JP7234779B2 - 転舵制御装置 - Google Patents
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Description
1.電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、運転者が入力する操舵トルクを目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、前記操舵操作量および前記角度操作量の2つの操作量のうちの少なくとも1つに応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値を調整し、調整後の前記角度操作量を前記操作処理に入力する調整処理と、前記減算した値に応じて前記角度指令値算出処理の入力に対する前記角度指令値算出処理の出力の関係を変更する変更処理と、を実行する転舵制御装置である。
5.前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である弾性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記弾性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記転舵角の大きさに対する前記弾性力の比例係数を変更する処理を含む上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
以下、転舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、運転者のステアリングホイール22の操作に基づいて転舵輪12を転舵させる操舵機構20、および転舵輪12を電動で転舵させる転舵アクチュエータ30を備えている。
ベース目標トルク算出処理M10は、後述する軸力Taf0に基づき、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべき目標操舵トルクTh*のベース値であるベース目標トルクThb*を算出する処理である。ここで、軸力Taf0は、ラック軸26に加わる軸方向の力である。軸力Taf0は、転舵輪12に作用する横力に応じた量となることから、軸力Taf0によって横力を把握することができる。一方、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべきトルクは、横力に応じて定めることが望ましい。したがって、ベース目標トルク算出処理M10は、軸力Taf0から把握される横力に応じてベース目標トルクThb*を算出する処理となっている。
操舵操作量算出処理M16は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量である操舵操作量Ts*を算出する処理である。操舵操作量Ts*は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量を含んだ量であるが、フィードフォワード項を含んでもよい。フィードバック制御のための操作量は、たとえば操舵トルクThおよび目標操舵トルクTh*の符号がともに正の場合、操舵トルクThが目標操舵トルクTh*よりも大きい場合に、電動機32に対する要求トルクの大きさ(絶対値)を増加させるための量となる。なお、操舵操作量Ts*は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するうえでの電動機32に対する要求トルクTdに応じた量であるが、本実施形態では、操舵操作量Ts*は、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算された量となっている。
規範モデル演算処理M30は、軸力Tafに基づき、ピニオン角θpの指令値であるピニオン角指令値θp*を算出する処理である。詳しくは、規範モデル演算処理M30は、以下の式(c1)にて表現されるモデル式を用いて、ピニオン角指令値θp*を算出する処理である。
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、軸力Tafと等しい量のトルクがステアリングシャフト24に入力された場合にピニオン角θpが示す値をモデル化したものである。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、電動パワーステアリング装置10の摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、電動パワーステアリング装置10の慣性をモデル化したものであり、弾性係数Kは、電動パワーステアリング装置10が搭載される車両のサスペンションやホイールアライメント等の仕様をモデル化したものである。このモデルは、実際の電動パワーステアリング装置10や電動パワーステアリング装置10が搭載される車両を正確に表現したモデルではなく、入力に対する転舵角の挙動を理想的な挙動とするために設計された規範モデルである。本実施形態では、規範モデルの設計を通じて操舵フィーリングの調整を可能としている。
制限処理M70は、角度操作量Tt1*に基づき減少補正量ΔTt*を算出する処理や、減少補正量ΔTt*に応じて規範モデル演算処理M30のパラメータを変更する処理である。
加算処理M74は、操舵操作量Ts*と角度操作量Tt*とを加算して、電動機32に対する要求トルクTdを算出する処理である。要求トルクTdは、電動機32によって生成することが要求されるトルクを、ステアリングシャフト24のトルクに換算したものです。
条件(オ):ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が所定値ΔθpthL以下である旨の条件である。所定値ΔθpthLは、所定値ΔθpthHよりも小さい値であり、角度操作量算出処理M50による角度制御が正常になされている場合にピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値として生じることが想定される値に設定されている。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
(1)CPU42は、角度操作量Tt0*から角度操作量Tt*を減算した値である減少補正量ΔTt*を、軸力Taf0から減算して規範モデル演算処理M30の入力となる軸力Tafとする。これにより、推定外乱トルクTldeの大きさが過度に大きくなることを抑制できる。すなわち、角度操作量算出処理M50によって算出された角度操作量Tt1*は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*とするうえで適切な操作量である。そのため、角度操作量Tt1*から角度操作量Tt*を減算した値が「0」ではない場合には、ピニオン角θpがピニオン角指令値θp*から大きく乖離し、ひいては推定外乱トルクTldeの大きさが過度に大きくなるおそれがある。そしてその場合、角度操作量Tt1*がピニオン角θpをピニオン角指令値θp*とするうえで適切な値からずれることから、角度操作量Tt*を角度操作量Tt1*へと移行させる場合に、ピニオン角θpの制御性が低下するおそれがある。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、操舵角θhと、ステアリングホイール22に抗力を付与するためのトルク指令値Tr*との関係を示す。
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,5,6]換算可能角度は、ピニオン角θpに対応する。角度指令値算出処理は、図2の規範モデル演算処理M30や、図7の規範モデル演算処理M30、舵角比可変処理M90および加算処理M92に対応する。操作処理は、図2の加算処理M74、換算処理M76および操作信号生成処理M78や、図5の換算処理M76および操作信号生成処理M78に対応する。変更処理は、S26~S30の処理に対応する。駆動回路は、インバータ33に対応する。[2]補正処理は、減算処理M20に対応する。[3]第1操作処理は、減少補正量ΔTt*の大きさが角度操作量Tt1*の大きさよりも小さい場合の処理に対応し、第2操作処理は、減少補正量ΔTt*の大きさが角度操作量Tt1*の大きさに等しい場合の処理に対応する。[4]図5の処理に対応する。[7]目標操舵トルク算出処理は、ベース目標トルク算出処理M10、加算処理M12、およびヒステリシス処理M14に対応する。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
上記実施形態では、角度操作量Tt*が「0」とされる場合に限って、弾性係数Kや粘性係数Cを変更する処理を実行したが、これに限らない。たとえば図2の角度操作量Tt*を角度操作量Tt1*で除算した値が所定比率以下の場合に、弾性係数Kや粘性係数Cを変更する処理を実行してもよい。
図2では、角度操作量Tt*および操舵操作量Ts*の和を要求トルクTdとしたが、これに限らない。たとえば、角度操作量Tt*を要求トルクTdとしてもよい。
・「角度指令値算出処理について」
上記実施形態では、軸力Tafを入力として、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、これに限らず、たとえば、操舵操作量Ts*を入力としてもよい。上記実施形態では、軸力Tafを入力とし、上記の式(c1)等に基づきピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出するためのロジック(モデル)としては、これに限らない。
上記実施形態では、転舵輪12に作用するトルクが転舵角の角加速度に比例するトルクと釣り合うという簡易なモデルにて外乱オブザーバを構成したが、これに限らない。たとえば、転舵輪12に作用するトルクが、転舵角の角加速度に比例するトルクと転舵角の角速度に比例するトルクとの和と釣り合うというモデルを用いて外乱オブザーバを構成してもよい。
上記実施形態では、フィードフォワード操作量Ttffを、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値に基づき算出したが、これに限らず、たとえばピニオン角θpの2階時間微分値に基づき算出したり、推定値θpeの2階時間微分値に基づき算出したりしてもよい。
上記実施形態では、換算可能角度として、ピニオン角θpを用いたが、これに限らない。たとえば、転舵輪12の転舵角自体としてもよい。
上記実施形態では、操舵操作量Ts*を、ステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、その場合、たとえば操舵トルクThを減速比Kmで除算した値と操舵操作量Ts*との和を軸力Taf0としたり、操舵操作量Ts*に減速比Kmを乗算した値と操舵トルクThとの和を軸力Taf0としたりする。
上記実施形態では、角度操作量Tt*をステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、たとえば操舵操作量Ts*がステアリングシャフト24のトルクに換算されている場合、要求トルクTdを、角度操作量Tt*に減速比Kmを乗算した値と操舵操作量Ts*との和等とする。
ベース目標トルク算出処理としては、軸力Taf0と車速Vとに応じてベース目標トルクThb*を算出する処理に限らない。たとえば軸力Taf0のみに基づきベース目標トルクThb*を算出する処理であってもよい。
・「転舵制御装置について」
転舵制御装置としては、CPU42とROM44とを備えてソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
電動機としては、SPMSMに限らず、IPMSM等であってもよい。また、同期機に限らず誘導機であってもよい。さらに、たとえばブラシ付きの直流電動機であってもよい。その場合、駆動回路としては、Hブリッジ回路を採用すればよい。
転舵アクチュエータとしては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、ピニオンシャフト24cとは別に、電動機32の動力をラック軸26に伝達させるための第2のピニオンシャフトを備えるいわゆるデュアルピニオン型のものであってもよい。またたとえば、ステアリングシャフト24に電動機32の出力軸32aが機械的に連結された構成であってもよい。その場合、転舵アクチュエータは、ステアリングシャフト24やラックアンドピニオン機構27を操舵機構と共有する。
たとえば図4において、クラッチ60を削除し、代わりに、ギア比を可変とするギア比可変機構を介して入力軸24dをピニオンシャフト24cに機械的に連結してもよい。その場合であっても、ステアバイワイヤの場合において例示した処理と同様の処理を実現できる。
Claims (7)
- 電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、
運転者が入力する操舵トルクを目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、
前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、
前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、
前記操舵操作量および前記角度操作量の2つの操作量のうちの少なくとも1つに応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、
前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値を調整し、調整後の前記角度操作量を前記操作処理に入力する調整処理と、
前記減算した値に応じて前記角度指令値算出処理の入力に対する前記角度指令値算出処理の出力の関係を変更する変更処理と、を実行する転舵制御装置。 - 前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値の大きさが大きい場合に小さい場合よりも前記角度指令値算出処理が前記角度指令値を算出する際の入力の大きさが小さくなるように補正する補正処理を実行する請求項1記載の転舵制御装置。
- 前記操作処理は、少なくとも前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第1操作処理と、前記角度操作量によらずに前記操舵操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第2操作処理と、を含み、
前記変更処理は、前記第1操作処理の実行時と前記第2操作処理の実行時とで前記入力に対する出力の関係を変更する処理を含む請求項1または2記載の転舵制御装置。 - 前記操作処理は、前記操舵操作量によらずに前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御する処理を含む請求項1または2記載の転舵制御装置。
- 前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である弾性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記弾性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、
前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記転舵角の大きさに対する前記弾性力の比例係数を変更する処理を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の転舵制御装置。 - 前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の変化速度の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である粘性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記粘性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、
前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記変化速度の大きさに対する前記粘性力の比例係数を変更する処理を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の転舵制御装置。 - 前記操舵操作量と前記操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和に基づき、前記目標操舵トルクを算出する目標操舵トルク算出処理を実行する請求項1~6のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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