JP7314636B2 - 転舵制御装置 - Google Patents

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本発明は、電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とする転舵制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、操舵トルクを目標操舵トルクにフィードバック制御するための操作量に基づき、転舵輪を転舵させる制御装置が記載されている。詳しくは、この操作量は、比例要素、積分要素および微分要素の各出力値の和に応じて算出される。
特開2004-203089号公報
ところで、フィードバック制御のゲインを固定値とした場合には、外乱を抑制したり、安定性を確保したり、操舵フィーリングを最適化したりするなど、様々な要求要素に応じることが困難である。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、運転者が入力する操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを算出する目標操舵トルク算出処理と、前記操舵トルクを前記目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、前記操舵操作量に基づき前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、を実行し、前記目標操舵トルク算出処理は、前記操舵操作量と前記操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和に基づき、前記目標操舵トルクを算出する処理であり、前記操舵操作量算出処理は、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に基づく比例項に、前記操舵トルクの時間変化に比例した微分項を加算する処理に基づき前記操舵操作量を算出する処理と、前記微分項における前記時間変化の比例係数である微分ゲインを、前記和の大きさの増加量に対する前記目標操舵トルクの大きさの増加量が第1の値であるときと第2の値であるときとで互いに異なる値に設定する微分ゲイン可変処理と、を含む転舵制御装置である。
発明者は、操舵操作量と操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和の大きさの増加量に対する目標操舵トルクの大きさの増加量が異なる場合、操舵トルクのフィードバック制御の制御性を高く維持するうえで適切な微分ゲインの大きさが異なることを見出した。そのため、上記構成では、上記増加量が第1の場合と第2の場合とで微分ゲインを可変設定することにより、第1の場合と第2の場合とで微分ゲインの値をそれぞれ適切な値に設定することが可能となる。
2.前記微分ゲイン可変処理は、前記和の大きさと前記目標操舵トルクとで関係づけられる領域のうち、第1の領域において前記目標操舵トルクの大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも前記微分ゲインを大きい値とする処理を実行し、前記第1の領域よりも前記和の大きさが大きい第2の領域において前記目標操舵トルクの大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも前記微分ゲインを小さい値とする処理を実行する上記1記載の転舵制御装置である。
上記構成では、第1の領域において、目標操舵トルクの大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも微分ゲインの値を大きい値とすることにより、外乱を抑制することができる。また、第2の領域において、目標操舵トルクの大きさの増加量の大きさが大きい場合に小さい場合よりも微分ゲインの値を小さい値とすることにより、安定性を確保できる。
3.前記微分ゲイン可変処理は、前記同一の物体に働く力に換算した量同士の和を入力として前記微分ゲインを可変設定する処理を含む上記1または2記載の転舵制御装置である。
上記構成では、目標操舵トルク算出処理の入力となる上記和を微分ゲインを可変設定する際の入力とすることにより、操舵操作量と操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和の大きさの増加量に対する目標操舵トルクの大きさの増加量に応じて、適切な微分ゲインを設定することができる。
4.前記目標操舵トルク算出処理は、前記同一の物体に働く力に換算した量同士の和に加えて、車速に基づき、前記目標操舵トルクを算出する処理であり、前記微分ゲイン可変処理は、前記車速を入力として前記微分ゲインを可変設定する処理を含む上記1記載の転舵制御装置である。
目標操舵トルクが車速に応じて算出される場合、同一の物体に働く力に換算した量同士の和が同一であっても、上記目標操舵トルクの大きさの増加量が車速に応じて変化する。そこで上記構成では、車速に基づき微分ゲインを可変設定することにより、操舵操作量と操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和の大きさの増加量に対する目標操舵トルクの大きさの増加量に応じて、微分ゲインをより適切に設定することができる。
5.前記比例項における前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差の比例係数である比例ゲインを、車速に応じて可変設定する比例ゲイン可変処理を実行する上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
上記構成では、目標操舵トルクの大きさの増加量が車速に応じて変化することに鑑み、目標操舵トルクの大きさの増加量に応じて比例ゲインを可変設定することができ、ひいては安定性と応答性との好適な折衷を図ることができる。
6.前記比例項における前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差の比例係数である比例ゲインを、前記操舵トルクに応じて可変設定する比例ゲイン可変処理を実行する上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
上記構成では、操舵トルクに応じて比例ゲインを設定することにより、比例ゲインを固定する場合と比較して、様々な要求要素に対処しやすい。
7.前記操作処理は、前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、前記角度操作量に基づき前記駆動回路を操作する操作信号を生成する操作信号生成処理と、を含む上記1~6のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
上記構成では、角度操作量に基づき駆動回路が操作されることから、車両が走行する路面の状態に関わらず転舵角がその目標値に制御されることとなる。そのため、路面からの逆入力を抑制することができる。また、上記構成では、操舵操作量に基づき角度指令値をいかに算出するかに応じて、操舵感を調整することができる。
8.前記操作信号生成処理は、前記操舵操作量を入力とすることなく前記角度操作量に基づき前記操作信号を生成する処理である上記7記載の転舵制御装置である。
第1の実施形態にかかる電動パワーステアリング装置を示す図。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる操舵操作量算出処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる微分ゲインの設定を例示する図。 第2の実施形態にかかる電動パワーステアリング装置を示す図。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理を示すブロック図。
<第1の実施形態>
以下、転舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、運転者のステアリングホイール22の操作に基づいて転舵輪12を転舵させる操舵機構20、および転舵輪12を電動で転舵させる転舵アクチュエータ30を備えている。
操舵機構20は、ステアリングホイール22と、ステアリングホイール22に固定されたステアリングシャフト24と、ラックアンドピニオン機構27と、を備えている。ステアリングシャフト24は、ステアリングホイール22と連結されたコラムシャフト24aと、コラムシャフト24aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト24bと、インターミディエイトシャフト24bの下端部に連結されたピニオンシャフト24cとを有している。ピニオンシャフト24cの下端部は、ラック軸26とともに、ラックアンドピニオン機構27を構成している。ラック軸26の両端には、タイロッド28を介して、左右の転舵輪12が連結されている。したがって、ステアリングホイール22、すなわちステアリングシャフト24の回転運動は、ラックアンドピニオン機構27を介してラック軸26の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラック軸26の両端にそれぞれ連結されたタイロッド28を介して、転舵輪12にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪12の転舵角が変化する。
一方、転舵アクチュエータ30は、ラック軸26を操舵機構20と共有し、また、電動機32や、インバータ33、ボールねじ機構34、ベルト式減速機構36を備えている。電動機32は、転舵輪12を転舵させるための動力の発生源であり、本実施形態では、電動機32として、3相の表面磁石同期電動機(SPMSM)を例示する。ボールねじ機構34は、ラック軸26の周囲に一体的に取り付けられており、ベルト式減速機構36は、電動機32の出力軸32aの回転力をボールねじ機構34に伝達する。電動機32の出力軸32aの回転力は、ベルト式減速機構36およびボールねじ機構34を介して、ラック軸26を軸方向に往復直線運動させる力に変換される。このラック軸26に付与される軸方向の力によって、転舵輪12を転舵させることができる。
転舵制御装置40は、転舵輪12を制御対象とし、その制御量である転舵角を制御すべく、転舵アクチュエータ30を操作する。転舵制御装置40は、制御量の制御に際し、トルクセンサ50によって検出される、運転者がステアリングホイール22を介して入力するトルクである操舵トルクThや、車速センサ52によって検出される車速Vを参照する。また、転舵制御装置40は、回転角度センサ54によって検出される出力軸32aの回転角度θmや、電動機32を流れる電流iu,iv,iwを参照する。なお、電流iu,iv,iwは、インバータ33の各レッグに設けられたシャント抵抗における電圧降下として検出されるものとすればよい。
転舵制御装置40は、CPU42、ROM44および周辺回路46を備え、それらが通信線48を介して接続されているものである。なお、周辺回路46は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。
図2に、転舵制御装置40が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより実現される。
ベース目標トルク算出処理M10は、後述する軸力Tafに基づき、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべき目標操舵トルクTh*のベース値であるベース目標トルクThb*を算出する処理である。ここで、軸力Tafは、ラック軸26に加わる軸方向の力である。軸力Tafは、転舵輪12に作用する横力に応じた量となることから、軸力Tafによって横力を把握することができる。一方、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべきトルクは、横力に応じて定めることが望ましい。したがって、ベース目標トルク算出処理M10は、軸力Tafから把握される横力に応じてベース目標トルクThb*を算出する処理となっている。
詳しくは、ベース目標トルク算出処理M10は、軸力Tafの大きさ(絶対値)が同一であっても車速Vが小さい場合に大きい場合よりも、ベース目標トルクThb*の大きさ(絶対値)をより小さい値に算出する処理である。これは、たとえば、軸力Tafまたは軸力Tafから把握される横加速度および車速Vを入力変数とし、ベース目標トルクThb*を出力変数とするマップデータが予めROM44に記憶された状態でCPU42によりベース目標トルクThb*をマップ演算することによって実現できる。ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
ヒステリシス処理M14は、転舵輪12の転舵角に換算可能な換算可能角度であるピニオンシャフト24cの回転角度(ピニオン角θp)に基づき、ベース目標トルクThb*を補正するヒステリシス補正量Thysを算出して出力する処理である。詳しくは、ヒステリシス処理M14は、ピニオン角θpの変化等に基づき、ステアリングホイール22の切り込み時および切り戻し時を識別し、切り込み時において切り戻し時と比較して目標操舵トルクTh*の大きさがより大きくなるように、ヒステリシス補正量Thysを算出する処理を含む。詳しくは、ヒステリシス処理M14は、車速Vに応じてヒステリシス補正量Thysを可変設定する処理を含む。
加算処理M12は、ベース目標トルクThb*にヒステリシス補正量Thysを加算することによって、目標操舵トルクTh*を算出する処理である。
操舵操作量算出処理M16は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量である操舵操作量Ts*を算出する処理である。なお、操舵操作量Ts*は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するうえでの電動機32に対する要求トルクTdに応じた量であるが、本実施形態では、操舵操作量Ts*は、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算された量となっている。
軸力算出処理M18は、操舵操作量Ts*に操舵トルクThを加算することによって、軸力Tafを算出する処理である。なお、操舵トルクThは、ステアリングシャフト24に加わるトルクのため、本実施形態において軸力Tafは、ラック軸26の軸方向に加わる力を、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算した値となっている。
規範モデル演算処理M20は、軸力Tafに基づき、ピニオン角θpの指令値であるピニオン角指令値θp*を算出する処理である。詳しくは、規範モデル演算処理M20は、以下の式(c1)にて表現されるモデル式を用いて、ピニオン角指令値θp*を算出する処理である。
Taf=K・θp*+C・θp*’+J・θp*’’ …(c1)
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、軸力Tafと等しい量のトルクがステアリングシャフト24に入力された場合にピニオン角θpが示す値をモデル化したものである。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、電動パワーステアリング装置10の摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、電動パワーステアリング装置10の慣性をモデル化したものであり、弾性係数Kは、電動パワーステアリング装置10が搭載される車両のサスペンションやホイールアライメント等の仕様をモデル化したものである。このモデルは、実際の電動パワーステアリング装置10や電動パワーステアリング装置10が搭載される車両を正確に表現したモデルではなく、入力に対する転舵角の挙動を理想的な挙動とするために設計された規範モデルである。すなわち、本実施形態では、規範モデルの設計を通じて操舵フィーリングの調整を可能としている。
積算処理M30は、電動機32の回転角度θmの積算値Inθを算出する処理である。なお、本実施形態では、車両が直進するときの転舵輪12の転舵角を「0」としており、転舵角が「0」であるときの積算値Inθを「0」とする。換算処理M32は、積算値Inθを、ステアリングシャフト24から電動機32までの減速比Kmで除算することによって、ピニオン角θpを算出する処理である。ピニオン角θpは、「0」である場合に直進方向であることを示し、正であるか負であるかに応じて、右旋回側の転舵角であるか左旋回側の転舵角であるかを示す。
角度操作量算出処理M40は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*にフィードバック制御するための操作量である角度操作量Tt*を算出する処理である。角度操作量Tt*は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*にフィードバック制御するうえでの電動機32に対する要求トルクTdに応じた量であるが、本実施形態では、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算された量となっている。
角度操作量算出処理M40は、角度操作量Tt*と操舵トルクTh以外に、ピニオン角θpに影響するトルクを外乱トルクとして推定し、これを推定外乱トルクTldeとする外乱オブザーバM42を含む。なお、本実施形態では、推定外乱トルクTldeをステアリングシャフト24に加わるトルクに換算している。
外乱オブザーバM42は、慣性係数Jp、ピニオン角θpの推定値θpe、角度操作量Tt0*およびオブザーバゲインl1,l2,l3を規定する3行1列の行列Lを用いて以下の式(c2)にて、推定外乱トルクTldeや推定値θpeを算出する。なお、慣性係数Jpは、電動パワーステアリング装置10の慣性をモデル化したものであり、慣性係数Jと比較して、実際の電動パワーステアリング装置10の慣性を高精度に表現した値となっている。

微分演算処理M44は、ピニオン角指令値θp*の微分演算によってピニオン角速度指令値を算出する処理である。
フィードバック項算出処理M46は、ピニオン角指令値θp*と推定値θpeとの差に応じた比例項と、ピニオン角指令値θp*の微分値と推定値θpeの微分値との差に応じた微分項との和であるフィードバック操作量Ttfbを算出する処理である。
2階微分処理M48は、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値を算出する処理である。フィードフォワード項算出処理M50は、2階微分処理M48の出力値に慣性係数Jpを乗算することによってフィードフォワード操作量Ttffを算出する処理である。2自由度操作量算出処理M52は、フィードバック操作量Ttfbと、フィードフォワード操作量Ttffとの和から、推定外乱トルクTldeを減算して、角度操作量Tt0*を算出する処理である。
操舵トルク補償処理M54は、角度操作量Tt0*から操舵トルクThを減算して角度操作量算出処理M40の出力となる角度操作量Tt*を算出する処理である。
加算処理M60は、操舵操作量Ts*と角度操作量Tt*とを加算して、電動機32に対する要求トルクTdを算出する処理である。
換算処理M62は、要求トルクTdを減速比Kmで除算することによって、要求トルクTdを、電動機32に対するトルクの指令値であるトルク指令値Tm*に換算する処理である。
操作信号生成処理M64は、電動機32のトルクをトルク指令値Tm*に制御するためのインバータ33の操作信号MStを生成して出力する処理である。なお、操作信号MStは、実際には、インバータ33の各レッグの各アームの操作信号となる。
図3に、操舵操作量算出処理M16の詳細を示す。
図3に示すように、偏差算出処理M70は、操舵トルクThから目標操舵トルクTh*を減算する処理である。比例ゲイン設定処理M72は、車速Vと操舵トルクThとに基づき、比例ゲインKpを設定する処理である。この処理は、車速Vおよび操舵トルクThを入力変数とし比例ゲインKpを出力変数とするマップデータが予めROM44に記憶された状態で、CPU42により比例ゲインKpをマップ演算する処理である。比例項算出処理M74は、偏差算出処理M70の出力値に比例ゲインKpを乗算することによって、比例項Tfbpを算出する処理である。なお、比例ゲインKpは、正の値であり、操舵トルクThおよび目標操舵トルクTh*がともに正の場合、操舵トルクThが目標操舵トルクTh*よりも大きいほど、比例項Tfbpが正で大きい値を有する。
微分処理M76は、操舵トルクThの1階時間微分値を算出する処理である。第1微分ゲイン設定処理M78は、車速Vに基づき第1微分ゲインKd1を設定する処理である。詳しくは、車速Vを入力変数とし第1微分ゲインKd1を出力変数とするマップデータが予めROM44に記憶された状態で、CPU42により第1微分ゲインKd1をマップ演算する。第1微分項算出処理M80は、微分処理M76の出力値に第1微分ゲインKd1を乗算することによって、第1微分項Tfbd1を算出する処理である。
第2微分ゲイン設定処理M82は、軸力Tafと車速Vとに基づき、第2微分ゲインKd2を設定する処理である。詳しくは、軸力Tafおよび車速Vを入力変数とし第2微分ゲインKd2を出力変数とするマップデータが予めROM44に記憶された状態で、CPU42により第2微分ゲインKd2をマップ演算する。第2微分項算出処理M84は、微分処理M76の出力値に第2微分ゲインKd2を乗算することによって、第2微分項Tfbd2を算出する処理である。
微分項算出処理M86は、第1微分項Tfbd1および第2微分項Tfbd2を加算することによって、微分項Tfbdを算出する処理である。
加算処理M88は、比例項Tfbpと微分項Tfbdとを加算した値を操舵操作量Ts*として出力する処理である。
図4に、第2微分ゲイン設定処理M82による第2微分ゲインKd2の設定手法を示す。図4には、車速Vが一定である場合における軸力Tafと第2微分ゲインKd2との関係を示しており、車速Vが異なれば、軸力Tafに応じた第2微分ゲインKd2の値自体は異なりうるものの、軸力Tafの変化に対する第2微分ゲインKd2の変化の傾向は同様である。
図4に示すように、軸力Tafの大きさが小さい第1領域A1においては、軸力Tafが小さい場合(たとえばTaf1)に大きい場合(たとえばTaf2)よりも、第2微分ゲインKd2が大きい値に設定される。ここで、本実施形態では、第1領域A1において、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が、軸力Tafが大きいほど小さくなっている。そのため、第1領域A1においては、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも、第2微分ゲインKd2が大きい値に設定されている。これは、ブレーキ振動等の外乱を抑制するための設定である。
これに対し、軸力Tafの大きさが大きい第2領域A2においては、軸力Tafが大きい場合(たとえばTaf4)に小さい場合(たとえばTaf3)よりも、第2微分ゲインKd2が大きい値に設定される。なお、「Taf3>Taf2」である。ここで、本実施形態では、第2領域A2において、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が、軸力Tafが大きいほど小さくなっている。そのため、第2領域A2においては、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも、第2微分ゲインKd2が小さい値に設定されている。これは、システムの安定性を確保するための設定である。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU42は、軸力Tafに基づき、第2微分ゲインKd2の大きさを可変設定する。これにより、外乱を抑制する要求要素やシステムを安定化させる要求要素を満たすように第2微分ゲインKd2を設定することができる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用効果が得られる。
(1)軸力Tafを入力として第2微分ゲインKd2を可変設定することにより、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量に応じて第2微分ゲインKd2を可変設定することができる。
(2)車速Vに基づき、目標操舵トルクTh*を算出し、車速Vに基づき第2微分ゲインKd2を可変設定した。これにより、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が車速Vに応じて変化することに鑑み、第2微分ゲインKd2を適切に設定することができる。
(3)車速Vに応じて第1微分ゲインKd1を可変設定することにより、第1微分項Tfbd1によって、操舵感を適切に調整することができる。
(4)比例ゲインKpを、車速Vに応じて可変設定した。これにより、目標操舵トルクTh*の大きさの増加量が車速Vに応じて変化することに鑑み、目標操舵トルクTh*の大きさの増加量に応じて比例ゲインKpを可変設定することができ、ひいては安定性と応答性との好適な折衷を図ることができる。
(5)比例ゲインKpを、操舵トルクThに応じて可変設定した。これにより、操舵感を適切に調整することができる。
(6)規範モデル演算処理M20によって、規範モデルを表現する上記の式(c1)に基づいて、ピニオン角指令値θp*を算出し、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*に制御した。これにより、操舵特性を規範モデルによって調整することができる。
(7)操舵操作量Ts*と操舵トルクThとの和に応じて、目標操舵トルクTh*を設定した。ここで、運転者による操舵フィーリングを良好とする上で要求される目標トルクは、横力に応じて定まる傾向がある。一方、操舵操作量Ts*と操舵トルクThとの和は車両の横力に換算可能であることから、上記和に基づき目標操舵トルクTh*を定めることにより、目標操舵トルクTh*の算出処理の設計が容易となる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図5に、本実施形態にかかる電動パワーステアリング装置10の構成を示す。なお、図5に示す部材のうち図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、ステアリングホイール22との間の動力の伝達を遮断可能なクラッチ60が設けられている。すなわち、クラッチ60の一方には、ピニオンシャフト24cが連結されており、クラッチ60の他方には、ステアリングホイール22と連結されている入力軸24dが連結されている。本実施形態では、入力軸24dおよびピニオンシャフト24cを、ステアリングシャフト24と称する。
入力軸24dには、減速機70を介して電動機72の動力が付与される。電動機72の各端子には、インバータ74の電圧が印加される。なお、入力軸24d、減速機70、電動機72およびインバータ74によって、抗力アクチュエータ80が構成されている。なお、本実施形態では、転舵制御装置40は、舵角センサ82によって検出されるステアリングホイール22の回転角度(操舵角θh)を参照する。
図6に、本実施形態にかかる転舵制御装置40が実行する処理の一部を示す。図6に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより実現される。なお、図6において、図2に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図6に示すように、本実施形態では、規範モデル演算処理M20において、ピニオン角指令値θp*に代えて、操舵角の指令値(操舵角指令値θh*)が算出される。一方、舵角比可変処理M90は、操舵角指令値θh*に対する転舵角の目標値(ピニオン角指令値θp*)の比率である舵角比を可変とするための調整量Δaを、車速Vに応じて可変設定する処理である。詳しくは、車速Vが低い場合に高い場合よりも、操舵角の変化に対する転舵角の変化を大きくするように、調整量Δaを設定する。加算処理M92は、操舵角指令値θh*に調整量Δaを加算することによって、ピニオン角指令値θp*を設定する。
抗力算出処理M94は、操舵角θhを操舵角指令値θh*にフィードバック制御するための操作量として、電動機72のトルク指令値Tr*を算出する処理である。操作信号生成処理M96は、電動機72のトルクをトルク指令値Tr*に制御すべく、インバータ74に操作信号MSsを出力してインバータ74を操作する処理である。
なお、本実施形態では、操舵トルク補償処理M54を備えず、角度操作量算出処理M40の出力が角度操作量Tt0*となっている。また、本実施形態では、角度操作量算出処理M40が出力する角度操作量Tt0*が要求トルクTdとなっている。すなわち、本実施形態では、角度操作量Tt0*のみからトルク指令値Tm*が算出される。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1]目標操舵トルク算出処理は、ベース目標トルク算出処理M10、加算処理M12、およびヒステリシス処理M14に対応する。操作処理は、図2における規範モデル演算処理M20、角度操作量算出処理M40、加算処理M60、換算処理M62および操作信号生成処理M64や、図6における規範モデル演算処理M20、舵角比可変処理M90、加算処理M92、角度操作量算出処理M40、換算処理M62および操作信号生成処理M64に対応する。駆動回路は、インバータ33に対応する。微分ゲインは、第2微分ゲインKd2に対応する。第1の値および第2の値は、軸力Tafが、Taf1,Taf2,Taf3,Taf4の4つのうちのいずれか2つのそれぞれにおける値に対応する。[2]図4の処理に対応する。[3~6]図3の処理に対応する。[7]角度指令値算出処理は、図2の規範モデル演算処理M20や、図6の規範モデル演算処理M20、舵角比可変処理M90および加算処理M92に対応する。換算可能角度は、ピニオン角θpに対応する。[8]図6の処理に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「微分ゲイン可変処理について」
上記実施形態では、第1領域A1と第2領域A2とで、軸力Tafの大きさに対する第2微分ゲインKd2の大きさの関係を逆転させたが、これに限らない。たとえば、いずれの領域においても軸力Tafが大きい場合に小さい場合よりも第2微分ゲインKd2を大きい値に設定して、システムの安定性を確保してもよい。
上記実施形態では、車速Vと軸力Tafとに応じて第2微分ゲインKd2を可変設定したが、これに限らない。たとえば、車速Vと目標操舵トルクTh*とに応じて第2微分ゲインKd2を可変設定してもよい。これによっても、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量に応じて第2微分ゲインKd2を可変設定することができる。さらに、操舵トルクThが目標操舵トルクTh*に近似すると考えられることから操舵トルクThおよび車速Vに基づき第2微分ゲインKd2を可変設定してもよい。
なお、車速Vに応じて第2微分ゲインKd2を可変設定することなく、軸力Taf、目標操舵トルクTh*、および操舵トルクThのいずれか1つのみに基づき第2微分ゲインKd2を可変設定してもよい。
・「比例ゲイン可変処理について」
上記実施形態では、操舵トルクThおよび車速Vに基づき比例ゲインKpを可変設定したが、これに限らない。たとえば操舵トルクThおよび車速Vの2つに関しては、それらのうちの1つのみに基づき可変設定してもよい。
また、操舵トルクThに代えて、軸力Tafや目標操舵トルクTh*に応じて比例ゲインKpを可変設定してもよい。なお、操舵トルクThや、軸力Taf、目標操舵トルクTh*によって、軸力Tafの大きさの増加に対する目標操舵トルクTh*の大きさの増加量を把握できるため、第2微分ゲインKd2と同様、それら3つのパラメータのうちのいずれか1つや車速Vに基づき、目標操舵トルクTh*の大きさの増加量に応じて比例ゲインKpを可変設定してもよい。これにより、安定性と応答性との折衷を図ることができる。
・「操舵操作量算出処理について」
上記実施形態では、第2微分ゲインKd2を、操舵トルクThの1階時間微分値の比例係数としたが、これに限らず、たとえば、操舵トルクThから目標操舵トルクTh*を減算した値の1階時間微分値の比例係数としてもよい。この場合であっても、第2微分ゲインKd2は、操舵トルクThの1階時間微分値の比例係数とみなせる。また、たとえば第2微分ゲインKd2を、操舵トルクThの1階時間微分値の比例係数としつつ、目標操舵トルクTh*の1階時間微分値の比例係数としての第3微分ゲインKd3を設け、第3微分項をさらに加えて操舵操作量Ts*を算出してもよい。なお、この場合、第3微分ゲインKd3は、第2微分ゲインKd2と同様のパラメータに応じて可変設定すればよい。
第1微分項Tfbd1を設けることは必須ではない。
なお、操舵操作量Ts*を、上記実施形態等で例示したフィードバック制御のための操作量のみから算出することは必須ではなく、たとえば、開ループ制御の操作量と上記実施形態等で例示したフィードバック制御のための操作量との和としてもよい。
・「換算処理M62の入力となる要求トルクTdについて」
図2では、角度操作量Tt*および操舵操作量Ts*の和を換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしたが、これに限らない。たとえば、角度操作量Tt*を換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしてもよい。もっとも、換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしては、角度操作量Tt*に応じた量に限らない。たとえば、図2の処理における規範モデル演算処理M20、角度操作量算出処理M40等を削除し、操舵操作量Ts*を換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしてもよい。
図6の処理では、角度操作量Tt*を換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしたが、これに限らない。たとえば、角度操作量Tt*と操舵操作量Ts*との和を換算処理M62の入力となる要求トルクTdとしてもよい。
「角度指令値算出処理について」
上記実施形態では、軸力Tafを入力として、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、これに限らず、たとえば、操舵操作量Ts*を入力としてもよい。上記実施形態では、軸力Tafを入力とし、上記の式(c1)等に基づきピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出するためのロジック(モデル)としては、これに限らない。
さらに、たとえば図6の処理において、舵角比可変処理M90および加算処理M92を削除し、規範モデル演算処理M20の出力を、操舵角指令値θh*兼ピニオン角指令値θp*としてもよい。
・「外乱オブザーバについて」
上記実施形態では、転舵輪12に作用するトルクが転舵角の角加速度に比例するトルクと釣り合うという簡易なモデルにて外乱オブザーバを構成したが、これに限らない。たとえば、転舵輪12に作用するトルクが、転舵角の角加速度に比例するトルクと転舵角の角速度に比例するトルクとの和と釣り合うというモデルを用いて外乱オブザーバを構成してもよい。
推定外乱トルクTldeの算出手法としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば図2の処理において、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値、またはピニオン角θpの2階時間微分値に慣性係数Jpを乗算した値から角度操作量Tt*、操舵操作量Ts*および操舵トルクThを減算することによって算出してもよい。
・「角度操作量算出処理について」
上記実施形態では、フィードフォワード操作量Ttffを、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値に基づき算出したが、これに限らず、たとえばピニオン角θpの2階時間微分値に基づき算出したり、推定値θpeの2階時間微分値に基づき算出したりしてもよい。
上記実施形態では、電動パワーステアリング装置10を、転舵輪12に作用するトルクが転舵角の角加速度に比例するトルクと釣り合うという簡易なモデルにてモデル化することによって、フィードフォワード項を算出したが、これに限らない。たとえば、転舵輪12に作用するトルクが、転舵角の角加速度に比例するトルクと転舵角の角速度に比例するトルクとの和と釣り合うというモデルを用いてフィードフォワード項を算出してもよい。これは、たとえば、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値に上記慣性係数Jpを乗算した値と、ピニオン角指令値θp*の1階時間微分値に粘性係数Cpを乗算した値との和をフィードフォワード操作量Ttffとすることによって実現できる。ここで、角速度の比例係数である粘性係数Cpは、規範モデル演算処理M20において用いる粘性係数Cとはその狙いとするところが相違し、実際の電動パワーステアリング装置10の挙動を極力高精度にモデル化したものとすることが望ましい。
フィードバック項算出処理M46の入力のうちのフィードバック制御量としては推定値θpeやその1階時間微分値に限らない。たとえば、推定値θpeやその1階時間微分値に代えて、ピニオン角θpやその時間微分値自体としてもよい。
フィードバック項算出処理M46としては、比例要素および微分要素の各出力値の和を出力する処理に限らない。たとえば比例要素の出力値を出力するものとしてもよく、またたとえば微分要素の出力値を出力するものとしてもよい。さらにたとえば、比例要素の出力値および微分要素の出力値の少なくとも一方と、積分要素の出力値との和を出力する処理としてもよい。なお、積分要素の出力値を用いる場合には、外乱オブザーバを削除することが望ましい。もっとも、積分要素の出力値を用いない場合において、外乱オブザーバを用いること自体必須ではない。
・「換算可能角について」
上記実施形態では、換算可能角度として、ピニオン角θpを用いたが、これに限らない。たとえば、転舵輪の転舵角自体としてもよい。
・「操舵操作量について」
上記実施形態では、操舵操作量Ts*を、ステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、その場合、たとえば操舵トルクThを減速比Kmで除算した値と操舵操作量Ts*との和を軸力Tafとしたり、操舵操作量Ts*に減速比Kmを乗算した値と操舵トルクThとの和を軸力Tafとしたりする。
・「角度操作量について」
上記実施形態では、角度操作量Tt*をステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、たとえば操舵操作量Ts*がステアリングシャフト24のトルクに換算されている場合、要求トルクTdを、角度操作量Tt*に減速比Kmを乗算した値と操舵操作量Ts*との和等とする。
・「目標操舵トルク算出処理について」
ベース目標トルク算出処理としては、軸力Tafと車速Vとに応じてベース目標トルクThb*を算出する処理に限らない。たとえば軸力Tafのみに基づきベース目標トルクThb*を算出する処理であってもよい。
ベース目標トルクThb*をヒステリシス補正量Thysで補正すること自体必須ではない。
・「転舵制御装置について」
転舵制御装置としては、CPU42とROM44とを備えてソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「電動機、駆動回路について」
電動機としては、SPMSMに限らず、IPMSM等であってもよい。また、同期機に限らず誘導機であってもよい。さらに、たとえばブラシ付きの直流電動機であってもよい。その場合、駆動回路としては、Hブリッジ回路を採用すればよい。
・「転舵アクチュエータについて」
転舵アクチュエータとしては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、ピニオンシャフト24cとは別に、電動機32の動力をラック軸26に伝達させるための第2のピニオンシャフトを備えるいわゆるデュアルピニオン型のものであってもよい。またたとえば、ステアリングシャフト24に電動機32の出力軸32aが機械的に連結された構成であってもよい。その場合、転舵アクチュエータは、ステアリングシャフト24やラックアンドピニオン機構27を操舵機構と共有する。
・「そのほか」
たとえば図6において、クラッチ60を削除し、代わりに、ギア比を可変とするギア比可変機構を介して入力軸24dをピニオンシャフト24cに機械的に連結してもよい。その場合であっても、ステアバイワイヤの場合において例示した処理と同様の処理を実現できる。
10…電動パワーステアリング装置、12…転舵輪、16…ラックハウジング、20…操舵機構、22…ステアリングホイール、24…ステアリングシャフト、24a…コラムシャフト、24b…インターミディエイトシャフト、24c…ピニオンシャフト、24d…入力軸、26…ラック軸、27…ラックアンドピニオン機構、28…タイロッド、30…転舵アクチュエータ、32…電動機、32a…出力軸、33…インバータ、34…ボールねじ機構、36…ベルト式減速機構、40…転舵制御装置、42…CPU、44…ROM、46…周辺回路、48…通信線、50…トルクセンサ、52…車速センサ、54…回転角度センサ、60…クラッチ、70…減速機、72…電動機、74…インバータ、80…抗力アクチュエータ、82…舵角センサ。

Claims (6)

  1. 電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、
    運転者が入力する操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを算出する目標操舵トルク算出処理と、
    前記操舵トルクを前記目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、
    前記操舵操作量に基づき前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、を実行し、
    前記目標操舵トルク算出処理は、前記操舵操作量と前記操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和に基づき、前記目標操舵トルクを算出する処理であり、
    前記操舵操作量算出処理は、前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差に基づく比例項に、前記操舵トルクの時間変化に比例した微分項を加算する処理に基づき前記操舵操作量を算出する処理と、前記微分項における前記時間変化の比例係数である微分ゲインを、前記和の大きさの増加量に対する前記目標操舵トルクの大きさの増加量が第1の値であるときと第2の値であるときとで互いに異なる値に設定する微分ゲイン可変処理と、を含み、
    前記微分ゲイン可変処理は、前記和の大きさと前記目標操舵トルクとで関係づけられる領域のうち、第1の領域において前記目標操舵トルクの大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも前記微分ゲインを大きい値とする処理を実行し、前記第1の領域よりも前記和の大きさが大きい第2の領域において前記目標操舵トルクの大きさの増加量が大きい場合に小さい場合よりも前記微分ゲインを小さい値とする処理を実行する転舵制御装置。
  2. 前記微分ゲイン可変処理は、前記同一の物体に働く力に換算した量同士の和を入力として前記微分ゲインを可変設定する処理を含む請求項記載の転舵制御装置。
  3. 前記比例項における前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差の比例係数である比例ゲインを、車速に応じて可変設定する比例ゲイン可変処理を実行する請求項1または2記載の転舵制御装置。
  4. 前記比例項における前記操舵トルクと前記目標操舵トルクとの差の比例係数である比例ゲインを、前記操舵トルクに応じて可変設定する比例ゲイン可変処理を実行する請求項1または2記載の転舵制御装置。
  5. 前記操作処理は、
    前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、
    前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、
    前記角度操作量に基づき前記駆動回路を操作する操作信号を生成する操作信号生成処理と、を含む請求項1~のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  6. 前記操作信号生成処理は、前記操舵操作量を入力とすることなく前記角度操作量に基づき前記操作信号を生成する処理である請求項記載の転舵制御装置。
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