JP6178453B1 - シート装着方法、及び、コンクリート構造物の製造方法 - Google Patents

シート装着方法、及び、コンクリート構造物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】養生シートを型枠に貼り付ける際、簡易な手段により、貼付け位置の調整や皺の解消等の微調整を行うことができるシート装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法を提供する。【解決手段】コンクリート構造物の製造方法に用いられるシート装着方法は、養生シート20をコンクリート打設用の型枠10に装着するための方法であり、型枠10の内面12側に養生シート20を配置する配置工程と、型枠10の内面12側に配置された養生シート20をコロナ放電処理により帯電させ、型枠10に仮固定する仮固定工程と、型枠10に仮固定された養生シート20の型枠10上での位置を調整すると共に養生シート20の皺を解消させて養生シート20を型枠10に密着させる密着工程と、養生シート20の端部を両面粘着テープにより型枠10に本固定する本固定工程と、を備えている。【選択図】図4

Description

本発明は、シート装着方法、及び、当該装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法に関する。
コンクリート構造物を構築する新たな工法として、型枠の内面に養生シートを貼り付けた状態でコンクリートの打設を行い、型枠を脱型する際、養生シートをコンクリート表面に残置してそのまま覆いコンクリートを養生する工法が行われるようになってきている(例えば特許文献1参照)。このようなコンクリート構造物の製造方法では、コンクリートを打設する前に型枠に養生シートを貼り付けておく必要があるが、このような貼付けは、例えば養生シートに粘着剤等を塗布して行われている。
特許第5688429号公報 特開平5−39666号公報
しかしながら、養生シートを粘着剤により型枠に貼り付ける場合、養生シートの全面若しくは養生シートの比較的広い領域に対して粘着剤を塗布する必要があり、その作業に手間がかかったり、そのためのコストが多くかかってしまうという問題があった。また、厚みが薄く表面積が大きい養生シートを型枠に貼り付けようとした場合、その取扱いがやや困難なことから、養生シートを型枠の所定の貼付位置に対してずれて貼り付けてしまったり、若しくは、貼付けの際に養生シートに皺を発生させてしまったりし、その貼り直しが必要になる虞もあった。このような貼り直しを行うと、その分、手間がかかるばかりではなく、養生シートに塗布した粘着剤の粘着力が低下して、貼付けが上手くいかなくなるといった問題もあった。
本発明は、上述した課題を解決するために為されたものであり、養生シート等のシートを型枠に貼り付ける際に、簡易な手段により、貼付け位置の調整や皺の解消等の微調整を行うことができるシート装着方法、及び、当該シート装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、その一側面として、コンクリート製造用のシートをコンクリート打設用の型枠に装着するためのシート装着方法に関する。このシート装着方法は、型枠の一方の面側にシートを配置する配置工程と、型枠の一方の面側に配置されたシートをコロナ放電処理により帯電させ、型枠に仮固定する仮固定工程と、型枠に仮固定されたシートの型枠上での位置を調整すると共にシートの皺を解消させてシートを型枠に密着させる密着工程と、シートの少なくとも一部を固定手段により型枠に本固定する本固定工程と、を備えている。
このシート装着方法では、シートを型枠に本固定する前に、コロナ放電処理によりシートを帯電させてシートを型枠に仮固定し、仮固定されたシートの位置調整や皺の解消といった微調整を予め行うようになっている。このように、コロナ放電処理という簡易な手段を用いて仮固定を行ってから位置調整等を行って本固定を行うため、養生シート等のシートを型枠に貼り付ける際に、簡易な手段により、貼付け位置の調整や皺の解消等の微調整を行うことが可能となる。なお、ここでいう「シート」には、少なくともコンクリート養生用の養生シートが含まれるが、これに限定されるわけではなく、コンクリート製造用のシートであればよく、例えば、打設されたコンクリートから気泡を除去するための透水シートなども含まれ得る。また、ここでいう「型枠」には、少なくとも鋼製型枠が含まれるが、これに限定されるわけではなく、帯電されたシートが付着できるような型枠、例えば、所定の塗料等を表面に塗布した木製型枠等であってもよい。
上記のシート装着方法において、本固定工程では、固定手段である両面粘着テープをシートの端部と型枠とに跨るように貼り付け、シートを型枠に対して本固定するようにしてもよい。この場合、型枠に仮固定されて微調整が施されたシートを更に移動等させることなく、そのまま本固定を行うことができるので、シートの更なるずれや皺が発生することもなく、また手間が軽減される。なお、このように貼り付けられた両面粘着テープであれば、このシート装着方法をコンクリート構造物の製造方法に適用した場合、この両面粘着テープにより、上述したシート(養生シート)を、打設されたコンクリートの表面に対してしっかりと貼り付けることができ、型枠脱型後、かかるシートをそのままコンクリート表面に残置させやすい。
また、上記のシート装着方法において、本固定工程では、シートの端部背面と型枠との間に位置する固定手段である両面粘着テープによりシートと型枠とを貼り付け、シートを型枠に対して本固定するようにしてもよい。この場合において、両面粘着テープがシートの端部から外側に露出しないように両面粘着テープをシートの端部背面と型枠との間に貼り付けるようにしてもよく、この方法によれば、粘着テープの露出が望まれない用途に好適に用いることが可能となる。一方、上記の場合において、両面粘着テープがシートの端部から露出するようにし、当該露出した部分により、上述したシート(例えば養生シート)を、打設されたコンクリートの表面に対してしっかりと貼り付けるようにしてもよく、この方法によれば、型枠脱型後、かかるシートをそのままコンクリート表面に残置させることができる。
上記のシート装着方法において、固定手段は、型枠側の粘着力よりもコンクリート打設側又はシート側の粘着力の方が強いことが好ましい。この場合、シートを剥したりする際に、コンクリート側又はシート側に固定手段が付着していくことになり、型枠に粘着テープ等の固定手段が残ることがなくなり、転用性が高い鋼製型枠を直ぐに他の場所で使用することが可能となる。
また、本発明は、別の側面として、コンクリート構造物の製造方法に関する。このコンクリート構造物の製造方法は、上述した何れかのシート装着方法により、シートである養生シートを型枠に装着固定すると共に、型枠を所定の位置に設置する設置工程と、型枠の内面側に養生シートを配置した状態でコンクリートの打設を行う打設工程と、コンクリートの打設後に型枠を脱型する脱型工程と、を備えている。この場合、養生シートが皺なく且つ型枠の所定の位置に確実に貼り付けられることになるため、打設されたコンクリートに皺が転写されることもなく、また、養生シートが剥がれることなくコンクリートを打設することが可能となり、表面が緻密且つ綺麗なコンクリート構造物を得ることが可能となる。なお、上記コンクリート構造物の製造方法は、脱型工程の後に養生シートをコンクリートの表面に残置させ、コンクリートを所定期間養生する養生工程を更に備えていることが好ましい。この場合、養生シートを、コンクリートの打設から養生まで一貫して使用することになり、より耐久性の高いコンクリート構造物を製造することが可能となる。
本発明によれば、養生シート等のシートを型枠に貼り付ける際に、簡易な手段により、貼付け位置の調整や皺の解消等の微調整を行うことができるシート装着方法、及び、当該シート装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示すフローチャートである。 図2は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示す断面図である。 図3は、図1に示す設置工程におけるシート装着方法の概要を示すフローチャートである。 図4は、図3に示す仮固定工程において養生シートの型枠への仮固定を説明するための図である。 図5は、図3に示す仮固定工程〜本固定工程において養生シートの型枠への装着を説明するための図である。 図6は、図5に示す装着方法の別の例を示す図である。 図7は、図6に示す装着方法の別の例を示す図である。 図8は、本製造方法に用いられる養生シートにおいて、その表面の水への接触角を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るシート装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。なお、以下では、養生シートを例にとって説明するが、後述するように本発明に係るシート装着方法は、他のシートの型枠への装着に用いてももちろんよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示すフローチャートであり、図2は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法は、コンクリート打設用の型枠、養生シート(シート)及び両面粘着テープを準備する準備工程(ステップS1)、型枠を設置する設置工程(ステップS2)、型枠の内面に養生シートを貼り付けた(配置)した状態でコンクリートの打設を行う打設工程(ステップS3)、コンクリートの打設後に型枠を脱型する脱型工程(ステップS4)、及び、脱型工程の後に養生シートを粘着テープによりコンクリート表面に残置させ、コンクリートを所定期間養生する養生工程(ステップS5)を含む。
ステップS1の準備工程では、まず、図2の(a)に示すように、コンクリート構造物を製造する際に用いる、型枠10、養生シート20、及び、両面粘着テープ30を準備する。なお、一般的なコンクリート構造物を製造する際、通常は多数の型枠や養生シートを用いるが、本実施形態では説明を容易にするため、1組の型枠10及び養生シート20を用いた場合を例にとって説明する。但し、2組以上の型枠10及び養生シート20を用いた場合でも同様である。本実施形態に用いられる養生シート20は、例えば平面視矩形形状のシートで型枠10の表面(内面12)と略同じ広さを有しており、0.02mm〜2.0mm程度の厚みを有する。養生シート20としては、熱可塑性樹脂シートを用いることが好ましく、ここで用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。なお、養生シート20としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、エチレンープロピレン共重合体又はポリプロピレンとエチレンープロピレンゴムの溶融混合物又は重合反応物であり、例えば、株式会社プライムポリマー製「プライムTPO(登録商標)」、日本ポリプロ株式会社製「ニューコン(登録商標)」、サンアロマー株式会社製「キャタロイ」、三菱化学社製「ゼラス(登録商標)」等が挙げられる。
このような準備工程では、養生シート20を型枠10の内面12(型枠10におけるコンクリート打設側の面)側に配置し、後述する帯電ガンなどの静電気発生装置により養生シート20に対してコロナ放電を行い、養生シート20を帯電させる(図4参照)。そして、帯電した養生シート20を静電気により型枠10に仮固定し、シート位置の調整やシートの皺の解消等を行い、その後、両面粘着テープ30(固定手段)により、型枠10に本固定する。この際、養生シート20の外縁の4辺に沿って両面粘着テープ30を養生シート20に貼り付けることが好ましい。なお、養生シート20の一方の内面22が養生シート20におけるコンクリート打設側の面となる。上述したシート装着方法の詳細については後述する。
型枠10、養生シート20及び両面粘着テープ30の設置準備が終了すると、図2の(b)に示すように、ステップS2の型枠の設置工程に進み、養生シート20及び両面粘着テープ30が貼り付けられた型枠10を所定の箇所に設置する。なお、このように養生シート20及び両面粘着テープ30を型枠10の内面12側に装着した後に型枠10の設置を行ってもよいし、逆に、型枠10を所定の位置に設置した後に、上述したのと同様に、養生シート20及び両面粘着テープ30を型枠10の内面12側に装着するようにしてもよい。
続いて、ステップS3の打設工程に進み、図2の(c)に示すように、型枠10の内面12に養生シート20が貼り付けられ、更に養生シート20の内面22の外縁に沿うように両面粘着テープ30が貼り付けられた状態でコンクリートCの打設を行う。その後、コンクリートの締固めが終了すると、型枠10をはめたまま、コンクリートCの養生を例えば3日〜28日程度行い、コンクリートの水和反応を促進させる。コンクリートCの養生が完了するまでそのままの状態を維持する。なお、図2の(c)及び(d)では、説明を容易にするため、両面粘着テープ30の記載を省略している。
続いて、打設工程でのコンクリートの打設及びその養生が完了したら、ステップS4の型枠を脱型する脱型工程に進み、図2の(d)に示すように、硬化したコンクリートCの表面を養生シート20が覆うように残置したまま型枠10を脱型し、コンクリートCから引き離す。このとき、両面粘着テープ30が型枠10と接着している粘着力よりも両面粘着テープ30が養生シート20と接着している粘着力の方が強くなるようにし、しかも、両面粘着テープ30が型枠10と接着している粘着力よりも両面粘着テープ30がコンクリートCと接着している粘着力の方が強くなるようにして、型枠10を脱型した際、両面粘着テープ30が養生シート20及びコンクリートC側に残るようにしてもよい。このようにすれば、両面粘着テープ30により養生シート20を容易且つ確実にコンクリートCに残置させることができる。
続いて、型枠10を脱型した後、ステップS5の養生工程に進み、コンクリートCの貼付面に残置された養生シート20を用いて、コンクリートCを所定期間養生する。養生シート20による養生は、型枠10の脱型後28日以上養生を続けてもよいし、型枠10の脱型後91日以上養生を続けてもよい。更に、コンクリート構造物の引き渡しに至るまで(例えば脱型後1年以上)養生を続けてももちろんよい。このような長期の養生を続けることにより、コンクリートCの強度や耐久性を飛躍的に高めて、その品質を向上することができる。所定期間の養生が終了すると、図2の(e)に示すように、養生シート20を両面粘着テープ30と共にコンクリート構造物CSから取り外し、これにより、コンクリート構造物CSが完成する。
ここで、図3〜図5を参照して、設置工程S2において、養生シート20を型枠10に装着するシート装着方法についてより詳細に説明する。図3は、図1に示す設置工程におけるシート装着方法の概要を示すフローチャートである。図4は、図3に示す仮固定工程において養生シートの型枠への仮固定を説明するための模式図である。図5は、図3に示す仮固定工程〜本固定工程において養生シートの型枠への装着を説明するための図である。
図3に示すように、本実施形態に係るシート装着方法は、型枠10の一方の面側に養生シート20を配置する配置工程(ステップS21)、型枠10の一方の面側に配置された養生シート20をコロナ放電処理により帯電させ、養生シート20を型枠10に仮固定する仮固定工程(ステップS22)、型枠10に仮固定された養生シート20の型枠10上での位置を調整すると共に養生シート20の皺を解消させて養生シート20を型枠10に密着させる密着工程(ステップS23)、及び、養生シート20の端部を両面粘着テープ30(固定手段)により型枠10に本固定する本固定工程(ステップS24)、を備えている。
まず、図4に示すように、ステップS21の配置工程では、型枠10の内面12側に養生シート20を配置する。そして、このように配置された養生シート20に対して、ステップS22の仮固定工程では、電池式帯電ガン40によりコロナ放電を行い、養生シート20を帯電させる。具体的には、まず、電池式帯電ガン40をアースに接続し、帯電対象である養生シート20に電池式帯電ガン40の先端を向け、引き金を引く。これにより、電池式帯電ガン40の先端からマイナスイオンが発生し、絶縁体である養生シート20が帯電させられる。帯電した養生シート20は、被装着対象である鋼性の型枠10に付着させられる。以上により、養生シート20が型枠10に仮固定される。なお、ここで用いる型枠10は、鋼製型枠であることが好ましいが、これに限られるわけではなく、帯電した養生シート20が付着できるようなものであればよく、所定の塗料等を塗布した木製型枠であってもよい。また、電池式帯電ガン40としては、例えば株式会社グリーンテクノ製の「電池式帯電ガンGC25B」を用いることができるが、他の帯電装置でもよい。電池式である帯電ガンであれば、持ち運びができ、帯電処理を比較的容易に実行することができる。
次に、ステップS22による仮固定がされた養生シート20が、型枠10の所定の位置に貼り付けられているか否かを確認して、その位置を調整すると共に、養生シート20に皺が発生していないかを確認し、皺を解消する作業を行って、養生シート20を型枠10に密着させる。このステップS23による密着工程の際、養生シート20が既に型枠10に仮固定されているため、上述した各種のシート調整作業を容易に行うことが可能となり、その結果として、作業に従事する人員を減らしたりまたは作業時間を短縮したりすることも可能である。
次に、ステップS23による密着工程が終了すると、図5に示すように、養生シート20の端部20aと型枠10とに跨るように両面粘着テープ30を貼り付けて、養生シート20を型枠10に本固定する(ステップS24)。このような両面粘着テープ30による本固定は、養生シート20の4辺において実施されることが好ましい。以上の本固定により、この後の工程において養生シート20に対して皺が発生してしまうといったことが抑制され、型枠10へ確実に貼り付けられる。そして、このように適切に貼り付けられた養生シート20を用いて、その後の打設工程(ステップS3)等が実施される。
以上、本実施形態に係るシート装着方法を用いたコンクリート構造物の製造方法によれば、養生シート20を型枠10に本固定する前に、コロナ放電処理により養生シート20を帯電させて養生シート20を型枠10に仮固定し、仮固定された養生シート20の位置調整や皺の解消といった微調整を行うようになっている。このように、コロナ放電処理という簡易な手段を用いて仮固定を行ってから位置調整等を行って本固定を行うため、養生シート20を型枠10に貼り付ける際に、簡易な手段により、貼付け位置の調整や皺の解消等の微調整を行うことが可能となる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法によれば、養生シート20が皺なく且つ型枠10の所定の位置に確実に貼り付けられることになるため、打設されたコンクリートCに皺が転写されることもなく、また、養生シート20が剥がれることなくコンクリートCを打設することが可能となり、表面が緻密且つ綺麗なコンクリート構造物CSを得ることが可能となる。なお、本実施形態に係る製造方法は、脱型工程の後に養生シート20をコンクリートCの表面に残置させ、コンクリートCを所定期間養生する養生工程を更に備えている。このため、養生シート20を、コンクリートCの打設から養生まで一貫して使用することになり、より耐久性の高いコンクリート構造物を製造することが可能となる。
また、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法によれば、本固定工程において、固定手段である両面粘着テープ30を養生シート20の端部20aと型枠10とに跨るように貼り付け、養生シート20を型枠10に対して本固定させている。このため、型枠10に仮固定されて微調整が施された養生シート20を更に移動等させることなく、そのまま本固定を行うことができるので、養生シート20の更なるずれが発生することもなく、また手間が軽減される。なお、このように貼り付けられた両面粘着テープ30であれば、養生シート20を、打設されたコンクリートCの表面に対してしっかりと貼り付けることができるので、型枠10の脱型後、養生シート20をそのままコンクリートCの表面に残置させやすくなる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、上記実施形態では、ステップS24における本固定工程等のシート装着方法は、図5に示す例に限られず、例えば図6に示すような方法によって行ってもよい。図6に示す装着方法では、養生シート20の端部20aの背面側に予め両面粘着テープ30を貼り付けておく(テープ外側には剥離紙30aが取り付けられている)。そして、両面粘着テープ30が貼り付けられた養生シート20に対して、上述したコロナ放電処理(仮固定工程)や位置調整等(密着工程)を行い、その後、両面粘着テープ30の外側の剥離紙30aを剥して型枠10に貼り付けて養生シート20を本固定する。この場合、両面粘着テープ30が型枠10や養生シート20の表側に露出しないため、そのような露出が望まれない用途に好適に用いることが可能となる。この場合、養生シート20をコンクリート表面に残置させずに、型枠10と共に脱型することもできる。他方、図7に示すように、両面粘着テープ30を養生シート20の端部20aから外側に突出して露出させるように配置することもできる。この場合、養生シート20の端部20aから突出した両面粘着テープ30の粘着層がコンクリート側に露出した状態になるので、養生シート20をそのままコンクリートCの表面に残置させることもできる。
また、上記実施形態では、コンクリートの養生シートを型枠に貼り付ける場合に本実施形態に係るシート装着方法を適用する例について説明したが、本発明に係るシート装着方法は、これに限られず、例えば、コンクリート構造物の製造に用いられる他のシート、例えば、気泡除去シート(透水・剥離シート)などを型枠に取り付ける際にも適用することが可能である。この場合における工程は、上述したステップS21からS24における各工程と略同様であり、説明を省略する。
また、例えば、上記実施形態における養生シート20として、上記では特に限定していないが、養生シート20のコンクリートC側の接触面の水との接触角が50度以上であるものを採用することが好ましい。具体的には、養生シート20の接触面の水との接触角θが69度以上であることが好ましく、接触角θが80度以上であることが更に好ましく、接触角θが90度以上であることがより一層好ましい。ここで、「接触角θ」とは、図8の(a)に示されるように、液滴の接線と固体表面(養生シート20の表面)とのなす角度であり、以下の式(1)で示される。

γ:固体の表面張力
γ:液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面張力
そして、「接触角θ」は、例えば、θ/2法で測定することができる。具体的には、図8の(b)に示されるように、液滴の半径rと高さhを求める。そして、以下の式(2)、式(3)から、接触角θを求めることができる。

通常、セメントの当初の硬化に必要な量以上の余剰な水がコンクリートCに含まれていると、打設後にコンクリートCが硬化する際、ブリージング水が発生することがある。上述のように、水との接触角が50度以上の養生シート20を打設時に用いることにより、ブリージング水が発生することを効果的に抑制することができる。このようにブリージング水の発生が抑制されるのは、コンクリートCの表面を覆っている養生シート20のシート面(接触面)の接触角(濡れ角とも言う)が大きいと、コンクリートC内に含まれていてその表面から外に出ようとする水や当該水中に存在する空気がシート接触面においてコンクリートC内部に押し戻される作用が働き、その結果、水及びその内部の空気がコンクリートC内に残存したまま硬化が進むためと考えられる。そして、この養生シート20によれば、このようにしてブリージング水の発生が抑制されるため、脱型後の水和反応に必要な水をコンクリートCが含有していることになり、コンクリート養生の際に外部から養生水を供給することなく又は養生水をそれほど用いることなく、所定の圧縮強度や耐久性などの品質を発現できるコンクリート構造物を製造することができる。
また、養生シート20は、シートの水蒸気透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの水蒸気透過性が10g/m・24h以下であることが好ましく、シートの水蒸気透過性が5g/m・24h以下であることがより一層好ましい。また、養生シート20は、シートの二酸化炭素透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が10万cc/m・24h・atm以下であることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が5万cc/m・24h・atm以下であることがより一層好ましい。素材の表面を各種表面加工技術によって加工することで、水蒸気透過性又は二酸化炭素透過性を小さくしたシートを作製することができる。
10…型枠、12…内面、20…養生シート(シート)、20a…端部、30…両面粘着テープ(固定手段)、40…電池式帯電ガン、C…コンクリート、CS…コンクリート構造物。

Claims (9)

  1. コンクリート製造用のシートをコンクリート打設用の型枠に装着するためのシート装着方法であって、
    前記型枠の一方の面側に前記シートを配置する配置工程と、
    持ち運び可能な静電気発生装置を用いて前記型枠の一方の面側に配置された前記シートをコロナ放電処理により帯電させ、前記型枠に仮固定する仮固定工程と、
    前記型枠に仮固定された前記シートの前記型枠上での位置を調整すると共に前記型枠上の前記シートの皺を解消させて前記シートを前記型枠に密着させる密着工程と、
    前記密着工程の後に、前記シートの少なくとも一部を固定手段により前記型枠に本固定する本固定工程と、
    を備えるシート装着方法。
  2. 前記本固定工程では、前記固定手段である両面粘着テープを前記シートの端部と前記型枠とに跨るように貼り付け、前記シートを前記型枠に対して本固定することを特徴とする、請求項1に記載のシート装着方法。
  3. 前記本固定工程では、前記シートの端部背面と前記型枠との間に位置する前記固定手段である両面粘着テープにより前記シートと前記型枠とを貼り付け、前記シートを前記型枠に対して本固定することを特徴とする、請求項1に記載のシート装着方法。
  4. 前記本固定工程では、前記両面粘着テープが前記シートの端部から外側に露出しないように前記両面粘着テープを前記シートの端部背面と前記型枠との間に貼り付けることを特徴とする、請求項3に記載のシート装着方法。
  5. 前記固定手段は、前記型枠側の粘着力よりもコンクリート打設側又は前記シート側の粘着力の方が強いことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載のシート装着方法。
  6. 前記仮固定工程では、前記シートの前記型枠とは逆の面側から前記コロナ放電処理による帯電が行われる、請求項1〜5の何れか一項に記載のシート装着方法。
  7. 前記静電気発生装置が電池式の帯電ガンである、請求項1〜6の何れか一項に記載のシート装着方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のシート装着方法により、前記シートである養生シートを前記型枠に装着固定すると共に、前記型枠を所定の位置に設置する設置工程と、
    前記型枠の内面側に前記養生シートを配置した状態でコンクリートの打設を行う打設工程と、
    前記コンクリートの打設後に前記型枠を脱型する脱型工程と、
    を備えるコンクリート構造物の製造方法。
  9. 前記脱型工程の後に前記養生シートを前記コンクリートの表面に残置させ、前記コンクリートを所定期間養生する養生工程を更に備えることを特徴とする、請求項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
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