JPWO2014123175A1 - 香辛料風味が増強された飲食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

香辛料風味が増強された飲食品の製造方法を提供する。γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を、香辛料を含有する飲食品に添加することにより、香辛料風味が増強された飲食品を製造する。

Description

本発明は、香辛料風味が増強された飲食品の製造方法に関する。
香辛料は古来より肉や魚の腐敗を防止するために用いられてきたものであり、貴重品として扱われてきた。現代では流通技術の発展や冷蔵・冷凍技術の発展によって、香辛料本来の防腐効果目的の使用についてはその需要は減少したが、香辛料が独特の風味を有することから、食品のおいしさ・嗜好性を向上させるために、洋の東西を問わず、各国の料理に使用されている。特に最近、インド料理、タイ料理などのエスニック料理の流行によって、香辛料の需要は増大しており、その傾向は今後も継続すると考えられる。
しかしながら、香辛料は一般的に高価であり、また、香辛料の種類によっては、季節や収穫年度によって価格が乱高下するリスクを持つという課題がある。そこで、香辛料の使用数量を少なくしても同等の効果を示すような香辛料風味の増強方法が求められてきた。
上記の課題を解決するために、これまでに香辛料を含有する飲食品に糖アルコールを添加する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この方法は、飲食品に甘味も同時に付与されるという課題を有していた。また、香辛料を含有する乾燥・即席スープ・ソースの製造工程中にグルタチオンなどの含硫化合物を添加する方法が提案されている(特許文献2)。本方法は優れた方法ではあるが、グルタチオン自体の風味の為にやや汎用性に欠けるという課題も有していた。以上より、汎用性が高く効果の大きい香辛料風味増強方法が望まれていた。
また、γ−グルタミルバリルグリシン等のγ−グルタミルペプチドは「コク味」付与剤として利用されている(特許文献3)。しかしながら、γ−グルタミルバリルグリシンが香辛料風味を増強する効果を有することは知られていなかった。
特開2008−35799号公報 特許4075307号公報 特開2010−154862号公報
本発明は、香辛料風味が増強された飲食品並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意工夫を重ねた結果、γ−グルタミルバリルグリシン(以下、γ−Glu−Val−Glyとも表記する)を香辛料または香辛料を含有する飲食品に添加することによって、香辛料風味を増強することができ、以て、香辛料風味の増強された飲食品の製造が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通り例示できる。
[1]
γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩並びに香辛料を含有する調味料であって、
前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部含有する、調味料。
[2]
前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、[1]に記載の調味料。
[3]
前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、[1]に記載の調味料。
[4]
前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、[1]に記載の調味料。
[5]
前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の、最終飲食品中の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加して使用される、[1]〜[4]のいずれかに記載の調味料。
[6]
γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、香辛料風味が増強された飲食品の製造方法であって、
前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部添加する、方法。
[7]
前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、[6]に記載の方法。
[8]
前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、[6]に記載の方法。
[9]
前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、[6]に記載の方法。
[10]
前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、最終飲食品中の前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加する、[6]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]
γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、飲食品の香辛料風味を増強する方法であって、
前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部添加する、方法。
[12]
前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、[11]に記載の方法。
[13]
前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、[11]に記載の方法。
[14]
前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、[11]に記載の方法。
[15]
前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、最終飲食品中の前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加する、[11]〜[14]のいずれかに記載の方法。
本発明において使用されるγ−グルタミルバリルグリシンは、一般的な化学合成法によって合成する方法、酵素を用いることによって調製する方法等の公知の手法を適宜用いることによって取得することができる。γ−グルタミルバリルグリシンは、具体的には、例えば、特開2010−154862号公報に記載の方法により取得することができる。
γ−グルタミルバリルグリシンは、遊離の形態、塩の形態、またはそれらの混合物のいずれの形態で提供しても良い。すなわち、本発明において、「γ−グルタミルバリルグリシン」または「γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩」とは、特記しない限り、遊離の形態のγ−グルタミルバリルグリシン、塩の形態のγ−グルタミルバリルグリシン、またはそれらの混合物を意味してよい。
塩としては、可食性の塩または薬理学的に許容される塩であれば特に限定されない。例えば、カルボキシル基などの酸性基に対する塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;アルミニウム塩;亜鉛塩;トリエチルアミン、エタノールアミン、ピペラジン、ピペリジン、ジシクロヘキシルアミンなど有機アミンとの塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げることができる。また、アミノ基など塩基性基に対する塩としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩;酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、酪酸、デカン酸、デオクル酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸との塩;メタンスルホン酸、ベンジルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩を挙げることができる。塩としては、1種の塩を用いてもよく、2種またはそれ以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
γ−グルタミルバリルグリシンは、精製品であってもよく、そうでなくてもよい。γ−グルタミルバリルグリシンは、所望の程度に精製されていてよい。例えば、γ−グルタミルバリルグリシンとしては、純度が30%(w/w)以上、50%(w/w)以上、70%(w/w)以上、90%(w/w)以上、または95%(w/w)以上のものを用いてもよい。
本発明において、「香辛料」とは、植物の葉、茎、樹皮、根、花、蕾、種子、果実又は果皮であって、食品や飲料に特別な風味を与えることを目的として使用されるものをいう。本発明の対象となる香辛料は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩によってその風味が増強されるものであれば特に限定されない。本発明の対象となる香辛料としては、例えば、ショウガ科以外の香辛料が挙げられる。ショウガ科以外の香辛料としては、例えば、以下のものが挙げられる:クスノキ科の香辛料(ローレル、シナモン等)、コショウ科の香辛料(ブラックペッパー、ホワイトぺッパー等)、シソ科の香辛料(タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント等)、セリ科の香辛料(フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、イタリアンパセリ、セロリ、セロリシード、ディル等)、ナス科の香辛料(チリペッパー、カイエンペッパー等)、ニクズク科の香辛料(ナツメグ、メース等)、ネギ科の香辛料(ガーリックパウダー、オニオンパウダー等)、フトモモ科の香辛料(オールスパイス、クローブ等)、マツブサ科の香辛料(スターアニス等)、マメ科の香辛料(フェネグリーク等)、タデ科の香辛料(タデ等)、アブラナ科の香辛料(ガーデンクレス等)。好ましい香辛料としては、例えば、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、ガーデンクレス等が挙げられる。より好ましい香辛料としては、例えば、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー、オニオンパウダー等が挙げられる。なお、本発明では、一般的な通例に従い、生鮮野菜として生の状態で調理に供されるニンニクおよび玉ねぎは、香辛料には含まない。本発明においては、1種の香辛料を用いてもよく、2種またはそれ以上の香辛料を組み合わせて用いてもよい。
<1>飲食品の香辛料風味を増強する方法および香辛料風味が増強された飲食品の製造方法
本発明においては、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩と香辛料とを組み合わせることにより、香辛料風味を増強することができる。すなわち、本発明は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、飲食品の香辛料風味を増強する方法を提供する。また、言い換えると、本発明は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、香辛料風味が増強された飲食品の製造方法を提供する。以下、これらの方法を総称して「本発明の方法」ともいう。
本発明の方法により、香辛料風味が増強された飲食品が得られる。以下、本発明の方法により得られる香辛料風味が増強された飲食品を「本発明の飲食品」ともいう。本発明の飲食品は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を添加しない飲食品(対照飲食品)と香辛料の含有量が同じであっても、対照飲食品より強い香辛料風味を有する。また、本発明の飲食品として、対照飲食品と同等の香辛料風味を有する飲食品を製造する場合には、香辛料の含有量をより少なくすることが可能であり、原料コストを従来よりも削減することができる。
本発明の飲食品は、香辛料を含有するものであれば特に限定されない。飲食品としては、例えば、以下のものが挙げられる:ダールスープ、トム・ヤム・クン、ポタージュスープ、即席麺用スープ等のスープ類;ジェノバソース、ウスターソース、チリソース、タバスコソース等のソース類;ラー油等の油類;固形コンソメ、液体コンソメ等のコンソメ類;かつお風味、チキン風味、ポーク風味、ビーフ風味等の風味調味料類;七味唐辛子、豆板醤、コチュジャン等の辛味調味料類;基礎調味料類;メニュー用調味料類(料理するメニューに合わせた専用調味料);シチュールウ、カレールウ等のルウ類;チリコンカルネ、フェイジョアータ等の煮込み料理類;シナモンクッキー、スナック菓子等の菓子類;チャイ、シナモンティー、ジンジャーエール、ドクターペッパー等の飲料類;唐揚げ粉等のフライ用組成物。また、飲食品は、香辛料そのものであってもよい。すなわち、本発明の方法においては、例えば、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を香辛料に添加することにより、香辛料風味が増強された香辛料を製造してもよい。
本発明の飲食品の形態は特に限定されない。本発明の飲食品は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、固体等のいかなる形態であってもよい。例えば、香辛料風味が長期間にわたって安定に保持されるという観点では、本発明の飲食品は、好ましくは、粉末状又は固体状であってよい。
本発明の飲食品の提供態様は特に限定されない。本発明の飲食品は、例えば、そのまま喫食可能な飲食品(最終飲食品)として提供されてもよく、最終飲食品を調製するために喫食前に適宜希釈される飲食品として提供されてもよい。最終飲食品を調製するために喫食前に適宜希釈される飲食品としては、例えば、濃縮ソース類、ルウ類、その他各種調味料類が挙げられる。
本発明の飲食品は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を添加すること以外は、香辛料を含有する通常の飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加は、飲食品の製造工程のいずれの段階で行われてもよい。すなわち、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩は、飲食品の原料に添加されてもよく、製造途中の飲食品に添加されてもよく、完成した飲食品に添加されてもよい。γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩は、1回のみ添加されてもよく、2またはそれ以上の回数に分けて添加されてもよい。
本発明の方法は、香辛料を飲食品またはその原料に添加する工程を含んでいてよい。香辛料の添加は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加と、同様に行うことができる。香辛料の添加は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加と、同時に行われてもよく、別々に行われてもよい。なお、本発明の方法において、香辛料は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加時に、飲食品またはその原料に既に含有されていてもよく、いなくてもよい。すなわち、本発明の方法は、例えば、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を、香辛料を含有しない飲食品またはその原料に添加した後に、香辛料を添加する方法も包含する。
なお、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩は、後述する本発明の調味料や後述する本発明の増強剤等の、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を含有する素材を添加することにより添加されてもよい。また、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩および香辛料は、本発明の調味料等の、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩および香辛料を含有する素材を添加することにより添加されてもよい。
γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の、香辛料を含有する飲食品またはその原料への添加量は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果が得られる限り特に制限されない。添加量は、香辛料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩は、例えば、最終飲食品中のγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の濃度が、0.001〜6重量ppm、好ましくは0.005〜5重量ppm、より好ましくは0.05〜4.5重量ppm、最も好ましくは0.5〜4重量ppmとなるように、飲食品またはその原料に添加してよい。上記濃度範囲においては、特に、香辛料風味の好ましさを維持しつつ、香辛料風味を十分に増強することができる。γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加量は、飲食品の喫食態様に応じて、適宜増減することができる。すなわち、例えば、最終飲食品を調製するために喫食時に適宜希釈される飲食品(例えば、風味調味料等;例えば種類として、かつお、チキン、ポーク、ビーフ等)を製造する場合には、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の当該喫食前に適宜希釈される飲食品への添加量は、最終飲食品中のγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量が上記範囲となるように、その希釈率に応じて増やすことができる。具体的には、例えば、喫食時に100倍希釈される飲食品を製造する場合には、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩は、当該喫食時に希釈される飲食品中のγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量が、0.1〜600重量pm、好ましくは0.5〜500重量ppm、より好ましくは5〜450重量ppm、最も好ましくは50〜400重量ppmとなるように、飲食品またはその原料に添加してもよい。
香辛料に対するγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加比率は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果が得られる限り特に制限されない。添加比率は、香辛料の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。例えば、香辛料100重量部に対し、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を0.000013〜0.08重量部、好ましくは0.00006〜0.06重量部、より好ましくは0.0006〜0.05重量部、最も好ましくは0.007〜0.05重量部添加してよい。上記比率範囲においては、特に、香辛料風味の好ましさを維持しつつ、香辛料風味を十分に増強することができる。
本発明の飲食品には、必要に応じて、他の成分をさらに添加することができる。「他の成分」は、飲食品に使用できる成分であれば特に限定されない。「他の成分」は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果を妨げない範囲で使用することができる。「他の成分」としては、例えば、アミノ酸系うま味調味料(例:グルタミン酸ナトリウム等)、核酸系うま味調味料(例:イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等)、無機塩類(例:リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等)、酸味料(例:クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸等)、有機酸塩類(例:クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等)、アミノ酸(例:グリシン、アラニン、アルギニン、リジン等)、タンパク質加水分解物、家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例:チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等)、アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)を利用した加工食品、等張化剤(例:ソルビトール等)、緩衝剤(例:酢酸ナトリウム等)、防腐剤(例:亜硝酸ナトリウム等)、抗酸化剤(例:L−アスコルビン酸等)、着色剤(例:ベニバナ色素)、矯味剤(例:ハッカ油等)、pH調整剤(例:酢酸ナトリウム等)、賦形剤(例:デキストリン、乳糖等)等が挙げられる。なお、対象の香辛料の風味が増強される限り、本発明の飲食品には、他の香辛料(ショウガ科の香辛料等)を添加することもできる。「他の成分」としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
<2>γ―グルタミルバリルグリシン又はその塩及び香辛料を含有する調味料
更に、本発明は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩及び香辛料を含有する調味料(以下、「本発明の調味料」ともいう)を提供する。本発明の調味料を飲食品に添加することにより、飲食品に香辛料風味を簡便且つ効果的に付与することが可能である。
本発明の調味料の形態は特に限定されない。本発明の調味料は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、固体等のいかなる形態であってもよい。
本発明の調味料は、飲食品またはその原料に添加して使用することができる。本発明の調味料は、例えば、本発明の飲食品の製造に使用することができる。本発明の調味料の使用態様については、上述した本発明の方法におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加に関する記載を準用できる。すなわち、本発明の調味料は、例えば、最終飲食品に対するγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加濃度(最終飲食品中のγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の濃度)が、0.001〜6重量ppm、好ましくは0.005〜5重量ppm、より好ましくは0.05〜4.5重量ppm、最も好ましくは0.5〜4重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加して使用するためのものであってよい。
本発明の調味料におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の最終飲食品に対する添加濃度が上述の範囲内となるように、適宜設定すればよい。本発明の調味料におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量は、例えば、通常0.01〜10000重量ppm、好ましくは0.02〜7500重量ppm、より好ましくは0.05〜5000重量ppm、最も好ましくは0.1〜5000重量ppmであってよい。尚、「本発明の調味料におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量」とは、本発明の調味料の全重量(γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の重量も含む)に対する、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の重量の割合をいう(他の「含有量」にも準用可)。
本発明の調味料におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩と香辛料の含有比率は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果が得られる限り特に制限されない。含有比率については、上述した本発明の方法における香辛料に対するγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加比率に関する記載を準用できる。すなわち、例えば、本発明の調味料は、香辛料100重量部に対し、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を0.000013〜0.08重量部、好ましくは0.00006〜0.06重量部、より好ましくは0.0006〜0.05重量部、最も好ましくは0.007〜0.05重量部含有してよい。
本発明の調味料における香辛料の含有量は、本発明の調味料におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩と香辛料の含有比が上述の範囲内となるように適宜設定すればよい。本発明の調味料における香辛料の含有量は、例えば、通常0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.2〜50重量%、最も好ましくは0.2〜25重量%であってよい。
本発明の調味料は、必要に応じて、他の成分をさらに含有することができる。「他の成分」は、調味料に使用できる成分であれば特に限定されない。「他の成分」は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果を妨げない範囲で使用することができる。「他の成分」としては、例えば、アミノ酸系うま味調味料(例:グルタミン酸ナトリウム等)、核酸系うま味調味料(例:イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等)、無機塩類(例:リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等)、酸味料(例:クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸等)、有機酸塩類(例:クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等)、アミノ酸(例:グリシン、アラニン、アルギニン、リジン等)、タンパク質加水分解物、家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例:チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等)、アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)を利用した加工食品、等張化剤(例:ソルビトール等)、緩衝剤(例:酢酸ナトリウム等)、防腐剤(例:亜硝酸ナトリウム等)、抗酸化剤(例:L−アスコルビン酸等)、着色剤(例:ベニバナ色素)、矯味剤(例:ハッカ油等)、pH調整剤(例:酢酸ナトリウム等)、賦形剤(例:デキストリン、乳糖等)等が挙げられる。なお、対象の香辛料の風味が増強される限り、本発明の調味料は、他の香辛料(ショウガ科の香辛料等)を含有することもできる。「他の成分」としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明の調味料の成分(すなわち、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩、香辛料、および必要によりその他の成分)は、互いに混合されて本発明の調味料に含まれていてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、本発明の調味料に含まれていてもよい。本発明の調味料が複数の成分をそれぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に含む場合には、それらの成分は、本発明の調味料を使用する際に、同時に飲食品またはその原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、飲食品またはその原料に添加されてもよい。
<3>γ―グルタミルバリルグリシン又はその塩を有効成分として含有する香辛料風味増強剤
更に、本発明は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩を有効成分として含有する香辛料風味増強剤(以下、「本発明の増強剤」ともいう)を提供する。本発明の増強剤を香辛料を含む飲食品に添加することにより、飲食品の香辛料風味を簡便且つ効果的に増強することが可能である。
本発明の増強剤の形態は特に限定されない。本発明の増強剤は、例えば、液体、ペースト、乳化状液体、粉末、固体等のいかなる形態であってもよい。
本発明の増強剤は、飲食品またはその原料に添加して使用することができる。本発明の調味料は、例えば、本発明の飲食品の製造に使用することができる。本発明の増強剤の使用態様については、上述した本発明の方法におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加に関する記載を準用できる。本発明の増強剤は、最終飲食品に対するγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の添加濃度(最終飲食品中のγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の濃度)が、0.001〜6重量ppm、好ましくは0.005〜5重量ppm、より好ましくは0.05〜4.5重量ppm、最も好ましくは0.5〜4重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加して使用するためのものであってよい。
本発明の増強剤におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の最終飲食品に対する添加濃度が上述の範囲内となるように適宜設定すればよい。本発明の増強剤におけるγ−グルタミルバリルグリシン又はその塩の含有量は、例えば、通常0.1重量ppm〜99重量%、好ましくは0.2重量ppm〜75重量%、より好ましくは0.5重量ppm〜50重量%、最も好ましくは1重量ppm〜25重量%である。
本発明の増強剤は、必要に応じて、他の成分をさらに含有することができる。「他の成分」は、飲食品に使用できる成分であれば特に限定されない。「他の成分」は、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩による香辛料風味増強効果を妨げない範囲で使用することができる。「他の成分」としては、例えば、アミノ酸系うま味調味料(例:グルタミン酸ナトリウム等)、核酸系うま味調味料(例:イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等)、無機塩類(例:リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等)、酸味料(例:クエン酸、コハク酸、フマル酸、乳酸等)、有機酸塩類(例:クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等)、アミノ酸(例:グリシン、アラニン、アルギニン、リジン等)、タンパク質加水分解物、家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例:チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等)、アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応またはメイラード反応)による生成物、等張化剤(例:ソルビトール等)、緩衝剤(例:酢酸ナトリウム等)、防腐剤(例:亜硝酸ナトリウム等)、抗酸化剤(例:L−アスコルビン酸等)、着色剤(例:ベニバナ色素)、矯味剤(例:ハッカ油等)、pH調整剤(例:酢酸ナトリウム等)、賦形剤(例:デキストリン、乳糖等)等が挙げられる。「他の成分」としては、1種の成分を用いてもよく、2種またはそれ以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
本発明の増強剤が複数の成分を含有する場合、それらの成分(すなわち、γ−グルタミルバリルグリシン又はその塩、および必要によりその他の成分)は、互いに混合されて本発明の調味料に含まれていてもよく、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、本発明の調味料に含まれていてもよい。本発明の増強剤が複数の成分をそれぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に含む場合には、それらの成分は、本発明の増強剤を使用する際に、同時に飲食品またはその原料に添加されてもよいし、それぞれ別個に、あるいは、任意の組み合わせで別個に、飲食品またはその原料に添加されてもよい。
以下、本発明について実施例で更に具体的に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの例によって制限されるものではない。
本実施例に用いたγ−グルタミルバリルグリシンは、特に断りの無い限り、特開2010−154862号公報に記載の化学合成法に準じて調製した。
実施例1:パセリに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果(1)
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.75重量%になるように、市販パセリ粉末((株)ギャバン製)を添加した。このパセリ含有マッシュポテトに対して、0.0005〜10重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加パセリ含有マッシュポテトについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のパセリ含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、パセリ風味について、−(対照品と同等)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を表1に示す。なお、無添加サンプルのパセリ風味に対して、2倍の風味を示した際に+++(強まる)とした。
Figure 2014123175
表1に示すように、γ−グルタミルバリルグリシンを0.0005重量ppm添加した場合(パセリ重量を100としたときのγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率が0.000007の場合)には、パセリ風味の増強は認められなかった。一方、γ−グルタミルバリルグリシンを0.001〜5重量ppm添加した場合(パセリ重量を100としたときのγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率が0.000013〜0.06667の場合)にパセリ風味が増強されることが確認された。ただし、γ−グルタミルバリルグリシンを10重量ppm添加した場合(パセリ重量を100としたときのγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率0.13の場合)には、全体の風味がまとまりすぎ、パセリ風味が好ましくなくなる傾向であった。以上の結果から、パセリ含有マッシュポテトにγ−グルタミルバリルグリシンを0.001〜5重量ppm添加した場合、またはパセリ重量を100とした時のγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率が0.000013〜0.067のときにパセリ風味が増強されることが示された。
実施例2:パセリに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果(2)
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.7重量%になるように、市販パセリ粉末((株)ギャバン製)を添加した。このパセリ含有マッシュポテトに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、このときのパセリに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はパセリの重量を100とした場合、0.036であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加パセリ含有マッシュポテトについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のパセリ含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加パセリ含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加パセリ含有マッシュポテトと比較して、「パセリ特有の好ましい風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、パセリの好ましい風味が増強され、嗜好性が向上することが示された。
実施例3:セージに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.2重量%になるように、市販セージ粉末((株)ギャバン製)を添加した。このセージ含有マッシュポテトに対して、1.0重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、この時のセージに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はセージの重量を100とした場合、0.05であった。このようにして得られたγ−グルタミルバリルグリシン添加セージ含有マッシュポテトについて、専門パネル3名による官能評価を実施した。評価は2回繰り返し実施した(n=6)。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のセージ含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、「樟脳様の香り」「新鮮な草様の風味」「セージ風味の好ましさ」の3項目について、−3点(非常に弱い、または、非常に好ましくない)〜3点(非常に強い、または、非常に好ましい)の7点評価法による評価を実施した。得られた結果について、対応ありのt−検定を用いて有意差検定を行った。官能評価の結果を下記の表2に示す。
Figure 2014123175
表2に示すように、γ−グルタミルバリルグリシン添加セージ含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加セージ含有マッシュポテトと比較して、「新鮮な草様有の風味」および「セージ風味の好ましさ」が統計的に有意に高い評点を示していた(危険率0.1%未満)。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、「新鮮な草様の風味」が増強され、また、セージの好ましい風味が増強されることによって、嗜好性が向上することが示された。
実施例4:タイムに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.2重量%になるように、市販タイム粉末((株)ギャバン製)を添加した。このタイム含有マッシュポテトに対して、1.0重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、この時のタイムに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はタイムの重量を100とした場合、0.05であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加タイム含有マッシュポテトについて、専門パネル3名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のタイム含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加タイム含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加タイム含有マッシュポテトと比較して、カルバクロール様の「タイム特有の好ましい風味」や「ほろ苦い風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、タイムの好ましい風味が増強され、嗜好性が向上することが示された。
実施例5:マジョラムに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.3重量%になるように、市販マジョラム粉末((株)ギャバン製)を添加した。このマジョラム含有マッシュポテトに対して、1.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、この時のマジョラムに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はマジョラムの重量を100とした場合、0.05であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加マジョラム含有マッシュポテトについて、専門パネル3名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のマジョラム含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加マジョラム含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加マジョラム含有マッシュポテトと比較して、テルピネオール様の「甘い風味」や「マジョラム特有の好ましい風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、マジョラムの好ましい風味が増強され、嗜好性が向上することが示された。
実施例6:バジルに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.4重量%になるように、市販バジル粉末((株)ギャバン製)を添加した。このバジル添加マッシュポテトに対して、0.001〜2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加バジル含有マッシュポテトについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のバジル含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、バジル風味について、−(対照品と同等)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を表3に示す。なお、無添加サンプルのバジル風味に対して、2倍の風味を示した際に+++(強まる)とした。
Figure 2014123175
表3に示すように、γ−グルタミルバリルグリシン0.001重量ppm添加(バジル重量を100としたときのγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率が0.000025の場合)から、γ−グルタミルバリルグリシン2.5重量ppm添加(バジル重量を100としたときのγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率が0.0625の場合)の範囲において、いずれの試料も対照品と比較してバジル風味が増強されることが示された。
実施例7:ロズマリーに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.4重量%になるように、市販ロズマリー粉末((株)ギャバン製)を添加した。このロズマリー添加マッシュポテトに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、このときのロズマリーに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はロズマリーの重量を100とした場合、0.063であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加ロズマリー含有マッシュポテトについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のロズマリー含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加ロズマリー含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加ロズマリー含有マッシュポテトと比較して、「バーベナ様の甘い風味」が増強され、「ロズマリー特有の好ましい風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、ロズマリーの好ましい風味が増強され、嗜好性が向上することが示された。
実施例8:フェンネルに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)の重量1に対して熱湯を重量6添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して0.3重量%になるように、市販フェンネル粉末((株)ギャバン製)を添加した。フェンネル粉末添加マッシュポテトに対して、0.5ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、このときのフェンネルに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はフェンネルの重量を100とした場合、0.017であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加フェンネル含有マッシュポテトについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加フェンネル含有マッシュポテトを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加フェンネル含有マッシュポテトはγ−グルタミルバリルグリシン無添加フェンネル含有マッシュポテトと比較して、「アニス様の好ましい風味」や「甘い好ましい風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、フェンネルの好ましい風味が増強され、嗜好性が向上することが示された。
実施例9:ミントソースに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表4に示す配合表の原材料を用いてミントソースを調製した。ミントと砂糖を乳鉢と乳棒にて摩砕し、その中にレモン汁、白ワイン酢、熱湯を注いだ後、30分間室温で冷却して、ミントソースを得た。このようにして得られたミントソースに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、このときのミントに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率は、ミントの重量を100とした場合、0.0025であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加ミントソースについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のミントソースを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加ミントソースはγ−グルタミルバリルグリシン無添加ミントソースと比較して、「ミントの清涼な好ましい香り」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、ミントの好ましい風味が増強され、ミントソースの嗜好性が向上することが示された。
実施例10:ジェノバソースにおけるγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表5に示す配合表の原材料を用いてジェノバソースを調製した。松の実は香りと風味を出すために、軽く前煎りし、にんにくは粗くみじん切りにした。原材料をすべて、市販フードプロセッサーに入れて、粉砕、攪拌を行い、ジェノバソースを得た。このようにして得られたジェノバソースに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、このときの香辛料(バジルおよびホワイトペッパー)に対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率は香辛料の重量を100とした場合、バジル湿重量を基準とした場合は0.00097、バジル乾燥重量を基準とした場合は0.011であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加ジェノバソースについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のジェノバソースを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加ジェノバソースはγ−グルタミルバリルグリシン無添加ジェノバソースと比較して、「バジルの好ましい香り」が増強され、さらには「甘い風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、バジルの好ましい風味が増強され、ジェノバソースの嗜好性が向上することが示された
実施例11:ダールスープにおけるγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表6に示す配合表の原材料を用いてダールスープを調製した。ダール豆を水洗後に2時間、水に浸漬した。その後、鍋にダール豆と水を入れて沸騰させて、アクをとり、ローレルとターメリックを加えて弱火で20分間煮た。別の鍋に油(大さじ1杯)を熱してクミンを炒め、クミンがはじけてきたら玉ねぎ、にんにくを加えて強火で炒め、玉ねぎ、にんにくを色づいたら煮たダール豆を少しずつ加えた。更にシシトウを加えて10分間弱火で煮たのちに生クリームと塩、カイエンパッペーを加えて、ダールスープを得た。この時の仕上がり量は850gであった。このようにして得られたダールスープに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、この時の香辛料(ローリエ、ターメリック、クミン及びカイエンペッパー)に対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率は香辛料の重量を100とした場合、0.034であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加ダールスープについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のダールスープを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加ダールスープはγ−グルタミルバリルグリシン無添加ダールスープと比較して、「ミドルの香辛料風味」が増強され、さらには「味全体がまろやかになる」ことが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、香辛料の好ましい風味が増強され、ダールスープの嗜好性が向上することが示された。
実施例12:マサラスープに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表7に示す配合表の原材料を用いてγ−グルタミルバリルグリシン無添加およびγ−グルタミルバリルグリシンを添加した粉末マサラスープの素を調製した。すなわち、各原材料を計量した後に粉砕、混合して粉末マサラスープの素を得た。このようにして得られた粉末マサラスープの素2.35gに97.65gの熱湯を添加してマサラスープを得た。この時のγ−グルタミルバリルグリシンの喫食時濃度は2.5重量ppmであった。なお、この時の香辛料に対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率は香辛料の重量を100とした場合、0.0175であった。なお、この際、オニオンパウダーならびにガーリックパウダーについては香辛料として換算した。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加マサラスープについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のマサラスープを対照品として比較評価を行い、評点法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、マサラスープにγ−グルタミルバリルグリシンを添加することにより、「中後味に感じる香辛料風味」が増強され、また、「チリペッパーの辛味」が増強されることが確認された。この結果から、マサラスープにγ−グルタミルバリルグリシンを添加することによって、香辛料風味や辛味が増強され、マサラスープの嗜好性が向上することが示された。
実施例13:チリコンカルネにおけるγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表8に示す配合表の原材料を用いてチリコンカルネを調製した。金時豆は一晩、水に浸漬した後に中火で熱して沸騰後、水で洗った。金時豆を鍋に入れて、水を加えて中火で豆の皮が破れない程度に茹でて、ざるにあげた。鍋にサラダ油を熱して玉ねぎを炒めて、牛挽き肉を加えて色が変わるまで炒めた。茹でた金時豆を加え、ざく切りにしたトマトの水煮、固形スープの素、トマトケチャップ、水400mLを加えて、中火で煮汁が半分程度になるまでに煮た。最後にチリパウダー、クミン、塩、ブラックペッパーを加えてチリコンカルネを得た。この時の仕上り重量は1500gであった。このようにして得られたチリコンカルネに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。なお、この時の香辛料(クミン、ブラックペッパー、チリパウダー)に対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率は香辛料の重量を100とした場合、0.025であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加チリコンカルネについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のチリコンカルネを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加チリコンカルネはγ−グルタミルバリルグリシン無添加チリコンカルネと比較して、「香辛料風味」、「トマトの風味」、「パプリカ風味」が増強され、さらには「味全体がまとまる」ことが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、香辛料の好ましい風味が増強され、チリコンカルネの嗜好性が向上することが示された。
実施例14:シナモンクッキーにおけるγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
表9に示す配合表の原材料を用いてシナモンクッキーを調製した。定法に従って、クッキー生地を調製した。すなわち、常温に加温した無塩バターに砂糖を加えて、クリーム状になるまで攪拌し、卵を加えて攪拌した後に、篩にてふるった、薄力粉とシナモン粉末を混合しておいたものを少量ずつ添加してクッキー生地を得た。得られた生地の一部に対して2.25重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加した。γ−グルタミルバリルグリシン無添加生地およびγ−グルタミルバリルグリシン添加生地について約5mmの厚さに延ばして型抜き後、170℃のオーブンにて8分間焼成して、無添加シナモンクッキーおよびγ−グルタミルバリルグリシン添加シナモンクッキーを得た。この時の焼成後の重量収率は90%であり、焼成後クッキーのγ−グルタミルバリルグリシン含量は2.5重量ppmであった。なお、この時のシナモンに対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加比率はシナモンの重量を100とした場合、0.013であった。このようにして得られた、γ−グルタミルバリルグリシン添加シナモンクッキーについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、γ−グルタミルバリルグリシン無添加のシナモンクッキーを対照品として比較評価を行い、フリーワード法による評価を実施した。
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシン添加シナモンクッキーはγ−グルタミルバリルグリシン無添加シナモンクッキーと比較して、「シナモンの甘い風味」が増強されることが確認された。この結果から、γ−グルタミルバリルグリシンの添加によって、シナモンの好ましい風味が増強され、シナモンクッキーの嗜好性が向上することが示された。
実施例15:γ−グルタミルバリルグリシンと香辛料を含む調味料(1)
下記の表10に示す組成の調味料を常法に従って調製した。
Figure 2014123175
実施例16:γ−グルタミルバリルグリシンと香辛料を含む調味料(2)
下記の表11に示す組成の調味料を常法に従って調製した。
Figure 2014123175
実施例17:各種香辛料に対するγ−グルタミルバリルグリシンの添加効果
市販乾燥マッシュポテト(カルビー(株)製)1重量部に対して熱湯6重量部を添加して、攪拌することによりマッシュポテトを得た。このマッシュポテトに対して表12に示す添加濃度になるように、各香辛料を添加した。得られた各香辛料添加マッシュポテトに対して、2.5重量ppmになるようにγ−グルタミルバリルグリシンを添加し、攪拌した。このようにして得られた、各γ−グルタミルバリルグリシン添加香辛料含有マッシュポテトについて、専門パネル3名による官能評価を実施した。官能評価は、γ−グルタミルバリルグリシン無添加の各香辛料含有マッシュポテトを対照品として、γ−グルタミルバリルグリシン添加による香辛料風味の増減を評価することにより実施した。
Figure 2014123175
Figure 2014123175
官能評価の結果、γ−グルタミルバリルグリシンは、特に、ショウガ科以外の香辛料の風味増強に有効であることが明らかとなった(表13)。なお、ショウガ科以外の香辛料について、一部の風味にγ−グルタミルバリルグリシンによる増強効果が認められないものがあったが、いずれも、香辛料全体の風味としては好適な増強効果が認められた。
本発明によれば、香辛料風味を簡便かつ効果的に増強することが可能となり、以て、香辛料風味を簡便かつ効果的に増強された飲食品の製造方法を提供することができる。これにより、香辛料を含有する飲食品等の製造において香辛料の添加量を削減することができる。更に本発明は多くの飲食品に利用できる汎用性も有する。

Claims (15)

  1. γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩並びに香辛料を含有する調味料であって、
    前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部含有する、調味料。
  2. 前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、請求項1に記載の調味料。
  3. 前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項1に記載の調味料。
  4. 前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項1に記載の調味料。
  5. 前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の、最終飲食品中の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加して使用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調味料。
  6. γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、香辛料風味が増強された飲食品の製造方法であって、
    前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部添加する、方法。
  7. 前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項6に記載の方法。
  10. 前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、最終飲食品中の前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、香辛料を含有する飲食品またはその原料に添加する工程を含む、飲食品の香辛料風味を増強する方法であって、
    前記香辛料100重量部に対し、前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を0.000013〜0.08重量部添加する、方法。
  12. 前記香辛料が、ショウガ科以外の香辛料である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記香辛料が、ローレル、シナモン、ブラックペッパー、ホワイトぺッパー、タイム、セージ、バジル、オレガノ、マジョラム、ロズマリー、ミント、フェンネル(ウイキョウ)、キャラウェイ、クミン、コリアンダー、パセリ、セロリ、セロリシード、ディル、チリペッパー、カイエンペッパー、ナツメグ、メース、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、オールスパイス、クローブ、スターアニス、フェネグリーク、タデ、及びガーデンクレスから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記香辛料が、ナツメグ、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、セージ、バジル、フェンネル、チリペッパー、クローブ、シナモン、マジョラム、ロズマリー、クミン、スターアニス、ミント、パセリ、コリアンダー、フェネグリーク、カイエンペッパー、ガーリックパウダー及びオニオンパウダーから選択される少なくとも1つの香辛料である、請求項11に記載の方法。
  15. 前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩を、最終飲食品中の前記γ−グルタミルバリルグリシン及び/又はその塩の濃度が0.001〜6重量ppmとなるように飲食品またはその原料に添加する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
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