JP6789526B2 - ニトロベンゼン化合物を製造する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般式(1):
Figure 0006789526
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
のニトロベンゼン化合物の製造方法に関する。
一般式(1)のニトロベンゼン化合物は、種々の有益な有機化合物を製造する中間体として有用である。特に、2,6−ジクロロニトロベンゼン(特許文献1及び2参照)及び2−クロロ−6−アルコキシカルボニルニトロベンゼン類(特許文献3及び4参照)は、医薬及び農薬等を製造する中間体として知られている。
一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法として、アニリン化合物のジアゾ化とそれに続くニトロ化からなる製造方法が知られている(特許文献5及び非特許文献1参照)。しかし、この方法にはいくつかの問題点があった。一つの問題は、溶媒として大量の水を使用するために、経済効率が低いことである。他の問題はジニトロ化合物が副生することである。ここで、ジニトロ化合物とはジニトロベンゼン化合物である。すなわち、ジニトロ化合物とは、ベンゼン環上に2個のニトロ基を有する化合物である。当該ジニトロ化合物は極めて危険であることが一般に知られている。少量でさえも当該ジニトロ化合物が生成することは工業的に好ましくない。つまり、副生するジニトロ化合物の量を減らす方法が望まれていた。
一方で、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法として、アニリン化合物を過酸化水素により酸化する方法も知られている(特許文献6参照)。この方法では、工業的な実施の操作において安全を保つために注意を必要とする過酸化水素を使用する。特許文献6に記載された方法は、特許文献6以前に知られていた従来技術よりも優れているが、過酸化水素を使用する点で未だ改善の余地がある。
また、本発明者らは、アニリン誘導体を亜硝酸の金属塩と酸の存在下で反応させた後、得られる生成物又は生成物を含有する反応混合物を、亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下でさらに反応させ、反応に使用される水の総量が原料のアニリン誘導体1モルに対して1.2〜2.2Lであることを特徴とする、対応するニトロベンゼン誘導体の製造方法を開発してきた(特許文献7参照)。この方法は、副生する危険なジニトロ化合物の量を減らすことができ安全性が改善され、かつ過酸化水素を使用しない方法であることから、工業化に適した製造方法であるだけでなく、使用する亜硝酸の金属塩の量を大幅に減らすことができ、さらに使用する水の量も減らすことができることから、経済効率が良く工業的な製造方法として極めて優れた方法であった。
特表2005−533756号公報 特表2008−537953号公報 国際公開第2005/081960号公報 米国特許第5084086号明細書 特許第2606291号公報 国際公開第2013/005425号公報 国際公開第2014/208296号公報
Transactions of Tianjin University,2002年,8巻,1号,40−41頁
本発明の目的は、一般式(1)で表されるニトロベンゼン化合物の工業的な製造方法として、さらに改善された優れた方法を提供することにある。
特許文献7に開示された方法は、工業的な製造方法として優れた方法であるが、操業の安全性や収率等において必ずしも十分であるとはいえず、本発明の目的はこれらの点が改善された方法を提供することにある。
特許文献7には、酸としては塩酸が好ましいことが記載されているが、酸として塩酸を用いた場合であっても、反応工程中の熱暴走を抑制することが十分ではなく、より安全な方法の開発が望まれた。さらに酸として塩酸を用いた場合であっても、収率は90%程度が限界であり、この点からもより優れた方法が望まれていた。
そこで、本発明者らは一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法についてさらに鋭意研究してきた。その結果、意外にも、酸として硝酸を使用することにより、反応工程中の熱暴走をより抑制することができ、安全な工業的な製造方法を提供できるだけでなく、収率を著しく改善することができることを見出した。本発明は、酸として塩酸や硫酸などではなく、硝酸を使用する、即ち、一般式(2):
Figure 0006789526
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるアニリン化合物を亜硝酸の金属塩と硝酸の存在下で反応させた後、得られる生成物又は生成物を含有する反応混合物を、亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下でさらに反応させ、反応に使用される水の総量が一般式(2)で表される化合物1モルに対して1.2〜2.2Lであることを特徴とする、一般式(1):
Figure 0006789526
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法により、前記課題が解決可能であることが見出された。本発明者らはこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕一般式(1):
Figure 0006789526
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法であって、以下の工程:
(i) 一般式(2):
Figure 0006789526
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
で表されるアニリン化合物を、亜硝酸の金属塩と、硝酸の存在下で反応させる工程;
(ii) 工程(i)の生成物又は生成物を含有する反応混合物(以下、工程(i)の生成物という。)を、亜硝酸の金属塩と、銅化合物の存在下で反応させる工程、
を含む方法。
〔2〕工程(ii)が、水の存在下で反応させる工程であり、工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜2.2Lである、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)の化合物1モルに対して1.2〜1.9Lである、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕工程(i)又は工程(ii)における亜硝酸の金属塩が、亜硝酸のアルカリ金属塩又は亜硝酸のアルカリ土類金属塩である、前記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕工程(i)で使用される亜硝酸の金属塩の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して1.0〜10.0モルである、前記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕工程(i)で使用される亜硝酸の金属塩の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して1.0〜3.0モルである、前記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して1.0〜10.0モルである、前記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して1.0〜3.0モルである、前記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕工程(ii)で使用される銅化合物の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して0.01〜5.0モルである、前記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕工程(ii)で使用される銅化合物の量が、一般式(2)の化合物1モルに対して0.01〜0.5モルである、前記〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕工程(ii)における銅化合物が、酸化銅、銅(I)塩、又は銅(II)塩である、前記〔1〕から〔10〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕工程(i)の生成物を、塩基を用いてpHを調整する工程を含む、前記〔1〕から〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる1種又はこれらの混合物である、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕塩基が、炭酸水素ナトリウムである、前記〔12〕又は〔13〕に記載の方法。
〔15〕塩基により調整されたpHが、0.5〜3.0である、前記〔12〕から〔14〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕塩基により調整されたpHが、0.6〜2.0である、前記〔12〕から〔14〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕工程(i)の生成物、又は当該工程(i)の生成物のpHが塩基により調整された生成物が、有機溶媒で洗浄される工程を含む、前記〔1〕から〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕有機溶媒が、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼンからなる群から選ばれる1種又はこれらの混合物である、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕有機溶媒が、トルエンである、前記〔17〕又は〔18〕に記載の方法。
〔20〕工程(ii)が、さらに塩基の存在下で行われる、前記〔1〕から〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔21〕塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる1種又はこれらの混合物である、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕塩基が、炭酸水素ナトリウムである、前記〔20〕又は〔21〕に記載の方法。
〔23〕工程(ii)が、有機溶媒を含有する含水溶媒系で行われる、前記〔1〕から〔22〕のいずれか一項に記載の方法。
〔24〕有機溶媒が、イソブチルメチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びジクロロメタンからなる群から選ばれる1種又はこれらの混合物である、前記〔23〕に記載の方法。
〔25〕有機溶媒が、トルエンである、前記〔23〕又は〔24〕に記載の方法。
〔26〕R、R及びRが水素原子である、前記〔1〕から〔25〕のいずれか一項に記載の方法。
〔27〕Rがハロゲン原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、前記〔1〕から〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔28〕Rが塩素原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕Rが塩素原子であり、Rがメトキシカルボニルである、前記〔28〕に記載の方法。
〔30〕Rがハロゲン原子であり、Rがハロゲン原子である、前記〔1〕から〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔31〕Rが塩素原子であり、Rが塩素原子である、前記〔30〕に記載の方法。
本発明によれば、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の工業的に優れた製造方法が提供される。
本発明の方法は、特許文献7に記載の方法において、酸として硝酸を使用することを特徴とするものであり、過酸化水素を使用しない方法であること、及び使用する水の量を調整することにより副生する危険なジニトロ化合物の量を減らすことができ安全性が改善されていること、また廃棄物の量を減らすことができるなどの優れた特徴を有し、簡便な操作により、穏やかな条件下で、特殊な反応装置を用いることなく、実施できるという、特許文献7に開示の優れた効果を備えている。
さらに本発明の方法は、酸として硝酸を使用することにより、工程中における熱暴走を抑制することができるだけでなく、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の収率にも優れているという、特に優れた効果を奏する。
したがって、本発明の方法は、特許文献7に開示の方法が、更に改善された方法を提供するものであり、工業生産に適した安全で安定した操業が可能な方法であるだけでなく、高収率で高純度の一般式(1)のニトロベンゼン化合物を効率的に製造することができる方法であり、さらに本発明の方法は、環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において用いられる用語及び記号について以下に説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくはフッ素原子、塩素原子、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
「C〜C」とは炭素原子数がa〜b個であることを意味する。例えば、「C〜Cアルキル基」の「C〜C」とは、アルキル基の炭素原子数が1〜4であることを意味する
アルキル基としては、例えば、C〜Cアルキル基が挙げられる。C〜Cアルキル基としては、具体的には例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、より好ましくはメチル、エチル、さらに好ましくはメチルが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、C〜Cアルコキシカルボニル基が挙げられる。C〜Cアルコキシカルボニル基としては、具体的には例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなどが挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、より好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、さらに好ましくはメトキシカルボニルが挙げられる。
(工程(i))
まず、工程(i)について説明する。
工程(i)は、一般式(2):
Figure 0006789526
(式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
で表されるアニリン化合物を、亜硝酸の金属塩、及び硝酸の存在下で反応させる工程である。
(原料;一般式(2)のアニリン化合物)
本発明の方法の原料として、上記一般式(2)のアニリン化合物を用いる。一般式(2)のアニリン化合物は公知の化合物であるか、あるいは、公知の化合物から公知の方法により製造することができる化合物である。一般式(2)のアニリン化合物としては、具体的には例えば、
2,6−ジクロロアニリン、
2,6−ジブロモアニリン、
2,6−ジフルオロアニリン、
2−クロロ−6−フルオロアニリン、
2−ブロモ−6−クロロアニリン、
2−クロロ−6−ヨードアニリン、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸エチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸ブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸イソブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸sec−ブチル、
2−アミノ−3−クロロ安息香酸tert−ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸エチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸イソブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸sec−ブチル、
2−アミノ−3−フルオロ安息香酸tert−ブチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸メチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸エチル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸プロピル、
2−アミノ−3−ブロモ安息香酸イソプロピル、
2−アミノ−3−ヨード安息香酸メチル、
2−アミノ−3−ヨード安息香酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。加えて、一般式(2)のアニリン化合物は、塩酸、硫酸、又は硝酸等の酸との塩であってもよい。
(工程(i)における亜硝酸の金属塩)
工程(i)で使用できる亜硝酸の金属塩としては、亜硝酸のアルカリ金属塩(例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等)、亜硝酸のアルカリ土類金属塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、入手性、及び反応性等の観点から、亜硝酸のアルカリ金属塩が好ましく、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムがより好ましく、亜硝酸ナトリウムがさらに好ましい。
また、工程(i)で使用される亜硝酸の金属塩は、後述する工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩と別のものを使用してもよく、同じものを使用してもよい。すなわち、工程(i)で使用される亜硝酸の金属塩と工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩は、同一でも異なっていてもよい。
亜硝酸の金属塩の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。亜硝酸の金属塩の形態としては、例えば、亜硝酸の金属塩のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、亜硝酸のアルカリ金属塩は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(i)における亜硝酸の金属塩の使用量)
亜硝酸の金属塩の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。
収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1.0〜10.0モル、好ましくは1.0〜5.0モル、より好ましくは1.0〜3.0モル、さらに好ましくは1.0〜2.0モル、特に好ましくは1.0〜1.2モルの範囲を例示できる。
(工程(i)における酸)
本発明の方法は、工程(i)で使用する酸として硝酸を使用することを特徴としている。硝酸としては硝酸水溶液を使用するのが好ましい。硝酸水溶液における硝酸の濃度は特に制限はないが、通常は硝酸の濃度が30%〜90%、好ましくは共沸混合物となる68%〜70%程度のものが使用される。
本発明の方法における硝酸は、他の酸、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸などと組み合わせて使用することを排除するものではないが、通常は硝酸を単独で使用するのが好ましい。
(工程(i)における硝酸の使用量)
硝酸の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1〜3モルの範囲を例示できる。
(工程(i)の溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、工程(i)の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程(i)の溶媒は、工程(i)の反応が進行してかつ工程(ii)の反応へ悪影響を及さない限りは、如何なる溶媒でもよい。価格及び取り扱いの容易さ等の観点から、工程(i)の溶媒は特に好ましくは水である。
しかしながら、所望の反応が進行する限りは、後述する水以外の溶媒を排除するものではない。例えば、所望の反応が進行する限りは、水と水以外の溶媒を用いることもできる。工程(i)に用いることができる水以外の溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カルボン酸類(例えば、酢酸等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、工程(i)の水以外の溶媒の好ましい例としては、アルコール類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、スルホキシド類、ケトン類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類などが挙げられ、より好ましくはケトン類が挙げられる。
工程(i)の水以外の溶媒の具体的な好ましい例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジブチルエーテル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタンなどが挙げられ、より好ましくはイソブチルメチルケトン(MIBK)が挙げられる。
(工程(i)の溶媒の使用量)
工程(i)の溶媒の使用量としては、反応系の撹拌が充分にできる限りは何れの量でもよい。反応性、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、工程(i)で使用される水の総量が通常0.1〜1.5L(リットル)、好ましくは0.3〜1.3L、より好ましくは0.4〜1.2Lの範囲を例示できる。ここで、工程(i)で使用される水の総量とは、工程(i)の反応が終了したときに、反応系内に存在する全ての水の量である。したがって、溶媒として添加した水の量だけでなく、硝酸や亜硝酸の金属塩を水溶液として添加した場合の水の量も加算されることになる。例えば、工程(i)で使用される水の総量には、工程(i)で使用される硝酸の水溶液中の水の量、及び亜硝酸の金属塩の水溶液中の水の量などが含まれる。さらに、同様の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、水以外の上記した溶媒の量が通常0(ゼロ)〜5L(リットル)、好ましくは0〜1Lの範囲を例示できる。なお、水及び水以外の溶媒を組み合わせて使用するときは、水及び水以外の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。水以外の2種以上の溶媒を用いるときは、水以外の2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。しかしながら、溶媒として水を単独で使用するか、水と混和しない有機溶媒との組み合わせで使用することが特に好ましい。
(工程(i)の反応温度)
工程(i)における反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常−30℃(マイナス30℃)〜50℃、好ましくは−20℃〜25℃、より好ましくは−10℃〜10℃、更に好ましくは-5℃〜5℃の範囲を例示できる。
(工程(i)の反応時間)
工程(i)における反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常は0.1時間〜48時間、好ましくは0.1時間〜24時間、より好ましくは0.1時間〜12時間、更に好ましくは0.1時間〜3時間の範囲を例示できる。
(工程(i)の生成物)
工程(i)の生成物は、原料として用いた一般式(2)のアニリン化合物に相当するジアゾニウム塩である。一般にジアゾニウム塩は当業者によく知られた化合物である。
本発明における「工程(i)の生成物」とは、工程(i)の反応生成物を精製・単離した物質のみならず、未精製の粗生成物、及び工程(i)の反応生成物を含有する反応混合物を包含している。このような混合物としては、例えば、工程(i)の反応混合物そのものであってもよいし、当該反応混合物のうちの工程(i)の反応生成物が含有されている層、例えば水層部分だけであってもよい。このような混合物は必要に応じて、さらに精製された混合物であってもよい。
工程(i)の反応混合物の水層部分だけを、次の工程(ii)に使用する場合には、工程(i)の反応混合物を水と混和しない有機溶媒で洗浄するのが好ましい。水と混和しない有機溶媒としては、例えば、エーテル類(例えば、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル等)、ケトン類(例えば、イソブチルメチルケトン(MIBK)等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、水と混和しない有機溶媒の好ましい例としては、エーテル類、ケトン類、カルボン酸エステル類、芳香族炭化水素誘導体類などが挙げられ、より好ましくは芳香族炭化水素誘導体類が挙げられる。
水と混和しない有機溶媒の具体的な好ましい例としては、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、イソブチルメチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられ、より好ましくはトルエンが挙げられる。
使用される有機溶媒の量としては、洗浄できる量であれば特に制限はないが、好ましくは一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、50mL〜300mL、より好ましくは100mL〜200mL程度である。
工程(i)の反応混合物を有機溶媒で洗浄する際に、工程(ii)において必要とされる水を同時に添加しておいてもよい。即ち、水に混和しない有機溶媒と水を同時に加えて、洗浄することもできる。
有機溶媒による洗浄は、工程(i)の反応混合物又は工程(i)の反応混合物に塩基を添加してpHが調整された後の反応混合物に、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物を加えた後、有機層と水層を分配し、水層を分離することにより行うことができる。
(塩基の使用)
本発明の方法は、工程(i)の反応の終了後又は工程(ii)の反応の開始前の混合物などに塩基を加えてもよい。言い換えれば、必要に応じて塩基を加えることにより工程(ii)の反応系のpHを調整してもよい。工程(ii)の反応が円滑に進行する限りは、塩基の添加、すなわちpHの調整は行ってもよく、また行わなくてもよい。また、工程(ii)反応が円滑に進行する限りは、当該塩基の添加はいつ行ってもよく、どこで(いずれの反応容器等で)行ってもよい。
塩基の添加により調整されるpHの範囲としては、反応が円滑に進行する限りは特に制限はないが、好ましくはpH0.5〜3.0の範囲、より好ましくはpH0.6〜2.0の範囲が例示できる。
(塩基)
上記の塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム等)、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム等)、リン酸水素塩(例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素カルシウム等)、カルボン酸アルカリ金属塩(例えば、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、カルボン酸アルカリ土類金属塩(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等)、アンモニア等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、当該塩基の好ましい例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられ、より好ましくはアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。
当該塩基の具体的な例としては、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられ、より好ましくは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられ、さらに好ましくは炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
当該塩基の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。当該塩基の形態としては、例えば、塩基のみの固体若しくは液体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、当該塩基は単独で又は2種以上を任意の割合で混用しても良い。
(塩基の使用量)
上記塩基の使用量は、必要に応じて、当業者が検討して決定できるものである。上記塩基の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)〜5モル、好ましくは0〜1モル、より好ましくは0〜0.6モルの範囲を例示できる。
(工程(ii))
次に、工程(ii)について説明する。
工程(ii)は、工程(i)の生成物を亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下で反応させて、次の一般式(1):
Figure 0006789526
(式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
の化合物を製造する工程である。
(工程(ii)における亜硝酸の金属塩)
工程(ii)で使用できる亜硝酸の金属塩としては、亜硝酸のアルカリ金属塩(例えば、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等)、亜硝酸のアルカリ土類金属塩(例えば、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。価格、入手性、及び反応性等の観点から、亜硝酸のアルカリ金属塩が好ましく、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムがより好ましく、亜硝酸ナトリウムがさらに好ましい。
亜硝酸の金属塩の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。亜硝酸の金属塩の形態としては、例えば、亜硝酸の金属塩のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、亜硝酸のアルカリ金属塩は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(ii)における亜硝酸の金属塩の使用量)
亜硝酸の金属塩の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常1.0〜10.0モル、好ましくは1.0〜7.0モル、より好ましくは1.0〜5.0モル、さらに好ましくは1.0〜3.0モルの範囲を例示できる。
(工程(ii)における銅化合物)
工程(ii)では、触媒として銅化合物を使用することが好ましい。工程(ii)で使用できる銅化合物としては、一般にザンドマイヤー反応(Sandmeyer reaction)の触媒として知られる銅化合物が挙げられる。さらには、Hantzschらの方法の触媒が挙げられる。当該銅化合物としては、例えば、酸化銅、銅(I)塩、銅(II)塩、銅(I)及び銅(II)からなる複塩、銅粉等が挙げられる。酸化銅としては、例えば、酸化銅(I)、酸化銅(II)が挙げられる。銅(I)塩としては、例えば、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、炭酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、シアン化銅(I)等が挙げられる。銅(II)塩としては、例えば、硫酸銅(II)、亜硫酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、シアン化銅(II)等が挙げられる。銅(I)及び銅(II)からなる複塩としては、例えば、Hantzschらの方法の触媒である亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)等が挙げられる。
工程(ii)で使用できる銅化合物の具体的な例としては、好ましくは酸化銅(I)、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)、炭酸銅(I)、銅粉等が挙げられ、より好ましくは酸化銅(I)、硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)、銅粉などが挙げられ、さらに好ましくは酸化銅(I)、亜硫酸銅(I)銅(II)(cupro−cuprisulfite)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のように、銅化合物は単塩でも複塩でもよい。さらに、銅化合物は無水物でも水和物でもよい。また、銅化合物の形態は、反応が進行する限りは如何なる形態でもよい。銅化合物の形態としては、例えば、銅化合物のみの固体、又は任意の濃度の水溶液若しくは水以外の溶媒の溶液等を挙げられる。また、銅化合物は単独で又は2種以上を任意の割合で混用してもよい。
(工程(ii)における銅化合物の使用量)
銅化合物の使用量は、反応が進行する限りは何れの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率及び安全性等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、通常0.01〜5.0モル、好ましくは0.01〜1.0モル、より好ましくは0.01〜0.5モルの範囲を例示できる。
(工程(ii)の溶媒)
反応の円滑な進行等の観点から、工程(ii)の反応は溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程(ii)の溶媒は、工程(ii)の反応が進行する限りは、如何なる溶媒でもよい。工程(ii)に用いることができる溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、トリグリム(triglyme)等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチルピロリドン(NMP)等)、アルキル尿素類(例えば、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カルボン酸類(例えば、酢酸等)、芳香族炭化水素誘導体類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(例えば、ジクロロメタン等)などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を任意の割合で混合した混合溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
価格、取り扱いの容易さ、反応性及び収率等の観点から、工程(ii)の反応は水の存在下で実施することが好ましい。工程(ii)の溶媒の好ましい例としては、水単独、水とケトン類の組み合わせ、水とカルボン酸エステル類の組み合わせ、水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせ、水とハロゲン化脂肪族炭化水素類の組み合わせ、より好ましくは水単独、水とケトン類の組み合わせ、水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせ、さらに好ましくは水と芳香族炭化水素誘導体類の組み合わせが挙げられる。
工程(ii)の溶媒の具体的な例としては、好ましくは、水単独、水とイソブチルメチルケトン(MIBK)の組み合わせ、水と酢酸エチルの組み合わせ、水と酢酸ブチルの組み合わせ、水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロメタンの組み合わせなどが挙げられ、より好ましくは水単独、水とイソブチルメチルケトン(MIBK)の組み合わせ、水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせなどが挙げられ、さらに好ましくは水とトルエンの組み合わせ、水とキシレンの組み合わせ、水とクロロベンゼンの組み合わせ、水とジクロロベンゼンの組み合わせなどが挙げられ、特に好ましくは水とトルエンの組み合わせが挙げられる。
(工程(ii)の溶媒の使用量)
工程(ii)の溶媒の使用量としては、反応系の撹拌が充分にできる限りは何れの量でもよい。工程(ii)の反応が水の存在下で実施される場合において、反応性、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、工程(ii)で使用される水の総量が好ましくは1.2〜2.2L(リットル)、より好ましくは1.2〜1.9Lの範囲を例示できる。ここで、工程(ii)で使用される水の総量とは、工程(ii)の反応が終了したときに、反応系内に存在する全ての水の量である。したがって、工程(ii)で添加した水の量だけでなく、酸や亜硝酸の金属塩を水溶液として使用する場合の水の量も加算されることになる。さらには、工程(i)の反応混合物をそのまま使用する場合には、当該反応混合物中の水の量も加算されることになる。例えば、工程(ii)で使用される水の総量には、工程(ii)で使用される亜硝酸の金属塩の水溶液中の水、塩基の水溶液中の水が加算されるし、さらに工程(i)の反応混合物をそのまま使用した場合には、工程(i)の水の総量も加算されることになる。さらに、同様の観点から、一般式(2)のアニリン化合物1モルに対して、水以外の上記した溶媒の量が通常0(ゼロ)〜5L(リットル)、好ましくは0.1〜1L、より好ましくは0.2〜0.9Lの範囲を例示できる。なお、水及び水以外の溶媒を組み合わせて使用するときは、水及び水以外の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。水以外の2種以上の溶媒を用いるときは、水以外の2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りはいずれの割合でもよい。
(工程(ii)の反応温度)
工程(ii)における反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常−30℃(マイナス30℃)〜70℃、好ましくは−20℃〜50℃、より好ましくは−10℃〜35℃、さらに好ましくは−5℃〜10℃の範囲を例示できる。
(工程(ii)の反応時間)
工程(ii)における反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制及び経済効率等の観点から、通常は0.1時間〜48時間、好ましくは0.1時間〜24時間、より好ましくは0.5時間〜12時間、さらに好ましくは0.5時間〜1時間の範囲を例示できる。
(工程(ii)の生成物;一般式(1)のニトロベンゼン化合物)
工程(ii)で得られる一般式(1)のニトロベンゼン化合物としては、具体的には例えば、
2,6−ジクロロニトロベンゼン、
2,6−ジブロモニトロベンゼン、
2,6−ジフルオロニトロベンゼン、
2−クロロ−6−フルオロニトロベンゼン、
2−ブロモ−6−クロロニトロベンゼン、
2−クロロ−6−ヨードニトロベンゼン、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸エチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸プロピル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸ブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸イソブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸sec−ブチル、
3−クロロ−2−ニトロ安息香酸tert−ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸エチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸プロピル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸イソブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸sec−ブチル、
3−フルオロ−2−ニトロ安息香酸tert−ブチル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸エチル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸プロピル、
3−ブロモ−2−ニトロ安息香酸イソプロピル、
3−ヨード−2−ニトロ安息香酸メチル、
3−ヨード−2−ニトロ安息香酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

工程(ii)の反応混合物から、目的の一般式(1)のニトロベンゼン化合物を分離・精製することにより、目的の化合物を得ることができる。分離・精製の手段としては、通常の手段、例えば、不溶物の濾別、抽出法、蒸留法、再結晶法、クロマトグラフィー法などが挙げられる。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)により、反応混合物中の目的化合物の量を知ることもできる。
(工程(i)と工程(ii)の収率)
本発明の方法の工程(i)と工程(ii)を通した収率としては、酸として硝酸を使用することにより、90%以上とすることができる。より具体的には、95%以上とすることもできる。このような収率の飛躍的な向上は、転化率の向上だけでなく、選択率も向上したためと考えられる。
工程(i)と工程(ii)を通した収率は、原料としての一般式(2)のアニリン化合物のモル数に対する、得られる一般式(1)のニトロベンゼン化合物のモル数から計算することができる。すなわち、この収率は次の式で表される;
収率(%)=100×{(得られた一般式(1)のニトロベンゼン化合物のモル数)/(原料としての一般式(2)のアニリン化合物のモル数)}
(工程(i)で生成したジアゾニウム塩の安全性)
工程(i)で生成したジアゾニウム塩の安全性について検討した。即ち、酸として硝酸を使用した本発明の方法に従って生成したジアゾニウム塩(後記する実施例2及び3参照)と、酸として塩酸を使用した場合の方法に従って生成したジアゾニウム塩(後記する比較例1及び8参照)における、発熱開始温度(℃)、滞留温度(T)を保ち続けた時の熱暴走が生じるまでにかかる時間(TでのTMR(hr))、及び熱暴走が生じるまでにかかる時間が24時間となる温度(ADT24(℃))を、示差走査熱量測定法及び加速速度熱量測定法による測定値又は当該測定値から算出した。TMR測定時の滞留温度(T)は、実際の操作時の温度を参考にして、実施例2及び比較例1の滞留温度を5℃、実施例3及び比較例8の滞留温度を0℃に設定した。
次に、実施例2と比較例1の測定結果を例に挙げて説明する。発熱開始温度(℃)は、硝酸を使用した実施例2では、137.25℃であったが、塩酸を使用した比較例1では、114.51℃であった。工程(ii)の反応温度は通常5℃以下で十分であり、高くても30℃程度であるから、発熱開始温度との差は十分であると考えられるが、本発明の硝酸を使用した方法の方が発熱開始温度が高く、より安全性のある方法であることが判明した。
また、TでのTMR(hr)は、本発明の硝酸を使用した実施例2では、2385.6時間であったが、塩酸を使用した比較例1では、255.3時間であった。本発明の工程(ii)の反応温度は5℃で十分であり、また反応時間は0.5時間程度であれば十分であることからすれば、本発明の硝酸を使用した実施例2が熱暴走にいたるまでには4000倍以上の時間が必要であると考えられる。一方、塩酸を使用した比較例1では、約500倍程度の時間で熱暴走が起こる可能性があることになり、このような熱暴走に至るまでの時間の点からも、本発明の方法の方がはるかに高い安全性があることが確認された。
さらに、ADT24(℃)は、本発明の硝酸を使用した実施例2では、63.2℃であったのに対して、塩酸を使用した比較例1では38.8℃であった。工程(ii)の反応温度が5℃であった場合には、本発明の硝酸を使用した実施例2では、温度が5℃から58.2℃上昇した場合(温度が12.6倍になった場合)に24時間後に熱暴走が起こる可能性があることになるが、塩酸を使用した比較例1では、温度が5℃からわずか33.8℃上昇した場合(温度が7.8倍になった場合)に24時間後に熱暴走が起こる可能性が有ることになる。このような温度上昇の点からしても、硝酸を使用した実施例2の方が、塩酸を使用した比較例1に対して約2倍程度のより高い安全性が有ることが確認された。
これらのことから、本発明の硝酸を使用した方法が、特許文献7に開示されている塩酸を使用した方法に比べて、収率の改善だけでなく、操業の安全性の観点からも大幅な改善が見られることが判明した。硝酸の使用は、ジニトロ化合物の副生を増加させ反応の安全性を低下させると予想されるところ、本発明の硝酸を使用した方法が塩酸を使用する方法より高い安全性を有するという結果は全く予想外であった。
次に、実施例を挙げて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例において、室温とは、通常10℃〜35℃の範囲である。
本明細書中、実施例及び比較例の各物性の測定には次の機器を用いた。
H核磁気共鳴スペクトル(H−NMR);Varian Mercury−300、内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
(ガスクロマトグラフィー(GC)分析方法);GC−2010(株式会社島津製作所製)、検出方法:FID
GC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第60〜86頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な固定相液体に関しては、第66頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第121〜129頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、中空キャピラリー分離カラムの具体的な使用方法に関しては、第124〜125頁を参照できる。)
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法);LC20AD(株式会社島津製作所製)
HPLC分析方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「新実験化学講座9 分析化学 II」、第86〜112頁(1977年)、発行者 飯泉新吾、丸善株式会社(例えば、カラムに使用可能な充填剤−移動相の組合せに関しては、第93〜96頁を参照できる。)
(b):(社)日本化学会編、「実験化学講座20−1 分析化学」第5版、第130〜151頁(2007年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社(例えば、逆相クロマトグラフィー分析の具体的な使用方法及び条件に関しては、第135〜137頁を参照できる。)
(pHの測定方法)
pHはガラス電極式水素イオン濃度指示計により測定した。ガラス電極式水素イオン濃度指示計としては、例えば、東亜ディーケーケー株式会社製、形式:HM−20Pが使用できる。
(示差走査熱量測定法)
示差走査熱量分析は、機種:DSC−60(株式会社島津製作所社製)を用いて、40〜400℃の温度範囲において10℃/minの加熱速度で行われた。示差走査熱量測定方法に関しては、必要に応じて、以下の文献を参照することができる。
(a):(社)日本化学会編、「第4版実験化学講座4 熱、圧力」、第57〜93頁(1992年)、発行者 海老原熊雄、丸善株式会社
(b):(社)日本化学会編、「第5版実験化学講座6 温度・熱、圧力」、第203〜205頁(2005年)、発行者 村田誠四郎、丸善株式会社
(加速速度熱量測定法)
加速速度熱量分析は、機種:New ARC(R)(TIAX LLC社製)を用いて、40〜400℃の温度範囲において断熱状態での熱的挙動を測定した。ADT24は熱暴走が生じるまでにかかる時間が24時間となるときの温度であり、熱暴走が生じるまでにかかる時間をTMRという。
実施例1
硝酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン16.2g(0.10mоl)、水81.7mL及び69%硝酸21g(0.23mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を0〜5℃で25分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜5℃で30分間撹拌した。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液36mLを滴下し、反応混合物のpHを0.6〜1.3に調整した後、トルエン17.5mL及び水30gを加えた。上記で得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)2.15g(0.015mоl)、トルエン34.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜5℃で1時間かけて滴下した。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液33.6mL(0.04mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は94.2%であった。
実施例2
硝酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた500mLの四つ口セパラブルフラスコに、2,6−ジクロロアニリン32.4g(0.20mоl)、水190mL及び69%硝酸42.0g(0.46mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液38.0g(0.22mol)を−3(マイナス3)〜5℃で35分かけて滴下した後、反応混合物を−3〜5℃で30分間撹拌した。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液72.2mLを滴下し、反応混合物のpHを0.8〜2.0に調整した後、トルエン30.4mLを加えた。上記で得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。得られた水層は、示差走査熱量測定及び加速速度熱量測定に供された。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた500mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)1.43g(0.01mоl)、トルエン69.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液38.0g(0.22mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を−3〜5℃で75分間かけて滴下した。反応混合物を−3〜5℃で30分間撹拌した後、10%スルファミン酸38.8g(0.04mol)及び35%塩酸4g(0.04mol)を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層に分離した後、更に水層をトルエン35.0mLで抽出した。得られたトルエン層を合わせて10%炭酸水素ナトリウム水溶液67.2mL(0.08mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は95.5%であった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):7.47−7.36(m,3H)
示差走査熱量測定; 発熱開始温度:137.25℃、発熱量:551.92J/g
加速速度熱量測定; ADT24:63.2℃、TでのTMR:2385.6時間
比較例1
塩酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン16.2g(0.10mоl)、水39.6mL及び35%塩酸24.0g(0.23mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を0〜4℃で20分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液36mLを滴下し、反応混合物のpHを0.6〜1.3に調整した後、トルエン17.5mLを加えた。上記で得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。得られた水層は、示差走査熱量測定及び加速速度熱量測定に供された。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)1.08g(0.0075mоl)、水32.9mL、トルエン34.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜4℃で75分間かけて滴下した。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層に分離した後、得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液33.6mL(0.04mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は90.6%であった。
示差走査熱量測定; 発熱開始温度:114.51℃、発熱量:503.39J/g
加速速度熱量測定; ADT24:38.8℃、TでのTMR:255.3時間
塩酸を使用した比較例1では、反応条件を改善してみたが、収率は90%程度にしか改善することができなかった。また、発熱開始温度(℃)やADT24、及びTでのTMRなどの熱指標は明らかに硝酸を使用した場合よりも悪く、安全性の改善にも限界があることがわかった。
比較例2
塩酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた2000mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン162.0g(1.00mоl)、水396.4mL及び35%塩酸239.6g(2.30mol)を加えた。混合物を60℃に加熱し溶解させた。攪拌しながら、混合物を−5℃(マイナス5℃)に冷却した後、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液199.7g(1.10mol)を−5〜0℃で滴下した。その後、トルエン174.7mLを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液420mLを−5〜0℃で滴下し、pHを3に調整した。混合物をトルエンと水に分配した後、水層を分離した。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた3000mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)48.4g(0.34mоl)、トルエン349.5mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液544.7g(3.00mol)を加え、そこへ上記で得られた水層を0〜5℃で2時間かけて滴下した。混合物を0〜5℃で30分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液336.0mL(0.40mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は85%であった。
比較例2は、特許文献7に実施例5として記載されている例である。収率は85%に過ぎなかった。
比較例3
硫酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン16.2g(0.10mоl)、水39.6mL及び57.6%硫酸39.1g(0.23mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を0〜4℃で40分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜4℃で10分間撹拌した。その後、トルエン17.5mLを加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液36mLを滴下した。更に、粉末の炭酸水素ナトリウムを1.93g(0.02mol)加え、反応混合物のpHを0.21に調整した。上記で得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)2.15g(0.015mоl)、トルエン34.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜4℃で2時間かけて滴下した。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層を分離した後、得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液33.6mL(0.04mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は28.7%であった。
比較例3は、酸として硫酸を使用した例である。収率は28.7%に過ぎなかった。
比較例4
硫酸水素ナトリウムを使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン16.2g(0.10mоl)、水39.6mL及び41.7%硫酸水素ナトリウム水溶液76.2g(0.23mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を0〜4℃で25分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した。その後、トルエン17.5mLを加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液36mLを滴下し、反応混合物のpHを1.11に調整した。上記で得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)2.15g(0.015mоl)、トルエン34.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜4℃で70分間かけて滴下した。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層に分離した後、得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液33.6mL(0.04mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は52.3%であった。
比較例4は、酸として硫酸水素ナトリウムを使用した例である。収率は52.3%に過ぎなかった。
比較例5
テトラフルオロホウ酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン8.1g(0.05mоl)、水15.9mL及び42%テトラフルオロホウ酸水溶液24.0g(0.115mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却し。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.5g(0.055mol)を0〜4℃で20分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜4℃で45分間撹拌した。その後、トルエン8.7mLを加え、5%炭酸水素ナトリウム水溶液18mLを滴下し、反応混合物のpHを0.4に調整した後、水20mLを加えた。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)1.1g(0.0077mоl)、トルエン17.5mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.5g(0.055mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物を0〜4℃で1時間かけて滴下した。滴下時に滴下ロート内に残った固体は、水40gを更に加えることによりフラスコに流し入れた。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層に分離した後、得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液16.8mL(0.02mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は40%であった。
比較例5は、酸としてテトラフルオロホウ酸を使用した例である。収率は40%に過ぎなかった。
比較例6
酢酸を使用した2,6−ジクロロニトロベンゼンの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、2,6−ジクロロアニリン16.2g(0.10mоl)、水85.5mL及び酢酸13.9g(0.23mol)を加え、混合物を60℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら37℃に冷却し、その温度のまま30分間撹拌した後、更に混合物を0℃まで冷却した。そこへ40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を0〜4℃で25分間かけて滴下した後、反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した。その後、反応混合物にトルエン32.7mLと水36.7mLを加えた。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)2.15g(0.015mоl)、トルエン34.9mL及び40%亜硝酸ナトリウム水溶液19.0g(0.11mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物を0〜4℃で75分間かけて滴下した。反応混合物を0〜4℃で30分間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。ろ液を水層とトルエン層を分離した後、得られたトルエン層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液33.6mL(0.04mоl)で洗浄し、2,6−ジクロロニトロベンゼンをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をGC内部標準法により分析した。その結果、2,6−ジクロロニトロベンゼンの収率は2.8%であった。
比較例6は、酸として酢酸を使用した例である。収率は2.8%に過ぎなかった。
実施例3
硝酸を使用した3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの35%イソブチルメチルケトン(MIBK)溶液106.1g(0.20mоl)及び水96.8mLを加えた。混合物を攪拌しながら69%硝酸42g(0.46mol)を30分間かけて滴下し、更に攪拌しながら−5℃〜0℃まで冷却した。そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液39.9g(0.22mol)を−5℃〜0℃で1時間かけて滴下した後、反応混合物を−5℃〜0℃で1時間撹拌した。上記で得られた混合物をMIBK層と水層に分配した後、水層を分離した。得られた水層は、示差走査熱量測定及び加速速度熱量測定に供された。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1000mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)9.7g(0.068mоl)、水22.5mL、10%炭酸水素ナトリウム水溶液168mL、トルエン174mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液72.6g(0.40mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜10℃で2時間かけて滴下した。反応混合物を0〜10℃で1時間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。得られたトルエン層を水40mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は95.2%であった。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):7.56−8.01(m,3H)、3.92(s,3H)
示差走査熱量測定; 発熱開始温度:133.63℃、発熱量:120.48J/g
加速速度熱量測定; ADT24:27.0℃、TでのTMR:78.6時間
実施例4
硝酸を使用した3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル37.12g(0.20mоl)及び水96.8mLを加え、混合物を55℃に加熱し溶解させた。混合物を攪拌しながら69%硝酸42g(0.46mol)を30分間かけて滴下し、更に攪拌しながら−5℃〜0℃まで冷却した。そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液39.9g(0.22mol)を−5℃〜0℃で45分間かけて滴下した後、反応混合物を−5℃〜0℃で1時間撹拌した。その後、トルエン17.4mLを加え、得られた混合物をトルエン層と水層に分配した後、水層を分離した。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1000mLの四つ口フラスコに酸化銅(I)9.7g(0.068mоl)、水22.5mL、10%炭酸水素ナトリウム水溶液168mL、トルエン174mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液72.6g(0.40mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜10℃で2時間かけて滴下した。反応混合物を0〜10℃で1時間撹拌した後、ろ過助剤を加え、沈殿物を濾別した。得られたトルエン層を水40mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は94.9%であった。
比較例7
塩酸を使用した3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた100mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチル9.28g(0.050mоl)、水24mL及び35%塩酸10.95g(0.105mol)を加えた。混合物を−5℃(マイナス5℃)で攪拌しながら、そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液9.35g(0.0515mol)を滴下した。その後、混合物を−5〜0℃で2時間攪拌して、反応混合物を得た。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた200mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)2.42g(0.0169mоl)、トルエン25mL、38%亜硝酸ナトリウム水溶液27.24g(0.150mol)及び水21gを加え、そこへ上記で得られた反応混合物を25℃で2時間かけて滴下した。得られた反応混合物へトルエン25mLを加え、混合物を30℃で10分間撹拌した後、銅をろ過により除去した。ろ液をトルエンと水に分配した後、トルエン層を分離した。得られたトルエン層を水25mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は88%であった。このとき、不純物の2,3−ジニトロ安息香酸メチルの含有率は0.6%であった。
比較例7は、特許文献7に実施例1として記載されている例であり、原料として、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルが使用されている。ニトロ化合物の収率は、88%に過ぎなかった。
比較例8
塩酸を使用した3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの製造
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた300mLの四つ口フラスコに、2−アミノ−3−クロロ安息香酸メチルの35%イソブチルメチルケトン(MIBK)溶液106.1g(0.20mоl)、水78.6mLを加えた。混合物を攪拌しながら35%塩酸47.90g(0.460mol)を30分間かけて滴下し、更に攪拌しながら−5℃〜0℃まで冷却した。そこへ38%亜硝酸ナトリウム水溶液39.9g(0.22mol)を−5℃〜0℃で1時間かけて滴下した後、反応混合物を−5℃〜0℃で1時間撹拌した。上記で得られた混合物をMIBK層と水層に分配した後、水層を分離した。得られた水層は、示差走査熱量測定及び加速速度熱量測定に供された。
攪拌器、還流冷却器、温度計及び滴下ロートを備えた1000mLの四つ口フラスコに、酸化銅(I)9.7g(0.068mоl)、水22.5mL、10%炭酸水素ナトリウム水溶液168mL、トルエン174mL及び38%亜硝酸ナトリウム水溶液72.6g(0.40mol)を加え、そこへ上記で得られた反応混合物の水層を0〜10℃で2時間かけて滴下した。反応混合物を0〜10℃で1時間撹拌した後、沈殿物を濾別した。得られたトルエン層を水40mLで洗浄し、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルをトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液をHPLC絶対検量線法により分析した。その結果、3−クロロ−2−ニトロ安息香酸メチルの収率は74.3%であった。
示差走査熱量測定; 発熱開始温度:72.22℃、発熱量:171.65J/g
加速速度熱量測定; ADT24:2.5℃、TでのTMR:25.6時間
塩酸を使用した比較例8では、収率は74%程度であり、硝酸を使用した実施例3に劣る結果であった。更に、発熱開始温度(℃)やADT24、及びTでのTMRなどの熱指標についても明らかに硝酸を使用した実施例3よりも悪い結果であり、安全性の改善にも限界があることがわかった。
酸として硝酸を使用した本発明の方法によれば、より安全で、より高収率の、一般式(1)のニトロベンゼン化合物の製造方法が提供される。
本発明の方法は、経済的であり、環境にも優しく、高い工業的な利用価値を有し、各種の医薬品や農薬などの化学製品の原料となる一般式(1)のニトロベンゼン化合物の簡便で安全性の高い効率的な製造方法が提供され、産業上の利用可能性を有している。

Claims (9)

  1. 一般式(1):
    Figure 0006789526
    (式中、Rはハロゲン原子を示し;R、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を示し;Rはハロゲン原子又はアルコキシカルボニル基を示す。)
    で表されるニトロベンゼン化合物の製造方法であって、以下の工程:
    (i) 一般式(2):
    Figure 0006789526
    (式中、R、R、R、R及びRは前記で定義した通りである。)
    で表されるアニリン化合物を亜硝酸の金属塩と硝酸の存在下で反応させる工程;
    (ii) 工程(i)の生成物又は工程(i)の反応混合物を、亜硝酸の金属塩と銅化合物の存在下で反応させる工程、
    を含む方法。
  2. 工程(ii)が、水の存在下で反応させる工程であり、工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)で表される化合物1モルに対して1.2〜2.2Lである、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(ii)で使用される水の総量が一般式(2)で表される化合物1モルに対して1.2〜1.9Lである、請求項2に記載の方法。
  4. 、R及びRが水素原子である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. がハロゲン原子であり、Rがハロゲン原子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. が塩素原子であり、Rが塩素原子である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. がハロゲン原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  8. が塩素原子であり、RがC〜Cアルコキシカルボニル基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  9. が塩素原子であり、Rがメトキシカルボニルである、請求項8に記載の方法。
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