JP2012239371A - ステータコイルの成形装置および成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導体線を加工し、スロット収容部とコイルエンド部とを成形するステータコイルの成形装置10において、スロット収容部の形状に加工する加工面と、コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面とのうちで、二以上の加工面を合成した合成加工面を有する一以上の金型30と、金型30を所定のストローク方向に移動させる金型移動機構40とを備え、金型移動機構40によって金型30を移動させて導体線を加工することで、導体線に合成加工面に対応する複数の形状を成形する。この構成によれば、全体で必要な金型30(設備台数)の数を減らすことができ、コストを低減することができる。金型30の数が減るので、導体線Cwを掴み変える回数も減り、ピッチ精度を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
実施の形態1は、所定長の導体線を加工してステータコイルを成形する例であって、図1〜図22を参照しながら説明する。なお、所定の要素(例えばパンチ部や屈曲加工部等)を作動させるための駆動源は図示を省略している。駆動源には、例えば電動機(モータ)やシリンダ等を用いることができ、発生した動力を伝達する動力伝達機構(例えばカム,ラック&ピニオン,歯車(ギア)等)を含む。
保持工程は、成形開始前に未加工の導体線Cwを保持する工程である。保持する直前の状態を示す図6〜図8を参照しながら説明する。未加工の導体線Cwは、所定の搬送機構(例えばベルトコンベアや把持装置等が該当する。以下同じである。)によって、図6〜図8に示す位置まで搬送される。その後、パンチ部32が加工方向(矢印D1方向)に移動すると、カム32cの先端部が保持体21の傾斜面21aに接触する。この加工方向は「ストローク方向」に相当する。パンチ部32が移動し続けてゆくと、カム32cの傾斜に沿って保持体21が押されて保持方向(矢印D2方向)に回転する。保持方向は加工方向とは異なるので、「ストローク方向と交差する方向」に相当する。こうして保持体21が保持方向に回転すると、図7(B)に示す円弧加工部22aが導体線Cwをダイ部31に押さえ付けて保持する。
成形工程(円弧形状加工)は、保持工程によって保持された導体線Cwを円弧形状に加工する工程である。円弧形状に加工された後の状態を示す図9〜図11と図22(A)を参照しながら説明する。パンチ部32が加工方向(矢印D1方向)にさらに移動し続けてゆくと、保持体21もまた保持方向(矢印D2方向)に回転し続ける。円弧加工部22aによって保持されている導体線Cwは、その状態でさらに金型30(すなわちダイ部31およびパンチ部32)の円弧形状加工面Sa(図3(A)や図4(A)を参照)に押し付けられる。この押し付けによって、導体線Cwは円弧形状加工面Saに沿った円弧形状に加工される。図22(A)には、円弧形状Paを有する導体線Cwの一例を示す。
成形工程(クランク形状加工,階段形状加工)は、円弧形状Paを有する導体線Cwに対して、さらにクランク形状と階段形状を追加して加工する工程である。図9〜図11から図12〜図14への変化とともに説明する。上述したように、図9〜図11には円弧形状に加工された導体線Cwの状態を示す。この状態からパンチ部32が加工方向(矢印D1方向)にさらに移動し続けてゆくと、カム32cが保持体21の傾斜面21bに当たって止まるか、あるいは保持体21の凸状部21d(図2を参照)がガイド溝32bの端面に当たって止まる。パンチ部32の移動中は、凸状部21dがガイド溝32bにガイドされて移動するので、変形に伴う導体線Cwからの抗力を抑えてぐらつきを防止できる。
成形工程(屈曲形状加工)は、導体線Cwを所定角度に曲げる加工を行う工程であって、図12〜図14とともに図15〜図18を参照しながら説明する。平角線の導体線Cwを直線状態(二点鎖線)から屈曲状態(実線)に曲げる加工を行うと、図15(A)に斜線ハッチで示す膨脹領域Exが膨張する。曲げ加工の際、導体線Cwの内径側に圧縮応力が作用し、同じく外径側に引張応力が作用するためである。そこで、膨脹領域Exを少なくとも広い範囲で導体線Cwを押圧するように、保持体21には押圧部22を形成する(図1を参照)。
解放工程は、成形工程によって目的形状に加工した導体線Cwを解放する工程である。図16〜図18から図19〜図21への変化とともに説明する。上述したように、図16〜図18に示す状態は、円弧形状Pa,クランク形状Pb,階段形状Pcおよび屈曲形状Pdが加工された導体線Cwを保持している。この状態から、パンチ部32および一対の屈曲加工部50をそれぞれ退避方向に作動させる。すなわち、パンチ部32を矢印D5方向に移動させ、一方の屈曲加工部50を矢印D7方向に回転させ、他方の屈曲加工部50を矢印D8方向に回転させる。パンチ部32の移動に伴ってカム32cと保持体21とが離れると、保持体21は図示しない弾性部材による抗力を受けて解放方向(矢印D6方向)に回転する。円弧加工部22aが導体線Cwから離れると、導体線Cwは保持が解放される。こうして導体線Cwが解放された状態を図19〜図21に示す。解放された導体線Cwは所定形状に成形されているので、所定の搬送機構によって搬送される。
実施の形態2は、上述した実施の形態1と同様にステータコイルを成形する例であって、角部加工部を用いてスロット収容部の形状に加工する例である。この実施の形態2は、図25〜図32および図9〜図14を参照しながら説明する。上述した実施の形態1ではコイルエンド部Caの加工を終えてからスロット収容部Cbを加工するのに対して、実施の形態2ではコイルエンド部Caの加工とスロット収容部Cbの加工を並行して行う。
保持工程は、図26〜図28を参照しながら説明する。未加工の導体線Cwは、所定の搬送機構によって図26〜図28に示す位置まで搬送される。その後、パンチ部32が加工方向(図1等の矢印D1方向)に移動すると、カム32cの先端部が保持体21の傾斜面21aに接触し、さらにカム32cの傾斜に沿って保持体21が押されて保持方向(図1等の矢印D2方向)に回転する。こうして保持体21が保持方向に回転すると、図27(B)に示す円弧加工部22aが導体線Cwをダイ部31に押さえ付けて保持する。こうして保持されている状態における導体線Cwの形状(未加工形状)を図29(A),図30(A),図31(A)に示す。
成形工程(円弧形状加工)は、図9〜図11を参照しながら説明する。パンチ部32が加工方向にさらに移動し続けてゆくと、保持体21もまた保持方向に回転し続けるとともに、保持体21の角部加工凸部21fがダイ部31の角部加工凹部31bと係合する。円弧加工部22aによって保持されている導体線Cwは、保持されたままさらに金型30(すなわちダイ部31およびパンチ部32)の円弧形状加工面Sa(図3(A)や図4(A)を参照)に押し付けられる。この押し付けによって、導体線Cwは円弧形状加工面Saに沿った円弧形状に加工される。こうして加工された円弧形状Paを有する導体線Cwの一例を図29(B),図30(B),図31(B)に示す。
成形工程(クランク形状加工,階段形状加工,屈曲形状加工)は、さらにクランク形状Pb,階段形状Pc,屈曲形状Pdの加工を並行して加工する工程である。図12〜図14に示すように屈曲加工部50が導体線Cwを上記所定角度に屈曲させるために、一方の屈曲加工部50を矢印D3方向に回転させ、他方の屈曲加工部50を矢印D4方向に回転させる。屈曲加工部50の作動開始に伴って屈曲形状Pdの加工が始まり、パンチ部32が加工方向にさらに移動し続けてゆくことでクランク形状Pbおよび階段形状Pcの加工が並行して行われる。加工途中における導体線Cwの一例を図29(C),図30(C),図31(C)に示す。最終的に導体線Cwが階段形状加工面Scに押し付けられると、屈曲加工部50の作動およびパンチ部32の移動を終える。こうして加工された円弧形状Pa,クランク形状Pb,階段形状Pc,屈曲形状Pdを有する導体線Cwの一例を図29(D),図30(D),図31(D)に示す。
解放工程は、実施の形態1と同様に行う。すなわちパンチ部32を退避方向(図16等に示す矢印D5方向)に移動させるとともに、一方の屈曲加工部50を矢印D7方向に回転させ、他方の屈曲加工部50を矢印D8方向に回転させる。この過程で角部加工凸部21fが角部加工凹部31bから離脱するとともに、円弧加工部22aが導体線Cwから離れる。保持が解放された導体線Cwの状態を図19〜図21に示す。解放された導体線Cwは所定形状(目的形状)に成形されているので、所定の搬送機構によって搬送される。
実施の形態3は、上述した実施の形態2と同様に、成形工程の一部を並行して行う例である。この実施の形態3は、図32〜図44を参照しながら説明する。上述した実施の形態2では角部加工部として角部加工凸部21fおよび角部加工凹部31bを備える構成としたのに対して、実施の形態3では角部加工体を角部加工部の構成要素とする。なお見易くするため、図33以降では角部加工体23と干渉せずに作動する保持体21の図示を省略する。
保持工程は、図35と図40を参照しながら説明する。未加工の導体線Cwは、所定の搬送機構によって図35と図40に示す位置まで搬送される。その後、パンチ部32が加工方向(図1等の矢印D1方向)に移動すると、カム32cの先端部が保持体21の傾斜面21aに接触し、さらにカム32cの傾斜に沿って保持体21が押されて保持方向(図1等の矢印D2方向)に回転する。こうして保持体21が保持方向に回転すると、図27(B)に示す円弧加工部22aが導体線Cwをダイ部31に押さえ付けて保持する。こうして保持されている状態における導体線Cwの形状(未加工形状)は、実施の形態2における図29(A),図30(A),図31(A)と同じである。
成形工程(円弧形状加工)は、図36と図41を参照しながら説明する。パンチ部32が加工方向にさらに移動し続けてゆくと、保持体21もまた保持方向に回転し続けるとともに、角部加工体23の凸部23bがダイ部31の角部加工凹部31bと係合する。円弧加工部22aによって保持されている導体線Cwは、保持されたままさらに金型30(すなわちダイ部31およびパンチ部32)の円弧形状加工面Sa(図3(A)や図4(A)を参照)に押し付けられる。この押し付けによって、導体線Cwは円弧形状加工面Saに沿った円弧形状に加工される。こうして加工された円弧形状Paを有する導体線Cwの一例は、図36と図41に示す。
成形工程(クランク形状加工,階段形状加工,屈曲形状加工)は、さらにクランク形状Pb,階段形状Pc,屈曲形状Pdの加工を並行して加工する工程である。屈曲加工部50が導体線Cwを上記所定角度に屈曲させるために、図37と図42に示すように一方の屈曲加工部50を矢印D3方向に回転させ、他方の屈曲加工部50を矢印D4方向に回転させる。屈曲加工部50の作動開始に伴って屈曲形状Pdの加工が始まり、パンチ部32が加工方向にさらに移動し続けてゆくことでクランク形状Pbおよび階段形状Pcの加工が並行して行われる。図37と図42には、加工途中における導体線Cwの一例を示す。最終的に導体線Cwが階段形状加工面Scに押し付けられると、屈曲加工部50の作動およびパンチ部32の移動を終える。こうして加工された円弧形状Pa,クランク形状Pb,階段形状Pc,屈曲形状Pdを有する導体線Cwの一例を図38と図43に示す。
解放工程は、実施の形態2と同様に行う。すなわちパンチ部32を退避方向(図16等に示す矢印D5方向)に移動させるとともに、図38と図43に示すように一方の屈曲加工部50を矢印D7方向に回転させ、他方の屈曲加工部50を矢印D8方向に回転させる。この過程で角部加工体23の凸部23bが角部加工凹部31bから離脱するとともに、円弧加工部22aが導体線Cwから離れる。保持が解放された導体線Cwの状態を図39と図44に示す。解放された導体線Cwは所定形状(目的形状)に成形されているので、所定の搬送機構によって搬送される。
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜3に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
20 導体線保持機構
21 保持体(連動機構)
21a,21b 傾斜面
21c ガイド部
21d 凸状部
21e 角部加工凸部(角部加工部;係合部)
22 押圧部
22a 円弧加工部
23 角部加工体
23b 凸部(角部加工部;係合部)
30 金型
31 ダイ部(金型)
31a,32a 合成加工面
31b 角部加工凹部(角部加工部;被係合部)
32 パンチ部(金型)
32b ガイド溝
32c カム(連動機構)
40 金型移動機構
50 屈曲加工部
Cw 導体線
Ca コイルエンド部
Cb スロット収容部
Sa 円弧形状加工面
Sb クランク形状加工面
Sc 階段形状加工面
Sd 徐変加工面
Claims (13)
- 導体線を加工し、ステータコアのスロット内に収容するスロット収容部と、前記ステータコアの軸方向端面から突出する部位であって相異なる複数の非直線形状に加工されるコイルエンド部と、を成形するステータコイルの成形装置において、
前記スロット収容部の形状に加工する加工面と、前記コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面とのうちで、二以上の加工面を合成した合成加工面を有する一以上の金型と、
前記金型を所定のストローク方向に移動させる金型移動機構と、を備え、
前記金型移動機構によって前記金型を移動させて前記導体線を加工することで、前記導体線に前記合成加工面に対応する複数の形状を成形することを特徴とするステータコイルの成形装置。 - 前記導体線を一時的に保持した後に解放する導体線保持機構を備え、
前記導体線保持機構は、成形開始前に前記ストローク方向と交差する方向から前記導体線を保持し、一以上の前記金型による成形を終えた後に前記導体線を解放することを特徴とする請求項1に記載のステータコイルの成形装置。 - 前記金型移動機構による前記金型の移動と、前記導体線保持機構による保持および解放と、を連動させる連動機構を備え、
前記連動機構は、前記金型移動機構による前記金型の移動に伴って生じる動力を前記導体線保持機構に伝達し、
前記導体線保持機構は、伝達される前記動力に基づいて、前記導体線の保持および解放を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のステータコイルの成形装置。 - 前記連動機構は、カムを含むことを特徴とする請求項3に記載のステータコイルの成形装置。
- 前記金型移動機構と前記導体線保持機構とは、別個の駆動源から伝達される動力に基づいて作動することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のステータコイルの成形装置。
- 前記スロット収容部の形状に加工する際、前記スロット収容部の角部であって加工に伴って膨らみ得る膨脹領域を少なくとも含んで押圧する押圧部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のステータコイルの成形装置。
- 前記スロット収容部の形状に加工する際、前記スロット収容部の角部を所定角度に曲げる加工を行う角部加工部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のステータコイルの成形装置。
- 前記金型の合成加工面は、相異なる形状の前記加工面の相互間に、前記加工面どうしが滑らかに接続するように徐々に面形状が変化する徐変加工面を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のステータコイルの成形装置。
- 前記コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面は、階段形状に加工する加工面、クランク形状に加工する加工面、円弧形状に加工する加工面のうちで二以上の加工面を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のステータコイルの成形装置。
- 導体線を加工し、ステータコアのスロット内に収容するスロット収容部と、前記ステータコアの軸方向端面から突出する部位であって相異なる複数の非直線形状に加工されるコイルエンド部と、を成形するステータコイルの成形方法において、
前記スロット収容部の形状に加工する加工面と、前記コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面とのうちで、二以上の加工面を合成した合成加工面を有する一以上の金型と、前記金型を所定のストローク方向に移動させる金型移動機構と、前記導体線を一時的に保持した後に解放する導体線保持機構と、を備える成形装置を用いて、
前記導体線保持機構によって成形開始前に前記ストローク方向と交差する方向から前記導体線を保持する保持工程と、
前記金型移動機構によって前記金型を移動させて前記導体線を加工することで、前記導体線に前記合成加工面に対応する複数の形状を成形する一以上の成形工程と、
前記成形工程を終えた後、前記導体線保持機構によって保持していた前記導体線を解放する解放工程と、
を有することを特徴とするステータコイルの成形方法。 - 前記コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面は、階段形状に加工する加工面、クランク形状に加工する加工面、円弧形状に加工する加工面のうちで二以上の加工面を含むことを特徴とする請求項10に記載のステータコイルの成形方法。
- 前記金型の合成加工面は、前記スロット収容部の形状に加工する加工面と、前記コイルエンド部の形状に加工する相異なる複数の加工面との全部を合成したものであり、
前記成形工程は、一のストロークによって前記導体線に前記合成加工面に対応する複数の形状を成形することを特徴とする請求項10または11に記載のステータコイルの成形方法。 - 前記成形工程は、前記スロット収容部と前記コイルエンド部とを並行して加工することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載のステータコイルの成形方法。
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