JPWO2015037460A1 - 光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法 - Google Patents

光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法 Download PDF

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淳一 友川
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Abstract

式[I]で示される光学活性なビフェニルアラニンを還元剤と反応させて式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを得る工程;並びに、前記工程で得た式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを酸性条件下に加水分解し、次いで生成物を二炭酸−t−ブチルと反応させて式[III]で示される光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを得る工程により、光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを製造することができる。

Description

本発明は、光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法に関する。
下記式
Figure 2015037460
で示される化合物が、例えばWO2005/107762及びWO2008/138561に記載されているように医薬品の中間体化合物として有用であること知られている。しかしながら、原料となる光学活性なN−(t−ブトキシカルボニル)ビフェニルアラニンは比較的高価な化合物であることから、上記化合物は商業的に広く利用できるものではなかった。
一方、上記化合物のラセミ体である3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法としては、ラセミ体のN−アセチル−4−ビフェニルアラニンを脱アセチル化した後、エステル化し、還元することによりラセミ体の3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを得る下記のルートが知られている(CN101362708A参照)。
Figure 2015037460
(式中、R、R及びRはC1〜C6アルキル基又はベンジル基を表し、Zは塩素原子、臭素原子等の脱離基を表し、Acはアセチル基を表し、Bocはt−ブトキシカルボニル基を表す。)
本発明は、比較的安価で入手容易な光学活性N−アシル−4−ビフェニルアラニン(例えばN−アセチル−4−ビフェニルアラニン)を原料として、光学純度の高い3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを簡便に製造する方法を提供する。
本発明は以下の通りである。
[1] 下記の工程1及び2を有する、光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法。
工程1:式[I]
Figure 2015037460
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基表し、*はS−又はR−配置である炭素原子を示す。)
で示される光学活性なビフェニルアラニンと還元剤とを反応させて式[II]
Figure 2015037460
(式中、R及びRは前記と同じ意味を有し、*は式[I]と同じくS−又はR−配置である炭素原子を表す。)
で示される光学活性なビフェニルアラニノールを得る工程;
工程2:工程1で得た式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを酸性条件下に加水分解し、次いで生成物を二炭酸ジ−t−ブチルと反応させて式[III]
Figure 2015037460
で示される光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オール(以下、化合物Cと記す。)を得る工程。
[2] 式[I]及び式[II]において、Rがメチル基又はフェニル基である[1]に記載の方法。
[3] 式[I]及び式[II]において、Rがメチル基である[1]に記載の方法。
[4] 式[I]において、Rがメチル基である[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 工程1における還元剤が水素化ホウ素ナトリウムとメタノールとの組合せである[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 工程2における酸性条件下での加水分解が塩酸を添加して酸性条件とされた条件での加水分解である[5]に記載の方法。
[7] 工程2における二炭酸ジ−t−ブチルとの反応がアルカリ性条件下での二炭酸ジ−t−ブチルとの反応である[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 工程2におけるアルカリ性条件が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの添加によるアルカリ性条件である[7]に記載の方法。
[9] 式[I]、式[II]及び式[III]におけるS−又はR−配置である炭素原子がR−配置の炭素原子である[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを単離することなく、工程1と工程2とを連続して実施する[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 式[II−1]
Figure 2015037460
で示される(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−(1−アセチルアミノ)プロパン−1−オール。
[12] 式[II−2]
Figure 2015037460
で示される(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−(1−ベンゾイルアミノ)プロパン−1−オール。
発明を実施するための態様
本発明は式[I]で示される光学活性なビフェニルアラニン(以下、化合物Aと記す。)を出発原料とし、工程1→工程2の複数の工程を経て、光学純度の高い化合物Cを効率よく製造する方法である。
本発明において炭素数1〜4のアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基が挙げられ、置換されていてもよいフェニル基としては例えばフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基が挙げられる。
本発明において、式[I]及び式[II]における、R−C(=O)で表される基はアミノ基の保護基としての役割を有するが、本発明においてRで示される基はメチル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明において、式[I]におけるR基は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明において、化合物Aとしては、原料の入手性や本発明における工程1及び工程2における反応性等の観点から適宜選択されるが、N−アシルビフェニルアラニンメチルエステルが好ましく、N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステル又はN−ベンゾイルビフェニルアラニンメチルエステルがより好ましい。尚、本出願において、アシルとはR−C(=O)(Rは炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基)で表される基を意味する。
工程1の化合物Aと還元剤との反応において、還元剤としては水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン(ジボラン又はボラン錯体)等のホウ素の水素化物、及び水素化ホウ素ナトリウムとアルコール溶媒との組合せ、水素化ホウ素ナトリウムとルイス酸との組合せ等の複合系が用いられる。
工程1において、反応基質がN−アシルビフェニルアラニンメチルエステル(式[I]において、Rがメチル基である化合物)である場合は、還元剤は水素化ホウ素ナトリウムとメタノールとの組合せが好ましい。
工程1において、還元剤の量は、化合物Aの1モルに対し、通常ヒドリド源として1モル以上の還元剤を使用する。還元剤が水素化ホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素リチウムの場合、化合物Aの1モルに対し、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素リチウムの量は通常0.5〜5モルであり、1〜1.5モルが好ましい。
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムとメタノールとの組合せを用いる場合、化合物Aの1モルに対し、水素化ホウ素ナトリウムの量は通常0.5〜5モルであり、1〜1.5モルが好ましく、メタノールの量は通常1〜10モルであり、2〜4モルが好ましい。
工程1の反応は、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピランなどのエーテル溶媒等の有機溶媒や、水が挙げられ、これらの2種以上の混合溶媒を用いることもできる。本発明において、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒の使用が好ましく、テトラヒドロフランの使用がさらに好ましい。溶媒量は、化合物Aの1重量部に対し、通常1〜20重量部であり、2〜5重量部が好ましい。
工程1において、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムとメタノールとの組合せを用いる場合は、0〜30℃にて化合物Aと水素化ホウ素ナトリウムと溶媒との混合物に、メタノールを徐々に加えていく方法が好ましい。
工程1の反応は通常0〜80℃の温度範囲内にて行われ、0〜30℃の範囲内が好ましく、5〜25℃の範囲内がより好ましい。
工程1の反応時間は通常1〜20時間であり、通常は反応チェックにより化合物Aの消失したことが確認されるまで反応を継続する。
工程1の反応終了後、反応混合物に対して、好ましくは塩酸などの酸と水を加え、余剰の還元剤を分解した後、通常の後処理操作を行い、式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノール(以下、化合物Bと記す。)を得ることができる。通常の後処理操作としては、例えば反応混合物より有機溶媒で生成物である化合物Bを抽出する操作であり、必要により塩析抽出を行う。得られた化合物Bは再結晶等により精製することができる。
工程1の後処理操作において抽出に用いる有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチルなどのエステル溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、または必要によりそれらの2種以上からなる混合溶媒が挙げられる。反応時に使用した有機溶媒が化合物Bを十分に溶解し、反応副生物等を含む水層より分離可能であれば、後処理操作にて新たに抽出用に有機溶媒を使用する必要はない。
工程1の後処理操作において、抽出操作により得られた化合物Bを含む溶液を、必要に応じて部分濃縮した後に、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒を加えることで、化合物Bの結晶を析出させることができる。
次いで、析出させた化合物Bの結晶をろ過により分離した後、必要に応じて洗浄・乾燥することで、光学純度の高い化合物Bの結晶を得ることができる。洗浄に用いられる溶媒としてはヘプタン、ヘキサンなどの非極性溶媒が挙げられる。洗浄に用いる溶媒の量は化合物Bの1重量部に対し0.1〜5重量部である。
工程2に用いられる化合物Bは、単離した化合物Bの結晶を用いることもできるが、場合によっては工程1の反応終了後、化合物Bを単離することなく、化合物Bを含有する反応混合物を用いて、工程1と工程2とを連続して実施することができる。
工程1と工程2を連続させると、化合物Bの後処理操作が不要になり、抽出溶媒等の使用量を少なくすることができる。
工程2の化合物Bを酸性条件下に水と反応させて加水分解する反応は、無機酸を反応系に添加することにより反応系内を酸性条件とすることが好ましく、塩酸を反応系に添加することにより酸性条件とすることがさらに好ましい。
工程2が、工程1の反応終了後に化合物Bを単離することなく、連続して行われる場合には、工程1の反応混合物に対して、塩酸等の無機酸と水とを加えることにより加水分解反応が実施される。このとき、無機酸と水との混合物に対して工程1の反応混合物を加えてもよい。尚、工程1の反応終了後の反応混合物に工程1で使用した余剰の還元剤が残っている場合、使用する無機酸の量は余剰の還元剤の分解に必要な量よりも多く加えることが必要となることがある。
無機酸の量は特に限定されないが、加水分解反応の反応混合物中のpHは通常2以下であり、1以下であることが好ましい。
工程2の加水分解反応は通常0〜80℃の温度範囲内にて行われ、40〜80℃の範囲内が好ましく、50〜70℃の範囲内がさらに好ましい。
工程2の反応時間は通常1〜20時間であり、通常は反応チェックにより化合物Bの消失が確認されるまで反応を継続する。
工程2の加水分解反応終了後、生成物を二炭酸ジ−t−ブチルと反応させることにより化合物Cを得るが、通常は加水分解後の生成物を単離することなく、加水分解反応終了後の反応混合物に二炭酸ジ−t−ブチルを添加して、t−ブトキシカルボニル化反応を実施する。
工程2におけるt−ブトキシカルボニル化反応は、アルカリ性条件下にて行われることが好ましく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの塩基が反応系中に添加されてアルカリ性条件下に調整されることがより好ましい。尚、工程2の加水分解反応は好ましくは塩酸添加による酸性条件で実施されるので、加水分解反応に引き続いてt−ブトキシカルボニル化反応を実施する場合は、加水分解反応後に残存する酸に対して過剰量の塩基を使用することが必要となる。
該反応において、塩基の量は特に規定されないが、t−ブトキシカルボニル化反応の反応混合物中のpHは、t−ブトキシカルボニル化反応開始時には通常8以上であり、t−ブトキシカルボニル化反応開始時には10以上であることが好ましい。
工程2において、二炭酸ジ−t−ブチルの量は、化合物Bの1モルに対し、通常0.9〜1.5モルであり、1.0〜1.1モルが好ましい。但し、工程1と工程2とを連続して実施して化合物Bを単離しない場合、二炭酸ジ−t−ブチルの量は、化合物Aの1モルに対し、通常0.9〜1.5モルであり、1.0〜1.1モルが好ましい。
工程2のt−ブトキシカルボニル化反応は通常0〜80℃の温度範囲内にて行われ、10〜60℃の範囲内が好ましく、20〜50℃の範囲内がさらに好ましい。反応時間は通常1〜10時間である。
工程2のt−ブトキシカルボニル化反応終了後、反応混合物に対して、通常の後処理操作を行い、化合物Cを得ることができる。通常の後処理操作としては、例えば反応混合物より有機溶媒で生成物である化合物Cを抽出する操作であり、必要により反応混合物のpHを調製したり、塩析抽出を行う。
工程2のt−ブトキシカルボニル化反応終了後の後処理操作において抽出に用いる有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチルなどのエステル溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒、及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。反応時に使用した有機溶媒が化合物Cを十分に溶解し、反応副生物等を含む水層より分離可能であれば、後処理操作にて新たに抽出用に有機溶媒を使用する必要はない。
工程2のt−ブトキシカルボニル化反応終了後の後処理操作において、抽出操作により得られた化合物Cを含む溶液より、有機溶媒を留去させつつ、例えば2−プロパノールにて溶媒置換することで、該溶液より化合物Cの結晶を析出させることができる。得られた化合物Cは再結晶等により精製することができる。
該溶媒置換により化合物Cの結晶を析出させる工程において、使用する2−プロパノール量は、化合物Cの1重量部に対し、通常2〜10重量部である。
次いで、析出させた化合物Cの結晶をろ過により分離した後、必要に応じて洗浄・乾燥することで、高い光学純度の化合物Cの結晶を得ることができる。洗浄に用いられる溶媒としては2−プロパノール等のアルコール溶媒や任意の割合のアルコール溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。洗浄に用いる溶媒の量は化合物Cの1重量部に対し、0.1〜5重量部である。
次に本発明の製造方法にて用いられる原料化合物について記載する。
本発明の製造方法にて用いられる還元剤(水素化ホウ素ナトリウム等)、酸(塩酸等)、塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、二炭酸ジ−t−ブチル、溶媒等は、工業的に使用されるグレードの市販品を使用することができる。
本発明の製造方法において用いられる化合物Aは、例えば下記に示す公知の方法又は公知の方法に準じる方法により製造することができる。
Figure 2015037460
式[VI−1]で示されるα−アセトアミノ−4−フェニル桂皮酸は、例えばOrg.Synth.,Coll.Vol.2,1(1943)に記載の方法に準じて合成することができる。式[VI−1]で示されるα−アセトアミノ−4−フェニル桂皮酸を例えばChemische Berichte28,3252に記載の方法でメチルエステル化するか、又はOrg.Synth.,Coll.Vol.2,1(1943)に記載の式[V]で示されるアズラクトン体を例えばJournal of Organic Chemistry(1989),54,4511に記載の方法に準じてメタノールと反応させることで、式[VI−2]で示されるα−アセトアミノ−4−フェニル桂皮酸メチルエステルを合成することができる。式[VI−1]で示されるα−アセトアミノ−4−フェニル桂皮酸又は式[VI−2]で示されるα−アセトアミノ−4−フェニル桂皮酸メチルエステルを、例えばAdvanced Synthesis & Catalysis(2003),345(1+2),308、Journal of Organometallic Chemistry(2003),687(2),494、及び、特開2003−261522号公報に記載のように、光学活性ホスフィン化合物とロジウム化合物との組合せによる触媒を用いて不斉水素添加反応を行うことで、式[I−1]で示されるN−アセチル−4−ビフェニルアラニン及び式[I−2]で示されるN−アセチル−4−ビフェニルアラニンメチルエステルを得ることができる。
上記に示した公知の方法と同様の操作でアシル基とアルキルエステルのアルコール側を適宜変更することで、化合物Aを得ることができる。
即ち、式[VI]
Figure 2015037460
(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で示されるα−アミノ桂皮酸(以下、化合物Dと記す。)を、光学活性ホスフィン化合物とロジウム化合物との組合せによる触媒の存在下に水素と反応させて、化合物Aを得ることができる。
当該不斉水素添加反応に用いられる光学活性ホスフィン化合物としては、1−[(R)−フェロセニル−2−(S)−エチル−1−(ジメチルアミノ)フェニル]−(R)−ホスフィノ−1’−ジシクロヘキシルホスフィノフェロセン(以下、SL−F356−1と記す)、1−[(S)−フェロセニル−2−(R)−エチル−1−(ジメチルアミノ)フェニル]−(S)−ホスフィノ−1’−ジシクロヘキシルホスフィノフェロセン(以下、SL−F356−2と記す)、(−)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン(以下、(R,R)−Me−DuPhosと記す)、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン(以下、(S,S)−Me−DuPhosと記す)、(−)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジエチルホスホラノ]ベンゼン(以下、(R,R)−Et−DuPhosと記す)、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジエチルホスホラノ]ベンゼン(以下、(S,S)−Et−DuPhosと記す)、(−)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジイソプロピルホスホラノ]ベンゼン(以下、(R,R)−iPr−DuPhosと記す)、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジイソプロピルホスホラノ]ベンゼン(以下、(S,S)−iPr−DuPhosと記す)、(R)−(−)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2,2]−パラシクロファン(以下、(R)−Phanephosと記す)、(S)−(+)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2,2]−パラシクロファン(以下、(S)−Phanephosと記す)、(4R,5R)−(−)−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(以下、(R,R)−DIOPと記す)、(4S,5S)−(+)−ビス(ジフェニルホスフィノメチル)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン(以下、(S,S)−DIOPと記す)、(R,R)−1,2−ビス[(2−メトキシフェニル)(フェニルホスフィノ)]エタン(以下、(R,R)−DIPAMPと記す)及び(S,S)−1,2−ビス[(2−メトキシフェニル)(フェニルホスフィノ)]エタン(以下、(S,S)−DIPAMPと記す)からなる群から選択され、好ましくはSL−F356−1、SL−F356−2、(R,R)−Et−DuPhos、(S,S)−Et−DuPhos、(R,R)−DIPAMPまたは(S,S)−DIPAMP、特に好ましくはSL−F356−1、SL−F356−2、(R,R)−DIPAMP又は(S,S)−DIPAMPを使用することができる。
不斉水素添加反応に用いられる光学活性ホスフィン化合物の使用量はロジウム化合物1モルに対して通常1〜5モル、好ましくは1.01〜2モルである。
不斉水素添加反応に用いられるロジウム化合物は、例えば[Rh(nbd)]X、[Rh(cod)]X、[Rh(nbd)Cl]、[Rh(cod)Cl]などが挙げられ、好ましくは[Rh(nbd)]BFが挙げられる。(式中、codは1,5−シクロオクタジエンを表し、nbdはノルボルナジエンを表し、Xはハロゲン原子、BF、CFSO等を表す。)ロジウム化合物の使用量は化合物Dの1モルに対して、通常0.00001〜0.01モル、好ましくは0.00005〜0.001モルである。
不斉水素添加反応は、溶媒中で行われる。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなど極性有機溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルエーテルなどのエーテル溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。好ましくはメタノールとテトラヒドロフランとの混合溶媒である。
不斉水素添加反応は、溶媒等の反応条件、還元装置であるオートクレーブの仕様等により適宜選択できるが、通常0〜150℃の温度範囲内にて行われ、水素の圧力は通常0.1〜20MPaの範囲内で、通常1〜12時間で行なわれる。
反応終了後は、反応混合物に水を加えた後、析出している結晶をろ過するか、または有機溶媒に抽出操作等の通常の後処理操作を行い、化合物Aを単離することができる。化合物Aは再結晶等により精製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない
実施例1
100mLの4ツ口フラスコに、化学純度97.2%、光学純度100.0%e.e.の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステル10.0g(33.6mmol)、水素化ホウ素ナトリウム1.4g(37.0mmol)及びテトラヒドロフラン30mLを入れ、撹拌しながら20℃でメタノール3.62g(111mmol)を滴下した。同温度で2時間撹拌し、水30mLとテトラヒドロフラン22.5mLを加えた後、反応混合物に1規定の塩酸10.0gを20℃で滴下し、過剰の還元剤を分解した。静置後、有機層を分液し、減圧下に濃縮した。残渣にヘプタン29.2mLを加え、析出した結晶をろ過した。ヘプタン約10mLで結晶を洗浄した後、減圧下に乾燥して(R)−N−アセチルビフェニルアラニノール8.51g(31.6mmol、収率93.9%)を得た。生成物は化学純度99.1%、光学純度99.8%e.e.であった。生成物である結晶のNMRスペクトルを以下に示す。
H−NMR(400MHz)ppm:
1.766(s、3H)、2.644(dd、1H、J=13.20、8.40)、2.869(dd、1H、J=13.60、5.20)、3.280−3.409(m、2H)、3.875−3.957(m、1H)、4.812(dd、1H、J=5.60、5.60)、7.299(d、2H、J=8.40)、7.339(dd、1H、J=8.00、8.00)、7.449(dd、2H、J=8.00、8.00)、7.576(d、2H、J=8.40)、7.647(d、2H、J=7.60)、7.768(d、1H、J=8.00)
13C−NMR(100MHz)ppm:
22.76、36.20、52.38、62.60、126.36、126.46、127.15、128.87、129.67、137.76、138.63、140.05、168.84
実施例2
300mLの4ツ口フラスコに、化学純度96.9%、光学純度95.0%e.e.の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステル20.0g(67.3mmol)、水素化ホウ素ナトリウム2.8g(74.0mmol)及びテトラヒドロフラン60mLを入れ、撹拌しながら20℃でメタノール7.1g(222mmol)を滴下した。同温度で2時間撹拌し、次いで反応混合物に35%の塩酸7.4gと水13.6mLとの混合液を20℃で滴下し、過剰の還元剤を分解した。反応混合物における水層のpHが1以下であることを確認し、次いで反応混合物を60℃で10時間撹拌し、(R)−N−アセチルビフェニルアラニノールの消失を確認した。加水分解反応終了後、30℃に冷却し、反応混合物に水酸化カリウム15.9g(282.5mmol)を水68mLに溶かした溶液を加え、次いで二炭酸ジ−tert−ブチル16.2g(74.0mmol)のテトラヒドロフラン8.6mLに溶かした溶液を加え、40℃で3時間反応を行った。反応混合物中の水層のpHは12〜8であった。反応終了後、40℃で有機層を分液した。有機層を減圧下に濃縮し、留去量と同量の2−プロパノールを残渣に加える操作を3回行い、溶媒を2−プロパノールに置換した(1回目溶媒留去量:48.3mL、2回目溶媒留去量:51.5mL、3回目溶媒留去量:21.4mL)。
溶媒の置換後、40℃で反応溶液に水153mLを滴下し、析出した結晶をろ別した。容量比25%濃度の2−プロパノール水溶液40gで結晶を洗浄し、減圧下に乾燥して(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オール18.7g(57.1mmol、収率84.8%)を得た。生成物は化学純度98.7%、光学純度94.0%e.e.であった。
実施例3
200mLの4ツ口フラスコに、化学純度99.2%、光学純度100.0%e.e.の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステル20.0g(67.3mmol)とテトラヒドロフラン60mLを入れ、撹拌しながら15℃で水素化ホウ素ナトリウム2.8g(74.0mmol)及びメタノール7.1g(222mmol)を滴下した。同温度で19時間撹拌し、次いで反応混合物へ35%の塩酸21.0gと水28.0mLとの混合液を室温で滴下し、過剰の還元剤を分解した。さらに反応混合物を60℃で8時間撹拌し、(R)−N−アセチルビフェニルアラニノールの消失を確認した。加水分解反応終了後、20℃に冷却し、反応混合物へ水酸化カリウム15.9g(282.5mmol)を水40mLに溶かした溶液を加え、次いで二炭酸ジ−tert−ブチル14.1g(64.6mmol)のテトラヒドロフラン8.6mLに溶かした溶液を加え、20℃で3時間反応を行った。次いで二炭酸ジ−tert−ブチル0.29g(1.3mmol)、テトラヒドロフラン0.9mLを加え、20℃で2時間30分反応を行った。さらに二炭酸ジ−tert−ブチル0.78g(3.6mmol)とテトラヒドロフラン0.9mLを加え、20℃で17.5時間反応を行った。反応終了後、30℃で有機層を分液した。有機層に炭酸水素カリウム0.06g(0.7mmol)と水0.2gを加え、減圧下に濃縮し、2−プロパノールを残渣に加える操作を3回行い、溶媒を2−プロパノールに置換した。
溶媒の置換後、40℃で反応溶液に水199mLを滴下し、析出した結晶をろ別した。容量比25%濃度の2−プロパノール水溶液30.6gで結晶を洗浄し、減圧下に乾燥して(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オール20.22g(61.8mmol、収率91.8%)を得た。生成物は化学純度99.9%、光学純度100.0%e.e.であった。
実施例4
50mLの4ツ口フラスコに、化学純度99.7%、光学純度100.0%e.e.の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンエチルエステル5.0g(16.1mmol)とテトラヒドロフラン15mLを入れ、撹拌しながら15℃で水素化ホウ素ナトリウム0.67g(17.7mmol)を加えた後、メタノール1.70g(53.1mmol)を滴下した。同温度で24時間撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム0.12g(3.2mmol)を加えた。同温度で3時間攪拌し、次いで反応混合物へ35%の塩酸5.0gと水7.0mLとの混合液を15℃で滴下し、過剰の還元剤を分解した。さらに反応混合物を60℃で10時間撹拌し、(R)−N−アセチルビフェニルアラニノールの消失を確認した。加水分解反応終了後、30℃に冷却し、反応混合物へ水酸化カリウム3.78g(67.4mmol)を水10mLに溶かした溶液を加え、次いで二炭酸ジ−tert−ブチル13.36g(15.4mmol)のテトラヒドロフラン2.0mLに溶かした溶液を加え、30℃で2時間反応を行った。さらに二炭酸ジ−tert−ブチル0.07g(0.4mmol)のテトラヒドロフラン0.2mLに溶かした溶液を加え、30℃で3時間反応を行った。反応終了後、30℃で有機層を分液した。得られた有機層に炭酸水素カリウム0.02g(0.2mmol)を加え、減圧下に濃縮し、2−プロパノールを残渣に加える操作を3回行い、溶媒を2−プロパノールに置換した。
溶媒の置換後、40℃で反応溶液に水47.5mLを滴下し、析出した結晶をろ別した。水35mLで結晶を洗浄後、容量比25%濃度の2−プロパノール水溶液7.3gで結晶を洗浄し、減圧下に乾燥して(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オール4.51g(13.8mmol、収率85.8%)を得た。生成物は化学純度99.8%、光学純度100.0%e.e.であった。
実施例5
試験管型反応容器に、化学純度99.8%、光学純度100.0%e.e.の(R)−N−アセチルビフェニルアラニン1.0g(3.5mmol)とテトラヒドロフラン3mLを入れ、氷浴中で撹拌しながらトリメトキシボラン1.4mL(12.5mmol)、三フッ化ホウ素−エーテル錯体1.6mL(12.7mmol)及びボラン−ピリジン錯体1.4mL(12.7mmol)を滴下した。滴下後、20℃で10時間撹拌し、次いで氷浴中で冷却し、反応混合物にメタノール10mLを滴下し、過剰の還元剤を分解した。この溶液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製して(R)−N−アセチルビフェニルアラニノール0.72g(2.7mmol、収率75.7%)を得た。生成物は化学純度99.6%、光学純度100.0%e.e.であった。
実施例6
実施例1の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステルに代えて、化学純度99.0%、光学純度99.7%e.e.の(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニンメチルエステルを用い、実施例1と同様に操作して、(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニノール(収率85.6%)を得た。生成物は化学純度99.0%、光学純度100.0%e.e.であった。生成物である結晶のNMRスペクトルを以下に示す。
H−NMR(400MHz)ppm:
3.268(d、2H、J=7.60)、3.736(dd、1H、J=11.20、5.60)、3.811(dd、1H、J=10.80、3.60)、4.367−4.443(m、1H)、6.513(d、1H、J=8.00)、7.316(m、8H)、7.536−7.580(m、4H)、7.692(d、2H、J=6.80)
13C−NMR(100MHz)ppm:
36.64、53.24、64.10、126.92、126.97、127.24、127.39、128.59、128.76、129.70、131.64、134.26、136.65、139.68、140.68、168.05
実施例7
実施例1の(R)−N−アセチルビフェニルアラニンメチルエステルに代えて、化学純度99.9%、光学純度100.0%e.e.の(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニンエチルエステルを用い、実施例1と同様に操作して、(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニノール(収率98.5%)を得た。生成物は化学純度99.7%、光学純度99.9%e.e.であった。
実施例8
試験管型反応容器に、化学純度99.3%、光学純度100.0%e.e.の(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニン1.0g(2.9mmol)とテトラヒドロフラン3mLを入れ、氷浴中で撹拌しながらトリメトキシボラン1.1mL(9.8mmol)、三フッ化ホウ素−エーテル錯体1.3mL(10.4mmol)及びボラン−ピリジン錯体1.1mL(10.0mmol)を滴下した。滴下後、20℃で9時間撹拌し、次いで氷浴中で冷却し、反応混合物にメタノール10mLを滴下し、過剰の還元剤を分解した。この溶液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで精製して(S)−N−ベンゾイルビフェニルアラニノール0.73g(2.7mmol、収率76.1%)を得た。生成物は化学純度99.3%、光学純度100.0%e.e.であった。
本発明により、医薬品の中間体化合物として有用な化合物である光学純度の高い光学活性な式[III]で示される3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを効率よく製造することができる。

Claims (12)

  1. 下記の工程1及び2を有する、光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールの製造方法。
    工程1:式[I]
    Figure 2015037460
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基表し、*はS−又はR−配置である炭素原子を示す。)
    で示される光学活性なビフェニルアラニンを還元剤と反応させて式[II]
    Figure 2015037460
    (式中、R及びRは前記と同じ意味を表し、*は式[I]と同じくS−又はR−配置である炭素原子を表す。)
    で示される光学活性なビフェニルアラニノールを得る工程;
    工程2:工程1で得た式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを酸性条件下に加水分解し、次いで生成物を二炭酸ジ−t−ブチルと反応させて式[III]
    Figure 2015037460
    で示される光学活性な3−(ビフェニル−4−イル)−2−〔(t−ブトキシカルボニル)アミノ〕プロパン−1−オールを得る工程。
  2. 式[I]及び式[II]において、Rがメチル基又はフェニル基である請求項1に記載の製造方法。
  3. 式[I]及び式[II]において、Rがメチル基である請求項1に記載の製造方法。
  4. 式[I]において、Rがメチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程1における還元剤が水素化ホウ素ナトリウムとメタノールとの組合せである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程2における酸性条件下での加水分解が塩酸を添加して酸性条件とされた条件での加水分解である請求項5に記載の製造方法。
  7. 工程2における二炭酸ジ−t−ブチルとの反応がアルカリ性条件下での二炭酸ジ−t−ブチルとの反応である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 工程2におけるアルカリ性条件が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの添加によるアルカリ性条件である請求項7に記載の製造方法。
  9. 式[I]、式[II]及び式[III]におけるS−又はR−配置である炭素原子がR−配置の炭素原子である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 式[II]で示される光学活性なビフェニルアラニノールを単離することなく、工程1と工程2とを連続して実施する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 式[II−1]
    Figure 2015037460
    で示される(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−(1−アセチルアミノ)プロパン−1−オール。
  12. 式[II−2]
    Figure 2015037460
    で示される(2R)−3−(ビフェニル−4−イル)−2−(1−ベンゾイルアミノ)プロパン−1−オール。
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