1時間反応させた。次に、Alexa Fluor 647で標識したWFAレクチンの溶液(1μg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解したもの)を0.1mL添加し、室温で1時間反応させた。ガレクチンによるマスク処理、蛍光標識WFAレクチンによる標識処理を行った測定サンプルを流路に0.1mL添加し、流速200μL/分にて20分間循環送液させた。続いて、Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して、5分間洗浄した。その後、定量測定装置によって、SPFS測定を行った。ガレクチンによるマスク処理を除いた工程で測定サンプルの調製も実施し、同様にSPFS測定を実施した。
SPFSの測定結果を表2に示す。表中のシグナル値は実測値であり、PSA添加血清のシグナル値はPSA由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
ガレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、PSAフリープール血清の値(バックグラウンド)が1/4程度に低下していることを確認した。
また、5検体のS/N比(PSA添加血清のシグナル値/対応するPSAフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが2.02であったのに対し、ガレクチンによるマスク処理サンプルでは3.62に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
[実施例2]
(血清検体中のPSAの測定(2))
各測定サンプルをガレクチンでマスク処理した後、抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)と反応させ、その後、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)と接触させた。詳しくは以下の通りである。
測定サンプルにガレクチンを終濃度10μg/mLになるように添加し、37℃で1時間反応させた。ガレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルを流路に0.1mL添加し、流速200μL/分にて20分間循環送液させた。続いて、Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して、5分間洗浄した。反応後、Alexa Fluor 647を標識したWFAレクチン溶液(1μg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解したもの)を0.1mL添加し、流速200μL/分にて5分間送液した。再びTween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して、5分間洗浄した。その後、定量測定装置によって、SPFS測定を行った。ガレクチンによるマスク処理を除いた工程で測定サンプルの調製も実施し、SPFS測定を実施した。
SPFSの測定結果を表3に示す。表中のシグナル値は実測値であり、PSA添加血清のシグナル値はPSA由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
ガレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、PSAフリープール血清のシグナル値(バックグラウンド)が1/3程度に低下していることを確認した。
また、5検体のS/N比(PSA添加血清のシグナル値/対応するPSAフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが2.64であったのに対し、ガラクトシダーゼ処理サンプルでは4.20に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
[実施例3]
(血清検体中のPSAの測定(3))
各測定サンプルを抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)と反応させた後、ガレクチンでマスク処理し、その後、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)と接触させた。詳しくは以下の通りである。
測定サンプルを流路に0.1mL添加し、流速200μL/分にて20分間循環送液させた。続いて、ガレクチンを10μg/mLを含有するPBS溶液(ガレクチン(+)対応)、またはガレクチンを含有しないPBS(ガレクチン(−)対応)を0.1mL添加し、20分間循環送液させた。その後、Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して流速200μL/分にて、5分間洗浄した。洗浄後、Alexa Fluor 647を標識したWFAレクチン溶液(1μg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解したもの)を0.1mL添加し、流速200μL/分にて5分間送液した。その後、Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して流速200μL/分にて、5分間洗浄した。その後、定量測定装置によって、SPFS測定を行った。ガレクチンによるマスク処理を除いた工程でもSPFS測定を実施した。
SPFSの測定結果を表4に示す。表中のシグナル値は実測値であり、PSA添加血清のシグナル値はPSA由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
基板上にてガレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、PSAフリープール血清の値(バックグラウンド)が1/5程度に低下していることを確認した。
また、5検体のS/N比(PSA添加血清のシグナル値/対応するPSAフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが3.50であったのに対し、ガラクトシダーゼ処理サンプルでは13.5に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
以上、実施例1〜3において示されたように、上記測定系に生じていた、ガラクトースを含む糖鎖を有する血清成分中の夾雑物(糖タンパク質等)の非特異結合に由来するシグナル(バックグラウンドのノイズ)は、ガレクチンによりそのガラクトースをマスキングすることで抑制することが可能であり、PSA上のGalNAc糖鎖構造を特異的に検出する感度が向上することが確認できた。
また、実施例2(表3)と実施例3(表4)を比較した結果、マスク処理は、血清タンパク質が大量に含まれている溶液中で行うよりも、ある程度対象が絞られる抗体固定化基板上で行う方が効果が高いことが確認できた。
<血清検体中のAFPの測定>
前記実施例1〜3ではPSAを検出対象抗原(アナライト)として試験を実施したが、同様の試験をAFPを検出対象抗原として実施した。以下に実施例4〜6として示す。
陰性対照検体として5種のAFPフリープール血清を用意した。また、陽性対照検体として、これら5種のAFPフリープール血清それぞれに、ミュータスワコーAFP−L3用コントロールL(商品名、和光純薬株式会社製、L3=20%、AFP濃度200ng/mL)をAFP濃度1.0ng/mLとなるように添加した血清サンプルを調製した。これら合計10個のサンプルを実施例4〜6における測定サンプルとした。なお、前記AFPフリープールヒト血清としては、コージンバイオ社から正常ヒトプール血清を購入し、ELISAにてAFP濃度が0.01ng/mL以下であることを確認した血清を用いた。
[実施例4]
(血清検体中のAFPの測定(1))
各測定サンプルをコンカナバリンAレクチンでマスク処理した後、蛍光標識LCAレクチン(作製例2)と接触させ、その後、抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)と反応させた。
すなわち、実施例1において、ガレクチンに代えてコンカナバリンAレクチンを、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)に代えて蛍光標識LCAレクチン(作製例2)を、抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)に代えて抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)を用いた他は、実施例1と同様に行った。
SPFSの測定結果を表5に示す。表中のシグナル値は実測値であり、AFP添加血清のシグナル値はAFP由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
コンカナバリンAレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、AFPフリープール血清の値(バックグラウンド)が3/4程度に低下していることを確認した。その時のAFP-L3添加血清を測定した場合の値はほとんど差がないことも確認できた。
また、5検体のS/N比(AFP−L3添加血清のシグナル値/対応するAFPフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが4.18であったのに対し、ガラクトシダーゼ処理サンプルでは4.80に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
[実施例5]
(血清検体中のAFPの測定(2))
各測定サンプルをコンカナバリンAレクチンでマスク処理した後、抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)と反応させ、その後、蛍光標識LCAレクチン(作製例2)と接触させた。
すなわち、実施例2において、ガレクチンに代えてコンカナバリンAレクチンを、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)に代えて蛍光標識LCAレクチン(作製例2)を、抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)に代えて抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)を用いた他は、実施例2と同様に行った。
SPFSの測定結果を表6に示す。表中のシグナル値は実測値であり、AFP添加血清のシグナル値はAFP由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
コンカナバリンAレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、AFPフリープール血清の値(バックグラウンド)が3/2程度に低下していることを確認した。その時のAFP-L3添加血清を測定した場合の値はほとんど差がないことも確認できた。
また、5検体のS/N比(AFP−L3添加血清のシグナル値/対応するAFPフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが6.43であったのに対し、ガラクトシダーゼ処理サンプルでは8.25に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
[実施例6]
(血清検体中のAFPの測定(3))
各測定サンプルを抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)と反応させた後、マンノシダーゼで酵素処理し、その後、蛍光標識LCAレクチン(作製例2)と接触させた。
すなわち、実施例3において、ガレクチンに代えてコンカナバリンAレクチンを、蛍光標識WFAレクチン(作製例1)に代えて蛍光標識LCAレクチン(作製例2)を、抗PSA抗体を固相化した基板(調製例1)に代えて抗AFP抗体を固相化した基板(調製例2)を用いた他は、実施例3と同様に行った。
SPFSの測定結果を表7に示す。表中のシグナル値は実測値であり、AFP添加血清のシグナル値はAFP由来のシグナル値+バックグラウンドのシグナル値として示されている。
基板上にてコンカナバリンAレクチンによるマスク処理を行った測定サンプルは、未処理の測定サンプルと比較して、AFPフリープール血清の値(バックグラウンド)が12程度に低下していることを確認した。
また、5検体のS/N比(AFP−L3添加血清のシグナル値/対応するAFPフリー血清のシグナル値)の平均値は、未処理サンプルが8.11であったのに対し、ガラクトシダーゼ処理サンプルでは15.3に上昇し、検出感度が上昇することが明らかとなった。
以上、実施例4〜6において示されたように、マンノースを含む糖鎖を有する血清成分中の夾雑物(糖タンパク質等)の非特異結合に由来する、上記測定系に生じていたシグナル(ノイズ)は、コンカナバリンAレクチンによりそのマンノースをマスキングすることで抑制することが可能であり、AFP上のフコース糖鎖構造を特異的に検出する感度が向上することが確認できた。
また、実施例5(表6)と実施例6(表7)を比較した結果、マスク処理は、血清タンパク質が大量に含まれている溶液中で行うよりも、ある程度対象が絞られる抗体固定化基板上で行う方が、効果が高いことが確認できた。
上記実施例では、SPFS測定装置において、各種溶液を循環送液する態様を例として説明したが、必ずしも循環させる必要はなく、一方向に送液し続ける態様や、両方向に往復送液する態様、あるいは、所定量の溶液を送液した後、所定時間滞留させる態様など、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 定量測定装置
12 誘電体部材
12a 上面
12b 側面
12c 側面
14 金属膜
14a 上面
16 センサチップ
18 センサチップ装填部
20 光源
22 入射光
24 金属膜反射光
26 受光手段
28 SPR測定部
30 蛍光
32 光検出手段
34 SPFS測定部
36 微細流路
38 センサ部
40 定量演算手段
44 抗原補足抗体(リガンド)
46 検出対象抗原(アナライト)
46a タンパク質(抗原)
46b 検出対象糖鎖でも非検出対象糖鎖でもない糖鎖
46c 検出対象糖鎖
46d 非検出対象糖鎖
50 非特異的に吸着する糖タンパク質(夾雑物)
50a タンパク質
52 非特異的に吸着する糖脂質(夾雑物)
52a 脂質
60 蛍光標識レクチン(プローブ)
60a 標識用レクチン
60b 標識体
75 マスク用糖鎖認識分子
80 支持体

Claims (15)

  1. 検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを用いて、検体中の前記検出対象糖鎖を有するアナライトを検出する方法であって、前記標識用レクチンと結合した前記アナライトを検出する検出工程の前に、
    前記標識用レクチンを前記アナライトに接触させる標識処理と、
    少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を、前記非検出対象糖鎖を有する夾雑物に接触させるマスク処理とを含む検出前処理工程を行うことを特徴とする、検出対象糖鎖を有するアナライトの検出方法。
  2. 前記検出前処理工程が、さらに、前記アナライトと結合するリガンドが固定化された支持体に前記アナライトおよび前記夾雑物を接触させる固相化処理を含む、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記固相化処理を、前記標識処理および前記マスク処理の前に行う、請求項2に記載の検出方法。
  4. 前記標識処理および前記マスク処理を、前記固相化処理の前に行う、請求項2に記載の検出方法。
  5. 前記標識処理と前記マスク処理を同時に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
  6. 前記標識処理を、前記マスク処理の前に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
  7. 前記マスク処理を、前記標識処理の前に行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
  8. 前記固相化処理を、前記標識処理の後かつ前記マスク処理の前に行う、請求項2に記載の検出方法。
  9. 前記固相化処理を、前記マスク処理の後かつ前記標識処理の前に行う、請求項2に記載の検出方法。
  10. 前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがノダフジレクチン(WFA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がガレクチンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
  11. 前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがダイズレクチン(SBA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がガレクチンである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
  12. 前記アナライトが前立腺特異抗原(prostate specific antigen, PSA)であり、前記標識用レクチンがキカラスウリレクチン(TJA-II)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がレンズマメレクチン(LCA)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
  13. 前記アナライトがα-フェトプロテイン(AFP)であり、前記標識用レクチンがレンズマメレクチン(LCA)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がタチナタマメレクチン(ConA)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
  14. 前記アナライトが癌胎児性抗原(CEA)であり、前記標識用レクチンがキカラスウリレクチン(TJA-I)であり、前記マスク用糖鎖認識分子がニホンニワトコレクチン(SSA)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の検出方法。
  15. 検出対象糖鎖および非検出対象糖鎖を含む複数種の糖鎖と結合する標識用レクチンを含む試薬と、
    少なくとも1種の前記非検出対象糖鎖と結合するマスク用糖鎖認識分子を含む試薬と、
    前記検出対象糖鎖を有するアナライトと結合するリガンドを含む試薬と
    を含むことを特徴とする、検出対象糖鎖を有するアナライトの検出用キット。
JP2012129650A 2012-06-07 2012-06-07 レクチンを用いたアナライトの検出方法 Expired - Fee Related JP5991032B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012129650A JP5991032B2 (ja) 2012-06-07 2012-06-07 レクチンを用いたアナライトの検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012129650A JP5991032B2 (ja) 2012-06-07 2012-06-07 レクチンを用いたアナライトの検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013253866A true JP2013253866A (ja) 2013-12-19
JP5991032B2 JP5991032B2 (ja) 2016-09-14

Family

ID=49951483

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012129650A Expired - Fee Related JP5991032B2 (ja) 2012-06-07 2012-06-07 レクチンを用いたアナライトの検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5991032B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015194350A1 (ja) * 2014-06-20 2015-12-23 コニカミノルタ株式会社 標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキット
JP2016038375A (ja) * 2014-08-05 2016-03-22 ベイジン ユウアン ホスピタル、キャピタル メディカル ユニバーシティBeijing Youan Hospital, Capital Medical University 化学発光タンパク質チップ測定方法及びそれに用いられる試薬キット
US10527615B2 (en) 2012-04-27 2020-01-07 Konica Monolta, Inc. Antigen detection method which uses lectin and comprises enzyme treatment step
JP2021038980A (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 富士レビオ株式会社 Afp−l3測定方法及びafp−l3測定キット、並びに、これらに用いるブロック化標識レクチン
WO2022186317A1 (ja) * 2021-03-03 2022-09-09 株式会社先端生命科学研究所 がん検出方法、がん検査方法、及びこれらに用いるキット

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0166623A2 (en) * 1984-06-29 1986-01-02 Ortho Diagnostic Systems Inc. Antibody lectin sandwich assay
JPH08240592A (ja) * 1995-03-01 1996-09-17 Olympus Optical Co Ltd 免疫学的検査における非特異反応防止方法
JPH11248706A (ja) * 1998-03-03 1999-09-17 Wako Pure Chem Ind Ltd 非特異的吸着防止剤
JP2002365298A (ja) * 2001-06-08 2002-12-18 Tosoh Corp 測定妨害を低減する方法及び試薬組成物
JP2010060293A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Fujirebio Inc 免疫測定法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0166623A2 (en) * 1984-06-29 1986-01-02 Ortho Diagnostic Systems Inc. Antibody lectin sandwich assay
JPS6120867A (ja) * 1984-06-29 1986-01-29 オーソ・ダイアグノステイツク・システムズ・インコーポレーテツド 抗体‐レクチンのサンドイツチ検定
JPH08240592A (ja) * 1995-03-01 1996-09-17 Olympus Optical Co Ltd 免疫学的検査における非特異反応防止方法
JPH11248706A (ja) * 1998-03-03 1999-09-17 Wako Pure Chem Ind Ltd 非特異的吸着防止剤
JP2002365298A (ja) * 2001-06-08 2002-12-18 Tosoh Corp 測定妨害を低減する方法及び試薬組成物
JP2010060293A (ja) * 2008-09-01 2010-03-18 Fujirebio Inc 免疫測定法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10527615B2 (en) 2012-04-27 2020-01-07 Konica Monolta, Inc. Antigen detection method which uses lectin and comprises enzyme treatment step
WO2015194350A1 (ja) * 2014-06-20 2015-12-23 コニカミノルタ株式会社 標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキット
JPWO2015194350A1 (ja) * 2014-06-20 2017-04-20 コニカミノルタ株式会社 標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキット
US10697959B2 (en) 2014-06-20 2020-06-30 Konica Minolta, Inc. Sandwich assay using labeled lectin and kit therefor
JP2016038375A (ja) * 2014-08-05 2016-03-22 ベイジン ユウアン ホスピタル、キャピタル メディカル ユニバーシティBeijing Youan Hospital, Capital Medical University 化学発光タンパク質チップ測定方法及びそれに用いられる試薬キット
JP2021038980A (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 富士レビオ株式会社 Afp−l3測定方法及びafp−l3測定キット、並びに、これらに用いるブロック化標識レクチン
JP7361543B2 (ja) 2019-09-02 2023-10-16 富士レビオ株式会社 Afp-l3測定方法及びafp-l3測定キット、並びに、これらに用いるブロック化標識レクチン
WO2022186317A1 (ja) * 2021-03-03 2022-09-09 株式会社先端生命科学研究所 がん検出方法、がん検査方法、及びこれらに用いるキット

Also Published As

Publication number Publication date
JP5991032B2 (ja) 2016-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5413544B1 (ja) 酵素処理工程を含むレクチンを用いた抗原検出方法
JP6260541B2 (ja) 夾雑物の影響を低減する免疫測定法
JP6520940B2 (ja) 標識化レクチンを用いるサンドイッチ型アッセイおよびそのためのキット
JP5726038B2 (ja) 表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いた前立腺特異抗原の定量方法
JP6809546B2 (ja) 表面プラズモン励起増強蛍光分光法(spfs)を用いた免疫測定法における夾雑物由来の非特異的シグナルの抑制方法
JP5991032B2 (ja) レクチンを用いたアナライトの検出方法
JP6048405B2 (ja) アナライト量の測定方法およびspfs用装置
JP6323463B2 (ja) 診断用情報の分析方法およびそのためのキット
JP2013145138A (ja) Spfs(表面プラズモン励起増強蛍光分光法)を用いたトロポニンの免疫学的測定法
JP2013145139A (ja) Spfs(表面プラズモン励起増強蛍光分光法)を用いたミオグロビンの免疫学的測定法
JP2012032282A (ja) プラズモン励起センサチップおよびこれを用いたプラズモン励起センサ、並びにアナライトの検出方法
EP2607888B1 (en) Spfs sensor equipped with non-specific adsorption type purification mechanism
JP2013181889A (ja) Spfs(表面プラズモン励起増強蛍光分光法)を用いたck−mb(クレアチンキナーゼアイソザイムmb)の免疫学的測定法
US20230021481A1 (en) Standard substance for psa quantification, preparation method therefor, standard solution for psa quantification, and psa quantification method
JP5565125B2 (ja) Spfs(表面プラズモン励起増強蛍光分光法)またはそれを利用した測定方法ならびにそれらの測定方法用の表面プラズモン共鳴センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5991032

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees