JPWO2015166557A1 - 3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物およびその製造方法 - Google Patents

3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩(CMBA−HCl)の純度が高いCMBA−HCl含有組成物を高収率で製造する方法が、4−メトキシベンジルアミン塩酸塩から、過酸化水素および塩酸を用いてCMBA−HClを生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程を備える製造方法により提供される。かかる製造方法により製造された、CMBA−HClの純度が高いCMBA−HCl含有組成物も提供される。

Description

本発明は、医薬品の中間体などに使用されうる3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物およびその製造方法に関する。
3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン(本明細書において「CMBA」ともいう。)の塩酸塩(本明細書において「CMBA−HCl」ともいう。)は、様々な医薬品の中間体などに使用されうる、重要な化合物である。CMBA−HClを含有する組成物である3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物(本明細書において「CMBA−HCl含有組成物」ともいう。)を製造する方法として、4−メトキシベンズアルデヒド(本明細書において「MB」ともいう。)を反応物質として、塩化スルフリルを用いてクロロ化して、3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒド(本明細書において「CMB」ともいう。)を得て、ホルムアミドおよびギ酸を用いて、かかるCMBのアルデヒド基をアルムアミド基にして、N−(3−クロロ−4−メトキシベンジル)ホルムアミド(本明細書において「CMBF」ともいう。)を得て、さらに、エタノールなどの存在下、かかるCMBFと塩酸とを反応させて、3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩を含有する組成物、すなわちCMBA−HCl含有組成物を得る方法が、非特許文献1に開示されている。
また、特許文献1には、4−メトキシベンジルアミン(本明細書において「MBA」ともいう。)を出発材料として、塩素ガスを吹き込む方法、または塩化スルフリルと反応させる方法により、CMBA−HCl含有組成物を得る方法が開示されている。
米国特許第6316438号明細書
J. Med. Chem. (1998), vol. 41, pp 3367-3372
しかしながら、非特許文献1に記載される方法で得られるCMBA−HCl含有組成物の製造方法は工程数が多く、収率が低いという問題があった。すなわち、MBを反応物質として、CMB、CMBFを経てCMBA−HClを含有する粗組成物を得る製造方法の収率は、非特許文献1に記載される実験室レベルの製造結果に基づいても44%程度である。本発明者らがこの製造方法を工業的製造規模で確認した結果、上記の粗組成物の収率は33%程度に留まった。また、GC測定により得られたピーク面積比率に基づき算出された含有量から求めた、上記の粗組成物におけるCMBA−HClの純度も90%程度であって、工業的レベルでの生産技術とはいえないことが明らかになった。このように収率が低い理由として、MBの不適切なクロロ化に基づく物質や、CMBFの二量化物質と推定される副生成物が、不純物として残留することが挙げられる。
かかる現状を鑑み、本発明は、下記式(1)に示されるCMBA−HClの含有量が高いCMBA−HCl含有組成物を高収率で製造する方法を提供すること、およびかかる製造方法により製造された、CMBA−HClの純度が高いCMBA−HCl含有組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討した結果、次の知見を得た。
(1)反応物質をMBから、高純度品を得やすい4−メトキシベンジルアミン塩酸塩(本明細書において「MBA−HCl」ともいう。)に変更し、MBA−HClを、過酸化水素および塩酸を用いてクロロ化することにより、不純物濃度が低いCMBA−HCl含有組成物を高収率かつ簡便に製造することができる。
(2)上記の方法により製造したCMBA−HCl含有組成物を3級アミン存在下で再結晶することにより、特に不純物濃度が低減されたCMBA−HCl含有組成物を得ることができる。
かかる知見により完成された本発明は次のとおりである。
(1)4−メトキシベンジルアミン塩酸塩から、過酸化水素および塩酸を用いて3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩を生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程を備えることを特徴とする、3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
(2)3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物を、3級アミンを含む溶媒を用いて再結晶する精製工程を備える、3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
(3)4−メトキシベンジルアミン塩酸塩から、過酸化水素および塩酸を用いて3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩を生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程、および前記クロロ化工程により得られた生成物を、3級アミンを含む溶媒を用いて再結晶する精製工程を備えることを特徴とする3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
(4)前記クロロ化反応の出発材料である4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物は、4−メトキシベンジルアミン塩酸塩の含有量が、HPLC測定により得られたピーク面積比率に基づく含有量として99.5%以上である、上記(1)または(3)に記載される製造方法。
(5)前記精製工程により、3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジルアミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる一種または二種以上の含有量が低減される、上記(2)または(3)に記載される製造方法。
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係る製造方法により製造されたことを特徴とする3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物。
本発明によれば、CMBA−HClの純度が高いCMBA−HCl含有組成物を高収率で製造する方法が提供される。また、かかる製造方法により製造された、CMBA−HClの純度が高いCMBA−HCl含有組成物が提供される。
以下、本発明の一実施形態について詳しく説明する。
1.CMBA−HCl含有組成物の製造方法
本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法は、次に説明するクロロ化工程および再結晶工程を備える。クロロ化工程において行われるクロロ化反応では、MBA−HClを反応物質とするため、まずMBA−HClについて説明したのち、上記の2工程およびその他の工程について説明する。
(1)MBA−HCl
上記のとおり、本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法が備えるクロロ化工程において行われるクロロ化反応では、MBA−HCl(4−メトキシベンジルアミン塩酸塩)を反応物質とする。MBA−HClを含有する組成物であるMBA−HCl含有組成物(本明細書において、「4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物」ということもある。)は市販されており、市場から容易にかつ安定的に入手可能であるから、クロロ化工程において行われるクロロ化反応の出発材料とすればよい。クロロ化反応の出発材料とするMBA−HCl含有組成物におけるMBA−HCl純度は特に限定されないが、MBAからMBA−HClを得る工程において純度を高めることが可能であるため、純度が99.5%以上であるMBA−HCl含有組成物を容易にかつ安価に入手することができる。なお、本明細書において、MBA−HClやCMBA−HClの「純度」とは、後述する実施例に示される測定方法でHPLC測定を行って得られたピーク面積比率に基づく含有量から求めた純度を意味する。
この点に関し、非特許文献1に記載される方法における出発材料はMBを含む材料であるところ、この出発材料には、MBの二量化物質などが不純物として含有される場合があり、こうした不純物および/またはこうした不純物に基づく成分は、その後の工程(MBからCMBを生成する反応を含む工程、CMBからCMBFを生成する反応を含む工程、CMBFからCMBA−HClを生成する反応を含む工程など)においても除去が困難であり、得られたCMBA−HCl含有組成物の不純物濃度を高める一因となる。
これに対し、MBA−HCl含有組成物を用いる本実施形態に係る製造方法では、MBAからMBA−HClを得る反応を含む工程において、MBAの二量化物質やこれに基づく物質のような不純物は安定的に除去される。したがって、MBA−HCl含有組成物を出発材料とすることで、目的物であるCMBA−HCl含有組成物の不純物濃度を低下させることが可能となる。
(2)クロロ化工程
本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法は、MBA−HCl含有組成物を出発材料とし、当該出発材料に含有されるMBA−HClから、過酸化水素および塩酸を用いてCMBA−HClを生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程を備える。すなわち、非特許文献1では出発材料からCMBA−HCl含有組成物を得るために化学反応を含む工程を3つ必要としていたところ、本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法は、出発材料から化学反応を含む工程を1つ備えるだけでCMBA−HCl含有組成物を得ることができる。化学反応を含む工程の増加が、製造方法としての煩雑さを増やし、生産性を低下させ、収率や純度を低下させることは言うまでもない。したがって、本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法は、従来技術に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法に比べて、化学反応を含む工程数が少ないという点のみでも、優れた方法であるといえる。
クロロ化反応は次のようにして行われる。
まず、MBA−HCl含有組成物を水などの極性溶媒に溶解させ、MBA含有溶液を得る。溶媒の種類は、上記のとおり水が典型例であり、必要に応じ、アルコールなどの極性溶媒を含有させてもよい。MBA−HCl含有溶液におけるMBA−HClに対する溶媒の質量比率(溶媒/MBA−HCl)は特に限定されない。この質量比率が過度に低い場合にはクロロ化反応を均一に行うことが困難となり、この質量比率が過度に高い場合には廃液量が増えたり反応に要する時間が伸びたりする不利益が生じる可能性が高まることを考慮して、上記の質量比率を適宜設定すればよい。通常、この質量比率は、1.5倍程度から10倍程度の範囲で適宜設定され、2倍以上8倍以下とすることが好ましく、2.5倍以上6倍以下とすることがより好ましい。
次に、MBA含有溶液を5℃から70℃、好ましくは10℃から60℃の範囲内で、撹拌されたMBA含有溶液中に、塩酸を含有する溶液(本明細書において「塩酸溶液」ともいう。)を滴下する。塩酸溶液の溶媒は通常水であるが、MBA含有溶液と同様に水には限定されない。塩酸溶液の滴下量は、滴下された塩酸のモル数が、MBA含有溶液に含有されるMBA−HClのモル数に対する比率(塩酸/MBA−HCl)として1.5程度以上4程度以下とすることが好ましく、2以上3以下とすることがより好ましい。なお、塩酸溶液の塩酸濃度は特に限定されない。塩酸濃度が過度に低い場合には、滴下する塩酸溶液の量が増えるため反応に要する時間が伸びたり反応性が低下したりする可能性が高まり、塩酸濃度が過度に高い場合には、反応の均一性が低下する可能性が高まることを考慮して、上記の塩酸濃度を適宜設定すればよい。通常、上記の塩酸溶液における塩酸濃度は10質量%以上60質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。塩酸溶液の滴下時間は、塩酸溶液中の塩酸濃度などを考慮して適宜設定すればよい。当該滴下時間の一例を挙げれば、0.5〜1時間程度である。
続いて、塩酸溶液が滴下されたMBA含有溶液の温度を60℃から70℃の範囲、好ましくは62℃から68℃の範囲に維持しつつ、撹拌されたMBA含有溶液中に、過酸化水素を含有する溶液(本明細書において「過酸化水素溶液」ともいう。)を滴下する。過酸化水素溶液の溶媒は通常水であるが、MBA含有溶液と同様に水には限定されない。過酸化水素溶液の滴下によりMBA含有溶液の温度は上昇するため、60℃から70℃の範囲、好ましくは62℃から68℃の範囲に液温を制御する。過酸化水素溶液の滴下量は、滴下された過酸化水素のモル数が、MBA含有溶液に含有されるMBA−HClのモル数に対する比率(過酸化水素/MBA−HCl)として0.8程度以上2.5程度以下とすることが好ましく、1以上2以下とすることがより好ましい。塩酸溶液の滴下量と過酸化水素溶液の滴下量との関係は、滴下された過酸化水素のモル数が、滴下された塩酸のモル数に対する比率(過酸化水素/塩酸)として0.2程度以上1程度以下とすることが好ましく、0.35以上0.7以下とすることがより好ましい。なお、過酸化水素溶液の過酸化水素濃度は特に限定されない。過酸化水素濃度が過度に低い場合には、滴下する過酸化水素溶液の量が増えるため反応に要する時間が伸びたり反応性が低下したりする可能性が高まり、過酸化水素濃度が過度に高い場合には、反応の均一性が低下する可能性が高まることを考慮して、上記の過酸化水素濃度を適宜設定すればよい。通常、過酸化水素溶液における過酸化水素濃度は20質量%以上60質量%以下とすることが好ましく、25質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。過酸化水素溶液の滴下時間は、過酸化水素溶液中の過酸化水素濃度などを考慮して適宜設定すればよい。当該滴下時間の一例を挙げれば、1〜2時間程度である。
過酸化水素溶液を所定量滴下し終わったら、MBA含有溶液の温度を上記の温度範囲に維持しつつ、撹拌を所定時間継続して、反応を完了させる。この撹拌時間を決定する目安の一例として、撹拌後のMBA含有溶液(本明細書において「反応液」ともいう。)をサンプリングして、後述する実施例に示される測定条件でHPLC測定したときに、得られたMBA系物質のピーク面積の割合が、塩酸溶液滴下前のMBA含有溶液をサンプリングして得られたMBA系物質のピーク面積に対して0.5%以下になるまでの時間とすることが挙げられる。この場合には、通常、撹拌時間は、数時間から十数時間以内に設定される。なお、本明細書において、上記のMBA系物質のピーク面積の割合を、「MBA残量」ともいう。
また、クロロ化反応をより適切に行わせる観点から、この撹拌が終了したのち、過酸化水素溶液の滴下および撹拌をさらに行ってもよい。この追加の滴下に係る過酸化水素の量は特に限定されず、一例として、滴下した過酸化水素の量の10%以内程度が挙げられる。また、過酸化水素の追加の滴下後の撹拌時間も特に限定されず、一例として、最初の過酸化水素溶液の滴下後の撹拌時間と同様の時間が挙げられる。過酸化水素の追加の滴下およびその後の撹拌は、複数回行われてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法では、塩酸および過酸化水素溶液を用いて液相のみでクロロ化を行うため、例えば、MBA含有溶液中に塩素ガスを導入してクロロ化反応を行う場合に比べて、反応に要する設備負荷が低く、しかも作業安全性に優れる。また、本実施形態に係る製造方法で使用する過酸化水素は分解しても液相には水が残るだけであるから、CMBA−HCl含有組成物中に不純物が残留しにくい。すなわち、本実施形態に係る製造方法が備えるクロロ化工程は、MBAまたはこれに基づく物質、特にMBA−HClを反応物質として、不純物混入の可能性を低減させつつかつ簡便に、CMBA−HCl含有組成物を得る工程である。なお、本明細書において、MBAおよびこれに基づく物質を総称して「MBA系物質」または「4−メトキシベンジルアミン系物質」という場合もある。具体的には、本明細書において、「MBA系物質」とは、後述する実施例に示される条件でのHPLC測定により得られるピークが、MBAによるピークと重複して、MBAと区別不能な物質を意味する。
本実施形態に係る製造方法におけるクロロ化工程によれば、MBA含有溶液に含有されるMBAのうち、未反応となる量を少なくすることができる。上記の塩素ガスを使用する方法や、塩化スルフリルを使用する方法の場合には、クロロ化反応終了後の反応液中に、未反応のMBAが相当量残留する。具体的に言えば、塩素ガスを使用する方法の場合には2%程度、塩化スルフリルを使用する方法の場合には1%程度、未反応のMBAが残留する。かかる未反応のMBAは目的とするCMBAと化学的性質が近いため、CMBA−HCl含有組成物中にMBA−HClが残留しやすく(換言すれば、精製手段によってもMBA−HClは除去されにくい。)、CMBA−HCl含有組成物の純度を低下させる一因となる。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、不純物含有量が少ないCMBA−HCl含有組成物が得られやすい。なお、CMBA−HCl含有組成物の用途によっては、MBA−HClなどのMBA系物質またはこれに基づく成分の製品中の含有量が厳しく制限される場合もあり、この場合には、CMBA−HCl含有組成物に含有されるMBA系物質の濃度を本実施形態に係る製造方法により低減させることは、CMBA−HCl含有組成物の製品価値を高めることに直接的に関連する。
以上の、塩酸溶液が滴下されたMBA含有溶液への過酸化水素の滴下およびその後の撹拌ならびに必要に応じて反応液に対して行われるそれらの作業(滴下および撹拌)の繰り返しにより、クロロ化反応を行い、その後、結晶が析出するまで反応液を冷却する。冷却温度は特に限定されない。液温が概ね50℃以下となれば結晶の析出が開始する。その後の冷却速度も特に限定されない。加熱を停止して、放冷する程度(1〜2℃/分)で十分である。析出が開始したら、冷却を停止して結晶への不純物の混入を抑制することが好ましい。具体的には、液温を析出開始温度±5℃以内、好ましくは±2℃以内に制御することが好ましい。この温度制御を継続する時間は特に限定されないが、数時間以内が例示される。その後、液温をさらに冷却し、10℃以下、好ましくは5℃以下にして、所定の時間(例えば数時間以内が例示される。)この状態を継続することにより、結晶の析出を行ってもよい。
こうして、反応液中に結晶を析出させたら、これをろ取し、適切な洗浄溶媒(例えば、10℃程度に冷却したイソプロピルアルコール)によってろ取物を洗浄することにより、CMBA−HCl含有組成物がウェットケーキとして得られる。本明細書において、このようにして得られたCMBA−HCl含有組成物を、「第1のCMBA−HCl含有組成物」ともいう。
(3)再結晶工程
上記のクロロ化工程により得られた第1のCMBA−HCl含有組成物に対して再結晶を行うことにより、当該組成物に含有されるCMBA−HClの純度を高めることができる。また、再結晶の回数を増やすことによっても純度を高めることができる。しかしながら、再結晶の回数を増やすことは作業増加に起因する生産性の低下をもたらし、さらに、収率の低下および廃液量の増加をももたらす。したがって、第1のCMBA−HCl含有組成物の再結晶が1回であっても十分にCMBA−HClの純度を高めることができることが好ましい。
そのような再結晶を実現する再結晶溶媒として、トリエチルアミン、トリメチルアミンなど3級アミンを含有する塩基性の水系溶媒が好ましい。かかる塩基性の水系溶媒を再結晶溶媒として用いると、ベンゼン環に結合するクロロ基数の相違に基づき、第1のCMBA−HCl含有組成物に不純物として含有される3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩からの塩酸の解離が、CMBA−HClからの塩酸の解離よりも優先して生じる。かかる塩酸の解離により生成した3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジルアミン(本明細書において「DCMBA」ともいう。)は溶媒に対する溶解度が高いため、再結晶によっても晶析しにくく、析出したCMBA−HClの純度を高めることができる。
上記の塩基性の水系溶媒に含有される3級アミンの種類は特に限定されない。トリエチルアミンが取扱い性などの観点から好ましい。溶媒中の3級アミン濃度も限定されず、3級アミンの種類、第1のCMBA−HCl含有組成物に含有されるCMBA−HClの量、溶媒の他の成分の濃度などを勘案して適宜設定すればよい。3級アミンがトリエチルアミンである場合には、トリエチルアミンの使用量は、第1のCMBA−HCl含有組成物中CMBA−HClの量に対するモル比率として、2%以上20%以下程度の範囲とすることが好ましく、5%以上15%以下の範囲とすることがより好ましい。
上記の塩基性の水系溶媒に含有される3級アミン以外の成分は特に限定されない。水のみであってもよいし、アルコールのような極性有機化合物を含有していてもよい。そのような成分を含有する場合におけるその含有量は、水に対して、5体積%程度から20体積%程度の範囲とすることが好ましい。
(4)その他の工程
本実施形態に係るCMBA−HCl含有組成物の製造方法は、上記のクロロ化工程および再結晶工程の一方のみを備えていてもよいし、両方を備えていてもよい。また、上記のクロロ化工程および再結晶工程以外の工程を備えていてもよい。そのような工程として、活性炭処理などが例示される。
2.CMBA−HCl含有組成物
本実施形態に係る上記の製造方法により製造されたCMBA−HCl含有組成物は、CMBA−HClの純度が高い、具体的には、CMBA−HClの含有量(純度)が99.9%以上である。また、本実施形態に係る上記の製造方法により製造されたCMBA−HCl含有組成物は、特許文献1に開示される製造方法により製造されたCMBA−HCl含有組成物に比べてMBA系物質の含有量が少なく、これらの含有量をMBA換算で200ppm以下とすることができる。さらに、本実施形態に係る上記の製造方法により製造されたCMBA−HCl含有組成物は、非特許文献1に開示される製造方法により製造されたCMBA−HCl含有組成物においては相当量存在する、CMBFの二量化物質に基づく物質(本明細書において、かかる物質は、後述する実施例に示される条件でのHPLC測定により得られるピークが、CMBFの二量化物質によるピークと重複して、CMBFの二量化物質と区別不能な物質を意味する。)の含有量も少なく、以下記載の分析条件では検出下限(100ppm)以下である。なお、MBA系物質の含有量およびCMBFの二量化物質に基づく物質の含有量も、CMBA−HClの含有量(純度)と同様に、後述する実施例に示される条件でのHPLC測定により得られたピーク面積比率に基づいて算出された値を意味する。
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらの具体例にのみ限定されるものではない。なお、分析は下記条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施し、面積%により純度を評価した。
(カラム)L−column ODS4.6mmφ×150mm((財)化学物質評価研究機構製)
(移動相)
移動相A:HPLC用の水に、HPLC用リン酸(和光純薬社製)を水に対して0.1質量%滴下して調製した。
移動相B:HPLC用メタノール(関東化学製)
(移動相組成)
移動相A/移動相B:10体積%/90体積%(分析開始から50分間)
(移動相流量)1.0mL/min
(測定波長)210nm
(カラム温度)40℃
(注入量)10μL
(サンプル調製法)30mgを50mLメスフラスコに秤量し、移動相Aでメスアップする。
(実施例1)MBA−HCl含有組成物の合成
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた1000mL四つ口フラスコに、純度96.0%のMBA110g(純分換算質量:105.7g(0.77モル))およびトルエン440gを加えて撹拌し、60℃に昇温後、温度を保持しながら35%塩酸91.9g(MBAに対する理論モル比:1.1)を30分かけて滴下した。ディーンスターク管を取り付けた後反応液を昇温し共沸脱水を実施した。90℃付近より還流が始まり、トルエンを反応器に戻しながら内温が110℃になるまで共沸脱水を継続した。20℃まで冷却を行い、1時間保持を行った。反応液をろ過し、得られたウェットケーキを165gのトルエンで洗浄し、ウェット結晶139.6gを得た。得られたウェット結晶を四つ口フラスコに戻し、トルエン275gを加えて20℃にて1時間の懸濁洗浄を実施した。洗浄後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを165gのトルエンで洗浄し、ウェット結晶131.8gを得た。真空乾燥機で乾燥し、129.9gの白色結晶からなる乾燥品をMBA−HCl含有組成物として得た。収率は97.0モル%、HPLC純度は99.7%であった。
(実施例2)第1のCMBA−HCl含有組成物の合成
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、実施例1により得られた純度99.7%のMBA−HCl含有組成物のウェット結晶35g(乾燥品換算の質量:30.8g(0.177モル))を仕込み、水153.3gを加えて撹拌し、常温下、33.7%塩酸46.1g(MBA−HClに対する理論モル比2.4)を30分かけて滴下した。滴下後、内温を63℃まで昇温した後、その温度を維持した状態で、33.6%過酸化水素水25.6g(MBA−HClに対する理論モル比1.43)を30分かけて滴下した。63℃で10時間反応を行い、HPLC分析にてMBA系物質の残量が0.5%以下であることを確認し加熱を終了した。反応液を徐々に(5〜15℃/時間程度)冷却し晶出を実施した。48℃で結晶の析出が確認されたため、液温が48℃の状態を1時間保持した。引き続き冷却速度を5〜15℃/時間として5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したイソプロピルアルコール48.7gで洗浄し、第1のCMBA−HCl含有組成物のウェット結晶31.4gを得た。このウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、26.5gの白色結晶からなる乾燥品を第1のCMBA−HCl含有組成物として得た。収率は71.1モル%、HPLC純度は99.1%であった。CMBA−HCl含有組成物中にMBA系物質は0.08%残存し、ジクロロ体が0.84%副生した。
(比較例1)CMBA−HCl含有組成物の合成(出発材料の変更)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、MBA11.7g(0.08モル)を仕込み、水49.0gを加えて撹拌し、60℃に昇温後、温度を保持しながら35%塩酸28.9g(MBAに対する理論モル比:3.4)を30分かけて滴下した。滴下後、内温を63℃に維持した状態で、35%過酸化水素水10.9g(MBAに対する理論モル比:1.39)を30分かけて滴下した。63℃で16時間反応を行い、HPLC分析にてMBA系物質の残量が0.05%以下であることを確認し加熱を終了した。反応液を徐々に(10℃/時間程度)冷却し晶出を実施した。45℃で結晶の析出が確認され、そのまま10℃/時間の速度で5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したイソプロピルアルコール22.4gで洗浄し、CMBA−HCl含有組成物のウェット結晶17.2gを得た。得られたウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、乾燥品として12.5gの淡黄色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。収率は71.8モル%、HPLC純度は98.2%であった。CMBA−HCl含有組成物中にMBA系物質は0.13%残存し、ジクロロ体が1.57%副生した。
(比較例2)CMBA−HCl含有組成物の合成(塩化スルフリル)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた500mL四つ口フラスコに、MBA20g(0.146モル)を加え、反応液を20℃以下に冷却した状態で、酢酸250gを加え撹拌を開始した。反応液温を25℃以下に維持しながら、塩化スルフリル29.3g(MBAに対する理論モル比:1.5)を1時間かけて滴下した。滴下後、内温を20〜25℃に保持した状態で26時間反応を行い、HPLC分析にてMBA系物質の残量が0.5%以下であることを確認し反応を終了した。反応液にトルエン150gを添加し、5℃まで冷却後1時間保持を行った。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したトルエン20gで洗浄を行なった。得られたウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、22.8gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。収率は75.5モル%、HPLC純度は98.9%であった。CMBA−HCl含有組成物中にMBA系物質は0.50%残存し、ジクロロ体が0.23%副生した。
(実施例3)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた200mL四つ口フラスコに、第一のCMBA−HCl含有組成物のウェット結晶25.0g(純度:99.1%、乾燥品換算質量:21.1g(0.10モル))、イソプロピルアルコール92.5g、水13.3gおよびトリエチルアミン1.54g(CMBA−HClに対する理論モル比:0.15)を加えて撹拌し、還流状態になるまで昇温を行った。途中、78.5℃で結晶は完溶した。1時間還流後、反応液を徐々に(5〜15℃/時間)冷却し晶出を行った。72℃で結晶の析出が確認されたため、液温が72℃の状態を1時間保持した。引き続き冷却速度を5〜15℃/時間として5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の得られた反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したイソプロピルアルコール42.2gで洗浄を行い、ウェット結晶21.0gを得た。このウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、16.9gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は80.5%、HPLC純度は99.9%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.01%、MBA系物質の含有量は0.02%であった。
(実施例4)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた100mL四つ口フラスコに、MBA系物質を0.08%、ジクロロ体を1.17%含有するCMBA−HCl含有組成物5.0g(純度:99.1%、純分換算質量:4.96g(0.024モル))、イソプロピルアルコール23.4g、水2.6gおよびトリエチルアミン0.24g(CMBA−HClに対する理論モル比:0.1)を加えて撹拌し、還流状態になるまで昇温を行った。1時間還流後、反応液を徐々に(5〜15℃/時間)冷却し晶出を行った。72℃で結晶の析出が確認されたため、液温が72℃の状態を1時間保持した。引き続き冷却速度を5〜15℃/時間として5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したイソプロピルアルコール8.5gで洗浄を行った。得られたウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、3.78gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は75.7%、HPLC純度は99.9%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.06%、MBA系物質の含有量は0.01%であった。
(実施例5)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
トリエチルアミン量を0.18g(CMBA−HClに対する理論モル比:0.075)に変更した以外は、実施例4と同様の条件にて処理を実施した。その結果、4.05gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は81.0%、HPLC純度は99.9%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.08%、MBA系物質の含有量は0.01%であった。
(実施例6)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
トリエチルアミン量を0.12g(CMBA−HClに対する理論モル比:0.05)に変更した以外は、実施例4と同様の条件にて処理を実施した。その結果、4.28gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は85.6%、HPLC純度は99.9%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.09%、MBA系物質の含有量は0.02%であった。
(実施例7)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた100mL四つ口フラスコに、MBA系物質を4.24%、ジクロロ体を2.42%含有するCMBA−HCl含有組成物5.0g(純度:91.5%、純分換算質量:4.58g(0.022モル))、イソプロピルアルコール22.5g、水3.5gおよびトリエチルアミン0.24gを加えて撹拌し、還流状態になるまで昇温を行った。1時間還流後、反応液を徐々に(5〜15℃/時間)冷却し晶出を行った。75℃で結晶の析出が確認されたため、そのまま液温が75℃の状態を1時間保持した。引き続き冷却速度を5〜15℃/時間として5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したイソプロピルアルコール8.5gで洗浄を行った。得られたウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、3.68gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は78.2%、HPLC純度は97.4%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.25%、MBA系物質の含有量は2.28%であった。
(比較例3)CMBA−HCl含有組成物の合成(再結晶工程)
トリエチルアミンを添加しなかった以外は、参考例1と同条件にて処理を実施した。3.68gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は78.2%、HPLC純度は96.6%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.72%、MBA系物質の含有量は2.44%であった。
(比較例4)CMBA・HClの合成(再結晶工程)
温度計、ジムロート冷却器および攪拌機を備えた2000mL四つ口フラスコに、MBA系物質を0.03%、ジクロロ体を0.70%含有するCMBA−HCl含有組成物のウェット結晶75.0g(純度:99.2%、純分換算質量:53.6g(0.258モル))、メタノール193gおよびトルエン579gを加えて撹拌し、60℃まで昇温を行った。反応液を徐々に(5〜15℃/時間)冷却し最終的に5℃まで冷却を行い、液温が5℃の状態を1時間保持した。保持後の反応液をろ過し、得られたウェットケーキを、5℃に冷却したトルエンーメタノール混合溶液53gで洗浄を行った。得られたウェット結晶を真空乾燥機で乾燥し、41.2gの白色結晶からなる乾燥品をCMBA−HCl含有組成物として得た。回収率は76.8%、HPLC純度は99.88%であった。CMBA−HCl含有組成物中に含有されるジクロロ体の含有量は0.11%、MBA系物質の含有量は0.01%含有であった。
本発明によれば、CMBA−HClの純度が高いCMBA−HCl含有組成物を生産性高く製造することが実現される。

Claims (6)

  1. 4−メトキシベンジルアミン塩酸塩から、過酸化水素および塩酸を用いて3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩を生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程を備えることを特徴とする、3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
  2. 3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物を、3級アミンを含む溶媒を用いて再結晶する精製工程を備える、3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
  3. 4−メトキシベンジルアミン塩酸塩から、過酸化水素および塩酸を用いて3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩を生成するクロロ化反応を含むクロロ化工程、および
    前記クロロ化工程により得られた生成物を、3級アミンを含む溶媒を用いて再結晶する精製工程を備えること
    を特徴とする3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物の製造方法。
  4. 前記クロロ化反応の出発材料である4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物は、4−メトキシベンジルアミン塩酸塩の含有量が、HPLC測定により得られたピーク面積比率に基づく含有量として99.5%以上である、請求項1または3に記載される製造方法。
  5. 前記精製工程により、3,5−ジクロロ−4−メトキシベンジルアミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる一種または二種以上の含有量が低減される、請求項2または3に記載される製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載される製造方法により製造されたことを特徴とする3−クロロ−4−メトキシベンジルアミン塩酸塩含有組成物。
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