JP5103766B2 - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、通常、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。非水溶媒の主成分としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステルなどが用いられている。
例えば、非水溶媒として、非対称鎖状カーボネートと二重結合を有する環状カーボネートの混合物を用いると、二重結合を有する環状カーボネートが負極と優先的に反応して負極表面に良質の被膜を形成し、これにより非対称鎖状カーボネートに起因する負極表面上での不導体被膜の形成が抑制されるので、保存特性とサイクル特性が向上することが特許文献1に開示されている。
非水系電解液電池を高容量化する方法として、限られた電池体積の中にできるだけ多くの活物質を詰めることが検討されており、電極の活物質層を加圧して高密度化したり、電池内部に占める活物質以外の体積を極力少なくする設計が一般的となっている。しかし、高容量化によって電池内部の空隙は減少し、電解液の分解で少量のガスが発生しても電池内圧は顕著に上昇してしまうという問題が発生してくる。
したがって、非水系電解液二次電池においては、高容量、高温保存特性、サイクル特性だけでなく、ガス発生を抑制することが強く求められている。
った。
更に、特許文献2に記載されている二重結合を有する環状カーボネートを含有する電解液を用いた場合には、負極側で抵抗の高い皮膜が形成されるために、低温での充放電特性が低下するという問題もあった。
すなわち、本発明の要旨は、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、不飽和結合を有する環状カーボネート類を含有し、更に下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液、に存する。
本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池、に存する。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
(電解質)
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
PF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5S
O2)2等の含フッ素有機リチウム塩及びリチウムビス(オキサレート)ボレート等が挙げられる。
はLiN(C2F5SO2)2が電池性能向上の点から好ましく、特にLiPF6又はLiB
F4が好ましい。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4との併用であり、サイクル特性を向上させる効果がある。この場合には、両者の合計に占めるLiBF4の割
合は、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。この下限を下回る場合には所望する効果が得づらい場合があり、上限を上回る場合は高温保存後の電池特性が低下する傾向がある。
PF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2及びLiN(C2F5SO2)2よりなる群から選ばれるものからなる組合せである。
(非水溶媒)
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、不飽和結合をもたない環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含燐有機溶媒等が挙げられる。
ーボネートが電池特性向上の点から好ましく、特に、エチレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネート類としては、ジアルキルカーボネートが好ましく、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ、1〜5が好ましく、特に好ましくは1〜4である。具体的には例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状アルキルカーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状アルキルカーボネート類等のジアルキルカーボネートが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上(特に、高負荷放電特性)の点から好ましい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
環状カルボン酸エステル類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等が挙げられる。
非水溶媒の好ましい組合せの一つは、アルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類を主体とする組合せである。なかでも、非水溶媒に占めるアルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類との合計が、80容量%以上、好ましくは85容量%以上、より好ましくは90容量%以上であり、かつアルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類との合計に対するアルキレンカーボネートの容量が5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であり、通常50%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下のものである。これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスがよくなるので好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの量を、0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また上限は、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネート類との組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
(不飽和結合を有する環状カーボネート類)
不飽和結合を有する環状カーボネート類としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート;4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物などが挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネートまたは4,5−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性向上の点から好ましく、なかでもビニレンカーボネートまたはビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。特に、ビニレンカーボネートとビニルエチレンカーボネートを併用すると、更にサイクル特性が向上するので好ましい。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明に係る非水系電解液は、上述の電解質と非水溶媒および不飽和結合を有する環状カーボネート類を含有し、これに更に下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
上記一般式(1)中、炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキル基が挙げられる。炭素数は1〜6が好ましく、1〜4が特に好ましい。また、鎖状アルキル基であるものが、合成の簡便さ、および電池特の観点から好ましい。また、直鎖状アルキル基であるものが特に好ましい。
さらに、上記アルキル基はフッ素原子で置換されていてもよく、フッ素原子で置換されている基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のフッ化アルキル基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジシクロペンチル、マレイン酸ジシクロヘキシル、マレイン酸ビス(トリフルオロメチル)、マレイン酸ビス(ペ
ンタフルオロエチル)、マレイン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、マレイン酸
ビス(メトキシメチル)、マレイン酸ビス(2−メトキシエチル)、マレイン酸ビス(2−エ
トキシエチル)、マレイン酸ビス(3−メトキシプロピル)、マレイン酸ビス[2−(2−
メトキシエトキシ)エチル]、マレイン酸ビス[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシル、フマル酸ビス(トリフルオロメチル)、フマル酸ビス(ペンタフルオロエチル)、フマル酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、フマル酸ビス(メトキシメチル)、フマル酸ビス(2−メトキシエチル)、フマル酸ビス(2−エトキシエチル)、フマル酸ビス(3−メトキシプロピル)、フマル酸ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]、フマル酸ビス[2−(2−エトキシエトキシ)エチル]等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。非水系電解液中の一般式(1)で表される化合物の含有量は、通常0.001重量%以上、が好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.2重量%以上、特に好ましくは0.25重量%以上である。これより低濃度では本発明の効果が発現しづらい傾向がある。逆に濃度が高すぎると電池の保存特性が低下する傾向があるので、上限は、通常4重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.4重量%以下である。
まず、ビニレンカーボネート等の不飽和結合を有する環状カーボネート類は、初期の充電時に還元されて、負極表面に安定な被膜を形成して電池の保存特性およびサイクル特性を向上することができる。しかし、この皮膜は、低温下において抵抗の増大が顕著であり、低温下においては充放電特性が低下する問題があった。
(他の化合物)
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、従来公知の過充電防止剤などの種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない。逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性などの電池の特性が低下する傾向がある。
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、不飽和結合を有する環状カーボネート類、一般式(1)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種以上の化合物及び必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下まで脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、即ち非水系電解液二次電池、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料や金属化合物、リチウム金属及びリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物である。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5
m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、最も好ましくは0.8m2/g以上で
あり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、最も好ましくは10.0m2/g以下である。
スのものでもよい。
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金の平均粒系は、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。この上限を上回る場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下してしまう可能性がある。また、この下限を下回る場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物材料などのリチウムを吸蔵・放出可能な材料が挙げられる。これらの化合物は、LiXCoO2、LiXNiO2、LiXMnO2、LiXCo1−yMyO2、LiXNi1−yMyO2、LiXMn1−yMyO2等であり、ここでMは通常、Fe、Co、Ni、Mn、Mg、Cu、Zn、Al、Sn、B、Ga、Cr、V、Sr、Tiから選ばれる少なくとも1種であり、0.4≦x≦1.2、0≦y≦0.6であるものや、LiXMnaNibCocO2(但し、0.4≦x≦1.2、a+b+c=1)が挙げられる。
正極活物質は単独で用いても、複数を併用しても良い。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm3以上であり、好ましくは1.55g/cm3以上、特に好ましくは1.60g/cm3以上である。
ましくは3.0g/cm3以上である。
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
上述した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜6Vの範囲である。
尚、下記実施例および比較例で得られた電池の各評価方法を以下に示す。
[容量評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、0℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電をするサイクル試験を実施した。サイクル試験前の放電容量を100とした場合の50サイクル後の放電容量(%)を求めた。
[常温サイクル特性の評価]
容量評価試験の終了した電池を、25℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、1Cの定電流で3Vまで放電をするサイクル試験を実施した。サイクル試験前の放電容量を100とした場合の300サイクル後の放電容量(%)を求めた。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において、0.5Cの定電流で定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行った。
発生ガス量の測定後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させ、連続充電試験後の残存容量を測定し、初期放電容量に対する連続充電試験後の放電容量の割合を求め、これを連続充電後の残存容量(%)とした。
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μ
m、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマ
ンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.65g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO2 90重量部、カーボンブラック4重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリーし、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.5重量部、ビニレンカーボネート2重量部及びマレイン酸ジメチル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
実施例1の電解液においてマレイン酸ジメチルに代えて、フマル酸ジメチルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
(実施例3)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物97重量部、ビニレンカーボネート2重量部、ビニルエチレンカーボネート0.5重量部及びマレイン酸ジメチル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.
0モル/リットルの割合となるように溶解して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
実施例1の電解液においてマレイン酸ジメチルに代えて、マレイン酸ジエチルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
(実施例5)
実施例1の電解液においてマレイン酸ジメチルに代えて、マレイン酸ジブチルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
(実施例6)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物97.7量部、ビニレンカーボネート2重量部及びマレイン酸ジメチル0.3重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解
して製造した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物に、十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して製造
した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
(比較例2)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物99.5重量部及びマレイン酸ジメチル0.5重量部混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して製造した電解液を使用し、ビ
ニレンカーボネートを使用しなかった以外実施例1と同様にして、シート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物98重量部及びビニレンカーボネート2重量部混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6
を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して製造した電解液を使用し、マレイン酸ジメチルを使用しなかった以外実施例1と同様にして、シート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
(比較例4)
実施例1の電解液においてマレイン酸ジメチルに代えて、シュウ酸ジメチルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。電解液の成分及び評価結果を表1及び2に示す。
実施例1において、下記の方法で得られた負極および電解液を使用した以外同様にして、シート状リチウム二次電池を作製し、評価を行った。評価結果を表3に示す。
[負極の製造]
Si粉末(平均粒径3μm)73重量部、Cu粉末(平均粒径2μm)8重量部、人造黒鉛粉末12重量部、ポリフッ化ビニリデン7重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥後、負極活物質層の密度が1.0g/cm3になるようにプレスして負極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)98.5重量部、ビニレンカーボネート1重量部及びマレイン酸ジブチル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6
を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
(比較例5)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物を99重量部及びビニレンカーボネート1重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液を使用し、マレイン酸ジ
ブチルを使用しなかった以外実施例7と同様にして、シート状リチウム二次電池を作製し、連続充電の評価を行った。評価結果を表3に示す。
Claims (7)
- 非水系電解液に占める一般式(1)で表される化合物の割合が、0.001〜4重量%であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 非水系電解液に占める不飽和結合を有する環状カーボネートの割合が、0.001〜8重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
- 前記非水溶媒が、アルキレンカーボネート及びジアルキルカーボネートを含有し、該非水溶媒に占めるアルキレンカーボネートとジアルキルカーボネートの合計が80容量%以上であり、アルキレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの合計に対するアルキレンカーボネートの容量が5%以上、25%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の非水系電解液。
- 前記非水電解液が、エチレンカーボネート及びジアルキルカ―ボネートを含有し、該ジアルキルカーボネートが対称鎖状アルキルカーボネート及び非対称鎖状アルキルカーボネートを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の非水系電解液。
- 前記非水溶媒が下記(1)〜(4)の何れかを含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の非水系電解液。
(1)エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート
(2)エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネート
(3)エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネート
(4)エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネート - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1〜6の何れか一項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
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