JP2014151500A - 粗面材付きコンクリート部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粗面材付きコンクリート部材を効率的に製造するための有効適切な製造方法を提供する。
【解決手段】コンクリート部材2を成型するための型枠4の内面に面ファスナーの要素であるフック面7を剥離不能に固着しておき、粗面材3をフック面に対して剥離可能に貼り付けることで型枠の内面に装着し、その状態で型枠内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材を成型するとともにその表層部に粗面材を打ち込み、型枠を脱型して型枠とともにフック面を粗面材から剥離せしめる。フック面に対して粗面材を貼り付けた際の面内方向の引張せん断強度を1N/cm2以上に設定し、面外方向の剥離強度を5N/cm以下に設定することが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】コンクリート部材2を成型するための型枠4の内面に面ファスナーの要素であるフック面7を剥離不能に固着しておき、粗面材3をフック面に対して剥離可能に貼り付けることで型枠の内面に装着し、その状態で型枠内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材を成型するとともにその表層部に粗面材を打ち込み、型枠を脱型して型枠とともにフック面を粗面材から剥離せしめる。フック面に対して粗面材を貼り付けた際の面内方向の引張せん断強度を1N/cm2以上に設定し、面外方向の剥離強度を5N/cm以下に設定することが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、コンクリート部材の表層部に繊維シートからなる粗面材を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材の製造方法に関する。
この種の粗面材付きコンクリート部材はたとえば特許文献1〜3に示されているように周知であり、その構成例を図5に示す。
図5に示す粗面材付きコンクリート部材1は、コンクリート造の躯体等として施工されるコンクリート部材2の仕上げ面に対してたとえばタイル等の仕上げ材を後張りするような場合に適用されるもので、その仕上げ材をコンクリート部材2の表面に対して確実堅固に定着して一体化させるために、図5に示すように繊維シートからなる粗面材3をコンクリート部材2の仕上げ面に対して予め打ち込んでおくものである。
その粗面材3としては、スパンボンド基布にビニロン繊維をニードルパンチ加工した立体網目状の特殊繊維シート(不織布)を基本として、特許文献1〜3に示されるようにポリマーセメントをコーティングしたものや、繊維密度の異なる複数の繊維層からなる構成のものが好適に採用されている。
図5に示す粗面材付きコンクリート部材1は、コンクリート造の躯体等として施工されるコンクリート部材2の仕上げ面に対してたとえばタイル等の仕上げ材を後張りするような場合に適用されるもので、その仕上げ材をコンクリート部材2の表面に対して確実堅固に定着して一体化させるために、図5に示すように繊維シートからなる粗面材3をコンクリート部材2の仕上げ面に対して予め打ち込んでおくものである。
その粗面材3としては、スパンボンド基布にビニロン繊維をニードルパンチ加工した立体網目状の特殊繊維シート(不織布)を基本として、特許文献1〜3に示されるようにポリマーセメントをコーティングしたものや、繊維密度の異なる複数の繊維層からなる構成のものが好適に採用されている。
この種の粗面材付きコンクリート部材1は、たとえば図6(a)〜(c)にイメージとして示すような工程で製造されることが一般的である。
すなわち、図6(a)に示すようにコンクリート部材2を成形するための型枠4(堰板)の内面に上記の粗面材3をタッカー5により仮固定しておき、その状態で(b)に示すように型枠4内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材2を成型すると同時にその表層部に粗面材3を打ち込んでしまい、しかる後に(c)に示すように型枠4を脱型するようにしている。
すなわち、図6(a)に示すようにコンクリート部材2を成形するための型枠4(堰板)の内面に上記の粗面材3をタッカー5により仮固定しておき、その状態で(b)に示すように型枠4内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材2を成型すると同時にその表層部に粗面材3を打ち込んでしまい、しかる後に(c)に示すように型枠4を脱型するようにしている。
ところで、図5に示したような粗面材付きコンクリート部材1を図6に示したような従来一般的な製造工程により製造する場合には、粗面材3を型枠4に対してタッカー5により仮固定していることから、型枠4(堰板)が金属製または樹脂性の場合には適用できない。また、型枠4として木製の転用型枠を用いる場合においては脱型後に型枠4の内面からタッカー5を抜去する必要があるばかりでなく、型枠4の内面にタッカー5による傷が付いてしまうので型枠4の転用可能回数が制限されるという問題がある。
また、粗面材3の要所を少数のタッカー5により仮固定する程度では、コンクリート打設時に粗面材3が型枠4から剥がれたり位置ずれが生じることがあるばかりでなく、ノロが粗面材3の表面側に漏れ出してしまうことがあり、その場合には粗面材3の全体がコンクリート部材2の表層部に埋没してしまって有効に機能し得ないものとなるから、それを防止するためには粗面材3のほぼ全面を型枠4に対して仮固定しておく必要がある。
そのため、通常は多数のタッカー5を50mm〜150mm程度の十分に密なピッチで型枠4に打ち込んで粗面材3をほぼ全面的に仮固定するようにしている。具体的には、たとえば図7に示すように、型枠4の周縁部においてはノロ漏れ防止のためにタッカー5(図では×印で示す)のピッチを50mm〜150mm程度としたうえで、中央部は粗面材3のしわ(ふくれ、たるみ)を防ぐためにタッカー5のピッチを200mm〜300mm程度としている。
そのため、必然的に脱型後には多数のタッカー5を抜去する作業が必要となるから、それらの作業に多大の手間を要して非効率的である。
そのため、通常は多数のタッカー5を50mm〜150mm程度の十分に密なピッチで型枠4に打ち込んで粗面材3をほぼ全面的に仮固定するようにしている。具体的には、たとえば図7に示すように、型枠4の周縁部においてはノロ漏れ防止のためにタッカー5(図では×印で示す)のピッチを50mm〜150mm程度としたうえで、中央部は粗面材3のしわ(ふくれ、たるみ)を防ぐためにタッカー5のピッチを200mm〜300mm程度としている。
そのため、必然的に脱型後には多数のタッカー5を抜去する作業が必要となるから、それらの作業に多大の手間を要して非効率的である。
なお、粗面材3をタッカー5により仮固定することなく、特許文献1に示されているように接着剤によって型枠4の内面に接着することが考えられるが、その場合にはコンクリート打設時に粗面材3が型枠4から不用意に剥がれてしまったりずれたりしてしまうことがなく、しかも脱型時には粗面材3が型枠4から容易にかつ確実に剥がれるように接着強度を適切に設定する必要があるが、そのための接着剤の選択や接着強度の設定は必ずしも容易ではない。
また、特許文献3に示されているように粗面材3を型枠4に対して直接的に仮固定するのではなく、粗面材3を適宜の仮固定用面材に対して仮固定したうえで仮固定用面材を型枠4の内面に配置することで間接的に仮固定することも考えられるが、そのような仮固定用面材を用いることはそのための手間と費用を要するし、余分な廃材も生じるので好ましいことではない。
上記事情に鑑み、本発明は従来一般的な手法のようにタッカーや接着剤、仮固定用面材等を用いることなく、粗面材付きコンクリート部材をより効率的に製造するための有効適切な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、この種の粗面材付きコンクリート部材における粗面材の素材としての繊維シートは面ファスナーの構成要素であるループ面とほぼ同等の素材であり、したがってその粗面材が面ファスナーにおけるフック面に対して着脱自在に結合可能であることに着目してなされたものである。
すなわち、請求項1記載の発明は、コンクリート部材の表層部に繊維シートからなる粗面材を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材の製造方法であって、前記コンクリート部材を成型するための型枠の内面に面ファスナーの要素であるフック面を剥離不能に固着しておき、前記粗面材の表面部を前記フック面に対応するループ面として機能せしめて、該粗面材を前記フック面に対して剥離可能に貼り付けることによって該粗面材を前記型枠の内面に装着し、その状態で前記型枠内にコンクリートを打設充填して前記コンクリート部材を成型するとともに該コンクリート部材の表層部に前記粗面材の背面部を定着せしめ、しかる後に、前記型枠を脱型して該型枠とともに前記フック面を前記粗面材から剥離せしめることを特徴とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、コンクリート部材の表層部に繊維シートからなる粗面材を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材の製造方法であって、前記コンクリート部材を成型するための型枠の内面に面ファスナーの要素であるフック面を剥離不能に固着しておき、前記粗面材の表面部を前記フック面に対応するループ面として機能せしめて、該粗面材を前記フック面に対して剥離可能に貼り付けることによって該粗面材を前記型枠の内面に装着し、その状態で前記型枠内にコンクリートを打設充填して前記コンクリート部材を成型するとともに該コンクリート部材の表層部に前記粗面材の背面部を定着せしめ、しかる後に、前記型枠を脱型して該型枠とともに前記フック面を前記粗面材から剥離せしめることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の粗面材付きコンクリート部材の製造方法であって、前記フック面に対して前記粗面材の表面部を前記ループ面として貼り付けた際の面内方向の引張せん断強度を1N/cm2以上に設定し、かつ面外方向の剥離強度を5N/cm以下に設定することを特徴とする。
本発明によれば、面ファスナーにおけるフック面を型枠内面に固着しておき、そのフック面に対して粗面材を貼り付けることのみで、粗面材を型枠内面に対して直接的に仮固定しかつ容易に剥離可能である。
したがって、本発明によれば、型枠内面に対する粗面材の装着作業を極めて容易にかつ単純作業により効率的に実施できるものであり、特に従来一般的な手法による場合のように粗面材を多数のタッカーにより仮止めする作業や脱型後に型枠から多数のタッカーを抜去する作業を省略することが可能であり、したがって作業効率を格段に向上させることができる。
したがって、本発明によれば、型枠内面に対する粗面材の装着作業を極めて容易にかつ単純作業により効率的に実施できるものであり、特に従来一般的な手法による場合のように粗面材を多数のタッカーにより仮止めする作業や脱型後に型枠から多数のタッカーを抜去する作業を省略することが可能であり、したがって作業効率を格段に向上させることができる。
以下、本発明の粗面材付きコンクリート部材の製造方法の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
本実施形態の粗面材付きコンクリート部材の製造方法は、図5に示したようにコンクリート部材2の表層部に繊維シートからなる粗面材3を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材1を製造するに際し、基本的には図6に示した従来の手法のようにコンクリート部材2を成型するための型枠4(堰板)の内面に粗面材3を装着して仮固定したうえで、型枠4内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材2を成型するとともにその表層部に粗面材3を打ち込むものであるが、本実施形態では従来のように型枠4に対する粗面材3の仮固定を上述したようにタッカー5や接着剤あるいは仮固定用面材により行うことに代えて、いわゆる面ファスナーを利用して行うことを主眼とする。
本実施形態の粗面材付きコンクリート部材の製造方法は、図5に示したようにコンクリート部材2の表層部に繊維シートからなる粗面材3を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材1を製造するに際し、基本的には図6に示した従来の手法のようにコンクリート部材2を成型するための型枠4(堰板)の内面に粗面材3を装着して仮固定したうえで、型枠4内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材2を成型するとともにその表層部に粗面材3を打ち込むものであるが、本実施形態では従来のように型枠4に対する粗面材3の仮固定を上述したようにタッカー5や接着剤あるいは仮固定用面材により行うことに代えて、いわゆる面ファスナーを利用して行うことを主眼とする。
周知のように、面ファスナーはマジックテープ、マジックファスナー、ベルクロ(いずれも登録商標。英語表記での一般名称は hook-and-loop fastenerとされることが多い))等と通称されて各種分野で多用されているテープ状のファスナーである。
この種の面ファスナー6は、図3にその基本構成のイメージを示すように、フック状に起毛されたフック面7とループ状に密集して起毛されたループ面8とを対として互いに面的に着脱可能に結合させるものであり、それらフック面7とループ面8を結合対象の2部材(図示略)に対してそれぞれ剥離不能に固着しておく(通常はそれぞれの背面側に設けられている接着剤層によって接着しておく)ことにより、この面ファスナー6を介して双方の部材を着脱自在にしかも何度でも繰り返して結合可能なものである。
なお、この種の面ファスナー6におけるフック面7としては、図3(a)に示すようにキノコ状の突起として起毛したいわゆるマッシュルームタイプのものと、図3(b)に示すように鈎状に起毛したフックタイプのものがある。
この種の面ファスナー6は、図3にその基本構成のイメージを示すように、フック状に起毛されたフック面7とループ状に密集して起毛されたループ面8とを対として互いに面的に着脱可能に結合させるものであり、それらフック面7とループ面8を結合対象の2部材(図示略)に対してそれぞれ剥離不能に固着しておく(通常はそれぞれの背面側に設けられている接着剤層によって接着しておく)ことにより、この面ファスナー6を介して双方の部材を着脱自在にしかも何度でも繰り返して結合可能なものである。
なお、この種の面ファスナー6におけるフック面7としては、図3(a)に示すようにキノコ状の突起として起毛したいわゆるマッシュルームタイプのものと、図3(b)に示すように鈎状に起毛したフックタイプのものがある。
但し、本実施形態ではそのような面ファスナー6の全体をそのまま用いるのではなく、フック面7のみを利用してそのフック面7に対して粗面材3としての繊維シートを直接的に貼り付けることにより、粗面材3をフック面7を介して型枠4の内面に対して剥離可能に仮固定することを要旨とするものである。
すなわち、本実施形態では、繊維シートからなる粗面材3がそれ自体で面ファスナー6におけるループ面8と実質的に同様に機能する素材であることに着目して、それに対応するフック面7を型枠4の内面に予め固着しておき、そのフック面7に対して粗面材3を直接的に貼り付けることで型枠4の内面に対して仮固定するようにしたものである。
すなわち、本実施形態では、繊維シートからなる粗面材3がそれ自体で面ファスナー6におけるループ面8と実質的に同様に機能する素材であることに着目して、それに対応するフック面7を型枠4の内面に予め固着しておき、そのフック面7に対して粗面材3を直接的に貼り付けることで型枠4の内面に対して仮固定するようにしたものである。
本実施形態の製造方法の具体的な手順を図1に示す。
まず、図1(a)に示すように、コンクリート部材2を成型するための型枠4(堰板)の内面全体もしくは要所に上記のフック面7を予め剥離不能な状態で固着しておく。
型枠4に対するフック面7の固着は、通常の面ファスナー6を用いる場合と同様にフック面7の背面側に形成されている接着剤層により接着することで行えば良いが、必要であればたとえばタッカー等の固着手段を併用して確実に剥離しないようにより堅固に固着しても良い。
そして、そのフック面7に対して粗面材3を貼り付けて仮固定する。この際、上述したように粗面材3の素材である繊維シートは実質的に面ファスナー6におけるループ面8と同等の素材であるから、粗面材3をフック面7に対して軽く押しつける程度でその表面部をフック面7に対して確実に貼り付けることができるし、後述するようにそれのみで所望の仮固定強度が支障なく確保可能である。
まず、図1(a)に示すように、コンクリート部材2を成型するための型枠4(堰板)の内面全体もしくは要所に上記のフック面7を予め剥離不能な状態で固着しておく。
型枠4に対するフック面7の固着は、通常の面ファスナー6を用いる場合と同様にフック面7の背面側に形成されている接着剤層により接着することで行えば良いが、必要であればたとえばタッカー等の固着手段を併用して確実に剥離しないようにより堅固に固着しても良い。
そして、そのフック面7に対して粗面材3を貼り付けて仮固定する。この際、上述したように粗面材3の素材である繊維シートは実質的に面ファスナー6におけるループ面8と同等の素材であるから、粗面材3をフック面7に対して軽く押しつける程度でその表面部をフック面7に対して確実に貼り付けることができるし、後述するようにそれのみで所望の仮固定強度が支障なく確保可能である。
そして、その状態で図1(b)に示すように型枠4内にコンクリートを打設充填してコンクリート部材2を成型するとともに、コンクリート部材2の表層部に粗面材3の背面部を一体に定着せしめる。
この際、粗面材3はフック面7に対して確実に貼り付けられているので、コンクリート打設の際に粗面材3が型枠4から剥がれたり位置ずれを生じることはないし、ノロが粗面材3の表面側に漏れ出して粗面材3全体がコンクリート部材2の表層部に埋没してしまうこともない。
この際、粗面材3はフック面7に対して確実に貼り付けられているので、コンクリート打設の際に粗面材3が型枠4から剥がれたり位置ずれを生じることはないし、ノロが粗面材3の表面側に漏れ出して粗面材3全体がコンクリート部材2の表層部に埋没してしまうこともない。
所定の養生時間が経過した後、図1(c)に示すように型枠4を脱型する。この際、型枠4に固着されているフック面7は型枠4とともに粗面材3から容易に剥離してしまい、粗面材3は背面部がコンクリート部材2の表層部に打ち込まれた状態でそこに残置されるから、これにより粗面材付きコンクリート部材1の完成となる。
なお、脱型した型枠4はそのまま他の粗面材付きコンクリート部材1を製造するために繰り返して転用可能であり、内面に固着してあるフック面7をその都度取り外したり張り替える必要はない。
なお、脱型した型枠4はそのまま他の粗面材付きコンクリート部材1を製造するために繰り返して転用可能であり、内面に固着してあるフック面7をその都度取り外したり張り替える必要はない。
以上のように、本実施形態によれば、面ファスナー6におけるフック面7を利用して粗面材3を型枠4の内面に対して直接的に仮固定するので、その作業を極めて容易にかつ単純作業により効率的に実施できる。特に、従来一般的な手法による場合のように粗面材3を多数のタッカー5により仮止めする作業や、脱型後に型枠4から多数のタッカー5を抜去する作業を省略することが可能であり、したがって作業効率を格段に向上させることができる。
なお、本実施形態の製造方法による場合には、コンクリート打設の際に粗面材3がフック面7から剥離したり位置ずれを生じることがなく、しかも脱型時はフック面7が粗面材3から容易に剥離可能であることが好ましく、そのためにはフック面7に対する粗面材3の仮固定強度を適切に設定する必要がある。
そして、そのためには、フック面7に対して粗面材3を貼り付けた際に面内方向の引張せん断強度が1N/cm2以上、特に好ましくは5N/cm2以上となるように設定し、かつ、面外方向の剥離強度が5N/cm以下、特に好ましくは2N/cm以下となるように設定すると良く、そのような設定強度が得られるようにフック面7および粗面材3の仕様およびそれらの組み合わせを適切に決定すれば良い。
換言すると、面内方向の引張せん断強度が1N/cm2以下であると粗面材3の位置ずれを有効に防止できないので好ましくなく、面外方向の剥離強度が5N/cm以上であると脱型時に粗面材3から剥離し難くなるので好ましくない。
そして、そのためには、フック面7に対して粗面材3を貼り付けた際に面内方向の引張せん断強度が1N/cm2以上、特に好ましくは5N/cm2以上となるように設定し、かつ、面外方向の剥離強度が5N/cm以下、特に好ましくは2N/cm以下となるように設定すると良く、そのような設定強度が得られるようにフック面7および粗面材3の仕様およびそれらの組み合わせを適切に決定すれば良い。
換言すると、面内方向の引張せん断強度が1N/cm2以下であると粗面材3の位置ずれを有効に防止できないので好ましくなく、面外方向の剥離強度が5N/cm以上であると脱型時に粗面材3から剥離し難くなるので好ましくない。
図2は、一般的な面ファスナー6におけるフック面7に対して一般的な粗面材3をループ面として機能させて貼り付けた際における、面内方向の引張せん断強さ試験と面外方向の剥離強さ試験の結果を示すものである。
図2(a)に示すように、面内方向の引張強度(最大点応力)は、フック面7がマッシュルームタイプの場合は9.6N/cm2程度、フックタイプの場合は5.5N/cm2程度であり、いずれも市販品の面ファスナー6の場合(参考として示すようにマッシュルームタイプでは70N/cm2、フックタイプでは10N/cm2)に比べて低強度ではあるものの、粗面材3を型枠4の内面に仮固定する場合に必要とされる強度(1N/cm2以上)を確保し得ることが確認できた。
また、図2(b)に示すように、面外方向の剥離強さは、フック面7がマッシュルームタイプの場合は2.3N/cm程度、フックタイプの場合は1.8N/cm程度であり、参考として示すように市販品のマッシュルームタイプの面ファスナー6の場合(5.0N/cm)に比べて低く、フックタイプの面ファスナー6の場合(1.2N/cm)に比べてやや高くなるものの、いずれも粗面材3を仮固定する場合には容易に剥離可能な程度(5N/cm以下)であることが確認できた。
図2(a)に示すように、面内方向の引張強度(最大点応力)は、フック面7がマッシュルームタイプの場合は9.6N/cm2程度、フックタイプの場合は5.5N/cm2程度であり、いずれも市販品の面ファスナー6の場合(参考として示すようにマッシュルームタイプでは70N/cm2、フックタイプでは10N/cm2)に比べて低強度ではあるものの、粗面材3を型枠4の内面に仮固定する場合に必要とされる強度(1N/cm2以上)を確保し得ることが確認できた。
また、図2(b)に示すように、面外方向の剥離強さは、フック面7がマッシュルームタイプの場合は2.3N/cm程度、フックタイプの場合は1.8N/cm程度であり、参考として示すように市販品のマッシュルームタイプの面ファスナー6の場合(5.0N/cm)に比べて低く、フックタイプの面ファスナー6の場合(1.2N/cm)に比べてやや高くなるものの、いずれも粗面材3を仮固定する場合には容易に剥離可能な程度(5N/cm以下)であることが確認できた。
以上で本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまで好適な一例であって本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜の設計的変更や応用が可能である。
要するに、本発明は面ファスナーのフック面に対して貼り付けることのできる繊維シートを用いて粗面材付きコンクリート部材を製造する場合全般に広く適用可能なものであるし、本発明の具体的な工程や作業手順については、粗面材として用いる繊維シートの特性はもとより製造(施工)するべき粗面材付きコンクリート部材の形状や規模その他の諸条件を考慮して最適設計すれば良い。
要するに、本発明は面ファスナーのフック面に対して貼り付けることのできる繊維シートを用いて粗面材付きコンクリート部材を製造する場合全般に広く適用可能なものであるし、本発明の具体的な工程や作業手順については、粗面材として用いる繊維シートの特性はもとより製造(施工)するべき粗面材付きコンクリート部材の形状や規模その他の諸条件を考慮して最適設計すれば良い。
なお、コンクリート打設時における粗面材3の剥離や位置ずれを確実に防止するためには、粗面材3を型枠4に対して全面的に仮固定することが好ましく、そのためにはフック面7を型枠4に対して全面的に固着しておく必要があるが、必ずしもそうすることはなく、型枠4に対するフック面7の固着範囲やその位置は、粗面材3の剥離や位置ずれを有効に防止し得る範囲内で適宜設定すれば良く、たとえば図4(a)に示すようにテープ状のフック面7を型枠4の周縁部や中央部にのみ固着することでも良い。
また、仮に粗面材3を単にフック面7に貼り付けることのみでは十分な引張せん断強度が確保できないような場合には、本発明においてもタッカー5を併用して粗面材3を型枠4に対して仮固定することを妨げるものではなく、たとえば図4(b)に示すように周縁部にテープ状のフック面7を固着しておくとともに中央部はタッカー5(図では×印で示す)により仮固定することでも良い。
但し、その場合において粗面材3を徒に多数のタッカー5により仮固定することは本発明の主旨にもとることは当然であり、基本的には粗面材3をフック面7に対して貼り付けることで仮固定強度を十分に確保してコンクリート打設時における万一の剥離や位置ずれが生じることを確実に防止したうえで、その信頼性をさらに向上させるために必要最小限の範囲にタッカーを用いるに留めるべきである。
但し、その場合において粗面材3を徒に多数のタッカー5により仮固定することは本発明の主旨にもとることは当然であり、基本的には粗面材3をフック面7に対して貼り付けることで仮固定強度を十分に確保してコンクリート打設時における万一の剥離や位置ずれが生じることを確実に防止したうえで、その信頼性をさらに向上させるために必要最小限の範囲にタッカーを用いるに留めるべきである。
1 粗面材付きコンクリート部材
2 コンクリート部材
3 粗面材
4 型枠
5 タッカー
6 面ファスナー
7 フック面
8 ループ面
2 コンクリート部材
3 粗面材
4 型枠
5 タッカー
6 面ファスナー
7 フック面
8 ループ面
Claims (2)
- コンクリート部材の表層部に繊維シートからなる粗面材を打ち込んでなる粗面材付きコンクリート部材の製造方法であって、
前記コンクリート部材を成型するための型枠の内面に面ファスナーの要素であるフック面を剥離不能に固着しておき、
前記粗面材の表面部を前記フック面に対応するループ面として機能せしめて、該粗面材を前記フック面に対して剥離可能に貼り付けることによって該粗面材を前記型枠の内面に装着し、
その状態で前記型枠内にコンクリートを打設充填して前記コンクリート部材を成型するとともに該コンクリート部材の表層部に前記粗面材の背面部を定着せしめ、
しかる後に、前記型枠を脱型して該型枠とともに前記フック面を前記粗面材から剥離せしめることを特徴とする粗面材付きコンクリート部材の製造方法。 - 請求項1記載の粗面材付きコンクリート部材の製造方法であって、
前記フック面に対して前記粗面材の表面部を前記ループ面として貼り付けた際の面内方向の引張せん断強度を1N/cm2以上に設定し、かつ、面外方向の剥離強度を5N/cm以下に設定することを特徴とする粗面材付きコンクリート部材の製造方法。
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CN114505940A (zh) * | 2021-12-29 | 2022-05-17 | 苏州良浦住宅工业有限公司 | 一种用钢板预制构件粗糙面成型工艺 |
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