JP2014180128A - コイル押圧器及びコイル押圧装置 - Google Patents

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【課題】複数セット巻コイルを備えるステータの製造において、コイルユニットをスロットの内外でその深さ方向に押圧するのに適したコイル押圧器を実現する。
【解決手段】本発明は、複数セット巻コイルを備える回転電機用ステータの製造のために利用されるコイル押圧器70に関する。コイル押圧器70は、スロット内に挿入されるスロット内押圧部74と、スロットの延在方向Lの両側から外側に突出するスロット外押圧部76とを有する。スロットの延在方向Lに直交する断面における、スロット外押圧部76の押圧面76aの両側の角部の曲率半径が、スロット内押圧部74の押圧面74aの両側の角部の曲率半径よりも大きく設定されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、いわゆる複数セット巻コイルを備える回転電機用ステータの製造のために利用されるコイル押圧器、及びそれを用いたコイル押圧装置に関する。
複数セット巻コイルを備える回転電機用ステータ、例えばスロット内で径方向に隣接するようにステータコアに巻装される複数のコイルユニットを備えるステータが用いられている。また、コイルユニットをステータコアに巻装してステータを製造する方法の1つとして、環状に形成された複数の環状導体をコイル挿入装置によってステータコアのスロットに挿入する方法が広く知られている。このコイル挿入装置を利用したステータの製造を、複数セット巻コイルを備えるステータに適用する場合には、後に巻装されるコイルユニットの配置空間をスロット内に確保する必要がある。
この点、特開2000−69723号公報(特許文献1)に記載の技術では、コイル挿入装置に備えられるコイル押上器が、通常は一部品として構成されるところ、2つに分割されている。そして、それらのうちの1つ(第1のストリッパ23)は、径方向に突出するとともにその先端部に膨大部49bを有する突起部49aを備えている。この突起部49aにより、先に巻装されたコイルユニットを構成する環状導体が、スロット内に挿入されるのと同時に当該スロット内で径方向に押圧される。これにより生じるスロット内の空間に、その後、2つに分割されたコイル押上器の他の1つ(第2のストリッパ19)により、他のコイルユニットを構成する環状導体が挿入される。
このように、先に巻装されたコイルユニットを径方向に押圧することにより、後に巻装されるコイルユニットの配置空間をスロット内に確保することが行われている。この場合、装置構成の簡素化の観点からは、特許文献1とは異なり、コイル挿入装置とは独立したコイル押圧器を用いて、先に巻装されたコイルユニットを押圧することが考えられる。また、そのような独立したコイル押圧器を用いる場合には、製造の効率化の観点からは、ステータコアの軸方向両側のコイルエンド部の成形も同時に行えることが好ましい。しかし、特許文献1では、先に巻装されたコイルユニットを押圧する範囲として想定されるのはスロット内に限られており、スロット外に配置されるコイルエンド部を押圧することは全く記載されていない。当然、コイルユニットをスロットの内外で径方向に押圧するのに適した構造についても、全く記載されていない。
特開2000−69723号公報
そこで、複数セット巻コイルを備えるステータの製造において、コイルユニットをスロットの内外でその深さ方向に押圧するのに適したコイル押圧器の実現が望まれる。
本発明に係る、所定の延在方向に延びる溝状のスロットが規則的に複数分散配置されているステータコアと、前記スロットの深さ方向に互いに隣接するように前記ステータコアに巻装される複数のコイルユニットと、を備える回転電機用ステータの製造に際して、前記ステータコアに巻装された前記コイルユニットを前記スロットの開口部側から前記深さ方向の奥側へ向けて押圧するためのコイル押圧器の特徴構成は、前記スロットの前記延在方向及び前記深さ方向に沿って延びる板状の押圧部材を備え、前記押圧部材は、前記延在方向に沿って延びるとともに前記深さ方向の奥側を向く押圧面を有するとともに、前記スロット内に挿入されるスロット内押圧部と、前記スロットの前記延在方向の両側から前記スロットの外側に突出するスロット外押圧部と、を有し、前記延在方向に直交する断面における、前記スロット外押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径よりも大きく設定されている点にある。
本発明は、複数セット巻コイルを備える回転電機用ステータの製造において、ステータコアに巻装されたコイルユニットをスロットの深さ方向に押圧する際には、スロットの内部と外部とで異なる要求仕様が存在するという新たな観点に基づいてなされた。すなわち、スロットの内部では、例えば後に巻装されるコイルユニットの配置空間を確保するべく、先に巻装されたコイルユニットを深さ方向に押圧することが最低限求められる。一方、スロットの外部では、コイルエンド部において異なる位置に配置されたスロットをつなぐ導体線部分(渡り部)が存在するため、当該導体線部分に応力が集中するのを抑制しながら押圧することが求められる。つまり、スロットの外部では、スロットの内部に比べて、その深さ方向に押圧した際に導体線に作用する応力が緩和されることが求められる。
このような点に鑑み、上記の特徴構成によれば、スロットの延在方向に直交する断面において、スロット外押圧部の押圧面の両側の角部は、スロット内押圧部の押圧面の両側の角部に比べてより緩やかな(大径の)丸みを帯びた状態となる。よって、コイル押圧器をスロットの深さ方向に移動させたときに、スロットの内部では先に巻装されたコイルユニットを押圧して後に巻装されるコイルユニットの配置空間を形成しながら、スロットの外部では異なるスロット間をつなぐように延在する導体線部分に作用する応力を緩和することができる。従って、複数セット巻コイルを備えるステータの製造において、ステータコアに巻装されたコイルユニットをスロットの内外でその深さ方向に押圧するのに適した構造を有するコイル押圧器が実現できる。
ここで、前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記コイルユニットを構成する導体線の半径以下に設定されていると好適である。
この構成によれば、スロットの内部において、先に巻装されたコイルユニットの全体を、より広い幅方向の領域で押圧することができる。よって、後に巻装されるコイルユニットの配置空間を十分に確保することができる。
また、前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記コイルユニットを構成する導体線の半径と、前記スロット内押圧部の側面と前記スロットの壁面との間の離間距離との差以下に設定されていると好適である。
この構成によれば、スロット内押圧部の押圧面の両側の角部とスロットの壁面との間の隙間に導体線が入り込むことを抑制することができる。よって、後に巻装されるコイルユニットの配置空間を十分に確保することができる。
本発明に係るコイル押圧装置の特徴構成は、上述した各コイル押圧器を複数備え、複数の前記コイル押圧器が、複数の前記スロットの位置にそれぞれ対応するように配列されるとともに、互いに同期して前記深さ方向に移動可能に構成されている点にある。
この特徴構成によれば、先に巻装されたコイルユニットの、複数のスロットに配置されたそれぞれの部分及びその周辺部分を、スロットの深さ方向に一度に押圧することができる。よって、後に巻装されるコイルユニットの配置空間を確保するための工程を簡素化することができる。
ステータの斜視図 軸方向から見たステータの模式図 コイル挿入装置の概略構成図 図3のIV−IV断面図 コイル押圧装置の部分斜視図 図5のVI−VI断面図 図5のVII−VII断面図 ステータ製造方法の手順を示すフローチャート 準備工程での環状導体の状態を示す斜視図 第一配置工程でのコイル保持器の状態を示す模式図 第一挿入工程でのコイル挿入装置の状態を示す図 圧縮工程でのコイル押圧装置の状態を示す図 図12のXIII−XIII断面図 第二配置工程でのコイル挿入装置の状態を示す図 第二挿入工程でのコイル挿入装置の状態を示す図 コイル押圧器の別形態を示す斜視図 スロット内押圧部の角部の丸み付け設定の別形態を示す図
本発明に係るコイル押圧器及びそれを含むコイル押圧装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るコイル押圧装置7(コイル押圧器70)は、いわゆる2セット巻コイル(複数セット巻コイルの一例)を備えるステータ1の製造のために利用されるものである。本実施形態では、渦巻状の(或いは螺旋状の)2セット巻コイルを備えるステータ1の製造を例として説明する。以下、製造対象となるステータ1の構成、コイル挿入装置5の構成、コイル押圧装置7の構成、及びステータ製造方法、の順に説明する。
なお、以下の説明では、特に区別して明記している場合を除き、「軸方向L」、「周方向C」、「径方向R」は、ステータコア2の円筒状の内周面21(“コア基準面”と称することもできる)の軸心Xを基準として定義している。コイル挿入装置5の各部に関しては、当該コイル挿入装置5に対してステータコア2が通常の態様で同軸状に装着された状態を想定して、当該状態での上記各方向を用いて説明している。また、各部材についての方向や位置等に関する用語は、製造上許容され得る誤差による差異を有する状態も含む概念である。
1.ステータの構成
ステータ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。このステータ1は、インナーロータ型(ラジアルギャップ型の一例)の回転電機に用いられるステータ(回転電機用ステータ)である。回転電機は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念である。図1に示すように、ステータ1は、ステータコア2と、ステータコア2に巻装されるコイル3とを備えている。図1では、ステータコア2から軸方向Lに突出するコイル3の部分であるコイルエンド部32については、簡略化のため一部のみを示している。
ステータコア2は、円筒状に形成されている。ステータコア2は、周方向Cに規則的に分散配置された複数(本例では48個)のスロット22と、周方向Cに互いに隣接する2つのスロット22の間に形成された複数(スロット22と同数の本例では48個)のティース23とを有する。各スロット22は、軸方向Lに延在するとともに放射状に径方向Rに延びるように形成されている。また、各スロット22は、周方向Cに所定の幅を有する溝状に形成されている。本実施形態では、軸方向Lが溝状のスロット22の「延在方向」であり、径方向Rが当該スロット22の「深さ方向」である。各ティース23も、軸方向Lに延在するとともに放射状に径方向Rに延びるように形成されている。各ティース23は、周方向Cに所定の幅を有する厚板状に形成されている。本実施形態では、スロット22は平行スロットとして構成されている。また、スロット22はセミオープンスロットとして構成されている。各スロット22の径方向R内側の開口部22aの開口幅は、それより径方向R外側の溝部の幅に比べて狭くなっている。各スロット22の径方向R内側の端部には、合成樹脂製のシート状部材等からなるウェッジ25(図4を参照)が、開口部22aを閉塞するように配置されている。
本実施形態では、ステータ1は三相交流(多相交流の一例)で駆動される交流電動機に用いられるステータである。ステータコア2には、三相(U相、V相、W相)のそれぞれに対応して、U相用のスロット22、V相用のスロット22、及びW相用のスロット22が、周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。本例では、ステータコア2には、各相用のスロット22が、周方向Cに沿って2つずつ繰り返し現れるように配置されている。ステータ1は、U相用のスロット22に配置されるU相コイルと、V相用のスロット22に配置されるV相コイルと、W相用のスロット22に配置されるW相コイルとを備えている。すなわち、ステータ1は、スロット22内に配置されてステータコア2に巻装される三相(U相、V相、W相)のコイル3を備えている。
また、コイル3は、ステータコア2に巻装された状態で径方向Rに隣接して配置される第一コイルユニット3Aと第二コイルユニット3Bとを有する。本実施形態では、第一コイルユニット3Aは第二コイルユニット3Bよりもスロット22の深さ方向の奥側となる径方向R外側に配置されている。本実施形態では、第一コイルユニット3Aが“先に巻装されるコイルユニット”となり、第二コイルユニット3Bが“後に巻装されるコイルユニット”となる。また、本実施形態では、コイル3は、第一コイルユニット3A及び第二コイルユニット3B以外の他のコイルユニットを有さない2セット巻コイルとして構成されている。
コイル3(第一コイルユニット3A,第二コイルユニット3B)は、導体線31を用いて構成されている。導体線31は、例えば銅やアルミニウム等の金属により構成された線状の導体である。導体線31の表面には、樹脂等からなる絶縁皮膜が形成されている。また、コイル3は、導体線31を巻回して形成された複数の環状導体36により構成されている。環状導体36は、複数本の導体線31の束で構成されている。なお、「複数本」とは、導体線31の延在方向に直交する各断面において複数本となっていることを意味する。環状導体36は、複数本の別々の導体線31を束ねて構成されても良いし、連続する1本の導体線31を複数回巻回して束ねて構成されても良い。そして、複数(本例では24個)の環状導体36のそれぞれの所定部分がスロット22内に配置されて、第一コイルユニット3Aがステータコア2に巻装される。第二コイルユニット3Bに関しても同様である。
図1に示すように、コイル3(第一コイルユニット3A,第二コイルユニット3B)は、ステータコア2から当該ステータコア2の軸方向Lに突出するコイルエンド部32を有する。本実施形態では、コイル3を構成する環状導体36のそれぞれは、互いに異なるスロット22にそれぞれ配置される一対のコイル辺部33と、それらをステータコア2の軸方向Lの外側でつなぐ渡り部34とを有する。本実施形態では、一対のコイル辺部33は、互いに5スロットピッチ離れた2つのスロット22に分かれて配置されている。また、渡り部34は、それに対応して、互いに5スロットピッチ離れた2つのスロット22を結ぶように配置されている。そして、異なるスロット22間をつないで周方向Cに延びる複数の渡り部34の集合として、コイルエンド部32が構成されている。
各コイルユニット3A,3Bにおいて、渡り部34のそれぞれは、その近傍に位置している他の渡り部34と、軸方向L、周方向C、及び径方向Rに見て重複する部分を有するように配置されている。なお、2つの部材の配置に関して「ある方向に見て重複する部分を有する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。複数の渡り部34は、互いに絡み合う状態で周方向Cに配列されている。
各コイルユニット3A,3Bにおいて、渡り部34のそれぞれは、周方向Cの一方側(図2における時計回り方向側)である周第一方向C1側の端部において同じ周方向C位置にある他の渡り部34に対して径方向R内側に位置するように配置されている。また、渡り部34のそれぞれは、周方向Cの他方側(図2における反時計回り方向側)である周第二方向C2側の端部において同じ周方向C位置にある他の渡り部34に対して径方向R外側に位置するように配置されている。渡り部34のそれぞれは、周第一方向C1側から周第二方向C2側に向かうに従って、径方向R内側から径方向R外側に向かうように配置されている。そして、複数の渡り部34は、図2に示すように軸方向Lに見て全体として渦巻状に配置される。また、複数の渡り部34は、図1に示すように全体として螺旋状に重なり合うように配置される。このように、複数の渡り部34により、いわゆる渦巻状コイル(或いは螺旋状コイル)が構成される。
2.コイル挿入装置の構成
コイル挿入装置5の構成について、図3及び図4を参照して説明する。コイル挿入装置5は、コイル3をステータ1のステータコア2に挿入するための装置である。図3に示すように、コイル挿入装置5は、コイル保持器51とコイル押出器56とを主要な構成として備えている。また、コイル挿入装置5は、ウェッジ案内部材58とウェッジ押上器59とを備えている。
コイル保持器51は、コイル3を保持するための部材である。コイル保持器51は、複数のブレード52を有する。ここでは、ステータコア2のティース23と同数のブレード52が、周方向Cに分散配置されている。各ブレード52は、複数のティース23のそれぞれに対向可能となるように周方向Cに沿って配列されている。各ブレード52は、軸方向Lに平行に延びるように棒状に形成されている。複数のブレード52は、全体として円筒状に配置されている。各ブレード52の軸方向L長さは、ステータコア2の軸方向L長さよりも大きく設定されている。各ブレード52は、軸方向Lの一方側(図3の上側)である軸第一方向L1側の端部が開放されるとともに、軸方向Lの他方側(図3の下側)である軸第二方向L2側の端部が固定されて一体的に保持されている。
互いに隣接するブレード52の間には、周方向Cに一定幅を有する周方向隙間として、挿入隙間54(図10等を参照)が形成されている。コイル保持器51には、ステータコア2のスロット22と同数の挿入隙間54が、周方向Cに分散配置されている。挿入隙間54は、軸第一方向L1側の端部(上端部)が開放されており、挿入隙間54に対して軸第一方向L1側(上側)から、コイル3を構成する環状導体36が挿入可能である。コイル保持器51は、各挿入隙間54の所定位置に環状導体36の所定部分が配置された状態で、コイル3(環状導体36)を保持することができる。
コイル押出器56は、コイル保持器51に保持されたコイル3(環状導体36)をステータコア2のスロット22側へ押し出すための部材である。コイル押出器56は、軸方向Lに所定厚さを有する円盤状に形成された本体部の外周部に、径方向R外側に向かって放射状に突出する押込歯56a(図4も参照)を有している。押込歯56aは、コイル保持器51の挿入隙間54と同数形成されており、挿入隙間54にそれぞれ挿入される。コイル押出器56は、第一駆動軸61を介して第一駆動機構(図示せず)に連結されている。第一駆動機構が動作することで、コイル押出器56は軸方向Lに沿って(ブレード52の延在方向に沿って)スライド可能である。
ウェッジ案内部材58は、ステータコア2の各スロット22における所定位置にウェッジ25を案内するための部材である。図4に示すように、ウェッジ案内部材58は、円筒状に配置された複数のブレード52の径方向R外側に隣接して配置されている。ウェッジ案内部材58は、ブレード52及びステータコア2のティース23と同数設けられ、これらと同じ周方向C位置にそれぞれ配置されている。各ウェッジ案内部材58は、軸方向Lに平行に延びるように棒状に形成されている。複数のウェッジ案内部材58は、全体として円筒状に配置されている。
図4に示すように、ウェッジ案内部材58は、周方向Cの両側面に案内溝58aをそれぞれ有している。そして、周方向Cに隣接する2つのウェッジ案内部材58どうしの間(周方向Cに向かい合う2つの案内溝58aどうしの間)に、本例では軸方向Lに平行な2ヵ所の折り目に沿って折り曲げられたウェッジ25が配置される。ウェッジ案内部材58の軸第一方向L1側の端部(上端部)は、ステータコア2の軸第二方向L2側の端面(下端面)に当接している。
ウェッジ押上器59は、ウェッジ案内部材58(案内溝58a)に沿ってウェッジ25を押し上げるための部材である。ウェッジ押上器59は、第二駆動軸62を介して第二駆動機構(図示せず)に連結されている。第二駆動機構が動作することで、ウェッジ押上器59は軸方向Lに沿って(ウェッジ案内部材58の延在方向に沿って)スライド可能である。なお、コイル押出器56とウェッジ押上器59とは、それぞれ独立してスライド可能に構成されても良いし、同期してスライド可能に構成されても良い。
図3に示すように、コイル押出器56は、コイル保持器51に保持されるコイル3(環状導体36)よりも軸第二方向L2側(下側)に配置される。また、コイル3(環状導体36)よりも軸第一方向L1側(上側)には、ステータコア2が配置される。この際、ステータコア2は、複数のティース23のそれぞれがブレード52に対して径方向Rに対向するように配置されて、スロット22と挿入隙間54とが径方向Rに連通する。また、ステータコア2は、当該ステータコア2からブレード52の先端部が軸第一方向L1側に突出するように配置される。
この状態で、第一駆動機構によりコイル押出器56をコイル保持器51に対して軸第一方向L1側(上側)に移動させることで、コイル押出器56は、コイル保持器51に保持された複数の環状導体36を軸第一方向L1側に押し上げる。その際、各押込歯56aは、環状導体36のうちコイル保持器51の挿入隙間54に挿入された部分及びその周辺部分を、径方向R外側に押し出して対応するスロット22に挿入させる。また、第二駆動機構によりウェッジ押上器59をウェッジ案内部材58に対して軸第一方向L1側(上側)に移動させることで、ウェッジ押上器59は、案内溝58aに沿ってウェッジ25を軸第一方向L1側に押し上げる。これにより、ウェッジ25により各スロット22の開口部22aを閉塞させる。
3.コイル押圧装置の構成
コイル押圧装置7の構成について、図5〜図7を参照して説明する。コイル押圧装置7は、ステータ1の製造に際して、ステータコア2に巻装されたコイル3をスロット22の開口部22a側から奥側へ向けて押圧するための装置である。本実施形態では、コイル押圧装置7は、2つのコイルユニット3A,3Bのうちで先に巻装されるコイルユニット(第一コイルユニット3A)を径方向Rに押圧する。図5に示すように、コイル押圧装置7は、複数のコイル押圧器70を備えている。ここでは、コイル押圧装置7は、ステータコア2のスロット22と同数のコイル押圧器70を備えている。複数のコイル押圧器70は、複数のスロット22の周方向C位置にそれぞれ対応するように配列されている。また、それぞれのコイル押圧器70は、径方向Rに沿って放射状に配置されている。コイル押圧器70は、押圧時の高荷重への耐性を考慮して、鉄やステンレス等の金属材料を用いて構成されている。
コイル押圧器70は、スロット22の延在方向である軸方向L及び深さ方向である径方向Rに沿って延びる全体として板状の押圧部材71を備えている。押圧部材71は、平板状の基端部72と、基端部72に対して径方向R外側に設けられた膨大部73とを有する。基端部72と膨大部73とは一体的に形成されている。基端部72及び膨大部73は、それぞれ軸方向Lに見て略矩形状に形成されている。これらは、軸方向Lに見て互いに異なる形状(大きさ)を有するように形成されている。基端部72の周方向C幅は、スロット22の開口部22aの開口幅よりも小さく設定されている。一方、膨大部73の周方向C幅は、スロット22の周方向C幅に対応する(所定クリアランス分を除いて略一致する;図13を参照)ように設定されており、開口部22aの開口幅よりも大きくなっている。コイル押圧器70は、基端部72の所定位置がスロット22の開口部22aに配置されて膨大部73がスロット22内に配置された状態で、軸方向Lに沿ってその先端部(膨大部73)がスロット22内に進入可能である。
コイル押圧器70の軸方向L長さは、ステータコア2の軸方向L長さよりも大きく設定されている。これは、後述するように先に巻装されるコイルユニット3Aをスロット22内だけでなくスロット22の外でも径方向Rに押圧することを可能とするためである。コイル押圧器70は、ステータ1の製造時に第一コイルユニット3Aを径方向Rに押圧する際に、スロット22内に配置(挿入)されるスロット内押圧部74と、スロット22の軸方向Lの両側から外側に突出するスロット外押圧部76とを有する。
スロット内押圧部74は、コイル押圧器70における軸方向Lの中央部に設けられている。スロット内押圧部74の軸方向L長さは、ステータコア2の軸方向L長さに対応するように設定されている。スロット内押圧部74は、スロット22内における径方向Rの開口部22a側を軸方向Lに延びるように配置される。スロット外押圧部76は、スロット内押圧部74に対して軸方向Lの両側にそれぞれ設けられている。これら2つのスロット外押圧部76の軸方向L位置は、ステータコア2から軸方向Lの両側にそれぞれ突出するコイルエンド部32の軸方向L位置に対応する。
図5に示すように、本実施形態では、スロット内押圧部74の径方向R外側の端面である押圧面74aの両側の角部には、円弧状断面を有するように丸み(R面取り)が設けられている。スロット外押圧部76の径方向R外側の端面である押圧面76aの両側の角部にも、同様に、円弧状断面を有するように丸み(R面取り)が設けられている。具体的には、これらの角部には、中心角が90°の円筒面が現れるように丸みが設けられている。なお、“押圧面74aの両側の角部”とは、スロット22の奥側を向く押圧面74aと、当該押圧面74aから連続する周方向Cの両側の側面74bとの境界部に仮想的に存在する角部である。“押圧面76aの両側の角部”に関しても同様である。本実施形態では、スロット内押圧部74とスロット外押圧部76とは、軸方向Lに見て互いに異なる形状を有するように形成されている。ここでは、スロット内押圧部74の押圧面74aの両側の角部と、スロット外押圧部76の押圧面76aの両側の角部とが、互いに緩急の異なる丸みを有するように形成されている(図6及び図7も参照)。
本実施形態では、軸方向Lに直交する平面(軸直交平面)での断面(軸直交断面)において、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部は、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部に比べてより緩やかな(大径の)丸みを帯びている。つまり、軸直交断面における、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部の曲率が、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率よりも小さくなるように設定されている。言い換えれば、軸直交断面における、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部の曲率半径A2が、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1よりも大きく設定されている。
また、本実施形態では、図6に示すように、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1は、コイル3を構成する導体線31の半径A3以下に設定されている。また、スロット外押圧部76に係る曲率半径A2は、導体線31の半径A3よりも大きく設定されている。また、スロット外押圧部76に係る曲率半径A2は、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1の設定にもよるが、その3倍以上となるように設定されている。好ましくは5倍以上であり、10倍以上であればより好ましい。さらに、スロット外押圧部76に係る曲率半径A2は、導体線31の半径A3の3倍以上となるように設定されることが好ましい。
図5に示すように、コイル押圧器70は、膨大部73における軸方向Lの端部に外端傾斜面77を有する。本実施形態では、コイル押圧器70は、2つのスロット外押圧部76の軸方向Lの外側の端部(スロット内押圧部74側とは反対側の端部)のそれぞれに、外端傾斜面77を有している。外端傾斜面77は、軸方向Lの端部から中央部に向かうに従って径方向R外側へ向かう(軸方向Lの端部に向かうに従って径方向R内側へ向かう)ように形成されている。外端傾斜面77は、膨大部73(スロット外押圧部76)の軸方向Lの端面と押圧面76aとが滑らかに連続するように、曲面状(R面取り状)に形成されている。
また、コイル押圧器70は、膨大部73におけるスロット内押圧部74の角部とスロット外押圧部76の角部との境界部分に、境界傾斜面75を有する。この境界傾斜面75は、スロット内押圧部74の角部の曲率とスロット外押圧部76の角部の曲率との差異に起因する軸方向Lの段差の出現を緩和するように、スロット内押圧部74の角部における軸方向Lの両端部に形成されている。境界傾斜面75は、スロット外押圧部76に係る角部の表面とスロット内押圧部74に係る角部表面とが滑らかに連続するように、曲面状に形成されている。境界傾斜面75は、板状の押圧部材71の長さ方向(径方向Rに対応)、幅方向(周方向Cに対応)、及び高さ方向(軸方向Lに対応)の、各方向に対してそれぞれ交差する方向を向くように形成されている。
コイル押圧器70のそれぞれは、円柱状に形成された本体部79に保持された状態で、径方向Rに移動可能に構成されている。このような構成は、例えば、軸方向L位置に応じて異なる径方向R幅を有する円筒状の楔部材を利用して実現できる。つまり、楔部材における傾斜した外周面と摺動可能となるように、それと相補的な形状を有する傾斜面を複数のコイル押圧器70(基端部72)のそれぞれの径方向R内側の端部に形成しておく。楔部材を軸方向Lに移動させることで、当該楔部材と各コイル押圧器70(基端部72)との摺動面を介して、複数のコイル押圧器70を互いに同期して径方向Rに移動(スライド)させることができる。なお、複数のコイル押圧器70を互いに同期して径方向Rに移動可能なものであれば、その他の機構を利用しても良い。
4.ステータ製造方法
上述したコイル挿入装置5及びコイル押圧装置7を用いて行われるステータ1の製造について、図8〜図15を参照して説明する。図8に示すように、本実施形態に係るステータ1は、準備工程S1、第一配置工程S2、第一挿入工程S3、押圧工程S4、第二配置工程S5、及び第二挿入工程S6を経て製造される。これらの各工程S1〜S6は、記載の順に実行される。以下、各工程について順に説明する。
準備工程S1は、コイル3(第一コイルユニット3A,第二コイルユニット3B)を構成する複数の環状導体36を準備する工程である。本実施形態では、コイル挿入装置5とは別の巻線装置(図示せず)を用いて環状導体36を形成する。具体的には、図9に示すように、巻線装置と共に用いられる巻枠41に対して、導体線31を複数回周回させることにより、複数本の導体線31の束として構成される環状導体36を形成する。その際、それぞれの巻枠41において、導体線31を複数個所にてそれぞれ複数回周回させて、複数の環状導体36を形成する。このような環状導体36は、本例ではステータコア2のスロット22の個数と同数(本例では48個)形成される。準備された複数の環状導体36は互いに同数(本例では24個)の2組に分けられ、一方の組が第一配置工程S2のために提供され、他方の組が第二配置工程S5のために提供される。
第一配置工程S2は、第一コイルユニット3Aを構成する複数の環状導体36をコイル保持器51に配置する工程である。図10に示すように、第一配置工程S2では、コイル保持器51に、複数の環状導体36を傾斜した状態で重なり合うように配置する。なお、図10は、コイル保持器51及び挿入隙間54に配置された環状導体36を径方向R内側から見た状態を示す模式図であり、周方向Cに展開して示している。環状導体36は、コイル保持器51の異なる挿入隙間54に分かれて挿入される一対の挿入部分(第一部分36a及び第二部分36b)と、この一対の挿入部分をつなぐ連結部分36cとを有する。本実施形態では、1つの環状導体36に注目した場合に、その第二部分36bは、第一部分36aが挿入される挿入隙間54に対して周第二方向C2側に位置する別の挿入隙間54に挿入される。より具体的には、第二部分36bは、第一部分36aが挿入される挿入隙間54に対して、周第二方向C2側に予め定められた挿入ピッチPi(本例では挿入隙間54の配設ピッチの5倍)だけ離れた別の挿入隙間54に挿入される。
第一配置工程S2では、複数の環状導体36のそれぞれについて、第一部分36aをコイル保持器51の挿入隙間54の1つに挿入するとともに、第二部分36bをその挿入隙間54から周第二方向C2側に挿入ピッチPiだけ離れた別の挿入隙間54に挿入する。その際、環状導体36のそれぞれは、第二部分36bが第一部分36aよりも軸第一方向L1側(上側)に位置するように連結部分36cが傾斜した状態で、軸第一方向L1側から軸方向Lに沿って挿入される。また、周方向Cに隣接する2つの環状導体36のそれぞれの第一部分36aは、互いに予め定められた離間ピッチPa(本例では挿入隙間54の配設ピッチの2倍)だけ離れた別の挿入隙間54に挿入される。もちろん、それぞれの第二部分36bも互いに離間ピッチPaだけ離れた別の挿入隙間54に挿入される。このような挿入操作を、全ての環状導体36について順次繰り返し実行する。
なお、最後に挿入される2つの環状導体36(図10において二点鎖線で表示)のそれぞれの第一部分36aは、最初に挿入された2つの環状導体36のそれぞれの第二部分36bをコイル保持器51から持ち上げた状態で、その下に潜り込ませるように挿入される。その後、持ち上げられた環状導体36の第二部分36bは、コイル保持器51における正規の挿入隙間54の所定位置にそれぞれ戻される。
第一配置工程S2の完了時には、環状導体36のそれぞれは、周第一方向C1側に位置する第一部分36aが同じ周方向C位置にある他の環状導体36に対して軸第二方向L2側(下側)に位置するように配置されている。環状導体36のそれぞれは、周第二方向C2側に位置する第二部分36bが同じ周方向C位置にある他の環状導体36に対して軸第一方向L1側(上側)に位置するように配置されている。また、環状導体36のそれぞれは、連結部分36cが、既に挿入された周第二方向C2側に隣接する他の環状導体36の第一部分36aの上側に位置するように配置されている。複数の環状導体36は、このような状態でコイル保持器51に保持されて、第一挿入工程S3のために提供される。
第一挿入工程S3は、第一配置工程S2から提供された環状導体36の第一部分36a及び第二部分36bをスロット22に挿入する工程である。第一挿入工程S3では、コイル保持器51に複数の環状導体36が配置された状態で、コイル保持器51の軸第一方向L1側の端部(上端部)にステータコア2が同軸状に配置される。この状態で、図11に示すように、コイル押出器56を軸方向Lに沿って軸第一方向L1側(上側)に移動させることにより、第一部分36a及び第二部分36b並びにそれらの周辺部分を、スロット22に挿入する。これにより、第一コイルユニット3Aがステータコア2に巻装される。このとき、本実施形態では、ウェッジ押上器59を軸方向Lに沿って軸第一方向L1側(上側)に移動させることにより、ウェッジ25をもスロット22に挿入する。
押圧工程S4は、コイル押圧装置7を用いて、ステータコア2に巻装された第一コイルユニット3A(複数の環状導体36)を径方向Rに押圧する工程である。図12に示すように、押圧工程S4では、ステータコア2を固定した状態でその径方向R内側にコイル押圧装置7を配置する。ここでは、本体部79に保持された複数のコイル押圧器70のそれぞれの膨大部73(図5を参照)が対応するスロット22内に配置されるように、コイル押圧装置7が軸方向Lに沿って挿入される。このとき、コイル押圧器70のそれぞれの膨大部73は、スロット22の深さ(径方向R長さ)を略二等分する径方向R位置よりも開口部22a側(径方向R内側)に配置される。また、膨大部73は、第一挿入工程S3で第一コイルユニット3Aと合わせて挿入されたウェッジ25よりも開口部22a側(径方向R内側)に配置される。なお、コイル押圧器70は境界傾斜面75及び外端傾斜面77を有しているので、ステータコア2へのコイル押圧装置7の装着時に、第一コイルユニット3Aを構成する導体線31の外表面が傷付く(導体線31の表面の絶縁皮膜が損傷する)のを抑制することができる。
この状態で、複数のコイル押圧器70を一括的に径方向R外側に向かってスライドさせる。コイル押圧器70のそれぞれは、スロット内押圧部74の押圧面74aがスロット22の深さを略二等分する径方向R位置に到達するまで径方向Rにスライドされる。これにより、第一コイルユニット3Aにおけるスロット22内に配置された部分(コイル辺部33)を、スロット内押圧部74の押圧面74aによりスロット22の奥側(径方向R外側)へと押圧して圧縮することができる(図13を参照)。そして、押圧面74aよりも径方向R内側となるスロット22内の開口部22a側に、後に巻装される第二コイルユニット3Bを配置するための空間を形成することができる。このとき、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1は、導体線31の半径A3以下であるので、第一コイルユニット3Aのコイル辺部33の全体を、より広い周方向Cの領域で押圧することができ、第二コイルユニット3Bの配置空間を十分に確保することができる。
上述したように、本実施形態では、コイル押圧器70のそれぞれは、スロット内押圧部74に対して軸方向Lの外側の、コイルエンド部32に対応する軸方向L位置に配置されるスロット外押圧部76を有する。このようなスロット外押圧部76を有することで、第二コイルユニット3Bの配置空間を形成するのと同時に、第一コイルユニット3Aのコイルエンド部32(各環状導体36の連結部分36c)を径方向R外側に押し出して成形することができる。なお、コイルエンド部32には、互いに異なるスロット22をつなぐように周方向Cに延びる渡り部34が含まれる。このため、コイル押圧器70が径方向R外側に向かってスライドするとき、スロット外押圧部76は渡り部34に対してせん断的な応力を作用させる。この場合であっても、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部は、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部に比べてより緩やかな丸みを帯びた形状に設定されているので、渡り部34に作用する応力を緩和することができる。よって、スロット22の外において、第一コイルユニット3Aを構成する導体線31の外表面が傷付くのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、スロット22内で第一コイルユニット3Aをコイル押圧器70(スロット内押圧部74)で押圧する際には、両者間にウェッジ25が介在される。これにより、金属製のコイル押圧器70と第一コイルユニット3Aとの直接的な接触が回避される。よって、第一コイルユニット3Aを押圧する際に、スロット22内において第一コイルユニット3Aを構成する導体線31の外表面が傷付くのを抑制することができる。押圧工程S4が完了すると、導体線31の保護部材として機能するウェッジ25は、一旦、取り出される。
第二配置工程S5は、第二コイルユニット3Bを構成する複数の環状導体36をコイル保持器51に配置する工程である(図14を参照)。この第二配置工程S5の内容は、上述した第一配置工程S2の内容と同様である(図10も参照)。
第二挿入工程S6は、第二配置工程S5から提供された環状導体36の第一部分36a及び第二部分36bをスロット22に挿入する工程である(図15を参照)。この第二挿入工程S6の内容は、第一コイルユニット3Aに代えて第二コイルユニット3Bがステータコア2に巻装される点を除き、上述した第一挿入工程S3の内容と同様である。このとき、押圧工程S4で第一コイルユニット3Aがスロット22の奥側(径方向R外側)へと既に押圧されているので、それよりも径方向R内側に第二コイルユニット3Bの配置空間が形成されている状態で、第二コイルユニット3Bを巻装することができる。よって、第二コイルユニット3Bを巻装する際に、スロット22内で第一コイルユニット3Aとの間で擦れ等が生じるのを抑制して、第二コイルユニット3Bを構成する導体線31の表面が傷付くのを抑制することができる。また、スロット22内における第一コイルユニット3A及び第二コイルユニット3Bの密集度を高めて、占積率を高めることができる。
その後、コイル3(第一コイルユニット3A,第二コイルユニット3B)が巻装された状態のステータコア2がコイル挿入装置5(コイル保持器51)から取り外され、本実施形態に係るステータ1が完成する。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係るコイル押圧器及びコイル押圧装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1が導体線31の半径A3以下に設定されている構成を例として説明した。また、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部の曲率半径A2がスロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1の3倍以上となるように設定されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれらに限定されない。例えば、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1が導体線31の半径A3よりも大きく(この場合において、例えば導体線31の直径よりも小さく)設定されても良い。また、スロット外押圧部76に係る曲率半径A2は、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1よりも大きければ、その3倍未満となるように設定されても良い。
(2)上記の実施形態では、スロット内押圧部74の押圧面74aの両側の角部が丸みを有するように形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。スロット内押圧部74の押圧面74aの両側の角部のうちの少なくとも一方が、丸みを有することなくそのまま角を有するように形成されても良い。この場合、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1を「0(ゼロ)」とみなすことができ、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部が丸みを有する限り、その曲率半径A2の設定によらずに本発明の範囲に含まれることになる。
(3)上記の実施形態では、膨大部73が軸方向Lに見て略矩形状に形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。少なくともスロット内押圧部74がスロット22に対応する周方向C幅を有する押圧面74aを有するのであれば、膨大部73が、軸方向Lに見てその他の多角形状(例えば、三角形状等)に形成されても良い。
(4)上記の実施形態では、コイル押圧器70が境界傾斜面75及び外端傾斜面77を有する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。コイル押圧器70は、これらのうちの一方のみを有しても良いし、或いはこれらの両方を有さなくても良い。コイル押圧器70が外端傾斜面77のみを有し、境界傾斜面75を有さない構成の一例を図16に示す。この例では、スロット内押圧部74とスロット外押圧部76と境界部に段差が出現しないように、スロット外押圧部76の押圧面76aの角部の曲率半径A2が軸方向Lでスロット内押圧部74側に向かうに従って次第に小さくなるように設定されている。そして、スロット内押圧部74との境界部において、スロット内押圧部74の押圧面74aの角部の曲率半径A1に一致するように設定されている。このように、本発明においては、スロット外押圧部76に係る曲率半径A2は、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1よりも大きい範囲内で、スロット22の延在方向に応じて異なる値となるように設定されても良い。
(5)上記の実施形態では、ステータ1の製造において、複数のコイル押圧器70を互いに同期して径方向Rに移動可能なコイル押圧装置7を利用する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、複数のコイル押圧器70を個別に(それぞれ独立して)径方向Rに移動可能なコイル押圧装置7を利用してステータ1を製造しても良い。或いは、図16にも示唆されているように、コイル押圧器70を単独で利用してステータ1を製造しても良い。例えばコイル押圧器70を手動で用いることもでき、この場合には、平板状の基端部72を作業者による被把持部とすることができる。
(6)上記の実施形態では、ステータ1の製造において、第一挿入工程S3において第一コイルユニット3Aをステータコア2に巻装するのに合わせて、ウェッジ25をスロット22に挿入する例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。第一挿入工程S3でウェッジ25を挿入しない場合には、押圧工程S4において金属製のコイル押圧器70と第一コイルユニット3Aとが直接的に接触する。しかし、コイル押圧器70の表面の精密研磨等によってその表面粗さを低減しておくことで、第一コイルユニット3Aを押圧する際に導体線31の外表面が傷付くのを抑制することができる。よって、第一挿入工程S3では、必ずしもウェッジ25をスロット22に挿入しなくても良い。
なお、その場合には、図17に示すように、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1が、導体線31の半径A3と、スロット内押圧部74の側面74bとスロット22の壁面22bとの間の離間距離A4との差以下に設定されていることが好ましい。言い換えれば、スロット内押圧部74に係る曲率半径A1と上記離間距離A4との合計が、導体線31の半径A3以下に設定されていることが好ましい。このような設定では、第一挿入工程S3でウェッジ25を挿入しない場合であっても、第一コイルユニット3Aを押圧する際にスロット内押圧部74とスロット22との間の隙間に導体線31が入り込むことを抑制することができる。
(7)上記の実施形態では、渦巻状かつ2セット巻のコイル3を備え、ステータコア2に各相用のスロット22が周方向Cに2つずつ繰り返し現れるステータ1の製造を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。製造対象となるステータ1に備えられるコイル3のセット数及び巻き方、或いはステータコア2に繰り返し現れる各相のスロット22の連続数等は任意である。例えば、3セット(或いは、それ以上)巻のコイル3を備えるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。また例えば、同心状のコイル3を備えるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。また例えば、ステータコア2に各相用のスロット22が周方向Cに1つ又は3つ以上ずつ繰り返し現れるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。また例えば、スロット22としてオープンスロットを備えるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。
(8)上記の実施形態では、インナーロータ型の回転電機に用いられるステータ1の製造を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、ラジアルギャップ型の他の例として、アウターロータ型の回転電機に用いられるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。また例えば、アキシャルギャップ型の回転電機に用いられるステータ1の製造にも、本発明を適用することができる。
(9)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、いわゆる複数セット巻コイルを備える回転電機用ステータの製造のために用いられるコイル押圧器に利用することができる。
1 :ステータ(回転電機用ステータ)
2 :ステータコア
3A :第一コイルユニット(コイルユニット)
3B :第二コイルユニット(コイルユニット)
7 :コイル押圧装置
22 :スロット
22a :開口部
22b :壁面
31 :導体線
70 :コイル押圧器
71 :押圧部材
74 :スロット内押圧部
74a :押圧面
74b :側面
76 :スロット外押圧部
76a :押圧面
76b :側面
L :軸方向(スロットの延在方向)
R :径方向(スロットの深さ方向)
A1 :スロット内押圧部の押圧面の曲率半径
A2 :スロット外押圧部の押圧面の曲率半径
A3 :導体線の半径
A4 :スロット内押圧部の側面とスロットの壁面との間の離間距離

Claims (4)

  1. 所定の延在方向に延びる溝状のスロットが規則的に複数分散配置されているステータコアと、前記スロットの深さ方向に互いに隣接するように前記ステータコアに巻装される複数のコイルユニットと、を備える回転電機用ステータの製造に際して、前記ステータコアに巻装された前記コイルユニットを前記スロットの開口部側から前記深さ方向の奥側へ向けて押圧するためのコイル押圧器であって、
    前記スロットの前記延在方向及び前記深さ方向に沿って延びる板状の押圧部材を備え、
    前記押圧部材は、前記延在方向に沿って延びるとともに前記深さ方向の奥側を向く押圧面を有するとともに、前記スロット内に挿入されるスロット内押圧部と、前記スロットの前記延在方向の両側から前記スロットの外側に突出するスロット外押圧部と、を有し、
    前記延在方向に直交する断面における、前記スロット外押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径よりも大きく設定されているコイル押圧器。
  2. 前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記コイルユニットを構成する導体線の半径以下に設定されている請求項1に記載のコイル押圧器。
  3. 前記スロット内押圧部の前記押圧面の両側の角部の曲率半径が、前記コイルユニットを構成する導体線の半径と、前記スロット内押圧部の側面と前記スロットの壁面との間の離間距離との差以下に設定されている請求項2に記載のコイル押圧器。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル押圧器を複数備え、
    複数の前記コイル押圧器が、複数の前記スロットの位置にそれぞれ対応するように配列されるとともに、互いに同期して前記深さ方向に移動可能に構成されているコイル押圧装置。
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