JPWO2015163356A1 - 非水二次電池用正極活物質及び非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

本発明の第一の課題は、非水二次電池において、サイクル充放電後における正極抵抗の増加が抑制され、電池容量の低下も小さい非水二次電池を与える非水二次電池用正極活物質と、この非水二次電池用正極活物質を用いた非水二次電池を提供することである。本発明は、以下の(1)〜(3)の条件を満たす非水二次電池用正極活物質に関する。(1)正極活物質コアがNi、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を含む、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム化合物である。(2)活物質表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びMを全て含有するZr含有領域が存在する。(3)前記Zr含有領域における、(Zr+Ni+Co+M)に対するZrのモル比が1.5〜30%である。

Description

本発明は、非水二次電池用正極活物質及び非水二次電池に関するものである。
スマートフォン、タブレット端末及びノートブックコンピュータ等の携帯用情報電子機器;電気自動車;及び電動工具などにおいて技術が急速に進歩し、またそれらの供給も増大している。これに伴い、それらの主電源やバックアップ電源に用いられる電池に対する要求性能が高くなっている。この要求にこたえ得るものとして、ニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池に比べてエネルギー密度の高い、リチウムイオン二次電池等の非水二次電池が注目されている。
通常、リチウムイオン二次電池においては、正極には主にリチウムイオンを吸蔵・放出することができる遷移金属複合酸化物、負極には主にリチウムイオンを吸蔵・放出することができる材料が用いられている。前記遷移金属複合酸化物における遷移金属の代表例としてはコバルト、ニッケル、マンガン、鉄等が挙げられる。前記負極に使用される負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等の炭素質材料;高容量化を達成し得るシリコンや、スズ等を用いた金属及び合金、が挙げられる。
また、リチウムイオン二次電池の電解液の代表例としては、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiCF(CFSO等の電解質を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水電解液が挙げられる。
このようなリチウムイオン二次電池は、活性の高い正極と負極を使用しているため、電極と電解液との副反応により、充放電容量が低下したり、ガス発生が増加したり、抵抗が増大することが知られている。これらは、電池寿命の短縮につながる。
特に高温又は高電圧で使用・保存する場合には、前記副反応による電解液の酸化分解の問題が大きくなる。そこで、電池特性を改良するために、非水二次電池の各構成要素について、種々の検討がなされている。
例えば、正極活物質の改良手法の一つとして、微量元素の添加がある。正極活物質に対して、AlやZrなど、主構成元素とは異なる元素を微量添加して活物質の結晶構造を安定化することによって、電池内における正極活物質の劣化を大幅に抑制することができる。
また、別の正極活物質の改良手法として、表面処理技術が挙げられる。表面処理技術においては、正極活物質の表面に、例えば金属酸化物等の金属元素を含む化合物の層を形成させる。この層が保護層として作用するために、表面処理を施された正極活物質を用いた電池においては、サイクル充放電後の電池容量の減少や正極抵抗の増加が低減される。
上記のような正極活物質の改良の例として、非特許文献1では、LiNi0.33Mn0.33Co0.33の組成を持つ正極活物質の表面に、ZrOをはじめとする金属酸化物の保護層を形成することが開示されている。同文献では、前記保護層の形成により、電池特性を改良することができると報告されている。
特許文献1には、正極活物質の表面処理層中に、AlO(OH)、Al(OH)を含有させることによって、これを適用した電池に、優れた寿命特性と高い放電電位特性を付与することができると記載されている。
特許文献2では、Li、Al、Co、Niからなる正極活物質の粒子表面を、Alを含む化合物で被覆することによって、Alの濃度が粒子表面から内部に向かって連続的に減少する領域を作り出す技術が提案されている。同文献には、これにより正極活物質の熱安定性が向上する旨が述べられている。
特許文献3には、Ni、Co、Mnを含有する正極活物質に水処理を施した後に、ジルコニウム化合物の水溶液を接触させ、その後600〜1000℃で加熱することによって、低い遊離アルカリ量と充放電サイクル耐久性を持つ正極活物質を得られることが報告されている。
特許文献4には、正極の表面を金属酸化物で被覆することにより、サイクル特性が改善すると記載されている。
特開2009−218217号公報 特開2001−196063号公報 特開2011−187174号公報 特開平8−236114号公報
Journal of Power Sources, 160(2006),1342−1348.
しかしながら、非特許文献1、特許文献1及び特許文献4においては、正極活物質表面に保護層を形成するのみで、正極活物質の結晶構造の安定化は得られない。そのため、電池特性の改良は限定的であり、特に高温や高圧環境で電池を使用・保存した場合には、正極表面での電解液の酸化分解を十分に抑制できず、正極表面で金属溶出が起こり得る。
また、特許文献2においては、Alを含む正極活物質の表面に、さらにAlを被覆するため、正極活物質にAlを多く添加する必要がある。Alを添加すると正極活物質におけるLiの脱離、挿入特性が低下することが知られている。そのため、特許文献2の技術では、正極活物質の容量低下が大きくなってしまうという課題がある。
特許文献3においては、高い温度で加熱処理を行うために、Zrが正極活物質内部にまで浸透し、表面近傍のZr濃度が希釈されてしまう。そのため、電池特性の改良は限定的である。
以上の従来技術の問題点に関し、本発明の第一の課題は、非水二次電池において、サイクル充放電後における正極抵抗の増加が抑制され、電池容量の低下も小さい非水二次電池を与える非水二次電池用正極活物質と、この非水二次電池用正極活物質を用いた非水二次電池を提供することである。
また本発明の第二の課題は、高温且つ高電圧環境下での保存特性が優れた非水二次電池を提供することである。
本発明者等は、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、特定の組成のコアを有する正極活物質の表面近傍に、Zrを所定量含有する領域を形成することによって、上記第一の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
また、第二の課題に関しては、本発明者等は、非水二次電池において、正極における正極活物質が、その粒子表面にZr及び所定の官能基を有し、かつ、非水電解液が所定の化合物を含有する構成とすることで、前記第二の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、第一の課題を解決する本発明1の要旨は、以下の(1)〜(3)の条件を満たす非水二次電池用正極活物質に存する。
(1)正極活物質コアがNi、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を含む、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム化合物である。
(2)活物質表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びMを全て含有するZr含有領域が存在する。
(3)前記Zr含有領域における、(Zr+Ni+Co+M)に対するZrのモル比が1.5〜30%である。
また、本発明の他の要旨は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された、上記の非水二次電池用正極活物質を含む正極活物質層とを含む、非水二次電池用正極に存する。
また、本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を含む非水二次電池であって、前記正極が本発明の非水二次電池用正極である、非水二次電池に存する。
さらに、第二の課題を解決する本発明2の要旨は、正極活物質を有する正極、負極活物質を有する負極及び非水電解液から少なくとも構成される非水二次電池であって、前記正極活物質の粒子表面に、Zr、並びに、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルコキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基が存在し、前記非水電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、非水二次電池に存する。
本発明の非水二次電池用正極活物質によれば、サイクル充放電を経ても、正極活物質の劣化が少なく、正極抵抗の増加が抑制され、電池容量の低下も小さい非水二次電池を提供することができる。
また、本発明によれば、高温且つ高電圧環境下での保存特性が優れた非水二次電池を提供することができる。
実施例1−1において作製した正極から得た切片を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、一定間隔ごとにエネルギー分散X線分光法(EDS)によって元素組成を分析した結果を示す。 比較例1−1において作製した正極から得た切片を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、一定間隔ごとにエネルギー分散X線分光法(EDS)によって元素組成を分析した結果を示す。 参考例1及び2で得られた正極を使用して得られた非水二次電池について3回充放電を行い、その後電池中の正極をXPSにより分析した結果を示す。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成の説明は、本発明の実施の形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容には限定されない。
以下では、まず第一の課題を解決する本発明1の非水二次電池用正極活物質について説明し、次に、第二の課題を解決する本発明2の非水二次電池について説明する。
[本発明1の非水二次電池用正極活物質]
まず、本発明1の非水二次電池用正極活物質(以下、単に「本発明1の正極活物質」ともいう)について説明する。当該正極活物質は、上記の通り(1)〜(3)の所定の条件を満たす。これを要約すると、前記正極活物質は、正極活物質コアとして特定組成を持ち、活物質の表面近傍に、Zrと前記正極活物質コアの特定組成を構成するすべての元素を含有する領域が存在し、かつ当該領域におけるZrの量が所定の範囲にある。以下、これら(1)〜(3)の条件について順に説明する。
<「(1)正極活物質コアがNi、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を含む、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム化合物である。」について>
本発明1の非水二次電池用正極活物質を構成する正極活物質コアは、Ni、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を含む、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム化合物である。
前記リチウム化合物の構造としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造が挙げられる。このような構造をとることができるリチウム化合物の具体例としては、LiNi1−x−yCoMn、LiNi1−x−yCoAl、LiNi1−x−y−zCoMnAlなどが挙げられる。x、y及びzについては下記にて説明する。
電池容量の大きさの観点からは、正極活物質コアの元素組成は、LiNi1−y−z−αCoAlM’α(M’はLi、Ni、Co、Al以外の1種以上の元素である)であることが好ましい。
上記式において、xの値は通常0.9以上、好ましくは0.92以上、より好ましくは0.95以上、通常1.1以下、好ましくは1.09以下、より好ましくは1.08以下である。
yの値は0より大きく、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.1以上、通常0.4以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.25以下である。
zの値は0より大きく、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.03以上、通常0.5以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.1以下である。
αの値は通常0以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、通常0.01以下、好ましくは0.007以下、より好ましくは0.005以下である。なお、M’が2種以上の元素である場合、αはM’に含まれる元素の組成の和を表す。
x、y、z及びαがこの範囲であれば、本発明1の正極活物質を使用して得られる非水二次電池(以下、単に「本発明1の非水二次電池」ともいう)の電池容量を損なうことなく、熱安定性に優れた正極活物質が得られる。
以上から、x、y、z及びαについては、0.9≦x≦1.1、0<y≦0.4、0<z≦0.5、0≦α≦0.01であることが好ましい。
また、電池寿命の観点からは、正極活物質コアの元素組成は、LiNi1−y−z−αCoMnM’α(M’はLi、Ni、Co、Mn以外の1種以上の元素である)であることが好ましい。
上記式において、xの値は通常0.9以上、好ましくは0.92以上、より好ましくは0.95以上、通常1.1以下、好ましくは1.09以下、より好ましくは1.08以下である。
yの値は0より大きく、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、通常0.4以下、好ましくは0.37以下、より好ましくは0.35以下である。
zの値は0より大きく、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、通常0.5以下、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下である。
αの値は通常0以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、通常0.01以下、好ましくは0.007以下、より好ましくは0.005以下である。なお、M’が2種以上の元素である場合、αはM’に含まれる元素の組成の和を表す。
この範囲であれば、本発明1の非水二次電池の電池寿命を損なうことなく、低い原料コストで正極活物質を製造することができる。
以上から、x、y、z及びαについては、0.9≦x≦1.1、0<y≦0.4、0<z≦0.5、0≦α≦0.01であることが好ましい。
なお、前記正極活物質コアの組成式においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。また、前記組成式中のxは、リチウム化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極活物質中のLi量は減損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のxが0.45以上、2以下の範囲の数値として測定されることがある。
(元素M’)
上記の通り正極活物質コアには、Ni、Co及びM(MはMn及び/又はAl)以外の元素M’が1種以上導入されてもよい。元素M’としては、B,Na,Mg,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnが挙げられる。
これらの元素M’は、正極活物質コアの結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、正極活物質コアの結晶構造内に取り込まれず、活物質の粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
<「(2)活物質表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びMを全て含有するZr含有領域が存在する。」について>
本発明1の正極活物質は、正極活物質の表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を全て含有する領域(Zr含有領域)を持つ。
本発明において、前記深度の部分においてZr含有領域を持つとは、正極活物質の表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びMが同時に検出できる部分が存在することであると定義する。例えば、後述する実施例1−1の元素分析結果を示す図1では、正極活物質表面から5nmの深度の部分において、Zr、Ni、Co及びMnのそれぞれのピークが全て確認できるため、図1の正極活物質は、正極活物質表面から5nmの深度の部分にZr含有領域を持つといえる。
なお、Zr含有領域について、「ピークが確認できる」とは、それぞれの元素量の、全体元素量に対するモル比が1.5%以上であるピークが存在する、という意味である。例えばモル比が1.0%であるような極めて小さいピークは、Zr含有領域に該当するかを判断する際には、ピークとはみなさない。
また、正極活物質の表面から0.1〜100nmの深度に包含される領域で任意の深度を複数選択し、その各任意の深度においてそれぞれ検出されるZr、Ni、Co及びMを組み合わせた状態でのみ、Zr、Ni、Co及びMがすべて存在するといえる場合、それは本発明におけるZr含有領域が存在するとは言わない。例えば、正極活物質表面から5nmの深度でのみZrのピークが確認され、正極活物質表面から10nmの深度でのみNi,Co及びMnのピークがそれぞれ確認される場合は、Zr含有領域は存在していないといえる。
本発明1においては、Zr含有領域を持つ正極活物質を利用することによって、本発明1の非水二次電池内における、サイクル充放電後の正極抵抗の増加を極めて効率よく抑制することが可能である。この理由としては、以下の機構が想定される。
電池内における正極活物質の劣化形態の一つとして、正極活物質を構成するNiやCoが、正極活物質の結晶構造内において拡散していくことを要因とする結晶構造の変化が知られており、正極活物質の表面近傍においては、結晶構造の変化が特に生じやすいことが分かっている。この結晶構造変化は、電池内における正極抵抗の増加を誘起するため、電池特性改良における大きな課題となっている。本発明1では、正極活物質の表面近傍にZr、Ni、Co及びMを全て含有するZr含有領域を形成することによって、結晶構造内におけるNiやCoの拡散が阻害されるため、正極活物質の結晶構造変化が抑制でき、その結果として、サイクル充放電後の正極抵抗の増加が抑制されると考えられる。
また、正極活物質の表面近傍にZr含有領域を形成すると、Zrを正極活物質全体に添加する場合に比べて、当該正極活物質を用いた非水二次電池の容量に与える悪影響が小さい。また、Alなどの他の元素を用いて同様の領域を形成した場合と比べても電池容量に与える悪影響は小さく抑えられる。このような効果が得られる詳細な理由は不明であるが、当該理由として、以下の機構が推定される。
すなわち、Zrのイオンは、Liのイオンとイオン半径が非常に近いために、正極活物質内においてLiイオンが占める結晶サイトに大きなエネルギーを要することなく入り込むことができ、安定的にZr、Ni、Co及びMが全て含有される領域を形成する。結果として、この領域における結晶構造の歪みが小さくなり、Liイオンの脱離、挿入に関わる特性が大きく損なわれないために、サイクル充放電による電池容量の劣化が小さく抑えられると考えられる。
Zr含有領域は、正極活物質の表面から0.1〜100nmの深度の部分において、一つのみでもよいし、複数の領域が存在してもよい。なお、複数の領域が存在するとは、例えば、5〜10nmの深度の部分において、Zr、Ni、Co及びMが全て含有され、10〜15nmの深度の部分では、これらの少なくとも一つが含有されず、そして15〜20nmの深度の部分では、これらが全て含有される、という場合である。
Zr含有領域が形成される正極活物質表面からの深度は、前記の通り0.1〜100nmの部分であるが、好ましくは0.2〜70nmの部分であり、さらに好ましくは、0.3〜60nmの部分である。Zr含有領域が形成される深度が浅いと、正極活物質の結晶構造変化を抑制する効果が小さくなり、深度が深いと、電池容量の大きな劣化を招く。
なお、Zr含有領域が存在する深度は、例えば、以下の方法で測定することができる。すなわち、正極活物質を含むスラリーを集電体に塗布して製造した正極から、集束イオンビーム(FIB)を用いて切片を作製する。この切片を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察する。観察された正極活物質の表面部分から内部方向に向かって、一定間隔毎にエネルギー分散X線分光法(EDS)によって元素組成を分析する。このとき、正極活物質の表面近傍において、正極活物質コアの構成元素の少なくとも1種が初めて検出される点を正極活物質の表面とし、深度はその点からの距離として測定できる。Zr含有領域とは、前述の通り、Zr、Ni,Co及びMそれぞれの元素量の、全体元素量に対するモル比が全て1.5%以上である領域である。
<「(3)Zr含有領域における、(Zr+Ni+Co+M)に対するZrのモル比が1.5〜30%である。」について>
本発明1の正極活物質において、Zr含有領域における、(Zr+Ni+Co+M)の4つ(MがMn及びAlである場合には5つ)の元素の合計に対するZrのモル比は、1.5〜30%である。当該モル比は好ましくは1.6〜30%、より好ましくは1.8〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。Zrのモル比が小さいと、(1.5%未満ではZr含有領域と呼ばないが)正極活物質の結晶構造変化を抑制する効果が小さくなる。また、Zrのモル比が大きいと、サイクル充放電により、電池容量の大きな劣化を招き、さらにZr含有領域が大きな正極抵抗を生じてしまう。
また、表面より最も離れた、Zr含有領域が存在する部分より深い部分においては、Zrの(Zr+Ni+Co+M)に対するモル比は小さい方がよい。前記モル比は、通常1.2%以下、好ましくは1%以下、特に好ましくは0.8%以下である。前記の深い部分におけるZrのモル比がこの範囲より大きいと、電池容量の劣化を招く恐れがある。
また、Zr含有領域におけるZrのモル比は、上記方法によって測定されたZr含有領域(一定の深度範囲にわたって存在する)の、測定点ごとにおけるZrの(Zr+Ni+Co+M)に対するモル比の平均値として求めることができる。
本発明1の正極活物質は、以上説明した(1)〜(3)の条件を満たす。当該正極活物質は、以下に説明する特性の少なくとも一つを満たすことが好ましい。
(体積基準平均粒径)
本発明1の正極活物質の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、正極を製造する際に、正極集電体に塗布するためのスラリーの液性制御が困難となる場合がある。また、上記範囲を上回ると、電池内において正極抵抗が増加するおそれがある。
体積基準平均粒径の測定は、以下のようにして行う。界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に正極活物質を分散させる。得られた分散液を、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)を用いて測定する。該測定で求められるメジアン径を、本発明1の正極活物質の体積基準平均粒径と定義する。
(BET比表面積)
本発明1の正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積で、通常0.01m・g−1以上であり、0.05m・g−1以上が好ましく、0.1m・g−1以上がさらに好ましく、また、通常10m・g−1以下であり、5m・g−1以下が好ましく、3m・g−1以下がさらに好ましい。
BET比表面積がこの範囲を下回ると、正極材料として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなる場合があり、電池安定性が低下する可能性がある。一方、この範囲を上回ると、正極材料として用いた時に非水電解液との反応性が増加することがある。この場合には、ガス発生が増加し、好ましい非水二次電池が得られない場合がある。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて行う。具体的には、試料に対して窒素流通下350℃で15分間予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって比表面積の測定を行なう。
(タップ密度)
本発明1の正極活物質のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、5g・cm−3以下が好ましく、4g・cm−3以下がさらに好ましく、3.5g・cm−3以下が特に好ましい。
タップ密度が上記範囲を下回ると、正極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の非水二次電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり、粒子間の導電性が確保されず、好ましい電池特性が得られない場合がある。
タップ密度の測定は、以下のようにして行う。試料を目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たす。その後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の試料の体積と試料の質量からタップ密度を算出する。
〔本発明1の正極活物質の製造方法〕
以下に本発明1の非水二次電池用正極活物質の製造方法の一例を説明するが、本発明1の要旨を逸脱しない正極活物質が得られる限り、どのような製造方法によって前記正極活物質を製造してもよい。
本発明1の正極活物質は、二つの処理段階を経て製造することができる。すなわち、
正極活物質コアとZr含有表面処理材料を、分散媒中において適切な条件の下で混合し、Zr含有表面処理材料と正極活物質コアの表面との間に結合を形成する段階、及び、
特定の温度条件において熱処理することによって、正極活物質コア表面に結合したZrを正極活物質コアの表面近傍に浸透させる段階、
である。以下、各段階について説明する。
<正極活物質コアとZr含有表面処理材料を、分散媒中において適切な条件の下で混合し、Zr含有表面処理材料と正極活物質コアの表面との間に結合を形成する段階>
正極活物質コアとしては、上述した正極活物質コアとなるリチウム化合物であれば特に制限はない。そのようなリチウム化合物は、例えば特開2010−92848号公報、特開2001−196063号公報などに記載の製造方法により得ることができる。
Zr表面処理材料としては、Zrを含有した化合物ならば特に制限はない。前記材料は、正極活物質コアの表面との間に効率よく結合を形成するために、触媒や反応開始剤の添加、光や熱による刺激など、特定の条件下において活性化する化合物であることが好ましい。そのような化合物として具体的には、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OCH(CH、Zr(OC10、ZrCl等が挙げられる。
Zr含有表面処理材料の混合量は、正極活物質コア100質量部に対し、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上、通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。上記範囲であれば、電池容量の低下を招くことなく、表面処理による、サイクル充放電後の正極抵抗の増加抑制効果が得られるため好ましい。
正極活物質コアとZr含有表面処理材料を混合するための分散媒としては、正極活物質コアに親和性があり、Zr含有表面処理材料を溶解させることのできるものであれば、特に制限されない。そのような分散媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトンなどが挙げられる。
分散媒の混合量は、正極活物質コア100質量部に対し、通常20質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、通常200質量部以下、好ましくは180質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。上記範囲であれば、製造コストを高くすることなく、均一にZr含有表面処理材料と正極活物質コアの表面との間に結合を形成することができるため好ましい。
また分散媒には、Zr含有表面処理材料を活性化させる触媒が含まれていることが好ましく、活性化能力の高さという点においては水が特に好ましい。触媒の添加量は、正極活物質コア100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。触媒添加量が少ないと正極活物質コアの表面とZr含有表面処理材料との間の結合形成が十分に進まない。また触媒添加量が多すぎると、Zr含有表面処理材料が自己会合を起こしてしまうおそれがある。なお、分散媒が水である場合には、水は分散媒及び触媒の両方として機能する。
正極活物質コアとZr含有表面処理材料の混合過程においては、Zr含有表面処理材料を十分活性化し、かつ、正極活物質コア表面とZr含有表面処理材料の間の結合形成を促進するために、加温することが好ましい。その際の温度としては、30〜100℃が好ましく、処理効率の観点からは、40〜80℃が特に好ましい。
正極活物質コアとZr含有表面処理材料の混合時間については、5分〜3時間が好ましく、20分〜2時間がより好ましく、30〜90分が特に好ましい。混合時間が短すぎると正極活物質コア表面とZr含有表面処理材料との間の結合形成が十分に進まないおそれがある。一方混合時間が長すぎると、正極活物質コアからLiが遊離し、正極活物質コアの劣化を招くおそれがある。
<特定の温度条件において熱処理することによって、正極活物質コア表面に結合したZrを正極活物質コアの表面近傍に浸透させる段階>
正極活物質コアとZr含有表面処理材料を混合した後には、正極活物質コア表面からZrを浸透させて、Zr含有領域を形成するために、特定の温度条件において熱処理を行う。その際の温度は、100℃を超え500℃未満であることが好ましく、110℃以上450℃未満であることが特に好ましい。温度が低すぎると、Zr含有領域となる部分におけるZr含有比率が不十分となるおそれがある。一方温度が高すぎると、Zrの正極活物質コア内部への浸透が過度に進み、電池容量の劣化が生じるおそれがある。
特に温度が600℃以上であると、Zrの正極活物質内部への浸透が促進され、表面近傍のZr量が不十分となる。結果として、本発明の要旨を満たす正極活物質が得られない。
前記熱処理の時間は、30分〜10時間が好ましく、45分〜8時間がより好ましく、1〜7時間が特に好ましい。熱処理の時間が短すぎるとZr含有領域となる部分におけるZr含有比率が不十分となるおそれがあり、長すぎると製造コストが高くなりすぎるおそれがある。
なお、上記熱処理は、減圧条件で行ってもよいし、予備的に減圧条件で処理を行った後、さらに高い温度において本処理を行ってもよい。
本段階においては、予備的に減圧下で通常105℃以上150℃以下、好ましくは110℃以上140℃以下で加温することが、特に好ましい。また、予備的に減圧下で加温する時間は、通常1〜10時間、好ましくは2〜9時間である。また、熱処理時の炉内の雰囲気は、空気でもよいし、酸素分圧を空気より高くしてもよい。
〔本発明1の非水二次電池用正極〕
本発明1の非水二次電池用正極活物質を使用して、非水二次電池用正極(以下、単に「本発明1の正極」ともいう)を製造することができる。本発明1の正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された、本発明1の正極活物質を含む正極活物質層とを備えている。
正極活物質層は、通常、正極活物質(本発明1の正極活物質である)と結着剤と、更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等とを、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着することで作製される。また、これらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、当該スラリーを正極集電体に塗布、乾燥することによっても作成される。
前記正極集電体は、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料で形成されている。また、正極集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、100μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する可能性がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる可能性がある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、従来正極活物質層の製造に使用されているものが特に限定なく使用可能である。塗布法で活物質層を作製する場合は、結着剤は、正極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよい。
その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、
SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。
なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上、80質量%以下である。結着剤の割合が低いと、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させる可能性がある。一方、前記割合が高いと、電池容量や導電性の低下につながる可能性がある。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はない。導電材の具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。
なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低いと導電性が不十分になることがある。逆に前記割合が高いと電池容量が低下することがある。
<増粘剤>
正極活物質層の形成に使用するスラリーに水系溶媒を用いる場合、増粘剤と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調整するために使用される。増粘剤として具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに増粘剤を添加する場合には、正極活物質層中における増粘剤の割合が、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲となるように添加する。上記範囲であると、良好な塗布性が得られるとともに、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極形成材料である本発明1の正極活物質、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はない。前記液体媒体として、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられる。
有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。
正極活物質層中の本発明1の正極活物質の含有割合は、通常10質量%以上、99.9質量%以下である。正極活物質層中の前記活物質の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
正極のプレス後の電極密度は、通常、2.2g/cm以上、4.2g/cm以下である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、本発明1の正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。なお、ローラープレス時の温度は室温でもよいし、上記結着剤の熱分解温度以下であれば、熱をかけてもよい。
かくして、本発明1の非水二次電池用正極が調製できる。
〔非水二次電池〕
<電池構成>
以上説明した、本発明1の非水二次電池用正極を使用することで、サイクル充放電後においても正極抵抗の増加が抑制され、電池容量の低下も小さい非水二次電池を製造することができる。ここで、本発明1の正極を使用して得られた非水二次電池(本発明1の非水二次電池)は一般に、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を備えている。
これらのうち、正極については上記で説明した通りである。前記負極、並びに非水二次電池が通常備えるセパレータや外装ケースの構成、また、電極群の構成は、後述する本発明2の非水二次電池の、対応する構成と同様である。以下、非水電解液について説明する。
<非水電解液>
本発明1の非水二次電池における非水電解液としては、従来非水二次電池に使用されている非水電解液を、特に制限なく使用できる。非水電解液は、通常公知の電解質、有機溶媒、及び添加剤を含有している。
(電解質)
前記電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、LiWF、タングステン酸リチウム類、カルボン酸リチウム塩類、スルホン酸リチウム塩類、リチウムイミド塩類、リチウムメチド塩類、リチウムオキサラトボレート塩類、リチウムオキサラトフォスフェート塩類、含フッ素有機リチウム塩類等が挙げられる。これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(有機溶媒)
前記有機溶媒としては、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、並びにスルホン系化合物等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(添加剤)
前記添加剤としては、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、環状スルホン酸エステル、イソシアネート基を有する化合物およびシアノ基を有する化合物等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
さらに、後述する本発明2の非水二次電池における非水系電解液において説明する、各種の特定添加剤や、特定添加剤以外の添加剤も、採用可能である。
以上説明した通り、本発明1の非水二次電池は、本発明1の非水二次電池用正極活物質を使用して得られた本発明1の非水二次電池用正極を備えている。前記正極活物質は、正極活物質コアが特定の組成からなり、Zr含有領域を有している。これらの構成により、本発明1の非水二次電池をサイクル充放電に付しても、正極抵抗の増加が抑制され、電池容量の低下も抑制されている。
次に、以下では、第二の課題を解決する、本発明2の非水二次電池について説明する。
[本発明2の非水二次電池]
本発明2の非水二次電池非水二次電池は、正極活物質を有する正極、負極活物質を有する負極及び非水電解液から少なくとも構成される。前記正極活物質の粒子表面には、Zr、並びに、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルコキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基が存在する。また、前記非水電解液は、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「特定添加剤」ともいう)を含有する。
本発明2の非水二次電池が第二の課題を解決する効果を奏する理由は明らかとなっていないが、当該理由として、以下の機構が推定される。すなわち、後述する、正極活物質表面のZr含有層が、正極活物質より先に、上記非水電解液中の特定添加剤と反応するためであると考えられる。以下、本発明2の非水二次電池の各構成について説明する。
〔正極活物質〕
本発明2の非水二次電池に使用される正極活物質は、その粒子表面においてZrが存在することを特徴とする。前記粒子表面においては、Zrを含有するZr含有層が形成されている。
正極活物質は、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム遷移金属酸化物を核粒子とするものである。前記リチウム遷移金属酸化物における遷移金属としては、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられる。
前記リチウム遷移金属酸化物の構造としては、スピネル構造や、層状構造や、オリビン構造などが挙げられる。中でも、下記式のような構造をとることができるリチウム遷移金属酸化物が、非水二次電池のエネルギー密度を高くできる点から好ましい。
LiM”1−t (1)
(式中、M”はリチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)からなる群より選ばれる少なくとも2種の元素を表す。AはLi、Ni、Co及びMn以外の元素であり、Aは例えば、電池性能向上のために、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,Si及びSnから選択される。
上記式において、電池容量の大きさの観点から、通常0.8≦s≦1.3、0≦t≦0.2、好ましくは、0.9≦s≦1.2、0≦t≦0.1の範囲内である。なお、前記リチウム遷移金属酸化物の組成式は、リチウム遷移金属酸化物の製造段階での組成であり、本発明2の非水二次電池の充放電に伴い、正極活物質中のLi量又は酸素量は減損している場合がある。
<Zr含有層>
本発明2の非水二次電池に使用される正極活物質は、その粒子表面に、Zrを含有する、Zr含有層を有している。Zr含有層は、正極活物質の核粒子となるリチウム遷移金属酸化物の表面の少なくとも一部に設けられたものであり、核粒子となるリチウム遷移金属酸化物とは異なる元素または組成比を有するものである。Zr含有層は、核粒子となるリチウム遷移金属酸化物の表面から内部に向かって構成元素の濃度変化を有するかたちで存在していてもよいし、核粒子となるリチウム遷移金属酸化物の表面に点在していてもよい。なお、Zr含有層はナノサイズの細孔を有していてもよい。
正極活物質の表面にZr含有層を形成すると、Zrを正極活物質の全体に添加する場合に比べて、電池特性が良い非水二次電池が得られる。このような効果が得られる理由は不明であるが、当該理由として以下が推定される。Zr含有層が存在すると、リチウム遷移金属酸化物の表面付近においてZrイオンの濃度が高い。そしてZrイオンは正極と電解液との酸化反応を抑える効果が大きいため、前記正極活物質を使用することで、電池特性が良い非水二次電池が得られると考えられる。
Zr含有層の厚みは、通常0.1〜100nm、好ましくは0.2〜70nm、さらに好ましくは、0.3〜60nmである。Zr含有層の厚みが小さすぎると、リチウム遷移金属酸化物と電解液との物理的な接触を抑える効果が小さくなる場合がある。前記厚みが大きすぎると、リチウムイオンの移動が遅くなるため、正極の抵抗増加を招く可能性がある。
なお、本発明においてZr含有層の有無は、例えば、以下の方法で判定することができる。すなわち、正極活物質を集電体に塗布して製造した正極、若しくは、充放電後の正極を試料として、X線光電子分光分析法(XPS)にて分析する。正極の表面からZrに帰属する182eV付近のピークを観測した場合には、Zr含有層が存在するということである。
Zrが存在する部分、つまり正極活物質の粒子表面に存在するZr含有層におけるZrの、当該部分に存在する全遷移金属中のモル比は、通常1.5〜30%である。前記モル比がこの範囲にあると、正極活物質の結晶構造変化を抑制して正極抵抗の増加を抑制することができ、また、電池容量が劣化しない。
<表面官能基>
また、前記正極活物質は、その粒子表面に、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルコキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有している。このような所定の表面官能基を有しているため、前記正極活物質は、電解液との反応性が高く、この反応では、非水二次電池の抵抗増加や体積膨張が起こりにくい。そしてこのような表面官能基は、正極活物質表面近傍のリチウム遷移金属酸化物および/又はZr含有層中に存在する。
なお、これらの表面官能基の存在は、熱脱着−GC/MS分析で確認できる。具体的には、熱脱着により生じた、表面官能基に由来する所定の化合物を、GC/MS分析で検出することができる。
熱脱着−GC/MS分析で確認できる表面官能基由来の化合物の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、通常20以下、好ましくは10以下である。この範囲であれば非水電解液との反応性を落とすことなく、電池内での副反応による余分なガス発生を抑えることができる。前記化合物の具体例として、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−フェニル−2−メチル−2−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、プロパナール、2−メチルプロパナール、3−フェニル−2−メチルプロパナールといった化合物が挙げられる。
以上説明した、本発明2の非水二次電池における正極活物質は、以下に説明する特性の少なくとも一つを満たすことが好ましい。
(体積基準平均粒径)
前記正極活物質は一次粒子でもよく、一次粒子からなる二次粒子でもよい。正極活物質の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)で、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、正極を製造する際に、正極集電体に塗布するためのスラリーの液性制御が困難となる場合がある。また、上記範囲を上回ると、電池内において正極抵抗が増加する場合がある。
体積基準平均粒径の測定は、以下のようにして行う。界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に正極活物質を分散させて、これを試料として、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−920)を用いて測定する。該測定で求められるメジアン径を、正極活物質の体積基準平均粒径と定義する。
(BET比表面積)
正極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積で、通常0.01m・g−1以上であり、0.05m・g−1以上が好ましく、0.1m・g−1以上がさらに好ましく、また、通常10m・g−1以下であり、5m・g−1以下が好ましく、3m・g−1以下がさらに好ましい。
BET比表面積がこの範囲を下回ると、正極材料として用いた場合の充電時にリチウムの受け入れ性が悪くなることがあり、そのため電池性能が低下する可能性がある。一方、この範囲を上回ると、正極材料として用いた時に非水電解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなり、好ましい非水二次電池が得られない場合がある。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて行う。試料に対して窒素流通下150℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって、比表面積の測定を行なう。
(タップ密度)
正極活物質のタップ密度は、通常0.5g・cm−3以上であり、1.0g・cm−3以上が好ましく、1.5g・cm−3以上がさらに好ましく、2g・cm−3以上が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、正極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の非水二次電池を得ることができない場合がある。
タップ密度の測定は、以下のようにして行う。目開き150μmの篩を通過させた試料を、20cmのタッピングセルに落下させて前記セルの上端面まで試料を満たす。その後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の試料の体積と試料の質量からタップ密度を算出する。
<Zr含有層及び表面官能基を有する正極活物質の製造方法>
次に、本発明2の非水二次電池に使用される、Zr含有層及び所定の表面官能基を有する正極活物質の製造方法の一例を説明する。なお、当該正極活物質は、本発明の要旨を逸脱しない限り、どのような製造方法によって得てもよい。
前記正極活物質は、二つの処理段階を経て製造することができる。すなわち、
核となる原料正極活物質とZr含有表面処理材料を、分散媒中において適切な条件の下で混合し、Zr含有表面処理材料と原料正極活物質の表面との間に結合を形成する段階(段階1)、並びに、
特定の温度条件において熱処理することによって分散媒の除去、及び、Zr含有表面処理材料と原料正極活物質の表面との間の結合を強化する段階(段階2)である。以下、各段階について説明する。
(段階1)
前記原料正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物であれば特に制限はない。当該リチウム遷移金属酸化物は、例えば特開2010−92848号公報、特開2001−196063号公報などに記載の製造方法により得ることができる。
前記Zr表面処理材料は、Zrを含有した化合物ならば特に制限はない。当該材料は、原料正極活物質表面との間に効率よく結合を形成するために、触媒や反応開始剤の添加、光や熱による刺激など、特定の条件下において活性化する化合物であることが好ましい。そのような化合物の具体例として、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OCH(CH、Zr(OC10、ZrCl等が挙げられる。
Zr含有表面処理材料の混合量は、原料正極活物質100質量部に対し、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上、通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。上記範囲であれば、電池容量の低下を招くことなく、表面処理による正極抵抗の増加抑制効果が得られるため好ましい。
原料正極活物質とZr含有表面処理材料を混合するための分散媒は、原料正極活物質に親和性があり、Zr含有表面処理材料を溶解させることができるものであれば、特に制限はない。そのような分散媒として、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトンなどが挙げられる。
分散媒の混合量は、原料正極活物質100質量部に対し、通常20質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、通常200質量部以下、好ましくは180質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。上記範囲であれば、製造コストを高くすることなく、均一にZr含有表面処理材料と原料正極活物質の表面との間に結合を形成することができるため好ましい。
また分散媒には、Zr含有表面処理材料を活性化させる触媒が含まれていることが好ましく、活性化能力の高さという点においては水が特に好ましい。触媒の添加量は、原料正極活物質100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。触媒含有量が少ないと原料正極活物質表面とZr含有表面処理材料との間の結合形成が十分に進まない。一方含有量が多すぎると、Zr含有表面処理材料が自己会合を起こしてしまうおそれがある。なお、分散媒が水である場合には、水は分散媒及び触媒の両方として機能する。
原料正極活物質とZr含有表面処理材料の混合過程においては、Zr含有表面処理材料を十分活性化し、かつ、原料正極活物質表面とZr含有表面処理材料の間の結合形成を促進するために、加温することが好ましい。その際の温度としては、30〜100℃が好ましく、処理効率の観点からは、40〜80℃が特に好ましい。
原料正極活物質とZr含有表面処理材料の混合時間については、5分〜3時間が好ましく、20分〜2時間がより好ましく、30〜90分が特に好ましい。混合時間が短すぎると原料正極活物質表面とZr含有表面処理材料との間の結合形成が十分に進まないおそれがある。一方混合時間が長すぎると、原料正極活物質からLiが遊離し、得られる正極活物質の劣化を招くおそれがある。
(段階2)
核となる原料正極活物質とZr含有表面処理材料とを混合した後には、段階2として、分散媒の除去、及び、Zr含有表面処理材料と原料正極活物質の表面との間の結合を強化するために、特定の温度条件において熱処理を行う。
当該熱処理の温度は、80℃を超え500℃未満であることが好ましく、100℃以上400℃未満であることが特に好ましい。温度が低すぎると、分散媒が十分に除去されないか、Zr含有表面処理材料と原料正極活物質の表面との間の結合が不十分となるおそれがある。一方温度が高すぎると、Zrが原料正極活物質内部へ浸透してしまい、電池容量の劣化が生じるおそれがある。
熱処理の時間は、30分〜10時間が好ましく、45分〜8時間がより好ましく、1〜7時間が特に好ましい。熱処理の時間が短すぎると、上述のように分散媒の残留や結合が不十分となるおそれがある。一方熱処理が長すぎると、製造コストが高くなりすぎるおそれがある。
なお、上記熱処理は減圧条件で行ってもよいし、予備的に減圧条件で処理を行った後、さらに高い温度において本処理を行ってもよい。
本段階2においては、予備的に減圧下で通常105℃以上150℃以下、好ましくは110℃以上140℃以下で加温することが特に好ましい。また、予備的に減圧下で加温する時間は、通常1〜10時間、好ましくは2〜9時間である。また、熱処理時の炉内の雰囲気は、空気でもよいし、酸素分圧を空気より高くしてもよい。
〔非水二次電池用正極〕
本発明2の非水二次電池に使用する非水二次電池用正極は、以上説明した正極活物質、及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。本発明2の非水二次電池における正極の構成は、正極活物質層における正極活物質として、以上説明した、Zr含有層及び表面官能基を有する正極活物質を使用する以外は、本発明1の非水二次電池における非水二次電池用正極と同様である。
〔非水電解液〕
本発明2の非水二次電池の製造に使用される非水電解液としては、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(特定添加剤)を含有するものであれば、特に制限はない。これを、非水電解液に通常用いられる、公知の電解質、有機溶媒、及び必要に応じてその他の添加剤と組合せて、非水電解液とする。前記電解質及び有機溶媒はそれぞれ、上記で説明した、本発明1の非水二次電池における、非水電解液を構成する電解質及び有機溶媒と同様である。
本発明2の非水二次電池は、以上説明した、Zr含有層及び表面官能基を有する正極活物質と、特定添加剤を含む非水電解液とを備えている。このような構成のため、高温且つ高電圧環境下で保存しても、前記非水二次電池は、体積や抵抗率の増加が小さい。以下、前記特定添加剤について、順に説明する。
<炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート>
上記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環または炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカーボネート類等が挙げられる。
前記ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ジビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート等が挙げられる。
前記芳香環または炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−エチニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。
以上挙げた中でも、好ましい不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネートは特に安定な界面保護被膜を形成するので、より好ましく、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが特に好ましい。
不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、80以上、より好ましくは85以上であり、また、好ましくは、250以下であり、より好ましくは150以下である。この範囲であれば、非水電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が十分に発現されやすい。
不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。また、市販もされている。
不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートの含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、本発明2の非水二次電池の効果を十分に享受できる。具体的には、電池の高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。さらに、前記含有量が前記範囲内であれば、前記非水二次電池が十分なサイクル特性も発揮することができる。
<イソシアネート化合物もしくはその縮合物>
上記イソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を有している化合物であれば特にその種類は限定されない。少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物が好ましい。
イソシアネート化合物の具体例としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ターシャルブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネートヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、エチニルイソシアネート、プロピニルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フロロフェニルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物;
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、カルボニルジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン−1,4−ジオン、1,5−ジイソシアナトペンタン−1,5−ジオン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートなどのジイソシアネート化合物;
また、それぞれ下記式(1)〜(4)の基本構造で示されるビウレット、イソシアヌレート、アダクト、及び二官能のタイプの変性ポリイソシアネート化合物が挙げられる(式中、R及びRはそれぞれ任意の炭化水素基である)。




等が挙げられる。
これらのうち、モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のジイソシアネート化合物と、上記式(1)〜(4)の基本構造で示されるビウレット、イソシアヌレート、アダクト、及び二官能のタイプの変性ポリイソシアネート化合物が、保存特性向上の点から好ましく、
ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートがより好ましい。
イソシアネート化合物もしくはその縮合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中のイソシアネート化合物もしくはその縮合物の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
<フッ素化オキソ酸塩>
本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の負極表面に皮膜を形成し、電池の長寿命化を達成するために、非水電解液においてフッ素化オキソ酸塩を用いることが効果的である。
フッ素化オキソ酸塩としては、フッ素置換リン酸塩類、フッ素置換カルボン酸塩類、フッ素置換スルホン酸塩類、フッ素置換硫酸塩類等が挙げられる。
フッ素化オキソ酸塩のカウンターカチオンに特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表す。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
前記アンモニウムのR〜Rで表わされる炭素数1〜12の有機基としては特に限定はないが、例えば、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基、置換基を有していてもよい窒素原子含有複素環基等が挙げられる。中でもR〜Rとして、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は窒素原子含有複素環基が好ましい。
また、非水電解液の耐リチウム電析性や耐酸化性の点から、上記カウンターカチオンの中でもリチウムが最も好ましい。
上記フッ素置換リン酸塩類としてはモノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩が挙げられる。これらの具体例としては、モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウムがより好ましい。
上記フッ素置換カルボン酸塩類としては、フルオロギ酸塩、モノフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩が挙げられる。これらの具体例としては、フルオロギ酸リチウム、モノフルオロ酢酸リチウム、ジフルオロ酢酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウムが挙げられる。
上記フッ素置換スルホン酸塩類としては、フルオロスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩が挙げられる。これらの具体例としては、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸リチウムが挙げられる。
上記フッ素置換硫酸塩類としては、トリフルオロメチル硫酸塩、ペンタフルオロエチル硫酸塩が挙げられる。これらの具体例としては、トリフルオロメチル硫酸リチウム、ペンタフルオロエチル硫酸リチウムが挙げられる。
以上挙げた中でも、好ましいフッ素化オキソ酸塩は、フルオロスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムである。これらは安定な界面保護被膜を形成するからである。
フッ素化オキソ酸塩は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、フッ素化オキソ酸塩の配合量は、非水電解液100質量%中、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすい。また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
<ニトリル化合物>
上記ニトリル化合物は、分子内にニトリル基を有している化合物であれば特にその種類は限定されない。少なくとも2つのニトリル基を有する化合物が好ましい。
ニトリル化合物の具体例としては、例えば、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等のニトリル基を1つ有する化合物;
マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,3,3−トリメチルスクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチルスクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジエチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジカルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイソブチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のニトリル基を2つ有する化合物;
シクロヘキサントリカルボニトリル、トリスシアノエチルアミン、トリスシアノエトキシプロパン、トリシアノエチレン、ペンタントリカルボニトリル、プロパントリカルボニトリル、ヘプタントリカルボニトリル等のニトリル基を3つ有する化合物;
等が挙げられる。
これらのうち、ラウロニトリル、クロトノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、フマロニトリル、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが保存特性向上の点から好ましい。
また、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、フマロニトリル、3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のニトリル基を2つ有する化合物がより好ましく、
スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリルがさらに好ましい。
ニトリル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中のニトリル化合物の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
<芳香族化合物>
上記芳香族化合物は、芳香族基を有する化合物であれば特に制限はない。その具体例としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族含有炭化水素;
メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、n−プロピルフェニルカーボネート、i−プロピルフェニルカーボネート、n−ブチルフェニルカーボネート、i−ブチルフェニルカーボネート、sec−ブチルフェニルカーボネート、t−ブチルフェニルカーボネート、n−ペンチルフェニルカーボネート、t−アミルフェニルカーボネート、(1,1−ジメチルブチル)フェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の芳香族含有炭酸エステルが挙げられる。
これらの中でも、好ましい芳香族化合物は、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、n−プロピルフェニルカーボネート、n−ブチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネートである。これらを使用すると、活性なベンジル水素がないため正極における副反応が抑えられるからである。
芳香族化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中の芳香族化合物の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
<ホスホン酸エステル化合物>
上記ホスホン酸エステル化合物に特に制限はないが、具体的には
トリメチルホスホノフォルメート、
メチルジエチルホスホノフォルメート、
メチルジプロピルホスホノフォルメート、
メチルジブチルホスホノフォルメート、
トリエチルホスホノフォルメート、
エチルジメチルホスホノフォルメート、
エチルジプロピルホスホノフォルメート、
エチルジブチルホスホノフォルメート、
トリプロピルホスホノフォルメート、
プロピルジメチルホスホノフォルメート、
プロピルジエチルホスホノフォルメート、
プロピルジブチルホスホノフォルメート、
トリブチルホスホノフォルメート、
ブチルジメチルホスホノフォルメート、
ブチルジエチルホスホノフォルメート、
ブチルジプロピルホスホノフォルメート、
メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、
エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、
プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、
ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート等
トリメチルホスホノアセテート、
メチルジエチルホスホノアセテート、
メチルジプロピルホスホノアセテート、
メチルジブチルホスホノアセテート、
トリエチルホスホノアセテート、
エチルジメチルホスホノアセテート、
エチルジプロピルホスホノアセテート、
エチルジブチルホスホノアセテート、
トリプロピルホスホノアセテート、
プロピルジメチルホスホノアセテート、
プロピルジエチルホスホノアセテート、
プロピルジブチルホスホノアセテート、
トリブチルホスホノアセテート、
ブチルジメチルホスホノアセテート、
ブチルジエチルホスホノアセテート、
ブチルジプロピルホスホノアセテート、
メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート
トリメチル−3−ホスホノプロピオネート、
メチルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、
メチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、
メチルジブチル−3−ホスホノプロピオネート、
トリエチル−3−ホスホノプロピオネート、
エチルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、
エチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、
エチルジブチル−3−ホスホノプロピオネート、
トリプロピル−3−ホスホノプロピオネート、
プロピルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、
プロピルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、
プロピルジブチル−3−ホスホノプロピオネート、
トリブチル−3−ホスホノプロピオネート、
ブチルジメチル−3−ホスホノプロピオネート、
ブチルジエチル−3−ホスホノプロピオネート、
ブチルジプロピル−3−ホスホノプロピオネート、
メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、
エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、
プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、
ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)−3−ホスホノプロピオネート、
トリメチル−4−ホスホノブチレート、
メチルジエチル−4−ホスホノブチレート、
メチルジプロピル−4−ホスホノブチレート、
メチルジブチル−4−ホスホノブチレート、
トリエチル−4−ホスホノブチレート、
エチルジメチル−4−ホスホノブチレート、
エチルジプロピル−4−ホスホノブチレート、
エチルジブチル−4−ホスホノブチレート、
トリプロピル−4−ホスホノブチレート、
プロピルジメチル−4−ホスホノブチレート、
プロピルジエチル−4−ホスホノブチレート、
プロピルジブチル−4−ホスホノブチレート、
トリブチル−4−ホスホノブチレート、
ブチルジメチル−4−ホスホノブチレート、
ブチルジエチル−4−ホスホノブチレート、
ブチルジプロピル−4−ホスホノブチレート、
2−プロピニル2−(ジメトキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジフェノキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)−2−フルオロアセテート、2−プロピニル−3−(ジエトキシホスホリル)プロパノエート、1−メチル−2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1,1−ジメチル−2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、2−トリフルオロメチルフェニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、4−トリフルオロメチルフェニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、メチル−2−(2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)アセテート、2−(2−(ジエトキシホスホリル)アセトキシ)エチルメチルオギザレート、2−ブチン−1,4−ジイルビス(2−(ジエトキシホスホリル)アセテート)、及び2−シアノエチル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテートが挙げられる。
これらの中でも、好ましいホスホン酸エステル化合物は、トリメチルホスホノアセテート、
メチルジエチルホスホノアセテート、
メチルジプロピルホスホノアセテート、
メチルジブチルホスホノアセテート、
トリエチルホスホノアセテート、
エチルジメチルホスホノアセテート、
エチルジプロピルホスホノアセテート、
エチルジブチルホスホノアセテート、
トリプロピルホスホノアセテート、
プロピルジメチルホスホノアセテート、
プロピルジエチルホスホノアセテート、
プロピルジブチルホスホノアセテート、
トリブチルホスホノアセテート、
ブチルジメチルホスホノアセテート、
ブチルジエチルホスホノアセテート、
ブチルジプロピルホスホノアセテート、
メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
エチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、2−プロピニル−2−(ジメトキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジフェノキシホスホリル)アセテート、2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)−2−フルオロアセテート、2−プロピニル−3−(ジエトキシホスホリル)プロパノエート、1−メチル−2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1,1−ジメチル−2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、2−トリフルオロメチルフェニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、4−トリフルオロメチルフェニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、メチル−2−(2−オキシド−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−イル)アセテート、2−(2−(ジエトキシホスホリル)アセトキシ)エチルメチルオギザレート、2−ブチン−1,4−ジイルビス(2−(ジエトキシホスホリル)アセテート)、及び2−シアノエチル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテートである。これらはキレート配位しやすい構造であるため、正極に対する保護作用が強いからである。
ホスホン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中のホスホン酸エステル化合物の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
<ハロゲン含有環状カーボネート>
上記ハロゲン含有環状カーボネートとしては、フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「フッ素化環状カーボネート」と記載する場合がある)が挙げられる。フッ素化環状カーボネートは、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はされない。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数2〜6のアルキレン基を有する環状カーボネートのフッ素化物、及びその誘導体が挙げられる。具体例としては、エチレンカーボネートのフッ素化物、及びその誘導体が挙げられる。前記エチレンカーボネートのフッ素化物の誘導体としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素原子数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられる。中でもフッ素原子を1〜8個有するエチレンカーボネート、及びその誘導体が好ましい。
フッ素化環状カーボネートとして具体的には、
モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
これらの中でも、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、非水電解液に高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成するため、より好ましい。
以上説明したハロゲン含有環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ハロゲン含有環状カーボネートの含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
上記範囲内であれば、本発明2の非水二次電池について、高温保存特性が低下したり、ガス発生量の増加により、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。さらに、前記非水二次電池において、サイクル特性が向上する。
<オキサラート塩>
上記オキサラート塩に特に制限はなく、任意のオキサラート塩を用いることができる。オキサラート塩としては、ビス(オキサラート)ホウ酸、ジフルオロ(オキサラート)ホウ酸塩、トリス(オキサラート)リン酸塩、ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸塩、テトラフルオロ(オキサラート)リン酸塩
等が挙げられる。
オキサラート塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等が例示として挙げられる。非水電解液の耐リチウム電析性や耐酸化性の点から、上記カウンターカチオンの中でもリチウムが最も好ましい。
具体的には、
ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、
ジフルオロ(オキサラート)ホウ酸リチウム、
トリス(オキサラート)リン酸リチウム、
ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸リチウム、
テトラフルオロ(オキサラート)リン酸リチウム、
ビス(オキサラート)ホウ酸カリウム、
ジフルオロ(オキサラート)ホウ酸カリウム、
トリス(オキサラート)リン酸カリウム、
ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸カリウム、
テトラフルオロ(オキサラート)リン酸カリウム、
ビス(オキサラート)ホウ酸ナトリウム、
ジフルオロ(オキサラート)ホウ酸ナトリウム、
トリス(オキサラート)リン酸ナトリウム、
ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸ナトリウム、
テトラフルオロ(オキサラート)リン酸ナトリウム
が挙げられる。
中でも、好ましいオキサラート塩としては、
ビス(オキサラート)ホウ酸リチウム、
ジフルオロ(オキサラート)ホウ酸リチウム、
トリス(オキサラート)リン酸リチウム、
ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸リチウム、
テトラフルオロ(オキサラート)リン酸リチウムが、耐リチウム電析の点からより好適に用いられる。
オキサラート塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中のオキサラート塩の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
<特定添加剤の含有量>
以上説明した特定添加剤は、それぞれの種類において好ましい非水電解液中の含有量がある。特定添加剤全体としての非水電解液中の含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、0.001質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。この範囲であると、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、添加したそれぞれの特定添加剤の効果を享受することができる。また、この範囲であればいずれかの特定添加剤が過剰に配合されることもなく、過剰配合による不利な効果が発現することもない。
<特定添加剤以外の添加剤>
本発明2の非水二次電池に用いられる非水電解液において、目的に応じて上記特定添加剤以外に、適宜他の添加剤を用いてもよい。他の添加剤としては、以下に示される環状スルホン酸エステル、その他の添加剤等が挙げられる。
(環状スルホン酸エステル)
前記環状スルホン酸エステルは、環状構造を有するスルホン酸エステルであれば特にその種類は限定されない。
環状スルホン酸エステルの具体例としては、例えば、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、1−メチル−1,4−ブタンスルトン、2−メチル−1,4−ブタンスルトン、3−メチル−1,4−ブタンスルトン、4−メチル−1,4−ブタンスルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、2−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、1,5−ペンタンスルトン、1−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、2−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、3−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、4−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、5−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、1−メチル−1,5−ペンタンスルトン、2−メチル−1,5−ペンタンスルトン、3−メチル−1,5−ペンタンスルトン、4−メチル−1,5−ペンタンスルトン、5−メチル−1,5−ペンタンスルトン、1−ペンテン−1,5−スルトン、2−ペンテン−1,5−スルトン、3−ペンテン−1,5−スルトン、4−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、メチレンスルフェート、エチレンスルフェート、プロピレンスルフェート等が挙げられる。
これらのうち、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネートが、本発明2の非水二次電池の保存特性向上の点から好ましく、1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトンがより好ましい。
環状スルホン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。非水電解液中の環状スルホン酸エステルの含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記範囲を満たした場合は、本発明2の非水二次電池の効果に加えて、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性等が向上する。
(その他の添加剤)
非水電解液には、公知のその他の添加剤を添加することができる。その他の添加剤としては、
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;
無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物、および5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物;
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;
エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル、1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン
等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;
亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジメチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢エチル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド等の含燐化合物;
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;
等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの添加剤を添加することにより、本発明2の非水二次電池の高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
その他の添加剤の非水電解液中の含有量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。前記含有量は、非水電解液全体(100質量%)に対し、好ましくは、0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。この範囲であれば、その他の添加剤の効果が十分に発現しやすく、高負荷放電特性等の電池特性が低下するといった事態も回避しやすい。
以上説明した、本発明2の非水二次電池に用いられる非水電解液は、当該非水二次電池の内部に存在するものも包含する。
具体的には、以下の場合が挙げられる。
電解質や有機溶媒等の非水電解液の構成要素を別途合成し、実質的に単離されたものから非水電解液を調製し、下記に記載する方法にて別途組み立てた非水二次電池内に注液して得た非水二次電池内の非水電解液である場合。
非水電解液の構成要素を個別に非水二次電池内に入れておき、電池内にて混合することにより非水電解液と同じ組成を得る場合。
非水電解液を構成する化合物を非水二次電池内で発生させて、非水電解液と同じ組成を得る場合。
また、本発明2の非水二次電池に使用される非水電解液は、上述の通り炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートなどの必須成分(特定添加剤)を含有し、環状スルホン酸エステルやその他の添加剤などを任意に含んでもよい。当該電解液は、電池のガス発生抑制、低抵抗化の観点から、Zr又はZrの化合物を含むことが好ましい。前記Zrの化合物としては、(Zr(OC、Zr(OC、Zr(OCH(CH、Zr(OC10、ZrCl等及びこれらの酸化物が挙げられる。
なお、前記非水電解液中のZrは、外部から非水電解液に添加したものであってもよい。さらに、前記非水電解液は、当初はZrを含まないが、非水二次電池を製造して充放電を行い、電極に含まれるZrが溶けだした結果、Zrを含むこととなった非水電解液であってもよい。
このようなZr又はZrの化合物を含む非水電解液も、本明細書に開示される発明の一つであり、これを使用することで、サイクル充放電後の正極抵抗の増加や電池容量の低下が抑制され、また高温高電圧環境下での保存特性に優れた非水二次電池を製造することができる。当該非水二次電池は、Zr又はZrの化合物を含む非水電解液を備えているということ以外は、従来公知の構成を有している。すなわち当該非水二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を含む。
[本発明1の非水二次電池、本発明2の非水二次電池]
本発明1の非水二次電池用正極活物質を使用して得られた、本発明1の非水二次電池としては、特にリチウム二次電池が好適である。また、本発明2の非水二次電池も、リチウム二次電池として好適に利用できる。以下、これら両非水二次電池(以下、これらをまとめて「本発明の非水二次電池」ともいう)の電池構成について説明する。
〔電池構成〕
本発明の非水二次電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極と、本発明1及び2の非水二次電池における所定の正極活物質を含有する正極と、非水電解液とを備える。
<非水二次電池用負極>
負極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法でも用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって、集電体上に負極活物質層を有する、負極を形成することができる。バインダー(結着剤)、増粘剤、導電材としては、正極の形成に使用したものと同様のものを使用することができる。
また、負極活物質として合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
(負極活物質)
前記負極活物質は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
前記炭素質材料としては、(1)天然黒鉛、(2)人造黒鉛、(3)非晶質炭素、(4)炭素被覆黒鉛、(5)黒鉛被覆黒鉛、(6)樹脂被覆黒鉛等が挙げられる。
また、(1)〜(6)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、(1)の天然黒鉛とそのほかの炭素質材料を組み合わせて用いる場合、全炭素質材料のうち天然黒鉛が占める比率が50質量%以上であることが好ましい。
負極活物質として用いられる合金系材料は、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよい。前記リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料が好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズの単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料は、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に制限されない。高電流密度充放電特性の点からはチタン及びリチウムを含有する材料が好ましく、より好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属複合酸化物材料であり、さらに好ましくはリチウムとチタンの複合酸化物である。即ちスピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、負極活物質として用いると、本発明の非水二次電池の出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
(集電体)
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料で形成されたものが挙げられる。前記材料としては、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
<セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、非水電解液に対し安定な材料、すなわち樹脂、ガラス繊維、無機物等で形成されたセパレータが好ましい。また、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態のセパレータを用いるのが好ましい。
<電池設計>
(電極群)
電極群は、上記の正極と負極とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極と負極とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりする。この結果、電池内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性が低下する。さらには、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
(外装ケース)
外装ケースの材質は用いられる非水電解液に対して安定なものであれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
金属類を用いる外装ケースとしては、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造としたもの、及び、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を用いてかしめ構造としたものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースとしては、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造としたもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。また、外装体の形状も任意である。当該形状の例として、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[本発明1に関する実施例及び比較例]
まず、本発明1の非水二次電池用正極活物質、非水二次電池用正極、非水二次電池に関する実施例及び比較例を示す。
〔実施例1−1〕
<正極活物質1の作製>
元素組成がLiNi0.33Co0.33Mn0.33である正極活物質コア100質量部に、プロパノール50質量部を加えた。ここに17質量部のプロパノールに溶解したジルコニウム(IV)テトラプロポキシド2質量部を加えて撹拌した。その後、得られた反応混合液に、0.7質量部の水及びプロパノール16質量部の混合液を滴下して、さらに60℃で加温しながら1時間撹拌した。溶媒を除去して得られた粉体を減圧下、120℃の温度で5時間加温した。その後、空気下焼成炉中において、400℃の温度で3時間熱処理を行って、正極活物質1を得た。
<正極の作製>
正極活物質1を85質量部と、導電材としてアセチレンブラック10質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量部とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質として黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を用意し、これらをディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極を作製した。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように、スラリー作製の際に各成分を配合した。
<非水電解液>
非水電解液としては、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートからなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPFを1mol/Lの割合で溶解させたものを用いた。
<二次電池の作製>
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素を、アルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆してなるラミネートフィルムからなる袋内に、正・負極の端子を突設させながら挿入した。その後、非水電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水二次電池を作製した。
<初期抵抗評価>
非水二次電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、12時間以上かけて電圧4.1Vまで充電した後、3.0Vまで定電流放電を行った。さらに、3時間以上かけて4.2Vまで定電流充電した後、3.0Vまで定電流放電する操作を2回行った。その後、3時間以上かけて4.5Vまで定電流充電した後、3.0Vまで定電流放電する操作を2回行った。このときの2回目の放電時の容量を「基準容量」とした。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
以上の操作の後、電圧3.8Vまで充電を行った非水二次電池について、温度25℃、電圧の振幅10mV、周波数領域20000〜0.02Hzの条件でインピーダンス測定を実施した。得られたインピーダンス測定結果から、測定周波数と複素インピーダンスの虚部をプロットした。100〜1Hzの領域における極大値を非水二次電池の「初期の正極抵抗の指標」とした。
<サイクル充放電後の抵抗評価>
初期抵抗評価を実施した非水二次電池について、サイクル充放電を行い、その後の抵抗を評価した。具体的には以下の通りである。
温度60℃の環境下、電流値1Cにて非水二次電池を4.5Vまで定電流充電し、さらに電流値が0.1Cとなるまで定電圧充電した。その後、1Cにて3.0Vまで定電流放電を行った。以上の充放電過程を1サイクルとし、50サイクルの充放電を実施した。
50サイクル後の非水二次電池について、上記初期抵抗評価と同様にインピーダンス測定を行い、正極抵抗の指標を得た。上記で求めた「初期の正極抵抗の指標」を100としたときの、50サイクル後の正極抵抗指標の値を、「サイクル充放電後の正極の相対抵抗値」とした。
<Zr含有領域の評価>
正極活物質1を用いて作製した正極から、集束イオンビーム(FIB)を用いて切片を作製し、この切片を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した。観察された正極活物質1の粒子表面部分から内部方向に向かって、一定間隔毎にエネルギー分散X線分光法(EDS)によって元素組成を分析した。このとき、正極活物質1の表面近傍において、正極活物質コアの構成元素が初めて検出される点を正極活物質1の表面とし、その点からの距離を深度とした。結果を図1に示す。
なお、Zr含有領域は、Ni、Co、Mn及びZrが全て、モル比で1.5%以上含まれる領域として判定した。また、(Zr+Ni+Co+M)に対するZrのモル比は、当該領域における測定点ごとのZr含有比率の平均値として測定した。
図1から、実施例1−1の正極活物質1は、正極活物質表面から0.8〜8nmの深度の部分に、Zrと正極活物質コアの構成金属元素(Ni、Co、Mn)を含むZr含有領域を持つ。当該領域における、(Zr+Ni+Co+Mn)に対するZrのモル比は15%であるが、Zr含有領域よりも深い8nmを超え、80nmまでの深度におけるZrのモル比は0.1%である。
〔実施例1−2〕
温度400℃の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1−1と同様の操作を行って正極活物質2を作製し、実施例1−1と同様の操作を行って電池を作製、評価した。
〔実施例1−3〕
元素組成がLiNi0.80Co0.15Al0.05である正極活物質コア100質量部に、プロパノール38質量部を加えた。ここに6質量部のプロパノールに溶解したジルコニウム(IV)テトラプロポキシド0.6質量部を加えて撹拌した。その後、反応混合液に、0.5質量部の水及びプロパノール12質量部の混合液を滴下して、さらに60℃で加温しながら1時間撹拌した。溶媒を留去して得られた粉体を減圧下、120℃の温度で8時間加温して、正極活物質3を得た。
その後、85質量部の正極活物質1を95質量部の正極活物質3としたこと、アセチレンブラックを3質量部としたこと、PVdFを2質量部としたこと以外は、実施例1−1と同様の操作を行って正極を作製した。
負極の作製、非水電解液、非水二次電池の作製は実施例1−1と同様の方法で実施した。
<初期抵抗評価>
正極活物質3を用いて作製した非水二次電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、5時間以上かけて電圧4.2Vまで充電した後、3.0Vまで定電流放電する操作を4回実施した。このときの4回目の放電時の容量を「基準容量」とした。
その後、4.1Vまで充電した非水二次電池を60℃で12時間静置した。以上の操作の後、3.0Vまで放電した電池を3.7Vまで再度充電し、温度−10℃、電圧の振幅10mV、周波数領域20000〜0.02Hzの条件でインピーダンス測定を実施した。得られたインピーダンス測定結果から、測定周波数と複素インピーダンスの虚部をプロットした。100〜1Hzの領域における極大値を「初期の正極抵抗の指標」とした。
<サイクル充放電後の抵抗・容量評価>
初期抵抗評価を実施した非水二次電池について、サイクル充放電を行い、その後の抵抗及び容量を評価した。具体的には以下の通りである。
温度60℃の環境下、電流値2Cにて4.2Vまで定電流充電を行い、さらに電流値が0.1Cとなるまで定電圧充電した。その後、2Cにて3.0Vまで定電流放電を行った。以上の充放電過程を1サイクルとし、100サイクルの充放電を実施した。
また、初回、50サイクル後及び100サイクル後の充放電においては、放電を電流値0.2Cで実施し、初回の放電時の容量を100とした時の、100サイクル後の放電時の容量を「サイクル充放電後の容量の指標」とした。また、50サイクル後の電池について、初期の正極抵抗の指標の測定と同様にインピーダンス測定を行い、正極抵抗の指標を得た。そして、「初期の正極抵抗の指標」を100としたときの50サイクル後の正極抵抗指標の値を、「サイクル充放電後の正極の相対抵抗値」とした。
〔比較例1−1〕
元素組成がLiNi0.33Co0.33Mn0.33である正極活物質4を85質量部と、導電材としてアセチレンブラック5質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極を作製した。この正極を使用して、実施例1−1と同様の操作を行って非水二次電池を作製、評価した。
なお、実施例1−1と同様に、正極活物質4についてZr含有領域の評価を行った。結果を図2に示す。Zrは検出されなかったため、図2においてZrのプロットはされていない。図2から、比較例1−1の、表面処理をしていない正極活物質4は、当該活物質の表面近傍にZr含有領域を持たないことが分かる。
〔比較例1−2〕
元素組成がLiNi0.33Co0.33Mn0.33である正極活物質100質量部に、ZrOナノ粒子(粒径100nm未満)0.5質量部を加え、混合物に対してメカノケミカル処理を行った。これにより、表面にZrOの被覆層を持つが、Zrと正極活物質コアの構成金属元素(Ni、Co、Mn)との双方を含む領域を持たない正極活物質5を作製した。
正極活物質として、正極活物質5を用いたこと以外は比較例1−1と同様の操作を行って、正極を作製した。この正極を使用して、実施例1−1と同様の操作を行って非水二次電池を作製、評価した。
〔比較例1−3〕
元素組成がLiNi0.80Co0.15Al0.05である正極活物質6を95質量部と、導電材としてアセチレンブラック3質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)2質量部とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極を作製した。
この正極を使用して、実施例1−3と同様の操作を行って非水二次電池を作製、評価した。ただし、サイクル充放電後の電池容量の指標は求めていない。
〔比較例1−4〕
ジルコニウム(IV)テトラプロポキシドをアルミニウム(III)イソプロポキシドとしたこと以外は、実施例1−3と同様の操作を行って、正極活物質7を作製した。この正極活物質7を使用して実施例1−3と同様の操作を行って、非水二次電池の作製、評価をした。ただし、サイクル充放電後の正極の相対抵抗値は求めていない。
〔比較例1−5〕
焼成炉における熱処理温度を800℃としたこと以外は、実施例1−1と同様の操作を行って、正極活物質8を作製した。この正極活物質8を使用して、実施例1−1と同様の操作を行って非水二次電池を作製、評価した。
以上の評価結果を、下記表1及び表2に示す。
実施例1−1〜1−3と比較例1−1、1−3から、本発明1の正極活物質を用いて製造した非水二次電池においては、サイクル充放電後の相対抵抗値が小さく抑えられていることが分かる。
また、実施例1−1と比較例1−2から、以下のことがわかる。本発明1の正極活物質を用いて製造した非水二次電池(実施例1−1)においては、正極活物質の表面近傍にZr含有領域が存在する。一方比較例1−2で作製された正極活物質は、ZrOの被覆層を持つが、Zrと正極活物質コアの構成金属元素(Ni、Co、Mn)の双方を含む領域を持たない。このような実施例1−1の非水二次電池と比較例1−2の非水二次電池を比べると、前者の方が、サイクル充放電の後の抵抗の増加が大きく抑えられている。
実施例1−3と比較例1−4から、本発明1の正極活物質を用いて製造した非水二次電池(実施例1−3)においては、Zr含有表面処理材料の代わりに、Alを含有した表面処理材料を用いて、同様の表面処理を行った正極活物質を用いて製造した非水二次電池(比較例1−4)においてよりも、サイクル充放電の後の電池容量の減少が抑えられていることが分かる。
実施例1−1と比較例1−5から、本発明1の正極活物質を用いて製造した電池(実施例1−1)においては、製造時の熱処理温度が高く、活物質の表面近傍のZr量が不十分な正極活物質を用いて製造した非水二次電池(比較例1−5)においてよりも、サイクル充放電の後の相対抵抗値が小さく抑えられていることが分かる。
[本発明2に関する実施例及び比較例]
次に、本発明2の非水二次電池に関する実施例及び比較例を示す。
<非水二次電池用正極活物質の作製>
元素組成がLiNi0.80Co0.15Al0.05であるリチウム遷移金属酸化物100質量部に、プロパノール38質量部を加えた。ここに6質量部のプロパノールに溶解したジルコニウム(IV)テトラプロポキシド0.6質量部を加えて撹拌した後、0.5質量部の水とプロパノール12質量部の混合液を滴下した。さらに、得られた混合液を60℃で加温しながら1時間撹拌した。当該混合液から溶媒を留去して得られた粉体を減圧下、120℃の温度で8時間加温して、本発明2の非水二次電池用の正極活物質を得た。
この正極活物質を熱脱着−GC/MS分析した結果、1−プロパノールとプロパナールが確認できた。後述する参考例2の、Zr含有層の形成処理を行っていない正極活物質では、1−プロパノールとプロパナールが確認できなかった。
なお、熱脱着−GC/MS分析の詳細は以下の通りである。試料10mgを300℃で5分間加熱処理し、生成したガスをHe気流下で抽出し、液化窒素を用い、カラムにトラップさせた。トラップされた収集物について、分析を行った。
[参考例1]
<正極の作製>
上記の非水二次電池用正極活物質を95質量部と、導電材としてアセチレンブラック3質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学製、商品名L#1120)2質量部とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極を作製した。
得られた正極を用いて、上記実施例1−1と同様の操作で非水二次電池を作製し、それを3回充放電した。その後電池から正極を取り出して、当該正極についてX線光電子分光分析法(XPS)により分析した結果を図3に示す。
なお、XPSの評価条件は以下の通りである。正極のサンプリングはAr雰囲気のグローブボックス中で行った。トランスファーベッセルを用いて、大気に触れないようにして測定装置(PHI社製、ESCA5700ci)内に正極を導入した。X線はAl Kα(1486.7 eV)、加速電圧14kV、350Wの条件で、電子中和銃を使用し、取り出し角は65°と設定した。測定領域は電極の800μmφであった。正極は測定前に溶媒洗浄した後、カーボンテープに試料として貼り付けて測定した。
[参考例2]
元素組成がLiNi0.80Co0.15Al0.05である正極活物質を95質量部と、導電材としてアセチレンブラック3質量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学製、商品名L#1120)2質量部とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極を作製した。
得られた正極を用いて、上記実施例1−1と同様の操作で非水二次電池を作製し、それを3回充放電した。その後電池から正極を取り出して、当該正極についてXPSによる分析を行った。結果を図3に示す。
<負極の作製>
上記実施例1−1における<負極の作製>と同様にして、負極を作製した。
<非水電解液>
上記実施例1−1における<非水電解液>と同様の電解液を用いた。
<二次電池の作製>
上記の参考例1又は2の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを使用して、実施例1−1における<二次電池の作製>と同様にして、シート状の非水二次電池を作製した。
<初期評価>
非水二次電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、5時間以上かけて電圧4.2Vまで充電した後、2.5Vまで定電流放電する操作を2回行った。その後、5時間以上かけて4.2Vまで定電流充電した後、室温でエタノール浴中に浸して電池体積を測定した(「初期体積(mL/セル)」とする)。
その後、温度−10℃、電圧の振幅10mV、周波数領域100000〜0.001Hzの条件で正極のインピーダンス測定を実施した。得られたインピーダンス測定結果から、測定周波数と複素インピーダンスの虚部をプロットした。10〜0.005Hzの領域における極大値を初期の正極抵抗(「初期抵抗(Ω/セル)」とする)の指標とした。
<高温且つ高電圧環境下での保存試験>
初期評価を実施した非水二次電池について、初期評価と同条件で放電・充電を行い、2回4.2Vまでの充電(この時の容量を「保存前充電容量」とする)した電池を、85℃で3日間保存した。
保存後の電池を25℃で2.5Vまで放電(「残存容量:保存後の放電容量」とする)した後に、4.2Vまで定電流充電(「回復容量:保存後充電容量」とする)した電池を、室温でエタノール浴中に浸してその体積を測定した(「保存後体積(mL/セル)」とする)。
その後、温度−10℃、電圧の振幅10mV、周波数領域100000〜0.001Hzの条件で正極のインピーダンス測定を実施した。得られたインピーダンス測定結果から、測定周波数と複素インピーダンスの虚部をプロットした。10〜0.005Hzの領域における極大値を保存後の正極抵抗(「保存後抵抗(Ω/セル)」とする)の指標とした。
電池性能の指標は、以下のように求めた。
残存率(%)=残存容量/保存前充電容量×100
回復率(%)=回復容量/保存前充電容量×100
保存後体積変化(mL/セル)=保存後体積−初期体積
体積変化率(%)は、下記実施例2−1〜2−4については参考例1の保存後体積変化(mL/セル)を、下記比較例2−1〜2−4については参考例2の保存後体積変化(mL/セル)を基準(100%)として算出した。
初期抵抗率(%)=実施例又は比較例の初期抵抗/参考例1又は2の初期抵抗×100
保存後抵抗率(%)=実施例又は比較例の保存後抵抗/参考例1又は2の保存後抵抗×100
*抵抗率について、実施例の正極抵抗は参考例1の正極抵抗で割り、比較例の正極抵抗は参考例2の正極抵抗で割る。
〔実施例2−1〕
参考例1において、ビニレンカーボネートを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−2〕
参考例1において、ヘキサメチレンジイソシアネートを含有量0.5質量部となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−3〕
参考例1において、ジフルオロリン酸リチウムを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−4〕
参考例1において、アジポニトリルを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔比較例2−1〕
参考例2において、ビニレンカーボネートを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例2と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔比較例2−2〕
参考例2において、ヘキサメチレンジイソシアネートを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例2と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔比較例2−3〕
参考例2において、ジフルオロリン酸リチウムを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例2と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔比較例2−4〕
参考例2において、アジポニトリルを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例2と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
参考例1〜2、実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−4で得られた電池の評価結果を下記表3及び表4に示す。
表3に示すように、参考例1(正極活物質表面のZr有り)と参考例2(正極活物質表面のZr無し)を比較すると、参考例1が参考例2より、高温且つ高電圧環境下での保存後の抵抗値が低いことが分かる。しかしこれではまだ、電池性能が十分とは言えない。
次に、実施例2−1〜実施例2−4のように、Zr含有層を有する正極(参考例1)において、さらに非水電解液に特定添加剤を含有させることで、高温且つ高電圧環境下での保存試験において、低抵抗且つ低体積変化を有する非水二次電池を得ることができた。一方、比較例2−1〜比較例2−4のように、Zr含有層を持たない正極でも、電解液に添加剤を含有させることで概ね保存後の体積を低くすることはできるが、依然として保存後の抵抗が高いことがわかった。
より詳しく見ると、実施例2−1〜実施例2−4は、Zr含有層を持つ正極を使用し、かつ所定の特定添加剤を添加したものであり、比較例2−1〜比較例2−4は、Zr含有層を持たない正極を使用し、番号が同じ実施例と同様の特定添加剤を添加したものである。これら番号が同じもの同士を比較すると、以下のことがわかる。
ビニレンカーボネートを添加した場合(実施例2−1及び比較例2−1)の効果については、比較例では体積変化率は大きくなってしまうのに対し、実施例では体積変化率は減少している。初期抵抗率及び保存後抵抗率については、実施例及び比較例で減少しているが(比較例2−1の初期抵抗率を除く)、その減少の度合いが、実施例の方が大きい。
ヘキサメチレンジイソシアネート(実施例2−2及び比較例2−2)、ジフルオロリン酸リチウム(実施例2−3及び比較例2−3)及びアジポニトリル(実施例2−4及び比較例2−4)についても、Zr含有層を有する正極を使用した場合(実施例)の方が、体積変化率、初期抵抗率及び保存後抵抗率が減少し、又は減少の度合いが大きい。
このような効果が得られる理由は不明であるが、正極活物質の粒子表面に形成されたZr含有層と特定添加剤との相乗効果によるものであると推測される。
〔実施例2−5〕
参考例1において、2−プロピニル−2−(ジエトキシホスホリル)アセテートを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−6〕
参考例1において、t−アミルベンゼンを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−7〕
参考例1において、モノフルオロエチレンカーボネートを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
〔実施例2−8〕
参考例1において、ジフルオロ(ビスオキサラート)リン酸リチウムを含有量0.5質量%となるように添加した非水電解液を使用した以外は、参考例1と同様に非水二次電池を作製し、評価した。
参考例1、及び実施例2−5〜2−8で得られた電池の評価結果を下記表5に示す。
表5に示すように、実施例2−5〜実施例2−8のいずれにおいても、高温且つ高電圧環境下での保存試験において、低抵抗の非水二次電池を得ることができた。

Claims (12)

  1. 以下の(1)〜(3)の条件を満たす非水二次電池用正極活物質:
    (1)正極活物質コアがNi、Co及びM(MはMn及び/又はAl)を含む、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム化合物である。
    (2)活物質表面から0.1〜100nmの深度の部分に、Zr、Ni、Co及びMを全て含有するZr含有領域が存在する。
    (3)前記Zr含有領域における、(Zr+Ni+Co+M)に対するZrのモル比が1.5〜30%である。
  2. 前記正極活物質コアの元素組成が、LiNi1−y−z−αCoAlM’αと表され、前記式において、M’はLi、Ni、Co、Al以外の1種以上の元素であり、0.9≦x≦1.1、0<y≦0.4、0<z≦0.5、0≦α≦0.01である、請求項1に記載の非水二次電池用正極活物質。
  3. 前記活物質表面から0.2〜70nmの深度の部分に、前記Zr含有領域が存在する、請求項1又は2に記載の非水二次電池用正極活物質。
  4. 正極集電体と、該正極集電体上に形成された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水二次電池用正極活物質を含む正極活物質層とを含む、非水二次電池用正極。
  5. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を含む非水二次電池であって、前記正極が請求項4に記載の非水二次電池用正極である、非水二次電池。
  6. 正極活物質を有する正極、負極活物質を有する負極及び非水電解液から少なくとも構成される非水二次電池であって、
    前記正極活物質の粒子表面に、Zr、並びに、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アルコキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基が存在し、
    前記非水電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、非水二次電池。
  7. 前記正極活物質が、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有するリチウム遷移金属酸化物であり、その元素組成がLiM”1−tと表され、前記式において、M”はLi、Ni、Co及びMnからなる群より選ばれる少なくとも2種の元素であり、AはLi、Ni、Co及びMn以外の元素であり、0.9≦s≦1.2、0≦t≦0.1である、請求項6に記載の非水二次電池。
  8. 前記炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が、前記非水電解液全体に対し0.001質量%以上、10質量%以下含有される、請求項6又は7に記載の非水二次電池。
  9. Zrが存在する部分において、Zrの、当該部分に存在する全遷移金属中のモル比が、1.5〜30%である、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  10. ZrもしくはZrを含む化合物と、
    炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
    を含有する、非水電解液。
  11. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を含む非水二次電池であって、前記非水電解液が請求項10に記載の非水電解液である、非水二次電池。
  12. 請求項6乃至9及び11のいずれか1項に記載の非水二次電池の製造のための、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、イソシアネート化合物もしくはその縮合物、フッ素化オキソ酸塩、ニトリル化合物、芳香族化合物、ホスホン酸エステル化合物、ハロゲン含有環状カーボネート、及びオキサラート塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する非水電解液の使用。
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