JP7324998B2 - センサ基板、センサ基板の製造方法および検出装置 - Google Patents

センサ基板、センサ基板の製造方法および検出装置 Download PDF

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Description

本開示は、試料中の被検出物質を検出するためのセンサ基板、センサ基板の製造方法および検出装置に関する。
近年、医療やバイオの分野では、抗体等の生理活性物質(以下、特異的結合物質)を利用したバイオセンサが使用されている。特異的結合物質は、熱または乾燥によりダメージを受けやすい。例えば、熱または乾燥により特異的結合物質の構造の一部が変性して、機能が低下する。これは、特異的結合物質をセンサ基板の表面に固定化して用いる場合にしばしば問題になる。
そこで、特許文献1は、糖類、および、特異的結合物質と結合する性質を有しない非特異たんぱく質(以下、非特異結合物質)を含む保存溶液でセンサ基板の表面を被覆したセンサ基板を開示している。当該センサ基板では、センサ基板の表面の特異的結合物質を保存溶液で被覆することにより、特異的結合物質を乾燥から保護し、特異的結合物質の機能(活性)が低下することを抑制している。
特許第5929752号公報
しかしながら、上記従来のセンサ基板は、センサ基板の表面を保存溶液で被覆しているだけであるため、センサ基板が洗浄されると、センサ基板の表面から保存溶液が流され、センサ基板が乾燥されると、保存溶液中の水分が蒸発される。そのため、従来のセンサ基板は、洗浄または乾燥されると、センサ基板の表面を乾燥から保護する効果が十分に保たれない。特に、特異的結合物質の構造的および機能的な劣化(以下、特異的結合物質の劣化)により、試料中の夾雑物などが特異的結合物質の劣化した部分に非特異的に結合すること(以下、非特異的吸着)が増加するという問題がある。
そこで、本開示は、センサ基板が洗浄または乾燥された場合でも、センサ基板の表面に固定化された第1の特異的結合物質の劣化が低減されるセンサ基板およびセンサ基板の製造方法を提供する。また、本開示は、当該センサ基板を用いることにより、被検出物質を精度良く検出することができる検出装置を提供する。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係るセンサ基板は、基材と、被検出物質と特異的に結合する性質を有し、前記基材の表面に固定された第1の特異的結合物質と、第1の糖分子と、第2の糖分子と、を含み、前記第1の糖分子は、前記基材の表面に化学結合により固定され、前記第2の糖分子は、少なくとも前記第1の特異的結合物質の表面に分子間力により固定されている。
また、本開示の一態様に係るセンサ基板の製造方法は、基材を準備する工程と、被検出物質と特異的に結合する第1の特異的結合物質を前記基材の表面に固定し、かつ、第1の糖分子を化学結合により前記基材の表面に固定する工程と、第2の糖分子を、少なくとも前記第1の特異的結合物質の表面に分子間力により固定する工程と、を含む。
また、本開示の一態様に係る検出装置は、前記のいずれかのセンサ基板と、前記被検出物質と特異的に結合する性質を有し、標識物質で標識された第2の特異的結合物質と、前記被検出物質を含む試料とを、前記センサ基板に導入する導入部と、前記第2の特異的結合物質および前記試料が導入された前記センサ基板に、前記標識物質から信号を誘発する誘発因子を印加する印加部と、前記標識物質から発せられた前記信号に基づき、前記被検出物質を検出する検出部と、を備える。
本開示によれば、センサ基板が洗浄または乾燥された場合でも、センサ基板の表面に固定された第1の特異的結合物質の劣化が低減されるセンサ基板およびセンサ基板の製造方法が提供される。また、本開示によれば、被検出物質を精度良く検出することができる検出装置が提供される。
図1は、実施の形態1に係る検出装置の一例を示す概略構成図である。 図2は、実施の形態1におけるセンサ基板の一例を示す斜視図である。 図3Aは、図2に示すセンサ基板の一部を模式的に示した例の断面図である。 図3Bは、図2に示すセンサ基板の一部を模式的に示した別の例の断面図である。 図4Aは、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図4Bは、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の別の例を示すフローチャートである。 図5は、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を説明する模式図である。 図6は、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を説明する模式図である。 図7は、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を説明する模式図である。 図8は、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を説明する模式図である。 図9は、実施の形態1に係るセンサ基板の製造方法の一例を説明する模式図である。 図10Aは、実施の形態1における被検出物質の検出方法の一例を模式的に説明する図である。 図10Bは、実施の形態1における被検出物質の検出方法の別の例を模式的に説明する図である。 図11Aは、実施の形態1における被検出物質の検出方法の一例を模式的に説明する図である。 図11Bは、実施の形態1における被検出物質の検出方法の別の例を模式的に説明する図である。 図12は、実施の形態2に係る検出装置の一例を示す概略構成図である。 図13Aは、実施の形態2における被検出物質の検出方法の一例を説明する模式図である。 図13Bは、実施の形態2における被検出物質の検出方法の別の例を説明する模式図である。 図14Aは、実施の形態2における被検出物質の検出方法の一例を説明する模式図である。 図14Bは、実施の形態2における被検出物質の検出方法の別の例を説明する模式図である。 図15は、実施例1、比較例1および比較例2で得られたセンサ基板を乾燥工程に供した後の、非特異的吸着ノイズの検出結果を示す図である。 図16は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板を乾燥工程および保存工程に供した後の、非特異的吸着ノイズの検出結果を示す図である。 図17は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板を乾燥工程および保存工程に供した後の、サンドイッチAssayの結果を示す図である。 図18は、本開示における検出システムの構成の一例を示す概略構成図である。
本開示の一態様の概要は、以下のとおりである。
本開示の一態様に係るセンサ基板は、基材と、被検出物質と特異的に結合する性質を有し、前記基材の表面に固定された第1の特異的結合物質と、第1の糖分子と、を含み、前記第1の糖分子は、前記基材の表面に化学結合により固定されている。
これにより、センサ基板が洗浄されても、第1の糖分子がセンサ基板の表面から流されないため、第1の糖分子の保水性によりセンサ基板の表面が乾燥しにくくなる。また、センサ基板が乾燥されても、第1の糖分子が保水性を有するため、センサ基板の表面は乾燥しにくくなる。そのため、第1の特異的結合物質は、乾燥によるダメージを受けにくくなる。したがって、センサ基板が洗浄または乾燥された場合でも、センサ基板の表面に固定された第1の特異的結合物質の劣化が低減される。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、前記基材は、基板と、前記基板上に配置された有機膜と、を含み、前記第1の特異的結合物質は、前記有機膜への結合を介して前記基材の表面に固定されており、前記第1の糖分子は、前記有機膜に前記化学結合により固定されていてもよい。
これにより、第1の特異的結合物質および第1の糖分子は、基材の表面に安定に固定される。基材の表面に安定に固定された第1の糖分子は、センサ基板が洗浄されても、表面から離脱せずに残存しやすい。そして、第1の糖分子が有するヒドロキシ基(OH基)が水分子の代わりに作用するため、センサ基板が乾燥された場合も、第1の特異的結合物質の乾燥による劣化が低減される。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、前記有機膜は、自己組織化単分子膜であってもよい。
これにより、第1の特異的結合物質および第1の糖分子は、有機膜と化学結合を容易に形成することができる。そのため、第1の特異的結合物質および第1の糖分子は、基材の表面に安定に固定される。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、前記化学結合は、アミド結合であってもよい。
これにより、第1の糖分子は、有機膜と共有結合であるアミド結合により固定される。共有結合は、化学結合の中でも結合力が強い。そのため、第1の糖分子は、基材の表面により安定に固定される。このように安定に固定された第1の糖分子の保水性により、センサ基板の表面を乾燥から保護し、第1の特異的結合物質の構造的および機能的な劣化が低減されるため、センサ基板の保存安定性を高めることができる。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、さらに、前記基材の表面の少なくとも一部を覆うブロッキング剤を含んでもよい。
これにより、被検出物質を検出する際に、基材の表面における夾雑物などの非特異的な結合または吸着(以下、非特異的吸着)を低減することができる。そのため、非特異的吸着により生じるノイズ(すなわち、非特異的吸着ノイズ)が低減され、被検出物質を精度良く検出することができる。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、さらに、第2の糖分子を含み、前記第2の糖分子は、少なくとも前記第1の特異的結合物質の表面に配置されてもよい。
これにより、第2の糖分子が少なくとも第1の特異的結合物質の表面に配置され、第1の糖分子が基材の表面に配置されることにより、第1の特異的結合物質の表面、つまり、第1の特異的結合物質が被検出物質と結合する結合部位だけでなく、第1の特異的結合物質の、基材の表面に近い部分までも、乾燥から保護することができる。これにより、第1の特異的結合物質は、その全面を乾燥から保護され、乾燥による第1の特異的結合物質の劣化が低減される。また、第1の糖分子が基材の表面に配置されることにより、基材の表面において、試料中の夾雑物および標識化抗体が非特異的に結合することが低減される。これにより、センサ基板が保存されても、第1の特異的結合物質の劣化が低減され、かつ、非特異的吸着が低減されるため、センサ基板の保存安定性が向上される。
例えば、本開示の一態様に係るセンサ基板では、前記第2の糖分子は、前記第1の糖分子とは異なる化学構造を有してもよい。
このように化学構造が異なる糖分子、すなわち異なる種類の糖分子を用いることにより、特異的結合物質、基材および有機膜などの構成、被検出物質、または検出方法などの設計に応じて、所望の保存安定性を有するセンサ基板を得ることができる。
また、本開示の一態様に係るセンサ基板の製造方法は、基材を準備する工程と、被検出物質と特異的に結合する第1の特異的結合物質を前記基材の表面に固定し、かつ、第1の糖分子を化学結合により前記基材の表面に固定する工程と、を含む。
これにより、センサ基板が洗浄または乾燥された場合でも、第1の特異的結合物質が乾燥により劣化することを低減できるセンサ基板を得ることができる。
また、本開示の一態様に係る検出装置は、前記のいずれかのセンサ基板と、前記被検出物質と特異的に結合する性質を有し、標識物質で標識された第2の特異的結合物質と、前記被検出物質を含む試料とを、前記センサ基板に導入する導入部と、前記第2の特異的結合物質および前記試料が導入された前記センサ基板に、前記標識物質から信号を誘発する誘発因子を印加する印加部と、前記標識物質から発せられた前記信号に基づき、前記被検出物質を検出する検出部と、を備える。
これにより、検出装置は、被検出物質を精度良く検出できる。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータにより読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
(実施の形態1)
[検出装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検出装置100aの一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、検出装置100aは、センサ基板10aと、導入部20aと、印加部30a(ここでは、光源30a)と、検出部40aと、コントローラ50aと、を備える。本実施の形態では、検出装置100aは、さらに、センサデバイス12aと、レンズ32と、ビームスプリッタ34と、を備える。本実施の形態では、検出装置100aは、例えば、被検出物質量を光学的に検出する装置である。検出方法については、表面増強蛍光法を例に挙げて説明する。以下に、検出装置100aの各構成要素について説明する。
センサデバイス12aは、センサセル14aを備える。なお、図1では、センサデバイス12aは、単一のセンサセル14aを備えているが、センサデバイスは、複数のセンサセルを備えてもよい。センサデバイスが複数のセンサセルを備える場合、複数のセンサセルが個別に励起光36aを照射されるようにセンサデバイスを移動させる機構を備えてもよい。
センサセル14aは、センサ基板10aと、流路141aと、供給孔142aおよび排出孔143aを有する蓋部144aと、を備える。蓋部144aは、例えばサンプル液体22、洗浄液、第2の抗体を含む溶液などをセンサセル14a内に供給する供給孔142aと、センサセル14a内に供給されたサンプル液体22などを外部に排出する排出孔143aとを有する。蓋部144aは、例えば、ガラス、または、樹脂など光透過性を有する材料から構成される。なお、供給孔142aおよび排出孔143aの配置位置は、特に限定されず、供給孔142aおよび排出孔143aは、設計に応じて適宜所望の位置に配置されてもよい。
流路141aは、供給孔142aから供給されたサンプル液体22などをセンサ基板10aに導くための経路である。図1では、流路141aに、センサ基板10aが配置される例を示しているが、センサ基板10aは、流路141aと一体となって形成されてもよい。すなわち、センサ基板10aは、流路141aの底部に直接形成されてもよい。
図2は、本実施の形態に係るセンサ基板10aの一例を示す斜視図である。センサ基板10aでは、基材102aの表面の少なくとも一部に、被検出物質と特異的に結合する性質を有する第1の特異的結合物質が固定され、かつ、第1の糖分子が化学結合により固定されている領域が形成されている。以下では、この領域を検出領域110aと称する。なお、センサ基板10aの詳細については、後述する。
導入部20aは、第2の特異的結合物質および試料をセンサセル14aに導入する。具体的には、導入部20aは、第2の特異的結合物質と試料とを含むサンプル液体22をセンサセル14aに設けられた供給孔142aに滴下する。より具体的には、導入部20aは、例えば、ポンプ(不図示)およびバルブ(不図示)を備えてもよい。この場合、導入部20aは、バルブを開いてポンプを作動することにより、サンプル液体22をセンサ基板10aに導入してもよい。
なお、第2の特異的結合物質は、被検出物質と特異的に結合する性質を有し、標識物質(例えば、蛍光物質)で標識されている。また、試料は、被検出物質を含み得る液体である。
試料に被検出物質が含まれれば、被検出物質は、センサ基板10aの基材の表面に固定された第1の特異的結合物質と結合する。つまり、基材の表面に、第1の特異的結合物質、被検出物質、第2の特異的結合物質および蛍光物質の複合体が結合される。この状態で、センサ基板10aに光が照射されると、被検出物質と第2の特異的結合物質を介して間接的に結合している蛍光物質から蛍光が発せられる。
光源30aは、印加部の一例であり、略平行光である励起光36aをセンサ基板10aに照射する。印加部は、標識物質で標識化された第2の特異的結合物質と試料とが導入されたセンサ基板10aに、標識物質から信号を誘発する誘発因子36a(ここでは、励起光36a)を印加する。励起光36aは、センサセル14aに照射されると、上述のとおり光透過性を有する材料から形成される蓋部144aを透過して、センサ基板10aの検出領域110aに到達する。光源30aとしては、公知の技術を特に限定することなく利用することができる。例えば、半導体レーザ、ガスレーザ等のレーザを光源30aとして利用することができる。なお、光源30aは、ウイルスに含まれる物質と相互作用が小さい波長の励起光(例えば、400nm~2000nm)を照射することが好ましい。さらには、励起光の波長は、半導体レーザが利用できる波長600nm~850nmであることが好ましい。
ビームスプリッタ34は、光源30aから照射された励起光36aから検出領域110aで発生した表面増強蛍光を分離する。具体的には、ビームスプリッタ34は、光源30aからの励起光36aを透過させ、センサセル14aで発生した表面増強蛍光を分離して検出部40aに導く。
レンズ32は、ビームスプリッタ34を通過した光源30aからの励起光36aを検出領域110aに集光する。
検出部40aは、ビームスプリッタ34により導かれた表面増強蛍光を分光し、特定の波長帯の光を検知することにより試料中の被検出物質の量に相当する電気信号を出力する。検出部40aは、特定の波長帯の光を検出できるものであれば公知の技術を特に限定なく利用することができる。例えば、検出部40aとして、光を分光するために特定の波長帯を透過させる干渉フィルター、回折格子を用いて分光するツェルニー型分光器、および、エシェル型分光器等を利用することができる。さらには、検出部40aは、光源30aからの励起光36aを除去するためのノッチフィルター、あるいは、光源30aからの励起光36aを遮断し、かつ、センサセル14aで発生した表面増強蛍光を透過させることができるロングパスフィルターを含んでもよい。
コントローラ50aは、プロセッサおよびメモリを備え、メモリに格納されたソフトウェアプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。また、コントローラ50aは、1以上の専用の電子回路によって実現される。1以上の専用の電子回路は、1個のチップ上に集積されてもよいし、複数のチップ上に個別に形成されてもよい。コントローラ50aは、検出部40aの出力信号を解析して、被検出物質の濃度を算出する。さらに、コントローラ50aは、光源30aおよび導入部20aを制御する。
検出部40aおよびコントローラ50aは、検出部の一例であり、励起光の照射により蛍光物質から生じる蛍光に基づいて被検出物質を検出する。
[センサ基板の構成]
図2は、本実施の形態に係るセンサ基板の一例であるセンサ基板10aの斜視図である。図3は、図2に示すセンサ基板10aの一部(ここでは、検出領域110aの内の一部)を模式的に示した断面図である。以後の各図において、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図2では、検出領域110aは、基材102aの表面の一部に形成されているが、検出領域110aの形状および基材102aの表面に示す割合は図示に限定されない。例えば、検出領域110aは基材102aの表面全体に形成されてもよい。
図3Aに示すように、センサ基板10aは、基材102aと、第1の特異的結合物質114と、第1の糖分子116と、を含む。第1の特異的結合物質114は、被検出物質と特異的に結合する性質を有し、基材102aの表面に固定される。また、第1の糖分子116は、基材102aの表面に化学結合により固定されている。
図3Bに示すように、センサ基板10aは、さらに、第2の糖分子118を含んでもよい。第2の糖分子118は、少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置される。
基材102aは、その表面に、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を結合可能なものであれば、その形状および素材は特に限定されない。基材102aの形状は、例えば、粒子状、繊維状、膜状、シート状、プレート状および板状などが挙げられる。基材102aの素材は、例えば、石英、ガラス、シリカ、およびセラミックスなどの無機材料、ポリカーボネートおよびシクロオレフィンポリマーなどの樹脂、ハイドロゲル、アガロース、セルロース、およびラテックスなどの天然材料、および、金、アルミナ、および銀などの金属材料などが挙げられる。また、基材102aには、公知の表面処理技術を用いて、その表面に対してアミノ基、カルボキシル基、またはビニル基などの官能基を適宜導入してもよい。これにより、基材102aは、その表面に第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を容易に結合させることができる。
また、センサ基板10aをプラズモン励起センサとして利用する場合には、基材102aは、例えば、石英、ガラス、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂等の支持体(図3の基板1020)の表面に、金、銀、アルミニウム、銅、白金等の金属のうち少なくとも一種類の金属またはそれらの金属の合金を含む金属薄膜を有してもよい。さらに、基材102aは、基板1020の表面および金属薄膜が形成された部分に、複数の微細凹凸構造からなるナノ構造を有していてもよい。基板1020の表面のナノ構造は、例えば、ナノインプリントまたは射出成形により形成される。
また、基材102aの表面には、第1の特異的結合物質114の固定化の容易の観点、および、第2の特異的結合物質の配向制御および反応性の観点から、第1の特異的結合物質114と基材102aとの距離を適切に確保することが可能な分子(リンカー)が結合されてもよい。リンカーとなり得る分子は、通常、基材表面の荷電特性などに従って選択される。リンカーとなり得る分子は、例えば、自己組織化単分子膜(SAM)を形成するようなアルカンチオールなどのチオール誘導体、ポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)を含む親水性ポリマー、および、リン脂質極性基を有するMPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)の重合体であるMPCポリマーなどが挙げられる。
図3Aに示すように、本実施の形態では、基材102aは、基板1020と、基板1020上に配置された有機膜1022とを含む。有機膜1022は、上述のリンカーとなり得る分子から構成される。このとき、第1の特異的結合物質114は、有機膜1022に結合させることにより、基材102aの表面に固定されている。また、第1の糖分子116は、有機膜1022に化学結合により固定されている。このように、基材102aが基板1020上に有機膜1022を含むことにより、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116は基材102aの表面に安定に固定される。基材102aの表面に安定に固定された第1の糖分子116は、センサ基板10aが洗浄されても、表面から離脱せずに残存しやすい。そして、第1の糖分子116が有するヒドロキシ基(OH基)が水分子の代わりに作用するため、センサ基板10aが乾燥された場合も、第1の特異的結合物質114の乾燥による劣化が低減される。
また、本実施の形態では、有機膜1022は、自己組織化単分子膜(SAM)である。SAMが含む単分子としては、例えば、炭素原子数4~20程度のカルボキシアルカンチオール、中でも、10-カルボキシ-1-デカンチオールを用いてもよい。炭素原子数4~20程度のカルボキシアルカンチオールを用いて形成されたSAMは、透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いなどの性質を有しているため、検出に際して、光学的な影響が少ない。SAM1022の一端は、基板1020の表面と結合可能な官能基であればよく、例えばチオール基であり、SAM1022の他端は、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116と結合可能な官能基であればよく、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ビオチン基等である。このようにSAM1022は末端に反応性の官能基を有するため、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116は、有機膜1022(以下、SAM1022)と化学結合を容易に形成することができる。これにより、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116は、基材102aの表面に安定に固定される。
なお、センサ基板10aでは、基材102aは、第1の特異的結合物質114を固定化し、かつ、第1の糖分子116を化学結合により固定化することができれば特に限定されず、他の公知の基材を用いてもよい。また、SAMの形成方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いてもよい。具体的な方法については、後述する。
第1の特異的結合物質114は、被検出物質と特異的に結合する物質である。被検出物質は、例えば、タンパク質、脂質、糖、核酸などである。第1の特異的結合物質114は、例えば、抗原に対する抗体、基質または補酵素に対する酵素、ホルモンに対するレセプタ、抗体に対するプロテインAまたはプロテインG、ビオチンに対するアビジン類、カルシウムに対するカルモジュリン、糖に対するレクチン、等が挙げられる。また、被検出物質が核酸である場合、当該核酸と特異的に結合する配列を有する核酸も第1の特異的結合物質114として使用されてもよい。
第1の特異的結合物質114を金属薄膜上に固定する方法は、結合させる物質に応じて適切な種々の方法を用いてもよい。例えば、金属薄膜の表面に特定の結合を生じる修飾基を導入し、第1の特異的結合物質にこの修飾基に対応した官能基を導入し、これらの修飾基と官能基とを結合させることにより、第1の特異的結合物質114を金属薄膜上に固定することができる。
例えば、第1の特異的結合物質114が抗体等のタンパク質である場合、当該たんぱく質を構成する複数のアミノ酸の中には、その側鎖にカルボキシル基やアミノ基、チオール基を有するものがある。それらの官能基と基材102aとを化学結合させる、または、それらの官能基をアビジン等で修飾した後、アビジン化した第1の特異的結合物質と基材102aとを化学結合させてもよい。
また、第1の特異的結合物質114と基材102aとをより効率よく結合させるために、第1の特異的結合物質114と基材102aとの結合反応を促進させる物質を用いて活性化処理を行ってもよい。当該活性化処理の方法は、例えば、1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を用いて、SAM1022および第1の特異的結合物質114の一方のカルボキシル基を活性エステル化させ、当該活性エステル化されたカルボキシル基と、第1の特異的結合物質114およびSAM1022の他方のアミノ基とを結合させる方法である。また、当該活性化処理の方法は、例えば、グルタルアルデヒド等の複数のアルデヒド基をもつ物質を用いて、SAM1022のアミノ基と第1の特異的結合物質114のアミノ基とを結合させる方法等であってもよい。
なお、第1の特異的結合物質114を基材102aに固定化する方法は、第1の特異的結合物質114が失活しない固定化方法であれば、他の公知の方法を用いてもよい。
第1の糖分子116は、基材102aの表面に固定される前において、カルボキシル基またはアミノ基を有する糖分子である。第1の糖分子116がその分子中にカルボキシル基またはアミノ基を有することにより、基材102aの表面に化学結合により固定される。例えば、基板1020の表面に有機膜1022を有する場合、第1の糖分子116は、カルボキシル基およびアミノ基の一方を含み、有機膜1022は、カルボキシル基およびアミノ基の他方を含み、化学結合は、カルボキシル基およびアミノ基の反応により形成される。これにより、第1の糖分子116は、有機膜1022と共有結合であるアミド結合により固定される。共有結合は、化学結合の中でも結合力が強い。そのため、第1の糖分子116は、基材102aの表面により安定に固定される。このように安定に固定された第1の糖分子116の保水性により、センサ基板10aの表面を乾燥から保護し、第1の特異的結合物質114の構造的および機能的な劣化が低減されるため、センサ基板10aの保存安定性を高めることができる。なお、第1の糖分子116は、カルボキシル基またはアミノ基を有する糖分子であれば、単糖だけでなく、二糖類、または3個~10個の単糖から構成される少糖類(いわゆるオリゴ糖)であってもよく、10個以上の単糖から構成される多糖類(いわゆるグリカン)であってもよい。また、第1の糖分子116は、シアル酸のように1つの分子中に複数の官能基を有していてもよい。また、第1の糖分子116は、これらの糖の塩であってもよい。
具体的には、第1の糖分子116は、例えば、D-グルコサミン、D-マンノサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等のアミノ基を有するアミノ糖、または、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等のカルボキシル基を有するウロン酸、または、グルコン酸等のアルドン酸、または、アスコルビン酸等のカルボキシル基を有する糖酸、または、アミノ糖およびウロン酸からなるグルコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸)、または、キトサンなどのアミノ基を有する多糖類、または、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、ペクチン等のカルボキシル基を有する多糖類、等であってもよく、これらの塩であってもよい。これらの第1の糖分子116を基材102aの表面に固定する方法は、第1の特異的結合物質114と同様の方法を用いてもよい。具体的な方法については、後述する。
なお、第1の糖分子116は、基材102aの表面に化学結合により固定化できる糖であれば特に限定されず、上述した糖以外の公知の糖を用いてもよい。
第2の糖分子118は、少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置されるとよく、基材102aの表面全体を覆ってもよい。本実施の形態では、図3Bに示すように、第2の糖分子118は、基材102aの表面全体を覆っている。言い換えると、第2の糖分子118は、基材102aの表面に固定された第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116の表面に配置され、さらに、基材102aの表面で第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116が固定されていない部分にも配置される。第2の糖分子118が少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置されることにより、乾燥による第1の特異的結合物質114の劣化がより低減される。また、第2の糖分子118が基材102aの表面全体を覆うことにより、第2の糖分子118が第1の特異的結合物質114の表面だけでなく、第1の糖分子116の表面にも配置されるため、乾燥による第1の特異的結合物質114の劣化がさらに低減される。
第2の糖分子118は、第1の糖分子116のように、化学結合により基材102aの表面に固定されるのではなく、分子間力(ファンデルワールス力)などの弱い力により基材102aの表面に配置される。第2の糖分子118は、第1の糖分子116と同じ種類の糖であってもよく、第1の糖分子116と異なる種類の糖であってもよい。言い換えると、第2の糖分子118は、カルボキシル基またはアミノ基を有する糖分子であってもよく、カルボキシル基およびアミノ基を有しない糖分子であってもよい。それぞれ異なる種類の糖分子である第1の糖分子116および第2の糖分子118を基材102aの表面に配置することにより、基材102aの表面を乾燥から保護する効果が向上される。第2の糖分子118は、単糖であってもよく、二糖類であってもよく、3個~10個の単糖から構成される少糖類(いわゆるオリゴ糖)であってもよく、10個以上の単糖から構成される多糖類(いわゆるグリカン)であってもよく、これらの糖の塩であってもよい。なお、第2の糖分子118がカルボキシル基またはアミノ基を有する糖分子である場合、第1の糖116で上述した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。第2の糖分子118がカルボキシル基およびアミノ基を有しない糖分子である場合、第2の糖分子は、少なくとも以下の具体例の1つであってもよい。例えば、第2の糖分子118が単糖である場合、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アビオース、リブロース、キシルロース等のテトロース(五炭糖)、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、イドース、ガラクトース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等のヘキソース、シマロース(六炭糖)、セドヘプツロース、コリオース等のヘプトース(七炭糖)等が挙げられる。例えば、第2の糖分子118が二糖類である場合、トレハロース、イソトレハロース、コージビオース、ソホロース、ニゲロース、ラミナリビオース、マルトース、セロビオース、イソマルトース、ゲンチビオース、ラクトース、スクロース、メリビオース、パラチノース、アガロビオース、キシロビオース、ラクツロース、ルチノース等が挙げられる。例えば、第2の糖分子118が少糖類(オリゴ糖)である場合、ラフィノース、ゲンチアノース、セロトリオース、マルトトリオース、メレンジトース等の三糖類、スタキオース等の四糖類、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、セロオリゴ糖等のオリゴ糖等が挙げられる。例えば、第2の糖分子118が多糖類である場合、カードラン、シクロデキストリン、ペクチン、デンプン、アガロース、アミロース、アミロペクチン、アラビナン、アラビノガラクタン、アルギン酸、イヌリン、ガラクタン、キシラン、キチン、キトサン、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、コロミン酸、セルロース、デキストラン、ペクチン、ペクチン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、マンナン、リケナン、レバン、レンチナン等、が挙げられる。
図示していないが、本実施の形態に係るセンサ基板10aは、さらに、基材102aの表面の少なくとも一部を覆うブロッキング剤を含んでもよい。ブロッキング剤は、試料中の夾雑物、および、標識物質で標識された第2の特異的結合物質などがセンサ基板10aの表面に非特異的に吸着または結合すること(以下、非特異的吸着)をブロッキングする物質である。夾雑物は、例えば、被検出物質以外のタンパク質、脂質、糖、ペプチド、核酸などである。ブロッキング剤は、例えば、スキムミルク、フィッシュゼラチン、ウシ血清アルブミン(BSA)、界面活性剤、カゼイン、プロタミン、ポリエチレングリコール等であってもよい。ブロッキング剤は、少なくとも、基材102aの表面で第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116が固定されていない領域(つまり、隙間領域)を覆えばよく、基材102aの全面を覆ってもよい。これにより、被検出物質を検出する際に、基材102aの表面における非特異的吸着を低減することができる。そのため、非特異的吸着により生じるノイズ(すなわち、非特異的吸着ノイズ)が低減され、被検出物質を精度良く検出することができる。
また、ブロッキング処理は、上述の非特異的吸着をブロッキングするための処理をいう。これにより、非特異的吸着による被検出物質の検出への影響を低減することができる。ブロッキング処理では、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を基材102aの表面に固定化した後に、ブロッキング剤を基材102aの表面に添加するとよい。より具体的には、ブロッキング剤を溶液状態として、ブロッキング剤溶液をセンサ基板10aの基材102aの表面に(少なくとも第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116が固定された領域の表面に)添加し、当該領域をブロッキング剤溶液で所定の時間被覆した後、余剰のブロッキング剤溶液を除去する。
なお、第2の糖分子118は、ブロッキング剤溶液に混合されて基材102aの表面に添加されてもよく、少なくとも第2の糖分子118を含む糖溶液を調製して基材102aの表面に添加されてもよい。
[センサ基板の製造方法]
図4Aは、本実施の形態に係るセンサ基板10aの製造方法の一例を示すフローチャートである。以下、有機膜の一例として、SAMを用いる場合について説明する。
図4Aに示すように、センサ基板10aの製造方法は、[1]基材102aを準備する工程S10(以下、ステップS10と称する。)と、[2]被検出物質と特異的に結合する第1の特異的結合物質114を基材102aの表面に固定し、かつ、第1の糖分子116を化学結合により基材102aの表面に固定する工程S20(以下、ステップS20と称する。)と、を含む。
図4Bは、本実施の形態に係るセンサ基板10aの製造方法の別の例を示すフローチャートである。
図4Bに示すように、センサ基板10aの製造方法は、[1]基材102aを準備する工程S10と、[2]被検出物質と特異的に結合する第1の特異的結合物質114を基材102aの表面に固定し、かつ、第1の糖分子116を基材102aの表面に配置させる工程S20と、[3]第2の糖分子118を、少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置させる工程S30(以下、ステップS30と称する。)と、を含んでもよい。
以下、センサ基板10aの製造方法をより具体的に説明する。図5~図9は、本実施の形態に係るセンサ基板10aの製造方法の一例を模式的に説明する図である。なお、図5~図9は、センサ基板10aの一部(ここでは、検出領域110aが形成される部分)を示す概略断面図である。
[1]センサ基板10aをプラズモン励起センサとして利用する場合には、ステップS10は、例えば、以下の3つのステップ(S11、S12、S13)を含む。ステップS11は、基板1020を準備する工程である。ステップS12は、基板1020の表面に金属薄膜を形成する工程である。ステップS13は、金属薄膜上に有機膜1022(以下、SAM1022)を形成する工程である。
以下、それぞれのステップについて、より具体的に説明する。なお、ステップS11およびS12については、図示を省略する。
[1-1]ステップS11では、例えば、基板1020の材料が樹脂材料である場合、射出成形により基板1020を形成する。このとき、基板1020の表面は平滑であってもよく、複数の微細凹凸からなるナノ構造を有してもよい。ナノ構造は、平滑な基板1020の表面にナノインプリントにより形成してもよい。
[1-2]続いて、ステップS12では、ステップS11で得られた基板1020の表面に金属薄膜(不図示)を形成する。金属薄膜の材料は、例えば、金、銀、アルミニウム、銅、白金等の金属のうち少なくとも一種類の金属またはそれらの合金を含む金属である。金属薄膜の形成方法は、特に限定されない。金属薄膜は、例えば、電子ビーム加熱真空蒸着法、抵抗加熱真空蒸着法、マグネトロンスパッタ法、プラズマ支援スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によって基板1020の表面に形成される。
[1-3]続いて、ステップS13では、図5に示すように、基板1020の一方の主面(ここでは、ナノ構造および金属薄膜が形成された面)にSAM1022を形成する。SAMの形成方法は、特に限定されず、通常行われている方法を用いるとよい。例えば、金属薄膜がその表面に形成された基板の該薄膜表面にマスク材からなる層を形成された基板を、炭素原子数4~20程度のカルボキシアルカンチオール(例えば、10-カルボキシ-1-デカンチオールなど)を含むエタノール溶液に浸漬する方法などが挙げられる。当該方法では、10-カルボキシ-1-デカンチオール(以下、単分子)のチオール基末端が金属と結合することにより、単分子が金属薄膜の表面に固定化され、それらの固定化された単分子が金属薄膜の表面上で凝集して自己組織化し、SAMを形成する。
以上により、基板1020の表面にSAM1022が配置された基材102aが得られる。
[2]ステップ20は、以下の4つのステップ(S21、S22、S23、S24)を含む。ステップS21は、有機膜1022を構成する高分子が有する反応性官能基を活性化させる工程である。ステップS22は、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を基材102aの表面に添加する工程である。ステップS23は、添加された第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116をSAM1022に化学結合により固定化させる工程である。ステップS24は、SAM1022に固定化されなかった遊離の第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を除去する工程である。
以下、それぞれのステップについて、より具体的に説明する。なお、ステップS21については、図示を省略する。
[2-1]ステップS21は、SAM1022が有する反応性官能基(例えば、カルボキシル基)を、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116が有する反応性官能基(例えば、アミノ基)と反応しやすい形に活性化する工程である。ステップS21では、例えば、SAM1022を構成する単分子(例えば、10-カルボキシ-1-デカンチオール)のカルボキシル基を、水溶性カルボジイミド(WSC)とN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)とにより活性エステル化する。
[2-2]次いで、図6に示すように、ステップS22では、ステップS21で反応性官能基が活性化されたSAM1022上に、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を含む溶液を添加する。
[2-3]そして、図7に示すように、ステップS23では、SAM1022が有する活性エステル化したカルボキシル基と第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116が有するアミノ基とを脱水反応させて、SAM1022上に第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116を固定化させる。このとき、第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116はそれぞれペプチド結合によりSAM1022上に固定される。
[2-4]次いで、図8に示すように、ステップS24では、SAM1022上に固定化されなかった遊離の第1の特異的結合物質114および第1の糖分子116をリン酸緩衝生理食塩液(PBS)などで洗浄して除去する。これにより、第1の特異的結合物質114が基材102aの表面に固定され、かつ、第1の糖分子116が化学結合により基材102aの表面に固定されたセンサ基板10aを得ることができる。
[3]ステップS30では、第2の糖分子118を、少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置させる。ここでは、ブロッキング処理工程において、ブロッキング剤および第2の糖分子118をSAM1022上に添加する。ブロッキング処理工程では、試料中の夾雑物(例えば、被検出物質以外のタンパク質、脂質、糖、ペプチド、核酸など)、および、標識物質で標識された第2の特異的結合物質などがセンサ基板10aの検出領域110aにおいて基材102aの表面と非特異的に吸着または結合することをブロッキングする処理を行う。具体的には、ステップS30では、ブロッキング剤および第2の糖分子118を含む糖含有ブロッキング剤溶液を準備し、糖含有ブロッキング剤溶液をSAM1022上に添加する。なお、ステップ30は、ブロッキング処理工程の後に、第2の糖分子118を含む糖溶液をSAM1022上に添加してもよい。これにより、第2の糖分子118が少なくとも第1の特異的結合物質114の表面に配置されたセンサ基板10aを得ることができる。
[被検出物質の検出方法]
続いて、本実施の形態に係る検出装置100aを用いて被検出物質を検出する方法について図10Aから図11Bを用いて説明する。図10Aおよび図11Aは、本実施の形態における被検出物質222の検出方法の一例を模式的に説明する図である。また、図10Bおよび図11Bは、本実施の形態における被検出物質222の検出方法の別の例を模式的に説明する図である。
図10Aまたは図10Bに示すように、被検出物質222を含み得る試料をセンサ基板10aに添加する。これにより、被検出物質222は、センサ基板10aの基材102a上に固定化された第1の特異的結合物質114と特異的に結合する。
次いで、図11Aまたは11Bに示すように、標識物質226aで標識化された第2の特異的結合物質224をセンサ基板10aに添加する。第2の特異的結合物質224は、被検出物質222と特異的に結合する性質を有する。そのため、センサ基板10aの表面に、第1の特異的結合物質114、被検出物質222、および、標識物質226aで標識化された第2の特異的結合物質224の順に結合されたサンドイッチ構造である複合体が形成される。
次いで、センサ基板10aの表面を緩衝液などで洗浄し、遊離の第2の特異的結合物質224および試料中に含まれる夾雑物などを除去する。
標識物質226aは、例えば、蛍光物質である。この場合、光源30aからセンサ基板10aの検出領域110aに励起光を照射し、蛍光物質が発する蛍光の強度を検出することにより、被検出物質222を検出する。
(実施の形態2)
[検出装置の構成]
図12は、本実施の形態に係る検出装置100bの一例を示す概略構成図である。
図12に示すように、検出装置100bは、センサ基板10aと、導入部20aと、印加部30b(ここでは、第2導入部30b)と、検出部40bと、コントローラ50bと、を備える。本実施の形態では、検出装置100bは、センサデバイス12bを備える。センサデバイス12bは、センサ基板10bを含むセンサセル14bを備える。
以下、検出装置100bの各構成について説明する。なお、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。ここでは、実施の形態1に係る検出装置100aと異なる点についてのみ説明する。
本実施の形態に係る検出装置100bは、被検出物質量を光学的に検出する装置である。本実施の形態では、物質と物質とが化学的に反応して生じる色素または化学発光のシグナルを検出する点で、実施の形態1の検出系と異なる。
第2導入部30bは、印加部30bの一例である。印加部30bは、標識物質で標識された第2の特異的結合物質と試料とが導入されたセンサ基板10aに、標識物質から信号を誘発する誘発因子を印加する。例えば、標識物質は、酵素である。また、誘発因子は、例えば、基質、または、基質と指示薬との混合物である。基質は、酵素で分解されることにより発色する物質であってもよく、発色しない物質であってもよい。基質が酵素で分解されることにより発色しない物質である場合は、誘発因子は、基質と指示薬との混合物であるとよい。指示薬は、例えばpH指示薬、または、基質が分解されて生じる物質(以下、分解産物)と反応して発色物質を生じる指示薬である。
図12に示すように、検出部40bは、例えば、CCDカメラである。本実施の形態では、センサ基板10aの検出領域110a(図2参照)の発色をCCDカメラで観察することにより、視覚的に被検出物質222を検出することができる。
[被検出物質の検出方法]
続いて、本実施の形態に係る検出装置100bにより被検出物質を検出する方法について図13Aから図14Bを用いて説明する。図13Aおよび図14Aは、本実施の形態における被検出物質222の検出方法の一例を模式的に説明する図である。また、図13Bおよび図14Bは、本実施の形態における被検出物質222の検出方法の別の例を模式的に説明する図である。
被検出物質222を含み得る試料をセンサ基板10aに添加する。これにより、被検出物質222は、センサ基板10aの基材102a上に固定化された第1の特異的結合物質114と特異的に結合する。
次いで、図13Aまたは図13Bに示すように、標識物質226bで標識化された第2の特異的結合物質224をセンサ基板10aに添加する。第2の特異的結合物質224は、被検出物質222と特異的に結合する。これにより、センサ基板10aの表面に、第1の特異的結合物質114、被検出物質222、および標識物質226bで標識された第2の特異的結合物質224の順に結合されたサンドイッチ構造である複合体が形成される。
次いで、センサ基板10aの表面を緩衝液などで洗浄し、遊離の第2の特異的結合物質224および試料中に含まれる夾雑物などを除去する。なお、上述した通り、標識物質226bは、酵素である。
次いで、図14Aまたは図14Bに示すように、第2導入部30bからセンサ基板10aに誘発因子36b(ここでは、基質36b)を導入する。センサ基板10aの検出領域110aでは、導入された基質36bが標識物質226bにより分解される。ここでは、基質36bは、酵素により分解されて発色物質362bに変化する。CCDカメラで発色物質362bが発する色を検出することにより、被検出物質222を検出する。
なお、本実施の形態では、基質36bが分解されると発色物質362bに変化する例を説明したが、分解産物によっては、そのままでは発色しない場合がある。発色物質362bである分解産物には、例えば、UVなど所定の波長の光で照射されることによって蛍光を発するもの、さらに、添加される指示薬と反応して発色するものも含まれる。
なお、検出方法は、電気化学測定を用いてもよい。例えば、酵素基質反応で電気化学活性物質を生成する酵素と基質とを選択し、第2の特異的結合物質を酵素で標識し、サンドイッチ構造である複合体を形成した後、基質を添加する。そして、酵素基質反応により生じた電気化学活性物質を検出電極で検出し、電流値から被検出物質量を算出する。ここで、酵素は特に限定されず、ALP(Alkaline Phospatase)、グルコースオキシダーゼを用いてもよく、基質は、各々の酵素に対してpAPP(p-Aminophenyl Phosphate)、フェリシアン化カリウムなどを用いてもよい。酵素基質反応により生成される電気化学活性物質は、例えば、pAP(パラアミノフェノール)、フェロシアン化カリウム、フェロセンまたはフェロセン誘導体である。
以下、実施例にて本開示のセンサ基板を具体的に説明するが、本開示は以下の実施例のみに何ら限定されるものではない。
(実施例1)
以下の方法により、実施例1に係るセンサ基板を作製した。
[1]センサ基板の作製
[1-a]基材を準備する工程
基板として、厚さ188μmのポリオレフィン製の樹脂フィルムを用いた。この樹脂フィルムは、表面にナノインプリントにより形成された複数の微細凹凸構造(以下、ナノ構造)を有する。このナノ構造の表面に、金薄膜をスパッタリング法により形成した。金薄膜の厚さは、300~500nmであった。これにより、表面に金属ナノ構造を有する基板が得られた。
次に、当該金属ナノ構造を有する基板を、ヒドロキシ-EG3-ウンデカンチオールおよびカルボキシ-EG6-ウンデカンチオールを含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の表面に有機膜(ここでは、SAM)を形成した。浸漬後の基板を上記のエタノール溶液から取り出し、エタノールおよび超純水で洗浄した後、エアガンで乾燥させた。これにより、基板の表面にSAMが形成された基材が得られた。
[1-b]第1の特異的結合物質および第1の糖分子を基材の表面に固定する工程
実施例1では、第1の特異的結合物質として、インフルエンザウイルスの核タンパク(NP:Nucleoprotein)を抗原とする第1のVHH抗体を用いた。また、第1の糖分子として、D(+)-グルコサミン塩酸塩(以下、グルコサミンと称する場合がある。)を用いた。
まず、上記工程[1-a]で得られた基板の表面に、100mMのNHS(N-Hydroxysuccinimide)および400mMのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide hydrochloride)を含むMES(2-morpholinoethanesulfonic acid)緩衝生理食塩水を0.5mL滴下し反応させた。これに、10μg/mLの第1のVHH抗体と、1%(w/v)のD(+)-グルコサミン塩酸塩を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液0.5mLと、を添加し反応させた。これにより、SAM上に第1のVHH抗体およびグルコサミンを固定化した。その後、0.05重量%のTween(登録商標)20を含むPBS溶液1mLで洗浄し、遊離の第1のVHH抗体およびグルコサミンを除去した。これにより、第1のVHH抗体およびグルコサミンがSAMを介して基材上に固定されたセンサ基板が得られた。
[1-c]ブロッキング処理工程
上記工程[1-b]で得られたセンサ基板の表面に、牛血清アルブミンを主成分として含むブロッキング剤をPBS溶液で5倍希釈した溶液(AD溶液)1mLを添加し反応させ、非特異的吸着を防止するブロッキング処理を行った。これにより、実施例1に係るセンサ基板が得られた。
(実施例2)
上記工程[1-c]において、10%(w/v)のトレハロース二水和物をAD溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。これにより、実施例2に係るセンサ基板が得られた。
(比較例1)
上記工程[1-b]において、1%(w/v)のD(+)-グルコサミン塩酸塩を添加しないこと以外は、実施例1と同様に行った。これにより、比較例1に係るセンサ基板が得られた。
(比較例2)
上記工程[1-b]において、1%(w/v)のD(+)-グルコサミン塩酸塩の代わりに、10(w/v)%のトレハロース二水和物(以下、トレハロースと称する場合がある。)を添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。これにより、比較例2に係るセンサ基板が得られた。
(比較例3)
上記工程[1-b]において、1%(w/v)のD(+)-グルコサミン塩酸塩を添加しないこと、および、上記工程[1-c]において、10%(w/v)のトレハロース二水和物をAD溶液に添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。これにより、比較例3に係るセンサ基板が得られた。
[2]乾燥工程
上記工程[1]で得られたセンサ基板をそれぞれエアガンで乾燥させた。
[3]保存工程
上記工程[2]で乾燥させたセンサ基板、および、シリカゲルを密閉した容器に入れ、40℃で1週間保存した。
[4]非特異的吸着の評価
実施例1、比較例1および比較例2で得られたセンサ基板について、上記工程[2]で乾燥させた後に、以下の手順に従い、非特異的吸着ノイズを検出し、非特異的吸着の程度(すなわち、非特異的吸着の発生の程度)を評価した。結果を図15に示す。
また、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板について、上記工程[3]で保存された後に、下記の手順に従い、非特異的吸着ノイズを検出し、非特異的吸着の程度を評価した。結果を図16に示す。
[4-a]基板の表面に標識化抗体を非特異的に吸着させる工程
NPを抗原とする第2のVHH抗体を、発光波長800nmの有機蛍光色素で標識化し、標識化抗体を準備した。続いて、0.5μg/mLの標識化抗体を含むPBS溶液0.5mLをセンサ基板の表面に添加し、60分間反応させた。これにより、標識化抗体をセンサ基板の表面に非特異的に吸着させた。次いで、このセンサ基板を、0.05重量%のTween(登録商標)20を含むPBS溶液1mLで3回洗浄し、遊離の標識化抗体を除去した。
[4-b]ノイズの検出工程
上記工程[4-a]により標識化抗体を非特異的に吸着させたセンサ基板に、波長785nmのレーザ光を照射し、センサ基板の表面に非特異的に吸着した標識化抗体の有機蛍光色素を励起させた。そして、励起された有機蛍光色素が発する波長800nmの蛍光の強度(以下、蛍光強度)を測定した。
以下に示す式(1)を用いて、非特異的吸着ノイズを算出した。式(1)において、シグナル強度は、測定した蛍光強度のスペクトルのピーク値であり、ベース強度は、蛍光強度のスペクトルのベースの値である。
非特異的吸着ノイズ = シグナル強度 - ベース強度 ・・・式(1)
[5]サンドイッチAssayの評価
実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板について、上記工程[3]で乾燥させた後に、以下の手順に従い、サンドイッチAssayを行った。結果を図17に示す。
[5-a]被検出物質を第1のVHHと特異的に結合させる工程
被検出物質として、第1のVHH抗体の抗原であるNPを用いた。1nMのNPを含むAD溶液(以下、試料溶液)を調製し、センサ基板の表面に試料溶液0.5mLを添加し、60分間反応させた。これにより、第1のVHH抗体とNPとを結合させた。その後、0.05重量%のTween(登録商標)20を含むPBS溶液1mLで3回洗浄し、遊離のNP、および、ブロッキング剤を除去した。これにより、NPが第1のVHH抗体に捕捉されたセンサ基板が得られた。
[5-b]第1のVHH抗体に捕捉された被検出物質と標識化抗体とを特異的に結合させる工程
上記工程[5-a]によりNPが第1のVHH抗体に捕捉されたセンサ基板の表面に、工程[4-a]で上述した標識化抗体を含むPBS溶液0.5mLを添加し、60分間反応させた。これにより、第1の抗体に捕捉されたNPと標識化抗体とが結合し、NPを第1の抗体と標識化抗体とで挟んだサンドイッチ構造(第1の抗体/NP/標識化抗体)を有する複合体が形成された。次いで、このセンサ基板を0.05重量%のTween(登録商標)20を含むPBS溶液1mLで3回洗浄し、遊離の標識化抗体を除去した。
[5-c]シグナルの検出工程
上記工程[5-b]により複合体が形成されたセンサ基板に、波長785nmのレーザ光を照射し、標識化抗体の有機蛍光色素を励起させた。そして、励起された有機蛍光色素が発する波長800nmの蛍光の強度(以下、蛍光強度)を測定した。以下に示す式(2)を用いて、標識化抗体の蛍光強度を算出した。式(2)において、シグナル強度は、測定した蛍光強度のスペクトルのピーク値であり、ベース強度は、蛍光強度のスペクトルのベースの値である。
標識化抗体の蛍光強度 = シグナル強度 - ベース強度 ・・・式(2)
(結果)
実施例1~2および比較例1~3に記載の方法により、以下の4種類のセンサ基板を得た。
1)実施例1のセンサ基板は、基材の表面に糖(ここでは、グルコサミン)が化学結合により固定されているセンサ基板である。
2)実施例2のセンサ基板は、基材の表面に糖(ここでは、グルコサミン)が化学結合により固定され、ブロッキング処理工程において糖(ここでは、トレハロース)を添加して作製したセンサ基板である。
3)比較例1のセンサ基板は、第1のVHH抗体とともに糖を添加せずに作製したセンサ基板である。
4)比較例2のセンサ基板は、第1のVHH抗体とともに、基材の表面に化学結合により結合されない種類の糖(ここでは、トレハロース)を添加して作製したセンサ基板である。
5)比較例3のセンサ基板は、第1の抗体とともに糖を添加せず、ブロッキング処理工程において糖(ここでは、トレハロース)を添加して作製したセンサ基板である。
実施例1、実施例2および比較例1~3のセンサ基板のそれぞれについて、検出された非特異的吸着ノイズの大きさから非特異的吸着の程度を評価した結果、以下のことが分かった。センサ基板のSAMのカルボキシル基末端に糖が化学結合により固定されていると、センサ基板が乾燥しやすい環境に置かれても、非特異的吸着を低減することができる。これは、糖がSAMに固定されることにより、SAMの乾燥による第1のVHH抗体の劣化を低減することができるだけでなく、SAMにおける非特異的吸着を低減することができるためである。
以下、[a]乾燥工程を実施した場合のセンサ基板の非特異的吸着の評価、および、[b]乾燥工程および保存工程を実施した場合のセンサ基板の非特異的吸着の評価について説明する。
[a]乾燥工程を実施した場合のセンサ基板の非特異的吸着の評価
図15は、実施例1、比較例1および比較例2で得られたセンサ基板を、上記[2]の乾燥工程に供した後の、非特異的吸着ノイズの検出結果を示す図である。なお、図15に示す破線は、比較例1で得られたセンサ基板について、上記[2]の乾燥工程を実施しない場合の特異吸着ノイズの大きさを表している。
まず、基材の表面に糖が配置されていない比較例1のセンサ基板について、乾燥工程を実施した場合の非特異的吸着ノイズの変化について説明する。
図15に示すように、比較例1のセンサ基板について、乾燥工程を実施した場合(図15の比較例1)と乾燥工程を実施しなかった場合(破線で示す「乾燥工程なし」)とを比較すると、比較例1の非特異的吸着ノイズは、乾燥工程なしの非特異的吸着ノイズの約3倍であった。これは、乾燥により第1の抗体が劣化し、劣化した部位に蛍光物質で標識した第2の抗体(以下、標識化抗体)が非特異的に吸着したためであると考えられる。
続いて、第1の抗体と第1の糖分子とを添加してセンサ基板を作製した場合について、実施例1のセンサ基板と比較例2のセンサ基板とを比較する。実施例1のセンサ基板も比較例2のセンサ基板もともに基材の表面に糖分子が配置されているが、以下の点で異なる。実施例1のセンサ基板は、基材の表面に糖分子が化学結合により固定されており、比較例2のセンサ基板は、基材の表面に糖分子は化学結合されず配置されている。
図15に示すように、比較例2の非特異的吸着ノイズは、実施例1の非特異的吸着ノイズの約9倍であった。比較例2で使用された糖分子は、トレハロースであり、複数のヒドロキシ基を有し、保湿効果が高い。しかしながら、ヒドロキシ基は、基材の表面、つまり、基板上に配置されたSAMのカルボキシル基と化学結合を形成しないため、糖分子(トレハロース)は基材の表面に化学結合により固定されない。そのため、上記[1-c]のブロッキング処理工程で、センサ基板の表面にAD溶液を添加すると、トレハロースがセンサ基板の表面から洗い流される。これにより、比較例2のセンサ基板は、糖分子による保湿効果を十分に得ることができなくなり、乾燥による第1の抗体の劣化を低減できなかったと考えられる。
なお、比較例2のセンサ基板の非特異的吸着ノイズが、糖分子を添加せずに作製された比較例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズよりも小さい理由については、以下のように考えられる。比較例2のセンサ基板では、トレハロースがAD溶液によって完全に洗い流されずに、少量のトレハロースが残存したと考えられる。その結果、僅かな保湿効果が得られ、第1の抗体の劣化が僅かに低減されたと考えられる。
一方、実施例1で使用された糖分子は、グルコサミンであり、複数のヒドロキシ基と1つのアミノ基を有する。グルコサミンもトレハロースと同様、複数のヒドロキシ基を有するため、保湿効果が高い。しかしながら、グルコサミンは、トレハロースと異なり、分子内にアミノ基を有するため、基板上に配置されたSAMのカルボキシル基と化学結合を形成する。そのため、グルコサミンは基材の表面に化学結合により固定される。したがって、上記[1-c]のブロッキング処理工程で、センサ基板の表面にAD溶液を添加しても、グルコサミンがセンサ基板の表面から洗い流されることなく、センサ基板の表面に留まる。そのため、実施例1のセンサ基板は、糖分子による保湿効果を十分に得ることができ、乾燥による第1の抗体の劣化を低減することができたと考えられる。
続いて、実施例1のセンサ基板と、破線で示す「乾燥工程なし」のセンサ基板とを比較すると、実施例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、「乾燥工程なし」のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約1/3であった。これは、実施例1のセンサ基板は、乾燥により第1の抗体が劣化することを低減することができるだけでなく、SAMと標識化抗体との非特異的吸着を低減することができるため、非特異的吸着ノイズがさらに低減されたと考えられる。理由は以下のとおりである。
実施例1のセンサ基板は、SAMのカルボキシル基とグルコサミンのアミノ基とが化学結合を形成するため、SAMの表面において第1の抗体が固定されていない隙間部分にグルコサミンが固定される。そのため、標識化抗体がSAMの表面に非特異的に吸着しにくくなる。さらに、実施例1のセンサ基板は、SAMの表面にグルコサミンが化学結合により固定されることにより、第1の抗体を乾燥から保護する。そのため、実施例1のセンサ基板は、乾燥工程を実施しても、乾燥による第1の抗体の劣化を低減することができる。
一方、「乾燥工程なし」のセンサ基板では、SAMの表面のカルボキシル基はフリーの状態で存在するため、標識化抗体がSAMの表面に非特異的に吸着しやすくなる。なお、「乾燥工程なし」のセンサ基板では、乾燥工程を実施していないため、基材の表面はAD溶液で被覆されている。そのため、乾燥による第1の抗体の劣化については、考慮しない。
以上より、基材の表面に糖分子が化学結合により固定されることにより、センサ基板が洗浄されても、基材の表面から糖分子が洗い流されず、糖分子の保湿効果を十分に維持することができることが分かった。これにより、糖分子が基材の表面に保持され、乾燥による第1の抗体の劣化をより低減することができた。さらに、基材の表面に第1の抗体が固定されていない隙間部分に糖分子が固定されているため、第1の抗体の劣化部分における非特異的吸着だけでなく、隙間部分における非特異的吸着も低減することができることが分かった。
[b]乾燥工程および保存工程を実施した場合のセンサ基板の非特異的吸着の評価 図16は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3のセンサ基板を、上記[2]の乾燥工程および上記[3]の保存工程に供した後の、非特異的吸着ノイズの検出結果を示す図である。なお、図16に示す破線は、比較例1で得られたセンサ基板について、上記[2]の乾燥工程および上記[3]の保存工程を実施しない場合の非特異的吸着ノイズを示している。
実施例1、実施例2、比較例1および比較例3のセンサ基板のそれぞれについて、検出された非特異的吸着ノイズの大きさから非特異吸着の程度を評価した結果、以下のことが分かった。センサ基板のSAMに糖分子が化学結合により固定され、かつ、少なくとも第1のVHH抗体の表面に糖分子が配置されると、センサ基板が乾燥しやすい環境に置かれても、非特異的吸着を低減することができる。これは、糖分子がSAMに固定されることにより、乾燥による第1のVHH抗体の劣化を低減することができるだけでなく、SAMにおける非特異的吸着を低減することができるためである。また、糖分子が少なくとも第1のVHH抗体の表面に配置されることにより、乾燥による第1のVHHの劣化をより低減することができるためである。
以下、図16に示す結果に基づいて、より詳細に説明する。
図16は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板を、上記[2]乾燥工程および上記[3]保存工程に供した後の、非特異的吸着ノイズの検出結果を示す図である。なお、図16に示す破線は、比較例1で得られたセンサ基板について、上記[2]乾燥工程および上記[3]保存工程を実施しない場合の非特異的吸着ノイズを示している。
まず、第1の糖分子および第2の糖分子を添加せずに作製された比較例1のセンサ基板について、乾燥工程および保存工程を実施した場合の非特異的吸着ノイズの変化について説明する。
図16に示すように、比較例1のセンサ基板について、乾燥工程および保存工程を実施した場合(図16の比較例1)と、乾燥工程および保存工程を実施しなかった場合(図16の破線で示す「乾燥・保存工程なし」)と、を比較すると、比較例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約5倍であった。これは、比較例1のセンサ基板が乾燥工程および保存工程により乾燥されることによって、第1のVHH抗体(以下、第1の抗体)が劣化し、劣化した部位に標識化抗体が非特異的に吸着したためであると考えられる。
続いて、第1の糖分子および第2の糖分子の少なくとも1つ(以下、単に、「糖分子」と称する)を添加して作製された実施例1、実施例2および比較例3のセンサ基板と、第1の糖分子および第2の糖分子を添加せずに作製された比較例1を比較し、糖分子の存在の有無による非特異的吸着ノイズの変化について説明する。
図16に示すように、実施例1、実施例2および比較例3のセンサ基板は、比較例1のセンサ基板よりも非特異的吸着ノイズが小さかった。したがって、センサ基板の表面に糖分子が存在すると、非特異的吸着が低減されることが分かった。これにより、糖分子を添加して作製されたセンサ基板は、センサ基板が乾燥された場合でも、糖分子が有するヒドロキシ基(OH基)が水分子の代わりに作用するため、乾燥による第1の抗体の劣化が低減されると考えられる。
比較例3のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、比較例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約2/3であった。比較例3のセンサ基板は、第2の糖分子に(トレハロース)が少なくとも第1の抗体の表面に配置されるように基材の表面に存在する。トレハロースは、SAMのカルボキシル基末端と化学結合を形成する官能基を有しないが、複数のヒドロキシ基を有するため水分子の代わりに作用する。そのため、トレハロースが第1の抗体の表面に配置されることにより、乾燥による第1の抗体の劣化が低減されたと考えられる。
実施例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、比較例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約1/3であった。実施例1のセンサ基板は、第1の糖分子(グルコサミン)が基材の表面、より具体的には、基材の表面で第1の抗体が固定されていない隙間部分に化学結合により固定されている。グルコサミンは、アミノ基を有するアミノ糖であるため、SAMのカルボキシル基末端と共有結合を形成する。このように、第1の糖分子が基材の表面に化学結合により固定されることにより、乾燥による第1の抗体の劣化が低減されただけでなく、基材の表面の隙間部分において生じ得る非特異的結合も低減されと考えられる。
実施例2のセンサ基板の非特異的ノイズは、比較例1のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約1/10であった。実施例2のセンサ基板は、第1の糖分子(グルコサミン)が基材の表面に化学結合により固定され、かつ、第2の糖分子(トレハロース)が少なくとも第1の抗体の表面に配置されている。実施例2のように、基材の表面に固定される第1の糖分子、および、少なくとも第1の抗体の表面に配置される第2の糖分子の両方を添加してセンサ基板を作製することにより、第1の糖分子が第1の抗体のSAM側(以下、下側)の部分を保護し、第2の糖分子が第1の抗体のNPを捕捉する側(以下、上側)の部分も保護することができたと考えられる。そのため、第1の糖分子および第2の糖分子のいずれか一方を添加した場合よりも、乾燥から第1の抗体を保護する効果が向上され、乾燥による第1の抗体の劣化がより低減されたと考えられる。
また、実施例1、実施例2および比較例3のセンサ基板と、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板と、を比較する。実施例1および比較例3のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板の非特異的吸着ノイズよりも大きかった。一方、実施例2のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板の非特異的吸着ノイズよりも小さかった。「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板は、糖分子を添加せずに作製された比較例1のセンサ基板を、乾燥工程および保存工程に供しなかったセンサ基板である。「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板は、SAMの表面のカルボキシル基がフリーの状態で存在するため、AD溶液に含まれるブロッキング剤により標識化抗体がSAMの表面に非特異的に吸着することをブロッキングしている。実施例2のセンサ基板の非特異的吸着ノイズは、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板の非特異的吸着ノイズの約1/2であった。したがって、乾燥による第1の抗体の劣化を低減する効果に加えて、SAMのフリーのカルボキシル基末端を第1の糖分子と化学結合させることによりSAMの表面における非特異的吸着を低減する効果も合わさって、非特異的吸着ノイズがさらに低減されたと考えられる。
以下、保存工程後のセンサ基板を用いて、[5]サンドイッチAssayの評価について説明する。
実施例1、実施例2、比較例1および比較例3のセンサ基板のそれぞれについて、サンドイッチAssayを行った結果、以下のことが分かった。
センサ基板のSAMに糖が化学結合により固定され、かつ、少なくとも第1の抗体の表面に糖が配置されると、センサ基板が乾燥しやすい環境に置かれても、非特異的吸着を低減させることができる。これは、糖がSAMに固定されることにより、乾燥による第1の抗体の劣化を低減させることができるだけでなく、SAMにおける非特異的吸着を低減させることができるためである。また、糖分子が少なくとも第1の抗体の表面に配置されることにより、乾燥による第1の抗体の劣化をより低減させることができるためである。
以下、図17に示す結果に基づいて、より詳細に説明する。
図17は、実施例1、実施例2、比較例1および比較例3で得られたセンサ基板を上記[2]の乾燥工程および上記[3]の保存工程に供した後の、サンドイッチAssayの結果を示す図である。なお、図17に示す破線は、比較例1で得られたセンサ基板について、上記[2]の乾燥工程および上記[3]の保存工程を実施しない場合の、サンドイッチAssayの結果を示している。
まず、糖分子を添加せずに作製された比較例1のセンサ基板について、乾燥工程および保存工程を実施した場合のサンドイッチAssayの結果について説明する。
図17に示すように、比較例1のセンサ基板について、乾燥工程および保存工程を実施した場合(図17の比較例1)と、乾燥工程および保存工程を実施しなかった場合(図17の破線で示す「乾燥・保存工程なし」)と、を比較すると、比較例1のセンサ基板で検出された蛍光強度は、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板で検出された蛍光強度の約1/5であった。これは、比較例1のセンサ基板が乾燥工程および保存工程により乾燥されることにより、第1の抗体、特に、第1の抗体の抗原との結合部位が劣化し、抗原の捕捉能が低下したためであると考えられる。
続いて、糖分子を添加して作製された実施例1、実施例2および比較例3を比較すると、これらの3つのセンサ基板のうち、実施例2および比較例3のセンサ基板で検出された蛍光強度は、「乾燥・保存工程なし」のセンサ基板で検出された蛍光強度と同等であった。一方、実施例1のセンサ基板で検出された蛍光強度は、実施例2および比較例3のセンサ基板で検出された蛍光強度の約1/22であった。実施例1および実施例2のセンサ基板は、第2の糖分子が少なくとも第1の抗体の表面に配置されている。一方、実施例1のセンサ基板は、第1の抗体の表面に第2の糖分子が配置されていない。実施例1のセンサ基板では、基材の表面に第1の糖分子が化学結合により固定されている。したがって、少なくとも第1の抗体の表面に第2の糖分子が配置されることにより、乾燥による第1の抗体の劣化、特に、第1の抗体がNPと結合する結合部位(以下、NP結合部位)の劣化を低減させることができることが分かった。
続いて、実施例1のセンサ基板と比較例1センサ基板とを比較すると、比較例1のセンサ基板で検出された蛍光強度が実施例1のセンサ基板で検出された蛍光強度よりも大きかった。比較例1のセンサ基板は、糖分子を添加せずに作製されており、基材の表面に糖が固定されていない。一方、実施例1のセンサ基板は、基材の表面に第1の糖分子が化学結合により固定されている。実施例1のセンサ基板は、基材の表面に第1の糖分子が固定されているため、基材表面における非特異的吸着が低減されると考えられる。また、実施例1のセンサ基板では、第1の糖分子が第1の抗体の基材表面に近い部分を乾燥から保護するため、乾燥による当該部分の劣化が低減されると考えられる。したがって、比較例1のセンサ基板で検出された蛍光強度は、上述の非特異的吸着により、標識化抗体がNP以外と結合して検出された蛍光強度(非特異的吸着ノイズ)を含むと考えられる。
続いて、実施例2のセンサ基板および比較例3のセンサ基板の蛍光強度の差について考える。実施例2のセンサ基板は、第1の糖分子が化学結合により基材の表面に固定されている点で、比較例3のセンサ基板と異なる。比較例3のセンサ基板で検出された蛍光強度は、上述した非特異的吸着ノイズを含むため、実施例2のセンサ基板で検出された蛍光強度よりも大きいと考えられる。
以上より、実施例2のセンサ基板は、センサ基板が乾燥されやすい環境に置かれても、第1の糖分子が基材の表面に化学結合により固定され、第2の糖分子が少なくとも第1の抗体の表面に配置されているため、乾燥による第1の抗体の劣化が低減されることにより、第1の抗体の劣化部分における非特異的吸着が低減され、かつ、基材の表面における非特異的吸着が低減されることが分かった。また、乾燥による第1の抗体の結合部位の劣化が低減されるため、第1の抗体が被検出物質と結合する性能(つまり、第1の抗体の活性)の低下が低減されることが分かった。これにより、実施例2のセンサ基板は、上記構成を有することにより、保存安定性が向上されることが示された。
以上、本開示に係るセンサ基板、センサ基板の製造方法および検出装置について、実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態および実施例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態および実施例に施したものや、実施の形態および実施例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
なお、本開示に係るセンサ基板、センサ基板の製造方法および検出装置は、例えば空気中に浮遊するウイルスを検出する検出システムに利用されてもよい。以下、他の実施の形態として、検出システムについて説明する。
(他の実施の形態)
[検出システムの概要]
図18は、本開示における検出システム700の構成の一例を示す概略構成図である。検出システム700は、例えば、人が出入りする部屋に設置されている。図18に示すように、検出システム700は、捕集装置600と、検出装置100aと、コントローラ500と、を備える。以下に、捕集装置600およびコントローラ500の詳細について説明する。なお、検出装置100aについては、実施の形態1にて上述したため、ここでの説明を省略する。
[捕集装置の構成]
捕集装置600は、空気中のウイルスを含み得る微粒子を捕集して捕集液に混合する。図16に示すように、捕集装置600は、吸引器602と、捕集液タンク604と、ポンプ606と、サイクロン608と、空気吸入口610と、洗浄液タンク612と、ポンプ614と、廃液タンク620と、液体流路622と、を備える。以下に、捕集装置600の各構成要素について説明する。
吸引器602は、空気吸入口610から周辺の雰囲気空気を吸入する。周辺の雰囲気空気中を浮遊するウイルスを含み得る微粒子は、空気とともに空気吸入口610よりサイクロン608に吸入される。
ポンプ606は、捕集液タンク604内の捕集液をサイクロン608に供給する。
サイクロン608は、空気吸入口610および捕集液タンク604に接続されており、吸引器602により空気吸入口610から吸入された空気中のウイルスを含み得る微粒子と、ポンプ606により捕集液タンク604から供給された捕集液とを混合する。サイクロン608は、液体流路622を介して検出装置100aに接続されている。微粒子が混合された捕集液(以下、試料という)は、サイクロン608から液体流路622を介して検出装置100aに排出される。
洗浄液タンク612は、サイクロン608および液体流路622を洗浄するための洗浄液を保持するための容器である。洗浄液タンク612は、サイクロン608に接続されており、洗浄液タンク612内の洗浄液は、ポンプ614によってサイクロン608に供給される。
廃液タンク620は、不要な液体を貯蔵するための容器である。
液体流路622は、サイクロン608から出力された試料を、検出装置100aに導くための経路である。
[コントローラの構成]
図18に示すように、コントローラ500は、検出システム700全体の動作を制御する。なお、実施の形態1に係る検出装置100aでは、コントローラ50aは、検出装置100aの各部の動作を制御していたが、本実施の形態では、コントローラ500は、検出システム700全体の動作を制御する点で異なる。具体的には、コントローラ500は、捕集装置600および検出装置100aを制御する。
より具体的には、コントローラ500は、測定の開始を制御して、吸引器602に周辺の空気の吸引を開始させ、かつ、ポンプ606に、捕集液タンク604からサイクロン608に捕集液を供給させる。これにより、サイクロン608において、捕集液と微粒子とが混合され、試料がサイクロン608から検出装置100aに供給される。さらには、コントローラ500は、光源30aに光を照射させ、検出部40aに表面増強蛍光を検知させる。
例えば、コントローラ500は、入力パラメーターに基づいて、予め設定された条件で、各ポンプを制御して所定体積のサンプル液体22を検出装置100aに供給することができる。さらに、コントローラ500に計時機能を有しており、各動作に要した時間の情報を生成し記憶してもよい。また、コントローラ500は、検出装置100aから計測値を受信して、計測値と時間の情報とに基づいて、空気中を浮遊するウイルスの濃度の経時的変化を算出してもよい。
なお、コントローラ500は、例えば、1以上の専用の電子回路によって実現される。1以上の専用の電子回路は、1個のチップ上に集積されてもよいし、複数のチップ上に個別に形成されてもよい。また、コントローラ500は、1以上の専用の電子回路の代わりに、汎用のプロセッサ(図示せず)と、ソフトウェアプログラムまたはインストラクションが格納されたメモリ(図示せず)とによって実現されてもよい。この場合、ソフトウェアプログラムまたはインストラクションが実行されたとき、プロセッサは、コントローラ500として機能する。
本開示に係るセンサ基板は、高い保存安定性を有し、研究用、医療用および環境測定用のバイオセンサ等として有用である。また、本開示に係るセンサ基板および当該センサ基板を用いた検出装置は、非競合法(サンドイッチイムノアッセイ法)だけでなく、競合法、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法にも適用可能である。
10a、10b センサ基板
12a、12b センサデバイス
14a、14b センサセル
20a 導入部
22 サンプル液体
30a 印加部(光源)
30b 印加部(第2導入部)
32 レンズ
34 ビームスプリッタ
36a 誘発因子(励起光)
36b 誘発因子(基質)
40a、40b 検出部
50a、50b コントローラ
100a、100b 検出装置
102a 基材
110a 検出領域
114 第1の特異的結合物質
116 第1の糖分子
118 第2の糖分子
141a 流路
142a 供給孔
143a 排出孔
144a 蓋部
222 被検出物質
224 第2の特異的結合物質
226a、226b 標識物質
362b 発色物質
500 コントローラ
600 捕集装置
602 吸引器
604 捕集液タンク
606 ポンプ
608 サイクロン
610 空気吸入口
612 洗浄液タンク
614 ポンプ
620 廃液タンク
622 液体流路
700 検出システム
1020 基板
1022 有機膜

Claims (8)

  1. 基材と、
    被検出物質と特異的に結合する性質を有し、前記基材の表面に固定された第1の特異的結合物質と、
    第1の糖分子と、
    第2の糖分子と、
    を含み、
    前記第1の糖分子は、前記基材の表面に化学結合により固定され、
    前記第2の糖分子は、少なくとも前記第1の特異的結合物質の表面に分子間力により固定されている、
    センサ基板。
  2. 前記基材は、基板と、前記基板上に配置された有機膜と、を含み、
    前記第1の特異的結合物質は、前記有機膜への結合を介して前記基材の表面に固定されており、
    前記第1の糖分子は、前記有機膜に前記化学結合により固定されている、
    請求項1に記載のセンサ基板。
  3. 前記有機膜は、自己組織化単分子膜である、
    請求項2に記載のセンサ基板。
  4. 前記化学結合は、アミド結合である、
    請求項1から請求項2に記載のセンサ基板。
  5. さらに、前記基材の表面の少なくとも一部を覆うブロッキング剤を含む、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ基板。
  6. 前記第2の糖分子は、前記第1の糖分子とは異なる化学構造を有する、
    請求項に記載のセンサ基板。
  7. 基材を準備する工程と、
    被検出物質と特異的に結合する第1の特異的結合物質を前記基材の表面に固定し、かつ、第1の糖分子を化学結合により前記基材の表面に固定する工程と、
    第2の糖分子を、少なくとも前記第1の特異的結合物質の表面に分子間力により固定する工程と、
    を含む、
    センサ基板の製造方法。
  8. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のセンサ基板と、
    前記被検出物質と特異的に結合する性質を有し、標識物質で標識された第2の特異的結合物質と、前記被検出物質を含む試料とを、前記センサ基板に導入する導入部と、
    前記第2の特異的結合物質および前記試料が導入された前記センサ基板に、前記標識物質から信号を誘発する誘発因子を印加する印加部と、
    前記標識物質から発せられた前記信号に基づき、前記被検出物質を検出する検出部と、
    を備える、
    検出装置。
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