JPWO2014103703A1 - ステンレス鋼の不動態化方法 - Google Patents

ステンレス鋼の不動態化方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014103703A1
JPWO2014103703A1 JP2014554297A JP2014554297A JPWO2014103703A1 JP WO2014103703 A1 JPWO2014103703 A1 JP WO2014103703A1 JP 2014554297 A JP2014554297 A JP 2014554297A JP 2014554297 A JP2014554297 A JP 2014554297A JP WO2014103703 A1 JPWO2014103703 A1 JP WO2014103703A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen peroxide
weight
concentration
stainless steel
immersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014554297A
Other languages
English (en)
Inventor
義明 井田
義明 井田
文幸 津高
文幸 津高
克久 杉本
克久 杉本
清隆 石見
清隆 石見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MARUI GALVANIZING CO., LTD
Original Assignee
MARUI GALVANIZING CO., LTD
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MARUI GALVANIZING CO., LTD filed Critical MARUI GALVANIZING CO., LTD
Publication of JPWO2014103703A1 publication Critical patent/JPWO2014103703A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/05Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals using aqueous solutions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C22/00Chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive liquid, leaving reaction products of surface material in the coating, e.g. conversion coatings, passivation of metals
    • C23C22/78Pretreatment of the material to be coated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23FNON-MECHANICAL REMOVAL OF METALLIC MATERIAL FROM SURFACE; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL; MULTI-STEP PROCESSES FOR SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL INVOLVING AT LEAST ONE PROCESS PROVIDED FOR IN CLASS C23 AND AT LEAST ONE PROCESS COVERED BY SUBCLASS C21D OR C22F OR CLASS C25
    • C23F17/00Multi-step processes for surface treatment of metallic material involving at least one process provided for in class C23 and at least one process covered by subclass C21D or C22F or class C25
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25FPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC REMOVAL OF MATERIALS FROM OBJECTS; APPARATUS THEREFOR
    • C25F3/00Electrolytic etching or polishing
    • C25F3/16Polishing
    • C25F3/22Polishing of heavy metals
    • C25F3/24Polishing of heavy metals of iron or steel

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Abstract

環境負荷が小さくしかも特性の優れたステンレスの不動態化方法。電解研磨された被処理物を過酸化水素に浸漬する。当該過酸化水素水への浸漬は、過酸化水素濃度1重量%以上、温度10℃以上、浸漬時間30分以上である。また、上記電解研磨に用いる電解液は、硫酸とリン酸の混合液であり、当該混合液が85%のリン酸と98%の硫酸を用いた場合、リン酸と硫酸の比が、50%〜90%:10%〜50%(容量%)、温度30℃〜80℃、電流1A〜20A/dm2、時間30秒〜60分である。

Description

本発明は、ステンレス鋼の不動態化方法に関し、時に環境を考慮したステンレス鋼の不動態化方法に関するものである。
ステンレス鋼の不動態化方法は、大きく分けて以下の3つの方法がある。
(1)硝酸その他の強力な酸化剤を含む溶液に浸漬する方法。
(2)酸素または、清浄な空気中における低温加熱による方法。
(3)酸化剤を含む溶液中における陽極分極による方法。
このうち、(1)の「強力な酸化剤を含む溶液に浸漬する方法」が一般的で、硝弗酸(約1重量%HF、30重量%HNO3、残りH2O)、あるいは10〜30重量%の硝酸などの酸化性の強い溶液にステンレス鋼を浸漬し、あるいは浸漬とともに電解処理するようにしている。
また、酸化性の強い溶液として、硝酸と塩酸の混合液を使用する方法が、特開昭52−106333号公報に開示されている。硝酸を5〜40重量%、塩酸を0.5〜2.0重量%含み、残り水およびインヒビタ0.1g〜10g/lよりなる溶液を、50〜70℃に加熱して30〜90秒ステンレス鋼を浸漬するようにしたものである。
上記硝弗酸や硝酸に代えて、過酸化水素を使用する不動態化方法が提案されている。例えば、特開2001−115271号公報には、不動態化の工程で環境負荷の小さい過酸化水素を使用する方法が開示されている。また、特開平11−293482号公報には、不動態化処理に過酸化水素と他の酸性溶液を混合して使用する技術が開示されている。
ステンレス鋼表面に形成される不動態皮膜の構造はまだ充分には解明されていないが、本質的には、Cr2O3・nH2Oで表されるような、厚さが10〜30Åの均一で薄い化学的に安定な非晶質の酸化膜になっていると考えられている。硝弗酸や硝酸中での不動態化処理は、不動態皮膜中のCr元素の濃縮により、安定な不動態皮膜を形成させると考えられている。
特開昭52−106333号公報 特開2001−115271号公報 特開平11−293482号公報
これらの不動態化処理のうち弗化水素酸(HF)は労働安全衛生法施工令特定化学物質等第2種物質に指定されていること、および、硫酸との混合物においては窒素酸化物が発生するため、これらを用いない工程の開発が望まれていた。
更に、硝酸を使用した場合には、使用後の硝酸は苛性ソーダで中和してから廃棄する必要があり、この工程も省略することが望まれる。
特開2001−115271号公報に開示された方法では、被加工物を有機酸で研磨した後、硝酸又は過酸化酸水素を含む酸化性溶剤の液に浸漬して不動態化するようになっている。ここで、硝酸を使用する場合は硝酸処理の問題が依然としてのこることになる。また、研磨処理として有機酸を使用しているが、出願人がクエン酸を用いて研磨したステンレス鋼試料に対する過酸化水素の不動態化処理について検討した結果は、満足できるものではなかった(後述の比較例参照)。有機酸での研磨効果は弱いためと考えられる。
上記、特開平11−293482号公報に開示されている方法では、過酸化水素以外の酸性溶液をも使用することになり、後の処理に時間と費用を要するという欠点がある。
加えて、不動態皮膜は、不動態化処理そのものの方法はもちろん、不動態化処理の前段階での処理が不動態皮膜の特性に大きな影響を及ぼす点を考慮すると、不動態化処理を評価するとき、不動態化処理の各部にのみ注目するのではなく、全工程に注目する必要がある。
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、不動態化処理時に後処理の必要な強酸性の溶液を用いないステンレス鋼の不動態化処理を提供するものである。
上記目的を達成するために、この発明は、まず、硫酸とリン酸の混合液中で被処理物を電解研磨し、その後過酸化水素に浸漬処理するようになっている。
上記の方法を採用することによって、形成された不動態皮膜は耐塩化物孔食性の指標である孔食電位において、従前の硝酸溶液で不動態化した場合と同等の品質の膜を形成することができ、しかも、廃液を下水等に廃棄しても環境に負荷のかからない効果がある。
図1は各研磨後の不動態化処理に過酸化水素を使用したときの孔食電位を示す図。 図2は過酸化水素への浸漬時間を変えたときの孔食電位を示す図。 図3は過酸化水素の浴温度を変えたときの孔食電位を示す図。 図4は過酸化水素の浴濃度を変えたときの孔食電位を示す図。 図5は孔食電位の測定時に使用するNaCl濃度を変えたときの孔食電位を示す図。 図6は孔食電位の測定時に使用するNaCl浸漬日数を変えたときの孔食電位を示す図。 図7はクエン酸による研磨及び過酸化水素処理と本発明との比較を示す図を示す図。 図8は本願の方法と、従来の方法による試料の表面分析の結果を示す図。
本発明は被処理物のステンレス鋼を電解研磨し、その後過酸化水素に浸漬することによってステンレス鋼表面を不動態化するようにしている。
上記電解研磨は、硫酸とリン酸の混合溶液中で、被処理物を正極として行われる。前記混合溶液としては、85重量%のリン酸と、98重量%の硫酸を用いた場合リン酸と硫酸の比が、50〜90%:10〜50%(容量%)、温度30〜80℃、電流1〜20A/dm2、時間30秒〜60分である。
上記過酸化水素への浸漬は、過酸化水素の濃度1重量%以上、温度10℃以上であり、浸漬時間は30分以上である。
上記電解研磨処理において、リン酸の濃度が50%より小さいと光沢性が低下し、90%より多いとコスト高となる。
また、上記電解処理は、温度30〜80℃の下で、1〜20A/dm2の電流密度で時間30秒〜60分で行われる。温度が30℃より低いと鉄分の溶解速度が充分ではなく被処理物の表面を充分にクロムリッチにすることができない。また80℃より高いと雰囲気に硫酸臭が立ち込め、作業性に問題が生じる。電流密度が1A/dm2より小さいと、鉄分の溶出が充分でなく、また、20A/dm2より大きいと、電流密度の均一性が低下することで品質の低下を招く。
上記、温度、電流密度、電解処理時間の関係は、鉄分の溶出量が大きくなり過ぎない程度、また、少なすぎて後の無電解処理に支障を来たさないよう、相対的に決定される。
上記無電解処理に使用する過酸化水素の濃度と温度、更に浸漬時間は、より優れた特性の不動態を形成するためには、下記の範囲で相対的に決定される。
すなわち、過酸化水素の濃度は1重量%以上である。1重量%より低いと酸化効果が充分ではなく、耐食性あるいは孔食電位に優れた不動態皮膜を形成することはできない。過酸化水素の濃度の上限は限定されないが、15重量%より高くなると、膜質は充分といえるが作業後の排水処理の必要性が生じ、コスト面での難点がある。
上記過酸化水素への浸漬処理時間は、過酸化水素の濃度が最も低い1重量%であっても30分以上である。30分より短いと優れた不動態皮膜を形成するに至らない。浸漬時間の上限はないが、例えば5時間といった長時間になると、作業性、コストの面での障害が生じることになる。
<実施例1>
まず、ステンレス鋼を不動態化するについて、その前処理として、電解研磨をすることが有効であることを実証する実験を図1に示す。ステンレス鋼(SUS304)をバフ研磨(No.400)の後に3.5重量%の過酸化水素に25℃で2時間浸漬して、不動態化処理した試料1、研磨材としてエメリー紙(No.600)を用い、3.5重量%の過酸化水素に25℃で2時間浸漬した試料2は、いずれも0mV近辺の孔食電位でしかない。
バフ研磨後に、85重量%のリン酸と、98重量%の硫酸を用いてリン酸と硫酸の比が、75%:25%(容量%)である電解浴で、温度45℃、電圧8Vで6分間電解研磨した試料3は150mV強の孔食電位を示すが、それ以上ではない。
バフ研磨後に上記と同じ条件で電解研磨をした後、3.5重量%過酸化水素に25℃で2時間浸漬して、不動態化処理した試料4は、1000mVを超える孔食電位を示している。
したがって、本願発明は、低い濃度(ここでは3.5重量%)では廃棄に規制の掛からない過酸化水素を使用できることになる。
尚、上記孔食電位の測定は3.5重量%NaClの溶液で、温度25℃の下での測定である。
<実施例2>(浸漬時間)
次に、ステンレス鋼素材をバフ研磨(No.400)し、上記実施例1と同じ条件で電解研磨した後に、温度25℃の下で3.5重量%の過酸化水素に30分、1時間、2時間浸漬して不動態化した場合の孔食電位を、各時間5枚の試料について測定した結果(5枚の試料の中央値)を図2に示す。
30分、1時間では孔食電位が1000mV以下になる試料も見られたが、少なくとも900mVはあり、加えて、中央値としては、図2に示すように、1000mV以上あり、実用には充分耐え得る値であるといえる。2時間の浸漬では全試料が1000mV以上となる。
電解研磨処理の後、過酸化水素に浸漬しない場合は孔食電位が150mV以下となり、電解研磨だけでは耐食性の良い不動態皮膜が形成されないことが理解できる。
<実施例3>(浴温度)
上記ステンレス鋼素材をバフ研磨(No.400)し、上記実施例1と同じ条件で電解研磨した後に、3.5重量%の過酸化水素水に2時間浸漬した場合であって、浴温度が5℃、10℃、15℃、25℃、40℃で不動態化した試料(各温度5枚)について、3.5重量%のNaClに浸漬した場合の孔食電位を測定した結果(5枚の試料の中央値)を図3に示す。
温度が5℃以下(5℃を含む)では、試料の半分以上で孔食電位が500mV以下となり、中央値を採っても500mV前後であり、充分に強い不動態皮膜が形成されないことが理解できる。温度が10℃になると孔食電位の中央値が1000mV前後となり、概ね実用に耐えうる値であることが理解でき、25℃、40℃では全試料が1000mV以上の孔食電位を確保している。
<実施例4>(浴濃度)
上記ステンレス鋼素材をバフ研磨(No.400)し、上記実施例1と同じ条件で電解研磨した後に、過酸化水素の浸漬温度を25℃、浸漬時間を2時間に固定し浴濃度を変化させた場合の実施例を図4に示す。図4は、各濃度それぞれ5枚の試料を下記の(1)〜(9)の濃度の過酸化水素に浸漬して、その孔食電位を測定した結果(5枚の試料の中央値)を示すものである。
(1)未処理(電解研磨のみ)、(2)濃度0.98重量%、(3)濃度1.75重量%、(4)濃度3.5重量%、(5)濃度7.0重量%。(6)濃度9.8重量%、(8) 濃度20重量%、(9) 濃度35重量%。
前記(2)の試料では、過酸化水素の濃度が1重量%未満(0.98重量%)でも中央値が800mV以上の孔食電位が見られ、まずまずの不動態皮膜ができていると言える。1重量%〜3重量%では(例えば1.75重量%)、試料によっては1000mV以下の孔食電位も見られたが、中央値としては1000mV以上あり、十分実用に耐える不動態化膜といえる。過酸化水素の濃度が3重量%を超えると(例えば3.5重量%)、いずれの試料も1000mV以上の孔食電位を得ることができる。
過酸化水素の濃度が20重量%、35重量%でも良質の不動態皮膜が形成されていることから過酸化水素の濃度の上限はないと考えられる。但し、過酸化水素濃度が15重量%を越えると廃棄前に無害化する必要があるので、15重量%以下に抑えるべきである。
<実施例5>NaCl浸漬濃度
孔食電位の試験液としてのNaClの濃度を変化させたときの孔食電位の測定結果を図5に示す。前記電解研磨した試料を3.5重量%の過酸化水素に25℃で2時間浸漬して不動態化した試料(図5(b))を用いた。また、比較のために、電解研磨した試料を30重量%の硝酸溶液に25℃で2時間浸漬して不動態化した試料(図5(a))も用いた。
硝酸で不動態化した試料(図5(a))では、NaCl濃度が小さいと(10重量%以下であると)概ね実用に耐えるが、10重量%以上であると極端に孔食電位が低下し、例えばNaCl濃度が25重量%以上(飽和濃度を含む)になると、殆ど実用に耐えうる孔食電位を示さないことが理解できる。
それに対して、本願発明による試料(図5(b))は、NaCl濃度が25重量%あるいは飽和濃度に至っても1000mV以上の孔食電位を保っていることが理解できる。
<実施例6>NaCl浸漬時間
不動態化処理後の皮膜の耐久性を調べるために、孔食電位測定前に3.5重量%NaCl溶液に1日〜100日浸漬してから孔食電位を測定した。耐久性がないものは短時日で孔食電位が低下するはずである。浸漬後の孔食電位の試験液としてのNaClの濃度は3.5%に固定した。浸漬日数を変化させたときの孔食電位の測定結果を図6に示す。
電解研磨した試料を30重量%の硝酸溶液に25℃で2時間浸漬して不動態化した試料(図6(a))および、本発明の試料(図6(b))は、いずれも100日経過しても1000mV以上の孔食電位を維持し、本願発明の試料が、硝酸による不動態化に比して遜色ない耐久性を持っていることが理解できる。
<比較例>
特開2001-115271号公報には、被加工物を有機酸で研磨した後、硝酸および又は過酸化水素を含む酸化性溶剤の液に浸漬して不動態化するようになっている。
ここで本願発明と関連する項目、有機酸での研磨の後過酸化水素で不動態化する点についての確認実験を図7に示す。
バフ研磨したステンレス鋼素材を20重量%、45℃のクエン酸に30分浸漬して表面を研磨し、更に、4.0重量%、45℃の過酸化水素に1時間浸漬した試料と、実施例1と同じ条件で電解研磨し、3.5重量%の過酸化水素に25℃で2時間浸漬した試料とを3.5重量%のNaCl溶液中でアノード分極したときの孔食電位で比較した。クエン酸処理の試料はせいぜい300mVの孔食電位であるのに対して、本願発明に掛かる試料は1000mV以上の孔食電位を示した。
従って、単純に不動態化処理に過酸化水素を用いるというだけの発想では充分ではなく、その前処理に電解研磨を用いるということが極めて重要であることが理解できる。
<XPS分析>
図8は、従来の方法(電解研磨後30%硝酸に温度25℃で2時間浸漬)と、本願発明による方法(電解研磨後3.5%の過酸化水素に温度25℃で2時間浸漬)の処理をした試料をXPS分析した結果を示すものである。
従来方法による試料は、0.3分程度のスパッタ時間で鉄分量の増加(クロム量の低下)が見られるのに対して、本願の方法では0.5分程度から同様の現象が見られる。すなわち、クロムリッチ層が厚く、それだけ形成される不動態皮膜が厚いことが理解できる。
以上説明したように、本発明は不動態化処理に廃棄に前処理の不要な過酸化水素を用いることができるので、環境観点、コスト観点からの利点が大きく、産業の利用可能性は極めて大きい。

Claims (3)

  1. 被処理物を電解研磨するステップと、
    上記電解研磨された被処理物を過酸化水素に浸漬するステップ
    を備えたことを特徴とするステンレス鋼の不動態化方法。
  2. 上記電解研磨は、電解液が硫酸とリン酸の混合液であり、当該混合液が85%のリン酸と98%の硫酸を用いた場合、リン酸と硫酸の比が、50%〜90%:10%〜50%(容量%)であり、温度30℃〜80℃、電流1A〜20A/dm2、時間30秒〜60分で行なう請求項1に記載のステンレス鋼の不動態化方法。
  3. 上記過酸化水素水への浸漬は、過酸化水素濃度1重量%以上、温度10℃以上、浸漬時間30分以上でおこなう請求項1に記載のステンレス鋼の不動態化方法。
JP2014554297A 2012-12-28 2013-12-10 ステンレス鋼の不動態化方法 Pending JPWO2014103703A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012287684 2012-12-28
JP2012287684 2012-12-28
PCT/JP2013/083095 WO2014103703A1 (ja) 2012-12-28 2013-12-10 ステンレス鋼の不動態化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014103703A1 true JPWO2014103703A1 (ja) 2017-01-12

Family

ID=51020793

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014554297A Pending JPWO2014103703A1 (ja) 2012-12-28 2013-12-10 ステンレス鋼の不動態化方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2014103703A1 (ja)
WO (1) WO2014103703A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6305267B2 (ja) * 2014-08-07 2018-04-04 有限会社コンタミネーション・コントロール・サービス 腐食防止方法
JP6526406B2 (ja) * 2014-12-10 2019-06-05 株式会社Ihi ステンレス鋼部品の不動態化処理方法及びステンレス鋼部品用の不動態化処理液
JP6694693B2 (ja) * 2015-10-22 2020-05-20 株式会社Ihi ステンレス鋼部品の処理方法
CN106757298B (zh) * 2016-12-21 2019-08-02 江苏和兴汽车科技有限公司 一种无铬电抛光液、铝合金电抛光的方法及汽车铝装饰件
JP6853536B2 (ja) * 2017-05-08 2021-03-31 株式会社アサヒメッキ 水素バリア機能を有するステンレス鋼及びその製造方法
CN109208058B (zh) * 2017-07-04 2020-10-23 北京首航科学技术开发有限公司 一种提高17-4ph材料防腐蚀性能的表面处理方法
JP6592624B2 (ja) * 2019-01-15 2019-10-16 株式会社Ihi ステンレス鋼部品の不動態化処理方法及びステンレス鋼部品用の不動態化処理液
JP7038751B2 (ja) * 2020-04-20 2022-03-18 株式会社Ihi ステンレス鋼部品の処理方法
CN111829941A (zh) * 2020-05-27 2020-10-27 盐城工学院 一种用于检测氧化镓单晶加工表面损伤层的腐蚀液及检测方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63169391A (ja) * 1987-01-07 1988-07-13 Kobe Steel Ltd 半導体製造装置用金属部材
JP2010255039A (ja) * 2009-04-23 2010-11-11 Tohoku Okajima Kogyo Kk 着色ステンレス製グレーチングの製造方法及びこの製造方法により得られる着色ステンレス製グレーチング
WO2011111391A1 (ja) * 2010-03-12 2011-09-15 マルイ鍍金工業株式会社 ステンレスの不動態化方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63169391A (ja) * 1987-01-07 1988-07-13 Kobe Steel Ltd 半導体製造装置用金属部材
JP2010255039A (ja) * 2009-04-23 2010-11-11 Tohoku Okajima Kogyo Kk 着色ステンレス製グレーチングの製造方法及びこの製造方法により得られる着色ステンレス製グレーチング
WO2011111391A1 (ja) * 2010-03-12 2011-09-15 マルイ鍍金工業株式会社 ステンレスの不動態化方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2014103703A1 (ja) 2014-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014103703A1 (ja) ステンレス鋼の不動態化方法
JP6505498B2 (ja) ステンレス鋼の不動態化方法
JP5527860B2 (ja) ステンレスの不動態化方法
TWI452181B (zh) 在氧化、電解酸浴中之不銹鋼酸漬法
JP2017082253A (ja) ステンレス鋼部品の脱スケール処理方法及び不動態化処理方法
Rotty et al. Electropolishing behavior of additive layer manufacturing 316L stainless steel in deep eutectic solvents
Casanova et al. A comparison between corrosion performances of titanium grade 2 and 7 in strong reducing acids
JP2013185256A (ja) 耐塩素孔食性及び耐全面腐食性及び防錆性に優れたステンレス鋼の表面改質処理方法
KR100876218B1 (ko) 스테인레스강의 스케일 제거 후의 표면 마무리 방법
US20180291523A1 (en) Development of a passivated stainless steel surface
KR20180107422A (ko) 표면 광택성 및 내부식성이 우수한 스테인레스 강 및 이의 표면처리방법
JP3895824B2 (ja) ステンレス鋼の表面不動態化処理方法
JPS63169391A (ja) 半導体製造装置用金属部材
JP6526406B2 (ja) ステンレス鋼部品の不動態化処理方法及びステンレス鋼部品用の不動態化処理液
WO2008020602A1 (fr) Élément en acier inoxydable pour pile à combustible
JP2005126743A (ja) ステンレス鋼の高耐食化表面処理方法
JP4678612B2 (ja) 表面改質ステンレス鋼及び表面改質ステンレス鋼の処理方法
CN112301351A (zh) 一种奥氏体不锈钢零件的酸洗钝化工艺
JP3057033B2 (ja) ステンレス鋼防食表面処理方法
JP4261820B2 (ja) 耐変色性に優れた酸性雨大気環境用チタンの製造方法
JP5755508B2 (ja) ステンレス鋼用の電解研磨液およびステンレス鋼
KR102553114B1 (ko) 금속표면처리 및 피막형성 방법
JPH062955B2 (ja) クロムーモリブデン合金めっき皮膜の耐食性向上方法
JP2001049473A (ja) ステンレス鋼の耐食性改善方法
Shibata Critical factors for controlling the stability of the passive film on stainless steels

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150826

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160601

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20161207