JP2013235666A - 電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジルコニア被覆層の強度を向上させることができ、二次電池のサイクル特性や経年寿命を向上させることができる電池用正極活物質およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式LixMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆層を形成した電池用正極活物質である。被覆層は、メカノケミカル法によりリチウム含有複合酸化物の表面に形成され、被覆層を構成するZrO2粒子の結晶構造は、単斜晶または単斜晶と正方晶との混合であって正方晶よりも単斜晶を多く含む。
【選択図】なし
【解決手段】一般式LixMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆層を形成した電池用正極活物質である。被覆層は、メカノケミカル法によりリチウム含有複合酸化物の表面に形成され、被覆層を構成するZrO2粒子の結晶構造は、単斜晶または単斜晶と正方晶との混合であって正方晶よりも単斜晶を多く含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池に用いて好適な電池用正極活物質およびその製造方法に関する。
上記のような電池用正極活物質としては、たとえば特許文献1に提案されたものが知られている。この電池用正極活物質は、一般式LiMOy(式中のMは、主として遷移金属からなり、Co、Mn、Ni、V、Feの少なくとも一種を含む。また、式中のx、yの値の範囲はx=0.02〜2.2、y=1.4〜3である。)で表されるリチウム含有複酸化物粉末の表面に、ジルコニア被覆層を形成したものである。
上記提案に係る電池用正極活物質は、リチウム含有複酸化物粉末の表面にジルコニア被覆層を形成することにより、充放電を繰り返すと、結晶構造の安定性に問題が生じサイクル特性が悪化するとの従来の欠点を解消したものであり、ジルコニア被覆層は、ゾル・ゲル方によりリチウム含有複酸化物粉末の表面に形成している。
しかしながら、上記提案に係る電池用正極活物質では粒子の強度が不充分なため、二次電池に用いて充放電を繰り返すと、電池用正極活物質に亀裂が生じ、二次電池としての性能が低下するという問題があった。したがって、本発明は、ジルコニア被覆層の強度を向上させることができ、二次電池のサイクル特性や経年寿命を向上させることができる電池用正極活物質およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の電池用正極活物質は、一般式LixMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆層を形成した電池用正極活物質において、被覆層は、メカノケミカル法によりリチウム含有複合酸化物の表面に形成され、被覆層を構成するZrO2粒子の結晶構造は、単斜晶または単斜晶と正方晶との混合であって正方晶よりも単斜晶を多く含むことを特徴とする。
また、本発明の電池用正極活物質の製造法は、一般式LiXMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆物をメカノケミカル法により形成する被覆工程と、被覆物を700〜850℃で熱処理する熱処理工程とを備えたことを特徴とする。
図1〜図3を参照して本発明の作用を説明する。図1は、電池用正極活物質を示す概略図であり、この電池用正極活物質は、リチウム含有複合酸化物粒子1の表面に、多数のZrO2粒子2が固着されて概略構成されたものである。これらリチウム含有複合酸化物粒子1とZrO2粒子2は、メカノケミカル法にて互いに衝撃を与えることにより、粒子に加えられる機械的エネルギーにより粒子表面から内部へと化学反応が進行して強い結合力で互いに固着されている。
図2に示すように、リチウム含有複合酸化物粒子1は、複数の結晶1aが集合したもので、特に充電時にリチウム原子が結晶から脱離するとc軸方向は膨張しa軸方向は収縮するため、隣接する結晶1aの結晶方位が直交している場合、隣接する結晶1aどうしの間に引張応力Fが生じ、結晶1aの接触部位にある切り欠き部位に応力が集中する。この応力集中により、結晶1aどうしの間に粒界破壊1bが発生し、この粒界破壊1bが活物質内部に伝播し、粒内/粒界破壊を引き起こす。このため、二次電池としての性能に悪影響を及ぼす状態となる。
本発明の電池用正極活物質においては、被覆層3がメカノケミカル法によりリチウム含有複合酸化物粒子1の表面に形成されているから、ZrO2粒子2どうしが強い固着力で結合されており、これにより、亀裂3bの進展が抑制される。この固着力は、液架橋力、ファンデルワールス力、静電気力が合成されたものである。また、上記特許文献1に記載の電池用正極活物質では、ZrO2粒子の結晶構造は立方晶とされているが、本発明では、単斜晶または単斜晶と正方晶との混合であって正方晶よりも単斜晶を多く含んでいる。この結晶構造による亀裂進展抑制の作用は以下のとおりである。
被覆層3に亀裂が進展しようとすると、亀裂に隣接するZrO2粒子2には圧縮応力Cが作用する。このとき、ZrO2粒子2の結晶構造が単斜晶であると、圧縮応力Cにより単斜晶が正方晶に相転位し、その際に膨張する。この結晶の膨張により亀裂3bが埋められ、亀裂3bの進展が抑制されるのである(図3参照)。したがって、本発明では、電池用正極活物質の強度を向上させることができ、二次電池のサイクル特性や経年寿命を向上させることができる。
ZrO2粒子の結晶構造は熱処理温度によって制御することができる。単斜晶を得るための熱処理温度は700〜850℃であり、熱処理時間は30〜720分である。
ここで、本発明では、一般式LiXMOyにおいてxは0.9〜1.2が望ましく、yは1.8〜4.0が望ましい。また、ZrO2粒子の平均粒径は100nm未満であることが望ましい。ZrO2粒子の平均粒径が100nm以上であると、ZrO2粒子の大半がリチウム含有複合酸化物粒子1の表面に固着しないことが判明している。また、被覆層の厚さは、500nm未満であることが望ましい。被覆層の厚さが500nm以上であると、電池用正極活物質における被覆層の割合が大きくなり過ぎ、容量が低下する。電池用正極活物質における被覆層の割合は、1.0〜11.0質量%であることが望ましい。
本発明の電池用正極活物質の平均粒径は、10〜12μmとすることができ、その粒径で粒子強度は150MPa以上であることが望ましい。なお、粒子強度は、島津製作所製微小圧縮試験機によって測定することができる。
Li含有複合酸化物としては、例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2粒子や、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiXCoyA1ZO2、LiFePO4、LiNi0.5Mn1.5O4などを用いることができる。
本発明の正極活物質は、炭素導電剤と分散媒と混合してスラリー状とし、これを導電性箔に塗工して正極を構成することができる。炭素導電剤としては、デンカブラック、Super−P(商品名)などのアセチレンブラック、または、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックなどを用いることができる。また、負極活物質と分散媒とを混合してスラリー状とし、これを導電性箔に塗工して負極を構成することができる。負極活物質としては、難黒鉛化炭素、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛、Li4Ti5O12、Si合金、Sn合金などを用いることができる。そして、正極と負極とをセパレータを挟んで積層し、セパレータに電解液を含ませることで二次電池を構成することができる。セパレータとしては、PP(ポリプロピレン)またはPE(ポリエチレン)の一種以上を含む微多孔膜や不織布を用いることができる。また、電解液成分としては、PC(ポリカーボネート)、γBL(ガンマブチロラクトン)などの高誘電率溶媒や、DEC(ジエチルカーボネート)、VC(ビニレンカーボネート)、VEC(ビニルエチレンカーボネート)などの低沸点溶媒を用いてもよい。また、電解液に含有させるLi塩としては、LiBF4などを用いることができる。
本発明によれば、被覆層におけるZrO2粒子どうしの固着強度を向上させることができるとともに、被覆層での亀裂の進展を抑制して二次電池のサイクル特性や経年寿命を向上させることができる等の効果が得られる。
[実施例1〜4]
<被覆工程>
Li含有複合酸化物としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2粒子(D50=10μm)と、ZrO2粒子(D50=27nm、日清エンジニアリング製)とを用意した。上記Li含有複合酸化物粒子に対してZrO2粒子を種々の割合で配合してメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン製)に投入し、回転速度:4000rpmで1分間処理を行う工程を5回繰り返した。次いで、粒子をA12O3製るつぼに入れ、昇温速度5℃/分にて800℃まで昇温し、800℃で2時間保持した後に室温まで徐冷し正極活物質を得た。
<被覆工程>
Li含有複合酸化物としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2粒子(D50=10μm)と、ZrO2粒子(D50=27nm、日清エンジニアリング製)とを用意した。上記Li含有複合酸化物粒子に対してZrO2粒子を種々の割合で配合してメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン製)に投入し、回転速度:4000rpmで1分間処理を行う工程を5回繰り返した。次いで、粒子をA12O3製るつぼに入れ、昇温速度5℃/分にて800℃まで昇温し、800℃で2時間保持した後に室温まで徐冷し正極活物質を得た。
<電池化工程>
上記で得られた正極活物質90質量%と、炭素導電剤(商品名:Super−P)5質量%と、フッ化ビニリデン樹脂(N−メチルピロリドン)5質量%とを混合し、スラリーを作製した。このスラリーを膜厚が20μmのAl箔の両面に塗工し、ロールプレス機にて圧延し、合剤膜厚が40μmの電極を作製した。この場合において、電極の未塗工部を所定間隔でリードを残すように打ち抜き、その部分を正極端子とした。
上記で得られた正極活物質90質量%と、炭素導電剤(商品名:Super−P)5質量%と、フッ化ビニリデン樹脂(N−メチルピロリドン)5質量%とを混合し、スラリーを作製した。このスラリーを膜厚が20μmのAl箔の両面に塗工し、ロールプレス機にて圧延し、合剤膜厚が40μmの電極を作製した。この場合において、電極の未塗工部を所定間隔でリードを残すように打ち抜き、その部分を正極端子とした。
次に、平均粒径が10μmの難黒鉛化炭素粉末91質量%と、フッ化ビニリデン樹脂9質量%とをN−メチルピロリドンに分散させてスラリーを作製し、このスラリーを膜厚が14μmのCu箔に塗工し、ロールプレス機にて圧延して総膜厚60μmの電極を作製した。その電極の未塗工部を所定間隔でリードを残すように打ち抜き、その部分を負極端子とした。このようにして作製した正極と負極とでセパレータ(セルガード社製、#2500)を挟むように積層し、板状の発電素子を形成した。発電素子の正極側未塗工部および負極側未塗工部に端子リードを超音波溶接し、Alラミネートの袋にてパックし、実施例1〜4の二次電池を作製した。なお、電解液としては、1MLiPF6/EC+DMC+EMC(=1:1:1vol%)としたものを用いた。
[比較例1,2]
<被覆工程>
Li含有複合酸化物としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2粒子(D50=10μm)と、Zr(OC3H7)4とをビーカーに入れて、80〜90℃に加温しながら1−プロパノール中で混合した。透明なゾルが得られた後、450℃で5時間焼成を行った。この場合において、被覆量は全体量の2.0質量%相当となるようにZr(OC3H7)4量を調整した。
<被覆工程>
Li含有複合酸化物としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2粒子(D50=10μm)と、Zr(OC3H7)4とをビーカーに入れて、80〜90℃に加温しながら1−プロパノール中で混合した。透明なゾルが得られた後、450℃で5時間焼成を行った。この場合において、被覆量は全体量の2.0質量%相当となるようにZr(OC3H7)4量を調整した。
<電池化工程>
上記で得られた正極活物質90質量%と、炭素導電剤(商品名:Super−P)5質量%と、フッ化ビニリデン樹脂(N−メチルピロリドン)5質量%とを混合し、スラリーを作製した。このスラリーを膜厚が20μmのAl箔の両面に塗工し、ロールプレス機にて圧延し、合剤膜厚が40μmの電極を作製した。この場合において、電極の未塗工部を所定間隔でリードを残すように打ち抜き、その部分を正極端子とした。
上記で得られた正極活物質90質量%と、炭素導電剤(商品名:Super−P)5質量%と、フッ化ビニリデン樹脂(N−メチルピロリドン)5質量%とを混合し、スラリーを作製した。このスラリーを膜厚が20μmのAl箔の両面に塗工し、ロールプレス機にて圧延し、合剤膜厚が40μmの電極を作製した。この場合において、電極の未塗工部を所定間隔でリードを残すように打ち抜き、その部分を正極端子とした。
次に、上記のようにして作製した正極と、実施例1〜4と同じ条件で作製した負極とを用い、実施例1〜4と同様にして二次電池を作製した。
[比較例3]
被覆工程を行わなかった以外は比較例1,2と同じ条件で比較例3の二次電池を作製した。
被覆工程を行わなかった以外は比較例1,2と同じ条件で比較例3の二次電池を作製した。
<放電容量および10秒目出力抵抗の評価>
実施例1〜4および比較例1〜3の二次電池に対して以下の測定を行った。
1.初回放電容量の測定
25℃の環境温度にて下記の充放電条件で試験を実施した。
5時間率で定電流充電後4時間の4.2V定電圧充電を行った。10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電したときの容量を初回放電容量とした。
実施例1〜4および比較例1〜3の二次電池に対して以下の測定を行った。
1.初回放電容量の測定
25℃の環境温度にて下記の充放電条件で試験を実施した。
5時間率で定電流充電後4時間の4.2V定電圧充電を行った。10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電したときの容量を初回放電容量とした。
2.放電容量の測定
25℃の環境温度にて下記の充放電条件で試験を実施した。
1時間率で定電流充電後2時間の4.2V定電圧充電を行った。10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電し、10分間の休止を行った。上記の充放電を3回繰り返し、3回目の放電容量を放電容量とした。
25℃の環境温度にて下記の充放電条件で試験を実施した。
1時間率で定電流充電後2時間の4.2V定電圧充電を行った。10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電し、10分間の休止を行った。上記の充放電を3回繰り返し、3回目の放電容量を放電容量とした。
3.10秒目出力抵抗の測定
25℃の環境温度にて、二次電池のSOC(充電状態)を50%に調整し1/3時間率、1/5時間率、1/8時間率の電流値でそれぞれ12秒間ずつ充放電を実施した。それぞれの電流値における放電側パルス印可時の10秒目の電圧−電流のプロットをとり、プロットを結んだ線分の傾きに電極面積を掛けた数値を10秒目出力抵抗とした。
25℃の環境温度にて、二次電池のSOC(充電状態)を50%に調整し1/3時間率、1/5時間率、1/8時間率の電流値でそれぞれ12秒間ずつ充放電を実施した。それぞれの電流値における放電側パルス印可時の10秒目の電圧−電流のプロットをとり、プロットを結んだ線分の傾きに電極面積を掛けた数値を10秒目出力抵抗とした。
<サイクル特性の測定>
50℃の環境温度にて、下記の充放電条件でサイクル試験を実施した。
1時間率で定電流充電後0.5時間の4.2V定電圧充電を行い、10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電を行い、10分間の休止を1回分のサイクルとした。上記の充放電を繰り返し、100、250、500サイクル目に25℃に戻し、上記「2.放電容量の測定」と「3.10秒目出力抵抗の測定」を行った。
50℃の環境温度にて、下記の充放電条件でサイクル試験を実施した。
1時間率で定電流充電後0.5時間の4.2V定電圧充電を行い、10分間の休止後、1時間率の定電流放電によりカットオフ電圧2.7Vまで放電を行い、10分間の休止を1回分のサイクルとした。上記の充放電を繰り返し、100、250、500サイクル目に25℃に戻し、上記「2.放電容量の測定」と「3.10秒目出力抵抗の測定」を行った。
<評価>
1.容量維持率
表1に実施例および比較例におけるLi含有複合酸化物粒子に対して被覆したZrO2粒子の割合と各種測定結果を示す。表1における「500サイクル目容量維持率」とは、(25℃における500サイクル目放電容量)を(25℃における初回放電容量)で除算したものである。また、「500サイクル目10秒出力抵抗維持率」とは、(25℃における500サイクル目10秒出力抵抗)を(25℃における初回10秒目出力抵抗)で除算したものである。また、図4および図5は、各サイクル数における容量維持率と10秒出力抵抗維持率を示したものである。
1.容量維持率
表1に実施例および比較例におけるLi含有複合酸化物粒子に対して被覆したZrO2粒子の割合と各種測定結果を示す。表1における「500サイクル目容量維持率」とは、(25℃における500サイクル目放電容量)を(25℃における初回放電容量)で除算したものである。また、「500サイクル目10秒出力抵抗維持率」とは、(25℃における500サイクル目10秒出力抵抗)を(25℃における初回10秒目出力抵抗)で除算したものである。また、図4および図5は、各サイクル数における容量維持率と10秒出力抵抗維持率を示したものである。
図4に示すように、ZrO2粒子の被覆量が7.5質量%である実施例3では、サイクル数の増加による容量維持率の低下が最も穏やかであり、被覆量が3.0質量%である実施例2でも穏やかである。一方、比較例3では、サイクル数の増加による容量維持率の低下が激しい。表1に示すように、500サイクル目では、実施例2,3および比較例3の容量維持率はそのまま維持されている。
2.10秒出力抵抗維持率
図5に示すように、実施例2,3では、サイクル数の増加による10秒出力抵抗維持率の増加が緩やかであるが、比較例3では、サイクル数の増加による10秒出力抵抗維持率の増加が激しい。表1に示すように、500サイクル目では、実施例2,3および比較例3の10秒出力抵抗維持率はほぼ維持されている。
図5に示すように、実施例2,3では、サイクル数の増加による10秒出力抵抗維持率の増加が緩やかであるが、比較例3では、サイクル数の増加による10秒出力抵抗維持率の増加が激しい。表1に示すように、500サイクル目では、実施例2,3および比較例3の10秒出力抵抗維持率はほぼ維持されている。
3.粒子強度
図6は、島津製作所製微小圧縮試験機により正極活物質の粒子強度を測定した結果を示すものである。平均の粒子強度は、実施例3が182MPa、比較例1が150MPa、比較例3が132MPaである。以上の結果から、実施例3の粒子では、比較例よりもより粒子強度が高いことが分かる
図6は、島津製作所製微小圧縮試験機により正極活物質の粒子強度を測定した結果を示すものである。平均の粒子強度は、実施例3が182MPa、比較例1が150MPa、比較例3が132MPaである。以上の結果から、実施例3の粒子では、比較例よりもより粒子強度が高いことが分かる
4.XRD測定
被覆層を構成しているZrO2の結晶状態および活物質本体の結晶状態を調べるためXRD測定を実施した。その結果を図7に示す。図7において、実践が活物質本体の結晶、点線がZrO2の結晶のピークを示す。図7から、ZrO2の結晶のピークの殆どが単斜晶であることが確認された。
被覆層を構成しているZrO2の結晶状態および活物質本体の結晶状態を調べるためXRD測定を実施した。その結果を図7に示す。図7において、実践が活物質本体の結晶、点線がZrO2の結晶のピークを示す。図7から、ZrO2の結晶のピークの殆どが単斜晶であることが確認された。
5.サイクル後の電極断面SEM観察
サイクル試験終了後の二次電池セルを露点−70℃以下のAr雰囲気グローブボックス内で解体し、取り出した正極をDMC(ジメチルカーボネート)中で洗浄、真空乾燥を行った。取り出した電極の一部を切り出し、クロスセクションポリッシャーにて断面観察用のサンプルを作製し、SEM観察を行った。図8にそのSEM写真を示し、(A)は実施例3、(B)は比較例1、(C)は比較例3である。図8(A)から判るように、正極活物質の粒子表面は500nm未満のZrO2微粒子の層により被覆されている。また、(A)では正極活物質の粒子内部に亀裂は見られない。これに対して、(B)および(C)では、正極活物質の粒子内部に細い線(亀裂)が複数確認される。
サイクル試験終了後の二次電池セルを露点−70℃以下のAr雰囲気グローブボックス内で解体し、取り出した正極をDMC(ジメチルカーボネート)中で洗浄、真空乾燥を行った。取り出した電極の一部を切り出し、クロスセクションポリッシャーにて断面観察用のサンプルを作製し、SEM観察を行った。図8にそのSEM写真を示し、(A)は実施例3、(B)は比較例1、(C)は比較例3である。図8(A)から判るように、正極活物質の粒子表面は500nm未満のZrO2微粒子の層により被覆されている。また、(A)では正極活物質の粒子内部に亀裂は見られない。これに対して、(B)および(C)では、正極活物質の粒子内部に細い線(亀裂)が複数確認される。
本発明は、電池、特に二次電池用の正極活物質に利用することができ、特に、耐久性が要求される車両用の二次電池に適用可能である。
1 リチウム含有複合酸化物粒子
2 ZrO2粒子
2 ZrO2粒子
Claims (2)
- 一般式LixMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆層を形成した電池用正極活物質において、
前記被覆層は、メカノケミカル法により前記リチウム含有複合酸化物の表面に形成され、
前記被覆層を構成するZrO2粒子の結晶構造は、単斜晶または単斜晶と正方晶との混合であって正方晶よりも単斜晶を多く含むことを特徴とする電池用正極活物質。 - 一般式LixMOy(式中のMは、Co、Ni、Mn、Al、Mgの少なくとも一種を含む)で表されるリチウム含有複合酸化物の表面に、ZrO2粒子の被覆物をメカノケミカル法により形成する被覆工程と、
前記被覆物を700〜850℃で熱処理する熱処理工程とを備えたことを特徴とする電池用正極活物質の製造法。
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