JPWO2014208296A1 - ニトロベンゼン化合物を製造する方法 - Google Patents

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晃子 伊久美
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尊之 中村
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C201/00Preparation of esters of nitric or nitrous acid or of compounds containing nitro or nitroso groups bound to a carbon skeleton
    • C07C201/06Preparation of nitro compounds
    • C07C201/10Preparation of nitro compounds by substitution of functional groups by nitro groups

Abstract

本発明の目的は、経済的に好ましくかつ工業化に適した、下記一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。一般式(1):(式中、R1はハロゲン原子を示し;R2、R3及びR4は水素原子等を示し;R5はハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)のニトロベンゼン化合物の製造方法であって、以下の工程:(i) 一般式(2):(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は前記で定義した通りである。)のアニリン化合物を亜硝酸の金属塩と酸の存在下で反応させる工程;(ii) 工程(i)の生成物を亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下で反応させる工程、及び工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜2.2L(リットル)であることを含む方法。

Description

本発明は、一般式(1):
Figure 2014208296
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
のニトロベンゼン化合物の製造方法に関する。
一般式(1)のニトロベンゼン化合物は、種々の有益な有機化合物を製造する中間体として有用である。特に、2,6−ジクロロニトロベンゼン(特許文献1及び2参照)及び2−クロロ−6−アルコキシカルボニルニトロベンゼン類(特許文献3及び4参照)は、医薬及び農薬等を製造する中間体として知られている。
一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法として、アニリン化合物のジアゾ化とそれに続くニトロ化からなる製造方法が知られている(特許文献5及び非特許文献1参照)。しかし、この方法にはいくつかの問題点があった。一つの問題は、溶媒として大量の水を使用するために、経済効率が低いことである。他の問題はジニトロ化合物が副生することである。ここで、ジニトロ化合物とはジニトロベンゼン化合物である。すなわち、ジニトロ化合物とは、ベンゼン環上に2個のニトロ基を有する化合物である。当該ジニトロ化合物は極めて危険であることが一般に知られている。少量でさえも当該ジニトロ化合物が生成することは工業的に好ましくない。しかしながら、比較例1に示すように、この方法ではジニトロ化合物が3%以上も生成した。3%ものジニトロ化合物が副生することは、改善が望まれる問題であった。つまり、副生するジニトロ化合物の量を減らす方法が望まれていた。
一方で、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法として、アニリン化合物を過酸化水素により酸化する方法も知られている(特許文献6参照)。この方法では、工業的な実施の操作において安全を保つために注意を必要とする過酸化水素を使用する。特許文献6に記載された方法は、特許文献6以前に知られていた従来技術よりも優れているが、過酸化水素を使用する点で未だ改善の余地がある。
特表2005−533756号公報 特表2008−537953号公報 国際公開第2005/081960号公報 米国特許第5084086号明細書 特許第2606291号公報 国際公開第2013/005425号公報
Transactions of Tianjin University,2002年,8巻,1号,40−41頁
本発明の目的は、先行技術に比較して経済効率を改善することが可能な、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。具体的に、例えば、本発明の目的は、使用する水の量を減らした一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安全性が改善された一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。具体的に、例えば、本発明の他の目的は、副生するジニトロ化合物の量を減らすことが可能な、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、過酸化水素を使用しない一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。
要するに、本発明の目的は、経済的に好ましくかつ工業化に適した一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、本発明者らが一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法について鋭意研究した。その結果、意外にも、反応系で使用する水の総量を調節することにより、ジニトロ体等のポリニトロ体の副生を抑制することができ、安全な工業的な製造方法を提供できることを見出した。即ち、一般式(2):
Figure 2014208296
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるアニリン化合物を亜硝酸の金属塩と酸の存在下で反応させた後、得られる生成物又は生成物を含有する反応混合物を、亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下でさらに反応させ、反応に使用される水の総量が一般式(2)で表される化合物1モルに対して1.2〜2.2Lであることを特徴とする、一般式(1):
Figure 2014208296
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法により、前記課題が解決可能であることが見出された。本発明者らはこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕一般式(1):
Figure 2014208296
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法であって、以下の工程:
(i) 一般式(2):
Figure 2014208296
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
で表されるアニリン化合物を、亜硝酸の金属塩と、酸の存在下で反応させる工程;
(ii) 工程(i)の生成物を、亜硝酸の金属塩と、銅化合物の存在下で反応させる工程、
を含む方法において、工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜2.2Lであることを特徴とする方法。
〔2〕工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜1.6Lである、〔1〕に記載の方法。
〔3〕工程(i)又は工程(ii)における亜硝酸の金属塩が、亜硝酸のアルカリ金属塩又は亜硝酸のアルカリ土類金属塩である、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕工程(i)で使用される亜硝酸の金属塩の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して1.0〜10.0モルである、〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔5〕工程(i)における酸が、ハロゲン化水素酸、硫酸、及びリン酸からなる群から選ばれる酸である、〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕工程(ii)における銅化合物が、酸化銅、銅(I)塩、又は銅(II)塩である、〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕R、R及びRが水素原子である、〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕Rがハロゲン原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕Rが塩素原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕Rが塩素原子であり、Rがメトキシカルボニルである、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕Rがハロゲン原子であり、Rがハロゲン原子である、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕Rが塩素原子であり、Rが塩素原子である、〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕工程(ii)において工程(i)の生成物を一般式(2)の化合物1モルに対して2.0〜4.0モルの亜硝酸の金属塩と反応させる、〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕工程(ii)において工程(i)の生成物を一般式(2)の化合物1モルに対して2.0〜4.0モルの亜硝酸の金属塩と反応させ、工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜1.6Lである、〔13〕に記載の方法。
〔15〕R、R及びRが水素原子である、〔13〕又は〔14〕に記載の方法。
〔16〕Rがハロゲン原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、〔13〕から〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕Rが塩素原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、〔13〕から〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕Rが塩素原子であり、Rがメトキシカルボニルである、〔13〕から〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔19〕Rがハロゲン原子であり、Rがハロゲン原子である、〔13〕から〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔20〕Rが塩素原子であり、Rが塩素原子である、〔13〕から〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の新規な製造方法が提供される。
本発明によれば、先行技術に比較して使用する水の量を減らして、一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造することができる。したがって、本発明の方法は、先行技術に比較して経済効率を改善することができる。
一方で、比較例1に示すように、使用する水の量を減らし過ぎると、ジニトロ化合物が多く副生することが見出された(比較例1参照)。
しかしながら、本発明によれば、使用する水の量を適切に減らすことにより副生する危険なジニトロ化合物の量を減らすことができる(実施例1及び比較例1参照)。したがって、本発明の方法おいては、安全性が改善されている。言い換えれば、本発明の方法は、パイロットプラント又は工業的な生産のような、大きなスケールでの製造に安全に適用できる。また、本発明では、高純度の一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造できるのである。
要するに、本発明によれば、使用する水の量を適切に調節することによる、経済的に好ましくかつ工業化に適した一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、過酸化水素を使用しないで一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造することができる。この観点からも、本発明の方法は工業化に適している。
さらに、本発明では、先行技術に比較して使用する亜硝酸の金属塩の量を大幅に減らして、一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造できることもが見出された。言い換えれば、本発明によれば、先行技術に比較して大過剰の亜硝酸の金属塩を使用しないで、一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造する方法を提供できる。
加えて、本発明は、工程(i)の反応の終了後又は工程(ii)の反応の開始前などに塩基を加えることができる。言い換えれば、本発明は、塩基を加えることにより工程(ii)の反応系のpHを、工程(ii)において調整することを可能とする。本発明では塩基を使用しないでも、収率は十分であり満足できる(実施例3参照)。しかしながら、必要に応じて塩基を加えることにより、より高い収率を達成こともできる(実施例5参照)。
本発明の方法は高収率である。その上、本発明の方法は、簡便な操作により、穏やかな条件下で、特殊な反応装置を用いることなく、実施できる。したがって、本発明の方法は工業的なスケールで効率よく実施できる。
さらに、本発明では、廃棄物の量は少なく、廃棄物の性質にも問題はないと考えられる。
したがって、本発明は経済的であり、環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において用いられる用語及び記号について以下に説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
「C〜C」とは炭素原子数がa〜b個であることを意味する。例えば、「C〜Cアルキル基」の「C〜C」とは、アルキル基の炭素原子数が1〜4であることを意味する
アルキル基としては、例えば、C〜Cアルキル基が挙げられる。C〜Cアルキル基としては、具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、より好ましくはメチル、エチル、さらに好ましくはメチルが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、C〜Cアルコキシカルボニル基が挙げられる。C〜Cアルコキシカルボニル基としては、具体的には例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、より好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、さらに好ましくはメトキシカルボニルが挙げられる。
(工程(i))
まず、工程(i)について説明する。
工程(i)は、一般式(2):
Figure 2014208296
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるアニリン化合物を、亜硝酸の金属塩、及び酸の存在下で反応させる工程である。
(原料;一般式(2)のアニリン化合物)
本発明の方法の原料として、上記一般式(2)のアニリン化合物を用いる。一般式(2)のアニリン化合物は公知の化合物であるか、あるいは、公知の化合物から公知の方法により製造することができる化合物である。一般式(2)のアニリン化合物としては、具体的には例えば、
2,6−ジクロロアニリン、
2,6−ジブロモアニリン、
2,6−ジフルオロアニリン、
2−クロロ−6−フルオロアニリン、
2−ブロモ−6−クロロアニリン、
2−クロロ−6−ヨードアニリン、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸エチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸ブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸sec−ブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸tert−ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸エチル
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸イソブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸sec−ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸tert−ブチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸エチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−ヨード安息香酸メチル、
2−アミノ−3−ヨード安息香酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。加えて、一般式(2)のアニリン化合物は、塩酸又は硫酸等の酸との塩であってもよい。
(工程(i)における亜硝酸の金属塩)
工程(i)で使用できる亜硝酸の金属塩としては、亜硝酸のアルカリ金属塩(例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等)、亜硝酸のアルカリ土類金属塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、入手性、及び反応性等の観点から、亜硝酸のアルカリ金属塩が好ましく、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムがより好ましく、亜硝酸ナトリウムがさらに好ましい。
亜硝酸の金属塩の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。亜硝酸の金属塩の形態としては、例えば、亜硝酸の金属塩のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、亜硝酸のアルカリ金属塩は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(i)における亜硝酸の金属塩の使用量)
亜硝酸の金属塩の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。
収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1.0〜10.0モル、好ましくは1.0〜5.0モル、より好ましくは1.0〜3.0モル、さらに好ましくは1.0〜2.0モル、特に好ましくは1.0〜1.2モルの範囲を例示できる。
(工程(i)における酸)
工程(i)で使用できる酸としては、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸等)、硫酸、リン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、取り扱いの容易さ、収率及び副生成物抑制等の観点から、塩酸、臭化水素酸又は硫酸が好ましく、塩酸又は硫酸がより好ましく、塩酸がさらに好ましい。
酸の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。酸の形態としては、例えば、酸のみの液体若しくは気体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、酸は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(i)における酸の使用量)
酸の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1〜3モルの範囲を例示できる。
(工程(i)の溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、工程(i)の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程(i)の溶媒は、工程(i)の反応が進行してかつ工程(ii)の反応へ悪影響を及さない限りは、如何なる溶媒でもよい。価格及び取り扱いの容易さ等の観点から、工程(i)の溶媒は特に好ましくは水である。
しかしながら、所望の反応が進行する限りは、後述する水以外の溶媒を排除するものではない。例えば、所望の反応が進行する限りは、水と水以外の溶媒を用いることもできる。工程(i)に用いることができる水以外の溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カルボン酸類(例えば、酢酸等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、工程(i)の水以外の溶媒の好ましい例としては、アルコール類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、ケトン類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、より好ましくはケトン類が挙げられる。工程(i)の水以外の溶媒の具体的な好ましい例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、より好ましくはイソブチルメチルケトン(MIBK)が挙げられる。
(工程(i)の溶媒の使用量)
工程(i)の溶媒の使用量としては、反応系の撹拌が充分にできる限りは何れの量でもよい。反応性、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、工程(i)で使用される水の総量が通常0.1〜1.2L(リットル)、好ましくは0.3〜1.0L、より好ましくは0.4〜0.9Lの範囲を例示できる。ここで、工程(i)で使用される水の総量とは、工程(i)の反応が終了したときに、反応系内に存在する全ての水の量である。したがって、溶媒として添加した水の量だけでなく、酸や亜硝酸の金属塩を水溶液として添加した場合の水の量も加算されることになる。例えば、工程(i)で使用される水の総量には、工程(i)で使用される酸の水溶液中の水、及び亜硝酸の金属塩の水溶液中の水の量が含まれる。さらに、同様の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、水以外の上記した溶媒の量が通常0(ゼロ)〜5L(リットル)、好ましくは0〜1Lの範囲を例示できる。なお、水及び水以外の溶媒を組み合わせて使用するときは、水及び水以外の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。水以外の2種以上の溶媒を用いるときは、水以外の2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。しかしながら、溶媒として水を単独で使用するか、水と混和しない有機溶媒との組み合わせで使用することが特に好ましい。
(工程(i)の反応温度)
工程(i)における反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常−30℃(マイナス30℃)〜50℃、好ましくは−20℃〜25℃、より好ましくは−10℃〜10℃の範囲を例示できる。
(工程(i)の反応時間)
工程(i)における反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常は0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間、より好ましくは1時間〜12時間の範囲を例示できる。
(工程(i)の生成物)
工程(i)の生成物は、原料として用いた一般式(1)のアニリン化合物に相当するジアゾニウム塩である。一般にジアゾニウム塩は当業者によく知られた化合物である。
本発明における「工程(i)の生成物」とは、工程(i)の反応生成物を精製・単離した物質のみならず、未精製の粗生成物、及び工程(i)の反応生成物を含有する混合物を包含している。このような混合物としては、例えば、工程(i)の反応混合物そのものであってもよいし、当該反応混合物のうちの工程(i)の反応生成物が含有されている層、例えば水層部分だけであってもよい。このような混合物は必要に応じて、さらに精製された混合物であってもよい。
(工程(ii))
次に、工程(ii)について説明する。
工程(ii)は、工程(i)の生成物を亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下で反応させ、
一般式(1):
Figure 2014208296
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
の化合物を製造する工程である。
(工程(ii)における亜硝酸の金属塩)
工程(ii)で使用できる亜硝酸の金属塩としては、亜硝酸のアルカリ金属塩(例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等)、亜硝酸のアルカリ土類金属塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、入手性、及び反応性等の観点から、亜硝酸のアルカリ金属塩が好ましく、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムがより好ましく、亜硝酸ナトリウムがさらに好ましい。
亜硝酸の金属塩の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。亜硝酸の金属塩の形態としては、例えば、亜硝酸の金属塩のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、亜硝酸のアルカリ金属塩は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(ii)における亜硝酸の金属塩の使用量)
亜硝酸の金属塩の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1.0〜10.0モル、好ましくは1.0〜7.0モル、より好ましくは1.0〜5.0モル、さらに好ましくは2.0〜4.0モルの範囲を例示できる。
(工程(ii)における銅化合物)
工程(ii)では、触媒として銅化合物を使用することが好ましい。工程(ii)で使用できる銅化合物としては、一般にザンドマイヤー反応(Sandmeyer reaction)の触媒として知られる銅化合物が挙げられる。さらには、Hantzschらの方法の触媒が挙げられる。当該銅化合物としては、例えば、酸化銅、銅(I)塩、銅(II)塩、銅(I)及び銅(II)からなる複塩、銅粉等が挙げられる。酸化銅としては、例えば、酸化銅(I)、酸化銅(II)が挙げられる。銅(I)塩としては、例えば、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、炭酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、シアン化銅(I)等が挙げられる。銅(II)塩としては、例えば、硫酸銅(II)、亜硫酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、シアン化銅(II)等が挙げられる。銅(I)及び銅(II)からなる複塩としては、例えば、Hantzschらの方法の触媒である硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)等が挙げられる。工程(ii)で使用できる銅化合物の具体的な例としては、好ましくは酸化銅(I)、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)、炭酸銅(I)、銅粉等、より好ましくは酸化銅(I)、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)、銅粉、さらに好ましくは酸化銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のように、銅化合物は単塩でも複塩でもよい。さらに、銅化合物は無水物でも水和物でもよい。また、銅化合物の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。銅化合物の形態としては、例えば、銅化合物のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、銅化合物は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(ii)における銅化合物の使用量)
銅化合物の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率及び安全性等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常0.01〜5.0モル、好ましくは0.01〜1.0モル、より好ましくは0.1〜0.5モルの範囲を例示できる。
(塩基の使用)
本発明は、工程(i)の反応の終了後又は工程(ii)の反応の開始前などに塩基を加えてもよい。言い換えれば、必要に応じて塩基を加えることにより工程(ii)の反応系のpHを調整してもよい。工程(ii)の反応が円滑に進行する限りは、塩基の添加、すなわちpHの調整は行ってもよく、また行わなくてもよい。また、工程(ii)反応が円滑に進行する限りは、当該塩基の添加はいつ行ってもよく、どこで(いずれの反応容器等で)行ってもよい。
(塩基)
上記の塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム等)、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム等)、リン酸水素塩(例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素カルシウム等)、カルボン酸アルカリ金属塩(例えば、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、カルボン酸アルカリ土類金属塩(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等)、アンモニア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、当該塩基の好ましい例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、より好ましくはアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。当該塩基の具体的な例としては、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、より好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウムが挙げられる。当該塩基の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。当該塩基の形態としては、例えば、塩基のみの固体若しくは液体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、当該塩基は単独で又は2種以上を任意の割合で混用しても良い。
(塩基の使用量)
上記塩基の使用量は、必要に応じて、当業者が検討して決定できるものである。上記塩基の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)〜5モル、好ましくは0〜1モル、より好ましくは0〜0.6モルの範囲を例示できる。
(工程(ii)の溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、工程(ii)の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程(ii)の溶媒は、工程(ii)の反応が進行する限りは、如何なる溶媒でもよい。工程(ii)に用いることができる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カルボン酸類(例えば、酢酸等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン等)及び任意の割合のそれらからなる組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、工程(ii)の溶媒の好ましい例としては、水単独、水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせ、水とカルボン酸エステル類の組み合わせ、水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせ、より好ましくは水単独、水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせ、さらに好ましくは水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせが挙げられる。
工程(ii)の溶媒の具体的な例としては、好ましくは、水単独、水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせ、水と酢酸エチルの組み合わせ、水と酢酸ブチルの組み合わせ、水とジクロロメタンの組み合わせ、より好ましくは水単独、水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせ、さらに好ましくは水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせ、特に好ましくは水とトルエンの組み合わせが挙げられる。
(工程(ii)の溶媒の使用量)
工程(ii)の溶媒の使用量としては、反応系の撹拌が充分にできる限りは何れの量でもよい。反応性、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、工程(ii)で使用される水の総量が好ましくは1.2〜2.2L(リットル)、より好ましくは1.2〜1.6Lの範囲を例示できる。ここで、工程(ii)で使用される水の総量とは、工程(ii)の反応が終了したときに、反応系内に存在する全ての水の量である。したがって、工程(ii)で添加した水の量だけでなく、酸や亜硝酸の金属塩を水溶液として場合の水の量も加算されることになる。さらには、工程(i)の反応混合物をそのまま使用する場合には、当該反応混合物中の水の量も加算されることになる。例えば、工程(ii)で使用される水の総量には、工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩の水溶液中の水、塩基の水溶液中の水が加算されるし、さらに工程(i)の反応混合物をそのまま使用した場合には、工程(i)の水の総量も加算されることになる。さらに、同様の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、水以外の上記した溶媒の量が通常0(ゼロ)〜5L(リットル)、好ましくは0.1〜1L、より好ましくは0.2〜0.7Lの範囲を例示できる。なお、水及び水以外の溶媒を組み合わせて使用するときは、水及び水以外の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。水以外の2種以上の溶媒を用いるときは、水以外の2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。
(工程(ii)の反応温度)
工程(ii)における反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常−30℃(マイナス30℃)〜70℃、好ましくは−20℃〜50℃、より好ましくは−10℃〜35℃の範囲を例示できる。
(工程(ii)の反応時間)
工程(ii)における反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常は0.5時間〜48時間、好ましくは0.5時間〜24時間、より好ましくは0.5時間〜12時間の範囲を例示できる。
(工程(ii)の生成物;一般式(1)のニトロベンゼン化合物)
工程(ii)で得られる一般式(1)のニトロベンゼン化合物としては、具体的には例えば、
2,6−ジクロロニトロベンゼン、
2,6−ジブロモニトロベンゼン、
2,6−ジフルオロニトロベンゼン、
2−クロロ−6−フルオロニトロベンゼン、
2−ブロモ−6−クロロニトロベンゼン、
2−クロロ−6−ヨードニトロベンゼン、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸エチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸プロピル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸ブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸イソブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸sec−ブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸tert−ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸エチル
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸プロピル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸イソブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸sec−ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸tert−ブチル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸エチル、
3−ブロモ−2−ニトロモ安息香酸プロピル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−ヨード−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−ヨード−2−ニトロ安息香酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(i)と工程(ii)の収率)
本発明の方法の工程(i)と工程(ii)を通した収率としては、通常70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは85〜100%の範囲を例示できる。
工程(i)と工程(ii)を通した収率は、原料としての一般式(2)のアニリン化合物のモル数に対する、得られる一般式(1)のニトロベンゼン化合物のモル数から計算することができる。すなわち、この収率は次の式で表される;
収率(%)=100×{(得られた一般式(1)のニトロベンゼン化合物のモル数)/(原料としての一般式(2)のアニリン化合物のモル数)}
次に、実施例を挙げて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル9.28g(0.050mоl)、水24mL及び35%塩酸10.95g(0.105mol)を加えた。混合物を−5℃(マイナス5℃)で攪拌しながら、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液9.35g(0.0515mol)を滴下した。その後、混合物を−5〜0℃で2時間攪拌して、反応混合物を得た。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)2.42g(0.0169mоl)、トルエン25mL、38%亜硝酸ナトリウム水溶液27.24g(0.150mol)及び水21gを加え、そこへ上記で得られた反応混合物を25℃で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物へトルエン25mLを加え、混合物を30℃で10分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を水25mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は88%であった。このとき、不純物の2,3−ジニトロ安息香酸メチルの含有率は0.6%であった。
実施例2
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル9.28g(0.050mоl)、水24mL及び35%塩酸10.95g(0.105mol)を加えた。混合物を−5℃(マイナス5℃)で攪拌しながら、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液9.35g(0.0515mol)を滴下した。その後、混合物を−5〜0℃で2時間攪拌して、反応混合物を得た。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)2.42g(0.0169mоl)、トルエン25mL、38%亜硝酸ナトリウム水溶液27.24g(0.150mol)及び10%炭酸水素ナトリウム水溶液21g(0.025mоl)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物を25℃で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物へトルエン25mLを加え、混合物を30℃で10分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を水25mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は84%であった。このとき、不純物の2,3−ジニトロ安息香酸メチルの含有率は0.5%であった。
実施例3
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル9.28g(0.050mоl)、イソブチルメチルケトン(MIBK)21.6mL、水10mL及び35%塩酸11.47g(0.110mol)を加えた。混合物を−5℃(マイナス5℃)で攪拌しながら、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液9.81g(0.054mol)を滴下した。その後、混合物を−5〜0℃で2時間攪拌して、反応混合物を得た。混合物をイソブチルメチルケトンと水に分配した後、水層を分離した。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)2.42g(0.0169mоl)、トルエン25mL、38%亜硝酸ナトリウム水溶液27.24g(0.150mol)及び水31g(1.72mоl)を加え、そこへ上記で得られた水層を0〜5℃で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物へトルエン25mLを加え、混合物を30℃で10分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を水25mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は85%であった。このとき、不純物の2,3−ジニトロ安息香酸メチルの含有率は0.6%であった。
特許文献5の実施例1(1)では、本発明の工程(ii)に相当する反応が、使用される水の総量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して2.4L(リットル)であるとの条件下で行われている。加えて、非特許文献1では、本発明の工程(ii)に相当する反応が、使用される水の総量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して2.5L(リットル)であるとの条件下で行われている。特許文献5及び非特許文献1における水の使用量は大量であり、経済効率が低い。
後述の比較例1では、工程(ii)の反応が使用される水の総量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.0Lであるとの条件下で行われた。その結果、生産効率は改善されたが、しかしながら、3.3%もの大量の2,3−ジニトロ安息香酸メチルが副生した。2,3−ジニトロ安息香酸メチルは危険なジニトロ化合物である。したがって、比較例1の方法は工業的に好ましくない。
一方で、本発明の実施例1では、工程(ii)の反応が使用される水の総量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.5Lであるとの条件下で行われた。その結果、副生した2,3−ジニトロ安息香酸メチルの量は0.6%と少量であった。つまり、実施例1では、工程(ii)で使用される水の総使用量を比較例1よりも増加することにより、危険なジニトロ化合物を劇的に減らすことができた。加えて、本発明の実施例1における水の総使用量は、特許文献5及び非特許文献1におけるそれよりも大幅に少ない。したがって、本発明の方法は先行技術に比較して経済効率を有意に改善した。本発明によれば、水の量を適切に調節することにより、複数の優位性が達成されたのである。
本発明の実施例2では、実施例1と同様に、工程(ii)における水の総使用量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.5Lに調節された。同時に塩基が添加された。後述の実施例5で達成されたような塩基の添加による収率の向上は観察されなかったが、実施例2における収率は十分でありかつ満足できる。さらに、塩基の添加にも関わらず、水の総使用量が適切に調節されたために、危険な2,3−ジニトロ安息香酸メチルの量は0.5%と少量であった。
本発明の実施例3においても、工程(ii)における水の総使用量が、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.4Lに調節された。水の総使用量が適切に調節されたために、危険な2,3−ジニトロ安息香酸メチルの量は少量であった。その上、本発明の実施例3における水の総使用量も、特許文献5及び非特許文献1におけるそれよりも大幅に少ない。したがって、先行技術に比較して経済効率が改善されている。
実施例4
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1000mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン100.5g(0.62mоl)、水296.1mL及び35%塩酸160.2g(1.54mol)を加えた。混合物を60℃に加熱し溶解させた。攪拌しながら、混合物を−5℃(マイナス5℃)に冷却した後、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液144.1g(0.79mol)を−5〜0℃で滴下して、反応混合物を得た。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた2000mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)30.0g(0.21mоl)、トルエン216.7mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液675.5g(3.72mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物を0〜5℃で2時間かけて滴下した。混合物を0〜5℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液208.3mL(0.25mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は73%であった。
実施例5
2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた2000mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン162.0g(1.00mоl)、水396.4mL及び35%塩酸239.6g(2.30mol)を加えた。混合物を60℃に加熱し溶解させた。攪拌しながら、混合物を−5℃(マイナス5℃)に冷却した後、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液199.7g(1.10mol)を−5〜0℃で滴下した。その後、トルエン174.7mLを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液420mLを−5〜0℃で滴下し、pHを3に調整した。混合物をトルエンと水に分配した後、水層を分離した。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた3000mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)48.4g(0.34mоl)、トルエン349.5mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液544.7g(3.00mol)を加え、そこへ上記で得られた水層を0〜5℃で2時間かけて滴下した。混合物を0〜5℃で30分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液336.0mL(0.40mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は85%であった。
実施例4では、工程(ii)の反応が使用される水の総量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.5Lであるとの条件下で行われた。本発明の実施例4における水の総使用量は、特許文献5及び非特許文献1におけるそれよりもはるかに少ないのである。加えて、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は73%と十分であった。したがって、本発明の方法は先行技術に比較して経済効率を有意に改善した。
実施例5では、実施例4とほぼ同様に、工程(ii)における水の総使用量が一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して約1.4Lに調節された。同時に塩基が添加された。その結果、収率が実施例4では73%であったのに対し、実施例5では85%へ12%も向上した。この値は工業的及び商業的に有意である。
特許文献5の実施例1(1)及び非特許文献1では、本発明の工程(ii)に相当する工程において、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して6モルの亜硝酸ナトリウムが使用されている。一方で、本発明の実施例1、2、3及び5の工程(ii)において使用された亜硝酸ナトリウムの量は、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して3モルである。要するに、本発明の実施例1、2、3及び5において使用された亜硝酸ナトリウムの量は、特許文献5及び非特許文献1におけるそれよりも大幅に少ない。この観点からも、本発明は先行技術に比較して優位性を有する方法を提供する。
比較例1
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル9.28g(0.050mоl)、水24mL及び35%塩酸10.95g(0.105mol)を加えた。混合物を−5℃(マイナス5℃)で攪拌しながら、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液9.35g(0.0515mol)を滴下した。その後、混合物を−5〜0℃で2時間攪拌して、反応混合物を得た。攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)2.42g(0.0169mоl)、トルエン25mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液27.24g(0.150mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物を25℃で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物へトルエン25mLを加え、混合物を30℃で10分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を水25mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は85%であった。このとき、不純物の2,3−ジニトロ安息香酸メチルの含有率は3.3%であった。
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法)
HPLC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な充填剤−移動相の組合せに関しては、第93〜96頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、逆相クロマトグラフィー分析の具体的な使用方法及び条件に関しては、第135〜137頁を参照できる。)
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析方法)
GC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な固定相液体に関しては、第66頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、中空キャピラリー分離カラムの具体的な使用方法に関しては、第124〜125頁を参照できる。)
(pHの測定方法)
pHはガラス電極式水素イオン濃度指示計により測定した。ガラス電極式水素イオン濃度指示計としては、例えば、東亜ディーケーケー株式会社製、形式:HM−20Pが使用できる。
本発明によれば、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の新規な製造方法が提供される。
本発明によれば、先行技術に比較して使用する水の量を減らして、一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造することができる。したがって、本発明の方法は、先行技術に比較して経済効率を改善することができる。
さらに、本発明によれば、使用する水の量を適切に調節することにより、副生する危険なジニトロ化合物の量を減らすことができる。したがって、本発明の方法おいては、安全性が改善されている。また、本発明では、高純度の一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造できる。
要するに、本発明によれば、使用する水の量を適切に調節することによる、経済的に好ましくかつ工業化に適した一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、過酸化水素を使用しないで一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造することができる。
さらに、本発明では、先行技術に比較して使用する亜硝酸の金属塩の量を大幅に減らして、一般式(1)のニトロベンゼン化合物を製造する方法が提供される。
また、別の態様では、本発明は、塩基を添加する方法を提供する。言い換えれば、本発明の別の態様では、塩基を加えることにより反応系のpHを調整することができる。本発明では塩基を使用しないでも、収率は十分であり満足できる。しかしながら、必要に応じて塩基を加えることにより、より高い収率が達成される場合がある。
本発明の方法は高収率である。その上、本発明の方法は、簡便な操作により、穏やかな条件下で、特殊な反応装置を用いることなく、実施できる。したがって、本発明の方法は、工業的なスケールで効率よく実施できる。
さらに、本発明の方法では、廃棄物の量は少なく、廃棄物の性質に問題はないと考えられる。
したがって、本発明の方法は経済的であり、環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。

Claims (8)

  1. 一般式(1):
    Figure 2014208296
    (式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
    で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法であって、以下の工程:
    (i) 一般式(2):
    Figure 2014208296
    (式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
    で表されるアニリン化合物を亜硝酸の金属塩と酸の存在下で反応させる工程;
    (ii) 工程(i)の生成物を亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下で反応させる工程、
    を含む方法において、工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜2.2Lであることを特徴とする方法。
  2. 工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜1.6Lである、請求項1に記載の方法。
  3. 、R及びRが水素原子である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. がハロゲン原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. が塩素原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. が塩素原子であり、Rがメトキシカルボニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  7. がハロゲン原子であり、Rがハロゲン原子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  8. が塩素原子であり、Rが塩素原子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
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