このようなコンクリート構造物の製造方法では、型枠を脱型する際、型枠に貼り付けられた養生シートを打設したコンクリート表面に確実に残置させる必要がある。養生シートを残置させる方法としては、例えば養生シートのコンクリート側の全面若しくは略全面に粘着剤や接着剤を塗布する方法が考えられる(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この方法では養生シートをコンクリート表面に確実に残置させることはできるものの、コンクリート表面全体が粘着剤等と接触し表面が乱された状態でコンクリートが硬化してしまう可能性がある(例えば図8参照)。また、この方法では養生シートの全面がコンクリート表面に接着されることになるため、養生終了後に養生シートをコンクリートから取り外そうとした際、取り外しに手間や時間がかかってしまう、若しくは、養生シートや粘着剤等の一部がコンクリート表面に残置されたままとなってしまい、コンクリート構造物の表面美観を損ねてしまう可能性がある。
また別の方法としては、例えば樹脂や金属のアンカーを養生シートの残置手段として用いることが考えられる。しかしながら、この方法では、養生シートを剥離する際、アンカーがコンクリート内に残るため、コンクリートに異物が混入されることになり、好ましくない場合もある。一方、コンクリート製のアンカーを用いた場合には、混入の問題は発生しないものの、そもそもの重量が重いため養生シートへの取付けが困難となり、また逆に取付け性を改善しようと点固定などにすると、必要とされる残置力を確保することができない虞もある。
本発明は、上述した課題を解決するために為されたものであり、打設に用いた養生シートをそのままコンクリート表面に残置させて養生を行えるようにすると共に、コンクリートの養生終了後、当該養生シートをコンクリート表面から容易に取り外すことができる、コンクリート構造物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法は、コンクリート打設用の型枠、養生シート及び養生シート残置用の粘着テープを準備する準備工程と、型枠を設置する設置工程と、型枠の内面側に養生シート及び粘着テープを配置した状態でコンクリートの打設を行う打設工程と、コンクリートの打設後に型枠を脱型する脱型工程と、脱型工程の後に養生シートを粘着テープによりコンクリートの表面に残置させ、コンクリートを所定期間養生する養生工程と、を備え、養生シートのコンクリート打設側の内面のうち少なくともその外縁に沿うように粘着テープを配置した状態でコンクリートの打設を行うことを特徴としている。
このコンクリート構造物の製造方法では、養生シートのコンクリート打設側の内面の少なくとも外縁に沿うように粘着テープを配置した状態でコンクリートの打設を行っている。この場合、残置させる養生シートの剥離開始箇所になり易いシートの外縁(端部)に沿って粘着テープが配置されてコンクリートに取り付けられることになるため、養生シートを打設コンクリートの表面により確実に残置させることができる。その一方、粘着剤等が養生シートの全面に配置されているわけではなく、非テープ部は養生シートとコンクリートとの付着力によって軽度に接着されている程度であり、養生工程が終了後、コンクリート表面に残置されている養生シートを容易に取り外すことが可能となる。また、このコンクリート構造物の製造方法によれば、粘着テープが打設コンクリート表面に接触する領域を限定させることができるため、養生シートによる養生の際、コンクリート表面を乱れさせてしまうことを低減させ、より美観に優れたコンクリート構造物を得ることができる。なお、この製造方法では、取扱いの容易な粘着テープを用いているため、養生シートの全面に粘着剤等を塗布する方法に比べて、より簡易に、打設に用いた養生シートをそのままコンクリートの養生に用いることができる。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、型枠は複数の型枠から構成され、当該複数の型枠それぞれに対応するように養生シートが各型枠の内面にそれぞれ配置され、粘着テープは、隣接して設置される養生シートの間を覆うように養生シートの外縁に沿って配置されていてもよい。この場合、型枠間の隙間からコンクリートが外部に漏出するといったことを防ぐことが可能となる。
また、上記のコンクリート構造物の製造方法において、型枠は複数の型枠から構成され、当該複数の型枠それぞれに対応するように養生シートが各型枠の内面にそれぞれ配置され、粘着テープは、複数の型枠が設置される前に予め各養生シートの内面の外縁に沿って配置されていてもよい。この場合、鉄筋などの埋設物が型枠の内側にある場合であっても型枠の設置及び養生シートや粘着テープの貼付け等を容易に行うことが可能となる。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、設置工程では、養生シート及び粘着テープを型枠の内面側に貼り付ける前に型枠を設置する、養生シート及び粘着テープのうち養生シートのみを型枠の内面に貼り付けた後に型枠を設置する、又は、養生シート及び粘着テープの両方を型枠の内面側に貼り付けた後に型枠を設置するようにしてもよい。養生シート等を貼り付ける前に型枠を設置する場合は、型枠に対して養生シート等をより確実にシワ等を発生させることなく貼り付けることができる。一方、養生シート等を貼り付けた後に型枠を設置する場合は、型枠の打設内側に埋設物などが既に設置されている場合でも養生シートを用いたコンクリートの打設を容易に行うことができる。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、養生シートは矩形であり、粘着テープを養生シートの4辺すべての外縁に沿うように配置した状態でコンクリートの打設を行うことが好ましい。この場合、矩形の養生シートにおいて剥離開始地点となりやすい4辺すべてが粘着テープによりコンクリートに取り付けられることになるため、養生シートをコンクリート表面により確実に残置させることができる。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、粘着テープが養生シートの外縁以外の中心領域に配置されていない状態でコンクリートの打設を行うことが好ましい。この場合、外縁以外の中心領域では養生テープが打設コンクリートに対して比較的弱い接着力で貼り付けられている状態で養生が行われることになり、コンクリートの養生終了後、外縁の粘着テープ部分を剥がした後は、当該養生シートをコンクリート表面から容易に取り外すことができ、優れた施工性を発揮することができる。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、粘着テープは、樹脂からなる基材と当該基材の両面に配置される粘着剤とを含む両面テープであることが好ましい。基材が樹脂から成る場合、基材が不織布等からなる場合に比べて、コンクリート表面に残置させた養生シートの取り外しをより迅速に行うことが可能となる。この場合において、粘着剤がアクリル系粘着剤であることがより一層好ましい。なお、粘着テープとしては、基材を有しないベースレスタイプの両面粘着テープを用いてもよい。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、粘着テープの厚みが0.08mm以上0.50mm以下であることが好ましい。粘着テープの厚みがある程度あることにより、コンクリート表面に残置された養生シートを取り外そうとした際、粘着テープが途中で切れてしまいコンクリート表面側に残ってしまうといったことを抑制することが可能である。
上記のコンクリート構造物の製造方法において、粘着テープでコンクリートに残置された養生シートの当該コンクリートからの引き剥がし荷重が700g/100cm2以上であることが好ましい。この場合、養生シートをコンクリート表面により一層、確実に残置させることができる。
本発明によれば、打設に用いた養生シートをそのままコンクリート表面に残置させて養生を行えるようにすると共に、コンクリートの養生終了後、当該養生シートをコンクリート表面から容易に取り外すことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法について説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示すフローチャートであり、図2は、本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の概要を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法は、コンクリート打設用の型枠、養生シート及び養生シート残置用の両面粘着テープを準備する準備工程(ステップS1)、型枠を設置する設置工程(ステップS2)、型枠の内面に養生シートを貼り付けた(配置)した状態でコンクリートの打設を行う打設工程(ステップS3)、コンクリートの打設後に型枠を脱型する脱型工程(ステップS4)、及び、脱型工程の後に養生シートを粘着テープによりコンクリート表面に残置させ、コンクリートを所定期間養生する養生工程(ステップS5)を含む。
ステップS1の準備工程では、まず、図2の(a)に示すように、コンクリート構造物を製造する際に用いる、型枠10、養生シート20、及び、両面粘着テープ30を準備する。なお、一般的なコンクリート構造物を製造する際、通常は多数の型枠や養生シートを用いるが、本実施形態では説明を容易にするため、1組の型枠10及び養生シート20を用いた場合を例にとって説明する。但し、2組以上の型枠10及び養生シート20を用いた場合でも同様である。本実施形態に用いられる養生シート20は、例えば矩形形状のシートで型枠10の表面と略同じ広さを有しており、0.02mm〜2.0mm程度の厚みを有する。養生シート20としては、熱可塑性樹脂シートを用いることが好ましく、ここで用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。なお、養生シート20としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、エチレンープロピレン共重合体又はポリプロピレンとエチレンープロピレンゴムの溶融混合物又は重合反応物であり、例えば、株式会社プライムポリマー製「プライムTPO(登録商標)」、日本ポリプロ株式会社製「ニューコン(登録商標)」、サンアロマー株式会社製「キャタロイ」、三菱化学社製「ゼラス(登録商標)」等が挙げられる。
このような準備工程では、養生シート20を型枠10の内面12(型枠10におけるコンクリート打設側の面)に略一致するように接着剤14(アクリル樹脂系)により貼り付ける(図2の(b)参照)。この貼り付けの際、養生シート20の一方の面22が養生シート20におけるコンクリート打設側の面となる。型枠10の内面12に養生シート20を貼り付けた後は、養生シート20の外縁の4辺に沿って複数の両面粘着テープ30(30a〜30d)を養生シート20に貼り付ける(図3の(b)参照)。この両面粘着テープ30の貼付けの詳細については後述する。型枠10、養生シート20及び両面粘着テープ30の設置準備が終了すると、図2の(b)に示すように、ステップS2の型枠の設置工程に進み、養生シート20及び両面粘着テープ30が貼り付けられた型枠10を所定の箇所に設置する。なお、このように養生シート20及び両面粘着テープ30を型枠10の内面12側に貼り付けた後に型枠10の設置を行ってもよいし、逆に、型枠10を所定の位置に設置した後に、上述したのと同様に、養生シート20及び両面粘着テープ30を型枠10の内面12側に貼り付けるようにしてもよい。更に、養生シート20及び両面粘着テープ30の内、養生シート20のみを先に型枠10に貼り付けた後に型枠の設置を行い、その後、両面粘着テープ30を養生シート20の外縁に沿って貼り付けるようにしてもよい。
続いて、ステップS3の打設工程に進み、図2の(c)に示すように、型枠10の内面12に養生シート20が貼り付けられ、更に養生シート20の内面22の外縁に沿うように両面粘着テープ30が貼り付けられた状態でコンクリートCの打設を行う。その後、コンクリートの締固めが終了すると、型枠10をはめたまま、コンクリートCの養生を例えば7日〜28日程度行い、コンクリートの水和反応を促進させる。コンクリートCの養生が完了するまでそのままの状態を維持する。
続いて、打設工程でのコンクリートの打設及びその養生が完了したら、ステップS4の型枠を脱型する脱型工程に進み、図2の(d)に示すように、硬化したコンクリートCの表面を養生シート20が覆うように残置したまま型枠10を脱型し、コンクリートCから引き離す。このとき、接着剤14による型枠10と養生シート20との接着力よりも、両面粘着テープ30等による養生シート20とコンクリートCとの接着力の方が強いため、養生シート20がコンクリートCに残置される。
続いて、型枠10を脱型した後、ステップS5の養生工程に進み、コンクリートCの貼付面に残置された養生シート20を用いて、コンクリートCを所定期間養生する。養生シート20による養生は、型枠10の脱型後28日以上養生を続けてもよいし、型枠10の脱型後91日以上養生を続けてもよい。更に、コンクリート構造物の引き渡しに至るまで(例えば脱型後1年以上)養生を続けてももちろんよい。このような長期の養生を続けることにより、コンクリートCの強度や耐久性を飛躍的に高めて、その品質を向上することができる。所定期間の養生が終了すると、図2の(e)に示すように、養生シート20を両面粘着テープ30と共にコンクリート構造物CSから取り外し、これにより、コンクリート構造物CSが完成する。
次に、図3を参照して、準備工程S1(若しくは型枠の設置後)において、養生シート20の外縁4辺に沿って両面粘着テープ30を養生シート20に貼り付けて、その状態でコンクリートの打設を行う方法についてより詳細に説明する。図3は、図2に示す打設工程を行う際の両面粘着テープの設置個所を説明する図であり、(a)はその断面図を示し、(b)はその正面図を示す。
図3に示すように、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、コンクリートを打設する前に、型枠10に貼り付けられた養生シート20のコンクリート打設側の内面22に両面粘着テープ30(30a〜30d)を部分的に貼り付けて、その状態でコンクリートの打設を行う。この両面粘着テープ30a〜30dにより、型枠10を脱型した際、養生シート20が打設コンクリートCの表面に残置される。本実施形態に係る製造方法では、図3の(b)に示すように、4本の両面粘着テープ30a〜30dを用意し、矩形の養生シート20の打設側の内面22の外縁4辺に沿うと共にその全長に亘るように各両面粘着テープ30a〜30dを養生シート20に貼り付けている。なお、両面粘着テープ30a〜30dにより、養生シート20の縁が型枠10から剥がれないように貼り付けるようにしてもよい。
このような両面粘着テープ30(30a〜30d)は、例えば5mm〜100mm程度の幅を有する両面粘着テープであり、基材とその基材の両面に塗布された粘着剤とから構成される。両面粘着テープ30の基材は、例えばポリエチレンテレフタレートなどの樹脂や、熱可塑性樹脂などからなる不織布からなり、両面粘着テープ30の粘着剤は、例えばアクリル系粘着剤からなる。両面粘着テープ30の基材を構成する不織布や樹脂等を構成する材料としては、例えば養生シート20と同じ材料を例示することができるが、粘着テープ30の基材として、例えばポリエチレンテレフタレートなどの耐紫外線性能を有する樹脂を用いることが好ましく、この場合、変色や接着力の変動を抑制することができる。また、両面粘着テープ30の厚みとしては、打設コンクリートへの転写残り等を考慮して0.03mm以上1mm以下であることが好ましく、養生シート20を剥離する際のテープのちぎれや転写残り等を抑制する観点からは0.08mm以上0.50mm以下であることがより好ましい。なお、両面粘着テープ30は、基材を有しないベースレスタイプで粘着剤のみからなるテープ部材であってもよい。
このような両面粘着テープ30a〜30dを養生シート20の外縁に貼り付けてコンクリートの打設を行った場合、これら両面粘着テープ30a〜30dが打設して硬化するコンクリートCと養生シート20とを強固に接着し、特に剥離開始箇所となりやすいシート端部を強固に接着し、養生シート20をコンクリートCの表面に確実に残置させる。なお、両面粘着テープ30a〜30dが貼り付けられていない領域においても、養生シート20はコンクリートCの表面に軽く接着されており、強い力が外部から加わっても両面粘着テープ30a〜30dでの接着箇所が剥離されない限り、養生シート20がコンクリートCから剥がれてしまうことがないようになっている。なお、このような両面粘着テープ30を養生シート20の外縁に貼り付けてコンクリートを打設して、型枠10の脱型後、養生を行う場合、両面粘着テープ30でコンクリートCに残置された養生シート20のコンクリートからの引き剥がし荷重が700g/100cm2以上となるように両面粘着テープ30の接着強度やその幅、数などを適宜調整することが好ましい。なお、この引き剥がし荷重の測定方法については後述する実施例にて説明する。
ここで、両面粘着テープ30の配置の変形例について、図4及び図5を参照して説明する。まず図4の(a)に示すように、養生シート20をコンクリートCの表面に残置させるための両面粘着テープ30の別の配置形態として、例えば、養生シート20の内面22の外縁に配置された両面粘着テープ30a〜30dに加え、更に多数のドット状の両面粘着テープ30eを養生シート20の内面22のうち外縁よりも内側の領域に貼り付けるようにしてもよい。このような構成により、養生シート20のコンクリートCへの残置力を高めることができる。また、更に別の配置形態として、図4の(b)に示すように、養生シート20の内面22の外縁に配置された両面粘着テープ30a〜30dに加え、ライン状の両面粘着テープ30fを養生シート20の内面22のうち外縁よりも内側の領域に更に貼り付けるようにしてもよい。この場合も養生シート20のコンクリートCへの残置力を高めることができる。また、格子状に両面粘着テープを配置してもよい。なお、使用する両面粘着テープの領域が多いと、養生シート20を打設コンクリートCから剥離する際にスムーズに剥離できない場合もあるため、養生シート20の外縁以外の中心領域への追加粘着テープの貼付けは少ない方が好ましく、外縁に貼り付けた両面粘着テープ30a〜30dのみでコンクリート表面への残置を行い、養生シート20の外縁以外の中心領域への粘着テープの貼付けを行わないことがより好ましい。また、養生シート20のコンクリートへの残置が確実に行えるのであれば、養生シート20の外縁4辺すべてに両面粘着テープ30a〜30dを貼り付けずに、外縁の3辺や2辺などに貼り付けて施工性を向上させるようにしてもよい。
また、更に別の形態として、複数の型枠を設置する場合について、図5を参照して説明する。通常、コンクリート打設用の型枠10のサイズは900mm×1800mmが定格である。そして、この型枠サイズの養生シート20を型枠10に貼り付けて、複数の型枠10を組み合わせて、コンクリートを打設・養生等して、コンクリート構造物を作製している。このように複数の型枠10を使用する際は、例えば図5の(a)に示すように、隣接して配置される養生シート20,20の間24を覆うように養生シート20の外縁に沿って粘着テープ30g,30hを貼り付けるようにしてから、コンクリートの打設を行ってもよい。この場合、型枠10の隙間からコンクリートが漏出することを防ぐことができ、より確実にコンクリートを打設することできる。一方、複数の型枠を組み合わせる場合、図5の(b)に示すように、各型枠10の内面側(コンクリート打設側)に養生シート20を予め貼り合せると共に、その養生シート20の内面22の外縁に沿って両面粘着テープ30(30a〜30d)を予め貼り付けておき、養生シート20及び両面粘着テープ30が予め貼り付けられた複数の型枠10を所定の位置にそれぞれ設置して、コンクリートの打設を行うようにしてもよい。部材によっては鉄筋などの埋設物が障害となり貼付が実施しづらい場合もあるが、予め養生シート等が貼り付けられた型枠10を用いることにより、これら埋設物があった場合でも柔軟に型枠の設置を行うことが可能となる。なお、図5の(a)のように養生シート20の隙間を覆う際、両面粘着テープ30は例えば10mm〜70mm程度の幅であることが好ましく、一方、図5の(b)のように各養生シート20の外縁のみに貼り付けられる場合は5mm〜30mm程度の幅であることが好ましい。
以上、本実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法によれば、養生シート20のコンクリート打設側の内面22の外縁4辺に沿うように両面粘着テープ30(30a〜30d)を貼り付けた状態でコンクリートCの打設を行っている。このように、残置させる養生シート20の剥離開始箇所になり易いシート外縁に沿って両面粘着テープ30が配置されてコンクリートCに取り付けられることになるため、養生シート20を打設コンクリートCの表面に確実に残置させることができる。一方、粘着剤等が養生シートの全面に配置されているわけではないので、養生工程が終了後、コンクリートCの表面に残置されている養生シート20を容易に取り外すことが可能となる。また、このコンクリート構造物の製造方法によれば、両面粘着テープ30(30a〜30d)が打設コンクリート表面に接触する領域を限定させることができるため、養生シート20による養生の際、コンクリートCの表面を乱れさせてしまうことを低減させることができる。なお、この製造方法では、取扱いの容易な両面粘着テープ30を用いているため、養生シートの全面に粘着剤を塗布する等の方法に比べて、より簡易に、打設に用いた養生シート20をそのままコンクリートCの養生に用いることができる。
また、上記コンクリート構造物の製造方法では、設置工程として、養生シート20及び両面粘着テープ30を型枠10の内面側に貼り付ける前に型枠10を設置する、養生シート20及び両面粘着テープ30のうち養生シート20のみを型枠10の内面12に貼り付けた後に型枠10を設置する、又は、養生シート20及び両面粘着テープ30の両方を型枠10の内面側に貼り付けた後に型枠10を設置する、の何れかの方法で型枠10を所定の位置に設置している。養生シート20等を貼り付ける前に型枠10を設置する場合は、型枠設置後に型枠10に対して養生シート20等をより確実にシワ等を発生させることなく貼り付けることができる。一方、養生シート20等を貼り付けた後に型枠10を設置する場合は、型枠10の打設内側に埋設物などが既に設置されている場合でも養生シート20を用いたコンクリートの打設を容易に行うことができる。
また、上記のコンクリート構造物の製造方法では、養生シート20は矩形であり、両面粘着テープ30a〜30dを養生シート20の4辺すべての外縁に沿うように配置した状態でコンクリートCの打設を行っている。このため、矩形の養生シート20において剥離開始地点となりやすい4辺すべてが両面粘着テープ30a〜30dによりコンクリートCに取り付けられることになるため、養生シート20をコンクリート表面により確実に残置させることができる。
また、上記のコンクリート構造物の製造方法では、両面粘着テープ30が養生シート20の外縁以外の中心領域に配置されていない状態でコンクリートCの打設を行うことが好ましい。このような配置とした場合には、外縁以外の中心領域では養生シート20が打設コンクリートに対して比較的弱い接着力で貼り付けられている状態で養生が行われることになり、コンクリートの養生終了後、外縁の両面粘着テープ30部分を剥がした後は、当該養生シート20をコンクリート表面から容易に取り外すことができる。
また、上記のコンクリート構造物の製造方法では、両面粘着テープ30は、樹脂からなる基材と当該基材の両面に配置される粘着剤とを含む両面テープである。基材が例えば樹脂から成る場合、基材が不織布等からなる場合に比べて、コンクリート表面に残置させた養生シート20の取り外しをより迅速に行うことが可能となる。
また、上記のコンクリート構造物の製造方法では、両面粘着テープ30の厚みが0.08mm以上0.50mm以下であることが好ましい。両面粘着テープの厚みがある程度あることにより、コンクリート表面に残置された養生シートを取り外そうとした際、粘着テープが途中で切れてしまいコンクリート表面側に残ってしまうといったことを抑制することが可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、上記実施形態では、場所打ちコンクリートを例にとってコンクリート構造物の製造方法について説明したが、本製造方法は、プレキャストコンクリートやコンクリート2次製品の製造に適用してももちろんよい。
また、例えば、上記実施形態における養生シート20として、上記では特に規定していないが、養生シート20のコンクリートC側の接触面の水との接触角が50度以上であるものを採用してもよい。具体的には、養生シート20の接触面の水との接触角θが69度以上であることが好ましく、接触角θが80度以上であることが更に好ましく、接触角θが90度以上であることがより一層好ましい。
ここで、「接触角θ」とは、図6の(a)に示されるように、液滴の接線と固体表面(養生シート20の表面)とのなす角度であり、以下の式(1)で示される。
γS:固体の表面張力
γL:液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面張力
そして、「接触角θ」は、例えば、θ/2法で測定することができる。具体的には、図6の(b)に示されるように、液滴の半径rと高さhを求める。そして、以下の式(2)、式(3)から、接触角θを求めることができる。
通常、セメントの当初の硬化に必要な量以上の余剰な水がコンクリートCに含まれていると、打設後にコンクリートCが硬化する際、ブリージング水が発生することがある。上述のように、水との接触角が50度以上の養生シート20を打設時に用いることにより、ブリージング水が発生することを効果的に抑制することができる。このようにブリージング水の発生が抑制されるのは、コンクリートCの表面を覆っている養生シート20のシート面(接触面)の接触角(濡れ角とも言う)が大きいと、コンクリートC内に含まれていてその表面から外に出ようとする水や当該水中に存在する空気がシート接触面においてコンクリートC内部に押し戻される作用が働き、その結果、水及びその内部の空気がコンクリートC内に残存したまま硬化が進むためと考えられる。そして、この養生シート20によれば、このようにしてブリージング水の発生が抑制されるため、脱型後の水和反応に必要な水をコンクリートCが含有していることになり、コンクリート養生の際に外部から養生水を供給することなく又は養生水をそれほど用いることなく、所定の圧縮強度や耐久性などの品質を発現できるコンクリート構造物を製造することができる。
また、養生シート20は、シートの水蒸気透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの水蒸気透過性が10g/m2・24h以下であることが好ましく、シートの水蒸気透過性が5g/m2・24h以下であることがより一層好ましい。また、養生シート20は、シートの二酸化炭素透過性の小さいものを用いることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が10万cc/m2・24h・atm以下であることが好ましく、シートの二酸化炭素透過性が5万cc/m2・24h・atm以下であることがより一層好ましい。素材の表面を各種表面加工技術によって加工することで、水蒸気透過性又は二酸化炭素透過性を小さくしたシートを作製することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、実施例1として、以下の構成及び材料からなる4枚の養生シート及び16本の両面粘着テープを準備した。養生シートとしては、ポリプロピレンからなり、大きさが100mm×100mmの矩形のシートを準備した。また、両面粘着テープとしては、長さ80mm(縦方向用)若しくは100mm(横方向用)、厚さ0.22mm(剥離ライナー除く)、幅10mmで、不織布を基材とする両面粘着テープ(コニシ株式会社製「WF003N」)を準備した。なお、両面粘着テープの基材両面に塗布された粘着剤はアクリル系の粘着剤であった。次に、コンクリートの打設に用いる型枠として、100mm×100mm×400mmの塗装合板製(東洋テックス株式会社)ブロック型枠を準備した。
また、試験に用いるコンクリートとして、以下の表1に記載のコンクリート材料を表2に示す配合にて混合して得たコンクリート材料を準備した。
その後、各養生シートの外縁4辺に沿って4本の両面粘着テープをそれぞれ貼り付けて(図3の(b)参照)、両面粘着テープが4辺に貼り付けられた養生シート4枚それぞれを上述したブロック型枠の内側に貼り付けて、上記で準備したコンクリート材料をそこに打ち込んだ。コンクリートを打ち込んでから7日経過後、電子ばねはかりのフックを予めシート角部に開口した直径5mmの穴に接合し、フック部を鉛直方向に20±5mm/秒の速度で養生シートを引き剥す際の最大荷重(g/100cm2)を測定し、4回の平均値を算出した。その後、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例1の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は5465g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、上記の引き剥しを行ったところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープがコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に15分ほどかかってしまった。
次に実施例2として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.16mm(剥離ライナー除く)の不織布基材の両面粘着テープ(コニシ株式会社製「ハイパワー」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例2の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は3509g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープがコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に5分ほどかかってしまった。
次に実施例3として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.06mm(剥離ライナー除く)のPET樹脂基材の両面粘着テープ(株式会社寺岡製作所製「ポリエステルフィルム両面粘着テープ No.7643」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例3の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は1320g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープが少しコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に1.5分ほどかかってしまった。なお、テープ厚が薄いため、剥し時にテープが切れやすかった。
次に実施例4として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.05mm(剥離ライナー除く)の基材レスの両面粘着テープ(株式会社寺岡製作所製「ベースレス両面粘着テープ No.7021」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例4の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は910g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート及び粘着テープが共に直ぐに剥離され、残留テープの除去は不要であった。但し、基材レスの両面粘着テープであったため、シワが発生してしまった。
次に実施例5として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.16mm(剥離ライナー除く)の不織布基材の両面粘着テープ(日東電工株式会社製「No.5000NS」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例5の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は2955g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープが少しコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に3分ほどかかってしまった。
次に実施例6として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.06mm(剥離ライナー除く)の基材レスの両面粘着テープ(開発品)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例6の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は1088g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート及び粘着テープが共に直ぐに剥離され、残留テープの除去は不要であった。但し、基材レスの両面粘着テープであったため、シワが発生してしまった。
次に実施例7として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.12mm(剥離ライナー除く)の不織布基材の両面粘着テープ(3M社製「Scoch」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例7の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は717g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープが少しコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に3分ほどかかってしまった。
次に実施例8として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.12mm(剥離ライナー除く)のPET樹脂(ポリエステルフィルム)基材の両面粘着テープ(日東電工株式会社製「GA937」)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例8の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は3196g/100cm2であり、コンクリートへの接着が強固であることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート自体は直ぐに剥離されたものの、粘着テープがほんの少しコンクリートに残ってしまい、残留テープの除去に0.5分ほどかかってしまった。但し、実施例8の粘着テープでは、コンクリートへの残置性と取外しの容易性がバランスよくなっており、実施例の中では施工性が一番優れていた。
次に実施例9として、使用する両面粘着テープを、幅及び長さは同じで厚さ0.04mm(剥離ライナー除く)のPET樹脂基材の両面粘着テープ(開発品)に変更した点以外は実施例1と同じ条件にて、コンクリートの打設養生等を行った。その後、実施例1と同様の方法にて電子ばねはかりとシート角部を接合し、養生シートを引き剥す際の最大荷重を測定し、4回の平均値を算出した。また、コンクリートへ残置させた両面粘着テープがそのまま剥がれなかった部分については、テープの除去作業時間を測定した。その結果、実施例9の両面粘着テープを用いた場合、引き剥しの際の平均最大荷重は300g/100cm2であり、少し剥がれる部分があったものの、その他の部分においてはコンクリートへの接着がされることが確認された。また、養生シートを剥したところ、養生シート及び粘着テープは直ぐに剥離され、残留テープの除去は不要であった。なお、テープ厚が薄いため、剥し時にテープが切れやすかった。
以下の表3に実施例1〜9の試験結果について示す。
養生シートのコンクリートへの残置性については、最大荷重が700g/100cm
2以上であれば強固に接着されているため(剥がれる部分がないため)、最大荷重700g/100cm
2以上を「〇」とした。また、取外し容易性については、コンクリート残置テープの剥し時間が2分よりも短いものを施工性等を考慮して「〇」とし、それより長いものを「△」とした。特に基材が不織布の粘着テープでは基材の強度が弱いため、一様に剥がれずに時間がかかることが多かった。一方、基材が樹脂の場合、そのようなことがなく、取外しが容易であることが多かった。
以上より、両面粘着テープを養生シートの外縁に貼り付けてコンクリートを打設した場合、型枠脱型後のコンクリートへの養生シートの残置性及び養生終了後の取外し容易性が両立されることが示された。特に樹脂を基材として使用した両面粘着テープ(例えば実施例8)では取外し容易性が優れており、しかも残置性と両立できることが示された。
ここで、更に、コンクリートに残置される両面粘着テープの保持力の外的環境の変化に伴う影響について検証した。具体的には上述した実施例1と同様の条件及び同様の粘着テープを用いて試験を行った。但し、両面粘着テープの粘着性に対する外的環境による影響を評価するため、コンクリートの打設を直ぐには行わなかった。そして、以下の各種条件を与えて3週間経過後、コンクリートの打込みを行った。なお、粘着テープに与えた外的環境としては、以下の5つであった。
1)20℃、60%RH
2)20℃、水中浸漬
3)20℃、60%RH、砂汚し
4)屋外曝露
5)100℃炉乾燥
上記の外部環境をそれぞれ与えてからコンクリートを打ち込んだ場合の粘着テープの最大荷重の変化結果を図7に示す。外的環境を変化させずにすぐにコンクリートを打ち込んだ場合(実施例1の場合)、シートの引き剥しのための最大荷重が5465g/100cm2であったのに対し、各種の外的環境変化として1)〜5)の条件を3週間与えた後にコンクリートを打ち込んだ場合、図7に示すように、「1)20℃、60%RH」の場合、その平均最大荷重が4303g/100cm2であり、「2)20℃、水中浸漬」の場合、その平均最大荷重が4996g/100cm2であり、「3)20℃、60%RH、砂汚し」の場合、その平均最大荷重が4424g/100cm2であり、「4)屋外曝露」の場合、その平均最大荷重が4886g/100cm2であり、「5)100℃炉乾燥」の場合、その平均最大荷重が4619g/100cm2であった。つまり、最大荷重がそれほど大きく低下しないことが確認された。これにより、粘着テープから剥離紙を除去した後、水に濡れても、砂などで汚されても、風雨や高温にさらされても、両面粘着テープの接着力が維持され環境変化に強い工法であることが確認された。