JPWO2015170587A1 - 被覆成型チョコレート類の製造方法 - Google Patents

被覆成型チョコレート類の製造方法 Download PDF

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Abstract

シェラックなどの被膜剤をコーティングした成型チョコレート類を、相互付着の発生を防止して安定的・効率的に製造することを課題とする。成型チョコレート類の表面にまず可食性粉末をまぶし、次いでシェラックなどの被膜剤をコーティングすることで、相互付着が特に発生しやすい、平面を有する形状の成型チョコレート類であっても、不良品の発生率が著しく低下した被覆成型チョコレート類が得られる。さらに可食性粉末としては粒度100〜300μmの、糖類を主成分とする粉末を選択することで生産効率を大幅に向上させることが可能である。

Description

本発明は、シェラックなどの被膜剤をコーティングした成型チョコレートの製造方法に関する。
チップチョコレートなどの成型チョコレート類は各種パン・菓子類に広く用いられているが、特に小粒の場合は表面積が大きいため温度や湿度の影響を受けやすく、変形やシュガーブルームなどの問題が発生しやすい。成型チョコレート類に耐久性を付与する目的においては、特定濃度のシェラックエタノール溶液に浸漬し表面を被覆する方法が知られている(特許文献1)。ここで、被覆方法としてはレボルビングパンなどの回転釜による製造が効率的であるが、この場合は個々の成型チョコレート類が、表面のシェラックが完全に固化・乾燥していない状態で釜の内部で自由回転するため、2個、あるいはそれ以上が相互付着する「ふたご」や「アベック」とも称される問題が発生し不良品となる。特にチップ(円錐)など平面を有する形状の場合、平面同士は曲面よりも接触しやすいため、問題の発生が顕著である。これに関してはチップチョコの底面に凹凸を設ける方法が提案されているが(特許文献2)、直方体や立方体など、主にカット成型により製造されるチョコレート類においては切断面がすべて基本的に平面となるため、この手段には限界がある。よって、形状や成型方法に関わらず相互付着が発生しないように、シェラックなどの被膜剤をコーティングした成型チョコレート類を製造する方法の提供が求められていた。
本出願人は先に、成型チョコレート類の表面に先ず可食性粉末をまぶすことで上記課題が解決可能であることを見出しているが(特許文献3)、シェラックを少量ずつ滴下し被覆する方法は煩雑かつ時間を要するため、生産効率の向上に関しては検討の余地が残されていた。
特開平6-133692号公報 特開2009-291142号公報 特願2012-269913号公報
本発明の目的は、シェラックなどの被膜剤をコーティングした成型チョコレート類を、安定的かつ効率的に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、まず、成型チョコレート類の表面に可食性粉末、特に粒度100〜300μmの、糖類を主成分とする粉末をまぶしてから被膜剤をコーティングすることで、不良品の発生率を著しく低下させながらも被覆工程を大幅に効率化可能であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、シェラックなどの被膜剤をコーティングした成型チョコレート類を安定的かつ効率的に製造することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(チョコレート類)
本発明におけるチョコレート類とは、油脂が連続相を為すもので、チョコレートやチョコレート様食品が挙げられる。チョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(昭和46年3月29日、公正取引委員会告示第16号)による「チョコレート生地」及び「準チョコレート生地」を含むものであって、カカオ豆から調製したカカオマス、ココアバター、ココアパウダー及び糖類を原料とし、必要により他の食用油脂、乳製品、香料等を加え、通常のチョコレート製造の工程を経たものをいう。チョコレート様食品とは、物性改良や製造コストの節約等の目的にて、ココアバターの一部または全部に代えて他の油脂(CBEと称される1,3位飽和、2位不飽和のトリグリセリド型油脂に富むものと、CBRと称されるラウリン系タイプ、高エライジン酸タイプ及び低トランス非ラウリンタイプのハードバター、さらには菓子類、パン類、冷菓類のコーティング用には用途に合わせて高融点〜低融点の各種油脂や液状油の混合油)を使用したものが挙げられる。
本発明の成型チョコレート類とは、上記チョコレート類を任意の形状に成型したものを指す。成型の手段としては、チョコレート溶液を平板上に滴下する(デポジット成型)、所定形状の型へ流し込む、平板上に流し固化前に所定形状にカットする、などの方法が例示される。形状は特に限定するものではないが、本発明の開示する製造方法は、被覆工程での付着問題がより発生しやすい、少なくとも1面が平面である形状のもの、具体的にはチップ状(円錐)、ペレット状、直方体、立方体、円柱などに例示される成型チョコレート類において特に有用である。
本発明においては、粉末チョコレート類、粉糖、粉末セルロース、ココアパウダーなどに例示される可食性粉末を、予め成型チョコレート類と混合して表面にまぶしつける。まぶす方法は特に限定するものではなく、予め容器内で成型チョコレートと混合したものを回転釜に投入する、回転釜内で順次添加するなどの方法が例示される。可食性粉末の添加、混合量は成型チョコレート類の形状や表面積などの諸条件により適宜調整することができるが、一例として、底面直径及び高さが各々約4mmである円錐形状のチップチョコの場合、チョコレート重量に対して約0.05%〜2%程度が目安である。
ここで可食性粉末として、粒度(最大粒度)が好ましくは100〜300μm、より好ましくは100〜250μm、最も好ましくは120〜250μmの、特に主成分が糖類である粉末を選択することで、被膜剤の1回あたりの投入量を増やしても最終製品における相互付着の発生を効果的に抑制できるため、生産の大幅な効率化を図ることができる。ただしあまりに多量の被膜剤を一度に投入すると却って乾燥工程に多くの時間を要する場合があるため、被膜剤の投入量(回数)は工程における全体のバランスをみながら適宜設定することが望ましい。
糖類としては、砂糖(ショ糖)の結晶をすりつぶして微粉状とした粉糖(粉砂糖)の他、乳糖、ぶどう糖、果糖などの結晶を同様に微粉状としたもの等、粉末の糖類であればいずれも用いることができる。これらは篩掛け等により特定粒度に調整されたものを適宜使用することができる。また、糖類は1種類でも、複数種類以上の混合物であってもよい。なお、「主成分が糖類である」とは、可食性粉末の約70重量%以上、好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上が糖類であることを意味し、糖類の他にはデキストリンやコーンスターチなどの可食性粉末が本発明の効果を妨げない範囲で含まれていても差し支えない。
続いて食用のワックス類、シェラック類から選ばれる1種類以上の被膜剤を用いて表面を被覆することで、被覆成型チョコレート類が得られる。被膜剤の量は成型チョコレート類の形状や表面積の大小、所望の耐久性や被膜剤の物性等により適宜調整することができる。例えば底面直径及び高さが各々約4mmである円錐形状のチップチョコにシェラック68%エタノール製剤を用いる場合、チョコレート重量に対して約0.5〜3%の使用が例示できる。
被覆の方法や手段は特に限定するものではないが、製造効率の面から、レボルビングパンなどの回転釜を用いることが好ましい。回転釜でのコーティング方法は常法に従えばよく、例えば、釜を10〜30rpm程度で回転させながら成型チョコレート類、次いで可食性粉末を投入、その後に被膜剤を投入する方法が例示される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、本文中%および部は特に断りのない限り重量基準を意味する。
[実施例1]
カカオマス24部、ココア7部、砂糖62部、ココアバター7部、レシチン0.3部の配合にて、常法によりロール掛けを行い粒度約20μmの粉末チョコレート類を調製した。別途、レボルビングパンの内釜を表面温度26℃に設定し、24rpmで回転させながら、市販チップチョコレート(製品名:チップチョコスイート045、不二製油(株)製、底面直径×高さ:約4×4mmの円錐形状、重量約0.045g/個)100部を投入した。この中に冒頭の粉末チョコレート類を0.75部投入し、チップチョコの表面にまぶしつけた。次いでこれを別の釜に移し、被膜剤としてシェラック(商品名:FSP.NO.332、興洋化学(株)製、68%エタノール溶液)1.5部を少量ずつ投入しながら回転させ、さらに木べらで1分間混合し、冷風を当てて乾かし、被覆成型チョコレートを得た。最終的に2つ以上が接着しているものを不良品とし計測したところ、その重量比は約0.1%であった。良品の外観を目視で評価したところ表面は均一にシェラックで被覆され、かつ粉末チョコレートは成型チョコレートと完全に馴染んで違和感を与えることもなく良好であった。
[比較例1]
粉末チョコレートの混合操作を行わず、それ以外は実施例1と同様に被覆成型チョコレートを製造した。不良品は約60%であった。
(表1)
Figure 2015170587
<生産効率化の予備実験>
生産の効率化を目的とし、被膜剤を少量ずつ滴下する工程に代えて一度に全量投入する予備実験を行い、相互付着防止効果の高い可食性粉末のスクリーニングを行った。
(実験例1)
実施例1の工程中、被膜剤の全量を1度に投入して被覆成型チョコレートを製造した。不良品率は51.9%であった。
(実験例2)
実験例1の粉末チョコレートに代えて、市販ココアパウダー(粒度約60μm)を用いて同様に試作したところ、不良品率は55.2%であった。
(実験例3)
実験例1の粉末チョコレートに代えて、市販の粉糖(粒度約200μm)を用いて同様に試作したところ、不良品率は2.6%であった。よって、被膜剤の投入回数を減らせる可能性が最も高いと判断した。
(実験例4)
粒度約400μmの粉糖を用いたところ、成型チョコの表面にまぶしつける段階で付着せず落下し容器の底に残る量が実験例1〜3よりもやや多く観察された。
(表2)被膜剤の全量投入による予備実験結果
Figure 2015170587
[実施例2]
レボルビングパンの内釜を表面温度26℃に設定し、24rpmで回転させながら、市販チップチョコレート(製品名:チップチョコスイート045、不二製油(株)製、底面直径×高さ:約4×4mmの円錐形状、重量約0.045g/個)100部を投入した。ここに 粒度200μmの粉糖0.75部を投入し、チップチョコの表面にまぶしつけた。次いでこれを別の釜に移し、被膜剤としてシェラック(商品名:FSP.NO.332、興洋化学(株)製、68%エタノール溶液)1.5部の全量を10回に分けて投入し、回転、混合、乾燥して被覆成型チョコレートを得た。最終的に2つ以上が接着しているものを不良品としその重量比を計測した。
[実施例3]
実施例2の工程中、シェラックの投入回数を5回とし、他は同様の工程にて被覆成型チョコレートを製造した。
(結果)
粒度200μmの粉糖を用いることで、被膜剤の投入(分割)回数を減らしても不良品の発生率を抑制したまま製造することができ、生産工程を効率化することが可能であった。
(表3)
Figure 2015170587
<立方体状チョコレート準備>
市販チョコレート(製品名:スイートチョコレートE、不二製油(株)製)を溶解後、常法によりテンパリング操作を行って約7mm厚のシート状に固化させ、これをタテ約7mm×ヨコ約7mmにカットして約7×7×7mmの立方体状チョコレート(重量約0.4g/個)を得た。
[実施例4]
レボルビングパンの内釜を表面温度26℃に設定し、24rpmで回転させながら、立方体状チョコレート100部を投入した。ここに 粒度150μmの乳糖0.5部を投入し、チップチョコの表面にまぶしつけた。次いでこれを別の釜に移し、被膜剤としてシェラック(商品名:FSP.NO.332、興洋化学(株)製、68%エタノール溶液)1.5部の全量を10回に分けて投入し、回転、混合、乾燥して被覆成型チョコレートを得た。最終的に2つ以上が接着しているものを不良品としその重量比を計測したところ、1.3%であった。
[比較例2]
乳糖の混合操作を行わず、それ以外は実施例4と同様に被覆成型チョコレートを製造した。不良品は約61.5%であった。
(表4)
Figure 2015170587

Claims (5)

  1. 成型チョコレート類の表面に可食性粉末をまぶし、次いで被膜剤をコーティングする、被覆成型チョコレート類の製造方法。
  2. 可食性粉末の粒度が100〜300μmである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 可食性粉末の主成分が糖類である、請求項1ないし2いずれか1項に記載の製造方法。
  4. 請求項1ないし3いずれか1項の製造方法により得られた、被覆成型チョコレート類。
  5. 成型チョコレート類と、成型チョコレート類の表面の少なくとも一部に付着した可食性粉末と、被膜剤で構成された表層とからなる、被覆成型チョコレート類。
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