JP6660518B1 - トリフルオロメチルチオアルキル化合物の製造方法及びトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物 - Google Patents

トリフルオロメチルチオアルキル化合物の製造方法及びトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物 Download PDF

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Abstract

式(1):【化1】(式中、X1はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法であって、式(2):【化2】(式中、X2はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、X1及びnは前記で定義したとおりである。)で表されるジハロゲン化アルキル化合物とフッ素化合物の存在下、45℃以上で加熱しながらチオホスゲンを添加することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法である。

Description

本発明は、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基を、他方の末端にハロゲン原子を有するトリフルオロメチルチオアルキル化合物の製造方法に関する。また、本発明は、このようなトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を含む組成物に関する。
フルオロアルキルチオ基は、医薬・農薬化合物において有用な置換基である。例えば、特許文献1に開示されている有害生物防除剤は、ベンゼン環上にトリフルオロエチルスルフィニル基及びトリフルオロメチルチオアルコキシ基を有しており、フルオロアルキルチオ基が有害生物防除活性の発現において重要な役割を有している。
トリフルオロメチルチオアルキル基を有する医薬・農薬化合物を製造するためには、トリフルオロメチルチオアルキル化試薬として機能する合成等価体の製造が不可欠であり、これまで種々のトリフルオロメチルチオアルキルシントン(synthon)の合成法が検討されてきた。
例えば、特許文献2では、原料であるブロモヘキサノールのヒドロキシ基をアセチル保護し、金属チオシアン酸塩を反応させチオシアネート化合物を合成した後、得られたチオシアネート化合物をトリフルオロメチル化試薬と反応させ、ヒドロキシ基の脱保護及び臭素化を経て目的のトリフルオロメチルチオヘキシルブロミドを製造している(本文献の「参考例1」)。
Figure 0006660518
例えば、特許文献3では、原料であるブロモペンタノールのヒドロキシ基をアセチル保護し、金属チオシアン酸塩を反応させチオシアネート化合物を合成した後、得られたチオシアネート化合物をトリフルオロメチル化試薬と反応させ、ヒドロキシ基の脱保護及び臭素化を経て目的のトリフルオロメチルチオペンチルブロミドを製造している(本文献の「実施例122〜123、参考例2〜3」)。
Figure 0006660518
例えば、非特許文献1では、原料であるブロモヘキサンボロン酸とトリフルオロメチルチオ化試薬を銅触媒の存在下でカップリング反応を行うことにより、目的のトリフルオロメチルチオヘキシルブロミドを1工程で製造している。
Figure 0006660518
例えば、非特許文献2では、原料であるブロモウンデカン酸とトリフルオロメチルチオ化試薬をイリジウム触媒の存在下で反応させ、目的のトリフルオロメチルチオデシルブロミドを1工程で製造している。
Figure 0006660518
特許文献4には、原料のアルキルハライド化合物をフッ素化合物の存在下でチオホスゲンと反応させるトリフルオロメチルチオ化反応が記載されている。特許文献4に記載された方法は、反応性の低いアルキルハライド化合物からトリフルオロメチルチオアルキル化合物を単工程(single step)且つより安価な原料を用いて製造する方法であり、特許文献4以前に知られていた従来技術よりも優れている。しかし、特許文献4には、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基を、他方の末端にハロゲン原子を有するアルキル化合物の製造方法についての記載も示唆もされていない。
WO2013/157229A1 WO2015/122396A1 WO2015/199109A1 WO2016/076183A1
Organic Letters, 16(18), 4738−4741 (2014) Chemistry A European Journal, 22(14), 4753−4756 (2016)
特許文献2及び3に開示されたトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法は、目的化合物製造までに5工程を要する非常に長いものであり、コストや手間がかかるなど、工業的製造の面で改善が望まれていた。
一方、非特許文献1及び2に開示されたトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法は、1工程で目的化合物を得ることができる。しかし、本方法では、特殊な触媒、特殊な配位子、特殊な反応装置等を使用する必要があるため、コストがかかる。このため、これらの文献の製造方法は、実験室的製造方法としては優れた方法であるが、工業的製造の面で好ましいとは言えない。また、非特許文献1,2で使用しているトリフルオロメチルチオ化剤は、生成物に導入されなかった部分が余分な有機化合物として残存し、これがのちの反応に悪影響をおよぼすおそれがある。さらに、本方法では、目的化合物の収率が低く、この面からも改善が望まれていた。
本発明の目的は、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基を、他方の末端にハロゲン原子を有するトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を、比較的安価な原料や試薬を用いて1工程で製造可能な方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、このようなトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を含む組成物を提供することにある。
上記のような状況に鑑み、トリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法について本発明者は鋭意研究を重ねた。その結果、意外にも、原料として両末端にハロゲン原子を有するジハロゲン化アルキル化合物を使用し、フッ素化合物の存在下で加熱しながらチオホスゲンを添加することにより、目的のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物が、特殊な触媒等を用いることなく1工程で得られることを見出した。そして、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕から〔11〕項に記載の発明を提供することにより前記課題を解決したものである。
〔1〕式(1):
Figure 0006660518

(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)
で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法であって、
式(2):
Figure 0006660518

(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、X及びnは前記で定義したとおりである。)
で表されるジハロゲン化アルキル化合物とフッ素化合物の存在下、45℃以上で加熱しながらチオホスゲンを添加することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔2〕XとXが互いに異なるハロゲン原子であり、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔3〕Xは、塩素原子又は臭素原子を示し、
は、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
nは5又は6を示すことを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔3’〕Xは、塩素原子又は臭素原子を示し、
は、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
nは3から8の範囲の整数を示すことを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔3’’〕Xは、塩素原子を示し、
は、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
nは5又は6を示すことを特徴とする〔3〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔4〕Xは、塩素原子を示し、
は、臭素原子を示し、
nは5又は6を示すことを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔5〕チオホスゲンの添加が60℃以上100℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔5’〕チオホスゲンの添加が70℃以上90℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする〔5〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔6〕反応に使用されるフッ素化合物がフッ化テトラアルキルアンモニウム塩、フッ化アルカリ金属塩又はそれらの混合物であることを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔6’〕反応に使用されるフッ素化合物がフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム又はそれらの混合物であることを特徴とする〔6〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔6’’〕反応に使用されるフッ素化合物がフッ化アルカリ金属塩であることを特徴とする〔6〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔6’’’〕反応に使用されるフッ素化合物がフッ化カリウムであることを特徴とする〔6〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔7〕前記式(2)の化合物1.0モルに対して3.0モル以上12.0モル以下の範囲のフッ素化合物を使用することを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔7’〕前記式(2)の化合物1.0モルに対して4.0モル以上9.0モル以下の範囲のフッ素化合物を使用することを特徴とする〔7〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔8〕前記式(2)の化合物1.0モルに対して1.0モル以上3.0モル以下の範囲のチオホスゲンを使用することを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔8’〕前記式(2)の化合物1.0モルに対して1.0モル以上2.0モル以下の範囲のチオホスゲンを使用することを特徴とする〔8〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔9〕反応が60℃以上100℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする〔1〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔9’〕反応が70℃以上90℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする〔9〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔10〕反応に使用される溶媒がニトリル類、エーテル類、アミド類、芳香族炭化水素類又はそれらの混合物であることを特徴とする〔1〕に記載の製造方法。
〔10’〕反応に使用される溶媒がニトリル類であることを特徴とする〔10〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔10’ ’〕反応に使用される溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする〔10〕に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
〔11〕式(1):
Figure 0006660518

(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)
で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物と、
式(3):
Figure 0006660518

で表されるビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物と、を含有することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物。
本発明によれば、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基を、他方の末端にハロゲン原子を有するトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を、比較的安価な原料や試薬を用いて1工程で製造可能な方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このようなトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を含む組成物を提供することが可能になる。
1.本明細書に記載された記号及び用語について説明する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
2.本発明のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法について説明する。
本発明は、式(1):
Figure 0006660518

(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)
で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法であって、
式(2):
Figure 0006660518

(式中、Xはハロゲン原子を示し、X及びnは前記で定義したとおりである。)
で表されるジハロゲン化アルキル化合物とフッ素化合物の存在下、加熱しながらチオホスゲンを添加することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法である。
すなわち、本発明は、目的とする式(1)のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を、以下の反応式により1工程で製造することができる。
Figure 0006660518

このため、従来のように、トリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を製造するために多段階の工程が必要でなく、特殊な触媒なども必要としないため、製造コストなどの面で工業的に好ましい製造方法である。以下、本発明で使用する化合物や反応条件等について詳細に説明する。
(原料化合物)
本発明において使用される原料は、式(2)で表されるジハロゲン化アルキル化合物であり、公知の化合物であるか、又は公知化合物から公知の方法により製造することができる。式(2)のジハロゲン化アルキル化合物としては、例えばブロモクロロメタン、ジブロモメタン、クロロヨードメタン、ブロモヨードメタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1−クロロ−2−ヨードエタン、1−ブロモ−2−ヨードエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−ブロモ−3−ヨードプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1,4−ジブロモブタン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−ブロモ−4−ヨードブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、1−ブロモ−6−ヨードヘキサン、1−ブロモ−7−クロロヘプタン、1,7−ジブロモヘプタン、1−クロロ−7−ヨードヘプタン、1−ブロモ−7−ヨードヘプタン、1−ブロモ−8−クロロオクタン、1,8−ジブロモオクタン、1−クロロ−8−ヨードオクタン、1−ブロモ−8−ヨードオクタン、1−ブロモ−9−クロロノナン、1,9−ジブロモノナン、1−クロロ−9−ヨードノナン、1−ブロモ−9−ヨードノナン、1−ブロモ−10−クロロデカン、1,10−ジブロモデカン、1−クロロ−10−ヨードデカン、1−ブロモ−10−ヨードデカン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(2)のジハロゲン化アルキル化合物として、好ましくは1−ブロモ−3−クロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1,4−ジブロモブタン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、1−ブロモ−7−クロロヘプタン、1,7−ジブロモヘプタン、1−クロロ−7−ヨードヘプタン、1−ブロモ−8−クロロオクタン、1,8−ジブロモオクタン、1−クロロ−8−ヨードオクタン等が挙げられ、より好ましくは1−ブロモ−5−クロロペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン等が挙げられ、更に好ましくは1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン等が挙げられる。
式(2)において、XとXは同一のハロゲン原子であっても異なるハロゲン原子であってもよいが、目的化合物である式(1)の収率の面から、XとXが互いに異なるハロゲン原子であることが好ましい。さらに、同じく収率の面から、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことが好ましい。理由は以下のとおりである。
とXは、いずれもハロゲン原子であるため、フッ素化合物とチオホスゲンとの反応によって両方ともトリフルオロメチルチオ基に置換される場合がある。このため、XとXとを異なるハロゲン原子とすることで、XとXとの間で反応性に違いを持たせて一方のみにトリフルオロメチルチオ基を優先的に導入することで、目的とする式(1)を高い収率で得ることができるためである。ここで、ハロゲン原子の反応性は、F<Cl<Br<Iの順であるため、トリフルオロメチルチオ基をXに優先的に置換させるためには、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことが好ましい。
また、式(2)において、XとXが互いに異なるハロゲン原子であることは、副生成物である式(3)のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物(後述する)を減らす観点からも好ましい。副生成物が多く生じると、その分、目的とする式(1)の化合物の収率が低下する。この点からも、XとXが互いに異なるハロゲン原子であること、さらには、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことが好ましい。
さらに、式(2)において、XとXが互いに異なるハロゲン原子であることは、未反応の式(2)を減らす観点からも好ましい。式(2)のジハロゲン化アルキルが未反応で残存すると、その後に式(1)の化合物を反応させてアルキルフェニルスルフィド誘導体を製造する工程(以下、「後工程」ということがある)において反応を阻害する要因となる。このため、未反応の式(2)を減らすことは、式(1)の化合物の収率の面だけでなく、その後の工程における反応性の面からも好ましい。XとXが互いに異なるハロゲン原子であると、一方のハロゲン原子に対してチオホスゲンが優先的に求核攻撃するため、収率が高くなるとともに未反応の式(2)の化合物を減らすことができる。同様の観点から、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことが好ましい。
とXの組み合わせとしては、Xが塩素原子又は臭素原子であり、Xが臭素原子又はヨウ素原子であることが好ましい。特に、目的とする式(1)のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の収率の点から、Xが塩素原子であり、Xが臭素原子であることが好ましい。
式(2)におけるnの値は、特に制限はないが、nが3〜8の範囲内であることが好ましく、4〜7の範囲内であることがより好ましく、5又は6であることが特に好ましい。
(フッ素化合物)
本発明で使用されるフッ素化合物は、反応が進行する限りはいずれのフッ素化合物でもよい。本発明で使用されるフッ素化合物としては、例えば、フッ化テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等)、フッ化アルカリ金属塩(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等)、フッ化アルカリ土類金属塩(例えば、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等)、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
反応性、収率及び経済効率等の観点から、本発明で使用されるフッ素化合物として好ましくはフッ化テトラアルキルアンモニウム塩、フッ化アルカリ金属塩が挙げられ、より好ましくはフッ化アルカリ金属塩が挙げられる。
本発明で使用されるフッ素化合物の具体的な例として、好ましくはフッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、より好ましくはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等が挙げられ、更に好ましくはフッ化カリウムが挙げられる。
(フッ化カリウムの形態)
本発明で使用されるフッ化カリウムの形態は、反応が進行する限りはいずれの形態でもよく、当業者は適宜に選択できる。フッ化カリウムは通常に市販されているフッ化カリウムを直接用いることができ、溶媒に均一に溶解した状態、あるいは一部が溶解した状態でも使用可能である。当該フッ化カリウムには、反応有機溶媒への溶解、分散性の面から微粉体で比表面積が大きいスプレードライ製法によるフッ化カリウムが含まれる。
(フッ素化合物の使用量)
本発明におけるフッ素化合物の使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、式(2)のジハロゲン化アルキル化合物1.0モルに対して通常3.0モル以上、好ましくは3.0モル以上15.0モル以下、より好ましくは3.0モル以上12.0モル以下、更に好ましくは4.0モル以上9.0モル以下、更に好ましくは4.0モル以上7.0モル以下の範囲を例示できる。
(チオホスゲンの形態)
本発明で使用されるチオホスゲンの形態は、反応が進行する限りはいずれの形態でもよく、当業者は適宜に選択できる。チオホスゲンを滴下する際は、チオホスゲンを無溶媒で直接用いてもよく、また溶媒に溶解した状態で使用してもよい。チオホスゲンを溶媒に溶解した状態で使用する場合は、当業者は適宜に後述する溶媒から選択できる。ただし、チオホスゲンを後述する溶媒以外の溶液として入手した場合は、この限りではない。
(チオホスゲンの使用量)
本発明におけるチオホスゲンの使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、式(2)のジハロゲン化アルキル化合物1.0モルに対して通常0.9モル以上5.0モル以下、好ましくは1.0モル以上3.0モル以下、より好ましくは1.0モル以上2.0モル以下、更に好ましくは1.0モル以上1.5モル以下の範囲を例示できる。
(溶媒)
本発明は、好ましくは溶媒を使用して行われる。本発明で使用される溶媒は、反応が進行する限りはいずれの溶媒でもよい。本発明において使用される溶媒としては、例えば、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、イミダゾリノン類(例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は単独で、又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
反応性、収率及び経済効率等の観点から、本発明で使用される溶媒として好ましくはニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類が挙げられ、より好ましくはニトリル類が挙げられる。
本発明で使用される溶媒の具体的な例として、好ましくはアセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、モノグライム、ジグライム、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられ、より好ましくはアセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、更に好ましくはアセトニトリルが挙げられる。
本発明で使用されるアセトニトリルは、脱水されていることが好ましいが、脱水方法は当業者が適宜に調整することができる。
(溶媒の使用量)
本発明における溶媒の使用量は、反応が進行する限りはいずれの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、式(2)のジハロゲン化アルキル化合物1.0モルに対して、通常0.01〜50L(リットル)、好ましくは0.1〜15L、より好ましくは0.1〜10L、更に好ましくは0.1〜5Lの範囲を例示できる。
(反応温度)
本発明における反応温度は、反応が進行する限りはいずれの温度でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、反応温度としては通常50℃以上かつ使用される溶媒の沸点以下、好ましくは50℃以上110℃以下、より好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上90℃以下の範囲を例示できる。
(反応時間)
本発明における反応時間は、特に制限されない。本発明における反応時間は、当業者は、本発明の反応時間を適切に調整できる。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲を例示できる。ここで、「反応時間」とは、全量のチオホスゲンを添加した直後から反応を終了するまでの時間を意味する。本発明における反応時間は、未反応の原料が消費されるための熟成期間のことであり、チオホスゲンの添加時間とは区別される。
(主生成物)
本発明により製造される生成物は、式(1)で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物である。式(1)のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物としては、例えばクロロメチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモメチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロエチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモエチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロプロピル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモプロピル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロブチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモブチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘプチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモヘプチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロオクチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモオクチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロノニル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモノニル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロデシル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモデシル(トリフルオロメチル)スルフィド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(1)のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物として、好ましくはクロロプロピル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモプロピル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロブチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモブチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘプチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモヘプチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロオクチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモオクチル(トリフルオロメチル)スルフィド等が挙げられ、より好ましくはクロロペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド、ブロモヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド等が挙げられ、更に好ましくはクロロペンチル(トリフルオロメチル)スルフィド、クロロヘキシル(トリフルオロメチル)スルフィド等が挙げられる。
(副生成物)
本発明の製造方法では、条件によっては副生成物が生じる場合がある。副生成物としては、下記式(3)で表されるビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物を例示することができる。
Figure 0006660518
式(3)のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物は、式(1)の後工程であるアルキルフェニルスルフィド誘導体の製造において反応を阻害しない。式(1)の化合物は、アルキルフェニルスルフィド誘導体の製造の原料であり、後工程においてトリフルオロアルキルチオフェノール誘導体と反応する(後述する)が、この工程において、式(3)の化合物は反応を阻害することがない。したがって、本発明の製造方法は、式(3)の副生成物が残存していても、後工程において反応性を低下させることがないため、式(3)の化合物の除去や式(1)の化合物の精製を必ずしも行う必要がなく、より簡易に反応を進めることが可能となる。さらに、本発明では、原料としてチオホスゲンとフッ化カリウムのみ使用しているため、生成物に導入されなかった残りの部分は無機塩となり、水による洗浄操作で簡単に取り除ける。このため、非特許文献1,2のように、余分な有機化合物が残存することなく、後工程において悪影響をおよぼすおそれが少ないという利点もある。
3.チオホスゲンの添加条件
本発明は、一般式(2)の原料化合物とフッ素化合物とを含む原料混合物にチオホスゲンを45℃以上の添加温度かつ0.25時間以上の添加時間で添加することを特徴とする。以下、チオホスゲンの添加条件について詳細に説明する。
(添加方法)
原料混合物へのチオホスゲンの添加は、公知の方法で行うことができる。例えば、分液ロート、滴下ロート、ビュレット、シリンジ等を使用して反応系に滴下する方法などを挙げることができる。少量のチオホスゲンを時間かけて添加する場合は、シリンジとシリンジポンプを組み合わせて使用することが好ましい。大量のチオホスゲンを反応缶等に時間をかけて添加する場合は、定量ポンプ、滴下槽等を使用して反応系に滴下する方法などを挙げることができる。また、チオホスゲンの添加の際は、反応を進行させるためにスターラーなどで原料混合物を攪拌することが好ましい。
(添加温度)
本発明におけるチオホスゲンの添加温度は、45℃以上であれば当業者が適宜に調整することができる。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、添加温度としては、通常は45℃以上かつ使用される溶媒の沸点以下の範囲内であり、好ましくは50℃以上110℃以下の範囲、より好ましくは60℃以上100℃以下の範囲、更に好ましくは70℃以上90℃以下の範囲を例示できる。ここで、「添加温度」とは、チオホスゲンを添加した直後の反応系の温度を意味する。なお、原料混合物に対して一度に添加するチオホスゲンの量が相対的に少なければ、チオホスゲンの温度が反応系に与える影響が少ないと考えられるため、添加時の原料混合物の温度を添加温度とすることもできる。
(添加時間)
本発明におけるチオホスゲンの添加時間は、0.25時間(すなわち、15分間)以上であれば当業者が適宜に調整することができる。特に収率向上の観点から、本発明における添加時間の下限として、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1.0時間以上、更に好ましくは2.0時間以上、特に好ましくは3.5時間以上を例示できる。加えて、特に副生成物抑制及び経済効率等の観点から、本発明における添加時間の上限として、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下、更に好ましくは24時間以下、特に好ましくは12時間以下を例示できる。本発明における添加時間の範囲は、上記の下限と上限を組み合わせて当業者が適宜に調整することができる。添加時間の上限と下限の組み合わせとしては、例えば、好ましくは0.5時間〜48時間、より好ましくは1.0時間〜36時間、更に好ましくは2.0時間〜24時間、特に好ましくは3.5時間〜12時間を例示できる。しかし、本発明はこれら組みあわせによって何ら限定されるものではない。ここで、「添加時間」とは、チオホスゲンを反応系に添加し始めてから、全量を反応系に添加し終わるまでの時間を意味する。
チオホスゲンの添加時間としては、特に以下の条件が好ましい。
添加時間(h)×(添加温度(℃)−45)≧10
また、式(2)のジハロゲン化アルキル化合物1モルに対するチオホスゲンの添加速度が、10モル/時間以下であることが好ましい。
さらに、以下の条件でチオホスゲンを添加することが好ましい。
1≦前記添加速度(モル/時間)×(前記添加温度(℃)−45)≦400
4.本発明のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物について説明する。
本発明のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物は、上記式(1)で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物と、上記式(3)で表されるビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物と、を含有する。
式(3)のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物は、本発明の製造方法における副生成物であるが、式(1)の後工程であるアルキルフェニルスルフィド誘導体の製造において反応を阻害するものではないため、式(3)が含まれていても問題はない。本発明の組成物は、アルキルフェニルスルフィド誘導体において原料として使用することができる。
本発明の組成物において、式(3)の化合物の含有量は、式(1)の化合物の含有量に対して、重量基準で、通常は1倍以下であり、好ましくは0.1倍以下であり、より好ましくは0.01倍以下である。式(1)の化合物に対する式(3)の化合物の比率が1倍を超えると、副生成物の比率が高くなりすぎて、後工程においても式(1)の化合物の比率が低くなり、反応性が低下しやすい。
5.アルキルフェニルスルフィド誘導体の製造方法(後工程)について説明する。
式1のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物は、アルキルフェニルスルフィド誘導体の製造に使用することができる。アルキルフェニルスルフィド誘導体は、有害生物防除剤又はその中間体として有用である。アルキルフェニルスルフィド誘導体は、以下の式により製造することができる。
Figure 0006660518

(式中、mは0、1、2の整数を示し、
はC1〜C6ハロアルキル基(但し、2−ブロモエチル基を除く)、C2〜C8アルケニル基(但し、アリル基を除く)、C2〜C8ハロアルケニル基、C2〜C6アルキニル基、C2〜C6ハロアルキニル基、分岐鎖状のC4〜C6アルキル基(但し、イソブチル基を除く)、C3〜C6シクロアルキルC1〜C6アルキル基又はC3〜C6ハロシクロアルキルC1〜C6アルキル基を示し、
はハロゲン原子、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6ハロシクロアルキル基、C1〜C6アルコキシ基、C1〜C6ハロアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基を示し、
は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C6アルキル基又はC1〜C6ハロアルキル基を示す。)
上記の反応は塩基の存在下で行われる。上記の反応で使用される塩基は、反応が進行する限りはいずれの塩基でもよい。反応性、収率及び経済効率等の観点から、塩基の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。上記反応の塩基の好ましい具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムが挙げられ、より好ましくは炭酸ナトリウムが挙げられる。上記反応における塩基は、単独で又は任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。上記反応の塩基の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。
反応を促進するために、上記の反応を触媒量のヨウ化物類の存在下で行ってもよい。ヨウ化物類としては、例えば、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カリウムが挙げられ、好ましくはヨウ化ナトリウムが挙げられる。ヨウ化物類の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。
上記の反応は、好ましくは溶媒を使用して行われる。反応が進行する限りはいずれの溶媒でもよい。反応性、収率及び経済効率等の観点から、溶媒として好ましくはニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類が挙げられ、より好ましくは芳香族炭化水素類、アミド類が挙げられる。上記反応で使用される溶媒の具体的な例として、好ましくはアセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられ、より好ましくはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、又は任意の混合割合の混合溶媒として用いることができる。
溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。また、混合溶媒の比率は、反応が進行する限りは、いずれの比率でもよい。
上記の反応における反応温度は、反応が進行する限りは特に制限はない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、反応温度としては通常50℃以上かつ使用される溶媒の沸点以下、好ましくは50℃以上110℃以下、より好ましくは60℃以上100℃以下、更に好ましくは70℃以上90℃以下の範囲を例示できる。上記の反応における反応時間は、反応が進行する限りは特に制限はない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲を例示できる。
上記のアルキルフェニルスルフィド誘導体の製造方法においては、上記のように、式(3)のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物が混在していても反応を阻害するなどの影響がない。このため、本発明のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法で生じた副生成物のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物が混在していても、そのままアルキルフェニルスルフィド誘導体の製造に使用することができる。なお、本発明のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法ののちに、トリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を生成して副生成物のビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物を除去したのち、アルキルフェニルスルフィド誘導体の製造に使用してもよいことは言うまでもない。
次に、実施例を挙げて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
本明細書中、実施例及び参考製造例の各物性の測定には次の機器を用いた。
H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR))
Varian Mercury−300、内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析方法)
GC−2010(株式会社島津製作所製)、検出方法:FID
GC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な固定相液体に関しては、第66頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、中空キャピラリー分離カラムの具体的な使用方法に関しては、第124〜125頁を参照できる。)
(実施例1)
(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518
マグネチックスターラーを備えた反応フラスコに、1−ブロモ−5−クロロペンタン1.85g(10mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)2.32g(40mmol)及びアセトニトリル20mLを加えた。混合物を加熱還流下(反応系内の温度は82℃)で撹拌しながら、チオホスゲン1.38g(12mmol)を1時間かけて滴下した後、反応混合物を加熱還流下で1時間撹拌した。得られた反応溶液について、ビフェニルを内部標準物質としたGC内部標準法により分析したところ、(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの収率は90.0%、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンの収率は6.0%、未反応の原料である1−ブロモ−5−クロロペンタンの回収率は0.5%であった。得られた反応溶液の一部を当業者に周知の方法で単離・精製し、NMR測定に付して以下の通りのスペクトルが確認された。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):3.55(t,J=6.6Hz,2H),2.90(t,J=7.2Hz,2H),1.86−1.69(m,4H),1.62−1.54(m,2H)
(実施例2)
(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518
マグネチックスターラーを備えた反応フラスコに、1−ブロモ−5−クロロペンタン3.71g(20mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)4.65g(80mmol)及びアセトニトリル30mLを加えた。混合物を加熱還流下(反応系内の温度は82℃)で撹拌しながら、チオホスゲンの30%o−キシレン溶液9.20g(24mmol)を3時間かけて滴下した後、反応混合物を加熱還流下で1時間撹拌した。得られた反応溶液について、ビフェニルを内部標準物質としたGC内部標準法により分析したところ、(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの収率は89.5%、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンの収率は4.7%、未反応の原料である1−ブロモ−5−クロロペンタンの回収率は0.6%であった。
(実施例3)
(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518

攪拌機、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、1−ブロモ−5−クロロペンタン5.57g(30mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)6.97g(120mmol)、o−キシレン12mL及びアセトニトリル30mLを加えた。混合物を加熱還流下(反応系内の温度は90℃)で撹拌しながら、チオホスゲン4.14g(36mmol)を3時間かけて滴下した後、反応混合物を加熱還流下で1時間撹拌した。得られた反応溶液についてGC面積百分率法により分析したところ、反応溶液中の溶媒等を除く成分は、(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドは92.0%、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンは1.0%、未反応の原料である1−ブロモ−5−クロロペンタンは3.0%であった。
(比較例1)
(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518

攪拌機、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた四つ口反応フラスコに、1−ブロモ−5−クロロペンタン3.99g(20mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)4.65g(80mmol)及びアセトニトリル40mLを加えた。混合物を内温35℃で撹拌しながら、チオホスゲン2.76g(24mmol)を3時間かけて滴下した後、反応混合物を内温35℃で1時間撹拌した。得られた反応溶液についてGC面積百分率法により分析したところ、反応溶液中の溶媒等を除く成分は、(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドは9.9%、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンは0%、未反応の原料である1−ブロモ−5−クロロペンタンは88.6%であった。
(実施例4)
(6−クロロヘキシル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518
マグネチックスターラーを備えた反応フラスコに、1−ブロモ−6−クロロヘキサン2.00g(10mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)2.32g(40mmol)及びアセトニトリル20mLを加えた。混合物を加熱還流下(反応系内の温度は82℃)で撹拌しながら、チオホスゲン1.38g(12mmol)を1時間かけて滴下した後、反応混合物を加熱還流下で1時間撹拌した。得られた反応溶液についてGC面積百分率法により分析したところ、反応溶液中の溶媒等を除く成分は、(6−クロロヘキシル)トリフルオロメチルスルフィドが90.1%、1,6−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ヘキサンが3.0%、未反応の原料である1−ブロモ−6−クロロヘキサンが4.3%であった。得られた反応溶液の一部を当業者に周知の方法で単離・精製し、NMR測定に付して以下の通りのスペクトルが確認された。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):3.54(t,J=6.6Hz,2H),2.89(t,J=7.2Hz,2H),1.75(m,4H),1.47(m,4H)
(実施例5)
(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの製造
Figure 0006660518
マグネチックスターラーを備えた反応フラスコに、1,5−ジブロモペンタン2.30g(10mmol)、フッ化カリウム(スプレードライ品)2.32g(40mmol)及びアセトニトリル20mLを加えた。混合物を加熱還流下(反応系内の温度は82℃)で撹拌しながら、チオホスゲン1.38g(12mmol)を1時間かけて滴下した後、反応混合物を加熱還流下で1時間撹拌した。得られた反応混合物について、ビフェニルを内部標準物質としたGC内部標準法により分析したところ、(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの収率は45.2%、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンの収率は26.5%、未反応の原料である1,5−ジブロモペンタンの回収率は22.4%であった。得られた反応溶液の一部を当業者に周知の方法で単離・精製し、NMR測定に付して以下の通りのスペクトルが確認された。
((5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドのH−NMRシフト)
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):3.39(t,J=6.6Hz,2H),2.90(t,J=7.2Hz,2H),1.90(m,2H),1.74(m,2H),1.57(m,2H)
(1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンのH−NMRシフト)
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):2.89(t,J=7.2Hz,4H),1.74(quin,J=7.2Hz,4H),1.55(m,2H)
(実施例6、実施例7)
フッ化カリウム及びチオホスゲンの使用量を変更した以外は実施例5と同様の操作を行い、実施例6及び実施例7を実施した。結果を表1にまとめた。
Figure 0006660518
実施例5の結果は、アルキル鎖の両末端に臭素原子を有する1,5−ジブロモペンタンを原料として反応を行った場合、目的化合物である(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィド、アルキル鎖の両末端がトリフルオロメチルチオ化された1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタン及び未反応の原料である1,5−ジブロモペンタンの混合物が得られることを示している。
実施例6では、実施例5で使用した量の2倍のチオホスゲン及びフッ化カリウムを用いて反応を行ったところ、反応は速やかに進行し、1,5−ビス((トリフルオロメチル)チオ)ペンタンが定量的に得られた。
実施例7では、実施例5で使用した量の2分の1のチオホスゲン及びフッ化カリウムを用いて反応を行ったところ、(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドが収率73%で得られた。実施例7の結果は実施例5よりも良好な結果であるが、未反応の原料が51%残っている。
原料である1,5−ジブロモペンタンは公知物質であり、文献(例えば、the Journal of Organic Chemistry, 51(12), 2206−2210,(1986)等)や試薬カタログ等に、1,5−ジブロモペンタンの沸点が111−112℃/15mmHg、221℃/760mmHgであると記載されている。一方、(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの沸点を測定したところ、90℃/15mmHg(実測値)、210℃/760mmHg(計算値)であった。
以上のように、1,5−ジブロモペンタンと(5−ブロモペンチル)トリフルオロメチルスルフィドの沸点は非常に近く、蒸留操作による単離精製は困難である。したがって、実施例1から4のように未反応の原料を低減させることが工業的製造の面から好ましい。
(参考製造例1)
5−トリフルオロメチルチオペンチル[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテルの製造
Figure 0006660518
マグネチックスターラーを備えた反応容器に、純度77.1%の4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェノール10.1g(30mmol)、純度88.2%の(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィド7.7g(33mmol)、炭酸ナトリウム3.5g(33mmol)、ヨウ化ナトリウム0.45g(3mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを加え、混合物を90℃で8時間撹拌した。反応の終了を確認した後、反応混合物を冷却し、25%水酸化ナトリウム水溶液4.8g及び水30mLを加え、ジクロロメタン15mLで抽出した。有機層と水に分配し、5−トリフルオロメチルチオペンチル[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテルをジクロロメタン溶液31.9gとして得た。得られたジクロロメタン溶液についてLC絶対検量線法により分析したところ、純度36.6%、収率90.3%であった。得られたジクロロメタン溶液の一部を当業者に周知の方法で単離・精製し、NMR測定に付して以下の通りのスペクトルが確認された。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):7.23(d,J=3.9Hz,1H),7.20(d,J=6.0Hz,1H),4.03(t,J=6.3Hz,2H),3.41(q,J=9.9Hz,2H),2.92(t,J=7.2Hz,2H),1.90−1.74(m,4H),1.66−1.58(m,2H)
溶媒の種類と使用量を変更した以外は参考製造例1と同様の操作を行い、参考製造例2、3、4及び5を実施した。結果を表2にまとめた。
Figure 0006660518
本発明によれば、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基を、他方の末端にハロゲン原子を有するアルキル化合物の工業的に好ましい製造方法が提供される。
本発明によれば、目的化合物製造までに多くの工程を必要としない、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ基、他方の末端にハロゲン原子を有するアルキル化合物の工業的に好ましい製造方法が提供される。
本発明によれば、特殊な触媒、特殊な配位子、特殊な反応装置等を必要としない、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ、他方の末端にハロゲン原子を有するアルキル化合物の工業的に好ましい製造方法が提供される。
本発明によれば、目的化合物が高収率で得られる、アルキル鎖の一方の末端にトリフルオロメチルチオ、他方の末端にハロゲン原子を有するアルキル化合物の工業的に好ましい製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、医農薬及びその中間体として有用なトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物を工業的規模で製造できる。
例えば、実施例1で製造した(5−クロロペンチル)トリフルオロメチルスルフィドは、参考製造例1に記載の方法に従って5−トリフルオロメチルチオペンチル[4−クロロ−2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル]エーテルとした後、国際公開第2013/157229号公報等に開示されている酸化反応を行うことで、優れた有害生物防除活性を有する化合物へと誘導できる。
したがって、本発明は、高い工業的利用価値を有する。

Claims (11)

  1. 式(1):
    Figure 0006660518

    (式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)
    で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法であって、
    式(2):
    Figure 0006660518

    (式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、X及びnは前記で定義したとおりである。)
    で表されるジハロゲン化アルキル化合物とフッ素化合物の存在下、45℃以上で加熱しながらチオホスゲンを添加することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  2. とXが互いに異なるハロゲン原子であり、Xの原子番号がXの原子番号よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  3. は、塩素原子又は臭素原子を示し、
    は、臭素原子又はヨウ素原子を示し、
    nは5又は6を示すことを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  4. は、塩素原子を示し、
    は、臭素原子を示し、
    nは5又は6を示すことを特徴とする請求項3に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  5. チオホスゲンの添加が60℃以上100℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  6. 反応に使用されるフッ素化合物がフッ化テトラアルキルアンモニウム塩、フッ化アルカリ金属塩又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  7. 前記式(2)の化合物1.0モルに対して3.0モル以上12.0モル以下の範囲のフッ素化合物を使用することを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  8. 前記式(2)の化合物1.0モルに対して1.0モル以上3.0モル以下の範囲のチオホスゲンを使用することを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  9. 反応が60℃以上100℃以下の範囲の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  10. 反応に使用される溶媒がニトリル類、エーテル類、アミド類、芳香族炭化水素類又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の製造方法。
  11. 式(1):
    Figure 0006660518

    (式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群より選択されるハロゲン原子を示し、nは1から10の範囲の整数を示す。)
    で表されるトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物と、
    式(3):
    Figure 0006660518

    で表されるビス(トリフルオロメチルチオ)アルキル化合物と、を含有することを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物であって、
    前記式(3)の化合物の含有量は、前記式(1)の化合物の含有量に対して、重量基準で0.1倍以下であることを特徴とするトリフルオロメチルチオアルキルハライド化合物の組成物
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