JPWO2015147253A1 - コイル成形治具 - Google Patents
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Abstract
Description
平角線に曲げ加工を行ってコイルを成形するための従来のコイル成形治具においては、膨らみ部が形成される部位に特別な工夫はなされていない。そのため、コイルの成形後において、特に膨らみ部が第1治具部及び第2治具部に接触する状態で、第2治具部を第1治具部へ接近させた方向とは反対方向へ離隔させると、第2治具部の表面を膨らみ部が引きずり、成形後のコイルの形状を崩すおそれがあった。従って、膨らみ部の引きずりをなくすためには、第2治具部を第1治具部から離隔させるときには、第1治具部へ接近させた方向に交差する別の方向へスライドさせる必要があった。
該コイル成形治具は、上記平角線の第1の上記第2側面に当接する第1治具部と、上記平角線の第2の上記第2側面に当接する第2治具部とを有しており、
上記第1治具部へ上記第2治具部が接近方向に相対的にスライドすることによって、該第1治具部と該第2治具部との間に挟み込む上記平角線に、上記一対の第1側面の方向に折り曲げる第1方向曲げと、上記一対の第2側面の方向に折り曲げる第2方向曲げとを行うよう構成されており、
上記第2治具部は、上記接近方向とは反対側の離隔方向へ相対的にスライドして、成形された上記コイルが配置された上記第1治具部から離隔するよう構成されており、かつ、上記第1方向曲げが行われるときに、上記一対の第2側面における曲げの内側部分に膨らんで形成される膨らみ部を逃がすための逃がし溝を有しており、
該逃がし溝は、上記第2治具部が上記離隔方向へ相対的にスライドする際に、上記膨らみ部が通過する経路に沿って設けられていることを特徴とするコイル成形治具にある。
具体的には、第2治具部は、第1方向曲げが行われるときに一対の第2側面における曲げの内側部分に膨らんで形成される膨らみ部に対向する部位に、膨らみ部を逃がすための逃がし溝を有している。
次いで、第2方向曲げ及び第2方向曲げが行われたコイルを、第1治具部と第2治具部との間から取り出す。このとき、第2治具部は、接近方向とは反対側の離隔方向へ相対的にスライドする。
それ故、上記コイル成形治具によれば、第1治具部に対して第2治具部を相対的にスライドさせる構造が簡単になり、成形後のコイルの形状が崩れることが防止される。
上記コイル成形治具において、このコイル成形治具によって成形するコイルとは、渦巻状のコイルの全体のことをいうのではなく、渦巻状のコイルの一部のことをいう。渦巻状のコイルの外形は、略四角形にすることができる。
また、上記コイルは、ステータコアのスロット内に配置される渦巻状のコイルと他のスロットに配置される渦巻状のコイルとを接続するための渡り部とすることができる。また、コイルは、渦巻状に巻かれるコイルの本体部を複数に分割した際に、この本体部の一部分を構成するセグメントコイルとすることもできる。
また、コイルは、渡り部を構成する平角線と同じ平角線を用いて形成されていてもよい。渡り部を成形するための平角線は、コイルに繋がった状態のものであってもよく、渡り部の成形後にコイルに接合するものであってもよい。
この場合には、第1治具部における第1段差底面及び第1段差側面と、第2治具部における第2段差底面及び第2段差側面との間に、平角線が挟み込まれたときに、コイルの最終的な形状が形成される。
また、逃がし溝が挟持面における離隔方向の全長に亘って設けられていることにより、第2治具部が離隔方向に相対的にスライドする際に、コイルにおける膨らみ部と第2治具部との接触を容易に避けることができる。
成形角部における屈曲成形部は、平角線に第2方向曲げが行われる際に、平角線が強く接触する部分である。そのため、逃がし溝は、成形角部における屈曲成形部に隣接する位置を避けて、第1段差底面から成形角部における屈曲成形部以外の一般部まで連続して設ける。これにより、逃がし溝が、第2方向曲げの成形精度に影響することが防止される。
この場合には、逃がし溝を緩傾斜面に隣接する成形角部における一般部まで連続して設けることにより、逃がし溝が、第2方向曲げの成形精度に、より一層影響しないようにすることができる。
ここで、傾斜角度は、接近方向及び離隔方向としての同一軸方向に対する傾斜角度のことをいう。
第1方向曲げが略直角に行われるときには、平角線に形成される膨らみ部の突出量がより大きくなる。そのため、平角線の先端部を略直角に曲げた際に形成される膨らみ部を逃がし溝に逃がすことにより、第2治具部が離隔方向に相対的にスライドする際に、成形後のコイルの形状を安定して維持することができる。
本例のコイル成形治具(渡り部成形治具)1は、図1〜図3に示すように、一対の第1側面としての幅狭側面802A,802B及び一対の第2側面としての幅広側面803A,803Bを有する平角線801から、ステータコアのスロット内に配置される渦巻状のコイルと他のスロットに配置される渦巻状のコイルとを接続するための、コイルの一部としての渡り部82を成形するために用いられる。コイル成形治具1は、平角線801における、渡り部82を構成する部分の第1の幅広側面803Aに当接する第1治具部2と、平角線801における、渡り部82を構成する部分の第2の幅広側面803Bに当接する第2治具部3とを有している。コイル成形治具1は、第2治具部3が第1治具部2への接近方向S1へスライドすることによって、第1治具部2と第2治具部3との間に挟み込む平角線801に、一対の幅広側面803A,803Bの方向に折り曲げる第2方向曲げとしてのフラットワイズ曲げF1,F2と、一対の幅狭側面802A,802Bの方向に折り曲げる第1方向曲げとしてのエッジワイズ曲げE1,E2とを順次行うよう構成されている。
本例のコイル8は、回転電機のステータコアに配置されて、ステータを形成するために用いられる。コイル8は、集中巻コイルであり、ステータコアのティースに装着されるインシュレータの外周に装着される。コイル8は、3相回転電機を構成するものである。コイル8は、略四角形の渦巻状に形成されており、外周側に向かうに連れて外形が拡大している。
本例のコイル成形治具1は、一対の幅狭側面802A,802B及び一対の幅広側面803A,803Bを有する平角線801を巻回して形成されたコイル8に、他のコイル8の端部81と接続するための渡り部82を成形するために用いられる。本例の渡り部82は、コイル8から延設された平角線801の部分に成形される。
渡り部82は、2段階にフラットワイズ曲げF1,F2が行われた後、2段階にエッジワイズ曲げE1,E2が行われて成形される。渡り部82におけるフラットワイズ曲げF1,F2は、コイル8側の基端部からステータコアの内周側に配置される方向に2段階に行われている。渡り部82におけるエッジワイズ曲げE1,E2は、ステータコアの軸方向内方に配置される方向に行われた後、ステータコアの軸方向外方に配置される方向に行われている。2段階目のエッジワイズ曲げE2は、渡り部82の先端部821に略直角に行われており、1段階目のエッジワイズ曲げE1は、渡り部82の先端部821に隣接する位置に行われている。
平角線801が巻回されたコイル8は、一対の幅広側面803A,803Bがステータコアの径方向に向けられた状態でステータコアのティースに装着される(ステータコアのスロットに配置される)。
コイル8は支持台4の上に支持され、支持台4は、渡り部82の曲げを行う間は、固定治具部2Aとともに位置が固定される。渡り部82は、その基端部において、ステータコアの軸方向に伸びる状態からステータコアの周方向に伸びる状態にエッジワイズ曲げE3によって曲げられる(図10参照)。この基端部のエッジワイズ曲げE3は、第1治具部2及び第2治具部3によって成形後の渡り部82を挟み込んだ状態において、コイル8を支持する支持台4を移動させることによって行うことができる。
また、図4に示すように、第2治具部3の第2段差側面32は、平角線801の先端部を略直角に曲げる2段階目のエッジワイズ曲げE2を行うための屈曲側面部321を有している。屈曲側面部321は、これに繋がる第2段差側面32から略直角に屈曲して形成されている。また、図8に示すように、分割治具部2Bに形成された第1段差側面22は、第2段差側面32の屈曲側面部321とともに平角線801の先端部を略直角に曲げる2段階目のエッジワイズ曲げE2を行うための分割側面部221を有している。
第2治具部3は、第2段差底面31から延設された面であって、フラットワイズ曲げF1,F2及びエッジワイズ曲げE1,E2が行われる平角線801を第1段差底面21との間に挟み込む挟持面33と、挟持面33に交差する面であって、挟持面33との間に、フラットワイズ曲げF1,F2を行うための成形角部35を形成する傾斜面34A,34B,34C,34Dとを有している。
第1傾斜面34A及び第2傾斜面34Bは、これらに隣接する成形角部35によって1段階目のフラットワイズ曲げF1を行う部分である。第2傾斜面34Bは、第1傾斜面34Aよりも急な傾斜角度の急傾斜面として形成されており、1段階目のフラットワイズ曲げF1が行われた平角線801を第1段差底面21との間に挟み込んでいく速度を高めた部分である。
まず、図1に示すように、渡り部82を成形するための平角線801の部分が引き出されたコイル8を支持台4に支持し、この平角線801の基端側部分を固定治具部2Aの第1段差底面21及び第1段差側面22に配置する。また、分割治具部2B及び第2治具部3は、成形を行う前の初期位置に後退させておく。
ここで、図2は、2段階のフラットワイズ曲げF1,F2を行った状態を、第2治具部3を省略した状態で示す。
また、第4傾斜面34Dに隣接する成形角部35によって2段階目のフラットワイズ曲げF2が行われた直後、あるいは2段階目のフラットワイズ曲げF2が行われると同時に、固定治具部2Aの第1段差側面22と第2治具部3の第2段差側面32とによって、平角線801に対して1段階目のエッジワイズ曲げE1が行われる。
ここで、同図は、2段階のエッジワイズ曲げE1,E2を行った状態を、第2治具部3を省略した状態で示す。
それ故、本例のコイル成形治具1によれば、第1治具部2の固定治具部2Aに対して第2治具部3をスライドさせる構造が簡単になり、成形後の渡り部82の形状が崩れることが防止される。
また、コイル成形治具1によって曲げ加工を行う対象は、コイル8の渡り部82とする以外にも、コイル8の渦巻状本体部の一部とすることもできる。このコイル8の渦巻状本体部の一部は、渦巻状本体部を複数に分割した際の一部とすることができる。
Claims (7)
- 一対の第1側面及び一対の第2側面を有する断面矩形状の平角線を、ステータに用いられるコイルに成形するためのコイル成形治具であって、
該コイル成形治具は、上記平角線の第1の上記第2側面に当接する第1治具部と、上記平角線の第2の上記第2側面に当接する第2治具部とを有しており、
上記第1治具部へ上記第2治具部が接近方向に相対的にスライドすることによって、該第1治具部と該第2治具部との間に挟み込む上記平角線に、上記一対の第1側面の方向に折り曲げる第1方向曲げと、上記一対の第2側面の方向に折り曲げる第2方向曲げとを行うよう構成されており、
上記第2治具部は、上記接近方向とは反対側の離隔方向へ相対的にスライドして、成形された上記コイルが配置された上記第1治具部から離隔するよう構成されており、かつ、上記第1方向曲げが行われるときに、上記一対の第2側面における曲げの内側部分に膨らんで形成される膨らみ部を逃がすための逃がし溝を有しており、
該逃がし溝は、上記第2治具部が上記離隔方向へ相対的にスライドする際に、上記膨らみ部が通過する経路に沿って設けられていることを特徴とするコイル成形治具。 - 上記第1治具部は、上記コイルの第1の上記第2側面の形状に沿った第1段差底面と、上記コイルの第1の上記第1側面の形状に沿って、該第1の第1側面の幅と略同一の高さに形成され、かつ上記第1段差底面に対して直角に形成された第1段差側面とを有しており、
上記第2治具部は、上記コイルの第2の上記第2側面の形状に沿った第2段差底面と、上記コイルの第2の上記第1側面の形状に沿って、該第2の第1側面の幅と略同一の高さに形成され、かつ上記第2段差底面に対して直角に形成された第2段差側面とを有していることを特徴とする請求項1に記載のコイル成形治具。 - 上記第2治具部は、上記第2段差底面から延設された面であって、少なくとも上記第2方向曲げが行われる上記平角線を上記第1段差底面との間に挟み込む挟持面と、該挟持面に交差する面であって、該挟持面との間に、上記第2方向曲げを行うための成形角部を形成する傾斜面とを有しており、
上記逃がし溝は、上記挟持面における、上記離隔方向の全長に亘って設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコイル成形治具。 - 上記成形角部は、上記傾斜面の傾斜角度が変化する位置に、他の部位に比べて上記平角線に強く接触する屈曲成形部を有しており、
上記逃がし溝は、上記第1段差底面から上記成形角部における上記屈曲成形部以外の一般部まで連続して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のコイル成形治具。 - 上記傾斜面には、上記屈曲成形部の形成位置を境界にして、傾斜角度が異なる急傾斜面と緩傾斜面とが形成されており、
上記逃がし溝は、上記第1段差底面から上記緩傾斜面に隣接する上記成形角部における上記一般部まで連続して設けられていることを特徴とする請求項4に記載のコイル成形治具。 - 上記第2段差側面は、上記平角線の先端部を略直角に曲げる上記第1方向曲げを行うための屈曲側面部を有しており、
上記逃がし溝は、上記屈曲側面部に隣接する位置において、上記平角線の先端部を略直角に曲げた際に形成される上記膨らみ部を逃がす部位に設けられていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のコイル成形治具。 - 上記第1治具部は、上記平角線が配置される位置に固定されて、少なくとも上記第2方向曲げを行う固定治具部と、該固定治具部及び上記第2治具部に対して相対的にスライドして、上記平角線の先端部を略直角に曲げる上記第1方向曲げを行う分割治具部とに分割されており、
該分割治具部に形成された上記第1段差側面は、上記第2段差側面の上記屈曲側面部とともに上記平角線の先端部を略直角に曲げる上記第1方向曲げを行うための分割側面部を有していることを特徴とする請求項6に記載のコイル成形治具。
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