JP2012038716A - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、非水系電解液中に電池の最大動作電圧以上の電池電圧で重合する添加剤を混合することによって電池の内部抵抗を高くして電池を保護することが提案されており、特許文献2には、非水系電解液中に電池の最大動作電圧以上の電池電圧で重合することによって気体及び圧力を発生させる添加剤を混合することにより、過充電保護のために設けた内部電気切断装置を確実に動作させることが提案され、それらの添加剤としてビフェニル、チオフェン、フラン等の芳香族化合物が開示されている。特許文献3には、ビフェニルやチオフェンを用いた場合の、電池特性の低下を抑制するために、非水系電解液中にフェニルシクロヘキサンを0.1〜20重量部の範囲で添加した非水系電解液二次電池と、電池温度の上昇を感知して、充電の回路を切断する充電制御システムとを含む非水系電解液二次電池システムが提案されている。特許文献4には、非水系電解液中に2−フルオロビフェニル等のフッ素原子置換芳香族化合物とシクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物を混合することによって過充電防止効果を高めることが提案されている。
高容量化する方法として、例えば、電極の活物質層を加圧して高密度化して、電池内部の活物質以外の占める体積を極力少なくする方法や、正極の利用範囲を広げて高電位まで使用する方法が検討されている。しかし、電極の活物質層を加圧して高密度化すると、活
物質を均一に使用することができにくくなり、不均一な反応により一部リチウムが析出したり、活物質の劣化が促進されたりして、十分な特性が得られないという問題が発生しやすくなる。また、正極の利用範囲を広げて高電位まで使用すると、正極の活性は更に高くなり、正極と電解液との反応により劣化が促進される問題が発生しやすくなる。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
(a)電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記条件Aを満たす化合物(A)を含むことを特徴とする非水系電解液。
(条件A)エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量として一般式(1)で表される化合物および化合物(A)をそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるよう
に溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+
間を電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位をPxV vs. Li/Li+としたとき
に1サイクル目(x=1)と2サイクル目(x=2)の電位差(VA=P2−P1)が0V以上である。
(b)P1が4.7V vs.Li/Li+以上であることを特徴とする(a)に記載の非水系電解液
。
(c)VA=P2−P1が0.05V以上であることを特徴とする(a)または(b)に記載の非水系電解液。
(d)該非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする(a)ないし(c)の何れか1つに記載の非水系電解液。
(e)一般式(1)で表される化合物のR1〜R16が、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基の何れかであることを特徴とする(a)ないし(d)の何れか1つに記載の非水系電解液。
(f)上記条件Aを満たす化合物(A)が3,5-ジフルオロアニソール、2,4-ジフルオロアニソール、2,4-ジフルオロビフェニル、3-フルオロアニソール、trans‐1‐ブチル‐4‐フェニルシクロヘキサンから選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とする(a)ないし(e)の何れか1つに記載の非水系電解液。
(g)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が(a)ないし(f)の何れかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
<非水系電解液>
本発明の非水系電解液は、常用の非水系電解液と同じく、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有するものであり、通常、これらを主成分とするものである。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に用いることができる。
本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
PF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2
(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート等のジカルボン酸錯体リチウム塩;等が挙げられる。
ルホニルイミド、リチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェートが好ましく、特にLiPF6、Li
BF4が好ましい。
特に、LiPF6とLiBF4との併用や、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiCF3SO3、LiN(CF3 SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、及びリチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド等の含フッ素有機リチウム塩や、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート等のジカルボン酸錯体リチウム塩とを併用することが好ましい。
上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。この範囲未満の場合には所望する効果が得られないことがあり、この範囲を超える場合は高負荷放電特性等の電池の特性が低下することがある。
SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジス
ルホニルイミド、及びリチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド等の含フッ素有機リチウム塩や、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート等のジカルボン酸錯体リチウム塩とを併用する場合、両者の合計に占める無機リチウム塩の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましく95質量%以下である。
非水溶媒も、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、プロピ
オン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル等及びトリフルオロ酢酸プロピル、トリフルオロ酢酸ブチル等のこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物等が挙げられ、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸メチルがより好ましい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等及び、これらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した化合物として、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―メトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ―3―エトキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカ
フルオロ―3―プロポキシ―4―トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用するのが好ましい。例えば、環状カーボネート類や環状カルボン酸エステル類等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状カルボン酸エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、通常0.1容量%以上、好ましくは1容量%以上、より好ましくは2容量%以上、また、通常20容量%以下、好ましくは8容量%以下、より好ましくは5容量%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れるので好ましい。
また、非水溶媒中にジエチルカーボネートを含有する場合は、全非水溶媒中に占めるジエチルカーボネートの割合が、通常10容量%以上、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上、更に好ましくは30容量%以上であり、また、通常90容量%以下、好ましくは80容量%以下、より好ましくは75容量%以下、更に好ましくは、70容量%以下となる範囲で含有させると、高温保存時におけるガス発生が抑制されるので好ましい。
この場合、全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の下限値は通常1以上であるが、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させるため、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。容量比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)の上限値は、低温での電池特性を向上させるため、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。 また、上記アルキレンカーボネート類とジアルキルカーボネート類
を主体とする組合せにおいては、他の溶媒を混合してもよい。
レンカーボネートよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60容量%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。中でも、非水溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、70容量%以上、好ましくは80容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比が30:70〜60:40であるものを用いると、一般にサイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなる。なお、本明細書において、非水溶媒の容量は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
本発明に係る非水系電解液は、上述の電解質と非水溶媒を含有し、更に下記一般式(1)で表される化合物及び下記条件Aを満たす化合物(A)を含むものである。
(条件A)エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量として一般式(1)で表される化合物および化合物(A)をそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるよ
うに溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+ 間を電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位をPxV vs. Li/Li+(但し、xはサイクル数を表わす)としたときに1サイクル目(x=1)と2サイクル目(x=2)の電位差(VA=P2−P1)が0V以上である。
以下、上記一般式(1)で表わされる化合物について詳細に説明する。
チル基、1,1−ジメチルブチル基等の総炭素数4〜6の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基等の炭素数1以上4以下のアルキル基で置換されていても良い炭素数5〜6のシクロアルキル基がより好ましく、t−ブチル基、t−ペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基が特に好ましい。
一般式(1)で表わされる化合物の具体例としては、次のようなものが挙げられる。R1〜R16が水素原子の化合物:
フェニルシクロヘキサン
R1〜R16の少なくとも1個がハロゲン原子である化合物:
1−シクロヘキシル−2−フルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−3−フルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−4−フルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−2,3−ジフルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−2,4−ジフルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−2,5−ジフルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−2,6−ジフルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−3,4−ジフルオロベンゼン
1−シクロヘキシル−3,5−ジフルオロベンゼン
R1〜R16の少なくとも1個が直鎖アルキル基である化合物:
1−シクロヘキシル−2−メチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3−メチルベンゼン
1−シクロヘキシル−4−メチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,3−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,4−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,5−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,6−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,4−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,5−ジメチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2−エチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3−エチルベンゼン
1−シクロヘキシル−4−エチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,3−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,4−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,5−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,6−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,4−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,5−ジエチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2−n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−3−n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−4−n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,3−ジ-n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,4−ジ-n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,5−ジ-n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,6−ジ-n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,4−ジ-n−プロピルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,5−ジ-n−プロピルベンゼン
1−n−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1−n−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1−n−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-n−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-n−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,4−ジ-n−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-n−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-n−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-n−ブチル−5−シクロヘキシルベンゼン
R1〜R16の少なくとも1個が2級アルキル基又は3級アルキル基である化合物:
1−sec−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1−sec−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1−sec−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-sec−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-sec−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,4−ジ-sec−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-sec−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-sec−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-sec−ブチル−5−シクロヘキシルベンゼン
1−t−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1−t−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1−t−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-t−ブチル−3−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-t−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,4−ジ-t−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-t−ブチル−2−シクロヘキシルベンゼン
1,2−ジ-t−ブチル−4−シクロヘキシルベンゼン
1,3−ジ-t−ブチル−5−シクロヘキシルベンゼン
1−シクロヘキシル−2−t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3−t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−4−t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,3−ジ-t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,4−ジ-t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,5−ジ-t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−2,6−ジ-t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,4−ジ-t−ペンチルベンゼン
1−シクロヘキシル−3,5−ジ-t−ペンチルベンゼン
1,2−ジシクロヘキシルベンゼン
1,3−ジシクロヘキシルベンゼン
1,4−ジシクロヘキシルベンゼン
3−フェニルビシクロヘキシル
R1〜R16の少なくとも1個がアリール基である化合物:
1,3−ジフェニルシクロヘキサン
3−シクロヘキシルビフェニル
R1〜R16の少なくとも1個がエーテル基である化合物:
1−シクロヘキシル−2−メトキシベンゼン
1−シクロヘキシル−3−メトキシベンゼン
1−シクロヘキシル−4−メトキシベンゼン
1−シクロヘキシル−2−エトキシベンゼン
1−シクロヘキシル−3−エトキシベンゼン
1−シクロヘキシル−4−エトキシベンゼン
(i)R12〜R16の全てが水素原子。
(ii)R12〜R16の1個又は2個が総炭素数4〜6の分岐鎖アルキル基で、残りが水素原子。
(iii)R12〜R16の1個又は2個がフッ素原子で、残りが水素原子。
上記の中で、特に好ましい化合物は、フェニルシクロヘキサン、1−シクロヘキシル−2−フルオロベンゼン、1−シクロヘキシル−3−フルオロベンゼン、及び1−シクロヘキシル−4−フルオロベンゼンである。
非水系電解液中における一般式(1)で表される化合物の割合は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。これより低濃度では、本発明の効果が発現しにくい場合がある。逆に濃度が高すぎると、電池の容量が低下する場合があるので、上限は、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
本発明に係る非水系電解液が含有する化合物(A)は以下の条件Aを満たす。
(条件A)エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量として一般式(1)で表される化合物および化合物(A)をそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるよ
うに溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+ 間を電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位をPxV vs. Li/Li+(但し、xはサイクル数を表わす)としたときに1サイクル目(x=1)と2サイクル目(x=2)の電位差(VA=P2−P1)が0V以上である。
更に、過充電時の安全性の点からは一般式(1)で表される化合物の酸化電位が化合物(A)の酸化電位より貴であるものが好ましい。一般式(1)で表される化合物の酸化電位と化合物(A)の酸化電位の差は、好ましくは0.5V以下、好ましくは0.3V以下、更に好ましくは0.1V以下である。
ここで、一般式(1)で表される化合物または化合物(A)の酸化電位とは以下の方法で測定した電位を示す。
溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位を酸化電位とする。
3,5-ジフルオロアニソール
2,4-ジフルオロアニソール
2,4-ジフルオロビフェニル
3-フルオロアニソール
trans‐1‐ブチル‐4‐フェニルシクロヘキサン
以下に、一般式(1)で表される化合物と上記条件Aを満たす化合物(A)を任意の組み合わせで用いたときの、それぞれのP1、P2、VAの例を示す。
FA=4.7 V vs. Li/Li+、24DFBP=4.7 V vs. Li/Li+、transBuCHB=5.0
V vs. Li/Li+である。
水系電解液中に含まれる上記条件Aを満足する化合物は、1種でも2種以上でもよく、2種以上の場合、その合計量が上記の割合であるのが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、過充電時に正極上で脱水素化反応を伴いながら反応することによって過充電時の安全性を向上させる。しかし、一般式(1)で表される化合物は電解液溶媒構成分に比べて酸化電位が卑であるため、高温保存時において電極の活性の高い部位で同様の反応が生じてしまう。また、一般式(1)で表される化合物が高温保存時に正極上で脱水素化反応を伴いながら反応すると、一般式(1)で表される化合物よりもさらに酸化電位が卑な副生成物を形成してしまい、加えて正極上に形成される被膜が導電性であることから継続的に副反応が進行し、高温保存後の電池特性を悪化させてしまう。〔一般式(1)で表される化合物のみで、化合物(A)を含有しない場合、(VA=P2−P1)が0V未満となる。〕
一方、一般式(1)で表される化合物と上記条件Aを満たす化合物(A)とを併用させることにより、一般式(1)で表される化合物の被膜中に上記条件Aを満たす化合物(A)の構造が取り込まれ、その被膜はより導電性が低いものとなる。そのため、一般式(1)で表される化合物の高温保存時における、酸化電位がより卑な副生成物の形成が抑制され、放電特性の著しい低下を抑制すると考えられる。さらに、上記条件Aを満たす化合物(A)も、過充電時には、過充電防止剤として反応することによって、過充電時の安全性向上へも寄与する。〔(VA=P2−P1)が0V以上となる。〕
本発明に係る非水系電解液は、本発明の効果を損ねない範囲で、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物や従来公知の過充電防止剤などの種々の他の化合物を助剤として含有していてもよい。
(炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物)
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、1,2−ジメチルビニレンカーボネート、1,2−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−エチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−n−プロピル−2−ビニルエチレンカーボネート、1−メチル−2−ビニルエチレンカーボネート、1,1−ジビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物;1,1−ジメチル−2−メチレンエチレンカーボネート、1,1−ジエチル−2−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物等が挙げられる。これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1,2−ジビニルエチレンカーボネートがサイクル特性や高温保存後の容量維持特性向上の点から好ましく、中でもビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートがより好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(フッ素原子を有する環状カーボネート化合物)
フッ素原子を有する環状カーボネート化合物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1−ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2−トリフルオロエチレンカーボネート、テトラフルオロエチレンカーボネート、1−フルオロ−2−メチルエチレンカーボネート、1−フルオロ−1−メチルエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロ−1−メチルエチレンカーボネート、1,1,2−トリフルオロ−2−メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1−フルオロ−2−メチルエチレンカーボネートがサイクル特性向上や高温保存特性向上の点から好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩)
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR1R2R3R4(式中、R1〜R4は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
また、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物やフッ素原子を有する環状カーボネート化合物と併用して用いても良く、サイクル特性向上や高温保存後の特性向上の点から併用するのが好ましい。
非水系電解液が炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の割合が小さすぎると、電池のサイクル特性や高温保存後の容量維持特性を向上させるという効果を十分に発揮できない場合がある。しかし、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の割合が大きすぎると、高温保存時にガス発生量が増大したり、低温での放電特性が低下する場合があるので、通常8質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
非水系電解液がモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
従来公知の過充電防止剤としては、ビフェニル、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が挙げられる。これらの過充電防止剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
ルオロメチル)、マレイン酸ビス(ペンタフルオロエチル)、マレイン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)等のジカルボン酸ジエステル化合物;2,4,8,10−テトラオ
キサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン、メチルメタンスルホネート、エチルメタンスルホネート、メチル−メトキシメタンスルホネート、メチル−2−メトキシエタンスルホネート、ブスルファン、ジエチレングリコールジメタンスルホネート、1,2−エタンジオールビス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)、1,4−ブタンジオールビス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびN−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等のフッ化ベンゼン;2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、ベンゾトリフルオライド等のフッ化トルエン;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物;メチルジメチルホスフィネート、エチルジメチルホスフィネート、エチルジエチルホスフィネート、トリメチルホスホノフォルメート、トリエチルホスホノフォルメート、トリメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリメチル−3−ホスホノプロピオネート、トリエチル−3−ホスホノプロピオネート等の含リン化合物等が挙げられる。 これらの中で、高温保存後の電池特性向上の点からエチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン、ブスルファン、1,4−ブタンジオールビス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)等の含硫黄化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル等のニトリル化合物がより好ましい。
非水系電解液中におけるこれらの助剤の割合は、本発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができるが、この下限より低濃度では助剤の効果がほとんど発現しない場合がある。また、逆に濃度が高すぎると高負荷放電特性などの電池の特性が低下する場合がある。
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、電解質、一般式(1)の化合物、および上記条件を満たす化合物(A)及び必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、電解液とした場合の水分を低減させるため予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下までそれぞれ脱水するのがよい。また、電解液調製後に、脱水、脱酸処理等を実施してもよい。
<非水系電解液二次電池>
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が上記した電解液であることを特徴とするものである。
(電池構成)
本発明に係る非水系電解液二次電池は、上記本発明の電解液を用いて作製される以外は従来公知の非水系電解液二次電池と同様、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であり、通常、正極と負極とを本発明に係る非水系電解液が含浸されている多孔膜を介してケースに収納することで得られる。従って、本発明に係る二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない
。その具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
これらの負極活物質は、単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。なかでも好ましいものは炭素質材料、合金系材料である。
黒鉛は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が0.335〜0.338nm、特に0.335〜0.337nmであるものが好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた結晶子サイズ(Lc)は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、特に好ましくは100nm以上である。灰分は、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5
m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、最も好ましくは0.8m2/g以上で
あり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、最も好ましくは10.0m2/g以下である。
の金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
また、金属単体又は合金を用いるよりは単位質量当りの容量には劣るものの、サイクル特性に優れることから、珪素及び/又は錫を含有する以下の化合物も好ましい。
・珪素及び/又は錫と酸素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の酸化物。
・珪素及び/又は錫と炭素との元素比が通常0.5以上であり、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.9以上、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.1以下の珪素及び/又は錫の炭化物。
合金系材料の平均粒径は、本願発明の効果を発現するためには、特に制限はないが、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、特に好ましくは2μm以上である。平均粒径がこの上限を上回る場合、電極の膨張が大きくなり、サイクル特性が低下してしまう可能性がある。また、平均粒径この下限を下回る場合、集電が取りにくくなり、容量が十分に発現しない可能性がある。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンの一部が、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
(p)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(q)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(r)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましく、特に好ましい代表的な組成は、(p)ではLi4/3Ti5/3O4、(q)ではLi1Ti2O4、(r)ではLi4/5Ti11/5O4である。
(正極)
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限はない。正極活物質としては、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの中では、LiNi1-a-bMnaCobO2(a,bは0以上1未満の数字
を表すが、a,bが共に0の場合を除く)、LiNi1-c-d-eCocAldMgeO2(c,
d,eは0以上1未満の数字を表すが、c,d,eが共に0の場合を除く)が好ましく、更にはLiNi1-a-bMnaCobO2(0≦a<0.4、0≦b<0.4)、LiNi1-c-d-eCocAldMgeO2(0≦c<0.3、0≦d<0.1、0≦e<0.05)が好ましく、特にLiNi1/3Co01/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.85Co0.10Al0.03Mg0.02
O2が好ましい。
e2(PO4)3、LiFeP2O7等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類
、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
活物質表面での非水系電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
活物質を結着する結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等の不飽和結合を有するポリマー及びその共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のアクリル酸系ポリマー及びその共重合体などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
(電極の製造)
電極の製造は、常法によればよい。例えば、負極又は正極活物質に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー化し、これを集電体に塗布、乾燥した後に、プレスすることによって形成することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm3以上であり、好ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.60g/cm3以上、特に好ましくは1.65g/cm3以上、である。
ましくは2.5g/cm3以上、より好ましくは3.0g/cm3以上である。
(集電体)
集電体としては各種のものが用いることができるが、通常は金属や合金が用いられる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、好ましいのは銅である。また、正極の集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はその合金が挙げられ、好ましいのはアルミニウム又はその合金である。
正極と負極の間には、短絡を防止するために多孔膜(セパレータ)を介在させる。この場合、電解液は多孔膜に含浸させて用いる。多孔膜の材質や形状は、電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等が好ましい。
上記した本発明の非水系電解液二次電池の作動電圧は通常2V〜4.9Vの範囲である
。
[酸化電位評価]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量として一般式(1)で表される化合物および化合物(A)をそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解し
て得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+ 間を電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位をPxV vs. Li/Li+としたときに1サイクル目(x=1)と2サイクル目(x=2)の電位差をVA=P2−P1とした。
非水系電解液二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、25℃において、0.2Cの定電流で5Vまで定電流充電を行い、5Vに達した時点で電流をカットして、過充電試験後の電池の開回路電圧(OCV)を測定した。
次にエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電の前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
また、過充電後のガス発生量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができるので好ましい。
[高温保存特性(連続充電特性)の評価]
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において、0.5Cの定電流で定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行った。
発生ガス量の測定後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させた後、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、1Cの定電流で3Vまで放電して、連続充電試験後の1C放電容量を測定
し、初期放電容量に対する連続充電試験後の1C放電容量の割合を求め、これを連続充電試験後の1C容量(%)とした。
[負極の製造]
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07質量部、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマ
ンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IA)が0.12、1570〜1620cm-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末94質量部とポリフッ化ビニリデン6質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活物質層の密度が1.67g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO2 90質量部、カーボンブラック4質量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)6質量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリーし、これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活物質層の密度が3.2g/cm3になるようにプレスして正極とした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量%と一般式(1)で表される化合物としてフェニルシクロヘキサン1質量%、および前述した条件Aを満たす化合物(A)として3,5−ジフルオロアニソール1質量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合と
なるように溶解して電解液とした。また、本実施例における一般式(1)で表される化合物と前述した条件Aを満たす化合物(A)の組み合わせにおけるP1、P2、VAを表-
2に示す。
[リチウム二次電池の製造]
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、上記電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。
実施例1の電解液において、3,5−ジフルオロアニソールに代えて、2,4−ジフルオロアニソールを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。また、本
実施例における一般式(1)で表される化合物と前述した条件Aを満たす化合物(A)の組み合わせにおけるP1、P2、VAを表-2に示す。
実施例1の電解液において、3,5−ジフルオロアニソールに代えて、2,4−ジフルオロビフェニルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。また、本
実施例における一般式(1)で表される化合物と前述した条件Aを満たす化合物(A)の組み合わせにおけるP1、P2、VAを表-2に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合物(容量比2:3:3)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート2質量%を溶解して調製した電解液を使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。
実施例1の電解液において、3,5−ジフルオロアニソールを添加しなかったこと以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。
また、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量としてフェニルシクロヘキサンを1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して得た非水系電解液と、作用極
に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+ 間を電位走査させ、1サイクル目において、電流が1mA・cm−2流れた電位は、4.9V vs.Li/Li+であり、2サイクル目におい
て、電流が1mA・cm−2流れた電位は、4.6V vs. Li/Li+であった。
実施例1の電解液において、3,5−ジフルオロアニソールに代えて、2−フルオロビフェニルを使用した以外、実施例1と同様にしてシート状リチウム二次電池を作製し、過充電特性および連続充電特性の評価を行った。評価結果を表-3に示す。
また、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量としてフェニルシクロヘキサンおよび2−フルオロビフェニルをそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるよう
に溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+ 間を電位走査させ、1サイクル目において、電流が1mA cm−2流れた電位は、4.7V
vs. Li/Li+であり、2サイクル目において、電流が1mAcm−2流れた電位は、4.6V vs. Li/Li+であった。
以上より本発明に係る電池は、過充電時の安全性が高く、高温保特性に優れていることがわかる。
高容量で、保存特性に優れているため、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、負荷平準化用電源、自然エネルギー貯蔵電源等を挙げることができる。
Claims (7)
- 電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液において、該非水系電解液が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記条件Aを満たす化合物(A)を含むことを特徴とする非水系電解液。
(条件A)エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)に、非水系電解液中の含有量として一般式(1)で表される化合物および化合物(A)をそれぞれ1質量%混合し、次いでLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるよう
に溶解して得た非水系電解液と、作用極に白金板、参照極および対極にLiワイヤーを用い、三極式セルを作成した後、25℃にて5mV s-1で開回路電位から5V vs. Li/Li+
間を電位走査させ、電流が1mA・cm−2流れた電位をPxV vs. Li/Li+(但し、x
はサイクル数を表わす)としたときに1サイクル目(x=1)と2サイクル目(x=2)の電位差(VA=P2−P1)が0V以上である。 - P1が4.7V vs. Li/Li+以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- VA=P2−P1が0.05V以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
- 該非水系電解液が、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の非水系電解液。
- 一般式(1)で表される化合物のR1〜R16が、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基の何れかであることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の非水系電解液。
- 化合物(A)が3,5-ジフルオロアニソール、2,4-ジフルオロアニソール、2,4-ジフルオロビフェニル、3-フルオロアニソール及びtrans‐1‐ブチル‐4‐フェニルシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1ないし6に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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