JP2002365298A - 測定妨害を低減する方法及び試薬組成物 - Google Patents

測定妨害を低減する方法及び試薬組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】固液反応を有する測定系において、固相から遊
離してきた反応性成分による妨害反応をほとんど受けな
い方法を提供する。 【解決手段】固液反応を有する測定系において、反応性
成分(1)が固相に固定化されており、反応性成分
(1)と反応性を有しかつ反応性成分(1)が当該測定
系において本来反応すべき物質よりも低分子量の物質を
液相に共存させ、固相から脱離した反応成分(1)と反
応させることにより、測定妨害を低減する

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、固相を用いる測定
方法及び反応試薬の組成に関するものである。例えば、
固相に第一の反応性成分(1)が固定化されており、こ
こに被検成分との反応に必要な第二の反応性成分(被検
成分に対する反応性成分)を反応させる方法または直接
被検成分を反応させる測定方法において、(1)の一部
が固相から脱離してくることにより、その脱離した
(1)が測定系での反応を妨害することを軽減するため
の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固液反応を有する測定系、例えば免疫診
断試薬では、被検成分を検出するための反応場としてポ
リスチレンビーズ・磁性微粒子・マイクロタイタープレ
ートなどの固相が用いられ、固相表面に固定化された第
一の反応成分と、それと反応性の液相中の成分との反応
であるいわゆる固−液反応と、液相中に存在する成分ど
うしの反応である液−液反応が行われている。固相に固
定化させる第一の反応性成分にはアビジン、ストレプト
アビジン、抗体、レクチン、レセプターなどがあげら
れ、それと反応性の液相中に存在する成分としては、ビ
オチン標識蛋白質(抗体を含む)・抗原(抗原が抗体そ
のものである場合を含む)・レクチン結合性蛋白質・レ
セプター結合性蛋白質など被検成分と反応性の成分、ま
たは抗原・レクチン・レセプターなど被検成分そのもの
などが上げられる。液相中に存在する他の成分として
は、被検成分や被検成分を検出するための1種または複
数の更なる反応性成分が考えられる。
【0003】ここで、固相に固定化された反応性成分と
液相の成分との反応は、その後の被検成分の特異的な検
出において必須であり、いわゆるB/F分離(固相への
結合型と遊離型との分離)を行わないホモジニアスアッ
セイにおいても、またB/F分離を行うヘテロジニアス
アッセイにおいても、(1)との反応は固相上でのみ起
こることが重要である。固相上の反応性成分(1)の一
部が固相から脱離して液相中に遊離の状態で存在すると
きには、固相上の(1)に対して遊離の(1)が競合す
ることにより、被検成分の特異的な検出に対して阻害的
にはたらく。また、その阻害は遊離の(1)の量の増加
に依存して増大する。
【0004】固相への反応性成分の固定化には電荷や疎
水性相互作用などのような物理的な性質を利用しての吸
着(物理吸着)によるものと、固相上の反応性の官能基
との間で化学的に共有結合をさせる方法がある。物理吸
着の場合には固定化された成分が徐々に脱離してくるこ
とが問題となることが多く、試薬を構成する中間材料の
調製の段階で剥がれやすいものをできるだけはがしてお
く、ということが行われている。また、共有結合による
固定化の場合にはできるだけ安定な結合方法を選ぶこと
が行われているが、安定な結合方法を用いたとしても、
固相の材質の制約から、共有結合反応だけでなくある程
度の非特異的な物理吸着が同時に進行する可能性があ
る。固相の材質の制約とは、その測定試薬あるいは測定
システムが求める機能、性能、製剤の形態によって、そ
れぞれにおける使用可能な固相の材質が限定されるとい
うことである。たとえば特開2000−304749号
公報においては免疫測定用容器で非特異吸着を低減する
方法が試みられているが、すべての試薬形態に対応可能
というわけではない。
【0005】遊離した第一の反応性成分(1)は固相表
面に保持されたままのものよりも運動の自由度がはるか
に高いため、わずかな分子数であっても固相に固定化さ
れているものに比べて液相の成分との分子数当たりの反
応効率が高く、測定系への影響が大きい。具体的には、
固相上に固定化されたストレプトアビジンを用いる甲状
腺ホルモン(フリーT3)の測定系で、固相のストレプ
トアビジンのモル数と遊離のストレプトアビジンのモル
数の比と遊離のストレプトアビジンによる阻害の程度の
関係から、固相上のストレプトアビジンよりも遊離のス
トレプトアビジンのほうが液相中のビオチン化抗体との
反応性が数十倍も高くなるということなどが一例として
みとめられている。
【0006】固相からの脱離反応が保存の経過時間や温
度などの環境条件によって影響を受ける場合は、固相か
ら脱離した反応性成分の量が経時的に変化することにな
り、測定値への影響の程度も変化し、測定試薬としての
測定値の安定性が損なわれることになる。具体的には、
試薬として製造し品質検査を経て出荷されたものが、使
用者によって測定の用に供されるまでに、固相の反応性
成分の脱離の影響を受けて性能が低下してしまうという
ことがあげられる。また使用者に渡った後でも、試薬の
保管条件によって性能がさまざまに変化していくことに
なる。
【0007】このような、固相を用いた従来の測定技術
に共通して潜む測定値の不安定性に対処するためには、
材質・固定化方法の改良により脱離を完全になくすか測
定値に影響を与えない程度にまで減少させること、ある
いは測定の直前に固相を洗浄するなどして脱離した成分
を一時的に実質的に反応を阻害しない程度にまで洗い去
ることなどが必要となる。事前の洗浄の場合には、使用
者が測定時に手作業で行うか、自動の免疫診断試装置を
用いる場合にはその操作を装置に行わせることが必要に
なる。
【0008】またこのほかに、固相からの反応性成分の
脱離が完全に停止するような試薬形態、すなわち固相を
溶液中におかず固体として固定された環境の中に置くこ
とで脱離を停止させるということが考えられる。具体的
には、固相を保護剤等の存在下で乾燥または凍結乾燥す
ることなどがおこなわれている(特公平5−66985
号公報)。この場合、製造設備のなかに試薬の乾燥をお
こなうための設備が余分に必要になることや、測定時に
固相を保護している成分を溶解して再びもとの溶液に戻
す操作が必要になる。
【0009】以上いずれにしても、使用者に作業上の負
担を強いるか、製造工程および測定装置への負荷がその
分だけかかるということになり、これらを回避する方策
が望まれている。試薬溶液中にある種の添加物を加える
ことなどのように、単に試薬組成を変えることだけで遊
離の(1)による反応阻害を低減することができれば非
常に有用であるが、そのような方法はこれまでに知られ
ていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題を解決するために、固相から遊離してきた反応性
成分による妨害反応を中和して無害化する成分を反応系
に添加することで、遊離してきた反応性成分に対する緩
衝作用を発揮させ、妨害反応の影響をほとんど受けるこ
となく安定した測定結果を与える試薬を提供することを
目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明者らは鋭意検討を重ね、本来なら反応系には阻
害要因となる物質を一定量添加することで、逆に、固相
から脱離してきた成分による阻害、特に阻害度の動的な
変化を緩衝・軽減させる方法を見出した。
【0012】即ち本発明は、固液反応を有する測定系に
おいて、反応性成分(1)が固相に固定化されており、
反応性成分(1)と反応性を有しかつ反応性成分(1)
が当該測定系において本来反応すべき物質よりも低分子
量の物質を液相に共存させ、固相から脱離した反応成分
(1)と反応させることを特徴とする、測定妨害を低減
する方法である。
【0013】また本発明は、固液反応を有する測定系の
試薬組成物において、 ・反応性成分(1)が固相に固定化されたもの、及び ・反応性成分(1)と反応性を有し、かつ反応性成分
(1)が当該測定系において本来反応するべき物質より
低分子量の物質からなることを特徴とする、固相から脱
離した(1)による測定妨害を低減するための試薬組成
物である。以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0014】なお、以下の説明の中のストレプトアビジ
ンは、ストレプトアビジンのみに限定されるものではな
く、アビジンを含めた天然物またはそれらの誘導体(重
合体を含む)を含むものである。また、ビオチンとはビ
オチンそのものばかりではなく、ストレプトアビジンと
高い親和性で結合する点でビオチンと実質的に同様の挙
動を示すビオチン誘導体およびビオチン類似体たとえば
ビオシチン、ビスノルビオチン、テトラノルビオチン、
デスチオビオチン、ビオチン化デキストラン、ビオチン
化フルオレセインなどを含むものである。
【0015】本発明のもっとも基本的な系を説明する
と、固相および固相上に固定された反応性成分(1)と
液相中にあって固相の反応性成分(1)が当該測定系に
おいて本来反応すべき物質(以下、第二の成分という場
合がある)の三つが最低限存在する測定系ということに
なる。第二の成分は被検成分そのものである場合もある
が、それに限定されるものではなく、被検成分の量を何
らかの信号として取出すための反応の場を提供するもの
であってもよい。更に、第二の反応性成分の先には第三
・第四などと、被検成分が固相に連なるうえで必要な反
応性の成分を必要に応じていくつでも介在させることが
可能である。また、第一の反応性成分(1)が複数の反
応性成分から構成されていてもよく、(1)の一部が脱
離する場合も同様に考えることができる。
【0016】具体的には、図1に例示するように固相に
固定化させたストレプトアビジンと、ビオチンと結合し
た抗体(ビオチン化抗体)を用いる測定系において、反
応液中にビオチンを共存させることで、脱離してきたス
トレプトアビジンとこのビオチンが反応し、目的とする
固相ストレプトアビジンとビオチン化抗体との反応への
遊離のストレプトアビジンの影響を低減させようとする
ものである。添加ビオチン自身も反応系にとって阻害要
因となりレスポンスは一定量低下するが、固相のストレ
プトアビジンが大過剰存在することによって、遊離スト
レプトアビジン量の変動に対して緩衝作用を持つことに
なる。
【0017】以下にいくつかの具体例を示す。 1)固相抗体を抗糖鎖抗体とし、ここに糖修飾抗体を反
応させる測定系においては、遊離固相抗体の影響を軽減
するためには固相抗体の認識する糖を添加すればよく、 2)固相にレクチンを固定化し、ここにレクチンと反応
性の糖タンパクを反応させる系においては、そのレクチ
ンに結合性の糖鎖を添加すればよく、 3)固相抗体を抗FITC(フルオレセイン)抗体と
し、ここにFITC化抗体(被検成分に対する抗体にF
ITCを化学結合させたもの)を反応させる測定系にお
いては、遊離固相抗体の影響を軽減するためには固相抗
体の認識するFITCを添加すればよく、 4)固相抗体を抗FITC(フルオレセイン)抗体と
し、ここにFITC化FBP(葉酸結合蛋白Folat
e Binding Protein)などのビタミンあ
るいはホルモン結合蛋白を反応させる測定系において
は、遊離固相抗体の影響を軽減するためには固相抗体の
認識するFITCを添加すればよい。
【0018】また5)固相抗体を抗IgG抗体(第二抗
体:第一抗体と反応性の抗体)とし、ここに特異抗原と
反応性の抗体(第一抗体)を反応させる測定系において
は、遊離固相抗体の影響を軽減するためには第二抗体の
認識する第一抗体上の部位(エピトープ)を含むペプチ
ド断片を添加すればよく、 6)固相抗体を抗レセプター抗体とし、ここにレセプタ
ーを反応させる測定系においては、遊離固相抗体の影響
を軽減するためには固相抗体の認識するレセプター上の
部位(エピトープ)を含むペプチド断片を添加すればよ
く、 7)固相にレセプターを固定化し、ここにレセプターと
反応性の物質(リガンド)を反応させる系においては、
遊離レセプターの影響を軽減するためには固相レセプタ
ーと反応するリガンド上の部位を含む構造をもつ成分を
添加すればよい。
【0019】ここで測定系に共存させる物質は、第二の
反応性成分よりも分子量が小さく、かつ反応性成分
(1)と反応性を有するものである。すなわち、分子量
の違いによる拡散速度の差によって(溶液中での物質ご
との拡散係数は分子量の関数)、固相から脱離してきた
第一の反応性成分(1)が第二の反応性成分と反応する
よりも早く効率的に、共存させた物質が脱離してきた
(1)と優先的に反応することになる。拡散速度の差を
より効果的にするためには、共存させる物質の分子量が
本来の反応性成分と比べてできるだけ小さいことが望ま
しい。たとえば脱離する反応成分が蛋白質などの高分子
を認識する抗体である場合、添加する成分は抗体によっ
て認識される高分子抗原のなかの最小の構造であること
が望ましい。たとえば認識される構造がアミノ酸の一次
配列のような場合は、抗体との反応性を維持した最小の
ペプチドまたはその誘導体であることが望ましい。
【0020】抗原決定基近傍の構造のみを含む成分を調
製することが難しい場合は、抗原の分解産物の混合物を
そのまま用いることもできる。部分分解物としてはたと
えば第二の反応性成分が蛋白質の場合は、臭化シアンの
ような化学分解によるものと、プロテアーゼによる分解
によるものがある。どちらも、種々の分解物の混合物か
らなり、混合物全体として第一の反応性成分(1)によ
って認識されるもとの抗原性を、実質的な効果を失わな
い範囲で維持するよう、分解が進みすぎないように配慮
をすればよい。たとえば、(1)として抗ウサギFc抗
体(ウサギIgGのFc部分と反応性の抗体)が用いら
れ、かつ被検成分と反応する第二の反応性成分がウサギ
の抗体である場合、ウサギ抗体の部分分解物(Fabと
Fcの混合物)を用いることが可能である。
【0021】共存させる物質が抗原の一部ではなくて
も、脱離してくる抗体の反応部位をふさぐという観点か
ら、脱離してくる抗体に対する抗イディオタイプ抗体と
することも可能である。この場合も、抗体分子全部では
なく、抗原との反応性を有するより分子量の小さな構造
単位としてFabまたはFv(抗体の部分分解や遺伝子
組換えなどによって生成される、抗体の抗原結合ドメイ
ン)などとすることが望ましい。
【0022】同様に、抗体が認識する物質が低分子ハプ
テンである場合も共存させる物質はハプテンあるいはハ
プテン誘導体に限定されるものではなく、ハプテンと抗
体への結合において競合する性質のあるものであれば、
骨格構造を異にするものを用いることもできる。
【0023】脱離した反応成分の測定値への影響のでか
たは測定系によってことなり、脱離に非常に敏感な測定
系と、同じ脱離量でも測定値にはあまり影響しない測定
系がある。具体的には、測定系における分子数のバラン
スとして考えることができる。すなわち、固相に固定化
されている成分とその脱離した成分、それらと反応性の
成分(被検成分そのものまたは被検成分と反応性を有す
る成分)の3者の分子数の比において、脱離した成分が
多いときには、反応性成分(被検成分そのものまたは被
検成分と反応性の成分)と固相に固定化されている第一
の反応性成分(1)の間の反応に大きな影響を与える。
【0024】これに対して、固相に固定化された成分
(1)とその脱離した成分、それと反応性の成分(被検
成分そのものまたは被検成分と反応性の成分)の分子数
の比において、脱離した成分が少ないときには、反応性
の成分(被検成分そのものまたは被検成分と反応性の成
分)の固相に固定化されている(1)との反応に与える
影響は小さくなる。一般に固相上の成分はその測定系に
おいて十分な量が与えられており、実際上は脱離した成
分の量とそれと反応性の成分の量の比率が影響の受け易
さを決める。
【0025】以下ストレプトアビジンを例としてより具
体的な反応系で説明する。磁性微粒子などの固相に固定
化されたストレプトアビジンを第一の反応性成分(1)
としたときに、これと反応しかつ被検成分とも反応する
第二の反応性成分としてビオチン化した抗体が用いられ
る場合がある。被検成分として抗原を測定する系の場
合、抗原が甲状腺ホルモン(T3:トリヨードサイロニ
ン、T4:サイロキシン)などのような低分子物質の場
合は競合法による測定が一般に行われ、甲状腺刺激ホル
モン(TSH)のような高分子の蛋白質などの場合はサ
ンドイッチ法による測定が行われることが一般である。
【0026】競合法の場合は、このビオチン化抗体が被
検成分(たとえば抗原であるT3)に対する抗体であ
り、ここに被検成分と標識物質(たとえば酵素に抗原性
を保ったまた化学結合させたT3)とが競合的に反応す
ることで、被検成分量に応じてビオチン化抗体をなかだ
ちとして固相上に保持される標識物質の量(たとえば酵
素の活性量)が変化し、被検成分の存在量が測定され
る。ここで競合法における標識物質とは、競合反応の程
度を測定するために酵素や蛍光・発光物質または放射性
物質などで標識され、ビオチン化抗体に対して抗原と類
似の反応性を有し、抗原の存在量によってそのビオチン
化抗体への結合量が影響を受けるものをいう。
【0027】サンドイッチ法の場合には、ビオチン化抗
体は被検成分(たとえば抗原であるTSH)に対する第
一の抗体であり、ここに被検成分が反応し、さらに被検
成分に標識物質(たとえば酵素標識した別の抗TSH抗
体)が反応することで被検成分の量を測定するものであ
る。ここで標識物質とは、抗原量を測定するために酵素
や蛍光・発光物質または放射性物質などで標識され、抗
原との反応性を有しビオチン化抗体に結合した抗原の存
在量によって固相への結合量が影響を受けるものをい
う。具体的には、抗原上のビオチン化抗体が結合する部
位とは別の部位に互いに排除し合うことなく結合するも
う一方の抗体で、酵素や蛍光・発光物質、放射性物質な
どで標識されているものである。
【0028】一般に競合法の場合は、競合反応を感度良
く行わせる関係上、測定する抗原の濃度に近いレベルの
ビオチン化抗体を用いる必要があるが、いずれの競合法
測定項目においてもビオチン化抗体の濃度は固相から脱
離してくるストレプトアビジンに対して、サンドイッチ
法に比べて、おおむね低いものになり、脱離したストレ
プトアビジンの影響を受けやすい。一方、サンドイッチ
法では抗原の濃度に対してビオチン化抗体の濃度を充分
高くする必要があり、脱離してきたストレプトアビジン
の影響は競合法に比べて受けにくい。しかしながら、測
定上問題となりうる程度の影響を受ける可能性がある。
【0029】以上のように固相の(1)の脱離の影響を
受けやすいのは一般に競合法と考えられ、脱離の問題を
解決するための発明はサンドイッチ法のみならず、競合
法における試薬の安定性を満足するものでなければなら
ない。そして測定系が被検成分の高感度な検出を目指せ
ばめざすほど、固相からの脱離を極めて低いレベルに抑
える必要がある。実質的に利用可能な固相の素材は測定
系の試薬構成によって制限され、特に現在一般的となっ
ているいわゆる全自動免疫診断装置などのような、自動
化された装置に搭載する試薬の場合にはその選択の幅が
せまく、(1)の物理吸着がまったくない固相を選定す
ることが難しい。また結合方法や液性によっては、化学
結合していた(1)が遊離してくる場合もありうる。
【0030】安定な測定値を得るためにはいささかでも
脱離があってはならないということではなく、製造され
た試薬の流通および測定の用に供されるまでの期間に脱
離した成分が、試薬の性能上実質的に問題のないレベル
に維持されれば良いと考えられる。したがって、脱離し
た(1)が遊離の状態で存在しても測定において阻害的
な機能を発揮するのを阻止することができるような成分
を測定系に加えることで、安定した測定値を得ることが
できるようにすればよい。
【0031】本発明を実施することで、測定前の固相の
洗浄や乾燥による固相の固定などの特別な処置を必要と
せずに、安定な測定値を長期間にわたって得ることがで
きるようになる。すなわち、(1)を固定化した固相は
固相保存のための保存液に懸濁した状態のままの試薬形
態でよく、脱離した反応成分を中和するための成分は試
薬を構成する他の成分のなかへ添加することができる。
また、他の成分のなかに添加するのではなく、単独の溶
液として独立に添加することもできる。
【0032】以下ストレプトアビジンとビオチン化抗体
を例に説明する。固相にストレプトアビジンを固定化さ
せる系の場合、抗原との特異な反応を行う物質としてビ
オチン化抗体が使用される。固相から脱離してくるスト
レプトアビジンに対する対策としては、ビオチン化抗体
溶液のなかにビオチンをあらかじめ添加しておくこと
で、固相から脱離してきたストレプトアビジンを中和す
ることが可能である。
【0033】また、ビオチン単独で添加したり標識物質
の溶液に添加しておくことも可能であるが、これらの場
合は脱離したストレプトアビジンがビオチン化抗体と反
応してしまわないよう、ビオチン化抗体を固相と反応さ
せる前にビオチン化抗体と混合されているか、または事
前に固相と混合されていることが好ましい。こうするこ
とによって、固相から脱離して遊離の状態にあるストレ
プトアビジンは添加したビオチンによって中和され、ビ
オチン化抗体との反応を著しく減じ、固相のストレプト
アビジンとビオチン化抗体との固−液反応への阻害を減
ずることになる。
【0034】ビオチンの添加量は、固相に保持されてい
るストレプトアビジンと遊離のストレプトアビジンおよ
び既に述べたビオチン化抗体の量のバランスによって決
まる。したがって、以下に説明するように、測定系を考
慮することなしに特定の量に一概に決まるものではな
い。具体的な濃度の例は実施例のなかで示されるが、以
下に図2および図3を用いて量を支配する要因について
説明する。
【0035】図2は固相に固定化する第一の反応性成分
にストレプトアビジンを用いた遊離トリヨードサイロニ
ン(フリーT3またはFT3)の測定系におけるビオチ
ン添加量のレスポンスへの影響を示したものである。図
1で遊離ストレプトアビジンを含まない系に相当する。
競合法におけるレスポンスとは抗原濃度ゼロのときのシ
グナルで、遊離のストレプトアビジンの影響が全くない
ときの値を100%としている。第二の反応性成分とし
てはビオチンを結合させた抗T3モノクローナル抗体
(ビオチン化抗体)を用いている。最終的にはこのビオ
チン化抗体にアルカリフォスファターゼ標識T3を結合
させ、固相上に保持されたアルカリフォスファターゼの
活性を測定している。従って、レスポンスはこの固相の
ストレプトアビジンに対するビオチン化抗体の結合の度
合いを反映している。
【0036】ここで、遊離ストレプトアビジンの妨害を
中和するために添加されたビオチンは、遊離のストレプ
トアビジンだけでなく固相上のストレプトアビジンとも
反応する。そのため、過剰に添加した場合は固相のスト
レプトアビジンのビオチン化抗体との結合部位を減じ、
レスポンスを低下させるようになる。したがって、測定
値におおきな影響を与えないような上限の量が存在する
が、上限値が固相のストレプトアビジンのビオチン結合
部位を完全にふさいでしまう量をこえることはない。添
加の上限はその測定系が添加ビオチンのレスポンスへの
影響をどこまで許容するかによって決まる。
【0037】具体的には図2ではレスポンスが大きく低
下しはじめる変曲点付近、たとえば0.3μMから下の
濃度が望ましいが、そうである必要はなく、たとえばビ
オチン添加によるレスポンスの低下が50%まで許され
るのであればはじめから0.4μM添加しておくことも
可能である。また、添加量が少なければレスポンスへの
阻害は軽減されるが、遊離ストレプトアビジンに対する
中和能力も低下する。逆にストレプトアビジンの遊離が
少ないものであれば、必要以上に多くのビオチンを添加
する必要はない。どの程度までの遊離ストレプトアビジ
ンをどの程度のレスポンスの変動幅に収めるよう中和し
なければならないかによって、必要なビオチンの下限は
制限を受ける。
【0038】図3に同じくFT3における遊離ストレプ
トアビジン量とレスポンスの関係の模式図を示した。F
T3の競合法測定での抗原濃度ゼロの血清測定におい
て、ストレプトアビジン固定化磁性微粒子懸濁液に遊離
のストレプトアビジンを添加したときの添加濃度のレス
ポンスへの影響、およびビオチン化抗体溶液にビオチン
を添加していった場合のレスポンス回復の模式図であ
る。「無添加」の曲線に示されるように横軸方向へのわ
ずかの遊離ストレプトアビジンの増加によってレスポン
スが大きく低下する一方、濃度−1,2,3に示すよう
にビオチンの添加量(濃度−1<濃度−2<濃度−3)
を増すことによって遊離ストレプトアビジンによるレス
ポンスの低下は著しく抑制される。
【0039】ここで単なる遊離ストレプトアビジンの中
和だけを考えるのであれば、遊離ストレプトアビジンと
添加ビオチンのモル数関係のみが束縛条件ということに
なる。しかし、遊離ストレプトアビジンの量は用いられ
る固相化ストレプトアビジンの量とその脱離率によるも
のであり、また一回の測定当たりに使われる固相ストレ
プトアビジンの量そのものも測定試薬の形態によってさ
まざまである。さらに反応のもう一方の成分として使わ
れるビオチン化抗体の量もさまざまであり、測定値にど
のように影響するかということに関しては、ビオチン化
抗体に対する固相ストレプトアビジンと遊離ストレプト
アビジンの競争関係によるものであるから、ビオチン化
抗体が遊離ストレプトアビジンに対して相対的に多けれ
ばビオチン添加の必要量が相対的に減じる。
【0040】このように、ストレプトアビジンとビオチ
ン化抗体を用いる測定系では添加するビオチンの量を一
概には規定できず、個々の試薬形態ごとに図2および図
3のような関係性および目標とする試薬性能の制約を受
けて規定されるものである。また、このことはストレプ
トアビジンとビオチン化抗体を用いる測定系に限定され
るものではなく、固相および固相に固定化された第一の
反応性成分とそれと反応性の液相中の第二の反応性成分
を用いる系の全てに適用されるものである。
【0041】またストレプトアビジン−ビオチン(また
はビオチン化抗体)の系のように極めて親和性の高い
(結合定数の高い)反応系のみならず、抗原−抗体、レ
クチン−糖鎖、レセプター−リガンド、結合蛋白−結合
分子など種々の反応系において、それぞれの結合定数に
よっても添加する反応性成分の量が影響を受ける。すな
わち、固相から脱離した第一の反応性成分(1)(例え
ば、遊離ストレプトアビジンに相当)と第二の反応性成
分(例えば、ビオチン化抗体に相当)との反応は液相ど
うしのいわゆる液−液反応のため、同じく液相中に共存
させる物質(例えば、ビオチンに相当)は、固相上の第
一の反応性成分(1)(例えば、固相ストレプトアビジ
ンに相当)よりも遊離の第一の反応性成分への反応の選
択性が高い。しかも、第一の反応性成分と第二の反応性
成分との結合定数が高いほどその選択性も高いので好ま
しい。
【0042】なぜなら、反応初期の短時間の液−液反応
の間に脱離した第一の反応性成分(1)と共存させた物
質との中和反応が終了しない場合、共存させた物質に比
べて一般的に圧倒的に大量に存在するの固相上の成分
(1)と、共存させた物質との反応がより進行するとい
うことになる。
【0043】そのため、親和性が低い場合には脱離した
第一の反応性成分(1)を中和するためにより多くの量
の共存物質を共存させる必要が生じ、しかも固相上の第
一の反応性成分(1)への結合量も多くなるため選択性
が低下し、十分な中和効果を得ようとするとレスポンス
までもが大きく低下してしまうということになる。従っ
て、より親和性の低い系では共存させた物質の単位量あ
たりの効果が減じ、脱離した第一の反応性成分(1)の
影響を中和するためには親和性の高い系に比べてより広
い濃度範囲のなかから目的に応じた量を選択することに
なる。
【0044】このように、反応性成分間の結合定数の影
響も添加すべき反応性成分の量に影響を与える。以上の
ことから、ビオチンや抗体などを測定系に共存させる量
は、0.01−1000pmol/アッセイが好まし
く、更に好ましくは0.1−100pmol/アッセイ
である。
【0045】
【実施例】以下に本発明を更に詳細に説明するために実
施例を示す。しかし本発明は、これら実施例のみに限定
されるものではない。
【0046】実施例1 競合法による遊離トリヨードサ
イロニン(T3)測定系 ポリスチレンを基材とする磁性微粒子(ダイナル社ダイ
ナビーズ)の表面にストレプトアビジンをエポキシ基を
介して固定化した。抗T3抗体にビオチンを化学結合さ
せたものをビオチン化抗体とし、ウシ小腸アルカリフォ
スファターゼ(ALP)にT3を化学結合させたものを
標識体(T3−ALP)とした。
【0047】ビオチン化抗体67μlと被検試料(血
清)33μlを37℃5分間反応させ、そののちストレ
プトアビジン固定化磁性微粒子を1mlあたり10mg
含む溶液10μlと3分間反応させた。固相に結合しな
かった成分を洗浄によって除き、さらに固相とT3−A
LPを反応させ、固相ストレプトアビジンに保持された
ビオチン化抗体のうち、被検成分と反応していないビオ
チン化抗体に対しT3−ALPを結合させた。被検試料
中の遊離T3濃度が高いほど固相に結合するALPが減
少し、ALPの酵素活性によるシグナルが減少した。抗
原濃度がゼロのときがシグナルが最も高くなり、このと
きのシグナル強度をレスポンスとよぶ。酵素活性は発光
基質(Tropics社CSPD)を50μl分注し、
5分間の反応の発光強度をベルトールド社製ルミノメー
ターLB96Vで測定した。
【0048】ここで、血清中のT3は蛋白質と結合した
状態のものと遊離した状態のもの(フリーT3またはF
T3)とが存在し、本測定ではFT3のみを測定した。
FT3の測定においては固相から脱離してくるストレプ
トアビジンがビオチン化抗体と反応して固相に保持され
ているストレプトアビジンとの反応性を失わせるため、
レスポンスの低下をまねく。また、この磁性微粒子の保
存中に脱離が徐々に進行したり、脱離の速度が温度変化
の影響を受ける場合、得られるレスポンスが変動すると
ともに、抗原濃度それぞれにおけるシグナルも変動す
る。
【0049】図4は実際に市販のストレプトアビジン固
定化磁性微粒子(ダイナル社)について、脱離を促進す
るために温度を40℃にあげて加速試験を行ったときの
ストレプトアビジンの脱離のようすを示したものであ
る。磁性微粒子濃度は10mg/mlである。脱離量の
測定はビオチン標識アルカリフォスファターゼを用いた
競合法による。ストレプトアビジン固定化磁性微粒子を
冷蔵(たとえば4℃)で長期(1ヶ月〜1年)にわたっ
て保存した場合にも同様の脱離がゆっくりと起こってい
る。
【0050】図4のような結果をもとに、種々のレベル
の脱離したストレプトアビジンのモデル系として、洗浄
直後の磁性微粒子(遊離ストレプトアビジンを含まな
い)にそれぞれの濃度のストレプトアビジンを外部から
添加したものを調製し、レスポンスを測定したものが図
5である。FT3の競合法測定における抗原濃度ゼロの
血清測定における添加ストレプトアビジンのレスポンス
(黒丸)への影響と、ビオチンをビオチン化抗体溶液中
の濃度換算で0.15μM添加した場合(黒四角)のレ
スポンスを示す。破線黒丸印の横軸方向に示されている
わずかな濃度の遊離ストレプトアビジンの増加によっ
て、レスポンスが著しく低下する。実線黒四角印は、反
応系にビオチンをビオチン化抗体溶液中の濃度に換算し
て0.15μMになるように添加したものである。ビオ
チンを添加したものではレスポンスが遊離ストレプトア
ビジン濃度の変化の影響をきわめて受けにくくなってい
ることが示されている。
【0051】本ストレプトアビジン固定化磁性微粒子と
同様のものを種々調製したところ、製造方法の影響をう
けるものの、1年間の冷蔵保存中に脱離してくるストレ
プトアビジンの濃度が1μg/mlを越えることはまれ
であった。したがって、0から1μg/ml付近の濃度
の間で遊離ストレプトアビジンの濃度が変動するような
ことがあっても、0.15μMのビオチン添加を行えば
レスポンスへの影響をほとんど受けなくすることが可能
である。
【0052】実施例2 サンドイッチ法におけるレスポンスとは一定の濃度の抗
原を測定したときのシグナルの強さをいい、ここではT
SHの10μIU/mlの濃度のものを測定した。測定
は、上記TSH試料33μlとアルカリフォスファター
ゼ標識抗TSH抗体33μlおよびビオチン化抗TSH
抗体33μlを37℃で5分間液相で反応させ、さらに
実施例1と同様のストレプトアビジン固定化磁性微粒子
10μlを37℃で3分間攪拌しながら反応させた。固
相に結合しなかった成分を洗浄によって除き、基質とし
てCSPD50μlと反応させ5分間の発光強度を測定
した。図6に甲状腺刺激ホルモン(TSH)のサンドイ
ッチ測定における遊離ストレプトアビジンの影響を示し
た。TSHのサンドイッチ法での抗原濃度10μIU/
mlの血清測定における添加ストレプトアビジンのレス
ポンス(黒丸)への影響と、ビオチンをビオチン化抗体
溶液中の濃度換算で0.15μM添加した場合(黒四
角)のレスポンスを示す。
【0053】サンドイッチ法においては、競合法に比べ
かなり高い濃度のビオチン化抗体を用いることから、前
述のように遊離ストレプトアビジンの影響は受けにくく
なっている。この測定系では実施例1の測定におけるビ
オチン化抗体のおよそ200倍のビオチン化抗体が用い
られている。
【0054】そのため、ビオチン無添加でもストレプト
アビジンの影響は実施例1のほぼ10分の1に低減され
ているが、それでも遊離ストレプトアビジンの影響はま
だ残り、脱離量が通常観察される上限の1μg/ml付
近に近づくにつれて測定値に影響を及ぼすと考えられ
る。この場合もビオチン化抗体溶液中の濃度にして0.
15μMのビオチンを添加することでレスポンスへの影
響はほぼ完全に抑えられる。
【0055】実施例3 固相にストレプトアビジンではなく抗体を直接固定化し
た場合には、脱離してくる抗体が反応を阻害する。そこ
で、ストレプトアビジン−ビオチン系におけるビオチン
に相当するものとして遊離抗体によって認識される構造
を含む成分を添加する必要がある。固相抗体が認識する
ものが第二の抗体である場合には、第二の抗体の構造の
うち固相抗体によって認識される部分を含むペプチドま
たは蛋白質を添加すればよい。甲状腺ホルモンであるサ
イロキシン(T4)のうち遊離サイロキシン(FT4)
の2ステップ反応測定系における遊離固相抗体の影響を
調べた。
【0056】まず液相反応でウサギの抗T4抗体の希釈
液90μlと被検成分(血清)10μlとを37℃5分
間液相反応させ、次にヤギの抗ウサギIgG抗体(Fc
特異)を固定化した磁性微粒子10mg/mlの10μ
lと37℃で3分間攪拌反応させた。磁性微粒子を洗浄
ののち、標識物(T4結合アルカリフォスファターゼ)
を反応させ、遊離の標識物を洗浄によって除去し、CS
PDを基質として固相に結合したアルカリフォスファタ
ーゼの活性を測定した。結果を図7に示す。ヤギの抗ウ
サギIgG(Fc特異)抗体を固定化した磁性微粒子を
用いたFT4の競合法測定での抗原濃度ゼロの血清測定
において、遊離固相抗体による阻害の影響を回避するた
め、反応時に特異抗体溶液にウサギIgGのパパイン消
化物(FabとFcの混合物)を添加したときのレスポ
ンスへの影響を示す。
【0057】破線黒丸印は横軸方向の遊離の固相抗体の
増加存在によってレスポンスがどのように低下していく
かを示している。ここで、液相反応のときにウサギ免疫
グロブリンをパパインで分解してFabとFcの混合物
としたものを0.1μg添加したときのレスポンスの変
化を示したものが実線黒四角印である。ウサギ免疫グロ
ブリン分解物の添加によって、遊離固相抗体の影響を受
けにくくなっている。この場合、効果をになっているの
はウサギ免疫グロブリン分解物のなかのIgGのFcで
あり、精製されたFcを添加してもよい。
【0058】
【発明の効果】本発明による添加物は、固相から脱離し
てきた第一の反応性成分に対する緩衝作用を有すること
になり、本発明によって固相担体の液中保存において試
薬製造時からの長期にわたって安定な測定値をあたえる
免疫診断試薬を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ストレプトアビジン−ビオチン化抗体反応系を
例とした、固−液反応系の模式図である。
【図2】添加ビオチンのレスポンスへの影響を示す図で
ある。
【図3】遊離ストレプトアビジンのレスポンスへの影響
と、ビオチンの添加効果を示す図である。
【図4】ストレプトアビジンの脱離の時間経過を示す図
である。
【図5】FT3測定における遊離ストレプトアビジンの
影響とビオチン添加の効果を示す図である。
【図6】ストレプトアビジン固定化磁性微粒子を用いた
TSH測定における、遊離ストレプトアビジンの影響と
ビオチン添加の効果を示す図である。
【図7】FT4測定における遊離固相抗体の影響と抗体
添加の効果を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固液反応を有する測定系において、反応性
    成分(1)が固相に固定化されており、反応性成分
    (1)と反応性を有しかつ反応性成分(1)が当該測定
    系において本来反応すべき物質よりも低分子量の物質を
    液相に共存させ、固相から脱離した反応性成分(1)と
    反応させることを特徴とする、測定妨害を低減する方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、固相に固
    定化された(1)がアビジンまたはストレプトアビジン
    であり、固相から脱離した(1)と反応させる物質がビ
    オチンまたはその誘導体であることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の方法において、
    固相に固定化された(1)が抗体であり、固相から脱離
    した(1)と反応させる物質が当該抗体によって認識さ
    れる部位を含む抗原の一部からなる物質であることを特
    徴とする方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれかに記載の方法におい
    て、固相に固定化された(1)が抗体であり、固相から
    脱離した(1)と反応させる物質が脱離した(1)に対
    する抗体であることを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の方法において、(1)に
    対する抗体がその抗イディオタイプ抗体であることを特
    徴とする方法。
  6. 【請求項6】固液反応を有する測定系の試薬組成物にお
    いて、 ・反応性成分(1)が固相に固定化されたもの、及び ・反応性成分(1)と反応性を有し、かつ反応性成分
    (1)が当該測定系において本来反応するべき物質より
    低分子量の物質からなることを特徴とする、固相から脱
    離した(1)による測定妨害を低減するための試薬組成
    物。
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