図1は、本発明の第1実施形態の注出容器1の構成を示す斜視図である。図2は、図1の注出容器1の要部断面図である。図3は、図1の注出容器1の製造要領を示す要部断面図である。図4は、図1の注出容器1の製造方法を示すフローチャートである。図5は、図1のキャップ40の取付例を示す要部断面図である。なお図2(a)及び図2(b)は、互いに90度、異なる角度から見たときの注出容器1の要部断面図である。また図2では、内容器11のフィルム体18を省略している。
なお本発明の実施形態に示すキャップは、逆止弁として機能する吐出弁を備えるため、逆止弁付キャップとも言える。
本発明の第1実施形態の注出容器1は、内容物を収容し、収容した内容物の酸化を防止しつつ内容物を注出可能な注出容器であり、内容器11、外容器21、リングキャップ31、及び吸気弁体フィルム38で構成される二重容器の容器本体と、内容器11の口部(スパウト12)に取付けられる、キャップ40とを備え、キャップ40が逆止機能を有する吐出弁71を備え、吐出弁71により内容器11内への外気の侵入を防止し内容物の酸化を防止しつつ、内容物を注出する。
容器本体は、内容物を収容する内容器11と、内容器11を収容する外容器21と、外容器21の蓋として用いられるリングキャップ31と、内容器11と外容器21との間の空間部20の空気の出入りを制御する吸気弁75の弁体となる吸気弁体フィルム38とで構成される二重容器であり、外容器21を収縮させることで、内容器11と外容器21との間の空間部20の空気を介して内容器11を収縮させ、内容物を排出する。
内容物の排出に伴い内容器11が収縮するので、外容器21が自立可能な形状であると内容器11の形状に関わらず容器本体が常に自立可能で使い勝手がよい。但し、外容器21は、自立可能な形状のものに限定されるものではなく、用途に応じて自立可能ではないものを用いることもできる。
内容器11は、フィルム体18を重ね合せ周縁部を熱溶着等で接着して形成されるパウチ容器であり、内容物の出入口となるスパウト12が上部に接着して取付けられている。内容器11は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、市販されている公知のスパウト付容器(図示省略)等を用いることもできる。内容器11の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、外容器21に収容可能であればよい。またスパウト12を取付ける箇所は、特定の箇所に限定されるものではない。
なお内容器11としては、これ以外にも例えば、本件出願人が出願した国際出願番号PCT/JP2013/065781に記載の図1から図17に示される内容物の注出に伴いながら収縮する、折込み線が設けられた容器本体(図示省略)や、本件出願人が出願した特開2013−227059号公報(日本国特許庁)に記載の図1から図13に示される形状復元性により容器本体内が強制的に減圧となる、蛇腹を備える容器本体(図示省略)なども好適に用いることができる。
フィルム体18の材質は、特定の材質に限定されるものではない。収容する内容物によっては、熱安定性、紫外線による劣化防止、帯電防止、酸化防止性、水蒸気遮断性、その他ガスバリア性(気体遮断性)、香気保存性、遮光性等が要求される。このような場合には、適宜、要求される仕様に適した材料を使用して内容器11を形成すればよい。
酸素遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、ポリアミド類、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニリデン−メチルアクリレート共重合体、PET、ナノコンポジット系コートPET、シリカコートPET、アルミナコートPET、延伸ポリプロピレン/アルミニウム箔/低密度ポリエチレン積層材、PET/エチレンビニルアルコール共重合体/低密度ポリエチレン積層材、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンコートPET等が挙げられる。但し、これら以外の酸素遮断性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材、さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
水蒸気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンコートPET等が挙げられる。但し、これら以外の水蒸気遮断性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材、さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
酸素遮断性と水蒸気遮断性とに優れるプラスチック、複合材、積層材としては、延伸ポリプロピレン/アルミニウム箔/低密度ポリエチレン積層材、セラミック蒸着PET/低密度ポリエチレン積層材、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンコートPET等が挙げられる。但し、これら以外の酸素遮断性と水蒸気遮断性とに優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
香気保存性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、エチレンビニルアルコール共重合体、PET、PET/低密度ポリエチレン、延伸ポリプロピレン/アルミニウム箔/低密度ポリエチレン積層材、PET/エチレンビニルアルコール共重合体/低密度ポリエチレン積層材、セラミック蒸着PET、セラミック蒸着PET/低密度ポリエチレン積層材が挙げられる。但し、これら以外の香気保存性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
紫外線の遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、酸化チタン含有ポリプロピレン、酸化鉄/ポリプロピレン積層材、カーボンブラック/ポリプロピレン積層材が挙げられる。但し、これら以外の紫外線の遮断性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
非帯電性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、普通セロハン、防湿セロハン、エチレン・ビニルアルコール共重合体が挙げられる。但し、これら以外の非帯電性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。また界面活性剤やカーボン、金属酸化物等の帯電防止剤を添加したプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材等を用いることもできる。
遮光性に優れるプラスチック、複合材、積層材としては、普通セロハン/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン積層材、二軸延伸ポリプロピレン/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン積層材、PET/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレン積層材、PET/アルミニウムの真空蒸着/ポリエチレン積層材、二軸延伸ポリプロピレン/アルミニウムの真空蒸着/ポリエチレン積層材、PET/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレン積層材、二軸延伸ナイロン/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレン積層材が挙げられる。但し、これら以外の遮光性に優れるプラスチック、合成樹脂、複合材、積層材さらにはプラスチック、合成樹脂以外の材料を使用してもよい。
内容器11内に収容可能な内容物は、特定の流体に限定されるものではなく、幅広い種類の内容物を収容し注出することができる。内容物としては、醤油などのような比較的粘度の低い液体、マヨネーズのような粘性流体、サンプリングガスなどの気体、小麦粉のような粉粒体、スラリー溶液、液体中に固形分が浮遊する懸濁溶液などが例示される。一般的な醤油の粘度は、温度20℃において大凡5〜6mPa・s、マヨネーズは、大凡2〜100Pa・sである。
スパウト12は、略円筒体の部材である。スパウト12は、先端部である口部13の外周面にキャップ40が螺合する雄ネジ14を備え、中央部外周面に上フランジ15、下フランジ16を備え、下フランジ16から下方にフィルム体18に接着される接着部17を備える。なおスパウト12は、円筒体に限定されるものではなく、例えば、角筒体等でもよい。またスパウト12としては、市販されている公知のスパウト付容器(図示省略)のスパウトを用いることもできる。
スパウト12の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、材料として合成樹脂の他、金属、ガラス、炭素、焼結材、木材等が例示され、これらの複合材や、蒸着、塗布、メッキ、金属箔等により表面を金属で被覆した材料等でもよく、用途、内容物等に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、スパウト12を通じて内容器11内に酸素が侵入しないようにするには、酸素遮断性、空気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材その他材料でスパウト12を形成すればよい。これらの材料については、フィルム体18の材料として前述したものと同様であるので、説明を省略する。
上フランジ15及び下フランジ16は、内容器11へのスパウト12の取付時、内容物の充填時、搬送時等におけるスパウト12の把持又は支持や、スパウト12を内容器11に取付ける際のフィルム体18との位置決め等に用いられる。上フランジ15及び下フランジ16の形状や数は、特定のものに限定されるものではない。
接着部17は、フィルム体18の接着及び密着を容易かつ確実にすべく底面視において紡錘形となっている。なお接着部17の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、底面視において楕円形や舟形形でもよく、接着用の左右一対の板状突起(図示省略)等を設けてもよい。またフィルム体18を気密に接着及び密着可能であれば、底面視において円形や矩形等であってもよい。
外容器21は、上端が開口した有底円筒体であり、収縮変形が容易で形状復元性を有し自立可能であることが好ましい。外容器21は、上端部の外周面にリングキャップ31が螺合する雄ネジ23を備える。なお外容器21は、内容器11を収容可能であればよく、特定の形状に限定されるものではない。
外容器21の材質は、内容器11と同様、特定の材質に限定されるものではない。内容器11に収容する内容物によっては、熱安定性、紫外線による劣化防止、帯電防止、酸化防止性、水蒸気遮断性、その他ガスバリア性(気体遮断性)、香気保存性、遮光性等が要求される。このような場合には、適宜、要求される仕様に適した材料を使用すればよい。この点は、内容器11と同様に考えることができ、前記した材料を使用することができる。
リングキャップ31は、外容器21の蓋、及び内容器11と外容器21との連結手段として用いられる。リングキャップ31は、頂部に挿通口32を有する有頂円筒体であり、頂部に外気の流路となる吸気路33を備え、頂部天井面に外容器21の上端部に密接してシールを行うシール筒36を備え、筒部内周面に外容器21の雄ネジ23に螺合する雌ネジ37を備える。なお本実施形態において、リングキャップ31が外容器用キャップに該当する。
リングキャップ31の材質は、外容器21と同様に考えることができ、前記材料を使用することができる。例えば、リングキャップ31を通じて内容器11内に酸素が侵入しないようにするには、内容器11等と同様に、酸素遮断性、空気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材その他材料でリングキャップ31を形成すればよい。
挿通口32は、スパウト12の口部13が挿通可能で、かつ上フランジ15及び後述するキャップ本体41のストッパ48が挿通しない大きさで頂部の中央に貫通して形成されている。
吸気路33は、内容器11と外容器21との間の空間部20に外気を導入すべく、頂部に2箇所、貫通して形成されている。なお吸気路33の数は、これに限定されるものではなく、1個又は3個以上であってもよい。また吸気路33の形状及び配置も、特定のものに限定されるものではない。
シール筒36は、外容器21の上端部を全周に亘ってシールするが、外容器21の収縮時に内容器11からの内容物の排出が可能な程度に空気の流出を妨げることが可能であればよく、多少の漏れは許容される。
吸気弁体フィルム38は、リング状であり、スパウト12の上フランジ15の上面に載置され、上フランジ15の上面とリングキャップ31とに挟持されて取付けられる。吸気弁体フィルム38は、リングキャップ31の吸気路33を開閉する、逆止機能を有する吸気弁75を形成する。なお吸気弁体フィルム38の形状や配置は、特定のものに限定されるものではなく、少なくとも吸気路33を開閉可能であればよい。
吸気弁75は、内容器11と外容器21との間の空間部20と、外気との圧力差により吸気弁体フィルム38が上下動することで開閉する。吸気弁75は、外容器21の収縮時に内容器11と外容器21との間の空間部20からの空気の流出を妨げ、外容器21の形状復元時に外気を内容器11と外容器21との間の空間部20に導入する。なお吸気弁75は、外容器21の収縮時に内容器11からの内容物の排出が可能な程度に空気の流出を妨げることが可能であればよく、多少の漏れは許容される。
キャップ40は、スパウト12の口部13に取付けられるキャップ本体41と、弁孔52を有しキャップ本体41に圧入して取付けられる基台51と、弁孔52を覆うように基台51の上面に重ねられるフィルム61とを備え、弁孔52を入口、フィルム61を弁体、基台51の上面を弁座とする吐出弁71を備え、スパウト12の口部13に取付けられ、内容器11内への外気の侵入を防止しつつ、内容物を注出させる。
キャップ本体41は、有頂円筒体であり、頂部に内容物を注出する注出口42を備え、頂部天井面43にフィルム61の押え面44を備え、筒部内周面にスパウト12の雄ネジ14に螺合する雌ネジ46を備え、筒部下端部に内容器11及び吸気弁体フィルム38を外容器21に固定するためのストッパ48を備える。またキャップ本体41の頂部には、注出口42を開閉するヒンジ付の蓋体49が形成されている。なおキャップ本体41は、円筒体に限定されるものではなく、例えば、角筒体等でもよく、スパウト12やリングキャップ31の形状やデザイン性等を考慮して形状を決めることができる。
キャップ本体41の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、材料としては、ポリエチレンなどの合成樹脂材、金属、ガラス、炭素材、焼結材、木材等が例示され、これらの複合材や、蒸着、塗布、メッキ、金属箔等により表面を金属で被覆した材料等、用途、内容物等に応じて適宜選択した材料で形成することができる。例えば、キャップ本体41を通じて内容器11内に酸素が侵入しないようにするには、内容器11等と同様に、酸素遮断性、空気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材その他材料でキャップ本体41を形成すればよい。
注出口42の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、注ぎ易さやデザイン性を考慮し、適宜決めることができる。また注出口42は、キャップ本体41に基台51を取付けたときに、基台51の弁孔52に対し中心を挟んで反対側に配置されると、内容物の充填時などに混入した内容器11内の空気又はガスが、注出容器1を傾けて内容物を注出する際に弁孔52の方へ移動するため外部に排出され易くなり好ましい。但し、これに限定されるものではない。
押え面44は、天井面43の周縁部に形成された段差の下面であり、押え面44には全周に亘って凸状のシール手段45が形成されている。基台51がキャップ本体41に取付けられると、シール手段45が基台51及びフィルム61の上面に密接してシールを行う。なおシール手段45を用いることなく、押え面44と基台51及びフィルム61の上面とを密接させ、十分にシールを行うことが可能であれば、シール手段45を設けなくてもよい。
ストッパ48は、キャップ40がスパウト12の口部13に取付けられたときに、リングキャップ31の頂部上面の挿通口32の周囲に当接し、ストッパ48とスパウト12の上フランジ15とでリングキャップ31の頂部及び吸気弁体フィルム38を挟持する。これにより内容器11及び吸気弁体フィルム38がリングキャップ31を介して外容器21に固定される。
ストッパ48の位置(キャップ本体41の筒部の高さ)は、キャップ40がスパウト12の口部13に取付けられたときに、ストッパ48のリングキャップ31への当接面からスパウト12の上フランジ15の上面までの距離が、リングキャップ31の頂部及び吸気弁体フィルム38の厚みと略同一(略同一には、同一を含む。以下、同じ。)になるように決められる。なおストッパ48の形状は、リングキャップ31の当接する箇所の形状に合わせて適宜決めればよい。
基台51は、円板体の下面からリング状のシール筒53が形成された形状であり、吐出弁71の入口となる弁孔52を円板部に備える。基台51は、キャップ本体41への取付後に外れないように、直径がキャップ本体41の筒部の内径よりも少し大きくなるように形成され、キャップ本体41の筒部に圧入される。
基台51の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、材料としては、ポリエチレンなどの合成樹脂材、金属、ガラス、炭素材、焼結材、木材等が例示され、これらの複合材や、蒸着、塗布、メッキ、金属箔等により表面を金属で被覆した材料等、用途、内容物等に応じて適宜選択した材料で形成することができる。例えば、基台51を通じて内容器11内に酸素が侵入しないようにするには、内容器11等と同様に、酸素遮断性、空気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材その他材料で基台51を形成すればよい。
弁孔52は、円板部に1箇所以上、シール筒53よりも内側(中心部寄り)に配置されるように穿設される。弁孔52の形状、大きさ及び数は、特定のものに限定されるものではなく、キャップ本体41の注出口42の大きさや、後述する吐出弁71の吐出口72の大きさ、内容物の種類(粘度)等に合わせて決められる。また後述する、基台51とフィルム61とを密着させる密着工程S2において、吸引手段を用いる場合には弁孔52の数を増やすことでフィルム61の吸引箇所が分散され、より確実にフィルム61に皺ができることを防止することができる。
シール筒53は、基台51の下面からリング状に形成されており、スパウト12の口部13にキャップ40を取付けたときに、スパウト12の口部13の内周面に密接して気密にシールする。シール筒53の形状は、特定の形状に限定されるものではない。
またシール筒53に代えて、基台51の下面にスパウト12の口部13の先端面に当接する凸状の突起(図示省略)等を形成してシールを行うようにしてもよく、基台51の下面とスパウト12の口部13の先端面とが密着して十分にシールを行うことが可能であれば、シール筒53等のシール手段を特に設けなくてもよい。
フィルム61は、薄膜状のフィルムであり、可撓性、柔軟性、伸縮性を有する薄膜フィルムが含まれる。フィルム61の厚さは、特に限定されるものではなく用途、内容物、材質等に応じて適宜選択して使用することができる。但し、フィルム61及び基台51の上面とキャップ本体41のシール手段45とのシール性の点からはフィルム61は薄い方が好ましい。この場合、フィルム61が吐出弁71の弁体としての機能を発揮し、キャップ本体41のシール手段45に密接する際に破損しないことが必要なことは言うまでもない。フィルム61の厚さの一例を示せば、内容物が醤油(一般的な醤油)のような比較的粘度の低い液体の場合、ポリエチレンフィルムで大凡20〜30μm程度である。但し、この数値に限定されるものではない。
フィルム61の材質としては、ポリエチレンなどの合成樹脂製フィルムや、合成樹脂製のストレッチフィルム、この他、可撓性及び/又は柔軟性を有する薄膜の金属製フィルム、炭素製フィルム、ガラス製フィルム等が例示されるが、フィルム61は、特定の材質に限定されるものではなく、用途、内容物等に応じて適宜選択し使用することができる。例えば、フィルム61を通じて内容器11内に酸素が侵入しないようにするには、内容器11等と同様に、酸素遮断性、空気遮断性に優れるプラスチック、複合材、積層材その他材料を使用すればよい。また酸素遮断性と水蒸気遮断性とが同時に要求される場合には、空気の出入りを防ぐ合成樹脂材と水分の蒸発による乾燥を防ぐ合成樹脂材との多層フィルム、その他前記酸素遮断性と水蒸気遮断性とに優れるプラスチック、複合材、積層材等を好適に用いることができる。但し、フィルム61は、薄膜状であるため、内容器11等に比較して気体を透過し易いので、この点を考慮して材質を選定する必要がある。
フィルム61は、基台51の上面と略同一の直径を有する弓形の部分円形状であり、基台51の上面に互いの円弧部分の外縁を合わせて重ねたときに、弁孔52を覆い、かつ後述する吐出口72となる直線状の端部がキャップ本体41のシール手段45よりも内側(中心部寄り)に位置するような大きさで形成されている。
なおフィルム61の形状や配置は、特定のものに限定されるものではなく、弁孔52を覆い、かつ弁孔52を開閉自在に基台51の上面とキャップ本体41のシール手段45とに挟持され、吐出口72がシール手段45よりも内側(中心部寄り)に位置する形状、配置であればよい。フィルム61としては、例えば、円形のフィルムに吐出口として吐出孔を設けたもの(図示省略)を用いてもよく、このときには、吐出孔と弁孔52とが重ならないようにフィルム61が配置される。また吐出口72を形成するフィルム61の直線状の端部は、例えば、曲線状やV字状、波状に形成されていてもよく、縦に切り込み等が入っていてもよい。またフィルム61は、円弧を有する形状に限定されるものではなく、外縁が基台51の上面の外縁に必ずしも一致していなくてもよい。但し、フィルム61の形状は、吐出弁71の吐出性能及びシール性能を考慮して決められるべきである。
次に本実施形態の注出容器1のキャップ40の製造方法について説明する。キャップ40の製造方法は、基台51を受台100に載置する載置工程S1、フィルム61を基台51の上面に重ねて密着させる密着工程S2、基台51をキャップ本体41に圧入する圧入工程S3からなる。
載置工程S1では、基台51を受台100に載置する。受台100には、例えば、基台51のシール筒53が嵌り込む円筒体を使用することができる。このような受台100を使用すると基台51を安定して固定することができる。また受台100及び/又は基台51には、基台51の周方向の位置決めを行うために、例えば、それぞれに凹凸を設けたり、基台51の弁孔52の位置を中心からずらし、受台100に弁孔52に挿入するピン(図示省略)を設けたりするなどの位置決め手段を付加してもよい。
密着工程S2では、基台51の上面に円弧部の外縁を合わせてフィルム61を重ねる。このときフィルム61を基台51の上面に密着させる密着手段(図示省略)を用いることで、吐出弁71のシール不良の原因となるフィルム61の位置ずれ、皺や破れの発生を防止する。
密着手段を用いた密着方法としては、例えば、真空ポンプ(図示省略)等の吸引手段を用いて受台100の内側を負圧とし、基台51の弁孔52から吸引するようにしてフィルム61を基台51の上面に密着させる方法、基台51の上面及び/又はフィルム61に水等の液体を付着させフィルム61を基台51の上面に重ねる、液体の表面張力によりフィルム61を基台51の上面に密着させる方法、基台51の上面及び/又はフィルム61にコロナ放電等の帯電手段により静電気を帯電させ、フィルム61を基台51の上面に密着させる方法などを用いることができる。
圧入工程S3では、基台51の上からキャップ本体41を被せるように押し込み、基台51及びフィルム61の上面がキャップ本体41のシール手段45に密接するまで圧入する。
キャップ本体41を圧入すると、シール手段45にフィルム61の円弧周縁部が固定されるとともに、シール手段45に接触しないフィルム61の直線状の端部において吐出弁71の出口となる吐出口72が形成される。またフィルム61において、シール手段45よりも内側に位置する部分が吐出弁71の弁体となり、基台51の上面と剥離自在に密着する。
なお圧入工程S3では、少なくともフィルム61がキャップ本体41のシール手段45に当接して固定されるまでキャップ本体41が圧入されていればよく、必ずしもシール手段45と基台51及びフィルム61の上面とのシール、及びシール手段45との接触部における基台51の上面とフィルム61とのシールが行われるまで密接していなくてもよい。この場合には、キャップ40がスパウト12に取付けられたときに、基台51がスパウト12の口部13により押し込まれることで、シール手段45と基台51及びフィルム61の上面とが密接し、シール手段45と基台51及びフィルム61の上面とのシール、及びシール手段45との接触部における基台51の上面とフィルム61とのシールが行われる。
内容物が液体の場合、シール手段45と基台51及びフィルム61の上面とのシール性、及びシール手段45との接触部における基台51とフィルム61とのシール性は、少なくとも液密であれば内容器11と外容器21との間の空間部20への内容物の漏出を防止することができる。内容器11への外気の侵入は、後述するように内容器11内の負圧による作用と、基台51の上面とフィルム61との隙間に介在する内容物の毛管吸引力とによる基台51の上面へのフィルム61の密着により防止される。なお内容物が気体の場合は、気密性が要求される。
上記の製造方法は、好ましい一例であって、キャップ40の製造方法は、特定の方法に限定されるものではない。ただしキャップ40の吐出弁71が正常に逆止機能を発揮するためには、少なくともキャップ40がスパウト12に取付けられたときに、フィルム61に皺や破れが発生することなくシール手段45と基台51及びフィルム61の上面とが密接し、シール手段45と基台51及びフィルム61の上面とのシール、及びシール手段45との接触部における基台51の上面とフィルム61とのシールが行われ、フィルム61の弁体部分が基台51の上面に剥離自在に密着する製造方法を用いるべきである。
なお本発明において、吐出弁71が形成されている状態とは、上記のように、キャップ本体41に基台51とフィルム61とを取付けた段階で、シール手段45と基台51及びフィルム61の上面とのシール、及びシール手段45との接触部における基台51の上面とフィルム61とのシールが行われ、吐出弁71が逆止機能を正常に発揮する状態に限定されず、キャップ40がスパウト12(容器本体に口部)に取付けられたときに、これらのシールが行われ、吐出弁71が逆止機能を正常に発揮する状態を含む。
注出容器1は、内容器11に内容物を充填し、内容器11を外容器21に収容し、スパウト12の上フランジ15に吸気弁体フィルム38を載置してリングキャップ31を外容器21に螺合し、その後、キャップ40をスパウト12に螺合させて製造される。なお注出容器1の製造方法は、これに限定されるものではなく、例えば、内容物の充填は、適宜、最適なタイミングで行えばよい。
なおキャップ40及びスパウト12には、一度、螺合させると容易に取外せないように互いに係止する係止爪(図示省略)を設けておいてもよい。キャップ40とスパウト12とを容易に取外せないようにすることで、使用中の取外しによる内容物の酸化や、第三者による異物の混入等を防止することができる。
また注出容器1は、内容物を注出し切った後に内容器11のみを内容物が充填された新しいものに詰め替えることで、外容器21、リングキャップ31、吸気弁体フィルム38、キャップ40を繰返し使用することができる。この場合、スパウト12の口部13に薄膜状の封止材(図示省略)を接着して口部13を封止しておき、キャップ40のシール筒53で封止材を破断して開封するようにしておくと、詰め替え時の内容物の酸化を防止することができる。
なお封止材等を用いずに詰め替え時の内容物の酸化を防止する方法としては、内容器11、リングキャップ31、吸気弁体フィルム38、及びキャップ40を組み付けた状態のものを外容器21に詰め替える方法を用いることもできる。この他、繰返し使用するもの及び詰め替えるものの選定は、用途等に合わせて適宜決めればよい。
次に内容物を醤油とし、注出容器1を酸化防止用の醤油差しとして使用する場合を例として、使用方法を例示する。キャップ40をスパウト12に取付けた後は、蓋体49を開き、注出容器1を上向きとしたまま外容器21を押圧して収縮させる。外容器21を収縮させると外容器21と内容器11との間の空間部20が加圧されて吸気弁75が閉じ、内容器11が加圧され収縮する。内容器11が収縮するとフィルム61が浮き上がって吐出弁71が開き、内容器11内に残存する空気又はガスが排出される。これにより内容器11内は醤油で満たされ、吐出弁71により空気の侵入が防止されるので、醤油が酸化することはない。
醤油を注出するときは、注出容器1を下向きに傾けて外容器21を押圧して収縮させると、内容器11が収縮し弁孔52から吐出弁71へ醤油が流れ込み、フィルム61が浮き上がって吐出弁71が開弁し、醤油が吐出口72から吐出されて注出口42から注がれる。
外容器21の収縮を止めて注出容器1を上向きに戻すと、内容器11内の負圧による作用と、基台51の上面とフィルム61との隙間に介在する醤油の毛管吸引力とによりフィルム61が基台51の上面に素早く密着して吐出弁71が閉弁される。このため閉弁後、内容器11内に空気が入り込むことはない。また外容器21の形状復元性により、外容器21と内容器11との間の空間部20が負圧となり、吸気弁75が開弁して外容器21と内容器11との間の空間部20に外気が流入し、外容器21が元の形状に戻る。
以上のように本実施形態の注出容器1のキャップ40は、基台51の上面にフィルム61を重ねて基台51をキャップ本体41に取付けて構成されているので、製造が容易である。このため本実施形態で用いた容器本体に限らず、例えば、市販されている容器本体に使用する際には、該容器本体の口部の形状に合わせてキャップ本体41の筒部の形状を変更すれば、そのままの構成で市販の容器本体を何ら改造することなく適用することができるため、利便性に優れる。
なお本実施形態の注出容器1では、キャップ40とスパウト12との連結に螺合を用いたが、これに限定されるものではなく、スナップフィット等を用いた嵌合や、圧入、接着等の方法でキャップ40とスパウト12との連結を行うことも可能である。外容器21とリングキャップ31との連結についても同様である。
またキャップ本体41と基台51との取付方法も、圧入に限定されるものではなく、例えば、後述する第4実施形態のキャップ101、第5実施形態のキャップ111のように、係止手段103を用いて係止させる方法や、螺合させる方法、接着等を用いることができる。
またスパウト12の口部13は、キャップ40のシール筒53によりシールされるので、図5に示すように、必ずしも基台51の下面に当接していなくてもよい。
図6は、本発明の第2実施形態の注出容器2の構成を示す斜視図である。図7は、図6のキャップ本体82の斜視図である。図8は、図6の基台83の斜視図である。図9は、図6の注出容器2の要部断面図である。図1及び図2に示す第1実施形態の注出容器1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお図9では、内容器11のフィルム体18を省略している。
本実施形態の注出容器2は、第1実施形態の注出容器1と基本的構成は同じであるが、フィルム61が吐出弁71の弁体と吸気弁75の弁体とを兼ねる。これに伴い注出容器2は、リングキャップ81、キャップ本体82、及び基台83の構造が第1実施形態の注出容器1のものと異なり、吸気弁体フィルム38を有しない。また本実施形態の注出容器2では、リングキャップ81とキャップ本体82とが連結されている。
リングキャップ81は、挿通口32の外縁部が隆起してキャップ本体82の下端部と連結する連結部91が形成されており、連結部91の内周面に後述するキャップ本体82の嵌合凸部94を嵌合させる嵌合溝92が形成されている。またリングキャップ81は、吸気路を有していない。但し、リングキャップ81に吸気路(図示省略)を設け、吸気路を開閉する吸気弁体フィルム(図示省略)を備える注出容器(図示省略)を構成することも可能である。なお本実施形態において、リングキャップ81が外容器用キャップに該当する。
キャップ本体82は、頂部の一部に穿設され吸気弁75の入口となる吸気孔93を備え、筒部外周面の下端部にリングキャップ81の嵌合溝92に嵌合する嵌合凸部94を備え、筒部内周面の一部に上下方向に亘って一定の幅で基台83の周方向の位置決め手段となる位置決め溝95を備える。位置決め溝95は、吸気孔93から外容器21と内容器11との間の空間部20に外気を導入する際の吸気路を兼ねる。さらに位置決め溝95の位置は、キャップ本体82の注出口42と基台83の弁孔52とが中心を挟んで互いに反対側に配置されるように決められていることが好ましい。
吸気孔93は、外容器21と内容器11との間の空間部20に外気を導入すべく、平面視においてシール手段45よりも外側に配置される。なお吸気孔93の形状や数は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、後述する第12実施形態のキャップ181のように複数箇所に設けられていてもよい。
基台83は、上面に段差96が形成されており、外周面にキャップ本体82の位置決め溝95に嵌り込む位置決め片97が形成されている。位置決め片97の形状は、特定の形状に限定されるものではないが、外容器21と内容器11との間の空間部20に外気を導入可能に、キャップ本体82の位置決め溝95を閉塞しない形状である必要がある。
本実施形態の注出容器2のキャップ80では、フィルム61を基台83の一段高くなっている上面に重ねると、フィルム61の周縁部が基台83に接することなく上下動自在に浮いた状態となる。本実施形態の注出容器2では、フィルム61において、基台83の一段高くなっている上面に接する部分が吐出弁71の弁体となる吐出弁体部62となり、基台83に接しない周縁部の一部が吸気弁75の弁体となる吸気弁体部63となる。なおフィルム61の基台83に接しない周縁部は、少なくともキャップ本体82の吸気孔93を開閉可能な吸気弁体部63があればよく、例えば、その他の部分が切り取られていてもよい。
フィルム61の形状や配置は、第1実施形態の注出容器1の場合と同様、特定のものに限定されるものではないが、弁孔52を覆い、かつ弁孔52を開閉自在に基台83の一段高くなっている上面とキャップ本体82のシール手段45とに挟持され、吐出口72がシール手段45よりも内側(中心部寄り)に位置する形状、配置であることに加え、吸気孔93を開閉可能な形状、配置とする必要がある。
フィルム61を重ねた基台83をキャップ本体82に圧入すると、フィルム61がキャップ本体82のシール手段45に押えられ第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同様、吐出弁71が形成されるとともに、フィルム61の吸気弁体部63がキャップ本体82の吸気孔93を開閉自在に覆い、吸気弁75が形成される。なお本実施形態の注出容器2のキャップ80の製造方法は、第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同様であるため説明を省略する。
キャップ80を内容器11のスパウト12の口部13に取付け、リングキャップ81に連結し、リングキャップ81に外容器21を取付けると、吸気孔93から外容器21と内容器11との間の空間部20への外気の流路が形成される。
以上のように、本実施形態の注出容器2では、フィルム61が吐出弁71及び吸気弁75の弁体を兼ねるので、吸気弁体フィルム38を使用する場合や、吸気弁75として他の逆止弁を使用する場合に比べて、材料コスト及び製造コストを低減することができる。またキャップ80に吐出弁71及び吸気弁75の両方を設けるので、例えば、容器本体として市販されている既存の容器等を用いる場合に、容器本体に吸気孔(吸気路)や吸気弁を新たに設ける必要がない。
なおリングキャップ81とキャップ本体82との連結方法は、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、ネジやスナップフィット等を用いた方法や接着等を採用してもよい。
また外容器21とリングキャップ81との連結方法、スパウト12とキャップ80との連結方法、キャップ本体82と基台83との取付方法についても、第1実施形態の注出容器1と同様、特定の方法に限定されるものではない。
キャップ本体82と基台83との位置決め方法も、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、後述する第7実施形態のキャップ131や第8実施形態のキャップ141で用いる方法等でもよい。
また本実施形態の注出容器2においても、第1実施形態の注出容器1と同様、内容物を注出し切った後には、内容器11のみ、又は内容器11と他の部材とを予め連結したものを外容器21に詰め替えて使用することができる。
図10は、本発明の第3実施形態の注出容器3の構成を示す図である。なお図10(a)は、本発明の第3実施形態の注出容器3の要部断面図であり、図10(b)は、図10(a)の基台86の斜視図である。なお図10(a)では、内容器11のフィルム体18を省略している。図6及び図9に示す第2実施形態の注出容器2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の注出容器3は、第2実施形態の注出容器2と基本的構成は同じであるが、基台86の形状が、キャップ85の製造時におけるフィルム61の皺の生成をより確実に防止可能な形状となっている。
基台86は、小径の弁孔87を3つ備え、第2実施形態の注出容器2の基台83の段差96に代えて、溝98を備える。基台86は、溝98を除いて上面全体が平坦に形成されている。
溝98は、基台86の上面周縁部の一部を凹状に形成したもので、フィルム61に被覆され、吸気弁75の開弁代となる。基台86は、上面にフィルム61が重ねられ、溝98がキャップ本体82の吸気孔93の真下に配置されるようにキャップ本体82に取付けられる。このとき溝98を覆っているフィルム61の一部が吸気弁体部63となり、吸気孔93を開閉する。なお後述する第7、第8実施形態のキャップ131、141の基台133、143のように溝98に代えて、切欠き136が設けられていてもよい。
本実施形態の注出容器3は、基台86の上面とフィルム61の円弧部との直径の大きさが略同一なので、第2実施形態の注出容器2の基台83のようにフィルム61の周縁部が基台83に接していない場合よりもフィルム61が基台86の上面に密着し易く、フィルム61に皺が生じ難い。但し、これは、第2実施形態の注出容器2においてフィルム61に皺が生じ易いということを意味するものではない。
さらに前述した密着工程S2において吸引手段を用いる場合、基台86に弁孔87が3つ設けられているので、フィルム61の吸引箇所が分散されフィルム61に皺が生じ難い。なお弁孔87の数は、3つに限定されるものではなく、2つ以上であれば1つの場合に比べてフィルム61の皺の生成をより確実に防止することができる。
本実施形態の注出容器3において、フィルム61は、円弧部の直径の大きさが基台86の上面の直径以下であれば、吸気弁体部63を除いてフィルム61の全体が基台86の上面に接するので、フィルム61が基台86の上面に密着し易くなり、フィルム61に皺が生じ難くなる。但し、フィルム61は、3つの弁孔87を覆い、かつ弁孔87を開閉自在に基台86の上面とキャップ本体82のシール手段45とに挟持され、吐出口72がシール手段45よりも内側(中心部寄り)に位置する形状、配置であることに加え、さらに溝98の一部を覆い吸気孔93を開閉可能な形状、配置とする必要がある。
後述する第10から第13実施形態のキャップ161、171、181、200においても、本実施形態の注出容器3の基台86のように、段差96に代えて溝98又は切欠き136を設けることでフィルム61の皺の生成をより確実に防止することができる。同様に、他の実施形態における弁孔52の数も、適宜、複数個、設けることができる。
図11は、本発明の第4実施形態のキャップ101の断面図である。図1及び図2に示す第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ101は、第1実施形態の注出容器1のキャップ40と基本的構成は同じであるが、キャップ本体102に基台51を係止させる係止手段103を備える。
キャップ本体102の筒部内周面には、シール手段45から基台51の厚み分、下がった位置に爪状の係止手段103が全周に亘って形成されている。係止手段103は、基台51をキャップ本体102に取付ける際に、基台51を誘い込むべく、上部の方へ徐々に肉厚になるように傾斜して形成されており、上端面104において基台51の下面と密接する。なお係止手段103は、全周に亘って連続的に形成されているものに限定されるものではなく、部分的に形成されていてもよい。
基台51をキャップ本体102に取付ける際には、基台51の外周面が係止手段103を乗り越えるまで押し込み、基台51の下面が係止手段103の上端面104に密接して係止する。このとき基台51及びフィルム61の上面がシール手段45にしっかりと密接してシールされるように基台51の厚みを考慮して係止手段103の形成位置を決めておくことが好ましいが、キャップ101を容器本体の口部に取付けたときに基台51が押し込まれることでシールが可能であれば、フィルム61が固定される程度でもよい。
また基台51の外周面が係止手段103を乗り越える際に、係止手段103とフィルム61とが接触してフィルム61に不均一に張力が加わり皺や破れが発生しないように、係止手段103及び基台51の上面周縁部の形状を決めておく必要がある。例えば、基台51の上面の縁に係止手段103の上端面104の厚み分、面取りを施し、面取りを施した後の基台51の上面と略同一の直径のフィルム61を重ねた基台51をキャップ本体102に取付けることで係止手段103とフィルム61との接触を回避することができる。
図12は、本発明の第5実施形態のキャップ111の断面図である。図1及び図2に示す第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ111は、第1実施形態の注出容器1のキャップ40と基本的構成は同じであるが、キャップ本体112及び基台113に互いに螺合する雌ネジ114及び雄ネジ115を備える。
キャップ本体112の筒部内周面に設けられる雌ネジ114は、基台113を螺合させた際に基台113及びフィルム61の上面がシール手段45にしっかりと密着してシールされるように配置される。
なお基台113を螺合させた後に基台113が外れないように、基台113及びキャップ本体112に互いに係止する爪(図示省略)を設けてもよく、基台113を螺合させた後に基台113及びキャップ本体112を部分的に接着してもよい。
図13は、本発明の第6実施形態のキャップ121の断面図である。図1及び図2に示す第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ121は、キャップ本体122の天井面43と基台123及びフィルム61との間に配置されるリング部材124を備える。
本実施形態のキャップ121は、キャップ本体122に容器本体の口部をシールするシール筒125を備え、シール筒125に圧入されるリング部材124を介在させた状態で基台123をシール筒125の内周面に圧入して構成されている。
リング部材124は、外径がキャップ本体122のシール筒125の内径と略同一であり、上面及び下面に全周に亘って形成された凸状のシール手段126、127を備え、上面のシール手段126がキャップ本体122の天井面43に密着するように、キャップ本体122のシール筒125に圧入される。リング部材124の材質は、基台123等と同様であるため説明を省略する。
なおリング部材124の上面及び下面がキャップ本体122の天井面43及び基台51及びフィルム61の上面に密接してシールを行うことが可能であれば、シール手段126、127を設けなくてもよい。またリング部材124としては、ガスケット等を用いることもできる。
基台123は、円板体であり、リング状のシール筒を備えていない。基台123は、リング部材124の下面のシール手段127に基台123及びフィルム61の上面が密接してシールされるように、リング部材124が圧入されたキャップ本体122のシール筒125に圧入される。
なお基台123には、シール筒が設けられていないが、キャップ121の製造時において、受台100に載置するために必要であればシール筒53様の載置手段(図示省略)を基台153に設けてもよい。また載置手段を設けることなく、例えば、弁孔52にピン(図示省略)等を挿入して基台123を載置させる受台(図示省略)等を用いて圧入するようにしてもよい。
本実施形態のキャップ121のようにリング部材124を用いることで、キャップ本体が押え面を有しない場合でも、吐出弁71の開弁代を確保することが可能である。本実施形態に記載した以外でも、例えば、第1実施形態の注出容器1のキャップ40において、押え面44を有しないキャップ本体(図示省略)を用いる場合、リング部材124を介して吐出弁71を形成することができる。
なおリング部材124のシール筒125への取付方法は、圧入に限定されるものではなく、前述した実施形態における基台のキャップ本体への取付方法と同様、係止、螺合、スナップフィット等を用いた嵌合、接着等でもよい。基台123のシール筒125への取付方法についても同様である。また基台123は、シール筒125ではなく、リング部材124に圧入、係止、螺合、嵌合、又は接着等で取付けることも可能である。
図14は、本発明の第7実施形態のキャップ131の構成を示す図である。なお図14(a)は、本発明の第7実施形態のキャップ131の断面図であり、図14(b)は、図14(a)の基台133の上面にフィルム61を重ねた状態を示す斜視図である。図6及び図9に示す第2実施形態の注出容器2のキャップ80と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ131は、第2実施形態の注出容器2のキャップ80と基本的構成は同じであるが、キャップ本体132と基台133との周方向の位置決め方法が異なる。
キャップ本体132には、押え面44の周縁部の一部が掘りこまれた形で位置決め溝134が形成されている。また基台133の上面には、周縁部の一部が隆起した形で位置決め溝134に嵌り込む位置決め片135が形成されている。なお基台133の上面には、段差96は設けられていない。
また基台133には、吸気孔93から導入される外気の流路となる切欠き136が中心を挟んで位置決め片135の反対側に設けられている。フィルム61において、切欠き136を覆う部分が吸気弁体部63となる。なお切欠き136に代えて、第3実施形態の注出容器3の基台86のように溝98が設けられていてもよい。
位置決め溝134、位置決め片135、及び切欠き136の位置関係は、吸気弁75が形成されるべく、切欠き136がキャップ本体132の吸気孔93の真下に並ぶように決められている。さらにキャップ本体132の注出口42と基台133の弁孔52とが中心を挟んで互いに反対側に配置されるように、それぞれの位置が決められていることが好ましい。
基台133をキャップ本体132に圧入する際には、位置決め片135が位置決め溝134に嵌り込むように圧入することで、基台133の周方向の位置決めが行われ、切欠き136がキャップ本体132の吸気孔93の真下に位置し、吸気弁75が形成される。
図15は、本発明の第8実施形態のキャップ141の構成を示す図である。なお図15(a)は、本発明の第8実施形態のキャップ141の断面図であり、図15(b)は、図15(a)の基台143の上面にフィルム61を重ねた状態を示す斜視図である。図14に示す第7実施形態のキャップ131と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ141は、第7実施形態のキャップ131と基本的構成は同じであるが、キャップ本体142と基台143との周方向の位置決め方法が異なる。
キャップ本体142には、天井面43の周縁部の一部に基台143の位置決め用の段差144が形成されており、さらに天井面43に位置決め孔145が2箇所、設けられている。
基台143の上面には、キャップ本体142の段差144に嵌り込む位置決め片146と、キャップ本体142の位置決め孔145に挿入される位置決めピン147とが設けられている。なお位置決め孔145及び位置決めピン147の形状、数は、特定の形状、数に限定されるものではない。
段差144、位置決め孔145、位置決め片146、位置決めピン147、及び切欠き136の位置関係は、第7実施形態のキャップ131と同様、吸気弁75が形成されるべく、切欠き136がキャップ本体142の吸気孔93の真下に並ぶように決められている。さらにキャップ本体142の注出口42と基台143の弁孔52とが中心を挟んで互いに反対側に配置されるように、それぞれの位置が決められていることが好ましい。
基台143をキャップ本体142に圧入する際には、位置決め片146が段差144に嵌り込むとともに、位置決めピン147が位置決め孔145に挿入されるように圧入することで、基台143の位置決めが行われ、切欠き136がキャップ本体142の吸気孔93の真下に位置し、吸気弁75が形成される。
なお本実施形態のキャップ141において、キャップ本体142及び基台143は、段差144及び位置決め片146のみを設けて周方向の位置決めを行うようにしてもよく、位置決め孔145及び位置決めピン147のみを設けて周方向の位置決めを行うようにしてもよい。
図16は、本発明の第9実施形態のキャップ151の断面図である。図1及び図2に示す第1実施形態の注出容器1のキャップ40と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ151は、第1実施形態の注出容器1のキャップ40と基本的構成は同じであるが、基台51のシール筒53に代えて、キャップ本体152に容器本体の口部をシールする凸状のシール手段155を備える。
キャップ本体152は、天井面43の周縁部に段差が2段形成されており、内側の段差の下面が基台153及びフィルム61の上面と密接してシールを行う凸状のシール手段45を備える押え面44、外側の段差の下面が容器本体の口部と密接してシールを行う凸状のシール手段155を備える押え面154となっている。
基台153は、円板体であり、リング状のシール筒を備えていない。基台153は、フィルム61を上面に重ねた状態で基台153及びフィルム61の上面がキャップ本体152の内側の押え面44のシール手段45に密接してシールされるように、キャップ本体152の外側の段差の内周面に圧入される。
なお基台153には、シール筒が設けられていないが、キャップ151の製造時において、受台100に載置するために必要であればシール筒53様の載置手段(図示省略)を基台153に設けてもよい。また載置手段を設けることなく、例えば、弁孔52にピン(図示省略)等を挿入して基台153を載置させる受台(図示省略)等を用いて圧入するようにしてもよい。
キャップ本体152が容器本体の口部に取付けられると、外側の押え面154のシール手段155が容器本体の口部の先端面に密接してシールを行う。本実施形態のキャップ151のように容器本体の口部のシールは、キャップ本体152で行うこともできる。また本実施形態のキャップ151のキャップ本体152の外側のシール手段155は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、第1実施形態の注出容器1の基台51のシール筒53をキャップ本体152に形成してもよい。また押え面154により容器本体の口部をシールすることが可能であれば、シール手段155を設けなくてもよい。
図17は、本発明の第10実施形態のキャップ161の構成を示す斜視図である。図18は、図17のキャップ161の断面図である。図6及び図9に示す第2実施形態の注出容器2のキャップ80と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ161は、第2実施形態の注出容器2のキャップ80と基本的構成は同じであるが、第2実施形態の注出容器2のフィルム61に代えて、一回り小さいフィルム163と、リング状の吸気弁体フィルム164とを備え、フィルム163が吐出弁71の弁体、吸気弁体フィルム164が吸気弁75の弁体となる。
フィルム163は、第2実施形態の注出容器2のフィルム61と同様、弓形の部分円形状であるが、円弧部分が基台83の一段高くなっている上面の直径と略同一の直径で形成され、該上面の外縁に沿って弁孔52を覆うように重ねられる。なおフィルム163の形状や配置は、第1実施形態の注出容器1の場合と同様、特定のものに限定されるものではなく、弁孔52を覆い、かつ弁孔52を開閉自在に基台83の一段高くなっている上面とキャップ本体82のシール手段45とに挟持され、吐出口72がシール手段45よりも内側(中心部寄り)に位置する形状、配置であればよい。フィルム163の材質は、第2実施形態の注出容器2のフィルム61と同様であるため説明を省略する。
吸気弁体フィルム164は、リング状であり、リングの幅がキャップ本体82の押え面44の幅と略同一の大きさで形成されており、キャップ本体83に取付けたときに吸気孔93を覆う部分が吸気弁体部165となる。なお吸気弁体フィルム164は、リング状のものに限定されるものではなく、基台83の一段高くなっている上面とキャップ本体82のシール手段45とに挟持され、吸気孔93を開閉可能であればよい。吸気弁体フィルム164の材質は、第2実施形態の注出容器2のフィルム61と同様であるため説明を省略する。
本実施形態のキャップ161は、基台83の一段高くなっている上面に、外縁に沿ってフィルム163を重ね、その上から吸気弁体フィルム164を基台83と中心を合わせて重ね、基台83をキャップ本体82に圧入し、フィルム163及び吸気弁体フィルム164をキャップ本体162のシール手段45に密接させて挟持し、吐出弁71及び吸気弁75を形成する。なお吐出弁71及び吸気弁75の開閉性能を確保可能であればフィルム163、吸気弁体フィルム164を重ねる順番は、逆でもよい。
本実施形態のキャップ161を製造する際には、圧入工程S3における吸気弁体フィルム164の位置ずれを防止すべく、密着工程S2において吸気弁体フィルム164も密着手段により基台83及びフィルム163の上面に密着させておくことが好ましい。なお製造方法は、これに限定されるものではなく、例えば、吸気弁体フィルム164の一部がキャップ本体82又は基台83に予め接着されていてもよい。
本実施形態のキャップ161のように、キャップ本体に吸気孔93が設けられている場合、例えば、第2、第3、第13実施形態の注出容器2、3、4のキャップ80、85、200、第7、第8、第12実施形態のキャップ131、141、181において、吐出弁71の弁体となるフィルムと吸気弁72の弁体となる吸気弁体フィルムとをそれぞれ1つずつ用いることも可能である。
図19は、本発明の第11実施形態のキャップ171の断面図である。図17及び図18に示す第10実施形態のキャップ161と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ171は、第10実施形態のキャップ161と基本的構成は同じであるが、吸気弁体フィルム174の形状及び取付要領が異なる。
キャップ本体172は、吸気孔93の近傍の筒部内周面に吸気弁体フィルム174を支持する支持片175を備える。支持片175は、支持片175の上面とキャップ本体172の押え面44との間に吸気弁体フィルム174を取付け可能に配置される。
吸気弁体フィルム174は、略矩形形状であり、支持片175と押え面44との隙間に取付けた状態で吸気孔93を開閉自在な大きさで形成されている。なお吸気弁体フィルム174の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば円形等でもよい。
また吸気弁体フィルム174は、支持片175と押え面44との隙間に取付け易いように、多少の剛性を有していてもよい。但し、吸気弁体フィルム174が剛性を有する場合、少なくとも吸気孔93を開閉可能な弾性又は可撓性を有している必要がある。
なお吸気弁体フィルム174の取付方法は、支持片175を用いる方法に限定されるものではなく、例えば、吸気孔93を開閉自在にキャップ本体171の吸気孔93の近傍の押え面44に吸気弁体フィルム174の一部を接着して取付けてもよい。
本実施形態のキャップ171のように、キャップ本体に吸気孔93が設けられている場合、例えば、第2、第3、第13実施形態の注出容器2、3、4のキャップ80、85、200、第7、第8、第12実施形態のキャップ131、141、181において、吐出弁71の弁体となるフィルムと吸気弁72の弁体となる吸気弁体フィルムとをそれぞれ1つずつ備え、吸気弁体フィルムを支持片175等で支持するように構成することも可能である。
図20は、本発明の第12実施形態のキャップ181の構成を示す斜視図である。図21は、図20のキャップ本体182の下から見た斜視図である。図6及び図9に示す第2実施形態の注出容器2のキャップ80と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態のキャップ181は、吸気孔93、位置決め溝95をそれぞれ2箇所に備え、これに対応する位置決め片97を2組、備える。
キャップ本体182は、吸気孔93を2箇所に備え、各吸気孔93が配置された半径方向の延長となる筒部内周面に位置決め溝95を備える。
基台183には、位置決め溝95の配置に合わせて位置決め片97がキャップ本体182の外周面に2組、形成されている。
位置決め溝95及び位置決め片97の形成要領は、第2実施形態の注出容器2のキャップ80と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態のキャップ181のように、吸気孔93の数及び配置は、特定のものに限定されるものではなく、少なくとも内容器11及び外容器21との間の空間部20に外気を導入可能であればよい。
また吸気孔93を複数箇所に備える場合には、第11実施形態のキャップ171で用いた吸気弁体フィルム174を各吸気孔93に取付け、各吸気孔93において互いに独立した吸気弁75を形成することも可能である。
図22は、本発明の第13実施形態の注出容器4の構成を示す斜視図である。図6及び図9に示す第2実施形態の注出容器2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。なお図22では、内容器11のフィルム体18を省略している。
本実施形態の注出容器4は、第2実施形態の注出容器2と基本的構成は同じであるが、キャップ200を構成するキャップ本体201の注出口202に、内容物を霧状にして噴霧するスプレーノズル203を備える。
キャップ本体201は、頂部に小径の円筒部205が形成されており、円筒部205の先端近傍に水平方向に開口した注出口202を備える。注出口202には、スプレーノズル203が取付けられている。
スプレーノズル203は、特定のものに限定されるものではなく、噴霧させる内容物や噴霧条件等によって公知のスプレーノズルを適宜、選定して用いることができる。またスプレーノズル203の取付方法は、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、圧入、螺合、接着等の方法を適宜、採用することができる。
スプレーノズル203の材質も、特定の材質に限定されるものではなく、キャップ本体201等と同様、材料としては、ポリエチレンなどの合成樹脂材、金属、ガラス、炭素材、焼結材、木材等が例示され、これらの複合材や、蒸着、塗布、メッキ、金属箔等により表面を金属で被覆した材料等、用途、内容物等に応じて適宜選択した材料を用いることができる。
本実施形態の注出容器4では、外容器21を収縮させると内容物が吐出口72から吐出され、スプレーノズル203から噴霧される。なお円筒部205を有するキャップ本体201に限らず、例えば、円筒部203を有しないキャップ本体41、82、102、112、122、132、142、152、172、182の注出口42にスプレーノズル203を取付けて使用することも可能であり、これ以外の形状のキャップ本体(図示省略)の注出口にスプレーノズル203を取付けて使用することも可能である。
以上、第1から第13実施形態の注出容器1、2、3、4、及びキャップ40、80、85、101、111、121、131、141、151、161、171、181、200を用いて、本発明のキャップ、該キャップを備える注出容器及び該キャップの製造方法を説明したが、本発明のキャップ、該キャップを備える注出容器及び該キャップの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。
基台には、主に下面にシール筒を有する円板体を用いたが、これに限定されるものではなく、基台の上面及び下面には、凹凸等が設けられていてもよい。また基台の上面は、平坦である必要はなく、キャップ本体のシール手段45と気密に接することが可能であれば凹凸等が設けられていてもよい。また基台、フィルム、キャップ本体、リング部材は、平面視において円形に限定されるものではなく、例えば、矩形等の多角形でもよい。
基台をキャップ本体に取付けたときに、フィルムに均一に張力が加わる構造とすることで、フィルムと基台の上面との密着性を高め、吐出弁71のシール性能を高めることもできる。例えば、基台の上面をドーム状に形成すると、フィルムに均一に張力を加えやすくなり、かつ張力がフィルムを基台に密着させる方向にも働くので、吐出弁71のシール性能が向上し、好ましい。このような構造については、例えば、本件出願人が出願した特願2013−100316号(日本国特許庁)に記載の図4、図6、図7に示される注出キャップを参考にすることができる。
基台の弁座には、例えば、本件出願人が出願した国際出願番号PCT/JP2013/83871に記載の図31及び図32に示される逆止弁ユニットのように、毛管吸引力を確実に働かせるための葉脈状の溝や全幅に亘って設けられる溝などが形成されていてもよい。このような溝を設けることで吐出弁71のシール性能を向上させることができる。なお溝の深さは、液体が常に滞留する深さで、かつ液体の入換えが円滑に行われる深さに適宜決められる。溝が深すぎると液体の入換えが円滑に行われなくなるため必要以上に深くすべきではない。
また基台の弁座に設けられる溝の形状は、特定の形状に限定されるものではなく、例えば丸印や×印等の溝を設けてもよい。また溝ではなく、表面を荒らす、又は表面に小さな凹凸を設けることで同様の効果を得ることもできる。
キャップ本体への基台の取付方法は、圧入、係止、螺合に限定されるものではなく、例えば、基台の上面とキャップ本体の押え面とを振動溶着又は超音波溶着等を用いて接着してもよい。少なくとも、フィルムに皺や破れが発生せず、フィルムが弁孔を開閉自在に基台の上面に密着するような方法であれば製造コスト等を考慮して適宜、最適な方法を採用すればよい。
また本発明において、吐出弁(及び吸気弁)が形成されている状態とは、基台とフィルムとをキャップ本体に取付けたときに、基台及びフィルムの上面とキャップ本体(シール手段)との接触部のシール、及び該接触部における基台の上面とフィルムとのシールが行われ、吐出弁(及び吸気弁)が逆止機能を正常に発揮する状態に限定されず、少なくともキャップを容器本体の口部に取付けたときに、これらのシールが行われ、吐出弁(及び吸気弁)が逆止機能を正常に発揮する状態を含む。
吸気弁75の気密性は、内容物の排出が可能な程度に保たれていればよく、例えば、注出容器2の転倒時などにおいて外容器21が不意に加圧され内容物が漏出してしまうことや、熱膨張により空間部20の空気が膨張して内容器11が加圧され内容物が漏出してしまうことを防止すべく、吸気弁75やリングキャップの雌ネジ37と外容器21の雄ネジ23との隙間から意図的に多少、空気が漏れるようにしてもよい。
また吸気弁75は、フィルムを用いた逆止弁に限定されるものではなく、例えば、ボールや可動板部材等を用いた公知の逆止弁(図示省略)を取付けて構成することも可能である。さらに吸気弁75に代えて、空気を流通させる、孔や隙間等のリーク手段(図示省略)を設けてもよい。
リーク手段は、外容器21を収縮させたときの空間部20からの空気の漏出量が、内容器11からの内容物の排出が可能な程度に制限されるように設けられる。なお内容物の注出時には、リーク手段を指等で塞いで空間部20からの空気の漏出を妨げるようにしてもよい。外容器21の形状復元時には、リーク手段から空間部20に外気が導入される。
第1実施形態の注出容器1では、吸気路33は、リングキャップ31に設けられているが、これに限定されるものではなく、吸気路33及び吸気弁75が外容器21の一部に設けられていてもよい。またこのとき吸気路33及び吸気弁75に代えて、外容器21に上述したリーク手段が設けられていてもよい。
容器本体は、第1から第3及び第13実施形態の注出容器1、2、3、4で用いた二重容器に限定されるものではなく、例えば、内容器が外容器に対して剥離可能に積層して形成されたデラミボトル(積層剥離型容器)等を用いてもよい。
また容器本体は、二重容器に限定されるものではなく、例えば、プラスチックボトル、紙製液体容器、一般に市販されている袋容器等、内容物の排出に伴いながら収縮可能な容器本体を適宜選択して用いることができる。なお容器本体に二重容器を用いない場合は、吸気弁75は不要であり、吐出弁71のみが形成されたキャップを好適に用いることができる。
本発明のキャップ及び注出容器の材質は、用途、収容する内容物に応じて適宜選択して使用可能なことは既に記載した通りであるが、本発明のキャップ及び注出容器の形態が要旨を変更しない範囲で変更され、本発明のキャップ及び注出容器に他の部品が付加されたような場合でも、その部分の材質については、用途、収容する内容物に応じて適宜選択して使用すればよい。例えば、注出容器において収容する液体が酸化することを防止するには、液体と接する全ての部材(含む部品)、あるいは主要部材を酸素遮断性に優れる材質とすればよい。なお、使用する材料は、所定の性能を満たせば安価で入手し易いことが好ましいことは改めて言うまでもない。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。