JPWO2014208745A1 - 光透過性積層体 - Google Patents

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Abstract

光透過性基板の面上に積層される複数の薄膜の層間密着性が良好で耐腐食性に優れるとともに、熱線カットフィルムとしての光学特性が確保され、成膜工数を少なくできる光透過性積層体を提供する。光透過性基板12の面上に、複数の薄膜が積層されてなる薄膜層14を有し、薄膜層14には、AgまたはAg合金からなる金属薄膜14bと、金属薄膜14bに接して配置される有機薄膜14a、14cと、が含まれ、有機薄膜14a、14cが、金属薄膜14bおよび光透過性基板12よりも高屈折率で、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなる光透過性積層体10とする。

Description

本発明は、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに好適に用いられる遮熱機能を有する光透過性積層体に関するものである。
ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどには、日射を遮蔽する目的で、熱線カットフィルムが施工されることがある。熱線カットフィルムには、日射遮蔽性とともに透明性が要求される。この種の熱線カットフィルムとしては、図6に示すように、透明高分子フィルム12の片面に金属酸化物層54a、54cと金属層54bとを交互に積層した、いわゆる多層膜タイプの光透過性積層体50が知られている(特許文献1)。
国際公開2010/074050
この金属酸化物層54a、54cは、金属酸化物前駆体をゾルゲル硬化させて形成している。金属層54bの面上に直接、金属酸化物層54cを形成すると、金属酸化物層54cが形成される際の膜の硬化収縮が大きいため、金属酸化物層54cと金属層54bの間の密着性が悪く、光透過性積層体50の端縁からこれらの層間に塩水が侵入しやすくなって金属層54bが塩水腐食されやすくなる。
そこで、金属酸化物層54cと金属層54bの層間密着性を確保するため、これらの層間などには、金属薄膜、合金薄膜、部分酸化された金属酸化物薄膜などの薄膜を後酸化して形成する後酸化薄膜54d、54eが設けられている。このため、この後酸化薄膜54d、54eの分だけ、光透過性積層体50の光透過性は低下し、成膜工数が多くなる。
本発明が解決しようとする課題は、光透過性基板の面上に積層される複数の薄膜の層間密着性が良好で耐腐食性に優れるとともに、熱線カットフィルムに求められる光学特性が確保され、成膜工数を少なくできる光透過性積層体とこれを用いた遮熱積層体を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る光透過性積層体は、光透過性基板の面上に、複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を有し、該薄膜層には、AgまたはAg合金からなる金属薄膜と、該金属薄膜に接して配置される有機薄膜と、が含まれ、該有機薄膜が、前記金属薄膜および前記光透過性基板よりも高屈折率で、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなることを要旨とするものである。
この場合、前記有機薄膜の633nmの光に対する屈折率は、1.60以上であることが好ましい。そして、前記有機薄膜の表面は、N:24.2原子%以上、または、O:7.2原子%以上を有することが好ましい。また、前記有機薄膜の弾性率は、6.0GPa以下であることが好ましい。また、前記有機薄膜は、トリアジン環を有する重合体からなることが好ましい。
本発明に係る光透過性積層体によれば、光透過性基板の面上にAgまたはAg合金からなる金属薄膜と金属薄膜および光透過性基板よりも高屈折率の有機薄膜とを有する構成であるため、熱線カットフィルムとしての光学特性が確保される。そして、金属薄膜に接して配置される有機薄膜は、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなるため、金属薄膜と有機薄膜の層間密着性が良好で耐食性に優れる。また、層間密着性が良好であるため、層間密着性を確保するための層をこれらの間に設けなくてもよく、成膜工数を少なくできる。
そして、有機薄膜の633nmの光に対する屈折率が1.60以上であると、光透過性積層体の光透過性に優れる。そして、有機薄膜の表面が、N:24.2原子%以上、または、O:7.2原子%以上を有すると、金属薄膜と有機薄膜との間の層間密着性に優れる。そして、有機薄膜の弾性率が6.0GPa以下であると、金属薄膜と有機薄膜の界面で生じる応力により有機薄膜が破壊されにくく、金属薄膜と有機薄膜との間の層間密着性を維持できる。そして、有機薄膜がトリアジン環を有する重合体からなると、633nmの光に対する有機薄膜の屈折率が特に高くなり、光透過性積層体の光透過性が特に優れる。また、金属薄膜と有機薄膜との間の層間密着性にも優れる。
本発明の一実施形態に係る光透過性積層体の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光透過性積層体の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る光透過性積層体の断面図である。 光透過性積層体10を被着体に貼り付けた状態を示す断面図である。 保護層を有する光透過性積層体を被着体に貼り付けた状態を示す断面図である。 従来の光透過性積層体の断面図である。 弾性率の測定の一部を示した図である。
本発明に係る光透過性積層体の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光透過性積層体の断面図である。図1に示すように、光透過性積層体10は、光透過性基板12の面上に複数の薄膜14a,14b,14cが積層されてなる薄膜層14を有する。
光透過性基板12は、薄膜層14を形成するためのベースとなる基材である。光透過性基板12の材料としては、光透過性を有し、その表面に薄膜を支障なく形成でき、柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、光透過性高分子フィルムやフレキシブルガラスなどが挙げられる。ここでいう光透過性とは、波長領域360〜830nmにおける透過率の値が50%以上であることをいう。
光透過性高分子フィルムの材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、シクロオレフィンポリマーなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、透明性、耐久性、加工性に優れるなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマーがより好ましい材料として挙げられる。また、赤外線を吸収しにくく、断熱性向上の観点から、光透過性高分子フィルムの材料としては、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。鎖状ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体などが挙げられる。環状ポリオレフィンとしては、シクロオレフィンポリマーなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、光透過性、耐久性、加工性などの観点から、ポリプロピレンが好ましい。特に、光透過性などの観点から、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましい。
光透過性基板12の厚みは、用途、光学特性、材料種、耐久性などを考慮して適宜調整すればよい。光透過性高分子フィルムの場合、例えば加工時にしわが入りにくい、破断しにくいなどの観点から、25μm以上が好ましい。より好ましくは50μm以上である。また、柔軟性、取り扱い性、経済性などの観点から、500μm以下が好ましい。より好ましくは250μm以下である。
薄膜層14は、光透過性基板12側から有機薄膜14a・金属薄膜14b・有機薄膜14cの順で有機薄膜と金属薄膜とが交互に積層された3層積層構造のものからなる。金属薄膜14bは、AgまたはAg合金からなり、日射遮蔽層として機能する。有機薄膜14a、14cはそれぞれ金属薄膜14bの面に接して配置されている。
有機薄膜14a、14cは、金属薄膜14bとともに積層されることで光透過性を高めるなどの機能を発揮するものであり、高屈折率層として機能する。有機薄膜14a、14cは、金属薄膜14bおよび光透過性基板12よりも高い屈折率を持つ。屈折率は、633nmの光に対する屈折率をいう。例えば、光透過性基板12がポリエチレンテレフタレートフィルムからなる場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムの633nmの光に対する屈折率が1.58であるため、有機薄膜14a、14cの633nmの光に対する屈折率は少なくとも1.59以上、好ましくは1.60以上である必要がある。より好ましくは1.65以上である。また、有機薄膜14a、14cの633nmの光に対する屈折率は、光透過性積層体10の光透過性などの観点から、1.70以上であることが好ましい。より好ましくは1.72以上である。
薄膜層14は、このような有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bを有する構成であり、光透過性積層体10は、光透過性基板12の面上に薄膜層14を有する構成であるため、良好な光透過性、日射遮蔽性を有する。よって、光透過性積層体10には、熱線カットフィルムとしての光学特性が確保される。
なお、薄膜層14の層数は、光透過性、日射遮蔽性などの光学特性の要求などに応じて適宜設定すればよく、3層以外の層数にすることができる。薄膜層14の層数としては、各薄膜の材料や膜厚、製造コストなどを考慮すると、2〜10層の範囲内であることが好ましい。また、光学特性を考慮すると、奇数層がより好ましく、特に3層、5層、7層、9層が好ましい。また、コストの面から3層がより好ましい。また、薄膜層14において、最内層(光透過性基板12側の層)および最外層には有機薄膜が配置されることが光学特性の面から好ましい。有機薄膜を2層以上有する場合には、すべての有機薄膜が同一の材料からなるものであってもよいし、一部の有機薄膜が他とは異なる材料からなるものであってもよいし、すべての有機薄膜が互いに異なる材料からなるものであってもよい。
有機薄膜14a、14cは、金属薄膜14bおよび光透過性基板12よりも高屈折率で、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなる。有機薄膜14a、14cは、同一の材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。これらの元素はAgと結びつきの強い元素であり、これらの元素を含む官能基により、有機薄膜14a、14cを構成するポリマーは有機薄膜14a、14cに接する金属薄膜14bと強く密着し、有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bの間の層間密着性が良好になる。よって、耐腐食性(塩水腐食性)にも優れる。N、S、Oの中でも特にN、SがAgと結びつきの強い元素であり、NやSを含む官能基を有するポリマーからなる有機薄膜14a、14cであれば、有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bの間の層間密着性が特に良好になる。また、N、S、Oの中でも特にN、Sを含むポリマーは屈折率が比較的高い傾向にある点で、好ましい。ただし、AgまたはAg合金からなる金属薄膜14bの腐食に影響するおそれがあるなどの観点から、金属薄膜14bに接する有機薄膜14a、14cのポリマーは、Sを含まないほうが好ましい。そして、有機薄膜14aを塗工によって形成する場合には、有機薄膜14aがN、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなるため、極性基を有するポリマーからなる光透過性高分子フィルムやフレキシブルガラスで構成される光透過性基板12に対するぬれ性に優れる。また、有機薄膜14cを塗工によって形成する場合には、有機薄膜14cがN、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなるため、金属薄膜14bに対するぬれ性に優れる。
金属薄膜14bと有機薄膜14a、14cとの間の層間密着性に優れる、塗工によって形成する有機薄膜14aの極性基を有するポリマーからなる光透過性高分子フィルムやフレキシブルガラスで構成される光透過性基板12に対するぬれ性に優れる、塗工によって形成する有機薄膜14cの金属薄膜14bに対するぬれ性に優れるなどの観点から、有機薄膜14a、14cの表面は、NあるいはOが多い方が好ましいが、より好ましくは、N:24.2原子%以上、または、O:7.2原子%以上である。または、N,O以外の検出原子に対するNの割合が、原子比で、0.36以上であり、N,O以外の検出原子に対するOの割合が、原子比で、0.11以上であることが好ましい。有機薄膜14a、14c表面のN、O量(表面組成)は、X線光電子分光法(XPS、ESCA)や赤外分光法(IR)などにより測定することができる。X線光電子分光法(XPS、ESCA)による表面のN,O量(表面組成)は、検出原子に対する割合で表される。
また、金属薄膜と有機薄膜の界面で生じる応力により有機薄膜が破壊されにくく、金属薄膜と有機薄膜との間の層間密着性を維持できるなどの観点から、有機薄膜14a、14cの弾性率は6.0GPa以下であることが好ましい。より好ましくは4.0GPa以下である。有機薄膜14a、14cの弾性率は、ISO14577−1に準拠し、微小硬度計を用いて測定される。微小硬度計としては、例えば、フィッシャーインストルメント社製超微小硬さ試験機「フィッシャースコープH−100」などが挙げられる。金属薄膜14bとの界面で生じる応力を問題とすることから、有機薄膜14a、14cの弾性率は、金属薄膜14bに接する面に圧縮荷重を加えて測定する。
Nを含む官能基としては、カルバゾール基、イミド基、ニトリル基、トリアジン基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bの間の層間密着性により優れるなどの観点から、カルバゾール基、イミド基、トリアジン基などがより好ましい。そして、Nを含む官能基を有するポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリイミド、トリアジン環を有する重合体などが挙げられる。
トリアジン環を有する重合体は特に屈折率が高いため、AgまたはAg合金からなる金属層14bとの組み合わせにおいて、トリアジン環を有する重合体だけでも高屈折率層を形成することができる。つまり、有機薄膜14a、14c中に金属酸化物などの屈折率を高めるための材料を配合しない構成にすることができる。なお、有機薄膜14a、14c中に金属酸化物を配合してもよいが、金属酸化物を配合すると、分散の影響で、有機薄膜14a、14c内において屈折率にムラが生じるおそれがある。特に、有機薄膜14a、14cの膜厚が薄くなるにつれて分散の影響が大きくなりやすい。すると、金属酸化物を配合する場合には、均一な屈折率を得る観点から、膜厚を薄くできない。
トリアジン環を有する重合体は、金属との密着性、高屈折率の観点から、官能基をさらに有することが好ましい。このような官能基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、カルボニル基、カルボキシ基、スルホニル基、スルホ基、ニトロ基、アミン基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、エーテル結合、アミド結合、エステル結合などが挙げられる。有機薄膜14a、14cは、これらのうちの1種の官能基を有していてもよいし、2種以上の官能基を有していてもよい。これらのうちでは、密着性、高屈折率に優れるなどの観点から、アミン基、カルボニル基、カルボキシ基、アミド結合がより好ましい官能基として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Sを含む官能基としては、スルホニル基(−SO−)、チオール基、チオエステル基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bの間の層間密着性により優れるなどの観点から、スルホニル基、チオール基などがより好ましい。そして、Sを含む官能基を有するポリマーとしては、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリフェニルスルホンなどが挙げられる。
Oを含む官能基としては、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、ヒドロキシル基などが挙げられる。これらのうちでは、有機薄膜14a、14cと金属薄膜14bの間の層間密着性により優れるなどの観点から、カルボキシル基、エステル基などがより好ましい。そして、Oを含む官能基を有するポリマーとしては、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ただし、N、S、Oを含む官能基を有するポリマーであっても、633nmの光に対する屈折率が1.60未満のものは、熱線カットフィルムとして良好な光学特性が得られないため、有機薄膜14a、14cの材料として用いることができない。このような材料としては、ポリメタアクリロニトリル(n=1.40)、2−ヒドロキシエチルメタアクリレートなどのアクリレート(n=1.4程度)、ポリビニルアルコール(n=1.53)、ポリエステル樹脂(n=1.58)、ポリビニルブチラール(n=1.485)などがある。また、N、S、Oを含まないポリマーであるが、フッ化ビニル−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(n=1.4188)なども比較的、屈折率の低い材料である。また、テトラブチルチタネート(n=1.491)なども比較的、屈折率の低い材料である。
イソシアネート化合物は、毒性の面から、有機薄膜14a、14cの材料として用いることが困難である。ポリウレタン樹脂は、熱に弱く、日射を受ける熱線カットフィルムの材料として用いることが困難である。また、加水分解性が高く湿気により経年劣化するため、長時間、窓ガラスなどの被着体に貼り付けられる熱線カットフィルムの材料として、耐久性の面で実用性に乏しい。ポリスチレン樹脂は、N、S、Oの官能基を有していないため金属薄膜14bと密着せず、更に硬く脆い性質を有するため、熱線カットフィルムの材料として用いることが困難である。
また、有機薄膜14a、14cのポリマーは、熱線カットフィルムとしての用途に用いられる光透過性積層体10の材料として、耐熱性に優れることが好ましい。この観点から、有機薄膜14a、14cのポリマーのガラス転移点(Tg)は60℃以上であることが好ましい。より好ましくは80℃以上である。
有機薄膜14a、14cの膜厚は、日射遮蔽性、視認性、反射色などを考慮して調節することができる。有機薄膜14a、14cの膜厚は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。有機薄膜14a、14cの膜厚の下限値は、反射色の赤色や黄色の着色を抑制しやすくなる、高い光透過性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、15nm以上、さらに好ましくは、20nm以上であると良い。一方、有機薄膜14a、14cの膜厚の上限値は、反射色の緑色の着色を抑制しやすくなる、高い光透過性が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、90nm以下、より好ましくは、85nm以下、さらに好ましくは、80nm以下であると良い。
有機薄膜14a、14cがトリアジン環を有する重合体からなる場合には、取り扱い時などに割れなどが発生するのを抑える(柔軟性)などの観点から、有機薄膜14a、14cの膜厚は100nm以下であることが好ましい。より好ましくは60nm以下である。一方、膜として形成しやすいなどの観点から、有機薄膜14a、14cの膜厚は、5nm以上であることが好ましい。より好ましくは6nm以上である。有機薄膜14a、14cの膜厚は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、有機薄膜14a、14cは、遮熱、遮断熱特性の観点から、近赤外領域(750nm〜1400nm)での吸収率が透過率の1%以下であることが好ましい。
有機薄膜14a、14cは、ポリマーを含む塗工液を調製し、これを光透過性基板12の面などに塗工した後、乾燥させて塗工膜とすることにより形成できる。塗工液の調製には、ポリマーを溶解させる溶剤を必要に応じて用いることができる。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘプタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルなどの有機酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのシクロエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの酸アミド類、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロペンタンなどの炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、アセトニトリルなどが挙げられる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
金属薄膜14bの金属としては、AgまたはAg合金が用いられるが、熱、光、水蒸気などの環境に対する耐久性が向上するなどの観点から、銀を主成分とし、銅、ビスマス、金、パラジウム、白金、チタンなどの金属元素を少なくとも1種以上含んだ銀合金であると良い。さらに好ましくは、銅を含む銀合金(Ag−Cu系合金)、ビスマスを含む銀合金(Ag−Bi系合金)、チタンを含む銀合金(Ag−Ti系合金)等であると良い。銀の拡散抑制効果が大きい、コスト的に有利であるなどの利点があるからである。
銅を含む銀合金を用いる場合、銀、銅以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Bi、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Cu系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
銅を含む銀合金を用いる場合、銅の含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、1原子%以上、より好ましくは、2原子%以上、さらに好ましくは、3原子%以上であると良い。一方、銅の含有量の上限値は、高透明性を確保しやすくなる、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、20原子%以下、より好ましくは、10原子%以下、さらに好ましくは、5原子%以下であると良い。
また、ビスマスを含む銀合金を用いる場合、銀、ビスマス以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pbなど、Ag−Bi系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ti、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
ビスマスを含む銀合金を用いる場合、ビスマスの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、ビスマスの含有量の上限値は、スパッタターゲットが作製しやすい等の製造性などの観点から、好ましくは、5原子%以下、より好ましくは、2原子%以下、さらに好ましくは、1原子%以下であると良い。
また、チタンを含む銀合金を用いる場合、銀、チタン以外にも、例えば、銀の凝集・拡散抑制効果に悪影響を与えない範囲内であれば、他の元素、不可避不純物を含有していても良い。
上記他の元素としては、具体的には、例えば、Mg、Pd、Pt、Au、Zn、Al、Ga、In、Sn、Sb、Li、Cd、Hg、AsなどのAgに固溶可能な元素;Be、Ru、Rh、Os、Ir、Cu、Ge、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Si、Tl、Pb、Biなど、Ag−Ti系合金中に単相として析出可能な元素;Y、La、Ce、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Zr、Hf、Na、Ca、Sr、Ba、Sc、Pr、Eu、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、S、Se、TeなどのAgとの金属間化合物を析出可能な元素などを例示することができる。これらは1種または2種以上含有されていても良い。
チタンを含む銀合金を用いる場合、チタンの含有量の下限値は、添加効果を得る観点から、好ましくは、0.01原子%以上、より好ましくは、0.05原子%以上、さらに好ましくは、0.1原子%以上であると良い。一方、チタンの含有量の上限値は、膜にした場合、完全な固溶体が得られやすくなるなどの観点から、好ましくは、2原子%以下、より好ましくは、1.75原子%以下、さらに好ましくは、1.5原子%以下であると良い。
なお、上記銅、ビスマス、チタン等の副元素割合は、ICP分析法を用いて測定することができる。また、上記金属薄膜14bを構成する金属(合金含む)は、部分的に酸化されていても良い。
金属薄膜14bの膜厚の下限値は、安定性、熱線反射性などの観点から、好ましくは、3nm以上、より好ましくは、5nm以上、さらに好ましくは、7nm以上であると良い。一方、金属薄膜14bの膜厚の上限値は、可視光の透明性、経済性などの観点から、好ましくは、30nm以下、より好ましくは、20nm以下、さらに好ましくは、15nm以下であると良い。
金属薄膜14bを形成する方法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などの気相法などを例示することができる。金属薄膜14bは、これらのうち何れか1つの方法を用いて形成されていても良いし、あるいは、2つ以上の方法を用いて形成されていても良い。
これら方法のうち、緻密な膜質が得られる、膜厚制御が比較的容易であるなどの観点から、好ましくは、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
金属薄膜14bは、後述する後酸化等を受けて、金属薄膜14bの機能を損なわない範囲内で酸化されていても良い。
本発明に係る光透過性積層体は、熱線カットフィルムとしての光学特性により優れる点や成膜工数を少なくできる点などから、複数の薄膜が積層されてなる薄膜層は、AgまたはAg合金からなる金属薄膜と、金属薄膜および光透過性基板よりも高屈折率で、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなる有機薄膜のみを含み、これらが交互に積層されてなるものが好ましい。また、従来の光透過性積層体において、図6の54d,54eに示すような金属酸化物薄膜(バリア層)が金属薄膜と有機薄膜の間に含まれていてもよい。ただし、金属薄膜の一方面には有機薄膜が接している必要がある。金属薄膜の一方面に金属酸化物薄膜(バリア層)が形成されないため、その分の光透過性の低下および成膜工数の増加が抑えられる。なお、金属酸化物薄膜(バリア層)は、製法上の点から、光透過性基板とは反対側の金属薄膜上に配置されることが好ましい。
金属酸化物薄膜を構成する金属酸化物としては、具体的には、例えば、チタンの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウムとスズとの酸化物、マグネシウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、ジルコニウムの酸化物、ニオブの酸化物、セリウムの酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、これら金属酸化物は、2種以上の金属酸化物が複合した複酸化物であっても良い。なお、金属酸化物薄膜は、上記金属酸化物以外に不可避不純物などを含んでいても良い。
金属酸化物薄膜は、金属薄膜14bの酸化を抑制するために設けられていてもよい薄膜であるが、厚すぎると光透過性が低下するため、光透過性の観点から薄いほうが好ましい。例えば成膜レートの換算より0.3〜3.0nmが好ましい。ただし、金属酸化物薄膜の膜厚はこれに限定されるものではない。金属酸化物薄膜は、層内の全ての部分が連続する部分(金属酸化物が存在する部分のみ)で構成されていてもよいし、層内に不連続な部分(金属酸化物が存在する部分と存在しない部分が混在している状態)があってもよい。
金属酸化物薄膜は、緻密な膜を形成できる、数nm〜数十nm程度の薄膜層を均一な膜厚で形成できるなどの観点から、気相法を好適に利用することができる。
上記気相法としては、具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザーアブレーションなどといった物理的気相成長法(PVD)、熱CVD法、プラズマCVD法などといった化学的気相成長法(CVD)などを例示することができる。上記気相法としては、真空蒸着法などと比較して膜界面の密着性に優れる、膜厚制御が容易であるなどの観点から、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法を好適に用いることができる。
薄膜層14は、光透過性基板12の一方の面上のみに形成されていてもよいし、光透過性基板12の両方の面上に形成されていてもよい。
薄膜層14の面上には、薄膜層14を保護する保護層が形成されていてもよい。保護層は、単層で構成されていても良いし、複数の層で構成されていても良い。保護層が複数の層で構成される場合には、複数の層は、異なる種類の材料により形成されていても良いし、同一の材料により形成されていても良い。
図2(a)(b)には、薄膜層14の面上に保護層を1層有する構成の光透過性積層体を示す。図2(a)に示す光透過性積層体20aは、光透過性基板12の面上に複数の薄膜14a,14b,14cが積層されてなる薄膜層14と保護層16とをこの順で有する。光透過性積層体20aにおいて、保護層16は薄膜層14に接している。図2(b)に示す光透過性積層体20bは、光透過性基板12の面上に複数の薄膜14a,14b,14cが積層されてなる薄膜層14と接着層18と保護層16とをこの順で有する。接着層18は、保護層16と薄膜層14の間を接着する層である。光透過性積層体20bにおいて、保護層16と薄膜層14の間には接着層18が配置されている。
保護層16は、断熱性などの観点から、修正放射率が0.35以下であることが好ましい。修正放射率は熱貫流率だけでなく日射遮蔽係数にも相関する。修正放射率を特定値以下とすることにより、高い日射遮蔽性と高い断熱性とを両立できる。保護層16の修正放射率は、JIS R3106に準拠して測定される保護層16の垂直放射率を、JIS A5759に記載されている係数で補正した値である。
保護層16の材料は、特に限定されるものではない。保護層16の材料としては、シリコーン樹脂やアクリル樹脂などの硬化樹脂、酸化ケイ素、ポリオレフィンやオレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂などが挙げられる。シリコーン樹脂やアクリル樹脂は、熱硬化性であっても良いし、光硬化性であっても良いし、水硬化性であっても良い。アクリル樹脂としては、アクリル・ウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂、アクリル・メラミン樹脂などが挙げられる。酸化ケイ素は、シリコンアルコキシドからゾルゲル法により硬化させても良いし、シラザンから加水分解反応により硬化させても良い。これらのうち後者は、硬化収縮が小さく、薄膜層との密着性を維持する点で、より好ましい。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、透明性に優れるなどの観点から、ポリプロピレンが好ましい。特に、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が好ましい。
オレフィン系樹脂は、官能基を有しない、あるいは、官能基が少ないことから、赤外線を吸収しにくく、修正放射率が低い利点がある。その一方で、比較的やわらかいため、擦傷が生じやすい。硬化樹脂や酸化ケイ素は、オレフィン系樹脂よりも硬い材料であり、擦傷を抑える効果が高い利点がある。その一方で、官能基を有するものが多いため、赤外線を吸収しやすく、修正放射率が高い傾向にある。保護層16の材料は、耐擦傷性や断熱性などを考慮して適宜選択すればよい。
なお、酸化ケイ素は、アクリル樹脂やシリコーン樹脂よりも硬いため、保護層16の厚みをより薄くしても耐擦傷性を確保できる。そして、保護層16の厚みをより薄くすることにより、修正放射率をより低くすることができる。したがって、酸化ケイ素を用いることで、耐擦傷性を確保した上で硬化樹脂よりも日射遮蔽性および断熱性をさらに向上させることができる。
保護層16の厚みとしては、耐擦傷性などの観点から、0.3μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上である。一方、修正放射率や断熱性などの観点から、2.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.5μm以下である。
保護層の材料としてポリオレフィンを選択すると、修正放射率が低いため、層の厚みを厚くしても保護層の修正放射率を0.35以下に設定することができる。一方、保護層の材料として、酸化ケイ素、アクリル樹脂、シリコーン樹脂を選択する場合には、修正放射率が比較的高い傾向があるが、膜厚を2.0μm以下とすることで、保護層の修正放射率を0.35以下に設定することができる。
接着層18の材料としては、接着剤や粘着剤などが挙げられる。接着剤は、固化により剥離抵抗力を発揮するものであり、粘着剤(感圧接着剤)は、表面の粘着性を利用して圧力をかけて接着するものであり、これらは区別される。接着剤としては、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが挙げられる。粘着剤としては、アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。
接着する観点からいえば、両者を用いることができる。しかし、粘着剤は、接着剤と比べて硬化収縮が小さいため、接着剤よりも収縮応力が小さい。このため、接着層18に接する薄膜層14の薄膜が受ける収縮応力の影響が小さく、例えば接着層18に接する薄膜とその下の薄膜の間などの薄膜間での剥離が抑えられやすい。これにより、薄膜層14の端部から塩水腐食が進行するのを抑えることができる。また、粘着剤は柔軟な材料であるため、保護層16の収縮応力(硬化収縮応力や熱収縮応力など)が薄膜層14に伝達されにくくなり、これによっても、薄膜層14の薄膜間での剥離が抑えられ、薄膜層14の端部から塩水腐食が進行するのを抑えることができる。
次いで、図3(a)(b)には、薄膜層14の面上に2層の保護層を有する構成の光透過性積層体を示す。図3(a)に示す光透過性積層体30aは、光透過性基板12の面上に複数の薄膜14a,14b,14cが積層されてなる薄膜層14と保護層26とをこの順で有する。保護層26は、内側保護層26aと外側保護層26bとで構成されている。光透過性積層体30aにおいて、内側保護層26aは薄膜層14に接している。外側保護層26bは内側保護層26aに接している。図3(b)に示す光透過性積層体30bは、光透過性基板12の面上に複数の薄膜14a,14b,14cが積層されてなる薄膜層14と接着層18と保護層26とをこの順で有する。光透過性積層体30bにおいて、内側保護層26aと薄膜層の間には接着層18が配置されている。接着層18は、保護層16と薄膜層の間を接着する層である。
2層から構成される保護層26は、保護層16と同様、断熱性などの観点から、修正放射率が0.35以下であることが好ましい。
外側保護層26bは、保護層26の中でより外側に配置される層であることから、その材料には耐擦傷性に優れる材料を用いることが好ましい。このような材料としては、上記するシリコーン樹脂やアクリル樹脂などの硬化樹脂、酸化ケイ素などが挙げられる。一方、内側保護層26aは、外側保護層26bに覆われる層であるため、比較的耐擦傷性の低い材料を用いることができる。このような材料としては、上記するポリオレフィンやオレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂などが挙げられる。また、上記するシリコーン樹脂やアクリル樹脂などの硬化樹脂、酸化ケイ素などを用いることもできる。
外側保護層26bの材料としてシリコーン樹脂やアクリル樹脂などの硬化樹脂、酸化ケイ素などを用いる場合、外側保護層26bの硬化収縮が大きいと、外側保護層26bの面から水分が侵入しやすくなるときがある。この場合、内側保護層26aにポリオレフィンやオレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂を用いると、これらは硬化収縮しない材料であるため、表面からの水分の侵入を抑えることができる。特に、オレフィン系樹脂のフィルムを用いると、その効果が高い。
内側保護層26aの材料として、酸化ケイ素、アクリル樹脂、シリコーン樹脂を選択する場合には、修正放射率が比較的高い傾向があるが、膜厚を2.0μm以下とすることで、保護層26の修正放射率を0.35以下に設定することができる。
外側保護層26bの厚みとしては、耐擦傷性などの観点から、0.3μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上である。一方、修正放射率や断熱性などの観点から、30μm以下であることが好ましい。より好ましくは25μm以下である。
接着層18の材料としては、上記する接着剤や粘着剤などが挙げられる。保護層16の場合と同様、比較的硬化収縮が小さいこと、柔軟な材料であることから、接着層18の材料として粘着剤を用いると、薄膜層14の薄膜間での剥離が抑えられやすく、薄膜層14の端部から塩水腐食が進行するのを抑えやすい。
本発明に係る光透過性積層体は、遮熱積層体(熱線カット積層体)として、ビル・住宅等の建築物の窓ガラスや自動車等の車両の窓ガラスなどに好適に用いられる。本発明に係る光透過性積層体は、窓ガラスなどに貼り付ける用途に用いてもよいし、合わせガラスなどの合わせ構造体に組み込むこともできる。
図4、図5には、窓ガラスなどの被着体に光透過性積層体を貼り付ける施工例を示している。この施行例の場合、粘着剤を用いて窓ガラスなどの被着体に光透過性積層体を貼り付けている。なお、光透過性積層体は、一般に、窓ガラスなどの被着体の室内側に貼り付けられる。
図4(a)(b)には、図1に示す光透過性積層体10を窓ガラスなどの被着体40に施工した例を示している。図4(a)では、薄膜層14を光透過性基板12よりも室内側(内側)に配置し、光透過性基板12の薄膜層14が形成されている面とは反対の面上に粘着層22を配置して、粘着層22により光透過性積層体10を被着体40の室内側の面に貼り付けている。一方、図4(b)では、薄膜層14を光透過性基板12よりも外側に配置し、薄膜層14の面上に粘着層22を配置して、粘着層22により光透過性積層体10を被着体40の室内側の面に貼り付けている。両者を比較すると、薄膜層14よりも室内側に光透過性基板12が配置される図4(b)では、室内で発生させた暖房などの熱が光透過性基板12に吸収されるため、図4(a)の配置のほうが断熱性に優れる。
図4(a)の配置の場合、擦傷防止のため、図2(a)に示す光透過性積層体20aのように、薄膜層14の面上に保護層を形成することが好ましい。図5(a)には、図2(a)に示す光透過性積層体20aを窓ガラスなどの被着体40に施工した例を示している。図5(a)では、薄膜層14および保護層16をこの順で光透過性基板12よりも室内側(内側)に配置し、光透過性基板12の薄膜層14が形成されている面とは反対の面上に粘着層22を配置して、粘着層22により光透過性積層体20aを被着体40の室内側の面に貼り付けている。
一方、図4(b)の配置の場合、擦傷防止のため、光透過性基板12の薄膜層14が形成されている面とは反対の面上に保護層を形成することが好ましい。この場合、図5(b)に示すように、被着体40から粘着層22、薄膜層14、光透過性基板12、保護層36の順に配置される。すると、薄膜層14よりも室内側に光透過性基板12が配置される図5(b)では、室内で発生させた暖房などの熱が光透過性基板12に吸収されるため、図5(a)の配置のほうが断熱性に優れる。
つまり、光透過性積層体において、光透過性基板12の面上に薄膜層14のみを有する構成であると、薄膜層14を光透過性基板12よりも室内側(内側)に配置することでより断熱性に優れるものとすることができる。また、光透過性基板12の面上に、薄膜層14、保護層16をこの順で有する構成であると、薄膜層14を光透過性基板12よりも室内側(内側)に配置することができ、より断熱性に優れるものとすることができる。そして、光透過性基板12の一方の面上だけでなく、両方の面上に薄膜層14を有する構成では、薄膜層14の1つが光透過性基板12よりも室内側に必ず配置されるので、光透過性基板12の面上に薄膜層14のみを有する構成や、薄膜層14、保護層16をこの順で有する構成のいずれにおいても、断熱性にも優れるものとすることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
PETフィルムの易接着層が形成されている面とは反対の面上に、トリアジン環含有重合体薄膜/Ag−Cu合金薄膜/トリアジン環含有重合体薄膜、の順に積層された3層積層構造の薄膜層を有する光透過性積層体を作製した。概略は以下の通りである。
<有機薄膜用塗工液(1)の調製>
グラビアコーターで塗工可能な粘度(0.1〜3.0mPa・s)にトリアジン環含有重合体(日産化学工業社製「UR−108NT3」)を希釈(溶媒:PGMEA)することにより、有機薄膜用塗工液(1)を調製した。
<光透過性積層体の作製>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4100」)の易接着層とは反対の面に、マイクログラビアコーターを用いて、上記の有機薄膜用塗工液(1)を塗工し、これを乾燥させることにより、1層目の有機薄膜(膜厚22nm)を形成した。次いで、1層目の有機薄膜上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、2層目となるAg−Cu合金薄膜(膜厚7.8nm)をスパッタリングにより成膜した。次いで、2層目のAg−Cu合金薄膜上に、1層目の有機薄膜と同様に3層目の有機薄膜(膜厚30nm)を形成した。以上により、実施例1の光透過性積層体を得た。
(実施例2)
<有機薄膜用塗工液(2)の調製>
グラビアコーターで塗工可能な粘度(0.7mPa・s)にポリエーテルスルホン(住友化学社製、Tg=225℃)を希釈(溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド)して、PESを含む有機薄膜用塗工液(2)を調製した。
<光透過性積層体の作製>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4100」)の易接着層とは反対の面に、マイクログラビアコーターを用いて、PESを含む有機薄膜用塗工液(2)を塗工し、これを乾燥させることにより、1層目のPES薄膜(膜厚30nm)を形成した。次いで、このPES薄膜上に、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、2層目となるAg−Cu合金薄膜(膜厚7.91nm)をスパッタリングにより成膜した。次いで、このAg−Cu合金薄膜上に、1層目のPES薄膜と同様に3層目のPES薄膜(膜厚30nm)を形成した。以上により、実施例2の光透過性積層体を得た。
(比較例1)
PETフィルムの易接着層が形成されている面とは反対の面上に、ゾルゲル法およびUV照射によるTiO薄膜/Ag−Cu合金薄膜/ゾルゲル法およびUV照射によるTiO薄膜、の順に積層された3層積層構造を有する光透過性積層体を作製した。
すなわち、トリアジン環含有重合体よりなる上記の有機薄膜の代わりに、ゾルゲル法およびUV照射によるTiO薄膜を形成して、比較例1の光透過性積層体を得た。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4100」)の易接着層とは反対の面に、マイクログラビアコーターを用いて、TiO薄膜用塗工液を塗工し、塗工膜を100℃で80秒間乾燥させ、TiO薄膜の前駆体層を形成した。次いで、インラインの紫外線照射機〔高圧水銀ランプ(160W/cm)〕を用いて、上記塗工時と同線速で、上記前駆体層に対して連続的に紫外線を1.5秒間照射した。これにより、ゾルゲル硬化時に紫外線エネルギーを用いるゾル−ゲル法によるTiO薄膜(1層目)を形成した。3層目のTiO薄膜も同様に形成した。
<TiO薄膜用塗工液>
テトラ−n−ブトキシチタン4量体(日本曹達(株)製、「B4」)とアセチルアセトンとをn−ブタノールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒に配合し、攪拌機を用いてこれを10分間混合することにより、粘度0.1〜3.0mPa・sのTiO薄膜用塗工液を調製した。
(比較例2)
PETフィルムの易接着層が形成されている面とは反対の面上に、ポリスチレン薄膜/Ag−Cu合金薄膜/ポリスチレン薄膜、の順に積層された3層積層構造の薄膜層を有する光透過性積層体を作製した。具体的には、トリアジン環含有重合体に代えてポリスチレン(PS、シグマアルドリッチ社製、溶媒:トルエン)を用いた以外、実施例1と同様にして、比較例2の光透過性積層体を得た。
(比較例3)
PETフィルムの易接着層が形成されている面とは反対の面上に、ポリビニルアルコール薄膜/Ag−Cu合金薄膜/ポリビニルアルコール薄膜、の順に積層された3層積層構造の薄膜層を有する光透過性積層体を作製した。具体的には、トリアジン環含有重合体に代えてポリビニルアルコール(PVA、シグマアルドリッチ社製、溶媒:純水)を用いた以外、実施例1と同様にして、比較例3の光透過性積層体を得た。
(実施例3)
PETフィルムの易接着層が形成されている面とは反対の面上に、トリアジン環含有重合体薄膜/Ag−Cu合金薄膜/トリアジン環含有重合体薄膜、の順に積層された3層積層構造の薄膜層と、粘着剤層と、ポリオレフィン層と、硬化樹脂層と、をこの順で有する光透過性積層体を作製した。概略は以下の通りである。
(粘着剤層の形成)
実施例1と同様にして作製した3層積層構造の薄膜層の面上に、アクリル樹脂系粘着剤(東洋インキ社製「主剤:BPS5260、硬化剤:BHS8515」)を塗布して、粘着剤層(厚み1.5μm)を形成した。
(ポリオレフィン層の形成)
OPPフィルム(王子エフテックス社製「EM−201」、厚み:15μm、片面:コロナ処理)のコロナ処理が施されていない面にコロナ処理を施し、粘着剤層の上にOPPフィルムを載せ、圧力をかけて密着させ、ポリオレフィン層(厚み15μm)を形成した。
(硬化樹脂層の形成)
紫外線硬化性のアクリル樹脂(DIC(株)製、「UVTクリア−TEF046」)をポリオレフィン層の面に塗工し、70℃で30秒間乾燥し、さらに400mJ/cmの紫外線を照射して、硬化樹脂層(厚み1.1μm)を形成した。以上により、実施例3に係る光透過性積層体を作製した。なお、保護層であるポリオレフィン層と硬化樹脂層を合わせた層について、修正放射率を算出した。修正放射率は、JIS R3106に準拠して測定される保護層の垂直放射率を、JIS A5759に記載されている係数で補正した値である。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「コスモシャイン(登録商標)A4100」)に代えてポリオレフィンフィルム(東洋紡社製OPPフィルム「P2111」、膜厚40μm、両面コロナ処理)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリオレフィンフィルムの面上に、トリアジン環含有重合体薄膜/Ag−Cu合金薄膜/トリアジン環含有重合体薄膜、の順に積層された3層積層構造の薄膜層をこの順で有する実施例4の光透過性積層体を得た。
表1に、各光透過性積層体の構成と、層間密着性、耐腐食性、光学特性の評価結果を示す。各薄膜の膜厚および屈折率(測定波長:633nm)は、反射分光膜厚計(大塚電子社製「FE3000」)を用いて測定した。実施例1〜2,4、比較例3の光学特性の測定サンプルには、光透過性積層体の薄膜積層面に、厚さ25μmのアクリル粘着シート(東洋包材(株)製「N−CLE」)を貼り付け、この粘着シートの粘着層を、厚さ3mmのフロートガラスの片面に貼り付けたものを用いた。光学特性の測定光は、ガラス面側から入射させた。また、実施例3の光学特性の測定サンプルには、光透過性積層体の薄膜積層面側とは反対面の、基材フィルムであるPETフィルム面に、厚さ25μmのアクリル粘着シート(東洋包材(株)製「N−CLE」)を貼り付け、この粘着シートの粘着層を、厚さ3mmのフロートガラスの片面に貼り付けたものを用いた。光学特性の測定光は、ガラス面側から入射させた。
(薄膜表面のN,O量)
光透過性基板としてのPETフィルムあるいはOPPフィルムに形成した1層目の薄膜の表面元素分析を行うことにより求めた。表面元素分析は、アルバック・ファイ社製XPS装置「PHI5000 VersaProbeII」を用いて以下の条件にて行った。XPS測定時には、電子線とArイオンを同時に照射して試料の帯電を中和した。なお、3層目の薄膜は1層目の薄膜と同じ組成であるため、3層目の薄膜の表面は、1層目の薄膜の表面と同じ組成である。
X線源:単色化したAl−Kα線、出力15kV−50W
走査範囲:試料表面の300×300μm
(弾性率の測定)
ISO14577−1に基づき、超微小硬さ試験機((株)フィッシャーインストルメント製、「フィッシャースコープH−100」)を用いて、有機薄膜またはチタン酸化物薄膜の弾性率を測定した。具体的には、光透過性基板としてのガラス板上に各薄膜を膜厚15μmになるように形成した。次いで、上記超微小硬さ試験機を用いて、圧子:ダイヤモンド四角錐ビッカース圧子(開き角度136°)、押込み力:20mN、クリープ時間:30秒、測定温度:20℃で、時間経過に伴う荷重と押込み深さの変化を表す一連のデータ(図7参照)の測定を行った。次いで、以下の式により、各薄膜の弾性率を算出した。
E=EIT/(1−νs)=1/(1/Er−(1−νi)/Ei)
Er=√π/(2C√Ap)
なお、今回の試験では、押込み深さhは、約10μmなので、√Apは以下になる。
√Ap=4950×hc(ビッカース圧子および変形バーコビッチの場合)
但し、E:弾性率
EIT:押込み弾性率
νs:サンプルのポアソン比
νi:圧子のポアソン比(ダイヤモンドの場合0.07)
Er:押込み接点の減少弾性率
Ei:圧子の弾性率(ダイヤモンドの場合1.14×10N/mm
C:接点のコンプライアンス、すなわち、最大試験荷重時における試験荷重除荷曲線のdh/dF(接点剛性の逆数)→図7の直線cの勾配
Ap:投影接触面積
ISO 14577−2:2002の4に従って定義した接触深さにおける圧子面積関数の値
hc:圧子が試験片に接している深さを以下のように計算したもの
hc=hmax−ε(hmax−hr)
hmax:Fmax(最大試験力)における最大押込み深さ
hr:Fmax(最大試験力)における曲線bに対する接線cと押込み深さ軸の交点
ε:圧子の幾何学形状による補正係数(ビッカース圧子)=3/4
(ぬれ性)
マイクログラビアコーターを用いて有機薄膜用塗工液(1)(2)、TiO薄膜用塗工液、ポリスチレン含有塗工液、ポリビニルアルコール含有塗工液を塗工したときに、はじきが発生したか否かにより評価した。はじきが発生した場合をぬれ性不良「×」、はじきが発生しなかった場合をぬれ性良好「○」とした。
(層間密着性)
JIS K5600に準拠し、クロスカット法により評価した。すなわち、3層目の薄膜に直角の格子パターン(25マス)を切り込み、所定のテープを3層目の薄膜の格子にカットした部分に貼り、3層目の薄膜からテープを引き離して、金属薄膜から3層目の薄膜の格子にカットした部分が剥離するか否かを調べた。引き離したテープにカットした部分が付着していないものを良好「○」とし、一部でも付着したものを不良「×」とした。
(耐腐食性)
フロートガラスの片面に貼り付けた光透過性積層体の周縁部に、濃度10ppmの塩化ナトリウム水溶液を滴下後、湿熱処理(50℃95%RH)することにより、塩水に対する腐食性を評価した。100時間経過後でも全く腐食が見られない場合を良好「○」、腐食が見られた場合を不良「×」とした。この場合の塩水腐食は、金属薄膜と有機薄膜の界面に塩水が浸透することによる腐食であり、腐食が見られない場合には、金属薄膜と有機薄膜の密着性に優れることがわかる。
(遮蔽係数)
JIS A5759に準拠し、分光光度計(島津製作所(株)製、「UV3100」)を用い、波長300〜2500nmの透過スペクトル、反射スペクトルを測定することにより日射透過率、日射反射率を計算し、日射透過率、日射反射率、修正放射率から日射遮蔽係数を計算することにより求めた。修正放射率は、JIS R3106に準拠して光透過性積層体全体の垂直放射率を求め、JIS A5759に記載されている係数で補正して算出した。
(熱貫流率)
JIS R3106に準拠し、ガラス面およびフィルム面の垂直放射率を求め、JIS A5759に準拠して熱貫流率を求めた。
なお、Ag−Cu合金薄膜中の副元素Cuの含有量は次のようにして求めた。すなわち、各成膜条件において、別途、ガラス基板上にAg−Cu合金薄膜を形成した試験片を作製し、この試験片を6%HNO溶液に浸漬し、20分間超音波による溶出を行った後、得られた試料液を用いて、ICP分析法の濃縮法により測定した。
Figure 2014208745
比較例1では、金属薄膜とゾルゲル法およびUV照射によるTiO薄膜の層間密着性に劣っている。また、耐腐食性にも劣っている。また、比較例2でも、金属薄膜とポリスチレンよりなる有機薄膜の層間密着性と耐腐食性に劣っている。なお、比較例1、2では、層間密着性および耐腐食性に劣っているため、光学特性の評価は行わなかった。
比較例3では、金属薄膜とポリビニルアルコールよりなる有機薄膜の層間密着性と耐腐食性には優れるが、ポリビニルアルコールよりなる有機薄膜の屈折率が1.53と低いため、実施例1よりも光学特性に劣っている。
これに対し、実施例では、Ag−Cu合金薄膜と光透過性基板(PETフィルムあるいはOPPフィルム)よりも高屈折率で、N、OあるいはSを含む官能基を有するポリマーを有機薄膜のポリマーに用いているので、光学特性に優れ、また、有機薄膜とAg−Cu合金薄膜の層間密着性および耐腐食性にも優れることが確認できた。
そして、実施例では、有機薄膜の屈折率が1.60以上であり、光透過性に優れることがわかる。また、実施例によれば、有機薄膜の表面N量が24.2原子%以上、あるいは、表面O量が7.2原子%以上であると、金属薄膜と有機薄膜の層間密着性に優れることがわかる。さらに、実施例によれば、有機薄膜の弾性率が6.0GPa以下であると、金属薄膜と有機薄膜の層間密着性が維持されることがわかる。また、実施例1によれば、トリアジン環含有重合体は屈折率が1.70以上と高く、実施例2や比較例3の有機薄膜よりも光学特性に優れることがわかる。また、金属薄膜とトリアジン環含有重合体よりなる有機薄膜の層間密着性と耐腐食性に優れることも確認できた。
実施例3では、実施例1の構成に加えて、薄膜層の面上に粘着剤層とポリオレフィン層と硬化樹脂層を有する。このように保護層を形成した場合でも、光学特性に十分優れる。また、金属薄膜とトリアジン環含有重合体よりなる有機薄膜の層間密着性と耐腐食性にも優れる。そして、修正放射率が低い材料で保護層が形成され、薄膜層に対し保護層が室内側に配置されるため、断熱性にも優れることが確認できた。
実施例4では、光透過性基板をPETフィルムからOPPフィルムに変更している。実施例4では、光透過性基板の材料がポリオレフィン(OPP)で構成されているため、光透過性基板での赤外線吸収がより抑えられ、薄膜層に対し光透過性基板が室内側に配置されていても断熱性に優れることが確認できた。
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。

Claims (5)

  1. 光透過性基板の面上に、複数の薄膜が積層されてなる薄膜層を有し、
    該薄膜層には、AgまたはAg合金からなる金属薄膜と、該金属薄膜に接して配置される有機薄膜と、が含まれ、
    該有機薄膜が、前記金属薄膜および前記光透過性基板よりも高屈折率で、N、S、Oから選択される少なくとも一種の元素を含む官能基を有するポリマーからなることを特徴とする光透過性積層体。
  2. 前記有機薄膜の633nmの光に対する屈折率が1.60以上であることを特徴とする請求項1に記載の光透過性積層体。
  3. 前記有機薄膜の表面が、N:24.2原子%以上、または、O:7.2原子%以上を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光透過性積層体。
  4. 前記有機薄膜の弾性率が、6.0GPa以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光透過性積層体。
  5. 前記有機薄膜が、トリアジン環を有する重合体からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光透過性積層体。
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