JP2013118764A - ステータ製造方法及びステータ製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能なステータ製造方法を実現する。
【解決手段】ステータ製造方法は、環状導体のそれぞれの第二コイル辺部を第一治具スロット内に配置するとともに、環状導体のそれぞれの第一コイル辺部を第二治具スロット内に配置するコイル配置工程P10と、第一治具スロットの内の空きスロットと第一コイル辺部が配置された第二治具スロットとの位置が合うように、第一治具と第二治具とを所定角度相対回転させる治具回転工程P4と、複数の環状導体のそれぞれの第一コイル辺部を空きスロット内に挿入する第一挿入工程P5と、ステータコアを配置するステータコア配置工程P7と、複数の環状導体のそれぞれの一対のコイル辺部をコアスロット内に挿入する第二挿入工程P8と、を有する。
【選択図】図3
【解決手段】ステータ製造方法は、環状導体のそれぞれの第二コイル辺部を第一治具スロット内に配置するとともに、環状導体のそれぞれの第一コイル辺部を第二治具スロット内に配置するコイル配置工程P10と、第一治具スロットの内の空きスロットと第一コイル辺部が配置された第二治具スロットとの位置が合うように、第一治具と第二治具とを所定角度相対回転させる治具回転工程P4と、複数の環状導体のそれぞれの第一コイル辺部を空きスロット内に挿入する第一挿入工程P5と、ステータコアを配置するステータコア配置工程P7と、複数の環状導体のそれぞれの一対のコイル辺部をコアスロット内に挿入する第二挿入工程P8と、を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、ステータコアに対してコイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造方法、及びそのためのステータ製造装置に関する。
上記のようなステータ製造方法の従来技術として、例えば特開2007−166849号公報(特許文献1)に記載された技術がある。なお、この背景技術の欄の説明では、〔〕内に特許文献1における部材名を引用して説明する。特許文献1に記載の構成では、コイルエンド部が軸方向視で渦巻状(螺旋状)となるステータを製造すべく、コイルを構成する複数の環状導体が特許文献1の図6に示すように配置された状態から、コイル巻装用治具〔治具20〕をステータコア〔ステータコア10〕に対して回転させる治具回転工程の実行を経て、特許文献1の図9に示されるような渦巻状のコイルエンド部を有するステータが製造される。
なお、特許文献1の図6に示される状態では、環状導体が有する一対のコイル辺部の内の一方のコイル辺部〔一側辺Ca〕がステータコアに形成されたコアスロット〔スロット12〕内に配置されるとともに、他方のコイル辺部〔他側辺Cb〕がコイル巻装用治具に形成された治具スロット〔第二保持溝23b〕内に配置された状態となっている。そして、治具回転工程の実行により、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大して、特許文献1の図7に示されるように、複数の環状導体の間の周方向の位置関係を、完成品としてのステータに巻装された状態(上記図9)と同様の位置関係とすることが可能となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、治具回転工程を実行する際に、環状導体が有する一対のコイル辺部の一方をステータコアで保持するため、ステータコアに対して軸方向外側において一対のコイル辺部をつなぐ渡り部を変形させて、当該一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力によって、完成品としてのステータを構成するステータコアが変形するおそれがある。このようなステータコアの変形は、回転電機の駆動時の騒音や振動の増大を招来する。また、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力を抑制すべく、環状導体の1周の長さ(周長)を長くすることも可能であるが、環状導体の周長の増大とともに、製造コストやコイルエンド部の寸法が増大してしまう。なお、特許文献1と同様の技術を開示する特開2007−166850号公報(特許文献2)に記載の構成においても、同様の問題が生じ得る。
そこで、環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能なステータ製造方法の実現が望まれる。また、そのような方法に適したステータ製造装置の実現が望まれる。
本発明に係る、ロータへの対向面となる円筒状のステータ対向面と当該ステータ対向面の周方向に複数分散配置された複数のコアスロットとを有するステータコアに対して、コイル巻装装置を用いてコイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造方法の特徴構成は、前記コアスロットは、前記ステータコアを軸方向に貫通すると共に前記ステータ対向面に開口するように形成され、前記コイルは、複数の環状導体を有して構成され、前記環状導体のそれぞれは、互いに異なる前記コアスロット内にそれぞれ配置される一対のコイル辺部となる、前記周方向の一方側である周第一方向側に配置される第一コイル辺部と前記周方向の他方側である周第二方向側に配置される第二コイル辺部とを有し、前記コイル巻装装置は、円筒状の第一対向面と複数の第一治具スロットとを有する第一治具と、前記第一対向面に対して径方向の一方側である径第一方向側に配置されて前記第一対向面に対向する円筒状の第二対向面と複数の第二治具スロットとを有する第二治具と、を備え、前記第一治具スロットは、前記第一治具を軸方向に貫通すると共に前記第一対向面に開口するように形成され、前記第二治具スロットは、前記第二治具を軸方向に貫通すると共に前記第二対向面に開口するように形成され、複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記第二コイル辺部を前記第一治具スロット内に配置するとともに、前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を前記第二治具スロット内に配置するコイル配置工程と、前記第一治具スロットの内の空きスロットと前記第一コイル辺部が配置された前記第二治具スロットとの位置が合うように、前記第一治具と前記第二治具とを所定角度相対回転させる治具回転工程と、複数の前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を、前記径第一方向とは反対方向である径第二方向側に移動させて前記空きスロット内に挿入する第一挿入工程と、前記第一対向面と前記ステータ対向面とが対向すると共に前記第一治具スロットと前記コアスロットとの位置が合うように、前記ステータコアを前記第一治具に対して前記径第一方向側に配置するステータコア配置工程と、複数の前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を、前記径第一方向側に移動させて前記コアスロット内に挿入する第二挿入工程と、を有し、前記コイル配置工程は、前記第一治具と前記第二治具とが分離した状態で、複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を一対の前記第一治具スロット内に配置するコイル予備配置工程と、前記第一対向面と前記第二対向面とが対向すると共に前記第一コイル辺部が配置された前記第一治具スロットと前記第二治具スロットとの位置が合うように、前記第二治具を前記第一治具に対して前記径第一方向側に配置する治具配置工程と、複数の前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を、前記径第一方向側に移動させて前記第二治具スロット内に挿入する予備挿入工程と、を有する点にある。
上記の特徴構成によれば、コイル配置工程、治具回転工程、及び第一挿入工程を順に実行して、複数の環状導体が、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の周方向の位置関係で第一治具に配置された状態を実現することができる。そして、このような状態からステータコア配置工程及び第二挿入工程を順に実行して、ステータを製造することができる。
そして、上記の特徴構成によれば、複数の環状導体の間の周方向の位置関係を、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の位置関係とするための治具回転工程は、環状導体を構成する一対のコイル辺部の双方が専用の治具である第一治具及び第二治具に保持された状態で行われる。これにより、完成品としてのステータを構成するステータコアを用いることなく治具回転工程を実行することができ、ステータコアによりコイル辺部を保持した状態で治具回転工程を実行する場合に比べ、製造段階におけるステータコアの変形を抑制することができる。
また、このような製造段階でのみ用いられる第一治具や第二治具は、完成品としてのステータを構成するステータコアに比べて設計の自由度が高い。そのため、ステータコアに対して軸方向外側において一対のコイル辺部をつなぐ渡り部を変形させて、当該一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力が大きい場合にも対応が可能である。よって、上記の特徴構成によれば、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力を抑制するために環状導体の周長を増大させる、といった対策を施す必要性を低減させることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能となる。
そして、上記の特徴構成によれば、複数の環状導体の間の周方向の位置関係を、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の位置関係とするための治具回転工程は、環状導体を構成する一対のコイル辺部の双方が専用の治具である第一治具及び第二治具に保持された状態で行われる。これにより、完成品としてのステータを構成するステータコアを用いることなく治具回転工程を実行することができ、ステータコアによりコイル辺部を保持した状態で治具回転工程を実行する場合に比べ、製造段階におけるステータコアの変形を抑制することができる。
また、このような製造段階でのみ用いられる第一治具や第二治具は、完成品としてのステータを構成するステータコアに比べて設計の自由度が高い。そのため、ステータコアに対して軸方向外側において一対のコイル辺部をつなぐ渡り部を変形させて、当該一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力が大きい場合にも対応が可能である。よって、上記の特徴構成によれば、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力を抑制するために環状導体の周長を増大させる、といった対策を施す必要性を低減させることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能となる。
ここで、前記環状導体のそれぞれは、前記ステータコアに対して軸方向外側において前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部とをつなぐ渡り部を備え、前記第一挿入工程の実行と重複して、前記第一治具の軸方向視での前記渡り部の形状を、前記周第一方向側の端部において同じ周方向位置にある他の前記渡り部の前記径第一方向側に接し、前記周第二方向側の端部において同じ周方向位置にある他の前記渡り部の前記径第二方向側に接する形状に成形する渡り部成形工程を実行する構成とすると好適である。
この構成によれば、完成品としてのステータを構成するステータコアのコアスロット内に、環状導体の一対のコイル辺部を挿入する前の段階で、すなわち、第二挿入工程の実行前の段階で、渡り部の形状を、完成品としてのステータに巻装された状態に近づけることが可能となる。よって、第二挿入工程の実行時に必要となる渡り部の変形量を少なく抑えることができ、ステータコアに加わる負荷を低減することができるとともに、コイルの損傷を抑制することができる。
また、本発明に係る、ロータへの対向面となる円筒状のステータ対向面と当該ステータ対向面の周方向に複数分散配置された複数のコアスロットとを有するステータコアに対して、コイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造装置の特徴構成は、前記コアスロットは、前記ステータコアを軸方向に貫通すると共に前記ステータ対向面に開口するように形成され、前記コイルは、複数の環状導体を有して構成され、前記環状導体のそれぞれは、互いに異なる前記コアスロット内にそれぞれ配置される一対のコイル辺部となる、前記周方向の一方側である周第一方向側に配置される第一コイル辺部と前記周方向の他方側である周第二方向側に配置される第二コイル辺部とを有し、前記ステータ対向面と対向するように配置可能な円筒状の第一対向面と、前記コイル辺部を挿入可能な複数の第一治具スロットと、を有する治具であり、前記第一治具スロットが当該治具を軸方向に貫通すると共に前記第一対向面に開口する第一治具と、前記第一対向面に対して径方向の一方側である径第一方向側に配置されて前記第一対向面に対向する円筒状の第二対向面と、前記コイル辺部を挿入可能な複数の第二治具スロットと、を有する治具であり、前記第二治具スロットが当該治具を軸方向に貫通すると共に前記第二対向面に開口する第二治具と、前記第一治具と前記第二治具とが分離した状態で、複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を一対の前記第一治具スロット内に配置するコイル配置機構と、前記第一治具スロット内に挿入可能な第一押込歯を有し、前記第一治具スロット内に配置された前記第一コイル辺部を、前記第一押込歯により前記径第一方向側に押し出して当該第一治具スロットに対向する前記第二治具スロット内に挿入する第一コイル押出機構と、前記第二治具スロット内に挿入可能な第二押込歯を有し、前記第二治具スロット内に配置された前記第一コイル辺部を、前記第二押込歯により前記径第一方向とは反対方向である径第二方向側に押し出して当該第二治具スロットに対向する前記第一治具スロット内に挿入する第二コイル押出機構と、前記第一治具スロット内に挿入可能な第三押込歯を有し、前記第一治具スロット内に配置された前記一対のコイル辺部を、前記第三押込歯により前記径第一方向側に押し出して当該第一治具スロットに対向する前記コアスロット内に挿入する第三コイル押出機構と、を備え、前記第一治具と前記第二治具とは、前記第一コイル辺部が前記第二治具スロット内に挿入された状態で、前記第一治具に対して前記第二治具が前記周第一方向側に相対回転可能に構成され、当該相対回転後の状態で、前記第一治具スロットの内の空きスロットと前記第一コイル辺部が配置された前記第二治具スロットとの位置が合うように構成されている点にある。
上記の特徴構成によれば、上述したステータ製造方法における各工程を適切に実行することができる。すなわち、複数の環状導体が、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の周方向の位置関係で第一治具に配置された状態から、複数の環状導体のそれぞれの一対のコイル辺部をコアスロット内に挿入して、ステータを製造することができる。
この際、複数の環状導体の間の周方向の位置関係を、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の位置関係とするために必要な加工である、一対のコイル辺部をつなぐ渡り部の変形加工は、第一コイル辺部が第二治具スロット内に挿入された状態で第一治具と第二治具とを相対回転させることで行うことができる。すなわち、渡り部の変形加工は、環状導体を構成する一対のコイル辺部の双方が専用の治具である第一治具及び第二治具に保持された状態で行うことができる。これにより、完成品としてのステータを構成するステータコアを用いることなく渡り部の変形加工を行うことができ、ステータコアによりコイル辺部を保持した状態で当該変形加工を行う場合に比べ、製造段階におけるステータコアの変形を抑制することができる。
また、このような製造段階でのみ用いられる第一治具や第二治具は、完成品としてのステータを構成するステータコアに比べて設計の自由度が高い。そのため、ステータコアに対して軸方向外側において一対のコイル辺部をつなぐ渡り部を変形させて、当該一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力が大きい場合にも対応が可能である。よって、上記の特徴構成によれば、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力を抑制するために環状導体の周長を増大させる、といった対策を施す必要性を低減させることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能となる。
この際、複数の環状導体の間の周方向の位置関係を、完成品としてのステータに巻装された状態と同様の位置関係とするために必要な加工である、一対のコイル辺部をつなぐ渡り部の変形加工は、第一コイル辺部が第二治具スロット内に挿入された状態で第一治具と第二治具とを相対回転させることで行うことができる。すなわち、渡り部の変形加工は、環状導体を構成する一対のコイル辺部の双方が専用の治具である第一治具及び第二治具に保持された状態で行うことができる。これにより、完成品としてのステータを構成するステータコアを用いることなく渡り部の変形加工を行うことができ、ステータコアによりコイル辺部を保持した状態で当該変形加工を行う場合に比べ、製造段階におけるステータコアの変形を抑制することができる。
また、このような製造段階でのみ用いられる第一治具や第二治具は、完成品としてのステータを構成するステータコアに比べて設計の自由度が高い。そのため、ステータコアに対して軸方向外側において一対のコイル辺部をつなぐ渡り部を変形させて、当該一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力が大きい場合にも対応が可能である。よって、上記の特徴構成によれば、一対のコイル辺部の間の周方向の離間距離を拡大させるのに要する力を抑制するために環状導体の周長を増大させる、といった対策を施す必要性を低減させることができる。
以上のように、上記の特徴構成によれば、環状導体の周長を短く抑えつつステータコアの変形を抑制することが可能となる。
ここで、前記第一治具スロット及び前記第二治具スロットの少なくとも一方について、前記径第二方向側の端部が前記径第一方向側の端部より前記周第一方向側に位置するように形成されている構成とすると好適である。
この構成によれば、第一コイル辺部が第二治具スロット内に挿入された状態から第一治具に対して第二治具を周第一方向側に相対回転させて、第一治具スロット内の空きスロットと第一コイル辺部が配置された第二治具スロットとの位置を合わせた状態で、同じ環状導体を構成する一対のコイル辺部のそれぞれが配置される第一治具スロットと第二治具スロットとの間の渡り部の延びる方向に沿った距離を、第一治具スロット及び第二治具スロットの双方が径方向に平行に延びるように形成される場合に比べて短く抑えることができる。これにより、渡り部の変形加工を適切に実行することが可能な環状導体の周長を短く抑えることが可能となり、完成品としてのステータに巻装された状態の渡り部の長さを短く抑えて、コイルエンド部を小さくすることが容易となる。
また、前記第一治具及び前記第二治具の少なくとも一方について、前記軸方向における少なくとも一方の端面の形状が、前記第一対向面と前記第二対向面との対向部を含む対向部側部分に対して、前記対向部から前記径方向に離れた部分の方が前記軸方向の中央側に位置する形状とされている構成とすると好適である。
この構成によれば、第一コイル辺部が第二治具スロット内に挿入された状態から第一治具に対して第二治具を周第一方向側に相対回転させて、第一治具スロット内の空きスロットと第一コイル辺部が配置された第二治具スロットとの位置を合わせた状態で、同じ環状導体を構成する一対のコイル辺部のそれぞれが配置される第一治具スロットと第二治具スロットとの間を、第一治具及び第二治具の軸方向端面に沿って渡り部が延びる距離を、第一治具及び第二治具の双方の軸方向の端面が、軸方向の両側において、対向部側部分と同一の軸方向の位置に配置された1つの平面により形成される場合に比べて、短く抑えることができる。これにより、渡り部の変形加工を適切に実行することが可能な環状導体の周長を短く抑えることが可能となり、完成品としてのステータに巻装された状態の渡り部の長さを短く抑えて、コイルエンド部を小さくすることが容易となる。
また、前記ステータコアは、前記周方向に隣接する2つの前記コアスロットの間に形成されたティースを複数備え、前記第一治具は、前記第一対向面が前記ステータ対向面と対向するように配置された状態で前記ティースの先端部が嵌まるように形成された、前記軸方向に延びる凹部を備える構成とすると好適である。
この構成によれば、第三コイル押出機構により第一治具スロット内に配置されたコイル辺部を径第一方向側に押し出してコアスロット内に挿入する際に、径第一方向側に移動するコイル辺部がティースの先端部に当接してコイルが損傷することを抑制することができる。このような凹部を備える第一治具は、第一治具とステータコアとを相対回転させる必要のない本発明において、好適に用いることができる。
本発明に係るステータ製造方法及びステータ製造装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明に係るステータ製造方法は、コイル巻装用治具10(図4及び図8参照)を有するコイル巻装装置5を用いて、ステータコア2に対してコイル3を巻装して回転電機用のステータ1(図1参照)を製造する方法である。詳細は後述するが、本実施形態に係るステータ製造装置6は、コイル巻装装置5に加えて、コイル配置機構70、第一コイル押出機構71、第二コイル押出機構72、及び第三コイル押出機構73を備えている。以下では、製造対象となるステータ1の構成、ステータ1の製造段階において用いられるコイル巻装用治具10の構成、及びコイル巻装用治具10を用いたステータ製造方法、の順に説明する。
以下の説明における、完成品としてのステータ1の各部(コイル3等)についての記載における、軸方向、周方向、及び径方向の各方向は、特に区別して明記している場合を除き、ステータコア2が有する円筒状のステータ対向面21の軸心(図1に示すステータ軸心A)を基準とする方向である。また、ステータ1の製造段階(すなわち完成前)についての記載における当該各方向は、特に区別して明記している場合を除き、第一治具40が有する第一対向面41の軸心(図4に示す治具軸心B)を基準とする方向である。なお、以下の説明では便宜上、ステータ軸心Aと治具軸心Bとが一致するとして、軸方向、周方向、及び径方向の各方向に共通の符号を割り当て、「軸方向L」、「周方向C」、「径方向R」と記載している。そして、径方向Rの内側へ向かう方向を「径内方向R2」とし、径方向Rの外側へ向かう方向を「径外方向R1」としている。本実施形態では、径外方向R1が本発明における「径第一方向」に相当し、径内方向R2が本発明における「径第二方向」に相当する。
また、以下では、発明の理解を容易にすべく、コイル3を構成する環状導体35(図4参照)の各部について、製造段階での各工程の説明においても、完成品としてのステータ1に巻装された状態(図1及び図2参照)における対応する部分と同じ名称(第一コイル辺部36、第二コイル辺部37、及び渡り部38)を用いて説明している。なお、以下の説明における、各部材についての方向や位置等に関する用語(例えば、「平行」等)は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態も含む概念として用いている。
1.ステータの構成
本実施形態に係るステータ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。このステータ1は、回転電機用のステータであり、図1に示すように、ステータコア2とコイル3とを備えている。ステータコア2は、磁性材料を用いて形成されている。図1では、ステータコア2から軸方向Lに突出するコイル3の部分であるコイルエンド部32については、煩雑さを避けるために、一部のみを示している。本願明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
本実施形態に係るステータ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。このステータ1は、回転電機用のステータであり、図1に示すように、ステータコア2とコイル3とを備えている。ステータコア2は、磁性材料を用いて形成されている。図1では、ステータコア2から軸方向Lに突出するコイル3の部分であるコイルエンド部32については、煩雑さを避けるために、一部のみを示している。本願明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
ステータコア2は、ロータ(図示せず)に対して径方向Rの一方側である径外方向R1側に配置された状態で当該ロータへの対向面となる円筒状のステータ対向面21と、当該ステータ対向面21の周方向Cに分散配置された複数のスロット(コアスロット22)とを有している。コアスロット22は、ステータコア2を軸方向Lに貫通すると共にステータ対向面21に開口するように形成されている。周方向Cに隣接する2つのコアスロット22の間にはティース23が形成されている。すなわち、ステータコア2は、複数のコアスロット22に対応して複数(具体的にはコアスロット22と同数)のティース23を備えている。そして、複数のティース23の径外方向R1とは反対方向である径内方向R2側の端面により、ステータ対向面21が形成されている。なお、各コアスロット22は、互いに同じ形状とされ、各ティース23は、互いに同じ形状とされている。
本実施形態では、ステータ1は、インナロータ型の回転電機用のステータとされ、図1に示すように、ステータ対向面21は、ステータコア2の内周面(径方向Rの内側を向く面)により構成され、コアスロット22の開口部22aは、径方向Rの内側に開口する内周開口部とされている。また、本実施形態では、コアスロット22はセミオープンスロットとされ、図14に示すように、開口部22aの開口幅(周方向Cの幅)は、開口部22aより径外方向R1の部分(以下、「スロット本体部」という。)の周方向Cの幅に比べて狭くなっている。これにより、ティース23の先端部23a(径内方向R2側の端部)の周方向Cの幅は、先端部23aより径外方向R1側の部分(以下、「ティース本体部」という。)の周方向Cの幅に比べて広くなっている。
なお、ここでは、コアスロット22のスロット本体部の周方向Cの幅が、径方向Rに沿って一様である構成、すなわち、コアスロット22が平行スロットである構成を例として示しているが、ティース23のティース本体部の周方向Cの幅が、径方向Rに沿って一様である構成、すなわち、ティース23が平行ティースである構成とすることもできる。
本実施形態では、回転電機は三相交流(多相交流の一例)で駆動される交流電動機であり、ステータ1のコイル3は、三相(U相、V相、W相)のそれぞれに対応して、U相コイル、V相コイル、W相コイルに分かれている。これに対応して、ステータコア2には、U相用、V相用、W相用の所定数(本例では2つ)のコアスロット22が、周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。なお、各相の相コイルは同様に形成されている。
コイル3は、複数の環状導体35(図4参照)を有して構成されている。環状導体35のそれぞれは、互いに異なるコアスロット22内にそれぞれ配置される一対のコイル辺部となる、第一コイル辺部36と第二コイル辺部37とを有している。ここで、第一コイル辺部36は、周方向Cの一方側(図2における時計回り方向側)である周第一方向C1側に配置されるコイル辺部であり、第二コイル辺部37は、周方向Cの他方側(図2における反時計回り方向側)である周第二方向C2側に配置されるコイル辺部である。本実施形態では、図2に示すように、同じ環状導体35を構成する第一コイル辺部36と第二コイル辺部37とは、互いに5スロットピッチ離れた2つのコアスロット22に分かれて配置されている。
環状導体35のそれぞれは、ステータコア2に対して軸方向Lの外側において、第一コイル辺部36と第二コイル辺部37とをつなぐ渡り部38を備えている。環状導体35のそれぞれが有する合計で複数の渡り部38によって、図1に示すように、ステータコア2から軸方向Lに突出するコイルエンド部32が軸方向Lの両側に形成されている。なお、各渡り部38は、基本的に互いに同じ形状とされている。
図2に示すように、渡り部38は、互いに5スロットピッチ離れた2つのコアスロット22を結ぶように配置されている。そして、図1に示すように、渡り部38は、当該渡り部38の両側の2つのコアスロット22の間に位置する4つのコアスロット22からそれぞれ延びる他の渡り部38と、軸方向L視、周方向C視、及び径方向R視で重複する部分を有して絡み合うように配置されている。なお、2つの部材の配置に関して「所定方向視で重複する部分を有する」とは、当該所定方向を視線方向として当該視線方向に直交する各方向に視点を移動させた場合に、2つ部材が重なって見える視点が少なくとも一部の領域に存在することを意味する。
渡り部38の軸方向L視での形状(より正確には、渡り部38における他の渡り部38に覆われずに軸方向L外側に露出する部分の形状)は、図2に模式的に示すように、周第一方向C1側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38(以下、「第一対象渡り部」という。)に対して径外方向R1側に位置し、周第二方向C2側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38(以下、「第二対象渡り部」という。)に対して径内方向R2側に位置する形状とされている。なお、図2においては、煩雑さを避けるために渡り部38同士を互いに離間して示しているが、実際は、渡り部38の周第一方向C1側の端部が、第一対象渡り部の径外方向R1側に接し、渡り部38の周第二方向C2側の端部が、第二対象渡り部の径内方向R2側に接するように、渡り部38が成形されている。
渡り部38の軸方向L視での形状は、図2に示すように、ステータ軸心A側から径外方向R1側へ向かって延びる渦巻線Sに沿って配置されるように設計されている。ここで、「渦巻線S」は、渦巻状の平面曲線(平面直線及び平面折線等を含む)であり、延長線がステータ軸心Aを通らない渦巻線Sも含む。そして、図2に示すように、複数の渡り部38が、軸方向L視で互いに異なる渦巻線Sに沿って配置されることで、全体として渦巻状のコイルエンド部32が形成されている。
なお、コイル3を構成する環状導体35は、図4に示すように、複数本の線状導体34の束で構成されている。ここで、「複数本」とは、線状導体34の延在方向に直交する各断面において複数本となっていることを意味し、線状導体34自体は全体として1本につながっていても良い。本実施形態では、1本の線状導体34を複数回周回させることにより、複数本の線状導体34の束からなる環状導体35が形成されている。これら複数の環状導体35により構成されるコイル3は、本実施形態では、重ね巻かつ分布巻きによりステータコア2に巻装されている。
線状導体34は、例えば銅やアルミニウム等の金属により構成された線状の導体である。このような線状導体34としては、複数の細線を束ねた縒り線で形成される導体や、延在方向に直交する断面が一定以上の大きさの所定形状(例えば、円形状や矩形状等)の導体を用いることができる。本実施形態では、後者の例を示している。線状導体34の表面には、樹脂等からなる絶縁皮膜が形成されている。
2.コイル巻装用治具の構成
次に、本実施形態に係るコイル巻装装置5が備えるコイル巻装用治具10の構成について説明する。コイル巻装用治具10は、ステータコア2に対して複数の環状導体35を有して構成されるコイル3を巻装する際に用いられる治具である。以下、コイル巻装用治具10が備える第一治具40及び第二治具50の構成について順に説明する。
次に、本実施形態に係るコイル巻装装置5が備えるコイル巻装用治具10の構成について説明する。コイル巻装用治具10は、ステータコア2に対して複数の環状導体35を有して構成されるコイル3を巻装する際に用いられる治具である。以下、コイル巻装用治具10が備える第一治具40及び第二治具50の構成について順に説明する。
2−1.第一治具の構成
第一治具40は、図4に示すように、円筒状の第一対向面41と複数の第一治具スロット42とを有している。第一治具40は、後述する第二挿入工程P8(図3、図12、及び図13参照)を実行して環状導体35をコアスロット22内へ挿入する際に、第一対向面41がステータ対向面21と対向するように配置される。すなわち、第一対向面41は、ステータ対向面21と対向するように配置可能に形成されている。
第一治具40は、図4に示すように、円筒状の第一対向面41と複数の第一治具スロット42とを有している。第一治具40は、後述する第二挿入工程P8(図3、図12、及び図13参照)を実行して環状導体35をコアスロット22内へ挿入する際に、第一対向面41がステータ対向面21と対向するように配置される。すなわち、第一対向面41は、ステータ対向面21と対向するように配置可能に形成されている。
本実施形態では、第一治具40は、全体として円柱状に形成されており、第一対向面41は、第一治具40の外周面(径方向Rの外側を向く面)により構成されている。そして、図12〜図14に示すように第一治具40をステータコア2の径内方向R2側に配置することを可能とすべく、第一対向面41は、ステータ対向面21より小径に形成されている。なお、第一対向面41は、第一治具40の外周面のうち、後述する突条部45を除く部分で構成されている。本実施形態では、第一対向面41がステータ対向面21に対して相対移動可能な嵌め合い(すきま嵌め)により内嵌するように、第一対向面41の外径が、ステータ対向面21の内径との関係で設計されている。これにより、互いに同軸上に配置した第一治具40とステータコア2とを軸方向Lに互いに近づける(いずれか一方を固定状態としても良い)ことで、第一治具40をステータコア2に対して内嵌させて、第一治具40をステータコア2の径内方向R2側に配置することが可能となっている。
なお、本実施形態では、第一治具40の軸方向Lの長さは、ステータコア2の軸方向Lの長さと同一とされている。また、軸方向Lの両側において、第一治具40の軸方向Lの端面は、治具軸心Bに直交する面に平行であって、軸方向Lの位置が周方向C及び径方向Rに一様な面とされている。
本実施形態では、図14及び図15に示すように、第一治具40は、軸方向Lに延びる凹部43を備えている。この凹部43は、第一対向面41がステータ対向面21と対向するように配置された状態で、ティース23の先端部23aが嵌まるように形成されている。なお、図14及び図15以外の図面においては、煩雑さを避けるため、この凹部43を省略して示している。
凹部43は、第一治具40の径外方向R1側を向く面(すなわち外周面)に形成されている。具体的には、第一対向面41から径外方向R1側に突出するように、軸方向Lに延びる突条部45が第一対向面41に形成されている。この突条部45は、第一治具スロット42の周方向Cの配設位置に合わせて、周方向Cに沿って複数(具体的には、第一治具スロット42の形成数の2倍)形成されている。ここでは、突条部45は、第一治具スロット42の周方向Cの両端部に形成されており、具体的には、第一治具スロット42の壁面の延長線上に形成されている。そして、周方向Cに隣接する2つの突条部45と第一対向面41とにより三方を囲まれる空間として、溝状の凹部43が形成されている。すなわち、凹部43の底部が、第一対向面41となっている。これにより、ティース23の先端部23aが凹部43に嵌まった状態では、当該先端部23aは一対の突条部45により周方向Cの両側から挟まれ、第一治具40とステータコア2とは、基本的に、周方向Cに互いに位置決めされて周方向Cに相対回転不能となる。
第一治具スロット42は、図4に示すように、第一治具40を軸方向Lに貫通すると共に第一対向面41に開口している。本実施形態では第一対向面41は、径方向Rの外側を向く面であるため、第一対向面41に開口する第一治具スロット42の開口部42aは、本実施形態では外周開口部とされている。なお、本実施形態では、第一対向面41には上述した突条部45が形成されており(図14及び図15参照)、第一治具スロット42は、周方向Cの両側を突条部45により挟まれる部分に開口している。
第一治具スロット42は、図4及び図5に示すように、周方向Cに沿って一定ピッチで複数分散配置されている。本実施形態では、コアスロット22と同数の第一治具スロット42が、コアスロット22の配設ピッチと同じピッチで配置されている(図12〜図14参照)。なお、第一治具スロット42は、軸方向Lに直交する断面の形状が軸方向Lに一様に形成されている。また、各第一治具スロット42は、互いに同じ形状とされている。
そして、第一治具スロット42は、環状導体35の一部(具体的にはコイル辺部36,37)を挿入可能に形成されている。具体的には、第一治具スロット42の周方向Cの幅や径方向Rの長さは、コイル辺部36,37の構成に応じて、1つの第一治具スロット42内に、1つのコイル辺部(第一コイル辺部36又は第二コイル辺部37)の全体を収容可能な大きさに設計されている。
本実施形態では、上述したように、環状導体35は複数本の線状導体34の束で構成され、図5に示すように、第一コイル辺部36及び第二コイル辺部37のそれぞれは、互いに同じ本数(図5では8本としている)の複数の線状導体34の束で構成されている。そして、本実施形態では、ステータ1の製造過程で、第一コイル辺部36や第二コイル辺部37は、当該複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように、第一治具スロット42内に配置される。そのため、本実施形態では、第一治具スロット42の周方向Cの幅は、線状導体34の直径(延在方向に直交する断面の直径)に応じた値(例えば、線状導体34の直径と同じ値)とされ、第一治具スロット42の径方向Rの長さ(深さ)は、1つのコイル辺部36,37を構成する線状導体34の本数と直径とに応じた値とされる。図14に示すように、本実施形態では、第一治具スロット42の周方向Cの幅は、コアスロット22の開口部22aの周方向Cの幅よりも狭くなっている。
そして、本実施形態では、第一治具スロット42は、治具軸心Bから放射状に径方向Rに平行に直線状に延びるように形成されている。よって、本実施形態では、図5に示すように、第一治具スロット42は、径外方向R1側の端部と径内方向R2側の端部とが、同じ周方向Cの位置に位置する。また、本実施形態では、第一治具スロット42の周方向Cの幅は、径方向Rの全域で一様とされている。
2−2.第二治具の構成
第二治具50は、図6及び図7に示すように、円筒状の第二対向面51と複数の第二治具スロット52とを有している。第二治具50は、後述する治具配置工程P2(図3及び図6参照)の実行により第一治具40の径外方向R1側に配置される。この状態で、第二治具50の第二対向面51は、第一治具40の第一対向面41に対して径外方向R1側に配置されて当該第一対向面41に対向する。
第二治具50は、図6及び図7に示すように、円筒状の第二対向面51と複数の第二治具スロット52とを有している。第二治具50は、後述する治具配置工程P2(図3及び図6参照)の実行により第一治具40の径外方向R1側に配置される。この状態で、第二治具50の第二対向面51は、第一治具40の第一対向面41に対して径外方向R1側に配置されて当該第一対向面41に対向する。
本実施形態では、第二治具50は、全体として円筒状に形成されており、第二対向面51は、第二治具50の内周面により構成されている。そして、図6、図7、及び図15に示すように、第二治具50を第一治具40の径外方向R1側に配置することを可能とすべく、第二対向面51は、第一対向面41より大径に形成されている。本実施形態では、第二対向面51が第一治具40に対してすきま嵌めにより外嵌するように、第二対向面51の内径が、第一治具40の外径との関係で設計されている。
上記のように、本実施形態では、第一治具40の第一対向面41には、当該第一対向面41に対して径外方向R1側に突出する複数の突条部45が、周方向Cに分散配置されている。そのため、図15に示すように、本実施形態では、第二対向面51は、当該複数の突条部45の径外方向R1側の端面により形成される仮想円筒面(図示せず)よりも大径に形成されている。具体的には、第二対向面51が突条部45の径外方向R1側の端面に対してすきま嵌めにより外嵌するように、第二対向面51の内径が設計されている。これにより、互いに同軸上に配置した第一治具40と第二治具50とを軸方向Lに互いに近づける(いずれか一方を固定状態としても良い)ことで、第二治具50を第一治具40に対して外嵌させて、第二治具50を第一治具40の径外方向R1側に配置することが可能となっている。
なお、本実施形態では、第二治具50の軸方向Lの長さは、第一治具40の軸方向Lの長さと同一とされている。よって、本実施形態では、ステータコア2の軸方向Lの長さ、第一治具40の軸方向Lの長さ、及び第二治具50の軸方向Lの長さの全てが、互いに同一とされている。また、軸方向Lの両側において、第二治具50の軸方向Lの端面は、治具軸心Bに直交する面に平行であって、軸方向Lの位置が周方向C及び径方向Rに一様な面とされている。
そして、第二治具50を第一治具40の径外方向R1側に配置した状態で、第一治具40と第二治具50とは互いに周方向Cに相対回転可能とされる。すなわち、この状態で、図8及び図9に示すように、第一治具40に対して第二治具50を周第一方向C1側に相対回転させることが可能となっている。なお、第一対向面41の外径(より正確には、本例では突条部45の外径)と第二対向面51の内径との差は僅かであるため、相対回転の前後で、第一治具40と第二治具50との径方向Rの位置関係は基本的に維持される。
第二治具スロット52は、図7に示すように、第二治具50を軸方向Lに貫通すると共に第二対向面51に開口している。本実施形態では、第二対向面51は、径方向Rの内側を向く面であるため、第二対向面51に開口する第二治具スロット52の開口部52aは、本実施形態では内周開口部とされている。そして、第二治具スロット52は、図6及び図7に示すように、周方向Cに沿って一定ピッチで複数分散配置されている。本実施形態では、コアスロット22の半数の第二治具スロット52が、コアスロット22の配設ピッチの2倍のピッチで配置されている。すなわち、第二治具50に形成される第二治具スロット52の個数は、第一治具40に形成される第一治具スロット42の個数の半分となっており、第二治具スロット52の配設ピッチは、第一治具スロット42の配設ピッチの2倍となっている。なお、第二治具スロット52は、軸方向Lに直交する断面の形状が軸方向Lに一様に形成されている。また、各第二治具スロット52は、互いに同じ形状とされている。
そして、第二治具スロット52も、第一治具スロット42と同様、環状導体35の一部(具体的にはコイル辺部36,37)を挿入可能に形成されている。本実施形態では、ステータ1の製造過程で、第一コイル辺部36や第二コイル辺部37は、当該コイル辺部36,37を構成する複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように、第二治具スロット52内に配置される。なお、第二治具スロット52の周方向Cの幅や径方向Rの長さは、基本的に第一治具スロット42と同様に設計されているため、ここでは説明は省略する。また、本実施形態では、第二治具スロット52は、図7に示すように、第一治具スロット42と同様、治具軸心Bから放射状に径方向Rに平行に直線状に延びるように形成されており、第二治具スロット52は、径外方向R1側の端部と径内方向R2側の端部とが、同じ周方向Cの位置に位置する。また、本実施形態では、第二治具スロット52の周方向Cの幅は、径方向Rの全域で一様とされている。
3.ステータの製造方法
次に、本実施形態に係るステータ製造装置6において実行されるステータ1の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、ステータ製造装置6は、上述したコイル巻装用治具10を有するコイル巻装装置5に加えて、更に、コイル配置機構70(図4参照)、第一コイル押出機構71(図6参照)、第二コイル押出機構72(図10参照)、及び第三コイル押出機構73(図12参照)を有している。図3に示すように、本実施形態に係るステータ1は、コイル配置工程P10、治具回転工程P4、第一挿入工程P5、ステータコア配置工程P7、及び第二挿入工程P8が、記載の順に実行されて製造される。なお、コイル配置工程P10は、コイル予備配置工程P1、治具配置工程P2、及び予備挿入工程P3を順に実行する工程とされる。また、本実施形態では、第一挿入工程P5の実行と重複して、渡り部成形工程P6が実行される。以下、各工程について順に説明する。
次に、本実施形態に係るステータ製造装置6において実行されるステータ1の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、ステータ製造装置6は、上述したコイル巻装用治具10を有するコイル巻装装置5に加えて、更に、コイル配置機構70(図4参照)、第一コイル押出機構71(図6参照)、第二コイル押出機構72(図10参照)、及び第三コイル押出機構73(図12参照)を有している。図3に示すように、本実施形態に係るステータ1は、コイル配置工程P10、治具回転工程P4、第一挿入工程P5、ステータコア配置工程P7、及び第二挿入工程P8が、記載の順に実行されて製造される。なお、コイル配置工程P10は、コイル予備配置工程P1、治具配置工程P2、及び予備挿入工程P3を順に実行する工程とされる。また、本実施形態では、第一挿入工程P5の実行と重複して、渡り部成形工程P6が実行される。以下、各工程について順に説明する。
3−1.コイル配置工程
コイル配置工程P10は、複数の環状導体35が第一対向面41の周方向Cに沿って互いに重複することなく順に並ぶように、環状導体35のそれぞれの第二コイル辺部37を第一治具スロット42内に配置するとともに、環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を第二治具スロット52内に配置する工程である。本実施形態では、コイル配置工程P10の実行後の環状導体35の配置状態は、図7に示すような状態となる。すなわち、本実施形態では、コイル配置工程P10において、同じ環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37について、第一コイル辺部36を第二コイル辺部37の周第一方向C1側(本例では、周第一方向C1側に隣接する第一治具スロット42と位置が合う第二治具スロット52内)に配置するとともに、環状導体35のそれぞれを、第一コイル辺部36が、周第一方向C1側に隣接配置される他の環状導体35の第二コイル辺部37に対して周第二方向C2側に位置するよう(本例では、周第二方向C2側に隣接する第一治具スロット42と位置が合う第二治具スロット52内)に配置する。なお、この図7、並びに図5、図9、図11、及び図13では、全て又は一部の環状導体35について、対を成す2つのコイル辺部36,37同士を仮想的な二点鎖線により結んでいる。以下、コイル配置工程P10に含まれる、コイル予備配置工程P1、治具配置工程P2、及び予備挿入工程P3の各工程について順に説明する。
コイル配置工程P10は、複数の環状導体35が第一対向面41の周方向Cに沿って互いに重複することなく順に並ぶように、環状導体35のそれぞれの第二コイル辺部37を第一治具スロット42内に配置するとともに、環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を第二治具スロット52内に配置する工程である。本実施形態では、コイル配置工程P10の実行後の環状導体35の配置状態は、図7に示すような状態となる。すなわち、本実施形態では、コイル配置工程P10において、同じ環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37について、第一コイル辺部36を第二コイル辺部37の周第一方向C1側(本例では、周第一方向C1側に隣接する第一治具スロット42と位置が合う第二治具スロット52内)に配置するとともに、環状導体35のそれぞれを、第一コイル辺部36が、周第一方向C1側に隣接配置される他の環状導体35の第二コイル辺部37に対して周第二方向C2側に位置するよう(本例では、周第二方向C2側に隣接する第一治具スロット42と位置が合う第二治具スロット52内)に配置する。なお、この図7、並びに図5、図9、図11、及び図13では、全て又は一部の環状導体35について、対を成す2つのコイル辺部36,37同士を仮想的な二点鎖線により結んでいる。以下、コイル配置工程P10に含まれる、コイル予備配置工程P1、治具配置工程P2、及び予備挿入工程P3の各工程について順に説明する。
3−1−1.コイル予備配置工程
コイル予備配置工程P1は、図4に示すように、第一治具40と第二治具50(図4において省略)とが分離した状態で、複数の環状導体35が第一対向面41の周方向Cに沿って互いに重複することなく順に並ぶように、環状導体35のそれぞれの一対のコイル辺部36,37を一対の第一治具スロット42内に配置する工程である。このコイル予備配置工程P1では、同じ環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37について、第一コイル辺部36を第二コイル辺部37より周第一方向C1側に配置するとともに、環状導体35のそれぞれを、各環状導体35の第一コイル辺部36が、周第一方向C1側に隣接配置される他の環状導体35の第二コイル辺部37に対して周第二方向C2側に位置するように配置する。なお、本実施形態では、環状導体35は、第一治具スロット42に対して径外方向R1側から径方向Rに沿って挿入される。
コイル予備配置工程P1は、図4に示すように、第一治具40と第二治具50(図4において省略)とが分離した状態で、複数の環状導体35が第一対向面41の周方向Cに沿って互いに重複することなく順に並ぶように、環状導体35のそれぞれの一対のコイル辺部36,37を一対の第一治具スロット42内に配置する工程である。このコイル予備配置工程P1では、同じ環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37について、第一コイル辺部36を第二コイル辺部37より周第一方向C1側に配置するとともに、環状導体35のそれぞれを、各環状導体35の第一コイル辺部36が、周第一方向C1側に隣接配置される他の環状導体35の第二コイル辺部37に対して周第二方向C2側に位置するように配置する。なお、本実施形態では、環状導体35は、第一治具スロット42に対して径外方向R1側から径方向Rに沿って挿入される。
本実施形態では、コイル予備配置工程P1は、コイル配置機構70により実行される。コイル配置機構70は、図4に示すように、線状導体34を巻き付けて環状導体35を形成するための巻枠14を備えている。本例では、巻枠14は、軸方向Lの互いに異なる位置に配置される一対の被巻回部材支持部14bを備え、一対の被巻回部材支持部14bのそれぞれは、径内方向R2側に延びる被巻回部材14aを支持している。そして、一対の被巻回部材14aに対して複数回巻回された線状導体34により、環状導体35が形成される。一対の被巻回部材14aの間の軸方向Lの離間距離は、第一治具40の軸方向L長さよりも大きく設定されている。
コイル配置機構70は、巻枠14を径方向Rに移動させる巻枠移動機構を備えている。コイル配置機構70は、環状導体35が配置された巻枠14を径内方向R2側に移動させることで、環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37を第一治具スロット42に対して径外方向R1側から径方向Rに沿って挿入する。巻枠14は、コイル辺部36,37を構成する全ての線状導体34が第一治具スロット42内に挿入されるまで、径内方向R2側に移動される。その後、巻枠14のみを径外方向R1側に移動させることで、1つの環状導体35の第一治具40への配置が完了する。巻枠14を径外方向R1側に移動させる際に環状導体35が径外方向R1側に移動するのを抑制すべく、コイル配置機構70は、被巻回部材14aを支持する被巻回部材支持部14bを軸方向Lに沿って移動させる被巻回部材移動機構を備えており、一対の被巻回部材14aの間の軸方向Lの離間距離を調整可能に構成されている。そして、コイル配置機構70は、巻枠14を径外方向R1側に移動させる際には、一対の被巻回部材支持部14bのそれぞれを軸方向Lの中央側に移動させることで、一対の被巻回部材14aの間の軸方向Lの離間距離を、巻枠14の径内方向R2側への移動時に比べて短くするように構成されている。なお、図4には巻枠14を1つのみ示しているが、巻枠14が周方向Cに沿って複数設けられ、複数の環状導体35が同時に第一治具40に配置される構成とすることもできる。
本実施形態では、図4及び図5に示すように、コイル予備配置工程P1において、同じ環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37を、互いに隣接する2つの第一治具スロット42内に分かれるように配置するとともに、各環状導体35の第一コイル辺部36を、周第一方向C1側に隣接配置される他の環状導体35の第二コイル辺部37が配置される第一治具スロット42に対して周第二方向C2側に隣接する第一治具スロット42内に配置する。これにより、コイル予備配置工程P1では、合計で第一治具スロット42の形成数の半分の個数の環状導体35が、第一治具40に配置される。本例では、図5に示すように、第一コイル辺部36及び第二コイル辺部37のそれぞれは、第一治具スロット42内において各コイル辺部を構成する複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように配置される。なお、図4、並びに図6、図8、図10、及び図12においては、煩雑さを避けるために、一部の環状導体35のみを示している。
3−1−2.治具配置工程
治具配置工程P2は、図6(a)及び図7に示すように、第一対向面41と第二対向面51とが対向すると共に、第一コイル辺部36が配置された第一治具スロット42(図7において破線で示す第一コイル辺部36が配置されたスロット)と、第二治具スロット52との位置が合うように、第二治具50を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する工程である。ここで、2つのスロットに関して「位置が合う」とは、当該2つのスロットが径方向R視で重複する部分(周方向Cの位置が共通する部分)の周方向Cの幅が、第一治具スロット42内に配置された状態の第一コイル辺部36の周方向Cの幅(本例では線状導体34の直径)以上となる位置関係を意味する。
治具配置工程P2は、図6(a)及び図7に示すように、第一対向面41と第二対向面51とが対向すると共に、第一コイル辺部36が配置された第一治具スロット42(図7において破線で示す第一コイル辺部36が配置されたスロット)と、第二治具スロット52との位置が合うように、第二治具50を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する工程である。ここで、2つのスロットに関して「位置が合う」とは、当該2つのスロットが径方向R視で重複する部分(周方向Cの位置が共通する部分)の周方向Cの幅が、第一治具スロット42内に配置された状態の第一コイル辺部36の周方向Cの幅(本例では線状導体34の直径)以上となる位置関係を意味する。
本実施形態では、同軸上に配置された第一治具40と第二治具50とを互いに軸方向Lに近づけることで、治具配置工程P2を実行する。この際、本実施形態では、第一治具40と第二治具50とは、軸方向Lの長さが互いに同一とされているため、第一治具40の軸方向Lの端面と第二治具50の軸方向Lの端面とが、軸方向Lの両側において互いに同じ軸方向Lの位置に配置されるように、治具配置工程P2が実行される。
本実施形態では、第一治具スロット42と第二治具スロット52とは、周方向Cの幅が互いに同一に形成されている。そのため、本実施形態では、図7に示すように、治具配置工程P2では、第一コイル辺部36が配置された第一治具スロット42と、第二治具スロット52とを、周方向Cの中央部が互いに同じ周方向Cの位置となるように配置する。なお、図7は、以下に述べる予備挿入工程P3の実行後の状態を表しているが、図7における第一治具40と第二治具50との位置関係は、治具配置工程P2の実行直後の状態と同一である。
3−1−3.予備挿入工程
予備挿入工程P3は、図6(b)及び図7に示すように、複数の環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を、径外方向R1側に移動させて第二治具スロット52内に挿入する工程である。なお、図6(b)、並びに図10(b)及び図12(b)においては、煩雑さを避けるために、1つの環状導体35及び当該環状導体35に対応する押込歯11a,12a,13a(後述する)のみを示している。
予備挿入工程P3は、図6(b)及び図7に示すように、複数の環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を、径外方向R1側に移動させて第二治具スロット52内に挿入する工程である。なお、図6(b)、並びに図10(b)及び図12(b)においては、煩雑さを避けるために、1つの環状導体35及び当該環状導体35に対応する押込歯11a,12a,13a(後述する)のみを示している。
本実施形態では、予備挿入工程P3は、第一コイル押出機構71により実行される。第一コイル押出機構71は、図6に示す第一押出器11と、第一治具40と第一押出器11とを互いに軸方向Lに近づける移動機構と、を備えている。第一押出器11は、本体部(図6に示す例では円環板状の本体部)と、当該本体部の上面に立設された複数の第一押込歯11aと、を有している。第一押込歯11aは、第一治具スロット42内に挿入可能に形成されている。なお、以下の説明では、図6に示すように、第一押出器11が治具軸心Bと同軸上に配置されている場合を想定して、軸方向L、径方向R、及び周方向Cの各方向を用いる。
第一押込歯11aは、周方向Cに沿って一定ピッチで複数分散配置されている。本実施形態では、コアスロット22の半数の第一押込歯11aが、コアスロット22の配設ピッチの2倍のピッチで配置されている。すなわち、第二治具スロット52と同数の第一押込歯11aが、第二治具スロット52の配設ピッチと同じピッチで配置されている。なお、各第一押込歯11aは、互いに同じ形状とされている。
第一押込歯11aは、図6に示すように、軸方向L及び径方向Rに延在する板状部材とされ、軸方向L視で治具軸心Bから放射状に延びるように形成されている。第一押込歯11aの周方向Cの厚さは、第一治具スロット42に対して軸方向Lに挿入可能な値とされている。そして、第一押込歯11aの径外方向R1側の端部には、軸方向Lに対して傾斜した方向に延びる第一傾斜面11bが形成されている。この第一傾斜面11bは、第一押出器11の本体部から軸方向Lに離れるに従って、径内方向R2側へ向かう面とされている。
第一コイル押出機構71は、移動機構により第一治具40と第一押出器11とを互いに軸方向Lに近づけることで、第一押込歯11aを第一治具スロット42内に軸方向Lに挿入する。この際、図6(b)及び図7に示すように、第一治具スロット42内に配置された第一コイル辺部36は、第一傾斜面11bにより径内方向R2側から押圧されて径外方向R1側に押し出され、当該第一治具スロット42と位置が合う(すなわち、当該第一治具スロット42に対向する)第二治具スロット52内に挿入される。ここで、第一押込歯11aの配設ピッチは第一治具スロット42の配設ピッチの2倍となっているため、第一押込歯11aは、周方向Cに沿って1つおきに配置された第一治具スロット42(具体的には、第一コイル辺部36が配置された第一治具スロット42)の全てに対して同時に挿入される。よって、本実施形態では、第一治具40と第一押出器11とを互いに軸方向Lに近づけることで、全ての第一コイル辺部36を同時に(すなわち1つの工程で)第一治具スロット42から第二治具スロット52に移動させることが可能となっている。
なお、第一コイル辺部36を第一治具スロット42から第二治具スロット52内に完全に移動させることを可能とすべく、第一傾斜面11bは、第二対向面51より径外方向R1側まで延在するように形成されている。すなわち、第一傾斜面11bの基端部(径外方向R1側の端部)は、第二対向面51より径外方向R1側に位置する。また、第二治具スロット52内に押し出された第一コイル辺部36は、図7に示すように、第二治具スロット52内において当該第一コイル辺部36を構成する複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように配置される。
3−2.治具回転工程
治具回転工程P4は、図8及び図9に示すように、第一治具40に対して第二治具50が周第一方向C1側に相対回転すると共に回転後に第一治具スロット42の内の空きスロット44と第二治具スロット52との位置が合うように、第一治具40と第二治具50とを所定角度相対回転させる工程である。すなわち、第一治具40と第二治具50とは、第一コイル辺部36が第二治具スロット52内に挿入された状態で、第一治具40に対して第二治具50が周第一方向C1側に相対回転可能に構成され、当該相対回転後の状態で、第一治具スロット42の内の空きスロット44と第一コイル辺部36が配置された第二治具スロット52との位置が合うように構成されている。この治具回転工程P4では、第一治具40及び第二治具50の内の少なくとも一方を、治具軸心Bを回転軸として回転させることで、第一治具40に対して第二治具50を周第一方向C1側に相対回転(周方向Cに相対移動)させる。この際、例えば図示しない支持機構等により、第一治具40と第二治具50とが互いに同軸上に配置された状態が維持される。
治具回転工程P4は、図8及び図9に示すように、第一治具40に対して第二治具50が周第一方向C1側に相対回転すると共に回転後に第一治具スロット42の内の空きスロット44と第二治具スロット52との位置が合うように、第一治具40と第二治具50とを所定角度相対回転させる工程である。すなわち、第一治具40と第二治具50とは、第一コイル辺部36が第二治具スロット52内に挿入された状態で、第一治具40に対して第二治具50が周第一方向C1側に相対回転可能に構成され、当該相対回転後の状態で、第一治具スロット42の内の空きスロット44と第一コイル辺部36が配置された第二治具スロット52との位置が合うように構成されている。この治具回転工程P4では、第一治具40及び第二治具50の内の少なくとも一方を、治具軸心Bを回転軸として回転させることで、第一治具40に対して第二治具50を周第一方向C1側に相対回転(周方向Cに相対移動)させる。この際、例えば図示しない支持機構等により、第一治具40と第二治具50とが互いに同軸上に配置された状態が維持される。
ここで、上記所定角度は、ステータ1の構成に基づき予め定められる角度であり、本実施形態では、第一治具スロット42の配設ピッチの4倍の角度に設定されている。よって、本実施形態では、治具回転工程P4の実行後の状態では、図9に示すように、環状導体35の第一コイル辺部36が配置された第二治具スロット52と位置が合う空きスロット44は、当該環状導体35の第二コイル辺部37が配置された第一治具スロット42から周第一方向C1側に5スロットピッチ離れた第一治具スロット42とされる。
ところで、本実施形態では、治具回転工程P4の実行後の状態(図8及び図9参照)において、第一コイル辺部36と第二コイル辺部37とが、周方向Cについても径方向Rについても最も離間した状態となる。そのため、線状導体34を複数回周回してなる環状導体35の、1周分の長さは、コイルエンド部32の小型化の観点から可能な限り短く抑えることが好ましいが、環状導体35の1周分の長さは、この治具回転工程P4を適切に実行することが可能な下限値以上に設定される。
3−3.第一挿入工程
第一挿入工程P5は、図10及び図11に示すように、複数の環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を、径内方向R2側に移動させて空きスロット44内に挿入する工程である。本実施形態では、第一挿入工程P5は、第二コイル押出機構72により実行される。第二コイル押出機構72は、図10に示す第二押出器12と、第二治具50と第二押出器12とを互いに軸方向Lに近づける移動機構と、を備えている。第二押出器12は、第一押出器11と基本的に同様に構成されているが、第一押込歯11aに対応する第二押込歯12aの径方向Rの位置や、第一傾斜面11bに対応する第二傾斜面12bの軸方向Lに対する傾斜方向が異なっている。なお、第二押込歯12aは、第二治具スロット52内に挿入可能に形成されている。
第一挿入工程P5は、図10及び図11に示すように、複数の環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を、径内方向R2側に移動させて空きスロット44内に挿入する工程である。本実施形態では、第一挿入工程P5は、第二コイル押出機構72により実行される。第二コイル押出機構72は、図10に示す第二押出器12と、第二治具50と第二押出器12とを互いに軸方向Lに近づける移動機構と、を備えている。第二押出器12は、第一押出器11と基本的に同様に構成されているが、第一押込歯11aに対応する第二押込歯12aの径方向Rの位置や、第一傾斜面11bに対応する第二傾斜面12bの軸方向Lに対する傾斜方向が異なっている。なお、第二押込歯12aは、第二治具スロット52内に挿入可能に形成されている。
具体的には、第二押込歯12aは、図10(b)に示すように第二治具スロット52に挿入されるため、第一押込歯11aより径外方向R1側に設けられている。また、第二押出器12は、第一押出器11とは径方向Rにおける反対側に第一コイル辺部36を移動させるため、第二傾斜面12bは、第二押出器12の本体部から軸方向Lに離れるに従って、径外方向R1側へ向かう面とされている。その他の点については、第二押出器12は、第一押出器11と同様に構成されている。
第二コイル押出機構72は、移動機構により第二治具50と第二押出器12とを互いに軸方向Lに近づけることで、第二押込歯12aを第二治具スロット52内に軸方向Lに挿入する。この際、図10(b)及び図11に示すように、第二治具スロット52内に配置された第一コイル辺部36は、第二傾斜面12bにより径外方向R1側から押圧されて径内方向R2側に押し出され、当該第二治具スロット52と位置が合う(すなわち、当該第二治具スロット52に対向する)第一治具スロット42内に挿入される。ここで、第二押込歯12aの配設ピッチは第二治具スロット52の配設ピッチと同じであるため、第二押込歯12aは、第二治具スロット52の全てに対して同時に挿入される。よって、本実施形態では、第二治具50と第二押出器12とを互いに軸方向Lに近づけることで、全ての第一コイル辺部36を同時に(すなわち1つの工程で)第二治具スロット52から第一治具スロット42に移動させることが可能となっている。
なお、第一コイル辺部36を第二治具スロット52から第一治具スロット42内に完全に移動させることを可能とすべく、第二傾斜面12bは、第一対向面41より径内方向R2側まで延在するように形成されている。すなわち、第二傾斜面12bの基端部(径内方向R2側の端部)は、第一対向面41より径内方向R2側に位置する。また、第一治具スロット42内に押し出された第一コイル辺部36は、図11に示すように、第一治具スロット42内において当該第一コイル辺部36を構成する複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように配置される。
3−4.ステータ配置工程
ステータコア配置工程P7は、図12及び図13に示すように、第一対向面41とステータ対向面21とが対向すると共に第一治具スロット42とコアスロット22との位置が合うように、ステータコア2を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する工程である。このステータコア配置工程P7は、第二治具50を第一治具40から分離させる治具分離工程を含み、当該治具分離工程の実行後に、ステータコア2を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する。本実施形態では、治具分離工程は、第一治具40と第二治具50とを互いに軸方向Lに離間させることで実行される。
ステータコア配置工程P7は、図12及び図13に示すように、第一対向面41とステータ対向面21とが対向すると共に第一治具スロット42とコアスロット22との位置が合うように、ステータコア2を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する工程である。このステータコア配置工程P7は、第二治具50を第一治具40から分離させる治具分離工程を含み、当該治具分離工程の実行後に、ステータコア2を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する。本実施形態では、治具分離工程は、第一治具40と第二治具50とを互いに軸方向Lに離間させることで実行される。
本実施形態では、第一治具スロット42はコアスロット22と同じピッチで同数形成されているため、ステータコア配置工程P7の実行後には、図13に示すように、全ての第一治具スロット42が、コアスロット22と位置が合うように配置される。なお、本実施形態では、上述したように、第一治具40には、ティース23の先端部23aが嵌まる凹部43が形成されている(図14参照)。そのため、ステータコア配置工程P7では、ティース23の先端部23aと凹部43との周方向Cの位置を合わせた状態で、同軸上に配置した第一治具40とステータコア2とを互いに軸方向Lに近づけることで、ステータコア2を第一治具40に対して径外方向R1側に配置する。なお、本実施形態では、ティース23の先端部23aと凹部43との周方向Cの位置を合わせることで、第一治具スロット42とコアスロット22とは、周方向Cの中央部が互いに同じ周方向Cの位置に配置される。
なお、本実施形態では、第一治具40の軸方向Lの長さは、ステータコア2の軸方向Lの長さと同一とされているため、第一治具40の軸方向Lの端面とステータコア2の軸方向Lの端面とが、軸方向Lの両側において互いに同じ軸方向Lの位置に配置されるように、ステータコア配置工程P7が実行される。
3−5.第二挿入工程
第二挿入工程P8は、複数の環状導体35のそれぞれの一対のコイル辺部36,37を、径外方向R1側に移動させてコアスロット22内に挿入する工程である。本実施形態では、第二挿入工程P8は、第三コイル押出機構73により実行される。第三コイル押出機構73は、図12に示す第三押出器13と、第一治具40と第三押出器13とを互いに軸方向Lに近づける移動機構と、を備えている。第三押出器13は、第一押出器11と基本的に同様に構成されているが、第一押込歯11aに対応する第三押込歯13aの形成数が異なっている。なお、第三押込歯13aは、第一治具スロット42内に挿入可能に形成されている。
第二挿入工程P8は、複数の環状導体35のそれぞれの一対のコイル辺部36,37を、径外方向R1側に移動させてコアスロット22内に挿入する工程である。本実施形態では、第二挿入工程P8は、第三コイル押出機構73により実行される。第三コイル押出機構73は、図12に示す第三押出器13と、第一治具40と第三押出器13とを互いに軸方向Lに近づける移動機構と、を備えている。第三押出器13は、第一押出器11と基本的に同様に構成されているが、第一押込歯11aに対応する第三押込歯13aの形成数が異なっている。なお、第三押込歯13aは、第一治具スロット42内に挿入可能に形成されている。
具体的には、第三押込歯13aは、図12に示すように、コアスロット22と同数形成されており、第三押込歯13aの配設ピッチは、コアスロット22の配設ピッチと同一とされている。すなわち、第一治具スロット42と同数の第三押込歯13aが、第一治具スロット42の配設ピッチと同じピッチで配置されている。そして、第三押込歯13aのそれぞれには、第一押込歯11aに対応する第三傾斜面13bが形成されている。その他の点について、第三押出器13は、第一押出器11と同様に構成されている。
第三コイル押出機構73は、移動機構により第一治具40と第三押出器13とを互いに軸方向Lに近づけることで、第三押込歯13aを第一治具スロット42内に軸方向Lに挿入する。この際、図12(b)及び図13に示すように、第一治具スロット42内に配置されたコイル辺部36,37は、第三傾斜面13bにより径内方向R2側から押圧されて径外方向R1側に押し出され、当該第一治具スロット42と位置が合う(すなわち、当該第一治具スロット42に対向する)コアスロット22内に挿入される。ここで、第三押込歯13aの配設ピッチは第一治具スロット42の配設ピッチと同じであるため、第三押込歯13aは、第一治具スロット42の全てに対して同時に挿入される。よって、本実施形態では、第一治具40と第三押出器13とを互いに軸方向Lに近づけることで、全てのコイル辺部36,37を同時に(すなわち1つの工程で)第一治具スロット42からコアスロット22に移動させることが可能となっている。
なお、コイル辺部36,37を第一治具スロット42から第二治具スロット52内に完全に移動させることを可能とすべく、第三傾斜面13bは、ステータ対向面21より径外方向R1側まで延在するように形成されている。すなわち、第三傾斜面13bの基端部(径外方向R1側の端部)は、ステータ対向面21より径外方向R1側に位置する。なお、コアスロット22内に押し出された一対のコイル辺部36,37を構成する線状導体34は、図13に模式的に示すように、コアスロット22内の隙間を径外方向R1側から順次埋めるように配置される。
3−6.渡り部成形工程
渡り部成形工程P6は、渡り部38を成形する工程である。本実施形態では、この渡り部成形工程P6では、軸方向L視での渡り部38の形状を、周第一方向C1側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径外方向R1側に接し、周第二方向C2側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径内方向R2側に接する形状に成形する。具体的には、軸方向L視での渡り部38の形状を、ステータ軸心A(治具軸心B)側から径方向Rの外側へ向かって延びる渦巻線Sに沿う形状に成形する。
渡り部成形工程P6は、渡り部38を成形する工程である。本実施形態では、この渡り部成形工程P6では、軸方向L視での渡り部38の形状を、周第一方向C1側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径外方向R1側に接し、周第二方向C2側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径内方向R2側に接する形状に成形する。具体的には、軸方向L視での渡り部38の形状を、ステータ軸心A(治具軸心B)側から径方向Rの外側へ向かって延びる渦巻線Sに沿う形状に成形する。
本実施形態では、渡り部成形工程P6は、図10に示すように、第一挿入工程P5の実行と重複して行われる。言い換えれば、第一挿入工程P5の実行開始時から実行終了時までの期間と、渡り部成形工程P6の実行開始時から実行終了時までの期間との間には、重複する期間が存在する。これにより、本実施形態では、第一挿入工程P5により、複数の環状導体35のそれぞれの第一コイル辺部36を、径内方向R2側に移動させて空きスロット44内に挿入する工程に並行して、渡り部38の第一治具40の軸方向L視での形状を、図12(a)に模式的に示すように、周第一方向C1側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径外方向R1側に接し、周第二方向C2側の端部において同じ周方向Cの位置にある他の渡り部38の径内方向R2側に接する形状に成形する。これにより、第一挿入工程P5及び渡り部成形工程P6の双方の実行後の渡り部38の形状は、図2に示す渡り部38の形状を径方向Rに縮めたものに相当する。なお、渡り部成形工程P6は、例えば、屈曲加工装置(図示せず)等を用いて実行される。
このように、本実施形態では、渡り部成形工程P6は、第二挿入工程P8の実行前に実行される。これにより、第二挿入工程P8において必要となる環状導体35の変形量(特に渡り部38の変形量)を少なく抑えることができ、環状導体35をコアスロット22内に挿入する際に、ステータコア2へ与える負荷を抑制したり、コイル3が損傷するのを抑制したりすることが可能となっている。
4.その他の実施形態
最後に、本発明に係るステータ製造方法及びステータ製造装置6の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
最後に、本発明に係るステータ製造方法及びステータ製造装置6の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
(1)上記の実施形態では、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、径外方向R1側の端部と径内方向R2側の端部とが同じ周方向Cの位置に位置するように形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の少なくとも一方について、径第二方向側(本例では径内方向R2側)の端部が径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部より周第一方向C1側に位置するように形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。言い換えれば、治具回転工程P4(図8及び図9参照)における第一治具40と第二治具50との相対的な旋回方向を基準とすると、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の少なくとも一方について、開口部42a,52aが径方向における当該開口部42a,52aとは反対側の端部に比べて、周方向Cにおける旋回方向側(第一治具スロット42については周第二方向C2側、第二治具スロット52については周第一方向C1側)に位置するように形成された構成とすることができる。以下、このような構成の3つの具体例(図16〜図18)について説明する。
なお、以下の3つの具体例は、全て、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、径第二方向側(本例では径内方向R2側)の端部が径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部より周第一方向C1側に位置するように形成された構成の例である。図示は省略するが、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の一方を、上記実施形態の如く形成し、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の少なくとも一方のみが、径内方向R2側の端部が径外方向R1側の端部より周第一方向C1側に位置するように形成された構成とすることも可能である。また、以下の説明では、第一治具スロット42の径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部を第一端部42bとし、第一治具スロット42の径第二方向側(本例では径内方向R2側)の端部を第二端部42cとする。同様に、第二治具スロット52の径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部を第一端部52bとし、第二治具スロット52の径第二方向側(径内方向R2側)の端部を第二端部52cとする。
なお、図16、図17、及び図18においては、発明の理解を容易にすべく、上記実施形態の構成を有する第一治具スロット42及び第二治具スロット52を、二点鎖線で示している。また、各図面では、ある特定の環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37が、治具回転工程P4の実行後において配置されるスロット42,52にハッチングを施している。更に、当該特定の環状導体35の渡り部38の軸方向L視での形状を、区画線D1,D2により模式的に示している。すなわち、第一区画線D1は、渡り部38の径外方向R1側の端縁に対応し、第二区画線D2は、渡り部38の径内方向R2側の端縁に対応する。なお、隣接する渡り部38との干渉を避ける形状(図10(a)参照)を模擬すべく、区画線D1,D2を折れ線状としている。
(第一の具体例)
図16に示す第一の具体例では、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、上記実施形態と同様、直線状に延びるように形成されているが、延在方向が、上記実施形態とは異なり、径方向Rに対して傾斜した方向とされている。具体的には、第一治具スロット42の第二端部42cは、当該第一治具スロット42の第一端部42bより周第一方向C1側に位置し、第二治具スロット52の第二端部52cは、当該第二治具スロット52の第一端部52bより周第一方向C1側に位置する。
図16に示す第一の具体例では、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、上記実施形態と同様、直線状に延びるように形成されているが、延在方向が、上記実施形態とは異なり、径方向Rに対して傾斜した方向とされている。具体的には、第一治具スロット42の第二端部42cは、当該第一治具スロット42の第一端部42bより周第一方向C1側に位置し、第二治具スロット52の第二端部52cは、当該第二治具スロット52の第一端部52bより周第一方向C1側に位置する。
このような構成を備えることで、図16に示すように、第一区画線D1が、上記実施形態の場合の第一区画線D1に対応する区画線E1より短くなるとともに、第二区画線D2が、上記実施形態の場合の第二区画線D2に対応する区画線E2より短くなる。すなわち、図16に示す例では、上記実施形態に比べて、治具回転工程P4を適切に実行することが可能な、環状導体35の1周分の長さの下限値を短く抑えることができ、上記実施形態に比べて、渡り部38の長さを短く抑えることが可能となっている。
なお、図16に示す例では、第一治具スロット42について、開口部42aが径方向Rに平行に開口する開口部となるように、周方向Cの屈曲部42dが第一端部42bに形成されている。屈曲部42dと同様の屈曲部が、第二治具スロット52の第二端部52cにも形成された構成とすることができる。この場合、第一治具スロット42の第一端部42bに屈曲部42dが形成されていない構成とすることもできる。
(第二の具体例)
図17に示す第二の具体例では、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、上記実施形態及び第一の具体例とは異なり、直線状ではなく円弧状に延びるように形成されている。この第二の具体例においても、上記第一の具体例と同様、第一区画線D1が、上記実施形態の場合の第一区画線D1に対応する区画線E1より短くなるとともに、第二区画線D2が、上記実施形態の場合の第二区画線D2に対応する区画線E2より短くなっている。これにより、この図17に示す例でも、上記実施形態に比べて、渡り部38の長さを短く抑えることが可能となっている。
図17に示す第二の具体例では、第一治具スロット42及び第二治具スロット52の双方が、上記実施形態及び第一の具体例とは異なり、直線状ではなく円弧状に延びるように形成されている。この第二の具体例においても、上記第一の具体例と同様、第一区画線D1が、上記実施形態の場合の第一区画線D1に対応する区画線E1より短くなるとともに、第二区画線D2が、上記実施形態の場合の第二区画線D2に対応する区画線E2より短くなっている。これにより、この図17に示す例でも、上記実施形態に比べて、渡り部38の長さを短く抑えることが可能となっている。
なお、図17に示す例では、第一治具スロット42の開口部42a、及び第二治具スロット52の開口部52aの双方が、径方向Rに対して傾斜した方向に開口する開口部とされているが、これらの少なくとも一方(例えば、第一治具スロット42の開口部42a)を、径方向Rに平行に開口する開口部とすることもできる。
(第三の具体例)
図18に示す第三の具体例は、上記第一の具体例(図16)における第一治具スロット42と、上記第二の具体例(図17)における第二治具スロット52とを組み合わせたものに相当し、この例においても、上記第一及び第二の具体例と同様の効果を得ることができる。なお、図示は省略するが、上記第一の具体例(図16)における第二治具スロット52と、上記第二の具体例(図17)における第一治具スロット42とを組み合わせることも可能である。
図18に示す第三の具体例は、上記第一の具体例(図16)における第一治具スロット42と、上記第二の具体例(図17)における第二治具スロット52とを組み合わせたものに相当し、この例においても、上記第一及び第二の具体例と同様の効果を得ることができる。なお、図示は省略するが、上記第一の具体例(図16)における第二治具スロット52と、上記第二の具体例(図17)における第一治具スロット42とを組み合わせることも可能である。
また、同じく図示は省略するが、径第二方向側(本例では径内方向R2側)の端部が径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部より周第一方向C1側に位置する形状として、両側の端部の間を構成する部分に周方向Cに平行に延びる部分が含まれる形状、両側の端部の間を構成する部分に径方向Rに平行に延びる部分が含まれる形状、或いは、径第二方向側(本例では径内方向R2側)の端部から径第一方向側(本例では径外方向R1側)の端部に向かうに従って周第一方向C1側に延びる部分が含まれる形状等、任意の形状を採用することが可能である。
(2)上記の実施形態では、第一治具40の軸方向Lの端面、及び第二治具50の軸方向Lの端面の双方が、軸方向Lの両側において、治具軸心Bに直交する面に平行であって、軸方向Lの位置が周方向C及び径方向Rに一様な面とされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一治具40及び第二治具50の少なくとも一方について、軸方向Lにおける少なくとも一方の端面の形状が、第一対向面41と第二対向面51との対向部60を含む対向部側部分に対して、当該対向部60から径方向Rに離れた部分の方が軸方向Lの中央側に位置する形状とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
以下、このような構成の1つの具体例(図19)について説明する。なお、図20は、図19に示す具体例についてのコイル巻装用治具10の一部軸方向L視図であり、図21は、図20におけるXXI−XXI断面の模式図である。また、図20では、同一の環状導体35を構成する一対のコイル辺部36,37が、治具回転工程P4の実行後において配置されるスロット42,52にハッチングを施しており、図21では、煩雑さを避けるため、図20でハッチングを施したスロット42,52のみを示している。
図19に示す例では、第一治具40の軸方向Lの端面の形状が、軸方向Lの両側において、対向部60を含む対向部側部分である第一対向部側部分61に対して、当該対向部60から径方向Rに離れた部分である第一離間部分63の方が軸方向Lの中央側に位置する形状とされている。同様に、第二治具50の軸方向Lの端面の形状が、軸方向Lの両側において、対向部60を含む対向部側部分である第二対向部側部分62に対して、当該対向部60から径方向Rに離れた部分である第二離間部分64の方が軸方向Lの中央側に位置する形状とされている。
なお、図19に示すように、第一対向部側部分61及び第二対向部側部分62の軸方向Lの長さは、互いに同一とされ、治具配置工程P2では、第一対向部側部分61の軸方向Lの端面と第二対向部側部分62の軸方向Lの端面とが、軸方向Lの両側において互いに同じ軸方向Lの位置に配置される。また、第一対向部側部分61の軸方向Lの長さは、ステータコア2の軸方向Lの長さと同一とされ、ステータコア配置工程P7では、第一対向部側部分61の軸方向Lの端面とステータコア2の軸方向Lの端面とが、軸方向Lの両側において互いに同じ軸方向Lの位置に配置される。
このような構成では、図19に示す治具回転工程P4の実行後の状態において、図19及び図21に示すように、環状導体35(煩雑さを避けるため1つのみ示している)の渡り部38は、第一対向部側部分61と第一離間部分63とを接続する斜面部や、第二対向部側部分62と第二離間部分64とを接続する斜面部に接するように配置される。これにより、図21に示すように、上記実施形態の場合(図21において二点鎖線で示す構成)に比べて、治具回転工程P4を適切に実行することが可能な、環状導体35の1周分の長さの下限値を短く抑えることができる。よって、図19に示す例においても、上述した図16〜図18の例と同様、上記実施形態に比べて、渡り部38の長さを短く抑えることが可能となっている。
図示は省略するが、第一治具40及び第二治具50の少なくとも一方のみが、図19に示す例の如く形成された構成としたり、第一治具40や第二治具50の軸方向Lの一方の端面のみが、図19に示す例の如く形成された構成とすることも可能である。また、当然ながら、図19に示す構成と、図16〜図18に示す構成とを組み合わせることも可能である。
(3)上記の実施形態では、ステータ1の製造過程で、第一コイル辺部36や第二コイル辺部37が、当該コイル辺部36,37を構成する複数の線状導体34が径方向Rに一列に並ぶように、第一治具スロット42内や第二治具スロット52内に配置される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、ステータ1の製造過程で、コイル辺部36,37を構成する複数の線状導体34が、少なくとも第一治具スロット42及び第二治具スロット52の一方において、径方向Rの位置が互いに重複するように(すなわち、周方向C視で重複する部分を有するように)配置された構成(例えば、径方向Rに二列に並ぶ構成)とすることも可能である。
(4)上記の実施形態では、第一治具スロット42と第二治具スロット52とが、周方向Cの幅が互いに同一に形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一治具スロット42と第二治具スロット52とが、周方向Cの幅が互いに異なるように形成された構成とすることも可能である。
(5)上記の実施形態では、第一治具40が凹部43を備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一治具40が凹部43を備えず、第一対向面41が、第一治具40における最も径外方向R1側に位置する部分である構成とすることもできる。このような構成では、上記実施形態とは異なり、第二治具50の第二対向面51が第一治具40の第一対向面41に対してすきま嵌めにより外嵌するように、第二対向面51の内径を設計することができる。また、このような構成では、上記実施形態とは異なり、第一治具スロット42の周方向Cの幅を、コアスロット22の開口部22aの周方向Cの幅と同じ値とすることも可能である。
(6)上記の実施形態では、コアスロット22がセミオープンスロットとされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、コアスロット22がオープンスロットとされ、コアスロット22の周方向Cの幅が、開口部22aを含む径方向Rの全域で一様な構成とすることも可能である。
(7)上記の実施形態では、第一挿入工程P5の実行と重複して渡り部成形工程P6を実行する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、渡り部成形工程P6を、第一挿入工程P5の実行完了後に実行する構成とすることもできる。この場合であっても、渡り部成形工程P6を、第二挿入工程P8の実行前に実行する構成とすることが好ましい。
(8)上記の実施形態では、予備挿入工程P3が第一コイル押出機構71により実行され、第一挿入工程P5が第二コイル押出機構72により実行され、第二挿入工程P8が第三コイル押出機構73により実行される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、予備挿入工程P3、第一挿入工程P5、及び第二挿入工程P8の少なくとも何れかが、押出機構71,72,73以外の機構(機械的な力によりコイル辺部36,37を移動させる機構も電磁的な力によりコイル辺部36,37を移動させる機構も含む)を用いて実行される構成とすることも可能である。
(9)上記の実施形態では、図3に示す製造工程が1回のみ実行される構成を例として説明したが、図3に示す工程を繰り返し実行(例えば2回実行)することでステータ1が製造される構成とすることも可能である。このような構成では、ステータ1が、図1に示すコイル3を複数セット(例えば2セット)備える構成となる。
(10)上記の実施形態では、ステータ1が、インナロータ型の回転電機用のステータとされた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、ステータ1が、アウタロータ型の回転電機用のステータとされる構成とすることも可能である。すなわち、本発明における「径第一方向」が径方向Rの内側へ向かう方向であり、本発明における「径第二方向」が径方向Rの外側へ向かう方向である構成とすることができる。このような構成では、第一治具40は、ステータコア2の径方向Rの外側に配置され、第二治具50は、第一治具40の径方向Rの内側に配置される構成となる。すなわち、ステータ対向面21は、ステータコア2の外周面により構成される。また、第一対向面41は、第一治具40の内周面により構成され、第一治具スロット42の開口部42aは内周開口部とされる。また、第二対向面51は、第二治具50の外周面により構成され、第二治具スロット52の開口部52aは外周開口部とされる。
(11)上記の実施形態では、第一治具40が全体として円柱状に形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一治具40が、軸心部分に貫通孔を備え、全体として円筒状に形成されている構成とすることもできる。
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、ステータコアに対してコイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造方法、及びそのためのステータ製造装置に好適に利用することができる。
1:ステータ
2:ステータコア
3:コイル
5:コイル巻装装置
6:ステータ製造装置
21:ステータ対向面
22:コアスロット
23:ティース
35:環状導体
36:第一コイル辺部
37:第二コイル辺部
38:渡り部
40:第一治具
41:第一対向面
42:第一治具スロット
43:凹部
44:空きスロット
50:第二治具
51:第二対向面
52:第二治具スロット
60:対向部
61:第一対向部側部分(対向部側部分)
62:第二対向部側部分(対向部側部分)
70:コイル配置機構
71:第一コイル押出機構
72:第二コイル押出機構
73:第三コイル押出機構
C:周方向
C1:周第一方向
C2:周第二方向
L:軸方向
P1:コイル予備配置工程
P2:治具配置工程
P3:予備挿入工程
P4:治具回転工程
P5:第一挿入工程
P6:渡り部成形工程
P7:ステータ配置工程
P8:第二挿入工程
P10:コイル配置工程
R:径方向
R1:径外方向(径第一方向)
R2:径内方向(径第二方向)
2:ステータコア
3:コイル
5:コイル巻装装置
6:ステータ製造装置
21:ステータ対向面
22:コアスロット
23:ティース
35:環状導体
36:第一コイル辺部
37:第二コイル辺部
38:渡り部
40:第一治具
41:第一対向面
42:第一治具スロット
43:凹部
44:空きスロット
50:第二治具
51:第二対向面
52:第二治具スロット
60:対向部
61:第一対向部側部分(対向部側部分)
62:第二対向部側部分(対向部側部分)
70:コイル配置機構
71:第一コイル押出機構
72:第二コイル押出機構
73:第三コイル押出機構
C:周方向
C1:周第一方向
C2:周第二方向
L:軸方向
P1:コイル予備配置工程
P2:治具配置工程
P3:予備挿入工程
P4:治具回転工程
P5:第一挿入工程
P6:渡り部成形工程
P7:ステータ配置工程
P8:第二挿入工程
P10:コイル配置工程
R:径方向
R1:径外方向(径第一方向)
R2:径内方向(径第二方向)
Claims (6)
- ロータへの対向面となる円筒状のステータ対向面と当該ステータ対向面の周方向に複数分散配置された複数のコアスロットとを有するステータコアに対して、コイル巻装装置を用いてコイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造方法であって、
前記コアスロットは、前記ステータコアを軸方向に貫通すると共に前記ステータ対向面に開口するように形成され、
前記コイルは、複数の環状導体を有して構成され、
前記環状導体のそれぞれは、互いに異なる前記コアスロット内にそれぞれ配置される一対のコイル辺部となる、前記周方向の一方側である周第一方向側に配置される第一コイル辺部と前記周方向の他方側である周第二方向側に配置される第二コイル辺部とを有し、
前記コイル巻装装置は、円筒状の第一対向面と複数の第一治具スロットとを有する第一治具と、前記第一対向面に対して径方向の一方側である径第一方向側に配置されて前記第一対向面に対向する円筒状の第二対向面と複数の第二治具スロットとを有する第二治具と、を備え、
前記第一治具スロットは、前記第一治具を軸方向に貫通すると共に前記第一対向面に開口するように形成され、前記第二治具スロットは、前記第二治具を軸方向に貫通すると共に前記第二対向面に開口するように形成され、
複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記第二コイル辺部を前記第一治具スロット内に配置するとともに、前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を前記第二治具スロット内に配置するコイル配置工程と、
前記第一治具スロットの内の空きスロットと前記第一コイル辺部が配置された前記第二治具スロットとの位置が合うように、前記第一治具と前記第二治具とを所定角度相対回転させる治具回転工程と、
複数の前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を、前記径第一方向とは反対方向である径第二方向側に移動させて前記空きスロット内に挿入する第一挿入工程と、
前記第一対向面と前記ステータ対向面とが対向すると共に前記第一治具スロットと前記コアスロットとの位置が合うように、前記ステータコアを前記第一治具に対して前記径第一方向側に配置するステータコア配置工程と、
複数の前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を、前記径第一方向側に移動させて前記コアスロット内に挿入する第二挿入工程と、を有し、
前記コイル配置工程は、
前記第一治具と前記第二治具とが分離した状態で、複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を一対の前記第一治具スロット内に配置するコイル予備配置工程と、
前記第一対向面と前記第二対向面とが対向すると共に前記第一コイル辺部が配置された前記第一治具スロットと前記第二治具スロットとの位置が合うように、前記第二治具を前記第一治具に対して前記径第一方向側に配置する治具配置工程と、
複数の前記環状導体のそれぞれの前記第一コイル辺部を、前記径第一方向側に移動させて前記第二治具スロット内に挿入する予備挿入工程と、
を有するステータ製造方法。 - 前記環状導体のそれぞれは、前記ステータコアに対して軸方向外側において前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部とをつなぐ渡り部を備え、
前記第一挿入工程の実行と重複して、前記第一治具の軸方向視での前記渡り部の形状を、前記周第一方向側の端部において同じ周方向位置にある他の前記渡り部の前記径第一方向側に接し、前記周第二方向側の端部において同じ周方向位置にある他の前記渡り部の前記径第二方向側に接する形状に成形する渡り部成形工程を実行する請求項1に記載のステータ製造方法。 - ロータへの対向面となる円筒状のステータ対向面と当該ステータ対向面の周方向に複数分散配置された複数のコアスロットとを有するステータコアに対して、コイルを巻装して回転電機用のステータを製造するステータ製造装置であって、
前記コアスロットは、前記ステータコアを軸方向に貫通すると共に前記ステータ対向面に開口するように形成され、
前記コイルは、複数の環状導体を有して構成され、
前記環状導体のそれぞれは、互いに異なる前記コアスロット内にそれぞれ配置される一対のコイル辺部となる、前記周方向の一方側である周第一方向側に配置される第一コイル辺部と前記周方向の他方側である周第二方向側に配置される第二コイル辺部とを有し、
前記ステータ対向面と対向するように配置可能な円筒状の第一対向面と、前記コイル辺部を挿入可能な複数の第一治具スロットと、を有する治具であり、前記第一治具スロットが当該治具を軸方向に貫通すると共に前記第一対向面に開口する第一治具と、
前記第一対向面に対して径方向の一方側である径第一方向側に配置されて前記第一対向面に対向する円筒状の第二対向面と、前記コイル辺部を挿入可能な複数の第二治具スロットと、を有する治具であり、前記第二治具スロットが当該治具を軸方向に貫通すると共に前記第二対向面に開口する第二治具と、
前記第一治具と前記第二治具とが分離した状態で、複数の前記環状導体が前記第一対向面の周方向に沿って互いに重複することなく順に並ぶように、前記環状導体のそれぞれの前記一対のコイル辺部を一対の前記第一治具スロット内に配置するコイル配置機構と、
前記第一治具スロット内に挿入可能な第一押込歯を有し、前記第一治具スロット内に配置された前記第一コイル辺部を、前記第一押込歯により前記径第一方向側に押し出して当該第一治具スロットに対向する前記第二治具スロット内に挿入する第一コイル押出機構と、
前記第二治具スロット内に挿入可能な第二押込歯を有し、前記第二治具スロット内に配置された前記第一コイル辺部を、前記第二押込歯により前記径第一方向とは反対方向である径第二方向側に押し出して当該第二治具スロットに対向する前記第一治具スロット内に挿入する第二コイル押出機構と、
前記第一治具スロット内に挿入可能な第三押込歯を有し、前記第一治具スロット内に配置された前記一対のコイル辺部を、前記第三押込歯により前記径第一方向側に押し出して当該第一治具スロットに対向する前記コアスロット内に挿入する第三コイル押出機構と、
を備え、
前記第一治具と前記第二治具とは、前記第一コイル辺部が前記第二治具スロット内に挿入された状態で、前記第一治具に対して前記第二治具が前記周第一方向側に相対回転可能に構成され、当該相対回転後の状態で、前記第一治具スロットの内の空きスロットと前記第一コイル辺部が配置された前記第二治具スロットとの位置が合うように構成されているステータ製造装置。 - 前記第一治具スロット及び前記第二治具スロットの少なくとも一方について、前記径第二方向側の端部が前記径第一方向側の端部より前記周第一方向側に位置するように形成されている請求項3に記載のステータ製造装置。
- 前記第一治具及び前記第二治具の少なくとも一方について、前記軸方向における少なくとも一方の端面の形状が、前記第一対向面と前記第二対向面との対向部を含む対向部側部分に対して、前記対向部から前記径方向に離れた部分の方が前記軸方向の中央側に位置する形状とされている請求項3又は4に記載のステータ製造装置。
- 前記ステータコアは、前記周方向に隣接する2つの前記コアスロットの間に形成されたティースを複数備え、
前記第一治具は、前記第一対向面が前記ステータ対向面と対向するように配置された状態で前記ティースの先端部が嵌まるように形成された、前記軸方向に延びる凹部を備える請求項3から5のいずれか一項に記載のステータ製造装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106464101A (zh) * | 2014-05-20 | 2017-02-22 | 日特机械工程株式会社 | 定子的制造装置及其制造方法 |
DE102018104838A1 (de) * | 2018-03-02 | 2019-09-05 | Aumann Espelkamp Gmbh | Verfahren und Vorrichtung zum Herstellen eines Stators mit einer Wicklung mit geschränkten Luftspulen |
CN116073609A (zh) * | 2023-03-30 | 2023-05-05 | 山东瑞博电机有限公司 | 一种电动机定子自动绕线组合加工机床 |
-
2011
- 2011-12-02 JP JP2011264948A patent/JP2013118764A/ja active Pending
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