JPWO2015159517A1 - 反射防止フイルムおよび機能性ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】表裏面からの反射率が異なり、かつ電波透過性を有する機能性ガラスを得る。【解決手段】入射する光に対する反射率が表裏面で異なる反射防止構造(3)であって、バインダー(41)中に複数の銀ナノディスク(42)が分散されてなる銀ナノディスク層(4)と、銀ナノディスク層(4)の表面側に形成された、透明基材(2)の屈折率よりも小さい屈折率を有する低屈折率層(5)とを含むものであり、銀ナノディスク(42)の直径の厚みに対する比が3以上であり、銀ナノディスク層(4)における銀ナノディスク(42)の面積率が10%以上、40%以下である反射防止構造(3)を備えた反射防止フイルムであって、互いに反射条件が異なる1対の反射防止フイルム(11,12)をガラス(10)の両面に貼付する。【選択図】図3

Description

本発明は、入射光に対する反射防止機能を有する反射防止フイルムおよびその反射防止フイルムが付与されてなる機能性ガラスに関するものである。
可視光に対する反射防止光学部材として、誘電体多層膜や、多層膜中に金属微粒子層からなる可視光波長吸収層を備えた反射防止膜を有する光学部材が知られている。
特許文献1、2などには、ディスプレイのガラス面に適用するため、外光反射の低減、帯電防止、電磁波遮蔽などの機能を有する反射防止膜が提案されている。
建材用途や車載用途の窓ガラスでは、外光や照明が表面で反射して像として映り込み、視認性が低下することが問題となっており、反射による映り込みを低減するため、ガラス表面を薄膜でコーティングすることによって、反射防止構造が施されている(例えば、特許文献3)。
さらに、建材用途や車載用途の窓ガラスとしては、一方からの視認性は高く、他方からの視認性を抑制させた、所謂ミラーガラスが特許文献4、5等に提案されている。
特開2003−139909号公報 特開2001−324601号公報 特開2008−247739号公報 特開平07−25647号公報 特開平11−157880号公報
建材用途や車載用途の窓ガラスでは、一方の面から見た場合には、クリアな視界を確保する観点から反射率をできるだけ下げることが望ましい。一方、他方の面から見た場合には、プライバシーを確保すること及びぶつかり防止のために、ある程度の反射を生じることが望ましい。例えば、ショーウィンドウなどにおいては、外から中を見る際の映り込みを軽減するために反射防止処理が施され、かつ中から外に対しては、外からの景色が目立たないようにあるいは、窓の存在を認識しやすくしてぶつかり防止するなどの観点から反射防止効果を抑制しある程度の映り込みが生じる方が良い。他方、車窓においては、中から外を見る際には、映り込みが少なく視界が良好である必要があり、外から中はプライバシー確保のため映り込みが生じる方が好ましい。
特許文献1、2に記載の反射防止膜は電磁波遮蔽性を有し、反射防止膜中に透明導電膜あるいは銀膜などの導電層を含むため、携帯電話などの電波が透過せず、車窓や、建物の窓ガラスへの適用には不適である。
特許文献3では、ガラスの機械的および化学的耐久性を上げることを目的として、少なくとも一部の層を熱分解で作製する方法が提案されているが、両面の反射率を異ならせることについては言及されていない。
特許文献4、5は、ミラーガラスが開示されているが、いずれも機能性膜中に光吸収率の大きな金属を含有しているため、80%以上の高い透過率を得ることができず、また、金属膜を備えているので、電波透過性を有しない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、両面での反射率が異なり、一方の面では光透過性が十分高く、他方の面では映り込みを生じ、かつ電波透過性を有する機能性ガラスを提供することを目的とするものであり、また、ガラスに機能性を付与するための反射防止フイルムを提供することを目的とするものである。
本発明の反射防止フイルムは、波長λの入射光の反射を防止する反射防止フイルムであって、
透明基材と、透明基材の一面に設けられた反射防止構造とを備え、
波長λの光を反射防止構造に対して表面側から入射させた場合の反射率をAとし、裏面側から入射させた場合の反射率をBとしたとき、AとBが下記関係式(1)もしくは(2)を満たすものであり、
A<1.0% かつ B/A>2 (1)
B<1.0% かつ A/B>2 (2)
反射防止構造が、バインダー中に複数の銀ナノディスクが分散されてなる銀ナノディスク層と、銀ナノディスク層の表面側に形成された、透明基材の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層とを含むものであり、
銀ナノディスクの直径の厚みに対する比が3以上であり、
銀ナノディスク層における銀ナノディスクの面積率が10%以上、40%以下である。
上記において、式(1)もしくは(2)を満たすとは、反射防止構造の表面側および裏面側(透明基材側)のうち波長λの光に対する反射率が低い方の面側における反射率が1.0%未満であり、かつ他方の面側における反射率が低い方の反射率の2倍より大きいことを意味する。
低屈折率層の厚みは400nm以下であることが好ましい。
さらには、低屈折率層の厚みは、光路長がλ/4以下となる厚みであることがより好ましい。ここで光路長とは、物理的な厚みと屈折率を乗じたものを指す。
原理的には低屈折率層の厚みとしては、光路長λ/8が最適であるが、銀ナノディスク層の条件によって、λ/16〜λ/4程度の範囲で最適値は変化するため、層構成に応じて適宜設定すればよい。
波長λの入射光とは、本発明の反射防止フイルムにおいて反射防止をすべき光であり、用途により異なるが、本発明においては主として可視光(380nm〜780nm)を対象としている。
「銀ナノディスクが分散されてなる」とは、銀ナノディスクの80%以上が互いに孤立して配置されていることを意味する。「互いに孤立して配置」とは、最も近接した微粒子と1nm以上の間隔がある状態をいうものとする。孤立して配置されている微粒子の最隣接微粒子との間隔は10nm以上であることがより好ましい。
透明基材が、PETフイルムもしくはTACフイルムであることが好ましい。
低屈折率層は、バインダー中に複数の中空シリカが分散されてなるものとすることができる。
反射防止構造は、透明基材と銀ナノディスク層との間に透明基材の屈折率より大きい屈折率を有する高屈折率層を備えていることが好ましい。
反射防止構造は、透明基材と銀ナノディスク層との間にハードコート層を備えていることが好ましい。
本発明の機能性ガラスは、ガラス板と、ガラス板の一方の面に貼付された第1の反射防止フイルムと、ガラス板の他方の面に貼付された第2の反射防止フイルムとを備え、
第1および第2の反射防止フイルムが、本発明の反射防止フイルムであって、互いに異なる反射条件を有するものであり、
波長λの光を一方の面側から入射させた場合の反射率をC、他方の面側から入射させた場合の反射率をDとしたとき、
CとDが下記関係式(3)もしくは(4)を満たすものである。
C<2.0% かつ D/C>2 (3)
D<2.0% かつ C/D>2 (4)
ここで、「互いに異なる反射条件を有する」とは、互いの反射防止構造の表面の反射率Aおよび裏面の反射率Bの値およびその大小関係が完全一致でないことを意味する。
本発明の反射防止フイルムは、その反射防止構造が表裏からの入射光に対する反射率が異なるものであり、両面に互いに異なる反射条件を有する本発明の反射防止フイルムを貼付することにより両面での反射率が異なり、窓ガラスとして必要な光透過率および電波透過性を高く保ったまま、一方の面から見た場合の反射を抑制しクリアな視界を確保し、他方の面から見た際には、反射による映り込みを生じ、プライバシーの確保やぶつかりを防止することができる機能性ガラスを提供することができる。
本発明の反射防止フイルムの実施形態を示す概略図である。 反射防止フイルムにおける入射光の反射を説明するための図である。 反射防止構造の構成の第1の例を示す断面図である。 反射防止構造の構成の第2の例を示す断面図である。 反射防止構造の構成の第3の例を示す断面図である。 本発明の機能性ガラスの実施形態を示す概略図である。 銀ナノディスク層の平面視のSEM画像である。 銀ナノディスクの一例を示す概略図である。 銀ナノディスクの他の一例を示す概略図である。 銀ナノディスクのアスペクト比毎の透過率の波長依存性のシミュレーションを示す図である。 本発明の反射防止フイルムにおいて、銀ナノディスクを含む銀ナノディスク層の存在状態を示した概略断面図であって、銀ナノディスクを含む銀ナノディスク層(基材の平面とも平行)と銀ナノディスクの主平面(円相当径Dを決定する面)とのなす角度(θ)を説明する図を示す。 本発明の反射防止フイルムにおいて、銀ナノディスクを含む銀ナノディスク層の存在状態を示した概略断面図であって、銀ナノディスク層の反射防止構造の深さ方向における銀ナノディスクの存在領域を示す図である。 本発明の反射防止フイルムにおいて、銀ナノディスクを含む銀ナノディスク層の存在状態の他の一例を示した概略断面図である。 実施例の機能性ガラスについての表裏面での反射率の波長依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1Aは本発明の実施形態に係る反射防止フイルム1の概略構成を示す断面模式図である。図1Aに示すように、本実施形態の反射防止フイルム1は、所定波長の入射光の反射を防止するフイルム状の反射防止光学部材であって、透明基材2と、透明基材2の一面に設けられた反射防止構造3とを有している。
そして、この反射防止構造3は、その表面側から入射した波長λの光に対する反射率Aと反射防止構造3の裏面側(透明基材2側)から入射した波長λの光に対する反射率Bとが、
A<1.0% かつ B/A>2 (1)
B<1.0% かつ A/B>2 (2)
上記関係式(1)もしくは(2)を満たしている。
すなわち、反射防止構造3の表面3a側および裏面3b側(透明基材側)のうち波長λの光に対する反射率が低い方の面側における反射率が1.0%未満であり、かつ他方の面側における反射率が低い方の反射率の2倍より大きい。
図1Bに示すように、反射防止フイルム1に対して、反射防止構造3の表面から入射した波長λの光Lは、一部が反射防止構造3により反射率Aで反射され、さらに、透明基材2と外部との界面(基材裏面)2bで一部が反射され、一部は吸収されつつ多くは透過光として基材裏面に出力される。同様に、反射防止フイルム1に対して、透明基材2の裏面から入射した波長λの光Lは、一部が透明基材2の裏面2bで反射され、さらに、反射防止構造3により反射率Bで反射され、一部は吸収されつつ透過光として反射防止構造3の表面に出力される。
本発明においては、反射防止フイルム1の反射防止構造3の表面および裏面における反射率A、Bとの関係を規定しており、基材裏面2bで生じる反射は無視している。
なお、反射率はいずれも表面に対して垂直に光を入射させた場合についてのものである。図1Aおよび図2A以降においては、反射防止構造における表面もしくは裏面からの入射による反射であることをわかりやすく示すために便宜上、垂直から傾いた入反射軸が示されているに過ぎない。
反射防止構造3の詳細な構成例を図2A〜図2Cに示す。図2A〜図2Cにおいて、同等の要素には同一の符号を付して示している。
図2Aに示すように、第1例の反射防止構造3Aは、透明基材2上に形成されたバインダー41に複数の銀ナノディスク42が分散されてなる銀ナノディスク層4と、銀ナノディスク層4の表面4a側に形成された低屈折率層5とからなる。ここで、低屈折率層5は、透明基材2の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。
図2Bに示すように、第2例の反射防止構造3Bは、透明基材2上に透明基材の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率層6を備え、高屈折率層6の上に銀ナノディスク層4および低屈折率層5が順次積層されている。高屈折率層6を備えることにより、さらに反射防止効果を高めることができる。
また、図2Cに示すように、第3例の反射防止構造3Cは、透明基材2上にハードコート層7を備え、ハードコート層7の上に高屈折率層6、銀ナノディスク層4および低屈折率層5が順次積層されている。
反射防止構造は、その表面側での反射率Aと裏面側での反射率Bとの関係が、上述の式(1)もしくは(2)を満たすものであれば、さらに他の層を備えていてもよい。
銀ナノディスク層4中の銀ナノディスク42の直径の厚みに対する比(アスペクト比)は3以上であり、銀ナノディスク層における銀ナノディスクの面積率は10%以上、40%以下である。ここで、バインダー41中に複数分散配置される銀ナノディスク42の総数のうち60%以上がアスペクト比3以上を満たせばよい。
銀ナノディスクのアスペクト比が3以上であれば、可視光域の光の吸収を抑制し、反射防止フイルムに入射した光の透過率を十分大きなものとすることができる。
また、面積率を10%以上、40%以下とすることにより、表裏の反射率A,Bを非対称にし、上記式(1)もしくは(2)を充足する関係とすることができる。
銀ナノディスク42の主平面が、銀ナノディスク層の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向しており、バインダー41中において互いに孤立して配置されており、面方向に導電路を形成していない。なお、銀ナノディスク同士は厚み方向において重なりを有さず、単層に配置されている。
入射光の波長λは目的に応じて任意に設定することができるが、ここでは、目の視感度のある380nm〜780nmとする。通常は単波長ではなくある波長範囲の光、例えば、可視域を含む白色光などが入射光として用いられる。上述の反射率A,Bは、その波長範囲の特定の波長λ(例えば、中心波長あるいはピーク波長)について規定するものである。但し、より広い波長範囲、例えば100nm以上の範囲に亘って、反射率A,Bが式(1)、(2)を満たすことが好ましい。
本反射防止フイルム1は、反射防止構造3に上述の銀ナノディスク層4を備えることにより、表裏の反射率A,Bに非対称性を与えることができ、また、電波透過性を有するものとすることができる。
本発明の反射防止フイルム1は、機能性を付与したいガラス板の表裏に貼付されて用いられる。窓ガラス等に用いられる機能性ガラスとしては、1)一方の面からの可視光透過率が高く(概ね80%以上)、視界がクリアであること、2)電波透過性が高く、携帯電話の電波を妨げないこと、3)他方の面の反射率が一方の面よりも高く、映り込みを生じさせてプライバシーの確保やぶつかり防止ができること、が必要であり、従来それぞれの要件毎に解決する技術は知られていたが、これらの要件すべてを同時に満たすことはできなかった。上述の条件の銀ナノディスクを含有する銀ナノディスク層を備えた本発明の反射防止フイルムを用いることにより、上記3つの要件を同時に満たすことができる。
本発明の機能性ガラスの実施形態を図3に示す。
本発明の機能性ガラス100は、ガラス板10と、ガラス板10の一方の面に貼付された第1の反射防止フイルム11と、ガラス板10の他方の面に貼付された第2の反射防止フイルム12とを備えている。
第1および第2の反射防止フイルム11、12は、いずれの本発明の反射防止フイルムの一実施形態であるが、互いに異なる反射条件を有するものである。いずれも透明基材2の裏面に粘着剤層9が備えられ、その粘着剤層9を介してガラス板10の一方の面および他方の面に貼り付けられている。
本機能性ガラス100は、波長λの光を一方の面100a側から入射させた場合の反射率をC、他方の面100b側から入射させた場合の反射率をDとしたとき、CとDが下記関係式(3)もしくは(4)を満たすものである。
C<2.0% かつ D/C>2 (3)
D<2.0% かつ C/D>2 (4)
なお、ここでも反射防止フイルムの場合と同様に、反射率C,Dは、ガラス面に対して垂直に入射した波長λの光に対する反射率である。
さらには、CとDとが下記関係式(5)もしくは(6)を満たすことがより好ましい。
C<1.0% かつ D/C>2 (5)
D<1.0% かつ C/D>2 (6)
第1の反射防止フイルム11は反射防止構造3Dを備え、その反射防止構造3Dの波長λの光に対する表面側における反射率がA、裏面側における反射率がBであり、反射率A,Bは上記式(1)もしくは(2)を満たすものである。
第2の反射防止フイルム12は反射防止構造3Eを備え、その反射防止構造3Eの波長λの光に対する表面側における反射率がA、裏面側における反射率がBであり、反射率A,Bは上記式(1)もしくは(2)を満たすものである。
ただし、第1および第2の反射防止フイルム11、12は、互いに異なる反射条件を有するものであるため、A≠A、B≠Bの少なくとも一方を満たす。
なお、第1の反射防止フイルム11と第2の反射防止フイルム12の透明基材2は同一材料のフイルムである。
たとえば、A=0.5%、B=1.4%、A=1.9%、B=0.8%のとき、機能性ガラス100における一方の面側の波長λの光に対する反射率Cは1.3%、他方の面側の波長λの光に対する反射率Dは3.3%程度となる。
ここで、ガラス板10は、建築物の窓、ショーウィンドウ、あるいは車窓など用に用いられるガラスである。
本機能性ガラス100は、上記反射防止フイルム11、12を備えているので、両面での反射率が異なり、一方の面では光透過性が十分高く、他方の面では多少の映り込みを生じる。一般に、一方の面の反射率に対して他方の面の反射率が2倍を超えるものであれば、使用者は視認性の差異を十分感じることができる。また、本機能性ガラス100は電波透過性を有するものであり、携帯電話等の電波を透過させることができるため、建物の窓ガラス、ショーウィンドウ、車窓などに好適に用いることができる。
以下において、反射防止フイルムの各要素についてより詳細に説明する。
<透明基材>
透明基材2としては、所定波長λの入射光に対し光学的に透明なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透明基材2としては、可視光透過率が70%以上のもの、さらには可視光透過率が80%以上のものが好ましい。
透明基材2はフイルム状であればよく、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさは、用途に応じて定めればよい。
透明基材2としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフイルム又はこれらの積層フイルムが挙げられる。これらの中で、特にトリアセチルセルロース(TAC)フイルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムが好適である。
透明基材2の厚みは、通常は10μm〜500μm程度である。透明基材2の厚みとしては、さらに10μm〜100μmであることが好ましく、20〜75μmであることがより好ましく、35〜75μmであることが特に好ましい。透明基材2の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、透明基材2の厚みが十分に薄いと、反射防止膜として建材や自動車の窓ガラスに貼り合わせる際、材料としての腰が強過ぎず、施工し易くなる傾向にある。更に、透明基材2が十分に薄いことにより、可視光透過率が増加し、原材料費を抑制できる傾向にある。
透明基材2としてPETフイルムを用いる場合、PETフイルムは反射防止構造が形成される面に易接着層を備えることが好ましい。易接着層を備えるPETフイルムを用いることで、PETフイルムと積層される層との間に生じるフレネル反射を抑制することができ、より反射防止効果を高めることができるからである。易接着層の膜厚としては、反射を防止したい波長に対して、光路長が1/4となるようにすることが好ましい。このような易接着層を備えるPETフイルムとして、東レ株式会社製ルミラー、東洋紡績株式会社製コスモシャインなどが挙げられる。
<銀ナノディスク層>
銀ナノディスク層4は、バインダー41中に複数の銀ナノディスク42が含有されてなる層である。図4は、銀ナノディスク層の平面視のSEM画像である。図4に示すように、銀ナノディスク42は互いに孤立して分散配置されている。
−銀ナノディスク−
既述の通り、銀ナノディスク層4に含まれる複数の銀ナノディスク42は、2つの対向する主平面を有する平板粒子である。銀ナノディスク42は、銀ナノディスク層4の一方の表面に偏析されていることが好ましい。
銀ナノディスク42の主平面の形状としては、例えば、六角形状、三角形状、円形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、主平面の形状が六角形以上の多角形状〜円形状であることが好ましく、図5に示すような六角形状または図6に示すような円形状であることが特に好ましい。
これら複数の形状の銀ナノディスクを2種以上混ぜて使用しても良い。
本明細書中、円形状とは、後述の平均円相当径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の銀ナノディスク当たり0個である形状のことを言う。円形状の銀ナノディスクとしては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀ナノディスクを主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はない。
本明細書中、六角形状とは、後述の平均円相当径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の銀ナノディスク当たり6個である形状のことを言う。なお、その他の多角形についても同様である。六角形状の銀ナノディスクとしては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀ナノディスクを主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
[平均粒子径(平均円相当径)および変動係数]
円相当径は、個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。個々の粒子の投影面積は、電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率で補正する公知の方法により得ることができる。また、平均粒子径(平均円相当径)は、200個の銀ナノディスクの円相当径Dの統計で粒径分布(粒度分布)が得られ、算術平均を計算することができる。銀ナノディスクの粒度分布における変動係数は、粒度分布の標準偏差を前述の平均粒子径(平均円相当径)で割った値(%)で求めることができる。
本発明の反射防止フイルムにおいて銀ナノディスクの粒度分布における変動係数としては、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。変動係数は、35%以下であることが反射防止構造における可視光線の吸収を減らす観点から好ましい。
銀ナノディスクの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、平均粒子径は10〜500nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、50〜200nmがさらに好ましい。
[銀ナノディスクの厚み・アスペクト比]
本発明の反射防止フイルムでは、銀ナノディスクの厚みTは20nm以下であることが好ましく、2〜15nmであることがより好ましく、4〜12nmであることが特に好ましい。
粒子厚みTは、銀ナノディスクの主平面間距離に相当し、例えば、図5及び図6に示す通りである。粒子厚みTは、原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、例えば、ガラス基板に銀ナノディスクを含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
TEMによる平均粒子厚みの測定方法としては、例えば、シリコン基板上に銀ナノディスクを含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、集束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、その断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行う方法などが挙げられる。
本発明において、銀ナノディスク42の直径(平均円相当径)Dの平均厚みTに対する比D/T(アスペクト比)は3以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光線の吸収とヘイズを減らす観点から、3〜40が好ましく、5〜40がより好ましい。アスペクト比が3以上であれば可視光線の吸収を抑制でき、40未満であれば可視領域でのヘイズも抑制できる。
図7に円形状金属粒子のアスペクト比が変化した場合の透過率の波長依存性のシミュレーション結果を示す。円形状金属粒子として、厚みTを10nmとし、直径Dを80nm、120nm、160nm、200nm、240nmと変化させた場合について検討した。図7に示す通り、アスペクト比が大きくなるにつれて吸収ピーク(透過率のボトム)が長波長側にシフトし、アスペクト比が小さくなるにつれ吸収ピークは短波長側にシフトする。アスペクト比が3未満となると、吸収ピークが可視域近くなり、アスペクト比が1では吸収ピークは可視域となる。このようにアスペクト比が3以上であれば、可視光に対し透過率を向上させることができる。特にアスペクト比は5以上であることが好ましい。
[面配向]
銀ナノディスク層4中において、銀ナノディスクの主面は銀ナノディスク層4の表面に対して0°〜30°の範囲で面配向している。すなわち、図8において、銀ナノディスク層4の表面と、銀ナノディスク42の主平面(円相当径Dを決める面)または主平面の延長線とのなす角度(±θ)が0°〜30°である。角度(±θ)が0°〜20°の範囲で面配向していることがより好ましく、0°〜10°の範囲で面配向していることが特に好ましい。反射防止フイルムの断面を観察した際、銀ナノディスク42は、図8に示す傾角(±θ)が小さい状態で配向していることがより好ましい。θが±30°を超えると、反射防止フイルムにおける可視光線の吸収が増加してしまう恐れがある。
また、上述の角度θが0°〜±30°の範囲で面配向している銀ナノディスクが、全銀ナノディスク数の50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
銀ナノディスク層の一方の表面に対して銀ナノディスクの主平面が面配向しているかどうかは、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における銀ナノディスク層及び銀ナノディスクを観察して評価する方法を採ることができる。具体的には、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて反射防止フイルムの断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
上述の通り作製した断面サンプルまたは断面切片サンプルの観察方法としては、サンプルにおいて銀ナノディスク層の一方の表面対して銀ナノディスクの主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はないが、例えば、FE−SEM、TEMなどを用いる方法が挙げられる。断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、銀ナノディスクの形状と傾角(図8の±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
[銀ナノディスク層の厚み、銀ナノディスクの存在範囲]
図9および図10は、銀ナノディスク42の銀ナノディスク層4における存在状態を示した概略断面図である。
銀ナノディスク層4の塗布膜厚みは、塗布厚みを下げるほど、銀ナノディスクの面配向の角度範囲が0°に近づきやすくなり、可視光線の吸収を減らすことができることから100nm以下であることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましく、5〜40nmであることが特に好ましい。
銀ナノディスク層4の塗布膜厚みdが銀ナノディスクの平均円相当直径Dに対し、d>D/2の場合、銀ナノディスク42の80個数%以上が、銀ナノディスク層4の表面からd/2の範囲に存在することが好ましく、d/3の範囲に存在することがより好ましく、銀ナノディスクの60個数%以上が銀ナノディスク層の一方の表面に露出していることが更に好ましい。銀ナノディスクが銀ナノディスク層の表面からd/2の範囲に存在するとは、銀ナノディスクの少なくとも一部が銀ナノディスク層の表面からd/2の範囲に含まれていることを意味する。図9は、銀ナノディスク層の厚みdがd>D/2である場合を表した模式図であり、特に銀ナノディスクの80個数%以上がfの範囲に含まれており、f<d/2であることを表した図である。
また、銀ナノディスクが銀ナノディスク層の一方の表面に露出しているとは、銀ナノディスクの一方の表面の一部が、低屈折率層との界面位置となっていることを意味する。図10は銀ナノディスクの一方の表面が低屈折率層との界面に一致している場合を示す図である。
ここで、銀ナノディスク層中の銀ナノディスク存在分布は、例えば、反射防止フイルム断面をSEM観察した画像より測定することができる。
なお、銀ナノディスク層の塗布膜厚みdは銀ナノディスクの平均円相当径Dに対し、d<D/2の場合が好ましく、より好ましくはd<D/4であり、d<D/8がさらに好ましい。銀ナノディスク層の塗布膜厚みを下げるほど、銀ナノディスクの面配向の角度範囲が0°に近づきやすくなり、可視光線の吸収を減らすことができるため好ましい。
銀ナノディスク層における銀ナノディスクのプラズモン共鳴波長(図7における吸収ピーク波長)は、反射防止したい波長より長波である限り制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線を遮蔽するために、700nm〜2,500nmであることが好ましい。
[銀ナノディスクの面積率]
銀ナノディスク層に対して垂直方向から見たときの銀ナノディスク層の全投影面積Aに対する銀ナノディスクの面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、5%以上40%以下が好ましい。上記の銀ナノディスクのアスペクト比3以上の条件を満たした上で、面積率を5%以上40%以下とすることで、反射防止構造の表面からと裏面からの反射率が変化し、表面と裏面で異なる反射率を得ることが出来る。
ここで、面積率は、例えば反射防止フイルムを上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
[銀ナノディスクの配列]
銀ナノディスク層における銀ナノディスクの配列は均一であることが好ましい。ここで言う配列の均一とは、各粒子に対する最近接粒子までの距離(最近接粒子間距離)を粒子の中心間距離で数値化した際、各々の粒子の最近接粒子間距離の変動係数(=標準偏差÷平均値)が小さいことを指す。最近接粒子間距離の変動係数は小さいほど好ましく、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、理想的には0%である。最近接粒子間距離の変動係数が大きい場合には、銀ナノディスク層内で銀ナノディスクの粗密や粒子間の凝集が生じ、ヘイズが悪化する傾向があるため好ましくない。最近接粒子間距離は銀ナノディスク層塗布面をSEMなどで観察することにより測定が可能である。
また、銀ナノディスク層と低屈折率層との境界は同様にSEMなどで観察して決定することができ、銀ナノディスク層の厚みdを決定することができる。なお、銀ナノディスク層に含まれるバインダーと同じ種類のバインダーを用いて、銀ナノディスク層の上に低屈折率層を形成する場合であっても、通常はSEM観察した画像によって銀ナノディスク層との境界を判別することができ、銀ナノディスク層の厚みdを決定することができる。なお、境界が明確でない場合には、最も基板から離れて位置されている平板金属の表面を境界と看做す。
[銀ナノディスクの合成方法]
銀ナノディスクの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが六角形状乃至円形状の銀ナノディスクを合成し得るものとして挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形〜三角形状の銀ナノディスクを合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の銀ナノディスクの角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の銀ナノディスクを得てもよい。
銀ナノディスクの合成方法としては、その他、予めフイルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板に銀を結晶成長させてもよい。
本発明の反射防止フイルムにおいて、銀ナノディスクは、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。更なる処理としては、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
−バインダー−
銀ナノディスク層4におけるバインダー41は、ポリマーを含むことが好ましく、透明ポリマーを含むことがより好ましい。ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。その中でも、主ポリマーがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂であることが銀ナノディスクの80個数%以上を銀ナノディスク層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましい。
バインダーは2種以上を併用して使用しても良い。
ポリエステル樹脂の中でも、飽和ポリエステル樹脂であることが二重結合を含まないために優れた耐候性を付与できる観点からより特に好ましい。また、水溶性・水分散性の硬化剤等で硬化させることで高い硬度・耐久性・耐熱性を得られる観点から、分子末端に水酸基またはカルボキシル基を持つことがより好ましい。
ポリマーとしては、商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えば、互応化学工業(株)製の水溶性ポリエステル樹脂である、プラスコートZ−687などを挙げることができる。
また、本明細書中、銀ナノディスク層に含まれる主ポリマーとは、銀ナノディスク層に含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことを言う。
銀ナノディスク層に含まれる銀ナノディスクに対するポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂の含有量が1〜10000質量%であることが好ましく、10〜1000質量%であることがより好ましく、20〜500質量%であることが特に好ましい。
バインダーの屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
<低屈折率層>
低屈折率層5の厚みは、低屈折率層5の表面からの入射光の低屈折率層5における反射光LR1が、入射光Lの銀ナノディスク層4における反射光LR2と干渉して打ち消される厚みである。ここで、「反射光LR1が、入射光Lの銀ナノディスク層4における反射光LR2と干渉して打ち消される」とは、反射光LR1と反射光LR2とが互いに干渉して全体としての反射光を低減することを意味し、完全に反射光がなくなる場合に限定されるものではない。
低屈折率層5の厚みは具体的には、400nm以下であることが好ましく、入射光波長λに対し、光路長がλ/4以下となる厚みであることがより好ましい。
原理的には低屈折率層5の厚みとしては、光路長λ/8が最適であるが、銀ナノディスク層の条件によって、λ/16〜λ/4程度の範囲で最適値は変化するため、層構成に応じて適宜設定すればよい。
低屈折率層5は、透明基材2の屈折率よりも小さい屈折率を有するものであればその構成材料は特に制限されない。
低屈折率層としては、例えば、バインダーとして熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、エネルギー放射線硬化性ポリマー、エネルギー放射線硬化性モノマー等を含む組成物を、熱乾燥または、エネルギー放射線を照射することで硬化させた層であり、屈折率が低い低屈折粒子をバインダーに分散させた層、屈折率が低い低屈折粒子をモノマー、重合開始剤とともに重縮合または架橋させた層、屈折率が低いバインダーを含む層などを挙げることができる。
エネルギー放射線硬化性ポリマーの例としては、特に限定するものではないが、ユニディックEKS−675(DIC社製紫外線硬化型樹脂)等が挙げられる。エネルギー放射線硬化性モノマーとしては、特に限定するものではないが、後述の含フッ素多官能モノマー等が好ましい。
(含フッ素多官能モノマー)
低屈折率層を設ける際に使用する組成物には、含フッ素多官能モノマーを含んでいてもよい。含フッ素多官能モノマーとは、主に複数のフッ素原子と炭素原子から成る(但し、一部に酸素原子及び/又は水素原子を含んでもよい)、実質的に重合に関与しない原子団(以下、「含フッ素コア部」ともいう)と、エステル結合やエーテル結合などの連結基を介して、ラジカル重合性、カチオン重合性、または縮合重合性などの重合性を有する、3つ以上の重合性基を有する含フッ素化合物であり、好ましくは5つ以上、より好ましくは6つ以上の重合性基を有する。
さらに含フッ素多官能モノマーは、そのフッ素含有量が含フッ素多官能モノマーの35質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、よりさらに好ましくは45質量%以上である。フッ素化合物におけるフッ素含有量が35質量%以上であると、重合体の屈折率を下げることができ、塗膜の平均反射率が下がるので好ましい。
3つ以上の重合性基を有する含フッ素多官能モノマーは、重合性基を架橋性基とする架橋剤であってもよい。
含フッ素多官能モノマーは2種以上を併用しても良い。
以下に含フッ素多官能モノマーの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されない。
Figure 2015159517
Figure 2015159517
M−1〜M−13のフッ素含有率は、それぞれ37.5,46.2,48.6,47.7,49.8,45.8,36.6,39.8,44.0,35.1,44.9,36.2,39.0質量%である。
(含フッ素ポリマー)
含フッ素多官能モノマーは、種々の重合方法により重合して、含フッ素ポリマー(重合体)として使用することができる。重合に際しては、単独重合、または共重合してもよく、さらには、含フッ素ポリマーを架橋剤として用いてもよい。
含フッ素ポリマーは複数のモノマーから合成しても良い。含フッ素ポリマーは2種以上を併用して使用しても良い。
用いられる溶媒としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
ラジカル重合の開始剤としては、熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロペルオキシド、ブチルヒドロペルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、有機アゾ化合物として2−アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2−アゾ−ビス−プロピオニトリル、2−アゾ−ビス−シクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウムなどを挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物(光ラジカル重合開始剤)を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が行われる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類などがある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も用いることができる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、ラジカル反応基が重合反応を開始できる量であれば特に制限されないが、一般的には硬化性樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%である。
ラジカル重合開始剤は2種以上を併用しても良い。その場合、ラジカル重合開始剤の総量が上記質量%に含まれることが好ましい。
重合温度は特に制限は無いが、開始剤の種類によって適宜、調節すればよい。また、光ラジカル重合開始剤を用いる場合には、特に加熱の必要は無いが、加熱してもよい。
含フッ素重合体を形成する硬化性樹脂組成物には、上記に加えて、皮膜硬度、屈折率、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性の観点から、各種の添加剤を含有することもできる。
例えば、(中空)シリカ等の無機酸化物微粒子、シリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、もしくは、滑り剤などを添加することができる。これらを添加する場合には、硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
<高屈折率層>
高屈折率層6の屈折率は透明基材の屈折率より大きいものであればよいが、1.55以上、特に1.6以上であることが好ましい。
高屈折率層6は、屈折率が1.55より大きいものであればその構成材料は特に制限されない。例えば、バインダー、金属酸化物微粒子、マット剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
金属酸化物微粒子の材料としては、バインダーの屈折率よりも大きな屈折率を持つ金属微粒子を用いる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と略記する。)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニア等が挙げられる。
[ハードコート層]
耐擦傷性を付加するために、ハードコート性を有するハードコート層7を含むことも好適である。ハードコート層7には金属酸化物粒子や紫外線吸収剤を含むことができる。
ハードコート層7としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜その種類も形成方法も選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。ハードコート層7の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましい。
[粘着剤層]
既述のようにガラス板に反射防止フイルムを貼付する場合には反射防止フイルムの透明基材2の裏面に粘着剤層9が形成される。
この粘着剤層には、紫外線吸収剤を含むことができる。
粘着剤層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着剤層は、塗布やラミネートにより形成することができる。
さらに、粘着剤層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着剤層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
<その他の層・成分>
本発明の反射防止フイルムは、上記各層以外の層を備えていてもよい。たとえば、赤外線吸収化合物含有層、紫外線吸収剤含有層などを備えていてもよい。
[紫外線吸収剤]
本発明の反射防止フイルムは、紫外線吸収剤が含まれている層を有することが好ましい。
紫外線吸収剤を含有する層は、目的に応じて適宜選択することができ、粘着剤層であってもよく、また、粘着剤層と銀ナノディスク層との間の層であってもよい。いずれの場合も、紫外線吸収剤は、銀ナノディスク層に対して、太陽光が照射される側に配置される層に添加されることが好ましい。
[金属酸化物粒子]
本発明の反射防止フイルムは、熱線を遮蔽するために、少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有していても良い。
金属酸化物粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と略記する。)、アンチモンドープ酸化錫(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、ガラスセラミックス、6硼化ランタン(LaB)、セシウムタングステン酸化物(Cs0.33WO、以下「CWO」と略記する。)などが挙げられる。これらの中でも、熱線吸収能力に優れ、銀ナノディスクと組み合わせることにより幅広い熱線吸収能を有する反射防止構造が製造できる点で、ITO、ATO、CWO、6硼化ランタン(LaB)がより好ましく、1,200nm以上の赤外線を90%以上遮蔽し、可視光透過率が90%以上である点で、ITOが特に好ましい。
金属酸化物粒子の一次粒子の体積平均粒径としては、可視光透過率を低下させないため、0.1μm以下が好ましい。
金属酸化物粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、針状、板状などが挙げられる。
次に、各層の形成方法について説明する。
−銀ナノディスク層の形成方法−
銀ナノディスク層4の形成方法には、特に制限はない。例えば、透明基材の表面上に、銀ナノディスクを含有する分散液(銀ナノディスク分散液)を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
なお、面配向を促進するために、銀ナノディスクを塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通してもよい。
−低屈折率層の形成方法−
低屈折率層5は、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、紫外線吸収剤を含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
−ハードコート層の形成方法−
ハードコート層7は、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、紫外線吸収剤を含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
−粘着剤層の形成方法−
粘着剤層は、塗布により形成することが好ましい。例えば、基材、銀ナノディスク層、紫外線吸収層などの下層の表面上に積層することができる。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
粘着剤を予め離型フイルム上に塗工及び乾燥させたフイルムを作製しておいて、当該フイルムの粘着剤面と本発明の反射防止構造表面とをラミネートすることにより、ドライな状態のままの粘着剤層を積層することが可能である。このときのラミネートの方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
[機能性ガラスの作製方法]
本発明の反射防止フイルムを使って、窓ガラスの類に機能性を付与する場合は、粘着剤を積層して窓ガラスの室内側、もしくは窓ガラスの両面に貼り付けることが好ましい。窓ガラスに反射防止フイルムを貼り付ける際、粘着剤層を塗工、あるいは、ラミネートにより設けた反射防フイルムを準備し、あらかじめ窓ガラス表面と反射防止フイルムの粘着剤層表面に界面活性剤(主にアニオン系)を含んだ水溶液を噴霧してから、粘着剤層を介して窓ガラスに反射防止フイルムを設置すると良い。水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は落ちるため、ガラス表面では反射防止構造の位置の調整が可能である。窓ガラスに対する反射防止構造の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて窓ガラスと反射防止フイルムの間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、窓ガラス表面に反射防止フイルムを固定できる。このようにして、窓ガラスに反射防止フイルムを設置することが可能である。
窓ガラスへの機能性の付与は、ガラス板にラミネーター設備を使って機械的に本発明の反射防止フイルムを貼り付ける加熱もしくは加圧ラミネートという手法によっても達成される。上部から過熱された金属ロールまたは耐熱性ゴムロール、下部からは室温または加熱された耐熱性ゴムロールにて挟まれるスリットエリアをガラス板が通っていくラミネーターを用意する。ガラス板の上に粘着剤面がガラス面と接触するように当該フイルムを乗せ、ラミネーターの上部ロールが当該フイルムを押し付けるようにセットして、ラミネーターを通す。粘着剤の種類によって適切なロール加熱温度を選んで貼れば、粘着力が強くなり、気泡も紛れ込まないように貼る事ができる。当該フイルムがロール状で供給できる場合は、加熱ロールに上部から連続的にテープ状フイルムを供給して、加熱ロールに90度程度のラップ角をもつようにした方が当該フイルムの粘着剤層がプレヒートを受けて貼り付けられやすくなり、気泡排除と粘着力アップの両方を高次元に達成できる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
まず、反射防止フイルムの実施例1の作製に用いた各種塗布液の調製および評価について説明する。
−銀ナノディスク分散液Aの調液−
NTKR−4(日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13Lを計量し、SUS316L製のシャフトにNTKR−4製のプロペラ4枚およびNTKR−4製のパドル4枚を取り付けたアジターを備えるチャンバーを用いて撹拌しながら、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して35℃に保温した。8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に0.04Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて23g/Lに調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを添加した。0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加した。
10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌を800rpmに上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液を全量添加した。撹拌を1200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈殿物混合液を全量添加した。
調製液のpH変化が止まった段階で、1NのNaOH水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、2.0g/Lの1−(m−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム水溶液(NaOHとクエン酸(無水物)とを用いてpH=7.0±1.0に調節して溶解した)0.18Lを添加し、更に70g/Lの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した)0.078Lを添加した。このようにして銀ナノディスク分散液Aを調製した。
−ゼラチン水溶液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製のアジターで低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量20万)1.4kgを添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、および過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量2.1万)0.91kgを添加した。その後40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させた。
−亜硫酸銀白色沈殿物混合液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水8.2Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液8.2Lを添加した。SUS316L製のアジターで高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液2.7Lを短時間で添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
−銀ナノディスク分散液Bの調液−
前述の銀ナノディスク分散液Aを遠沈管に800g採取して、1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いて25℃でpH=9.2±0.2に調整した。遠心分離機(日立工機(株)製himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9000rpm60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈殿した銀ナノディスクに0.2mMのNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で24本分の粗分散液を調製して合計9600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10cc添加した。プライミクス(株)製オートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。分散後、25℃に降温してから、プロファイルIIフィルター(日本ポール(株)製、製品型式MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
このようにして、分散液Aに脱塩処理および再分散処理を施して、銀ナノディスク分散液Bを調製した。
−銀ナノディスクの評価−
銀ナノディスク分散液Aの中には、六角形状乃至円形状および三角形状の平板粒子が生成していることを確認した。銀ナノディスク分散液AのTEM観察により得られた像を、画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施した。数視野のTEM像から任意に抽出した500個の粒子に関して画像解析を行い、同面積円相当直径を算出した。これらの母集団に基づき統計処理した結果、平均直径は120nmであった。
銀ナノディスク分散液Bを同様に測定したところ、粒度分布の形状も含め銀ナノディスク分散液Aとほぼ同じ結果を得た。
銀ナノディスク分散液Bをシリコン基板上に滴下して乾燥し、銀ナノディスクの個々の厚みをFIB−TEM法により測定した。銀ナノディスク分散液B中の銀ナノディスク10個を測定して平均厚みは8nmであった。
―銀ナノディスク層用塗布液Cの調製―
下表1の組成で銀ナノディスク層用塗布液Cの調整を行った。
各値の単位は質量部である。
Figure 2015159517
―ハードコート層用塗布液Dの調製―
下表の組成でハードコート層用塗布液Dの調整を行った。
各値の単位は質量部である。
Figure 2015159517
―高屈折率層用塗布液Eの調整―
下表の組成で高屈折率層用塗布液Eの調整を行った。各値の単位は質量部である。
Figure 2015159517
―低屈折率層用塗布液Fの調整―
下表の組成で低屈折率層用塗布液Fの調整を行った。各値の単位は質量部である。
Figure 2015159517
各実施例および比較例の反射防止フイルムの作製方法について説明する。
[実施例1]
TACフイルム(TD60UL 富士フイルム(株)製、60μm、屈折率1.5)の表面上に、ハードコート層用の塗布液Dを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが10μmになるように塗布した。その後、90℃で1分間加熱して、乾燥した後、酸素濃度1%以下となるように窒素パージしながら、F600用DバルブUVランプ(フュージョンUVシステムズ製)を用いて、照度80mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布膜をハーフキュアさせ、ハードコート層を形成した。
形成したハードコート層の上に、高屈折率層用の塗布液Eを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが70nmになるように塗布した。その後、60℃で1分間加熱乾燥し、酸素濃度1%以下となるように窒素パージしながら、F600用DバルブUVランプ(フュージョンUVシステムズ製)を用いて、照度80mW/cm、照射量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布膜をハーフキュアさせ、高屈折率層を形成した。
形成した高屈折率層の上に、銀ナノディスク層用の塗布液Cを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが20nmになるように塗布した。その後、110℃で1分間加熱し、乾燥、固化し、銀ナノディスク層を形成した。
形成した銀ナノディスク層の上に、低屈折率層用の塗布液Fを、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが80nmになるように塗布した。その後、60℃で1分間加熱し、乾燥し、酸素濃度0.5%以下となるように窒素パージしながら、F600用DバルブUVランプ(フュージョンUVシステムズ製)を用いて、照度200mW/cm、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して塗布膜を硬化させ、低屈折率層を形成した。
以上の過程により、実施例1の反射防止フイルムを得た。
[実施例2〜8]
実施例1と同様の手順でTACフイルム(TD60UL 富士フイルム(株)製、60μm、屈折率1.5)の表面上に、ハードコート層、高屈折率層、銀ナノディスク層、低屈折率層の塗布膜厚がそれぞれ表5の記載の数値となるように塗布し、実施例2〜8の反射防止フイルムを作製した。但し、各実施例2〜8においては、銀ナノディスク分散液の調製の際に、厚みと直径が表5に記載の値となるように、作製時の各溶液の濃度、加熱温度、及びpHを調整し、銀ナノディスク層の塗布液の調製の際に、塗布時の銀ナノディスク(銀ND)の面積率が表5の値となるように各溶液の濃度比を調整しており、それぞれ異なる成分比の銀ナノディスク分散液および銀ナノディスク層塗布液を用いて作製した。
[実施例9〜16]
基材をPETフイルム(東レ社製 ルミラー 50U 403)に変えたほかは、実施例1〜8の場合と同様の手順にて、実施例9〜16に記載の反射防止フイルムの作製を行った。
[比較例1]
塗布後の銀ナノディスク層の銀ナノディスクの面積率が5%となるように、銀ナノディスク層用の塗布液の調整時の各溶液の濃度比を調整した他は、実施例1の場合と同様にして、比較例1の反射防止フイルムを作製した。
[比較例2]
塗布後の銀ナノディスク層の銀ナノディスクの面積率が44%となるように、銀ナノディスク層用の塗布液の調整時の各溶液の濃度比を調整した他は、実施例1の場合と同様にして、比較例2の反射防止フイルムを作製した。
[比較例3]
銀ナノディスク層の塗布液の調整の際に、銀ナノディスク分散液の代わりにシグマアルドリッチ製の銀ナノ粒子(直径20nmの、アスペクト比1の球状粒子)を用いたほかは、実施例1の場合と同様にして、比較例3の反射防止フイルムを作製した。
[比較例4]
銀ナノディスク層の塗布を行わずに、高屈折率層と低屈折率層の塗布の際に乾燥後の膜厚がそれぞれ表5となるように変更したほかは、実施例1の場合と同様にして、比較例4の反射防止フイルムを作製した。
[比較例5〜8]
透明基材をPETフイルム(東レ社製 ルミラー 50U 403)に変えた他は、それぞれ比較例1〜4の場合と同様にして、比較例5〜8の反射防止フイルムを作製した。
各実施例および比較例の層構成および銀ナノディスクについて表5に纏めて示す。
Figure 2015159517
「反射防止フイルムの評価方法」
各実施例および比較例について、反射防止構造の表面からの反射率A、反射防止構造の裏面(透明基材側)からの反射率B、光透過率および表面抵抗値について測定を行った。結果を表6に纏めて示す。
Figure 2015159517
<表面からの反射率Aの測定方法>
大塚電子製反射膜厚分光計FE3000を用い、低屈折率層側から光を入射し、基材の低屈折率層側に顕微鏡の焦点を合わせ、波長550nmにおける表面からの反射率Aの測定を行った。
<裏面からの反射率Bの測定方法>
大塚電子製反射膜厚分光計FE3000を用い、最初に低屈折率層側と反対側から光を入射し、基材の低屈折率層側と反対側に顕微鏡の焦点を合わせ、波長550nmにおける反射率Rrefを測定した。次に、基材の低屈折率層側と反対側から光を入射し、基材の低屈折率層側に顕微鏡の焦点を合わせ、波長550nmにおける反射率Rsampleを測定した。Rref、Rsampleを用い、次式により波長550nmにおける裏面からの反射率Bを求めた。
B=Rsample×(100)2/(100-Rref)2
上記測定結果に基づき反射率A,Bが本発明の条件を満たしている場合Y,満たしていない場合Nとして表6に示した。実施例は本発明の条件を満たすものであり、比較例は本発明の条件を満たしていない。
<透過率の測定方法>
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U4000を用い、各例の反射防止フイルムに低屈折率層側から光を入射した際の、波長550nmにおける透過率の測定を行った。透過率が80%未満のとき不良(NG)、透過率が80%以上のとき良(OK)と評価した。
<電波透過性>
表面抵抗測定装置(ロレスタ、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて、表面抵抗(Ω/□)を測定し、電波透過性の目安とした。表面抵抗が十分に大きければ面方向に導電性を有さず、電波を阻害しないと考えられるからである。本実施例および比較例はいずれも表面抵値が十分大きく(いずれも検出限界値であり)、十分な電波透過性を有すると判断した。
表5、6に示す通り、実施例1〜16のように、反射防止構造において、銀ナノディスク層を備え、かつ銀ナノディスクのアスペクト比および面積率が本発明の範囲のものは、反射率A,Bの関係が本発明の条件を満たしており、光透過率80%を得ることができ、かつ十分な電波透過性を有することができた。
他方、銀ナノディスク層の銀ナノディスクのアスペクト比もしくは面積率が本発明の範囲外のもの、あるいは銀ナノディスク層を備えていない比較例は、いずれも反射率A,Bの関係が本発明の条件を満たしていない。特に、銀ナノディスクの面積率が40%を超える場合、あるいはアスペクト比が1の球状の銀粒子を含む場合は、透過率が著しく低下することが明らかである。
次に、機能性ガラスの実施例17および比較例9について説明する。
[実施例17]
実施例17として、透明ガラス板の一面に第1の反射防止フイルムとして上記実施例1の反射防止フイルムを、他面に第2の反射防止フイルムとして実施例5の反射防止フイルムを、それぞれ粘着剤層を介して貼り付けて機能性ガラスとした。
実施例17の機能性フイルムは次のようにして作製した。
実施例1の反射防止フイルムの裏面(透明基材の反射防止構造が形成されていない面)を洗浄した後、粘着剤層を貼り合わせた。粘着剤層の両面に剥離シートを備えたパナック株式会社製PD−S1を用いた。粘着剤層の一方の剥離シートを剥がした面を、反射防止フイルムの反射防止構造の無い面(すなわち裏面)と重ねて圧着することにより、貼り合わせた。
実施例5の反射防止フイルムについても同様に、反射防止フイルムの裏面を洗浄した後、同様にして粘着剤層を貼り合わせた。
上述のようにして得られた粘着剤層を有する実施例1の反射防止フイルムの剥離シートを剥がし、透明ガラス(厚み:3mm)の一面と貼り合わせ、反射防止フイルムの貼合せ構造体を作製した。次に粘着剤層を有する実施例5の反射防止フイルムの剥離シートを剥がし、反射防止フイルムの貼合せ構造体と(透明ガラスの他面と)貼り合わせ、実施例17の機能性ガラスを作製した。
なお、透明ガラスは、イソプロピルアルコールで汚れを拭き取って放置したものを使用し、貼り合わせ時、ゴムローラーを用いて25℃、湿度65%の条件下で、0.5kg/ cmの面圧で圧着した。
[実施例18〜23、比較例9〜11]
実施例18〜23および比較例9〜11として、透明ガラス板の一面および他面にそれぞれ後記表7に記載の第1のフイルムおよび第2のフイルムを、それぞれ粘着剤層を介して貼り付けて機能性ガラスとを作製した。各例において反射防止フイルムの透明ガラスへの貼り付けは実施例17と同様の手順で行った。
「機能性ガラスの評価方法」
実施例17〜23および比較例9〜11の機能性ガラスについて、第1の反射防止フイルムが付与された一面(表面)からの反射率C、他面(裏面)からの反射率D、透過率および表面抵抗値について測定を行った。各例の第1のフイルム、第2のフイルムおよび結果を表7に纏めて示す。
Figure 2015159517
<機能性ガラスの一面(表面)からの反射率Cの測定方法>
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U4000を用い、機能性ガラスの表面から光を入射し、各例の反射防止ガラスに光を入射した際の、波長550nmにおける表面からの反射率Cの測定を行った。
<機能性ガラスの他面(裏面)からの反射率Dの測定方法>
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U4000を用い、機能性ガラスの裏面から光を入射し、各例の反射防止ガラスに光を入射した際の、波長550nmにおける表面からの反射率Dの測定を行った。
<透過率の測定方法>
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U4000を用い、各例の機能性ガラスに光を入射した際の、波長550nmにおける透過率の測定を行った。透過率が80%未満のとき不良(NG)、透過率が80%以上のとき良(OK)と評価した。
<電波透過性>
表面抵抗測定装置(ロレスタ、三菱化学アナリテック株式会社製)を用いて、表面抵抗(Ω/□)を測定し、電波透過性の目安とした。いずれも表面抵抗値が十分高い反射防止フイルムを表面および裏面に備えているため、機能性ガラスとしての実施例および比較例においてもいずれも表面抵値が十分大きかった(いずれも検出限界値であった)。したがって、十分な電波透過性を有すると判断した。
<視認性の差異の確認>
水平な台上に黒い台紙を敷き、その上に作製した機能性ガラスを置いた状態で、蛍光灯の映り込みを目視により確認した。機能性ガラスを表と裏とで比較した場合に、蛍光灯の映り込みの視認性に顕著な違いが感じられた場合を差異有、視認性に顕著な違いが感じられなかった場合を差異無とした。
表7に示す通り、実施例17〜23は、実施例1〜8を種々組み合わせた構成であり反射率C,Dの関係が本発明の機能性ガラスの条件を満たしており、光透過率80%を得ることができ、かつ十分な電波透過性を有することができた。
他方、ガラス板の表裏で同一の反射防止フイルムを備えた比較例9、10およびガラス板の表裏に実施例1および実施例2のフイルムを貼付してなる比較例11については、いずれも反射率C,Dの関係が本発明の条件を満たしていない。
実施例17〜23のように表裏の一方の反射率が他方の反射率の2倍より大きければ表裏での視認性に差が認められ、他方、表裏の反射率に大きな差がない場合表裏での視認性の差が認められなかった。
図11は、実施例17の反射防止ガラスについての反射率の波長依存性を示す反射防止効果についての実験結果である。図11に示す通り、実施例17の反射防止ガラスについて、表(一面)からの反射率は小さく、良好な反射防止特性を確認できた。一方、裏(他面)からの反射は表からの反射と比較して大きくなっていることが確認できた。

Claims (6)

  1. 波長λの入射光の反射を防止する反射防止フイルムであって、
    透明基材と、該透明基材の一面に設けられた反射防止構造とを備え、
    前記波長λの光を前記反射防止構造側から入射させた場合の反射率をAとし、前記波長λの光を前記透明基材の他面側から入射させた場合の反射率をBとしたとき、AとBが下記関係式(1)もしくは(2)を満たすものであり、
    A<1.0% かつ B/A>2 (1)
    B<1.0% かつ A/B>2 (2)
    前記反射防止構造が、バインダー中に複数の銀ナノディスクが分散されてなる銀ナノディスク層と、該銀ナノディスク層の表面側に形成された、前記透明基材の屈折率よりも小さい屈折率を有する低屈折率層とを含むものであり、
    前記銀ナノディスクの直径の厚みに対する比が3以上であり、
    前記銀ナノディスク層における前記銀ナノディスクの面積率が10%以上、40%以下である反射防止フイルム。
  2. 前記透明基材がPETフイルムもしくはTACフイルムである請求項1記載の反射防止フイルム。
  3. 前記低屈折率層が、バインダー中に複数の中空シリカが分散されてなるものである請求項1または2記載の反射防止フイルム。
  4. 前記反射防止構造が、前記透明基材と前記銀ナノディスク層との間に前記透明基材の屈折率より大きい屈折率を有する高屈折率層を備えている請求項1から3いずれか1項記載の反射防止フイルム。
  5. 前記反射防止構造が、前記透明基材と前記銀ナノディスク層との間にハードコート層を備えている請求項1から4いずれか1項記載の反射防止フイルム。
  6. ガラス板と、
    前記ガラス板の一方の面に貼付された第1の反射防止フイルムと、
    前記ガラス板の他方の面に貼付された第2の反射防止フイルムとを備え、
    前記第1および第2の反射防止フイルムが、請求項1から5いずれか1項記載の反射防止フイルムであって、互いに異なる反射条件を有するものであり、
    波長λの光を前記一方の面側から入射させた場合の反射率をC、前記他方の面側から入射させた場合の反射率をDとしたとき、
    CとDが下記関係式(3)もしくは(4)を満たす機能性ガラス。
    C<2.0% かつ D/C>2 (3)
    D<2.0% かつ C/D>2 (4)
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