JP5749830B1 - コンクリート構造物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水を有効に活用して所定品質のコンクリート構造物を製造することができるコンクリート構造物の製造方法を提供する。【解決手段】 コンクリート構造物の製造方法であって、コンクリート打設用の型枠10を設置する型枠設置工程と、型枠10の内面に養生シート12がステープル14の先端で仮止めされた状態でコンクリートCの打設を行う打設工程と、コンクリートCの打設後に型枠10を脱型する脱型工程とを備えている。打設工程の際、ステープル14の先端を除く大部分がコンクリートC中に埋設されることになり、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度が型枠10に対する養生シート12の付着強度よりも大きくなり、脱型工程の後に養生シート12がコンクリートCに残置する。【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリート構造物の製造方法に関する。
コンクリート構造物を製造するには、所定位置に設置した型枠内にコンクリートを打設し、ある程度凝結が進んで硬化した後に型枠を脱型し、型枠が脱型されたコンクリート表面に養生シートを所定期間貼付して水和反応が進むようコンクリートの湿潤養生を行うことが一般的である。ところで、打設に用いられるコンクリートは、型枠内の隅々まで充填できるよう流動性を高められており、セメントの当初の硬化に必要な量以上の余剰な水を含んでいる。そのため、コンクリート打設後に、これら余剰な水がブリージング水としてコンクリート表面に集まってしまい、コンクリート表面の強度不足を生じさせたり、コンクリート表面に気泡(あばた)を形成させてしまうことがあった。
そこで、例えば、特許文献1では、打設後に発生するブリージング水を外部に排出できるように多数の細穴を穿穴したシートを用いることが提案されている。一方、ある程度凝結が進んで硬化した脱型後のコンクリートは、セメントと水との水和反応を促進させるためその表面が湿潤状態である必要があり、打設直後とは逆にコンクリート表面に養生水を供給すると共に、穿穴されていないシート又は不織布などを用いてコンクリート表面を覆うといったことが行われていた(例えば特許文献2,3参照)
特開平03−99805号公報 特開平07−102763号公報 特開2010−24785号公報
ところで、セメントの水和反応に必要とされる水は、セメント重量の約40%であり、約25%がセメントと化学的に結合し、15%はゲル水としてセメントなどに吸着されているとされている。一方、一般的なコンクリートの水セメント比は40〜55%程度であり、コンクリート自身は、セメントの水和反応に最低限必要な水量を当初から有しているといえる。しかしながら、上述したように、セメントの当初の硬化段階では、ブリージング水の発生を低減するため余剰水をできるだけ外部に排出する必要がある一方、セメントの水和反応が進む段階では、別途、養生水を供給する必要があり、所定の圧縮強度や耐久性を発現するには、水を必要以上に使用せざるを得なかった。
そこで、本発明は、水を有効に活用して所定品質のコンクリート構造物を製造することができるコンクリート構造物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねる過程で、セメントの水和反応に必要とされる最低限の水をコンクリートが当初から有しており、ブリージング水の発生を抑制しつつコンクリートを硬化させることができれば、型枠脱型後もコンクリート内に水和反応に必要な量の水を残存させることができる点に着目した。本発明者らは、更に検討を進め、コンクリート打設時にコンクリート表面を覆うように養生シートを型枠の内側に配置し、養生シートをコンクリート側に保持させることでブリージング水の発生を効果的に抑制できるとの知見を得た。特に水との接触角が所定値以上である養生シートを用いることで、かかる効果を奏し得るとの知見を得た。
そこで、本発明に係るコンクリート構造物の製造方法は、コンクリート打設用の型枠を設置する型枠設置工程と、型枠の内面に養生シートが配置された状態でコンクリートの打設を行う打設工程と、コンクリートの打設後に型枠を脱型する脱型工程と、を備え、所定の処理を実行し又は所定の手段を用いることにより型枠の脱型を行う際にコンクリートに対する養生シートの付着強度が型枠に対する養生シートの付着強度よりも大きくなるようにし、脱型工程の後に養生シートをコンクリートに残置させることを特徴としている。
本発明に係るコンクリート構造物の製造方法では、型枠の内面に養生シートが配置された状態でコンクリートの打設が行われ、コンクリートが硬化して型枠を脱型する際に養生シートがコンクリート側に残置される。このため、打設後にコンクリートが硬化する際、コンクリートを覆う養生シートにより、脱型前においてコンクリート内の空気が表面に集まることが抑制されるため、コンクリート表面の気泡(あばた)の発生を押さえることができる。更に、型枠の内面に養生シートが配置されることで、従来のように型枠にコンクリートが付着しないため、剥離剤を型枠内面に塗布する必要がなく、剥離剤によるコンクリート表面の汚れやシミの発生も抑制可能である。しかも、この製造方法によれば、脱型後に養生シートがコンクリート側に保持されているので、ブリージング水の発生を抑制しかつコンクリート面が乾燥に曝されることがないため効果的な養生を行うことができ、十分な強度、耐久性、水密性などを有するコンクリート構造物を製造することができる。
上記コンクリート構造物の製造方法は、養生シートを型枠の内面にステープルによって取り付けるシート取付け工程を更に備えていてもよい。この場合、例えば略コの字状のステープルの先端が養生シートを貫いて型枠の内面に挿入固定されることになり、型枠に対し養生シートをしっかりと仮止めすることができる。そして、打設工程において、ステープルがコンクリート(例えばかぶり部)に埋設されるようにコンクリートの打設を行い、脱型工程において、ステープルは型枠から外れると共にコンクリート側に残置されるようにしてもよい。このような処理を行うことにより、打設時における養生シートの型枠への取付けと、型枠脱型後の養生シートのコンクリートへの残置とを容易に実現することができる。なお、ここで用いられるステープルは、コンクリート内に埋設されることから、耐腐食性の観点より、例えばセラミックス若しくはステンレス、又は熱可塑性樹脂製の針等が好ましい。
上記コンクリート構造物の製造方法では、型枠設置工程において、端部側にPコンが取り付けられたセパレータを、Pコンが型枠の内面に配置された養生シートに突き当たるように設置し、脱型工程の後、養生シートのうちPコンの周りに位置する領域を熱で溶融して養生シートをコンクリートに残置させると共にPコンを取り出すようにしてもよい。この場合、養生シートの一部を熱で溶融するといった簡易な手段で養生シートを脱型後のコンクリートに残置することができ、しかも、養生シートにPコン取り出し用の切り込み等を予め設けるといった特殊加工を施すことも不要となる。そして、この製造方法は、Pコンを取り外した後にコンクリートに残る穴に埋込体を配置する埋込体配置工程と、養生シートの溶融領域を覆うように養生シート端材を接着する接着工程と、を更に備えていてもよい。これにより、コンクリートの養生をより確実に行うことができる。
上記コンクリート構造物の製造方法は、養生シートにモルタル製のアンカー部材を接着する接着工程を更に備え、打設工程では、アンカー部材がコンクリート内に埋設されるようにコンクリートの打設を行うようにしてもよい。この場合、型枠脱型後のコンクリートに養生シートを容易に残置させることができる。また、モルタル製のアンカーを用いることで、かぶり部に異物が埋設されることがなく、コンクリートの耐久性を確保することができる。
上記コンクリート構造物の製造方法では、脱型工程において、型枠を脱型する前に圧縮空気又は水を養生シートと型枠との間に送り込むようにしてもよい。上記何れかの製造方法と組み合わせて又は単独で、このように圧縮空気又は水を送り込むことにより、型枠に対する養生シートの付着強度を容易に弱めることができ、型枠の脱型を行う際のコンクリートに対する養生シートの付着強度を型枠に対する養生シートの付着強度よりも大きくすることができる。
上記コンクリート構造物の製造方法では、型枠は、熱膨張係数が60×10−6/℃より大きい樹脂性の型枠であってもよい。この場合、養生シートや型枠に対して熱が加わったとしても、養生シートと型枠の熱膨張係数が近似していることから、養生シートにシワが発生しづらくなる。つまり、養生シートによって養生されるコンクリートの表面の仕上がり状態を良好なものとすることができる。
上記コンクリート構造物の製造方法では、型枠はメタルフォームであり、ポリビニルアルコール(PVA)糊にアルカリ溶液を添加したアルカリ性の糊によって養生シートが型枠に取り付けられていてもよい。PVA糊をそのまま用いると弱酸性を示すPVA糊によりメタルフォームに錆が形成されてしまうが、アルカリ溶液を加えてアルカリ性とすることにより、かかる錆の発生を抑えること(不働態被膜の安定化)ができ、メタルフォームを繰り返し使用することが可能となる。
上記コンクリート構造物の製造方法では、養生シートのコンクリート側の接触面の水との接触角が50度以上であることが好ましい。このように水との接触角が50度以上の養生シートを打設時に用いることにより、打設後にコンクリートが硬化する際、通常発生するブリージング水の発生を効果的に抑制することができる。このようにブリージング水の発生が抑制されるのは、コンクリート表面を覆っている養生シートのシート面(接触面)の接触角(濡れ角とも言う)が大きいと、コンクリート内に含まれていてその表面から外に出ようとする水や当該水中に存在する空気がシート接触面においてコンクリート内部に押し戻される作用が働き、その結果、水及びその内部の空気がコンクリート内に残存したまま硬化が進むためと考えられる。そして、このようにしてブリージング水の発生が抑制されるため、脱型後の水和反応に必要な水をコンクリートが含有していることになり、コンクリート養生の際に外部から養生水を供給することなく又は養生水をそれほど用いることなく、所定の圧縮強度や耐久性などの品質を発現できるコンクリート構造物を製造することができる。なお、上述した接触角は、水が常温(@23℃)の際の接触角である。
本発明によれば、水を有効に活用して所定品質のコンクリート構造物を製造することができるコンクリート構造物の製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法における型枠設置工程を示す図であり、(a)は、型枠の内側に養生シートがステープルによって仮止めされている状態を示す断面図であり、(b)は、養生シート側から視た側面図であり、(c)は、ステープルの周辺を拡大した斜視図である。 図1に示す型枠設置工程の後の工程を示す断面図であり、(a)は、打設工程を示し、(b)は、脱型工程を示す。 本発明の第2実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法を示す断面図であり、(a)は、打設工程を示し、(b)は、脱型工程を示し、(c)及び(d)は、熱溶融工程を示す。 図3の(d)に示す工程の後の工程を示す断面図であり、(a)は、埋込体配置工程を示し、(b)は、養生シート端材の接着工程を示す。 第2実施形態の変形例に係る養生シートの押さえ手法を示す図であり、(a)はその断面図であり、(b)はその側面図である。 本発明の第3実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法を示す断面図であり、(a)は型枠設置工程を示し、(b)はアンカー設置工程を示し、(c)はセパレータ設置工程を示し、(d)は打設工程を示し、(e)は脱型工程を示し、(f)は養生工程を示す。 図6に示す製造方法で用いるアンカー部材の例を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法に用いられる型枠及び養生シートを模式的に示す斜視図である。 第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の脱型工程の際に、型枠と養生シートとの間に圧縮空気を送り込む状態を示す図である。 第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の変形例を示し、型枠と養生シートとの間に水を送り込んだ状態を示す図である。 本発明の第2実施形態の別の変形例に係る養生シートの押さえ手法を示す図であり、(a)は型枠準備工程を示し、(b)はアンカー部材の設置工程を示す。 図11に示す設置工程に続く工程を示し、(a)は型枠設置工程を示し、(b)は打設工程を示し、(c)は脱型工程を示し、(d)は養生工程を示す。 図11及び図12で使用するアンカー部材の例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法について説明する。第1実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、まず、図1に示されるように、コンクリート打設用の型枠10を所定の位置に設置してコンクリート打設領域を形成すると共に(型枠設置工程)、例えばグリース又はPVA(ポリビニルアルコール)糊等の接着剤を用いて養生シート12を型枠10の内面に貼り付ける。なお、養生シート12の貼付けにグリース又はPVA糊等の接着剤を用いなくてもよい。続いて、セラミックス製若しくはステンレス製又は熱可塑性樹脂製のステープル14、及び、ステープル14を打ち込むためのインサートステープラー(不図示)を準備する。ステープル14は、例えば略コ字状を呈している(図1の(c)参照)。そして、インサートステープラーを用いて、図1の(a)〜(c)に示されるように、型枠10の内面にステープル14を用いて養生シート12を仮止めして取り付ける(シート取付け工程)。図1の(b)に示す例では、養生シート12の四隅をステープル14によって仮止めするようにしたが、使用する針の数や箇所等は適宜変更することができる。ステープル14によって養生シート12を型枠10に仮止めする際、ステープル14の先端0.01〜5mmのみを型枠10内に入り込むようにしておき、ステープル14を容易に取り外し可能な状態としておく。なお、PVA糊等及びステープル14を用いて養生シート12を型枠10に取り付けてから型枠10を所定の位置に設置してもよい。
ここで用いる養生シート12は、全体として例えば0.01mm〜2.0mm程度の厚みを有している。養生シート12としては、熱可塑性樹脂シートが好ましく、熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられ、透明性や耐候性等の優れたオレフィン系樹脂が好適である。又、これら熱可塑性樹脂シートの延伸シートであってもよい。更に、養生シート12は、型枠10の内面に沿って密着して貼付されると共に打設されるコンクリートCにも密着する必要があるので、ある程度の柔軟性を有しているのが好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、エチレンープロピレン共重合体又はポリプロピレンとエチレンープロピレンゴムの溶融混合物又は重合反応物であり、例えば、株式会社プライムポリマー製「プライムTPO(登録商標)」、日本ポリプロ株式会社製「ニューコン(登録商標)」、サンアロマー株式会社製「キャタロイ」、三菱化学社製「ゼラス(登録商標)」、等が挙げられる。なお、養生シート12には、微小な凹凸形状であるシボがその一面又は両面に形成されていてもよい。
次に、型枠10の設置及び養生シート12の配置が終了した後、つまり、型枠10の内面に養生シート12が配置された状態で、図2の(a)に示すように、コンクリートCを型枠10によって形成された空隙(打設領域)内に流し込んで、コンクリートCを打設する(打設工程)。この打設工程では、養生シート12を仮止めしているステープル14の先端以外の大部分がコンクリート16内に埋設される。
次に、コンクリートCの打設が終了すると、バイブレータ等を用いてコンクリートCの締固めを行う。これにより、型枠10内の隅々まで十分にコンクリートCが流れこむようになる。従来であれば、コンクリート打設後に、コンクリート内部に含まれる空気の泡やブリージング水が表面に浮かび上がってくるが、本実施形態では養生シート12をコンクリートCとの接触部分に設けているため、空気の泡やブリージング水の発生が抑制される。特に、本実施形態で用いる養生シート12のコンクリートC側の接触面の水との接触角は、例えばその接触角が50度以上となっている。この場合、打設後にコンクリートCが硬化する際、通常発生するブリージング水の発生を、かかる接触角を有する養生シート12によって効果的に抑制することができる。
このように接触角が50度以上の養生シート12を用いることでブリージング水の発生が抑制されるのは、コンクリートCの表面を覆っている養生シート12のシート面(接触面)の接触角(濡れ角とも言う)が大きいと、コンクリートC内に含まれていてその表面から外に出ようとする水や当該水中に存在する空気がシート接触面においてコンクリートC内部に押し戻される作用が働き、その結果、水及びその内部の空気がコンクリートC内に残存したまま硬化が進むためと考えられる。なお、このような接触角の養生シートを用いることにより、ブリージング水の発生を抑制することができるため、コンクリートC内に水和反応を促進するための水が十分に含まれていることになり、後述する養生工程の際、養生に用いる養生水を別途供給しなくてもよいか、あるいは、従来に比べて、はるかに少ない養生水を供給する程度でよくなる。なお、養生シート12の接触面の水との接触角が69度以上であることがより好ましく、養生シート12の接触面の水との接触角が80度以上であることが更に好ましく、養生シート12の接触面の水との接触角が90度以上であることがより一層好ましい。上述した各接触角は、水が常温(@23℃)の際の接触角である。以下の実施形態で用いる養生シートも同様の接触角を有していてもよい。
なお、上述した「接触角θ」とは、液滴の接線と固体表面(シート表面)とのなす角度であり、例えば以下の式(1)で示される。
Figure 0005749830

γ:固体の表面張力
γ:液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面張力
そして、「接触角θ」は、例えば、θ/2法で測定することができる。具体的には、液滴の半径rと高さhを求める。そして、以下の式(2)、(3)から、接触角θを求めることができる。
Figure 0005749830

Figure 0005749830
次に、コンクリートの締固めが終了すると、型枠10をはめたまま、養生シート12により、コンクリートCの湿潤養生を例えば7日〜28日程度行い、コンクリートCを硬化させる。
続いて、コンクリートCの凝結がある程度進み硬化したら、図2の(b)に示すように、型枠10を脱型する脱型工程を行う。この脱型の際、ステープル14の全容積に対する容積比30%以上の部分がコンクリートC内に埋設されていれば、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が型枠10に対する養生シート12の付着強度A2よりも大きくなり、これにより、脱型工程の後に養生シート12がコンクリートC側に確実に残置される。なお、ステープル14のコンクリートC内に埋設される埋設部分がその容積比で50%以上となるようにステープル14がコンクリートC内に埋設されていることが好まく、当該埋設部分が容積比で70%以上となるようにステープル14がコンクリートC内に埋設されていることがより好ましい。
続いて、コンクリートCの表面に残置された養生シート12を用いて、コンクリート構造物を養生する養生工程を行う。この養生では、既に型枠10が取り除かれており、養生シート12をコンクリート表面に残置させるだけで、特別な設備を用いることなくそのまま長期に養生を続けることができる。例えば、型枠10の脱型後30日以上養生を続けてもよいし、型枠10の脱型後90日以上養生を続けてもよい。更に、コンクリート構造物の引き渡しに至るまで(例えば脱型後1年以上)養生を続けてももちろんよい。このような長期の養生を続けられることにより、コンクリート構造物の強度や耐久性を飛躍的に高めることができる。なお、本実施形態の製造方法では、上述したようにブリージング水の発生を抑制しているため、コンクリートC内に水和反応を促進するための水が十分に含まれていることになり、養生工程の際、養生に用いる養生水を別途供給しなくてもよいか、あるいは、従来に比べて、はるかに少ない養生水を供給する程度でよい。
その後、所定の養生期間が終了すると、コンクリートCの表面から養生シート12を剥がす撤去工程を行う。このとき、ステープル14の先端を除去する切断処理を行うが、ステープル14は例えば腐食しないセラミックス等から構成されているため、切断残部がそのままコンクリート構造物内に残っていても特に問題が発生しないようになっている。このようにしてコンクリート構造物が完成する。
以上、上述したコンクリート構造物の製造方法によれば、型枠10の内面に例えばコンクリートC側の水との接触角が50度以上となる養生シート12が配置された状態でコンクリートCの打設が行われ、コンクリートCが硬化して型枠10を脱型する際に養生シート12がコンクリートC側に残置される。このため、打設後にコンクリートCが硬化する際、コンクリートCを覆う養生シート12により、脱型前においてコンクリートC内の空気が表面に集まることが抑制されるため、コンクリート表面の気泡(あばた)の発生を押さえることができる。更に、型枠10の内面に養生シート12が配置されることで、従来のように型枠にコンクリートが付着しないため、剥離剤を型枠内面に塗布する必要がなくなり、剥離剤によるコンクリート表面の汚れやシミの発生も抑制できる。しかも、この製造方法によれば、脱型後に養生シート12がコンクリートC側に保持されているので、ブリージング水の発生を抑制しかつコンクリート面が乾燥に曝されることがないため効果的な養生を行うことができ、十分な強度、耐久性、水密性などを有するコンクリート構造物を製造することができる。
また、上記の製造方法では、養生シート12を型枠10の内面にステープル14によって取り付けるシート取付け工程を備えている。このため、例えば略コの字状のステープル14の先端が養生シート12を貫いて型枠10の内面に挿入されることになり、型枠10に対し養生シート12を容易に仮止めすることができる。そして、打設工程において、ステープル14の大分部がコンクリートCのかぶり部等に埋設されるようにコンクリートCの打設を行い、脱型工程において、ステープル14が型枠10から外れると共にコンクリートC側に残置される。このような処理を行うことにより、打設時における養生シート12の型枠10内面への取り付けと、型枠脱型後の養生シート12のコンクリートCへの残置とを容易に実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法について説明する。第2実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、型枠間の幅を固定するためのセパレータ(セパ)及びPコンを利用する際の養生シートのコンクリートCへの残置方法について説明する。図3及び図4は、第2実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法の各工程を説明するための図である。
まず、図3の(a)に示されるように、コンクリート打設用の型枠10、鉄筋22、間隔保持材24(Pコン26及びセパレータ28を含む)、及び養生シート12などを所定の位置に設置する型枠設置工程を行う。養生シート12は、型枠10の内面(つまり打設されるコンクリート側の面)に予め配置されているが、型枠10を設置してから、養生シート12を型枠10の内面に配置してもよい。また、間隔保持材24のPコン26が型枠10の内面に配置された養生シート12に突き当たるようにセパレータ28を配置する。なお、養生シート12には特別な切り込み等は事前に形成されていないものの、間隔保持材24(後述する棒部分26a)を設置する際、それに対応する箇所に貫通孔が形成される。
セパレータ28は、コンクリート打設時における型枠10のはらみを防止するため所定の間隔で設けられており、端部が養生シート12及び型枠10を貫通して外側に突出している。型枠10の外側にはセパレータ28を把持して型枠10のはらみ変形を押さえるための不図示のフォームタイ(登録商標)が設けられる。間隔保持材24は、セパレータ28と円錐台形状をなす樹脂製のPコン26とを有している。セパレータ28の端部には雄ネジが形成されており、Pコン26の内部の雌ネジと螺合して互いに固定されている。また、Pコン26には、セパレータ28を延長するように棒部分26aが設けられており、この棒部分26aが養生シート12及び型枠10を貫いて外側に突出している。外側に突出する棒部分26aの先端には、雄ネジが形成されており、この雄ネジにフォームタイのナット部が螺合する。なお、間隔保持材24は、樹脂製のPコン26に代えて、金属その他の素材からなるPコンを備えていてもよい。また、Pコン26は、必ずしも円錐台形状(Pコン形状)である必要はなく、セパレータ28の幅方向に拡張して型枠10に面接触できる形状であればよい。
型枠10などが所定の位置に設置されると、図3の(a)に示されるように、コンクリートCを型枠10内に流し込むコンクリートCの打設工程が行われる。その後、第1実施形態と同様に、バイブレータ等を用いて締固めを行う。
次に、コンクリートCの凝結がある程度進み硬化したら、図3の(b)に示されるように、型枠10を脱型する脱型工程を行う。脱型の際には、間隔保持材24の外側に突出する棒部分26aも取り除かれる。これにより、棒部分26aが貫通して小孔12aが形成されている養生シート12においてPコン26の位置する領域の印付が設けられることになる。そして、図3の(c)に示すように、この小孔12aを中心としてPコン26の周りに位置する円形状のシート領域を熱接着器具であるホットスタンプガン27又ははんだごて等により溶融させて除去し、Pコン26の端部全体を露出させる(図3の(d)参照)。この際、養生シート12の孔12bの周縁部が溶融により形成されることにより、この溶融部12bを用いて養生シート12がコンクリートCに取り付けられる。
Pコン26の端部が露出した後、Pコン26をセパレータ28から取り外す。そして、Pコン26を取り外すことでコンクリートCに残る穴C1に、図4の(a)に示すように、円錐台形状のモルタル製コーン(埋込体)28aを埋め込んだり,フレッシュモルタルを打設する(埋込体配置工程)。モルタル製コーン28aは、内部に埋設された爪部がセパレータ28の雄ネジを把持することで固定される。なお、穴C1を埋めるための埋込体としては、モルタル製に限られず、その他適切な材料を用いることができる。また、埋込体は、円錐台形状(Pコン形状)に限られず、穴C1に応じた形状であればよい。
続いて、図4の(b)に示すように、モルタル製コーン28aの端部が露出している養生シート12の溶融部12bを覆うように、養生シート12と同種の材料からなる養生シート端材12cを養生シート12に接着する(接着工程)。そして、このように溶融部12bが塞がれた養生シート12を用いて、コンクリート構造物を養生する養生工程を行う。以降の工程は第1実施形態と略同様であるため説明を省略するが、このようにしてコンクリート構造物が完成する。
以上、上述したコンクリート構造物の製造方法によっても、第1実施形態と同様に、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が型枠10に対する養生シート12の付着強度A2よりも大きくなり、型枠10を脱型する際に養生シート12がコンクリートC側に残置され、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、「脱型を行う際」というのは、脱型を行った時点のみを指すのではなく、脱型処理を行った直後の処理も含む趣旨である。
また、本実施形態に係る製造方法では、養生シート12に対して特に事前に切込み処理等を行う必要がなく脱型工程の際にPコン26に対応するシート箇所を溶融除去してPコン26を取り出すと共に、当該溶融箇所を用いて養生シート12をコンクリートCに容易に残置させることができる。なお、本実施形態では、Pコン26を取り出す際に養生シート12の対応箇所を溶融除去し、養生の際に当該溶融部12bに養生シート端材12cを接着するようにしていたが、図5の(a)及び(b)に示すように、Pコン26を押さえる押さえ治具29を設置するようにしてもよい。この押さえ治具29は、コンクリートCに残る穴C1中のネジ穴を利用して、養生シート12を溶融することなくコンクリートに残置させる。
また、図11〜図13に示すように、Pコン26の周辺(例えば上下)にメルト接着剤(熱融解する熱可塑性樹脂等)から形成されるアンカー部材42を設けるようにしてもよい。この場合、まず、図11に示すように、接着剤40によって型枠10に貼り付けられた養生シート12に対して、例えばPコン26を設置した際にPコン26を挟み込めるような位置にアンカー部材42をホットメルトガン44によって形成する。ホットメルトガン44によって形成されるアンカー部材42は、例えば図13の(a)に示すように、コケシ形状を呈しており、頭部の径が0.1mm〜5mm(好ましくは0.5mm〜2mm)であり、長さ(高さ)が1mm〜20mm(好ましくは2mm〜5mm)である。その後、図12の(a)〜(d)に示すように、型枠を設置し、コンクリートC中にアンカー部材42が埋没するようにコンクリートCを打設し、型枠の脱型及び養生工程を行う。この際、Pコン26に加え、アンカー部材42も形成するようにしているので、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が型枠10に対する養生シート12の付着強度A2よりも確実に大きくすることができる。
アンカー部材42の形状は、図13の(a)に示す形状に限定されるものではなく、図13の(b)に示すクサビ形状、図13の(c)に示す棒形状、図13の(d)に示す枝形状、図13の(e)に示す玉形状、図13の(f)に示す矢印形状、図13の(g)に示すカーブ形状、図13の(h)に示す三角形形状、図13の(i)に示す稲妻形状等、コンクリートCから抜けづらい形状を適宜選択して用いることができる。なお、Pコン26を用いずにアンカー部材42を養生シート12上に多数設けて打設・脱型するようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法について説明する。第3実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、小型のアンカー部材を用いて、養生シートをコンクリートへ残置させる。図6は、第3実施形態に係る製造方法の各工程を説明するための図であり、図7は、当該製造方法に用いられるアンカー部材の例を示す図である。
第3実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、まず、図6の(a)に示されるように、コンクリート打設用の型枠10を所定の位置に設置すると共に養生シート12を型枠10の内面に貼り付ける。なお、型枠10には、Pコン26及びセパレータ28を設置するためのスペースが予め設けられている。
次に、型枠10の設置及び養生シート12の配置が終了した後、図6の(b)に示されるように、セパレータ28等のための孔12dを養生シート12に設けると共に、養生シート12に複数のアンカー部材32を接着する。アンカー部材32は、例えば図7に示すように1辺が2mm〜30mm程度の小型のアンカー部材であり、例えばモルタル等から構成されている。このようなアンカー部材32が養生シート12の面上に多数接着された後、Pコン26、セパレータ28及び棒部材26a等が所定の位置に設置される(図6の(c)参照)。なお、アンカー部材32間のピッチや接着するアンカー部材32の数は適宜設定することができる。
次に、図6の(d)に示すように、コンクリートCを型枠10によって形成された空隙内に流し込んでコンクリートCを打設する。この打設工程では、養生シート12に接着されたアンカー部材32がコンクリートC内に埋設される。
その後、第1実施形態等と同様に、バイブレータ等を用いてコンクリートCの締固めを行い、型枠10をはめたまま、養生シート12により、コンクリートCの湿潤養生を行い、コンクリートCを硬化させる。そして、コンクリートCの凝結がある程度進み硬化したら、図6の(e)に示すように、型枠10を脱型し、棒部材26aも取り外す。この脱型の際、アンカー部材32がコンクリートC内に埋設されているため、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が型枠10に対する養生シート12の付着強度A2よりも大きくなり、これにより、脱型工程の後に養生シート12がコンクリートC側に確実に残置される。その後、コンクリートCの表面に残置された養生シート12を用いて、コンクリート構造物を養生する養生工程を行い、コンクリート構造物が完成する。
以上、上述したコンクリート構造物の製造方法によっても、第1及び第2実施形態と同様に、コンクリートCが硬化して型枠10を脱型する際に養生シート12がコンクリートC側に残置され、第1及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法について説明する。第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、図8に示すように、微小な貫通孔が多数形成された型枠10aを用いてコンクリート構造物を製造する。
第4実施形態に係るコンクリート構造物の製造方法では、まず、図8に示されるように、多数の貫通孔11が設けられた型枠10aを所定の位置に設置すると共に養生シート12を型枠10aの内面に取り付けて、コンクリートの打設を行う。型枠10aに設けられる貫通孔11としては、例えば直径が1mm〜30mmであり、各貫通孔11の中心ピッチが25mm〜300mmであり、好ましくは、直径が1mm〜10mmであり、中心ピッチが100mm〜200mmである。その後、第1実施形態等と同様に、バイブレータ等を用いてコンクリートCの締固めを行い、型枠10aをはめたまま、養生シート12により、コンクリートCの湿潤養生を行い、コンクリートCを硬化させる。
そして、コンクリートCの凝結がある程度進み硬化したら、フォームタイを緩める前又は緩めた後に、図9の(a)及び(b)に示すように、型枠10aの多数の貫通孔11に対して圧縮空気を注入し、型枠10aと養生シート12との間の付着状態を解消させる。つまり、圧縮空気Sを型枠10aと養生シート12との間に送り込むことで、型枠10aの脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が、型枠10aに対する養生シート12の付着強度A2よりも大きくなるようにする。そしてこの状況で型枠10aを脱型する。これにより、脱型工程の後に養生シート12がコンクリートC側に残置される。その後、コンクリートCの表面に残置された養生シート12を用いて、コンクリート構造物を養生する養生工程を行い、コンクリート構造物が完成する。
以上、上述したコンクリート構造物の製造方法によっても、第1〜第3実施形態と同様に、コンクリートCが硬化して型枠10を脱型する際に養生シート12がコンクリートC側に残置され、第1〜第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、上述した実施形態では、圧縮空気Sを型枠10aと養生シート12との間に注入するようにしたが、図10に示すように、圧縮空気に換えて水Wを型枠10aと養生シート12との間に注入するようにしてもよい。この場合も、水Wを型枠10と養生シート12との間に送り込むことで、型枠10の脱型を行う際にコンクリートCに対する養生シート12の付着強度A1が、型枠10に対する養生シート12の付着強度A2よりも大きくなり、これにより、脱型工程の後に養生シート12がコンクリートC側に残置される。しかも、養生シート12をPVA糊等の水溶性の高分子系接着剤で型枠10に取り付けていた場合、水Wを用いることで、当該接着剤が水に溶けるため、脱型工程の後に養生シート12をコンクリートC側に確実に残置させることができる。なお、このような圧縮空気Sや水Wの注入は、第1〜第3実施形態の方法と組み合わせて行うようにしてもよいし、単独で行うようにしてもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用できる。例えば、上記実施形態で用いる型枠10aには、養生シート12の熱膨張係数(例えば60〜160×10−6/℃)よりも低い熱膨張係数(例えば20〜60×10−6/℃)を有する合板を用いることが多く、養生シート12や型枠10に対して熱が加わった場合、両者の熱膨張係数が大きく異なることがある。この場合、養生シート12にシワが発生してしまい、養生されるコンクリート表面の仕上がりを悪化させてしまう。そこで、例えば、上記何れかの実施形態において、養生シートの熱膨張係数に近くなるように60×10−6/℃よりも大きい樹脂製の型枠を用いるようにしてもよい。このような樹脂製の型枠10を用いることにより、型枠10と養生シート12の熱膨張係数を近似させることができ、これにより、養生シートにシワが発生しづらくなる。つまり、養生シート12によって養生されるコンクリートCの表面の仕上がり状態を良好なものとすることができる。なお、このような養生シート12としては、例えば再生プラスチックボードであるNFボード(JFEプラリソース株式会社製)を用いることができる。
また、上述した実施形態では、養生シート12を型枠10へ貼り付ける際にPVA糊等を用いる例を示したが、型枠10がメタルフォームの場合、PVA糊が弱酸性であることから、そのまま用いると型枠10に錆が発生してしまい、型枠10を繰り返し使用することが難しくなってしまう。そこで、上述した実施形態の何れかにおいて、型枠10がメタルフォームの場合、PVA糊にアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム)を添加したアルカリ性の糊によって養生シート12が型枠10に取り付けられるようにしてもよい。このようにPVA糊にアルカリ溶液を加えてアルカリ性とすることにより、かかる錆の発生を抑えることができ、メタルフォームである型枠10を繰り返し使用することが可能となる。なお、養生シート12を型枠10へ貼り付ける際にPVA糊等を使用してもよいが、これに代えて、養生シート12を型枠10(例えば鋼製型枠)へ静電気等により取り付けるようにしてもよい。
また、コンクリート打設用の型枠10としては、塗装合板や化粧合板を用いることが一般的に行われてきたが、上述した実施形態のように養生シート12をコンクリートの打設〜養生に亘ってそのまま用いる場合には、無塗装の合板を用いてももちろんよい。この場合、養生シート12をコンクリート側に配置することにより、コンクリートの表面品質は、塗装合板等を用いた場合と同等のものとすることができ、しかも無塗装の合板であるため、コンクリート工を合理化することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、実施例1として、第1実施形態に示すようにステープルを用いてコンクリートの打設を行った。また、比較例1〜3として、グリース又はPVA糊を型枠に塗布し、ステープルを用いることなくコンクリートの打設を行った。ここで用いたコンクリートの材料及び配合は以下の表1及び表2に示すとおりであり、このような構成のコンクリートを準備した。このコンクリートは、水セメント比が55%であり、フレッシュ試験結果(コンクリート温度23℃)において、スランプ値が9.0cm、空気量が5.6%、及び単位体積重量が2289Kg/mであった。
Figure 0005749830
Figure 0005749830
実施例1では、図1の(b)に示すように、縦10cm×横10cm×厚み200μmの矩形の養生シート(ポリプロピレン製の養生シート)を準備し、その養生シートの4隅及び中心の5か所を略コ字状のステープル(マックス株式会社製、商品名:ホッチキス針)によって型枠へ仮止めした。仮止めでは、ステープル(脚長:5mm)の先端が0.5mm〜3mmの範囲で型枠内に入るようにした。このような型枠4枚を及び底板を準備し、略直方体形状のコンクリート構造物を打設できるようにこれら型枠等を設置した。その後、ステープルがコンクリート内に残置されるようにしてコンクリートの打設を行った。この打設の際、ステープルのコンクリート内に埋設される部分の容積がステープル全体の容積に対して30%程度以上となるようにした。なお、実施例1に係るコンクリート構造物は2つ作製した。
次に、比較例1として、実施例1と同じ形状の型枠及び養生シートを準備し、型枠にグリース(株式会社シマノ製、商品名:グリス)を塗布し、そこに養生シートを貼り付けた。その後、コンクリートの打設を行った。比較例1に係るコンクリート構造物は1つ作製した。同様に、比較例2として、実施例1と同じ形状の型枠及び養生シートを準備し、型枠にPVA糊(大成化薬株式会社製、商品名:マルタイト)100%を塗布し、そこに養生シートを貼り付けた。その後、コンクリートの打設を行った。また、比較例3として、実施例1と同じ形状の型枠及び養生シートを準備し、型枠にPVA糊(大成化薬株式会社製、商品名:マルタイト)100%を塗布し、そこに養生シートを貼り付けた。なお、比較例3では、コンクリート打設の30分前に、養生シートのコンクリート側の面にも同様のPVA糊100%を同程度塗布した。その後、コンクリートの打設を行った。なお、比較例2,3に係るコンクリート構造物は2つ作製した。
以下の表3に、実施例1と比較例1〜3での使用シートや取付方法についてまとめたものを示す。
Figure 0005749830
実施例1及び比較例1〜3に係るコンクリート構造物を打設後、材齢28日経過した時点で、どの程度、養生シートが型枠から剥離しているかを養生シートの全面積を100%として確認した。確認の結果は、以下の表4に示す通りであった。
Figure 0005749830
表4から明らかなように、コンクリート側への取付け(埋設)をステープルで行った実施例1では、養生シートが型枠からまったく剥離されていなかった。一方、グリースを型枠へ塗布して養生シートを型枠に貼り付けた比較例1、及び、PVA糊を塗布して養生シートを型枠に貼り付けた比較例2,3では、養生シートが全面積の50%以上剥離してしまっており、PVA糊を用いた比較例2,3では、80%以上剥離してしまった。
[実施例2]
次に、実施例2〜4として、第3実施形態に示すようなアンカー部材(縦3.0cm×横2.5cm×厚み2.0cm)を用いてコンクリートの打設を行った。また、比較例4として、グリースを型枠に塗布してコンクリートの打設を行った。ここで用いたコンクリートの材料及び配合は上述した表1に示すとおりであり、まずは、このようなコンクリートを準備した。
実施例2では、図6に示すように、縦10cm×横10cm×厚み300μmの矩形の養生シート(実施例1と同種の材料、厚みが異なる)を準備し、その養生シートの4隅及び中心の5か所に上述したアンカー部材を接着し、養生シートを型枠に取り付けた。そして、このような型枠4枚及び底板を準備し、略直方体形状のコンクリート構造物を打設できるように、これら型枠等を設置した。その後、アンカー部材がコンクリート内に残置されるようにしてコンクリートの打設を行った。なお、実施例2に係るコンクリート構造物は1つ作製した。
また、実施例3として、実施例2と同形状の養生シートを準備し、その養生シートに対して3行3列となるように9個のアンカー部材をピッチ4.5cmで接着し、その養生シートを型枠に取り付けた。このような型枠4枚及び底板を準備し、略直方体形状のコンクリート構造物を打設できるようにこれら型枠等を設置した。その後、アンカー部材がコンクリート内に残置されるようにしてコンクリートの打設を行った。なお、実施例3に係るコンクリート構造物は1つ作製した。
また、実施例4として、実施例2,3と同形状の養生シートを準備し、その養生シートに対して4行4列となるように16個のアンカー部材をピッチ3cmで接着し、その養生シートを型枠に取り付けた。このような型枠4枚及び底板を準備し、略直方体形状のコンクリート構造物を打設できるように、これら型枠等を設置した。その後、アンカー部材がコンクリート内に残置されるようにしてコンクリートの打設を行った。なお、実施例4に係るコンクリート構造物は1つ作製した。
次に、比較例4として、実施例2〜4と同じ形状の型枠及び養生シートを準備し、型枠にグリース(株式会社シマノ製、商品名:グリス)を塗布し、そこに養生シートを貼り付けた。アンカー部材は使用しなかった。その後、コンクリートの打設を行った。比較例4に係るコンクリート構造物は1つ作製した。
実施例2〜4及び比較例4に係るコンクリート構造物を打設後、材齢7日経過した時点で、どの程度、養生シートが型枠から剥離しているかを養生シートの全面積を100%として確認した。確認の結果は、以下の表5に示す通りであった。
Figure 0005749830
なお、剥離面積の評価については、同一のサンプルにおける異なる2面(試験面A,B)での剥離面積を測定した。表5から明らかなように、複数のアンカー部材を養生シートに接着すると共に打設コンクリート内にかかるアンカー部材が埋設されるようにした実施例2〜4では、養生シートがコンクリート構造物から剥離することがなく、コンクリート側に確実に残置された。また、コンクリートに対する養生シートの付着強度も0.8N/mm以上であった。一方、比較例4では、アンカー部材を用いていないため、養生シートがコンクリート構造物から半分弱程度剥離してしまった。また、その際のコンクリートに対する養生シートの付着強度も0.56N/mmであり、アンカー部材を用いた場合より格段に低かった。なお、ここでいう「付着強度」は、JSCE−K532に準じて測定した。
10,10a…型枠、12…養生シート、12c…養生シート端材、14…ステープル、26…Pコン、28…セパレータ、32…アンカー部材、C…コンクリート。

Claims (5)

  1. コンクリート打設用の型枠を設置する型枠設置工程と、
    前記型枠の内面に非透水性の養生シートが配置された状態でコンクリートの打設を行う打設工程と、
    前記コンクリートの打設後に前記型枠を脱型する脱型工程と、を備え、
    前記打設工程に用いられる前記養生シートの前記コンクリート側の接触面の水との接触角が50度以上であり、
    前記型枠設置工程において、端部側にPコンが取り付けられたセパレータを、前記Pコンが前記型枠の内面に配置された前記養生シートに突き当たるように設置し、前記脱型工程の後、前記養生シートのうち前記Pコンの周りに位置する領域を熱で溶融して前記養生シートを前記コンクリートに残置させると共に前記Pコンを取り外すことにより、前記型枠の脱型を行う際に前記コンクリートに対する前記養生シートの付着強度が前記型枠に対する前記養生シートの付着強度よりも大きくなるようにし、前記脱型工程の後に前記養生シートを前記コンクリートに残置させることを特徴とする、コンクリート構造物の製造方法。
  2. 前記Pコンを取り外した後に前記コンクリートに残る穴に埋込体を配置する埋込体配置工程と、
    前記養生シートの溶融領域を覆うように養生シート端材を接着する接着工程と、
    を更に備えることを特徴とする請求項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  3. 前記脱型工程では、前記型枠を脱型する前に圧縮空気又は水を前記養生シートと前記型枠との間に送り込むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  4. 前記型枠は、熱膨張係数が60×10−6/℃より大きい樹脂性の型枠であることを特徴とする、請求項1〜の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
  5. 前記型枠はメタルフォームであり、ポリビニルアルコール(PVA)糊にアルカリ溶液を添加したアルカリ性の糊によって前記養生シートが前記型枠に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のコンクリート構造物の製造方法。
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