本発明は、被溶着部に対して溶着可能な樹脂製のフィルムを装着可能な包装装置、溶着用のフィルムおよびフィルムカセットに関する。
包装対象物を包んだ樹脂フィルムの端と端を重ねて加熱して封止し、包装対象物を包装することができる包装装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の包装装置は、包装対象物の形状や大きさによっては包装することが難しい。また、封止した樹脂フィルムと包装対象物との間に隙間を生じ、樹脂フィルム内で包装対象物が動くと、包装対象物の保護が不十分になる場合がある。そこで、従来の包装装置は、段ボール等の台座に載せた包装対象物を台座ごと樹脂フィルムで包んで固定し、包装対象物を保護する。一般に、包装装置はポリエチレン、ポリプロピレン等からなる樹脂フィルムを包装に用いる。これら樹脂フィルムは段ボール等には溶着し難いことが知られている。故に、あらかじめ熱で溶融する接着剤を塗布した台座を用い、接着剤の塗布位置で樹脂フィルム越しに接着剤を熱して溶かすことで、樹脂フィルムを台座に接着することができる包装装置が知られている。
しかしながら、従来の包装装置は、台座にあらかじめ接着剤を設ける必要があり、手間がかかるという問題があった。
本発明は、被溶着部に直に溶着することができるフィルムを装着可能な包装装置、溶着用のフィルムおよびフィルムカセットを提供することを目的とする。
本発明の第一態様によれば、ホットメルト接着剤を含み、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えた樹脂製のフィルムと、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着部を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着部のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルムは被溶着部に溶着する。したがって、包装装置は樹脂製のフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。
第一態様において、前記溶着部は、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多くてもよい。溶着部の表層に極性官能基が多いことによって、フィルムは被溶着部に強固に溶着することができる。
第一態様において、前記溶着部は、表面に、コロナ処理またはプラズマ処理が施されてもよい。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、溶着部は表層に極性官能基を導入することができる。故に、溶着部は被溶着部に強固に溶着することができる。
本発明の第二態様によれば、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多く、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えたフィルムと、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部において、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多い。故に、溶着部を被溶着部に押し当てた状態で加熱すると、溶着部の極性官能基は被溶着部に含まれる官能基と混ざり合って結合する。したがって、包装装置は、樹脂からなるフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。
第二態様において、前記溶着部は、前記フィルムの表面に、コロナ処理またはプラズマ処理を施して形成されてもよい。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、フィルムは表層に極性官能基を確実且つ容易に導入することができる。
第一態様または第二態様において、前記フィルムは積層フィルムであってもよい。基材に溶着部を積層してフィルムを作製することができる。
第一態様または第二態様は、前記フィルムが巻回された軸部材と、前記軸部材の軸心が延びる方向における両側の端部のうち少なくとも一方の端部に設けられたギアと、前記ギアに噛合する噛合部と、前記軸部材を着脱可能な装着部とを更に備えてもよい。フィルムが巻回された軸部材を装着部に容易に装着でき、且つ装着部から容易に脱着できるので、包装装置はフィルムを容易に交換することができる。
本発明の第三態様によれば、ホットメルト接着剤を含み、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えた樹脂製のフィルムが軸部材に巻回されたフィルムロールの前記軸部材を着脱可能な装着部と、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムロールから引き出される前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着部を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着部のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルムは被溶着部に溶着する。したがって、包装装置は樹脂製のフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。また、軸部材を装着部に容易に装着でき、且つ装着部から容易に脱着できるので、包装装置はフィルムを容易に交換することができる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、前記包装対象物が載置された前記台座を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記フィルムの部位のうち、前記接触部よりも前記包装対象物と接触する側の部位を前記台座へ向けて押圧する第一押圧手段とを更に備えてもよい。フィルムの部位のうち、加熱手段に加熱される接触部よりも包装対象物に接触する側の部位は、包装対象物の包装に伴い発生する張力がかかった状態となる。第一押圧手段がフィルムの接触部よりも包装対象物側の部位を台座へ向けて押圧することで、接触部には、包装対象物の包装に係る張力が加わらない。したがって、加熱手段がフィルムの接触部を加熱しても、接触部において溶融した部分は、張力によって引き伸ばされたりすることがない。よって、包装装置はフィルムを確実に被溶着部に溶着できる。
第一態様、第二態様、または第三態様において、前記第一押圧手段は、前記加熱手段とは独立に前記台座へ向けて移動可能であってもよい。加熱手段と第一押圧手段が独立に移動可能なので、包装装置は、加熱手段がフィルムを加熱する時期と、第一押圧手段がフィルムを押圧する時期をずらすことができる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、昇降可能に構成され、前記搬送手段によって搬送される前記台座が通過する搬送経路の下方に前記第一押圧手段と前記加熱手段とを保持し、且つ、前記加熱手段による加熱時に、前記加熱手段と前記第一押圧手段とを上方へ移動させる昇降手段を更に備えてもよい。この場合、前記昇降手段が下降した状態において、前記第一押圧手段の上端は、前記加熱手段の上端よりも上方に位置してもよい。加熱手段による溶着部の加熱後、昇降手段が下降するとき、加熱手段は第一押圧手段よりも先に接触部から離れることができる。したがって、包装装置は、接触部の加熱後、フィルムと加熱手段を確実に引き剥がせる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、少なくとも前記昇降手段の上昇時に前記搬送経路の上方に配置され、前記台座の上方への移動を規制する規制手段を更に備えてもよい。昇降手段が上昇してフィルムを台座に押しつけた場合に、台座は規制手段に規制され、上方へ移動しない。故に加熱手段は、フィルムを台座に確実に接触させた状態で接触部を加熱できる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、少なくとも前記加熱手段による加熱時に前記搬送経路上に配置され、前記フィルムを前記台座へ向けて押圧する第二押圧手段を更に備えてもよい。加熱時に第二押圧手段がフィルムを押圧して保持することで、包装装置は、第一押圧手段にかかるフィルムの張力を緩和できる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、前記昇降手段の昇降と、前記加熱手段の加熱を制御する制御手段を更に備えてもよい。この場合に、前記制御手段は、前記昇降手段を制御して前記加熱手段と前記第一押圧手段とを上方へ移動させる上昇工程と、前記加熱手段を制御して、所定の第一時間加熱する加熱工程と、前記加熱手段による加熱の終了後、所定の第二時間の経過を計時する計時工程と、前記第二時間の経過後、前記昇降手段を制御して前記加熱手段と前記第一押圧手段とを下方へ移動させる下降工程とを実行してもよい。加熱手段の加熱後、溶着部の温度が高いうちに接触部に張力が加えられた場合、接触部が引き伸ばされ、溶着が不十分となる可能性がある。第一押圧手段は、加熱手段の加熱後、第二時間が経過するまでフィルムの押圧を維持する。よって接触部の温度が低下する前に、接触部にフィルムの張力がかかることがない。故に包装装置は確実にフィルムを台座に溶着できる。
本発明の第四態様によれば、樹脂からなるフィルムの少なくとも一方の面で少なくとも一部の部位に、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多く、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えた溶着用のフィルムが提供される。溶着用のフィルムは、溶着部において、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多い。ゆえに、溶着部を被溶着部に押し当てた状態で加熱すると、溶着部の極性官能基が被溶着部に含まれる官能基と混ざり合って結合するため、樹脂からなるフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。
第四態様において、前記溶着部は、前記フィルムの少なくとも一方の面の全体に形成されていてもよい。フィルム全面に溶着部を形成することで、被溶着部に対して溶着部の位置合わせをする必要がなく、容易に溶着することができる。
第四態様において、前記溶着部は、前記フィルムの表面に対するコロナ処理またはプラズマ処理を施して形成されてもよい。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、フィルムの表層に極性官能基を確実且つ容易に導入することができる。
第四態様において、前記フィルムは積層体であってもよい。極性官能基を導入したフィルムは、通常のフィルムに極性官能基を含むフィルムを積層して作製することもできる。
本発明の第五態様によれば、第四態様に係る溶着用のフィルムと、前記溶着用のフィルムが軸部材に巻回されたフィルムロールと、前記軸部材を支持して前記フィルムロールを回転可能に収容するカセットケースであって、前記軸部材に平行な方向に延び、前記フィルムロールから引き出された前記溶着用のフィルムを外部に排出する排出口を有するカセットケースとを備えたフィルムカセットが提供される。第五態様に係るフィルムカセットが収容する、第四態様に係る溶着用のフィルムを用いれば、被溶着部に対して直に溶着することができる。
筐体800を装着した状態の包装装置1を後方右側面側から見た斜視図である。
筐体800を取り外した状態の包装装置1を後方右側面側から見た斜視図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
側板部111,112の上端近傍の斜視図である。
支持部34の斜視図である。
加熱部86の斜視図である。
フィルムカセット2の斜視図である。
コロナ処理によってフィルム24の表面に極性官能基が導入される様子の説明図である。
包装装置1の電気的構成を示すブロック図である。
包装処理のフローチャートである。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す断面図である。
包装処理による包装工程を示す断面図である。
コロナ処理によってフィルム324の表面に極性官能基が導入される様子の説明図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1において、左上側、右下側、右上側、左下側、上側、下側が、それぞれ、包装装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側である。包装装置1は、使用時、受け台12に対して受け台13を前側に配置し、且つ、受け台12,13の受け面12A,13Aをそれぞれ上側へ向ける。台座9は、受け台12,13上を前後方向(以下、「搬送方向」ともいう。)に搬送される。包装装置1の前方側を搬送方向下流側といい、後方側を搬送方向上流側という場合がある。図2以降において、包装装置1を構成する各部の向きは、図1における包装装置1の向きに倣うものとする。
包装装置1の概要について説明する。包装装置1は、台座9と、台座9上に載置された物品(以下、「包装対象物3」ともいう。図3参照)をフィルム24で包装する装置である(図14参照)。包装装置1は、後側から前側に向けて台座9を搬送しつつ、台座9および包装対象物3を包装する(図11〜図14参照)。
図1に示すように、包装装置1は筐体800を備える。筐体800の形状は、上下方向を長手方向とする略直方体形状である。筐体800は、上筐体801および下筐体803を備える。下筐体803の形状は、左右方向を長手方向とする略直方体形状である。下筐体803は、後面の左端側に入力部205を備える。入力部205は、作業者による操作の入力を受け付ける。上筐体801は、架設部802Bと2つの立設部802Aを備える。2つの立設部802Aは、それぞれ下筐体803の左右両端部から上方に延びる。架設部802Bは、2つの立設部802Aそれぞれの上端部間に架け渡される。2つの立設部802Aは、それぞれ側板部111,112(図2参照)を左右方向の外側から覆う。架設部802Bは、フィルムカセット2(図2参照)を上側から覆う。包装装置1は、下筐体803、2つの立設部802A、および架設部802Bで囲まれた開口部805を有する。開口部805は、筐体800の前側および後側の側面に連通する。
包装装置1は受け台12と受け台13を備える。受け台12,13は、下筐体803の前側および後側の側面上端部からそれぞれ上流側および下流側に向けて略水平方向に延びる。受け台12,13の形状は、搬送方向を長手方向とする平面視略長方形の箱状である。受け台12,13は、下側にそれぞれ、脚部121,131を備える。脚部121,131は、それぞれ、受け台12,13を下方から支持し、上面を水平に維持する。以下、受け台12の上面を「受け面12A」といい、受け台13の上面を「受け面13A」という。受け面12A,13Aのそれぞれは水平である。受け面12A,13Aは同一平面を形成する。包装前の包装対象物3および台座9は、受け面12A上を開口部805に向けて搬送される。包装が完了した台座9および包装対象物3は、受け面13Aを搬送される。以下、受け面12A,13Aによって形成される平面であって、搬送される台座9の経路部分を、「搬送経路103」(図3参照)という。図示しないが、受け台12,13は、受け面12A,13Aのそれぞれが垂直となるように揺動することができる。
図2に示すように、包装装置1は、底部10および側板部111,112を備える。底部10の形状は、平面視矩形状である。側板部111は、底部10の右端部から上方垂直方向に延びる。側板部112は、底部10の左端部から上方垂直方向に延びる。側板部111,112の形状は、上下方向を長手方向とする略長方形の板状である。
受け台12、13の右端部および左端部には、それぞれベルト511およびベルト512が設けられる。ベルト511,512は、それぞれ、内面側に歯を有する無端状のベルトである。ベルト511,512は繊維とウレタンゴム等の複合材であり、弾性変形可能である。ベルト511,512は、受け台12の上流側端部から受け台13の下流側端部に亘って延びる。
図3に示すように、ベルト512は、1つの主動プーリ524および2つの従動プーリ525の間に架けて設けられる。主動プーリ524は、側板部112(図2参照)の左側面の搬送方向略中央に配置される。従動プーリ525は受け台12の搬送方向上流側の端部と、受け台13の搬送方向下流側の端部にそれぞれ配置される。主動プーリ524および従動プーリ525の軸心は左右方向を向く。主動プーリ524および従動プーリ525はベルト512の内側に接触する。主動プーリ524および従動プーリ525は外側面に歯を有し、ベルト512の内側の歯と噛み合う。主動プーリ524は、複数の歯車を介して駆動用のモータ222(図9参照)に連結する。モータ222は、受け台13の上流側部分の下側に設けられる。ベルト512は、主動プーリ524の回転駆動に伴って回転する。従動プーリ525はベルト512を位置決めする。なお、図示しないが、ベルト511もベルト512と同様に、1つの主動プーリ(図示略)および2つの従動プーリ(図示略)の間に架けて設けられる。
図2に示すように、ベルト511,512は、それぞれの外側面に搬送部60を備える。搬送部60は、ベルト511,512の回転に伴って受け台12上から受け台13上に移動する。搬送部60は、台座9と係合し、台座9を上流側から下流側に搬送する。
図2,図4に示すように、側板部111,112は、それぞれの上端部の間に、板状の架設板117を架け渡して設ける。架設板117は、水平部117Aと垂直部117B,117Cを備える。水平部117Aは、側板部111の上端部から左方へ水平方向に延び、側板部112の上端部に接続する。垂直部117Bは、水平部117Aの上流側端部から上方へ垂直方向に延びる。垂直部117Cは、水平部117Aの下流側端部から上方へ垂直方向に延びる。フィルムカセット2(後述)は、水平部117Aの上側に載置可能に構成される。架設板117は、水平部117Aの上側、且つ、側板部112の右側面に、後述するトルク調節機構40を有する。トルク調節機構40は、側板部112と平行に延びる支持板19の左側に支持される。トルク調節機構40の上流側、下流側および右側を覆う壁板18のうち、トルク調節機構40の右側を覆う部分の上端に、下方に凹んだ凹部18Aが設けられる。凹部18Aには、フィルムカセット2の突出部253(図7参照)が装着される。トルク調節機構40は、フィルムロール22から繰り出されるフィルム24(図3参照)に作用する張力の大きさを調整する機構である。トルク調節機構40はフィルムカセット2のギア273(図7参照)に噛合するギア41を含む複数のギア(図示略)を備える。トルク調節機構40は、レバー47の操作位置に応じてギアの噛み合わせを切り換え、ギア273に加えるトルクを調節する。トルク調節機構40の構造の詳細については省略する。
側板部111の右側面に、右方に突出した突出部113が設けられる。側板部112の左側面に、左方に突出した突出部114が設けられる。突出部113、114の形状は、それぞれ、上下方向に延びる箱状である。突出部113、114は内部にキャリッジ(図示外)を備える。キャリッジはモータ221(図9参照)の回転によって駆動する。突出部113の内部のキャリッジは、突出部113の上流側の部分で支持板部351と接続する。支持板部351の形状は板状である。支持板部351の左側に支持部341が接続する。突出部114の内部のキャリッジは、突出部114の上流側の部分で支持板部352と接続する。支持板部352の形状は板状である。支持板部352の右側に支持部342が接続する。以下、支持部341,342を総称して支持部34という。モータ221は、キャリッジを介して、支持板部351,352のそれぞれに接続する支持部34を上下方向に移動させることができる。
図5に示すように、支持部341,342は、それぞれ右側面視、略逆L字状の板状部材である。支持部341,342は、それぞれ基部343、前方延出部344、上方延出部345、突起部346を備える。基部343は略矩形状で、上流側下部の角部がトリミングされている。前方延出部344は、基部343の下流側下部から前方へ延びる部位である。上方延出部345は、基部343の上流側上部から上方へ延びる部位である。突起部346は、基部343の下流側上部から前方へ突出する部位である。前方延出部344と突起部346との間には間隙が設けられている。支持部341,342は、誘導ローラ31、第一補助ローラ32、第二補助ローラ33、および第三補助ローラ35の左右方向両端部をそれぞれ支持する。誘導ローラ31、第一補助ローラ32、第二補助ローラ33、および第三補助ローラ35は、前側から後側へ向けて順に並ぶ。誘導ローラ31、第一補助ローラ32、および第二補助ローラ33は、前方延出部344の下流側端部に支持されている。誘導ローラ31および第二補助ローラ33は、上下方向におけるそれぞれの下端の位置が略同一である。第一補助ローラ32は、誘導ローラ31および第二補助ローラ33よりも上側に位置する。第三補助ローラ35は、基部343の下流側上部に支持されている。第三補助ローラ35は、第一補助ローラ32よりも上側に位置する。
支持部341,342の突起部346間には、左右方向に延びる板状の係止部材347が設けられている。係止部材347は、厚み方向を上下方向に配置され、突起部346の下端を架橋する。係止部材347は、後述する包装工程において、台座9の上流側の縁部902(図14参照)の上方への移動を規制する。係止部材347の上流側の縁部348は下方に突出し(図15参照)、基部343の下流側端部で前方延出部344と突起部346との間の部位を架橋する。縁部348の前面には、左右方向に延びる板状の第二押圧部材349が設けられている。第二押圧部材349は弾性部材であり、後述する包装工程において、台座9の上流側の縁部902(図13参照)の上流側への移動を規制する。
支持部34は、最上位置(図3参照)と最下位置(図12参照)との間で上下動する。以下、支持部34の移動によって上下方向に移動する誘導ローラ31の経路を、「移動経路104」(図3参照)という。図3に示すように、誘導ローラ31が移動経路104に沿って最下位置に移動した場合(図12参照)、誘導ローラ31は搬送経路103の下側に位置する。搬送経路103と移動経路104とは交差する。包装装置1は、側板部111,112(図2参照)で挟まれる部分における搬送経路103の下側に、切断部77を備える。切断部77は、上方へ向けて刃先が斜めに突出する切断刃(図示略)を備える。切断刃は、左右方向に延びるガイドレール(図示略)に案内されて左右に移動する。図12に示すように、支持部34が最下位置に移動した場合、誘導ローラ31と第二補助ローラ33との間に、切断刃が配置される。切断刃は、モータ225(図9参照)の駆動によって移動し、フィルム24を幅方向に切断する。
図2,図3に示すように、包装装置1は案内ローラ71を備える。案内ローラ71は、側板部111,112で挟まれる部分の上流側、且つ搬送経路103(図3参照)の下側に設けられる。図2に示すように、案内ローラ71は、軸部711および複数のローラ部712を備える。軸部711は左右方向に延びる。複数のローラ部712は、軸部711の軸方向に等間隔に設けられている。案内ローラ71は、搬送経路103に沿って上流側から下流側に搬送される台座9を、受け台12,13間で下方から支持し、受け台12から受け台13に誘導する。図12に示すように、支持部34が最下位置に配置された場合、第三補助ローラ35は案内ローラ71の上方近傍に配置される。
図2および図3に示すように、包装装置1は、案内ローラ71の下流側に、保持ローラ72を備える。保持ローラ72は左右方向に延びる。図3に示すように、保持部78は、保持ローラ72の左右の端部を回転可能に支持する。包装装置1は、保持部78を揺動可能に支持する。保持部78が揺動することによって、保持ローラ72は、案内ローラ71の下流側に近接した状態(図3参照)と、案内ローラ71に対して下方に離隔した状態(図12参照)とに切り替わる。保持ローラ72は、案内ローラ71の下流側に近接した場合、フィルムカセット2から排出されたフィルム24を案内ローラ71との間に挟み支持できる。
包装装置1は、保持ローラ72の下流側の近傍に、加熱部86を備える。図6に示すように、加熱部86は、4つの加熱ユニット87、第一押圧部材88、基部89を備える。4つの加熱ユニット87は左右方向に並べて配置される。4つの加熱ユニット87はそれぞれ上面にヒータ871(図9参照)を備える。ヒータ871は、電流が流れると加熱する抵抗加熱方式のヒータである。ヒータ871は、フィルム24に接触してフィルム24を加熱できる。第一押圧部材88は左右方向に延び、4つの加熱ユニット87の上流側に配置される。第一押圧部材88は、上面に、左右方向に延びる板状の弾性部材881を備える。基部89は、4つの加熱ユニット87と第一押圧部材88とを上部に保持する。4つの加熱ユニット87と第一押圧部材88は、基部89の上部に設けられたバネ部材872,882(図15参照)によって、それぞれ基部89の上方へ向けて付勢されている。即ち、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動可能である。加熱ユニット87および第一押圧部材88が外力を受けていない場合、第一押圧部材88の上端は、加熱ユニット87の上端よりも上方に位置する。基部89は、下流側に、上下方向に延びるラックギア891(図15参照)を備える。ラックギア891は、左右方向に延びる回転軸を有するピニオンギア90に噛合する。基部89の下流側には、モータ223が設けられる。ピニオンギア90は、複数のギア(図示略)を介して、モータ223の回転軸に接続する。モータ223は、底部10(図2参照)の上方、且つ、側板部111、112(図2参照)間に挟まれた部分に配置される。加熱部86はモータ223の駆動によって上下方向に移動する。加熱部86は、通常時には下方(待機位置、図3参照)で待機し、溶着時には上方(加熱位置、図11参照)へ移動する。加熱部86は、待機位置に配置されるとヒータ871の上面が蓋部86Aに覆われる。
図3に示すように、包装装置1は、加熱部86の下流側に回転抑制部80を備える。回転抑制部80の上流側の端部には、ストッパ81が設けられている。ストッパ81の形状は断面形状が四角形の棒状であり、左右方向に延びる。ストッパ81は、上流側の側面にゴム等の弾性部材(図示略)を備える。回転抑制部80はストッパ81を前後方向に駆動する。回転抑制部80がストッパ81を後方側(搬送方向上流側)に移動した場合、ストッパ81は誘導ローラ31側に押し付けられる(図13参照)。ストッパ81は、摩擦力で誘導ローラ31の回転を制止する。
台座9について説明する。図1に示すように、台座9は、略長方形状の板状部材を、左右の曲折部912,911で上方に折り曲げることによって作製される。台座9は、一例として、段ボールを用いて作製される。以下の説明では、台座9の底壁をなす部位を板状部905という。また、台座9が包装装置1に配置された状態において、板状部905の下流側の端を縁部901といい、上流側の端を縁部902という。
図7を参照し、フィルムカセット2について説明する。図7の紙面右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、フィルムカセット2の前側、後側、左側、右側、上側、下側として説明する。なお、フィルムカセット2が包装装置1の架設板117の水平部117Aに載置される場合、フィルムカセット2の後側が、包装装置1の前側(上流側)に向けられて載置される。
フィルムカセット2は、カセットケース25およびフィルムロール22を備える。カセットケース25は略円柱状の外形を有し、後端部に後方を向く平面を有する筐体である。カセットケース25はフィルムロール22を内部に収納する。フィルムロール22は略円筒状であり、左右方向に延びる。カセットケース25は、左端部および右端部で、フィルムロール22の左端部および右端部を回転可能に支持する。つまり、フィルムロール22の回転軸は、左右方向に延びる。以下の説明では、フィルムカセット2の左右方向を軸線方向という場合がある。フィルムロール22は、円筒状の芯部22Aと、芯部22Aの周囲に巻回された包装用のフィルム24を含む。なお、フィルム24は、外周側の面に溶着層248(図8参照)が配置される向きに、フィルムロール22に巻回されている。
カセットケース25は上ケース251と下ケース252とを備える。上ケース251は、前面下端と後面下端とがそれぞれ前方および後方へ向けて鍔状に突出する鍔部263,261を備える。下ケース252も同様に、前面上端と後面上端とがそれぞれ前方および後方へ向けて鍔状に突出する鍔部264,262を備える。上ケース251と下ケース252は、鍔部263,261と鍔部264,262とをビス265で固定して、カセットケース25を構成する。フィルムカセット2を包装装置1の架設板117(図2参照)に載置する場合、下ケース252の鍔部264,262は垂直部117C,117Bの上端に支持される。
カセットケース25は、左側の側壁266の中央部に左方へ向けて突出する突出部253を備える。図示しないが、カセットケース25は、右側の側壁266の中央部にも右方へ向けて突出する突出部253を備える。左右の突出部253は、前面に孔部255が形成されている。フィルムロール22の芯部22Aは左右両端に一対のギア273を備える。カセットケース25は、左右の突出部253内に一対のギア273をそれぞれ収容する。カセットケース25は芯部22Aを支持し、内部でフィルムロール22を回転可能に支持する。左右の突出部253は、孔部255から一対のギア273を外部に露出する。フィルムカセット2は、包装装置1の架設板117(図2参照)に載置された場合、突出部253がトルク調節機構40の凹部18A(図4参照)に嵌まることで、芯部22Aが凹部18Aに装着される。芯部22Aの左端のギア273は、トルク調節機構40のギア41(図4参照)と噛み合う。
カセットケース25は後端部の下端に排出口26を備える。排出口26は、軸線方向に平行に、左端部から右端部まで延びる孔部である。フィルムロール22から引き出されたフィルム24は、排出口26からカセットケース25の外部に排出される。カセットケース25は、右上部に開口部258を備える。作業者は開口部258を介してカセットケース25が収納するフィルムロール22に巻かれたフィルム24の残量を確認できる。
次に、フィルムロール22が芯部に巻き回すフィルム24について説明する。フィルム24は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、炭化水素系の樹脂からなるフィルムである。本実施形態のフィルム24は、基層249と溶着層248を積層した2層フィルムである。基層249は、炭化水素系の樹脂フィルムである。基層249の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の他に、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン樹脂)、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))、EVA樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
溶着層248は、炭化水素系の樹脂にホットメルト接着剤を所定の混合比で混ぜ合わせて作成したフィルムである。炭化水素系の樹脂には、基層249と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の他に、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン樹脂)、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))、EVA樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
ホットメルト接着剤は、ベースポリマー、ワックス、粘着性付与樹脂、酸化防止剤および着色剤を、所定の混合比で混合した熱可塑性の接着剤である。ベースポリマーとして、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレンノルマルブチルアクリレート(EnBA)、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)等を用いることができる。ベースポリマーは、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ワックスとして、例えば、パラフィンワックスマイクロワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を用いることができる。ワックスは、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。粘着性付与樹脂として、例えば、ロジン系樹脂(ロジンやロジンエステルなど:天然ロジン,変性ロジン,水添ロジン)、テルペン系樹脂、石油系樹脂、クマロン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂等を用いることができる。ワックスは、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、トコフェロールをベースとする酸化防止剤、ビスベンゾトリアゾールをベースとする酸化防止剤、チオフェニルビスベンゾオキサゾール誘導体をベースとする酸化防止剤、ベンゾフェノンをベースとする酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤は、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。着色剤として、例えば、酸化チタンを用いることができる。
例えば、ポリエチレン[(CH2CH2)n]からなるフィルムは、炭素と水素の高分子結合がフィルムの深層部だけでなく表層部にも配置されており、無極性である。このようなポリエチレンフィルムは、例えば段ボール等からなる台紙に固定することは難しい。故に本実施形態では、上記したように、フィルム24に炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤とを混合した溶着層248を設けている。
ところで、樹脂フィルムの表層に極性官能基を導入したフィルムが知られている。例えば、樹脂フィルム上に印刷を行うため、樹脂フィルムの表面にコロナ処理を施してフィルム表面を改質し、インクの定着性を向上させた包装用フィルムが知られている。コロナ処理が施されることによって、樹脂フィルムは表面が粗くなり、また酸化することで濡れ性が高まって、インクや接着剤の定着性が向上する。
コロナ処理が施された樹脂フィルムは、表層に、極性官能基が導入されている。段ボール等はパルプ材が繊維中にセルロースの官能基を含むことから、発明者は、コロナ処理を施した樹脂フィルムを直に段ボール台紙に溶着してみたところ、樹脂フィルムを固定することができた。フィルム24の溶着層248は、炭化水素系の樹脂を含むため、溶着層248の表層部24S(図8参照)に極性官能基を導入すれば、段ボール等からなる台座9への溶着強度を高めることができる。
本実施形態では、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入するため、溶着層248に対してコロナ処理を施している。以下に、コロナ処理によって溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入し、フィルム24の台座9に対する溶着強度を高められる原理について簡単に説明する。
図8に示すように、コロナ処理は、電極21間にフィルム24を配置し、高周波高電圧を印加することによって発生するプラズマによって、フィルム24の表面を改質する処理である。コロナ放電によって電極21から放出される電子243は、気相中の原子や分子と衝突し、励起したり、解離やイオン化を生じさせる。更に、イオン化した原子244からも電子243が放出されることによって、電極間は高エネルギー状態となり、プラズマが発生する。発生したプラズマは、気相に変化をもたらす。そして電子243が気相中の酸素分子に衝突すると、酸素分子は解離して、酸素ラジカル242やオゾン241を生成する。
また、高エネルギーの電子243は、電極21間に配置されるフィルム24の溶着層248の表層部24Sに衝突する。電子243は、表層部24Sに位置する炭化水素系の樹脂の高分子結合の主鎖や側鎖を切断する。切断された主鎖や側鎖からなる高分子は化学的にラジカルな状態となり、気相中の酸素ラジカル242やオゾン241と再結合する。これにより、フィルム24の表層部24Sに、カルボニル基246[>C(=O)]、ヒドロキシル基247[−OH]、カルボキシ基245[−C(=O)OH]等の極性官能基が導入される。このように、フィルム24は、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入することで、溶着層248の溶着強度を高めることができる。溶着層248を台座9に押し当てて熱を加えると、溶着層248に含まれるホットメルト接着剤が溶融し、段ボールとフィルム24とを接着する。更に、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基が、段ボールの繊維中の官能基と混ざり合って結合するため、フィルム24と台座9との溶着強度を高めることができる。
溶着層248に含まれる炭化水素系の樹脂には、表層に極性官能基を含まないもの、含んでいても表層に露出せず深層に含むもの、あるいは分子構造上、他の官能基と結合しにくいもの等がある。極性官能基を含まない樹脂は、コロナ処理によって極性官能基を導入すれば溶着性を得られるようになり、好ましい。また、極性官能基を含む樹脂であっても、溶着性に乏しいものがある。例えば、ポリエチレンテレフタレートは官能基を含むが、分子構造上、外来の官能基と混ざりにくいため、溶着性が低い。故に、ポリエチレンテレフタレートに対し、コロナ処理による表面改質を行って溶着層248の表層部24Sを外来の官能基と混ざりやすい部位にすれば、フィルム24は台座9との溶着強度を高めることが可能である。
なお、フィルム24にポリエチレンを用いた場合、低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることが望ましい。LDPEは、高密度ポリエチレン(HDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と比べると、高分子結合の主鎖や側鎖をより低いエネルギーで切断しやすい。故に、コロナ放電によってフィルム24の表層部24Sに極性官能基を導入しやすい。すなわち、LDPEは、HDPEやLLDPEと比べ、より多くの極性官能基を表層部24Sに導入することができるので、フィルム24と台座9との溶着強度を、より高めることができる。
このように、本実施形態のフィルムカセット2は、炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤を混合した溶着層248の表層部24Sに更にコロナ処理を行って極性官能基を導入し、溶着強度を高めたフィルム24を収容する。故に、フィルムカセット2を装着した包装装置1は、あらかじめ台座9に接着剤等を塗布した部位を設けることなく、台座9の表面を被溶着部として、フィルム24の溶着層248を溶着することで、台座9にフィルム24を固定して、包装対象物3を包装することができる。
図9を参照し、包装装置1の電気的構成について説明する。包装装置1は、CPU201、フラッシュROM202、RAM203、入力部205、ヒータ871を備える。CPU201は、包装装置1全体の制御を司る。CPU201は、フラッシュROM202に記憶されたプログラムを実行することによって、台座9に載置された包装対象物3をフィルム24によって包装する処理を実行する。フラッシュROM202には、CPU201が実行する包装処理(図10)のプログラムが記憶される。
包装装置1は、駆動部211〜216、モータ221〜226、エンコーダ231、232を備える。駆動部211〜216は、それぞれ、モータ221〜226にパルス信号を出力することによって、モータ221〜226を駆動する。モータ221〜226は、例えばDCモータである。エンコーダ231、232は、それぞれ、モータ221、222の回転に応じた数のパルス信号を出力する。CPU201は、フラッシュROM202、RAM203、入力部205、ヒータ871、駆動部211〜216、エンコーダ231、232と電気的に接続する。駆動部211〜216は、それぞれ、モータ221〜226と電気的に接続する。
以下、図3、図10〜図16を参照し、包装装置1のCPU201によって実行される包装処理(図10参照)について説明する。作業者は、フィルムカセット2を架設板117に配置する(図2参照)。フィルムカセット2の突出部253は、トルク調節機構40の凹部18A(図4参照)に嵌まり、芯部22Aが装着される。芯部22Aの左端のギア273はトルク調節機構40に設けられたギア41(図4参照)に噛合する(図2参照)。
CPU201は、包装装置1に電源が投入された場合、フラッシュROM202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、包装処理を開始する。図10に示すように、CPU201は、包装装置1の状態を初期化する(S1)。具体的には次の通りである。CPU201は、駆動部211を制御してモータ221を駆動し、支持部34を上昇させて最上位置に配置させる。支持部34の誘導ローラ31は、移動経路104の最上位置に配置される(図3参照)。CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動し、ベルト511,512(図2参照)を回転させる。搬送部60は、受け台12の受け面12A(図2参照)から上方に突出した状態に配置される。包装装置1は、作業者が受け台12の受け面12Aに台座9をセット可能な状態になる。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を下降させて待機位置に配置させる。加熱部86の上面のヒータ871と、第一押圧部材88上面の弾性部材881は、搬送経路103から下方に離隔した状態となる(図3参照)。CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、ストッパ81を下流側に移動させる(図3参照)。CPU201は、駆動部215を制御してモータ225を駆動し、切断部77を左右一方の端部に移動させる。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる。保持ローラ72は、案内ローラ71に対して下方に離隔した状態(図12参照)となる。CPU201は、包装の開始指示の入力を受け付けていない場合(S3:NO)、処理をS3に戻す。
包装装置1の電源を投入した後、作業者は、フィルムカセット2の排出口26(図7参照)から排出されたフィルム24を、手動で引き出す。図3に示すように、作業者は、引き出したフィルム24の先端を案内ローラ71の下流側に配置する。作業者は、フィルム24の準備ができたことを包装装置1に通知するための入力操作を、入力部205を介して行う。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる。保持部78が揺動することによって、保持ローラ72は案内ローラ71の下流側に近接した状態になる(図3参照)。フィルムカセット2から引き出されたフィルム24の先端は、案内ローラ71および保持ローラ72によって搬送方向両側から挟持される。フィルム24は外周側の面が溶着層248(図8参照)となるようにフィルムロール22に巻かれており、案内ローラ71側に溶着層248が配置される。前述したように、トルク調節機構40は、フィルムカセット2のギア273にトルクを加え、フィルムロール22から繰り出されるフィルム24に張力を与える。フィルム24は、搬送面に対して略直交する方向(上下方向)に真っ直ぐに延びた状態になる。
作業者は、台座9の先端(下流側の端部)を搬送部60(図2参照)に係合し、台座9を受け台12(図1参照)に載置する。台座9は搬送部60によって位置決めされる。台座9の板状部905の縁部901は下流側に配置され、縁部902は上流側に配置される。作業者は、台座9に包装対象物3を載置する。
作業者は、入力部205を介して包装の開始指示を入力する。図10に示すように、包装の開始指示の入力を受け付けた場合(S3:YES)、CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。図3に示すように、ベルト511,512は、搬送部60(図2参照)が上流側から下流側に移動する向き(図3における矢印142の方向)に回転する。以下、搬送部60を上流側から下流側に移動させる場合のモータ222およびベルト511,512の回転方向を正方向といい、正方向と逆向きの回転方向を逆方向という。包装装置1はベルト511,512を正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9と、台座9に載置された包装対象物3を搬送方向の下流側へ向けて搬送する(S5)。
図11に示すように、台座9の下流側の端部(板状部905の縁部901)は、受け台12、案内ローラ71、および保持ローラ72上を順に移動し、フィルム24に接触する。CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の搬送を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に応じ、台座9を下流側に向けて更に所定距離分送り出した後、駆動部212を制御してモータ222の駆動を停止する。台座9の縁部901はフィルム24を下流側に押す。フィルム24は、案内ローラ71および保持ローラ72によって先端が挟持されており、縁部901との接触部分で曲折する。フィルム24は、台座9の下流側の底面に溶着層248を向けた状態で、底面に密着する。
図10に示すように、CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を上昇させる(S7)。矢印143(図11参照)に示すように、加熱部86は待機位置(図3参照)から加熱位置へ向けて上方に移動する。CPU201は、センサ(図示略)によって、加熱部86が加熱位置に移動したことを検知する。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223の駆動を停止し、加熱部86の上昇を停止させる。加熱部86は、上面が搬送経路103の下方から台座9(板状部905)の底面に近接し、台座9底面との間にフィルム24を挟む。
CPU201は、加熱部86のヒータ871に通電する(S9)。ヒータ871は発熱し、フィルム24と接触する接触部において、溶着層248を加熱する。溶着層248に含まれるホットメルト接着剤は溶融し、台座9の底面とフィルム24とを接着する。また、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基と、台座9底面の繊維中に含まれる官能基とが混ざり合って結合し、フィルム24と台座9とが溶着する。CPU201は、ヒータ871に第一所定時間、通電する(S11:NO)。第一所定時間は、ヒータ871によってホットメルト接着剤の温度を融点まで加熱させるために必要な時間である。CPU201はヒータ871に通電を開始してから第一所定時間経過後(S11:YES)、通電を停止する(S13)。
CPU201は、第二所定時間、待機する(S15:NO)。第二所定時間は、ヒータ871の加熱によって軟化したフィルム24の接触部の温度が所定の温度に下がるのに必要な時間である。所定の温度とは、フィルム24に加えられた張力による引き伸ばしにフィルム24が耐えられる硬度を得られる温度である。CPU201は通電停止から第二所定時間経過後(S15:YES)、駆動部213を制御してモータ223を駆動する。加熱部86は下方へ移動し、待機位置(図3参照)に戻る(S17)。前述したように、第一押圧部材88の上端は、加熱ユニット87の上端よりも上方に位置する。また、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動することができる。故に、加熱ユニット87は、第一押圧部材88よりも先にフィルム24から離隔する。第一押圧部材88はヒータ871がフィルム24に接触する接触部よりも、包装対象物3側に位置する。故に、フィルム24の接触部が加熱ユニット87のヒータ871から離れても、第一押圧部材88がフィルム24の押圧を維持することができ、フィルム24の張力が直ちに接触部には加わらない。よって、第一押圧部材88は、フィルム24の接触部において、フィルム24が引き伸ばされてしまうことを抑制できる。また、第一押圧部材88がフィルム24を押さえた状態でフィルム24の接触部とヒータ871とを離隔させることができるので、加熱部86は、確実に、フィルム24と加熱ユニット87とを引き剥がすことができる。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる(S19)。保持ローラ72は案内ローラ71から離れ、フィルム24の先端を解放する。
CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。ベルト511,512は正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9を下流側に搬送する(S21)。台座9の下流側の底面に溶着されたフィルム24は、台座9および包装対象物3の上側を覆う位置に配置される。CPU201は、モータ222の駆動を継続し、台座9を更に下流側に搬送する。CPU201は、センサ(図示略)によって台座9の上流側の端部(板状部905の縁部902)が移動経路104よりも下流側に位置することが検知されたら、駆動部212を制御してモータ222を停止し、台座9の搬送を停止させる。
CPU201は、駆動部211を制御してモータ221を駆動し、支持部34を下方へ移動させる(S23)。図12に示すように、支持部34は、矢印147に示すように、移動経路104に沿って下方に移動する。誘導ローラ31はフィルム24に上側から接触し、下方に向けて誘導する。フィルム24は、台座9および包装対象物3の上流側を覆う位置に配置される。CPU201は、エンコーダ231から出力されるパルス信号に応じて、誘導ローラ31の下方への移動を開始してからのモータ221の回転数を特定する。CPU201は、モータ221の回転数に基づいて誘導ローラ31を最下位置に移動させ、駆動部211を制御してモータ221の駆動を停止する。誘導ローラ31は、案内ローラ71の下流側、且つ回転抑制部80の上流側の位置で、ストッパ81と向き合う位置に配置される。第二押圧部材349は、搬送経路103上に配置される。
図10に示すように、CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動し、ベルト511,512を逆方向に回転させる(S25)。図13に示すように、搬送部60は下流側から上流側に移動し、台座9および包装対象物3を、矢印148に示すように、搬送方向の上流側へ向けて移動する。フィルム24は、台座9および包装対象物3の上流側を覆う位置から下方に延びる。フィルム24は、台座9の上流側の端部(板状部905の縁部902)に接触して、台座9の底面に沿って下流側に曲折する。フィルム24は、台座9が上流側に移動する過程で、台座9の上流側の底面に溶着層248を向けた状態で、フィルム24に加わる張力によって底面に密着する。図10に示すように、CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の上流側への移動を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に基づいて、搬送部60を所定距離分移動させたら、駆動部211を制御してモータ221の駆動を停止する。図15に示すように、台座9の縁部902は、第二押圧部材349に当接する。フィルム24は、縁部902と第二押圧部材349との間に挟まれる。
図10に示すように、CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、回転抑制部80のストッパ81を上流側に移動させる(S27)。図15に示すように、ストッパ81は誘導ローラ31に当接し、誘導ローラ31との間にフィルム24を挟む。誘導ローラ31の回転は禁止される。
図10に示すように、CPU201は、駆動部215を制御してモータ225を駆動し、案内レール74に沿って切断部77を左右に移動する。切断部77の切断刃は、フィルム24のうち誘導ローラ31から第二補助ローラ33に向けて延びる部分を切断する(S29)。誘導ローラ31から第二補助ローラ33に向けて延びるフィルム24にはトルク調節機構40による張力が加わっている。切断部77は、フィルム24を適切に切断できる。また、ストッパ81が誘導ローラ31との間にフィルム24の後端を挟むので、台座9および包装対象物3を覆う部分のフィルム24は、切断後もめくれない。フィルム24の切断後、フィルムロール22から延びるフィルム24のうち切断された端部は、案内ローラ71の下方側に垂れ下がる(図14参照)。
CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる(S31)。図14に示すように、保持部78は、矢印150に示すように、揺動して案内ローラ71の下流側に保持ローラ72を近接させる。フィルム24の先端は、保持ローラ72と案内ローラ71との間に挟まれる。
図10に示すように、CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を上昇させる(S33)。矢印151(図14参照)に示すように、加熱部86は待機位置(図13参照)から加熱位置へ向けて上方に移動する。図16に示すように、第一押圧部材88は、上面が搬送経路103の下方から台座9(板状部905)の底面に近接する。第一押圧部材8は台座9底面との間にフィルム24を挟み、台座9を押し上げる。台座9の上面は、支持部34の係止部材347に当接する。第一押圧部材88のバネ部材882は撓む。加熱ユニット87のヒータ871は、台座9底面に近接し、台座9底面との間にフィルム24を挟む。加熱ユニット87のバネ部材872は撓む。CPU201は、センサ(図示略)によって、加熱部86が加熱位置に移動したことを検知する。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223の駆動を停止し、加熱部86の上昇を停止させる。
図10に示すように、CPU201は、加熱部86のヒータ871に通電する(S35)。ヒータ871は発熱し、フィルム24の溶着層248を加熱する。溶着層248に含まれるホットメルト接着剤は溶融し、台座9の底面とフィルム24とを接着する。また、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基と、台座9底面の繊維中に含まれる官能基とが混ざり合って結合し、フィルム24と台座9とが溶着する。CPU201は、ヒータ871に第一所定時間、通電し(S37:NO)、第一所定時間経過後(S37:YES)、通電を停止する(S39)。CPU201は、第二所定時間、待機し(S41:NO)、第二所定時間経過後(S41:YES)、駆動部213を制御してモータ223を駆動する。加熱部86は下方へ移動し、待機位置(図15参照)に戻る(S43)。前述したように、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動できる。加熱ユニット87は、第一押圧部材88よりも先にフィルム24から離隔する。故に、フィルム24の接触部が加熱ユニット87のヒータ871から離れても、第一押圧部材88がフィルム24の押圧を維持することができ、フィルム24の張力が直ちに接触部には加わらない。よって、第一押圧部材88は、フィルム24の接触部において、フィルム24が引き伸ばされてしまうことを抑制できる。また、第一押圧部材88がフィルム24を押さえた状態でフィルム24の接触部とヒータ871とを離隔させることができるので、加熱部86は、確実に、フィルム24と加熱ユニット87とを引き剥がすことができる。更に、加熱ユニット87による加熱時と、加熱ユニット87がフィルム24から離隔するときにおいて、第二押圧部材349は、第一押圧部材88よりも包装対象物3に近い側で、フィルム24を押圧して保持する。故に、第二押圧部材349は、第一押圧部材88にかかるフィルム24の張力を緩和できる。
CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、回転抑制部80のストッパ81を下流側に移動させる。ストッパ81は誘導ローラ31から離れ、台座9および包装対象物3を包装したフィルム24の後端を解放する。誘導ローラ31は回転可能な状態になる(S45)。
CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。ベルト511,512は正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9および包装対象物3を下流側へ搬送する(S47)。CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の下流側への搬送を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に基づいて、搬送部60を従動プーリ525の位置に移動させる。CPU201は駆動部212を制御してモータ222の駆動を停止する。包装が完了した台座9および包装対象物3は受け台13上に載置される。包装処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態のフィルム24は、溶着層248にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着層248を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着層248のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルム24は被溶着部に溶着する。したがって、包装装置1は樹脂製のフィルム24を直に被溶着部に溶着することができる。
また、溶着層248の表層部24Sに極性官能基が多いことによって、フィルム24は被溶着部に強固に溶着することができる。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、溶着層248は表層部24Sに極性官能基を導入することができる。故に、溶着層248は被溶着部に強固に溶着することができる。
また、フィルム24の部位のうち、加熱ユニット87のヒータ871に加熱される接触部よりも包装対象物3に接触する側の部位は、包装対象物3の包装に伴い発生する張力がかかった状態となる。第一押圧部材88がフィルム24のヒータ871との接触部よりも包装対象物3側の部位を台座9へ向けて押圧することで、接触部には、包装対象物3の包装に係る張力が加わらない。したがって、加熱ユニット87がフィルム24の接触部を加熱しても、接触部において溶融した部分は、張力によって引き伸ばされたりすることがない。よって、包装装置1はフィルムを確実に被溶着部に溶着できる。
また、加熱ユニット87と第一押圧部材88が独立に移動可能なので、包装装置1は、加熱ユニット87がフィルム24を加熱する時期と、第一押圧部材88がフィルムを押圧する時期をずらすことができる。加熱ユニット87による溶着層248の加熱後、基部89が下降するとき、加熱ユニット87は第一押圧部材88よりも先に接触部から離れることができる。したがって、包装装置1は、接触部の加熱後、フィルム24と加熱ユニット87を確実に引き剥がせる。
また、基部89が上昇してフィルム24を台座9に押しつけた場合に、台座9は係止部材347に規制され、上方へ移動しない。故に加熱ユニット87は、フィルム24を台座9に確実に接触させた状態で接触部を加熱できる。また、加熱時に第二押圧部材349がフィルム24を押圧して保持することで、包装装置1は、第一押圧部材88にかかるフィルム24の張力を緩和できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。フィルム24は、コロナ放電による表面改質処理を行い、表層部24Sに極性官能基を導入したが、プラズマ放電による処理を行って導入してもよい。溶着層248は、フィルム24の一方の面に形成したが、両面にそれぞれ形成してもよい。また、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入しなくてもよい。また、フィルム24は、溶着層248と基層249を積層して形成されたが、基層249がなく、溶着層248のみからなる単層のフィルムであってもよい。また、溶着層248は、炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤を混合した層としたが、ホットメルト接着剤のみからなる層であってもよい。
また、図17に示すフィルム324のように、ホットメルト接着剤を含まず、単層の炭化水素系の樹脂で形成したフィルムの表層部324Sに極性官能基を導入した溶着部324Wを備えたフィルムを用いてもよい。
図17に示すように、電極21間にフィルム324を配置し、高周波高電圧を印加することによって発生するプラズマによって、フィルム24の表面を改質するコロナ処理を行う。本実施形態と同様に、コロナ放電によって電極21から放出される電子243は、フィルム24の表層部24Sに衝突し、表層部24Sに位置する高分子結合の主鎖や側鎖を切断する。切断された主鎖や側鎖からなる高分子が、気相中の酸素ラジカル242やオゾン241と再結合する。これにより、少なくとも一方の面の表層部324Sに極性官能基が導入された溶着部324Wを備えたフィルム324を得ることができる。溶着部324Wを台座9に押し当てて熱を加えると、段ボールの繊維中の官能基がフィルム324の表層部324Sの官能基と混ざり合って結合するため、単層のフィルム324を直接、台座9に溶着することができる。
このようなフィルム324の全面に溶着部324Wを形成すれば、台座9に対して溶着部324Wの位置合わせをする必要がなく、容易に溶着することができる。また、コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、フィルム324の表層部324Sに極性官能基を確実且つ容易に導入することができる。このように、極性官能基を導入したフィルム324は、上記のようなコロナ処理で作製するだけでなく、通常のフィルムに極性官能基を含むフィルムを積層して作製することもできる。また、フィルム324は、コロナ放電による表面改質処理を行い、表層部324Sに極性官能基を導入したが、プラズマ放電による処理を行って導入してもよい。溶着部324Wは、フィルム324の一方の面に形成したが、両面にそれぞれ形成してもよい。フィルム324の溶着部324Wを形成する面についても、面全体に形成してもよいが、面の一部に形成してもよい。例えば、包装装置1が、コロナ処理を施すことが可能な装置を備え、樹脂フィルムにおいて台座9との溶着を行う部位に限定的にコロナ処理を行ってもよい。このようにすれば、一般的に用いる樹脂フィルムを収容したフィルムカセット2を包装装置1に装着しても、フィルムの必要な部位に溶着部324Wを都度形成して台座9との溶着を行うことができる。
また、フィルム324は、極性官能基を含むフィルムを、極性官能基を含まない樹脂フィルムに貼り合わせるなどして積層した積層体であってもよい。もちろん、極性官能基を含まない樹脂フィルム同士を積層した上でコロナ処理を施して、極性官能基を導入したフィルムを作製してもよい。
また、台座9は、段ボールを用いて作製したものを例に挙げたが、ボール紙でもよいし、木材を組んだ台座であってもよい。
また、トルク調節機構40は、ギア41を介してフィルムロール22の芯部22Aに駆動力を伝達するモータを備えてもよい。トルク調節機構40は、モータの駆動によってフィルム24を繰り出し、または巻き取ることによって、フィルム24に作用する張力を調整してもよい。フィルムカセット2は、カセットケース25を廃し、芯部22Aにフィルム24を巻回したフィルムロール22によって構成されてもよい。
本発明は、被溶着部に対して溶着可能な樹脂製のフィルムを装着可能な包装装置に関する。
包装対象物を包んだ樹脂フィルムの端と端を重ねて加熱して封止し、包装対象物を包装することができる包装装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の包装装置は、包装対象物の形状や大きさによっては包装することが難しい。また、封止した樹脂フィルムと包装対象物との間に隙間を生じ、樹脂フィルム内で包装対象物が動くと、包装対象物の保護が不十分になる場合がある。そこで、従来の包装装置は、段ボール等の台座に載せた包装対象物を台座ごと樹脂フィルムで包んで固定し、包装対象物を保護する。一般に、包装装置はポリエチレン、ポリプロピレン等からなる樹脂フィルムを包装に用いる。これら樹脂フィルムは段ボール等には溶着し難いことが知られている。故に、あらかじめ熱で溶融する接着剤を塗布した台座を用い、接着剤の塗布位置で樹脂フィルム越しに接着剤を熱して溶かすことで、樹脂フィルムを台座に接着することができる包装装置が知られている。
しかしながら、従来の包装装置は、台座にあらかじめ接着剤を設ける必要があり、手間がかかるという問題があった。
本発明は、被溶着部に直に溶着することができるフィルムを装着可能な包装装置を提供することを目的とする。
本発明の第一態様によれば、ホットメルト接着剤を含み、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えた樹脂製のフィルムと、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着部を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着部のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルムは被溶着部に溶着する。したがって、包装装置は樹脂製のフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。
第一態様において、前記溶着部は、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多くてもよい。溶着部の表層に極性官能基が多いことによって、フィルムは被溶着部に強固に溶着することができる。
第一態様において、前記溶着部は、表面に、コロナ処理またはプラズマ処理が施されてもよい。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、溶着部は表層に極性官能基を導入することができる。故に、溶着部は被溶着部に強固に溶着することができる。
本発明の第二態様によれば、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多く、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えたフィルムと、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部において、表層に有する極性官能基の数が他の部位よりも多い。故に、溶着部を被溶着部に押し当てた状態で加熱すると、溶着部の極性官能基は被溶着部に含まれる官能基と混ざり合って結合する。したがって、包装装置は、樹脂からなるフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。
第二態様において、前記溶着部は、前記フィルムの表面に、コロナ処理またはプラズマ処理を施して形成されてもよい。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、フィルムは表層に極性官能基を確実且つ容易に導入することができる。
第一態様または第二態様において、前記フィルムは積層フィルムであってもよい。基材に溶着部を積層してフィルムを作製することができる。
第一態様または第二態様は、前記フィルムが巻回された軸部材と、前記軸部材の軸心が延びる方向における両側の端部のうち少なくとも一方の端部に設けられたギアと、前記ギアに噛合する噛合部と、前記軸部材を着脱可能な装着部とを更に備えてもよい。フィルムが巻回された軸部材を装着部に容易に装着でき、且つ装着部から容易に脱着できるので、包装装置はフィルムを容易に交換することができる。
本発明の第三態様によれば、ホットメルト接着剤を含み、被溶着部に対して溶着可能な溶着部を備えた樹脂製のフィルムが軸部材に巻回されたフィルムロールの前記軸部材を着脱可能な装着部と、紙製の台座に載置された包装対象物の少なくとも一部と前記台座の少なくとも一部とを前記フィルムロールから引き出される前記フィルムで覆う被覆手段と、前記フィルムの前記溶着部を前記台座に接触させた状態で、前記台座との接触部を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする包装装置が提供される。
フィルムは、溶着部にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着部を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着部のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルムは被溶着部に溶着する。したがって、包装装置は樹脂製のフィルムを直に被溶着部に溶着することができる。また、軸部材を装着部に容易に装着でき、且つ装着部から容易に脱着できるので、包装装置はフィルムを容易に交換することができる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、前記包装対象物が載置された前記台座を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記フィルムの部位のうち、前記接触部よりも前記包装対象物と接触する側の部位を前記台座へ向けて押圧する第一押圧手段とを更に備えてもよい。フィルムの部位のうち、加熱手段に加熱される接触部よりも包装対象物に接触する側の部位は、包装対象物の包装に伴い発生する張力がかかった状態となる。第一押圧手段がフィルムの接触部よりも包装対象物側の部位を台座へ向けて押圧することで、接触部には、包装対象物の包装に係る張力が加わらない。したがって、加熱手段がフィルムの接触部を加熱しても、接触部において溶融した部分は、張力によって引き伸ばされたりすることがない。よって、包装装置はフィルムを確実に被溶着部に溶着できる。
第一態様、第二態様、または第三態様において、前記第一押圧手段は、前記加熱手段とは独立に前記台座へ向けて移動可能であってもよい。加熱手段と第一押圧手段が独立に移動可能なので、包装装置は、加熱手段がフィルムを加熱する時期と、第一押圧手段がフィルムを押圧する時期をずらすことができる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、昇降可能に構成され、前記搬送手段によって搬送される前記台座が通過する搬送経路の下方に前記第一押圧手段と前記加熱手段とを保持し、且つ、前記加熱手段による加熱時に、前記加熱手段と前記第一押圧手段とを上方へ移動させる昇降手段を更に備えてもよい。この場合、前記昇降手段が下降した状態において、前記第一押圧手段の上端は、前記加熱手段の上端よりも上方に位置してもよい。加熱手段による溶着部の加熱後、昇降手段が下降するとき、加熱手段は第一押圧手段よりも先に接触部から離れることができる。したがって、包装装置は、接触部の加熱後、フィルムと加熱手段を確実に引き剥がせる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、少なくとも前記昇降手段の上昇時に前記搬送経路の上方に配置され、前記台座の上方への移動を規制する規制手段を更に備えてもよい。昇降手段が上昇してフィルムを台座に押しつけた場合に、台座は規制手段に規制され、上方へ移動しない。故に加熱手段は、フィルムを台座に確実に接触させた状態で接触部を加熱できる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、少なくとも前記加熱手段による加熱時に前記搬送経路上に配置され、前記フィルムを前記台座へ向けて押圧する第二押圧手段を更に備えてもよい。加熱時に第二押圧手段がフィルムを押圧して保持することで、包装装置は、第一押圧手段にかかるフィルムの張力を緩和できる。
第一態様、第二態様、または第三態様は、前記昇降手段の昇降と、前記加熱手段の加熱を制御する制御手段を更に備えてもよい。この場合に、前記制御手段は、前記昇降手段を制御して前記加熱手段と前記第一押圧手段とを上方へ移動させる上昇工程と、前記加熱手段を制御して、所定の第一時間加熱する加熱工程と、前記加熱手段による加熱の終了後、所定の第二時間の経過を計時する計時工程と、前記第二時間の経過後、前記昇降手段を制御して前記加熱手段と前記第一押圧手段とを下方へ移動させる下降工程とを実行してもよい。加熱手段の加熱後、溶着部の温度が高いうちに接触部に張力が加えられた場合、接触部が引き伸ばされ、溶着が不十分となる可能性がある。第一押圧手段は、加熱手段の加熱後、第二時間が経過するまでフィルムの押圧を維持する。よって接触部の温度が低下する前に、接触部にフィルムの張力がかかることがない。故に包装装置は確実にフィルムを台座に溶着できる。
筐体800を装着した状態の包装装置1を後方右側面側から見た斜視図である。
筐体800を取り外した状態の包装装置1を後方右側面側から見た斜視図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
側板部111,112の上端近傍の斜視図である。
支持部34の斜視図である。
加熱部86の斜視図である。
フィルムカセット2の斜視図である。
コロナ処理によってフィルム24の表面に極性官能基が導入される様子の説明図である。
包装装置1の電気的構成を示すブロック図である。
包装処理のフローチャートである。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す図である。
包装処理による包装工程を示す断面図である。
包装処理による包装工程を示す断面図である。
コロナ処理によってフィルム324の表面に極性官能基が導入される様子の説明図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1において、左上側、右下側、右上側、左下側、上側、下側が、それぞれ、包装装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側である。包装装置1は、使用時、受け台12に対して受け台13を前側に配置し、且つ、受け台12,13の受け面12A,13Aをそれぞれ上側へ向ける。台座9は、受け台12,13上を前後方向(以下、「搬送方向」ともいう。)に搬送される。包装装置1の前方側を搬送方向下流側といい、後方側を搬送方向上流側という場合がある。図2以降において、包装装置1を構成する各部の向きは、図1における包装装置1の向きに倣うものとする。
包装装置1の概要について説明する。包装装置1は、台座9と、台座9上に載置された物品(以下、「包装対象物3」ともいう。図3参照)をフィルム24で包装する装置である(図14参照)。包装装置1は、後側から前側に向けて台座9を搬送しつつ、台座9および包装対象物3を包装する(図11〜図14参照)。
図1に示すように、包装装置1は筐体800を備える。筐体800の形状は、上下方向を長手方向とする略直方体形状である。筐体800は、上筐体801および下筐体803を備える。下筐体803の形状は、左右方向を長手方向とする略直方体形状である。下筐体803は、後面の右端側に入力部205を備える。入力部205は、作業者による操作の入力を受け付ける。上筐体801は、架設部802Bと2つの立設部802Aを備える。2つの立設部802Aは、それぞれ下筐体803の左右両端部から上方に延びる。架設部802Bは、2つの立設部802Aそれぞれの上端部間に架け渡される。2つの立設部802Aは、それぞれ側板部111,112(図2参照)を左右方向の外側から覆う。架設部802Bは、フィルムカセット2(図2参照)を上側から覆う。包装装置1は、下筐体803、2つの立設部802A、および架設部802Bで囲まれた開口部805を有する。開口部805は、筐体800の前側および後側の側面に連通する。
包装装置1は受け台12と受け台13を備える。受け台12,13は、下筐体803の前側および後側の側面上端部からそれぞれ上流側および下流側に向けて略水平方向に延びる。受け台12,13の形状は、搬送方向を長手方向とする平面視略長方形の箱状である。受け台12,13は、下側にそれぞれ、脚部121,131を備える。脚部121,131は、それぞれ、受け台12,13を下方から支持し、上面を水平に維持する。以下、受け台12の上面を「受け面12A」といい、受け台13の上面を「受け面13A」という。受け面12A,13Aのそれぞれは水平である。受け面12A,13Aは同一平面を形成する。包装前の包装対象物3および台座9は、受け面12A上を開口部805に向けて搬送される。包装が完了した台座9および包装対象物3は、受け面13Aを搬送される。以下、受け面12A,13Aによって形成される平面であって、搬送される台座9の経路部分を、「搬送経路103」(図3参照)という。図示しないが、受け台12,13は、受け面12A,13Aのそれぞれが垂直となるように揺動することができる。
図2に示すように、包装装置1は、底部10および側板部111,112を備える。底部10の形状は、平面視矩形状である。側板部111は、底部10の右端部から上方垂直方向に延びる。側板部112は、底部10の左端部から上方垂直方向に延びる。側板部111,112の形状は、上下方向を長手方向とする略長方形の板状である。
受け台12、13の右端部および左端部には、それぞれベルト511およびベルト512が設けられる。ベルト511,512は、それぞれ、内面側に歯を有する無端状のベルトである。ベルト511,512は繊維とウレタンゴム等の複合材であり、弾性変形可能である。ベルト511,512は、受け台12の上流側端部から受け台13の下流側端部に亘って延びる。
図3に示すように、ベルト512は、1つの主動プーリ524および2つの従動プーリ525の間に架けて設けられる。主動プーリ524は、側板部112(図2参照)の左側面の搬送方向略中央に配置される。従動プーリ525は受け台12の搬送方向上流側の端部と、受け台13の搬送方向下流側の端部にそれぞれ配置される。主動プーリ524および従動プーリ525の軸心は左右方向を向く。主動プーリ524および従動プーリ525はベルト512の内側に接触する。主動プーリ524および従動プーリ525は外側面に歯を有し、ベルト512の内側の歯と噛み合う。主動プーリ524は、複数の歯車を介して駆動用のモータ222(図9参照)に連結する。モータ222は、受け台13の上流側部分の下側に設けられる。ベルト512は、主動プーリ524の回転駆動に伴って回転する。従動プーリ525はベルト512を位置決めする。なお、図示しないが、ベルト511もベルト512と同様に、1つの主動プーリ(図示略)および2つの従動プーリ(図示略)の間に架けて設けられる。
図2に示すように、ベルト511,512は、それぞれの外側面に搬送部60を備える。搬送部60は、ベルト511,512の回転に伴って受け台12上から受け台13上に移動する。搬送部60は、台座9と係合し、台座9を上流側から下流側に搬送する。
図2,図4に示すように、側板部111,112は、それぞれの上端部の間に、板状の架設板117を架け渡して設ける。架設板117は、水平部117Aと垂直部117B,117Cを備える。水平部117Aは、側板部111の上端部から左方へ水平方向に延び、側板部112の上端部に接続する。垂直部117Bは、水平部117Aの上流側端部から上方へ垂直方向に延びる。垂直部117Cは、水平部117Aの下流側端部から上方へ垂直方向に延びる。フィルムカセット2(後述)は、水平部117Aの上側に載置可能に構成される。架設板117は、水平部117Aの上側、且つ、側板部112の右側面に、後述するトルク調節機構40を有する。トルク調節機構40は、側板部112と平行に延びる支持板19の左側に支持される。トルク調節機構40の上流側、下流側および右側を覆う壁板18のうち、トルク調節機構40の右側を覆う部分の上端に、下方に凹んだ凹部18Aが設けられる。凹部18Aには、フィルムカセット2の突出部253(図7参照)が装着される。トルク調節機構40は、フィルムロール22から繰り出されるフィルム24(図3参照)に作用する張力の大きさを調整する機構である。トルク調節機構40はフィルムカセット2のギア273(図7参照)に噛合するギア41を含む複数のギア(図示略)を備える。トルク調節機構40は、レバー47の操作位置に応じてギアの噛み合わせを切り換え、ギア273に加えるトルクを調節する。トルク調節機構40の構造の詳細については省略する。
側板部111の右側面に、右方に突出した突出部113が設けられる。側板部112の左側面に、左方に突出した突出部114が設けられる。突出部113、114の形状は、それぞれ、上下方向に延びる箱状である。突出部113、114は内部にキャリッジ(図示外)を備える。キャリッジはモータ221(図9参照)の回転によって駆動する。突出部113の内部のキャリッジは、突出部113の上流側の部分で支持板部351と接続する。支持板部351の形状は板状である。支持板部351の左側に支持部341が接続する。突出部114の内部のキャリッジは、突出部114の上流側の部分で支持板部352と接続する。支持板部352の形状は板状である。支持板部352の右側に支持部342が接続する。以下、支持部341,342を総称して支持部34という。モータ221は、キャリッジを介して、支持板部351,352のそれぞれに接続する支持部34を上下方向に移動させることができる。
図5に示すように、支持部341,342は、それぞれ右側面視、略逆L字状の板状部材である。支持部341,342は、それぞれ基部343、前方延出部344、上方延出部345、突起部346を備える。基部343は略矩形状で、上流側下部の角部がトリミングされている。前方延出部344は、基部343の下流側下部から前方へ延びる部位である。上方延出部345は、基部343の上流側上部から上方へ延びる部位である。突起部346は、基部343の下流側上部から前方へ突出する部位である。前方延出部344と突起部346との間には間隙が設けられている。支持部341,342は、誘導ローラ31、第一補助ローラ32、第二補助ローラ33、および第三補助ローラ35の左右方向両端部をそれぞれ支持する。誘導ローラ31、第一補助ローラ32、第二補助ローラ33、および第三補助ローラ35は、前側から後側へ向けて順に並ぶ。誘導ローラ31、第一補助ローラ32、および第二補助ローラ33は、前方延出部344の下流側端部に支持されている。誘導ローラ31および第二補助ローラ33は、上下方向におけるそれぞれの下端の位置が略同一である。第一補助ローラ32は、誘導ローラ31および第二補助ローラ33よりも上側に位置する。第三補助ローラ35は、基部343の下流側上部に支持されている。第三補助ローラ35は、第一補助ローラ32よりも上側に位置する。
支持部341,342の突起部346間には、左右方向に延びる板状の係止部材347が設けられている。係止部材347は、厚み方向を上下方向に配置され、突起部346の下端を架橋する。係止部材347は、後述する包装工程において、台座9の上流側の縁部902(図14参照)の上方への移動を規制する。係止部材347の上流側の縁部348は下方に突出し(図15参照)、基部343の下流側端部で前方延出部344と突起部346との間の部位を架橋する。縁部348の前面には、左右方向に延びる板状の第二押圧部材349が設けられている。第二押圧部材349は弾性部材であり、後述する包装工程において、台座9の上流側の縁部902(図13参照)の上流側への移動を規制する。
支持部34は、最上位置(図3参照)と最下位置(図12参照)との間で上下動する。以下、支持部34の移動によって上下方向に移動する誘導ローラ31の経路を、「移動経路104」(図3参照)という。図3に示すように、誘導ローラ31が移動経路104に沿って最下位置に移動した場合(図12参照)、誘導ローラ31は搬送経路103の下側に位置する。搬送経路103と移動経路104とは交差する。包装装置1は、側板部111,112(図2参照)で挟まれる部分における搬送経路103の下側に、切断部77を備える。切断部77は、上方へ向けて刃先が斜めに突出する切断刃(図示略)を備える。切断刃は、左右方向に延びるガイドレール(図示略)に案内されて左右に移動する。図12に示すように、支持部34が最下位置に移動した場合、誘導ローラ31と第二補助ローラ33との間に、切断刃が配置される。切断刃は、モータ225(図9参照)の駆動によって移動し、フィルム24を幅方向に切断する。
図2,図3に示すように、包装装置1は案内ローラ71を備える。案内ローラ71は、側板部111,112で挟まれる部分の上流側、且つ搬送経路103(図3参照)の下側に設けられる。図2に示すように、案内ローラ71は、軸部711および複数のローラ部712を備える。軸部711は左右方向に延びる。複数のローラ部712は、軸部711の軸方向に等間隔に設けられている。案内ローラ71は、搬送経路103に沿って上流側から下流側に搬送される台座9を、受け台12,13間で下方から支持し、受け台12から受け台13に誘導する。図12に示すように、支持部34が最下位置に配置された場合、第三補助ローラ35は案内ローラ71の上方近傍に配置される。
図2および図3に示すように、包装装置1は、案内ローラ71の下流側に、保持ローラ72を備える。保持ローラ72は左右方向に延びる。図3に示すように、保持部78は、保持ローラ72の左右の端部を回転可能に支持する。包装装置1は、保持部78を揺動可能に支持する。保持部78が揺動することによって、保持ローラ72は、案内ローラ71の下流側に近接した状態(図3参照)と、案内ローラ71に対して下方に離隔した状態(図12参照)とに切り替わる。保持ローラ72は、案内ローラ71の下流側に近接した場合、フィルムカセット2から排出されたフィルム24を案内ローラ71との間に挟み支持できる。
包装装置1は、保持ローラ72の下流側の近傍に、加熱部86を備える。図6に示すように、加熱部86は、4つの加熱ユニット87、第一押圧部材88、基部89を備える。4つの加熱ユニット87は左右方向に並べて配置される。4つの加熱ユニット87はそれぞれ上面にヒータ871(図9参照)を備える。ヒータ871は、電流が流れると加熱する抵抗加熱方式のヒータである。ヒータ871は、フィルム24に接触してフィルム24を加熱できる。第一押圧部材88は左右方向に延び、4つの加熱ユニット87の上流側に配置される。第一押圧部材88は、上面に、左右方向に延びる板状の弾性部材881を備える。基部89は、4つの加熱ユニット87と第一押圧部材88とを上部に保持する。4つの加熱ユニット87と第一押圧部材88は、基部89の上部に設けられたバネ部材872,882(図15参照)によって、それぞれ基部89の上方へ向けて付勢されている。即ち、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動可能である。加熱ユニット87および第一押圧部材88が外力を受けていない場合、第一押圧部材88の上端は、加熱ユニット87の上端よりも上方に位置する。基部89は、下流側に、上下方向に延びるラックギア891(図15参照)を備える。ラックギア891は、左右方向に延びる回転軸を有するピニオンギア90に噛合する。基部89の下流側には、モータ223が設けられる。ピニオンギア90は、複数のギア(図示略)を介して、モータ223の回転軸に接続する。モータ223は、底部10(図2参照)の上方、且つ、側板部111、112(図2参照)間に挟まれた部分に配置される。加熱部86はモータ223の駆動によって上下方向に移動する。加熱部86は、通常時には下方(待機位置、図3参照)で待機し、溶着時には上方(加熱位置、図11参照)へ移動する。加熱部86は、待機位置に配置されるとヒータ871の上面が蓋部86Aに覆われる。
図3に示すように、包装装置1は、加熱部86の下流側に回転抑制部80を備える。回転抑制部80の上流側の端部には、ストッパ81が設けられている。ストッパ81の形状は断面形状が四角形の棒状であり、左右方向に延びる。ストッパ81は、上流側の側面にゴム等の弾性部材(図示略)を備える。回転抑制部80はストッパ81を前後方向に駆動する。回転抑制部80がストッパ81を後方側(搬送方向上流側)に移動した場合、ストッパ81は誘導ローラ31側に押し付けられる(図13参照)。ストッパ81は、摩擦力で誘導ローラ31の回転を制止する。
台座9について説明する。図1に示すように、台座9は、略長方形状の板状部材を、左右の曲折部912,911で上方に折り曲げることによって作製される。台座9は、一例として、段ボールを用いて作製される。以下の説明では、台座9の底壁をなす部位を板状部905という。また、台座9が包装装置1に配置された状態において、板状部905の下流側の端を縁部901といい、上流側の端を縁部902という。
図7を参照し、フィルムカセット2について説明する。図7の紙面右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、フィルムカセット2の前側、後側、左側、右側、上側、下側として説明する。なお、フィルムカセット2が包装装置1の架設板117の水平部117Aに載置される場合、フィルムカセット2の後側が、包装装置1の前側(上流側)に向けられて載置される。
フィルムカセット2は、カセットケース25およびフィルムロール22を備える。カセットケース25は略円柱状の外形を有し、後端部に後方を向く平面を有する筐体である。カセットケース25はフィルムロール22を内部に収納する。フィルムロール22は略円筒状であり、左右方向に延びる。カセットケース25は、左端部および右端部で、フィルムロール22の左端部および右端部を回転可能に支持する。つまり、フィルムロール22の回転軸は、左右方向に延びる。以下の説明では、フィルムカセット2の左右方向を軸線方向という場合がある。フィルムロール22は、円筒状の芯部22Aと、芯部22Aの周囲に巻回された包装用のフィルム24を含む。なお、フィルム24は、外周側の面に溶着層248(図8参照)が配置される向きに、フィルムロール22に巻回されている。
カセットケース25は上ケース251と下ケース252とを備える。上ケース251は、前面下端と後面下端とがそれぞれ前方および後方へ向けて鍔状に突出する鍔部263,261を備える。下ケース252も同様に、前面上端と後面上端とがそれぞれ前方および後方へ向けて鍔状に突出する鍔部264,262を備える。上ケース251と下ケース252は、鍔部263,261と鍔部264,262とをビス265で固定して、カセットケース25を構成する。フィルムカセット2を包装装置1の架設板117(図2参照)に載置する場合、下ケース252の鍔部264,262は垂直部117C,117Bの上端に支持される。
カセットケース25は、左側の側壁266の中央部に左方へ向けて突出する突出部253を備える。図示しないが、カセットケース25は、右側の側壁266の中央部にも右方へ向けて突出する突出部253を備える。左右の突出部253は、前面に孔部255が形成されている。フィルムロール22の芯部22Aは左右両端に一対のギア273を備える。カセットケース25は、左右の突出部253内に一対のギア273をそれぞれ収容する。カセットケース25は芯部22Aを支持し、内部でフィルムロール22を回転可能に支持する。左右の突出部253は、孔部255から一対のギア273を外部に露出する。フィルムカセット2は、包装装置1の架設板117(図2参照)に載置された場合、突出部253がトルク調節機構40の凹部18A(図4参照)に嵌まることで、芯部22Aが凹部18Aに装着される。芯部22Aの左端のギア273は、トルク調節機構40のギア41(図4参照)と噛み合う。
カセットケース25は後端部の下端に排出口26を備える。排出口26は、軸線方向に平行に、左端部から右端部まで延びる孔部である。フィルムロール22から引き出されたフィルム24は、排出口26からカセットケース25の外部に排出される。カセットケース25は、右上部に開口部258を備える。作業者は開口部258を介してカセットケース25が収納するフィルムロール22に巻かれたフィルム24の残量を確認できる。
次に、フィルムロール22が芯部に巻き回すフィルム24について説明する。フィルム24は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、炭化水素系の樹脂からなるフィルムである。本実施形態のフィルム24は、基層249と溶着層248を積層した2層フィルムである。基層249は、炭化水素系の樹脂フィルムである。基層249の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の他に、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン樹脂)、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))、EVA樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
溶着層248は、炭化水素系の樹脂にホットメルト接着剤を所定の混合比で混ぜ合わせて作成したフィルムである。炭化水素系の樹脂には、基層249と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の他に、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン樹脂)、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))、EVA樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
ホットメルト接着剤は、ベースポリマー、ワックス、粘着性付与樹脂、酸化防止剤および着色剤を、所定の混合比で混合した熱可塑性の接着剤である。ベースポリマーとして、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレンノルマルブチルアクリレート(EnBA)、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)等を用いることができる。ベースポリマーは、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ワックスとして、例えば、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を用いることができる。ワックスは、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。粘着性付与樹脂として、例えば、ロジン系樹脂(ロジンやロジンエステルなど:天然ロジン,変性ロジン,水添ロジン)、テルペン系樹脂、石油系樹脂、クマロン系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂等を用いることができる。粘着性付与樹脂は、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、トコフェロールをベースとする酸化防止剤、ビスベンゾトリアゾールをベースとする酸化防止剤、チオフェニルビスベンゾオキサゾール誘導体をベースとする酸化防止剤、ベンゾフェノンをベースとする酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤は、上記材料1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。着色剤として、例えば、酸化チタンを用いることができる。
例えば、ポリエチレン[(CH2CH2)n]からなるフィルムは、炭素と水素の高分子結合がフィルムの深層部だけでなく表層部にも配置されており、無極性である。このようなポリエチレンフィルムは、例えば段ボール等からなる台紙に固定することは難しい。故に本実施形態では、上記したように、フィルム24に炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤とを混合した溶着層248を設けている。
ところで、樹脂フィルムの表層に極性官能基を導入したフィルムが知られている。例えば、樹脂フィルム上に印刷を行うため、樹脂フィルムの表面にコロナ処理を施してフィルム表面を改質し、インクの定着性を向上させた包装用フィルムが知られている。コロナ処理が施されることによって、樹脂フィルムは表面が粗くなり、また酸化することで濡れ性が高まって、インクや接着剤の定着性が向上する。
コロナ処理が施された樹脂フィルムは、表層に、極性官能基が導入されている。段ボール等はパルプ材が繊維中にセルロースの官能基を含むことから、発明者は、コロナ処理を施した樹脂フィルムを直に段ボール台紙に溶着してみたところ、樹脂フィルムを固定することができた。フィルム24の溶着層248は、炭化水素系の樹脂を含むため、溶着層248の表層部24S(図8参照)に極性官能基を導入すれば、段ボール等からなる台座9への溶着強度を高めることができる。
本実施形態では、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入するため、溶着層248に対してコロナ処理を施している。以下に、コロナ処理によって溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入し、フィルム24の台座9に対する溶着強度を高められる原理について簡単に説明する。
図8に示すように、コロナ処理は、電極21間にフィルム24を配置し、高周波高電圧を印加することによって発生するプラズマによって、フィルム24の表面を改質する処理である。コロナ放電によって電極21から放出される電子243は、気相中の原子や分子と衝突し、励起したり、解離やイオン化を生じさせる。更に、イオン化した原子244からも電子243が放出されることによって、電極間は高エネルギー状態となり、プラズマが発生する。発生したプラズマは、気相に変化をもたらす。そして電子243が気相中の酸素分子に衝突すると、酸素分子は解離して、酸素ラジカル242やオゾン241を生成する。
また、高エネルギーの電子243は、電極21間に配置されるフィルム24の溶着層248の表層部24Sに衝突する。電子243は、表層部24Sに位置する炭化水素系の樹脂の高分子結合の主鎖や側鎖を切断する。切断された主鎖や側鎖からなる高分子は化学的にラジカルな状態となり、気相中の酸素ラジカル242やオゾン241と再結合する。これにより、フィルム24の表層部24Sに、カルボニル基246[>C(=O)]、ヒドロキシル基247[−OH]、カルボキシ基245[−C(=O)OH]等の極性官能基が導入される。このように、フィルム24は、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入することで、溶着層248の溶着強度を高めることができる。溶着層248を台座9に押し当てて熱を加えると、溶着層248に含まれるホットメルト接着剤が溶融し、段ボールとフィルム24とを接着する。更に、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基が、段ボールの繊維中の官能基と混ざり合って結合するため、フィルム24と台座9との溶着強度を高めることができる。
溶着層248に含まれる炭化水素系の樹脂には、表層に極性官能基を含まないもの、含んでいても表層に露出せず深層に含むもの、あるいは分子構造上、他の官能基と結合しにくいもの等がある。極性官能基を含まない樹脂は、コロナ処理によって極性官能基を導入すれば溶着性を得られるようになり、好ましい。また、極性官能基を含む樹脂であっても、溶着性に乏しいものがある。例えば、ポリエチレンテレフタレートは官能基を含むが、分子構造上、外来の官能基と混ざりにくいため、溶着性が低い。故に、ポリエチレンテレフタレートに対し、コロナ処理による表面改質を行って溶着層248の表層部24Sを外来の官能基と混ざりやすい部位にすれば、フィルム24は台座9との溶着強度を高めることが可能である。
なお、フィルム24にポリエチレンを用いた場合、低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることが望ましい。LDPEは、高密度ポリエチレン(HDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と比べると、高分子結合の主鎖や側鎖をより低いエネルギーで切断しやすい。故に、コロナ放電によってフィルム24の表層部24Sに極性官能基を導入しやすい。すなわち、LDPEは、HDPEやLLDPEと比べ、より多くの極性官能基を表層部24Sに導入することができるので、フィルム24と台座9との溶着強度を、より高めることができる。
このように、本実施形態のフィルムカセット2は、炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤を混合した溶着層248の表層部24Sに更にコロナ処理を行って極性官能基を導入し、溶着強度を高めたフィルム24を収容する。故に、フィルムカセット2を装着した包装装置1は、あらかじめ台座9に接着剤等を塗布した部位を設けることなく、台座9の表面を被溶着部として、フィルム24の溶着層248を溶着することで、台座9にフィルム24を固定して、包装対象物3を包装することができる。
図9を参照し、包装装置1の電気的構成について説明する。包装装置1は、CPU201、フラッシュROM202、RAM203、入力部205、ヒータ871を備える。CPU201は、包装装置1全体の制御を司る。CPU201は、フラッシュROM202に記憶されたプログラムを実行することによって、台座9に載置された包装対象物3をフィルム24によって包装する処理を実行する。フラッシュROM202には、CPU201が実行する包装処理(図10)のプログラムが記憶される。
包装装置1は、駆動部211〜216、モータ221〜226、エンコーダ231、232を備える。駆動部211〜216は、それぞれ、モータ221〜226にパルス信号を出力することによって、モータ221〜226を駆動する。モータ221〜226は、例えばDCモータである。エンコーダ231、232は、それぞれ、モータ221、222の回転に応じた数のパルス信号を出力する。CPU201は、フラッシュROM202、RAM203、入力部205、ヒータ871、駆動部211〜216、エンコーダ231、232と電気的に接続する。駆動部211〜216は、それぞれ、モータ221〜226と電気的に接続する。
以下、図3、図10〜図16を参照し、包装装置1のCPU201によって実行される包装処理(図10参照)について説明する。作業者は、フィルムカセット2を架設板117に配置する(図2参照)。フィルムカセット2の突出部253は、トルク調節機構40の凹部18A(図4参照)に嵌まり、芯部22Aが装着される。芯部22Aの左端のギア273はトルク調節機構40に設けられたギア41(図4参照)に噛合する(図2参照)。
CPU201は、包装装置1に電源が投入された場合、フラッシュROM202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、包装処理を開始する。図10に示すように、CPU201は、包装装置1の状態を初期化する(S1)。具体的には次の通りである。CPU201は、駆動部211を制御してモータ221を駆動し、支持部34を上昇させて最上位置に配置させる。支持部34の誘導ローラ31は、移動経路104の最上位置に配置される(図3参照)。CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動し、ベルト511,512(図2参照)を回転させる。搬送部60は、受け台12の受け面12A(図2参照)から上方に突出した状態に配置される。包装装置1は、作業者が受け台12の受け面12Aに台座9をセット可能な状態になる。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を下降させて待機位置に配置させる。加熱部86の上面のヒータ871と、第一押圧部材88上面の弾性部材881は、搬送経路103から下方に離隔した状態となる(図3参照)。CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、ストッパ81を下流側に移動させる(図3参照)。CPU201は、駆動部215を制御してモータ225を駆動し、切断部77を左右一方の端部に移動させる。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる。保持ローラ72は、案内ローラ71に対して下方に離隔した状態(図12参照)となる。CPU201は、包装の開始指示の入力を受け付けていない場合(S3:NO)、処理をS3に戻す。
包装装置1の電源を投入した後、作業者は、フィルムカセット2の排出口26(図7参照)から排出されたフィルム24を、手動で引き出す。図3に示すように、作業者は、引き出したフィルム24の先端を案内ローラ71の下流側に配置する。作業者は、フィルム24の準備ができたことを包装装置1に通知するための入力操作を、入力部205を介して行う。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる。保持部78が揺動することによって、保持ローラ72は案内ローラ71の下流側に近接した状態になる(図3参照)。フィルムカセット2から引き出されたフィルム24の先端は、案内ローラ71および保持ローラ72によって搬送方向両側から挟持される。フィルム24は外周側の面が溶着層248(図8参照)となるようにフィルムロール22に巻かれており、案内ローラ71側に溶着層248が配置される。前述したように、トルク調節機構40は、フィルムカセット2のギア273にトルクを加え、フィルムロール22から繰り出されるフィルム24に張力を与える。フィルム24は、搬送面に対して略直交する方向(上下方向)に真っ直ぐに延びた状態になる。
作業者は、台座9の先端(下流側の端部)を搬送部60(図2参照)に係合し、台座9を受け台12(図1参照)に載置する。台座9は搬送部60によって位置決めされる。台座9の板状部905の縁部901は下流側に配置され、縁部902は上流側に配置される。作業者は、台座9に包装対象物3を載置する。
作業者は、入力部205を介して包装の開始指示を入力する。図10に示すように、包装の開始指示の入力を受け付けた場合(S3:YES)、CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。図3に示すように、ベルト511,512は、搬送部60(図2参照)が上流側から下流側に移動する向き(図3における矢印142の方向)に回転する。以下、搬送部60を上流側から下流側に移動させる場合のモータ222およびベルト511,512の回転方向を正方向といい、正方向と逆向きの回転方向を逆方向という。包装装置1はベルト511,512を正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9と、台座9に載置された包装対象物3を搬送方向の下流側へ向けて搬送する(S5)。
図11に示すように、台座9の下流側の端部(板状部905の縁部901)は、受け台12、案内ローラ71、および保持ローラ72上を順に移動し、フィルム24に接触する。CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の搬送を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に応じ、台座9を下流側に向けて更に所定距離分送り出した後、駆動部212を制御してモータ222の駆動を停止する。台座9の縁部901はフィルム24を下流側に押す。フィルム24は、案内ローラ71および保持ローラ72によって先端が挟持されており、縁部901との接触部分で曲折する。フィルム24は、台座9の下流側の底面に溶着層248を向けた状態で、底面に密着する。
図10に示すように、CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を上昇させる(S7)。矢印143(図11参照)に示すように、加熱部86は待機位置(図3参照)から加熱位置へ向けて上方に移動する。CPU201は、センサ(図示略)によって、加熱部86が加熱位置に移動したことを検知する。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223の駆動を停止し、加熱部86の上昇を停止させる。加熱部86は、上面が搬送経路103の下方から台座9(板状部905)の底面に近接し、台座9底面との間にフィルム24を挟む。
CPU201は、加熱部86のヒータ871に通電する(S9)。ヒータ871は発熱し、フィルム24と接触する接触部において、溶着層248を加熱する。溶着層248に含まれるホットメルト接着剤は溶融し、台座9の底面とフィルム24とを接着する。また、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基と、台座9底面の繊維中に含まれる官能基とが混ざり合って結合し、フィルム24と台座9とが溶着する。CPU201は、ヒータ871に第一所定時間、通電する(S11:NO)。第一所定時間は、ヒータ871によってホットメルト接着剤の温度を融点まで加熱させるために必要な時間である。CPU201はヒータ871に通電を開始してから第一所定時間経過後(S11:YES)、通電を停止する(S13)。
CPU201は、第二所定時間、待機する(S15:NO)。第二所定時間は、ヒータ871の加熱によって軟化したフィルム24の接触部の温度が所定の温度に下がるのに必要な時間である。所定の温度とは、フィルム24に加えられた張力による引き伸ばしにフィルム24が耐えられる硬度を得られる温度である。CPU201は通電停止から第二所定時間経過後(S15:YES)、駆動部213を制御してモータ223を駆動する。加熱部86は下方へ移動し、待機位置(図3参照)に戻る(S17)。前述したように、第一押圧部材88の上端は、加熱ユニット87の上端よりも上方に位置する。また、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動することができる。故に、加熱ユニット87は、第一押圧部材88よりも先にフィルム24から離隔する。第一押圧部材88はヒータ871がフィルム24に接触する接触部よりも、包装対象物3側に位置する。故に、フィルム24の接触部が加熱ユニット87のヒータ871から離れても、第一押圧部材88がフィルム24の押圧を維持することができ、フィルム24の張力が直ちに接触部には加わらない。よって、第一押圧部材88は、フィルム24の接触部において、フィルム24が引き伸ばされてしまうことを抑制できる。また、第一押圧部材88がフィルム24を押さえた状態でフィルム24の接触部とヒータ871とを離隔させることができるので、加熱部86は、確実に、フィルム24と加熱ユニット87とを引き剥がすことができる。CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる(S19)。保持ローラ72は案内ローラ71から離れ、フィルム24の先端を解放する。
CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。ベルト511,512は正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9を下流側に搬送する(S21)。台座9の下流側の底面に溶着されたフィルム24は、台座9および包装対象物3の上側を覆う位置に配置される。CPU201は、モータ222の駆動を継続し、台座9を更に下流側に搬送する。CPU201は、センサ(図示略)によって台座9の上流側の端部(板状部905の縁部902)が移動経路104よりも下流側に位置することが検知されたら、駆動部212を制御してモータ222を停止し、台座9の搬送を停止させる。
CPU201は、駆動部211を制御してモータ221を駆動し、支持部34を下方へ移動させる(S23)。図12に示すように、支持部34は、矢印147に示すように、移動経路104に沿って下方に移動する。誘導ローラ31はフィルム24に上側から接触し、下方に向けて誘導する。フィルム24は、台座9および包装対象物3の上流側を覆う位置に配置される。CPU201は、エンコーダ231から出力されるパルス信号に応じて、誘導ローラ31の下方への移動を開始してからのモータ221の回転数を特定する。CPU201は、モータ221の回転数に基づいて誘導ローラ31を最下位置に移動させ、駆動部211を制御してモータ221の駆動を停止する。誘導ローラ31は、案内ローラ71の下流側、且つ回転抑制部80の上流側の位置で、ストッパ81と向き合う位置に配置される。第二押圧部材349は、搬送経路103上に配置される。
図10に示すように、CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動し、ベルト511,512を逆方向に回転させる(S25)。図13に示すように、搬送部60は下流側から上流側に移動し、台座9および包装対象物3を、矢印148に示すように、搬送方向の上流側へ向けて移動する。フィルム24は、台座9および包装対象物3の上流側を覆う位置から下方に延びる。フィルム24は、台座9の上流側の端部(板状部905の縁部902)に接触して、台座9の底面に沿って下流側に曲折する。フィルム24は、台座9が上流側に移動する過程で、台座9の上流側の底面に溶着層248を向けた状態で、フィルム24に加わる張力によって底面に密着する。図10に示すように、CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の上流側への移動を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に基づいて、搬送部60を所定距離分移動させたら、駆動部211を制御してモータ221の駆動を停止する。図15に示すように、台座9の縁部902は、第二押圧部材349に当接する。フィルム24は、縁部902と第二押圧部材349との間に挟まれる。
図10に示すように、CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、回転抑制部80のストッパ81を上流側に移動させる(S27)。図15に示すように、ストッパ81は誘導ローラ31に当接し、誘導ローラ31との間にフィルム24を挟む。誘導ローラ31の回転は禁止される。
図10に示すように、CPU201は、駆動部215を制御してモータ225を駆動し、案内レール74に沿って切断部77を左右に移動する。切断部77の切断刃は、フィルム24のうち誘導ローラ31から第二補助ローラ33に向けて延びる部分を切断する(S29)。誘導ローラ31から第二補助ローラ33に向けて延びるフィルム24にはトルク調節機構40による張力が加わっている。切断部77は、フィルム24を適切に切断できる。また、ストッパ81が誘導ローラ31との間にフィルム24の後端を挟むので、台座9および包装対象物3を覆う部分のフィルム24は、切断後もめくれない。フィルム24の切断後、フィルムロール22から延びるフィルム24のうち切断された端部は、案内ローラ71の下方側に垂れ下がる(図14参照)。
CPU201は、駆動部216を制御してモータ226を駆動し、保持部78を揺動させる(S31)。図14に示すように、保持部78は、矢印150に示すように、揺動して案内ローラ71の下流側に保持ローラ72を近接させる。フィルム24の先端は、保持ローラ72と案内ローラ71との間に挟まれる。
図10に示すように、CPU201は、駆動部213を制御してモータ223を駆動し、加熱部86を上昇させる(S33)。矢印151(図14参照)に示すように、加熱部86は待機位置(図13参照)から加熱位置へ向けて上方に移動する。図16に示すように、第一押圧部材88は、上面が搬送経路103の下方から台座9(板状部905)の底面に近接する。第一押圧部材88は台座9底面との間にフィルム24を挟み、台座9を押し上げる。台座9の上面は、支持部34の係止部材347に当接する。第一押圧部材88のバネ部材882は撓む。加熱ユニット87のヒータ871は、台座9底面に近接し、台座9底面との間にフィルム24を挟む。加熱ユニット87のバネ部材872は撓む。CPU201は、センサ(図示略)によって、加熱部86が加熱位置に移動したことを検知する。CPU201は、駆動部213を制御してモータ223の駆動を停止し、加熱部86の上昇を停止させる。
図10に示すように、CPU201は、加熱部86のヒータ871に通電する(S35)。ヒータ871は発熱し、フィルム24の溶着層248を加熱する。溶着層248に含まれるホットメルト接着剤は溶融し、台座9の底面とフィルム24とを接着する。また、溶着層248の表層部24Sに導入された極性官能基と、台座9底面の繊維中に含まれる官能基とが混ざり合って結合し、フィルム24と台座9とが溶着する。CPU201は、ヒータ871に第一所定時間、通電し(S37:NO)、第一所定時間経過後(S37:YES)、通電を停止する(S39)。CPU201は、第二所定時間、待機し(S41:NO)、第二所定時間経過後(S41:YES)、駆動部213を制御してモータ223を駆動する。矢印152(図14参照)に示すように、加熱部86は下方へ移動し、待機位置(図15参照)に戻る(S43)。前述したように、加熱ユニット87と第一押圧部材88とは、独立に移動できる。加熱ユニット87は、第一押圧部材88よりも先にフィルム24から離隔する。故に、フィルム24の接触部が加熱ユニット87のヒータ871から離れても、第一押圧部材88がフィルム24の押圧を維持することができ、フィルム24の張力が直ちに接触部には加わらない。よって、第一押圧部材88は、フィルム24の接触部において、フィルム24が引き伸ばされてしまうことを抑制できる。また、第一押圧部材88がフィルム24を押さえた状態でフィルム24の接触部とヒータ871とを離隔させることができるので、加熱部86は、確実に、フィルム24と加熱ユニット87とを引き剥がすことができる。更に、加熱ユニット87による加熱時と、加熱ユニット87がフィルム24から離隔するときにおいて、第二押圧部材349は、第一押圧部材88よりも包装対象物3に近い側で、フィルム24を押圧して保持する。故に、第二押圧部材349は、第一押圧部材88にかかるフィルム24の張力を緩和できる。
CPU201は、駆動部214を制御してモータ224を駆動し、回転抑制部80のストッパ81を下流側に移動させる。ストッパ81は誘導ローラ31から離れ、台座9および包装対象物3を包装したフィルム24の後端を解放する。誘導ローラ31は回転可能な状態になる(S45)。
CPU201は、駆動部212を制御してモータ222を駆動する。ベルト511,512は正方向に回転し、搬送部60に係合する台座9および包装対象物3を下流側へ搬送する(S47)。CPU201は、エンコーダ232から出力されるパルス信号に応じて、台座9の下流側への搬送を開始してからのモータ222の回転数を特定する。CPU201は、モータ222の回転数に基づいて、搬送部60を従動プーリ525の位置に移動させる。CPU201は駆動部212を制御してモータ222の駆動を停止する。包装が完了した台座9および包装対象物3は受け台13上に載置される。包装処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態のフィルム24は、溶着層248にホットメルト接着剤を含む。故に、溶着層248を被溶着部に接触させた状態で加熱すると、溶着層248のホットメルト接着剤が溶融する。これにより、フィルム24は被溶着部に溶着する。したがって、包装装置1は樹脂製のフィルム24を直に被溶着部に溶着することができる。
また、溶着層248の表層部24Sに極性官能基が多いことによって、フィルム24は被溶着部に強固に溶着することができる。コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、溶着層248は表層部24Sに極性官能基を導入することができる。故に、溶着層248は被溶着部に強固に溶着することができる。
また、フィルム24の部位のうち、加熱ユニット87のヒータ871に加熱される接触部よりも包装対象物3に接触する側の部位は、包装対象物3の包装に伴い発生する張力がかかった状態となる。第一押圧部材88がフィルム24のヒータ871との接触部よりも包装対象物3側の部位を台座9へ向けて押圧することで、接触部には、包装対象物3の包装に係る張力が加わらない。したがって、加熱ユニット87がフィルム24の接触部を加熱しても、接触部において溶融した部分は、張力によって引き伸ばされたりすることがない。よって、包装装置1はフィルムを確実に被溶着部に溶着できる。
また、加熱ユニット87と第一押圧部材88が独立に移動可能なので、包装装置1は、加熱ユニット87がフィルム24を加熱する時期と、第一押圧部材88がフィルムを押圧する時期をずらすことができる。加熱ユニット87による溶着層248の加熱後、基部89が下降するとき、加熱ユニット87は第一押圧部材88よりも先に接触部から離れることができる。したがって、包装装置1は、接触部の加熱後、フィルム24と加熱ユニット87を確実に引き剥がせる。
また、基部89が上昇してフィルム24を台座9に押しつけた場合に、台座9は係止部材347に規制され、上方へ移動しない。故に加熱ユニット87は、フィルム24を台座9に確実に接触させた状態で接触部を加熱できる。また、加熱時に第二押圧部材349がフィルム24を押圧して保持することで、包装装置1は、第一押圧部材88にかかるフィルム24の張力を緩和できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。フィルム24は、コロナ放電による表面改質処理を行い、表層部24Sに極性官能基を導入したが、プラズマ放電による処理を行って導入してもよい。溶着層248は、フィルム24の一方の面に形成したが、両面にそれぞれ形成してもよい。また、溶着層248の表層部24Sに極性官能基を導入しなくてもよい。また、フィルム24は、溶着層248と基層249を積層して形成されたが、基層249がなく、溶着層248のみからなる単層のフィルムであってもよい。また、溶着層248は、炭化水素系の樹脂とホットメルト接着剤を混合した層としたが、ホットメルト接着剤のみからなる層であってもよい。
また、図17に示すフィルム324のように、ホットメルト接着剤を含まず、単層の炭化水素系の樹脂で形成したフィルムの表層部324Sに極性官能基を導入した溶着部324Wを備えたフィルムを用いてもよい。
図17に示すように、電極21間にフィルム324を配置し、高周波高電圧を印加することによって発生するプラズマによって、フィルム324の表面を改質するコロナ処理を行う。上記実施形態と同様に、コロナ放電によって電極21から放出される電子243は、フィルム324の表層部324Sに衝突し、表層部324Sに位置する高分子結合の主鎖や側鎖を切断する。切断された主鎖や側鎖からなる高分子が、気相中の酸素ラジカル242やオゾン241と再結合する。これにより、少なくとも一方の面の表層部324Sに極性官能基が導入された溶着部324Wを備えたフィルム324を得ることができる。溶着部324Wを台座9に押し当てて熱を加えると、段ボールの繊維中の官能基がフィルム324の表層部324Sの極性官能基と混ざり合って結合するため、単層のフィルム324を直接、台座9に溶着することができる。
このようなフィルム324の全面に溶着部324Wを形成すれば、台座9に対して溶着部324Wの位置合わせをする必要がなく、容易に溶着することができる。また、コロナ処理やプラズマ処理を施すことによって、フィルム324の表層部324Sに極性官能基を確実且つ容易に導入することができる。このように、極性官能基を導入したフィルム324は、上記のようなコロナ処理で作製するだけでなく、通常のフィルムに極性官能基を含むフィルムを積層して作製することもできる。また、フィルム324は、コロナ放電による表面改質処理を行い、表層部324Sに極性官能基を導入したが、プラズマ放電による処理を行って導入してもよい。溶着部324Wは、フィルム324の一方の面に形成したが、両面にそれぞれ形成してもよい。フィルム324の溶着部324Wを形成する面についても、面全体に形成してもよいが、面の一部に形成してもよい。例えば、包装装置1が、コロナ処理を施すことが可能な装置を備え、樹脂フィルムにおいて台座9との溶着を行う部位に限定的にコロナ処理を行ってもよい。このようにすれば、一般的に用いる樹脂フィルムを収容したフィルムカセット2を包装装置1に装着しても、フィルムの必要な部位に溶着部324Wを都度形成して台座9との溶着を行うことができる。
また、フィルム324は、極性官能基を含むフィルムを、極性官能基を含まない樹脂フィルムに貼り合わせるなどして積層した積層体であってもよい。もちろん、極性官能基を含まない樹脂フィルム同士を積層した上でコロナ処理を施して、極性官能基を導入したフィルムを作製してもよい。
また、台座9は、段ボールを用いて作製したものを例に挙げたが、ボール紙でもよいし、木材を組んだ台座であってもよい。
また、トルク調節機構40は、ギア41を介してフィルムロール22の芯部22Aに駆動力を伝達するモータを備えてもよい。トルク調節機構40は、モータの駆動によってフィルム24を繰り出し、または巻き取ることによって、フィルム24に作用する張力を調整してもよい。フィルムカセット2は、カセットケース25を廃し、芯部22Aにフィルム24を巻回したフィルムロール22によって構成されてもよい。