JP5755508B2 - ステンレス鋼用の電解研磨液およびステンレス鋼 - Google Patents

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この発明は、ステンレス鋼の電解研磨処理に用いられる電解研磨液、および当該電解研磨液による電解研磨処理が施されたステンレス鋼に関する。
ステンレス鋼は、クロムを含む合金鋼であり、不動態皮膜が表面に形成されることによって鋼本体の錆びが防止されることで知られている。
またステンレス鋼の表面処理として、電解研磨処理が広く採用されている。電解研磨処理によれば、溶接による酸化スケール(溶接焼け)や脂汚れが除去されると共に、表面が滑らかな状態になる。また極表面層のクロムの含有量も増えるので、不動態皮膜はより強固なものになり、ステンレス鋼を腐食から守ることができる。
しかし、電解研磨後であっても、不動態皮膜は必ずしも盤石とは言えず、ステンレス鋼が置かれる環境によっては不動態皮膜が破壊されて、鋼本体に腐食が生じることがある。たとえば、塩化物イオンを含む水滴が不動態皮膜に付着すると、水滴内の塩化物イオンにより皮膜が破壊されて、そこから腐食が進行し、「孔食」と呼ばれる小さな穴があく。特に、海辺など塩化物イオンが多い環境下で使用されるステンレス鋼では、多数の孔食が発生して、それらにより重篤な損傷が引き起こされるおそれがある。
上記の問題を解決する方法として、フッ化物が添加された電解研磨液を用いて電解研磨を行うことによって、不動態皮膜の耐食性が高められることが報告されている。
たとえば、特許文献1には、フッ化物が添加された電解研磨液を用いてステンレス鋼に対する交流電解処理を行ったところ、脂汚れや酸化スケールが除去されると共に、不動態皮膜の強度が高められて、孔食試験においても孔食が殆ど発生しなかったと記載されている。また、特許文献2には、直流電解、交流電解、および交直重畳電解のいずれの電解処理においても、フッ化物が添加された電解研磨液を用いることにより、ステンレス鋼の表層部にフッ素が浸透して、不動態皮膜の強度が高められると記載されている。
特許第3484525号公報 特許第4218000号公報
特許文献1,2に記載されているように、フッ化物は、不動態皮膜の耐食性を高める耐食性向上剤として有用である。しかし、フッ化物には強い毒性があり、電解研磨液の取り扱いを誤ると、フッ化水素ガスが発生するおそれもある。現場の作業者の健康面や安全面を考えると、フッ化物が添加された電解研磨液を使用することは好ましくない。
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、フッ化物以外の材料によりステンレス鋼の耐食性を高められる電解研磨液を提供すること、およびこの電解研磨液を用いた電解研磨処理によって耐食性の高いステンレス鋼を提供することを、課題とする。
この発明による電解研磨液は、クエン酸三カリウム水溶液に耐食性向上剤としてのケイ酸ナトリウムが添加されて成るものである。
なお、ケイ酸塩が添加されていない状態の溶液のpH値は、中性付近の値または弱アルカリ性の範囲の値となるのが望ましい。ケイ酸塩として、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウムなどを選択することができるが、ケイ酸塩が少量でも溶けた溶液では、溶ける前の溶液に比べてアルカリ性が大幅に高められる。
上記のケイ酸塩を添加した溶液は、電解液として十分な機能を有する。よって、この溶液によりステンレス鋼に対する電解処理を行えば、溶接により生じた酸化スケールを除去することができる。またケイ酸塩の添加により電解研磨液のアルカリ性が高められるので、通電がなされていない状態下でアルカリ脱脂を行うことができる。
さらに、後記する実験の結果に示すとおり、ケイ酸塩が添加された電解研磨液による電解研磨処理が施されたステンレス鋼では、不動態皮膜の耐食性が大幅に高められる。
この発明によれば、電解研磨液に添加されたケイ酸塩の働きによって、ステンレス鋼の不動態皮膜の耐食性を高めることができ、孔食に代表されるステンレス鋼の腐食を防ぐことができる。また、この電解研磨液により電解研磨処理を施すことによって、耐食性が大幅に高められたステンレス鋼を提供することができる。
この発明の一実施例では、クエン酸三カリウム水溶液にケイ酸ナトリウムを添加して溶かし、その上澄み液を抽出する方法により電解研磨液を生成する。
ケイ酸ナトリウムが少量でも溶けた溶液では、溶ける前の溶液と比べてアルカリ性が大幅に高められる。具体的に、クエン酸三カリウムの20%水溶液にケイ酸ナトリウムを約0.1%の割合で溶かしたところ、ケイ酸ナトリウムを添加する前の溶液のpH値は8程度(弱アルカリ性)であったのに対し、ケイ酸ナトリウムが溶けた後の溶液では、pH値は約10にまで上昇した。
上記の溶液中のケイ酸ナトリウムが耐食性向上剤として機能することを確認するために、以下のような実験を行った。
<試料の準備>
縦・横の長さを20mm、厚みを1.2mmに揃えた6枚のステンレス鋼板(SUS304)を、3枚ずつのグループ(A群とB群)に分けた。
A群に属する3枚のステンレス鋼板(以下、試料A1,A2,A3という。)には、クエン酸三カリウムの20%水溶液のみ(ケイ酸ナトリウムが添加されていない溶液)を用いて電解処理を施した。一方、B群に属する3枚のステンレス鋼板(以下、試料B1,B2,B3という。)には、クエン酸三カリウムの20%水溶液にケイ酸ナトリウムを約0.1%の割合で溶かした溶液を用いた電解処理を施した。
なお、各試料に対する電解処理は交流電解によるものである。いずれの試料に対しても、印加電圧を20Vに設定して、20秒間の通電を行った。
<実験>
JIS G0578の「ステンレス鋼の塩化第二鉄腐食試験方法」に基づき、各試料A1,A2,A3,B1,B2,B3をそれぞれ平均水温20°Cの塩化第二鉄水溶液に24時間浸漬し、浸漬前および浸漬後の重量を計測した。
各試料の計測結果および重量の変化は、以下のとおりである。
Figure 0005755508
上記の表に示すとおり、ケイ酸ナトリウムが添加されていない電解研磨液により処理されたA群の試料A1,A2,A3では、いずれも、塩化第二鉄水溶液に浸漬したことによって、重量が約0.2%減少した。これに対し、ケイ酸ナトリウムが添加された電解研磨液による電解研磨により処理されたB群の試料B1,B2,B3では、浸漬による重量の減少率は0.05%未満となった。
上記の実験結果は、B群では、A群と比較して、不動態皮膜の耐食性が大幅に高められていることを示すものである。これは、B群に使用された電解研磨剤中のケイ酸ナトリウムが耐食性向上剤として機能していることによると考えられる。
なお、上記の実験でB群に使用した電解研磨液では、クエン酸三カリウムの20%水溶液に対するケイ酸ナトリウムの割合を約0.1%としたが、その後、ケイ酸ナトリウムの添加量を減らして同様の実験を行ったところ、上記より少ない分量のケイ酸ナトリウムが添加された溶液を用いた電解研磨処理によっても、不動態皮膜の耐食性が高められることがわかった。
上記の電解研磨液による電解処理は、たとえば当該電解研磨液が注入された電解槽に処理対象のステンレス鋼を浸漬する方法により行われるが、この方法に限定されるものではない。たとえば、一対の電極の一方をステンレス鋼の適所に接触させ、他方の電極に電解研磨液を含浸させた布を巻き、後者の電極をステンレス鋼の表面にあてて通電する方法を採用してもよい。また布を巻いた電極に代えて、炭素繊維をブラシ状に束ねた電極に電解研磨液を含ませたものを使用してもよい。
また通電の方法として、上記の実験では交流電解を採用したが、これに限らず、直流電解または直交重畳電解を行ってもよい。
クエン酸三カリウム水溶液にケイ酸ナトリウムを添加して成る溶液は、電解液として十分な機能を有しているので、いずれの手法の電解処理によっても、溶接により生じた酸化スケールをきれいに除去することができる。またケイ酸ナトリウムによって溶液のアルカリ性が高められているので、通電をしていない状態下でも自然にアルカリ脱脂が行われる。
よって、クエン酸三カリウム水溶液にケイ酸ナトリウムを添加して成る電解研磨液を用いてステンレス鋼に対する電解研磨を行えば、酸化スケールおよび脂汚れを除去できると共に、耐食性が向上した不動態皮膜をステンレス鋼の表面全体に形成することができる。

Claims (2)

  1. クエン酸三カリウム水溶液に耐食性向上剤としてのケイ酸ナトリウムが添加されて成るステンレス鋼用の電解研磨液。
  2. 請求項1に記載された電解研磨液を用いた電解研磨処理が施されたステンレス鋼
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