JP7234779B2 - 転舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とする転舵制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、目標操舵トルクと実際の操舵トルクとの差に基づくフィードバック制御の操作量と、目標転舵角と転舵角との差に基づくフィードバック制御の操作量とに基づき、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータに内蔵された電動機を操作する装置が記載されている。ここで、目標転舵角は、規範モデルに基づき算出される。
特開2006-175940号公報
ところで、転舵角と目標転舵角との差が過度に大きくなる場合にはフィードバック制御が不安定化することから、発明者は、上記差が過度に大きくなる場合等にフィードバック制御を停止することを検討した。しかし、フィードバック制御を停止する等、フィードバック制御の操作量を電動機の操作に十分に反映させない場合、規範モデルに基づく処理に自励振動が発生するおそれがある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、運転者が入力する操舵トルクを目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、前記操舵操作量および前記角度操作量の2つの操作量のうちの少なくとも1つに応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値を調整し、調整後の前記角度操作量を前記操作処理に入力する調整処理と、前記減算した値に応じて前記角度指令値算出処理の入力に対する前記角度指令値算出処理の出力の関係を変更する変更処理と、を実行する転舵制御装置である。
上記構成では、減算した値に応じて角度指令値算出処理の入力に対する出力の関係を変更することによって、減算した値の大小に応じて、角度指令値算出処理の入力に対する出力の関係を、それぞれ角度指令値の算出処理の安定性を高める上で適切な関係に変更できる。
2.前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値の大きさが大きい場合に小さい場合よりも前記角度指令値算出処理が前記角度指令値を算出する際の入力の大きさが小さくなるように補正する補正処理を実行する上記1記載の転舵制御装置である。
角度操作量算出処理によって算出された角度操作量は、角度指令値とするうえで適切な操作量である。そのため、角度操作量算出処理によって算出された角度操作量に対して操作処理の入力となる角度操作量が不足する場合には、換算可能角度が角度指令値から大きく乖離するおそれがある。換算可能角度が角度指令値から大きく乖離すると、角度操作量算出処理によって算出される角度操作量の絶対値が過度に大きくなり、換算可能角度を角度指令値とするうえで適切な値からずれる。そこで上記構成では、角度指令値算出処理の入力を上記減算した値に応じて補正することにより、角度指令値を換算可能角度に近づけることができ、ひいては角度操作量の絶対値が過度に大きくなることを抑制できる。
3.前記操作処理は、少なくとも前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第1操作処理と、前記角度操作量によらずに前記操舵操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第2操作処理と、を含み、前記変更処理は、前記第1操作処理の実行時と前記第2操作処理の実行時とで前記入力に対する出力の関係を変更する処理を含む上記1または2記載の転舵制御装置である。
第1操作処理にとって安定性が確保可能な角度指令値算出処理は、角度操作量によらずに操舵操作量に応じて電動機のトルクを制御する第2操作処理が実行される場合、角度操作量が反映されないことに起因して、安定性が損なわれやすい。そこで上記構成では、第1操作処理と第2操作処理とで、角度算出処理の入力に対する出力の関係を変更することにより、第1操作処理と第2操作処理との2つの処理のそれぞれにおいて、角度指令値算出処理の安定性を確保することが可能となる。
4.前記操作処理は、前記操舵操作量によらずに前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御する処理を含む上記1または2記載の転舵制御装置である。
5.前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である弾性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記弾性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記転舵角の大きさに対する前記弾性力の比例係数を変更する処理を含む上記1~4のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
上記構成では、角度指令値算出処理が弾性力を用いて角度指令値を算出することから、弾性力の比例係数を変更することにより、簡素な処理にて、角度指令値算出処理の安定性を高めることができるように、入力に対する出力の関係を変更できる。
6.前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の変化速度の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である粘性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記粘性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記変化速度の大きさに対する前記粘性力の比例係数を変更する処理を含む上記1~5のいずれか1項に記載の転舵制御装置である。
上記構成では、角度指令値算出処理が粘性力を用いて角度指令値を算出することから、粘性力の比例係数を変更することにより、簡素な処理にて、角度指令値算出処理の安定性を高めることができるように、入力に対する出力の関係を変更できる。
7.前記操舵操作量と前記操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和に基づき、前記目標操舵トルクを算出する目標操舵トルク算出処理を実行する上記1~6のいずれか1つに記載の転舵制御装置である。
操舵操作量は、電動機に要求されるトルクに換算可能であることから、操舵操作量と操舵トルクとによって、転舵輪を転舵させるために車両側から加える力が定まり、この力は、横力に換算できる。一方、運転者による操舵フィーリングを良好とする上で要求される目標操舵トルクは、横力に応じて定まる傾向がある。このため、上記構成では、上記和に基づき目標操舵トルクを定めることにより、目標操舵トルク算出処理の設計が容易となる。
第1の実施形態にかかる電動パワーステアリング装置を示す図。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる制限処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる電動パワーステアリング装置を示す図。 同実施形態にかかる転舵制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる制限処理の手順を示す流れ図。 同実施形態の作用を説明するための図。
<第1の実施形態>
以下、転舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置10は、運転者のステアリングホイール22の操作に基づいて転舵輪12を転舵させる操舵機構20、および転舵輪12を電動で転舵させる転舵アクチュエータ30を備えている。
操舵機構20は、ステアリングホイール22と、ステアリングホイール22に固定されたステアリングシャフト24と、ラックアンドピニオン機構27と、を備えている。ステアリングシャフト24は、ステアリングホイール22と連結されたコラムシャフト24aと、コラムシャフト24aの下端部に連結されたインターミディエイトシャフト24bと、インターミディエイトシャフト24bの下端部に連結されたピニオンシャフト24cとを有している。ピニオンシャフト24cの下端部は、ラックアンドピニオン機構27を介してラック軸26に連結されている。ラック軸26の両端には、タイロッド28を介して、左右の転舵輪12が連結されている。したがって、ステアリングホイール22、すなわちステアリングシャフト24の回転運動は、ピニオンシャフト24cおよびラック軸26からなるラックアンドピニオン機構27を介してラック軸26の軸方向(図1の左右方向)の往復直線運動に変換される。当該往復直線運動が、ラック軸26の両端にそれぞれ連結されたタイロッド28を介して、転舵輪12にそれぞれ伝達されることにより、転舵輪12の転舵角が変化する。なお、ラック軸26の軸方向への変位量の最大値は、ラックハウジング16によって規定されている。
一方、転舵アクチュエータ30は、ラック軸26を操舵機構20と共有し、また、電動機32や、インバータ33、ボールねじ機構34、ベルト式減速機構36を備えている。電動機32は、転舵輪12を転舵させるための動力の発生源であり、本実施形態では、電動機32として、3相の表面磁石同期電動機(SPMSM)を例示する。ボールねじ機構34は、ラック軸26の周囲に一体的に取り付けられており、ベルト式減速機構36は、電動機32の出力軸32aの回転力をボールねじ機構34に伝達する。電動機32の出力軸32aの回転力は、ベルト式減速機構36およびボールねじ機構34を介して、ラック軸26を軸方向に往復直線運動させる力に変換される。このラック軸26に付与される軸方向の力によって、転舵輪12を転舵させることができる。
転舵制御装置40は、転舵輪12を制御対象とし、その制御量である転舵角を制御すべく、転舵アクチュエータ30を操作する。転舵制御装置40は、制御量の制御に際し、トルクセンサ50によって検出される、運転者がステアリングホイール22を介して入力するトルクである操舵トルクThや、車速センサ52によって検出される車速V、回転角度センサ54によって検出される出力軸32aの回転角度θm、電動機32を流れる電流iu,iv,iwを参照する。なお、電流iu,iv,iwは、インバータ33の各レッグに設けられたシャント抵抗における電圧降下として検出されるものとすればよい。
転舵制御装置40は、CPU42、ROM44および周辺回路46を備え、それらが通信線48を介して接続されているものである。なお、周辺回路46は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。
図2に、転舵制御装置40が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより実現される。
ベース目標トルク算出処理M10は、後述する軸力Taf0に基づき、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべき目標操舵トルクTh*のベース値であるベース目標トルクThb*を算出する処理である。ここで、軸力Taf0は、ラック軸26に加わる軸方向の力である。軸力Taf0は、転舵輪12に作用する横力に応じた量となることから、軸力Taf0によって横力を把握することができる。一方、ステアリングホイール22を介して運転者がステアリングシャフト24に入力すべきトルクは、横力に応じて定めることが望ましい。したがって、ベース目標トルク算出処理M10は、軸力Taf0から把握される横力に応じてベース目標トルクThb*を算出する処理となっている。
詳しくは、ベース目標トルク算出処理M10は、軸力Taf0の絶対値が同一であっても車速Vが小さい場合に大きい場合よりも、ベース目標トルクThb*の絶対値をより小さい値に算出する処理である。これは、たとえば、軸力Taf0または軸力Taf0から把握される横加速度および車速Vを入力変数とし、ベース目標トルクThb*を出力変数とするマップデータが予めROM44に記憶されている状態でCPU42によりベース目標トルクThb*をマップ演算することによって実現できる。ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とするのに対し、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
ヒステリシス処理M14は、転舵輪12の転舵角に換算可能な換算可能角度であるピニオンシャフト24cの回転角度(ピニオン角θp)に基づき、ベース目標トルクThb*を補正するヒステリシス補正量Thysを算出して出力する処理である。詳しくは、ヒステリシス処理M14は、ピニオン角θpの変化等に基づき、ステアリングホイール22の切り込み時および切り戻し時を識別し、切り込み時において切り戻し時と比較して目標操舵トルクTh*の絶対値がより大きくなるように、ヒステリシス補正量Thysを算出する処理を含む。詳しくは、ヒステリシス処理M14は、車速Vに応じてヒステリシス補正量Thysを可変設定する処理を含む。
加算処理M12は、ベース目標トルクThb*にヒステリシス補正量Thysを加算することによって、目標操舵トルクTh*を算出する処理である。
操舵操作量算出処理M16は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量である操舵操作量Ts*を算出する処理である。操舵操作量Ts*は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量を含んだ量であるが、フィードフォワード項を含んでもよい。フィードバック制御のための操作量は、たとえば操舵トルクThおよび目標操舵トルクTh*の符号がともに正の場合、操舵トルクThが目標操舵トルクTh*よりも大きい場合に、電動機32に対する要求トルクの大きさ(絶対値)を増加させるための量となる。なお、操舵操作量Ts*は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するうえでの電動機32に対する要求トルクTdに応じた量であるが、本実施形態では、操舵操作量Ts*は、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算された量となっている。
軸力算出処理M18は、操舵操作量Ts*に操舵トルクThを加算することによって、軸力Taf0を算出する処理である。なお、操舵トルクThは、ステアリングシャフト24に加わるトルクのため、本実施形態において軸力Taf0は、ラック軸26の軸方向に加わる力を、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算した値となっている。
減算処理M20は、軸力Taf0から減少補正量ΔTt*を減算することによって軸力Tafを算出する処理である。
規範モデル演算処理M30は、軸力Tafに基づき、ピニオン角θpの指令値であるピニオン角指令値θp*を算出する処理である。詳しくは、規範モデル演算処理M30は、以下の式(c1)にて表現されるモデル式を用いて、ピニオン角指令値θp*を算出する処理である。
Taf=K・θp*+C・θp*’+J・θp*’’ …(c1)
上記の式(c1)にて表現されるモデルは、軸力Tafと等しい量のトルクがステアリングシャフト24に入力された場合にピニオン角θpが示す値をモデル化したものである。上記の式(c1)において、粘性係数Cは、電動パワーステアリング装置10の摩擦等をモデル化したものであり、慣性係数Jは、電動パワーステアリング装置10の慣性をモデル化したものであり、弾性係数Kは、電動パワーステアリング装置10が搭載される車両のサスペンションやホイールアライメント等の仕様をモデル化したものである。このモデルは、実際の電動パワーステアリング装置10や電動パワーステアリング装置10が搭載される車両を正確に表現したモデルではなく、入力に対する転舵角の挙動を理想的な挙動とするために設計された規範モデルである。本実施形態では、規範モデルの設計を通じて操舵フィーリングの調整を可能としている。
積算処理M40は、電動機32の回転角度θmの積算値Inθを算出する処理である。なお、本実施形態では、車両が直進するときの転舵輪12の転舵角を「0」としており、転舵角が「0」であるときの積算値Inθを「0」とする。換算処理M42は、積算値Inθを、ステアリングシャフト24から電動機32までの減速比Kmで除算することによって、ピニオン角θpを算出する処理である。ピニオン角θpは、「0」である場合に直進方向であることを示し、正であるか負であるかに応じて、右旋回側の転舵角であるか左旋回側の転舵角であるかを示す。
角度操作量算出処理M50は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*にフィードバック制御するための操作量である角度操作量Tt1*を算出する処理である。角度操作量Tt1*は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*にフィードバック制御するうえでの電動機32に対する要求トルクTdに応じた量であるが、本実施形態では、ステアリングシャフト24に加わるトルクに換算された量となっている。
角度操作量算出処理M50は、角度操作量Tt1*と操舵トルクTh以外に、ピニオン角θpに影響するトルクを外乱トルクとして推定し、これを推定外乱トルクTldeとする外乱オブザーバM52を含む。なお、本実施形態では、推定外乱トルクTldeをステアリングシャフト24に加わるトルクに換算している。
外乱オブザーバM52は、慣性係数Jp、ピニオン角θpの推定値θpe、角度操作量Tt0*およびオブザーバゲインl1,l2,l3を規定する3行1列の行列Lを用いて以下の式(c2)にて、推定外乱トルクTldeや推定値θpeを算出する。なお、慣性係数Jpは、電動パワーステアリング装置10の慣性をモデル化したものであり、慣性係数Jと比較して、実際の電動パワーステアリング装置10の慣性を高精度に表現した値となっている。
Figure 0007234779000001

微分演算処理M54は、ピニオン角指令値θp*の微分演算によってピニオン角速度指令値を算出する処理である。
フィードバック項算出処理M56は、ピニオン角指令値θp*と推定値θpeとの差に応じた比例項と、ピニオン角指令値θp*の微分値と推定値θpeの微分値との差に応じた微分項との和であるフィードバック操作量Ttfbを算出する処理である。
2階微分処理M58は、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値を算出する処理である。フィードフォワード項算出処理M60は、2階微分処理M58の出力値に慣性係数Jpを乗算することによってフィードフォワード操作量Ttffを算出する処理である。2自由度操作量算出処理M62は、フィードバック操作量Ttfbと、フィードフォワード操作量Ttffとの和から、推定外乱トルクTldeを減算して、角度操作量Tt0*を算出する処理である。
操舵トルク補償処理M66は、角度操作量Tt0*から操舵トルクThを減算して角度操作量算出処理M50の出力となる角度操作量Tt1*を算出する処理である。
制限処理M70は、角度操作量Tt1*に基づき減少補正量ΔTt*を算出する処理や、減少補正量ΔTt*に応じて規範モデル演算処理M30のパラメータを変更する処理である。
減算処理M72は、角度操作量Tt1*から減少補正量ΔTt*を減算して角度操作量Tt*を算出する処理である。
加算処理M74は、操舵操作量Ts*と角度操作量Tt*とを加算して、電動機32に対する要求トルクTdを算出する処理である。要求トルクTdは、電動機32によって生成することが要求されるトルクを、ステアリングシャフト24のトルクに換算したものです。
換算処理M76は、要求トルクTdを減速比Kmで除算することによって、要求トルクTdを、電動機32に対するトルクの指令値であるトルク指令値Tm*に換算する処理である。
操作信号生成処理M78は、電動機32のトルクをトルク指令値Tm*に制御するためのインバータ33の操作信号MStを生成して出力する処理である。なお、操作信号MStは、実際には、インバータ33の各レッグの各アームの操作信号となる。
図3に、制限処理M70の手順を示す。図3に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
図3に示す一連の処理において、CPU42は、まずフェールフラグFが「1」であるか否かを判定する(S10)。フェールフラグFは、「1」である場合に、角度操作量算出処理M50に基づく電動機32の制御性が所定以下となっていることを示し、「0」である場合に、そうではないことを示す。CPU42は、「0」であると判定する場合(S10:NO)、以下の条件(ア)~条件(ウ)の論理和が真であるか否かを判定する(S12)。
条件(ア):ピニオン角θpが所定値θpthHよりも大きい旨の条件と、ピニオン角指令値θp*からピニオン角θpを減算した値が所定値Δθpthenよりも大きい旨の条件との論理積が真である旨の条件である。所定値θpthHは、ラック軸26の軸方向の変位量が、ラックハウジング16によって規定されるラック軸26の軸方向の変位量の上限値に達するときのピニオン角θpに設定されている。この条件は、ラック軸26の軸方向へのそれ以上の変位がラックハウジング16によって制限されており、ピニオン角θpの絶対値をそれ以上大きくすることができない旨の条件である。
条件(イ):ピニオン角θpが所定値θpthHの「-1」倍の値よりも小さい旨の条件と、ピニオン角指令値θp*からピニオン角θpを減算した値が所定値Δθpthenの「-1」倍の値よりも小さい旨の条件との論理積が真である旨の条件である。この条件は、ラック軸26の軸方向へのそれ以上の変位がラックハウジング16によって制限されており、ピニオン角θpの絶対値をそれ以上大きくすることができない旨の条件である。
条件(ウ):ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が所定値ΔθpthH以上である旨の条件である。所定値ΔθpthHは、角度操作量算出処理M50による角度制御が正常になされている場合にピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値として生じることが想定される値の最大値よりも大きい値に設定されている。
CPU42は、論理和が真であると判定する場合(S12:YES)、角度操作量算出処理M50に基づく電動機32の制御性が所定以下となっていると判定して、フェールフラグFに「1」を代入する(S14)。そしてCPU42は、ゲインαに「1」よりも小さい所定量Δpを加算した値と、「1」とのうちの小さい方をゲインαに代入する(S16)。この処理は、ゲインαを「0」から「1」へと漸増させる処理である。なお、ゲインαの初期値は、「0」である。
一方、CPU42は、フェールフラグFが「1」であると判定する場合(S10:YES)、以下の条件(エ)および条件(オ)の論理積が真であるか否かを判定する(S18)。
条件(エ):ピニオン角θpの大きさ(絶対値)が所定値θpthL以下である旨の条件である。所定値θpthLは、所定値θpthHよりも小さい値である。
条件(オ):ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が所定値ΔθpthL以下である旨の条件である。所定値ΔθpthLは、所定値ΔθpthHよりも小さい値であり、角度操作量算出処理M50による角度制御が正常になされている場合にピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値として生じることが想定される値に設定されている。
CPU42は、論理積が偽であると判定する場合(S18:NO)、S16の処理に移行する。これに対し、CPU42は、論理積が真であると判定する場合(S18:YES)、角度操作量算出処理M50に基づく電動機32の制御性が所定以下となっている状況から復帰したとして、フェールフラグFに「0」を代入する(S20)。CPU42は、S20の処理が完了する場合やS12の処理において否定判定する場合には、ゲインαを「1」よりも小さい所定量Δmだけ減少させた値と「0」とのうちの大きい方をゲインαに代入する(S22)。この処理は、ゲインαを「1」から「0」へと漸減させる処理である。
CPU42は、S16,S22の処理が完了する場合、角度操作量Tt0*にゲインαを乗算した値を減少補正量ΔTt*に代入する(S24)。次にCPU42は、ゲインαが「1」であるか否かを判定する(S26)。そして、「1」ではないと判定する場合(S26:NO)、弾性係数Kに通常値K0を代入するとともに粘性係数Cに通常値C0を代入する(S28)。通常値K0,C0は、角度操作量算出処理M50が転舵角の制御に反映される場合において、規範モデル演算処理M30を安定化させる値に適合されている。これに対しCPU42は、「1」であると判定する場合(S26:YES)、規範モデル演算処理M30によりピニオン角指令値θp*の算出に用いられる弾性係数Kに変更値K1を代入するとともに粘性係数Cに変更値C1を代入する(S30)。変更値K1,C1は、角度操作量算出処理M50が転舵角の制御に反映されていない場合において、規範モデル演算処理M30を安定化させる値に適合されている。
なお、CPU42は、S28,S30の処理が完了する場合、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU42は、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量である操舵操作量Ts*と操舵トルクThとの和である軸力Taf0に応じてピニオン角指令値θp*を算出する。そして、角度操作量算出処理M50によって、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*にフィードバック制御するための操作量である角度操作量Tt1*を算出する。そして、CPU42は、操舵操作量Ts*と角度操作量Tt1*に応じた角度操作量Tt*との和に応じて電動機32を操作する。
ここで、CPU42は、角度操作量算出処理M50に基づく電動機32の制御性が所定以下となると判定する場合、上記ゲインαを「1」とすることによって、減少補正量ΔTt*を、角度操作量Tt1*とする。これにより、加算処理M74の入力となる角度操作量Tt*を「0」とすることができることから、角度操作量算出処理M50に基づく電動機32の制御性が所定以下となる場合に、角度操作量算出処理M50による電動機32のトルク制御を無効とすることができる。そしてこれにより、操舵トルクThを目標操舵トルクTh*にフィードバック制御するための操作量である操舵操作量Ts*のみに応じて電動機32のトルクが制御されることとなる。
また、CPU42は、角度操作量Tt*が「0」となる場合、弾性係数Kに変更値K1を代入し、粘性係数Cに変更値C1を代入する。ここで、変更値K1,C1は、角度操作量算出処理M50が電動機32の操作に反映されないときにおいて規範モデル演算処理M30の安定性を確保できる値に適合されている。そのため、角度操作量Tt*が「0」の場合において、ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が大きくなることを抑制できる。そのため、角度操作量算出処理M50による転舵角の制御を円滑に再開できる。これに対し、角度操作量Tt*が「0」の場合にも通常値K0、C0を使用する場合には、規範モデル演算処理M30が安定せず、ピニオン角指令値θp*が振動するなどして、ピニオン角指令値θp*とピニオン角θpとの差の絶対値が大きく変動するおそれがある。そしてその場合には、角度操作量算出処理M50による転舵角の制御の再開が困難となる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)CPU42は、角度操作量Tt0*から角度操作量Tt*を減算した値である減少補正量ΔTt*を、軸力Taf0から減算して規範モデル演算処理M30の入力となる軸力Tafとする。これにより、推定外乱トルクTldeの大きさが過度に大きくなることを抑制できる。すなわち、角度操作量算出処理M50によって算出された角度操作量Tt1*は、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*とするうえで適切な操作量である。そのため、角度操作量Tt1*から角度操作量Tt*を減算した値が「0」ではない場合には、ピニオン角θpがピニオン角指令値θp*から大きく乖離し、ひいては推定外乱トルクTldeの大きさが過度に大きくなるおそれがある。そしてその場合、角度操作量Tt1*がピニオン角θpをピニオン角指令値θp*とするうえで適切な値からずれることから、角度操作量Tt*を角度操作量Tt1*へと移行させる場合に、ピニオン角θpの制御性が低下するおそれがある。
(2)規範モデル演算処理M30によって、規範モデルを表現する上記の式(c1)に基づいて、ピニオン角指令値θp*を算出し、ピニオン角θpをピニオン角指令値θp*に制御した。これにより、操舵特性を規範モデルによって調整することができる。
(3)操舵操作量Ts*と操舵トルクThとの和に応じて、目標操舵トルクTh*を設定した。ここで、運転者による操舵フィーリングを良好とする上で要求される目標操舵トルクTh*は、横力に応じて定まる傾向がある。一方、操舵操作量Ts*と操舵トルクThとの和が車両の横力に換算可能であることから、上記和に基づき目標操舵トルクTh*を定めることにより、目標操舵トルクTh*の算出処理の設計が容易となる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図4に、本実施形態にかかる電動パワーステアリング装置10の構成を示す。なお、図4に示す部材のうち図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、ピニオンシャフト24cには、ステアリングホイール22との間の動力の伝達を遮断可能なクラッチ60が設けられている。すなわち、クラッチ60の一方には、ピニオンシャフト24cが連結されており、クラッチ60の他方には、ステアリングホイール22と連結されている入力軸24dが連結されている。本実施形態では、入力軸24dおよびピニオンシャフト24cを、ステアリングシャフト24と称する。
入力軸24dには、減速機70を介して電動機72の動力が付与される。電動機72の各端子には、インバータ74の電圧が印加される。入力軸24d、減速機70、電動機72およびインバータ74によって、抗力アクチュエータ80が構成されている。なお、本実施形態では、転舵制御装置40は、舵角センサ82によって検出されるステアリングホイール22の回転角度(操舵角θh)を参照する。
図5に、本実施形態にかかる転舵制御装置40が実行する処理の一部を示す。図5に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42が実行することにより実現される。なお、図5において、図2に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図5に示すように、本実施形態では、規範モデル演算処理M30において、ピニオン角指令値θp*に代えて、操舵角の指令値(操舵角指令値θh*)が算出される。一方、舵角比可変処理M90は、操舵角指令値θh*に対する転舵角の目標値(ピニオン角指令値θp*)の比率である舵角比を可変とするための調整量Δaを、車速Vに応じて可変設定する処理である。詳しくは、車速Vが小さい場合に高い場合よりも、操舵角の変化に対する転舵角の変化を大きくするように、調整量Δaを設定する。加算処理M92は、操舵角指令値θh*に調整量Δaを加算することによって、ピニオン角指令値θp*を設定する。
抗力算出処理M94は、操舵角θhを操舵角指令値θh*にフィードバック制御するための操作量として、電動機72のトルク指令値Tr*を算出する処理である。操作信号生成処理M96では、電動機72のトルクをトルク指令値Tr*に制御すべく、インバータ74に操作信号MSsを出力してインバータ74を操作する処理である。
なお、本実施形態では、操舵トルク補償処理M66を備えず、角度操作量算出処理M50の出力である角度操作量Tt1*が角度操作量Tt0*と等しくなっている。また、本実施形態では、角度操作量Tt1*が要求トルクTdとなっている。すなわち、本実施形態では、角度操作量Tt1*のみからトルク指令値Tm*が算出される。
図6に、本実施形態にかかる制限処理M70の手順を示す。図6に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図6において図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付与している。
図6に示す一連の処理において、CPU42は、まず車速Vが規定速度Vth以下である旨の条件(ア)と、操舵トルクThの大きさ(絶対値)が規定値Tth以下である旨の条件(イ)と、操舵速度ωhの大きさ(絶対値)が規定速度ωth以下である旨の条件(ウ)との論理積が真であるか否かを判定する(S40)。この処理は、たとえば交差点等で車両が停止しており、運転者がステアリングホイール22を操作しない状態であるか否かを判定する処理である。ここで規定速度Vthは、車両が停止かほぼ停止状態にあることを判定するための値であり、「0」に近い小さい値とされる。また、規定値Tthは、運転者がステアリングホイール22を操作していないことを判定するための値であり、「0」に近い値とされる。また、規定速度ωthは、運転者がステアリングホイール22を操作していないことを判定するための値であり、「0」に近い値とされる。ちなみに、操舵速度ωhは、操舵角θhの単位時間当たりの変化量であり、CPU42により算出される。
CPU42は、論理積が真であると判定する場合(S40:YES)、S16の処理に移行する一方、論理積が偽であると判定する場合(S40:NO)、S22の処理に移行する。そしてCPU42は、S16、S22の処理が完了する場合、S24~S30の処理を実行して、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
図7に、操舵角θhと、ステアリングホイール22に抗力を付与するためのトルク指令値Tr*との関係を示す。
図7に示すように、操舵角θhが「0」である状態から操舵角θhが増加する場合、トルク指令値Tr*は曲線d1に沿って増加する。その後、たとえば交差点等で運転者が車両を停止させ、図7の点Pの操舵角θhにてステアリングホイール22の操作もやめる場合、操舵トルクThの大きさが小さくなる。操舵トルクThの大きさが小さくなると、操舵角指令値θh*の大きさが操舵角θhの大きさよりも小さい値となり、ステアリングホイール22が中立位置側に戻される。これにより、トルク指令値Tr*は、図7のd2に沿って操舵角θhの大きさの減少に伴って小さくなり、操舵角θhが、「θa」となる時点でトルク指令値Tr*が「0」となる。しかし、これに応じて設定されるピニオン角指令値θp*は、必ずしも電動機32のトルクが「0」であっても維持される角度ではない。たとえば、操舵角θhが「θb」となるときの操舵角指令値θh*が、電動機32のトルクが「0」であってもピニオン角θpがそのまま維持される角度である場合、角度操作量Tt*によって、ピニオン角θpがピニオン角指令値θp*に維持されていることとなる。なお、実際には運転者がステアリングホイール22に手をおいている場合、操舵トルクThは必ずしも「0」とならず、その場合、操舵角θhは「θa」とは相違するが、その場合であっても、これに応じて設定されるピニオン角指令値θp*は、必ずしも電動機32のトルクが「0」であっても維持される角度とはならない。
このため、車両の停止時には、電動機32に不要に電流が流れ続けるおそれがある。そこで、CPU42は、上記条件(ア)、条件(イ)および条件(ウ)の論理積が真となる場合、角度操作量Tt*を「0」へと減少させる。これによりトルク指令値Tm*を「0」へと減少させることができる。このため、電動機32に不要な電流が流れ続けることを抑制できる。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,5,6]換算可能角度は、ピニオン角θpに対応する。角度指令値算出処理は、図2の規範モデル演算処理M30や、図7の規範モデル演算処理M30、舵角比可変処理M90および加算処理M92に対応する。操作処理は、図2の加算処理M74、換算処理M76および操作信号生成処理M78や、図5の換算処理M76および操作信号生成処理M78に対応する。変更処理は、S26~S30の処理に対応する。駆動回路は、インバータ33に対応する。[2]補正処理は、減算処理M20に対応する。[3]第1操作処理は、減少補正量ΔTt*の大きさが角度操作量Tt1*の大きさよりも小さい場合の処理に対応し、第2操作処理は、減少補正量ΔTt*の大きさが角度操作量Tt1*の大きさに等しい場合の処理に対応する。[4]図5の処理に対応する。[7]目標操舵トルク算出処理は、ベース目標トルク算出処理M10、加算処理M12、およびヒステリシス処理M14に対応する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・「変更処理について」
上記実施形態では、角度操作量Tt*が「0」とされる場合に限って、弾性係数Kや粘性係数Cを変更する処理を実行したが、これに限らない。たとえば図2の角度操作量Tt*を角度操作量Tt1*で除算した値が所定比率以下の場合に、弾性係数Kや粘性係数Cを変更する処理を実行してもよい。
規範モデル演算処理M30の入力である軸力Tafに対する出力であるピニオン角指令値θp*の関係を変更する変更処理としては、弾性係数Kと粘性係数Cとを変更する処理に限らず、たとえばそれら2つの係数についてはそのうちのいずれか1つのみを変更する処理であってもよい。また、たとえば下記「角度指令値算出処理について」の欄に記載したように、規範モデルを変更する場合、弾性係数Kと粘性係数Cとの双方とも変更せず、代わりに別のパラメータを変更してもよい。
・「要求トルクTdについて」
図2では、角度操作量Tt*および操舵操作量Ts*の和を要求トルクTdとしたが、これに限らない。たとえば、角度操作量Tt*を要求トルクTdとしてもよい。
図5の処理では、角度操作量Tt*を要求トルクTdとしたが、これに限らない。たとえば、角度操作量Tt*と操舵操作量Ts*との和を要求トルクTdとしてもよい。
・「角度指令値算出処理について」
上記実施形態では、軸力Tafを入力として、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、これに限らず、たとえば、操舵操作量Ts*を入力としてもよい。上記実施形態では、軸力Tafを入力とし、上記の式(c1)等に基づきピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出したが、ピニオン角指令値θp*や操舵角指令値θh*を算出するためのロジック(モデル)としては、これに限らない。
さらに、たとえば図5の処理において、舵角比可変処理M90および加算処理M92を削除し、規範モデル演算処理M30の出力を、操舵角指令値θh*兼ピニオン角指令値θp*としてもよい。
・「外乱オブザーバについて」
上記実施形態では、転舵輪12に作用するトルクが転舵角の角加速度に比例するトルクと釣り合うという簡易なモデルにて外乱オブザーバを構成したが、これに限らない。たとえば、転舵輪12に作用するトルクが、転舵角の角加速度に比例するトルクと転舵角の角速度に比例するトルクとの和と釣り合うというモデルを用いて外乱オブザーバを構成してもよい。
推定外乱トルクTldeの算出手法としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば図2の処理において、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値、またはピニオン角θpの2階時間微分値に慣性係数Jpを乗算した値から角度操作量Tt*、操舵操作量Ts*および操舵トルクThを減算することによって算出してもよい。
・「角度操作量算出処理について」
上記実施形態では、フィードフォワード操作量Ttffを、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値に基づき算出したが、これに限らず、たとえばピニオン角θpの2階時間微分値に基づき算出したり、推定値θpeの2階時間微分値に基づき算出したりしてもよい。
上記実施形態では、電動パワーステアリング装置10を、転舵輪12に作用するトルクが転舵角の角加速度に比例するトルクと釣り合うという簡易なモデルにてモデル化することによって、フィードフォワード項を算出したが、これに限らない。たとえば、転舵輪12に作用するトルクが、転舵角の角加速度に比例するトルクと転舵角の角速度に比例するトルクとの和と釣り合うというモデルを用いてフィードフォワード項を算出してもよい。これは、たとえば、ピニオン角指令値θp*の2階時間微分値に上記慣性係数Jpを乗算した値と、ピニオン角指令値θp*の1階時間微分値に粘性係数Cpを乗算した値との和をフィードフォワード操作量Ttffとすることによって実現できる。ここで、角速度の比例係数である粘性係数Cpは、規範モデル演算処理M30において用いる粘性係数Cとはその狙いとするところが相違し、実際の電動パワーステアリング装置10の挙動を極力高精度にモデル化したものとすることが望ましい。
フィードバック項算出処理M56の入力のうちのフィードバック制御量としては推定値θpeやその1階時間微分値に限らない。たとえば、推定値θpeやその1階時間微分値に代えて、ピニオン角θpやその時間微分値自体としてもよい。
フィードバック項算出処理M56としては、比例要素および微分要素の各出力値の和を出力する処理に限らない。たとえば比例要素の出力値を出力するものとしてもよく、またたとえば微分要素の出力値を出力するものとしてもよい。さらにたとえば、比例要素の出力値および微分要素の出力値の少なくとも一方と、積分要素の出力値との和を出力する処理としてもよい。なお、積分要素の出力値を用いる場合には、外乱オブザーバを削除することが望ましい。もっとも、積分要素の出力値を用いない場合において、外乱オブザーバを用いること自体必須ではない。
・「換算可能角について」
上記実施形態では、換算可能角度として、ピニオン角θpを用いたが、これに限らない。たとえば、転舵輪12の転舵角自体としてもよい。
・「操舵操作量について」
上記実施形態では、操舵操作量Ts*を、ステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、その場合、たとえば操舵トルクThを減速比Kmで除算した値と操舵操作量Ts*との和を軸力Taf0としたり、操舵操作量Ts*に減速比Kmを乗算した値と操舵トルクThとの和を軸力Taf0としたりする。
・「角度操作量について」
上記実施形態では、角度操作量Tt*をステアリングシャフト24のトルクに換算したが、これに限らない。たとえば、電動機32のトルクとしてもよい。ただし、たとえば操舵操作量Ts*がステアリングシャフト24のトルクに換算されている場合、要求トルクTdを、角度操作量Tt*に減速比Kmを乗算した値と操舵操作量Ts*との和等とする。
・「目標トルク算出処理について」
ベース目標トルク算出処理としては、軸力Taf0と車速Vとに応じてベース目標トルクThb*を算出する処理に限らない。たとえば軸力Taf0のみに基づきベース目標トルクThb*を算出する処理であってもよい。
ベース目標トルクThb*をヒステリシス補正量Thysで補正すること自体必須ではない。
・「転舵制御装置について」
転舵制御装置としては、CPU42とROM44とを備えてソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
・「電動機、駆動回路について」
電動機としては、SPMSMに限らず、IPMSM等であってもよい。また、同期機に限らず誘導機であってもよい。さらに、たとえばブラシ付きの直流電動機であってもよい。その場合、駆動回路としては、Hブリッジ回路を採用すればよい。
・「転舵アクチュエータについて」
転舵アクチュエータとしては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、ピニオンシャフト24cとは別に、電動機32の動力をラック軸26に伝達させるための第2のピニオンシャフトを備えるいわゆるデュアルピニオン型のものであってもよい。またたとえば、ステアリングシャフト24に電動機32の出力軸32aが機械的に連結された構成であってもよい。その場合、転舵アクチュエータは、ステアリングシャフト24やラックアンドピニオン機構27を操舵機構と共有する。
・「そのほか」
たとえば図4において、クラッチ60を削除し、代わりに、ギア比を可変とするギア比可変機構を介して入力軸24dをピニオンシャフト24cに機械的に連結してもよい。その場合であっても、ステアバイワイヤの場合において例示した処理と同様の処理を実現できる。
10…電動パワーステアリング装置、12…転舵輪、16…ラックハウジング、20…操舵機構、22…ステアリングホイール、24…ステアリングシャフト、24a…コラムシャフト、24b…インターミディエイトシャフト、24c…ピニオンシャフト、24d…入力軸、26…ラック軸、27…ラックアンドピニオン機構、28…タイロッド、30…転舵アクチュエータ、32…電動機、32a…出力軸、33…インバータ、34…ボールねじ機構、36…ベルト式減速機構、40…転舵制御装置、42…CPU、44…ROM、46…周辺回路、48…通信線、50…トルクセンサ、52…車速センサ、54…回転角度センサ、60…クラッチ、70…減速機、72…電動機、74…インバータ、80…抗力アクチュエータ、82…舵角センサ。

Claims (7)

  1. 電動機が内蔵されて且つ転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、
    運転者が入力する操舵トルクを目標操舵トルクにフィードバック制御すべく前記転舵輪を転舵させるための前記電動機の操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である操舵操作量を算出する操舵操作量算出処理と、
    前記操舵操作量に応じて前記転舵輪の転舵角に換算可能な換算可能角度の指令値である角度指令値を算出する角度指令値算出処理と、
    前記換算可能角度を前記角度指令値にフィードバック制御する操作量であって前記電動機に要求されるトルクに換算可能な操作量である角度操作量を算出する角度操作量算出処理と、
    前記操舵操作量および前記角度操作量の2つの操作量のうちの少なくとも1つに応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記電動機の駆動回路を操作する操作処理と、
    前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値を調整し、調整後の前記角度操作量を前記操作処理に入力する調整処理と、
    前記減算した値に応じて前記角度指令値算出処理の入力に対する前記角度指令値算出処理の出力の関係を変更する変更処理と、を実行する転舵制御装置。
  2. 前記角度操作量算出処理によって算出される前記角度操作量から前記操作処理に反映される前記角度操作量を減算した値の大きさが大きい場合に小さい場合よりも前記角度指令値算出処理が前記角度指令値を算出する際の入力の大きさが小さくなるように補正する補正処理を実行する請求項1記載の転舵制御装置。
  3. 前記操作処理は、少なくとも前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第1操作処理と、前記角度操作量によらずに前記操舵操作量に応じて前記電動機のトルクを制御すべく前記駆動回路を操作する第2操作処理と、を含み、
    前記変更処理は、前記第1操作処理の実行時と前記第2操作処理の実行時とで前記入力に対する出力の関係を変更する処理を含む請求項1または2記載の転舵制御装置。
  4. 前記操作処理は、前記操舵操作量によらずに前記角度操作量に応じて前記電動機のトルクを制御する処理を含む請求項1または2記載の転舵制御装置。
  5. 前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である弾性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記弾性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、
    前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記転舵角の大きさに対する前記弾性力の比例係数を変更する処理を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  6. 前記角度指令値算出処理は、前記角度指令値の変化速度の大きさに比例して前記転舵角の大きさを小さくする側の力である粘性力を算出する処理と、前記操舵操作量を前記粘性力によって減少させた値に応じて前記角度指令値を算出する処理と、を含み、
    前記変更処理は、前記減算した値に応じて、前記変化速度の大きさに対する前記粘性力の比例係数を変更する処理を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  7. 前記操舵操作量と前記操舵トルクとを同一の物体に働く力に換算した量同士の和に基づき、前記目標操舵トルクを算出する目標操舵トルク算出処理を実行する請求項1~6のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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