JP5217200B2 - 非水系電解液および非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該電解質がリチウム塩であり、該非水溶媒が、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート、及び各アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルカーボネートを含み、該非水系電解液が、ビニルエチレンカーボネート系化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、ニトリル化合物を0.001〜0.8重量%含有していることを特徴とする非水系電解液、
および
電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該電解質がリチウム塩であり、該非水溶媒が、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート、及び各アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルカーボネートを含み、該非水系電解液が、総炭素数が7以上18以下の芳香族化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、モノニトリル化合物を0.001〜0.8重量%含有していることを特徴とする非水系電解液、
に存する。
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒等が挙げられる。
本発明の非水系電解液の第一の態様は、電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、ビニルエチレンカーボネート系化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、ニトリル化合物を0.001〜3重量%含有していることを特徴とする。
本発明の非水系電解液の第二の態様は、電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、総炭素数が7以上18以下の芳香族化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、モノニトリル化合物を0.001〜3重量%含有していることを特徴とする。
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
他の助剤としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート系化合物が挙げられる。これらのうち、特にビニレンカーボネートが好ましい。
本発明の非水系電解液は、非水溶媒に、電解質と、ビニルエチレンカーボネート系化合物およびニトリル化合物、或いは総炭素数が7以上18以下の芳香族化合物およびモノニトリル化合物と、更に必要に応じて配合される他の助剤等を溶解させることにより調製することができる。本発明の非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましく、水分含有量が通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下まで脱水して用いるのが好ましい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極および正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した本発明の非水系電解液であることを特徴とするものである。
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極および正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
(負極活物質)
負極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料や金属化合物、リチウム金属およびリチウム合金などを用いることができる。これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、リチウムを吸蔵および放出可能な金属化合物である。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はないが、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマーおよびその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマーおよびその共重合体などが挙げられる。これらは単独で用いても、複数を併用しても良い。
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極または正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属またはその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウムまたはその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シートまたは不織布等が好ましい。
非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
容量評価試験の終了した電池を、45℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、1Cの定電流で3Vまで放電をするサイクル試験を実施した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の100サイクル後の放電容量(%)を求めた。
容量評価試験の終了した電池を、0℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、0.2Cの定電流で3Vまで放電をするサイクル試験を実施した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の50サイクル後の放電容量を求めた。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において、0.5Cの定電流で定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行った。
容量評価試験の終了した電池を、25℃において、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した後、交流インピーダンス測定を実施し、Cole−Coleプロットから電池の電荷移動抵抗を求めた。次に、25℃において、0.2Cの定電流で4.6Vまで充電後、4.6Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した後、交流インピーダンス測定により、電池の電荷移動抵抗を求めた。
<負極の製造>
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm−1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm−1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.65g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO290重量部、カーボンブラック4重量部およびポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリーし、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)97重量部に、ビニレンカーボネート2重量部、ビニルエチレンカーボネート0.5重量部および、アセトニトリル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
上記の正極、負極、およびポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行って、シート状リチウム二次電池を作製し、45℃および0℃でサイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の電解液の調製において、アセトニトリルに代えて、スクシノニトリルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、45℃および0℃でサイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)98重量部に、ビニレンカーボネート2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、45℃および0℃でサイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)97.5重量部に、ビニレンカーボネート2重量部およびアセトニトリル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、45℃および0℃でサイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)97.5重量部に、ビニレンカーボネート2重量部およびビニルエチレンカーボネート0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、45℃および0℃でサイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)92.5重量部に、ビニレンカーボネート2重量部、ビニルエチレンカーボネート0.5重量部および、スクシノニトリル5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、45℃サイクル特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
例えば、比較例1に対して、アセトニトリルのみを添加した比較例2では、低温サイクル特性の改善効果はみられず、45℃サイクル特性に効果は発現していない。
また、比較例1に対して、ビニルエチレンカーボネートのみを添加した比較例3では、45℃サイクル特性は向上するが、低温サイクルが著しく低下してしまう。
実施例1のように、ビニルエチレンカーボネートとアセトニトリルを併用することで、低温サイクル特性の劣化を抑えた状態で、45℃サイクル特性を向上することが実現できる。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)96.5重量部に、ビニレンカーボネート2重量部、シクロヘキシルベンゼン1重量部およびアセトニトリル0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、連続充電特性、サイクル特性および過充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)97重量部に、ビニレンカーボネート2重量部およびシクロヘキシルベンゼン1重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、連続充電特性、サイクル特性および過充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)98重量部に、ビニレンカーボネート2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、連続充電特性、サイクル特性および過充電特性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Claims (6)
- 電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、
該電解質がリチウム塩であり、
該非水溶媒が、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート、及び各アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルカーボネートを含み、
該非水系電解液が、ビニルエチレンカーボネート系化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、ニトリル化合物を0.001〜0.8重量%含有していることを特徴とする非水系電解液。 - 電解質およびこれを溶解する非水溶媒を含む非水系電解液において、
該電解質がリチウム塩であり、
該非水溶媒が、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート、及び各アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルカーボネートを含み、
該非水系電解液が、総炭素数が7以上18以下の芳香族化合物を0.001〜5重量%含有し、更に、モノニトリル化合物を0.001〜0.8重量%含有していることを特徴とする非水系電解液。 - 前記アルキレンカーボネートがエチレンカーボネートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、更に、ビニレンカーボネート系化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、前記ビニレンカーボネート系化合物を0.01重量%以上8重量%以下含有していることを特徴とする請求項4に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極および正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
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