JPWO2014108986A1 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

舵反力補正値演算部(11Bf)は、操舵角(δ)と転舵角との間の伝達関数にそのときの操舵角(δ)を入力することにより仮想転舵角を演算し、操舵角および仮想転舵角の角度差をゲイン(K)倍して補正値を演算する。そして、操舵反力決定部(11Bg)は、操舵反力補正値演算部(11Bf)から供給される補正値と、軸力-操舵反力変換部(11Bd)から供給される目標操舵反力とを比較し、大きい方を選択(セレクトハイ)することで、補正後の目標操舵反力を決定する。

Description

本発明は、ステアリングホイールと操向輪とが機械的に分離したステア・バイ・ワイヤ方式の操舵制御装置に関するものである。
従来、この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、ステアリングラックに作用するラック軸力に基づいて操舵反力を生成することで、タイヤに作用するタイヤ横力を操舵反力に反映させている。
特開2000−108914号公報
ここで、上記従来技術では、ラック軸力に基づいて操舵反力を生成するため、ラック軸力を検出する軸力センサが必要となる。しかしながら、軸力センサは比較的高価であるため、操舵制御装置の製造コストが増大する可能性があった。
本発明は、上記のような点に着目し、製造コストの増大を抑制可能とすることを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、転舵アクチュエータの転舵電流および車両の横方向加速度に基づいて、目標操舵反力を算出するとともに、操舵角に基づいて操舵反力の補正値を演算する。そして、本発明では、目標操舵反力と、補正値とに基づいて、操舵反力を決定し、その操舵反力で反力アクチュエータを駆動する。
本発明の一態様では、転舵電流および横方向加速度等、一般的な車両が備えているセンサの検出結果に基づいて反力アクチュエータを駆動を算出する。それゆえ、本発明の一態様では、専用のセンサを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制できる。
車両Aの構成を表す概念図である。 制御演算部11の構成を表すブロック図である。 目標操舵反力演算部11Bの詳細な構成を表すブロック図である。 フィードフォワード軸力TFFの算出式の係数を説明するための図である。 フィードバック軸力算出部Bbの詳細な構成を表すブロック図である。 横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。 フィードバック軸力TFB、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。 変数マップM1を表すグラフである。 配分比率マップM2を表すグラフである。 軸力-操舵反力変換マップを表すグラフである。 操舵反力補正値演算部11Bfの構成を表すブロック図である。 補正値の演算過程を説明する波形図である。 車両Aの操舵制御装置の動作を説明するための図である。 操舵角と転舵電流との関係を状況毎に説明する波形図である。 実施形態の動作を説明する波形図である。 実施形態の変形例を示すブロック図である。
(第1実施形態)
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
本実施形態の車両Aは、ステアリングホイール1と前輪(以下、操向輪とも呼ぶ)2とが機械的に分離したステア・バイ・ワイヤ方式の操舵制御装置を備える車両である。
図1は、本実施形態の車両Aの構成を表す概念図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵角センサ3、転舵角センサ4、車速センサ5、横Gセンサ6、およびヨーレートセンサ7を備える。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール1の操舵角δを検出する。そして、操舵角センサ3は、検出結果を表す信号(以下、検出信号とも呼ぶ)を後述する制御演算部11に出力する。
転舵角センサ4は、操向輪2の転舵角θを検出する。操向輪2の転舵角θの検出方法としては、例えば、ステアリングラックのラック移動量を基に算出する方法を採用できる。そして、転舵角センサ4は、検出信号を制御演算部11に出力する。
車速センサ5は、車両Aの車速Vを検出する。そして、車速センサ5は、検出信号を制御演算部11に出力する。
横Gセンサ6は、車両Aの横方向加速度Gyを検出する。そして、横Gセンサ6は、検出信号を制御演算部11に出力する。
ヨーレートセンサ7は、車両Aのヨーレートγを検出する。そして、ヨーレートセンサ7は、検出信号を制御演算部11に出力する。
なお、横Gセンサ6およびヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置する。
また、車両Aは、転舵制御部8、および反力制御部9を備える。
転舵制御部8は、転舵モータ(転舵アクチュエータ)8A、転舵電流検出部8B、および転舵モータ駆動部8Cを備える。
転舵モータ8Aは、減速機を介してピニオンシャフト10と連結される。そして、転舵モータ8Aは、転舵モータ駆動部8Cによって駆動され、ピニオンシャフト10を介してステアリングラックを左右に移動させる。これにより、転舵モータ8Aは、操向輪2を転舵する。転舵モータ8Aの駆動方法としては、例えば、転舵モータ8Aを駆動する電流(以下、転舵電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
転舵電流検出部8Bは、転舵電流を検出する。そして、転舵電流検出部8Bは、検出信号を転舵モータ駆動部8Cおよび制御演算部11に出力する。
転舵モータ駆動部8Cは、制御演算部11が算出する目標転舵電流に基づいて、転舵電流検出部8Bが検出する転舵電流が当該目標転舵電流と一致するように転舵モータ8Aの転舵電流を制御する。これにより、転舵モータ駆動部8Cは、転舵モータ8Aを駆動する。目標転舵電流とは、転舵モータ8Aを駆動する電流の目標値である。
反力制御部9は、反力モータ(反力アクチュエータ)9A、反力電流検出部9B、および反力モータ駆動部9Cを備える。
反力モータ9Aは、減速機を介してステアリングシャフトと連結される。そして、反力モータ9Aは、反力モータ駆動部9Cによって駆動され、ステアリングシャフトを介してステアリングホイール1に回転トルクを付与する。これにより、反力モータ9Aは、操舵反力を発生する。反力モータ9Aの駆動方法としては、例えば、反力モータ9Aを駆動する電流(以下、反力電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
反力電流検出部9Bは、反力電流を検出する。そして、反力電流検出部9Bは、検出信号を反力モータ駆動部9Cおよび制御演算部11に出力する。
反力モータ駆動部9Cは、制御演算部11が算出する目標反力電流に基づいて、反力電流検出部9Bが検出する反力電流が当該目標反力電流と一致するように反力モータ9Aの反力電流を制御する。これにより、反力モータ駆動部9Cは、反力モータ9Aを駆動する。目標反力電流とは、反力モータ9Aを駆動する電流の目標値である。
また、車両Aは、制御演算部11を備える。
図2は、制御演算部11の構成を表すブロック図である。
図2に示すように、制御演算部11は、目標転舵角演算部11A、目標操舵反力演算部11B、および目標転舵電流演算部11Cを備える。
目標転舵角演算部11Aは、操舵角センサ3が検出した操舵角δおよび車速センサ5が検出した車速Vに基づいて、転舵角θの目標値である目標転舵角θ*を算出する。そして、目標転舵角演算部11Aは、算出結果を目標操舵反力演算部11Bに出力する。
目標操舵反力演算部11Bは、目標転舵角演算部11Aが算出した目標転舵角θ*、車速センサ5が検出した車速V、および転舵電流検出部8Bが検出した転舵電流に基づいて目標反力電流を算出する。そして、目標操舵反力演算部11Bは、算出結果を反力制御部9(反力モータ駆動部9C)に出力する。
図3は、目標操舵反力演算部11Bの詳細な構成を表すブロック図である。
ここで、目標操舵反力演算部11Bの詳細な構成を説明する。
図3に示すように、目標操舵反力演算部11Bは、フィードフォワード軸力算出部11Ba、フィードバック軸力算出部11Bb、最終軸力算出部11Bc、軸力-操舵反力変換部11Bd、目標反力電流演算部11Be、操舵反力補正値演算部11Bf、および操舵反力決定部11Bgを備える。
フィードフォワード軸力算出部11Baは、操舵角センサ3が検出した操舵角δ、および車速センサ5が検出した車速Vに基づき、下記(1)式に従ってステアリングラック軸力(以下、フィードフォワード軸力とも呼ぶ)TFFを算出する。ステアリングラック軸力とは、ステアリングラックに加わるラック軸力である。そして、フィードフォワード軸力算出部11Baは、算出結果を最終軸力算出部11Bcに出力する。
FF=(Ks+Css)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・k・V/(1+A・V2)・δ+Ks(Jrs2+Crs)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・δ ………(1)
ただし、図4に示すように、Ksはピニオン剛性、Csはピニオン粘性、Jrはラック慣性、Crはラック粘性、k、Aは予め設定した定数である。これにより、フィードフォワード軸力算出部11Baは、フィードフォワード軸力TFFとして、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映しないステアリングラック軸力を算出する。
ここで、上記(1)式は、予め設定した路面状態や車両状態において、ステアリングホイール1と操向輪2とが機械的に接続している操舵機構を備える車両の運動方程式を基に導出した数式である。上記(1)式の右辺第1項は、フィードフォワード軸力TFFを構成する成分のうち、操舵角δと車速Vとに基づく成分を表すものであり、右辺第2項は、フィードフォワード軸力TFFを構成する成分のうち、操舵角速度dδ/dtに基づく成分を表す項である。なお、上記(1)式では、操舵角加速度に基づく成分を表す項は、ノイズ成分を多く含み、フィードフォワード軸力TFFの算出結果に振動を誘発するため、除いてある。
図5は、フィードバック軸力算出部11Bbの詳細な構成を表すブロック図である。
図5に示すように、フィードバック軸力算出部11Bbは、電流軸力算出部11Bba、ブレンド軸力算出部11Bbb、操舵角速度検出部11Bbc、操舵判定部11Bbd、およびフィードバック軸力算出実行部11Bbeを備える。
電流軸力算出部11Bbaは、転舵電流検出部8Bが検出した転舵電流に基づき、下記(2)式に従ってステアリングラック軸力(以下、電流軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(2)式では、まず、転舵電流と、転舵電流を基に転舵モータ8Aの出力トルクを算出するためのトルク定数[Nm/A]と、転舵モータ8Aのモータトルクを伝達するためのモータギア比とを乗算する。続いて、下記(2)式では、乗算結果を転舵モータ8Aのピニオンギアのピニオン半径[m]で除算し、除算結果に、転舵モータ8Aの出力トルクが伝達される際の効率を乗算し、乗算結果を電流軸力として算出する。そして、電流軸力算出部11Bbaは、算出結果をブレンド軸力算出部11Bbbおよびフィードバック軸力算出実行部11Bbeに出力する。
電流軸力=転舵電流×モータギア比×トルク定数[Nm/A]/ピニオン半径[m]×効率 ………(2)
ここで、転舵電流は、ステアリングホイール1が操舵され、目標転舵角θ*が変動し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによって変動する。また、転舵電流は、操向輪2が転舵され、操向輪2にタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。さらに、転舵電流は、路面凹凸等によって操向輪2に路面外乱が作用し、操向輪2にタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Bbは、転舵電流に基づくことで、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(電流軸力)を算出できる。ここで、電流軸力は、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じた時点で発生する。そのため、電流軸力は、図6に示すように、実際のステアリングラック軸力や横G軸力に比べ、位相が進む。
ブレンド軸力算出部11Bbbは、横Gセンサ6が検出した横方向加速度Gyに基づき、下記(3)式に従ってステアリングラック軸力(以下、横G軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(3)式では、まず、前輪荷重と横方向加速度Gyとを乗算し、乗算結果を操向輪2にかかる軸力(軸方向の力)として算出する。続いて、下記(2)式では、算出した操向輪2にかかる軸力と、リンクの角度やサスペンションに応じた定数(以下、リンク比とも呼ぶ)とを乗算し、乗算結果を横G軸力として算出する。
横G軸力=操向輪2にかかる軸力×リンク比 ………(3)
操向輪2にかかる軸力=前輪荷重×横方向加速度Gy
ここで、横方向加速度Gyは、操向輪2が転舵され、操向輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、ブレンド軸力算出部11Bbbは、横方向加速度Gyに基づくことで、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(横G軸力)を算出できる。ここで、横Gセンサ6は、バネ上(車体)に配置したため、横方向加速度Gyの検出が遅れる。そのため、横G軸力は、図6に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
なお、本実施形態では、横G軸力を算出する際に、横Gセンサ6で検出した横方向加速度Gyを用いる例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、ヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγに車速センサ5が検出した車速Vを乗算し、乗算結果γ×Vを横方向加速度Gyに代えて用いる構成としてもよい。
また、ブレンド軸力算出部11Bbbは、車速センサ5が検出した車速V、およびヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγに基づき、下記(4)式に従ってステアリングラック軸力(以下、ヨーレート軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(4)式では、まず、前輪荷重と車速Vとヨーレートγとを乗算し、乗算結果を操向輪2にかかる軸力として算出する。続いて、下記(4)式では、算出した操向輪2にかかる軸力とリンク比とを乗算し、乗算結果をヨーレート軸力として算出する。
ヨーレート軸力=操向輪2にかかる軸力×リンク比 ………(4)
操向輪2にかかる軸力=前輪荷重×車速V×ヨーレートγ
ここで、ヨーレートγは、操向輪2が転舵され、操向輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、ブレンド軸力算出部11Bbbは、ヨーレートγに基づくことで、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(ヨーレート軸力)を算出できる。ここで、ヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置したため、ヨーレートγの検出が遅れる。そのため、ヨーレート軸力は、図6に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
さらに、ブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力算出部11Bbaから電流軸力を読み込む。続いて、ブレンド軸力算出部11Bbbは、読み込んだ電流軸力、および算出した横G軸力、ヨーレート軸力に基づき、下記(5)式に従ってステアリングラック軸力(以下、「ブレンド軸力」とも呼ぶ)TBRを算出する。下記(5)式では、横G軸力に配分比率K1を乗算し、電流軸力に配分比率K2を乗算し、ヨーレート軸力に配分比率K3を乗算し、これらの乗算結果の和をブレンド軸力TBRとして算出する。すなわち、横G軸力に配分比率K1を乗算した値、電流軸力に配分比率K2を乗算した値およびヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値に基づいて、ブレンド軸力TBRを算出する。そして、ブレンド軸力算出部11Bbbは、算出結果を操舵判定部11Bbdおよびフィードバック軸力算出実行部11Bbeに出力する。ここで、ブレンド軸力TBRは、操向輪2を右方向に向ける軸力を正値とし、操向輪2を左方向に向ける軸力を負値とする。
BR=横G軸力×K1+電流軸力×K2+ヨーレート軸力×K3 ……(5)
ここで、配分比率K1、K2、K3は横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の配分比率である。配分比率K1、K2、K3の大小関係は、K1>K2>K3とする。すなわち、横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の順に配分比率を大きい値とする。例えば、配分比率K1、K2、K3のそれぞれは、K1=0.6、K2=0.3、K3=0.1に設定する。これにより、ブレンド軸力算出部11Bbbは、ブレンド軸力TBRとして、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力を算出する。
このように、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてブレンド軸力TBRを算出する。ここで、図6に示すように、横G軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。また、電流軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が進む。それゆえ、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、横G軸力に電流軸力を加えることで、図7に示すように、横G軸力による位相の遅れを補償でき、より適切なブレンド軸力TBRを算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
また、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてブレンド軸力TBRを算出する。ここで、車両Aは、路面凹凸等によって操向輪2に路面外乱が作用し、操向輪2にタイヤ横力Fdが作用した場合、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じる。それゆえ、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、横G軸力に電流軸力を加えることで、操向輪2に作用する路面外乱の影響をブレンド軸力TBRに反映でき、より適切なブレンド軸力TBRを算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
さらに、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力の配分比率K2よりも横G軸力の配分比率K1を大きくする。それゆえ、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力の配分比率を低減でき、例えば、電流軸力の推定精度が転舵モータ8Aの慣性やフリクションの影響によって低下したとしても、ブレンド軸力TBRの推定精度の低下を抑制できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
また、本実施形態のブレンド軸力算出部11Bbbは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値とに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。ここで、例えば、車両Aがスピン状態になった場合に、転舵電流および横方向加速度Gyが増大するため、横Gセンサ6の検出結果および転舵電流検出部8Bの検出結果はいずれも最大値(飽和値)となる。これに対し、ヨーレートγも増大するが、ヨーレートγの増大量は転舵電流および横方向加速度Gyの増加量に比べて比較的小さいので、ヨーレートセンサ7の検出結果は最大値(飽和値)に到達しない。そのため、車両Aのスピン状態の度合いに応じてヨーレートセンサ7の検出結果は変動する。それゆえ、車両Aのスピン状態の度合いに応じてブレンド軸力TBRを変動できる。その結果、本実施形態の制御演算部11は、ブレンド軸力TBRに基づいて反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
操舵角速度検出部11Bbcは、転舵角センサ4が検出した操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1の操舵角速度dδ/dtを算出する。そして、操舵角速度検出部11Bbcは、算出結果をブレンド軸力算出部11Bbbおよび操舵判定部11Bbdに出力する。ここで、操舵角速度dδ/dtは、ステアリングホイール1が時計回りに回転する場合の角速度を正値とし、反時計回りに回転する場合の角速度を負値とする。
操舵判定部11Bbdは、ブレンド軸力算出部11Bbbが算出したブレンド軸力TBRおよび操舵角速度検出部11Bbcが検出した操舵角速度dδ/dtに基づいて、運転者がステアリングホイール1の切り増し操作および切り戻し操作のいずれを行っているかを判定する。切り増し操作としては、例えば、ステアリングホイール1(操舵角δ)が中立位置から離れる方向への操舵操作である。また、切り戻し操作としては、例えば、ステアリングホイール1(操舵角δ)が中立位置に近づく方向への操舵操作がある。具体的には、操舵判定部11Bbdは、ブレンド軸力TBRが正値であり且つ操舵角速度dδ/dtが正値である場合、またはブレンド軸力TBRが負値であり且つ操舵角速度dδ/dtが負値である場合には、ステアリングホイール1の切り増し操作を行っていると判定し、変数K4を「1.0」とする。変数K4は、ステアリングホイール1の切り増し操作および切り戻し操作のいずれを行なっているかを表すフラグである。変数K4は、ステアリングホイール1の切り増し操作を行なっている場合に「1.0」とし、切り戻し操作を行なっている場合に「0.0」とする。さらに、操舵判定部11Bbdは、ブレンド軸力TBRが正値であり且つ操舵角速度dδ/dtが負値である場合、またはブレンド軸力TBRが負値であり且つ操舵角速度dδ/dtが正値である場合には、ステアリングホイール1の切り増し操作を行っていないと判定し、変数K4を0とする。そして、操舵判定部11Bbdは、設定した変数K4をフィードバック軸力算出実行部11Bbeに出力する。
フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、電流軸力算出部11Bba、ブレンド軸力算出部11Bbb、操舵角速度検出部11Bbcおよび操舵判定部11Bbdから電流軸力、ブレンド軸力TBR、操舵角速度dδ/dtおよび変数K4を読み込む。続いて、最終軸力算出部11Bcは、読み込んだ電流軸力、ブレンド軸力TBR、操舵角速度dδ/dtおよび変数K4に基づき、下記(6)式に従ってステアリングラック軸力(以下、フィードバック軸力TFB)を算出する。そして、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、算出結果を最終軸力算出部11Bcに出力する。
フィードバック軸力TFB=電流軸力×GB+ブレンド軸力TBR×(1−GB) ………(6)
ただし、GBは、電流軸力の配分比率GBとブレンド軸力TBRの配分比率(1−GB)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、配分比率GBに基づいて、電流軸力とブレンド軸力TBRとをGB:(1−GB)の割合で合算させて、フィードバック軸力TFBを算出する。
ここで、配分比率GBの設定方法としては、例えば、操舵判定部11Bbdが出力した判定結果を基に配分比率設定部11Bbfで配分比率GBを設定する方法を採用できる。配分比率設定部11Bbfは、操舵判定部11Bbdから操舵角速度dδ/dtおよび変数K4を読み込む。続いて、配分比率設定部11Bbfは、読み込んだ操舵角速度dδ/dtおよび変数K4に基づき、下記(7)式に従って配分比率GBを算出する。
GB=K4×K5 ………(7)
ただし、K5は、K4が「1.0」のとき、つまり、ステアリングホイール1の切り増し操作時における、電流軸力の配分比率GBとブレンド軸力TBRの配分比率(1−GB)を表す数値である。これにより、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ステアリングホイール1の切り増し操作時には、変数K5に基づいて電流軸力とブレンド軸力TBRとをK5:(1−K5)の割合で合算させて、フィードバック軸力TFBを算出する。なお、K4が「0.0」のとき、つまり、ステアリングホイール1の切り戻し操作時には、変数K5にかかわらず、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。
ここで、変数K5の設定方法としては、例えば、操舵角速度dδ/dtに対応した変数K5を変数マップM1から読み出す方法を採用できる。変数マップM1としては、例えば、操舵角速度dδ/dtに対応した変数K5を登録したマップがある。
図8は、変数マップM1を表すグラフである。
図8に示すように、変数マップM1は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が0以上で且つ第1設定値dδ1/dt(>0)未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず「1.0」に設定する。また、変数マップM1は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定値dδ2/dt(>dδ1/dt)以上の範囲では、操舵角速度dδ/dtの大きさにかかわらず変数K5を「0.0」に設定する。さらに、変数マップM1は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt以上で且つ第2設定値dδ2/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値に応じて変数K5を直線的に低下させる。具体的には、変数マップM1は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt以上で且つ第2設定値dδ2/dt未満の範囲では、操舵角速度dδ/dtの絶対値と変数K5との関係を表す一次関数に従って変数K5を設定する。一次関数は、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dtである場合に変数K5を「1.0」とし、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定値dδ2/dtである場合に変数K5を「0.0」とする。これにより、配分比率設定部11Bbfは、変数K4が「1.0」(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt未満(低速操舵時)である場合には、配分比率GBを「1.0」とする。そして、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、電流軸力をフィードバック軸力TFBとする。また、配分比率設定部11Bbfは、変数K4が「1.0」(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第2設定値dδ2/dt以上(高速操舵時)である場合には、配分比率GBを「0.0」とする。これにより、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。また、最終軸力算出部11Bcは、変数K4が「1.0」(切り増し操作時)であり、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt以上で且つ第2設定値dδ2/dt未満(中速操舵時)である場合には、配分比率GBを変数K5とする。これにより、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、電流軸力に変数K5を乗算した値とブレンド軸力TBRに(1−K5)を乗算した値とを合算したものをフィードバック軸力TFBとする。一方、最終軸力算出部11Bcは、変数K4が「0.0」(切り戻し操作時)である場合には、操舵角速度dδ/dtにかかわらず、配分比率GBを「0.0」とする。そして、フィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。
このように、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ステアリングホイール1の切り増し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt未満である場合には、電流軸力をフィードバック軸力TFBとする。ここで、ステアリングホイール1と操向輪2とが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1の切り増し操作時には、操向輪2の転舵に伴うタイヤ横力Fdとフリクションとにより、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力が発生する。また、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeでは、ステアリングホイール1の切り増し操作時には、電流軸力は、タイヤ横力Fdとフリクションとの合算値と等しくなる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、電流軸力をフィードバック軸力TFBとすることで、機械式の操舵制御装置と同様に、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力を付与できる。これにより、本実施形態の制御演算部11は、ステアリングホイール1の切り増し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
ちなみに、ブレンド軸力TBRは、操向輪2の転舵に伴うフリクションの要素が含まれていない。それゆえ、例えば、ステアリングホイール1の切り増し操作時に、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする方法では、操舵感に違和感を与える可能性がある。
また、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ステアリングホイール1の切り戻し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値の大きさにかかわらず、電流軸力と横G軸力とを予め設定された配分比率で配分したブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。ここで、ステアリングホイール1と操向輪2とが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1の切り戻し操作時には、操向輪2の転舵に伴うタイヤ横力Fdにより、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力が発生する。それゆえ、機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1の切り戻し操作時には、運転者は、ステアリングホイール1の保持力を低減し、ステアリングホイール1を手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1を中立位置に戻し、操向輪2を中立位置に戻していた。これに対し、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeでは、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとすることで、転舵電流が低減し、電流軸力が低減したとしても、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力が低減することを抑制できる。そのため、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeは、機械式の操舵制御装置と同様に、運転者がステアリングホイール1の保持力を低減し、ステアリングホイール1を手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1を中立位置に戻すことができる。これにより、本実施形態の制御演算部11は、ステアリングホイール1の切り戻し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
さらに、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeは、ステアリングホイール1の切り増し操作を行っていると判定し、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt以上であると判定した場合には、電流軸力とブレンド軸力TBRとを配分してフィードバック軸力TFBを設定するとともに、操舵角速度dδ/dtの絶対値が小さくなるほど電流軸力の配分比率を大きくする。それゆえ、本実施形態のフィードバック軸力算出実行部11Bbeは、例えば、ステアリングホイール1の切り戻し操作中に、操舵角δが中立位置を跨ぎ、引き続き同方向へステアリングホイール1の切り増し操作が行われた場合、切り増し操作中に操舵角速度dδ/dtの絶対値が徐々に低減するにつれ、ブレンド軸力TBRから電流軸力へとフィードバック軸力TFBを徐々に移行できる。これにより、本実施形態の制御演算部11は、より適切な操舵反力を付与できる。
図3に戻り、最終軸力算出部11Bcは、フィードフォワード軸力算出部11Baおよびフィードバック軸力算出部11Bbからフィードフォワード軸力TFFおよびフィードバック軸力TFBを読み込む。続いて、最終軸力算出部11Bcは、読み込んだフィードフォワード軸力TFFおよびフィードバック軸力TFBに基づき、下記(7)式に従ってステアリングラック軸力(以下、最終軸力)を算出する。そして、最終軸力算出部11Bcは、算出結果を軸力-操舵反力変換部11Bdに出力する。
最終軸力=フィードフォワード軸力TFF×GF+フィードバック軸力TFB×(1−GF) ………(7)
ここで、GFは、フィードフォワード軸力TFFの配分比率GFとフィードバック軸力TFBの配分比率(1−GF)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、最終軸力算出部11Bcは、配分比率GFに基づいて、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとをGF:(1−GF)の割合で合算させて、最終軸力を算出する。
このように、本実施形態の最終軸力算出部11Bcは、フィードバック軸力TFBおよびフィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出する。ここで、フィードバック軸力TFBは、操向輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映するため、路面状態の変化や車両状態の変化に応じて変化する。これに対し、フィードフォワード軸力TFFは、タイヤ横力Fdの影響を反映しないため、路面状態の変化等にかかわらず滑らかに変化する。それゆえ、最終軸力算出部11Bcは、フィードバック軸力TFBに加え、フィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出することで、より適切な最終軸力を算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、フィードバック軸力TFBに基づいて、反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
ここで、配分比率GFの設定方法としては、軸力差分に対応した配分比率GFを配分比率マップM2から読み出す方法を採用できる。軸力差分とは、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとの差である。具体的には、フィードフォワード軸力TFFからフィードバック軸力TFBを減算した減算結果である。配分比率マップM2としては、例えば、軸力差分に対応した配分比率GFを登録したマップである。
ここで、フィードフォワード軸力TFFは、予め設定した路面状態や車両状態を基に導出した上記(1)式に従って算出する。それゆえ、フィードフォワード軸力TFFの推定精度は、路面状態や車両状態が変化すると低下する。これに対し、フィードバック軸力TFBの推定精度は、路面状態や車両状態にかかわらずほぼ一定となる。そのため、本実施形態の最終軸力算出部11Bcは、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとの差である軸力差分を、配分比率GF、つまり、フィードフォワード軸力TFFの配分比率、およびフィードバック軸力TFBの配分比率を設定するための指標としている。これにより、本実施形態の最終軸力算出部11Bcは、より適切な配分比率GFを設定できる。
図9は、配分比率マップM2を表すグラフである。
図9に示すように、配分比率マップM2は、軸力差分の絶対値が0以上で且つ第1設定値Z1(>0)未満の範囲では、軸力差分の大きさにかかわらず配分比率GFを配分比率(1―GF)より大きい値(例えば、「1.0」)に設定する。第1設定値Z1としては、例えば、フィードフォワード軸力TFFの推定精度が低下を開始する軸力差分(閾値)を採用できる。また、配分比率マップM2は、軸力差分の絶対値が第2設定値Z2(>Z1)以上の範囲では、軸力差分の大きさにかかわらず配分比率GFを配分比率(1―GF)より小さい値(例えば、「0.0」)に設定する。第2設定値Z2としては、例えば、フィードフォワード軸力TFFの推定精度がフィードバック軸力TFBの推定精度よりも低下する軸力差分(閾値)を採用できる。さらに、配分比率マップM2は、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1以上で且つ第2設定値Z2未満の範囲では、軸力差分の絶対値に応じて配分比率GFを直線的に低下させる。具体的には、配分比率マップM2は、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1以上で且つ第2設定値Z2未満の範囲では、軸力差分の絶対値と配分比率GFとの関係を表す一次関数に従って配分比率GFを設定する。一次関数は、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1である場合に配分比率GFを「1.0」とし、軸力差分の絶対値が第2設定値Z2である場合に配分比率GFを「0.0」とする。これにより、最終軸力算出部11Bcは、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1未満である場合には、フィードフォワード軸力TFFを最終軸力とし、軸力差分の絶対値が第2設定値Z2以上である場合には、フィードバック軸力TFBを最終軸力とする。また、最終軸力算出部11Bcは、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1以上で且つ第2設定値Z2未満である場合には、フィードフォワード軸力TFFに配分比率GFを乗算した値とフィードバック軸力TFBに配分比率(1−GF)を乗算した値とを合算したものを最終軸力とする。
図3に戻り、軸力-操舵反力変換部11Bdは、最終軸力算出部11Bcが算出した最終軸力に基づいて目標操舵反力を算出する。目標操舵反力とは、操舵反力の目標値である。目標操舵反力の算出方法としては、例えば、車速Vおよび最終軸力に対応した目標操舵反力を軸力-操舵反力変換マップから読み出す方法を採用できる。軸力-操舵反力変換マップとは、車速V毎に、最終軸力に対応した目標操舵反力を登録したマップである。
図10は、軸力-操舵反力変換マップを表すグラフである。
図10に示すように、軸力-操舵反力変換マップは、車速V毎に設定される。また、軸力-操舵反力変換マップは、最終軸力が大きいほど目標操舵反力を大きい値とする。
図3に戻り、操舵反力補正値演算部11Bfは、操舵角δに基づき、操舵反力の補正値を演算する。
ここで、本実施形態における操舵反力補正値演算部11Bfの具体的な構成は、図11に示すようになっている。即ち、この操舵反力補正値演算部11Bfは、操舵角δと転舵角との間の伝達関数Gにそのときの操舵角δを入力することにより仮想転舵角θ’を演算する仮想転舵角演算部11Bfaと、操舵角δおよび仮想転舵角θ’の角度差(δ−θ’)を演算する減算器11Bfbと、その角度差(δ−θ’)をゲインK倍して補正値を演算する乗算器11Bfcとを備えている。
仮想転舵角演算部11Bfaに記憶されている伝達関数Gは、車両の定常状態(タイヤにねじれなどが生じていない状態)から操舵を開始した場合における、操舵角δを入力とし、転舵角を出力とした伝達関数であり、実際の車両の諸元に基づいて設定される。従って、操舵角および転舵角が変化する過程における操舵系のフリクションや操向輪2のタイヤねじれ等を含んだものである。
そして、実際の車両では、図12(a)に示すように、操舵角δが実線のように変化したとしても、タイヤねじれの影響があるため、仮想転舵角θ’は、操舵角δに対して遅れることになる。このため、角度差(δ−θ’)は、図12(b)に示すように、操舵を開始した直後から増大し、暫くすると減少に転じ、ある程度の時間が経過するとゼロとなるような変化をする。
なお、操舵角δはステアリングホイール1の回転角であり、仮想転舵角θ’は操向輪2の回転角であるため、物理的な角度同士では比較できないので、ここでは、操舵角δおよび仮想転舵角θ’は、ステアリングホイール1の最大操舵範囲と、操向輪2の最大転舵範囲とをそれぞれ1周期(2π)とした場合の角度で表現するものとしている。
図3に戻って、操舵反力補正値演算部11Bfが演算した補正値は、操舵反力決定部11Bgに供給される。また、操舵反力決定部11Bgには、軸力-操舵反力変換部11Bdが算出した目標操舵反力も供給されるようになっている。
そして、操舵反力決定部11Bgは、操舵反力補正値演算部11Bfから供給される補正値と、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給される目標操舵反力とを比較し、大きい方を選択(セレクトハイ)することで、補正後の目標操舵反力を決定するようになっている。
そして、目標反力電流演算部11Beは、操舵反力決定部11Bgにおいて決定された目標操舵反力(補正後)に基づき、下記(8)式に従って目標反力電流を算出する。そして、目標反力電流演算部11Beは、算出結果を反力モータ駆動部9Cに出力する。
目標反力電流=目標操舵反力×ゲイン ………(8)
図2に戻り、目標転舵電流演算部11Cは、目標転舵角演算部11Aが算出した目標転舵角θ*から転舵角センサ4が検出した転舵角θを減じた減算結果に基づいて目標転舵電流を算出する。そして、目標転舵電流演算部11Cは、算出結果を転舵モータ駆動部8Cに出力する。
(動作その他)
次に、車両Aの操舵制御装置の動作について説明する。
図13は、車両Aの操舵制御装置の動作を説明するための図である。
図13の時刻t1に示すように、車両Aの走行中、運転者がステアリングホイール1を操作し、ステアリングホイール1の切り増し操作を行ったとする。すると、制御演算部11が、操舵角δおよび車速Vに基づき目標転舵角θ*を算出する(図2の目標転舵角演算部11A)。続いて、制御演算部11が、算出した目標転舵角θ*から実際の転舵角θを減じた減算結果に基づき目標転舵電流を算出する(図2の目標転舵電流演算部11C)。これにより、転舵制御部8が、運転者の操舵操作に応じて操向輪2を転舵する。
同時に、制御演算部11が、操舵角δおよび車速Vに基づきフィードフォワード軸力TFFを算出する(図3のフィードフォワード軸力算出部11Ba)。続いて、制御演算部11が、転舵電流に基づき電流軸力を算出する(図5の電流軸力算出部11Bba)。続いて、制御演算部11が、横方向加速度Gyに基づき横G軸力を算出する(図5のブレンド軸力算出部11Bbb)。続いて、制御演算部11が、ヨーレートγおよび車速Vに基づきヨーレート軸力を算出する(図5のブレンド軸力算出部11Bbb)。続いて、制御演算部11が、算出した電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値とに基づき、ブレンド軸力TBRを算出する(図5のブレンド軸力算出部11Bbb)。横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の配分比率K1、K2、K3は、0.6:0.3:0.1とする。ここで、操舵角速度dδ/dtの絶対値が、第1設定値dδ1/dt未満であったとする。すると、変数K4が1.0となり、変数K5が1.0となり、配分比率GB(=K4×K5)が1.0となる(図5のフィードバック軸力算出実行部11Bbe)。そして、制御演算部11が、算出した電流軸力とブレンド軸力TBRとをGB:(1−GB)で配分して、電流軸力をフィードフォワード軸力TFFとする(図3のフィードバック軸力算出部11Bb)。続いて、制御演算部11が、算出したフィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとをGF:(1−GF)で配分して、最終軸力を算出する(図3の最終軸力算出部11Bc)。続いて、制御演算部11が、算出した最終軸力に基づき目標操舵反力を算出する(図3の軸力-操舵反力変換部11Bd)。そして、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力が操舵反力決定部11Bgにおいて選択されたものとすると、目標反力電流演算部11Beは、その目標操舵反力に基づき目標反力電流を算出し、そして、制御演算部11が、算出した目標反力電流に基づき反力モータ9Aを駆動する(図2の反力モータ駆動部9C)。これにより、反力制御部9が、ステアリングホイール1に操舵反力を付与する。
このように、本実施形態の操舵制御装置では、電流軸力、ブレンド軸力TBR、並びに切り増し操作および切り戻し操作の判定結果に基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。それゆえ、本実施形態の操舵制御装置は、転舵モータ8Aの転舵電流および車両Aの横方向加速度Gy等、一般的な車両が備えているセンサの検出結果に基づいて、フィードバック軸力TFBを算出できる。そのため、本実施形態の操舵制御装置は、フィードバック軸力TFBに基づいて反力モータ9Aを駆動することで、ステアリングラック軸力を検出するための専用のセンサを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制できる。
また、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り増し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt未満である場合には、電流軸力をフィードバック軸力TFBとする。そのため、本実施形態の操舵制御装置は、電流軸力をフィードバック軸力TFBとすることで、ステアリングホイール1と操向輪2とが機械的に結合している機械式の操舵制御装置と同様に、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力を付与できる。これにより、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り増し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
ここで、図13の時刻t2に示すように、運転者が、ステアリングホイール1の切り増し操作を終え、切り戻し操作を行ったとする。すると、変数K4が0.0となり、変数K5にかかわらず、配分比率GB(=K4×K5)が0.0となる(図5のフィードバック軸力算出実行部11Bbe)。そして、制御演算部11が、算出した電流軸力とブレンド軸力TBRとをGB:(1−GB)で配分して、ブレンド軸力TBRをフィードフォワード軸力TFFを算出する(図3のフィードバック軸力算出部11Bb)。これにより、フィードバック軸力TFBが、電流軸力からブレンド軸力TBRへと切り換わる。
このように、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り戻し操作が行われると、操舵角速度dδ/dtの絶対値の大きさにかかわらず、電流軸力と横G軸力とを予め設定された配分比率で配分したブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとする。ここで、ステアリングホイール1と操向輪2とが機械的に結合している機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1の切り戻し操作時には、操向輪2の転舵に伴うタイヤ横力Fdにより、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力が発生する。それゆえ、機械式の操舵制御装置では、ステアリングホイール1の切り戻し操作時には、運転者は、ステアリングホイール1の保持力を低減し、ステアリングホイール1を手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1を中立位置に戻し、操向輪2を中立位置に戻していた。これに対し、本実施形態の操舵制御装置は、ブレンド軸力TBRをフィードバック軸力TFBとすることで、転舵電流が低減し、電流軸力が低減したとしても、ステアリングホイール1を中立位置に戻す操舵反力が低減することを抑制できる。そのため、本実施形態の操舵制御装置は、機械式の操舵制御装置と同様に、運転者がステアリングホイール1の保持力を低減し、ステアリングホイール1を手の平で滑らせることで、ステアリングホイール1を中立位置に戻すことができる。これにより、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り戻し操作時に、より適切な操舵反力を付与できる。
ここで、図13の時刻t3に示すように、運転者が、ステアリングホイール1の切り戻し操作中(例えば、時計回り方向への操舵中)に、操舵角δが中立位置を跨いだ後、引き続き時計回り方向へステアリングホイール1の切り増し操作を行ったとする。また、操舵角速度dδ/dtの絶対値が、第1設定値dδ1/dt以上で且つ第2設定値dδ2/dt未満の範囲にあったとする。すると、操舵角速度dδ/dtの絶対値が小さくなるにつれ、変数K4が1.0となり、変数K5が増大し、電流軸力の配分比率GB(=K4×K5)が増大する(図5のフィードバック軸力算出実行部11Bbe)。そして、制御演算部11が、算出した電流軸力とブレンド軸力TBRとをGB:(1−GB)で配分して、フィードバック軸力TFBを算出する(図3のフィードバック軸力算出部11Bb)。これにより、フィードバック軸力TFBが、ブレンド軸力TBRから電流軸力へと徐々に移行する。
このように、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り増し操作を行っていると判定し、且つ、操舵角速度dδ/dtの絶対値が第1設定値dδ1/dt以上であると判定した場合には、電流軸力とブレンド軸力TBRとを配分してフィードバック軸力TFBを設定するとともに、操舵角速度dδ/dtの絶対値が小さくなるほど電流軸力の配分比率を大きくする。それゆえ、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り戻し操作中に、操舵角δが中立位置を跨ぎ、引き続き同方向へステアリングホイール1の切り増し操作が行われた場合、切り増し操作中に操舵角速度dδ/dtの絶対値が徐々に低減するにつれ、ブレンド軸力TBRから電流軸力へとフィードバック軸力TFBを徐々に移行できる。これにより、本実施形態の操舵制御装置は、ステアリングホイール1の切り戻し操作から切り増し操作への切り換え時に、より適切な操舵反力を付与できる。
一方、目標操舵反力演算部11Bの操舵反力補正値演算部11Bfは、操舵角δに基づき操舵反力の補正値を演算しているが、車両の走行中であると、タイヤのねじれも小さいため、補正値の演算の基礎となる角度差(δ−θ’)はさほど大きくはならない。また、車速V、横方向加速度Gy、ヨーレートγも走行状況に応じてそれなりの大きさで発生しているため、フィードフォワード軸力TFFおよびフィードバック軸力TFBも決して小さくはない。
よって、操舵反力決定部11Bgでは、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力をセレクトハイという選択基準によって選択し、その目標操舵反力を目標反力電流演算部18Beに供給することになる。
これに対し、車両が停車している状況で運転者がステアリングホイール1を操舵するいわゆる据え切りが行われている状況を考える。
即ち、車両が停車しているため、上記(1)式に示したフィードフォワード軸力TFFの演算においては、右辺第1項がゼロとなり、また、ヨーレートγや横方向加速度Gyがゼロになりフィードバック軸力TFBも算出されない。よって、この状況では、演算される目標操舵反力を構成する成分は、転舵電流が支配的となる。
さらに、車速Vがゼロのときに図14(a)に示すように操舵角δが変化したとし、その操舵角δが変化し始めたときにはタイヤにねじれが生じていなかったものとすると、転舵電流は、図14(b)に実線で示すように、操舵角δの変化を略々追従するように変化することになる。この状況では、転舵電流に略々比例した操舵反力が発生すれば、運転者は特に違和感を感じることはない。
しかしながら、図14(a)に示すように操舵角δが変化したとしても、操舵角δが変化し始めたときには既にタイヤにねじれが生じていたものとすると、そのねじれた分の影響で転舵電流が直ぐには発生せず、図14(b)に破線で示すように暫く立ち上がらない場合がある。
このため、転舵電流が立ち上がらない分、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力も立ち上がらないことになる。
しかしながら、本実施形態にあっては、そのように目標操舵反力が立ち上がらなかったとしても、操舵反力補正値演算部11Bfが操舵角δと仮想転舵角θ’との差に基づき図12(b)に示すような補正値を演算するため、操舵反力決定部11Bgにおいては、セレクトハイという選択基準によってその補正値を、目標操舵反力(補正後)として選択することになる。
そのときの様子を、図15に示す。
即ち、車速Vがゼロの状態で操舵を開始した直後には、タイヤねじれの影響によって軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力(補正前)が直ぐには立ち上がらなかったとしても、操舵角δと仮想転舵角θ’との角度差に基づいた補正値が目標操舵反力(補正後)として選択される。その後、時間が経過して転舵電流が増加して目標操舵反力(補正前)も徐々に立ち上がり、そのときには操舵角δと仮想転舵角θ’との差も小さくなっていくため補正値は逆に減少に転じ、両者の大小関係は逆転する。すると、その逆転した後は、転舵電流に基づいて演算された目標操舵反力が最終的な目標操舵反力として決定されることになる。
よって、図15に示すように、据え切り開始時に転舵電流が小さかったとしても、操舵を開始した直後から操舵反力を発生させることができ、運転者に違和感を与える可能性を低減することができる。
本実施形態では、図1のステアリングホイール1がステアリングホイールを構成する。以下同様に、図1の操舵角センサ3が操舵角検出部を構成する。また、図1の転舵モータ8Aおよび転舵モータ駆動部8Cが転舵アクチュエータを構成する。また、図1の転舵電流検出部8Bが転舵電流検出部を構成する。また、図1の反力モータ9A、図2の反力モータ駆動部9Cおよび目標操舵反力演算部11Bが反力アクチュエータを構成する。また、図3の軸力-操舵反力変換部11Bdが操舵反力目標値演算部を構成する。
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)制御演算部11が、電流軸力、ブレンド軸力TBR、並びに切り増し操作および切り戻し操作の判定結果に基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。続いて、制御演算部11が、算出したフィードバック軸力TFBに基づいて操舵反力を算出する。そして、制御演算部11が、算出した操舵反力に基づいて反力モータ9Aを駆動する。
このような構成によれば、転舵電流および横方向加速度Gy等、一般的な車両が備えているセンサの検出結果に基づいて反力モータ9Aを駆動できる。それゆえ、専用のセンサを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制できる。
しかも、操舵反力補正値演算部11Bfが操舵角δに基づいて操舵反力の補正値を演算し、その補正値と、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力とに基づいて操舵反力決定部11Bgが最終的な操舵反力を決定するようにしたため、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力が立ち上がらない状況であっても操舵反力を発生させることができる。よって、運転者に違和感を与える可能性を低減できる。
(2)また、操舵反力補正値演算部11Bfは、操舵角と転舵角との間の伝達関数Gに操舵角δを代入した場合の演算出力である仮想転舵角θ’と、操舵角とに基づいて、補正値を演算する構成であるため、路面の摩擦状況等の影響を受ける実際の転舵角に関係なく補正値を演算することができる。
(3)特に、操舵反力補正値演算部11Bfは、仮想転舵角θ’と操舵角δとの差に基づいて補正値を演算するため、操舵開始直後にそれなりの大きさの補正値を演算でき、時間が経過した後は補正値を抑えることができるため、補正値の影響が長時間残るようなことを避けられる。
(4)そして、操舵反力決定部11Bgは、セレクトハイという選択基準で目標操舵反力を決定する構成であるため、的確な目標操舵反力を容易に求めることができる。
(5)さらに、車速V、ヨーレートγを検出し、それら車速V、ヨーレートγにも基づいて操舵反力の目標値を算出するようにしたため、的確な操舵反力の目標値を算出することができる一方で、停車中にそれらに基づく操舵反力の成分がゼロになったとして、操舵反力補正値演算部11Bfおよび操舵反力決定部11Bgを備えているため、操舵反力が過小になって運転者に違和感を与えてしまう可能性も低くなっている。
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、操舵反力補正値演算部11Bfにおいて操舵角δと仮想転舵角θ’との差に基づいて補正値を演算するように構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、操舵角δと仮想転舵角θ’との比に基づいて補正値を演算するようにしてもよい。比に基づく場合には、操舵角δと仮想転舵角θ’との比(θ’/δ)が小さいほど補正値を大きく、比が1に近いほど補正値を小さくするように設定すればよい。
(第2実施形態)
操舵反力補正値演算部11Bfは、図16に示すように構成することも可能である。
即ち、図16に示す操舵反力補正値演算部11Bfは、操舵角δを微分して操舵角速度dδ/dtを演算する微分器11Bfdと、その微分器11Bfdが演算した操舵角速度dδ/dtに基づき、操舵角速度dδ/dtに比例して大きくなる補正値を演算する乗算器11Bfeとを備えている。
このような構成であっても、ステアリングホイール1の操舵状況に応じた操舵反力の補正値を演算することができるため、軸力-操舵反力変換部11Bdから供給された目標操舵反力が立ち上がらない状況であっても操舵反力を発生させることができる。よって、運転者に違和感を与える可能性を低減できる。
ここで、この変形例にあっては、微分器11Bfdが操舵角速度検出部を構成する。
(第2実施形態の効果)
ステアリングホイール1の操舵角速度dδ/dtを検出する微分器11Bfdを備え、操舵反力補正値演算部11Bfは、ステアリングホイール1の操舵角速度dδ/dtに基づいて操舵反力の補正値を演算するため、操舵状況のみに応じた操舵反力の補正値を容易に演算することができる。
以上、本願が優先権を主張する日本国特許出願2013−3968(2013年1月11日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
1 ステアリングホイール
3 操舵角センサ
5 車速センサ
6 横Gセンサ
7 ヨーレートセンサ
8A 転舵モータ(転舵アクチュエータ)
8B 転舵電流検出部(転舵電流検出部)
8C 転舵モータ駆動部(転舵アクチュエータ)
9A 反力モータ(反力アクチュエータ)
9C 反力モータ駆動部(反力アクチュエータ)
11B 目標操舵反力演算部(反力アクチュエータ)
11Bd 軸力-操舵反力変換部(操舵反力目標値演算部)
11Bf 操舵反力補正値演算部
11Bfa 仮想転舵角演算部
11Bfb 減算器
11Bfc 乗算器
11Bfd 微分器
11Bfe 乗算器
11Bg 操舵反力決定部
【0001】
技術分野
[0001]
本発明は、ステアリングホイールと操向輪とが機械的に分離したステア・バイ・ワイヤ方式の操舵制御装置に関するものである。
背景技術
[0002]
従来、この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、ステアリングラックに作用するラック軸力に基づいて操舵反力を生成することで、タイヤに作用するタイヤ横力を操舵反力に反映させている。
先行技術文献
特許文献
[0003]
特許文献1:特開2000−108914号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004]
ここで、上記従来技術では、ラック軸力に基づいて操舵反力を生成するため、ラック軸力を検出する軸力センサが必要となる。しかしながら、軸力センサは比較的高価であるため、操舵制御装置の製造コストが増大する可能性があった。
本発明は、上記のような点に着目し、製造コストの増大を抑制可能とすることを課題とする。
課題を解決するための手段
[0005]
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、転舵アクチュエータの転舵電流および車両の横方向加速度に基づいて、目標操舵反力を算出する。また、ステアリングホイールの操舵操作に応じて発生していることが予測される操向輪の転舵角と操舵角との差が大きいほど、操舵方向と反対方向に発生する操舵反力の補正値を大きくする。そして、本発明では、目標操舵反力と、補正値とに基づいて、操舵反力を決定し、その操舵反力で反力アクチュエ
【0002】
ータを駆動する。
発明の効果
[0006]
本発明の一態様では、転舵電流および横方向加速度等、一般的な車両が備えているセンサの検出結果に基づいて操舵反力を算出する。それゆえ、本発明の一態様では、専用のセンサを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制できる。
図面の簡単な説明
[0007]
[図1]車両Aの構成を表す概念図である。
[図2]制御演算部11の構成を表すブロック図である。
[図3]目標操舵反力演算部11Bの詳細な構成を表すブロック図である。
[図4]フィードフォワード軸力TFFの算出式の係数を説明するための図である。
[図5]フィードバック軸力算出部Bbの詳細な構成を表すブロック図である。
[図6]横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。
[図7]フィードバック軸力TFB、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。
[図8]変数マップM1を表すグラフである。
[図9]配分比率マップM2を表すグラフである。
[図10]軸力−操舵反力変換マップを表すグラフである。
[図11]操舵反力補正値演算部11Bfの構成を表すブロック図である。
[図12]補正値の演算過程を説明する波形図である。
[図13]車両Aの操舵制御装置の動作を説明するための図である。
[図14]操舵角と転舵電流との関係を状況毎に説明する波形図である。
[図15]実施形態の動作を説明する波形図である。
[図16]実施形態の変形例を示すブロック図である。
発明を実施するための形態
[0008]
(第1実施形態)
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、転舵アクチュエータの転舵電流に基づいて、目標操舵反力を算出する。また、ステアリングホイールの操舵操作に応じて発生していることが予測される操向輪の転舵角と操舵角との差が大きいほど、操舵方向と反対方向に発生する操舵反力の補正値を大きくする。そして、本発明では、目標操舵反力と、補正値とに基づいて、操舵反力を決定し、その操舵反力で反力アクチュエータを駆動する。なお、操舵反力の補正値は、操舵角とステアリングホイールの操舵操作に応じて発生していることが予測される操向輪の転舵角との間の伝達関数に操舵角を代入した場合の演算出力である仮想転舵角と操舵角との差が大きいほど、操舵方向と反対方向に発生する操舵反力の補正値を大きくし、伝達関数は、操舵角および転舵角が変化する過程における操向輪のタイヤねじれを含んでいる。
本発明の一態様では、転舵電流等、一般的な車両が備えているセンサの検出結果に基づいて操舵反力を算出する。それゆえ、本発明の一態様では、専用のセンサを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制できる。
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、転舵アクチュエータの転舵電流に基づ
いて、目標操舵反力を算出する。また、ステアリングホイールの操舵操作に応じて発生し
ていることが予測される操向輪の転舵角と操舵角との差が大きいほど、操舵方向と反対方
向に発生する操舵反力の補正値を大きくする。そして、本発明では、目標操舵反力と、補
正値とに基づいて、操舵反力を決定し、その操舵反力で反力アクチュエータを駆動する。
なお、操舵反力の補正値は、操舵角とステアリングホイールの操舵操作に応じて発生して
いることが予測される操向輪の転舵角との間の伝達関数に操舵角を代入した場合の演算出
力である仮想転舵角と操舵角との差が大きいほど、操舵方向と反対方向に発生する操舵反
力の補正値を大きくし、伝達関数は、操舵角および転舵角が変化する過程における操向輪
のタイヤねじれを含んでいる。操舵反力決定部は、目標値および補正値のうち大きい方を操舵反力として選択することにより、停車中にステアリングホイールを操作する据え切りで、タイヤにねじれが生じているときに、補正値を操舵反力として選択する。

Claims (7)

  1. 操向輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵量に応じて操向輪を転舵する転舵アクチュエータと、
    前記転舵アクチュエータの転舵電流を検出する転舵電流検出部と、
    前記転舵電流検出部が検出した前記転舵電流、および車両に作用する横方向加速度に基づいて、操舵反力の目標値を算出する操舵反力目標値演算部と、
    前記ステアリングホイールの操舵角に基づいて操舵反力の補正値を演算する操舵反力補正値演算部と、
    前記操舵反力目標値演算部が演算した操舵反力の目標値および前記操舵反力補正値演算部が演算した前記補正値に基づいて操舵反力を決定する操舵反力決定部と、
    前記操舵反力決定部が決定した操舵反力に基づいて前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、を備えることを特徴とする操舵制御装置。
  2. 前記操舵反力補正値演算部は、前記ステアリングホイールの操舵角と前記操向輪の転舵角との間の伝達関数に前記操舵角を代入した場合の演算出力である仮想転舵角と、前記操舵角とに基づいて、前記補正値を演算する請求項1記載の操舵制御装置。
  3. 前記操舵反力補正値演算部は、前記仮想転舵角と前記操舵角との差に基づいて前記補正値を演算する請求項2記載の操舵制御装置。
  4. 前記操舵反力補正値演算部は、前記ステアリングホイールの操舵角速度に基づいて前記補正値を演算する請求項1記載の操舵制御装置。
  5. 前記操舵反力決定部は、前記目標値および前記補正値のうち大きい方を前記操舵反力として選択する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  6. 前記操舵反力目標値演算部は、車両の車速にも基づいて、前記操舵反力の目標値を算出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
  7. 前記操舵反力目標値演算部は、車両のヨーレートにも基づいて、前記操舵反力の目標値を算出する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の操舵制御装置。
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