JPWO2014084094A1 - 大豆乳化組成物を用いたコーヒーホワイトナー - Google Patents

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Abstract

【課題】大豆素材を使用してもコクがあって、風味が良いコーヒーホワイトナーを提供する。【解決手段】乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を原料とすることで、コクがあって、風味が良いコーヒーホワイトナーを調製できる。【選択図】なし

Description

本発明は大豆乳化組成物を用いたコーヒーホワイトナー、およびその製造方法に関する。
従来、コーヒーに添加してマイルド感を与えるコーヒーホワイトナーとして、一般に、乳を主原料とした動物性のコーヒーホワイトナーが使われてきた。しかし、近年では、動物性のコーヒーホワイトナーの原料となる乳の品不足や放射能が問題となっている。また、動物性のコーヒーホワイトナーはコレステロール含有量が高い等の健康上の問題がある。
そこで、上記課題を解決するために、大豆素材を利用した植物性のコーヒーホワイトナーを製造することが試みられている。例えば、特許文献1には、豆乳、植物性油脂、乳化剤および塩類を混合乳化したコーヒーホワイトナーが開示されている。更に特許文献2には、豆乳を使用し、HLB12以上でかつグリセリンの重合度が5〜12のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するコーヒーホワイトナーが開示されている。また、豆乳の代わりに分離大豆蛋白質を利用してコーヒーホワイトナーを製造することも試みられている。例えば、特許文献3には、分離大豆蛋白、植物性油脂、燐酸塩および乳化剤を含み、乳化剤として有機酸モノグリセリドとシュガーエステルが併用されているコーヒーホワイトナーが開示されている。
しかし、上述した豆乳あるいは分離大豆蛋白質を使用したコーヒーホワイトナーは、コーヒーホワイトナーに求められるコク味やマイルド感が不足しており、大豆の青臭みのある風味が製品に影響する場合もある。したがって、満足できる風味が得られる植物性のコーヒーホワイトナーを提供することが求められている。
特公平4‐9504号公報 特開2006‐158295号公報 特開平6‐303901号公報
本発明の目的は、大豆素材を利用してもコクがあって、風味が良いコーヒーホワイトナーを提供することである。他の目的は、長期間乳化安定な状態を維持したコーヒーホワイトナーを提供することである。さらに他の目的は、コーヒーに添加した際にフェザーリングが抑制されるコーヒーホワイトナーを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を原料とすることで、コクがあって、風味が良いコーヒーホワイトナーを調製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は:(1)乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を含有することを特徴とする、コーヒーホワイトナー、(2)大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.3重量%以上であることを特徴とする、(1)のコーヒーホワイトナー、(3)さらに油脂、蛋白質、乳化剤、塩類、糖類、デンプンおよび香料の群から選ばれる1種または2種以上が添加されている、(1)または(2)のコーヒーホワイトナー、(4)油脂および蛋白質が植物性である、(3)のコーヒーホワイトナー、(5)乳化剤として、有機酸モノグリセリドにポリグリセリン脂肪酸エステルまたはシュガーエステルを併用することを特徴とする、(3)または(4)のコーヒーホワイトナー、(6)乳化剤の平均HLB値が5以上であることを特徴とする、(5)のコーヒーホワイトナー、(7)糖類が0.1〜5重量%添加されていることを特徴とする、(3)〜(6)のいずれかのコーヒーホワイトナー、(8)乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を原料として用いることを特徴とする、コーヒーホワイトナーの製造方法、に関するものである。
本発明により、大豆素材を使用してもコクがあって、風味が良いコーヒーホワイトナーを提供することができる。他の態様において、長期間乳化安定な状態を維持したコーヒーホワイトナーを提供することができる。さらに他の態様において、コーヒーに添加した際にフェザーリングが抑制されるコーヒーホワイトナーを提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。 本発明のコーヒーホワイトナーは、下記に説明する「大豆乳化組成物」を含有することが特徴である。大豆乳化組成物の詳細は、特開2012−016348号に開示されているが、以下、該大豆乳化組成物について説明する。
<大豆乳化組成物> 本発明のコーヒーホワイトナーに用いられる大豆乳化組成物は、大豆を由来とし、蛋白質のうち、グリシニンやβ−コングリシニン以外の脂質親和性蛋白質(あるいは別の指標としてリポキシゲナーゼ蛋白質)の割合が特に高く、中性脂質および極性脂質を多く含む乳化組成物である。すなわち、乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、乾物あたりの脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が乾物あたりの蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上であることを主要な特徴とするものである。
(脂質) 一般に脂質含量はエーテル抽出法で測定されるが、本発明に用いられる大豆乳化組成物中には中性脂質の他にエーテルで抽出されにくい極性脂質も多く含まれるため、本発明における脂質含量は、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
本発明に用いられる大豆乳化組成物は、原料である大豆粉の脂質含量/蛋白質含量の比よりも高い値の脂質を含み、特に極性脂質に富むことが特徴である。該脂質は原料となる大豆に由来する脂質である。
本発明に用いられる大豆乳化組成物の脂質含量は、乾物あたりの蛋白質含量に対して100重量%以上、好ましくは120〜250重量%、さらに好ましくは120〜200重量%であり、蛋白質よりも脂質が多いことが特徴である。また構成に必須ではないが、脂質含量を絶対量で表す場合、乾物あたり35重量%以上、好ましくは40重量%以上であるのが適当である。大豆乳化組成物を繊維質等が除去されたものとすれば脂質含量を乾物あたり50重量%以上にもすることができる。また脂質含量の上限は限定されないが、好ましくは75重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
(蛋白質) 本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質含量は乾物あたり25重量%以上、好ましくは30重量%以上である。また蛋白質含量の上限は限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
○蛋白質含量の分析 本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
○蛋白質の各成分の組成分析 本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分析することができる。 界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
(リポキシゲナーゼ蛋白質) 本発明に用いられる大豆乳化組成物は、一般に大豆中のオイルボディにはほとんど含まれないリポキシゲナーゼ蛋白質が特定量以上含まれることが大きな特徴であり、大豆乳化組成物中の全蛋白質あたり少なくとも4%以上含有し、好ましくは5%以上含有するものである。 通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではリポキシゲナーゼ蛋白質は可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明ではリポキシゲナーゼ蛋白質が原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。 蛋白質中におけるリポキシゲナーゼ蛋白質の割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
リポキシゲナーゼ蛋白質の場合は通常L−1、L−2、L−3の3種類が存在し、上記の電気泳動法により、リポキシゲナーゼ蛋白質に相当するこれらのバンドの濃さから含量を算出できる。
(脂質親和性蛋白質) 本発明に用いられる大豆乳化組成物は、蛋白質の種類の中では脂質親和性蛋白質(Lipophilic Proteins)が一般の大豆素材より多く含まれることが特徴である。脂質親和性蛋白質は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。 LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI(Lipophilic Proteins Content Index)値を求めることにより推定することができる。これによれば、大豆乳化組成物中の蛋白質のLCI値は通常60%以上であり、好ましくは63%以上、より好ましくは65%以上である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合、LPが原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。 蛋白質中におけるLPの割合が高まることによって油脂の乳化状態が安定化されるばかりでなく、グロブリン蛋白質を主体とした通常の大豆蛋白質組成では得られない滑らかな物性の食感を得ることができ、また素材にコクのある風味が付与される。
〔LP含量の推定・LCI値の測定方法〕(a)各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニットおよびα’サブユニット(α+α’)、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質およびリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。(b)X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。(c)低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量を加熱殺菌前に上記方法1、2の分画法により測定すると凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。(d)すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下「LCI」と略する。)を算出する。
Figure 2014084094
(乾物含量) 本発明に用いられる大豆乳化組成物は通常生クリーム様の性状であり、通常の乾物(dry matter)は20〜30重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水により低粘度の液状としたものや、濃縮加工されてより高粘度のクリーム状としたものであってもよく、また粉末加工されて粉末状としたものであってもよい。
(大豆乳化組成物の製造態様) 本発明に用いられる大豆乳化組成物は、例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index、以下「NSI」と称する。)が20〜77、好ましくは20〜70、乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の全脂大豆などの含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質および極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質および糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収することにより得ることができる。以下、該製造態様について示す。
・原料大豆およびその加工 大豆乳化組成物の原料である大豆としては、全脂大豆あるいは部分脱脂大豆等の含脂大豆を用いる。部分脱脂大豆としては、全脂大豆を圧搾抽出等の物理的な抽出処理により部分的に脱脂したものが挙げられる。一般に全脂大豆中には脂質が乾物あたり約20〜30重量%程度含まれ、特殊な大豆品種については脂質が30重量%以上のものもあり、特に限定されないが、用いる含脂大豆としては、少なくとも脂質を15重量以上、好ましくは20重量%以上含むものが適当である。原料の形態は、半割れ大豆、グリッツ、粉末の形状でありうる。
過度に脱脂され脂質含量が少なすぎると本発明に用いられる脂質に富む大豆乳化組成物を得ることが困難となる。特にヘキサン等の有機溶媒で抽出され、中性脂質の含量が1重量%以下となった脱脂大豆は、大豆の良い風味が損なわれ好ましくない。
上記含脂大豆は天然の状態では蛋白質の多くが未変性で可溶性の状態にあり、NSIとしては通常90を超えるが、本発明においては、NSIが20〜77好ましくは20〜70になるよう加工処理を施した加工大豆を用いるのが適当である。より好ましいNSIの下限値は40以上、より好ましくは41以上、さらに好ましくは43以上、最も好ましくは45以上とすることができる。より好ましいNSIの上限値は75未満、より好ましくは70未満とすることができ、またさらに65未満、あるいは60未満、あるいは58未満の低NSIのものを用いることができる。
そのような加工大豆は、加熱処理やアルコール処理等の加工処理を行って得られる。加工処理の手段は特に限定されないが、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等による加熱処理や、含水エタノール処理、高圧処理、およびこれらの組み合わせ等が利用できる。
NSIが低すぎると、大豆乳化組成物中の蛋白質の割合が高くなりやすく、蛋白質に対する脂質含量が低くなる。また過加熱による焙煎臭等の雑味が生じやすくなる。逆にNSIが例えば80以上の高い数値になると大豆乳化組成物中の蛋白質の割合が低下し、大豆からの脂質の回収率も低下しやすくなる。また風味は青臭みが強くなる。
例えば過熱水蒸気による加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、おおよそ120〜250℃の過熱水蒸気を用いて5〜10分の間で加工大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、加工処理に特段の困難は要しない。簡便には、NSIが上記範囲に加工された市販の大豆を用いることもできる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。 すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
前記の加工大豆は水抽出の前に、予め乾式または湿式による粉砕、破砕、圧偏等の組織破壊処理を施されることが好ましい。組織破壊処理に際して、あらかじめ水浸漬や蒸煮により膨潤させても良く、これによって組織破壊に必要なエネルギーを低減させたり、ホエー蛋白質やオリゴ糖等の不快味を持つ成分を溶出させ除去できると共に、保水性やゲル化性の能力が高いグロブリン蛋白質(特にグリシニンおよびβ−コングリシニン)の全蛋白質に対する抽出比率、すなわち水溶性画分への移行比率をより高めることができる。
・原料大豆からの水抽出 水抽出は含脂大豆に対して3〜20重量倍、好ましくは4〜15重量倍程度の加水をし、含脂大豆を懸濁させて行われる。加水倍率は高い方が水溶性成分の抽出率が高まり、分離を良くすることができるが、高すぎると濃縮が必要となりコストがかかる。また、抽出処理を2回以上繰り返すと水溶性成分の抽出率をより高めることができる。
抽出温度には特に制限はないが、高い方が水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、大豆乳化組成物の脂質が低くなるため、70℃以下、好ましくは55℃以下で行うと良い。あるいは5〜80℃、好ましくは50〜75℃の範囲で行うこともできる。
抽出pH(加水後の大豆懸濁液のpH)も温度と同様に高いほうが水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、大豆乳化組成物の脂質が低くなる傾向にある。逆にpHが低すぎると蛋白質の抽出率が低くなる傾向にある。具体的には下限をpH6以上、もしくはpH6.3以上、もしくはpH6.5以上に調整して行うことができる。また上限は脂質の分離効率を上げる観点でpH9以下、もしくはpH8以下、もしくはpH7以下に調整して行うことができる。あるいは蛋白質の抽出率を高める観点でpH9〜12のよりアルカリ性側に調整して行うことも可能である。
・水抽出後の固液分離 水抽出後、含脂大豆の懸濁液を遠心分離、濾過等により固液分離する。この際、中性脂質のみならず極性脂質も含めた大部分の脂質を水抽出物中に溶出させず、不溶化した蛋白質や食物繊維質の方に移行させ沈殿側(不溶性画分)とすることが重要である。具体的には含脂大豆の脂質の70重量%以上を沈殿側に移行させる。また抽出の際に上清側にも少量の脂質が溶出するが、豆乳中の脂質のように微細にエマルション化されたものではなく、15,000×g以下、あるいは5,000×g程度以下の遠心分離によっても容易に浮上させ分離することができ、この点で遠心分離機を使用するのが好ましい。なお遠心分離機は使用する設備によっては10万×g以上の超遠心分離を使用することも可能であるし、本発明に用いられる大豆乳化組成物の場合は超遠心分離機を用いなくとも実施が可能である。
また水抽出の際あるいは水抽出後に解乳化剤を添加して豆乳からの脂質の分離を促進させることも可能であり、解乳化剤は特に限定されないが例えば米国特許第6,548,102号公報に開示されている解乳化剤を使用すればよい。ただし本発明に用いられる大豆乳化組成物を調製する場合は解乳化剤を用いなくとも実施が可能である。
水抽出工程後の固液分離により、中性脂質のみならず極性脂質を不溶性画分に移行させ、これを回収することにより大豆乳化組成物の画分を得ることができる。 固液分離として遠心分離を用いる場合、二層分離方式、三層分離方式のいずれも使用することができる。二層分離方式の場合は沈殿層である不溶性画分を回収する。また三層分離方式を用いる場合は、(1)浮上層(脂質を含む比重の最も小さいクリーム画分)、(2)中間層(脂質が少なく蛋白質、糖質を多く含む水溶性画分)、(3)沈殿層(脂質と食物繊維を多く含む不溶性画分)、の三層の画分に分けられる。この場合、脂質含量の少ない水溶性画分の中間層(2)を除去または回収し、不溶性画分として浮上層(1)または沈殿層(3)を回収するか、あるいは(1)と(3)を合わせて回収するとよい。
得られた不溶性画分(1)、(3)はそのまま、あるいは必要により濃縮工程、加熱殺菌工程、粉末化工程等を経て本発明に用いられる大豆乳化組成物とすることができる。
・食物繊維の除去 得られた不溶性画分が食物繊維を含む場合、例えば上記(3)または(1)および(3)の画分である場合、必要により加水し、高圧ホモゲナイザーあるいはジェットクッカー加熱機等による均質化した後、該均質化液をさらに固液分離して上清を回収する工程を経ることにより、食物繊維(オカラ)を除去することもでき、コクのある風味がより濃縮された大豆乳化組成物を得ることができる。該均質化の前後いずれかにおいて必要により加熱処理工程、アルカリ処理工程等を付加することにより蛋白質をより抽出しやすくすることもできる。この場合、乾物あたりの食物繊維含量は10重量%以下であり、5重量%以下がより好ましい。なお、本発明において食物繊維含量は、「五訂増補日本食品標準成分表」(文部科学省、2005)に準じ、酵素−重量法(プロスキー変法)により測定することができる。
(大豆乳化組成物の特徴) 本発明に用いられる上記の大豆乳化組成物は、脂質(中性脂質および極性脂質)および蛋白質が特定の範囲で含まれ、蛋白質のうち特にLP含量が高く、必要により繊維質も含まれる乳化組成物であり、大豆が本来有する自然な美味しさが濃縮されており、従来の問題とされていた青臭味や収斂味、渋味等の不快味がないか非常に少なく、非常にコクのある風味を有するものである。
通常の大豆粉や分離大豆蛋白に水、油脂を加えて該大豆乳化組成物と類似の組成の乳化組成物にすることは可能であるが、リポキシゲナーゼ蛋白質含量あるいはLCI値を同等なレベルに調整することは困難である。そして本技術により調製された大豆乳化組成物は、このような組み立て製品に比べて格段に風味が良好であり、食品素材としての利用適性が高いことに特徴を有する。
大豆乳化組成物の添加量は、大豆蛋白質量としてコーヒーホワイトナー中に0.3重量%以上が好ましく、好ましくは0.3〜5.0重量%である。より好ましい大豆乳化組成物の添加量の例は、大豆蛋白質としてコーヒーホワイトナー中に0.3〜3.0重量%、0.5〜2.5重量%、0.5〜2.0重量%、1.5〜2.0重量%である。
コーヒーホワイトナー中の蛋白質含量は、好ましくは0.3〜5.0重量%、より好ましくは0.3〜3.0重量%、さらに好ましくは0.5〜2.5重量%である。コーヒーホワイトナー中の蛋白質含量が少ないと、コーヒーホワイトナーの乳化安定性が悪くなり、粘度が急激に上昇しボテ状態を生じることがある。一方、コーヒーホワイトナー中の蛋白質含量が多いと、コーヒーに添加した場合にこのコーヒーホワイトナーがコーヒー中にうまく分散されず、凝集物(フェザーリング)を形成することがある。なお、本発明のコーヒーホワイトナー中の蛋白質を全て大豆乳化組成物由来とすることもできるし、脱脂粉乳等の他の蛋白質を加えてもよい。健康上の利点を考慮すると、蛋白質をすべて植物性である大豆蛋白質とすることが好ましい。
(乳化剤) 本発明のコーヒーホワイトナーに使用される乳化剤は特に限定されないが、有機酸モノグリセリド、シュガーエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン等が例示できる。乳化剤は単独あるいは2種以上の組合せで使用できる。中でも、有機酸モノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルもしくはシュガーエステルの組合せが好ましく、有機酸モノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せがより好ましい。
また、コーヒーホワイトナー中の乳化剤の添加量は、0.4〜1.5重量%が好ましい。乳化剤の添加量が0.4重量%より少ないと、このコーヒーホワイトナーの乳化安定性が悪くなり、このコーヒーホワイトナーをコーヒーに添加した場合、コーヒーホワイトナーがうまく分散されずにフェザーリングが形成されやすくなる。一方、この乳化剤の添加量を1.5重量%より多くしても、このコーヒーホワイトナー自身の機能に変化が認められにくい。また、乳化剤の平均HLBは4より大きいことが好ましく、好ましくは5〜16、より好ましくは5〜14、さらに好ましくは10〜13である。
(油脂) 本発明のコーヒーホワイトナーは、油脂分を全て大豆乳化組成物由来とすることもできるが、他の油脂を添加してもよい。添加する油脂は、食用油脂であればいかなる油脂でもよいが、例えば、コーン油、大豆油、ごま油、こめ糠油、ベニバナ油、綿実油、ひまわり油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボガドオイル、へーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、荏油等の植物性油脂、ならびに乳脂、牛脂、豚脂、鯨油、魚油、鶏油等の動物性油脂が例示できる。植物性油脂を使用すると、油脂の物性の制御がし易い上に、コーヒーホワイトナーの全成分を植物性で調製した植物性コーヒーホワイトナーとすることもできるため好ましい。また、上記油脂の単独、または混合油、あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂も使用できる。
本発明のコーヒーホワイトナーの油脂含量は、好ましくは10〜40重量%である。油脂含量が10重量%より少ないと、コーヒーに添加した場合にこのコーヒーホワイトナーがうまくコーヒーに分散しにくくなる一方、油脂含量が40重量%より多いと、コーヒーホワイトナーの乳化安定性が悪くなることがある。
(燐酸塩) 本発明のコーヒーホワイトナーに、燐酸および燐酸塩を添加してもよい。使用できる燐酸および燐酸塩は、食品に利用できるものであれば特に限定はされず、例えば、ヘキサメタ燐酸塩、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素二カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三カリウム、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸塩等を使用することができる。
燐酸塩を使用することにより、分散性の改善およびフェザーリングの形成のさらなる抑制を図ることができる。燐酸塩を使用する場合、添加量は、コーヒーホワイトナー中に0.2〜1.5重量%が好ましい。燐酸塩の添加量が0.2重量%より少ないと、燐酸塩を添加する意味が乏しくなる。一方、燐酸塩の添加量が1.5重量%より多いと、このコーヒーホワイトナーをコーヒーに添加した場合、燐酸塩自身の独自の風味がコーヒーに付与され、コーヒーの風味が悪化することがある。
(糖類) 本発明のコーヒーホワイトナーに、1種または2種以上の糖類を添加してもよい。添加する糖類は特に限定されないが、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、糖アルコール等が例示できる。
糖類を使用することにより、さらなる保存安定性をコーヒーホワイトナーに付与することができる。糖類の好ましい添加量は、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%、さらに好ましくは1.5〜2.5重量%である。
(デンプン) 本発明のコーヒーホワイトナーに、1種または2種以上のデンプンを添加してもよい。添加するデンプンは特に限定はされないが、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン等を使用でき、さらには、これらの化工デンプンも使用できる。該化工デンプンとしては、例えば、酸化デンプン、酸処理デンプン、酵素処理デンプン、酢酸デンプン、リン酸デンプン、コハク酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、架橋デンプン、湿熱処理デンプン等いずれも用いることができる。
(その他の原料) 本発明のコーヒーホワイトナーに、一般的なコーヒーホワイトナーに使用される原料を添加してもよい。例えば、生クリーム等の乳製品、香料、着色料、アスパルテーム、アセスルファムカリウムおよびスクラロース等の甘味料、カゼインナトリウム等の安定剤、およびカラギーナンおよびジェランガム等の多糖類等から選択される1種または2種以上の原料を添加してもよい。
(製造方法) 以下に、植物性コーヒーホワイトナーの代表的な製造法について説明する。すなわち水を60〜70℃に加熱しながら燐酸塩を溶解させ、さらにこの溶液に大豆素材と乳化剤を加えて攪拌し、溶解あるいは分散させた後、植物油脂を添加し、予備乳化を行う。予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却する。
本発明のコーヒーホワイトナーは上記の代表的な製造法によっても製造できるし、他の当業者に公知の方法によっても製造できる。
(コーヒーホワイトナー) 本発明のコーヒーホワイトナーは、例えばこれを収納した容器と併せて流通することも出来る。組成物が加熱滅菌され、無菌充填することが出来るため、保存,輸送が容易であり、必要な時直ぐに利用できる利点がある。充填法としては、当該コーヒーホワイトナーをあらかじめ加熱滅菌した後に無菌的に容器に充填する方法(例えばUHT滅菌とアセプティック充填を併用する方法)、また、当該コーヒーホワイトナーを容器に充填した後、容器と共に加熱滅菌する方法(例えばレトルト殺菌)などが採用できる。なお、UHT滅菌法では、間接加熱方式および直接加熱方式のどちらも使用することが出来る。また、本発明のコーヒーホワイトナーを噴霧乾燥等の方法により乾燥し、乾燥粉体として調製、流通し、そのままコーヒーに添加してもよい。また、乾燥粉体を使用直前に水溶液として液体コーヒーホワイトナーにすることも可能である。
以下に本発明の実施例を記載するが、この発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。尚、特に示さない限り、部、%等は重量基準による。
○大豆乳化組成物の製造(製造例1) 特開2012−016348号の実施例1の記載に基づいて、大豆乳化組成物を調製した。得られた大豆乳化組成物の乾物含量は30.6%、乾物あたり蛋白量および脂質量はそれぞれ32.2%、43.0%であり、LCI値は67%であった。
○豆乳による比較(実施例1、比較例1) 水58重量部を60〜70℃に加熱しながら燐酸二カリウム0.4重量部を溶解させ、前述の大豆乳化組成物27.9重量部(実施例1)もしくは無調整豆乳(不二製油(株))31.9重量部(比較例1)と、有機酸モノグリセリドであるジアセチル酒石酸エステル(サンソフト641D、太陽化学)0.44部およびポリグリセリン脂肪酸エステル(リョートーポリグリエステルM−10D、三菱化学フーズ(株))0.7部(平均HLB12.7)を加えて攪拌した。大豆乳化組成物あるいは豆乳、および乳化剤を溶解あるいは分散させた後、この溶液にパーム核油22重量部を添加し、予備乳化を行った。 予備乳化後、ホモゲナイザーを用いて30〜150kgf/cmにて均質化させた後、間接加熱殺菌装置(Powerpoint International社製)に供給し、140℃、30秒で殺菌した。殺菌後、ホモゲナイザーを用いて30〜150kgf/cmにて均質化させた後、これらを冷却し、各実施例、比較例のコーヒーホワイトナーを得た。
○各種乳化剤による比較(実施例2〜8) 大豆乳化組成物の添加量、乳化剤を表2のように変更した以外は、実施例1の方法に従って、コーヒーホワイトナーを調製した(実施例2〜8)。尚、ジアセチル酒石酸エステルはサンソフト641D、コハク酸モノオレイン酸エステルはサンソフト683CB(以上、太陽化学(株)製)、ポリグリセリン脂肪酸エステルはリョートーポリグリエステルM−7D、リョートーポリグリエステルM−10D、リョートーポリグリエステルSWA−10DまたはリョートーポリグリエステルB−100D(以上、三菱化学フーズ(株)製)、シュガーエステルはDKエステルF160(第一工業製薬(株)製)またはリョートーシュガーエステルS−170(三菱化学フーズ(株)製)をそれぞれ用いた。
上記のようにして得られた各コーヒーホワイトナーを市販のコーヒー(pH5.02)に添加して、その風味確認を行うと共に分散状態(フェザーリング)を調べた。また、冷蔵保存時の安定性についても調べた。これらの結果を下記の表2に示した。
各コーヒーホワイトナーの風味については、青臭み・コクの点から総合評価で1〜5点の点数付を行い、3点以上を合格とした。各コーヒーホワイトナーのフェザーリングについては、コーヒー中に凝集物が形成された場合を5、コーヒー中にフェザーリングが激しく認められた場合を4、コーヒー中にフェザーリングが認められた場合を3、コーヒー中にフェザーリングがやや認められた場合を2、コーヒー中にフェザーリングが認められず良好である場合を1として評価した。乳化安定性については、上記の各コーヒーホワイトナーを5℃で1週間保存させた場合における各コーヒーホワイトナーの粘度状態の変化から、ボテ状態となっていない場合を1、若干ボテ状態となった場合を2、ボテ状態となった場合を3と評価した。
Figure 2014084094
実施例1はコーヒーに添加した場合にコクとマイルドさを有し、風味良好であった。それに対し、比較例1はコクと厚みがなくマイルドさが不十分であった。また、実施例1は製造直後および5℃にて1週間保存した後のコーヒーへの分散状態においてフェザーリングが認められず、乳化安定性も良好であった。比較例1の場合、5℃にて1週間保存した後において、コーヒーに添加した場合フェザーリングがやや認められた。以上より、大豆乳化組成物の使用により、コクがあり風味のよいコーヒーホワイトナーが得られることが確認できた。
コーヒーホワイトナー中に蛋白質含量が0.5%となるように大豆乳化組成物を配合した実施例2と、有機酸モノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて平均HLBを調整した実施例3〜5と、有機酸モノグリセリドとシュガーエステルを組み合わせた実施例6、7、およびコーヒーホワイトナー中に蛋白質含量が2.0%となるように大豆乳化組成物を配合した実施例8を検討した。実施例2〜7はコクがあり、実施例8は実施例1よりもさらにコクが感じられた。実施例2〜8のいずれも大豆の青臭みもなく、コーヒーの風味を損なわない、良好な風味であった。実施例3〜7は5℃にて1週間保存した後、若干増粘傾向であったが、問題のない範囲であり、実施例2、8は乳化安定性も良好であった。実施例2〜5、7、8では、フェザーリングはほとんど確認されなかった。以上より、乳化剤を問わず、大豆乳化組成物を使用することでコクがあり風味がよく、乳化安定なコーヒーホワイトナーを調製できることが確認できた。また、平均HLB5以上の乳化剤がフェザーリングに対して良好な結果を示した。乳化安定性、フェザーリングを考慮すると、平均HLB12.7付近の、有機酸モノグリセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルの組合せが最も良い結果を示した。
○糖添加による比較 グラニュー糖(実施例9)、上白糖(実施例10)、マルトース(実施例11)を各2.0部添加する以外は、実施例1の方法に従ってコーヒーホワイトナーを調製した。実施例1、9〜11の各コーヒーホワイトナーを、5℃で2カ月間保存した後、前述の評価基準に基づき乳化安定性およびフェザーリングを評価したところ、糖添加群では、長期保存後でもフェザーリングが抑制された。結果を表3に示す。
Figure 2014084094
上記のとおり、大豆乳化組成物を配合することにより、従来の豆乳や分離大豆蛋白を用いるコーヒーホワイトナーに比べて、コクが感じられ、大豆の青臭みもなく良好な風味のコーヒーホワイトナーを提供することができる。

Claims (8)

  1. 乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を含有することを特徴とする、コーヒーホワイトナー。
  2. 大豆乳化組成物の含有量が大豆蛋白質として0.3重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のコーヒーホワイトナー。
  3. さらに油脂、蛋白質、乳化剤、塩類、糖類、デンプンおよび香料の群から選ばれる1種または2種以上が添加されている、請求項1または2に記載のコーヒーホワイトナー。
  4. 油脂および蛋白質が植物性である、請求項3に記載のコーヒーホワイトナー。
  5. 乳化剤として、有機酸モノグリセリドにポリグリセリン脂肪酸エステルまたはシュガーエステルを併用することを特徴とする、請求項3または4に記載のコーヒーホワイトナー。
  6. 乳化剤の平均HLB値が5以上であることを特徴とする、請求項5に記載のコーヒーホワイトナー。
  7. 糖類が0.1〜5重量%添加されていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載のコーヒーホワイトナー。
  8. 乾物あたりの蛋白質含量が25重量%以上、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値が60%以上である大豆乳化組成物を原料として用いることを特徴とする、コーヒーホワイトナーの製造方法。
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