JP7417135B2 - 非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法に関する。
電気自動車等の大型動力機器用途の非水電解質二次電池用正極活物質には、高い出力特性が求められている。高い出力特性を得るには、多くの一次粒子が凝集した二次粒子の構造を有する正極活物質が有効とされている。これに関連して、二次粒子の表面と内部とでリチウムの酸素に対する存在比が異なるリチウム含有遷移金属複合酸化物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面にアルミナコーティング層を設けたリチウム遷移金属酸化物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2019-99410号公報 特表2016-538694号公報
本開示の一態様は、非水電解質二次電池における出力特性に優れる非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法を提供することを目的とする。
第一態様は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子と、平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物とを含む非水電解質二次電池用正極活物質である。非水電解質二次電池用正極活物質は、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、比表面積が1.4m/g以上である。
第二態様は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子を準備することと、前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子及び平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物を混合して混合物を得ることと、を含む非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子は、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、比表面積が1.3m/g以上である。
本開示の一態様によれば、非水電解質二次電池における出力特性に優れる非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法を提供することができる。
実施例1に係る正極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)画像の一例である。 参考例1に係る正極活物質のSEM画像の一例である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。更に本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、当該数値を任意に選択して組み合わせることが可能である。本明細書において、以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法を例示するものであって、本発明は、以下に示す非水電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法に限定されない。
非水電解質二次電池用正極活物質
非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子と、平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物とを含み、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、比表面積が1.4m/g以上である。非水電解質二次電池用正極活物質は、例えば後述する非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法によって効率的に製造することができる。
非水電解質二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ともいう)は、比較的粒径が小さく、比表面積が大きいことで、非水電解質二次電池を構成する場合に、優れた出力特性、例えば低温環境下において低減された直流抵抗を達成することができる。また、アルミニウム化合物を含むことで、比表面積が大きいにもかかわらず、粉体としての流動性に優れるため、工程流動性が良好で製造工程における生産性に優れる。これは、例えば、アルミニウム化合物を含むことで、粒子間の立体障害が大きくなって、凝集が抑制されるからと考えることができる。
正極活物質は、非水電解質二次電池における出力特性の観点から、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であってよく、好ましくは1.2μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、又は3.5μ以上であってよく、また好ましくは6μm以下、5μm以下、4.7μm以下、又は4.5μm以下であってよい。一態様において体積平均粒径は2μm以上6μm以下であってよい。正極活物質の体積平均粒径は、体積基準の累積粒度分布において小径側からの体積累積50%に対応する粒径として求められる。体積基準の累積粒度分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される。
正極活物質は、非水電解質二次電池における出力特性の観点から、BET法により測定される比表面積が1.4m/g以上であってよく、好ましくは1.7m/g以上、1.9m/g以上、2.0m/g以上、又は2.5m/g以上であってよい。また、比表面積は、例えば4.0m/g以下であってよく、好ましくは、3.8m/g以下、3.3m/g以下、又は3.0m/g以下であってよい。一態様において、正極活物質の比表面積は、例えば1.7m/g以上3.8m/g以下であってよく、好ましくは1.7m/g以上3.3m/g以下、又は1.9m/g以上3.0m/g以下であってよい。なお、BET法により測定される比表面積は、BET(Brunauer Emmett Teller)理論に基づき、窒素ガスを用いる1点法で測定される。
正極活物質は、流動性の観点から、粉体としての安息角が、例えば70°未満であってよく、好ましくは68°以下、又は67°以下であってよい。安息角の下限は、例えば50°以上、又は60°以上であってよい。また、正極活物質は、流動性の観点から、粉体としての崩壊角が、例えば68°未満であってよく、好ましくは66°以下、又は61°以下であってよい。崩壊角の下限は、例えば40°以上、又は45°以上であってよい。更に、正極活物質は、流動性の観点から、安息角から崩壊角を差し引いた差角が、例えば3°以上であってよく、好ましくは6°以上、又は8°以上であってよい。差角の上限は、例えば25°以下、又は20°以下であってよい。
ここで、「安息角(θ1)」は、測定用テーブルに正極活物質の粉末を堆積させたときの傾斜角を意味する。正極活物質の粉末を堆積させる方法としては、一般的な注入法が挙げられる。また、「崩壊角(θ2)」は、安息角(θ1)測定後に、測定用テーブルに所定の衝撃力を作用させた後に計測した傾斜角を意味する。安息角(θ1)と崩壊角(θ2)の測定には、例えば粉体特性測定器(例えば、パウダテスタ(登録商標);ホソカワミクロン社製)が使用できる。
安息角(θ1)と崩壊角(θ2)の具体的な測定方法は下記の通りである。
[安息角の測定方法]
測定対象となる粉末を所定の高さの漏斗から水平な基板(測定用テーブル)の上に落下させ、生成した円錐状堆積物の直径及び高さから底角を算出し、この底角を安息角とした。一般的にはJIS-R9301-2-2に基づき測定することができる。
[崩壊角の測定方法]
安息角を測定した円錐状堆積物を、測定用テーブルに所定の衝撃を3回加えることで崩壊させた後に円錐状堆積物の直径及び高さから底角を算出し、この底角を崩壊角とする。ここで所定の衝撃とは使用した測定装置において、採用されている衝撃であり、装置固有かつ一定のものである。
[差角の測定方法]
以下の式により、差角を算出した。
安息角(°)-崩壊角(°)=差角(°)
リチウム遷移金属複合酸化物
正極活物質を構成するリチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子(以下、単に「リチウム遷移金属複合酸化物粒子」ともいう)は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物を含む一次粒子が複数集合してなる二次粒子であってよい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子が所定の体積平均粒径及び比表面積を有することで、これを含む正極活物質を用いて構成される非水電解質二次電池において出力特性が向上する。従って、一態様において正極活物質は、所定の体積平均粒径及び比表面積を有するリチウム遷移金属複合酸化物粒子からなるものであってもよい。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径(D50)は、例えば1μm以上8μm以下であってよく、好ましくは1.2μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、又は3.5μm以上であってよく、また好ましくは6μm以下、5μm以下、4.7μm以下、又は4.5μm以下であってよい。一態様において体積平均粒径は2μm以上6μm以下であってよい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径が前記範囲内であると、正極活物質としての流動性が良好で、非水電解質二次電池を構成する際に出力特性がより向上する場合がある。ここで、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径は、正極活物質と同様に、体積基準の累積粒度分布における小径側からの体積累積50%に対応する粒径として求められる。
正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物のナノ粒子から構成される。そのため、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径は、正極活物質の体積平均粒径とほぼ同程度であってよい。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子は複数の一次粒子が集合して形成される。一次粒子の電子顕微鏡観察に基づく平均粒径DSEMは、例えば0.1μm以上1.5μm以下であり、好ましくは0.12μm以上、より好ましくは0.15μm以上である。また一次粒子の電子顕微鏡観察に基づく平均粒径DSEMは、好ましくは1.2μm以下、より好ましくは1.0μm以下である。一次粒子の電子顕微鏡観察に基づく平均粒径が前記範囲内であると非水電解質二次電池を構成する際に出力が向上する場合がある。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子のBET法により測定される比表面積は、非水電解質二次電池における出力特性の観点から、1.3m/g以上であってよく、好ましくは1.5m/g以上、1.7m/g以上、又は1.9m/g以上であってよい。また、比表面積は、例えば3.9m/g以下であってよく、好ましくは、3.5m/g以下、3.3m/g以下、又は2.8m/g以下であってよい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子の比表面積が前記範囲内であると、出力特性がより向上すると共に、アルミニウム化合物を添加した際の流動性の改善効果がより大きくなる場合がある。
正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子である二次粒子とアルミニウム化合物のナノ粒子から構成される。そのため、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の比表面積は、正極活物質の比表面積とほぼ同程度の値であるか、正極活物質の比表面積に対して80%以上110%以下の値であってよい。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子は、複数の一次粒子が集合してなる二次粒子であってその内部に空隙を有していてもよい。これにより所定の比表面積を容易に達成することができ、非水電解質二次電池における出力特性がより向上する場合がある。リチウム遷移金属複合酸化物粒子が、内部に空隙を有することは、例えばその断面画像から評価することができる。粒子の断面画像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)を用いて得ることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子が内部に空隙を有する場合、その空隙の度合は、例えば空隙率によって評価することができる。空隙率はリチウム遷移金属複合酸化物から構成される二次粒子の内部に形成された空間部の存在比率の指標であり、二次粒子の断面観察によって測定される。リチウム遷移金属複合酸化物粒子の空隙率は、例えば15%以上50%以下、又は20%以上50%以下であってよい。空隙率をこの範囲に制御することにより、同程度の比表面積であっても、電解質との接触面積をより大きくすることができ、より出力特性に優れる正極活物質を得ることが可能となる。これにより、体積あたりの出力密度がより向上する二次電池が得られる。リチウム遷移金属複合酸化物粒子の空隙率は、好ましくは25%以上45%以下であってよく、27%以上、29%以上、又は30%以上であってよく、40%以下、又は38%以下であってよい。
二次粒子の空隙率は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、二次粒子の任意断面を観察し、画像解析することによって測定できる。具体的には、複数の二次粒子を樹脂などに埋め込み、クロスセクションポリッシャ加工などにより断面試料を作製し、走査電子顕微鏡により二次粒子の断面観察が可能な状態とする。その後、断面の大きさがリチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径(D50)±1μm以内である二次粒子を任意に100個選択する。それぞれの二次粒子について、画像解析ソフト(例えば、HALCON;MVTec社製)により、二次粒子中の空隙の部分(空間部)を白で検出し、二次粒子の輪郭内の緻密部を黒で検出する。選択された100個の二次粒子の白部分の合計面積および黒部分の合計面積をそれぞれ算出し、二次粒子の断面積に対する空間部の面積比[白部分/(白部分+黒部分)]を計算することで空隙率を算出することができる。アルミニウム化合物を含む非水電解質二次電池用正極活物質の二次粒子の空隙率は、リチウム遷移金属複合酸化物からなる二次粒子(母材)の空隙率と同等である。
正極活物質を構成するリチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、リチウム(Li)及びニッケル(Ni)を組成に含み、層状構造を有していてよい。リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくともリチウム(Li)とニッケル(Ni)を含んでいてよく、更にコバルト(Co)を含んでいてもよい。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、アルミニウム(Al)及びマンガン(Mn)からなる群から選択される少なくとも1種の第1金属元素を更に含んでいてもよい。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、これらに加えて、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ランタン(La)、カドミウム(Cd)及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも1種の第2金属元素を更に含んでいてよい。第2金属元素は、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
リチウム遷移金属複合酸化物における、リチウム以外の金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、例えば0より大きく、好ましくは0.33以上であってよい。リチウム以外の金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、0.4以上、0.45以上であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は例えば、1未満であってよく、好ましくは0.95以下、0.8以下、又は0.6以下であってよい。ニッケルのモル数の比が上述した範囲であると、非水電解質二次電池において、高電圧時の充放電容量とサイクル特性の両立を達成することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物がコバルトを含む場合、リチウム以外の金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、例えば、0より大きく、好ましくは0.01であってよく、より好ましくは0.02以上、0.05以上、0.1以上、又は0.15以上であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は例えば、1未満であってよく、好ましくは0.6以下、0.4以下、又は0.35以下であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、0.33以下、0.3以下、又は0.25以下であってよい。コバルトのモル数の比が上述した範囲であると、非水電解質二次電池において、高電圧時における充分な充放電容量を達成することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物がマンガン及びアルミニウムの少なくとも一方を含む場合、リチウム以外の金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は、例えば、0より大きく、好ましくは0.01以上であってよく、より好ましくは0.05以上、0.1以上、又は0.15以上であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は例えば、0.6以下であってよく、好ましくは0.35以下であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は、0.33以下、又は0.3以下であってよい。マンガン及びアルミニウムの総モル数の比が上述した範囲内であると、非水電解質二次電池において、充放電容量と安全性の両立を達成することができる。
リチウム遷移金属複合酸化物における、リチウム以外の金属元素の総モル数に対するリチウムのモル数の比は、例えば、0.95以上であってよく、好ましくは1.0以上、1.03以上、又は1.05以上であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対するリチウムのモル数の比は例えば、1.5以下であってよく、好ましくは1.3以下、1.25以下、又は1.2以下であってよい。リチウムのモル数の比が0.95以上であると、得られるリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を用いた非水電解質二次電池における正極表面と非水電解質との界面で発生する界面抵抗が抑制されるため、非水電解質二次電池の出力が向上する傾向がある。一方、リチウムのモル数の比が1.5以下であると、正極活物質を非水電解質二次電池の正極に用いる場合の初期放電容量が向上する傾向がある。
リチウム遷移金属複合酸化物がニッケルに加えて、コバルト及びマンガンを含む場合、ニッケル、コバルト及びマンガンのモル数の比は、例えば、ニッケル:コバルト:マンガン=(0.33から0.95):(0.02から0.6):(0.01から0.35)であってよく、好ましくは(0.33から0.8):(0.05から0.35):(0.05から0.35)であってよい。リチウム遷移金属複合酸化物がニッケルに加えて、コバルト並びにマンガン及びアルミニウムを含む場合、ニッケル、コバルト及び(マンガン+アルミニウム)のモル数の比は、例えば、ニッケル:コバルト:(マンガン+アルミニウム)=(0.33から0.95):(0.02から0.6):(0.01から0.35)であってよく、好ましくは(0.33から0.8):(0.05から0.35):(0.05から0.35)であってよい。
リチウム遷移金属複合酸化物が少なくとも1種の第2金属元素を含む場合、リチウム以外の金属元素の総モル数に対する第2金属元素の総モル数の比は、例えば、0より大きくてよく、好ましくは0.001以上、又は0.003以上であってよい。またリチウム以外の金属元素の総モル数に対する第2金属元素の総モル数の比は例えば、0.05以下であってよく、好ましくは0.02以下、又は0.015以下である。第2金属元素として特にタングステンを含む場合には、リチウム以外の金属元素の総モル数に対するタングステンのモル数の比を0.05以上0.15以下とすることで、より空隙率の高い粒子とできる傾向がある。
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば下記式(1)で表される組成を有していてよい。リチウム遷移金属複合酸化物は、層状構造を有していてよく、六方晶系の結晶構造を有するものであってよい。
LiNiCo 2+α (1)
ここで、p、x、y、z、w及びαは、1.0≦p≦1.3、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦w≦0.05、x+y+z+w=1、-0.1≦α≦0.1を満たす。x、y、z及びwは、0<x<1、0≦y≦0.6、0≦z≦0.6、0≦w≦0.05を満たしてよく、0.33≦x≦0.95、0.01≦y≦0.6、0≦z≦0.35、0≦w≦0.05を満たしてよく、0.33≦x≦0.8、0.02≦y≦0.35、0.05≦z≦0.35、0≦w≦0.02を満たしてよい。
は、Mn及びAlの少なくとも一方を示してよい。Mは、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Cu、Si、Sn、Bi、Ga、Y、Sm、Er、Ce、Nd、La、Cd及びLuからなる群から選択される少なくとも1種を示してよく、Zr、Ti、Mg、Ta、Nb、Mo及びWからなる群から選択される少なくとも1種を示してよい。
正極活物質におけるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の含有量は、例えば80質量%以上であってよく、好ましくは90質量%以上、又は95質量%以上であってよい。正極活物質におけるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の含有量の上限は、例えば100質量%未満であってよく、好ましくは99質量%以下、又は98質量%以下であってよい。
アルミニウム化合物
正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子に加えて、アルミニウム化合物を含んでいてよい。正極活物質におけるアルミニウム化合物は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子と独立して、アルミニウム化合物の粒子として存在していてもよく、アルミニウム化合物の粒子の少なくとも一部がリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面に付着していてもよい。アルミニウム化合物の粒子のリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面への付着は、正極活物質の粉体としての流動性の観点から、物理吸着であることが好ましい。物理吸着は、例えばファンデルワールス力等によるものであってよい。また、アルミニウム化合物の粒子のリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面への付着は、正極活物質の粉体としての流動性の観点から、アルミニウム化合物とリチウム遷移金属複合酸化物との化学反応を伴わないことが好ましい。アルミニウム化合物とリチウム遷移金属複合酸化物との化学反応は、例えばアルミニウム化合物及びリチウム遷移金属複合酸化物の混合物に対する熱処理、メカノケミカル処理等によって促進される。したがって、正極活物質はアルミニウム化合物及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む非熱処理物であってよい。ここで非熱処理物とは、アルミニウム化合物及びリチウム遷移金属複合酸化物を含む混合物に対して300℃以上、又は200℃以上の温度で、例えば2時間以上、又は30分以上の熱処理を行わずに得られるものであることを意味する。正極活物質が非熱処理物であることで、アルミニウム化合物を混合することによる流動性向上の効果がより大きくなる場合がある。
正極活物質を構成するアルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム(例えば、Al)、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、窒化アルミニウム等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。特定のアルミニウム化合物を含むことで、出力特性、正極活物質を含むスラリーの粘度への影響を少なくしつつ、正極活物質の粉体としての流動性がより向上する場合がある。
アルミニウム化合物の平均粒径は、正極活物質の粉体としての流動性の観点から、例えば1nm以上500nm未満であってよく、好ましくは2nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってよい。また平均粒径は、好ましくは300nm以下、100nm以下、又は50nm以下であってよい。アルミニウム化合物の平均粒径が上記範囲内であることで、より効率的に工程流動性を改善できる傾向がある。
正極活物質におけるアルミニウム化合物の含有量は、非水電解質二次電池における出力特性の観点から、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、例えば2モル%以下であってよく、好ましくは1.8モル%以下、又は1.5モル%以下であってよい。また正極活物質におけるアルミニウム化合物の含有量は、正極活物質の粉体としての流動性の観点から、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、例えば0.01モル%以上であってよく、好ましくは0.05モル%以上、又は0.1モル%以上であってよい。一態様において正極活物質におけるアルミニウム化合物の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して0.01モル%以上2モル%以下であってよい。
タングステン化合物
正極活物質は、タングステン化合物を更に含んでいてもよく、タングステン化合物の粒子を含んでいてもよい。正極活物質がタングステン化合物を含むことで、例えば正極活物質を含むスラリーの粘度上昇を効果的に抑制することができる場合がある。特にリチウム遷移金属複合酸化物粒子の体積平均粒径が4.7μm以下で、比表面積が1.3m/g以上である場合には、粘度上昇の抑制の効果がより大きくなる傾向がある。正極活物質におけるタングステン化合物は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子と独立して存在していてもよく、タングステン化合物の少なくとも一部がリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面に付着していてもよい。また、タングステン化合物の少なくとも一部がリチウムと反応して、タングステン酸リチウムの形態で正極活物質に含まれていてもよい。タングステン化合物のリチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面への付着は、正極活物質を含むスラリーの流動性の観点から、物理吸着であることが好ましい。
正極活物質を構成するタングステン化合物としては、酸化タングステン(例えば、WO)が好ましい。特定のタングステン化合物を含むことで正極活物質を含むスラリーの粘度上昇をより効果的に抑制することができる場合がある。
タングステン化合物の平均粒径は、正極活物質を含むスラリーの粘度上昇抑制の観点から、例えば0.05μm以上2μm以下であってよく、好ましくは0.25μm以上、又は0.50μm以上であってよい。また平均粒径は、好ましくは1.7μm以下、又は1.5μm以下であってよい。ここでタングステン化合物の平均粒径は、レーザー回折式粒径分布測定装置((株)島津製作所製SALD-3100)によって体積平均粒径として測定される。
正極活物質におけるタングステン化合物の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、例えば0.1モル%以上2モル%以下であってよい。正極活物質におけるタングステン化合物の含有量は、非水電解質二次電池における出力特性の観点から、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、好ましくは1.8モル%以下、又は1.5モル%以下であってよい。また正極活物質におけるタングステン化合物の含有量は、正極活物質を含むスラリーの粘度上昇抑制の観点から、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、好ましくは0.2モル%以上、又は0.3モル%以上であってよい。
金属化合物
一態様において、正極活物質は、アルミニウム化合物に代えて他の金属化合物を含んでいてもよい。他の金属化合物としては、タングステン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ケイ素化合物、マグネシウム化合物等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。他の金属化合物は、流動性と出力特性の両立の観点から、タングステン化合物、チタン化合物、ケイ素化合物及びマグネシウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、正極作製時のスラリー粘度を考慮する場合には、タングステン化合物の少なくとも1種を含むことがより好ましい。他の金属化合物は、例えば、酸化物、水酸化物、窒化物等であってよい。また、他の金属化合物の平均粒径は、例えば0.01μm以上2μm以下であってよい。正極活物質における他の金属化合物の含有量は、リチウム遷移金属複合酸化物の1モルに対して、例えば0.1モル%以上2モル%以下であってよい。
非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法
非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子を準備する準備工程と、リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子及び平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物を混合して混合物を得る混合工程と、を含んでいてよい。準備されるリチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子は、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であってよく、比表面積が1.3m/g以上であってよい。
準備工程
準備工程では、所望のリチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子(以下、単に「リチウム遷移金属複合酸化物粒子」ともいう)を準備する。リチウム遷移金属複合酸化物粒子は購入等により準備してもよいし、後述するリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法等により製造することで準備してもよい。準備されるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の詳細及び好ましい態様については、非水電解質二次電池用正極活物質において説明したリチウム遷移金属複合酸化物粒子と同様である。
混合工程
混合工程では、リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物とを混合して混合物を得る。得られる混合物は非水電解質二次電池用正極活物質であってよい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物の混合は、例えば、高速せん断型ミキサー等を用いる乾式混合で実施されてよい。混合の温度は、例えば10℃以上100℃以下であってよく、好ましくは25℃以上60℃以下であってよい。
混合工程に用いられるアルミニウム化合物の平均粒径は、例えば1nm以上500nm未満であってよい。アルミニウム化合物の詳細及び好ましい態様については既述の通りである。
混合工程でリチウム遷移金属複合酸化物粒子と混合されるアルミニウム化合物の混合量は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物1モルに対して、2モル%以下であってよく、好ましくは1.8モル%以下、又は1.5モル%以下であってよい。混合工程におけるアルミニウム化合物の混合量は、リチウム遷移金属複合酸化物1モルに対して、例えば0.01モル%以上であってよく、好ましくは0.05モル%以上、又は0.1モル%以上であってよい。
正極活物質の製造方法は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子及びタングステン化合物を混合することを更に含んでいてもよい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子及びタングステン化合物の混合は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物の混合と同時に行われてもよいし、別々に逐次行われてもよい。流動性の観点からは、アルミニウム化合物との混合を行った後、タングステン化合物との混合を行うことが好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子及びタングステン化合物の混合は、例えば、高速せん断型ミキサー等を用いる乾式混合で実施されてよい。混合の温度は、例えば10℃以上100℃以下であってよく、好ましくは25℃以上60℃以下であってよい。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子との混合に用いられるタングステン化合物の平均粒径は、例えば0.05μm以上2μm以下であってよい。タングステン化合物の詳細及び好ましい態様については既述の通りである。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子と混合されるタングステン化合物の混合量は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物1モルに対して、0.1モル%以上2モル%以下であってよい。好ましくは、タングステン化合物の混合量は、リチウム遷移金属複合酸化物1モルに対して、1.8モル%以下、又は1.5モル%以下であってよく、0.2モル%以上、又は0.3モル%以上であってよい。
正極活物質の製造方法は、混合工程後に、乾燥工程、整粒工程等を更に含んでいてもよい。
正極活物質の製造方法は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物を含む混合物を熱処理する熱処理工程を含まないことが好ましい。熱処理工程を含まないことで正極活物質の流動性を良好に維持することができる。ここで熱処理工程とは、リチウム遷移金属複合酸化物粒子とアルミニウム化合物を含む混合物に対して、例えば300℃以上、又は200℃以上の温度を、例えば2時間以上、又は30分以上保持することを意味する。したがって本明細書においては、例えば150℃以下の温度で混合物を得ることは熱処理には該当しない。
リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
正極活物質の製造方法に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、例えば以下のような製造方法で製造することができる。リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法は、ニッケルを含む複合酸化物を準備する複合酸化物準備工程と、ニッケルを含む複合酸化物とリチウム化合物とを混合して、熱処理することで、リチウム及びニッケルを含み層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得る合成工程と、を含んでいてよい。製造されるリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム遷移金属複合酸化物を含む一次粒子が複数集合してなる二次粒子を含んでいてよい。
複合酸化物準備工程
複合酸化物準備工程では、ニッケルを含む複合酸化物(以下、単に「ニッケル複合酸化物」ともいう)を準備する。準備されるニッケル複合酸化物は、ニッケル複合酸化物を含む一次粒子が複数集合してなる二次粒子を含んでいてよい。ニッケル複合酸化物は、購入等により準備してもよく、後述するニッケル複合酸化物の製造方法によって、製造して準備してもよい。準備されるニッケル複合酸化物の詳細については後述する。
合成工程
合成工程では、準備されるニッケル複合酸化物とリチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得ることと、リチウム混合物を熱処理して、リチウム及びニッケルを含み層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得ることを含む。合成工程においては、リチウム化合物に含まれるリチウムがニッケル複合酸化物中に拡散することにより、リチウム遷移金属複合酸化物が得られてよい。
ニッケル複合酸化物とリチウム化合物との混合方法としては、例えば、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物とを撹拌混合機等で乾式混合する方法、ニッケル複合酸化物のスラリーを調製し、ボールミル等の混合機で湿式混合する方法が挙げられる。リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、これらの混合物等が挙げられる。
リチウム混合物におけるリチウム以外の金属元素の総モル数に対するリチウムのモル数の比(リチウム比ともいう)は、例えば0.9以上1.3以下であってよく、好ましくは1以上1.2以下である。リチウム比が0.9以上であると副生成物の生成が抑制される傾向がある。またリチウム比が1.3以下であるとリチウム混合物の表面に存在するアルカリ成分量の増加が抑制され、アルカリ成分の潮解性による水分吸着が抑制されて、ハンドリング性が向上する傾向がある。
ニッケル複合酸化物とリチウム化合物との混合においては、リチウム化合物に加えて、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、銅、ケイ素、スズ、ビスマス、ガリウム、イットリウム、サマリウム、エルビウム、セリウム、ネオジム、ランタン、カドミウム及びルテチウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2金属元素の単体、合金又は第2金属元素を含む化合物を更に混合してもよい。第2金属元素を含む化合物としては、例えば、水酸化物、酸化物、炭酸塩等を挙げることができる。第2金属元素は、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、タンタル、ニオブ、モリブデン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。第2金属元素として特にタングステンを含む場合は、より空隙率の高い粒子とでき、出力特性が高い電池を構成できる傾向があるため、タングステンを含むことが好ましい。
合成工程における熱処理温度は、例えば650℃以上990℃以下であってよく、好ましくは700℃以上、730℃以上、又は760℃以上であってよい。また熱処理温度は好ましくは960℃以下、940℃以下、又は920℃以下であってよい。混合物の熱処理は、単一の温度で行ってもよいが、粒子制御の観点から複数の温度で行うことが好ましい。複数の温度で熱処理する場合、例えば、第1温度を所定時間で保持した後、さらに昇温し、第2温度を所定時間で保持することが望ましい。第1温度は、例えば、650℃以上850℃以下、好ましくは700℃以上820℃以下であり、第2温度は、例えば、730℃以上960℃以下、好ましくは760℃以上920℃以下である。熱処理温度が650℃以上であると未反応リチウム分の増加が抑制される傾向がある。熱処理温度が990℃以下であると生成するリチウム遷移金属複合酸化物の分解が抑制される傾向がある。また、空隙率の高いリチウム遷移金属複合酸化物を得るという観点では、800℃以上980℃以下で8時間以上熱処理することが好ましく、810℃以上920以下の温度で8時間以上熱処理することがより好ましく、熱処理の時間は例えば、20時間以下であってよい。熱処理時間は最高温度を保持する時間として、例えば2時間以上であってよく、好ましくは4時間以上、又は6時間以上であってよい。また熱処理時間は、例えば20時間以下であってよく、好ましくは18時間以下、又は12時間以下であってよく、複数の温度で熱処理を行う場合は、それぞれ1時間以上19時間以下としてよい。熱処理の雰囲気は、酸素存在下であってよく、好ましくは10体積%以上100体積%以下の酸素を含有する雰囲気である。
リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法においては、合成工程後、必要に応じて得られる熱処理物に粗砕、粉砕、乾式篩い等の処理を行ってよい。
ニッケル複合酸化物の製造方法
ニッケル複合酸化物の製造方法は、例えば、ニッケルイオン及び必要に応じてコバルトイオン等を含む第1溶液を準備する第1溶液準備工程と、錯イオン形成因子を含む第2溶液を準備する第2溶液準備工程と、pHが10以上13.5以下の範囲にある液媒体を準備する液媒体準備工程と、液媒体に、第1溶液及び第2溶液を別々に且つ同時に供給しつつ、pHが10以上13.5以下の範囲に維持される反応溶液を得る晶析工程と、反応溶液からニッケルを含む複合水酸化物を得る複合水酸化物回収工程と、得られる複合水酸化物を熱処理して、ニッケル複合酸化物を得る複合水酸化物熱処理工程と、を含んでいてよい。このような複合酸化物を得る方法の詳細については、例えば、特開2003-292322号公報、特開2011-116580号公報(米国特許出願公開第2012/270107号明細書)等を参照することができる。
第1溶液準備工程
第1溶液準備工程では、ニッケルイオン及び必要に応じてコバルトイオン等を含む第1溶液を準備する。第1溶液は、目的のニッケル複合酸化物の組成に応じて、各金属元素を含む塩の所定量を水に溶解して調製される。塩の種類としては、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などが挙げられる。また、第1溶液を調製する際に、水に酸性物質(例えば、硫酸水溶液)を加えてもよい。これにより、各金属元素を含む塩が溶解しやすくなる場合がある。第1溶液の調製においては、塩基性物質を更に加えてpH調整を行ってもよい。また、第1溶液におけるニッケル等の金属元素の合計モル数は、目的とするニッケル複合酸化物の平均粒径に応じて適宜設定してよい。ここで金属元素の合計モル数は、第1溶液が、ニッケル及びコバルトを含む場合はニッケル及びコバルトの合計モル数であり、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む場合はニッケル、コバルト及びマンガンの合計モル数を意味する。
第1溶液は、ニッケルイオンに加えて、コバルトイオン、アルミニウムイオン及びマンガンイオンの少なくとも1種を更に含んでいてよい。また、第1溶液は、これらに加えて、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、銅、ケイ素、スズ、ビスマス、ガリウム、イットリウム、サマリウム、エルビウム、セリウム、ネオジム、ランタン、カドミウム及びルテチウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2金属元素のイオンを更に含んでいてよい。第2金属元素は、ジルコニウム、チタン、マグネシウム、タンタル、ニオブ、モリブデン及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
第1溶液のニッケル、コバルト等の金属イオンの濃度は、各金属イオンの合計で、例えば1.0モル/L以上2.6モル/L以下であってよい。金属イオンの濃度は、好ましくは1.5モル/L以上、又は1.7モル/L以上であってよい。また金属イオンの濃度は、好ましくは2.2モル/L以下、又は2.0モル/L以下であってよい。第1溶液の金属イオン濃度が1.0モル/L以上であると、反応容器当たりの晶析物量が充分に得られるために生産性が向上する。一方、第1溶液の金属イオン濃度が2.6モル/L以下であると、常温での金属塩の飽和濃度を超えることが抑制され、金属塩結晶の析出による溶液中の金属イオン濃度の減少が抑制される。
第2溶液準備工程
第2溶液準備工程では、錯イオン形成因子を含む第2溶液を準備する。第2溶液は、第1溶液に含まれる金属イオンと錯イオンを形成し得る錯イオン形成因子を含むものである。例えば錯イオン形成因子がアンモニアである場合、第2溶液としてはアンモニア水溶液を用いることができる。アンモニア水溶液中に含まれるアンモニアの含有量は、例えば5質量%以上25質量%以下であってよい。アンモニアの含有量は、好ましくは10質量%以上、又は12質量%以上であってよい。アンモニアの含有量は、好ましくは20質量%以下、又は18質量%以下であってよい。
液媒体準備工程
液媒体準備工程では、pHが10以上13.5以下の範囲にある液媒体を準備する。液媒体は、例えば反応容器に所定量の水と水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性溶液を用いてpH10以上13.5以下の溶液として調整される。溶液のpHを10以上13.5以下に調整することで、反応初期における反応溶液のpH変動を抑制することができる。
晶析工程
晶析工程では、形成される反応溶液のpHを10以上13.5以下の範囲に維持しつつ、液媒体に第1溶液及び第2溶液を別々に且つ同時に供給する。これにより、反応溶液からニッケルを含む複合水酸化物粒子を得ることができる。液媒体には、第1溶液及び第2溶液に加えて、塩基性溶液を同時に供給してもよい。これにより反応溶液のpHを10以上13.5以下の範囲に容易に維持することができる。
晶析工程では、反応溶液のpHが10以上13.5以下の範囲を維持するように各溶液を供給することが好ましい。例えば第1溶液の供給量に応じて、第2溶液の供給量を調整することで反応溶液のpHを10以上13.5以下の範囲に維持することができる。反応溶液のpHが10以上であれば、得られる複合水酸化物に含まれる不純物(例えば、反応溶液に含まれる金属以外の硫酸分や硝酸分)の量が充分に低減され、最終生産物である非水電解質二次電池の容量の低下が抑制される傾向がある。また、pHが13.5以下であると、微小の二次粒子の生成が抑制され、得られる複合水酸化物のハンドリング性が向上する場合がある。維持される反応溶液のpHは、好ましくは10.5以上、又は10.9以上であってよく、また好ましくは11.7以下、又は11.3以下であってよい。また反応溶液の温度は、例えば25℃以上80℃以下、好ましくは40℃以上75℃以下、又は50℃以上70℃以下、の範囲になるように制御してよい。晶析工程における雰囲気は、低酸化性雰囲気とすることができ、例えば酸素濃度を10体積%以下に維持することができる。
晶析工程では、反応溶液中のニッケルイオンの濃度を、例えば10ppm以上1000ppm以下の範囲になるように維持してよく、好ましくは10ppm以上100ppm以下の範囲になるように維持する。ニッケルイオンの濃度が10ppm以上であれば、複合水酸化物が充分に析出する。ニッケルイオンの濃度が1000ppm以下であれば、溶出するニッケル量が少ないため、目的の組成からずれることが抑制される。ニッケルイオン濃度は、例えば第2溶液(錯イオン形成溶液)にアンモニア水溶液を用いる場合、反応溶液中のアンモニウムイオン濃度が、1000ppm以上15000ppm以下となるように、第2溶液を供給することで、調整することができる。
第1溶液を供給する時間は、例えば6時間以上60時間以下であってよい、第1溶液を供給する時間は、好ましくは8時間以上、又は10時間以上であってよい。また、第1溶液を供給する時間は、好ましくは42時間以下、24時間以下、又は18時間以下であってよい。6時間以上であれば、複合水酸化物の析出速度が遅くなるため、より平滑度の高いニッケル複合酸化物が得られる傾向がある。また60時間以下であれば、生産性をより向上させることができる。
晶析工程全体をとおして供給される第1溶液のニッケル等の合計モル数を分母とし、1時間あたりに供給される第1溶液のニッケル等の合計モル数を分子とした値は、例えば0.015以上0.125以下であってよく、好ましくは0.020以上、又は0.050以上であってよく、また好ましくは0.10以下であってよい。0.015以上であれば、生産性をより向上させることができる。また0.125以下であれば、より比表面積が大きいニッケル複合酸化物が得られる傾向がある。
ニッケル複合酸化物の製造方法は、晶析工程に先立って種生成工程を含んでいてもよい。種生成工程では、例えば準備した第1溶液の一部を液媒体に供給することにより、液媒体中にニッケルを含む複合水酸化物を、例えば種晶として生成させる。すなわち、晶析工程に供される液媒体は、ニッケルを含む複合水酸化物を含む種溶液であってもよい。種生成工程における温度は例えば40℃から80℃とすることができる。種生成工程における雰囲気は、低酸化性雰囲気とすることができ、例えば酸素濃度を10体積%以下に維持することができる。
晶析工程に先だって、液媒体中に予め複合水酸化物粒子を生成しておくと、予め生成した複合水酸化物の粒子1個が、晶析工程後に得られる複合水酸化物の粒子1個を構成する種晶となる。これにより、予め生成させた複合水酸化物粒子の数によって、晶析工程後に得られる複合水酸化物の二次粒子の総数を制御することができる。例えば、予め第1溶液を多く供給すると生成する複合水酸化物粒子の数が多くなるので、晶析工程後の複合水酸化物の二次粒子の平均粒径が小さくなる傾向がある。
晶析工程において、第1溶液及び第2溶液は、それぞれ連続的に液媒体に供給されてもよく、断続的に供給されてもよい。第1溶液は、晶析工程における第1溶液の供給時間の全体に亘って、連続的に供給されていてよい。ここで「供給時間の全体に亘って、連続的に」とは供給時間の全体を通して、供給されない時間がほとんど存在しないことを意味する。また、供給されない時間がほとんど存在しないとは、全体の供給時間に対して供給されない時間が1%未満であることを意味する。
複合水酸化物回収工程
複合水酸化物回収工程では、反応溶液からニッケルを含む複合水酸化物を分離して回収する。反応溶液からの複合水酸化物の回収は、例えば、生成する沈殿物を濾別、遠心分離等の通常用いられる分離手段で分離することで行うことができる。得られる沈殿物には、水洗、濾過、乾燥等の処理を行ってもよい。複合水酸化物における金属元素の組成比は、これらを原料として得られるリチウム遷移金属複合酸化物のリチウム以外の金属元素の組成比とほぼ一致してよい。
複合水酸化物熱処理工程
複合水酸化物熱処理工程では、得られる複合水酸化物を熱処理して、ニッケル複合酸化物を得る。熱処理することにより、複合水酸化物が脱水されてニッケル複合酸化物が生成する。ニッケル複合酸化物は、リチウム遷移金属複合酸化物の前駆体であってよく、正極活物質前駆体であってもよい。
熱処理の温度は、例えば105℃以上900℃以下であってよく、好ましくは300℃以上500℃以下である。熱処理の時間は、例えば5時間以上30時間以下であってよく、好ましくは10時間以上20時間以下である。熱処理の雰囲気は、酸素を含む雰囲気下であってよく、大気雰囲気であってもよい。
ニッケル複合酸化物は、ニッケル複合酸化物に含まれる金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比が、例えば、0より大きく1未満であってよい。金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、好ましくは0.33以上であってよい。金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、0.4以上、又は0.45以上であってよい。また金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比は、好ましくは0.95以下、0.8以下、又は0.6以下であってよい。
ニッケル複合酸化物は、その組成にコバルトを含んでいてよい。ニッケル複合酸化物が、その組成にコバルトを含む場合、ニッケル複合酸化物に含まれる金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比が0より大きく1未満であってよい。金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、好ましくは0.01以上、0.02以上、0.05以上、0.1以上、又は0.15以上であってよい。また金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、好ましくは0.6以下である。金属元素の総モル数に対するコバルトのモル数の比は、0.4以下、0.35以下、0.33以下、0.3以下、又は0.25以下であってよい。
ニッケル複合酸化物は、その組成にマンガン及びアルミニウムの少なくとも一方を含んでいてよい。ニッケル複合酸化物が、その組成にマンガン及びアルミニウムの少なくとも一方を含む場合、ニッケル複合酸化物に含まれる金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は、例えば、0より大きく、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であってよい。また金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は例えば、0.6以下であり、好ましくは0.35以下である。金属元素の総モル数に対するマンガン及びアルミニウムの総モル数の比は、0.33以下、又は0.3以下であってよい。
ニッケル複合酸化物は、その組成に少なくとも1種の第2金属元素を含んでいてよい。ニッケル複合酸化物が、その組成に少なくとも1種の第2金属元素を含む場合、ニッケル複合酸化物に含まれる金属元素の総モル数に対する第2金属元素の総モル数の比は、例えば、0より大きく、0.001以上、又は0.003以上であってよい。また金属元素の総モル数に対する第2金属元素の総モル数の比は例えば、0.05以下であってよく、0.02以下、0.015以下、又は0.01以下であってよい。
ニッケル複合酸化物は、例えば下記式(2)で表される組成を有していてよい。
NiCo 2+β (2)
式(2)中、Mは、Mn及びAlの少なくとも一方を示す。Mは、Mg、Ca、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Cu、Si、Sn、Bi、Ga、Y、Sm、Er、Ce、Nd、La、Cd及びLuからなる群から選択される少なくとも1種を示す。q、r、s、t及びβは、0<q<1、0≦r≦0.6、0≦s≦0.6、0≦t≦0.02、-0.1≦β≦1.1、q+r+s+t=1を満たす。好ましくは、0.33≦q≦0.95、0.02≦r≦0.35、0.01≦s≦0.35、0≦t≦0.015である。また好ましくは、Mは、Zr、Ti、Mg、Ta、Nb、Mo及びWからなる群から選択される少なくとも1種である。
ニッケル複合酸化物のタップ密度は1.3g/cm以下であってよく、好ましくは、1.15g/cm以下、より好ましくは1g/cm以下、さらに好ましくは0.96g/cm以下であってよい。また、ニッケル複合酸化物のタップ密度は、0g/cmより大きくてよく、好ましくは0.2g/cm以上、又は0.4g/cm以上であってよい。ニッケル複合酸化物のタップ密度が1.3g/cm以下であることで、得られるリチウム遷移金属複合酸化物をより比表面積の大きい粒子とすることができる傾向がある。ニッケル複合酸化物に含まれる金属元素の総モル数に対するニッケルのモル数の比が0.5以上の場合には、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物とタングステン化合物とを混合して反応することで得られるリチウム遷移金属複合酸化物が、より空隙率の高い粒子として得られやすくなり、出力特性がより向上する傾向がある。
ニッケル複合酸化物の粒径は、1μm以上8μm以下であってよく、好ましくは2μm以上、2.5μm以上、又は3μm以上である。また、ニッケル複合酸化物の粒径は、好ましくは、6μm以下、5μm以下、又は4μm以下であってよい。ニッケル複合酸化物の粒径が1μm以上8μm以下であることで、上述のタップ密度の範囲を満たす際に、得られるリチウム遷移金属複合酸化物をより比表面積の大きい粒子とできる傾向がある。
非水電解質二次電池用電極
非水電解質二次電池用電極は、集電体と、集電体上に配置され、上述した正極活物質を含む正極活物質層とを備える。係る電極を備える非水電解質二次電池は、優れた出力特性を達成することができる。
正極活物質層の密度は、例えば2.6g/cm以上3.9g/cm以下であってよく、好ましくは2.8g/cm以上3.8g/cm以下、3.1g/cm以上3.7g/cm以下、又は3.2g/cm以上3.6g/cm以下であってよい。正極活物質層の密度は、正極活物質層の質量を正極活物質層の体積で除して算出される。ここで正極活物質層の密度は、後述する電極組成物を集電体上に付与した後、加圧することで調整することができる。
集電体の材質としては例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等が挙げられる。正極活物質層は、上記の正極活物質、導電助剤、結着剤等を溶媒と共に混合して得られる電極組成物を集電体上に塗布し、乾燥処理、加圧処理等を行うことで形成することができる。導電助剤としては例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック等が挙げられる。結着剤としては例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドアクリル樹脂等が挙げられる。溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が挙げられる。
非水電解質二次電池
非水電解質二次電池は、上記非水電解質二次電池用電極を備える。非水電解質二次電池は、非水電解質二次電池用電極に加えて、非水電解質二次電池用負極、非水電解質、セパレータ等を備えて構成される。非水電解質二次電池における、負極、非水電解質、セパレータ等については例えば、特開2002-075367号公報、特開2011-146390号公報、特開2006-12433号公報(これらは、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)等に記載された、非水電解質二次電池用のものを適宜用いることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含されることはいうまでもない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下においては、体積平均粒径は、レーザー回折式粒径分布測定装置((株)島津製作所製SALD-3100)を用いて評価した。また、比表面積はBET比表面積測定装置(マウンテック社製;Macsorb)を用い、窒素ガス吸着法(1点法)で評価した。空隙率は、上述の走査電子顕微鏡(SEM)及び画像解析ソフト(例えば、HALCON;MVTec社製)を用いた方法で評価した。
実施例1
各溶液の準備
硫酸ニッケル溶液と、硫酸コバルト溶液と、硫酸マンガン溶液と、をそれぞれ金属元素のモル比で35:35:30になるように水に溶解して混合した第1溶液(ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンを合わせた濃度で1.7モル/L)を準備した。なお、第1溶液中の金属元素の総モル数を350モルとした。塩基性溶液として、25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を準備した。第2溶液(錯イオン形成溶液)として、12.5重量%のアンモニア水溶液を準備した。
液媒体の準備
反応容器に水30リットルを準備し、水酸化ナトリウム水溶液をpHが12.5になるように加えた。窒素ガスを導入し反応容器内を窒素で置換して反応前溶液として液媒体を準備した。
種生成工程
液媒体を撹拌しながら、液媒体に対して第1溶液をニッケル等の総モル数として10モル分加えて、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合水酸化物を析出させた。
晶析工程
残りの第1溶液340モル分と、水酸化ナトリウム水溶液と、第2溶液とを、反応溶液中においてpHが10.9から11.3程度を維持した状態で、アンモニウムイオン濃度が約4000ppmとなるように、反応溶液を撹拌しながら、12時間に亘って供給することで、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合水酸化物を析出させた。反応溶液の温度は、約60℃になるように制御した。析出物を水洗、濾過、分離したのち乾燥し、ニッケル、コバルト、マンガンを含む複合水酸化物(以下、ニッケルコバルト複合水酸化物ともいう)を得た。ニッケルコバルト複合水酸化物に対して、大気雰囲気下、320℃で16時間の熱処理を行い、ニッケル、コバルト、マンガンを含む遷移金属複合酸化物(以下、複合酸化物ともいう)として回収した。体積平均粒径4.7μm、タップ密度0.86g/cmの複合酸化物を得た。
合成工程
得られた複合酸化物に、炭酸リチウム、酸化ジルコニウム(IV)、酸化タングステン(VI)を、Li:(Ni+Co+Mn):Zr:W=1.19:1:0.005:0.003(モル比)となるように混合して、リチウム混合物を得た。得られたリチウム混合物を大気雰囲気下で熱処理した。熱処理は第1温度780℃で2時間、第2温度910℃で4時間熱処理して、熱処理物を得た。得られた熱処理物を粉砕し、乾式篩にかけて、組成式Li1.19Ni0.35Co0.35Mn0.30Zr0.0050.003で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた母材となるリチウム遷移金属複合酸化物の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.06m/g、空隙率は30%であった。
混合工程
上記で得られたリチウム遷移金属複合酸化物に、アルミニウム化合物として酸化アルミニウム(Al:CABOT社製;平均粒径20から30nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Al=1:0.005(モル比)となるように配合した後、高速せん断型ミキサーで混合した。その後、乾式篩にかけることで、実施例1の正極活物質を得た。
得られた実施例1の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.26m/g、空隙率は30%であった。
実施例1で得られた正極活物質について、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズSU8230)を用いて、加速電圧1.5kVで観察を行い、走査電子顕微鏡(SEM)画像を取得した。結果を図1に示す。
比較例1
晶析工程において、反応溶液のpHを11.3から11.7程度に維持したこと、アンモニウムイオン濃度を約6000ppmとなるようにしたこと、反応溶液の温度を約45℃に制御したこと、晶析工程における第1溶液の供給時間を18時間としたこと以外は実施例1と同様にして、体積平均粒径3.4μm、タップ密度1.46g/cmのニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合酸化物を得た。得られた複合酸化物を用いたこと以外は、実施例1の合成工程と同様にして、比較例1のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られたリチウム遷移金属複合酸化物を比較例1の正極活物質とした。比較例1の正極活物質の体積平均粒径は3.1μm、比表面積は1.09m/g、空隙率は5%であった。
実施例2
混合工程において、アルミニウム化合物に加え、タングステン化合物として酸化タングステン(WO:日本新金属社製;平均粒径1000nm)をさらに加え、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Al:W=1:0.005:0.005(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質を得た。
得られた実施例2の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.29m/g、空隙率は30%であった。
実施例3
合成工程において、熱処理の第2温度を910℃から950℃としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例3のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた実施例3の正極活物質の体積平均粒径は4.3μm、比表面積は1.43m/g、空隙率は17%であった。
実施例4
合成工程において、熱処理の第2温度を910℃から880℃としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例4のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた実施例4の正極活物質の体積平均粒径は3.9μm、比表面積は2.90m/g、空隙率は31%であった。
実施例5
合成工程において、熱処理の第2温度を910℃から860℃としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた実施例5の正極活物質の体積平均粒径は3.9μm、比表面積は3.33m/g、空隙率は31%であった。
実施例6
合成工程において、熱処理の第2温度を910℃から840℃としたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた実施例6の正極活物質の体積平均粒径は3.9μm、比表面積は3.84m/g、空隙率は32%であった。
参考例1
混合工程を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、実施例1で得られた母材となるリチウム遷移金属複合酸化物を参考例1の正極活物質とした。また、実施例1と同様にして、SEM画像を取得した。結果を図2に示す。
参考例2
混合工程において、アルミニウム化合物に代えて、タングステン化合物として酸化タングステン(WO:日本新金属社製;平均粒径1000nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):W=1:0.005(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、参考例2の正極活物質を得た。
得られた参考例2の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.07m/g、空隙率は30%であった。
参考例3
混合工程において、アルミニウム化合物に代えて、チタン化合物として酸化チタン(TiO:日本アエロジル社製;平均粒径20から40nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Ti=1:0.003(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、参考例3の正極活物質を得た。
得られた参考例3の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.13m/g、空隙率は30%であった。
参考例4
混合工程において、アルミニウム化合物に代えて、ジルコニウム化合物として酸化ジルコニウム(ZrO:TECNAN社製;平均粒径20から30nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Zr=1:0.002(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、参考例4の正極活物質を得た。
得られた参考例4の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.21m/g、空隙率は30%であった。
参考例5
混合工程において、アルミニウム化合物に代えて、ケイ素化合物として二酸化ケイ素(SiO:日本アエロジル社製;平均粒径40から50nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Si=1:0.005(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、参考例5の正極活物質を得た。
得られた参考例5の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.16m/g、空隙率は30%であった。
実施例7
混合工程において、酸化アルミニウム(Al:CABOT社製;平均粒径20から30nm)に代えて、アルミニウム化合物として酸化アルミニウム(Al:アルドリッチ社製;平均粒径200から300nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Al=1:0.005(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、実施例7の正極活物質を得た。
得られた実施例7の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.33m/g、空隙率は30%であった。
実施例8
混合工程において、酸化アルミニウム(Al:CABOT社製;平均粒径20から30nm)に代えて、アルミニウム化合物として酸化アルミニウム(Al:住友化学社製;平均粒径500nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Al=1:0.005(モル比)となるように配合したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8の正極活物質を得た。
得られた実施例8の正極活物質の体積平均粒径は4.4μm、比表面積は2.07m/g、空隙率は30%であった。
参考例6
硫酸ニッケル溶液と、硫酸コバルト溶液と、硫酸マンガン溶液と、をそれぞれ金属元素のモル比で50:20:30になるように水に溶解して混合した第1溶液(ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンを合わせた濃度で1.7モル/L)を準備したこと以外は、実施例1と同様にして、体積平均粒径4.2μm、タップ密度1.05g/cmの複合酸化物を得た。また、合成工程において、Li:(Ni+Co+Mn):Zr:W=1.14:1:0.005:0.003(モル比)となるように混合し、840℃で8時間熱処理したこと以外は実施例1と同様にして、参考例6として組成式Li1.14Ni0.5Co0.2Mn0.3Zr0.0050.003で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を得た。得られた母材となるリチウム遷移金属複合酸化物の体積平均粒径は3.9μm、比表面積は2.09m/g、空隙率は31%であった。
実施例9
参考例6として得られたリチウム遷移金属複合酸化物に、アルミニウム化合物として酸化アルミニウム(Al:CABOT社製;平均粒径20から30nm)、タングステン化合物として酸化タングステン(WO:日本新金属社製;平均粒径1000nm)を、リチウム遷移金属複合酸化物に対して、(Ni+Co+Mn):Al:W=1:0.005:0.005(モル比)となるように配合した後、高速せん断型ミキサーで混合した。その後、乾式篩にかけることで、実施例9の正極活物質を得た。
得られた実施例9の正極活物質の体積平均粒径は4.1μm、比表面積は2.35m/g、空隙率は31%であった。
比較例2
硫酸ニッケル溶液と、硫酸コバルト溶液と、硫酸マンガン溶液と、をそれぞれ金属元素のモル比で50:20:30になるように水に溶解して混合した第1溶液(ニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンを合わせた濃度で1.7モル/L)を準備したこと以外は、比較例1と同様にして、体積平均粒径3.1μm、タップ密度1.33g/cmの複合酸化物を得た。また合成工程において、得られた複合酸化物を860℃で8時間熱処理したこと以外は比較例1と同様にして、比較例2の正極活物質を得た。
得られた比較例2の正極活物質の体積平均粒径は3.0μm、比表面積は1.27m/g、空隙率は5%であった。
比較例3
比較例2で得られた複合酸化物を用いて、合成工程において、炭酸リチウム、酸化ジルコニウム(IV)、酸化タングステン(VI)を、Li:(Ni+Co+Mn):Zr:W=1.12:1:0.005:0.01(モル比)となるように混合し、大気雰囲気下、920℃で8時間熱処理して、比較例3として組成式Li1.12Ni0.5Co0.2Mn0.3Zr0.0050.01で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
得られた比較例3のリチウム遷移金属複合酸化物の体積平均粒径は3.3μm、比表面積は1.12m/g、空隙率は5%であった。
実施例10
実施例9において、合成工程でLi:(Ni+Co+Mn):Zr:W=1.16:1:0.005:0.01(モル比)となるように混合し、860℃で8時間熱処理すること以外は、実施例9と同様にして、実施例10の正極活物質を得た。
得られた実施例10の正極活物質の体積平均粒径は3.7μm、比表面積は2.79m/g、空隙率は36%であった。
工程流動性の評価
上記で得られた正極活物質それぞれを約50g秤量し、粉体特性測定器(パウダテスタ(登録商標);ホソカワミクロン社製)に投入した。その後、安息角及び崩壊角を自動測定し、差角を算出した。結果を表2に示す。
正極合剤スラリー粘度の評価
上記で得られた正極活物質それぞれを用いて以下のように正極合剤スラリーを作製し、正極合剤スラリーの粘度を評価した。
正極合剤スラリーの調製
正極活物質89.5質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部、及び分散剤としてポリビニルピロリドン(PVP)0.5質量部をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを調製した。
相対増粘率の評価
上記で作製した正極合剤スラリーについて、E型粘度計(Thermo Scientic社製;HAAKE Viscotester550)を用いてスラリー調製直後と、調製から6時間後の粘度を測定した。下式のように、調製から6時間後の正極合剤スラリーの粘度を調製直後の粘度で除した値を増粘率とした。
(6時間後のスラリー粘度)/(調製直後のスラリー粘度)
得られた増粘率について、実施例1から8及び参考例1から5については、比較例1の増粘率を1とした際の相対増粘率として評価した。参考例6、実施例9、10及び比較例3については、比較例2の増粘率を1とした際の相対増粘率として評価した。結果を表2及び表3に示す。
評価用電池の作製
上記で得られた正極活物質を用いて、以下の手順で評価用電池を作製した。
正極の作製
正極活物質92質量部、アセチレンブラック3質量部、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーを調製した。得られた正極合剤スラリーを、集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥後ロールプレス機で圧縮成形し、所定のサイズに裁断することにより、正極を作製した。
負極の作製
人造黒鉛97.5重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)1.5質量部及びSBR(スチレンブタジエンゴム)1.0質量部を純水に分散、溶解させて負極スラリーを調製した。得られた負極スラリーを銅箔からなる集電体に塗布し、乾燥後ロールプレス機で圧縮成形し、所定のサイズに裁断することにより、負極を作製した。
正極及び負極の集電体に各々リード電極を取り付けた後、正極と負極との間にセパレータを配し、袋状のラミネートパックにそれらを収納した。次いで、これを65℃で真空乾燥させて、各部材に吸着した水分を除去した。その後、アルゴン雰囲気下でラミネートパック内に電解液を注入し、封止して評価用電池を作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とを体積比3:7で混合し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度が1モル/Lになるように溶解させたものを用いた。こうして得られた評価用電池を25℃の恒温槽に入れ、微弱電流でエージングを行った後に、以下の評価を行った。
出力特性の評価(直流内部抵抗測定)
エージング後の評価用電池に対して直流内部抵抗の測定を行った。満充電電圧4.2Vにおける充電深度50%まで定電流充電を行った後、評価用電池を-25℃の環境下に置き、特定の電流iによるパルス放電を10秒間行い、10秒目の電圧Vを測定した。横軸に電流i、縦軸に電圧Vをとって交点をプロットし、交点を結んだ直線の傾きを直流内部抵抗(DC-IR)とした。なお、電流i=0.02A、0.04A、0.06A、0.08A及び0.10Aとした。DC-IRが低いことは、出力特性が良好であることを意味する。
得られた直流内部抵抗について、実施例1から8、比較例1及び参考例2から5については、参考例1の直流内部抵抗を1とした際の相対直流内部抵抗として評価した。また、実施例9、10及び比較例2、3については、参考例6の直流内部抵抗を1とした際の相対直流内部抵抗として評価した。結果を表2及び表3に示す。
表1から表3より、体積平均粒径4.4μm以下の粒子において比表面積を大きくすることで、出力特性が向上することが確認された。また、これらの粒子に金属化合物を混合することで、工程流動性が良化する傾向がみられ、特に酸化アルミニウムと酸化タングステンを混合した場合には、正極活物質を含有するスラリーの粘度も含めたハンドリング性が効率的に向上することが確認された。

Claims (20)

  1. リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子と、平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物と、タングステン化合物とを含み、
    体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、比表面積が1.4m/g以上である非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記アルミニウム化合物は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質
  3. 前記タングステン化合物の含有量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して0.1モル%以上2モル%以下である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム及びニッケルを組成に含み、層状構造を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子は、内部に空隙を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  6. 前記比表面積が、1.7m/g以上3.3m/g以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  7. 前記アルミニウム化合物の含有量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して2モル%以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  8. 前記アルミニウム化合物の含有量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して0.01モル%以上である請求項1から7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  9. 前記体積平均粒径が、2μm以上6μm以下である請求項1から8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  10. 前記アルミニウム化合物が、前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子の表面に付着している請求項1から9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  11. 前記タングステン化合物が、前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子の表面に付着している請求項1から10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  12. リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子を準備することと、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子及び平均粒径が1nm以上500nm未満であるアルミニウム化合物を混合することと、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子及びタングステン化合物を混合することと、を含み、
    前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子は、体積平均粒径が1μm以上8μm以下であり、比表面積が1.3m/g以上である非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  13. 前記アルミニウム化合物は、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記タングステン化合物は、平均粒径が0.05μm以上2μm以下である請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 前記タングステン化合物の混合量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して0.1モル%以上2モル%以下である請求項12から14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム及びニッケルを組成に含み、層状構造を有する請求項12から15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記アルミニウム化合物の混合量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して2モル%以下である請求項12から16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 前記アルミニウム化合物の混合量が、前記リチウム遷移金属複合酸化物に対して0.01モル%以上である請求項12から17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子は、体積平均粒径が2μm以上6μm以下である請求項12から18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記非水電解質二次電池用正極活物質は、前記アルミニウム化合物及びタングステン化合物が表面に付着している前記リチウム遷移金属複合酸化物を含む粒子を含む請求項12から19のいずれか1項に記載の製造方法。
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